説明

3次元モニタ及び2次元モニタを医用診断撮像ワークステーションと統合するための方法及び装置

【課題】空間3次元表示ユニット(150、160)と医師に利用可能な別のツールとの間に連係を提供できるシステム及び方法を提供する。
【解決手段】本システムは、2次元表示ユニット(120、130、140)と、追加的な空間3次元表示ユニット(150、160)と、を含むことがある。2次元画像と3次元画像とをリンクさせ、これによりユーザに一貫した観察角度を提供することができる。本システムは手術経路の吟味に使用されることがある。第1の3次元データ組の表示パラメータを第2の3次元データ組に対してマッピング(300)させることがある。第1のデータ組と第2のデータ組の手術経路を空間表示ユニット(150、160)上に表示させることがある。したがって、手術経路に沿った解剖学的対象を、異なる時点で(例えば、手術前と手術後で)観察することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全般的には、改良型医用撮像のためのシステム及び方法に関する。本発明は具体的には、医用画像の構成及び解釈に関する効率がより高いシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
医用診断撮像システムには、X線システム、コンピュータ断層(CT)システム、超音波システム、電子ビーム断層撮像(EBT)システム、磁気共鳴(MR)システム、その他などの多種多様な撮像様式が含まれる。医用診断撮像システムは、例えば患者などの被検体に関する画像を、エネルギー源に対する曝露(例えば、患者を通過するX線など)によって作成している。作成した画像は多くの目的で使用されることがある。例えば、被検体内の内部欠陥が検出されることがある。さらに、内部構造や整列の変化が判定されることがある。さらに、被検体内での流体の流れが表出されることもある。さらにその画像は、被検体内における対象物の有無を示すことがある。医用診断撮像から得られる情報は、医学分野や製造分野を含む多くの分野に用途を有する。
【0003】
医用診断撮像システムの一例は、画像蓄積伝送システム(Picture Archival Communication Systems:PACS)である。PACSは、例えばX線、超音波、CT、MRI、EBT、MR、または核医学など、観察のために画像を電子的に収集、保存及び伝送することを可能とさせる装置及びソフトウェアに関する用語である。検査から得た画像は、即座に観察することや保存すること、あるいは伝送することがある。これらの画像は診断用ワークステーション上でユーザ(例えば、放射線医)によって観察されることがある。画像の観察に加えて、ユーザはさらに、例えば患者の名前や患者の性別などの画像に関連する患者情報を一緒に観察することがある。
【0004】
PACSシステム向けに収集されるデータは2次元データであるのが一般的である。しかし、この2次元データをユーザは一連の2次元画像として観察するのが一般的である。ユーザは患者の解剖構造に対する2次元「スライス」を観察することがある。次いでユーザは、その患者の解剖構造の3次元モデルを頭の中で再構成しようとすることがある。各患者によって異なるため、2次元データを読み取って理解しようとするとかなりの時間がかかる。
【0005】
コンピュータ及び医用撮像テクノロジーがより高度になるに連れて、PACS診断ワークステーションは医用画像の3次元投影を表示できるようになった。典型的には、3次元医用画像の像を2次元画像と同様の方式で表示させている。さらに、3次元医用画像の像を、2次元画像と同じタイプの2次元対応フラットモニタ上に表示させることがある。患者の解剖構造の3次元データの2次元投影によってユーザによる画像に対する回転、裏返し(flip)その他の操作の実行を可能にし、ユーザのデータ表示を容易にさせることができる。しかし、これらのタイプの3次元情報表示は、2次元フラットスクリーン上に表示されるため、真の3次元表示ではない。したがって、2次元ディスプレイ上への3次元画像の投影では、ユーザが患者の解剖構造に関して収集したデータを完全に利用する能力が制限されている。
【0006】
あらゆる種類の3次元データをより十分に利用しようとする試みにおいて、2次元表示ユニット上に投影された3次元データとしてではなく、3次元データを3次元表示ユニット(ステレオ式モニタでない3次元モニタ)上で真の3次元モデルとして表示するための製品が開発されつつある。3次元表示ユニットは、空間ボリュームを真に占有する3次元イメージを提供することにおいてフラットスクリーン3Dと異なっている。こうした3次元表示ユニットでは、フラットスクリーン3Dと異なり空間的3Dが表示される。一例として、目下開発中の空間表示ユニットのうちの1つは、Actuality Systems, Inc.(213 Burlington Road, Bedford, MA 01730, http://www.actuality−systems.com)によるPerspecta(商標)3D Systemである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の空間表示ユニットは、多くのタイプの3次元データを表示することができる。空間表示ユニット上に表示できるデータタイプの1つは3次元医用データである。しかし、空間表示ユニット上への3次元医用データの表示は、担当医や放射線医に利用可能な別のツールと無関係に実施されるのが一般的である。したがってユーザは、3次元医用データの観察に空間表示ユニットを利用することができるものの、そのユーザは診断及び治療を支援する別のツールから離れた状態になる。したがって、ユーザのワークフローが阻害され不必要な時間を要することになりかねない。したがって、空間表示ユニットと担当医や放射線医に利用可能な別のツールとの間に連係を提供できるシステム及び方法に対する必要性が存在する。こうしたシステム及び方法によってユーザは、医学的状態の診断及び治療がより効率的かつ効果的となる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある種の実施形態は医用診断撮像システムを含む。医用診断撮像システムは3次元データを操作するためのコンピュータ・ユニットを含む。コンピュータ・ユニットは、ディスプレイ向けに3次元データを構成するための表示プロトコルを動作させるコンピュータ・ソフトウエアを有する。医用診断撮像システムはさらに、第1の3次元データ組を表示するために少なくとも第1の空間3次元表示ユニットを含む。医用診断撮像システムは画像蓄積伝送システムとすることがある。さらに本システムは、第2の3次元データ組を表示するための第2の空間3次元表示ユニットを含むことがある。第1の3次元データ組を第2の3次元データ組とリンクさせることがある。本システムはさらに、少なくとも1つの2次元データ組を表示するために第1の2次元表示ユニットを含むことがある。第1の3次元データ組と第1の2次元データ組をリンクさせることがある。
【0009】
本システムは、1つの2次元データ組を表示するための第1の2次元表示ユニットと、1つの2次元データ組を表示するための第2の2次元表示ユニットと、1つの2次元データ組を表示するための第3の2次元表示ユニットと、を含むことがある。第1の2次元データ組はアキシャル像と対応することがある。第2の2次元データ組はサジタル像と対応することがある。第3の2次元データ組は選択した関心点に対するコロナル像と対応することがある。
【0010】
本発明のある種の実施形態は、医用画像を用いて手術経路を吟味するための方法を含むことがある。本方法は、空間表示ユニット上に表示された第1の3次元データ組の表示パラメータを操作する工程を含む。次に、前記第1の3次元データ組の表示パラメータを記録しかつ対応する2次元画像を手術経路内のフレームとして記録する工程が続く。次に本方法は、手術経路が所望の持続時間になるまで上記の操作工程及び記録工程を反復する工程を含む。この所望の持続時間はユーザにより決定されることがある。次に、第1の3次元データ組の表示パラメータを第2の3次元データ組に対してマッピングする工程が続く。最後に、第1のデータ組の手術経路及び第2のデータの手術経路を空間表示ユニット上に表示する工程となる。
【0011】
第1のデータ組の手術経路を第2のデータ組の手術経路とリンクさせることがある。アキシャル像、サジタル像及びコロナル像を各フレームごとに記録することや、各フレームの関心点ごとに記録することがある。さらに、各フレームごとに斜方向像が記録される。第1のデータ組は履歴データ組とすることがあり、また第2のデータ組は目下のデータ組とすることがある。
【0012】
本発明のある種の実施形態は、コンピュータ向けの命令の組を含んだコンピュータ読み取り可能記憶媒体を含むことがある。このコンピュータ向け命令組は、空間表示ユニット上に表示された第1の3次元データ組の表示パラメータを操作するための操作ルーチンを含むことがある。この命令組はさらに、第1の3次元データ組の表示パラメータを記録しかつ対応する2次元画像を手術経路内のフレームとして記録するための記録ルーチンを含むことがある。この命令組はさらに、手術経路が所望の持続時間になるまで上記の操作工程及び記録工程を反復するための反復ルーチンを含むことがある。この所望の持続時間はユーザにより決定されることがある。この命令組はさらに、第1の3次元データ組の表示パラメータを第2の3次元データ組にマッピングするためのマッピング・ルーチンを含むことがある。この命令組はさらに、第1のデータ組の手術経路及び第2のデータの手術経路を空間表示ユニット上に表示するための表示ルーチンを含むことがある。
【0013】
上述のコンピュータ命令に関して、その第1のデータ組の手術経路を第2のデータ組の手術経路とリンクさせることがある。さらに、アキシャル像、サジタル像及びコロナル像を各フレームごとに記録することや、各フレームの関心点ごとに記録することがある。さらに、各フレームごとに斜方向像が記録されることがある。第1のデータ組は履歴データ組とすることがあり、また第2のデータ組は目下のデータ組とすることがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、ある3次元データと別の3次元データ並びに3次元データと2次元データに関する表示及び同期を制御するためのシステム100を表している。システム100はコンピュータ・ユニット110を含む。コンピュータ・ユニット110は、例えばX線、超音波、CT、MRI、EBT、MRまたは核医学などの電子的医用画像を、観察及び動作のために電子的に収集、保存または伝送できるようにさせる任意の装置またはソフトウェアとすることがある。コンピュータ・ユニット110はユーザから入力を受け取ることがある。コンピュータ・ユニット110は、電子ネットワークの一部として別のデバイスに接続させることがある。一実施形態では、そのコンピュータ・ユニット110を、画像蓄積伝送システム(PACS)とすること、あるいはPACSの一部とすることがある。
【0015】
システム100はさらに、5つの表示ユニット120、130、140、150及び160を含む。一実施形態では、表示ユニット120、130及び140は2次元フラットパネル表示ユニットである。表示ユニット150及び160は3次元空間表示ユニットである。本発明の一実施形態で使用できる表示ユニット150及び160の一例は、上で検討したようなActuality Systems, Inc.によるPerspecta(商標)3D Systemである。図1の実施形態では5つの表示ユニットを図示しているが、任意の数の2次元表示ユニットや任意の数の空間表示ユニットを含め任意の数の表示ユニットを使用することができる。
【0016】
一実施形態では、そのシステム100は、PACSの表示ユニットを意味する表示ユニット120〜160を伴ったPACSである。コンピュータ・ユニット110は、PACSシステムのディスプレイ以外の装置及び構成要素を意味することもある。コンピュータ・ユニット110と表示ユニット120〜160は、別々のユニットとすることや、単一ユニットの一部とすることがある。別々のユニットとするケースでは、その表示ユニット120〜160をコンピュータ・ユニット110と電気的に連絡させることがある。システム100の構成要素は、単一のユニット(別々のユニット)とすることがあり、様々な形態に一体化させることがあり、またハードウェア及び/またはソフトウェアの形で実現させることがある。
【0017】
一実施形態では、表示プロトコルによってユーザは、複数の3次元ボリュメトリック医用画像を空間表示ユニット150及び160上で同時に観察することができる。コンピュータ・ユニット110はこれらの3次元画像をリンクさせより簡単に検索及び利用できるようにするコンピュータ・ソフトウエアを有することがある。例えば、空間表示ユニット150上に表示された3次元画像を空間表示ユニット160上に表示された3次元画像とリンクさせることがある。ユーザが複数の3次元画像(すなわち、ボリューム画像)を同時に観察できることによって、ユーザは画像を容易に比較することが可能となる。例えばユーザは表示プロトコルを使用して目下の検査に関するボリューム画像を空間表示ユニット150上に表示させるように指令することがある。ユーザはさらに、表示プロトコルを使用して比較検査のボリューム画像を空間表示ユニット160上に表示させるように指令することがある。こうした方式により、目下の検査を比較検査と容易に比較でき、これによりユーザに効率のよい観察を提供することができる。
【0018】
一実施形態の動作の際に、目下の検査のボリューム画像がユーザが検討を希望する画像であることがある。比較検査のボリューム画像はユーザが目下の画像との比較を希望する画像であることがある。例えば、目下の検査のボリューム画像は患者Aに対する目下の検査から得た1組の臓器を含むことがある。ユーザは、以前の検査から患者Aの同じ臓器の組を観察することを希望することがある。ユーザはコンピュータ・ユニット110から比較検査を取り出し、空間表示ユニット160上に比較検査を表示させることがある。こうした実施形態では、空間表示ユニット160がアーカイブしておいて検査を表示している。さらに、比較検査を別の患者からのボリューム画像とすることもある。上述したのは単に一例にすぎず、任意のボリュメトリック医用画像を比較することができる。
【0019】
表示プロトコルが所望の3次元画像を適当な箇所に表示させた後、コンピュータ・ユニット110は表示ユニット150及び160上に表示されたボリュメトリック医用画像同士をリンクさせることがある。本発明の一実施形態では、表示プロトコルはボリュメトリック医用画像同士をリンクさせ、これによりあるボリュームにおいる移動または回転があるとこれ以外のボリュームにおいても同じ移動または回転を生じさせることがある。表示させるボリュメトリック画像及び対象の観察角度はそのユーザに関して一貫しているのが一般的である。例えば、患者の心臓の目下のボリュメトリック画像が空間表示ユニット150上に表示されておりかつこの患者の心臓の履歴ボリュメトリック画像が空間表示ユニット160上に表示されていれば、空間表示ユニット150及び160のそれぞれにおいてこの心臓に対する同じ特徴が同じ空間を占有していることになる。空間ユニット150に表示される心臓の前部は、空間表示ユニット160上に心臓の前部を表示させたのと同じ空間を占有することになる。ユーザが第1の空間画像に対して回転、裏返し、ズームその他の操作を実施すると、これ以外の空間画像もユーザ制御による画像と一致するようにその観察特性が変更される。
【0020】
システム100の実施形態では、ユーザが表示ユニット150または表示ユニット160上でコンピュータ・マウスにより1つの3次元画像を選択し、さらにコンピュータ・マウスを用いてこの画像を回転させることがある。この選択した画像は駆動側画像とすることがある。駆動側画像における回転または移動によってもう一方の3次元画像における回転が駆動されることがある。例えばユーザは、表示ユニット150上の目下の検査を駆動側画像として選択することがある。次いでユーザは、目下の検査の観察角度をコンピュータ・マウスを用いて回転または移動させることがある。表示プロトコルによって表示ユニット160上の比較検査がリンクされているため、目下の検査を表示させた観察角度と同じ観察角度を示すように比較検査が移動または回転することがある。こうした方式によりユーザは、目下の検査と比較検査の両方に関して同じ観察角度で観察することができる。さらにユーザはスクリーン上のポインタを操作して駆動側画像上である特定の箇所を指示することがある。次いで表示プロトコルはもう一方の画像上でも対応する箇所を指示するようにポインタを操作することがある。ユーザが駆動側画像においてポインタを動かすと、これ以外の画像のポインタも対応して同じ箇所を指示するように移動することがある。こうした方式によりユーザは、複数の画像内で同じ構造をより容易に比較することが可能となる。ボリュメトリック医用画像同士をリンクさせることが可能であるため診断及び治療に関するユーザの効率及び正確性が高くなる。
【0021】
本発明の別の実施形態では、2次元画像を駆動側ボリュメトリック画像にリンクさせることがある。したがってこのシステム100では、2次元画像を表示ユニット120〜140上に表示させることがあり、かつ3次元画像を空間表示ユニット150及び160上に表示させることがある。システム100は本発明の一実施形態であるため、任意の数の表示ユニットを使用することができる。上で検討した実施形態では、2つのボリューム・データ組を存在させており、目下のデータ組を空間表示ユニット150上に表示させており、かつ比較データ組を空間表示ユニット160上に表示させている。これらのデータ組は両方とも対応する2次元画像を有する。一実施形態では、ユーザは駆動側3次元画像上で関心点を選択することによって駆動側3次元画像の2次元画像を表示させることがある。図2及び3は、関心点の考え方、並びに2次元表示ユニット120〜140と3次元空間表示ユニット150〜160の間の関係を表している。
【0022】
図2は、システム100の実施形態の表示ユニット120、130または140上に表示させ得る複数の2次元画像200を表している。図2は、4つの2次元画像(アキシャル像210、サジタル像220、コロナル像230及び斜方向像240)を含んでいる。表示ユニット120〜140上には画像210〜240を任意に組み合わせて表示させることがある。
【0023】
図3は、3次元画像の2次元空間へのマッピング300を表している。図3は、図1で3次元表示ユニット150または160上に表示させ得る3次元モデル310を含む。図3はさらに、ユーザの視野域320及び関心点330も表している。このユーザの視野域は、ユーザが3次元画像を操作した後に3次元モニタ150または160により表示される観察角度を意味している。上で言及したように、表示ユニット150及び表示ユニット160は目下の検査と比較検査のそれぞれを表示することがあり、また目下の検査と比較検査とをリンクさせると、表示ユニット150及び表示ユニット160は視野域320が同じでなければ同じ視野域となるはずである。
【0024】
関心点330は3次元モデル310内でユーザが具体的に関心を示している点とすることがある。ユーザはコンピュータ・マウスやその他の入力デバイスを用いて関心点330を選択することがある。ユーザが3次元モデル上で関心点330を選択し終えると、その関心点330に対する2次元画像210〜230を表示ユニット120〜140上に表示させることができる。選択した関心点に対する斜方向2次元像が存在していれば、表示ユニット120〜140上に斜方向像240も表示させることがある。例えば、ある具体的な関心点に関して視野域の斜方向像240の2次元画像が利用可能であれば、2次元モニタ120〜140のうちの1つの上に斜方向像も表示させることがある。
【0025】
本発明の一実施形態では、ユーザは、ある具体的な視野域320に達するように、表示ユニット150または160上で3次元画像のパラメータを操作することがある。次いでユーザは、表示ユニット150または表示ユニット160のいずれかの上で、ある具体的な関心点330を選択することがある。この関心点330が3次元モニタのうちの1つの上で選択された後、当該関心点に関する当該検査からのアキシャル像210、サジタル像220及びコロナル像230を表示ユニット120〜140上に表示させることができる。例えば、ユーザが空間表示ユニット150上に表示された目下の検査上で関心点を選択した場合、目下の検査に対するアキシャル像210、サジタル像220及びコロナル像230が表示ユニット120〜140のそれぞれの上に表示される。ユーザが表示ユニット160上に表示された履歴検査すなわち比較検査上で関心点を選択した場合、履歴検査すなわち比較検査に対するアキシャル像210、サジタル像220及びコロナル像230が表示ユニット120〜140のそれぞれの上に表示される。したがって、ユーザは具体的な3次元像320を駆動し、関心点330を選択し、さらにこの関心点の3次元画像と2次元画像の両者を観察する。
【0026】
一実施形態では、ユーザはシステム100並びに図200及び300の対応する構成要素を利用し、手術経路を計画し吟味することがある。手術経路は、担当医が手術中に実施することがある器具や切開の経路を含むことがある。外科医は患者の身体に生じる侵襲をできるだけ小さくするため、あるいはその手術の「青写真」を作成するために手術前に手術経路を吟味しようと希望することがある。手術前または手術中に手術経路を吟味することによって手術がより効率的かつ効果的となる。さらに手術に続いて、ユーザは様々な時間期間にわたって手術経路を比較することがある。例えばユーザは、手術前と手術後の手術経路を比較し、手術によって生じた外乱のレベルを監視することがある。さらにユーザは、手術後の様々な時点において手術経路を比較し回復を監視することがある。
【0027】
図4は、システム100並びに図200及び300の対応する構成要素を利用して手術経路を計画し吟味するための実施形態を表している。図4は、図1で3次元ユニット150及び160上に表示され得る2つの3次元モデル410及び420を含む。モデル410は履歴検査からのボリュメトリック画像を示すことができる3次元モデルを表している。モデル420は、目下の検査からのボリュメトリック画像を示すことができる3次元モデルを表している。各3次元モデル410及び420は、空間表示ユニット150及び160上に表示させることがある。各3次元モデル410及び420は、一連の2次元「スナップショット」を意味する一連の影付き長円形で表している。各2次元スナップショットは1つの独立の関心点、またしたがって2次元画像の独立の組を示すことがある。したがって、各スナップショットは対応するアキシャル像、サジタル像及びコロナル像と、存在すれば斜方向像とを有することがある。こうした方式によりユーザは、2次元と3次元の両方で手術経路を辿ることができる。
【0028】
ユーザは、ボリュメトリック画像から一連の「スナップショット」を取り出すことによって手術経路を作成することがある。これらのスナップショットは、関心点、視野域、ズーム倍率、画像内の深度レベル、及びユーザに利用可能なその他のパラメータを変更することによって作成されることがある。ユーザが適当なパラメータを選択し終わると、そのパラメータは取り込まれてフレームとして記録されることがある。図4に示したモデル410の例では、各影付き長円形(例えば、長円形411〜417)が1つのフレームを意味している。3次元画像を2次元画像とリンクさせると、各フレームは1組の3次元パラメータと1組の2次元パラメータを意味することがある。したがってユーザはフレーム(例えば、フレーム411)を取り込み、画像のパラメータを再調整し、さらに新たなフレームを取り込むことがある。フレームが取り込まれると、そのフレームのパラメータ及び系列内の箇所が記録される。図4に示したモデル410の例では、ユーザはフレーム411を取り込み、モデル410のパラメータを再調整し、さらにフレーム412を取り込むことがある。ユーザは、十分なフレーム数になるまでこの過程を反復することがある。こうした方式によりユーザは、患者の解剖構造を通過する経路を含んだ一連の2次元画像及び3次元画像を作成することができる。
【0029】
手術経路411〜417の作成が終わると、ユーザは手術実施のためのガイドとして手術中に手術経路411〜417を吟味することがある。手術経路は、2次元で吟味されることや、3次元で吟味されることがある。例えば外科医は、2次元空間において手術経路をフレーム単位で吟味することがある。さらに外科医は、3次元空間内において手術経路を吟味することがある。3次元空間での吟味には、手術経路に対するフレーム単位での吟味や、補外像(extrapolated view)を通じた吟味を含むことがある。この補外像は、フレーム同士の間の距離を「埋め合わせ(fill in)」その3次元吟味を滑らかに(あたかも、ビデオのように)示すコンピュータ・ソフトウエアによる支援を受ける。
【0030】
上で言及したように、図4はさらにモデル420を表している。モデル420は、モデル410で示したデータ組と異なるデータ組を示し得る第2の3次元モデルを意味している。例えばモデル410は、手術前に撮像された特定の解剖領域に関するデータ組を示すことがある。モデル420は、同じ解剖領域に関するデータ組であるが、手術後に撮像されたデータ組を示すことがある。こうした実施形態では、各画像組が同じ手術経路を有すると好都合である。画像の組が同じ手術経路を有していれば、ユーザは患者の同じ解剖学的特徴に関する画像で異なる時点における画像を比較することができる。
【0031】
本発明の一実施形態では、ユーザは、以前に作成した手術経路を新たなデータ組にマッピングすることがある。新たなデータ組において以前に作成した手術経路を吟味するためには、手術経路パラメータをこの新データ組にマッピングさせることがある。例えば、モデル420のデータ組においてモデル410の手術経路411〜417を吟味するために、手術経路411〜417をマッピングして手術経路421〜427を作成することがある。一実施形態では、データ組410の個々のフレームのパラメータがマッピングされ、データ組420内の同じフレームが作成される。例えば、フレーム411のパラメータがマッピングされ、フレーム421が作成される。フレーム412のパラメータがマッピングされ、フレーム422が作成される。以前のデータ組のパラメータを新たなデータ組にマッピングする過程は両方のデータ組において同じ手術経路が作成されるように反復させることがある。
【0032】
例えばモデル410は、手術前に作成された手術経路411〜417を伴う履歴検査を表すことがある。モデル420は、手術後に収集した目下のデータ組を表すことがある。履歴検査の手術経路411〜417をマッピングして目下の検査における手術経路421〜427を作成することがある。2つの手術経路411〜417及び421〜427が同じ観察パラメータを有しているため、これらの手術経路の画像は異なる時点でも同じ解剖学的構造を表すようになるはずである。ユーザは、表示ユニット150上に手術経路411〜417を表示させ、かつ表示ユニット160上に手術経路421〜427を表示させることがある。各手術経路を伴う対応する2次元画像は2次元表示ユニット120〜140上に表示させることがある。これらの3次元画像はリンクさせることができるため、手術経路のうちの1つを通る移動によってもう一方の手術経路を通った対応する移動を作成することができる。例えば、履歴検査410を目下の検査420とリンクさせることができるため、各検査における構造の表示は全体として一貫性とすることができる。各検査の表示は、もう一方の検査において表示されている内容に基づいて調整することができる。
【0033】
図5は、2次元画像及び3次元画像を利用して手術経路を吟味するための本発明の一実施形態による方法500を表している。工程510では、ユーザは、表示ユニット上に表示させた3次元画像の表示パラメータに対して、関心点の選択を含む操作を行うことがある。例えばユーザは、キーボード、マウス、トラックボールその他の入力デバイスを用いて表示パラメータを変更することがある。これらの表示パラメータには、観察角度、関心点、観察深度、ズーム倍率、あるいは別の観察パラメータが含まれる。工程520では、3次元画像の表示パラメータが記録されると共に、2次元画像が手術経路内のフレームとして記録されることがある。一実施形態では、手術経路は図4に表示したような系列411〜417に対応することがある。さらに、手術経路内のフレームは要素411〜417のうちの1つに対応することがある。工程530では、手術経路が所望の長さになるまで工程510及び工程520が反復される。手術経路の所望の長さはユーザにより決定されることがある。
【0034】
工程540では、第1のデータ組からの手術経路の表示パラメータを第2のデータ組に対してマッピングさせることがある。第1のデータ組の表示パラメータを第2のデータ組にマッピングさせることによって、第2のデータ組は第1のデータ組と実質的に同じ手術経路を有することができる。例えば、モデル420のデータ組においてモデル410の手術経路411〜417を吟味するために、手術経路411〜417をマッピングして手術経路421〜427を作成することがある。一実施形態では、データ組410の個々のフレームのパラメータがマッピングされ、データ組420の同じフレームが作成される。例えば、フレーム411のパラメータがマッピングされて、フレーム421が作成される。フレーム412のパラメータがマッピングされて、フレーム422が作成される。以前のデータ組のパラメータを新たなデータ組にマッピングする過程は、両方のデータ組において同じ手術経路が作成されるように反復されることがある。
【0035】
工程550では、第1のデータ組の手術経路と第2のデータ組の手術経路を表示ユニット150及び160などの空間表示ユニット上に表示させることがある。例えば、第1のデータ組が手術前の履歴データ組であれば、履歴データ組の手術経路は手術前の患者の状態を表している。ユーザは履歴データ組の手術経路を目下のデータ組にマッピングさせ、これにより履歴データ組と目下のデータ組が実質的に同じ手術経路を有するようにさせることがある。したがってユーザは、手術前及び手術後で手術経路に沿って解剖学的構造を比較することができる。
【0036】
上述したシステム及び方法は、コンピュータ向けの命令組を含んだコンピュータ読み取り可能記憶媒体の一部として実現することができる。この命令組は、表示ユニット上に表示させた3次元画像の表示パラメータに対する操作(関心点の選択を含む)を行うための操作ルーチンを含む。この命令組はさらに、3次元画像の表示パラメータを記録しかつ2次元画像を手術経路内のフレームとして記録するための記録ルーチンを含む。この命令組はさらに、手術経路が所望の長さになるまで操作ルーチン及び記録ルーチンを反復するための反復ルーチンを含む。この命令組はさらに、第1のデータ組からの手術経路の表示パラメータを第2のデータ組にマッピングするためのマッピング・ルーチンを含む。この命令組はさらに、第1のデータ組の手術経路及び第2のデータ組の手術経路を表示するための表示ルーチンを含む。
【0037】
本発明についてある種の実施形態を参照しながら記載してきたが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変更が実施される得ること並びに等価物による代替がなされ得ることを理解されよう。さらに、本発明の範囲を逸脱することなく、具体的な状況や材料を本発明の教示に適応させるように多くの修正を実施することができる。したがって、開示したこれら具体的な実施形態に本発明を限定しようと意図しておらず、むしろ本発明は、添付の特許請求の範囲の趣旨域内に属するすべての実施形態を含むように意図している。また、図面の符号に対応する特許請求の範囲中の符号は、単に本願発明の理解をより容易にするために用いられているものであり、本願発明の範囲を狭める意図で用いられたものではない。そして、本願の特許請求の範囲に記載した事項は、明細書に組み込まれ、明細書の記載事項の一部となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態で使用できるシステムの一例を表した図である。
【図2】本発明の一実施形態による、図1に示すような表示ユニットなどの表示ユニット上に表示させ得る複数の2次元画像を表した図である。
【図3】本発明の一実施形態に従った3次元画像の2次元空間に対するマッピングを表した図である。
【図4】本発明の一実施形態として手術経路の計画及び吟味の利用を表した図である。
【図5】2次元画像及び3次元画像を利用して手術経路を吟味するための本発明の一実施形態による方法を表した図である。
【符号の説明】
【0039】
100 システム
110 コンピュータ・ユニット
120 2次元表示ユニット
130 2次元表示ユニット
140 2次元表示ユニット
150 3次元空間表示ユニット
160 3次元空間表示ユニット
200 複数の2次元画像
210 アキシャル像
220 サジタル像
230 コロナル像
240 斜方向像
300 マッピング
310 3次元モデル
320 ユーザの視野域
330 関心点
400 実施形態
410 3次元モデル
420 3次元モデル
411〜417 フレーム
421〜427 フレーム
500 方法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ向けに3次元データを構成するための表示プロトコルを動作させるコンピュータ・ソフトウエアを有している、3次元データを操作するためのコンピュータ・ユニット(110)と、
第1の3次元データ組を表示するための少なくとも第1の空間3次元表示ユニット(150)と、
を備える医用診断撮像システム(100)。
【請求項2】
画像蓄積伝送システムであるとした請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
さらに、第2の3次元データ組を表示するための第2の空間3次元表示ユニット(160)を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記第1の3次元データ組を前記第2の3次元データ組とリンクさせている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
さらに、少なくとも1つの2次元データ組を表示するための第1の2次元表示ユニット(120)を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1の3次元データ組と前記第1の2次元データ組とがリンクされている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
さらに、1つの2次元データ組を表示するための第1の2次元表示ユニット(120)と、1つの2次元データ組を表示するための第2の2次元表示ユニット(130)と、1つの2次元データ組を表示するための第3の2次元表示ユニット(140)と、を含む請求項3に記載のシステム。
【請求項8】
医用画像を用いて手術経路を吟味するための方法(500)であって、
空間表示ユニット上に表示された第1の3次元データ組の表示パラメータを操作する工程(510)と、
前記第1の3次元データ組の表示パラメータを記録し、かつ対応する2次元画像を手術経路内のフレームとして記録する工程(520)と、
前記手術経路がユーザの決定した所望の持続時間になるまで前記操作工程及び記録工程を反復する工程(530)と、
前記第1の3次元データ組の表示パラメータを第2の3次元データ組にマッピングする工程(540)と、
第1のデータ組の手術経路及び第2のデータの手術経路を空間表示ユニット上に表示する工程(550)と、
を含む方法。
【請求項9】
前記第1のデータ組の手術経路を第2のデータ組の手術経路とリンクさせている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
コンピュータ向けの命令の組を含んだコンピュータ読み取り可能記憶媒体であって、該命令組が、
空間表示ユニット上に表示された第1の3次元データ組の表示パラメータを操作するための操作ルーチンと、
前記第1の3次元データ組の表示パラメータを記録し、かつ対応する2次元画像を手術経路内のフレームとして記録するための記録ルーチンと、
前記手術経路がユーザの決定した所望の持続時間になるまで前記操作工程及び記録工程を反復するための反復ルーチンと、
前記第1の3次元データ組の表示パラメータを第2の3次元データ組にマッピングするためのマッピング・ルーチンと、
第1のデータ組の手術経路及び第2のデータ組の手術経路を空間表示ユニット上に表示するための表示ルーチンと、
を含んでいる、コンピュータ読み取り可能記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−130461(P2007−130461A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297783(P2006−297783)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】