説明

20q13アンプリコンからの遺伝子及びそれらの使用

【課題】20q13アンプリコンからの新規遺伝子及びそれらの使用の提供。
【解決手段】さまざまな癌において増幅され、かつ過剰発現されるヒト第20染色体上の20q13.2領域内における染色体異常を検出する方法に関し、更に患者からの染色体サンプルに対するcDNA配列を用いた、さまざまな疾患に関連する染色体異常の同定のためのハイブリダイゼーション複合体の検出、コピー数の測定、及び疾患の治療への利用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロス−リファレンス
本願は、1995年10月20日に出願された同時係属中の米国特許出願 USSN 08/546,130 に関係する、1997年1月17日に出願された USSN 08/785,532 、1996年10月16日に出願された USSN 08/731,499及び1996年7月15日に出願された USSN 08/680,395 の一部継続である(これらの全てを目的を限定せずに引用により本明細書中に取り込む。)。
【背景技術】
【0002】
本発明の背景
本発明は、細胞遺伝学の分野に関する。より特に、本発明は、さまざまな癌におけるほぼ 20q13における増幅の領域内での遺伝子の同定に関する。本明細書中に開示される遺伝子は、 20q13アンプリコンに特異的なプローブとして及びさまざまな癌の治療のために使用されることができる。
【0003】
染色体異常は、遺伝子失調、変性疾患、及び癌にしばしば関連する。特に、全染色体又は染色体セグメントの欠失又はコピーの増幅、及びそのゲノムの特定の領域の高レベルの増幅が、癌において一般に発生する。例えば、Smith, et al., Breast Cancer Res. Treat., 18: Suppl. 1: 5-14 (1991), van de Vijer & Nusse, Biochim.Biophys.Acta. 1072: 33-50 (1991), Sato, et al., Cancer.Res., 50: 7184-7189 (1990)を参照のこと。実際、プロト−オンコジーンと腫瘍抑制遺伝子をそれぞれ含む DNAの増幅と欠失は、しばしば腫瘍形成に特徴的である。Dutrillaux, et al., Cancer Genet.Cytogenet., 49: 203-217 (1990) 。明らかに、関連する遺伝子の増幅された及び欠失された領域の同定及びクローニングは、腫瘍形成の研究及び癌診断の開発の両者にとって決定的である。
【0004】
増幅され又は欠失された染色体領域の検出は、伝統的には細胞遺伝学により行われてきた。染色体内への DNAの複雑なパッキングのために、細胞遺伝学的技術の分解能は、約10Mb;ほぼ、Giemsa染色された染色体内のバンドの幅、よりも大きな領域に限定されてきた。多数の転座(translocation) 及び他の遺伝子変化を伴う複雑な核型において、伝統的な細胞遺伝学の分析は、ほとんど有用ではない。なぜなら、核型の情報を欠いており又は翻訳されることができないからである。Teyssier, J.R., Cancer Genet.Cytogenet., 37: 103 (1989) 。さらに、慣用の細胞遺伝学的バンド分析は時間がかかり、労働集約的であり、そしてしばしば困難であり又は不可能である。
【0005】
より最近には、クローン化されたプローブは、サザン・ブロッティングにより染色体内の所定の DNA配列の量を評価するために使用されてきた。この方法は、ゲノムが有用な核型情報を消去するようにひどく再編成される場合でさえ、有効である。しかしながら、サザン・ブロッティングは、 DNA配列のコピー数のラフな推定を与えるだけであり、そして染色体内のその配列の位置決めについての情報を全く与えない。
【0006】
比較ゲノム・ハイブリダイゼーション(CGH) は、増幅され/欠失された配列の存在及び位置決めを同定するための最新のアプローチである。Kallioniemi, et al., Science, 258: 818 (1992) を参照のこと。 CGHは、サザン・ブロッティングと同様に、ゲノム再編成に拘らず増幅及び欠失を現す。さらに、 CGHは、サザン・ブロッティングよりもより定量的なコピー数の推定を提供し、そしてその上、正常な染色体内の増幅され又は欠失された配列の位置決めの情報をも提供する。
【0007】
CGHの使用により、染色体の 20q13領域が、癌においてしばしば増幅される領域として同定されてきた(例えば、Kallioniemi et al., Genomics, 20: 125-128 (1994)を参照のこと。)。胸癌細胞系におけるこの領域の初期の分析は、一貫して増幅される第20染色体上に約2Mbの領域を同定した。
【発明の開示】
【0008】
本発明の要約
本発明は、原発性腫瘍内で一貫して増幅される約染色体20q13(より正確には20q13.2)に位置する2Mbのアンプリコン内に(約600kb)の狭い領域の同定に関する。さらに、本発明は、この領域にマップされる多数の遺伝子からのcDNA配列を提供する。これらの配列は、生物学的サンプル、例えば腫瘍細胞から対応の配列の相対的なコピー数をモニタリングするためのプローブ又はプローブ標的として有用である。上記アンプリコンに特異的なプローブを調製するために使用されることができるコンティグ(このアプリコンに接触して広がる一連のクローン)も提供される。これらのプローブは、 20q13における染色体異常を検出するために使用されることができる。
従って、1の態様においては、本発明は、ヒト第20染色体上のほぼFLpter 0.825位(20q13.2位)における染色体異常(例えば、増幅又は検出)を検出する方法を提供する。本法は、プローブが標的配列と安定したハイブリダイゼーション複合体を形成するところの条件下でヒト第20染色体上のほぼFLpter 0.825位における標準ポリヌクレオチド配列にその各々が選択的に結合するところの1以上の標識された核酸配列から本質的に成る組成物と患者からの染色体サンプルを接触させ;そしてそのハイブリダイゼーション複合体を検出することを含む。上記ハイブリダイゼーション複合体の検出段階は、上記標的配列のコピー数を測定することを含むことができる。上記プローブは、好ましくは、本明細書中に開示された核酸から選ばれた1の核酸にストリンジェント条件下で特異的にハイブリダイズする核酸を含んで成る。さらにより好ましくは、上記プローブは、配列番号:1〜10及び12に記載の配列から選ばれた1のサブ配列を含んで成る。このプローブは好ましくは標識付けされ、そしてより好ましくは、ジゴキシゲニン(digoxigenin) 又は(biotin)で標識される。1の態様においては、上記ハイブリダイゼーション複合体は、サンプル中の静止核(interphase nuclei) 内に検出される。検出は好ましくは蛍光標識(例えば、FITC、フルオレセイン、又はテキサス・レッド(Texas Red))を検出することにより行われる。この方法は、第20染色体の動原体に選択的に結合する参照プローブと上記サンプルを接触させることをさらに含むことができる。
【0009】
本発明は、さまざまな癌において増幅され、かつ、過剰発現される 20q13.2領域内に、2つの新たな遺伝子、 ZABC1と 1b1をも提供する。 ZABC1は推定上のZnフィンガー・プロテインである。このZnフィンガー・プロテインは、さまざまな転写因子内に在り、そして転写因子の増幅又は過剰発現は典型的には細胞のミス−レギュレーション(mis-regulation)をもたらす。従って、 ZABC1と 1b1は、多くの癌の病因論において重要な役割を演じるようである。
本発明は、新たなヒトのサイクロフィリン核酸(配列番号:13)を提供する。サイクロフィリン核酸は、シグナル変換を含むさまざまな細胞過程に関係しているとみなされてきた。
【0010】
本発明は、 20q13アンプリコン内の核酸配列(配列番号:1〜10及び12〜13)によりコードされたタンパク質及びサブ配列、より好ましくは、長さ少なくとも10アミノ酸、好ましくは少なくとも20アミノ酸、そして最も好ましくは少なくとも30アミノ酸のサブ配列をも提供する。特に好ましいサブ配列は、 20q13プロテインに特異的なエピトープ、より好ましくは ZABC1と 1b1プロテインに特異的なエピトープである。このようなタンパク質は、非限定的に、配列番号:1〜10及び12〜13の核酸によりコードされたポリペプチドからの又は配列番号:11のポリペプチドからの少なくとも20のアミノ酸を含む単離されたポリペプチドを含み、ここで、このポリペプチドは、免疫原として提示されるとき、配列番号:1〜10及び12〜13の核酸によりコードされたポリペプチドから成る群又は配列番号:11のポリペプチドから選ばれたポリペプチドに特異的に結合する抗体の生産を顕出し、ここで、上記ポリペプチドは、配列番号:1〜10及び12〜13の核酸によりコードされたポリペプチドから成る群又は配列番号:11のポリペプチドから選ばれたポリペプチドにより十分に免疫吸着されている配列番号:11のポリペプチド又は配列番号:1〜10及び12〜13の核酸によりコードされたポリペプチドから成る群から選ばれたポリペプチドに対して生じた抗血清に結合しない。好ましい態様においては、本発明のポリペプチドは、配列番号:1〜13によりコードされたものによりコードされたポリペプチドに対して生じた抗血清にハイブリダイズし、ここで、その抗血清は、構造的に最も関連した先に知られたポリペプチドにより免疫吸収されている。例えば、本発明のポリペプチドは、配列番号:13によりコードされたポリペプチドに対して生じた抗血清に結合し、ここで上記抗血清は、ラット又はマウスのサイクロフィリン・ポリペプチドにより免疫吸収されている(Ratのサイクロフィリン核酸は、知られている;アクセス番号M19533の下 GenBankTMを参照のこと;マウスのサイクロフィリン核酸は知られている;アクセス番号 50620の下、 GenBankTMを参照のこと。マウスとラットのサイクロフィリンcDNAからのcDNAは配列番号:13と約85%同一である。)。
【0011】
他の態様においては、本法は、 20q13アンプリコン内の核酸(ORF) によりコードされたポリペプチド(タンパク質)を検出することを含む。本法は、本明細書中に関連されるタンパク質アッセイを非限定的に含む多数の周知のタンパク質検出方法を含むことができる。
【0012】
本発明は、アンプリコン内の遺伝子からのcDNA配列(配列番号:1〜10及び12〜13)をも提供する。上記核酸配列は、内因性遺伝子の発現又はその遺伝子産物の活性を調節するための知られた方法に従って治療的用途において使用されることができる。治療的アプローチの例は、遺伝子発現のアンチセンス阻害、遺伝子治療、その遺伝子産物に特異的に結合するモノクローナル抗体を含む。これらの遺伝子はインビトロにおける遺伝子産物の組換え発現のために使用されることもできる。
【0013】
本発明は、アンプリコン内の遺伝子からのcDNA配列(例えば、配列番号:1〜10及び12〜13)によりコードされたタンパク質(例えば、配列番号:11)をも提供する。増幅された核酸が発現されたcDNAを含む場合、そのタンパク質発現産物の検出及び/又は定量は、その存在又は非存在を同定し又はアンプリコンの又はそのアンプリコンにより作られた異常なタンパク質産物の増幅レベルを定量するために使用されることができる。
【0014】
本明細書中に開示されるプローブは、ヒト第20染色体上のほぼFLpter 0.825位における染色体異常の検出のためのキットにおいて使用されることができる。これらのキットは、ヒト第20染色体上のほぼFLpter 0.825位における標的ポリヌクレオチド配列に選択的に結合する標識された核酸プローブを含む区画を含む。このプローブは、好ましくは、本明細書中に開示される核酸から選ばれた核酸にストリンジェント条件下特異的にハイブリダイズする少なくとも1の核酸を含む、さらにより好ましくは、上記プローブは、本明細書中に開示される核酸から選ばれた1以上の核酸を含む。好ましい態様においては、上記プローブは、ジゴキシゲニン又はビオチンで標識される。上記キットは、第20染色体の動原体内の配列に特異的な参照プローブをさらに含む。
【0015】
定義
本明細書中に使用するとき“核酸サンプル”は、本発明のプローブへのハイブリダイゼーションのために好適な形態における DNAを含むサンプルをいう。核酸は、全ゲノム DNA、全mRNA、特定の染色体からのゲノム DNA又はmRNA、又は本明細書中に開示される特定のアプリコン内の選ばれた配列(例えば、特定のプロモーター、遺伝子、増幅又は制限断片、cDNA、等)であることができる。この核酸サンプルは、特定の細胞又は組織から抽出されることができる。それから核酸サンプルが調製されるところの組織サンプルは、検出されている増幅に関係する疾患をもつ疑いのある患者から典型的に採取される。ある場合には、上記核酸は、ハイブリダイゼーションに先立って、標準的な技術、例えば PCRを使用して増幅されることができる。上記サンプルは、サザン又はドット・ハイブリダイゼーションその他における使用のための固相表面(例えば、ニトロセルロース)上に固定化された単離核酸であることができる。上記サンプルは、個々の核酸が実質的に無傷で残り、そして標準的な技術に従って調製される静止核(inter phase nuclei)を含むように調製されることもできる。本明細書中に使用するとき“核酸サンプル”は、実質的に無傷の濃縮された染色体(例えば、分裂中期の(metaphase) 染色体)をもいうことができる。このような濃縮された染色体は、イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション技術におけるハイブリダイゼーション標的(例えば、FISH)としての使用のために好適である。(抽出された核酸又は無傷の分裂中期の染色体としてのいずれであっても)用語“核酸サンプル”の特定の用い方は、その用語が使用される文脈から当業者に容易に明らかになるであろう。例えば、上記核酸サンプルは、以下に記載するイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション法のために調製された組織又は細胞サンプルであることができる。
【0016】
上記サンプルは、個々の染色体が実質的に無傷で残り、そして典型的には、標準的な技術に従って調製された分裂中期のスプレッド(spreads) 又は静止核を含むように、調製される。
【0017】
本明細書中に使用するとき“染色体サンプル”とは、以下に記載する標準的なイン・サイチュー・ハイブリダイゼーション法のために調製された組織又は細胞サンプルをいう。上記サンプルは、個々の染色体が実質的に無傷で残り、そして典型的には、標準的な技術に従って調製された分裂中期のスプレッド又は静止核を含むように、調製される。
【0018】
“核酸”とは、1本鎖又は2本鎖形態のいずれかにおけるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドをいい、そして別段限定しない限り、天然ヌクレオチドと同様なやり方で機能することができる天然ヌクレオチドの知られたアナログを包含するであろう。
【0019】
“単離された”ポリヌクレオチドは、天然にそれに同伴する他の汚染物、例えば、タンパク質、脂質、及び他のポリヌクレオチド配列から実質的に分離されたポリヌクレオチドである。この用語は、それらの天然環境又はクローン・ライブラリーから除去され又は精製されているポリヌクレオチド配列を包含し、そして組換え又はクローン化された DNA単離物及び化学的に合成アナログ又は異種系により生物学的に合成されたアナログを含む。
【0020】
“サブ配列”とは、より長い核酸配列の一部を含む核酸配列をいう。
本明細書中に使用するとき“プローブ”又は“核酸プローブ”とは、標的へのそのハイブリダイゼーションが検出されることができるところの1以上の核酸断片のコレクション(収集物)として定義される。上記プローブは、上記標的へのその結合が検出されることができるように以下に記載するように標識されず又は標識されることができる。上記プローブは、ゲノムの1以上の特定の(事前に選択された)部分、例えば、1以上のクローン、単離された染色体全体又は染色体断片、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 増幅産物のコレクションから製造される。本発明のプローブは、本明細書中に記載するように 20q13アンプリコン内に在る核酸から作られる。上記プローブは、いくつかのやり方で、例えば、反復核酸のブロッキング又は除去又はユニーク核酸の濃縮によりプロセスされることができる。従って、用語“プローブ”は、検出可能な核酸だけではなく、例えば、ブロッキング核酸等をもって、標的に適用されるところの形態にある検出可能な核酸をいうために、本明細書中に使用されることができる。上記ブロッキング核酸は、別に言及されることもできる。“プローブ”が特別に言及するものは、この用語が使用されるところの文脈から明らかである。
【0021】
上記プローブは、固体表面(例えば、ニトロセルロース)上に固定化された単離核酸であることもできる。いくつかの態様においては、プローブは、例えば、 WO 96/17958 中に記載されたような、多数の核酸アレイであることができる。高密度アレイを作ることができる技術も、上記目的のために使用されることができる(例えば、Fodor et al. Science 767-773 (1991) 及び米国特許第 5,143,854号を参照のこと。)。
【0022】
“ハイブリダイジング”とは、相補的塩基の対合を介しての2つの1本鎖核酸の結合をいう。
【0023】
“実質的に結合する”又は“特異的に結合する”又は“選択的に結合する”又は“特異的にハイブリダイズする”とは、オリゴヌクレオチドと標的配列の間の相補的ハイブリダイゼーションをいい、そして標的ポリヌクレオチド配列の所望の検出を達成するためにそのハイブリダイゼーション媒質のストリンジェンシーを減少させることにより合わせられることができる僅かなミスマッチ(minor mismatches)を包含する。これらの用語は、その配列が複雑な混合物(例えば、全細胞)DNA又は RNA中に存在するとき、ストリンジェント条件下で特定の核酸配列だけへの、分子の結合、2本鎖形成、又はハイブリダイジングをもいう。用語“ストリンジェント条件”は、その下で、プローブがその標的サブ配列にハイブリダイズするであろうが他の配列にはハイブリダイズしないであろうところの条件をいう。ストリンジェント条件は、配列依存性であり、そして異なる状況において相違するであろう。核酸ハイブリダイゼーション実験、例えば CGH, FISH、サザン及びノーザン・ハイブリダイゼーションの文脈における“ストリンジョント・ハイブリダイゼーション”及び“ストリンジェント・ハイブリダイゼーション洗浄条件”は、配列依存性であり、そして異なる環境パラメーター下で相違する。核酸のハイブリダイゼーションについての広範囲にわたるガイドは、 Tijssen (1993) Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology -- Hybridazation with Nucleic Acid Probes part I chapter 2 "overview of principles of hybridizationand strategy of nucleic acid probe assays", Elsevier, New York中に在る。一般に、高ストリンジョント・ハイブリダイゼーション及び洗浄条件は、所定のイオン強度及びphにおける特異的配列についての熱融点(Tm )よりも約5℃低くあるように選ばれる。このTm は、その標的配列の50%が完全にマッチしたプローブにハイブリダイズするところの(所定のイオン強度及びpH下の)温度である。かなりストリンジェントな条件が、特定のプローブのためのTmに等しくあるように選ばれる。
【0024】
サザン又はノーザン・ブロットにおけるフィルター上に 100を超える相補残基をもつ相補的核酸のハイブリダイゼーションのためのストリンジェントなハイブリダイゼーションの条件の例は、そのハイブリダイゼーションが一夜行われる場合、42℃における1mgのヘパリンを含む50%ホルマリンである。ストリンジェント洗浄条件の例は、15分間65℃における.2×SSC である(SSCバッファーの説明についてはSambrook前掲を参照のこと。)。しばしば、この高ストリンジェンシー洗浄は、バックグラウンド・シグナルを除去するために低ストリンジェンシー洗浄により先行される。例えば約 100ヌクレオチド以上の2本鎖についての例示的な中程度のストリンジェンシー洗浄は、15分間45℃において1×SSC である。例えば、 100を超えるヌクレオチドの2本鎖についての例示的な低ストリンジェンシー洗浄は、15分間40℃における4×SSC である。一般に、特定のハイブリダイゼーション・アッセイにおける無関係なプローブについて観察されるものよりも2×(以上)高いシグナル対ノイズ比は、特異的なハイブリダイゼーションの検出を示す。
【0025】
当業者は、本明細書中に記載される特定のプローブの正しい配列がその開示されたプローブに“実質的に同一”であるがその標的配列に実質的に結合する能力を保持しているプローブを作り出すためにある程度修飾されることができるということを認めるであろう。このような修飾は、本明細書中の個々のプローブを参照することにより特別にカバーされる。ポリヌクレオチド配列の用語“実質的同一性”とは、ポリヌクレオチドが、標準的なパラメーターを使用する以下に記載する方法を使用した参照配列に比較して、少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性をもつ配列を含むということを意味する。
【0026】
2つの核酸配列は、その2つの配列内のヌクレオチドの配列が、以下に記載するように最大の一致について整列されるときに同一である場合に、“同一”であるといわれる。用語“相補的”とは、本明細書中、その相補配列が参照ポリヌクレオチド配列の全部又は一部に同一であることを意味するために使用される。ストリンジェント条件下互いに相補的なバージョンにハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合、未だ実質的に同一である。これは、例えば、核酸のコピーがその遺伝子コードにより許容される最大コドンの縮重を使用して創出されるときに、生じる。
【0027】
2(以上の)ポリヌクレオチドの間の配列の比較が、配列類似性をもつ局所的領域を同定し及び比較するために“比較窓”上でその2つの配列の配列を比較することにより典型的に行われる。本明細書中に使用するとき、“比較窓”とは、2つの配列が最適に整列された後、同一の隣接位置数をもつ参照配列に比較されることができるところの、少なくとも約20の隣接位置、通常約50〜約 200の隣接、より普通には約 100〜約 150の隣接位置数をもつセグメントをいう。
【0028】
比較のための配列の最適な配列は、Smith and Waterman Adv.Appl.Math. 2: 482 (1981) の局所的ホモロジー・アルゴリズムにより、Needleman and Wunsch J.Mol.Biol. 48: 443 (1970) のホモロジー整列アルゴリズムにより、Pearson and Lipman Proc.Natl.Acad.Sci. (U.S.A.) 85: 2444 (1988) の類似性方法のためのサーチにより、これらのアルゴリズムのコンピューター支援による実行により、行われることができる。
【0029】
“配列同一性のパーセンテージ”は、比較窓上で2つの整列された配列を比較することにより測定され、ここで、その比較窓内のポリヌクレオチド配列の部分は、その2つの配列の最適整列のために(付加又は欠失を含まない)参照配列に比較したとき、追加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含むことができる。パーセンテージは、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両配列内で生じているところの位置の数を測定してマッチした位置の数を測定し、比較窓内の全位置数により上記マッチした位置数を割り、そしてその結果に 100を掛けて同一性のパーセンテージを得ることにより計算される。ヌクレオチド配列が実質的に同一であるという他の指標は、2 つの分子がストリンジェント条件下同一の核酸配列にハイブリダイズする場合である。特定の核酸配列の“保存的に修飾されたバリエーション”は、同一の又は同一のアミノ酸配列をコードする核酸を、又はその核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列をいう。遺伝子コードの縮重のために、多数の機能的に同一な核酸がいずれかの所定のポリペプチドをコードする。例えば、コドン CGV, CGC, CGA, CGG, AGA、及び AGGは全て、アミノ酸アルギニンをコードする。従って、アルギニンがコドンにより特定されている各々の位置において、そのコドンは、そのコードされたポリペプチドを変更せずに上記の対応コドンのいずれかに変更されることができる。このような核酸のバリエーションは、“保存的に修飾されたバリエーション”の1の種である“サイレントなバリエーション”である。ポリペプチドをコードする本明細書中の各核酸配列もそれぞれ可能性のあるサイレント・バリエーションを記載する。当業者は、(元来、メチオニンのための唯一のコドンである AUGを除き)核酸内の各コドンが修飾されて標準的な技術により機能的に同一な分子が作られることができるということを認めるであろう。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各“サイレントなバリエーション”は、各記載された配列内で暗黙である。さらに、当業者は、コードされた配列内の単一アミノ酸又は低パーセンテージのアミノ酸(典型的には5%未満、より典型的には1%未満)を変更し、付加し又は欠失させる個々の置換、欠失又は付加が、その変更が化学的に類似のアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす場合、“保存的に修飾されたバリエーション”であるということを認めるであろう。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換の表は、本分野において周知である。以下の6つの群はそれぞれ、互いにとって保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リジン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
【0030】
用語"20q13アンプリコン・タンパク質”とは、本明細書中に開示される 20q13アンプリコン内のORFsによりコードされたタンパク質をいうために使用される。 20q13アンプリコン・タンパク質を検出するアッセイは、被験生物学的サンプル中に存在する内因性(生来)の 20q13アンプリコン・タンパク質のレベルを検出することを意図される。しかしながら、(その生物学的サンプルに外因的な源からの)外来 20q13アンプリコン・タンパク質は、さまざまなアッセイに添加されて、抗− 20q13アンプリコン・タンパク質抗体への結合において、ラベルを提供し、又はその生来の 20q13アンプリコン・タンパク質と競合することができる。当業者は、 20q13アンプリコン・タンパク質擬態が上記文脈において外来 20q13タンパク質に代えて使用されることができるということを認めるであろう。本明細書中に使用するとき"20q13タンパク質”とは、生来の 20q13アンプリコン・タンパク質に特異的に結合する抗体によりそれが特異的に結合されるような1以上の 20q13アンプリコン・タンパク質エピトープを担持する分子をいう。
【0031】
本明細書中に使用するとき、“抗体”とは、免疫グロブリン遺伝子又は免疫グロブリン遺伝子の断片により実質的にコードされた1以上のポリペプチドから成るタンパク質をいう。認識された免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、イプシロン及びミュー定常領域遺伝子、並びにその無数の免疫グロブリンの可変領域遺伝子を含む。軽鎖はカッパ又はラムダのいずれかとして分類される。重鎖は、ガンマ、ミュー、アルファ、デルタ、又はイプシロンとして分類され、これは次に、それぞれ、免疫グロブリンのクラス、IgG, IgM, IgA, IgD及び IgEを定める。
【0032】
基本的な免疫グロブリン(抗体)構造単位はテトラマーを含むことが知られている。各テトラマーは、各対が1の“軽”(約25kD)と1の“重”(約50〜70kD)をもつ、2つの同一のポリペプチド鎖対から成る。各鎖のN末端は、主に抗原認識に責任を負う約 100〜110 以上のアミノ酸の可変領域を定める。用語可変軽鎖(VL )と可変重鎖(VH )は、それぞれ、上記の軽鎖と重鎖をいう。
【0033】
抗体は、無傷の免疫グロブリンとして又は各種ペプチダーゼによる消化により作られたよく特徴付けられた多数の断片として存在することができる。従って、例えば、ペプシンは、そのヒンジ領域内でジスルフィド結合の下で抗体を消化して F(ab)′2 を作り出し、 Fabのダイマーは、それ自体、ジスルフィド結合によりVH −CH 1に結合された軽鎖である。 F(ab)′2 は、緩やかな条件下で還元されてそのヒンジ領域内でジスルフィド結合を切断し、それにより F(ab)′2 ダイマーを Fab′モノマーに変換する。 Fab′モノマーは、本質的に、ヒンジ領域の部分をもつ Fabである(他の抗体断片のより詳細な説明についてはFundamental Immunology, W.E.Paul,ed., Raven Press, N.Y. (1993) を参照のこと。)。各種抗体断片が無傷の抗体の消化の意味において定義されているけれども、当業者は、上記 Fab′断片が化学的にか又は組換え DNA方法論の使用のいずれかにより新規に合成されることができる。従って、用語抗体は、本明細書中に使用されるとき、抗体全体の修飾により製造されたか又は組換え DNA法を使用して新規合成された抗体断片をも含む。
【0034】
句“タンパク質に特異的に結合する”又は“タンパク質と特異的に免疫反応する”とは、抗体について言うとき、タンパク質及び他の生物製剤の外因的集団の存在下でのタンパク質の存在について確定的な結合反応をいう。従って、指定されたイムノアッセイ条件下、特定の抗体が特定のタンパク質に結合し、そしてサンプル中に存在する他のタンパク質に有意な量で結合しない。上記条件下でのタンパク質への特異的結合は、特定のタンパク質についてのその特異性について選択された抗体を必要とすることができる。例えば、抗体は、 20q13アンプリコン・タンパク質に結合するが生物学的サンプル中に存在する他のタンパク質のいずれとも結合しない 20q13アンプリコン・タンパク質に対して生じることができる。さまざまなイムノアッセイ形式が特定のタンパク質と特異的に免疫反応的である抗体を選択するために使用されることができる。例えば、固相 ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用される。特異的免疫反応性を測定するために使用されることができるイムノアッセイ形式及び条件については、 Harlow and Lane (1988) Antibodies,A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Publications, New Yorkを参照のこと。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
詳細な説明
本発明は、 20q13における染色体異常の検出のためのプローブとして使用されることができる多数のcDNA配列を提供する。比較ゲノム・ハイブリダイゼーション(CGH) を使用した研究は、染色体 20q13における領域は、胸(〜30%)、卵巣(〜15%)、膀胱(〜30%)、頭及び首(〜75%)及び結腸(〜80%)の癌においてしばしばコピー数において増加される。これは、いくつかの固形腫瘍の進行に寄与する1以上の遺伝子の存在が 20q13に位置するということを示唆する。
【0036】
遺伝子増幅は、それにより、優先的に作用する癌遺伝子が過剰発現され、腫瘍が新たな成長特性及び/又は化学療法剤に対する耐性を獲得することを許容する1のメカニズムである。ヒト胸癌進行に関連する座及び原発性胸癌の10〜25%において増幅された座は、 17q12におけるerbB-2座(Lupu et al., Breast Cancer Res. Treat., 27: 83 (1993), Salmon et al. Science, 235: 177-182 (1987), Heiskanen et al. Biotechniques, 17: 928 (1994))、 11q13におけるcyclin-D (Mahadevan et al., Science, 255: 1253-1255 (1993), Gillett et al., Canc.Res., 54: 1812 (1994)) 及び8q34におけるMYC (Gaffey et al., Mod.Pathol., 6: 654 (1993)) を含む。
【0037】
比較ゲノム・ハイブリダイゼーション(CGH) を使用した全ゲノム調査(Pangenomic surveys)は、最近、胸癌において増加したコピー数の約20の新規の領域を同定した(Kallioniemi et al., Genomics, 20: 125-128 (1994)) 。これらの座の中の1、バンド 20q13は、原発性腫瘍の18%及び細胞系の40%において増幅された(Kallioniemi et al., Genomics, 20: 125-128 (1994)) 。より最近、これと同一の領域が、卵巣の15%、膀胱の80%、そして結腸直腸腫瘍の80%において増幅されていることが発見された。 CGHの分解は、5〜10Mbに限定される。従って、FISHは、 CGHデータを確認し、そして増幅領域を正確にマップするために座特異的プローブを使用して行われた。
【0038】
20q13領域は、分子レベルにおいて胸癌において分析されており、そして一貫して増幅される約 600kbの領域が、本明細書中に記載するように同定された。その上、本明細書中に示すように、胸癌におけるこの増幅の重要性は、増幅と減少された患者の生存と増加された腫瘍増幅(特に、S期における細胞の増加画分)の間の強い関係により示される。
【0039】
特に、実施例1において詳細に説明されるように、高レベル 20q13増幅は、低レベル増幅又は増幅なしの場合に比較して、節陰性患者における乏しい疾患フリー生存と関係した(p=0.0022)(図1)。中程度に増幅された腫瘍をもつ患者の生存は、増幅をもたないものと有意差はなかった。特定の理論に拘束されないが、この観察のための説明は、低レベル増幅が高レベル増幅に先行するということであることができるということを示唆する。これに関して、1の患者が、低レベル増幅をもつ原発性腫瘍の制限の8ケ月後に高レベル 20q13.2増幅をもつ局所的転移に発達したということが重要であることができる(図2)。
【0040】
20q13増幅は、腫瘍の高い組織学的等級と関係した。この相関は、中程度に増幅された腫瘍と高く増幅された腫瘍の両者において見られた。S期における細胞の画分により計測された、特定のプローブ、RMC20C001 (Tanner et al., Cancer Res., 54: 4257-4260 (1994))に相補的な領域の高レベル増幅と、細胞増幅との間の相関(p=0.0085)があった。この発見は重要である。なぜなら、それは、増加されたS期画分の下に横たわるメカニズムを知ることなく、機能的アッセイにおいて格付けされることができる表現型を同定する。20q13増幅は、患者の年齢、原発性腫瘍のサイズ、腋節又はステロイド・ホルモン・レセプター状態と相関しなかった。
【0041】
この研究は、 20q13.2アンプリコンを約2Mbの間隔に局所化した。さらに、上記腫瘍の7%において見られた高レベル増幅は、その腫瘍に対して攻撃的な表現型を与え、臨床的結果に悪影響を及ぼすということを示唆する。低レベル増幅(原発性腫瘍の22%)は、攻撃的腫瘍の病理学特徴(高い組織学的等級、異数性及び細胞増殖)と関係したが患者の予後と関係しなかった。
【0042】
さらに、 20q13アンプリコン(より正確には 20q13.2アンプリコン)は、いくつかの原発性腫瘍及び胸癌細胞系のゲノムを通して一緒に充填されたヒト第20染色体上の3つの別個の同時増幅された座の中の1であるということが、本明細書中に示される。 20q13.2アンプリコン内の癌遺伝子マップは知られていない。
【0043】
20q13アンプリコン・プローブの同定
最初に、少数の利用可能な分子細胞遺伝学的プローブは、FISHプローブが第20染色体特異的ライブラリー、 LA20NC 01からのコスミドのランダム選択により生成され、そして次にデジタル画像形成顕微鏡によりそれらを第20染色体にマップするということを指図した。70Mb染色体にわたる約46のコスミドを単離し、それについて、部分長計測(fractional length measure ments (FLpter)) 及びバンド指定を得た。26のコスミドを、静止期FISH分析による胸癌細胞系 BT474におけるコピー数をアッセイするために使用した。コピー数を、静止核におけるハイブリダイゼーション・シグナルを計数することにより測定した。この分析は、Stokke et al., Genomics, 26: 134-137 (1995) により記載されたコスミドRMC20C001(FLpter, 0.824; 20q13.2) が BT474細胞において最高レベルの増幅(〜60コピー/細胞)を定めたことを現した(Tanner et al., Cancer Res.,54: 4257-4260 (1994)) 。
【0044】
遺伝子マップされた配列を含むP1クローンを、 20q13.2から選択し、そして増幅領域を確認し、そしてさらに定めるためにFISHプローブとして使用した。他のP1クローンを、 20q13.2領域(Flpter, 0.81〜0.84)に広く局在化された候補癌遺伝子について選択した。これらは、各候補遺伝子の3′非翻訳領域内で開発されたプライマー対を使用して、 PCRにより(Saiki et al, Science, 230: 1350 (1985)) 、 DuPont P1ライブラリー(Genome Systemsから商業的に入手可能な、Shepherd, et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 92: 2629 (1994)) から選択した。ゲノム特異的P1クローンを、タンパク質チロシン・ホスファターゼ(PTPN1, Flpter 0.78)、メラノコルチン3レセプター(MC3R, Flpter 0.81) 、ホスホエノールピルベート・カルボキシ・キナーゼ(PCK1, Flpter 0.85) 、Znフィンガー・プロテイン8(ZNF8, Flpter 0.93) 、グアニン・ヌクレオチド結合性タンパク質(GNAS1, Flpter .873)、 src−オンコジーン(SRC, Flpter 0.669) 、トポイソメラーゼ1(TOP1, Flpter 0.675)、 bcl-2関連遺伝子bcl-x(Flpter 0.526) 及び転写因子E2F-1(FLpter 0.541) について得た。各クローンを、デジタル画像形成顕微鏡によりマップし、そしてFlpter値を指定した。上記遺伝子の中の5つを(SRC, TOP01, GNAS1, E2F-1及びBC1-x)を上記アンプリコン内の候補オンコジーンとして排除した。なぜなら、それらは、 Flpter 0.81〜0.84における臨界的領域のはるか外側にマップされるからである。3つの遺伝子(PTPNR1, PCK-1及びMC3R)は、さらなる調査を保証するために上記臨界的領域に十分に接近して位置する。
【0045】
24コスミド及び3遺伝子特異的P1(PTPNRL, PCK-1及びMC3R)プローブを使用した14胸癌細胞系及び36原発性腫瘍上静止期FISHは、1以上のプローブにより胸癌細胞系の35%(5/14)及び原発性腫瘍の8%(3/36)において高レベルの増幅を見い出した。
【0046】
上記細胞系の4/5及び3/3原発性腫瘍における最高コピー数をもつ領域を、コスミド RMC20C001により定めた。これは、PTPNR1, PCK1及びMC3Rがそのアンプリコン内のオンコジーンのための候補として排除されることもでき、そしてその上、10Mbから 1.5〜2.0Mb までその臨界領域を狭めることもできるということを示す(Tanner et al., Cancer Res., 54: 4257-4260 (1994)を参照のこと。)。
【0047】
プローブ RMC20C001は細胞系の35%及び原発性腫瘍の8%において高レベルの(3〜10倍の) 20q13.2増幅を検出したので、それは、(1)拡大された腫瘍集団内の増幅の蔓延を定め、(2)上記腫瘍における増幅の頻度及びレベルを評価し、(3)病理学的及び生物学的特徴との 20q13.2アンプリコンの関係を評価し、(4) 20q13増幅と臨床的結果との間に関係が存在するかどうかを決定し、そして(5)転移胸腫瘍における 20q13増幅を評価する、ために使用された。
【0048】
実施例1において詳説するように、 RMC20C001との蛍光イン・サイチュー・ハイブリダイゼーション(FISH)は、 132の原発性及び11の再発胸腫瘍における 20q13.2増幅を評価するために使用された。絶対コピー数(細胞当りのハイブリダイゼーション・シグナルの平均数)及び増幅レベル(p-arm参照プローブに対するシグナルの平均数)を測定した。2つのタイプの増幅が見つかった:低レベル増幅(腫瘍核の全体に分散されたFISHシグナルより 1.5〜3倍)及び高レベル増幅(密接にクラスター化したFISHシグナルにより>3倍)。低レベル 20q13.2増幅は 132原発性腫瘍の中の29において発見され(22%)、一方、9ケース(6.8%)は高レベル増幅を示した。
【0049】
RMC20C001と4つのフランキングP1プローブ(MC3R, PCK, RMC20C026、及びRMC20C030)が、高増幅腫瘍における DNA増幅の程度を試験するために使用された。 RMC20C001だけが全ての腫瘍において一貫して増幅された。この発見は、共通増幅領域が PCK-1及びMC3Rにより隣接されるがこれらを含まない2Mb間隔内にあるということを確認した。
【0050】
物理マップは、最小共通増幅領域をさらに局在化し、そして推定されたオンコジーンを単離するためにアセンブルされた。 DuPontP1ライブラリー(Shepherd et al. Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 91: 2629 (1994)) を、バンド 20q13.2内でマップされるであろうSTSsについてスクリーンした。座D20S102, D20S100, D20S120, D20S183, D20S480, D20S211を単離し、そしてFISHをそれぞれ 20q13.2に局在化した。静止期FISH分析を次に胸癌細胞系 BT474において行って各座における増幅レベルを評価した。座 D20S100-D20S120-D20S183-D20S480-D20S211は BT474細胞系内で高増幅され、一方、 D20S102は低レベル増幅だけが検出された。それ故、5cMにわたる 5STSsは、 20q13.2アンプリコン内で位置決めされ、そしてCEPHメガ YACライブラリーをスクリーンするために使用された。
【0051】
CEPHメガ YACライブラリー・スクリーニング及び公的データベースのコンピューター・サーチは、 D20S120-D20S183-D20S480-D20S211が、3つのメガ YACクローンy820f5, 773h10、及び 931h6のそれぞれに結合されることを現した(図3)。その上、コスミド RMC20C001, RMC20C30及び RMC20C028の端から生成されたSTSsによるCEPHメガ YACライブラリーのスクリーニングは、同一の3つの YACクローンのそれぞれに RMC20C001を局在化した。上記 YACクローンの最小のサイズに基づいて、 D20S120-D20S183-RMC20C001-D20S480-D20S211が 1.1Mb未満の間隔内にマップされるということが推定された。 D20S100は、静止期FISHにより D20S120に、そして STSマッピングにより YAC901b12に 300kb離れて位置決めされた。併合 STSデータは、 1.5Mbアンプリコンを包含し、そして座 RMC20C030-PCK1-RMC20C001-MC3R-RMC20C026を含むおおよそ4Mbにわたる12員の YACコンティグ(contig)を構築することができる。各 YACは、 20q13.2への局在化を確認し、そしてキメラ現象(chimerism) についてチェックするためにFISHによりマップされた。各 YACの5つのクローン単離物を、パルス・フィールド・ゲル電気泳動(PFGE)によりサイズ決定した。上記YACsのいずれもキメラではない。しかしながら、いくつかは高く不安定性である。
【0052】
YACコンティグは、フレームワークとして役立ち、それから2Mb P1コンティグを構築するために 20Q13アンプリコンが広がる。P1クローンは、(1)安定性、(2)1%未満のキメラ頻度、(3)標準的なミニプレップ手順による DNA単離、(4)それらが理想的なFISHプローブを作る、(5)両端が直接的に配列決定されることができる、(6)2方向プライマー結合性部位を担持する遺伝子操作されたγδトランスポゾンがクローン化された DNA内のいずれかの位置で組み込まれることができる(Strathman et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 88: 1247 (1991)) 、(7)P1クローンがLBNL HGCにおいてヒト及びキイロショウジョウバエ(Drosophila)ゲノムの配列決定のための鋳型である(Palazzolo et al. DOE Human Genome Program, Contractor-Grantee Workshop IV. Santa Fe, New Mexico, November 13-17 1994) 、を含む YACクローンを超える多くの利点を提供した。
【0053】
約90のP1クローンが PCR又はフィルター・ハイブリダイゼーションのいずれかにより DuPont P1ライブラリーをスクリーニングすることにより単離した。 PCRベースのスクリーニングについては、22を超える新規のSTSsが2つの方法により創られた。第1の方法においては、アンプリコンに局在化されたP1クローンの両端が配列決定され、STSsが開発され、そしてP1ライブラリーが歩行クローンについてスクリーニングされた。第2のアプローチにおいて、inter-Alu PCR (Nelson et al., 86: 6686-6690 (1989)) を、上記アンプリコンに広がるYACs上で行い、そしてその生成物をクローン化し、そして STS創出について配列決定した。フィルター・ベースのハイブリダイゼーション・スキームにおいて、P1クローンを、上記アンプリコンに広がるYACs上で inter-Alu PCRを行い、その生成物を放射標識し、そしてP1ライブラリーの格子アレー(gridded array) を含むフィルターに対してこれらをハイブリダイズすることにより、得た。最後に、ギャップを閉じるために、ヒトゲノム・バクテリア人工染色体(BAC) ライブラリー(Research Genetics, Huntsuille, Alabama, USAから商業的に入手可能な、Shizuya et al. Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 89: 8794 (1992))を PCRによりスクリーンした。 100を超えるP1と BACクローンを作るために併合されたこれらの方法を、FISHにより 20q13.2に局在化した。 STS含有物のマッピング、フィンガープリンティング、及びフリークロマチン・フィッシュ(free-chromatin fish)(Heiskanen et al., Bio Techniques, 17: 928 (1994))を、図3及び図4中に示す2Mbコンティグを構築するために使用した。図7は、最小タイリング・コンティグ(minimum tiling contig) を示す領域の第2の物理マップである。
【0054】
BT474内の 20q13.2アンプリコンの詳細マッピング
2Mb P1コンティグからのクローンを、胸癌細胞系 BT474内の 20q13.2における増幅レベルをマップするためにFISHと共に使用した。上記コンティグに沿って規則的な間隔で分散された35のP1プローブを使用した。得られたデータは、 BT474内での最高コピー数増加の領域が、 D20S100と D20S211の間で、約 1.5Mbの間隔で生じるということを示した。この間隔における P1 FISHプローブは、 BT474における静止核当り平均50シグナルを検出し、一方、ほんの低レベルの増幅又は無増幅がこの領域の外側のP1クローンを用いて検出された。従って、このアンプリコンの近位及び遠位境界がクローン化された。
【0055】
原発性腫瘍における 20q13.2アンプリコンの詳細マッピング
原発性腫瘍における上記アンプリコンの詳細マッピングは、病理生理学的に重要である高増幅の最小共通領域(minimum common region of high amplification (MCA))を現した。この方法は、遺伝性の疾患遺伝子をコードする遺伝子間隔を狭めることに際し、情報量の多い減数分裂についてのスクリーニングに類似している。 132の原発性腫瘍の分析は、 RMC20C001座において増幅される38の原発性腫瘍を現した。これらの腫瘍の中の9は RMC20C001において高レベル増幅をもち、そして約2Mbコンティグにわたる8 P1sをもつ静止期FISHによりさらに分析された。増幅の最小共通領域(MCA) は、P1クローン#3と#12により隣接された 600kb 間隔にマップされ、最高レベルの増幅が RMC20C001に対応するP1クローン#38により検出された(図3と図7)。
【0056】
20q13アンプリコンの 600kb間隔にわたるP1と BACクローンは、表1と表2に列記され、これはShepherd, et al., Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 92: 2629 (1994)により記載された DuPont P1ライブラリーに対するクロス−リファレンスを提供する。これらのP1及び BACプローブは、それぞれ、Genetic Systems, and Research Geneticsから商業的に入手可能である。
【0057】
【表1】

【0058】
【表2】

【0059】
【表3】

【0060】
20q13アンプリコンからのcDNA配列
d.Sci. USA, 87: 8995-8999 (1990)及びChurch et al., Nature Genetics, 6: 98-105 (1994)を参照のこと。)を、アンプリコンの600kb 最小共通領域にわたるP1と BACクローン上で行い、そして 200を超えるエクソンを単離した。
【0061】
エクソン DNA配列の分析は、発現された配列データ・ベース(dbest) 内の部分的cDNA配列に、そして S. cerevisiaeの染色体XIVオープン・リーディング・フレームに多くの配列類似性(85%〜96%)を現した。エクソン・トラッピングに供される各P1クローンは、少なくとも中程度の密度の遺伝子と矛盾しない多数のエクソンを作り出した。 200を超えるエクソンがトラップされており、そして分析され、そして 200クローンがBT474 cDNAライブラリーからの直接選択により単離した。さらに、以下に記載する最小アンプリコンにわたる 0.6Mbゲノム間隔が配列決定される。エクソン予測及び遺伝子モデリングを、 XGRAIL, SORFIND、及び BLASTプログラムを用いて行う。これらのアプローチにより同定された遺伝子断片は、RT-PCR、ノーザン及びサザン・ブロットにより分析されている。15のユニークな遺伝子をこの方法で同定した(表3と図5を参照のこと。)。
【0062】
さらに、2つの他の遺伝子ZABC1(配列番号:9と10)と1b1(配列番号:12)が、さまざまな異なる癌細胞において過剰発現されることも示された。
【0063】
さまざまなcDNAクローンからの配列情報を以下に提供する。
それらは、以下のようなものである:
3bf4(配列番号:1)−Beeler et al. Mol.Cell.Biol. 14: 982-988 (1994) 中に開示されたA6と命名された、チロシン・キナーゼ遺伝子に対する配列同一性をもつ3kb転写物。しかしながら、これらの文献は、遺伝子が約20染色体アンプリコン内に位置することは開示していない。
1b11(配列番号:2)−その発現が、アンプリコンのコピー数との高い相関を示す約 3.5kbの転写物。上記配列は、サーチされたデータベース内の配列とのホモロジーを示さない。
cc49(配列番号:3)− C2H2 Znフィンガー遺伝子に対するホモロジーを示す6−7kb転写物。
cc43(配列番号:4)−正常な組織中で発現されるが、胸癌細胞系内でのその発現が検出されていない約4kbの転写物。
41.1(配列番号:5)は、−キイロショウジョウバエにおけるホメオボックスTシャツ(T shirt) 遺伝子に対するホモロジーを示す。
GCAP(配列番号:6)は、−サイクリック AMPの生合成に関係するグアニノ・シクラーゼ活性化タンパク質をコードする。以下に詳細に説明するように、この遺伝子からの配列を、網膜変性の治療のために使用されることもできる。
1b4(配列番号:7)−セリン・トレオニン・キナーゼ。
20sa7(配列番号:8)−ラット遺伝子、 BEM-1のホモログ。
【0064】
さらに、ヌクレオチド配列全体がZABC-1のために提供される。ZABC-1は、胸癌において増幅されたZnフィンガーを表す。この遺伝子は、 20q13.2アンプリコンのコアにマップし、そして 20q13.2増幅をもつ原発性腫瘍及び胸癌細胞系内で過剰発現される。
【0065】
ゲノム配列(配列番号:9)はおおよそ2kbのプロモーター領域を含む。配列番号:10は、そのcDNA配列から得られたオープン・リーディング・フレームを提供し、そして配列番号:11は、予測されたタンパク質配列を提供する。Znフィンガー含有遺伝子は、しばしば、下流遺伝子の発現を調節するように働く転写因子である。いくつかの知られたオンコジーンは、実際Znフィンガー含有遺伝子である。
【0066】
本発明は、多くの胸癌細胞系及びいくつかの原発性腫瘍内でも過剰発現される 1b1と命名されたcDNA(配列番号:12)のための完全長cDNA配列をも提供する。
配列番号:13は、知られたラット及びマウスのサイクロフィリン cDNAsに類似するゲノム・クローンからの配列を提供する。ラット・サイクロフィリン核酸(例えば、cDNAs)は知られており;アクセス番号M19533の下 GenBankTM参照;マウス・サイクロフィリン核酸(例えば、cDNAs)は知られており;アクセス番号 50620の下 GenBankTM参照(図6参照)。従って、配列番号:13は推定ヒト・サイクロフィリン遺伝子である。この配列は、 20q13からの増幅された配列とも関係し、そして対応の遺伝子の DNA増幅、又は RNA過剰発現を検出するためにプローブ又はプローブ・ハイブリダイゼーション標的として使用されることができる。
【0067】
【表4】

【0068】
20q13アンプリコン・タンパク質
先に示したように、本発明は、 20q13アンプリコン内の核酸配列(例えば、配列番号:1〜10及び12〜13)によりコードされたタンパク質、及びサブ配列、より好ましくは長さ少なくとも10アミノ酸の、好ましくは少なくとも20アミノ酸の、そして最も好ましくは少なくとも30アミノ酸のサブ配列をも提供する。特に好ましいサブ配列は、 20q13タンパク質に特異的なエピトープ、より好ましくは ZABC1と 1b1タンパク質に特異的なエピトープである。このようなタンパク質は、非限定的に、配列番号:1〜10及び12〜13の核酸によりコードされたポリペプチド又は配列番号:11のポリペプチドからの少なくとも10の隣接アミノ酸を含む単離ポリペプチドを含み、ここで、このポリペプチドは、免疫原として提示されるとき、配列番号:1〜10及び12〜13の核酸によりコードされたポリペプチド及び配列番号:11のポリペプチドから成る群から選ばれたポリペプチドに特異的に結合する抗体の生産を顕出し、そしてこのポリペプチドは、配列番号:1〜10及び12〜13の核酸によりコードされたポリペプチドから成る群又は配列番号:11のポリペプチドから選ばれたポリペプチドにより十分に免疫吸収されている、配列番号:1〜10及び12の核酸によりコードされたポリペプチドから成る群又は配列番号:11のポリペプチドから選ばれたポリペプチドに対して生じた抗血清に結合しない。
【0069】
所定の免疫原、例えば、配列番号:11のアミノ酸配列から成る免疫原に対して生じた抗体に特異的に結合し又はそれと特異的に免疫反応性であるタンパク質は、イムノアッセイにおいて測定される。このイムノアッセイは、配列番号:11のタンパク質(免疫原性ポリペプチド)に対して生じたポリクローナル抗血清を使用する。この抗血清は、他の類似の知られたポリペプチドに対して低い交差反応性をもつように選ばれ、そしてこのような交差反応性のいずれも、イムノアッセイにおける使用に先立つ免疫吸収により(例えば、関連ポリペプチドによる上記抗血清の免疫吸収により)除去される。
【0070】
イムノアッセイにおける使用のための抗血清を作り出すために、ポリペプチド、例えば、配列番号:11のポリペプチドが本明細書中に記載するように単離される。例えば、組換えタンパク質は、哺乳類又は他の真核細胞系において製造されることができる。マウスの同系株を、標準的なアジュバント、例えば、Freund'sアジュバント、及び標準マウス免疫感作プロトコールを使用して配列番号:11のタンパク質で免疫感作させる(Harlow and Lane 前掲参照)。あるいは、本明細書中に開示された配列から得られそして担体タンパク質に抱合された合成ポリペプチドを免疫原として使用する。ポリクローナル血清を集め、そしてイムノアッセイ、例えば、固体支持体上に固定された免疫原を用いた固相イムノアッセイにおいて免疫原に対して滴定する。 104以上の力価をもつポリクローナル抗血清を選び、そして競合的結合イムノアッセイ、例えば、 Harlow and Lane、前掲の第 570〜573 頁に記載されたものを使用して知られたポリペプチドに対してそれらの交差反応性についてテストする。好ましくは、2以上の知られたポリペプチドを、免疫原性ポリペプチドと共に上記測定において使用する。
【0071】
知られたポリペプチドは、組換えタンパク質として製造されることができ、そして本明細書中に記載するような標準的な分子生物学及びタンパク質化学を使用して単離されることができる。
【0072】
上記競合的結合形式におけるイムノアッセイは、交差反応性の測定のために使用される。例えば、免疫原性ポリペプチドは固体支持体に固定化される。このアッセイに添付されるタンパク質は、固定化された抗原への抗血清の結合と競合する。固定化タンパク質への抗血清の結合と競合するタンパク質の能力は、免疫原性ポリペプチドと比較される。タンパク質についてのパーセント交差反応性は、標準的な計算を使用して計算される。知られたポリペプチドに対し10%未満の交差反応性をもつ抗血清を選択し、そしてプールする。次に交差反応性抗体を、知られたポリペプチドを用いた免疫吸収により、そのプールされた抗血清から取り出す。
【0073】
上記免疫吸収され、そしてプールされた抗血清を、次に、本明細書中に記載するような競合的結合イムノアッセイにおいて使用して、免疫原性ポリペプチドと“標的”ポリペプチドを比較する。この比較を行うために、2つのポリペプチドをそれぞれ広い範囲の濃度においてアッセイし、そして固定化タンパク質にへの抗血清の結合を50%阻害するために必要な各ポリペプチドの量を標準的な技術を使用して測定する。要求される標的ポリペプチドの量が、要求される免疫原性ポリペプチドの量の2倍未満である場合、その標的ポリペプチドは、免疫原性タンパク質に対して作られた抗体に特異的に結合するといわれる。特異性の最終決定として、プールされた抗血清を、免疫吸収において使用されたポリペプチドへの結合が全く検出されなくなるまで、免疫原性ポリペプチドにより十分に免疫吸収させる。十分に免疫吸収された抗血清を、次に、テスト・ポリペプチドとの反応性についてテストする。反応性が観察されない場合、そのテスト・ポリペプチドは、免疫原性タンパク質により顕出された抗血清により特異的に結合される。
【0074】
同様に、反復実験において、プールされた抗血清を、テスト・ポリペプチドにより免疫吸収させる。免疫吸収後に残存する抗血清が免疫原性ポリペプチド(すなわち、抗血清を顕出させるために使用された配列番号:11のポリペプチド)に結合しない場合、そのテスト・ポリペプチドは免疫原性ペプチドにより顕出された抗血清により特異的に結合される。
【0075】
20q13異常の検出
当業者は、本明細書中に提供されるクローン及び配列情報が、生物学的サンプル中、 20q13における増幅、又は他の染色体異常を検出するために使用されることができるということを認めるであろう。一般的には、この方法は、生物学的サンプル中に存在する核酸又は生物学的サンプルから得られた核酸と、標的アンプリコンの1以上の核酸配列に特異的に結合するプローブとのハイブリダイゼーションを含む。
【0076】
本明細書中に使用するとき、生物学的サンプルは、染色体異常(例えば、欠失の増幅)についてスクリーンされることが望まれる生物学的組織又は細胞を含む液体のサンプルである。好ましい態様においては、生物学的サンプルは、癌性(変質)である疑いのある細胞又は組織である。生物学的サンプルを単離する方法は、当業者に周知であり、そして非限定的に、吸引、組織切開、針生検その他を含む。しばしば、サンプルは、患者から得られたサンプルである“臨床サンプル”であろう。用語“サンプル”は、細胞培養物からの(細胞含有)上清又は細胞自体、組織培養、及び染色体異常を検出することが望ましくあることができるところの他の培地からの細胞をも含むと理解されるであろう。
【0077】
ある態様においては、染色体サンプルは、固体支持体、例えばガラス・スライド上に、単細胞懸濁液又は組織調製物として細胞を置くことにより調製され、そして細胞の最良の空間的分解及び最適なハイブリダイゼーション効率を提供する固定剤を選ぶことにより固定される。他の態様においては、サンプルは、固定表面上に固定されたプローブのアレイと接触させられる。
【0078】
プローブの作製
表1に列記されたP1プローブ、表2に列記された BACプローブ、又は本明細書中に開示された cDNAsのいずれかは、 20q13アンプリコンの検出における使用のために好適である。プローブを調製する方法は、当業者に周知である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd ed.), Vols.1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, (1989)又はCurrent Protocols in Molecular Biology, F.Ausubel et al., ed. Greene Publishing and Wiley-Interscience, New York (1987) を参照のこと。)。
【0079】
本発明の核酸を作製するための戦略が与えられれば、当業者は、機能的に等価な核酸を含むさまざまなベクター及び核酸クローンを構築することができる。これらの目的を達成するためのクローニング方法論、及び核酸の配列を証明するための配列決定法は本分野において周知である。適当なクローニング及び配列決定技術、及び多くのクローニング訓練を通して当業者を指図するために十分である指示は、Berger and Kimmel, Guide to Molecular Cloning Techniques, Methods in Enzymology volume 152 Academic Press, Inc., San Diego, CA (Berger); Sambrook et al. (1989) Molecular Cloning-A Laboratory Manual (2nd ed.) Vol.1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Press, NY, (Sambrook); 及びCurrent Protocols in Molecular Biology, F.M.Ausubel et al., eds., Current Protocols, a joint venture between Greene Publishing Associates, Inc. and John Wiley & Sons, Inc., (1994 Supplement)(Ausubel) 中に在る。生物学的試薬及び実験装置の製造者からの製品情報も、知られた生物学的方法において有用な情報を提供する。このような製造者は、SIGMA chemical company (Saint Louis, MO), R & D systems (Minneapolis, MN), Pharmacia LKB Biotechnology (Piscataway, NJ), CLONTECH Laboratories, Inc. (Palo Alto, CA), Chem Genes Corp., Aldrich Chemical Company (Milwaukee, WI), Glen Research, Inc., GIBCO BRL Life Technologies, Inc. (Gaithersberg, MD), Fluka Chemica-Biochemika Analytika (Fluka Chemie AG, Buchs, Switzerland), Invitrogen (San Diego, CA) 、及びApplied Biosystems (Foster City, CA)、並びに当業者に知られた多くの他の商業源を含む。
【0080】
本発明により提供される核酸は、 RNA, cDNA、ゲノム DNA、又はさまざまな組合せのハイブリッドであるかを問わず、生物学的な源から単離され、又はインビトロにおいて合成される。本発明の核酸及びベクターは、形質転換され又はトランスフェクトされた全細胞内、形質転換され又はトランスフェクトされた細胞溶解物内、又は部分的に精製され又は実質的に純粋な形態において、存在する。
【0081】
配列を増幅して核酸を提供するために、又はその後の分析、配列決定又はサブクローニングのために好適なインビトロにおける増幅技術は知られている。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) 、リガーゼ連鎖反応(LCR) 、Qβ−レプリカーゼ増幅及び他の RNAポリメラーゼ仲介技術(例えば、NASBA)を含む上記インビトロ増幅法を通して当業者を指図するために十分な技術の例は、Berger, Sambrook、及び Ausubel、並びにMullis et al., (1987) 米国特許第 4,683,202号;PCR Protocols A Guide to Methods and Applications (Innis et al. eds) Academic Press Inc. San Diego, CA (1990)(Innis); Arnheim & Levinson (October 1, 1990) C & EN 36-47; The Journal Of NIH Research (1991) 3, 81-94; (Kwoh et al. (1989) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 86, 1173; Guatelli et al. (1990) Proc.Natl.Acad.Sci. USA 97, 1874; Lomell et al. (1989) J.Clin.Chem 35, 1826; Landegrem et al., (1988) Science 241, 1077-1080; Van Brunt (1990) Biotechnology 8, 291-294; Wu and Wallace, (1989) Gene 4, 560; Barringer et al. (1990) Gene 89, 117、及びSooknanan and Malek (1995) Biotechnology 13: 563-564中に在る。インビトロ増幅核酸の改良クローニング方法は、Wallace et al.,米国特許第 5,426,039号中に記載されている。大きな核酸の改良増幅方法は、 Cheng et al. (1994) Nature 369: 684-685及びその中の引用文献中に要約されている。
【0082】
インビトロ増幅法のための又は遺伝子プローブとしての使用のための核酸(例えば、オリゴヌクレオチド)は、典型的には、例えば、Needham-Van Devanter et al. (1984) Nucleic Acids Res., 12:6159-6168中に記載された、自動合成装置を使用して、 Beaucage and Caruthers (1981), Tetrahedron Letts., 22 (20): 1859-1862により記載された固相ホスホルアミジット・トリエステル法に従って化学合成される。オリゴヌクレオチドの精製は、適宜、典型的には、生来のアクリルアミド・ゲル電気泳動により又はPearson and Regnier (1983) J.Chrom. 255: 137-149中に記載されたようなアニオン交換HPLCにより行われる。合成オリゴヌクレオチドの配列は、 Grossman and Moldave (eds.) Academic Press, New York, Methods in Enzymology 65: 499-560中の Maxam and Gilbertの化学分解法(1980)を使用して証明されることができる。
【0083】
プローブは、表1及び2中に列記する1以上の構築物を組み合せ、そして標識付けすることにより最も容易に調製される。使用前に、これらの構築物は、細胞を容易に貫通し、そして標的核酸にハイブリダイズするより小さな核酸断片を提供するように断片化される。断片化は、当業者に周知の多数の方法の中のいずれかによるものであることができる。好ましい方法は、分子を選択的に解裂させ、又はあるいはMg2+の存在下で核酸を短時間に加熱するための制限酵素による処理を含む。プローブは、好ましくは、約50bp〜約2000bp、より好ましくは約 100bp〜約1000bp、そして最も好ましくは約 150bp〜約 500bpの範囲の平均断片に、断片化される。
【0084】
あるいは、プローブは、本明細書中に開示された 20q13アンプリコンからの選択されたサブ配列を(例えば、 PCRを介して)増幅することにより製造されることができる。本明細書中に提供される配列は、当業者をして 20q13アンプリコン内に位置する1以上のエクソンからの配列を増幅せしめる。
【0085】
特に好ましいプローブは、 RMC20C001に対応する、プローブ38,40、及び79からの核酸を含む。さらに、cDNAは、例えば、ノーザン・ブロット分析を使用して、上記対応の遺伝子の高められた発現をもつ細胞を同定するために、特に有用である。
【0086】
当業者は、本明細中に提供される配列情報及びクローンを使用して、当業者が日常的な方法(例えば、サザン又はノーザン・ブロット)を使用して他のヒト・ゲノム・ライブラリーから同一又は類似のプローブを単離することができるということを認めるであろう。
【0087】
同様に、本発明のポリペプチドは、多種多様の周知方法において合成的に調製されることができる。例えば、比較的短い鎖をもつポリペプチドは、慣用の技術に従って溶液中又は固体支持体上で合成されることができる。例えば、Merrifield (1963) J.Am.Chem.Soc. 85: 2149-2154を参照のこと。さまざまな自動合成装置が商業的に入手可能であり、そして知られたプロトコールに従って使用されることができる。例えば、Stewart and Young (1984) Solid Phase Peptide Synthesis, 2d. ed., Pierce Chemical Co.を参照のこと。本明細書中により詳細に記載するように、本発明のポリペプチドは、最も好ましくは、例えば、宿主細胞内でポリペプチドを発現させ、そして発現されたタンパク質を精製することにより、組換え技術を使用して行われる。
【0088】
好ましい態様においては、ポリペプチド、又はそのサブ配列を組換え DNA方法論を使用して合成する。一般に、これは、組換え、合成、又はインビトロ増幅技術を通して上記タンパク質をコードする DNA配列を創出し、特定のプロモーターの制御下で発現カセット内にその DNAを入れ、宿主細胞内でそのタンパク質を発現させ、その発現されたタンパク質を単離し、そして必要により、そのタンパク質を再生することを含む。
【0089】
核酸の標識付け
核酸(プローブ又はサンプル核酸のいずれか)を標識付けする方法は、当業者に周知である。好ましい標識付けされたラベルは、インサイチュー・ハイブリダイゼーションにおける使用のために好適なものである。本発明の核酸プローブ又はサンプルは、ハイブリダイゼーション反応前に、検出されるように標識付けされることができる。あるいは、ハイブリダイゼーション産物に結合する検出可能な標識を使用することができる。このような検出可能な標識は、検出可能な物理的又は化学的特性をもついずれかの材料を含み、そしてイムノアッセイの分野において十分に開発されてきた。
【0090】
本明細書中に使用するとき、“標識”は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、又は化学的手段により検出されることができるいずれかの組成物である。本発明において有用な標識は、放射ラベル(例えば、32P, 125I,14C, 3H、及び35S)、蛍光染料(例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサス・レッド、等)、電子高密度試薬(例えば、金)、(ELISAにおいて一般に使用されるような)酵素、比色標識(例えば、コロイド状金)、磁気標識(例えば、 DynabeadsTM)、その他を含む。直接的に検出されないが直接的に検出されることができる標識の使用を通じて検出される標識の例は、ビオチン及びジオキシゲニン並びにハプテン及びタンパク質であって、それについて標識された抗血清又はモノクローナル抗体が利用可能であるものを含む。
【0091】
使用される特定の標識は、それが、その染色のインサイチュー・ハイブリダイゼーションを妨害しない限り、本発明にとって決定的なものではない。しかしながら、蛍光標識により直接的に標識された染色(例えば、フルオレセイン−12−dUTP、テキサス・レッド−5−UTP 、等)は、染色体ハイブリダイゼーションのために好ましい。
【0092】
本明細書中に使用するとき、直接的に標識付けされたプローブとは、それに、検出可能な標識が付着されたプローブである。直接標識はプローブに既に付着されているので、検出可能な標識をプローブに会合させるためにその後の段階は全く必要ない。これに対して、間接的な標識プローブは、検出可能な標識がその後に、典型的には、それにプローブが標的核酸とハイブリダイズした後に結合されるところの部分を担持するプローブである。
【0093】
さらに、上記標識は、できるだけ低いコピー数で検出され、それによりそのアッセイの感度を最大化し、そしてさらにいずれかのバックグラウンド・シグナルの上で検出可能なものでなければならない。最後に、高く局在化されたシグナルを提供し、それにより染色体に対してその染色を物理的にマッピングするときに高程度の空間的分解を提供する標識が選ばれなければならない。特に好ましい蛍光標識は、フルオレセイン−12−dUTP及びテキサス・レッド−5−dUTPを含む。
【0094】
上記標識は、当業者に知られたさまざまな手段において上記プローブに結合されることができる。好ましい態様においては、核酸プローブは、ニック・トランスレーション又はランダム・プライマー伸長を使用して標識されるであろう(Rigby, et al. J.Mol.Biol., 113: 237 (1977)又はSambrook, et al., Molecular Cloning-A La boratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y. (1985))。
【0095】
当業者は、本発明のプローブが、ゲノムの標的 20q13領域に絶対的に特異的である必要はないということを理解するであろう。むしろ、上記プローブは、“染色コントラスト”を作り出すことを意図される。“コントラスト”は、ゲノムの標的領域のプローブ強度とそのゲノムの他の部分のプローブ強度の比により定量される。例えば、特定の染色体(例えば、第7染色体)をクローニングすることにより作製される DNAライブラリーは、染色体全体を染色することができる染色として使用されることができる。このライブラリーは、その染色体上にのみ存在する配列と他の染色体と共有される配列の両者を含む。染色体 DNAのおおよそ半分が各クラスに分類される。ライブラリー全体のハイブリダイゼーションが標的染色体上の結合部位の全てを飽和させることができた場合、その標的染色体は、他の染色体の2倍の輝度(コントラスト比2)であろう。なぜなら、それは、その染色における特定配列と共有配列の両方からのシグナルを含むであろうし、一方、他の染色体は上記共有配列によってのみ染色されるであろうからである。従って、染色内の上記共有配列のハイブリダイゼーションにおける控えめな減少だけがそのコントラストを実質的に強化するであろう。従って、非標的配列にのみハイブリダイズする配列、例えば、ライブラリー内の不純物は、上記配列が有用なレベルの下までその染色コントラストを減少させない程度まで、その染色において許容されることができる。
【0096】
20q13アンプリコンの検出
先に説明したように、 20q13アンプリコン内の増幅の検出は、多数の癌の存在及び/又は予後の指標である。これらは、非限定的に、胸、卵巣、膀胱、頭及び首、及び結腸を含む。
好ましい態様においては、 20q13増幅は、増幅についてスクリーンすることが望ましいところの標的核酸(例えば、染色体サンプル)への本発明のプローブのハイブリダイゼーションを通して検出される。好適なハイブリダイゼーション形式は、当業者に周知であり、そして非限定的に、サザン・ブロットのバリエーション、インサイチュー・ハイブリダイゼーション及び定量的増幅法、例えば定量的 PCRを含む(例えば、Sambrook、前掲、Kallioniemi et al., Proc.Natl Acad Sci USA, 89: 5321-5325 (1992)、及びPCR Protocols, A Guide to Methods and Applications, Innis et al., Academic Press, Inc. N.Y., (1990) を参照のこと。)。
【0097】
インサイチュー・ハイブリダイゼーション
好ましい態様においては、 20q13アンプリコンは、インサイチュー・ハイブリダイゼーションを使用して同定される。一般に、インサイチュー・ハイブリダイゼーションは、以下の主要な工程:(1)分析されるべき組織又は生物学的構造の固定;(2)標的 DNAの接近可能性を増加させ、そして非特異的結合性を減少させるための上記生物学的構造の事前ハイブリダイゼーション;(3)上記核酸混合物の、上記生物学的構造又は組織中の核酸へのハイブリダイゼーション;(4)上記ハイブリダイゼーションにおいて結合しなかった核酸断片を除去するためのハイブリダイゼーション後洗浄;及び(5)上記ハイブリダイズされた核酸断片の検出、を含む。上記各工程において使用される試薬及びそれらの使用条件は、その特定の適用に依存して変化する。
【0098】
いくつかの適用においては、反復配列のハイブリダイゼーション能力をブロックすることが必要である。この場合、ヒト・ゲノム DNAは、上記ハイブリダイゼーションをブロックするための剤として使用される。好ましいサイズ範囲は、2本鎖の、ニック・トランスレートされた核酸について、約 200bp〜約1000bp、より好ましくは約 400〜約 800bpである。
【0099】
本明細書中に開示される特定の適用のためのハイブリダイゼーション・プロトコールは、Pinkel et al. Proc.Natl.Acad.Sci. USA, 85: 9138-9142 (1988) 及び EPO公開No.430,402中に記載されている。好適なハイブリダイゼーション・プロトコールは、 Methods o\in Molecular Biology Vol.33: In Situ Hybridization Protocols, K.H.A. Choo, ed., Humana Press, Totowa, New Jersey, (1994)中にも在る。特に好ましい態様においては、Kallioniemi et al., Proc.Natl Acad Sci USA, 89: 5321-5325 (1992)のハイブリダイゼーション・プロトコールが使用される。
【0100】
典型的には、それぞれが異なる蛍光染料により標識付けされた2つのプローブが使用されるところの2色FISHを使用することが望ましい。着目の領域にハイブリダイズするテスト・プローブは1の染料により標識付けされ、そして異なる領域にハイブリダイズする対照プローブは第2の染料により標識付けされる。着目の染色体の安定部分、例えばその動原体領域にハイブリダイズする核酸は、しばしば、対照プローブとして最も有用である。この方法で、サンプル間のハイブリダイゼーション効率の差異を説明することができる。
【0101】
染色体異常を検出するためのFISH法が、ナノグラム量の被験核酸に対して行われることができる。パラフィン包埋腫瘍切片を、新鮮又は凍結材料と同様に使用する。FISHは限定された材料に適用されることができるので、培養されていない原発性腫瘍から調製された捺印調製物(touch preparations)も使用することができる。(例えば、Kallioniemi, A. et al., Cytogenet. Cell Genet. 60: 190-193 (1992) を参照のこと。)。例えば、腫瘍からの小さな生検組織サンプルを捺印調製物のために使用することができる(例えば、Kallioniemi, A. et al., Cytogenet. Cell Genet. 60: 190-193 (1992) を参照のこと。)。体液(例えば、血液、尿、喀痰その他)中の吸引生検又は細胞から得られた少数の細胞も分析することができる。出生前診断のためには、適当なサンプルは、羊水その他を含むであろう。
【0102】
他の形式
多くのハイブリダイゼーション形式が本発明において有用である。例えば、サザン・ハイブリダイゼーションを使用することができる。サザン・ブロットにおいては、(典型的には、断片化され、そして電気泳動ゲル上で分離された)ゲノム又はcDNAは標的領域に特異的なプローブにハイブリダイズされる。
【0103】
標的領域(例えば、20q13)のためのプローブからのハイブリダイゼーション・シグナルの強度と、(増幅されていない)対照、例えば動原体 DNAに向けられたプローブからのシグナルとの比較は、標的核酸の相対的なコピー数の推定を提供する。
【0104】
他の形式は、例えば、 WO 96/17958 中に記載されているような、核酸サンプルがそれにハイブリダイズされるところのプローブ又は標的のアレイを使用する。本明細書中に使用するとき、“核酸アレイ”は、プローブ核酸にそれにハイブリダイズされるところの固体表面上に固定化された1以上の標的核酸分子を各々が含む複数の標的要素である。標的要素の標的核酸は、典型的には、 20q13アンプリコン内にそれらの起源をもつ。標的要素の標的核酸は、例えば、本明細書中に開示される特定の遺伝子又はクローンからの配列を含む。さまざまな寸法の標的要素が本発明のアレイにおいて使用されることができる。一般的には、より小さな、標的要素が好ましい。典型的には、標的要素は、直径約1cm未満であろう。一般には、要素サイズは、1μm〜約3mm、好ましくは約5μm〜約1mmの間である。
【0105】
上記アレイの標的要素は、異なる密度において上記固体表面上に配置されることができる。標的要素の密度は、多くの要因、例えば、標識の性質、固体支持体、その他に依存するであろう。当業者は、各標的要素が異なる長さ及び配列をもつ標的核酸の混合物を含むことができるということを理解するであろう。従って、例えば、標的要素は、 DNAのクローン片の2以上のコピーを含むことができ、そして各コピーは異なる長さをもつ断片に分解されることができる。本発明の標的配列の長さ及び複雑性は、本発明にとって決定的ではない。当業者は、上記要因を調節して、最適ハイブリダイゼーション及び所定のハイブリダイゼーションについての最適シグナル生産を提供し、そして異なる遺伝子又はゲノムの位置の間の要求分解能を提供することができる。典型的には、標的配列は、約1kb〜約1Mbの間の、ときどき10kb〜約 500kbの間の、そして普通には約50kb〜約 150kbの間の複雑さをもつであろう。
【0106】
20q13アンプリコンからの遺伝子内の突然変異の検出
本明細書中に開示されるcDNA配列は、対応の内因性遺伝子内の突然変異(例えば、置換、挿入、及び欠失)を検出するために使用されることもできる。当業者は、一般的に先に記載された核酸ハイブリダイゼーション技術が上記のたいていの突然変異を検出するために適合することができるということを理解するであろう。例えば、標的遺伝子の突然変異形態と野生型形態の間を区別するオリゴヌクレオチド・プローブが標準的なハイブリダイゼーション・アッセイにおいて使用されることができる。いくつかの態様においては、ハイブリダイゼーション前に標的配列のコピー数を高めるために(例えば、 PCRを使用した)増幅を使用することができる。
【0107】
20q13アンプリコン・タンパク質を検出するためのアッセイ
先に示したように、本発明は、各種癌に関係する 20q13アンプリコン内の遺伝子のタンパク質産物を同定する。特に、 20q13タンパク質が各種癌において過剰発現されることが示された。 20q13タンパク質の存在又は非存在及び/又は発現レベルは、癌の存在、非存在、又は程度の指標であることができる。
【0108】
20q13アンプリコン・タンパク質(例えば、 ZABC1又はb1)は、当業者に周知の多くの手段により検出され、そして定量されることができる。これらは、分析生化学的方法、例えば電気泳動、キャピラリー電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC) 、超拡散(hyperdiffusion)クロマトグラフィー、その他、又はさまざまな免疫学的方法、例えば液体又はゲル沈降素反応、免疫拡散(単一又は二重)、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA) 、酵素結合イムノソルベント・アッセイ(ELISAs)、免疫蛍光アッセイ、ウェスタン・ブロッティング、その他を含むことができる。
【0109】
1の好ましい態様においては、 20q13アンプリコン・タンパク質を電気泳動タンパク質分離、例えは1次元又は2次元電気泳動において検出し、一方、最も好ましい態様においては、 20q13アンプリコン・タンパク質をイムノアッセイを使用して検出する。
本明細書中に使用するとき、イムノアッセイは、アナライト(例えば、 ZABC1又は 1b1タンパク質)に特異的に結合する抗体を使用するアッセイである。従って、イムノアッセイは、アナライトを単離し、標的とし、そして定量するための他の物理的又は化学的特性の使用とは反対に、抗− 20q13アンプリコン抗体(例えば、抗−ZABC1 又は抗−1b1)への 20q13アンプリコン・タンパク質の特異的結合の検出を特徴とする。
生物学的サンプルの採取及びその後の 20q13アンプリコン・タンパク質についてのテストを、以下、より詳しく討議する。
【0110】
A)サンプル採取及びプロセッシング
20q13アンプリコン・タンパク質は、好ましくは、哺乳類から、より好ましくはヒト患者から又はブタ、ネズミ、ネコ、イヌ、又はウシから得られた生物学的サンプル中で定量される。本明細書中に使用するとき、生物学的サンプルは、 20q13増幅に相関されることができる 20q13アンプリコン・タンパク質濃度を含む生物学的組織又は液体のサンプルである。特に好ましい生物学的サンプルは、非限定的に、生物学的液体、例えば、血液又は尿、又は非限定的に組織生検(例えば、針生検)サンプルを含む組織サンプルを含む。
【0111】
生物学的サンプルは、適当なバッファー溶液中での希釈により適宜前処理され、又は必要により濃縮されることができる。生理学的pHにおいて、さまざまなバッファー、例えばホスフェート、トリスその他の中の1を使用する、多くの標準的な水性バッファー溶液のいずれかを使用することができる。
【0112】
B)電気泳動アッセイ
先に示したように、生物学的組織中の 20q13アンプリコン・タンパク質の存在又は非存在は、電気泳動方法を使用して測定されることができる。電気泳動技術を使用するタンパク質の検出手段は当業者に周知である(一般に、R.Scopes (1982) Protein Purification, Springer-Verlag, N.Y.; Deutscher, (1990) Methods in Enzymology Vol.182: Guide to Protein Purification., Academic Press, Inc., N.Y.) 。好ましい態様においては、 20q13アンプリコン・タンパク質は、1次元又は2次元電気泳動を使用して検出される。特に好ましい2次元電気泳動分離は、1次元について固定化pHグラジエント及び2次元についてポリアクリルアミド・ゲル中の等電焦束法(IEF) に頼る。このようなアッセイは、上記引用文献中に及び Patton et al. (1990) Biotechniques 8: 518により記載されている。
【0113】
C)免疫学的結合アッセイ
好ましい態様においては、 20q13アンプリコンは、多くの十分に認められた免疫学的結合アッセイのいずれかを使用して検出され、そして/又は定量される(例えば、米国特許第 4,366,241号;第 4,376,110号;第 4,571,288号;及び第 4,837,168号を参照のこと。)。一般的イムノアッセイのレビューについては、Methods in Cell Biology Volume 37: Antibodies in Cell Biology, Asai, ed. Academic Press, Inc. New York (1993); Basic and Clinical Immunology 7th Edition, Stites & Terr, eds. (1991)をも参照のこと。
【0114】
免疫学的結合アッセイ(又はイムノアッセイ)は、典型的には、アナライト(この場合 20q13アンプリコン)に特異的に結合し、そしてしばしば固定化するために“捕獲剤”を使用する。この捕獲剤は、アナライトに特異的に結合する部分である。好ましい態様においては、この捕獲剤は、 20q13アンプリコン・タンパク質に特異的に結合する抗体である。
【0115】
抗体(例えば、抗−ZABC1 又は抗−1b1)は、当業者に周知の多数の手段の中のいずれかにより製造されることができる(例えば、 Methods in Cell Biology Volume 37: Antibodies in Cell Biology, Asai, ed. Academic Press, Inc. New York (1993); 及びBasic and Clinical Immunology 7th Edition, Stites & Terr, eds. (1991) を参照のこと。)。抗体は、抗体全体又は抗体断片であることができる。それはポリクローナル又はモノクローナルであることができ、及びそれは、 20q13アンプリコン・プロテイン又はそれから得られたエピトープで生物(例えば、マウス、ラット、等)をチャレンジすることにより製造されることができる。あるいは、抗体は、組換え DNA方法を使用して新規に製造されることができる。抗体は、 20q13アンプリコンに対してスクリーンされたファージ表示ライブラリーから選ばれることもできる(例えば、 Vaughan et al.(1996) Nature Biotechnology, 14: 309-314及びその中の引用文献を参照のこと。)。
【0116】
イムノアッセイも、捕獲剤及びアナライトにより形成される結合複合体に特異的に結合し、そして標識付けするためのラベリング剤をしばしば使用する。このラベリング剤は、それ自体、抗体/アナライト複合体を含む部分の中の1であることができる。従って、ラベリング剤は、標識された 20q13アンプリコン・タンパク質又は標識された抗− 20q13アンプリコン抗体であることができる。あるいは、このラベリング剤は、第3の部分、例えば、抗体/ 20q13アンプリコン・タンパク質複合体に特異的に結合する他の抗体であることができる。好ましい態様においては、このラベリング剤は、標識を担持する第2のヒト 20q13アンプリコン・タンパク質抗体である。あるいは、この第2の 20q13アンプリコン・タンパク質抗体は標識を欠くことができるが、それは、次に、第2抗体がそれから得られるところの種の抗体に特異的な第3の抗体により結合されることができる。この第2のものは、検出可能な部分、例えばビオチンで修飾されることができ、それに第3の標識された分子、例えば酵素−標識ストレプトアビジンが特異的に結合する。
【0117】
免疫グロブリン定常領域に特異的に結合することができる他のタンパク質、例えばプロテインA又はプロテインGも、上記標識剤として使用されることができる。これらのタンパク質は、連鎖球細菌の細胞壁の正常な構成成分である。それらは、さまざまな種からの免疫グロブリン定常領域との強い非免疫原性の反応性を示す。一般には、Kronval, et al., J.Immunol., 111: 1401-1406 (1973)、及びAkerstrom, et al., J.Immunol., 135: 2589-2542 (1985)を参照のこと。
【0118】
アッセイの全体にわたり、インキュベーション及び/又は洗浄工程が、試薬の各コンビネーション後に要求されることができる。インキュベーション段階は、約5秒〜数時間、好ましくは約5分〜約24時間、変化することができる。しかしながら、インキュベーション時間は、アッセイ形式、アナライト、溶液容量、濃度、その他に依存するであろう。通常、アッセイは、周囲温度において行われるであろう。但し、それらは、一定温度範囲にわたり、例えば、10℃〜40℃で行われることができる。
【0119】
20q13アンプリコン・タンパク質を検出するためのイムノアッセイは、競合又は非競合的なものであることができる。非競合的イムノアッセイは、捕獲されたアナライト(この場合、 20q13アンプリコン)の量が直接的に計測されることができるようなアッセイである。1の好ましい“サンドイッチ”アッセイにおいては、例えば、捕獲剤(抗− 20q13アンプリコン・タンパク質抗体)が、それらが固定化されているところの固体支持体に直接結合されることができる。これらの固定化された抗体は、次に、テスト・サンプル中に存在する 20q13アンプリコン・タンパク質を捕獲する。このように固定化された 20q13アンプリコンは、次にラベリング剤、例えば標識を担持する第2ヒト 20q13アンプリコン・タンパク質抗体により結合される。あるいは、第2の 20q13アンプリコン・タンパク質抗体は標識を欠くことができるが、それは、次に、それから第2抗体が得られるところの種の抗体に特異的な標識された第3抗体により結合されることができる。第2のものは検出可能な部分、例えば、ビオチンにより修飾されることができ、それに、第3の標識分子、例えば酵素標識ストレプトアビジンが特異的に結合することができる。
【0120】
2.競合アッセイ形式
競合アッセイにおいては、サンプル中に存在するアナライト(20q13アンプリコン・タンパク質)の量は、サンプル中に存在するアナライトにより捕獲剤(例えば、抗−ZABC1 又は抗− 1b1抗体)から変位され(又は離れて競合する)添加(外因性)アナライト(20q13アンプリコン・タンパク質、例えば ZABC1又は 1b1タンパク質)を間接的に計測することにより計測される。1の競合アッセイにおいては、この場合、 20q13アンプリコン・タンパク質の既知量を、サンプルに添加し、そしてサンプルを次に捕獲剤、この場合、 20q13アンプリコン・タンパク質に特異的に結合する抗体と接触される。この抗体に結合された 20q13アンプリコン・タンパク質の量は、サンプル中に存在する 20q13アンプリコン・タンパク質の濃度に反比例する。
【0121】
特に好ましい態様においては、抗− 20q13タンパク質抗体は固体支持体上に固定化される。上記抗体に結合される 20q13アンプリコン・タンパク質の量は、 20q13アンプリコン・タンパク質/抗体複合体中に存在する 20q13アンプリコンの量を計測するか、あるいは残った複合体非形成 20q13アンプリコン・タンパク質の量を計測することにより、測定されることができる。 20q13アンプリコン・タンパク質の量は、標識された 20q13アンプリコン・タンパク質を提供することにより検出されることができる。
【0122】
ハプテン阻害アッセイは、他の好ましい競合アッセイである。このアッセイにおいては、知られたアナライト、この場合 20q13アンプリコン・タンパク質が固体支持体上に固定化される。既知量の抗− 20q13アンプリコン・タンパク質抗体をサンプルに添加し、そしてサンプルを、次に固定化された 20q13アンプリコン・タンパク質と接触させる。この場合、固定化された 20q13アンプリコン・タンパク質に結合された抗− 20q13アンプリコン・タンパク質抗体の量は、サンプル中に存在する 20q13アンプリコン・タンパク質の量に反比例する。再び、固定化された抗体の量が、抗体の固定化画分又は溶液中に残る抗体の画分のいずれかを検出することにより検出されることができる。検出は、抗体が標識されている場合、直接的であり、又は先に記載したように抗体に特異的に結合する標識された部分のその後の添加により間接的であることができる。
【0123】
3.他のアッセイ形式
特に好ましい態様においては、ウェスタン・ブロット(イムノブロット)分析がサンプル中の 20q13アンプリコン・タンパク質の存在を検出し、そしてそれを定量するために使用される。この技術は、一般に、分子量に基づくゲル電気泳動によりサンプル・タンパク質を分離し、分離されたタンパク質を好適な固体支持体、(例えば、ニトロセルロース・フィルター、ナイロン・フィルター、又は誘導体化されたナイロン・フィルター)に移し、そして 20q13アンプリコン・タンパク質に特異的に結合する抗体と共にサンプルをインキュベートすることを含む。抗− 20q13アンプリコン・タンパク質抗体は、固体支持体上の 20q13アンプリコン・タンパク質に特異的に結合する。これらの抗体は、直接的に標識され、あるいは抗− 20q13アンプリコン・タンパク質に特異的に結合する標識された抗体(例えば、標識されたヒツジ抗−マウス抗体)を使用してその後に検出されることができる。
【0124】
他のアッセイ形式は、リポソーム・イムノアッセイ(LIA) を含み、これは、特定の分子(例えば、抗体)に結合するようにデザインされたリポソームを使用し、そしてカプセル化された試薬又はマーカーを放出する。次にこの放出された化学物質が標準的な技術に従って検出される(Monroe et al. (1986) Amer.Clin.Prod.Rev. 5: 34-41を参照のこと。)。
【0125】
D)非特異的結合の減少
当業者は、イムノアッセイにおいて非特異的結合を減少させることがしばしば望ましいということを理解するであろう。特に、アッセイが固体支持体上に固定化された抗原又は抗体を含む場合、上記支持体への非特異的結合の量を最小化することが望ましい。このような非特異的結合を減少させる手段は、当業者に周知である。典型的には、これは、タンパク質性組成物による上記支持体のコーティングを含む。特に、タンパク質組成物、例えばウシ血清アルブミン(BSA) 、脱脂粉末乳、及びゼラチンが広く使用される。粉末乳が最も好ましい。
【0126】
E)標識
上記アッセイにおいて使用される特定の標識又は検出可能な基は、それがそのアッセイにおいて使用される抗体の比特異的結合を有意に妨害しない限り、本発明の決定的側面ではない。検出可能な基は、検出可能な物理的又は化学的特性をもついずれかの材料であることができる。このような検出可能な標識は、イムノアッセイの分野において十分に開発されており、そして一般に、このような方法において有用な標識のほとんどが本発明に適用されることができる。従って、標識は、分光学的、光化学的、生化学的、免疫化学的、電気的、光学的又は化学的手段により検出されることができるいずれかの組成物である。本発明において有用な標識は、磁気ビーズ(例えば、 DynabeadsTM)、蛍光染料(例えば、フルオレセイン・イソチオシアネート、テキサス・レッド、ローダミン、その他)、放射標識(例えば、 3H, 125I,35S,14C、又は32P)、酵素(例えば、 ELISAにおいて一般に使用される西洋ワサビ・ペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、その他)、及び比色標識、例えばコロイド状金又は着色ガラス又はプラスチック(例えば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス、等)ビーズを含む。
【0127】
標識は、当業者に周知の方法に従ってアッセイの所望の成分に直接的又は間接的に結合されることができる。先に示したように、多種多様の標識が使用されることができ、標識の選択は、要求感度、化合物との結合容易性、安定性要求、利用可能な計装、及び処分設備に依存する。
【0128】
非放射性標識はしばしば間接手段により付着される。一般に、リガンド分子(例えば、ビオチン)は上記分子に共有結合される。次にリガンドは、固有に検出可能であり又はシグナル系に共有結合された抗−リガンド(例えば、ストレプトアビジン)分子、例えば検出可能な酵素、蛍光化合物、又は化学ルミネセンス化合物に結合する。多くのリガンド及び抗−リガンドを使用することができる。リガンドが天然の抗−リガンド、例えばビオチン、チロキシン、及びコルチゾールをもつ場合、それは、標識された、天然の抗−リガンドと共に使用されることができる。あるいは、いずれかのハプテン又は抗原化合物が抗体と共に使用されることができる。
【0129】
分子は、例えば、酵素又は蛍光団(fluorophore) との抱合により、シグナル生成化合物に直接的に抱合されることもできる。標識としての着目の酵素は、主として、ヒドロラーゼ、特にホスファターゼ、エラスターゼ及びグリコシダーゼ、又はオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼであろう。蛍光化合物は、フルオレセイン及びその誘導体、ローダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン(umbelliferone) 、等を含む。化学ルミネセント化合物は、ルシフェリン、及び2,3−ジヒドロフタラジンジオン、例えばルミノールを含む。使用されることができるさまざまな標識付け又はシグナル生成系のレビューについては、米国特許第 4,391,904号を参照のこと。
【0130】
標識の検出手段は当業者に周知である。従って、例えば、標識が放射性標識である場合、検出手段は、シンチレーション・カウンター又はオートラジオグラフィーにおけるような写真フィルムを含む。標識が蛍光標識である場合、それは、光の適当な波長により蛍光色素(fluorochrome)を励起し、そして得られた蛍光を検出することにより検出されることができる。フルオレセインは、写真フィルムにより、電気的検出装置、例えば電荷結合素子(CCDs)又は光電子増倍装置その他により視覚的に検出されることができる。同様に、酵素標識は、酵素のための適当な基質を提供し、そして得られた反応生成物を検出することにより検出されることができる。最後に、単純な比色標識が、その標識に関係する色を単に観察することにより検出されることができる。従って、さまざまな計量棒アッセイにおいて、抱合金はしばしばピンクを現し、一方、さまざまな抱合ビーズは、そのビーズの色を現す。
【0131】
いくつかのアッセイ形式は、標識された成分の使用を必要としない。例えば、凝集アッセイは、標的抗体の存在を検出するために使用されることができる。この場合、抗原−コート粒子は、標的抗体を含むサンプルにより凝集される。この形式においては、その成分のいずれも標識付けされる必要はなく、そして標的抗体の存在は、簡単な視覚的検査により検出される。
【0132】
G)基質
上述のように、アッセイに依存して、抗原、標的抗体、又は抗−ヒト抗体を含むさまざまな成分が、固体表面に結合されることができる。さまざまな固体表面への生体分子の多くの固体化方法が本分野において知られている。例えば、固体表面は、膜(例えば、ニトロセルロース)、マイクロタイター皿(例えば、 PVC、ポリプロピレン、又はポリスチレン)、試験管(ガラス又はプラスチック)、計量棒(例えば、ガラス、 PVC、ポリプロピレン、ポリスチレン、ラテックス、その他)、マイクロセントリフュージ管、又はガラス又はプラスチック・ビーズであることができる。所望の成分は、非特異的結合を通じて共有結合又は非共有結合されることができる。
【0133】
多種多様な有機及び無機ポリマー、天然及び合成の両者が、固体表面のための材料として使用されることができる。例示的なポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレン・テレフタレート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(ビニル・ブチレート)、ポリビニリデン・ジフルオリド(PVDF)、シリコーン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロースその他を含む。使用されることができる他の材料は、紙、ガラス、セラミック、金属、メタロイド、半導体材料、セメントその他を含む。さらに、ゲルを形成する物質も含まれ、例えばタンパク質(例えば、ゼラチン)、リポ多糖、シリケート、アガロース及びポリアクリルアミドを使用することができる。いくつかの水相を作るポリマー、例えばデキストラン、ポリエチレン・グリコール又は界面活性剤、例えばリン脂質、長鎖(12−24炭素原子)アルキル・アンモニウム塩その他も好適である。固体表面が多孔性である場合、さまざまな多孔サイズがその系の性質に依存して使用されることができる。
【0134】
表面の調製においては、複数の異なる材料が、特にラミネートとして、さまざまな特性を得るために使用されることができる。例えば、タンパク質コーティング、例えばゼラチンが、非特異的結合を回避し、共有結合を単純化し、シグナル検出を強化する等のために使用されることができる。
【0135】
化合物と表面の間の共有結合が望ましい場合、その表面は、通常、多官能価であり又は多官能性にされることができるであろう。表面上に存在し、そして結合のために使用されることができる官能基は、カルボン酸、アルデヒド、アミノ基、シアノ基、エチレン基、ヒドロキシル基、メルカプト基その他を含むことができる。多種多様な化合物をさまざまな表面に結合させるやり方は、周知であり、そして文献中に十分に説明されている。例えば、Immobilized Enzymes, Ichiro Chibata, Halsted Press, New York, 1978、及びCuatrecasas (1970) J.Biol.Chem. 245 3059を参照のこと。
【0136】
共有結合に加え、アッセイ成分に非共有結合するさまざまな方法を使用することができる。非共有結合は、典型的には、表面への化合物の非特異的吸収である。典型的には、その表面は、標識されたアッセイ成分の非特異的結合を防止するために第2の化合物によりブロックされる。あるいは、表面は、それが1成分に非特異的に結合するが他に有意に結合しないように、デザインされる。例えば、レクチン、例えばコンカナバリンAを担持する表面は、炭水化物含有化合物に結合するが、グリコシル化を欠く標識タンパク質に結合しないであろう。アッセイ成分の非共有結合における使用のためのさまざまな固体表面が米国特許第 4,447,576号及び第 4,254,082号中に概説されている。
【0137】
20q13アンプリコン・プローブを含有するキット
本発明は、 20q13における染色体異常の検出のための診断キットをも提供する。好ましい態様においては、キットは、本明細書中に記載する 20q13アンプリコンに対する1以上のプローブ及び/又は 20q13アンプリコンに対する抗体(例えば、抗−ZABC1 又は抗−1b1)を含む。キットは、さらに、ブロッキング・プローブ、 20q13アンプリコンの検出においてそのキット内容物をどのように使用するかを説明する指示書等を含む。キットは、以下の:プローブの検出を容易にするためのさまざまな標識又は標識付け剤、バッファー、分裂中期スプレッド、ウシ血清アルブミン(BSA) 及び他のブロッキング剤を含むハイブリダイゼーションのための試薬、細い針、綿棒、アスピレーターその他を含むサンプル・デバイス、ポジティブ及びネガティブ・ハイブリダイゼーション・コントロール等の中の1以上をも含むことができる。
【0138】
cDNAクローンの発現
当業者は、本明細書中に開示するcDNAクローンにより、又は組換え操作された細胞、例えばバクテリア、酵母、昆虫(特にバキュロウイルス・ベクターを使用したもの)、又は哺乳類細胞内でゲノム配列のcDNA部分をサブクローニングすることによりコードされた所望のポリペプチドを発現させることができる。当業者は、 cDNAsの発現のために利用されることができる多くの発現系においてよく知っているということが予想される。原核又は真核生物内でのタンパク質の発現のために知られたさまざまな方法を詳細に説明することを行わない。
【0139】
簡単に言えば、本発明のポリペプチドをコードする中性又は合成核酸の発現は、典型的には、 DNA又はcDNAを(構成的又は誘導的である)プロモーターに作用可能な状態で連結し、その後、発現ベクター内に取り込むことにより、達成されるであろう。ベクターは、原核生物又は真核生物内での複製及び組み込みのために好適であることができる。典型的な発現ベクターは、ポリペプチドをコードする DNAの発現の調節のために有用な転写及び翻訳ターミネーター、開始配列、及びプロモーターを含む。クローン化遺伝子の高レベル発現を得るために、少なくとも、転写を指令するための強プロモーター、翻訳開始のためのリボソーム結合部位、及び転写/翻訳ターミネーターを含む発現プラスミドを構築することが望ましい。
【0140】
E. coliにおける上記目的のために好適な調節領域の例は、Yanofsky, C., 1984, J.Bacteriol., 158: 1018-1024により記載されたような E. coliトリプトファン生合成系路のプロモーター及びオペレーター領域、及び Herskowitz, I. and Hagen, D., 1980, Ann.Rev.Genet., 14: 399-445により記載されたようなラムダ・ファージの左側プロモーター(PL )である。 E. coli内に形質転換された DNAベクター内に選択マーカーを入れることも有用である。このようなマーカーの例は、アンピシリン、テトラサイクリン、又はクロラムフェニコールに対する耐性を特定する遺伝子を含む。 E. coli, Bacillus種(Palva, I et al., 1983, Gene 22: 229-235; Mosbach, K. et al. Nature, 302: 543-545) を使用した発現系を利用することができる。 E. coli系が好ましい。
【0141】
原核細胞により製造されるポリペプチドは、必ずしも正しく折り畳まれないかもしれない。 E. coliからの精製の間、発現されたポリペプチドは、まず、変性され、そして次に再生されることができる。これは、攪乱剤、例えば、グアニジン HCl中でバクテリアにより製造されたタンパク質を可溶化し、そして還元剤、例えばベーターメルカプトエタノールで全てのシステイン残基を還元することにより達成されることができる。ポリペプチドは、次に、遅い透析により又はゲル濾過により、再生される。米国特許第 4,511,503号。
【0142】
さまざまな真核発現系、例えば酵母、昆虫細胞系及び哺乳類細胞が当業者に知られている。以下に簡単に説明するように、ポリペプチドは、上記真核系において発現されることもできる。
【0143】
酵母内での異種タンパク質の合成は周知であり、そして記載されている。Methods in Yeast Genetics, Sherman, F., et al., Cold Spring Harbor Laboratory, (1982) は、酵母内でポリペプチドを製造するために利用することができるさまざまな方法を記載するよく理解された仕事である。 YEp6, YEp13, YEp4のような多くの酵母発現プラスミドをベクターとして使用することができる。着目の遺伝子は、さまざまな酵母ベクター内でプロモーターのいずれかに融合されることができる。上述のプラスミドは、文献中によく記載されている(Botstein, et al., 1979, Gene, 8: 17-24; Broach, et al., 1979, Gene, 8: 121-133) 。
【0144】
ポリペプチドの製造のために有用な細胞培養のために例証となるものは、昆虫又は哺乳類起源の細胞である。哺乳類細胞系は、しばしば、単層の細胞形態にあるであろう。但し、哺乳類細胞懸濁液も使用されることができる。哺乳類細胞系の実例となる例は、VERO及びHeLa細胞、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO) 細胞系、W138,BHK, Cos-7又はMDCK細胞系を含む。
【0145】
先に示したように、ベクター、例えば、宿主細胞を形質転換するために使用されるプラスミドは、好ましくは、抗原遺伝子配列の転写を開始するための DNA配列及びその翻訳を制御するための配列を含む。これらの配列は、発現制御配列といわれる。宿主細胞が昆虫又は哺乳類起源をもつとき、実例となる発現制御配列は、しばしば、 SV-40プロモーター(Science, 222: 524-527, 1983) 、CMV I.E.プロモーター(Proc.Natl.Acad.Sci. 81: 659-663, 1984) 又はメタロチオネイン・プロモーター(Nature 296: 39-42, 1982) から得られる。上記発現制御配列を含むクローニング・ベクターは、本分野において周知の手段により、制限酵素を使用して解裂され、そして必要により又は所望によりサイズを調整され、そして所望の DNAによりライゲートされる。
【0146】
酵母に関しては、高等動物宿主細胞が使用されるとき、知られた哺乳類遺伝子からのポリアデニレーション又は転写ターミネーター配列がそのベクター内に取り込まれる必要がある。ターミネーター配列の例は、ウシ成長ホルモン遺伝子からのポリアデニレーション配列である。転写物の正しいスプライシングのための配列も含まれることができる。スプライシング配列の例は、SV40からの VP1イントロンである(Sprague, J. et al., 1983, J.Virol. 45: 773-781)。
【0147】
さらに、宿主細胞内で複製を制御するための遺伝子配列、例えばウシ乳頭腫ウイルス型ベクター内に在るものが、ベクター内に取り込まれることができる。 Saveria-Campo, M., 1985, "Bovine Papilloma virus DNA a Eukaryotic Cloning Vector" in DNA Cloning Vol.II a Practical Approach Ed. D.M.Glover, IRL Press, Arlington, Virginia pp.213-238 。
【0148】
cDNAs及びそれらの遺伝子産物の治療的用途及びその他の用途
本発明のcDNA配列及びポリペプチド産物は、 cDNAsに対応する内因性遺伝子の遺伝子産物の活性を調節するために使用されることができる。遺伝子産物の活性を調節することにより、それらの発現に関係する又は発現を欠く病理学的条件が処理されることができる。当業者に周知の多くの技術の中のいずれも上記目的のために使用されることができる。
【0149】
本発明の cDNAsは、特に、さまざまな癌、例えば、胸、卵巣、膀胱、頭及び首、及び結腸の癌の治療のために使用される。他の疾患も本発明の配列により治療されることができる。例えば、上記のように、GCAP(配列番号:6)は、サイクリック AMPの生合成に関係するグアニノ・シクラーゼ活性化タンパク質をコードする。サイクリック AMPの生合成に関係する遺伝子内の突然変異は、遺伝性網膜変性疾患に関連することが知られている。これらの病気は、網膜構造の進行性の両側性の変性が網膜機能の損失を導くところの一群の遺伝性の症状である。これらの病気は、年齢に関係する黄斑変性、老齢者における視力低下の主原因; Leber's先天性黒内障、その犠牲者が生まれつきの盲になることを引き起こすもの;及び色素性網膜炎("RP")、遺伝性盲の最も一般的な形態の中の1つ、を含む。RPは、網膜視細胞(桿体及び錐体)の損失を特徴とする遺伝性網膜症に与えられた名前であり、ここで、光フラッシュへの網膜の電気的応答(すなわち、網膜電図、又は“ERGs”)は振幅において減少される。
【0150】
異なる網膜変性における網膜視細胞の損失又は細胞死のメカニズムは十分に理解されていない。多くの異なる遺伝子内の突然変異は、ヒトRPの異なる形態における原発性遺伝病変として同定されている。影響受ける遺伝子は、ロドプシン、cGMPのアルファ及びベータ・サブユニット、及びペリフェリン−RDS を含む(Dryja, T.P. et al., Invest.Ophthalmol.Vis.Sci. 36, 1197-1200 (1995))。全てのケースにおいて、特定の原発性遺伝子突然変異に拘らず、失調の顕示は類似しており、視細胞の変性及び盲目をもたらす。
【0151】
網膜変性の動物モデルに対する研究は、最近10年間多くの実験室の焦点であった。盲目を導く突然変異のいくつかにおいて変更されたメカニズムが明らかにされてきた。これは、rdマウスの遺伝性失調を含むであろう。rd遺伝子は、cGMP−ホスホジエステラーゼ(PDE) のベータ・サブユニットをコードする(Bowes, C. et al., Nature 347, 677-680 (1990)) 、正常な視覚の働きにおいて基本的に重要な酵素をコードする。なぜなら、それは、光変換において生じる事件のカスケードにおける重要な成分であるからである。
【0152】
本発明の cDNAsによりコードされたポリペプチドは、ポリクローナル又はモノクローナルの抗体を生じさせるための免疫原として使用されることができる。抗体は、診断目的のために上記ポリペプチドを検出するために、上記ポリペプチドを阻害するための治療剤として、又は免疫毒における標的分子として、使用されることができる。所望の抗原に対するモノクローナル抗体の製造は当業者に周知であり、そして本明細書中には詳細にレビューされない。
【0153】
当業者は、さまざまな免疫グロブリン分子の製造及び操作のための多くの方法が在るということを認めている。本明細書中に使用するとき、用語“免疫グロブリン”及び“抗体”とは、免疫グロブリン遺伝子により実質的にコードされた1以上のポリペプチドから成るタンパク質をいう。免疫グロブリンは、抗体に加えてさまざまな形態で存在し、例えば、 Fv, Fab, F(ab)2、を含み、そして一本鎖で存在することができる。モノクローナル抗体を生じさせるために、免疫感作された動物(例えば、マウス)から得られた抗体産生細胞を不死化し、そしてスクリーンし、又はまず所望の抗体の生産についてスクリーンし、そして次に不死化する。モノクローナル抗体生産の一般的手順の討議については、Harlow and Lane, Antibodies, A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Publications, N.Y.(1988) を参照のこと。
【0154】
上記技術により作られた抗体は、本明細書中に開示する核酸からの遺伝子産物の発現を検出し、そして定量するための免疫診断アッセイにおいて使用されることができる。例えば、本発明のポリペプチドに対する標識されたモノクローナル抗体は、生物学的サンプル中の発現レベルを検出するために使用されることができる。診断的イムノアッセイにおける一般的手順のレビューのためには、Basic and Clinical Immunology 7th Edition D.Stites and A.Terr ed.(1991)を参照のこと。
【0155】
本発明のポリヌクレオチドは、当業者に周知の遺伝子治療のために特に有用である。本明細書中に使用されるとき遺伝子治療とは、それにより遺伝子発現が細胞内で変更されることができるところの多数の技術をいう。このような方法は、例えば、リボザイムをコードする DNA又は発現を阻害するためのアンチセンス核酸の導入並びに(例えば、網膜変性を治療するための野生型GCAP遺伝子を使用した)突然変異遺伝子を置き替えるための機能的な野生型遺伝子の導入を含む。多くの好適なウイルス・ベクターが知られている。このようなベクターは、レトロウイルス・ベクター(Miller, Curr.Top.Microbiol.Immunol. 158: 1-24 (1992); Salmons and Gunzburg,Human Gene Therapy 4: 129-141 (1993); Miller et al., Methods in Enzymology 217: 581-599, (1994))及びアデノ−関連ベクター(Carter, Curr.Opinion Biotech. 3: 533-539 (1992): Muzcyzka, Curr.Top.Microbiol.Immunol. 158: 97-129 (1992) 中に概説されたもの)を含む。上記方法において使用されることができる他のウイルス・ベクターは、アデノウイルス・ベクター、ヘルペス・ウイルス・ベクター及び Sindbisウイルスベクターを含み、一般には、例えば、Jolly, Cancer Gene Therapy 1: 51-64 (1994): Latchman, Molec.Biotechnol. 2: 179-195 (1994); 及びJohanning et al., Nucl.Acids Res. 23: 1495-1501 (1995)中に記載されている。
【0156】
リポソームを介して異種プロモーター−エンハンサー要素に結合された核酸のデリバリーも知られており(例えば、Brigham, et al. (1989) Am.J.Med.Sci., 298: 278-281; Nabel, et al. (1990) Science, 249: 1285-1288; Hazinski, et al. (1991) Am.J.Resp.Cell Molec.Biol., 4: 206-209及びWang and Huang (1987) Proc.Natl.Acad.Sci. (USA), 84: 7851-7855を参照のこと。);これは、リガンド−特異的、カチオン−ベースの輸送システムと組み合される(Wu and Wu (1988) J.Biol.Chem., 263: 14621-14624)。裸の DNA発現ベクターも記載されている(Nabel et al. (1990) 、前掲);Wolff et al. (1990) Science, 247: 1465-1468)。
【0157】
本発現の核酸及びコードされたポリペプチドは、内因性遺伝子又はそれらの遺伝子産物を阻害するために直接的に使用する。例えば、阻害性核酸は相補的核酸配列に特異的に結合するために使用されることができる。適当な標的配列への結合により、RNA-RNA, DNA-DNA、又はRNA-DNA 2本鎖が形成される。これらの核酸は、しばしば“アンチセンス”といわれる。なぜなら、それらは、通常その遺伝子のセンス又はコーディング鎖に相補的であるからである。但し、“センス”核酸の使用のためのアプローチも開発されている。用語“阻害性核酸”とは本明細書中に使用するとき、“センス”核酸と“アンチセンス”核酸の両者をいう。阻害性核酸法は、異なるメカニズムにより働く特定の遺伝子の発現を変更させるための多数の異なるアプローチを包含する。
【0158】
簡単に言えば、阻害性核酸治療アプローチは、 DNA配列を標的とするもの、(プレmRNA及びmRNAを含む)RNA配列を標的とするもの、タンパク質を標的とするもの(センス鎖アプローチ)、及び標的核酸の解裂又は化学的修飾を引き起こすもの(リボザイム)に分類されることができる。これらの異なるタイプの阻害性核酸技術は、例えば、Helene, C. and Toulme, J. (1990) Biochim.Biophys.Acta., 1049: 99-125中に記載されている。
【0159】
c-myc mRNAの領域に相補的な阻害性核酸は、プロトオンコジーン(protoncogene)を過剰発現する、ヒト前骨髄球性白血病細胞系、HL60内での c-mycタンパク質の発現を阻害することが示されている。Wickstrom E.L., et al., (1988) PNAS (USA), 85: 1028-1032及び Harel-Bellan, A., et al., (1988) Exp.Med., 168: 2309-2318を参照のこと。
【0160】
本発明のコードされたポリペプチドは、例えば、タンパク質とそのタンパク質により特異的に認識される第2分子の間の相互作用を阻害することにより内因性タンパク質を阻害する(ペプチド又は非ペプチド)分子をデザインするためにも使用されることができる。
このような分子のデザイン方法は当業者に周知である。
【0161】
例えば、コードされたタンパク質との配列同一性をもち又はその配列の(保存的又は非保存的)修飾を含むことができるポリペプチドをデザインすることができる。例えば、それらのインビボにおける安定性を変えるために、上記修飾を選ぶことができる。例えば、ペプチド内の1以上のD−アミノ酸の含有は、典型的には、特にそのD−アミノ酸残基がそのペプチド配列の1又は両末端で置換される場合、安定性を高める。
【0162】
ポリペプチドは、他の分子への結合により修飾されることもできる。例えば、異なるN−又はC−末端基がその分子の物理的及び/又は化学的特性を変えるために導入されることができる。このような変更は、例えば、接着、安定性、生物学的利用能、その分子の位置決め又は検出に影響を及ぼすために、使用されることができる。診断目的のためには、多種多様な標識がそれの末端に結合されることができ、これが、直接的又は間接的に、検出可能なシグナルを提供することができる。従って、ポリペプチドは、生物学的活性を未だ保存しながらさまざまな最終目的のためにさまざまな方法で修飾されることができる。
【実施例】
【0163】
実施例
以下の実施例は本発明を非限定的に説明するために提供される。
実施例1
胸癌における染色体領域 20q13の増幅の予後的意味
患者及び腫瘍材料
腫瘍サンプルを、Tampere University又はCity Hospitalsで1987〜1992年の間に胸癌のために外科手術を受けた 152人の女性から得た。 142サンプルは原発性胸癌腫由来であり、そして11は転移腫瘍由来であった。原発性腫瘍と局所転移の両者からの試料が1の患者から入手できた。インサイチュー又は粘液性の癌腫であった10の原発性腫瘍を上記材料から除外した。なぜなら、それらの試料はFISH試験のために不適当であると考えられたからである。残る 132の原発性腫瘍の中で、 128が浸潤管であり、4つが小葉癌腫であった。患者の年齢は29〜92歳の範囲にあった(平均61)。臨床的な追跡は 129人の患者において可能であった。中央値の追跡期間は45ケ月であった(1.4〜1.77ケ月の範囲)。放射線治療は 129患者の内77人に与えられた(51人の患者は陽性の、そして26人は陰性のリンパ節をもっていた)、そして全身的アジュバント治療を36人の患者に対して行った(33人は内分泌、そして3人は細胞毒性化学療法であった)。原発性腫瘍のサイズと腋窩節併発が、腫瘍−節転移(TNM) 分類に従って測定された。組織病理学的診断を、世界保健機構(11)に従って評価した。癌腫は、Bloom and Richardson, Br.J.Cancer, 11: 359-377 (1957) に従う、癌細胞の管状配置、異型核、及び有糸分裂の又は濃色核図に基づき格付けされた。
【0164】
外科的生検試料を、15分以内の除去で、−70℃で凍結させた。クリオスタット切片(5〜6μm)を、術中の組織病理学的診断のために調製し、そして追加の薄い切片を、免疫組織化学的試験のために切断した。1の隣接 200μm厚の切片を、 DNAフロー・サイトメトリー及びFISH試験のために切断した。
【0165】
FISHのための細胞調製
上記生検試料が高い割合の腫瘍細胞を含むという組織学的証明の後に、核を、 DNAフロー・サイトメトリーのための修正Vindelov手術に従って 200μmの冷凍切片から単離し、Hyytinen et al., Cytometry 16: 93-99 (1994) により記載されたようにFISH分析のためにスライド上に固定し、そして滴下した。包皮線維芽細胞を、増幅試験においてネガティブ・コントロールとして使用し、そしてG1期の濃縮された静止核を得るために集密において細胞を収穫することにより調製した。全てのサンプルを、メタノール−酢酸(3:1)中で固定した。
【0166】
プローブ
20q13領域にマッピングする5つのプローブを使用した(Stokke, et al., Genomics, 26: 134-137 (1995)を参照のこと)。上記プローブは、メラノコルチン−3−レセプターのためのP1−クローン(プローブMC3R、 p-armテロメア(Flpter 0.81) からの部分的な長さ)及びホスホエノールピルベート・カルボキシ・キナーゼ(PCK, Flpter 0.84)、並びに無名コスミド・クローンRMC20C026 (Flpter 0.79)を含む。さらに、RMC20C001 (Flpter 0.825)及びRMC20C030 (Flpter 0.85)を使用した。プローブ RMC20C001は、最大増幅の領域を定めることが先に示されている(Tanner et al., Cancer Res, 54: 4257-4260 (1994))。近位 p-armにマッピングする1のコスミド・プローブ、RMC20C038 (FLpter 0.237)を、染色体−特異的参照プローブとして使用した。テスト・プローブを、ビオチン−14−dATPで、そして上記参照プローブをジゴキシゲニン−11−dUTPで、ニック・トランスレーションを使用して、標識付けした(Kallioniemi et al., Proc.Natl Acad Sci USA, 89: 5321-5325 (1992))。
【0167】
フルオレセイン・インサイチュー・ハイブリダイゼーション
2色FISHを、本質的に(同書に)記載したように、ビオチン−標識付けされた 20q13−特異的プローブ及びジゴキシゲニン−標識付けされた20p参照プローブを使用して行った。腫瘍サンプルを、ハイブリダイゼーションに先立って4℃で5分間、4%パラホルムアルデヒド/ホスフェート緩衝液化生理食塩水中で事後固定(post fixed)し、70%、85%及び 100%エタノール中で脱水し、風乾させ、そして80℃で30分間インキュベートした。スライドを、72〜74℃で3分間70%ホルムアミド/2×標準生理シトレート溶液中で変性させ、その後、プロティナーゼK(0.5μg/ml)消化を行った。ハイブリダイゼーション混合物は、18ngの各標識プローブ及び10μgのヒト胎盤 DNAを含んでいた。ハイブリダイゼーション後、上記プローブを、アビジン−FITC及び抗−ジゴキシゲニン・ローダミンにより免疫化学的に検出した。スライドは、アンチフェード(antifade)溶液中 0.2μMの4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドールにより対比染色された。
【0168】
静止核内のシグナルの蛍光顕微鏡及び格付け
2重バンド−バス・フィルター(double band-bass filters)(Chromatechnology, Brattleboro, Vermont, USA) 及び63×対物レンズ(NA1.3) を備えた Nikon蛍光顕微鏡を、FITC及びローダミン・シグナルの同時可視化のために使用した。DAPI対比染色に基づく無傷の形態をもつ少なくとも50の非重複核を、テスト及び参照プローブ・ハイブリダイゼーション・シグナルの数を測定するために格付けした。腫瘍を浸潤する白血球を分析から除外した。正常な線維芽細胞静止核への対照ハイブリダイゼーションを、プローブが単一コピーの標的を認識すること及びテスト及び参照プローブのハイブリダイゼーション効率が同様であることを確かめるために、行った。
格付け結果を、細胞当りのハイブリダイゼーション・シグナルの平均数として、及び平均増幅レベル(=参照プローブ・シグナルの数に対するシグナルの数平均)として表した。
【0169】
DNAフロー・サイトメトリー及びステロイド・レセプター分析
DNAフロー・サイトメトリーを、Kallioniemi, Cytometry 9: 164-169 (1988)により記載されたように冷凍 200μm切片から行った。分析を、 EPICS Cフロー・サイトメーター(Coulter Electronics Inc., Hialeah, Florida, USA) 及び Multi Cycleプログラム(Phoenix Flow Systems, San Diogo, California, USA)を使用して行った。(20%を超える細胞における)1.07を超える DNA−係数を、 DNA異数性のための基準として使用した。 DNA異数体ヒストグラムにおいて、異数体クローンからのみS−相を分析した。細胞サイクルの評価は、腫瘍の86%(102/126)において成功であった。
【0170】
エストロゲン(ER)とプロゲステロン(PR)レセプターは、先に記載したように(17)クリオスタット切片から免疫組織化学的に検出された。染色結果は、半定量的に評価され、そして 100以上のヒストスコア(histoscore)がERとPRの両者について陽性であると考えられた(17)。
【0171】
統計的方法
分割表(contingency table) を、傾向についてのx2 検定(Chisquare)により分析した。S期画分(連続変数)と 20q13増幅の間の関係を、クルスカル−ウオリス(Kruskal-Wallis)テストにより分析した。無疾患生存者の分析を、BMDPILプログラム及びMantel-Coxテストを使用して行い、そしてコックスの比例危険モデル(Cox's proportional hazards model (BMDP2Lプログラム))を、多変量回帰分析において使用した(Dixon BMDP Statistical Software London, Berkeley, Los Angeles: University of California Press, (1981))。
【0172】
蛍光インサイチュー・ハイブリダイゼーションによる原発性胸癌腫における 20q13の増幅
最小領域プローブ RMC20C001を、 20q13増幅を評価するためにFISH分析において使用した。FISHを、個々の腫瘍細胞における合計シグナル数を分析し、かつ、平均増幅レベル(20p−参照プローブに対する RMC20C001プローブによる平均コピー数)を測定するために使用した。さらに、腫瘍核内のシグナル数の分布をも評価した。腫瘍を3つのカテゴリー:増幅なし、低レベルの増幅、及び高レベルの増幅、に分類した。増幅なしとして分類された腫瘍は、 p-arm対照に比較して、 RMC20C001の 1.5倍未満のコピー数を示した。低レベル増幅をもつとして分類されたものは、 1.5〜3倍の平均増幅レベルをもっていた。3倍を超える平均増幅レベルを示す腫瘍を、高増幅されたものとして分類した。
【0173】
高増幅された腫瘍は、しばしば、個々の腫瘍細胞内で40までのシグナルをもつ広範な腫瘍内異質性を示した。高増幅腫瘍においては、 RMC20C001プローブ・シグナルは、FISHによりクラスターにおいて常に配置され、このことは、例えば、タンデム・アレイにおいて互いに近接して増幅された DNA配列の位置を示している。低レベル 20q13増幅は、 132原発性腫瘍の中の29(22%)において発見され、一方、9ケース(6.8%)は高レベル増幅を示した。従って、 20q13において増加されたコピー数の合計普及率は29%(38/132)であった。
【0174】
増幅の最小領域の定義
RMC20C001に隣接する4つのプローブの平均コピー数が、9つの高増幅腫瘍において測定された。テストされたフランキング・プローブは、メラノコルチン−3−レセプター(MC3R, FLpter 0.81) 、ホスホエノールピルベート・カルボキシキナーゼ(PCK, 0.84) 、RMC20C026(0.79) 及びRMC20C030(0.85) であった。上記アンプリコンのサイズ及び位置は、腫瘍間で僅かに変化したが、 RMC20C001は、9つのケースの全てにおいて一貫して高増幅された唯一のプローブであった。
【0175】
20q13増幅と病理学的及び生物学的特徴との関係
20q13増幅は、腫瘍の高い組織学的等級と有意に関係していた(p=0.01)。この相関は、中程度及び高く増幅された腫瘍の両者において見られた(表4)。 20q13の増幅も、 DNAフロー・サイトメトリーにより測定されるとき異数性と有意に関係した(p=0.01、表4)。S期画分中の細胞のパーセンテージとして計測された、平均細胞増殖活性は、増幅なし、低レベル増幅及び高レベル増幅をもつ腫瘍における増幅のレベルと共に増加した(Kruskal-Wallisテストによりp=0.0085)(表4)。患者の年齢、原発性腫瘍のサイズ、腋窩節又はステロイド・ホルモン−レセプター状態との関係は見つからなかった(表4)。
【0176】
【表5】

【0177】
20q13増幅と無疾患生存の間の関係
高レベル 20q13増幅をもつ患者の無疾患生存は、増幅なし又はほんの低レベル増幅をもつ患者についてのものよりも有意に短かかった(p−0.04)。中程度に増幅された腫瘍をもつ患者の無疾患生存は、増幅をもたない患者のものと有意差はなかった。節陰性患者(n=9)の中では、腫瘍サイズER, PR等級(格付け)、多数性及びS期画分についての調整後の多変量Cox'回帰分析においてさえ(p=0.026)、高レベル 20q13増幅は、より短い無疾患生存についてのより高い有意な予後的因子であった(p=0.002)。
【0178】
転移胸腫瘍における 20q13増幅
11の転移胸腫瘍の中の2は、1の低レベルと1の高レベル 20q13増幅をもっていた。従って、転移腫瘍における増幅した 20q13コピー数の合計普及率(27%)は、原発性腫瘍において観察されたものと同様であった。原発性と転移腫瘍試料の両者が、患者の中の1人から入手できた。この29歳の患者は、全乳房切除後8ケ月目に胸筋浸潤転移に発展した。この患者は、乳房切除後にアジュバント又は放射線療法を受けなかった。原発性腫瘍における腫瘍細胞の大部分は、低レベル増幅を示した。但し、個々の腫瘍細胞(合計の5%未満)は、FISHにより細胞当り8〜20コピーを含んでいた。これに対し、転移からの腫瘍細胞の全てが高レベルの 20q13増幅(細胞当り12〜50コピー)を示した。参照プローブの絶対コピー数は同一のままであり、このことは、高レベル増幅が増加した異数性程度の結果ではなかったということを示唆するものである。
【0179】
20q13増幅の診断的及び予後的価値
本発見は、新たに発見された 20q13増幅が特定の胸癌腫の遺伝的進行経路の重要な成分であることができるということを示唆している。特に、これまでの実験は:1)腫瘍の7%において検出された高レベル 20q13増幅が、節陰性胸癌患者における減少された無疾患生存と、そして高悪性可能性をもつ間接的な指標、例えば高等級及びS期画分と有意に関係したこと、2)より一般的である低レベル増幅も、攻撃性腫瘍の臨床病理学的特徴と関係するが予後的には重要ではなかったこと、3) RMC20C001の増幅レベルが近くの候補遺伝子及び座の増幅よりも高く残り、これが新規オンコジーンが RMC20C001の近傍に位置するということを示していること、を確立している。
【0180】
高レベル 20q13増幅は、他の胸癌オンコジーン、例えば、ERBB2(17q12) 及びCyclin-D (11q13)のいくつかについて報告された増幅頻度よりもいくぶん低い、 20q13増幅の3倍以上高いコピー数の存在により定義される(Borg et al., Oncogene, 6: 137-143 (1991), Van de Vijver et al. Adv.Canc.Res., 61: 25-56 (1993)) 。しかしながら、上記の他のオンコジーンをもって先に発見されているものと同様に(Swab, et al., Genes Chrom.Canc., 1: 181-193 (1990)、高レベルの 20q13増幅は、高等級の又は高いS−期画分をもつ腫瘍において、及び乏しい予後において、より一般的である。ほんの少しの数の節陰性患者が分析されたけれども、我々の結果は、 20q13増幅が予後指標として独立の役割をもっているかもしれないということを示唆する。大きな患者材料における上記問題に向けられた研究が正当化される。その上、上記の生存相関に基づき、上記座において増幅された、今日知られていない、推定オンコジーンが、攻撃性表現型を与えることができる。従って、上記遺伝子のクローニングが重要な目標である。高増幅された腫瘍と増幅の関係に基づき、当業者は、細胞の成長調節における上記遺伝子の役割を推定することができるであろう。
【0181】
腫瘍進行における重要な事件としての低レベル 20q13増幅の役割は、ほとんど明らかではないようである。低レベル増幅は、 p-arm対照に対する 20q13プローブの 1.5〜3倍高められた平均コピー数として定義された。さらに、これらの腫瘍は、特徴的に、ひじょうに高いコピー数をもつ個々の腫瘍細胞を欠き、そして散乱した、クラスター化していないシグナル外観を示した。高レベルと低レベル増幅の間の正確な区別は、FISHによってのみ信頼性をもって行われることができ、一方、サザン及びスロット・ブロット分析は、高レベル増幅だけを検出することができる傾向にあり、ここでは、平均遺伝子コピー数の実質的な評価が行われる。この区別は重要である。なぜなら、高増幅腫瘍だけが有害な臨床結果と関係したからである。低レベル 20q13増幅をもつ腫瘍は、増幅をもたない腫瘍について発見されたものと高レベル増幅をもつものの間にある多くの臨床病理学的特徴をもつようであった。例えば、平均腫瘍S−期画分は、非増幅腫瘍において最低であり、そして高増幅腫瘍において最高であった。1の可能性は、低レベル増幅が高レベル増幅の発達に先行するということである。これは、例えば、インビトロにおける薬剤耐性遺伝子の発達においてそうであることが示されている(Stark, Adv.Canc.Res., 61: 87-113 (1993))。この仮説を支持する証拠は、その者の局所転移が8ケ月前に手術された原発性腫瘍よりかなり高いレベルの 20q13増幅を含んでいたところの、我々の患者の中の1人において見られた。
【0182】
最後に、我々は先の論文は、胸癌細胞系における及び限定された数の原発性胸腫瘍における、 RMC20C001プローブにより定められた 1.5Mbの決定的領域及び候補遺伝子の排除を報告する。本研究の結果は、上記の決定的な増幅領域が実際に上記プローブにより定義されるということを、原発性腫瘍の大きなセットにおいて争う余地のない程に示すことにより上記発見を確かなものにする。
【0183】
従って、本データは、高レベル 20q13増幅がより悪性の表現型への特定の胸腫瘍の進行における重要な段階であることができるといことを示唆するものである。 20q13増幅の臨床的及び予後的意味はすばらしいものであり、 20q13における増幅の最小領域の位置は今日定められている。
【0184】
本明細書中に記載する実施例及び態様は、例証の目的のためだけのものであり、この点におけるさまざまな修正又は変更が当業者に示唆されるであろうし、本明細書及び添付の請求の範囲の本質及び範囲内に含まれるべきであるということが理解される。本明細書中に引用される刊行物、特許、及び特許出願の全てを、目的を限定することなく引用により本明細書中に取り込む。
【0185】
添付配列表の討議
配列番号:1〜10及び12〜13は核酸配列を提供する。各ケースにおいて、その情報は DNA配列として提示される。当業者は、その配列が対応のRNA(すなわち、U残基によるT残基の置換による)、そしてさまざまなその保存的に修飾されたバリエーションをも説明するということを容易に理解するであろう。相補的配列は、現存の配列との比較により十分に説明される。すなわち、相補的配列は、 DNAについての標準的な塩基対規則(例えば、A対T、C対G)により得られる。さらに、核酸配列は、遺伝子コードを使用して所定のDNAを翻訳することにより対応のアミノ酸配列を提供する。
【0186】
配列番号:11については、その情報は、ポリペプチド配列として提示される。当業者は、その配列が、遺伝子コードの使用によりそのアミノ酸配列を対応のヌクレオチド配列に変換することにより、可能なコドン位置のそれぞれにおいて可能なコドンのそれぞれを交互に指定することにより、ポリペプチドをコードする対応の RNA及び DNA配列の全てをも説明するということを容易に理解するであろう。同様に、提供される各核酸配列は同一のタンパク質をコードする核酸の全てをも本質的に提供する。なぜなら、当業者は選ばれた核酸をタンパク質に単に翻訳し、そしてその後、遺伝子コードを使用して、そのアミノ酸配列から全ての可能性のある核酸を逆翻訳するからである。
【0187】
上記配列は、例えば先の定義の節において、提供された見本の保存的アミノ酸置換により適当な残基を置換することによりさまざまな保存的に修飾されたバリエーションをも提供する。
【0188】
【化1】

【0189】
【化2】

【0190】
【化3】

【0191】
【化4】

【0192】
【化5】

【0193】
【化6】

【0194】
【化7】

【0195】
【化8】

【0196】
【化9】

【0197】
【化10】

【0198】
【化11】

【0199】
【化12】

【図面の簡単な説明】
【0200】
【図1】図1(A)は、 20q13増幅のレベルに従う 129胸癌患者の疾患フリー生存を示す。高レベル 20q13増幅をもつ腫瘍をもつ患者は、低レベルの増幅をもつか又は全くもたないものに比較してより短い疾患フリー生存(Mantel-Coxテストによりp=0.04)をもつ。 図1(B)は、79の腋節(axillary node) 陰性患者の亜群における同一疾患フリーの生存の相違を示す(Mantel-Coxテストによりp=0.0022)。
【図2】図2は、29歳の患者からの原発性胸癌腫及びその転移におけるFISHにより検出された 20q13増幅の比較を示す。 20q13の低レベル増幅(20p参照プローブに比較した20q13)は、上記原発性腫瘍内に在った。乳房切除術後8ケ月目に現れた転移は、染色体 20q13領域の高レベル増幅を示す。染色体20(20p参照プローブ)の全コピー数は未変化のまま残った。各データ点は、分析された個々の腫瘍細胞内に遺伝子のコピー数を表す。
【図3】図3は、 20q13.2アンプリコンの分子細胞遺伝学的マッピング及びその後のクローニングを図示したものである。遺伝子距離は、センチモルガン(centi Morgans (cM)) で示される。厚い黒い棒は、胸癌細胞系 BT474内の最高レベルの増幅の領域を表し、そして約 1.5Mbの領域をカバーする。P1と BACクローンは、短い水平線として表され、そして YACクローンはより重い水平線として表される。全ての YACとP1クローンが示されてはいない。 YACs 957f3, 782c9, 931h12、及び 902は切断されている。配列タグ部位(STSs)は、細い垂直線として現れ、そして白丸は、所定の YACが所定の STSについてテストされ、そしてそれについて陽性であるということを示している。全てのSTSsが全てのYACsに対してテストされてはいない。 100を超えるエクソンがそれからトラップされているところの間隔を黒箱として表す。原発性腫瘍において最高の増幅レベルの領域にわたる 600kbの間隔は、中まで詰った黒箱(標識配列)により表される。この図の下の部分は、約 600kb以内まで最高増幅の領域をさらに狭める2つの原発性腫瘍における増幅レベルを示す。
【図4】図4は、原発性腫瘍において定義されたアンプリコン・コアのより高い分解能マップを提供する。
【図5】図5は、アンプリコン内の15遺伝子のマップ位置を示す。
【図6】図6は、 Ratサイクロフィリンと配列番号:13の間の配列整列を示す。
【図7】図7は、 20q13アンプリコンの物理マップである。この図の列Aは、マップを作るために使用されたSTSsの位置を示す。列Bは、YACsの位置を示す。列CはP1と BACクローンの位置を示す。列Dは、トラップされたエクソン、直接選択された cDNAs, ESTs、及び遺伝子の位置を示す。列Eは、そこに注記したようにP1又は BACクローンを使用してさまざまな原発性腫瘍及び細胞系のハイブリダイゼーション分析の結果を示す。中の詰まった黒丸は高い増幅を示し、陰をつけた丸は中程度の増幅を示し、そして白丸は、上記クローンのそれぞれにより検出された増幅がなかったことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストリンジェント条件下、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:12、及び配列番号:13から成る群から選ばれた配列に、特異的にハイブリダイズするサブ配列をもつポリヌクレオチド配列を含んで成る単離核酸分子。
【請求項2】
前記サブ配列が配列番号:3に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドが配列番号:3である、請求項に記載の単離核酸。
【請求項4】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:4に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項5】
前記サブ配列が配列番号:4である、請求項に記載の単離核酸。
【請求項6】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:5に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項7】
前記サブ配列が配列番号:5である、請求項に記載の単離核酸。
【請求項8】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:6に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項9】
前記サブ配列が配列番号:6である、請求項に記載の単離核酸。
【請求項10】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:7に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項11】
前記サブ配列が配列番号:7である、請求項10に記載の単離核酸。
【請求項12】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:8に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項13】
前記サブ配列が配列番号:8である、請求項12に記載の単離核酸。
【請求項14】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:9に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項15】
前記サブ配列が配列番号:9である、請求項14に記載の単離核酸。
【請求項16】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:10に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項17】
前記サブ配列が配列番号:10である、請求項16に記載の単離核酸。
【請求項18】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:12に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項19】
前記サブ配列が配列番号:12である、請求項18に記載の単離核酸。
【請求項20】
前記サブ配列がストリンジェント条件下配列番号:13に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項21】
前記サブ配列が配列番号:12である、請求項20に記載の単離核酸。
【請求項22】
前記ポリヌクレオチド配列に作用可能な状態で連結されたプロモーター配列をさらに含む、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項23】
前記核酸がcDNA分子である、請求項1に記載の単離核酸。
【請求項24】
サンプル中の新形成細胞についてスクリーニングする方法であって:
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、及び配列番号:13から成る群から選ばれた配列を含んで成る標的ポリヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするプローブと、ヒト患者からの核酸配列サンプルとを接触させ、ここで、上記プローブは、上記プローブが上記標的ポリヌクレオチド配列と選択的にハイブリダイズして安定なハイブリダイゼーション複合体を形成する条件下で、上記サンプルと接触され;そして
上記ハイブリダイゼーション複合体の形成を検出する、
を含む前記方法。
【請求項25】
前記核酸サンプルが胸癌をもつ患者由来である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記核酸サンプルが分裂中期のスプレッド又は静止核である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記プローブが配列番号:1に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記プローブが配列番号:3に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記プローブが配列番号:4に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記プローブが配列番号:5に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項31】
前記プローブが配列番号:6に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項32】
前記プローブが配列番号:7に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項33】
前記プローブが配列番号:8に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記プローブが配列番号:9に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記プローブが配列番号:10に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記プローブが配列番号:12に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記プローブが配列番号:13に記載のポリヌクレオチド配列を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記プローブが、前記標的ポリヌクレオチド配列内の突然変異の存在を同定するために使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
生物学的サンプル中の新形成細胞を検出するための方法であって:
配列番号:1、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:12、及び配列番号:13から成る群から選ばれた配列を含んで成るポリヌクレオチド配列によりコードされたポリペプチド抗原に特異的に結合する抗体を上記サンプルと接触させ;そして
抗原−抗体複合体の形成を検出する、
を含む前記方法。
【請求項40】
前記サンプルが胸組織由来である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
癌細胞の病理学的増殖を阻害する方法であって:配列番号:1、配列番号:3、配列番号:4、配列番号:5、配列番号:6、配列番号:7、配列番号:8、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:12、及び配列番号:13から成る群から選ばれた配列にストリンジェント条件下でハイブリダイズするサブ配列をもつ内因性遺伝子の遺伝子産物の活性を阻害することを含む、前記方法。
【請求項42】
20q13アンプリコン内にコードされたタンパク質の過剰発現を検出することを含む、癌の検出方法。
【請求項43】
前記の 20q13アンプリコン内にコードされたタンパク質が ZABC1である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記の20qアンプリコン内にコードされたタンパク質が 1b1である、請求項42に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−283970(P2008−283970A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−126229(P2008−126229)
【出願日】平成20年5月13日(2008.5.13)
【分割の表示】特願平10−506264の分割
【原出願日】平成9年7月15日(1997.7.15)
【出願人】(504397044)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (1)
【Fターム(参考)】