2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置
【課題】粉末成形装置において充填部に2種類の金属粉末を2層に充填して2層粉末成形品を成形する場合に、第1の給粉部材と第2の給粉部材が互いに干渉することなく充填部に効率的に金属粉末を充填しタイムロスを最小限にすることができる粉末成形装置を提供すること。
【解決手段】充填部が形成されたダイと、上パンチと、下パンチと、第1の金属粉末を充填部に充填する第1の給粉部材と、第1の給粉部材と独立して移動自在とされ第2の金属粉末を前記充填部に充填する第2の給粉部材73とを備えた粉末成形装置1であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡と前記第2の給粉部材73が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差し、2層粉末成形品を前記第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出することを特徴とする。
【解決手段】充填部が形成されたダイと、上パンチと、下パンチと、第1の金属粉末を充填部に充填する第1の給粉部材と、第1の給粉部材と独立して移動自在とされ第2の金属粉末を前記充填部に充填する第2の給粉部材73とを備えた粉末成形装置1であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡と前記第2の給粉部材73が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差し、2層粉末成形品を前記第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉末冶金における金型の充填部に2種類の金属粉末が2層に充填して成形される2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、2層粉末成形品を製造する場合、充填部が形成されたダイと、充填部に向けて進退可能に支持された上下パンチと、第1の金属粉末を充填する第1の給粉部材と第2の金属粉末を充填する第2の給粉部材とを有する粉末成形装置が用いられ、充填部に2種類の金属粉末が2層に充填された状態で圧粉、成形されている。このような粉末成形装置では、隣接するとともに対向して配置された二つの給粉部材のそれぞれに異なる金属粉末が収納され、各給粉部材が充填部に対して交互に移動して2種類の金属粉末を充填部に2層に充填した後に上下パンチで圧縮する粉末成形装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−246463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように二つの給粉部材が対向して配置された粉末成形装置において成形された2層粉末成形品を粉末成形装置の外方に取出す場合、例えば、第2の給粉部材に設けられた排出シリンダによって2層粉末成形品を第2の給粉部材の経路外に排出し、経路外に排出された2層粉末成形品をさらに粉末成形装置の製品シュート近くまで移動させるために、第2の給粉部材が充填部を乗り越えて2層粉末成形品を移動させる必要がある。
【0004】
したがって、第1の給粉部材が充填部を乗り越えて反対側に移動するという無駄な動作が必要とされるうえに移動距離が長くなるために大きなタイムロスが生じ、粉末成形のサイクルタイム全体を長くして生産性を低下させる原因になっている。
また、上記のような粉末成形装置において、第1の金属粉末を充填した後に第1の金属粉末を押圧部材が押圧してから第2の金属粉末を充填するような場合には、第1の給粉部材が充填部から離間した後に給粉装置が一旦停止し、再度給粉装置が移動して第2の給粉部材が充填部で停止するといった複雑な動作が必要となり、その結果、さらに生産性を低下させることとなる。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、粉末成形装置において充填部に2種類の金属粉末を2層に充填して2層粉末成形品を成形する場合に、第1の給粉部材と第2の給粉部材が互いに干渉することなく充填部に効率的に金属粉末を充填し、ひいては、第1の金属粉末を充填部に充填した後に第1の金属粉末を押圧する場合に、金属粉末の充填において発生するタイムロスを最小限にすることができる粉末成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチとを備えた粉末成形装置による2層粉末成形品の成形方法であって、第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動して前記充填部の上方に到達したときに第1の金属粉末を充填部に充填し、前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされるとともに前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材の前記充填部における前進移動軌跡と前記充填部において交差する方向に前進移動する第2の給粉部材が前記充填部に移動して充填部に第2の金属粉末を充填し、前記上パンチが前記ダイに対して相対移動して充填部内の前記金属粉末を圧粉して2層粉末成形品の成形し、前記2層粉末成形品を第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出することを特徴とする。
【0007】
また、請求項5に記載の発明は、金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチと、第1の金属粉末を前記充填部に充填する第1の給粉部材と、前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされ第2の金属粉末を前記充填部に充填する第2の給粉部材とを備えた粉末成形装置であって、前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前記充填部における前進移動軌跡と前記第2の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差するとともに、成形された2層粉末成形品を前記第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出する排出手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、第1の金属粉末を第1の給粉部材により充填部に充填するとともに第2の金属粉末を第2の給粉部材により充填部に充填し、成形された2層粉末成形品を第1の給粉部材の動作によりダイの外方に排出する場合に、第1の給粉部材と第2の給粉部材のいずれもが充填部を乗り越える必要がない構成とすることができるので、給粉装置全体を小さくすることができる。
また、第1の給粉部材と第2の給粉部材のいずれもが充填部を乗り越える必要がないために、それぞれの給粉部材の移動距離を短縮することが可能であるとともに金属粉末充填時のタイムロスを縮小して金属粉末の充填に要する時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0009】
また、第1の給粉部材と第2の給粉部材とが独立して移動自在とされているので、第1の金属粉末を押圧部材により押圧する動作がある場合に、押圧部材による押圧動作に並行して第1の給粉部材が充填部から離間することが可能であり、第1の給粉部材が効率的な動作をすることができる。
また、給粉装置全体を小さくすることができるので、金型交換時における給粉装置の取扱い並びに交換作業を容易に行うことができる。
【0010】
なお、この明細書において、第1の給粉部材については、第1の給粉部材が充填部に向かう方向の移動を前進移動とし、充填部から離間する方向の移動を後退移動という。
また、第2の給粉部材については、第2の給粉部材が充填部に向かう方向の移動を前進移動とし、充填部から離間する方向の移動を後退移動という。
また、第1の給粉部材が充填部に前進移動するときの前進移動軌跡と第2の給粉部材が充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差するするとは、第1の給粉部材の前進移動軌跡と第2の給粉部材の前進移動軌跡とが、充填部の軸線方向から見た場合に充填部において交点を形成することを意味しており、直線同士に限られず円弧と直線による交点であってもよい。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の2層粉末成形品の成形方法であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動するときの前進移動軌跡が円弧状とされることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の粉末成形装置であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動する際に、前記第1の給粉部材の前進移動軌跡が円弧状となるための回動機構を備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、第1の給粉部材の前進移動軌跡が円弧状とされるために、第1の給粉部材の原点位置と充填部とを結ぶ円弧の原点位置と充填部における法線の交点を中心に回動、前進移動させる構成とすることが可能となり、直線移動する駆動源に比較して小さい回動機構を用いることができる。その結果、給粉装置及び粉末成形装置を小さくすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の2層粉末成形品の成形方法であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の粉末成形装置であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧する押圧部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8記載の発明は、請求項7に記載の粉末成形装置であって、前記押圧部材は、前記第2の給粉部材の前進側に設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、前記第1の給粉部材が充填部に第1の金属粉末を充填した後、第2の給粉部材が充填部に第2の金属粉末を充填する前に、充填部に充填された第1の金属粉末が押圧されるので、第1の金属粉末の上面が平坦にされるとともに第1の金属粉末の上面近傍の密度が向上して、第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界が明確になることにより第1の金属粉末と第2の金属粉末の混合が抑制されて2層粉末成形品の第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界の寸法精度が向上し、その結果、2層粉末成形品の品質を向上させるとともに材料歩留まりを向上させることができる。
また、第1の金属粉末を押圧する押圧部材を第2の給粉部材の前進側に設けることにより第2の給粉部材の動作により押圧部材を充填部に移動させるとともに第2の金属粉末を充填する前に容易に第1の金属粉末を押圧することができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の2層粉末成形品の成形方法であって、前記第1の給粉部材は、前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前進する方向と反対方向に後退して前記充填部から離間することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9記載の発明は、請求項5から請求項8のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、前記充填部に第1の金属粉末を充填した後に、前記第2の給粉部材が前進移動する方向と反対方向に前記第1の給粉部材を後退移動させるための移動手段を有していることを特徴とする。
【0020】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、第1の給粉部材が、2層粉末成形品を排出した後に、排出した2層粉末成形品と干渉することなく後退移動して、ダイから離間することができる。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項5から請求項9のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、前記第1の給粉部材に第1の金属粉末を供給する第1の粉末供給路と前記第2の給粉部材に第2の金属粉末を供給する第2の粉末供給路の少なくとも一方は、ホッパーと接続される金属粉末用管路がワンタッチ接続されていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る粉末成形装置によれば、第1の粉末供給路、第2の粉末供給路の少なくとも一方が粉末供給管路とワンタッチ接続されているので粉末成形装置を容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、充填部の軸線方向から見た場合に第1の給粉部材及び第2の給粉部材が互いに交差する構成とされ、第1の給粉部材及び第2の給粉部材のいずれもが金属粉末の充填に際して充填部を乗り越える必要がないため、ダイに金属粉末を充填する時間及び粉末成形のサイクルタイムが短縮され、粉末成形の生産性を向上させることができる。
また、第1の金属粉末が押圧されることにより第1の金属粉末の上面が平坦になるとともに上面近傍の密度が向上して第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界が明確になるため、第1の金属粉末と第2の金属粉末との境界面における寸法精度を向上させることができ、その結果、粉末成形品の品質を向上させるとともに材料歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1から図7は、本発明の一実施形態を示す図であり、符号1は粉末成形装置を、符号2は粉末成形金型を、符号3は給粉装置を示している。
図1は粉末成形装置1の平面図を、図2、図3、図4、図5はそれぞれ給粉装置3を構成する第1の給粉部4の平面図、側面図、構成の詳細図、作動を示す図であり、図6、図7は、(a)が給粉装置3を構成する第2の給粉部7の平面図を、(b)が第2の給粉部7の側面図を示している。
【0025】
粉末成形装置1は、粉末成形金型2と、給粉装置3とを備えており、給粉装置3は第1の給粉部4と第2の給粉部7とを備えている。
粉末成形金型2は、金属粉末が充填される充填部21Aが形成されたダイ21と、ダイ21の下方に配置されダイ21に挿入される下金型22と、ダイの上方に配置され充填部21Aの軸線方向にダイ21に対して相対移動自在とされる上パンチ(図示せず)とを備えており、ダイ21の周囲にはダイ21の上面と面一とされるテーブルプレート21Bが設けられている。
【0026】
この実施形態において、下金型22は、円柱状に形成されたコアロッド23と、コアロッド23の外周に形成された円環状の下パンチ24とから構成されており、下パンチ24は粉末成形プレスに対して固定されるとともにダイ21とともに充填部21Aを画成している。また、ダイ21とコアロッド23とは互いに同期して下パンチ24に対して上下方向に相対移動自在とされている。
【0027】
また、粉末成形金型2によって成形される2層粉末成形品Wは、組成が異なる2種類の金属粉末が粉末成形品Wの軸線方向に2層に形成された所定の厚みを有する円環状の形態をした2層粉末成形品とされており、粉末成形品Wの外周面及び内周面はダイ21の内周面とコアロッド23の外周面によって形成され、厚み方向の形状、寸法は下パンチ24の上面と上パンチの下面により形成されるようになっている。
【0028】
かかる構成の2層粉末成形品Wを成形するために、ダイ21は、第1の金属粉末が充填された後に、第2の金属粉末が充填される空間を形成するために、テーブルプレート21B、コアロッド23とともに上昇するようになっている。
【0029】
第1の給粉部4は、第1の給粉装置本体ベース40と、第1の金属粉末を一時的に収納する第1の粉末供給路41と、第1の粉末供給路41から供給された第1の金属粉末を充填部21Aまで運搬する第1の給粉部材43と、第1の給粉部材43を原点位置からダイ21の充填部21Aに回動移動させる回動機構5と、第1の粉末供給路41に形成された下方開口部43Bを閉塞自在とする第1のシャッター45と、第1の給粉部材43を直線的に移動自在とする直動シリンダ(移動手段)47とを備えている。
第1の給粉装置本体ベース40は、第1の給粉部材43と、回動機構5のうち回動される部材が載置されるためのものであり、回動機構5の駆動軸51廻りに回動自在とされている。
【0030】
第1の粉末供給路41は、粉末成形プレスに対して相対的に固定されており、粉末成形プレスの上部に配置されたホッパーからホース等の金属粉末用管路を介して供給された第1の金属粉末を、第1の給粉部材43に供給するまでの間一時的に収納するためのものであり、粉末収納部41Aと、下方開口部41Bと、上方開口部41Cとを備えており、上方開口部41Cは、端部にスイベルコネクタ等が設けられたホース等の金属粉末用管路によりワンタッチ接続されていて、金属粉末用管路を介して供給された第1の金属粉末は粉末収納部41Aに収納された後、下方開口部41Bを通じて、第1の給粉部材43に供給されるようになっている。
【0031】
第1の給粉部材43は、上方開口部43Aと、下方開口部43Bを備えており、第1の粉末供給路41とダイ21との間を移動自在とされるとともに、上方開口部43Aを通じて第1の粉末供給路41から供給された第1の金属粉末をダイ21まで運搬して下方開口部43Bを通じて充填部21Aに落下させ充填部21Aに充填するようになっている。
また、第1の給粉部材43は、成形品排出部材44を備えており、第1の給粉部材43が回動機構5によりダイ21に移動する移動動作により成形品排出部材44がダイ21に向って移動し、成形品排出部材44が前のサイクルで成形された粉末成形品Wをダイ21の外方に押出して排出するようになっている。
【0032】
成形品排出部材44は矩形に形成されるとともにテーブルプレート21B上を摺動可能に設けられており、後述する回動機構5の回動により、成形品排出部材44の排出部44Aが2層粉末成形品Wを第1の給粉部材43から見てダイ21の反対側に排出可能とされている。
【0033】
回動機構5は、図4に示すように、回転駆動源50と、回転駆動源50の回転を出力する駆動歯車50Aと、駆動軸51と、歯車51A、歯車51Bと、伝達軸52と、歯車52Aと、駆動側スプロケット52Bと、アイドルスプロケット53と、被駆動側スプロケット55と、チェーン57とを備えており、これらは第1の給粉装置本体ベース40に配置されていてパンタグラフ効果によって、成形品排出部材44を構成する矩形のそれぞれの辺が成形品排出部材44の位置に関わらず所定の方向を向くようになっている。その結果、成形品排出部材44の排出部44Aを構成している辺は平行移動されるので、回動機構5により移動される回動位置に関わりなく、その辺が向く方向が維持されるようになっている。
【0034】
駆動歯車50Aは歯車51Aと係合されるとともに、歯車51Aと歯車51Bとは駆動軸51を介して連結され、歯車51Bは歯車52Aと係合するとともに歯車52Aは伝達軸52に連結されており、その結果、駆動歯車50Aの回転は、歯車51A、駆動軸51、歯車51B、歯車52Aの順に伝達されるようになっている。また、伝達軸52には、歯車52Aが取付けられた側と反対の端部側に、伝達軸52と同軸とされた駆動側スプロケット52Bが設けられており、歯車52Aが回転されることにより駆動側スプロケット52Bが回転自在とされている。
【0035】
駆動側スプロケット52Bは、第1の給粉部材43に形成されたスプロケット55とチェーン57により接続され、駆動側スプロケット52Bの回転がスプロケット55に伝達可能とされている。また、チェーン57は、駆動側スプロケット52Bとスプロケット55とを接続する2つの接続部分がともに略「く」の字形に形成されており、その「く」の字形を保持するためのアイドルスプロケット53と図示しないテンション調整用部材が設けられている。
【0036】
上記構成により、歯車51Aから出力された回転駆動源50の回転が駆動側スプロケット52Bを回転させチェーン57を介してスプロケット55に伝達されると、図5(a)に示すように、第1の給粉装置本体ベース40が駆動軸51を中心として矢印A方向に回動自在とされ、その結果、第1の給粉部材43が駆動軸51を中心として前進又は後退移動して第1の給粉部材43の原点位置43Sと充填部21A(又は、原点位置43Sと充填部21Aに対応する位置、例えば位置43Uと位置43T)とを結ぶ円弧状の移動軌跡を描いて前進又は後退移動するようになっている。
【0037】
第1のシャッター45は、第1のシャッター開口部45Aが形成された平板状の形態をしており、第1の粉末供給路41の下方開口部41Bを遮断して第1の金属粉末が落下しないようにするものであり、第1の給粉部材43が下方開口部41Bの下方に位置するときには、下方開口部41Bと上方開口部43Aとの間に位置するようになっている。
また、第1のシャッター45は、第1のシャッター駆動部46により第1のシャッター開口部45Aが第1の粉末供給路41の下方開口部41Bと第1の給粉部材43の上方開口部43Aの間に位置するように移動自在とされ、その結果、第1の金属粉末が第1の粉末供給路41の粉末収納部41Aから第1の給粉部材43に供給されるようになっている。
【0038】
直動シリンダ47は、シリンダロッド47Aの先端が第1の給粉装置本体ベース40に連結されて、図5(b)に示すように、給粉装置本体ベース40が矢印B方向に前進後退方向に駆動自在とされており、シリンダロッド47Aが前進駆動されることにより第1の給粉装置本体ベース40は、第1の給粉部材43が原点位置43S(又は充填部21A)に位置される前進端40Tに前進移動し、シリンダロッド47Aが後退駆動されることにより第1の給粉装置本体ベース40は後退端40Rに後退移動するようになっている。
【0039】
第2の給粉部7は、第2の粉末供給路71と、第2の給粉部材73と、第2のシャッター75と、第2の給粉装置用直動サーボモータ76と、水平方向ガイド77と、上下方向ガイド79とを備えており、第2の粉末供給路71、第2の給粉部材73、第2のシャッター75、第2の給粉装置用直動サーボモータ76、水平方向ガイド77、上下方向ガイド79は、第2の給粉装置本体ベース70に配置されている。
【0040】
第2の給粉装置本体ベース70は、左右で一対とされるガイド部材70Aと70Bとが連結部材70Aにより連結されることにより構成されており、ダイ21側に位置する第2の給粉装置本体ベース70の一方側はテーブルプレート21Bに載置されており、ガイド部材70Aと70Bは水平方向ガイド77に配置された複数のガイドローラ77Aによって押圧、支持されており、その結果、第2の給粉装置本体ベース70のテーブルプレート21Bに対する水平を維持しつつ前後方向に移動可能とされている。
【0041】
第2の粉末供給路71は、テーブルプレート21Bに対して相対的に固定されており、粉末成形プレスの上部に配置されたホッパーからホース等の金属粉末用管路を介して供給された第2の金属粉末を第2の給粉部材73に供給するまでの間一時的に収納するためのものであり、粉末収納部71Aと、下方開口部71Bと、上方開口部71Cとを備えており、上方開口部71Cは、端部にスイベルコネクタ等が設けられたホース等の金属粉末用管路によりワンタッチ接続されていて、金属粉末用管路を介して供給された第2の金属粉末は粉末収納部71Aに収納された後、下方開口部71Bを通じて、第2の給粉部材73に供給されるようになっている。
【0042】
第2の給粉部材73は、粉末収納部73Aと、下方開口部73Bと、リンク支持部73Cとを備えており、第2の粉末供給路71とダイ21との間を移動自在とされるとともに、粉末収納部73Aの上方開口部を通じて第2の粉末供給路71から供給された第2の金属粉末をダイ21まで運搬して粉末収納部73Aの下方開口部から充填部21Aに落下させ充填部21Aに充填するようになっている。
【0043】
第2のシャッター75は、粉末収納部73Aの上方開口部と一致させて固定される第2のシャッター開口部75Aが形成されるとともに、第2の粉末供給路71の下方開口部71Bの面と摺動可能とされた平板状の形態をしており、第2の粉末供給路71の下方開口部71Bを閉塞して第2の金属粉末が落下しないようにするものであり、粉末収納部73Aが第2の給粉部材73の下方開口部73Bと一致することで第2のシャッター開口部75Aと下方開口部73Bとが一致して、第2の給粉部材73の下方開口部73Bから粉末収納部73Aに第2の金属粉末が供給されるようになっている。
【0044】
また、第2のシャッター75は、第2の給粉装置本体ベース70、第2の給粉部材73とともに第2の給粉装置用直動サーボモータ76により移動自在とされており、その結果、第2の金属粉末が第2の粉末供給路71の粉末収納部71Aから第2の給粉部材73に供給されるとともに充填部21Aまで運搬可能とされている。
【0045】
第2の給粉装置用直動サーボモータ76は、直線動を出力する駆動部材76Aが連結部材76Bを介して第2の給粉装置本体ベース70に連結されており、前進後退方向に駆動自在とされた駆動部材76Aが前進後退駆動されることにより、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、第2の給粉装置本体ベース70が矢印C方向に前進後退移動し、第2の給粉部材73が充填部21Aと第2の給粉部材73の原点位置との間を移動するようになっている。
【0046】
水平方向ガイド77は、テーブルプレート21Bにガイド部材70Aと70Bが延在する方向に沿って形成されたガイド部と、テーブルプレート21Bのガイド部に沿って配置された複数のガイドローラ77Aを備えており、ガイド部材70Aと70Bをガイドローラ77Aによりテーブルプレート21Bのガイド部に押圧して第2の給粉装置本体ベース70の浮き上りを防止して第2の給粉装置本体ベース70の水平を維持するものであり、ダイ21の上昇下降とともに上昇下降し、第2の給粉装置本体ベース70の水平を維持しつつ第2の給粉装置本体ベース70を前後方向に移動することができるようになっている。
【0047】
上下方向ガイド79は、連結部材76Bに立設されたガイドロッド79Aと、ガイドロッド79Aの外周面に形成されガイドロッド79Aに対して摺動自在とされたガイドスリーブ79Bと、ガイドロッド79Aを支持するガイド支持部材79Cとを備えており、ガイドスリーブ79Bは第2の給粉装置本体ベース70の一方側と反対側に位置する他方側に設けられており、第2の給粉装置本体ベース70がテーブルプレート21Bとともに上昇又は下降しても第2の給粉装置用直動サーボモータ76の駆動が第2の給粉装置本体ベース70に伝達可能とされている。
【0048】
押圧部材90は、第2の給粉装置本体ベース70に配置されており、押圧シリンダ91と、連結部材92と、連結ロッド93と、一方端側接続部94Aが連結ロッド93と回動自在に接続された回動リンク94と、回動リンク94の他方端側接続部94Bに接続された押圧型96とを備えている。
【0049】
押圧シリンダ91は、進退自在とされるシリンダロッド91Aを介して連結部材92に連結され、連結部材92はその両側にて連結ロッド93の一方端側接続部93Aと回動自在に接続されるとともに連結ロッド93の他方端側93Bは回動リンク94の一方端側接続部に回動自在に接続されており、図6(a)、(b)に示すように、押圧シリンダ91が駆動されてシリンダロッド91Aが矢印D方向に進退して連結ロッド93が矢印E方向に移動されることにより押圧型96が矢印F方向に移動して充填部21Aに対して下降移動し又は上昇移動して充填部21A内の第1の金属粉末を押圧できるようになっている。
【0050】
回動リンク94は、略「く」の字型に形成された形状とされ略「く」の字型の屈曲部が第2の給粉部材73のリンク支持部73Cに設けられた支持軸94Cにより回動自在に支持されており、屈曲部を回動中心として回動自在とされている。回動リンク94の一方端側接続部94Aは、連結ロッド93の他方端側93Bに回動自在に接続され、回動リンク94の他方端側接続部94Bは、押圧型96に回動自在に接続されており、押圧シリンダ91から出力された矢印D方向の押圧力を矢印Fで示される押圧型96の上下方向の移動に変換出来るようになっている。
【0051】
また、連結部材70Aには、軸部先端が連結部材92側に向けられた調整ボルト97が螺着されており、調整ボルト97を調整して連結部材92の前進位置を調整することにより押圧型96の下降端位置が調整可能とされている。
また、押圧型96は、円環状に形成された押圧型形状部96Aを備えており、押圧型形状部96Aがダイ21の充填部21Aに挿入されることにより、充填部21A内の第1の金属粉末を押圧可能とされている。
【0052】
次に、粉末成形装置1の作用について説明する。
〔第1の行程〕
まず、図8に示すように、第1の給粉部材43を第1の粉末供給路41の下方に位置させるとともに、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aを第2の粉末供給路71の下方に位置させる。
このとき、第1の粉末供給路41の下方開口部41Bと第1の給粉部材43の上方開口部43Aとの間を遮断していた第1のシャッター45は、第1のシャッター駆動部46により移動されて、第1の粉末供給路41の下方開口部41Bと第1の給粉部材43の上方開口部43Aが第1のシャッター開口部45Aにより連通されて、第1の金属粉末が第1の粉末供給路41の粉末収納部41Aから第1の給粉部材43に供給される。
【0053】
また、第2の粉末供給路71の下方開口部71Bを閉塞する第2のシャッター75は、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aが移動して下方開口部71Bに移動することにより第2のシャッター開口部75Aが下方開口部71Bと一致するとともに第2の粉末供給路71の下方開口部71Bと第2の給粉部材73の粉末収納部73Aが接続され、第2の粉末供給路71の粉末収納部71Aから第2の金属粉末が第2の給粉部材73内に供給される。
【0054】
次いで、回転駆動源50が回転駆動して駆動歯車50Aが回転し、駆動歯車50Aの回転が、歯車51A、駆動軸51、歯車51Bを介して歯車52Aに伝達され、歯車52Aが回転されることによって伝達軸52及び駆動側スプロケット52Bが回転する。駆動側スプロケット52Bの回転は、チェーン57に伝達されて第1の給粉部材43に形成されたスプロケット55に伝達される。
【0055】
〔第2の行程〕
回転駆動源50の回転がスプロケット55に伝達されると、図9に示すように、第1の給粉装置本体ベース40が駆動軸51を中心として回動され、第1の給粉部材43が駆動軸51を中心とした円弧状の前進移動軌跡を描きながら原点位置43Sから充填部21Aに向ってテーブルプレート21Bの上面を摺動して前進移動する。
【0056】
第1の給粉部材43が前進移動することにより、成形品排出部材44が前回のサイクルで成形された粉末成形品Wをダイ21の外方に押出して排出する。ダイ21の外方に排出された粉末成形品Wは、順次排出される粉末成形品Wにより押されて搬出シュート101へと移動、搬出される。
第1の給粉部材43が充填部21Aに到達したら第1の給粉部材43の下方開口部43Bから第1の金属粉末が充填部21A内に落下して充填される。
第1の金属粉末が充填部21A内に落下して充填されると、ダイ21は第2の金属粉末が充填される空間を形成するために、テーブルプレート21B、コアロッド23とともに上昇する。
このとき、第2の給粉装置本体ベース70は、水平方向ガイド77とともに上昇する。
【0057】
〔第3の行程〕
次に、第2の給粉装置用直動サーボモータ76が駆動されて、図10に示すように、駆動部材76Aが連結部材76Bを移動させて、第2の給粉部材73とともに押圧部材90が充填部21Aに向ってテーブルプレート21Bの上面を摺動して前進移動する。
第2の給粉部材73の前進移動にあわせて第1の給粉部材43は第2の給粉部材73の前進移動と反対方向に後退端40Rまで後退移動してダイ21から離間する。
【0058】
第2の給粉部材73の前進移動に際して、押圧部材90の押圧型96がダイ21に接近して充填部21Aに到達すると、第2の給粉部材73とともに押圧型96が停止する。
押圧型96が充填部21Aで停止したら、押圧シリンダ91のシリンダロッド91Aが前進し、シリンダロッド91Aの変位が連結部材92、連結ロッド93を介して回動リンク94を図10(b)における反時計回りに回動する。
【0059】
その結果、押圧型96が充填部21A方向に移動されるとともに充填部21A内の第1の金属粉末を押圧する。
第1の金属粉末が押圧されることによって、第1の金属粉末の上面は圧粉されて平坦化されるとともに密度が高くなり、第2の金属粉末との境界における第1の金属粉末と第2の金属粉末との混合が抑制されるようになる。
【0060】
押圧型96による充填部21A内の第1の金属粉末の押圧が完了すると、押圧シリンダ91のシリンダロッド91Aが後退し、シリンダロッド91Aの変位が連結部材92、連結ロッド93を介して回動リンク94が図10(b)における時計回りに回動されるとともに押圧型96が充填部21Aの上方に移動する。
【0061】
押圧型96が充填部21Aからダイ21の外方に移動したら、第2の給粉装置用直動サーボモータ76が再び駆動されて駆動部材76Aが連結部材76Bを移動させて、第2の給粉部材73を充填部21Aの方向に前進移動して、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aが充填部21Aに到達したところで第2の給粉装置用直動サーボモータ76が停止され、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aから充填部21Aに第2の金属粉末が落下して充填される。
【0062】
第2の給粉部材73から充填部21Aに第2の金属粉末が充填されると、第2の給粉装置用直動サーボモータ76が前進のときとは反対方向に駆動されて駆動部材76Aが連結部材76Bを移動させて、第2の給粉部材73を、第2の給粉部材73の原点位置に相当する第2の粉末供給路71の位置まで後退移動させる。
【0063】
その後、図示しない上パンチが下降して、充填部21A内の金属粉末を圧粉、成形する。
充填部21A内の金属粉末が成形されると、ダイ21及びコアロッド23が下降して、2層粉末成形品Wがダイ21の上面に押し出される。
【0064】
上記の押圧型96が充填部21Aに接近してから第2の給粉部材73が後退移動して第2の粉末供給路71の位置に到達するまでの間における第1の給粉部4の動作について、以下に説明する。
第2の給粉部材73と押圧部材90が充填部21Aに向って前進移動するのにあわせて第1の給粉部4の直動シリンダ47が駆動され、図10に示すように、第1の給粉部材43が配置された第1の給粉装置本体ベース40が第2の給粉部材73の前進移動と同じ方向に後退移動する。
この直動シリンダ47による第1の給粉装置本体ベース40の後退移動は、第2の給粉部材73の前進移動と干渉しないタイミング及び空間を確保しつつ行われる。
【0065】
直動シリンダ47による第1の給粉装置本体ベース40の後退移動が終了すると、回転駆動源50及び駆動歯車50Aが第1の給粉部材43の前進移動とは反対方向に回転駆動され、駆動歯車50Aの回転が、歯車51A、駆動軸51、歯車51Bを介して歯車52Aに伝達され、歯車52Aが回転されることによって伝達軸52及び駆動側スプロケット52Bが後退方向に回転する。
【0066】
〔第4の行程〕
駆動側スプロケット52Bの回転がチェーン57を介して第1の給粉部材43に形成されたスプロケット55に伝達されて、図11に示すように、第1の給粉装置本体ベース40が駆動軸51を中心として図11(b)における反時計回りに回動され、第1の給粉部材43は、駆動軸51を中心とした円弧状の後退移動軌跡を描きながら第1の給粉装置本体ベース40の後退端40Rにおける充填部21A側の位置43Tから後退端40Rにおける原点位置43S側の位置43Uに後退移動する。
【0067】
第1の給粉装置本体ベース40の後退端40Rにおいて第1の給粉部材43が位置43Uまで後退移動したら、1の給粉装置本体ベース40は、直動シリンダ47によって前進させられて第1の給粉部材43は原点位置43Sまで前進移動する。
【0068】
上記実施形態に係る粉末成形装置1によれば、充填部21Aに第1の金属粉末と第2の金属粉末を2層に充填して2層粉末成形品Wを成形するとともに第1の給粉部材43の動作によって、成形された2層粉末成形品Wダイ21の外方に排出する場合に、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73のいずれも充填部21Aを乗り越える必要がないため、給粉装置3全体を小さくすることができる。
【0069】
また、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73のいずれもが充填部21Aを乗り越える必要がないために、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73それぞれの移動距離を短縮することが可能とされるので、金属粉末充填時のタイムロスを縮小して金属粉末の充填に要する時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0070】
また、第1の給粉部4を構成する第1の給粉部材43と、第2の給粉部7を構成する第2の給粉部材73とが互いに独立して移動自在とされているので、第1の金属粉末を押圧部材90の押圧型96により押圧する場合に、押圧部材90による押圧動作に並行して第1の給粉部材43が充填部から離間することが可能とされ、その結果、第1の給粉部材43が効率的に移動することができる。
また、給粉装置3全体を小さくすることができるので、金型交換時における給粉装置3の取扱い並びに交換作業を容易に行うことができる。
【0071】
また、上記実施形態に係る粉末成形装置1によれば、第1の金属粉末を充填した後、第2の金属粉末を充填する前に、押圧部材90の押圧型96により充填部21Aに充填された第1の金属粉末が押圧されるので、第1の金属粉末の上面が平坦にされるとともに上面近傍の密度が向上し、第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界が明確になることにより第1の金属粉末と第2の金属粉末の混合が抑制されて2層粉末成形品Wの第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界近傍の寸法精度が向上し、その結果、2層粉末成形品Wの品質を向上させるとともに材料歩留まりを向上させることができる。
【0072】
また、第1の金属粉末を押圧する押圧部材90の押圧型96を第2の給粉部材73の前進側に設けることにより、押圧型96を第2の給粉部材73の動作により充填部21Aに移動させるとともに第2の給粉部材73により第2の金属粉末を充填する前に第1の金属粉末を容易に押圧することができる。
【0073】
なお、上記実施の形態においては、第1の給粉部材43が原点位置からダイ21の充填部21Aに移動する場合に回動するとともに第2の給粉部材73が直線移動する場合について説明したが、第1の給粉部材43が回動動作に代えて充填部21Aに向って直線移動するとともに第1の給粉装置本体ベース40に配置されることで第2の給粉部材73の反対側に向って後退自在とされ、かつ第2の給粉部材73が直線移動に代えて第1の給粉部材43の移動軌跡と交差する回動軌跡を描いて街道移動する第2の給粉部材73が第2の金属粉末を充填する前に一旦停止して押圧型96が充填部21Aに充填された第1の金属粉末を押圧し、その後、第2の給粉部材73が第2の金属粉末を充填する構成としてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態においては、第1の給粉部材43が原点位置からダイ21の充填部21Aに移動する場合に回動する場合について説明したが、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73の双方の移動軌跡が充填部21Aにおいて交差するようにそれぞれの原点位置からダイ21の充填部21Aに移動するように構成してもよい。
【0075】
また、上記実施の形態においては、下金型22がコアロッド23と下パンチ24により構成されるとともにダイ21とコアロッド23とが上昇下降して形状が円環状の2層粉末成形品Wを成形する場合について説明したが、下金型22の構成、2層粉末成形品Wの形状についてはこの発明の趣旨に沿って任意に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の給粉部の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の給粉部の作動を示す図であり、(a)は第1の給粉部の回動方向の作動を、(b)は直動方向の作動を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の給粉部の構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の回動機構の側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の押圧部材が充填部に位置する場合の第2の給粉部及び押圧部材を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第2の給粉部が充填部に位置する場合の第2の給粉部及び押圧部材を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第2の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第3の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第4の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 粉末成形装置
3 給粉装置
4 第1の給粉部
5 回動機構
7 第2の給粉部
21 ダイ
21A 充填部
22 下金型
23 コアロッド
24 下パンチ
41 第1の粉末供給路
43 第1の給粉部材
71 第2の粉末供給路
73 第2の給粉部材
90 押圧部材
【技術分野】
【0001】
この発明は、粉末冶金における金型の充填部に2種類の金属粉末が2層に充填して成形される2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、2層粉末成形品を製造する場合、充填部が形成されたダイと、充填部に向けて進退可能に支持された上下パンチと、第1の金属粉末を充填する第1の給粉部材と第2の金属粉末を充填する第2の給粉部材とを有する粉末成形装置が用いられ、充填部に2種類の金属粉末が2層に充填された状態で圧粉、成形されている。このような粉末成形装置では、隣接するとともに対向して配置された二つの給粉部材のそれぞれに異なる金属粉末が収納され、各給粉部材が充填部に対して交互に移動して2種類の金属粉末を充填部に2層に充填した後に上下パンチで圧縮する粉末成形装置が開示されている(特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−246463号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このように二つの給粉部材が対向して配置された粉末成形装置において成形された2層粉末成形品を粉末成形装置の外方に取出す場合、例えば、第2の給粉部材に設けられた排出シリンダによって2層粉末成形品を第2の給粉部材の経路外に排出し、経路外に排出された2層粉末成形品をさらに粉末成形装置の製品シュート近くまで移動させるために、第2の給粉部材が充填部を乗り越えて2層粉末成形品を移動させる必要がある。
【0004】
したがって、第1の給粉部材が充填部を乗り越えて反対側に移動するという無駄な動作が必要とされるうえに移動距離が長くなるために大きなタイムロスが生じ、粉末成形のサイクルタイム全体を長くして生産性を低下させる原因になっている。
また、上記のような粉末成形装置において、第1の金属粉末を充填した後に第1の金属粉末を押圧部材が押圧してから第2の金属粉末を充填するような場合には、第1の給粉部材が充填部から離間した後に給粉装置が一旦停止し、再度給粉装置が移動して第2の給粉部材が充填部で停止するといった複雑な動作が必要となり、その結果、さらに生産性を低下させることとなる。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、粉末成形装置において充填部に2種類の金属粉末を2層に充填して2層粉末成形品を成形する場合に、第1の給粉部材と第2の給粉部材が互いに干渉することなく充填部に効率的に金属粉末を充填し、ひいては、第1の金属粉末を充填部に充填した後に第1の金属粉末を押圧する場合に、金属粉末の充填において発生するタイムロスを最小限にすることができる粉末成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような課題を解決して、前記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチとを備えた粉末成形装置による2層粉末成形品の成形方法であって、第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動して前記充填部の上方に到達したときに第1の金属粉末を充填部に充填し、前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされるとともに前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材の前記充填部における前進移動軌跡と前記充填部において交差する方向に前進移動する第2の給粉部材が前記充填部に移動して充填部に第2の金属粉末を充填し、前記上パンチが前記ダイに対して相対移動して充填部内の前記金属粉末を圧粉して2層粉末成形品の成形し、前記2層粉末成形品を第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出することを特徴とする。
【0007】
また、請求項5に記載の発明は、金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチと、第1の金属粉末を前記充填部に充填する第1の給粉部材と、前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされ第2の金属粉末を前記充填部に充填する第2の給粉部材とを備えた粉末成形装置であって、前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前記充填部における前進移動軌跡と前記第2の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差するとともに、成形された2層粉末成形品を前記第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出する排出手段を備えていることを特徴とする。
【0008】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、第1の金属粉末を第1の給粉部材により充填部に充填するとともに第2の金属粉末を第2の給粉部材により充填部に充填し、成形された2層粉末成形品を第1の給粉部材の動作によりダイの外方に排出する場合に、第1の給粉部材と第2の給粉部材のいずれもが充填部を乗り越える必要がない構成とすることができるので、給粉装置全体を小さくすることができる。
また、第1の給粉部材と第2の給粉部材のいずれもが充填部を乗り越える必要がないために、それぞれの給粉部材の移動距離を短縮することが可能であるとともに金属粉末充填時のタイムロスを縮小して金属粉末の充填に要する時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0009】
また、第1の給粉部材と第2の給粉部材とが独立して移動自在とされているので、第1の金属粉末を押圧部材により押圧する動作がある場合に、押圧部材による押圧動作に並行して第1の給粉部材が充填部から離間することが可能であり、第1の給粉部材が効率的な動作をすることができる。
また、給粉装置全体を小さくすることができるので、金型交換時における給粉装置の取扱い並びに交換作業を容易に行うことができる。
【0010】
なお、この明細書において、第1の給粉部材については、第1の給粉部材が充填部に向かう方向の移動を前進移動とし、充填部から離間する方向の移動を後退移動という。
また、第2の給粉部材については、第2の給粉部材が充填部に向かう方向の移動を前進移動とし、充填部から離間する方向の移動を後退移動という。
また、第1の給粉部材が充填部に前進移動するときの前進移動軌跡と第2の給粉部材が充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差するするとは、第1の給粉部材の前進移動軌跡と第2の給粉部材の前進移動軌跡とが、充填部の軸線方向から見た場合に充填部において交点を形成することを意味しており、直線同士に限られず円弧と直線による交点であってもよい。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の2層粉末成形品の成形方法であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動するときの前進移動軌跡が円弧状とされることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6記載の発明は、請求項5記載の粉末成形装置であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動する際に、前記第1の給粉部材の前進移動軌跡が円弧状となるための回動機構を備えていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、第1の給粉部材の前進移動軌跡が円弧状とされるために、第1の給粉部材の原点位置と充填部とを結ぶ円弧の原点位置と充填部における法線の交点を中心に回動、前進移動させる構成とすることが可能となり、直線移動する駆動源に比較して小さい回動機構を用いることができる。その結果、給粉装置及び粉末成形装置を小さくすることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の2層粉末成形品の成形方法であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7記載の発明は、請求項5又は請求項6に記載の粉末成形装置であって、前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧する押圧部材を備えていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8記載の発明は、請求項7に記載の粉末成形装置であって、前記押圧部材は、前記第2の給粉部材の前進側に設けられていることを特徴とする。
【0017】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、前記第1の給粉部材が充填部に第1の金属粉末を充填した後、第2の給粉部材が充填部に第2の金属粉末を充填する前に、充填部に充填された第1の金属粉末が押圧されるので、第1の金属粉末の上面が平坦にされるとともに第1の金属粉末の上面近傍の密度が向上して、第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界が明確になることにより第1の金属粉末と第2の金属粉末の混合が抑制されて2層粉末成形品の第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界の寸法精度が向上し、その結果、2層粉末成形品の品質を向上させるとともに材料歩留まりを向上させることができる。
また、第1の金属粉末を押圧する押圧部材を第2の給粉部材の前進側に設けることにより第2の給粉部材の動作により押圧部材を充填部に移動させるとともに第2の金属粉末を充填する前に容易に第1の金属粉末を押圧することができる。
【0018】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の2層粉末成形品の成形方法であって、前記第1の給粉部材は、前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前進する方向と反対方向に後退して前記充填部から離間することを特徴とする。
【0019】
また、請求項9記載の発明は、請求項5から請求項8のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、前記充填部に第1の金属粉末を充填した後に、前記第2の給粉部材が前進移動する方向と反対方向に前記第1の給粉部材を後退移動させるための移動手段を有していることを特徴とする。
【0020】
この発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、第1の給粉部材が、2層粉末成形品を排出した後に、排出した2層粉末成形品と干渉することなく後退移動して、ダイから離間することができる。
【0021】
請求項10記載の発明は、請求項5から請求項9のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、前記第1の給粉部材に第1の金属粉末を供給する第1の粉末供給路と前記第2の給粉部材に第2の金属粉末を供給する第2の粉末供給路の少なくとも一方は、ホッパーと接続される金属粉末用管路がワンタッチ接続されていることを特徴とする。
【0022】
この発明に係る粉末成形装置によれば、第1の粉末供給路、第2の粉末供給路の少なくとも一方が粉末供給管路とワンタッチ接続されているので粉末成形装置を容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る2層粉末成形品の成形方法及び粉末成形装置によれば、充填部の軸線方向から見た場合に第1の給粉部材及び第2の給粉部材が互いに交差する構成とされ、第1の給粉部材及び第2の給粉部材のいずれもが金属粉末の充填に際して充填部を乗り越える必要がないため、ダイに金属粉末を充填する時間及び粉末成形のサイクルタイムが短縮され、粉末成形の生産性を向上させることができる。
また、第1の金属粉末が押圧されることにより第1の金属粉末の上面が平坦になるとともに上面近傍の密度が向上して第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界が明確になるため、第1の金属粉末と第2の金属粉末との境界面における寸法精度を向上させることができ、その結果、粉末成形品の品質を向上させるとともに材料歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の第1の実施形態について説明する。
図1から図7は、本発明の一実施形態を示す図であり、符号1は粉末成形装置を、符号2は粉末成形金型を、符号3は給粉装置を示している。
図1は粉末成形装置1の平面図を、図2、図3、図4、図5はそれぞれ給粉装置3を構成する第1の給粉部4の平面図、側面図、構成の詳細図、作動を示す図であり、図6、図7は、(a)が給粉装置3を構成する第2の給粉部7の平面図を、(b)が第2の給粉部7の側面図を示している。
【0025】
粉末成形装置1は、粉末成形金型2と、給粉装置3とを備えており、給粉装置3は第1の給粉部4と第2の給粉部7とを備えている。
粉末成形金型2は、金属粉末が充填される充填部21Aが形成されたダイ21と、ダイ21の下方に配置されダイ21に挿入される下金型22と、ダイの上方に配置され充填部21Aの軸線方向にダイ21に対して相対移動自在とされる上パンチ(図示せず)とを備えており、ダイ21の周囲にはダイ21の上面と面一とされるテーブルプレート21Bが設けられている。
【0026】
この実施形態において、下金型22は、円柱状に形成されたコアロッド23と、コアロッド23の外周に形成された円環状の下パンチ24とから構成されており、下パンチ24は粉末成形プレスに対して固定されるとともにダイ21とともに充填部21Aを画成している。また、ダイ21とコアロッド23とは互いに同期して下パンチ24に対して上下方向に相対移動自在とされている。
【0027】
また、粉末成形金型2によって成形される2層粉末成形品Wは、組成が異なる2種類の金属粉末が粉末成形品Wの軸線方向に2層に形成された所定の厚みを有する円環状の形態をした2層粉末成形品とされており、粉末成形品Wの外周面及び内周面はダイ21の内周面とコアロッド23の外周面によって形成され、厚み方向の形状、寸法は下パンチ24の上面と上パンチの下面により形成されるようになっている。
【0028】
かかる構成の2層粉末成形品Wを成形するために、ダイ21は、第1の金属粉末が充填された後に、第2の金属粉末が充填される空間を形成するために、テーブルプレート21B、コアロッド23とともに上昇するようになっている。
【0029】
第1の給粉部4は、第1の給粉装置本体ベース40と、第1の金属粉末を一時的に収納する第1の粉末供給路41と、第1の粉末供給路41から供給された第1の金属粉末を充填部21Aまで運搬する第1の給粉部材43と、第1の給粉部材43を原点位置からダイ21の充填部21Aに回動移動させる回動機構5と、第1の粉末供給路41に形成された下方開口部43Bを閉塞自在とする第1のシャッター45と、第1の給粉部材43を直線的に移動自在とする直動シリンダ(移動手段)47とを備えている。
第1の給粉装置本体ベース40は、第1の給粉部材43と、回動機構5のうち回動される部材が載置されるためのものであり、回動機構5の駆動軸51廻りに回動自在とされている。
【0030】
第1の粉末供給路41は、粉末成形プレスに対して相対的に固定されており、粉末成形プレスの上部に配置されたホッパーからホース等の金属粉末用管路を介して供給された第1の金属粉末を、第1の給粉部材43に供給するまでの間一時的に収納するためのものであり、粉末収納部41Aと、下方開口部41Bと、上方開口部41Cとを備えており、上方開口部41Cは、端部にスイベルコネクタ等が設けられたホース等の金属粉末用管路によりワンタッチ接続されていて、金属粉末用管路を介して供給された第1の金属粉末は粉末収納部41Aに収納された後、下方開口部41Bを通じて、第1の給粉部材43に供給されるようになっている。
【0031】
第1の給粉部材43は、上方開口部43Aと、下方開口部43Bを備えており、第1の粉末供給路41とダイ21との間を移動自在とされるとともに、上方開口部43Aを通じて第1の粉末供給路41から供給された第1の金属粉末をダイ21まで運搬して下方開口部43Bを通じて充填部21Aに落下させ充填部21Aに充填するようになっている。
また、第1の給粉部材43は、成形品排出部材44を備えており、第1の給粉部材43が回動機構5によりダイ21に移動する移動動作により成形品排出部材44がダイ21に向って移動し、成形品排出部材44が前のサイクルで成形された粉末成形品Wをダイ21の外方に押出して排出するようになっている。
【0032】
成形品排出部材44は矩形に形成されるとともにテーブルプレート21B上を摺動可能に設けられており、後述する回動機構5の回動により、成形品排出部材44の排出部44Aが2層粉末成形品Wを第1の給粉部材43から見てダイ21の反対側に排出可能とされている。
【0033】
回動機構5は、図4に示すように、回転駆動源50と、回転駆動源50の回転を出力する駆動歯車50Aと、駆動軸51と、歯車51A、歯車51Bと、伝達軸52と、歯車52Aと、駆動側スプロケット52Bと、アイドルスプロケット53と、被駆動側スプロケット55と、チェーン57とを備えており、これらは第1の給粉装置本体ベース40に配置されていてパンタグラフ効果によって、成形品排出部材44を構成する矩形のそれぞれの辺が成形品排出部材44の位置に関わらず所定の方向を向くようになっている。その結果、成形品排出部材44の排出部44Aを構成している辺は平行移動されるので、回動機構5により移動される回動位置に関わりなく、その辺が向く方向が維持されるようになっている。
【0034】
駆動歯車50Aは歯車51Aと係合されるとともに、歯車51Aと歯車51Bとは駆動軸51を介して連結され、歯車51Bは歯車52Aと係合するとともに歯車52Aは伝達軸52に連結されており、その結果、駆動歯車50Aの回転は、歯車51A、駆動軸51、歯車51B、歯車52Aの順に伝達されるようになっている。また、伝達軸52には、歯車52Aが取付けられた側と反対の端部側に、伝達軸52と同軸とされた駆動側スプロケット52Bが設けられており、歯車52Aが回転されることにより駆動側スプロケット52Bが回転自在とされている。
【0035】
駆動側スプロケット52Bは、第1の給粉部材43に形成されたスプロケット55とチェーン57により接続され、駆動側スプロケット52Bの回転がスプロケット55に伝達可能とされている。また、チェーン57は、駆動側スプロケット52Bとスプロケット55とを接続する2つの接続部分がともに略「く」の字形に形成されており、その「く」の字形を保持するためのアイドルスプロケット53と図示しないテンション調整用部材が設けられている。
【0036】
上記構成により、歯車51Aから出力された回転駆動源50の回転が駆動側スプロケット52Bを回転させチェーン57を介してスプロケット55に伝達されると、図5(a)に示すように、第1の給粉装置本体ベース40が駆動軸51を中心として矢印A方向に回動自在とされ、その結果、第1の給粉部材43が駆動軸51を中心として前進又は後退移動して第1の給粉部材43の原点位置43Sと充填部21A(又は、原点位置43Sと充填部21Aに対応する位置、例えば位置43Uと位置43T)とを結ぶ円弧状の移動軌跡を描いて前進又は後退移動するようになっている。
【0037】
第1のシャッター45は、第1のシャッター開口部45Aが形成された平板状の形態をしており、第1の粉末供給路41の下方開口部41Bを遮断して第1の金属粉末が落下しないようにするものであり、第1の給粉部材43が下方開口部41Bの下方に位置するときには、下方開口部41Bと上方開口部43Aとの間に位置するようになっている。
また、第1のシャッター45は、第1のシャッター駆動部46により第1のシャッター開口部45Aが第1の粉末供給路41の下方開口部41Bと第1の給粉部材43の上方開口部43Aの間に位置するように移動自在とされ、その結果、第1の金属粉末が第1の粉末供給路41の粉末収納部41Aから第1の給粉部材43に供給されるようになっている。
【0038】
直動シリンダ47は、シリンダロッド47Aの先端が第1の給粉装置本体ベース40に連結されて、図5(b)に示すように、給粉装置本体ベース40が矢印B方向に前進後退方向に駆動自在とされており、シリンダロッド47Aが前進駆動されることにより第1の給粉装置本体ベース40は、第1の給粉部材43が原点位置43S(又は充填部21A)に位置される前進端40Tに前進移動し、シリンダロッド47Aが後退駆動されることにより第1の給粉装置本体ベース40は後退端40Rに後退移動するようになっている。
【0039】
第2の給粉部7は、第2の粉末供給路71と、第2の給粉部材73と、第2のシャッター75と、第2の給粉装置用直動サーボモータ76と、水平方向ガイド77と、上下方向ガイド79とを備えており、第2の粉末供給路71、第2の給粉部材73、第2のシャッター75、第2の給粉装置用直動サーボモータ76、水平方向ガイド77、上下方向ガイド79は、第2の給粉装置本体ベース70に配置されている。
【0040】
第2の給粉装置本体ベース70は、左右で一対とされるガイド部材70Aと70Bとが連結部材70Aにより連結されることにより構成されており、ダイ21側に位置する第2の給粉装置本体ベース70の一方側はテーブルプレート21Bに載置されており、ガイド部材70Aと70Bは水平方向ガイド77に配置された複数のガイドローラ77Aによって押圧、支持されており、その結果、第2の給粉装置本体ベース70のテーブルプレート21Bに対する水平を維持しつつ前後方向に移動可能とされている。
【0041】
第2の粉末供給路71は、テーブルプレート21Bに対して相対的に固定されており、粉末成形プレスの上部に配置されたホッパーからホース等の金属粉末用管路を介して供給された第2の金属粉末を第2の給粉部材73に供給するまでの間一時的に収納するためのものであり、粉末収納部71Aと、下方開口部71Bと、上方開口部71Cとを備えており、上方開口部71Cは、端部にスイベルコネクタ等が設けられたホース等の金属粉末用管路によりワンタッチ接続されていて、金属粉末用管路を介して供給された第2の金属粉末は粉末収納部71Aに収納された後、下方開口部71Bを通じて、第2の給粉部材73に供給されるようになっている。
【0042】
第2の給粉部材73は、粉末収納部73Aと、下方開口部73Bと、リンク支持部73Cとを備えており、第2の粉末供給路71とダイ21との間を移動自在とされるとともに、粉末収納部73Aの上方開口部を通じて第2の粉末供給路71から供給された第2の金属粉末をダイ21まで運搬して粉末収納部73Aの下方開口部から充填部21Aに落下させ充填部21Aに充填するようになっている。
【0043】
第2のシャッター75は、粉末収納部73Aの上方開口部と一致させて固定される第2のシャッター開口部75Aが形成されるとともに、第2の粉末供給路71の下方開口部71Bの面と摺動可能とされた平板状の形態をしており、第2の粉末供給路71の下方開口部71Bを閉塞して第2の金属粉末が落下しないようにするものであり、粉末収納部73Aが第2の給粉部材73の下方開口部73Bと一致することで第2のシャッター開口部75Aと下方開口部73Bとが一致して、第2の給粉部材73の下方開口部73Bから粉末収納部73Aに第2の金属粉末が供給されるようになっている。
【0044】
また、第2のシャッター75は、第2の給粉装置本体ベース70、第2の給粉部材73とともに第2の給粉装置用直動サーボモータ76により移動自在とされており、その結果、第2の金属粉末が第2の粉末供給路71の粉末収納部71Aから第2の給粉部材73に供給されるとともに充填部21Aまで運搬可能とされている。
【0045】
第2の給粉装置用直動サーボモータ76は、直線動を出力する駆動部材76Aが連結部材76Bを介して第2の給粉装置本体ベース70に連結されており、前進後退方向に駆動自在とされた駆動部材76Aが前進後退駆動されることにより、図6(a)、(b)、図7(a)、(b)に示すように、第2の給粉装置本体ベース70が矢印C方向に前進後退移動し、第2の給粉部材73が充填部21Aと第2の給粉部材73の原点位置との間を移動するようになっている。
【0046】
水平方向ガイド77は、テーブルプレート21Bにガイド部材70Aと70Bが延在する方向に沿って形成されたガイド部と、テーブルプレート21Bのガイド部に沿って配置された複数のガイドローラ77Aを備えており、ガイド部材70Aと70Bをガイドローラ77Aによりテーブルプレート21Bのガイド部に押圧して第2の給粉装置本体ベース70の浮き上りを防止して第2の給粉装置本体ベース70の水平を維持するものであり、ダイ21の上昇下降とともに上昇下降し、第2の給粉装置本体ベース70の水平を維持しつつ第2の給粉装置本体ベース70を前後方向に移動することができるようになっている。
【0047】
上下方向ガイド79は、連結部材76Bに立設されたガイドロッド79Aと、ガイドロッド79Aの外周面に形成されガイドロッド79Aに対して摺動自在とされたガイドスリーブ79Bと、ガイドロッド79Aを支持するガイド支持部材79Cとを備えており、ガイドスリーブ79Bは第2の給粉装置本体ベース70の一方側と反対側に位置する他方側に設けられており、第2の給粉装置本体ベース70がテーブルプレート21Bとともに上昇又は下降しても第2の給粉装置用直動サーボモータ76の駆動が第2の給粉装置本体ベース70に伝達可能とされている。
【0048】
押圧部材90は、第2の給粉装置本体ベース70に配置されており、押圧シリンダ91と、連結部材92と、連結ロッド93と、一方端側接続部94Aが連結ロッド93と回動自在に接続された回動リンク94と、回動リンク94の他方端側接続部94Bに接続された押圧型96とを備えている。
【0049】
押圧シリンダ91は、進退自在とされるシリンダロッド91Aを介して連結部材92に連結され、連結部材92はその両側にて連結ロッド93の一方端側接続部93Aと回動自在に接続されるとともに連結ロッド93の他方端側93Bは回動リンク94の一方端側接続部に回動自在に接続されており、図6(a)、(b)に示すように、押圧シリンダ91が駆動されてシリンダロッド91Aが矢印D方向に進退して連結ロッド93が矢印E方向に移動されることにより押圧型96が矢印F方向に移動して充填部21Aに対して下降移動し又は上昇移動して充填部21A内の第1の金属粉末を押圧できるようになっている。
【0050】
回動リンク94は、略「く」の字型に形成された形状とされ略「く」の字型の屈曲部が第2の給粉部材73のリンク支持部73Cに設けられた支持軸94Cにより回動自在に支持されており、屈曲部を回動中心として回動自在とされている。回動リンク94の一方端側接続部94Aは、連結ロッド93の他方端側93Bに回動自在に接続され、回動リンク94の他方端側接続部94Bは、押圧型96に回動自在に接続されており、押圧シリンダ91から出力された矢印D方向の押圧力を矢印Fで示される押圧型96の上下方向の移動に変換出来るようになっている。
【0051】
また、連結部材70Aには、軸部先端が連結部材92側に向けられた調整ボルト97が螺着されており、調整ボルト97を調整して連結部材92の前進位置を調整することにより押圧型96の下降端位置が調整可能とされている。
また、押圧型96は、円環状に形成された押圧型形状部96Aを備えており、押圧型形状部96Aがダイ21の充填部21Aに挿入されることにより、充填部21A内の第1の金属粉末を押圧可能とされている。
【0052】
次に、粉末成形装置1の作用について説明する。
〔第1の行程〕
まず、図8に示すように、第1の給粉部材43を第1の粉末供給路41の下方に位置させるとともに、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aを第2の粉末供給路71の下方に位置させる。
このとき、第1の粉末供給路41の下方開口部41Bと第1の給粉部材43の上方開口部43Aとの間を遮断していた第1のシャッター45は、第1のシャッター駆動部46により移動されて、第1の粉末供給路41の下方開口部41Bと第1の給粉部材43の上方開口部43Aが第1のシャッター開口部45Aにより連通されて、第1の金属粉末が第1の粉末供給路41の粉末収納部41Aから第1の給粉部材43に供給される。
【0053】
また、第2の粉末供給路71の下方開口部71Bを閉塞する第2のシャッター75は、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aが移動して下方開口部71Bに移動することにより第2のシャッター開口部75Aが下方開口部71Bと一致するとともに第2の粉末供給路71の下方開口部71Bと第2の給粉部材73の粉末収納部73Aが接続され、第2の粉末供給路71の粉末収納部71Aから第2の金属粉末が第2の給粉部材73内に供給される。
【0054】
次いで、回転駆動源50が回転駆動して駆動歯車50Aが回転し、駆動歯車50Aの回転が、歯車51A、駆動軸51、歯車51Bを介して歯車52Aに伝達され、歯車52Aが回転されることによって伝達軸52及び駆動側スプロケット52Bが回転する。駆動側スプロケット52Bの回転は、チェーン57に伝達されて第1の給粉部材43に形成されたスプロケット55に伝達される。
【0055】
〔第2の行程〕
回転駆動源50の回転がスプロケット55に伝達されると、図9に示すように、第1の給粉装置本体ベース40が駆動軸51を中心として回動され、第1の給粉部材43が駆動軸51を中心とした円弧状の前進移動軌跡を描きながら原点位置43Sから充填部21Aに向ってテーブルプレート21Bの上面を摺動して前進移動する。
【0056】
第1の給粉部材43が前進移動することにより、成形品排出部材44が前回のサイクルで成形された粉末成形品Wをダイ21の外方に押出して排出する。ダイ21の外方に排出された粉末成形品Wは、順次排出される粉末成形品Wにより押されて搬出シュート101へと移動、搬出される。
第1の給粉部材43が充填部21Aに到達したら第1の給粉部材43の下方開口部43Bから第1の金属粉末が充填部21A内に落下して充填される。
第1の金属粉末が充填部21A内に落下して充填されると、ダイ21は第2の金属粉末が充填される空間を形成するために、テーブルプレート21B、コアロッド23とともに上昇する。
このとき、第2の給粉装置本体ベース70は、水平方向ガイド77とともに上昇する。
【0057】
〔第3の行程〕
次に、第2の給粉装置用直動サーボモータ76が駆動されて、図10に示すように、駆動部材76Aが連結部材76Bを移動させて、第2の給粉部材73とともに押圧部材90が充填部21Aに向ってテーブルプレート21Bの上面を摺動して前進移動する。
第2の給粉部材73の前進移動にあわせて第1の給粉部材43は第2の給粉部材73の前進移動と反対方向に後退端40Rまで後退移動してダイ21から離間する。
【0058】
第2の給粉部材73の前進移動に際して、押圧部材90の押圧型96がダイ21に接近して充填部21Aに到達すると、第2の給粉部材73とともに押圧型96が停止する。
押圧型96が充填部21Aで停止したら、押圧シリンダ91のシリンダロッド91Aが前進し、シリンダロッド91Aの変位が連結部材92、連結ロッド93を介して回動リンク94を図10(b)における反時計回りに回動する。
【0059】
その結果、押圧型96が充填部21A方向に移動されるとともに充填部21A内の第1の金属粉末を押圧する。
第1の金属粉末が押圧されることによって、第1の金属粉末の上面は圧粉されて平坦化されるとともに密度が高くなり、第2の金属粉末との境界における第1の金属粉末と第2の金属粉末との混合が抑制されるようになる。
【0060】
押圧型96による充填部21A内の第1の金属粉末の押圧が完了すると、押圧シリンダ91のシリンダロッド91Aが後退し、シリンダロッド91Aの変位が連結部材92、連結ロッド93を介して回動リンク94が図10(b)における時計回りに回動されるとともに押圧型96が充填部21Aの上方に移動する。
【0061】
押圧型96が充填部21Aからダイ21の外方に移動したら、第2の給粉装置用直動サーボモータ76が再び駆動されて駆動部材76Aが連結部材76Bを移動させて、第2の給粉部材73を充填部21Aの方向に前進移動して、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aが充填部21Aに到達したところで第2の給粉装置用直動サーボモータ76が停止され、第2の給粉部材73の粉末収納部73Aから充填部21Aに第2の金属粉末が落下して充填される。
【0062】
第2の給粉部材73から充填部21Aに第2の金属粉末が充填されると、第2の給粉装置用直動サーボモータ76が前進のときとは反対方向に駆動されて駆動部材76Aが連結部材76Bを移動させて、第2の給粉部材73を、第2の給粉部材73の原点位置に相当する第2の粉末供給路71の位置まで後退移動させる。
【0063】
その後、図示しない上パンチが下降して、充填部21A内の金属粉末を圧粉、成形する。
充填部21A内の金属粉末が成形されると、ダイ21及びコアロッド23が下降して、2層粉末成形品Wがダイ21の上面に押し出される。
【0064】
上記の押圧型96が充填部21Aに接近してから第2の給粉部材73が後退移動して第2の粉末供給路71の位置に到達するまでの間における第1の給粉部4の動作について、以下に説明する。
第2の給粉部材73と押圧部材90が充填部21Aに向って前進移動するのにあわせて第1の給粉部4の直動シリンダ47が駆動され、図10に示すように、第1の給粉部材43が配置された第1の給粉装置本体ベース40が第2の給粉部材73の前進移動と同じ方向に後退移動する。
この直動シリンダ47による第1の給粉装置本体ベース40の後退移動は、第2の給粉部材73の前進移動と干渉しないタイミング及び空間を確保しつつ行われる。
【0065】
直動シリンダ47による第1の給粉装置本体ベース40の後退移動が終了すると、回転駆動源50及び駆動歯車50Aが第1の給粉部材43の前進移動とは反対方向に回転駆動され、駆動歯車50Aの回転が、歯車51A、駆動軸51、歯車51Bを介して歯車52Aに伝達され、歯車52Aが回転されることによって伝達軸52及び駆動側スプロケット52Bが後退方向に回転する。
【0066】
〔第4の行程〕
駆動側スプロケット52Bの回転がチェーン57を介して第1の給粉部材43に形成されたスプロケット55に伝達されて、図11に示すように、第1の給粉装置本体ベース40が駆動軸51を中心として図11(b)における反時計回りに回動され、第1の給粉部材43は、駆動軸51を中心とした円弧状の後退移動軌跡を描きながら第1の給粉装置本体ベース40の後退端40Rにおける充填部21A側の位置43Tから後退端40Rにおける原点位置43S側の位置43Uに後退移動する。
【0067】
第1の給粉装置本体ベース40の後退端40Rにおいて第1の給粉部材43が位置43Uまで後退移動したら、1の給粉装置本体ベース40は、直動シリンダ47によって前進させられて第1の給粉部材43は原点位置43Sまで前進移動する。
【0068】
上記実施形態に係る粉末成形装置1によれば、充填部21Aに第1の金属粉末と第2の金属粉末を2層に充填して2層粉末成形品Wを成形するとともに第1の給粉部材43の動作によって、成形された2層粉末成形品Wダイ21の外方に排出する場合に、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73のいずれも充填部21Aを乗り越える必要がないため、給粉装置3全体を小さくすることができる。
【0069】
また、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73のいずれもが充填部21Aを乗り越える必要がないために、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73それぞれの移動距離を短縮することが可能とされるので、金属粉末充填時のタイムロスを縮小して金属粉末の充填に要する時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0070】
また、第1の給粉部4を構成する第1の給粉部材43と、第2の給粉部7を構成する第2の給粉部材73とが互いに独立して移動自在とされているので、第1の金属粉末を押圧部材90の押圧型96により押圧する場合に、押圧部材90による押圧動作に並行して第1の給粉部材43が充填部から離間することが可能とされ、その結果、第1の給粉部材43が効率的に移動することができる。
また、給粉装置3全体を小さくすることができるので、金型交換時における給粉装置3の取扱い並びに交換作業を容易に行うことができる。
【0071】
また、上記実施形態に係る粉末成形装置1によれば、第1の金属粉末を充填した後、第2の金属粉末を充填する前に、押圧部材90の押圧型96により充填部21Aに充填された第1の金属粉末が押圧されるので、第1の金属粉末の上面が平坦にされるとともに上面近傍の密度が向上し、第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界が明確になることにより第1の金属粉末と第2の金属粉末の混合が抑制されて2層粉末成形品Wの第1の金属粉末と第2の金属粉末の境界近傍の寸法精度が向上し、その結果、2層粉末成形品Wの品質を向上させるとともに材料歩留まりを向上させることができる。
【0072】
また、第1の金属粉末を押圧する押圧部材90の押圧型96を第2の給粉部材73の前進側に設けることにより、押圧型96を第2の給粉部材73の動作により充填部21Aに移動させるとともに第2の給粉部材73により第2の金属粉末を充填する前に第1の金属粉末を容易に押圧することができる。
【0073】
なお、上記実施の形態においては、第1の給粉部材43が原点位置からダイ21の充填部21Aに移動する場合に回動するとともに第2の給粉部材73が直線移動する場合について説明したが、第1の給粉部材43が回動動作に代えて充填部21Aに向って直線移動するとともに第1の給粉装置本体ベース40に配置されることで第2の給粉部材73の反対側に向って後退自在とされ、かつ第2の給粉部材73が直線移動に代えて第1の給粉部材43の移動軌跡と交差する回動軌跡を描いて街道移動する第2の給粉部材73が第2の金属粉末を充填する前に一旦停止して押圧型96が充填部21Aに充填された第1の金属粉末を押圧し、その後、第2の給粉部材73が第2の金属粉末を充填する構成としてもよい。
【0074】
また、上記実施の形態においては、第1の給粉部材43が原点位置からダイ21の充填部21Aに移動する場合に回動する場合について説明したが、第1の給粉部材43と第2の給粉部材73の双方の移動軌跡が充填部21Aにおいて交差するようにそれぞれの原点位置からダイ21の充填部21Aに移動するように構成してもよい。
【0075】
また、上記実施の形態においては、下金型22がコアロッド23と下パンチ24により構成されるとともにダイ21とコアロッド23とが上昇下降して形状が円環状の2層粉末成形品Wを成形する場合について説明したが、下金型22の構成、2層粉末成形品Wの形状についてはこの発明の趣旨に沿って任意に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の給粉部の平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の給粉部の作動を示す図であり、(a)は第1の給粉部の回動方向の作動を、(b)は直動方向の作動を示す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の給粉部の構成を示す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の回動機構の側面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の押圧部材が充填部に位置する場合の第2の給粉部及び押圧部材を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第2の給粉部が充填部に位置する場合の第2の給粉部及び押圧部材を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第1の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第2の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第3の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る粉末成形装置の第4の工程を示す図であり、(a)は平面図を、(b)は側面図を示す図である。
【符号の説明】
【0077】
1 粉末成形装置
3 給粉装置
4 第1の給粉部
5 回動機構
7 第2の給粉部
21 ダイ
21A 充填部
22 下金型
23 コアロッド
24 下パンチ
41 第1の粉末供給路
43 第1の給粉部材
71 第2の粉末供給路
73 第2の給粉部材
90 押圧部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチとを備えた粉末成形装置による2層粉末成形品の成形方法であって、
第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動して前記充填部の上方に到達したときに第1の金属粉末を充填部に充填し、
前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされるとともに前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材の前記充填部における前進移動軌跡と前記充填部において交差する方向に前進移動する第2の給粉部材が前記充填部に移動して充填部に第2の金属粉末を充填し、
前記上パンチが前記ダイに対して相対移動して充填部内の前記金属粉末を圧粉して2層粉末成形品の成形し、
前記2層粉末成形品を第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出することを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項2】
請求項1記載の2層粉末成形品の成形方法であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動するときの前進移動軌跡が円弧状とされることを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の2層粉末成形品の成形方法であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧することを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の2層粉末成形品の成形方法であって、
前記第1の給粉部材は、前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前進する方向と反対方向に後退して前記充填部から離間することを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項5】
金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、
前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、
前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチと、
第1の金属粉末を前記充填部に充填する第1の給粉部材と、
前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされ第2の金属粉末を前記充填部に充填する第2の給粉部材とを備えた粉末成形装置であって、
前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前記充填部における前進移動軌跡と前記第2の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差するとともに、成形された2層粉末成形品を前記第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出する排出手段を備えていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項6】
請求項5記載の粉末成形装置であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動する際に、前記第1の給粉部材の前進移動軌跡が円弧状となるための回動機構を備えていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の粉末成形装置であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧する押圧部材を備えていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の粉末成形装置であって、
前記押圧部材は、前記第2の給粉部材の前進側に設けられていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、
前記充填部に第1の金属粉末を充填した後に、前記第2の給粉部材が前進移動する方向と反対方向に前記第1の給粉部材を後退移動させるための移動手段を有していることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項10】
請求項5から請求項9のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、
前記第1の給粉部材に第1の金属粉末を供給する第1の粉末供給路と前記第2の給粉部材に第2の金属粉末を供給する第2の粉末供給路の少なくとも一方は、ホッパーと接続される金属粉末用管路がワンタッチ接続されていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項1】
金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチとを備えた粉末成形装置による2層粉末成形品の成形方法であって、
第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動して前記充填部の上方に到達したときに第1の金属粉末を充填部に充填し、
前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされるとともに前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材の前記充填部における前進移動軌跡と前記充填部において交差する方向に前進移動する第2の給粉部材が前記充填部に移動して充填部に第2の金属粉末を充填し、
前記上パンチが前記ダイに対して相対移動して充填部内の前記金属粉末を圧粉して2層粉末成形品の成形し、
前記2層粉末成形品を第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出することを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項2】
請求項1記載の2層粉末成形品の成形方法であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動するときの前進移動軌跡が円弧状とされることを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の2層粉末成形品の成形方法であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧することを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の2層粉末成形品の成形方法であって、
前記第1の給粉部材は、前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前進する方向と反対方向に後退して前記充填部から離間することを特徴とする2層粉末成形品の成形方法。
【請求項5】
金属粉末が充填される充填部が形成されたダイと、
前記ダイの上方に配置され前記ダイに対して相対移動自在とされた上パンチと、
前記ダイの下方に配置され前記ダイとともに前記充填部を画成する下パンチと、
第1の金属粉末を前記充填部に充填する第1の給粉部材と、
前記第1の給粉部材と独立して移動自在とされ第2の金属粉末を前記充填部に充填する第2の給粉部材とを備えた粉末成形装置であって、
前記充填部の軸線方向から見た前記第1の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前記充填部における前進移動軌跡と前記第2の給粉部材が前記充填部に前進移動するときの前進移動軌跡とが交差するとともに、成形された2層粉末成形品を前記第1の給粉部材の動作により前記ダイの外方に排出する排出手段を備えていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項6】
請求項5記載の粉末成形装置であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に向って前進移動する際に、前記第1の給粉部材の前進移動軌跡が円弧状となるための回動機構を備えていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の粉末成形装置であって、
前記第1の給粉部材が前記充填部に第1の金属粉末を充填した後、前記第2の給粉部材が前記充填部に第2の金属粉末を充填する前に、前記充填部に充填された前記第1の金属粉末を押圧する押圧部材を備えていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項8】
請求項7に記載の粉末成形装置であって、
前記押圧部材は、前記第2の給粉部材の前進側に設けられていることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項9】
請求項5から請求項8のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、
前記充填部に第1の金属粉末を充填した後に、前記第2の給粉部材が前進移動する方向と反対方向に前記第1の給粉部材を後退移動させるための移動手段を有していることを特徴とする粉末成形装置。
【請求項10】
請求項5から請求項9のいずれかに記載の2層粉末成形品の粉末成形装置であって、
前記第1の給粉部材に第1の金属粉末を供給する第1の粉末供給路と前記第2の給粉部材に第2の金属粉末を供給する第2の粉末供給路の少なくとも一方は、ホッパーと接続される金属粉末用管路がワンタッチ接続されていることを特徴とする粉末成形装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−69387(P2008−69387A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247290(P2006−247290)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)
【Fターム(参考)】
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