説明

2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体及びそれを有効成分として含むPGE2生成抑制剤

本発明は、化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩及びそれを有効成分として含むプロスタグランジン E2(prostagrandine E2;PGE2)の生成抑制活性及びそれによる用途に関する。
本発明の2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体は、PGE2の生成に対して優秀な抑制活性を示すことを細胞水準及び動物実験を通じて確認することによって、前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含有する、PGE2活性で誘発される炎症関連疾患治療剤の開発に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロスタグランジン関連受容体であるPGE2の生成抑制活性に優れた2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩、及びそれを有効成分として含むPGE2の生成抑制剤及びPGE2活性に関わる炎症疾患治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
生体は、細菌、成長因子及び化学的腫瘍誘発物質であるLPS(lipopolysaccharide)及びTPA(12-O-tetradecanoylphorbol-13-acetate)によって炎症が惹起されれば、白血球が浸潤され、活性酸素種が発現される[Basic principles and clinical correlates. 1999. pp.1117-113]。しかし、このような内因性活性酸素種による酸化的ストレスが統制されなければ、結局には、DNA損傷と細胞破壊をもたらし、脂質過酸化、シグナリング(signaling)、細胞内2次信号伝逹物質の増加、DNA分節/変異、細胞死滅、血管新生などを引き起こすようになり、発癌の危険性まで招くようになる[NF-kappa B activation by ultraviolet light not dependent on nuclear signal. Science., 1993, 261, 1442-1445;Inhibitory effect of Hibiscus protocatechuic acid on tumor promotion in mouse skin. Cancer Lett., 1998, 126(2), 199-207;Beta 2 integrin/ICAM-1 adhesion molecule interactions in cutaneous inflammation and tumor promotion. Carcinogenesis 1998, 19(3), 445-45]。したがって、医学及び薬学分野で適期に炎症を調節することを重要に認識してからこれに関わる研究が絶えず進行されて来た。現在まで酸化的ストレスによる炎症疾患治療剤の化合物としては、天然物から来由する化合物が大部分であり、特に、ハイドロキシ基を保有するベンゾピラン化合物が代表的である。
【0003】
本発明者らは、大韓民国特許第2003−37592号で2,2−ジメチル−3−エステル−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体と固相平衡合成法によるその合成方法を開示した。より具体的には、前記発明で固相組合化学合成技術(solid-phase combinational chemistry technology)を利用して2,2−ジメチル−3−エステル−4−アルコキシ−6−アミノベンゾピラン化合物またはその誘導体の目的化合物を効率的に合成し、脳神経疾患予防及び治療剤としての用途を開示したことがある。
【特許文献1】大韓民国特許第2003−37592号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これより、本発明者らは、炎症疾患治療剤として適用されることができる新規化合物を探索した結果、前記ハイドロキシを保有するベンゾピラン化合物のように酸化的ラジカルを消去することができる多様な水素結合受容体(hydrogen bond acceptor)を含む化学的構造として、3位置に多様なアルキルエテールが導入したアミノベンゾピラン化合物を設計し、先に出願された固相組合化学合成技術を利用して合成し、前記誘導体がプロスタグランジンE2(prostagrandine E2;以下“PGE2”と言う)の生成を抑制することについて未だ報告されたことがない点に着目し、製造された3位置に多様なアルキルエテールが導入されたアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体をヒト由来真皮細胞及びマウスを利用した動物実験に行った結果、優秀な炎症抑制効果を確認することによって、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、固相組合化学合成技術を利用して2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を提供する。
【0006】
また、本発明では、前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含むPGE2の生成抑制剤及びPGE2活性に関わる炎症疾患予防、治療及びその用途を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明では、第一に、固相組合化学合成技術を利用して2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体及び薬剤学的に許容可能なその塩を提供し、
第二に、前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体がヒトから由来する真皮細胞及びマウスを利用した動物実験を通じて抗炎症効果を検査し、PGE2の生成に対する優秀な抑制活性を確認し、
第三に、前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体を有効成分として含むPGE2の生成抑制剤、ひいては前記PGE2活性に関わる炎症疾患治療剤として適用されることができるその用途を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、下記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を提供する:
【化1】

(上記式中、R1及びR2は、互いに同一あるいは相異なるもので、C1〜C10の直鎖または分鎖または環状アルキル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びペンエチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;
3は、水素原子、C1〜C10のアルキル基、C2〜C10のアルケニル基、C2〜C10のアルキニル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びナプチルメチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;この時、置換されたベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のアルコキシ基及びC1〜C10のハロアルキル基よりなる群から選ばれたいずれか1つの置換体が1乃至4個置換されたベンジル基を示す)
【0009】
本発明の前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体は、そのラセミック化合物またはその異性体を含む。
【0010】
より好ましくは、前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピランまたはその誘導体において、R1及びR2は、互いに同一あるいは相異なるものであって、前記R1及びR2がC1〜C10のアルキル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びペンエチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;R3は、C1〜C4のアルキル基、C2〜C4のアルケニル基、C2〜C4のアルキニル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びナプチルメチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;この時、置換されたベンジル基は、ハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基またはC1〜C4のハロアルキル基から選択された置換体が1乃至4個置換されたベンジル基である。
【0011】
本発明は、前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含むPGE2の生成抑制剤を提供する。
【0012】
前記PGE2の生成抑制剤は、2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体のラセミック化合物またはその異性体を有効成分として含むことができる。
【0013】
また、本発明は、前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含むPGE2活性に関わる炎症疾患治療剤を提供する。
【0014】
前記PGE2活性に関わる炎症疾患治療剤は、2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体のラセミック化合物またはその異性体を有効成分として含むことができる。
【0015】
以下、本発明を詳しく説明する。
前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体は、固相平衡合成法を利用した組合化学合成技術法によって得ることができる。
【0016】
前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体を組合化学合成技術法によって製造する方法は、下記反応式1の通りである:
【化2】

(上記式中、R1、R2及びR3は、上記で定義した通りであり、Pは、ポリスチレン−ジビニルベンゼン、メタクリル酸−ジメチルアクリルアミド及びヒドロキシルメタクリル酸よりなる群から選択される高分子重合体形態の固体支持体を示す)。
【0017】
前記反応式1の製造方法をより具体的に説明すれば、化学式2で表示されるカルバメートリンカーで連結されたベンゾピランの窒素原子に選択的にアルキル置換基の導入反応を行い、前記化学式3で表示されるN−アルキル置換されたカルバメートレジンを合成する第1段階反応;
前記化学式3で表示される化合物にメタクロロ過安息香酸(m−CPBA)とアルコールを同時に入れてエポキシ化反応とアルコキシ付加反応を同時に行い、前記化学式4で表示される2,2−ジメチル−3−ハイドロキシ−4−アルコキシ−6−アルキルアミノ−ベンゾピラン形態のレジンを合成する第2段階反応;
前記化学式4で表示される化合物の3−ハイドロキシ基に多様なアルキルチファンチェを導入し、前記化学式5で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン形態のレジンを合成する第3段階反応;及び
前記化学式5で表示される化合物をトリフルオロアセト酸(TFA)を含むジクロロメタン溶液または有機酸を含む有機溶媒を使って脱離し、前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体を合成する第4段階で構成される。
【0018】
前記製造方法において、合成される反応中間体である前記化学式4で表示される2,2−ジメチル−3−ハイドロキシ−4−アルコキシ−6−アルキルアミノカルバメートレジン及び前記化学式5で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピランレジンも光学異性体なので、必要に応じて各々の異性体化合物を分離することもできる。
【0019】
前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体の製造方法は、本発明者らによって大韓民国特許公開第2003−37668号で、前記アミノベンゾピラン誘導体を固相平衡合成法を利用して効率的に構築できるようにする組合化学合成技術法を記述しているところ、合成の詳細な技術概要を説明することは省略する。
【0020】
本発明は、前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含むPGE2の生成抑制剤を提供する。
【0021】
また、本発明は、前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含むPGE2活性に関わる炎症疾患治療剤を提供する。
【0022】
前記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体は、光学異性体化合物であって、通常の分離方法によってその異性体化合物を分離することができる。また、前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体は、3、4位置にキラル炭素が存在するので、通常の分離方法によってそのラセミック化合物を分離することができる。
【0023】
これより、本発明のPGE2の生成抑制剤及びPGE2活性に関わる炎症疾患治療剤は、前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体の異性体化合物またはそのラセミック化合物を有効成分として含むことができる。
【0024】
本発明での薬剤学的に許容可能な塩は、当該技術分野で通常の方法によって製造されることができ、例えば、塩酸、ブロム化水素、硫酸、硫酸水素ナトリウム、リン酸、炭酸などの無機酸とその塩またはギ酸、酢酸、シュウ酸、ベンゾ酸、クエン酸、酒石酸、グルコン酸、ゲンチジン酸(gentisic acid)、フマル酸、ラクトビオン酸、サリチル酸、またはアセチルサリチル酸(アスピリン)のような有機酸と一緒に薬剤学的に許容可能なこれらの酸の塩を形成するか、またはナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属イオンと反応してこれらの金属塩を形成するか、またはアンモニウムイオンと反応して他の形態の薬剤学的に許容可能な塩を形成することもできる。
【0025】
また、本発明の薬剤組成物は、2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩に通常の無毒性薬剤学的に許容可能な担体、補強剤及び賦形剤などを添加して薬剤学籍分野で通常の製剤、例えば錠剤、カプセル剤、トローチ剤、液剤、懸濁剤などの経口投与用製剤または非経口投与用製剤に製剤化することができる。
【0026】
また、本発明による化合物の人体に対する投与用量は、患者の年齢、体重、性別、投与形態、健康状態及び疾患程度によって異なることができ、体重が70kgの成人患者を基準にする時、一般的に0.01〜1,000mg/日であり、医者または薬剤師の判断によって一定の時間間隔で1日1回乃至数回に分割投与することもできる。
【0027】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
下記実施例は、本発明を例示するものに過ぎず、本発明の範囲が下記実施例に限定されるわけではない。
【0028】
[実施例1] 2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン(化学式1−1)の合成
段階1:2,2−ジメチル−3、4−ジハイドロ−6−アミノベンゾピランカルバメートレジン(化学式2)のN−メチル化反応
【化3】

【0029】
化学式2で表示されるベンゾピレン形態のカルバメートレジン(200.00mg、0.12mmol)をジメチルスルホキシド(DMSO)(3mL)に入れ、常温で10分間撹拌した後、テトラハイドロフラン(THF)溶液に溶けている1モルのリチウムt−ブトキシド(LiOtBu;0.36ml、0.36mmol)を加えた後、同じ温度で20分間振って混合した後、ヨード化メタン(MeI;0.051ml、0.36mmol)を加え、35℃で15時間振って反応した。反応終了後、反応混合物を濾過し、DMF、MC、MC/MeOH、MeOHで繰り返して洗浄し、化学式3−1で表示される淡褐色固体であるN−メチル置換カルバメートレジンを得た(ATR−FTIR;N−methylation carbamate:1700cm-1)。
【0030】
段階2:2,2−ジメチル−3、4−ジハイドロ−6−メチルアミノベンゾピランカルバメートレジン(化学式3−1)のハイドロメトキシ付加反応
【化4】

【0031】
化学式3−1で表示されるN−メチル置換カルバメートレジン(200mg、0.12mmol)をジクロロメタン(3ml)とメタノール(3ml)の混合溶液に入れ、30分間振って、メタ−クロロベンゾ酸(m−CPBA;103mg、0.60mmol)を常温で加えた後、35℃で12時間振って反応した。反応終了後、反応混合物を濾過し、DMF、MC、MC/MeOH、MeOHで繰り返して洗浄し、化学式4−1で表示される薄い黄色固体であるレジンを得た。
【0032】
段階3:2,2−ジメチル−3−ハイドロキシ−4−メトキシ−6−メチルアミノベンゾピランカルバメートレジン(化学式4−1)のエーテル化反応
【化5】

【0033】
化学式4−1で表示されるカルバメートリンカーで連結された2,2−ジメチル−3−ハイドロキシ−4−メトキシ−6−メチルアミノベンゾピランレジン(200mg、0.12mmol)をジメチルホルムアミド(3ml)溶液に入れ、常温で30分間振った後、1モルのTHF溶液にリチウムt−ブトキシド(LiOtBu;1.1ml、1.1mmol)を加えた後、常温で30分間振った後、ベンジルブロマイド(0.131ml、1.1mmol)を加えた後、常温で6時間振って反応した。反応終了後、反応混合物を濾過し、DMF、MC、MC/MeOH、MeOHで繰り返して洗浄し、化学式5−1で表示される淡褐色固体であるレジンを得た。
【0034】
段階4:2,2−ジメチル−3−ベンジルエテール−4−メトキシ−6−メチルアミノベンゾピランカルバメートレジン(化学式5−1)の脱離反応
【化6】

【0035】
化学式5−1で表示されるレジン(200mg)をジクロロメタン(5ml)溶液に入れて振り、トリフルオロアセト酸(TFA、1ml)を加えた後、室温で3時間振った。反応終了後、反応混合物を濾過し、濾過物をジクロロメタンとメチルアルコールで繰り返して洗浄し、濾過液を合わせて濃縮した。濃縮された混合物にエチルアセテート(3ml)を加えた後、陰イオン交換樹脂レジン(SAX)に濾過させ、エチルアセテートで繰り返して洗浄し、残余のトリフルオロアセト酸を除去した。濾過液を減圧濃縮した後、ヘキサン/エチルアセテート(4/1v/v)の混合溶媒下でシリカゲル状のカラムクロマトグラフィーで分離精製し、化学式1−1で表示される淡黄色オイル(16mg、収率=44%;レジン1から4段階総収率;レジン1のローディング用量=0.55mmol/g)を得た。
【0036】
[実施例2〜101] 2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体の合成
下記化学式1で表示される化合物で、R1、R2及びR3を下記表1の記載に基づいて実施することを除いて、前記実施例1と同様の方法で行い、2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体を合成した。
【0037】
また、合成された2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体の分析結果を表1に記載した。
【化7】

【0038】
【表1−1】

【0039】
【表1−2】

【0040】
【表1−3】

【0041】
【表1−4】

【0042】
【表1−5】

【0043】
【表1−6】

【0044】
【表1−7】

【0045】
【表1−8】

【0046】
【表1−9】

【0047】
【表1−10】

【0048】
【表1−11】

【0049】
【表1−12】

【0050】
【表1−13】

【0051】
[実験例1] PGE2生物検定実験:PGE2細胞生成抑制活性実験
前記実施例1〜101で製造された2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体について、PGE2の生成に対する抑制及び薬理活性の薬効試験を下記のように行った。
【0052】
炎症抑制試験は、前記実施例1〜101で製造された2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体が炎症の指標であるPGE2を細胞水準でどの程度減少させるかを評価するものである。本実験で使われた腫瘍誘発物質であるTPA(12−O−tetradecanoylphorbol−13−acetate)は、マウスの局所適用の例のように、その適用濃度及び時間によって表皮及び真皮に白血球を浸潤させ、炎症反応を起こして、表皮増殖を通じて腫瘍を誘発する物質である。ヒト由来真皮細胞であるNHF(normal human fibroblast、5×105/plate)を48−ウェル平板に単層で24時間培養し、24時間血清濃度を減少(serumstarvation)させた後、炎症抑制剤として期待される試験物質を高濃度は500nMに定め、公比を10に設定して5個濃度を処理し、37℃、5%CO2の条件で30分間培養した。その後、TPAを18時間処理して培養された培地上澄液(cultured medium supernatant)を取ってPGE2 ELISA assayを実施した。炎症抑制効果は、試験物質を処理しない群でTPAによって増加されたPGE2を試験物質を処理した群で50%減少させる濃度(IC50)で比較した。
【0053】
【表2】

【0054】
前記実施例で製造された2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体についてPGE2の生成抑制活性評価を行った結果、PGE2細胞実験で炎症抑制率がすべての実験群で100%を示し、そのIC50結果で優秀なPGE2生成抑制活性を確認した。したがって、本発明の2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物またはその誘導体は、PGE2活性に関わる炎症疾患治療剤開発の新規な薬物として使われることができる。
【0055】
[製剤例1] 錠剤(加圧方式)の製造
活性成分として、本発明の化学式1で表示される化合物5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.1mg、クロスポビドンUSNF0.8mg及びマグネシウムステアレート0.1mgを混合し加圧して錠剤を製造した。
【0056】
[製剤例2] 錠剤(湿式組立)の製造
活性成分として、本発明の化学式1で表示される化合物5.0mgを篩にかけた後、ラクトース16.0mgと澱粉4.0mgを混合した。ポリソルベート80 0.3mgを純粋な水に溶解した後、この溶液の適量を添加し、微粒化した。乾燥後に微粒を篩にかけた後、コルロイダルシリコンジオキサイド2.7mg及びマグネシウムステアレート2.0mgと混合した。微粒を加圧し、錠剤を製造した。
【0057】
[製剤例3] 粉末及びカプセル剤の製造
活性成分として、本発明の化学式1で表示される化合物5.0mgを篩にかけた後、ラクトース14.8mg、ポリビニルピロリドン10.0mg、マグネシウムステアレート0.2mgと混合した。混合物を適当な装置を使って堅固なNo.5ゼラチンカプセルに満たした。
【0058】
[製剤例4] 注射剤の製造
活性成分として、本発明の化学式1で表示される化合物100mgを含有させ、その他にもマンニトール180mg、Na2HPO4・12H2O26mg及び蒸溜水2,974mgを含有させて注射剤を製造した。
【0059】
以上より、本発明は、記載された実施例について詳しく記述されたが、本発明の技術思想範囲内で多様な変形及び修正が可能であることが当業者にとって自明なものであり、このような変形及び修正が添付の特許請求範囲に属することは当然なものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩:
【化1】

(上記式中、R1及びR2は、互いに同一あるいは相異なるもので、C1〜C10の直鎖または分鎖または環状アルキル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びペンエチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;
3は、水素原子、C1〜C10のアルキル基、C2〜C10のアルケニル基、C2〜C10のアルキニル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びナプチルメチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;この時、置換されたベンジル基は、ハロゲン原子、ニトロ基、C1〜C10のアルキル基、C1〜C10のアルコキシ基及びC1〜C10のハロアルキル基よりなる群から選ばれたいずれか1つの置換体が1乃至4個置換されたベンジル基を示す)
【請求項2】
前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体は、そのラセミック化合物またはその異性体を含むことを特徴とする請求項1に記載の前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩。
【請求項3】
前記化学式1で、R1及びR2は、互いに同一あるいは相異なるものであって、前記R1及びR2がC1〜C10のアルキル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びペンエチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;R3は、C1〜C4のアルキル基、C2〜C4のアルケニル基、C2〜C4のアルキニル基、ベンジル基または置換されたベンジル基及びナプチルメチル基よりなる群から選ばれたいずれか1つであり;この時、置換されたベンジル基は、ハロゲン原子、C1〜C4のアルキル基またはC1〜C4のハロアルキル基から選択された置換体が1乃至4個置換されたベンジル基であることを特徴とする請求項1に記載の前記2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩。
【請求項4】
請求項1の化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含むことを特徴とするPGE2の生成抑制剤。
【請求項5】
前記PGE2の生成抑制剤が2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体のラセミック化合物またはその異性体を有効成分として含むことを特徴とする請求項4に記載の前記PGE2の生成抑制剤。
【請求項6】
請求項1の化学式1で表示される2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン化合物、その誘導体または薬剤学的に許容可能なその塩を有効成分として含むことを特徴とするPGE2活性に関わる炎症疾患治療剤。
【請求項7】
前記PGE2活性に関わる炎症疾患治療剤が2,2−ジメチル−3−アルキルエテール−4−アルコキシ−6−アルキルアミノベンゾピラン誘導体のラセミック化合物またはその異性体を有効成分として含むことを特徴とする請求項6に記載の前記PGE2活性に関わる炎症疾患治療剤。

【公表番号】特表2008−542262(P2008−542262A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−513383(P2008−513383)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【国際出願番号】PCT/KR2006/002023
【国際公開番号】WO2007/001119
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(503327691)株式會社アモーレパシフィック (73)
【住所又は居所原語表記】181, Hankang−ro 2−ka, Yongsan−ku, Seoul 140−777 Republic of Korea
【出願人】(507390240)コリア リサーチ インスティチュート オブ ケミカル テクノロジー (1)
【氏名又は名称原語表記】KOREA RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL TECHNOLOGY
【住所又は居所原語表記】100, Jang−dong, Yuseong−gu, Daejeon 305−600 Republic of Korea
【Fターム(参考)】