説明

2段階急冷洗浄装置

洗浄セクション中の急冷された燃焼排ガスからの正味の水の凝縮を避けるために構成され、運転される、急冷セクションおよび洗浄セクションを含む燃焼排ガス処理のために企図された構成および方法。結果として、洗浄媒体中の活性薬剤を高濃度に維持し、SOおよびNOを非常に低い濃度へと連続的に除去することができる。さらに、洗浄媒体が凝縮物によって希釈されないので、活性剤の損失を実質的に低減することができる。特に好ましいシステムは、燃焼ガス中のSO濃度を5ppm未満に、より一般的には3ppm未満に低減し、一方では水および薬剤の消費を実質的に低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年12月19日付けで出願された、発明者らの同時係属中の出願番号60/752550を有する米国仮出願に対する優先権を主張する。
【0002】
本発明は、燃焼排ガス処理に関し、特に燃焼排ガスの急冷および酸性ガスの除去に関する。
【背景技術】
【0003】
燃焼排ガスからの燃焼排ガスの急冷および酸性ガスの除去(特にSOおよびNOの除去)は、しばしば1段階の急冷反応装置/接触装置において行われ、ここで高温燃焼排ガスが水酸化ナトリウムの水溶液と接触して、これにより温度および燃焼排ガス中の酸性ガス含有量を低減する。かかる燃焼排ガス処理は、SOおよびNO除去に関して概念的に比較的単純であり有効であるが、いくつかの問題点が残されている。特に、苛性アルカリの装荷された水溶液は、一般にこれら水溶液からの水を環境に悪影響を与えることなく下水道に放出されるのを可能にするためには、放出前の処置および/または他の処理段階が必要である。その上、かかる装置からの処理ガス中のSO含有量は、一般的に50ppm未満を達成できない。
【0004】
他の既知の燃焼排ガス処理の構成は、例えば米国特許第4,400,362号において記述されているように、別個の反応が実施される2個のまたは複数の反応装置を使用することもある。ここでは、第1の反応装置が亜硫酸転換の洗浄装置として運転され、活性窒素酸化物(例えば、N)も発生し、活性窒素酸化物は次いで第2段階においてアルカリ金属のアンモニウム塩または水酸化物により、Oの存在下、水中でSOとNOの間の複雑な反応動力学を用いて吸収される。一般に、かかるシステムによって作られる溶媒は下水道に放出したり施設内で再使用したりするのに適しておらず、放出ガスは、一般的に50−100ppmを超えるSO水準を有している。NOおよびSOの吸収剤として水を使用する米国特許第3,920,421号においても、同様の問題に直面している。
【0005】
米国特許第5,607,654号において示されるように、さらなる既知の構成において、医療用廃棄物処理プラントからの焼却炉ガスは、最初に乾燥薬剤と接触し、乾燥固体上で固定化/酸性ガス転換され、次いで乾燥固体はバックハウスまたは電気集塵装置中で除去される。このように処理したガスを、次いで急冷パイプ中で急冷し、その後酸性液体を用いて洗浄して、有毒有機化合物を除去する。処理したガスおよび急冷ステップからの水は洗浄装置に運ばれ、過剰の液体は焼却炉に戻される。かかる構成は、少なくとも一部の構成では、廃水の精製の必要性を排除するが、それにもかかわらず、かなりの量の水を必要とする。その上、急冷用の水が洗浄段階に運ばれるため、洗浄溶剤が絶えず希釈されるので、これを補充しなければならない。さらに悪いことに、洗浄溶剤が希釈されるため、SOおよび他の汚染物質の吸収能力が低下する。
【0006】
米国特許第5,154,734号において記述されているような別の方法において、廃ガスは急冷機を通して供給され、水で飽和される。このように装荷された廃ガスは、次いで湿式洗浄装置に供給され、ここで廃ガス中の水が凝縮し、これにより微粒子、酸性ガス、重金属の回収が向上する。洗浄装置を出る廃ガス中の汚染物質のさらなる除去は、次に衝突洗浄装置/エントレインメント分離機を使用して達成される。かかるシステムは、少なくともいくつかの利点を提供するが、それにもかかわらず、様々な不利点が残存する。特に、(例えば、湿式洗浄装置と急冷セクションとの間の)循環水の量が比較的多い。加えて、汚染物質を含む水は下水道に放出することができず、別個の施設で再生しなければならない。
【0007】
さらに別の構成において、燃焼排ガスは最初に亜硫酸塩または亜硫酸水素塩と接触し、これにより燃焼排ガス中のSOおよび/またはハロゲン化水素の濃度が低減される。残存するSOは、次いで湿式洗浄装置(一般的な構成は、米国特許第6,126,910号において記述されている。)において除去される。かかるシステムは、いくつかの改良点(例えば、下流構成要素の低減)を提供するが、他の困難な問題が残存する。例えば、予備処理した流れからのSOの除去が1段式の急冷洗浄装置において行われていることである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この分野において、数多くの燃焼排ガス処理の構成および方法が知られているが、これらのすべてまたはほぼすべてが、1つ以上の不利な欠点を有している。したがって、燃焼排ガス処理の改良された構成および方法の必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
本発明は、第1段階において燃焼排ガスを急冷し、第2段階において急冷した燃焼排ガスを洗浄する2段階システムを使用して、SO濃度を低減する燃焼排ガス処理の構成および方法を対象にしている。第1および/または第2段階が、洗浄段階において正味の水の凝縮が実質的に起こらないように構成および/または運転されることが最も好ましい。その結果として、高い洗浄溶剤濃度を保つことによって、高いSOの除去を達成し、これはさらに洗浄溶剤および水の損失が低減し有利である。
【0010】
本発明の主題の一態様において、燃焼排ガス処理方法は、第1の温度において燃焼排ガスを急冷セクションに供給する段階と、水を急冷媒体として使用して急冷セクションにおいて燃焼排ガスを第2の温度に急冷する段階とを含む。別の段階において、急冷した燃焼排ガスを洗浄セクションに供給し、急冷した燃焼排ガスを、洗浄流体中の苛性アルカリを洗浄された燃焼排ガス中のSO含有量を10ppm以下に連続的に低減するのに有効な濃度において使用して洗浄する。かかる方法においては、第1および第2セクションが、洗浄セクションにおいて水の正味の凝縮を実質的に避けるため構成され運転されることが一般に好ましい。さらに、システムの設置面積を最小化するために、第1および第2セクションを単一の塔の中に配置することが好ましい。所望するならば、急冷媒体は下水道あるいはプラントのプロセス構成要素に、わずかな処理または無処理で(場合によっては中和後に)放出することができる。
【0011】
特に企図された燃焼排ガス源には、石炭だき焼却炉、炭化水素燃料だき焼却炉、天然ガスだき焼却炉が含まれる。したがって、第1の温度は約400℃と約200℃の間とすることもできる。最も一般的に、急冷セクションは、第2の温度が約90℃と約20℃の間であり、全SOの10%未満が急冷セクションにおいて吸収されるように構成され運転される。所望するならば、急冷媒体は急冷回路を循環し、急冷セクションに再度入る前に冷却機で冷却されることもできる。好ましい苛性アルカリには、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物、および/またはアンモニウム水酸化物が含まれ、苛性アルカリの濃度は、所定の制限値(例えば、少なくとも8重量%、より好ましくは少なくとも10重量%の量の苛性アルカリの初期添加に相当する値)を超えて連続的に保持されることが好ましい。
【0012】
このように、別の観点から、SOの濃度を低減する方法、特に燃焼排ガス中のSO濃度を10ppm未満に低減する方法には、濃縮された下流の洗浄媒体が、その前の急冷燃焼排ガスからの水の凝縮によって実質的に希釈されないで残存するという条件の下で、燃焼排ガスを急冷媒体でもってある温度へと急冷する段階が含まれる。冷却媒体が水であり、洗浄媒体が苛性アルカリを含むことが最も好ましい。急冷は、全SOの10%未満が急冷セクションで吸収されるように実施されることが好ましい。
【0013】
本発明の主題の別の態様において、燃焼排ガス処理システムは、燃焼ガスを第1の温度で受け入れるように構成された急冷セクションを含み、ここで急冷セクションは、燃焼排ガスの温度を、水を急冷媒体として使用して第2の温度に下げるようにさらに構成されている。かかるシステムは、急冷セクションと流体的に連結しており、急冷された燃焼排ガスを第2の温度で受け入れるように構成された洗浄セクションをさらに含み、ここで洗浄セクションは、急冷された燃焼排ガスを苛性アルカリ溶剤と接触させるようさらに構成されている。急冷セクションおよび洗浄セクションは、急冷セクションにおいて燃焼排ガスからの水の凝縮が実質的になく、洗浄媒体が、連続的に10ppm未満のSO濃度を有する洗浄燃焼排ガスを生成するのに有効な濃度を有する運転を可能にするように構成されることが好ましい。
【0014】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点は、以下の本発明の好ましい形態の詳細な説明により一層明らかとなる。
【0015】
図面の簡単な説明
図1は、本発明の主題による2段階急冷洗浄装置の例示的な構成を示す。
【0016】
詳細な説明
本発明者らは、SOおよび他の汚染物質を除去して低レベルにし、洗浄媒体および資源としての水の両方を節約するやり方で、燃焼排ガスを効果的に処理できることを思いがけず見出した。最も一般的に、企図されたシステムは別個の溶剤循環システムを使用し、ここで燃焼排ガスは最初に第1システム中の急冷媒体でもって急冷され、急冷された燃焼排ガスは、第2システム中の苛性アルカリ水性溶剤を使用して洗浄される。両方のシステムが、コストおよびプロット面積の最小化のために、単一カラム構成において運転されることが最も好ましい。
【0017】
したがって、本発明の主題の好ましい一態様において、燃焼排ガスの処理方法は、燃焼排ガスを第1の温度で急冷セクションに供給する段階と、急冷セクションにおいて水を急冷媒体として使用して燃焼排ガスを第2の温度へ急冷する段階を含む。別の段階において、急冷された燃焼排ガスは洗浄セクションに供給され、急冷された燃焼排ガスは苛性アルカリを洗浄流体として使用して、燃焼排ガス中のSO含有量を連続して10ppm以下に低減するのに有効な濃度において洗浄され、ここで第1および/または第2セクションは、洗浄セクションにおける水の正味の凝縮を実質的に避けるために構成され運転される。
【0018】
本明細書で使用する場合、「洗浄した燃焼排ガス中のSO含有量を連続して10ppm以下に低減する」という用語は、燃焼排ガス中のSO含有量が、正規の運転(すなわち、運転開始時と運転停止時を除く)の間、10ppmより上にあがらないプロセスを指す。同じく本明細書で使用する場合、「洗浄セクションにおける水の正味の凝縮」という用語は、洗浄セクションにおける水含有量の増加であり、その増加が洗浄されるガス中の水の凝縮によるものを指し、正味の凝縮と関連する「実質的に避ける」という用語は、正味の凝縮によって洗浄セクションに加えられる水の量が、24時間で洗浄流体の容積の10%未満、より一般的には5%未満、最も一般的には3%未満であることを意味する。さらに本明細書で使用する場合、「SO」は、SOおよびSO、ならびにSOおよびSOと平衡にあるすべての化学種を指す。同様に、「NO」は、NOおよびNO、ならびにNOおよびNOと平衡にあるすべての化学種を指す。
【0019】
例示的な構成を図1に概略的に示す。図1において2段階急冷洗浄装置100は、急冷セクション110と洗浄セクション120を有する。燃焼排ガス102は、約300℃の温度で石炭だき焼却炉(図示されていない。)によって提供され、洗浄装置100に供給される。急冷セクション110は、水を急冷媒体として使用し、水はストリーム103として急冷洗浄装置100の底部から循環ポンプ130へと取り出される。必要に応じて、過剰の水が制御弁140を介してシステムから排出される。一般に制御弁は、レベル検出器142回路の制御下にある。過剰の水は、実質的にSOを含んでいない(すなわち、燃焼排ガス中の全SOの10%未満、より一般的には5%未満が急冷水へと吸収される。)こと、および吸収されたCOは、脱炭素装置において容易に除去できる(COは、場合によってはCO除去セクションで回収されることもできる。)ことに、特に留意されたい。さらに、水和したSO種ならびに他のイオン性成分は、下流のイオン交換樹脂において除去されることもできる。したがって、急冷セクションを出る過剰の水は、プラントにおける再使用に適しているか、あるいは下水道または他の廃水シンクで安全に処分することができる。
【0020】
残存している急冷水は、冷却機150で冷却され、制御弁160を介して流量制御回路162の制御の下、急冷セクション110の頂部に戻される。別な方法として、または追加的に、制御弁164を開いて苛性アルカリ再循環タンク170に水を適宜供給することもできる。このように急冷された燃焼排ガスは、次いでチムニートレー104を通って洗浄セクション120まで通過する。洗浄媒体(一般的に、少なくとも8−15重量%NaOHの量における初期の苛性アルカリの添加に相当する水溶液)は、急冷洗浄装置の頂部近くに導かれ、冷却されたガスと接触した後、チムニートレー104においてポンプ172を介して再循環タンク170へと取り出される。活性洗浄剤(ここではNaOH)が適宜タンク加えられて、所望の濃度を維持する。任意選択の冷却機180が洗浄媒体を冷却するが、洗浄媒体の冷却は一般的に必要でない。少なくとも一部の洗浄媒体は、制御弁194および流量制御回路196を介してシステムから取り出すことができる。流量制御弁190が、流量制御回路192を介して冷却された洗浄媒体の洗浄セクション120への流れを制御し、急冷され洗浄された燃焼排ガス106が2段階急冷洗浄装置を出る。
【0021】
適切な燃焼排ガス源に関しては、許容限度を超える酸性ガス含有量を燃焼排ガスに少なくとも一時的に提供するすべての燃焼排ガス生成焼却炉(バーナ)が適切であると企図される。例えば、酸性ガスがSO(特にSO)の場合、企図された含有量は一般に1ppm超、より一般的10ppm超、最も一般的に10ppmと200ppmの間である。したがって、適切な燃焼排ガス源には、石炭だき焼却炉、炭化水素燃料だき焼却炉、天然ガスだき焼却炉が含まれる。燃焼排ガス源の特定の種類により、燃焼排ガスの温度は大幅に変わることがあり、一般的な温度は約500℃と約100℃の間、より一般に約400℃と約150℃の間、最も一般的には約250℃と約150℃の間である。本明細書で使用する場合、数値に関連する「約」という用語は、その数値を含む、その数値の絶対値の±10%の範囲を指す。同様に、燃焼排ガス源および燃料源の種類により、急冷セクションに供給される燃焼排ガスのSO含有量(より一般的にSO含有量)は、約10ppmと約500ppmの間(ある場合にはもっと高い)であり、一方NO含有量は約10ppmと約500ppmの間である。さらに加えて、高温燃焼排ガスが、比較的低い圧力(一般的に大気圧の約10psi未満および30psi超の間、より一般的に大気圧の約5psi未満および10psi超の間)で、急冷セクションに入ることを認識されたい。
【0022】
急冷は、いかなる苛性アルカリ(例えば、NaOH、KOHなど)および/または有意のSOX.およびNOの吸収に適した他の化学物質の不在の下で実施されることが最も好ましく、急冷媒体は、水またはほとんどが水で構成される(例えば、>95容積%)媒体であることが一般に好ましい。その結果として、これら汚染物質の大部分の量が急冷ガス中を、チムニートレーを経由洗浄セクションへと上方移動する間に、急冷媒体は、溶解したまたは水和した最小量のSOおよびNOしか含まない。最も一般的な条件の下で、急冷セクションは全SOの10%未満、より一般的に5%未満、最も一般的に3%未満が急冷セクションにおいて急冷媒体によって吸収されるように運転されることになる。
【0023】
適切な急冷セクションの構成に関して、当該技術において知られている数多くの急冷層の構成があり、かかる構成のすべてがここにおいて使用するのに適していると思われることに留意されたい。したがって急冷層は、充填層以外の質量および熱伝達装置(例えば、スプレーノズル、トレー、またはトレー様の装置)を含むここともできる。一般に、ただし必然的ではないが、急冷媒体は急冷回路内で循環し(リサイクルし)、急冷セクションに再度入る前に、冷却機で冷却される。
【0024】
一般に、急冷ゾーンは、約2−20gpm/ft、より一般的には5−15gpm/ft、最も一般的には約10gpm/ftの水循環速度(カラムの断面積に基づく。)を有する。ガスがより低温の場合は、より低い値(例えば3−5gpm/f)が一般に好ましく、ガスの水含有量が低いと、許容される循環水温度上昇が増大し、および/またはカラムの直径は、別の関係のない要素(例えばカラムの入手可能性または建設の容易さ)によって設定される。カラム直径は、接触装置のこの領域でのフラッド対策に基づいており、高い液体速度はより大きなカラム直径を必要とするので、高い循環速度は(除外はされないが)考えにくい。
【0025】
最も一般に、燃焼排ガスは、排出ガス温度で入り、この温度は一般的に100℃から200℃であるが、350℃またはそれ以上に高くすることができる(上記参照)。急冷した燃焼排ガスの温度は、一般に、いくつかある要因のうちで特に入手可能な急冷媒体の温度に依存する。急冷媒体が水またはほとんどが水で構成される場合、温度接近は、好ましくは約5−15℃の範囲、最も一般に冷却媒体と排出される燃焼排ガスとの間の約10℃である。ほとんどの冷却水が約25−40℃の温度を有しているので、燃焼排ガスは急冷セクションを約35−50℃の温度で出る。さらに、急冷媒体の温度は、冷却媒体の温度にも関連している。特に好ましい態様において、2−10℃、より好ましくは5℃の、冷却装置の冷却媒体と冷却機に入る急冷媒体の間の温度接近が実施される。一般的に急冷水は、急冷ゾーンに約30−45℃で入り、急冷ゾーンを約45−65℃で出る。
【0026】
所望する場合、過剰の水は、下水道または他の水シンクへのドレーン系統を使用して急冷循環から取り除かれることができ、または、より好ましくはプラント中で再使用される。例えば、水の一部は、洗浄セクションにおける水の損失を補うために使用されることができ、ボイラー供給水および/または冷却水の少なくとも一部を提供する。所望するまたは必要な場合、急冷循環からの放出水は、中和されまたは(一般的に陰イオン性の)イオンを除去するためにイオン交換媒体において処理されることもできる。言うまでもなく、特定の構成に基づき、すべての流量制御要素は手動でおよび/または自動で作動することもできることが企図されている。
【0027】
注入燃焼排ガスから凝縮される水の量は、いくつかある要因の中で特に、注入されるガスの水分含有量および急冷温度に依存することに留意されたい。本発明の主題の特に好ましい態様において、燃焼排ガスはそれの露点まで冷却され、次いで急冷ゾーンにおいて(露点に関して)過冷却される。このように、燃焼排ガスは、燃焼排ガスの断熱飽和温度未満の温度において急冷セクションを出ることが好ましい。したがって、別の観点から、急冷セクションを出る燃焼排ガスは、水で飽和されているが、しかし急冷セクションに入る時の水よりも少ない水を含んでいる。企図された燃焼排ガス中の水含有量の一般的な範囲は、急冷セクションに入る燃焼排ガスにおいて約6容積%と約20容積%の間、急冷セクションを出る燃焼排ガスにおいて約2容積%と約12容積%の間である。このように、急冷セクションの入口において約10容積%HOを、急冷セクション出口において約5容積%HOを含む燃焼排ガスに関しては、凝縮速度は、燃焼排ガスの1000scf当たり約2.4lbHOである。既に上で説明したように、凝縮された水は、急冷セクションから流れ出て、急冷セクション中の適切な液体運転レベルを維持する。したがって、洗浄セクションにおける凝縮の量はほぼゼロであることを認識しなければならない。別の観点から、温度は、ブローダウン流における水の損失と釣り合うのに十分なだけの水が洗浄セクションにおいて凝縮されるように制御されることが好ましい。この方法において、脱硫セクションからの化学物質含有ブローダウン(廃棄)流の容積が最小化され、これによって水ならびに化学物質が保存される。
【0028】
洗浄セクションは、急冷セクションに対して流体的に連結していることが好ましく、統合急冷−洗浄塔内にあることが最も好ましい。したがって、急冷−洗浄塔は、いくつかあるオプションの中で特に、急冷セクションおよび洗浄セクションの循環液体を分離するチムニートレーまたは他の構造体を通して急冷燃焼排ガスを受け取るために構成される。しかしながら、別の態様において、急冷セクションおよび洗浄セクションは、急冷された燃焼排ガスの少なくとも一部が洗浄セクションに供給されるように、お互いが流体的に連結している物理的に分離した構造とすることもできる。同様に、燃焼排ガスの特定の性質に基づき、複数の急冷および/または洗浄セクションがあってもよい。
【0029】
最も一般に、洗浄セクション中の洗浄媒体は、苛性アルカリ水溶液(例えば、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物および/またはアンモニウム水酸化物の少なくとも1つの水溶液)および/または他の吸収化学物質(例えば、NaCO)に基づいており、これはSOおよびNO吸収工程の吸収効率をさらに増大することもできる他の反応生成物(例えば、亜硫酸ナトリウムNaSO)を含むこともできる。洗浄媒体中の吸収化学物質は、一般にこの分野において一般に使用される濃度と等価の濃度で使用される。したがって、洗浄媒体が苛性アルカリを含む場合、苛性アルカリの濃度は、所定の8重量%以上の濃度、より一般には10重量%以上(初期に加えられた苛性アルカリに相当する)に連続的に維持されることが好ましい。
【0030】
企図されたシステムの洗浄セクションにおける洗浄媒体の循環速度は、一般に急冷セクションにおける急冷媒体の循環速度よりも低いが、まれには洗浄媒体の循環速度が高いこともある。洗浄セクションにおける洗浄媒体の循環速度は、急冷セクションにおける急冷媒体の約50%から75%の循環速度に調整されることが、かかる速度が一般に洗浄層の最小の高さ、蒸気圧低下、蒸気圧縮運転費用(これは循環速度に反比例する)、および循環装置の資本費と運転費(これは循環速度に直接比例する)の間における所望するバランスを提供するので、最も好ましい。結果として、洗浄媒体の循環速度は一般的に約2−12gpm/ftの間、より一般的には約5−8gpm/ftの間である。
【0031】
洗浄セクションにおける運転温度範囲に関して、冷却された燃焼排ガスは、急冷セクション出口温度以下で洗浄セクションに入ることが認識されなければならない。洗浄セクションにおける温度変化は一般に非常に小さく、洗浄セクションを出る洗浄された燃焼排ガスの温度は、洗浄セクションに入る急冷された燃焼排ガスの温度の約0.5℃から5℃以内、より一般に1℃から2℃の間である。このように、循環洗浄媒体は、冷却媒体の温度に基づき、急冷された燃焼排ガス(一般に35℃−50℃の間)とほぼ同じ温度で洗浄セクションに入りそして出て行く。所望するならば、循環洗浄媒体は、放熱器を使用して冷却することもでき、過剰の循環洗浄媒体を一時的に再循環タンク中に保管することもできる。
【0032】
したがって、特定の構成および運転条件に基づき、洗浄媒体は、洗浄した燃焼排ガス中の残存SOが10ppm以下、より一般的に5ppm以下、最も一般に3ppm以下を達成するのに有効な、連続的な濃度および循環速度を有することが企図される。このように、発明者らはまた燃焼排ガス中のSOを10ppm以下の濃度に低減し、ここで燃焼排ガスが、濃縮された下流の洗浄媒体が急冷された燃焼排ガスからの水の凝縮によって実質的に希釈されないで残存するような条件の下で急冷媒体によってある温度に急冷される方法を企図している。
【0033】
したがって、本発明の主題による燃焼排ガス処理システムは、一般に燃焼排ガスを第1の温度で受け入れるために構成されている急冷セクションを含むこともでき、ここにおいて急冷セクションは、燃焼排ガスの温度を、水を急冷媒体として使用して第2の温度に低減するためにさらに構成されている。洗浄セクションは、急冷セクションと流体的に連結し、急冷された燃焼排ガスを第2の温度で受け入れるために構成されており、ここにおいて洗浄セクションは急冷された燃焼排ガスを苛性アルカリ溶剤と接触させるためにも構成されている。最も一般的に、急冷セクションおよび洗浄セクションは、急冷セクションにおける燃焼排ガスから実質的に水が凝縮しない運転を可能にするために構成され、ここにおいて洗浄媒体が、10ppm未満の、より一般的には5ppm未満の、最も一般的には3ppm未満のSO濃度を連続的に有する洗浄された燃焼排ガスを生成するのに有効な濃度を有している。
【0034】
このように、2段階急冷洗浄装置の特定の実施形態および適用を開示した。しかしながら、本明細書の発明の概念から逸脱することなく既に説明した以外の多くの修正形態が可能であることは当業者には明らかであるはずである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神以外に限定されることはない。さらに、明細書および特許請求の範囲の両方の解釈において、すべての用語は、文脈と一致する最も広範囲な可能なやり方で解釈されるものとする。特に、「含む」および「含んでいる」という用語は、非限定的な方式における要素、構成要素、または段階を指すものとして、参照した要素、構成要素、または段階が存在し得ることを示すものとして、または利用され、あるいは明示的に参照されていない他の要素、構成要素、または段階と組み合わされることもできると解釈されなければならない。さらに、参照により本明細書に組み込まれている参照における用語の定義または使用が、本明細書において提供されたその用語の定義と一致しないかまたは定義に反する場合、その用語の本明細書で提供される定義を適用し、参照におけるその用語の定義は適用されないものとする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の主題による2段階急冷洗浄装置の例示的な構成を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼排ガスを第1の温度において急冷セクションに供給し、前記燃焼排ガスを急冷セクションにおいて水を急冷媒体として使用して第2の温度に急冷すること;
前記急冷した燃焼排ガスを洗浄セクションに供給し、苛性アルカリを洗浄流体として使用して、洗浄した燃焼排ガス中のSOおよびNO含有量の少なくとも1つを所定の濃度へと連続的に低減するのに有効な濃度において前記急冷した燃焼排ガスを洗浄することを含み、前記第1および第2セクションが、洗浄セクション中の水の正味の凝縮を実質的に避けるために構成および運転される燃焼排ガスの処理方法。
【請求項2】
燃焼排ガスが、石炭だき焼却炉、炭化水素燃料だき焼却炉、天然ガスだき焼却炉からなる群から選択される供給源から提供され、所定濃度が10ppm以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1の温度が、100℃と300℃の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第2の温度が、90℃と20℃の間である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
全SOの10%未満が、急冷セクションにおいて吸収されるように急冷セクションが運転される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
急冷媒体が、急冷回路中で循環され、急冷セクションに再度入る前に冷却機によって冷却される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
苛性アルカリが、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属水酸化物およびアンモニウム水酸化物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
苛性アルカリの濃度が、10重量%以上の苛性アルカリの初期添加に相当する濃度において連続的に維持される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第1および第2セクションが、単一の塔内にある、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
場合によって中和した急冷媒体を、下水道またはプラントのプロセス構成要素に排出する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
燃焼排ガスを、濃縮された下流洗浄媒体が急冷された燃焼排ガスからの水の凝縮で実質的に希釈されないで残存するような条件の下で、急冷媒体を用いてある温度へ急冷することを含む、燃焼排ガス中のSOおよびNOの少なくとも1つを所定の濃度に低減する方法。
【請求項12】
急冷媒体が水であり、濃縮された洗浄媒体が苛性アルカリを含み、所定の濃度が10ppm未満である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
急冷媒体が循環され、燃焼排ガスから凝縮された水および下水道において排出された急冷媒体の少なくとも1つが、プラントのプロセス構成要素において使用される、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
急冷が、全SOの10%未満が急冷セクションにおいて吸収されるように実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
濃縮洗浄媒体の濃度が、10重量%以上の苛性アルカリの初期添加に相当する濃度において連続的に維持される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
急冷と洗浄が、単一の塔内の別個のセクションにおいて実施される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
燃焼排ガスを第1の温度で受け入れるために構成されている急冷セクション(ここで、急冷セクションは、水を冷却媒体として使用して燃焼排ガスの温度を第2の温度へ低減するためにさらに構成されている。);
急冷セクションと流体的に連結しており、急冷された燃焼排ガスを第2の温度で受け入れるために構成されている洗浄セクション(ここで、洗浄セクションは、急冷された燃焼排ガスを苛性アルカリ溶剤と接触させるためにさらに構成されている。)
を含み、ここで、急冷セクションと洗浄セクションは、洗浄セクション中の燃焼排ガスからの水の凝縮が実質的にない運転を可能にするために構成されており、ここで、洗浄媒体は、20ppm未満の連続的SO濃度を有する洗浄した燃焼排ガスを生成するために有効な濃度を有する燃焼排ガス処理システム。
【請求項18】
急冷媒体が再循環され、システムが、再循環水を冷却する冷却機をさらに含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
洗浄媒体が、10重量%以上の苛性アルカリの初期添加に相当する濃度で苛性アルカリを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
急冷セクションが、燃焼排ガスからの凝縮水を収容するように構成されている、請求項17に記載のシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2009−520600(P2009−520600A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547366(P2008−547366)
【出願日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/048049
【国際公開番号】WO2007/075485
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】