3つの矢板壁構成部材を相互に結合する連結用プロフィルと、この連結用プロフィルを有する矢板壁構成部材の配置
【課題】3つの矢板壁構成部材、例えば3枚の矢板を互いに接続するための、均一な断面を有する連結用プロフィル。基部12を有し、矢板壁構成部材40を接続するためにこの基部12から3つの同一形状のロック用プロフィル14,16,18が所定の方向X,Y,Zに向かって延びている。各ロック用プロフィル14,16,18はサムストリップ20とカーブしたフィンガーストリップ22とを有し、サムストリップ20は中心ウェブ26を有する。カーブしたフィンガーストリップ22の自由端はサムストリップ20と一緒に内部ロックチェンバーを形成し、この内部ロックチェンバーは断面が少なくともほぼ楕円形か、長円形をしており且つフィンガーストリップの方向を向いたサム28の末端と一緒になってフックされる矢板壁構成部材40のロック42の開口部30を規定する。
【解決手段】開口部30と内部ロックチェンバー24が連結用プロフィル10のロック用プロフィル14,16,18中にフックされた矢板壁構成部材40のロック42がロック用プロフィル14,16,18内で少なくとも15°の回動角度で回動できるように設計されている。
【解決手段】開口部30と内部ロックチェンバー24が連結用プロフィル10のロック用プロフィル14,16,18中にフックされた矢板壁構成部材40のロック42がロック用プロフィル14,16,18内で少なくとも15°の回動角度で回動できるように設計されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3枚の矢板壁構成部材(sheet pile wall components)、例えば3枚の矢板(シートパイル)を相互に接続する、請求項1の前提部分に記載の同一断面を有する連結用プロフィル(profiles、異形断面材)に関するものである。
本発明はさらに、請求項14の前提部分に記載の配置(arrangement)にも関するものである。この配列は上記連結用プロフィルを用いて互いに結合された少なくとも3枚の矢板壁構成部材を有している。
【背景技術】
【0002】
矢板壁を構築する場合には多数の矢板壁構成部材、例えば矢板、キャリア要素および連結用プロフィルが用いられ、これら矢板壁構成部材は互いに結合される。こうした相互結合を行うために矢板と連結用プロフィルは相互に係合し合うロックが設けられ、必要な場合にはキャリア要素にもロックが設けられる。
【0003】
上記の連結用プロフィルは3枚の矢板の一部を一体に結合するのに用いられる。この目的のため上記連結用プロフィルは連結用プロフィルの基部から互いに異なる所定の接続方向へ突き出た合計で3つの同じロック用プロフィル(lock profiles)を有している。この場合、各ロック用プロフィルは複数の矢板壁構成部材を互いにフック(係止)するよう設計されたサム(親指)ストリップ(thumb strip)と、湾曲したフィンガー(指)ストリップ(finger strip)とを有している。互いにフックされる矢板壁構成部材のロックも上記のサムストリップおよび湾曲したフィンガーストリップに類似した形状を有している。
【0004】
上記の接続方向とは、断面図で見た場合に、フックされた矢板のロックと連結用プロフィルのロック用プロフィルとがいわゆる3点接続(three point connection)を形成するような方向と定義される。従って、矢板壁構成部材のロックのサムは連結用プロフィルのロック用プロフィルのロックチェンバー中に収容され、一方、連結用プロフィルのサムは矢板壁構成部材のロックの上記ロックチェンバー中に収容される。矢板壁構成部材に対して上記の接続方向に向かって張力が加わった場合、上記2つのサムは互いにブレースされる(brace、固定される)と同時に、相手のロックのフィンガーストリップに対して上記2つのサム自体をブレースする。従って、断面で見た場合、上記2つのロックは互に支持し合い且つ3点で互いにブレースされている。
【0005】
この連結用プロフィルは下記文献に記載され、もちろん公知であるが、実際に使用される予定はなく、今までに使用されたこともない。
【特許文献1】米国特許第3688508号明細書
【0006】
事実、この特許文献1に記載の連結用プロフィルには問題がある。すなわち、この連結用プロフィルはロック用プロフィルと矢板壁構成部材との間の相対運動ができないため矢板壁構成部材を地中に打ち込んだ時に、互いに係合したロックがそれに作用する摩擦力によって互いに溶接する程度まで加熱され、最悪の場合にはロックが破壊してしまうこともある。
【0007】
下記特許文献2に開示の連結用プロフィルには上記のような問題はないが、連結用プロフィルに縦方向に延びるチャネル(溝)を基部に設計通りに製造することができないため、実際に用いられたことはない。
【特許文献2】ドイツ国特許第3907348A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、3枚の矢板壁構成部材を互いに結合するための新規な連結用プロフィルと、および/または、この連結用プロフィルを用いることで矢板を全く問題無しに地面に建てることができるような3枚の矢板壁構成部材の配置(アレンジメント)とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記第1の目的は請求項1に記載の特徴を有する連結用プロフィルで達成される。また、上記第2の目的は請求項14に示す特徴を有する配置によって達成される。
【0010】
本発明に係る連結用プロフィルを用いることで上記目的が達成され、連結用プロフィルのロック用プロフィルにフックされる矢板壁構成部材、例えば矢板をロックチェンバー中で連結用プロフィルのロック用プロフィルが相対的に自由に動ける状態で、連結用プロフィルのロック用プロフィル中に納めることができる。従って、矢板壁構成部材を地面に建立する時に矢板壁構成部材のロックが連結用プロフィルのロック用プロフィル中で斜くのを防止することができる。矢板壁構成部材を十分に気を付けながら地中に建立したとしても、断崖や砂利等の地面が不均一な場所では矢板壁構成部材が凹んだり、捩れたり、歪むことがあるが、本発明の連結用プロフィルのロックでは矢板壁構成部材のロック用プロフィルが回動運動できるので、信頼の高い結合にすることができる。さらに、連結用プロフィルを用いて一体化された3枚の矢板壁の方向が不正確であっても、それを補うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の上記以外の利点は以下の説明と図面および特許請求の範囲の記載から理解できよう。
本発明の連結用プロフィルの特に好ましい実施例では、断面で見た場合に、ロック用プロフィルにフックされた矢板壁構成部材のロックが主として力の加わる方向で所定の接続方向を中心に少なくとも±8〜12°の回動角度だけ回動できる状態で、連結用プロフィルが所定の接続方向に少なくとも一つのロック用プロフィルを含んでいる。従って、基部上に接続方向に関して正確に位置決めされたサムストリップとフィンガーストリップとが形成されたロック用プロフィルの場合、矢板壁構成部材の所定の接続方向からのサムストリップ方向への回動運動は制限されるが、所定の接続方向から逆の回動方向への矢板壁構成部材の回動運動は多段に可能であるということが分かっている。
【0012】
ロック用プロフィルは基部上に所定の接続方向に対して斜めに形成されているので、ロックを有する矢板壁構成部材は所定の接続方向に対して少なくともほぼ同じ最大回動角度で両方の回動方向へ本件発明の連結用プロフィルのロック用プロフィル内で回動することができる。
【0013】
本発明の特に好ましい実施形態では、断面が楕円形または長円形であるロック内部チェンバーの主軸の方向に延びたロック用プロフィルが所定の接続方向に対して5〜10°の角度だけ傾斜している。従って、サムストリップは所定の接続方向から離れるように傾く。ロック用プロフィルは基部に対して上記のような傾斜角度で延びているので、矢板壁構成部材は所定の接続方向に対して両方向にほぼ同じ回動角度で回動できる。この場合、傾斜角度は7〜8°で、これはロック用プロフィルにとって特に有利な角度であることが証明されている。
【0014】
全ての矢板壁構成部材が所定の接続方向に対して、互いに反対方向に少なくともほぼ同じ角度で回動できるようにするために、全てのロック用プロフィルを所定の接続方向に対しそれぞれ5°〜10°の傾斜角度で延ばすこともできる。すなわち、基部上に互いに隣り合って形成されたサムストリップを有する各ロック用プロフィルは互いの方向に向かって傾斜している。
【0015】
本発明の特に好ましい実施例では、力が加わる方向がそれぞれ120°離れており、接続方向に延びたフックされた矢板壁構成部材に張力が加わる各ロック用プロフィルの動作点が連結用プロフィルの重心面から他の2つのロック用プロフィルの動作点と同一の放射状距離に位置している。動作点が連結用プロフィルの重心面から同一の放射状距離にある上記設計の連結用プロフィルを用いることで、フックされた矢板壁セクションによって連結用プロフィルに加わる張力が連結用プロフィルに均一に分散され、従って、少なくともある程度相殺される。さらに、連結用プロフィルの設置位置が問題にはならなくなる。従って、連結用プロフィルの表裏いずれの面を地面に打ち込んでも問題はない。
【0016】
さらに、どの矢板壁構成部材がどの連結用プロフィルのロック用プロフィルと係合するかも問題にならない。これに関しては、建設現場では連結用プロフィルを正しい設置位置を確かめずに地面に打ち立てることがしばしばあるので、3つの矢板壁セクションの接続に非対称な連結用プロフィルを用いた場合に常に問題が生じていたということを指摘できる。非対称の連結用プロフィルは正しい位置に設置しないと、各矢板壁セクションが広がって、設計通りの建設ができないため、矢板壁セクションに加わる力が各連結用プロフィルに非均一に伝達される。そのため、矢板壁構成部材を建てることができないか、建てても好ましい設置位置に建てることが困難になる。
【0017】
しかし、設置位置が問題とならない場合には、基部上にサムストリップが互いに直接隣接して形成されたロック用プロフィルを、他の3つのロック用プロフィルよりも長い重心面からの距離を有する連結用プロフィルにすることもできる。この対策によって、互いに直接隣接するよう設計されたサムを有するロック用プロフィルにフックされた矢板壁構成部材に回動に十分な空間を与えることができ、連結用プロフィルの基部とぶつからないようにすることができるという目的を達成することができる。
【0018】
本発明の連結用プロフィルのロック用プロフィルの内部で矢板壁構成部材のロックが回動するのに適した自由空間を有するようにするために、本発明の連結用プロフィルのさらに好ましい変形例では、各ロック用プロフィルの開口部の開口幅とロック用プロフィルのロック内部チェンバーの効率的な最大開口幅との間の比は1:2〜1:2.5である。この場合、本発明の連結用プロフィルの各ロック用プロフィルの中心ウェブの長手方向に垂直に見た時のサムの長さとロック内部チェンバーの最大開口幅との間の比を1:1.2〜1:1.4にするのも好ましい。この設計を有するサムにすることで、ロック内部チェンバー内で矢板壁構成部材のロックが正しく回動する空間が保障されると同時にロックがロック用プロフィルを適切に相互ロックし、係合したロックが不意に外れるのが防止できる。
【0019】
矢板壁構成部材の回動能力をさらに向上させるため、本発明の連結用プロフィルのさらに他の変形例では、サムストリップの中心ウェブの長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブの厚さと開口部の開口幅との間の比が1:1.2〜1:1.4の範囲となるように設計できる。
【0020】
上記の設計上の特徴、すなわち、中心ウェブの厚さと開口部の開口幅との間の比、開口部の開口幅とロックチェンバーの開口幅との間の比、サムの長さとロック内部チェンバーの開口幅との間の比は個別に決定するか、少なくとも一つのロック用プロフィルに関して使用用途の関数で決定する。
【0021】
本発明のロック用プロフィルがロック用プロフィルに加わる力(数千キロニュートンに達する場合ある)によって損傷しないようにするために、本発明の連結用プロフィルの各ロック用プロフィルの長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブの厚さと中心ウェブの長手方向に対して垂直に見た時のサムの長さとの間の比は1:2.3〜1:2.5の範囲にすることができる。ロックはサムストリップのサムの周りを回動し、ロックはサムストリップのサムに係合するので、矢板壁構成部材のロックが回動できるようにするためにはサムの長さを正確にする必要がある。さらに、ロックがサムを部分的に覆うようにしてロックがロック内部チェンバー内に安全に結合できることを保証しなければならない。換言すれば、ロックが損傷を受けず、ロック内部チェンバー内で回動できるような大きさにサムが形成された中心ウェブの寸法を設計しなければならない。他方、サムストリップはサムが歪んだり破損しないような十分に強い強度を有していなければならない。
【0022】
本発明の連結用プロフィルのロック用プロフィルに十分な強度を与えるために、内部チェンバーの最大開口幅部における各ロック用プロフィルの曲がったフィンガーストリップの壁厚はロック内部チェンバーの最大開口幅部における、長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブの厚さに対して係数で1.1〜1.3の範囲だけ大きくなるように設計することができる。
【0023】
本発明の特に好ましい連結用プロフィルの実施例では、3つのロック用プロフィルの3つの接続方向が互いにそれぞれ120°離れており、従って、互いにほぼ120°離れて連結用プロフィル方向に延びた矢板壁セクションを一体に接続できる。しかし、例えば、2つのロック用プロフィルが基部上でそれぞれ180°離れて反対方向に延び、第3のロック用プロフィルが他の2つのロック用プロフィルに対して例えば90°の角度で延びるような本発明の連結用プロフィルも考えられる。
【0024】
本発明の連結用プロフィルの基部を円柱形に設計することもでき、ロック用プロフィルを基部から種々の接続方向に向かって放射状方向に外向きに延ばすことができる。その代替例として基部を星形に設計することもできる。すなわち、基部は複数のウェブにし、各ウェブを3つの接続方向に延びた星型に延ばし、ウェブの末端にロック用プロフィルを形成する。この方法で設計された連結用プロフィルは例えば一体に接続された個々の矢板壁構成部材同士の間を長距離でブリッジするのに特に好ましい。
【0025】
本発明の第2の観点から、本発明は本発明の連結用プロフィルを用いて一体化された3枚の矢板壁構成部材、例えば3枚の矢板または2枚の矢板とキャリア要素との組み合わせの配置にも関するものである。
【0026】
特に好ましい形態では、基部上に互いに直接隣接して形成されているサムを有する連結用プロフィルのロック用プロフィルに接続された2枚の矢板壁構成部材が矢板として構築され、さらに他の矢板に接続して弓型または多角形の矢板壁セクションの形を有する矢板として構成される。
【0027】
他方、本発明の連結用プロフィルの第3のロック用プロフィルと係合した第3の矢板壁構成部材は連結用プロフィルをアンカー機構の役目をし、連結用プロフィルをブレース(固定)する。
【0028】
最後の矢板壁構成部材をキャリア要素、例えばダブルT型キャリア、チューブ型パイル等として設計することもできる。あるいは、矢板壁構成部材を矢板として設計することもできる。この場合には矢板をその矢板と係合する他の矢板を介して直接または間接的にキャリア要素に接続する。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例およびその変形例を図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
[図1]および[図2]は本発明の連結用プロフィル10の実施例の平面図であり、この連結用プロフィル10の断面はその全長を通して一定である。この連結用プロフィル10は互いに異なる方向へ延びる3つの矢板壁構成部材、、例えば矢板を結合する役目をする。[図1]および[図2]に示した連結用プロフィル10は互いに120°ずつ離れた所定の3つの接続方向、X,Y,Zを有している。この接続方向X,Y,Zとは、断面で見た場合、互いにフックされた矢板壁構成部材が連結用プロフィルと一緒にいわゆる3点接続を形成する方向と定義される。
【0031】
連結用プロフィル10は基部12を有し、この基部からはロック用プロフィル14、16、18が3つの接続方向X,Y,Zに向かって延びている。ロック用プロフィル14、16、18は全て同一形をしているので、以下、ロック用プロフィル14、16、18について[図1]を参照し説明する場合には[図1]に示されるロック用プロフィル14を用いて説明する。
【0032】
ロック用プロフィル14はサムストリップ20と、このサムストリップ20から離れた位置にあるフィンガーストリップ22とを有している。サムストリップとフィンガーストリップはいずれも基部12から延びて、ロック内部チェンバー(lock inner chamber)24の一部を取り囲んでいる。
【0033】
サムストリップ20は基部12から延びた中心ウェブ26によって形成されている。この中心ウェブ26の自由端にサム(親指)28を有し、このサム(親指)28は長手方向に対して垂直に延び且つ中心ウェブ26から両方向へ突き出ている。
【0034】
フィンガーストリップ22も基部12から延び、カーブしてサムストリップ20に向かっている。従って、フィンガーストリップ22およびサム28の外表面は接線面(図示せず)で終わり、フィンガーストリップ22の方向を向いたサム28の末端と一緒になって開口部30を規定している。
【0035】
基部12が中心ウェブ26に移行する部分と、中心ウェブ22がサム28に移行する部分と、基部12がフィンガーストリップ22に移行する部分とには丸みが付いている。これらの輪郭は楕円形の輪郭に合わせてあり、ロック内部チェンバー24が少なくともほぼ楕円形の内部断面を示すようになっている。
【0036】
連結用プロフィル10の場合、各ロックでフックされる矢板壁構成部材はロック用プロフィル14、16、18のロック内部チェンバー24内で規定された状態で回動運動(swivel、スイベル運動)することができる。従って、矢板壁構成部材の各回動位置で、矢板壁構成部材のロックが連結用プロフィル10のロック内部チェンバー24内に確実に保持されることが保障される。
【0037】
回動運動を簡単にするため、本発明の連結用プロフィル10はさらに以下の設計上の特徴を有している。まず、開口部30の開口幅aとロック内部チェンバー24の最大開口幅bとの間の比は約1:2.1である。長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブ26の厚さcと開口部30の開口幅aとの間の比は1:1.3である。長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブ26の厚さcと中心ウェブ26の長手方向に対して垂直に見た時のサム28の長さdとの間の比は1:2.3である。さらに、中心ウェブ26に対して垂直に見た時のサム28の長さdと内部チェンバー24の最大開口幅bとの間の比は1:2.5である。
【0038】
これらの設計上の特徴によって、矢板壁構成部材が連結用プロフィル10のロック用プロフィル14、16、18から飛び出すこと無しに、矢板壁構成部材のロックが16°の回動角度範囲内を回動することが保証される。
【0039】
しかし、加わる保持力に対してロック用プロフィル14、16、18が耐えるのを保証し、しかも、回動可能な矢板壁構成部材が破損しないようにするために、ロック用プロフィル14、16、18を形成するストリップ20と22の寸法をぴったりと合わせる。
【0040】
従って、ロック内部チェンバー24の最大開口幅bの位置で、各ロック用プロフィル14、16、18のカーブしたフィンガーストリップ22の壁厚eは、内部チェンバー24の最大開口幅bの位置で、長手方向に見た時の中心ウェブ26の厚さcよりも、係数で1.2だて大きい。サムストリップ20は中心ウェブ26の長手方向に沿った張力の一部を受ける。この張力は剪断力の剪断に比べるとはるかに大きいので、サムストリップ20の中心ウェブ26はフィンガーストリップ22よりも弱く設計することができる。反対に、フィンガーストリップ22にはより大きな剪断力が加わるので、特にフィンガーストリップ22には比較的高い曲げモーメントが加わる。この曲げモーメントはフィンガーストリップ22が吸収しなければならない。
【0041】
矢板壁構成部材が各接続方向X,Y、Zそれぞれに対して少なくともほぼ同じ回動能力を有するようにするために、3つのロック用プロフィル14、16、18は接続方向X,Y、Zに対して傾斜するようにそれぞれ基部12に形成される(以下で説明する)。
【0042】
すなわち、[図1]に示したロック用プロフィル14は接続方向Xに対して角度α(この場合は7.5°)だけ傾斜している。従って、サムストリップ20は接続方向Xから離れる方向に傾斜している。
【0043】
基部12上に形成された他の2つのロック用プロフィル16と18も接続方向Y及びZに対しそれぞれ7.5°だけ傾斜している。この場合も、サムストリップ20は接続方向Y及びZから離れるように傾斜している。
【0044】
[図1]の下側に示した2つのロック用プロフィル16と18は上記の傾斜輪郭のために互いに接近しており、2つのロック用プロフィル16および18と、連結用プロフィル10の重心面Sとの間の距離は上側に示したロック用プロフィル14からの距離よりも大きい。この特徴によって、後で矢板壁構成部材が2つのロック用プロフィル16および18にフックされた時に、両者が互いに向かって最大量がけ運動した場合でも互いに接触しないことが保障される。
【0045】
[図2]に示す本発明の連結用プロフィル10ではロック42を有するいわゆるユニオンフラットプロフィル(union flat profiles)40が矢板壁構成部材と一緒にロック用プロフィル14、16、18にフックされている。この[図2]には、フラット面40が連結用プロフィル10に対して回動することができる範囲である上側のロック用プロフィル14の回動範囲が示されている。この実施例は、力Fが加わる主方向を有するフラット面40が接続方向Xに対し平行に延び、断面で見た場合に、係合するロック14と42がそれぞれ3点で支え合う基本位置(実線で示す)から始めて、フラット面40を連結用プロフィル10中にフックし、第1端位置と第2端位置(いずれも点線で示す)との間でそれぞれほぼ8.5°の角度を回動できるということが分る。従って、回動範囲は±8.5°である。
【0046】
他の2つのロック用プロフィル16と18では2つのフラット面40の端部が示されており、これらのフラット面40の端部が互いに向かって回動し、最も近づいた場合でも両フラット面40が接触することはない。
【0047】
[図3]は[図1]及び[図2]に示したロック用プロフィル10の第一の変形例を表している。このロック用プロフィル10aの変形例でもロック用プロフィル14a、16a、18aが基部12a上に形成されており、それぞれ120°ずつ離れている。この連結用プロフィル10aの特徴は、接続方向X,Y、Zに延びたフックされた矢板壁構成部材40に張力が加わる各ロック用プロフィル14a、16a、18aの動作点Aが、他の2つのロック用プロフィル16a、18a及び/又は14aと同じ連結用プロフィル10aの重心面Sからの放射状距離Fを有する点にある。各動作点Aが連結用プロフィル10aの重心面Sからの放射状距離が同一距離にあるこの設計の連結用プロフィル10aにすることによって、フックされた矢板壁構成部材40によって加わる張力が連結用プロフィル10aに均一に分散して加わるようにするという目的が達成できる。すなわち、これらの力は少なくともある程度互いに打ち消し合う。さらに、この特徴により、連結用プロフィル10aの設置位置を変えることができ、従って、矢板壁構成部材40をフックする際に、ロック用プロフィル14a、16a、18aの方向に注意を払わずに、連結用プロフィル10aを任意の位置に設置することができるという目的が達成できる。
【0048】
[図4]は円弧形状をした矢板壁セクション44を形成するために互いにフックされた9枚のフラットプロフィル40から成る配置を示している。この矢板壁セクション44の両端部に設けられた最後の2枚の矢板壁構成部材40は、本発明の2つの連結用プロフィル10のロック用プロフィル16及び/又は18にフックされている。同様にして、追加の矢板壁セクション(破線で示す)を円弧形状に延ばし、上記2つの連結用プロフィル10の他のロック用プロフィル18及び/又は16にそれぞれフックする。
【0049】
各連結用プロフィル10の第3のロック用プロフィル14はフラット面40から成る追加の矢板壁セクション46と係合している。この追加の矢板壁セクション46は溶接プロフィル48を用いてダブルT型キャリアに接続される。
【0050】
本発明の連結用プロフィル10は、[図4]の配置に図式的に示すように、矢板壁構成部材が種々の方向へ延びる場合にも対応できる。この特徴は複数の矢板壁セクションを共通ポイントで接続するときに特に重要である。
【0051】
[図5]〜[図10]は連結用プロフィル10のさらに別の変形例である。この場合の基部12は例えば星型をしたウェブストリップから成る。ロック用プロフィル14,16,18はこのウェブストリップの自由末端に溶接される。しかし、図示した全ての変形例では、開口部30の開口幅a、ロック内部チェンバー24の最大開口幅b、中心ウェブ26の厚さc、サムの長さdおよびフィンガーストリップ22の壁厚eに関係する上記設計上の特徴を適当に適用した状態にしなけれはならないという点に注意が必要である。図示した変形例ではロック用プロフィル14,16,18は接続方向X、Y,Zに対して傾斜しておらず、むしろロック内部チェンバー24は最大開口幅bで接続方向X、Y,Zに対して少なくともほぼ直角に延びるように形成されている。
【0052】
しかし、[図1]及び[図2]で説明したように、これらの変形例でもロッ用プロフィル14,16,18の少なくとも一つは接続方向X、Y,Zに対して傾斜している点に注意しなければならない。
【0053】
[図5]は本発明の連結用プロフィルの第2の変形例10bを表し、ロック用プロフィル14b、16b、18bは接続方向X、Y,Zに対して傾斜していない。
【0054】
[図6]は本発明の連結用プロフィル10の第3の変形例10cを表し、この場合、基部12cは曲がって延び、この曲がった基部の末端に2つのロック用プロフィル16c及び18cが形成されている。それとは対照的に、第三のロック用プロフィル14cは曲がった基部12cの中央部に形成されている。
【0055】
[図7]は、本発明の連結用プロフィル10の第4の変形例10dを表す平面図で、この場合には基部12dはウェブストリップ32dから成り、その末端にロック用プロフィル14dが形成されている。
【0056】
[図8]は本発明の連結用プロフィル10の第5の変形例10eを表す平面図で、この場合には基部12eは3つのウェブストリップ32eから成る。この基部12eは丸みを帯び、星型をしている。このウェブストリップの末端にはロック用プロフィル14e、16e、18eが形成されている。ウェブストリップが丸みを帯びた形状をしているためロック用プロフィル14、16、18に加わる応力を簡単に反らすことができる。
【0057】
[図9]は本発明の連結用プロフィル10の第6の変形例10fを表す平面図で、この場合の基部12fは3つの真っすぐなウェブストリップ32fから成り、これらは星形をしている。ウェブストリップの末端にロック用プロフィル14f、16f、18fが形成されている。
【0058】
[図10]は本発明の連結用プロフィル10の第7の変形例10gを表す平面図で、この場合の基部12gは3つの補強されたウェブストリップ32gから成り,これらは星形をしている。ウェブストリップの末端にはロック用プロフィル14g、16g、18gが形成されている。ウェブストリップ32gが補強されているため、ロック用プロフィル14g、16g、18gは極度の高張力下でも壊れることがない。
【0059】
[図11]は本発明の連結用プロフィル11の第8の変形例10hを表す平面図で、この場合の基部12hは3つの丸みを帯び且つ補強されたウェブストリップ32hから成り、これらは星形をしている。ウェブストリップの末端にはロック用プロフィル14h、16h、18hが形成されている。この場合も、丸みを帯びた形状によって応力を低下させることができる。
【0060】
上記で図示した変形例は可能な設計例のいくつかを表すに過ぎない、例えば、ロック用プロフィル14、16、18がそれぞれ異なる接続方向に突き出るように基部12を設計することもできる。必要なことはロック用プロフィル14、16、18を本発明に従って設計することだけである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】互いに180°だけずれて放射方向外側へ延びた3つのロック用プロフィルを有する本発明の連結用プロフィルの実施例の正面の平面図。
【図2】合計3つのフラットプロフィルが矢板壁構成部材として接続されている図1の連結用プロフィルの平面図。
【図3】ロック用プロフィルの動作点が重心面から同じ半径方向距離にある図1および図2に示した実施例の第一変形例の正面の平面図。
【図4】本発明の連結用プロフィルを用いて一体に結合した3枚の矢板壁構成部材からなる配置の平面図。
【図5】ロック用プロフィルが接続方向に対して傾斜していない本発明の連結用プロフィルの第二変形例の正面の平面図。
【図6】曲がった基部と、この曲がった基部の末端にサムバールがそれぞれ向き合うように形成された2つのロック用プロフィルとを有する本発明の連結用プロフィルの第三変形例の正面の平面図。
【図7】基部がウエブストリップをしており、このウエブストリップの先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第四変形例の正面の平面図。
【図8】基部が3つのウエブストリップをしており、このウエブストリップが丸みを有し、星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第五変形例の正面の平面図。
【図9】基部が3つの直線状ウエブストリップをしており、このウエブストリップが星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第六変形例の正面の平面図。
【図10】基部が3つの補強されたウエブストリップをしており、このウエブストリップが星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第七変形例の正面の平面図。
【図11】基部が3つの丸みを付けた補強されたウエブストリップをしており、このウエブストリップが星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第八変形例の正面の平面図。
【符号の説明】
【0062】
10:連結用プロフィル
12:基部
X:接続方向
Y:接続方向
Z:接続方向
14:ロック用プロフィル
16:ロック用プロフィル
18:ロック用プロフィル
20:サムストリップ
22:フィンガーストリップ
24:ロック内部チェンバー
26:中心ウェブ
28:サム
30:開口部
a:開口部30の開口幅
b:ロック内部チェンバー24の開口幅
c:中心ウェブ26の厚さ
d:サム28の厚さ
e:フィンガーストリップの壁厚
α:角度
S:重心面
A:動作点
f:動作点と重心面との間の距離
32:ウエブストリップ
40:ユニオンフラットプロフィル
42:ロック
F:主として力が加わる方向
44:矢板壁セクション
46:追加の矢板壁セクション
48:溶接プロフィル
50:ダブルT型キャリヤ
【技術分野】
【0001】
本発明は、3枚の矢板壁構成部材(sheet pile wall components)、例えば3枚の矢板(シートパイル)を相互に接続する、請求項1の前提部分に記載の同一断面を有する連結用プロフィル(profiles、異形断面材)に関するものである。
本発明はさらに、請求項14の前提部分に記載の配置(arrangement)にも関するものである。この配列は上記連結用プロフィルを用いて互いに結合された少なくとも3枚の矢板壁構成部材を有している。
【背景技術】
【0002】
矢板壁を構築する場合には多数の矢板壁構成部材、例えば矢板、キャリア要素および連結用プロフィルが用いられ、これら矢板壁構成部材は互いに結合される。こうした相互結合を行うために矢板と連結用プロフィルは相互に係合し合うロックが設けられ、必要な場合にはキャリア要素にもロックが設けられる。
【0003】
上記の連結用プロフィルは3枚の矢板の一部を一体に結合するのに用いられる。この目的のため上記連結用プロフィルは連結用プロフィルの基部から互いに異なる所定の接続方向へ突き出た合計で3つの同じロック用プロフィル(lock profiles)を有している。この場合、各ロック用プロフィルは複数の矢板壁構成部材を互いにフック(係止)するよう設計されたサム(親指)ストリップ(thumb strip)と、湾曲したフィンガー(指)ストリップ(finger strip)とを有している。互いにフックされる矢板壁構成部材のロックも上記のサムストリップおよび湾曲したフィンガーストリップに類似した形状を有している。
【0004】
上記の接続方向とは、断面図で見た場合に、フックされた矢板のロックと連結用プロフィルのロック用プロフィルとがいわゆる3点接続(three point connection)を形成するような方向と定義される。従って、矢板壁構成部材のロックのサムは連結用プロフィルのロック用プロフィルのロックチェンバー中に収容され、一方、連結用プロフィルのサムは矢板壁構成部材のロックの上記ロックチェンバー中に収容される。矢板壁構成部材に対して上記の接続方向に向かって張力が加わった場合、上記2つのサムは互いにブレースされる(brace、固定される)と同時に、相手のロックのフィンガーストリップに対して上記2つのサム自体をブレースする。従って、断面で見た場合、上記2つのロックは互に支持し合い且つ3点で互いにブレースされている。
【0005】
この連結用プロフィルは下記文献に記載され、もちろん公知であるが、実際に使用される予定はなく、今までに使用されたこともない。
【特許文献1】米国特許第3688508号明細書
【0006】
事実、この特許文献1に記載の連結用プロフィルには問題がある。すなわち、この連結用プロフィルはロック用プロフィルと矢板壁構成部材との間の相対運動ができないため矢板壁構成部材を地中に打ち込んだ時に、互いに係合したロックがそれに作用する摩擦力によって互いに溶接する程度まで加熱され、最悪の場合にはロックが破壊してしまうこともある。
【0007】
下記特許文献2に開示の連結用プロフィルには上記のような問題はないが、連結用プロフィルに縦方向に延びるチャネル(溝)を基部に設計通りに製造することができないため、実際に用いられたことはない。
【特許文献2】ドイツ国特許第3907348A1号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、3枚の矢板壁構成部材を互いに結合するための新規な連結用プロフィルと、および/または、この連結用プロフィルを用いることで矢板を全く問題無しに地面に建てることができるような3枚の矢板壁構成部材の配置(アレンジメント)とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の上記第1の目的は請求項1に記載の特徴を有する連結用プロフィルで達成される。また、上記第2の目的は請求項14に示す特徴を有する配置によって達成される。
【0010】
本発明に係る連結用プロフィルを用いることで上記目的が達成され、連結用プロフィルのロック用プロフィルにフックされる矢板壁構成部材、例えば矢板をロックチェンバー中で連結用プロフィルのロック用プロフィルが相対的に自由に動ける状態で、連結用プロフィルのロック用プロフィル中に納めることができる。従って、矢板壁構成部材を地面に建立する時に矢板壁構成部材のロックが連結用プロフィルのロック用プロフィル中で斜くのを防止することができる。矢板壁構成部材を十分に気を付けながら地中に建立したとしても、断崖や砂利等の地面が不均一な場所では矢板壁構成部材が凹んだり、捩れたり、歪むことがあるが、本発明の連結用プロフィルのロックでは矢板壁構成部材のロック用プロフィルが回動運動できるので、信頼の高い結合にすることができる。さらに、連結用プロフィルを用いて一体化された3枚の矢板壁の方向が不正確であっても、それを補うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の上記以外の利点は以下の説明と図面および特許請求の範囲の記載から理解できよう。
本発明の連結用プロフィルの特に好ましい実施例では、断面で見た場合に、ロック用プロフィルにフックされた矢板壁構成部材のロックが主として力の加わる方向で所定の接続方向を中心に少なくとも±8〜12°の回動角度だけ回動できる状態で、連結用プロフィルが所定の接続方向に少なくとも一つのロック用プロフィルを含んでいる。従って、基部上に接続方向に関して正確に位置決めされたサムストリップとフィンガーストリップとが形成されたロック用プロフィルの場合、矢板壁構成部材の所定の接続方向からのサムストリップ方向への回動運動は制限されるが、所定の接続方向から逆の回動方向への矢板壁構成部材の回動運動は多段に可能であるということが分かっている。
【0012】
ロック用プロフィルは基部上に所定の接続方向に対して斜めに形成されているので、ロックを有する矢板壁構成部材は所定の接続方向に対して少なくともほぼ同じ最大回動角度で両方の回動方向へ本件発明の連結用プロフィルのロック用プロフィル内で回動することができる。
【0013】
本発明の特に好ましい実施形態では、断面が楕円形または長円形であるロック内部チェンバーの主軸の方向に延びたロック用プロフィルが所定の接続方向に対して5〜10°の角度だけ傾斜している。従って、サムストリップは所定の接続方向から離れるように傾く。ロック用プロフィルは基部に対して上記のような傾斜角度で延びているので、矢板壁構成部材は所定の接続方向に対して両方向にほぼ同じ回動角度で回動できる。この場合、傾斜角度は7〜8°で、これはロック用プロフィルにとって特に有利な角度であることが証明されている。
【0014】
全ての矢板壁構成部材が所定の接続方向に対して、互いに反対方向に少なくともほぼ同じ角度で回動できるようにするために、全てのロック用プロフィルを所定の接続方向に対しそれぞれ5°〜10°の傾斜角度で延ばすこともできる。すなわち、基部上に互いに隣り合って形成されたサムストリップを有する各ロック用プロフィルは互いの方向に向かって傾斜している。
【0015】
本発明の特に好ましい実施例では、力が加わる方向がそれぞれ120°離れており、接続方向に延びたフックされた矢板壁構成部材に張力が加わる各ロック用プロフィルの動作点が連結用プロフィルの重心面から他の2つのロック用プロフィルの動作点と同一の放射状距離に位置している。動作点が連結用プロフィルの重心面から同一の放射状距離にある上記設計の連結用プロフィルを用いることで、フックされた矢板壁セクションによって連結用プロフィルに加わる張力が連結用プロフィルに均一に分散され、従って、少なくともある程度相殺される。さらに、連結用プロフィルの設置位置が問題にはならなくなる。従って、連結用プロフィルの表裏いずれの面を地面に打ち込んでも問題はない。
【0016】
さらに、どの矢板壁構成部材がどの連結用プロフィルのロック用プロフィルと係合するかも問題にならない。これに関しては、建設現場では連結用プロフィルを正しい設置位置を確かめずに地面に打ち立てることがしばしばあるので、3つの矢板壁セクションの接続に非対称な連結用プロフィルを用いた場合に常に問題が生じていたということを指摘できる。非対称の連結用プロフィルは正しい位置に設置しないと、各矢板壁セクションが広がって、設計通りの建設ができないため、矢板壁セクションに加わる力が各連結用プロフィルに非均一に伝達される。そのため、矢板壁構成部材を建てることができないか、建てても好ましい設置位置に建てることが困難になる。
【0017】
しかし、設置位置が問題とならない場合には、基部上にサムストリップが互いに直接隣接して形成されたロック用プロフィルを、他の3つのロック用プロフィルよりも長い重心面からの距離を有する連結用プロフィルにすることもできる。この対策によって、互いに直接隣接するよう設計されたサムを有するロック用プロフィルにフックされた矢板壁構成部材に回動に十分な空間を与えることができ、連結用プロフィルの基部とぶつからないようにすることができるという目的を達成することができる。
【0018】
本発明の連結用プロフィルのロック用プロフィルの内部で矢板壁構成部材のロックが回動するのに適した自由空間を有するようにするために、本発明の連結用プロフィルのさらに好ましい変形例では、各ロック用プロフィルの開口部の開口幅とロック用プロフィルのロック内部チェンバーの効率的な最大開口幅との間の比は1:2〜1:2.5である。この場合、本発明の連結用プロフィルの各ロック用プロフィルの中心ウェブの長手方向に垂直に見た時のサムの長さとロック内部チェンバーの最大開口幅との間の比を1:1.2〜1:1.4にするのも好ましい。この設計を有するサムにすることで、ロック内部チェンバー内で矢板壁構成部材のロックが正しく回動する空間が保障されると同時にロックがロック用プロフィルを適切に相互ロックし、係合したロックが不意に外れるのが防止できる。
【0019】
矢板壁構成部材の回動能力をさらに向上させるため、本発明の連結用プロフィルのさらに他の変形例では、サムストリップの中心ウェブの長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブの厚さと開口部の開口幅との間の比が1:1.2〜1:1.4の範囲となるように設計できる。
【0020】
上記の設計上の特徴、すなわち、中心ウェブの厚さと開口部の開口幅との間の比、開口部の開口幅とロックチェンバーの開口幅との間の比、サムの長さとロック内部チェンバーの開口幅との間の比は個別に決定するか、少なくとも一つのロック用プロフィルに関して使用用途の関数で決定する。
【0021】
本発明のロック用プロフィルがロック用プロフィルに加わる力(数千キロニュートンに達する場合ある)によって損傷しないようにするために、本発明の連結用プロフィルの各ロック用プロフィルの長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブの厚さと中心ウェブの長手方向に対して垂直に見た時のサムの長さとの間の比は1:2.3〜1:2.5の範囲にすることができる。ロックはサムストリップのサムの周りを回動し、ロックはサムストリップのサムに係合するので、矢板壁構成部材のロックが回動できるようにするためにはサムの長さを正確にする必要がある。さらに、ロックがサムを部分的に覆うようにしてロックがロック内部チェンバー内に安全に結合できることを保証しなければならない。換言すれば、ロックが損傷を受けず、ロック内部チェンバー内で回動できるような大きさにサムが形成された中心ウェブの寸法を設計しなければならない。他方、サムストリップはサムが歪んだり破損しないような十分に強い強度を有していなければならない。
【0022】
本発明の連結用プロフィルのロック用プロフィルに十分な強度を与えるために、内部チェンバーの最大開口幅部における各ロック用プロフィルの曲がったフィンガーストリップの壁厚はロック内部チェンバーの最大開口幅部における、長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブの厚さに対して係数で1.1〜1.3の範囲だけ大きくなるように設計することができる。
【0023】
本発明の特に好ましい連結用プロフィルの実施例では、3つのロック用プロフィルの3つの接続方向が互いにそれぞれ120°離れており、従って、互いにほぼ120°離れて連結用プロフィル方向に延びた矢板壁セクションを一体に接続できる。しかし、例えば、2つのロック用プロフィルが基部上でそれぞれ180°離れて反対方向に延び、第3のロック用プロフィルが他の2つのロック用プロフィルに対して例えば90°の角度で延びるような本発明の連結用プロフィルも考えられる。
【0024】
本発明の連結用プロフィルの基部を円柱形に設計することもでき、ロック用プロフィルを基部から種々の接続方向に向かって放射状方向に外向きに延ばすことができる。その代替例として基部を星形に設計することもできる。すなわち、基部は複数のウェブにし、各ウェブを3つの接続方向に延びた星型に延ばし、ウェブの末端にロック用プロフィルを形成する。この方法で設計された連結用プロフィルは例えば一体に接続された個々の矢板壁構成部材同士の間を長距離でブリッジするのに特に好ましい。
【0025】
本発明の第2の観点から、本発明は本発明の連結用プロフィルを用いて一体化された3枚の矢板壁構成部材、例えば3枚の矢板または2枚の矢板とキャリア要素との組み合わせの配置にも関するものである。
【0026】
特に好ましい形態では、基部上に互いに直接隣接して形成されているサムを有する連結用プロフィルのロック用プロフィルに接続された2枚の矢板壁構成部材が矢板として構築され、さらに他の矢板に接続して弓型または多角形の矢板壁セクションの形を有する矢板として構成される。
【0027】
他方、本発明の連結用プロフィルの第3のロック用プロフィルと係合した第3の矢板壁構成部材は連結用プロフィルをアンカー機構の役目をし、連結用プロフィルをブレース(固定)する。
【0028】
最後の矢板壁構成部材をキャリア要素、例えばダブルT型キャリア、チューブ型パイル等として設計することもできる。あるいは、矢板壁構成部材を矢板として設計することもできる。この場合には矢板をその矢板と係合する他の矢板を介して直接または間接的にキャリア要素に接続する。
【実施例】
【0029】
以下、本発明の実施例およびその変形例を図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
[図1]および[図2]は本発明の連結用プロフィル10の実施例の平面図であり、この連結用プロフィル10の断面はその全長を通して一定である。この連結用プロフィル10は互いに異なる方向へ延びる3つの矢板壁構成部材、、例えば矢板を結合する役目をする。[図1]および[図2]に示した連結用プロフィル10は互いに120°ずつ離れた所定の3つの接続方向、X,Y,Zを有している。この接続方向X,Y,Zとは、断面で見た場合、互いにフックされた矢板壁構成部材が連結用プロフィルと一緒にいわゆる3点接続を形成する方向と定義される。
【0031】
連結用プロフィル10は基部12を有し、この基部からはロック用プロフィル14、16、18が3つの接続方向X,Y,Zに向かって延びている。ロック用プロフィル14、16、18は全て同一形をしているので、以下、ロック用プロフィル14、16、18について[図1]を参照し説明する場合には[図1]に示されるロック用プロフィル14を用いて説明する。
【0032】
ロック用プロフィル14はサムストリップ20と、このサムストリップ20から離れた位置にあるフィンガーストリップ22とを有している。サムストリップとフィンガーストリップはいずれも基部12から延びて、ロック内部チェンバー(lock inner chamber)24の一部を取り囲んでいる。
【0033】
サムストリップ20は基部12から延びた中心ウェブ26によって形成されている。この中心ウェブ26の自由端にサム(親指)28を有し、このサム(親指)28は長手方向に対して垂直に延び且つ中心ウェブ26から両方向へ突き出ている。
【0034】
フィンガーストリップ22も基部12から延び、カーブしてサムストリップ20に向かっている。従って、フィンガーストリップ22およびサム28の外表面は接線面(図示せず)で終わり、フィンガーストリップ22の方向を向いたサム28の末端と一緒になって開口部30を規定している。
【0035】
基部12が中心ウェブ26に移行する部分と、中心ウェブ22がサム28に移行する部分と、基部12がフィンガーストリップ22に移行する部分とには丸みが付いている。これらの輪郭は楕円形の輪郭に合わせてあり、ロック内部チェンバー24が少なくともほぼ楕円形の内部断面を示すようになっている。
【0036】
連結用プロフィル10の場合、各ロックでフックされる矢板壁構成部材はロック用プロフィル14、16、18のロック内部チェンバー24内で規定された状態で回動運動(swivel、スイベル運動)することができる。従って、矢板壁構成部材の各回動位置で、矢板壁構成部材のロックが連結用プロフィル10のロック内部チェンバー24内に確実に保持されることが保障される。
【0037】
回動運動を簡単にするため、本発明の連結用プロフィル10はさらに以下の設計上の特徴を有している。まず、開口部30の開口幅aとロック内部チェンバー24の最大開口幅bとの間の比は約1:2.1である。長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブ26の厚さcと開口部30の開口幅aとの間の比は1:1.3である。長手方向に対して垂直に見た時の中心ウェブ26の厚さcと中心ウェブ26の長手方向に対して垂直に見た時のサム28の長さdとの間の比は1:2.3である。さらに、中心ウェブ26に対して垂直に見た時のサム28の長さdと内部チェンバー24の最大開口幅bとの間の比は1:2.5である。
【0038】
これらの設計上の特徴によって、矢板壁構成部材が連結用プロフィル10のロック用プロフィル14、16、18から飛び出すこと無しに、矢板壁構成部材のロックが16°の回動角度範囲内を回動することが保証される。
【0039】
しかし、加わる保持力に対してロック用プロフィル14、16、18が耐えるのを保証し、しかも、回動可能な矢板壁構成部材が破損しないようにするために、ロック用プロフィル14、16、18を形成するストリップ20と22の寸法をぴったりと合わせる。
【0040】
従って、ロック内部チェンバー24の最大開口幅bの位置で、各ロック用プロフィル14、16、18のカーブしたフィンガーストリップ22の壁厚eは、内部チェンバー24の最大開口幅bの位置で、長手方向に見た時の中心ウェブ26の厚さcよりも、係数で1.2だて大きい。サムストリップ20は中心ウェブ26の長手方向に沿った張力の一部を受ける。この張力は剪断力の剪断に比べるとはるかに大きいので、サムストリップ20の中心ウェブ26はフィンガーストリップ22よりも弱く設計することができる。反対に、フィンガーストリップ22にはより大きな剪断力が加わるので、特にフィンガーストリップ22には比較的高い曲げモーメントが加わる。この曲げモーメントはフィンガーストリップ22が吸収しなければならない。
【0041】
矢板壁構成部材が各接続方向X,Y、Zそれぞれに対して少なくともほぼ同じ回動能力を有するようにするために、3つのロック用プロフィル14、16、18は接続方向X,Y、Zに対して傾斜するようにそれぞれ基部12に形成される(以下で説明する)。
【0042】
すなわち、[図1]に示したロック用プロフィル14は接続方向Xに対して角度α(この場合は7.5°)だけ傾斜している。従って、サムストリップ20は接続方向Xから離れる方向に傾斜している。
【0043】
基部12上に形成された他の2つのロック用プロフィル16と18も接続方向Y及びZに対しそれぞれ7.5°だけ傾斜している。この場合も、サムストリップ20は接続方向Y及びZから離れるように傾斜している。
【0044】
[図1]の下側に示した2つのロック用プロフィル16と18は上記の傾斜輪郭のために互いに接近しており、2つのロック用プロフィル16および18と、連結用プロフィル10の重心面Sとの間の距離は上側に示したロック用プロフィル14からの距離よりも大きい。この特徴によって、後で矢板壁構成部材が2つのロック用プロフィル16および18にフックされた時に、両者が互いに向かって最大量がけ運動した場合でも互いに接触しないことが保障される。
【0045】
[図2]に示す本発明の連結用プロフィル10ではロック42を有するいわゆるユニオンフラットプロフィル(union flat profiles)40が矢板壁構成部材と一緒にロック用プロフィル14、16、18にフックされている。この[図2]には、フラット面40が連結用プロフィル10に対して回動することができる範囲である上側のロック用プロフィル14の回動範囲が示されている。この実施例は、力Fが加わる主方向を有するフラット面40が接続方向Xに対し平行に延び、断面で見た場合に、係合するロック14と42がそれぞれ3点で支え合う基本位置(実線で示す)から始めて、フラット面40を連結用プロフィル10中にフックし、第1端位置と第2端位置(いずれも点線で示す)との間でそれぞれほぼ8.5°の角度を回動できるということが分る。従って、回動範囲は±8.5°である。
【0046】
他の2つのロック用プロフィル16と18では2つのフラット面40の端部が示されており、これらのフラット面40の端部が互いに向かって回動し、最も近づいた場合でも両フラット面40が接触することはない。
【0047】
[図3]は[図1]及び[図2]に示したロック用プロフィル10の第一の変形例を表している。このロック用プロフィル10aの変形例でもロック用プロフィル14a、16a、18aが基部12a上に形成されており、それぞれ120°ずつ離れている。この連結用プロフィル10aの特徴は、接続方向X,Y、Zに延びたフックされた矢板壁構成部材40に張力が加わる各ロック用プロフィル14a、16a、18aの動作点Aが、他の2つのロック用プロフィル16a、18a及び/又は14aと同じ連結用プロフィル10aの重心面Sからの放射状距離Fを有する点にある。各動作点Aが連結用プロフィル10aの重心面Sからの放射状距離が同一距離にあるこの設計の連結用プロフィル10aにすることによって、フックされた矢板壁構成部材40によって加わる張力が連結用プロフィル10aに均一に分散して加わるようにするという目的が達成できる。すなわち、これらの力は少なくともある程度互いに打ち消し合う。さらに、この特徴により、連結用プロフィル10aの設置位置を変えることができ、従って、矢板壁構成部材40をフックする際に、ロック用プロフィル14a、16a、18aの方向に注意を払わずに、連結用プロフィル10aを任意の位置に設置することができるという目的が達成できる。
【0048】
[図4]は円弧形状をした矢板壁セクション44を形成するために互いにフックされた9枚のフラットプロフィル40から成る配置を示している。この矢板壁セクション44の両端部に設けられた最後の2枚の矢板壁構成部材40は、本発明の2つの連結用プロフィル10のロック用プロフィル16及び/又は18にフックされている。同様にして、追加の矢板壁セクション(破線で示す)を円弧形状に延ばし、上記2つの連結用プロフィル10の他のロック用プロフィル18及び/又は16にそれぞれフックする。
【0049】
各連結用プロフィル10の第3のロック用プロフィル14はフラット面40から成る追加の矢板壁セクション46と係合している。この追加の矢板壁セクション46は溶接プロフィル48を用いてダブルT型キャリアに接続される。
【0050】
本発明の連結用プロフィル10は、[図4]の配置に図式的に示すように、矢板壁構成部材が種々の方向へ延びる場合にも対応できる。この特徴は複数の矢板壁セクションを共通ポイントで接続するときに特に重要である。
【0051】
[図5]〜[図10]は連結用プロフィル10のさらに別の変形例である。この場合の基部12は例えば星型をしたウェブストリップから成る。ロック用プロフィル14,16,18はこのウェブストリップの自由末端に溶接される。しかし、図示した全ての変形例では、開口部30の開口幅a、ロック内部チェンバー24の最大開口幅b、中心ウェブ26の厚さc、サムの長さdおよびフィンガーストリップ22の壁厚eに関係する上記設計上の特徴を適当に適用した状態にしなけれはならないという点に注意が必要である。図示した変形例ではロック用プロフィル14,16,18は接続方向X、Y,Zに対して傾斜しておらず、むしろロック内部チェンバー24は最大開口幅bで接続方向X、Y,Zに対して少なくともほぼ直角に延びるように形成されている。
【0052】
しかし、[図1]及び[図2]で説明したように、これらの変形例でもロッ用プロフィル14,16,18の少なくとも一つは接続方向X、Y,Zに対して傾斜している点に注意しなければならない。
【0053】
[図5]は本発明の連結用プロフィルの第2の変形例10bを表し、ロック用プロフィル14b、16b、18bは接続方向X、Y,Zに対して傾斜していない。
【0054】
[図6]は本発明の連結用プロフィル10の第3の変形例10cを表し、この場合、基部12cは曲がって延び、この曲がった基部の末端に2つのロック用プロフィル16c及び18cが形成されている。それとは対照的に、第三のロック用プロフィル14cは曲がった基部12cの中央部に形成されている。
【0055】
[図7]は、本発明の連結用プロフィル10の第4の変形例10dを表す平面図で、この場合には基部12dはウェブストリップ32dから成り、その末端にロック用プロフィル14dが形成されている。
【0056】
[図8]は本発明の連結用プロフィル10の第5の変形例10eを表す平面図で、この場合には基部12eは3つのウェブストリップ32eから成る。この基部12eは丸みを帯び、星型をしている。このウェブストリップの末端にはロック用プロフィル14e、16e、18eが形成されている。ウェブストリップが丸みを帯びた形状をしているためロック用プロフィル14、16、18に加わる応力を簡単に反らすことができる。
【0057】
[図9]は本発明の連結用プロフィル10の第6の変形例10fを表す平面図で、この場合の基部12fは3つの真っすぐなウェブストリップ32fから成り、これらは星形をしている。ウェブストリップの末端にロック用プロフィル14f、16f、18fが形成されている。
【0058】
[図10]は本発明の連結用プロフィル10の第7の変形例10gを表す平面図で、この場合の基部12gは3つの補強されたウェブストリップ32gから成り,これらは星形をしている。ウェブストリップの末端にはロック用プロフィル14g、16g、18gが形成されている。ウェブストリップ32gが補強されているため、ロック用プロフィル14g、16g、18gは極度の高張力下でも壊れることがない。
【0059】
[図11]は本発明の連結用プロフィル11の第8の変形例10hを表す平面図で、この場合の基部12hは3つの丸みを帯び且つ補強されたウェブストリップ32hから成り、これらは星形をしている。ウェブストリップの末端にはロック用プロフィル14h、16h、18hが形成されている。この場合も、丸みを帯びた形状によって応力を低下させることができる。
【0060】
上記で図示した変形例は可能な設計例のいくつかを表すに過ぎない、例えば、ロック用プロフィル14、16、18がそれぞれ異なる接続方向に突き出るように基部12を設計することもできる。必要なことはロック用プロフィル14、16、18を本発明に従って設計することだけである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】互いに180°だけずれて放射方向外側へ延びた3つのロック用プロフィルを有する本発明の連結用プロフィルの実施例の正面の平面図。
【図2】合計3つのフラットプロフィルが矢板壁構成部材として接続されている図1の連結用プロフィルの平面図。
【図3】ロック用プロフィルの動作点が重心面から同じ半径方向距離にある図1および図2に示した実施例の第一変形例の正面の平面図。
【図4】本発明の連結用プロフィルを用いて一体に結合した3枚の矢板壁構成部材からなる配置の平面図。
【図5】ロック用プロフィルが接続方向に対して傾斜していない本発明の連結用プロフィルの第二変形例の正面の平面図。
【図6】曲がった基部と、この曲がった基部の末端にサムバールがそれぞれ向き合うように形成された2つのロック用プロフィルとを有する本発明の連結用プロフィルの第三変形例の正面の平面図。
【図7】基部がウエブストリップをしており、このウエブストリップの先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第四変形例の正面の平面図。
【図8】基部が3つのウエブストリップをしており、このウエブストリップが丸みを有し、星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第五変形例の正面の平面図。
【図9】基部が3つの直線状ウエブストリップをしており、このウエブストリップが星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第六変形例の正面の平面図。
【図10】基部が3つの補強されたウエブストリップをしており、このウエブストリップが星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第七変形例の正面の平面図。
【図11】基部が3つの丸みを付けた補強されたウエブストリップをしており、このウエブストリップが星型で、星型の先端にロック用プロフィルが形成されている本発明の連結用プロフィルの第八変形例の正面の平面図。
【符号の説明】
【0062】
10:連結用プロフィル
12:基部
X:接続方向
Y:接続方向
Z:接続方向
14:ロック用プロフィル
16:ロック用プロフィル
18:ロック用プロフィル
20:サムストリップ
22:フィンガーストリップ
24:ロック内部チェンバー
26:中心ウェブ
28:サム
30:開口部
a:開口部30の開口幅
b:ロック内部チェンバー24の開口幅
c:中心ウェブ26の厚さ
d:サム28の厚さ
e:フィンガーストリップの壁厚
α:角度
S:重心面
A:動作点
f:動作点と重心面との間の距離
32:ウエブストリップ
40:ユニオンフラットプロフィル
42:ロック
F:主として力が加わる方向
44:矢板壁セクション
46:追加の矢板壁セクション
48:溶接プロフィル
50:ダブルT型キャリヤ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部(12)を有し、矢板壁構成部材(40)を接続するためにこの基部(12)から3つの同一形状のロック用プロフィル(14,16,18)が所定の方向(X,Y,Z)に向かって延びている、3つの矢板壁構成部材、例えば3枚の矢板を互いに接続するための、均一な断面を有する連結用プロフィルであって、各ロック用プロフィル(14,16,18)はサムストリップ(20)とカーブしたフィンガーストリップ(22)とを有し、サムストリップ(20)は中心ウェブ(26)を有し、この中心ウェブ(26)にサム(28)が形成され、サムストリップ(20)は中心ウェブの長手方向に対して垂直に延び且つ中心ウェブ(26)から突き出ており、カーブしたフィンガーストリップ(22)の自由端はサムストリップ(20)の方向を向き、サムストリップ(20)と一緒に内部ロックチェンバーを形成し、この内部ロックチェンバーは断面が少なくともほぼ楕円形か、長円形をしており且つフィンガーストリップの方向を向いたサム(28)の末端と一緒になってフックされる矢板壁構成部材(40)のロック(42)の開口部(30)を規定する連結用プロフィルにおいて、
上記の開口部(30)と内部ロックチェンバー(24)が、連結用プロフィル(10)のロック用プロフィル(14,16,18)中にフックされた矢板壁構成部材(40)の上記ロック(42)がロック用プロフィル(14,16,18)内で少なくとも15°の回動角度で回動できるように設計されていることを特徴とする連結用プロフィル。
【請求項2】
断面で見た時にロック用プロフィル(14,16,18)の少なくとも1つが所定の接続方向(X,Y,Z)に対して傾いていて、ロック用プロフィル(14,16,18)中にフックされた矢板壁構成部材(40)のロック(42)の力が主として加わる方向が所定の接続方向(X,Y,Z)の周りでほぼ±8°〜±12°の回動角度で回動可能であることを特徴とする、請求項1記載の連結用プロフィル。
【請求項3】
ロック用プロフィル(14,16,18)が内部ロックチェンバー(24)の主軸(b)に沿って延び、断面で見た時に楕円形または長円形をしている内部ロックチェンバー(24)が所定の接続方向(X,Y,Z)に対して5°〜10°の範囲で傾斜しており、サムストリップ(20)は所定の接続方向(X,Y,Z)から離れるように傾斜していることを特徴とする請求項2記載の連結用プロフィル。
【請求項4】
全てのロック用プロフィル(14,16,18)が所定の接続方向(X,Y,Z)に対して5°〜10°の範囲で傾斜して延び、サムストリップ(20)が基部(12)上に形成されている両方のロック用プロフィル(16,18)が互いに隣接し且つ互いの方に向かって傾斜していることを特徴とする請求項2または3記載の連結用プロフィル。
【請求項5】
各ロック用プロフィル(14,16,18)が動作点(A)を有し、この動作点(A)に所定の接続方向(X,Y,Z)に延びたフックされた矢板壁構成部材(40)に生じる張力が加わり、各ロック用プロフィル(14,16,18)の動作点(A)が連結用プロフィル(10)の重心面Sから同一の放射状距離(f)にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項6】
基部(12)に形成されたサムストリップ(20)が互いに直接隣接する2つのロック用プロフィル(16,18)の連結用プロフィル(10)の重心面Sからの距離が3つのロック用プロフィルの残りのロック用プロフィル(14)よりも長いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項7】
開口部(30)の開口幅(a)とロック内部チェンバー(24)の最大開口幅(b)との間の比が1:2〜1:2.5の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項8】
長手方向に垂直に見た時の中心ウェブ(26)の厚さ(c)と開口部(30)の開口幅の開口幅(a)との間の比が1:1.2〜1:1.4の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項9】
長手方向に垂直に見た時の中心ウェブ(26)の厚さ(c)と中心ウェブ(26)に対して垂直に見た時のサム(28)の長さとの間の比が少なくとも1:1.23〜1:1.25の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項10】
中心ウェブ(26)の長手方向に対して垂直に見た時のサム(28)の長さ(d)とロック内部チェンバー(24)の最大開口幅(d)との間の比が1:1.2〜1:1.4の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項11】
ロック内部チェンバー(24)の最大開口幅(b)領域における各ロック用プロフィル(14,16,18)の曲がったフィンガーストリップ(22)の壁厚(e)が、長手方向に対して垂直に見た時に、中心ウェブ(26)の圧さ(c)より係数で1.1〜1.3の範囲で大きいことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項12】
3つのロック用プロフィル(14,16,18)の接続方向(X,Y,Z)が互いに120°離れていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項13】
基部(12)がウェブストリップ(32)を有し、このウェブストリップ(32)は3つの接続方向(X,Y,Z)に星型に突き出ており、このウェブストリップの末端にロック用プロフィル(14,16,18)が形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項14】
連結用プロフィルが請求項1〜13のいずれか一項に記載の設計を有することを特徴とする、連結用プロフィル(10)を用いて互いに結合された3つの矢板壁構成部材、例えば3枚のシートパイルまたは2枚のシートパイルとキャリア要素の配置。
【請求項15】
連結用プロフィル(10)のロック用プロフィル(16,18)に接続され、基部(12)上に形成されたロック用プロフィルのサムストリップが互いに直接隣接している2枚の矢板壁構成部材(40)がシートパイル(40)、好ましくは他のシートパイルが接続されるユニオンフラットプロフィルであり、弓型または多角形の矢板壁セクション(44)を形成し、この矢板壁セクション(44)の最後の矢板(40)を連結用プロフィル(10)にフックすることを特徴とする請求項14記載の配置。
【請求項16】
追加ロック用プロフィル(16,18)の2つのフィンガーストリップ(22)に隣接した連結用プロフィル(10)の基部(12)上に形成されたロック用プロフィル(14)が、この矢板(40)と係合する他の矢板(40)を介して直接または間接的にキャリア要素に接続された少なくとも一つの矢板(40)に結合されていることを特徴とする請求項14または15に記載の配置。
【請求項1】
基部(12)を有し、矢板壁構成部材(40)を接続するためにこの基部(12)から3つの同一形状のロック用プロフィル(14,16,18)が所定の方向(X,Y,Z)に向かって延びている、3つの矢板壁構成部材、例えば3枚の矢板を互いに接続するための、均一な断面を有する連結用プロフィルであって、各ロック用プロフィル(14,16,18)はサムストリップ(20)とカーブしたフィンガーストリップ(22)とを有し、サムストリップ(20)は中心ウェブ(26)を有し、この中心ウェブ(26)にサム(28)が形成され、サムストリップ(20)は中心ウェブの長手方向に対して垂直に延び且つ中心ウェブ(26)から突き出ており、カーブしたフィンガーストリップ(22)の自由端はサムストリップ(20)の方向を向き、サムストリップ(20)と一緒に内部ロックチェンバーを形成し、この内部ロックチェンバーは断面が少なくともほぼ楕円形か、長円形をしており且つフィンガーストリップの方向を向いたサム(28)の末端と一緒になってフックされる矢板壁構成部材(40)のロック(42)の開口部(30)を規定する連結用プロフィルにおいて、
上記の開口部(30)と内部ロックチェンバー(24)が、連結用プロフィル(10)のロック用プロフィル(14,16,18)中にフックされた矢板壁構成部材(40)の上記ロック(42)がロック用プロフィル(14,16,18)内で少なくとも15°の回動角度で回動できるように設計されていることを特徴とする連結用プロフィル。
【請求項2】
断面で見た時にロック用プロフィル(14,16,18)の少なくとも1つが所定の接続方向(X,Y,Z)に対して傾いていて、ロック用プロフィル(14,16,18)中にフックされた矢板壁構成部材(40)のロック(42)の力が主として加わる方向が所定の接続方向(X,Y,Z)の周りでほぼ±8°〜±12°の回動角度で回動可能であることを特徴とする、請求項1記載の連結用プロフィル。
【請求項3】
ロック用プロフィル(14,16,18)が内部ロックチェンバー(24)の主軸(b)に沿って延び、断面で見た時に楕円形または長円形をしている内部ロックチェンバー(24)が所定の接続方向(X,Y,Z)に対して5°〜10°の範囲で傾斜しており、サムストリップ(20)は所定の接続方向(X,Y,Z)から離れるように傾斜していることを特徴とする請求項2記載の連結用プロフィル。
【請求項4】
全てのロック用プロフィル(14,16,18)が所定の接続方向(X,Y,Z)に対して5°〜10°の範囲で傾斜して延び、サムストリップ(20)が基部(12)上に形成されている両方のロック用プロフィル(16,18)が互いに隣接し且つ互いの方に向かって傾斜していることを特徴とする請求項2または3記載の連結用プロフィル。
【請求項5】
各ロック用プロフィル(14,16,18)が動作点(A)を有し、この動作点(A)に所定の接続方向(X,Y,Z)に延びたフックされた矢板壁構成部材(40)に生じる張力が加わり、各ロック用プロフィル(14,16,18)の動作点(A)が連結用プロフィル(10)の重心面Sから同一の放射状距離(f)にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項6】
基部(12)に形成されたサムストリップ(20)が互いに直接隣接する2つのロック用プロフィル(16,18)の連結用プロフィル(10)の重心面Sからの距離が3つのロック用プロフィルの残りのロック用プロフィル(14)よりも長いことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項7】
開口部(30)の開口幅(a)とロック内部チェンバー(24)の最大開口幅(b)との間の比が1:2〜1:2.5の範囲にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項8】
長手方向に垂直に見た時の中心ウェブ(26)の厚さ(c)と開口部(30)の開口幅の開口幅(a)との間の比が1:1.2〜1:1.4の範囲にあることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項9】
長手方向に垂直に見た時の中心ウェブ(26)の厚さ(c)と中心ウェブ(26)に対して垂直に見た時のサム(28)の長さとの間の比が少なくとも1:1.23〜1:1.25の範囲内にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項10】
中心ウェブ(26)の長手方向に対して垂直に見た時のサム(28)の長さ(d)とロック内部チェンバー(24)の最大開口幅(d)との間の比が1:1.2〜1:1.4の範囲にあることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項11】
ロック内部チェンバー(24)の最大開口幅(b)領域における各ロック用プロフィル(14,16,18)の曲がったフィンガーストリップ(22)の壁厚(e)が、長手方向に対して垂直に見た時に、中心ウェブ(26)の圧さ(c)より係数で1.1〜1.3の範囲で大きいことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項12】
3つのロック用プロフィル(14,16,18)の接続方向(X,Y,Z)が互いに120°離れていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項13】
基部(12)がウェブストリップ(32)を有し、このウェブストリップ(32)は3つの接続方向(X,Y,Z)に星型に突き出ており、このウェブストリップの末端にロック用プロフィル(14,16,18)が形成されていることを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載の連結用プロフィル。
【請求項14】
連結用プロフィルが請求項1〜13のいずれか一項に記載の設計を有することを特徴とする、連結用プロフィル(10)を用いて互いに結合された3つの矢板壁構成部材、例えば3枚のシートパイルまたは2枚のシートパイルとキャリア要素の配置。
【請求項15】
連結用プロフィル(10)のロック用プロフィル(16,18)に接続され、基部(12)上に形成されたロック用プロフィルのサムストリップが互いに直接隣接している2枚の矢板壁構成部材(40)がシートパイル(40)、好ましくは他のシートパイルが接続されるユニオンフラットプロフィルであり、弓型または多角形の矢板壁セクション(44)を形成し、この矢板壁セクション(44)の最後の矢板(40)を連結用プロフィル(10)にフックすることを特徴とする請求項14記載の配置。
【請求項16】
追加ロック用プロフィル(16,18)の2つのフィンガーストリップ(22)に隣接した連結用プロフィル(10)の基部(12)上に形成されたロック用プロフィル(14)が、この矢板(40)と係合する他の矢板(40)を介して直接または間接的にキャリア要素に接続された少なくとも一つの矢板(40)に結合されていることを特徴とする請求項14または15に記載の配置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2009−504944(P2009−504944A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525419(P2008−525419)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007208
【国際公開番号】WO2007/017077
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(504455230)パイルプロ リミテッド ライアビリティー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/007208
【国際公開番号】WO2007/017077
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(504455230)パイルプロ リミテッド ライアビリティー カンパニー (7)
【Fターム(参考)】
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