2色化画像信号生成装置、画像形成システム、及び2色化画像信号生成プログラム
【課題】無彩色及び指定の有彩色の2色での画像形成について無彩色と指定された有彩色とが重ねられた階調表現を行えるようにする。
【解決手段】指定色の明度及び当該色を印刷媒体上に画像形成するのに必要なトナー量と、フルカラーの入力画像信号の明度とを求める(ステップS1,S3)。これらに基づいて、入力画像信号から無彩色及び指定色の2色で構成される画像を印刷媒体上に形成するための各トナー量を求め、この各トナー量により入力画像信号から2色化画像信号を生成する(ステップS4〜S6)。
【解決手段】指定色の明度及び当該色を印刷媒体上に画像形成するのに必要なトナー量と、フルカラーの入力画像信号の明度とを求める(ステップS1,S3)。これらに基づいて、入力画像信号から無彩色及び指定色の2色で構成される画像を印刷媒体上に形成するための各トナー量を求め、この各トナー量により入力画像信号から2色化画像信号を生成する(ステップS4〜S6)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2色化画像信号生成装置、画像形成システム、及び2色化画像信号生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、入力信号を2色プリント用に指定された2つの色に対して領域判定を行って、判定された色のみで階調再現を行う技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008‐67068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、無彩色及び指定の有彩色の2色での画像形成について無彩色と指定された有彩色とが重ねられた階調表現を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、カラー画像信号を無彩色と指定色となる有彩色の一色との2色で構成される2色化画像信号を生成する際の前記指定色の指定を受け付ける受付手段と、前記指定色の明度及び当該色を印刷媒体上に画像形成するのに必要な各色材の量と、前記カラー画像信号の明度に基づいて、前記カラー画像信号から前記2色で構成される画像を印刷媒体上に形成するための各色材の量を求め、この各色材の量により前記カラー画像信号から前記2色化画像信号を生成する生成手段と、を備えている2色化画像信号生成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、前記指定色の明度及び前記カラー画像信号の明度を前記カラー画像信号の各色成分に予め定められた係数をかけることにより求める。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、前記2色化画像信号の前記指定色の濃淡は前記カラー画像信号の同一色の濃淡を基準としていて、要求があったときは当該指定色の濃淡を前記カラー画像信号の同一色の濃淡から変化させる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、前記指定色より明度が高い前記カラー画像信号は前記指定色のみで再現し、それ以外の前記カラー画像信号は前記無彩色と前記指定色との組み合わせで再現した前記2色化画像信号を生成する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、当該生成手段で生成後の前記2色化画像信号を補色変換し当該補色変換後の前記2色化画像信号をUCR変換することを想定して当該2色化画像信号を生成する。
【0008】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置と、前記生成手段で生成後の前記2色化画像信号に基づいて画像形成する画像形成手段と、を備えている画像形成システムである。
請求項7に記載の発明は、予め指定された一色の有彩色である指定色の明度及び当該色を構成するのに必要な各色材の量と、対象となるカラー画像信号の明度とに基づいて、前記カラー画像信号から無彩色及び前記指定色の2色で構成された画像を形成するための各色材の量を求め、この各色材の量から前記2色で構成された画像の画像信号である2色化画像信号を生成する生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な2色化画像信号生成プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1,6,7に記載の発明によれば、無彩色及び指定の有彩色の2色での画像形成について無彩色と指定された有彩色とが重ねられた階調表現を行えるようにすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、有彩色の明度及びカラー画像信号の明度をカラー画像信号の各色成分に予め定められた係数をかけることにより求めて、無彩色及び指定の有彩色の2色での画像形成について無彩色と指定された有彩色とが重ねられた階調表現を行えるようにできる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、係数を変えることにより、形成画像の明度を強調するか否かを選択することができる。
請求項4に記載の発明によれば、明度に応じて、指定色のみ又は無彩色と指定色との組み合わせでカラー画像信号を2色化することができる。
請求項5に記載の発明によれば、画像形成装置にかかわらず、同じパラメータで、カラー画像信号を無彩色及び指定の有彩色の2色の画像信号に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムで、ある値の入力画像信号に対して、2色画像の画像信号、出力画像信号がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで、黒と指定色としての赤の2色で画像形成した場合の、白から赤までと、赤から黒までの入力画像信号に対する出力画像信号の推移の例を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムでパーソナルコンピュータの表示装置にプログラムに基づいて表示される印刷設定タブの画面表示例である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで、黒と指定色としての赤の2色で画像形成した場合の、白から赤までと、赤から黒までの入力画像信号に対する出力画像信号の推移の例を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで、ある値の入力画像信号に対して、2色画像の画像信号、出力画像信号がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。
【図11】比較例となる2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
この画像形成システム1は、パーソナルコンピュータ(PC)2と、画像形成装置3とがネットワーク4を介して接続されてなる。画像形成装置3は、用紙などの印刷媒体上に画像形成するための装置であり、その画像形成の方式は、電子写真方式のほか、インクジェット方式など、様々な方式を用いることができる。以下では電子写真技術により画像形成する場合を例にとって説明する。画像形成装置3は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の4色の色材(電子写真方式であればトナー)を使用してカラー画像を形成することができる。
【0013】
PC2は、各種演算を行い、各部を集中的に制御するCPU11と、CPU11の作業エリアとなるRAM12と、各種のプログラム、固定信号等を記憶する磁気記憶装置13と、マウス、キーボード等の入力装置14と、画像を表示する表示装置15と、ネットワーク4を介して画像形成装置3と通信を行う通信制御装置16とを備えている。PC2には、画像形成装置3のドライバとなるプログラム17がセットアップされている。
【0014】
このプログラム17は、記憶媒体に記憶されたプログラム17を読み取ってPC2にセットアップしても良いし、あるいは、インターネットなどからダウンロードしてPC2にセットアップしても良い。
図2は、色処理システムの機能ブロック図である。
色処理システム21は、PC2がプログラム17に基づいて実現するものであるが、色処理システム21をPC2内ではなく、画像形成装置3内でその制御プログラムにより実現するようにしても良い。
【0015】
色処理システム21は、ユーザがPC2を操作して画像形成装置3で画像形成する対象となる画像信号を特定し、その画像信号を指定して画像形成装置3に印刷要求を行なうと、当該画像信号に対して以下に説明する画像処理を行う。
入力される画像信号は、(B(ブルー),G(グリーン),R(レッド))の3色で表現される画像信号であり、この画像信号を(B1,G1,R1)とする。2色化処理部22は、入力画像信号(B1,G1,R1)を2色化処理する。すなわち、入力画像信号(B1,G1,R1)はフルカラーの画像信号であり、これを無彩色と、ユーザが指定した特定の一色の有彩色(以下、「指定色」ということがある)との2色により構成される2色画像の画像信号(B2,G2,R2)に変換する。この2色画像としては、例えば、黒と赤で構成された画像等がある。2色化係数生成・格納部23は、2色化処理部22で2色化処理に使用する係数である2色化係数を生成し、それを格納して保持する。
【0016】
色変換処理部24は、2色化処理部22で生成した2色画像の画像信号(B2,G2,R2)を色変換処理して出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)を生成する。すなわち、B(ブルー),G(グリーン),R(レッド)の3色の色空間で構成されていたものをY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の4色の色空間で構成される画像信号に色変換する。色変換係数格納部25は、色変換処理部24で色変換処理に使用する係数である色変換係数を格納している。なお、色処理システム21においては、入力画像信号(B1,G1,R1)に対してどのような出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)になるかを想定する必要がある。そのため、2色化処理部22は、色変換処理部24がどのような2色画像の画像信号(B2,G2,R2)に対してどういう出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)を応答するか色変換係数を想定して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)に変換する必要がある。よって、色変換係数を参照して2色化係数を生成する必要がある。
【0017】
また、図2では、2色化処理と色変換処理とを2段階に分けて実行しているが、これらを同時に処理することも可能である。
図3は、ある値の入力画像信号(B1,G1,R1)に対して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)、出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。入力画像信号(B1,G1,R1)はフルカラー画像なので、B1,G1,R1の組み合わせとして256×256×256のパターンがある。図3の例では、その中の離散的な4913パターンについて規定している。ここで規定されていないパターンについて、入力画像信号(B1,G1,R1)に対して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)、出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)がどのような値となるかは、規定されている値に補完処理を行って求めることができる。
【0018】
図11は、後述する本実施形態における図4〜図6の処理に対する比較例としての2色化係数生成処理のフローチャートである。
この処理では、まず、2色化画像に変換すべき入力画像信号(RGBやLabなど様々な色空間で定義できる)を指定し(ステップS101)、入力画像信号からその特性値を算出する(ステップS102)。そして、入力画像信号から画像の各部が色付領域、すなわち、ある一定の彩度をもつ領域あるいは予め定められた色相領域(色付領域)にあるか否かを判断し(ステップS103)、色付領域であれば(ステップS103のY)、指定色の濃度値に変換し(ステップS104)、色付領域でなければ(ステップS103のN)、Kの濃度値に変換する(ステップS105)。このようにして、全ての入力画像信号の2色化処理が終了すると(ステップS106のY)、2色化係数を生成する(ステップS107)。
【0019】
この比較例の処理では、ステップS103で色付領域か否かの判定を行い、指定色かKかに分けるので、前述の本実施形態の処理とは異なり、判定基準となる閾値の境界部分を経由すると境界部分の前後で自然な階調再現を維持することができないことがわかる。
図4〜図6は、本実施形態における色処理システム21で2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【0020】
以下の説明では、BI‐B:指定色に対応するB、BI‐G:指定色に対応するG、BI‐R:指定色に対応するR、Lbicolor:指定色の明度の値、Ybicolor:指定色のYのトナー量、Mbicolor:指定色のMのトナー量、Cbicolor:指定色のCのトナー量、Ytarget:指定色に対する目標のYのトナー量、Mtarget:指定色に対する目標のMのトナー量、Ctarget:指定色に対する目標のCのトナー量、DENS:濃淡係数、Lrate‐B:Bの明度算出係数、Lrate‐G:Gの明度算出係数、Lrate‐R:Rの明度算出係数、IN‐B:入力画像信号のB(B1)、IN‐G:入力画像信号のG(G1)、IN‐R:入力画像信号のR(R1)、IN‐L:入力画像信号の明度の値、OUT‐Y:入力画像信号に対する出力画像信号のY(Y1)、OUT‐M:入力画像信号に対する出力画像信号のM(M1)、OUT‐C:入力画像信号に対する出力画像信号のC(C1)、OUT‐K:入力画像信号に対する出力画像信号のK(K1)、OUT‐B:出力画像信号(Y,M,C,K)から算出する2色画像の画像信号のB(B2)、OUT‐G:出力画像信号(Y,M,C,K)から算出する2色画像の画像信号のG(G2)、OUT‐R:出力画像信号(Y,M,C,K)から算出する2色画像の画像信号のR(R2)、をそれぞれ意味している。
【0021】
図4について説明する。以下の処理は、図3のテーブルを参照して行うことができる。まず、ユーザが指定した一色の有彩色(例えば赤であれば、(B,G,R)=(0,0,255))から、その色の特性値を求める(ステップS1)。ここで、特定値とは、明度値(あるいは、濃度値、輝度値などと表現することもできる)、トナー量である。ここで、トナー量は色材量のことであり、電子写真方式で画像形成する場合なので、色材量はトナー量となる。この場合のトナー量は、当該色を2色化処理、色変換処理して得た出力画像信号の(Y1,M1,C1)の値になる。例えば、赤であれば、図3を参照して、(B1,G1,R1)=(0,0,255)であり、トナー量は、出力画像信号の(Y1,M1,C1)=(255,255,0)となる。
【0022】
この特性値を求める計算は、以下の(1)〜(4)となる。なお、これらの式も含めて、具体的な計算手法は様々なものが用いられ得るので、以下の各式では関数の形式でのみ示す。
【0023】
【数1】
【0024】
ここで、(1)式の指定色の明度値Lbicolorは、一例を挙げれば、指定色に対応するBであるBI‐B、指定色に対応するGであるBI‐G、指定色に対応するRであるBI‐Rの各色成分に、それぞれ、Bの明度算出係数Lrate‐B、Gの明度算出係数Lrate‐G、Rの明度算出係数Lrate‐Rの各係数をかけることにより求めることができる。
次に、入力画像信号を指定する(ステップS2)。これは、ユーザがPC2により画像形成装置3での2色印刷の印刷要求をした画像信号が指定される。
次に、入力画像信号から特性値を算出する(ステップS3)。ここで特性値とは、明度値(あるいは、濃度値、輝度値などと表現することもできる)である。
この特性値を求める計算は、以下の(5)となる。
【0025】
【数2】
【0026】
ここで、(5)式の入力画像信号の明度値IN‐Lは、一例を挙げれば、入力画像信号に対応するRであるIN‐R、入力画像信号に対応するGであるIN‐G、入力画像信号に対応するBであるIN‐Bの各色成分に、それぞれ、Bの明度算出係数Lrate‐B、Gの明度算出係数Lrate‐G、Rの明度算出係数Lrate‐Rの各係数をかけることにより求めることができる。
次に、上記のとおり求めた指定色の特定値と、入力画像信号の特性値との関係から指定色の画像形成を行うためのトナー量を算出する(ステップS4)。例えば、指定色が赤であれば、YとMのトナー量を算出することになる。この場合の算出は、次の式(6)〜(8)による。このステップS4の処理の具体例については、図5を参照して後述する。
【0027】
【数3】
【0028】
次に、上記のとおり求めた指定色の特定値と、入力画像信号の特性値との関係からKのトナー量を算出する(ステップS5)。この場合の算出は、次の式(9)による。このステップS5の処理の具体例については、図6を参照して後述する。なお、ステップS4とステップS5とでは、異なる計算式を用いることで、Kの画像の連続性が維持できるようにしている。
【0029】
【数4】
【0030】
次に、すべての入力画像信号の2色化処理が終わっていなければ(ステップS6のN)、ステップS2に戻り、終わっていれば(ステップS6のY)、2色化係数を生成する(ステップS7)。2色化係数の生成は、次の式(10)〜(12)により行うことができる。これらの各式は2種類用意されていて、色変換処理の内容によってどちらかを選択することができる。ここでは、色変換処理部24で用いられる色変換係数によって、ステップS4,S5で算出した(Y1,M1,C1,K1)を再現することが可能な2色化係数(B2,G2,R2)を算出する。
【0031】
【数5】
【0032】
図5は、ステップS4のサブルーチンである。ステップS4では、まず、指定色の明度値(濃度値、輝度値などと表現することもできる)より入力画像信号の明度値の方が高いか否かを判断する(ステップS11)。高いときは(ステップS11のY)、白(B,G,R=255,255,255)を基準とした指定色の明度値と入力画像信号の明度値の関係から、指定色を画像形成するトナーの量を決定する(ステップS12)。高くないときは(ステップS11のN)、黒(B,G,R=0,0,0)を基準とした指定色の明度値と入力画像信号の明度値の関係から、指定色を画像形成するトナーの量を決定する(ステップS13)。
【0033】
図6は、ステップS5のサブルーチンである。ステップS5では、まず、指定色の明度値(濃度値、輝度値などと表現することもできる)より入力画像信号の明度値の方が高いか否かを判断する(ステップS21)。高いときは(ステップS21のY)、Kのトナーの量は生成せず(ステップS22)、この場合はKのトナーを使用しない。よって、このときは、指定色を構成するトナーの連続的な推移による階調再現がなされる。
【0034】
高くないときは(ステップS21のN)、黒(B,G,R=0,0,0)を基準とした指定色の明度値と入力画像信号の明度値との関係からKのトナー量を決定する(ステップS23)。すなわち、指定色の明度値より明度が低い入力画像信号については、黒トナーを明度比に応じて推移させることにより、Kのトナーと指定色を構成するトナーとの連続的な推移により階調再現がなされる。
【0035】
本処理においては、入力画像信号や指定色の彩度値は考慮しておらず、彩度をもたないグレイ色の入力画像信号についても指定色による色味を付した2色画像を生成することになる。
図7は、前述した処理で、黒と指定色としての赤の2色で画像形成した場合の、白(B,G,R=255,255,255)から赤(B,G,R=0,0,255)までと、赤(B,G,R=0,0,255)から黒(B,G,R=0,0,0)までの入力画像信号に対する出力画像信号(Y,M,C,K)の推移の例を示すグラフである。縦軸は、Y,M,C,K各色の階調(0〜255)を示している。
【0036】
(B,G,R=0,0,255)の値を中心とした赤色の部分はYとMのトナー量で再現され、赤から白まではYとMのトナー量で再現される赤色の階調で表現される。明るいほどYとMのトナー量が減少している(ステップS12参照)。また、赤から黒にかけて次第に黒トナーが増加しつつ、YとMのトナーが減少しており(ステップS13参照)、画像出力の結果として階調が維持されていることがわかる。
【0037】
図8は、PC2の表示装置15にプログラム17に基づいて表示される印刷設定タブの画面表示例である。
前述のような無彩色と指定色との2色画像で画像形成装置3に画像形成させるときは、ユーザは、印刷設定タブ31のカラーモード32で2色カラーモード33を選択する。そして、2色カラーモード33を選択すると、詳細設定34で設定が可能となる。まず、2色カラー指定35で指定色を選択することができる。前述の例のように、無彩色に対して赤を指定色として選択するときは、図8のように「赤+黒」を選択することになる。
【0038】
また、2色カラーの処理指定36で、「明度再現重視」と「鮮やかさ重視」のいずれかを選択することができる。「明度再現重視」を選択すると形成される2色カラー画像では明度の再現が重視された画像が形成される。また、「鮮やかさ重視」を選択すると形成される2色カラー画像では鮮やかさの再現が重視された画像が形成される。
このような、「明度再現重視」や「鮮やかさ重視」の画像の表現は、式(1)のLrate‐B、Lrate‐G、Lrate‐Rの各係数の値を調整することで可能となる。
【0039】
さらに、2色カラーの濃淡指定37で、画像の濃淡の程度を選択することができる。画像の濃淡の調整は、式(3)〜(5)の係数DENSを調整することで行うことができる。これにより、指定色である赤(B,G,R=0,0,255)を基準に、これより赤の濃度を薄く、あるいは濃くすることができる。
図9は、基準となる図7の例より画像の濃度を薄くした場合の例を示している。指定色である赤(B,G,R=0,0,255)を基準に、図7の例より図9の例の方がMトナーの量が少なく、Yトナーはさらに少なくされている。これにより、図7の例より図9の例の方が画像の濃度を薄くしている。
【0040】
図10は、ある値の入力画像信号(B1,G1,R1)に対して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)、出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。図3の例との違いは、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)を出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)に変換するのに際して、まず、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)を補色変換して画像信号(Y,M,C)を生成し、この画像信号(Y,M,C)をUCR(Under Color Removal)変換して出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)に変換している点にある。
【0041】
補色変換、UCR変換とも一般的に用いられている色変換パラメータであり、画像形成装置3側の特性には依存しない。そこで、画像形成装置3側でこの色変換パラメータを使って色変換処理が行われることを想定して前述の2色化処理を行うようにすれば、2色化処理のパラメータには、個々に異なる画像形成装置3ごとの色変換パラメータを考慮する必要がなく、同じものが使用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成システム
2 パーソナルコンピュータ
3 画像形成装置
21 色処理システム
22 2色化処理部
23 2色化係数生成・格納部
【技術分野】
【0001】
本発明は、2色化画像信号生成装置、画像形成システム、及び2色化画像信号生成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1においては、入力信号を2色プリント用に指定された2つの色に対して領域判定を行って、判定された色のみで階調再現を行う技術について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008‐67068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、無彩色及び指定の有彩色の2色での画像形成について無彩色と指定された有彩色とが重ねられた階調表現を行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、カラー画像信号を無彩色と指定色となる有彩色の一色との2色で構成される2色化画像信号を生成する際の前記指定色の指定を受け付ける受付手段と、前記指定色の明度及び当該色を印刷媒体上に画像形成するのに必要な各色材の量と、前記カラー画像信号の明度に基づいて、前記カラー画像信号から前記2色で構成される画像を印刷媒体上に形成するための各色材の量を求め、この各色材の量により前記カラー画像信号から前記2色化画像信号を生成する生成手段と、を備えている2色化画像信号生成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、前記指定色の明度及び前記カラー画像信号の明度を前記カラー画像信号の各色成分に予め定められた係数をかけることにより求める。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、前記2色化画像信号の前記指定色の濃淡は前記カラー画像信号の同一色の濃淡を基準としていて、要求があったときは当該指定色の濃淡を前記カラー画像信号の同一色の濃淡から変化させる。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、前記指定色より明度が高い前記カラー画像信号は前記指定色のみで再現し、それ以外の前記カラー画像信号は前記無彩色と前記指定色との組み合わせで再現した前記2色化画像信号を生成する。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置において、前記生成手段は、当該生成手段で生成後の前記2色化画像信号を補色変換し当該補色変換後の前記2色化画像信号をUCR変換することを想定して当該2色化画像信号を生成する。
【0008】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置と、前記生成手段で生成後の前記2色化画像信号に基づいて画像形成する画像形成手段と、を備えている画像形成システムである。
請求項7に記載の発明は、予め指定された一色の有彩色である指定色の明度及び当該色を構成するのに必要な各色材の量と、対象となるカラー画像信号の明度とに基づいて、前記カラー画像信号から無彩色及び前記指定色の2色で構成された画像を形成するための各色材の量を求め、この各色材の量から前記2色で構成された画像の画像信号である2色化画像信号を生成する生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な2色化画像信号生成プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1,6,7に記載の発明によれば、無彩色及び指定の有彩色の2色での画像形成について無彩色と指定された有彩色とが重ねられた階調表現を行えるようにすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、有彩色の明度及びカラー画像信号の明度をカラー画像信号の各色成分に予め定められた係数をかけることにより求めて、無彩色及び指定の有彩色の2色での画像形成について無彩色と指定された有彩色とが重ねられた階調表現を行えるようにできる。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、係数を変えることにより、形成画像の明度を強調するか否かを選択することができる。
請求項4に記載の発明によれば、明度に応じて、指定色のみ又は無彩色と指定色との組み合わせでカラー画像信号を2色化することができる。
請求項5に記載の発明によれば、画像形成装置にかかわらず、同じパラメータで、カラー画像信号を無彩色及び指定の有彩色の2色の画像信号に変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムの機能ブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムで、ある値の入力画像信号に対して、2色画像の画像信号、出力画像信号がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。
【図4】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【図6】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで、黒と指定色としての赤の2色で画像形成した場合の、白から赤までと、赤から黒までの入力画像信号に対する出力画像信号の推移の例を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムでパーソナルコンピュータの表示装置にプログラムに基づいて表示される印刷設定タブの画面表示例である。
【図9】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで、黒と指定色としての赤の2色で画像形成した場合の、白から赤までと、赤から黒までの入力画像信号に対する出力画像信号の推移の例を示すグラフである。
【図10】本発明の一実施形態にかかる画像形成システムの色処理システムで、ある値の入力画像信号に対して、2色画像の画像信号、出力画像信号がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。
【図11】比較例となる2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態にかかる画像形成システムの全体構成を示すブロック図である。
この画像形成システム1は、パーソナルコンピュータ(PC)2と、画像形成装置3とがネットワーク4を介して接続されてなる。画像形成装置3は、用紙などの印刷媒体上に画像形成するための装置であり、その画像形成の方式は、電子写真方式のほか、インクジェット方式など、様々な方式を用いることができる。以下では電子写真技術により画像形成する場合を例にとって説明する。画像形成装置3は、Y(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の4色の色材(電子写真方式であればトナー)を使用してカラー画像を形成することができる。
【0013】
PC2は、各種演算を行い、各部を集中的に制御するCPU11と、CPU11の作業エリアとなるRAM12と、各種のプログラム、固定信号等を記憶する磁気記憶装置13と、マウス、キーボード等の入力装置14と、画像を表示する表示装置15と、ネットワーク4を介して画像形成装置3と通信を行う通信制御装置16とを備えている。PC2には、画像形成装置3のドライバとなるプログラム17がセットアップされている。
【0014】
このプログラム17は、記憶媒体に記憶されたプログラム17を読み取ってPC2にセットアップしても良いし、あるいは、インターネットなどからダウンロードしてPC2にセットアップしても良い。
図2は、色処理システムの機能ブロック図である。
色処理システム21は、PC2がプログラム17に基づいて実現するものであるが、色処理システム21をPC2内ではなく、画像形成装置3内でその制御プログラムにより実現するようにしても良い。
【0015】
色処理システム21は、ユーザがPC2を操作して画像形成装置3で画像形成する対象となる画像信号を特定し、その画像信号を指定して画像形成装置3に印刷要求を行なうと、当該画像信号に対して以下に説明する画像処理を行う。
入力される画像信号は、(B(ブルー),G(グリーン),R(レッド))の3色で表現される画像信号であり、この画像信号を(B1,G1,R1)とする。2色化処理部22は、入力画像信号(B1,G1,R1)を2色化処理する。すなわち、入力画像信号(B1,G1,R1)はフルカラーの画像信号であり、これを無彩色と、ユーザが指定した特定の一色の有彩色(以下、「指定色」ということがある)との2色により構成される2色画像の画像信号(B2,G2,R2)に変換する。この2色画像としては、例えば、黒と赤で構成された画像等がある。2色化係数生成・格納部23は、2色化処理部22で2色化処理に使用する係数である2色化係数を生成し、それを格納して保持する。
【0016】
色変換処理部24は、2色化処理部22で生成した2色画像の画像信号(B2,G2,R2)を色変換処理して出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)を生成する。すなわち、B(ブルー),G(グリーン),R(レッド)の3色の色空間で構成されていたものをY(イエロー),M(マゼンタ),C(シアン),K(ブラック)の4色の色空間で構成される画像信号に色変換する。色変換係数格納部25は、色変換処理部24で色変換処理に使用する係数である色変換係数を格納している。なお、色処理システム21においては、入力画像信号(B1,G1,R1)に対してどのような出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)になるかを想定する必要がある。そのため、2色化処理部22は、色変換処理部24がどのような2色画像の画像信号(B2,G2,R2)に対してどういう出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)を応答するか色変換係数を想定して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)に変換する必要がある。よって、色変換係数を参照して2色化係数を生成する必要がある。
【0017】
また、図2では、2色化処理と色変換処理とを2段階に分けて実行しているが、これらを同時に処理することも可能である。
図3は、ある値の入力画像信号(B1,G1,R1)に対して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)、出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。入力画像信号(B1,G1,R1)はフルカラー画像なので、B1,G1,R1の組み合わせとして256×256×256のパターンがある。図3の例では、その中の離散的な4913パターンについて規定している。ここで規定されていないパターンについて、入力画像信号(B1,G1,R1)に対して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)、出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)がどのような値となるかは、規定されている値に補完処理を行って求めることができる。
【0018】
図11は、後述する本実施形態における図4〜図6の処理に対する比較例としての2色化係数生成処理のフローチャートである。
この処理では、まず、2色化画像に変換すべき入力画像信号(RGBやLabなど様々な色空間で定義できる)を指定し(ステップS101)、入力画像信号からその特性値を算出する(ステップS102)。そして、入力画像信号から画像の各部が色付領域、すなわち、ある一定の彩度をもつ領域あるいは予め定められた色相領域(色付領域)にあるか否かを判断し(ステップS103)、色付領域であれば(ステップS103のY)、指定色の濃度値に変換し(ステップS104)、色付領域でなければ(ステップS103のN)、Kの濃度値に変換する(ステップS105)。このようにして、全ての入力画像信号の2色化処理が終了すると(ステップS106のY)、2色化係数を生成する(ステップS107)。
【0019】
この比較例の処理では、ステップS103で色付領域か否かの判定を行い、指定色かKかに分けるので、前述の本実施形態の処理とは異なり、判定基準となる閾値の境界部分を経由すると境界部分の前後で自然な階調再現を維持することができないことがわかる。
図4〜図6は、本実施形態における色処理システム21で2色化係数を求める処理について説明するフローチャートである。
【0020】
以下の説明では、BI‐B:指定色に対応するB、BI‐G:指定色に対応するG、BI‐R:指定色に対応するR、Lbicolor:指定色の明度の値、Ybicolor:指定色のYのトナー量、Mbicolor:指定色のMのトナー量、Cbicolor:指定色のCのトナー量、Ytarget:指定色に対する目標のYのトナー量、Mtarget:指定色に対する目標のMのトナー量、Ctarget:指定色に対する目標のCのトナー量、DENS:濃淡係数、Lrate‐B:Bの明度算出係数、Lrate‐G:Gの明度算出係数、Lrate‐R:Rの明度算出係数、IN‐B:入力画像信号のB(B1)、IN‐G:入力画像信号のG(G1)、IN‐R:入力画像信号のR(R1)、IN‐L:入力画像信号の明度の値、OUT‐Y:入力画像信号に対する出力画像信号のY(Y1)、OUT‐M:入力画像信号に対する出力画像信号のM(M1)、OUT‐C:入力画像信号に対する出力画像信号のC(C1)、OUT‐K:入力画像信号に対する出力画像信号のK(K1)、OUT‐B:出力画像信号(Y,M,C,K)から算出する2色画像の画像信号のB(B2)、OUT‐G:出力画像信号(Y,M,C,K)から算出する2色画像の画像信号のG(G2)、OUT‐R:出力画像信号(Y,M,C,K)から算出する2色画像の画像信号のR(R2)、をそれぞれ意味している。
【0021】
図4について説明する。以下の処理は、図3のテーブルを参照して行うことができる。まず、ユーザが指定した一色の有彩色(例えば赤であれば、(B,G,R)=(0,0,255))から、その色の特性値を求める(ステップS1)。ここで、特定値とは、明度値(あるいは、濃度値、輝度値などと表現することもできる)、トナー量である。ここで、トナー量は色材量のことであり、電子写真方式で画像形成する場合なので、色材量はトナー量となる。この場合のトナー量は、当該色を2色化処理、色変換処理して得た出力画像信号の(Y1,M1,C1)の値になる。例えば、赤であれば、図3を参照して、(B1,G1,R1)=(0,0,255)であり、トナー量は、出力画像信号の(Y1,M1,C1)=(255,255,0)となる。
【0022】
この特性値を求める計算は、以下の(1)〜(4)となる。なお、これらの式も含めて、具体的な計算手法は様々なものが用いられ得るので、以下の各式では関数の形式でのみ示す。
【0023】
【数1】
【0024】
ここで、(1)式の指定色の明度値Lbicolorは、一例を挙げれば、指定色に対応するBであるBI‐B、指定色に対応するGであるBI‐G、指定色に対応するRであるBI‐Rの各色成分に、それぞれ、Bの明度算出係数Lrate‐B、Gの明度算出係数Lrate‐G、Rの明度算出係数Lrate‐Rの各係数をかけることにより求めることができる。
次に、入力画像信号を指定する(ステップS2)。これは、ユーザがPC2により画像形成装置3での2色印刷の印刷要求をした画像信号が指定される。
次に、入力画像信号から特性値を算出する(ステップS3)。ここで特性値とは、明度値(あるいは、濃度値、輝度値などと表現することもできる)である。
この特性値を求める計算は、以下の(5)となる。
【0025】
【数2】
【0026】
ここで、(5)式の入力画像信号の明度値IN‐Lは、一例を挙げれば、入力画像信号に対応するRであるIN‐R、入力画像信号に対応するGであるIN‐G、入力画像信号に対応するBであるIN‐Bの各色成分に、それぞれ、Bの明度算出係数Lrate‐B、Gの明度算出係数Lrate‐G、Rの明度算出係数Lrate‐Rの各係数をかけることにより求めることができる。
次に、上記のとおり求めた指定色の特定値と、入力画像信号の特性値との関係から指定色の画像形成を行うためのトナー量を算出する(ステップS4)。例えば、指定色が赤であれば、YとMのトナー量を算出することになる。この場合の算出は、次の式(6)〜(8)による。このステップS4の処理の具体例については、図5を参照して後述する。
【0027】
【数3】
【0028】
次に、上記のとおり求めた指定色の特定値と、入力画像信号の特性値との関係からKのトナー量を算出する(ステップS5)。この場合の算出は、次の式(9)による。このステップS5の処理の具体例については、図6を参照して後述する。なお、ステップS4とステップS5とでは、異なる計算式を用いることで、Kの画像の連続性が維持できるようにしている。
【0029】
【数4】
【0030】
次に、すべての入力画像信号の2色化処理が終わっていなければ(ステップS6のN)、ステップS2に戻り、終わっていれば(ステップS6のY)、2色化係数を生成する(ステップS7)。2色化係数の生成は、次の式(10)〜(12)により行うことができる。これらの各式は2種類用意されていて、色変換処理の内容によってどちらかを選択することができる。ここでは、色変換処理部24で用いられる色変換係数によって、ステップS4,S5で算出した(Y1,M1,C1,K1)を再現することが可能な2色化係数(B2,G2,R2)を算出する。
【0031】
【数5】
【0032】
図5は、ステップS4のサブルーチンである。ステップS4では、まず、指定色の明度値(濃度値、輝度値などと表現することもできる)より入力画像信号の明度値の方が高いか否かを判断する(ステップS11)。高いときは(ステップS11のY)、白(B,G,R=255,255,255)を基準とした指定色の明度値と入力画像信号の明度値の関係から、指定色を画像形成するトナーの量を決定する(ステップS12)。高くないときは(ステップS11のN)、黒(B,G,R=0,0,0)を基準とした指定色の明度値と入力画像信号の明度値の関係から、指定色を画像形成するトナーの量を決定する(ステップS13)。
【0033】
図6は、ステップS5のサブルーチンである。ステップS5では、まず、指定色の明度値(濃度値、輝度値などと表現することもできる)より入力画像信号の明度値の方が高いか否かを判断する(ステップS21)。高いときは(ステップS21のY)、Kのトナーの量は生成せず(ステップS22)、この場合はKのトナーを使用しない。よって、このときは、指定色を構成するトナーの連続的な推移による階調再現がなされる。
【0034】
高くないときは(ステップS21のN)、黒(B,G,R=0,0,0)を基準とした指定色の明度値と入力画像信号の明度値との関係からKのトナー量を決定する(ステップS23)。すなわち、指定色の明度値より明度が低い入力画像信号については、黒トナーを明度比に応じて推移させることにより、Kのトナーと指定色を構成するトナーとの連続的な推移により階調再現がなされる。
【0035】
本処理においては、入力画像信号や指定色の彩度値は考慮しておらず、彩度をもたないグレイ色の入力画像信号についても指定色による色味を付した2色画像を生成することになる。
図7は、前述した処理で、黒と指定色としての赤の2色で画像形成した場合の、白(B,G,R=255,255,255)から赤(B,G,R=0,0,255)までと、赤(B,G,R=0,0,255)から黒(B,G,R=0,0,0)までの入力画像信号に対する出力画像信号(Y,M,C,K)の推移の例を示すグラフである。縦軸は、Y,M,C,K各色の階調(0〜255)を示している。
【0036】
(B,G,R=0,0,255)の値を中心とした赤色の部分はYとMのトナー量で再現され、赤から白まではYとMのトナー量で再現される赤色の階調で表現される。明るいほどYとMのトナー量が減少している(ステップS12参照)。また、赤から黒にかけて次第に黒トナーが増加しつつ、YとMのトナーが減少しており(ステップS13参照)、画像出力の結果として階調が維持されていることがわかる。
【0037】
図8は、PC2の表示装置15にプログラム17に基づいて表示される印刷設定タブの画面表示例である。
前述のような無彩色と指定色との2色画像で画像形成装置3に画像形成させるときは、ユーザは、印刷設定タブ31のカラーモード32で2色カラーモード33を選択する。そして、2色カラーモード33を選択すると、詳細設定34で設定が可能となる。まず、2色カラー指定35で指定色を選択することができる。前述の例のように、無彩色に対して赤を指定色として選択するときは、図8のように「赤+黒」を選択することになる。
【0038】
また、2色カラーの処理指定36で、「明度再現重視」と「鮮やかさ重視」のいずれかを選択することができる。「明度再現重視」を選択すると形成される2色カラー画像では明度の再現が重視された画像が形成される。また、「鮮やかさ重視」を選択すると形成される2色カラー画像では鮮やかさの再現が重視された画像が形成される。
このような、「明度再現重視」や「鮮やかさ重視」の画像の表現は、式(1)のLrate‐B、Lrate‐G、Lrate‐Rの各係数の値を調整することで可能となる。
【0039】
さらに、2色カラーの濃淡指定37で、画像の濃淡の程度を選択することができる。画像の濃淡の調整は、式(3)〜(5)の係数DENSを調整することで行うことができる。これにより、指定色である赤(B,G,R=0,0,255)を基準に、これより赤の濃度を薄く、あるいは濃くすることができる。
図9は、基準となる図7の例より画像の濃度を薄くした場合の例を示している。指定色である赤(B,G,R=0,0,255)を基準に、図7の例より図9の例の方がMトナーの量が少なく、Yトナーはさらに少なくされている。これにより、図7の例より図9の例の方が画像の濃度を薄くしている。
【0040】
図10は、ある値の入力画像信号(B1,G1,R1)に対して、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)、出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)がどのような値となるかの例を示しているテーブルである。図3の例との違いは、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)を出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)に変換するのに際して、まず、2色画像の画像信号(B2,G2,R2)を補色変換して画像信号(Y,M,C)を生成し、この画像信号(Y,M,C)をUCR(Under Color Removal)変換して出力画像信号(Y1,M1,C1,K1)に変換している点にある。
【0041】
補色変換、UCR変換とも一般的に用いられている色変換パラメータであり、画像形成装置3側の特性には依存しない。そこで、画像形成装置3側でこの色変換パラメータを使って色変換処理が行われることを想定して前述の2色化処理を行うようにすれば、2色化処理のパラメータには、個々に異なる画像形成装置3ごとの色変換パラメータを考慮する必要がなく、同じものが使用できる。
【符号の説明】
【0042】
1 画像形成システム
2 パーソナルコンピュータ
3 画像形成装置
21 色処理システム
22 2色化処理部
23 2色化係数生成・格納部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラー画像信号を無彩色と指定色となる有彩色の一色との2色で構成される2色化画像信号を生成する際の前記指定色の指定を受け付ける受付手段と、
前記指定色の明度及び当該色を印刷媒体上に画像形成するのに必要な各色材の量と、前記カラー画像信号の明度に基づいて、前記カラー画像信号から前記2色で構成される画像を印刷媒体上に形成するための各色材の量を求め、この各色材の量により前記カラー画像信号から前記2色化画像信号を生成する生成手段と、
を備えている2色化画像信号生成装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記指定色の明度及び前記カラー画像信号の明度を前記カラー画像信号の各色成分に予め定められた係数をかけることにより求める、請求項1に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記2色化画像信号の前記指定色の濃淡は前記カラー画像信号の同一色の濃淡を基準としていて、要求があったときは当該指定色の濃淡を前記カラー画像信号の同一色の濃淡から変化させる、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記指定色より明度が高い前記カラー画像信号は前記指定色のみで再現し、それ以外の前記カラー画像信号は前記無彩色と前記指定色との組み合わせで再現した前記2色化画像信号を生成する、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項5】
前記生成手段は、当該生成手段で生成後の前記2色化画像信号を補色変換し当該補色変換後の前記2色化画像信号をUCR変換することを想定して当該2色化画像信号を生成する、請求項1〜4のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置と、
前記生成手段で生成後の前記2色化画像信号に基づいて画像形成する画像形成手段と、
を備えている画像形成システム。
【請求項7】
予め指定された一色の有彩色である指定色の明度及び当該色を構成するのに必要な各色材の量と、対象となるカラー画像信号の明度とに基づいて、前記カラー画像信号から無彩色及び前記指定色の2色で構成された画像を形成するための各色材の量を求め、この各色材の量から前記2色で構成された画像の画像信号である2色化画像信号を生成する生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な2色化画像信号生成プログラム。
【請求項1】
カラー画像信号を無彩色と指定色となる有彩色の一色との2色で構成される2色化画像信号を生成する際の前記指定色の指定を受け付ける受付手段と、
前記指定色の明度及び当該色を印刷媒体上に画像形成するのに必要な各色材の量と、前記カラー画像信号の明度に基づいて、前記カラー画像信号から前記2色で構成される画像を印刷媒体上に形成するための各色材の量を求め、この各色材の量により前記カラー画像信号から前記2色化画像信号を生成する生成手段と、
を備えている2色化画像信号生成装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記指定色の明度及び前記カラー画像信号の明度を前記カラー画像信号の各色成分に予め定められた係数をかけることにより求める、請求項1に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項3】
前記生成手段は、前記2色化画像信号の前記指定色の濃淡は前記カラー画像信号の同一色の濃淡を基準としていて、要求があったときは当該指定色の濃淡を前記カラー画像信号の同一色の濃淡から変化させる、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記指定色より明度が高い前記カラー画像信号は前記指定色のみで再現し、それ以外の前記カラー画像信号は前記無彩色と前記指定色との組み合わせで再現した前記2色化画像信号を生成する、請求項1又は2に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項5】
前記生成手段は、当該生成手段で生成後の前記2色化画像信号を補色変換し当該補色変換後の前記2色化画像信号をUCR変換することを想定して当該2色化画像信号を生成する、請求項1〜4のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかの一に記載の2色化画像信号生成装置と、
前記生成手段で生成後の前記2色化画像信号に基づいて画像形成する画像形成手段と、
を備えている画像形成システム。
【請求項7】
予め指定された一色の有彩色である指定色の明度及び当該色を構成するのに必要な各色材の量と、対象となるカラー画像信号の明度とに基づいて、前記カラー画像信号から無彩色及び前記指定色の2色で構成された画像を形成するための各色材の量を求め、この各色材の量から前記2色で構成された画像の画像信号である2色化画像信号を生成する生成処理をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能な2色化画像信号生成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−205227(P2012−205227A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70234(P2011−70234)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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