3次元映像表示装置
【課題】
3次元映像表示のために映像表示装置に格別な機構や改造を施すことなく、映像表示装置の画面に表示される映像を3次元映像として表示する、コンパクトな構造の3次元映像表示装置を提供する。
【解決手段】
映像表示装置の画面に表示される映像を、ミラー装置を用いて3次元に表示する3次元映像表示装置は、映像表示装置を装着する本体ケースと、本体ケースの後部に回転可能に軸支されたミラー装置を有する。ミラー装置には、奥行き方向へ所定間隔で平行に複数のミラーが回転可能に支持され、3次元映像の観賞時には、ミラー装置は軸を中心にして本体ケースにから開放される方向へ回転して、複数のミラーが映像表示装置の画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して支持されて、画面に表示される映像を反射する。
3次元映像表示のために映像表示装置に格別な機構や改造を施すことなく、映像表示装置の画面に表示される映像を3次元映像として表示する、コンパクトな構造の3次元映像表示装置を提供する。
【解決手段】
映像表示装置の画面に表示される映像を、ミラー装置を用いて3次元に表示する3次元映像表示装置は、映像表示装置を装着する本体ケースと、本体ケースの後部に回転可能に軸支されたミラー装置を有する。ミラー装置には、奥行き方向へ所定間隔で平行に複数のミラーが回転可能に支持され、3次元映像の観賞時には、ミラー装置は軸を中心にして本体ケースにから開放される方向へ回転して、複数のミラーが映像表示装置の画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して支持されて、画面に表示される映像を反射する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元表示装置に関し、特に、映像表示装置に表示される映像を、ミラーを用いて3次元映像として表示する3次元映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3次元映像表示装置として、映像表示装置に複数のハーフミラーから構成されるミラー組立体を配置した3次元映像表示装置が知られている。例えば、特許文献1や特許文献2には、2次元映像表示装置に表示された映像からハーフミラーによって生成された虚像を観賞者から見て奥行き位置の異なる複数の表示面に同時に表示することで立体映像を生成する3次元映像表示装置が開示されている。例えば、特許文献1に記載の3次元表示装置は本発明者が提案したものであり、この3次元表示装置は複数のハーフミーらの高さを観賞者に近いほど高く、奥行き方向行くに従って低く形成することにより、映像領域を生成させ視認できる範囲を広げている。
【0003】
このように2次元映像装置に複数のハーフミラーを配置して平面的な虚像を奥行き方向に重ねて見せる立体映像は、芝居の舞台で使われる書割のような立体映像であるが、特殊な眼鏡を必要としない。また立体視の生理的要因においても、通常の立体を見るのとまったく同じ、輻輳、ピント調節、両眼視差、運動視差のすべての要因を使っているため、両眼視差や輻輳などの一部の要因だけで見る立体映像装置のような眼の疲れがない。
【0004】
また、最近では、特許文献3や特許文献4に記載のように、携帯電話や携帯ゲーム装置等の表示器を有する携帯端末に2次元表示及び3次元表示の機能を搭載することが提唱されている。即ち、特許文献3に記載の技術は、携帯電話等にレンチキュラ方式による3次元表示画面を持つ表示器を反転可能に保持する機構を備える。また、特許文献4に記載の技術は、内蔵するハーフミラーや凹面鏡等からなる立体表示部材に投影して携帯電話の立体画像表示窓を介して空間に浮かんでいるように虚像の立体映像として表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−20564号公報
【特許文献2】特開2009−53539号公報
【特許文献3】特開2002−372929号公報
【特許文献4】特開2010−141447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載の技術によれば、レンチキュラ方式による3次元表示画面を持つ表示器を反転可能に保持する機構が必須となる。しかし、ある通信キャリアの携帯電話を使用しているユーザは、必ずしもこの種の3次元表示機能を必要とするとは限らず、その結果3次元表示機能を搭載したコスト的に高価な携帯電話を購入させられることになる。
【0007】
また、特許文献4に記載の技術によれば、携帯電話にハーフミラーや凹面鏡等からなる立体表示装置を備えることが必須となる。そのため、特許文献3の技術の場合と同様に、携帯電話に3次元表示のための格別な機構が必要となるので、コスト高となる。
また、特許文献3及び4の技術は、携帯電話に格別な機構を要するので、例えば通信キャリア会社で一般に普及している携帯電話に一律にこの3次元表示機能を採用することは実際的に困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、3次元映像表示のために映像表示装置に格別な機構や改造を施すことなく、映像表示装置の画面に表示される映像を3次元映像として表示する3次元映像表示装置を提供することにある。
本発明はまた、映像を反射する複数のミラーを回転して畳んで収納することで、コンパクトな構造の3次元映像表示装置を提供することにある。
本発明はまた、幅や厚さなどの大きさの異なる映像表示装置を受け入れることができる3次元映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る3次元映像表示装置は、好ましくは、映像表示装置の画面に表示される映像を、複数のミラーを用いて3次元に表示する3次元映像表示装置において、
該映像表示装置を装着する本体ケースと、
該本体ケースの後部に回転可能に軸支されたミラーケースと、該ミラーケースの奥に向かって、所定間隔で平行に回転可能に該ミラーケースに搭載された複数のミラーとを備えたミラー装置を有し、
3次元映像を観賞する場合、該ミラーケースは軸を中心に回転して、該複数のミラーの先端部が略同じ平面を形成するように、該複数のミラーが該画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して支持された状態で、該画面に表示される映像を反射し、
該本体ケースから該映像表示装置を外した状態で、該ミラーケースは軸を中心にして該本体ケースと閉じる方向へ回転して、該複数のミラーは回転して内部に畳まれた状態で収納されることを特徴とする3次元映像表示装置として構成される。
【0010】
好ましい例では、前記複数のミラーはそれぞれ四辺形のミラーフレームに装着され、
前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、前記ミラーケースは、該軸を中心に回転して該複数のミラーフレームの先端が該映像表示装置の画面と接触した状態で支持され、この状態で該画面に表示される映像を観賞者の方向へ反射する。
【0011】
また、好ましくは、前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、
軸を中心に前記ミラーケースを回転して、該画面に対して該複数のミラーが所定角度傾斜して支持された状態で該画面に表示される映像を反射する第1の位置と、
該軸を中心に前記ミラーケースを後方へ回転させて、該複数のミラーを該映像表示装置の画面から離して、該映像表示装置の画面に表示される映像を観賞できる第2の位置との間で、該ミラーケースを回転可能とする。
【0012】
また、好ましくは、前記複数の四辺形のミラーの高さを規定する辺は、奥に行くにつれて短くなるように形成され、
前記複数のミラーは、前方側に配置され、軸を中心に該ミラーケースに対して回転可能な第1および第2のハーフミラーと、
該第1および第2のハーフミラーの後方に配置され、該ミラーケースに固定された1枚のフルミラーを含む。
【0013】
また、好ましくは、前記ミラーケース及び前記ミラーフレーム及び前記本体ケースは合成樹脂性である。
【0014】
また、好ましくは、前記本体ケースは、その周囲を囲むフランジと、該フランジに囲まれた内側にあって、該映像表示装置を収容する収容部を備える。
【0015】
また、好ましくは、前記本体ケースは、その奥部の両側に配置された1対の軟質部材を備え、装着される該映像表示装置の側部を該軟質部材によって保持する。
【0016】
また、好ましくは、前記本体ケースは、その奥部に、該映像表示装置の先頭部が挿入されるソケット部と、該ソケット部内の底部にあって、挿入された該映像表示装置の底部を上方向へ押圧する板バネを備える。
【0017】
また、好ましくは、3次元映像を観賞する時に前記ミラーケースの後端に設けられた前記軸と、前記複数のミラーフレームの先端部は同一平面上にあり、
前記本体ケースの後端には、該ミラーケースの軸と係合する軸受けが設けられ、該本体ケースの前記ソケット部内の上部が形成する基準面は該軸受けと同一平面上にあり、
該映像表示装置を該本体ソケットに装着したときに、該本体ケースの該板バネ部の押圧によって、該映像表示装置の画面が該基準面と接触し、
該映像表示装置の厚さの違いによる傾斜に拘わらず、前記複数のミラーフレームが該画面に位置付けされる。
【0018】
また、好ましくは、前記ミラーケースの前端にはフックが設けられ、かつ前記本体ケースの該フランジの前部にはフック穴が設けられ、
該ミラーケースが回転して該本体ケースに閉じられたとき、該フックと該フック穴が係合して、該ミラーケースと該本体ケースを合体した状態を保持する。
【0019】
また、好ましくは、前記本体ケースは、映像を表示する画面を有する携帯可能な映像表示装置を装着する。
【0020】
また、好ましくは、前記本体ケース及び前記ミラーケースはそれぞれ箱型形状を成し、前記ミラーケースが前記本体ケースに閉じて合体した状態で、両者は1つの箱型形状となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の3次元映像表示装置によれば、映像表示装置を簡単に装着することができ、従来のような特殊な眼鏡をかけることなく、3次元映像を容易に観賞することができる。また、映像表示装置を格別に改造することなく、一般に実用化されている映像表示装置をそのまま用いて3次元映像の表示を行うことが可能である。
また、ミラー装置を本体ケースに対して回転可能とし、かつ映像を反射する複数のミラーを回転して畳んでミラー装置内に収納することで、コンパクトな構造となり、持ち運びに便利である。
更に、幅又は高さ等の大きさの異なる複数の映像表示装置を受け入れることができ、3次元映像を観賞できる表示装置の機種が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態における3次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図。
【図2】一実施形態における映像表示装置の画面で2次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図。
【図3】一実施形態におけるミラー装置の分解斜視図。
【図4】一実施形態におけるミラー装置を閉じた状態の3次元映像表示装置の斜視図。
【図5】一実施形態におけるミラー装置の斜視図。
【図6】一実施形態における本体ケースを上方から見た斜視図。
【図7】一実施形態における本体ケースを底面から見た斜視図。
【図8】一実施形態におけるミラー装置の側断面図。
【図9】一実施形態における本体ケースの三方向から見た断面図。
【図10】一実施形態における3次元映像が観賞できる状態における3次元映像表示装置の三方向から見た断面図。
【図11】一実施形態における3次元映像が観賞できる状態における3次元映像表示装置の三方向から見た断面図。
【図12】一実施形態におけるミラーを折畳んだ状態の3次元映像表示装置の側断面図。
【図13】3次元映像表示装置の原理を示す斜視図。
【図14】3次元映像表示装置の原理を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図13および図14は、一実施形態に係る3次元映像表示装置の原理を示す斜視図および側面図である。これらの図において、3次元映像表示装置は主に、2次元映像表示装置60と、2次元映像表示装置60の上側に配置されるミラー装置90により構成される。ミラー装置90は主に、複数のミラー即ち2枚の平板のハーフミラー91,92と、1枚の平板のフルミラー93により構成される。なお、図13および図14は3次元映像表示装置の原理を示すものであり、ハーフミラー91,92とフルミラー93の配置関係だけが示され、これらのミラーを所定の位置に固定するための構成要素は示されていない。
【0024】
図14に示すように、ハーフミラー91,92とフルミラー93とは、2次元映像表示面61に対して所定間隔に、かつ観賞者側(前方)に向けて所定角度に傾斜させて配置される。本実施例では「フルミラー」とは、反射率が100%〜80%の鏡を指す。また「ミラー」は、ハーフミラーとフルミラーとを含む。
【0025】
ハーフミラー91,92およびフルミラー93は観賞者200の側に約45°傾斜させて配置することが好ましい。また、複数のミラー91,92,93の上端の高さは奥に行くにつれて低くなるように、観賞者側のミラー91の高さが高く、奥に行くにつれてその高さが低くなるように設定されている。ハーフミラー91,92とフルミラー93は、2次元映像表示装置60の画面61の映像領域61a,61b,61cに表示された映像を反射し、虚像91a,92a,93aを生成する。而して、ハーフミラー91の下の映像領域61aの虚像91a、ハーフミラー92の下の映像領域61bの虚像92a、フルミラー93の下の映像領域61cの虚像93aが観賞者200の視線方向201の奥行き位置に重なって見え、立体映像として見える。
【0026】
この実施形態においては、観賞者200からみて最も手前のハーフミラー91の可視光の透過率:反射率を67:33〜60:40の範囲とし、次のハーフミラー92の可視光の透過率:反射率を50:50〜55:45とし、最も奥のフルミラー93の可視光の反射率を100%〜80%とすることで、観賞者からはすべての虚像91a,91b,91cがほぼ同じ明るさに見え、室内で照明を点けた状態でも十分な明るさの映像が得られる。
【0027】
なお、ミラー装置を構成する各ミラーの透過率:反射率の好ましい組み合わせとしては、ハーフミラー91が67:33、ハーフミラー92が50:50、フルミラー93の反射率が100%としてもよい。これはフルミラー93の反射性能が高い場合を想定している。
また別の好ましい組み合わせは、ハーフミラー91が69:31、ハーフミラー92が55:45、フルミラー93の反射率が80%である。これはフルミラー83の反射性能がやや劣った場合を想定している。
【0028】
さらに別の好ましい組み合わせは、ハーフミラー91が60:40、ハーフミラー92が50:50、フルミラー93の反射率が80%である。上記2つの組合せは理論的な計算に基づく値であるが、この値は実験的に得られた値である。
【0029】
この場合のゴーストを軽減するために、ハーフミラー91,92およびフルミラー93の反射物質のコーティング面は観賞者200の側になるように配置する。ハーフミラー91,92、フルミラー93の材質は透明なガラスが好ましい。また反射物質は誘電体多層膜コートによることが好ましい。
【0030】
2次元映像表示装置60は、薄型テレビや携帯電話、スマートフォンなどに用いられる、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイなどを示すが、ディスプレイ部分を含んだ薄型テレビ全体、携帯電話、スマートフォン、携帯ゲームプレーヤー、タッチ式タブレット、等の表示器を有する携帯装置を含む。
【0031】
次に、図1以降を参照しながら、3次元映像表示装置の具体的な構成例について説明する。なお、ハーフミラーやフルミラーの基本的な寸法比等は図13乃至図14と同じである。
【0032】
図1は、3次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図、図2はミラー装置を開いた状態における2次元映像表示装置の画面で2次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図、図3はミラー装置の分解斜視図、図4は、ミラー装置を閉じた状態の3次元映像表示装置の斜視図、図5はミラー装置の斜視図を示す。
【0033】
図4に示すように、3次元映像表示装置は、ミラー装置90と本体ケース3から構成される。図1に示すように本体ケース3は略箱型であり、その中に2次元映像表示装置70が収容される。2次元映像表示装置70は例えばスマートフォンである。ミラー装置90は、複数のミラー(本例では3枚ミラー)が奥行き方向に所定の間隔で平行に配列して実装される、略箱型のミラーケース2を備え、このミラーケース2、その軸2kが本体ケース3の後端部の軸受け3k(図6、図7参照)に支持されて回転可能である。図2はミラーケース2を回転させて、本体ケース3から完全に開いた状態を示す。また、図4に示すように、ミラーケース2が本体ケース3に閉じた状態では、3次元映像表示装置は1つの箱型となるので、コンパクトとなり、バッグへの収納や持ち運びが容易で便利となる。
【0034】
図1ないし図6に示すように、本体ケース3はその周囲をフランジ(高さの低い側壁)3iで囲い、中央にはフランジ3iによって囲まれた収容部3mが設けられる。この収容部3mに、2次元映像を表示する画面71を備えた2次元映像表示装置70が、着脱自在に装着される。手前の左右には、2次元映像表示装置70が手前側に移動して脱落することを防止するための、1対のガイド壁3bが設けられる。なお、本体ケース3の詳細は、図6〜図7を参照して後述する。
【0035】
次に、ミラー装置90の構成について詳しく説明する。
図2を参照するに、ミラーケース2には、前方から順に2枚のハーフミラー11、12及び1枚のフルミラー13が実装される。2枚の四辺形のハーフミラー11、12は四辺形のミラーフレーム21、22にはめ込むようにして取り付けられ、四辺形のフルミラー13は同じく四辺形のミラーフレーム23に取り付けられる。複数のミラー11,12,13の四辺形状の幅(図示の例では長辺)は同じであるが、他の一辺(短辺)は奥に行く(鑑賞者から遠く)につれて、短くなる。ここで、ミラーケース2と、ミラーフレーム21,22,23はいずれも弾性のある合成樹脂、例えばABS、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの材料で形成するのが好ましい。
【0036】
次に、図3の分解斜視図を参照して、ミラー装置90の組立て構造について説明する。
ハーフミラー11,12はそれぞれミラーフレーム21,22にはめ込まれ、フルミラー13はミラーケース2の一部を形成するミラーフレーム23にはめ込まれて取り付けられる。ミラーフレーム21にはそれぞれ一対の軸21aがある。片方の軸21aにねじりコイルバネ41を係合した状態で、ミラーケース2に設けられた1対の軸受け部2aに取り付けられる。ハーフミラー12をはめ込んだミラーフレーム22も同様に、ねじりコイルバネ42を係合した状態で、ミラーケース2に設けられた1対の軸受け部2bに取り付けられる。なお、軸受け部2a,2bは弾性のある合成樹脂で形成されているので、ある程度の変形が可能であり、ミラーフレーム21,22の軸21a,22aをはめ込むことが可能である。
【0037】
このようにして、ハーフミラー11,12を取り付けたミラーフレーム21,22は、ねじりコイルバネ41,42の作用力によってミラーフレーム21,22を軸21a,22aを中心にして開放する方向に回転させる力が働き、ミラーフレームの先端21d,22dを2次元映像表示装置の画面71の表面に密着させる(詳しくは図8、図10を参照)。一方、フルミラー13を取り付けたミラーフレーム23はミラーケース2と一体成型されていて、回転はしない。この状態で、ミラーフレーム23の先端2dは、ミラーフレームの先端21d,22dと同じように、画面71に接する面(図8のS)を形成する。
【0038】
図5は、ミラー装置90の組立が完成した状態の斜視図を示す。
ミラーケース2の後端には1対の軸2kが設けられ、この軸2kが本体ケース3に設けられた1対の軸受け3kに係合して、ミラー装置90と本体ケース3が合体した組立体を構成する。ミラー装置90乃至ミラーケース2は、本体ケース3に対して軸2kを中心にして回転可能である。
【0039】
図1は、2次元映像表示装置70を本体ケース3の収容部3mに収容した状態で、2次元映像表示装置70の画面71に表示された2次元映像を、ミラー21〜23で反射させて、観賞者に3次元映像を表示する状態を示す。また、図2は、同じく2次元映像表示装置70を本体ケース3の収容部3mに収容した状態であって、ミラー装置90を回転させて画面71を開放させた状態で、2次元映像表示装置70の画面71に表示される通常の2次元映像を観賞することができる状態を示す。この状態では3次元映像は観賞できない。なお、スマートフォンのような画面71がタッチパネルの機能を備えている場合は、2次元映像を観賞中にも指などで画面71を自在に触ることができる。
【0040】
図8はミラー装置の側断面図である。
図8を参照して、ミラーフレーム21,22の動作、作用について説明する。
ミラーフレーム21は、軸21aを中心軸として一定の範囲で回転可能な状態にある。しかし、ねじりコイルバネ41の力によってミラーフレーム21に回転力が加わり、端部21bがストッパー2eに接する状態にある。この状態では、ミラーフレーム21に何も力を加えない場合は、ミラーフレーム21はミラーケース2に対してこの位置を維持し続ける。またミラーフレーム21に一定以上の力を加えられると(即ちミラーケースを本体ケース3に閉じるとき)、ねじりコイルバネ41の反発力が負けて、ミラーフレーム21は端部21dの部分がミラーケース2にむけて回動する。
【0041】
ミラーフレーム22も、ミラーフレーム21と同様の状態にある。ただしミラーフレーム22の場合は、端部22bがミラーケース2の底面2gに接する状態にある。ミラーフレーム22も一定以上の力が加えられると、端部22dの部分がミラーケース2に向けて回動する。なお、ねじりコイルバネ41,42は軸21a,22a以外の箇所に係合させてもよい。
【0042】
図8の状態で、ミラーフレーム21の端部21d、ミラーフレーム22の端部22d、およびミラーフレーム23の端部2dは同一平面S(即ち画面71)にある。さらに、ミラーケース2の一対の軸2kの中心も同一平面S上にある。また、ハーフミラー11,12およびフルミラー13の反射面は平面Sに対して45°を維持して並行状態になっている。
【0043】
ミラーフレーム21の端部21dが、ハーフミラー11の反射面に対して45°の角度となっている理由は、端部21dが2次元映像表示装置70の画面71に接触した際に、2次元映像表示装置70の画面71に対してできるだけ広い面積で接することで、画面71をガラス製のハーフミラー21が傷付けないためである。
【0044】
図6及び図7、図9を参照して、本体ケース3の構成について詳しく説明する。
本体ケース3の奥部には、2次元映像表示装置70の先頭部が挿入されるソケット部3eが設けられ、更にソケット部3eの対向する本体ケース3の底部には、その一部が切り欠かれて、ソケット部3eの内部に曲げて延伸した板バネ部3aが設けられる。これらの構成部位は、本体ケース3と一体形成された合成樹脂製である。
【0045】
ソケット部3eの内部の左右には、例えばスポンジやゴム等から成る一対の軟質部材51が配設される。図9に軟質部材51の配設位置を示す。なお、図9の(A)は縦断面図、(B)は、平面図、(C)は横断面図である。ソケット部3eの内部に一対の軟質部材51を配設する理由は、幅の異なる複数種の2次元映像表示装置70を受け入れて、この軟質部材51でその幅の違いを吸収するためである。
【0046】
図9(A)に示すように、本体ケース3の底部に板バネ部3aを設ける理由は、板バネ部3aと本体ケース3のソケット部3eの内側との間に、高さ異なる複数種の2次元映像表示装置70を受け入れて、この板バネ部3aの弾性力によって画面71が基準面3gに常に接した状態になる。また、板バネ3aの圧力によって、2次元映像表示装置70がソケット部3eから容易に抜けないように、それを保持している。
【0047】
本体ケース3の後端部には、ミラー装置90の軸2kを回転自在に取り付けるための軸受け3kが設けられる。図9(A)に示すように、軸受3kは基準面3gと同一平面R上にある。また、図8の各ミラーフレームの端部21d,22d,2dおよび軸2kは同一平面S上にある。本体ケース3に対してミラー装置90が軸2kを中心に回転するとき、この平面Sも同時に回転し、図10(A)に示すように平面Rと平面Sとが合致する。2次元映像表示装置70の画面71は基準面3gに接しているため、各ミラーフレームの端部21d,22d,2dが画面71に密着することになる。このように、ハーフミラー11,12とフルミラー13が画面71に対して高い精度で位置付けられた状態で、観賞者に3次元映像を表示することができる。
【0048】
図10は、本体ケース3に2次元映像表示装置70を収容して、ミラー装置90を用いて3次元映像が観賞できる状態における3次元映像表示装置の三方向から見た断面図である。
本体ケース3のソケット部3eに2次元映像表示装置70を挿入すると、一対の軟質部材51は2次元映像表示装置70の幅形状に合わせて収縮し、一定の圧力で2次元映像表示装置70を押さえつける。軟質部材51には一定の摩擦があるので、本体ケース3のソケット部3eから2次元映像表示装置70が容易に抜けることを防止する。
【0049】
また、本体ケース3の手前に設けられた一対の略L字型の壁3b(図9乃至図10)にっよって、2次元映像表示装置70が本体ケース3から容易に抜けることを防止している。ここで、壁3bは、2次元映像表示装置70幅及び長さよりも若干大きいサイズを許容する位置に設置されている。
【0050】
図10(A)、(C)において、本体ケース3の板バネ3aは一定の圧力で2次元映像表示装置70を基準面3gに対して押し付けており、画面71の端部は常に基準面3gと接触した状態にある。
【0051】
また、図10(A)に示すように、3つのミラーフレーム21,22,23が、3次元映像を表示する状態にあるときでも、ミラーフレーム23とミラーケース2は一体形成され、端部2dと、軸2kと、ミラーフレーム23とミラーケース2の合体した頂点P(角度βを維持して)は3点支持の状態にあり、強固であるので、ミラーケース2は並行配置状態にあるミラーフレーム21,22に対して外力を伝えない状態にある。このため、ミラーケース2の外部から外力が加わったとしても、並行配置状態で3次元映像の表示状態にあるミラーフレーム21,22が折り畳まれることが防止できる。
【0052】
図11は、図10に示した2次元映像表示装置70と異なる大きさの2次元映像表示装置80を、本体ケース3に装着した場合を示す。
図10の2次元映像表示装置70の各寸法Ws1、Ds1、Ts1と比べて、図11の2次元映像表示装置80の各寸法Ws2、Ds2、Ts2は全て若干小さい例である。図11(B),(C)に示すように、軟質部材51は2次元映像表示装置80をその幅方向から十分な圧力で保持している。また、本体ケース3の板バネ3aは一定の圧力で2次元映像表示装置80を基準面3gに対して押し付けており、画面81の端部は常に基準面3gと接触した状態になる。軟質部材51には一定の摩擦があるため、本体ケース3のソケット部3eから2次元映像表示装置80は容易に抜けることを防止している。
【0053】
また、図9及び図10に示す、一対の略L字型の壁3cによって、2次元映像表示装置80が本体ケース3から容易に抜けることを防止している。なお壁3cは2次元映像表示装置80よりも若干大きいサイズを許容する位置に設置されている。更にガイド壁3bと壁3cには段差があるため、大きさの異なる2種類の2次元映像表示装置70、80の両方を受け入れることができる。
【0054】
図10(A)の例では、本体ケース3の底部3hと画面71は平行であったが、図11(A)の例では、2次元映像表示装置80の厚さTs2が薄いため、画面81は底部3hとわずかな角度θを成している。
【0055】
図11のように、画面81が底部3hに対してわずかな角度θを成していても、ミラーフレーム21,22の端部21d、22d、ミラーフレーム23のケース端部2d、ミラーケース2の軸2kは同一平面上にあり、画面81が基準面3gとほぼ接しているため、軸受け3kは画面81上にある。このように、端部21d、22d、および端部2dが形成する平面S(図8)は画面81と同一面にあることになり、ハーフミラー11,12およびフルミラー13が画面81に対して高い精度で所定の位置に配置されることになる。
【0056】
このように本実施例によれば、軟質部材51、板バネ3a、略L字形の壁3b,3cによって大きさの異なる2次元映像表示装置を、本体ケース3に収容して装着することができるので、複数の2次元映像表示装置の機種に対応できる。また、2次元映像表示装置がスマートフォンである場合、ジャケットなどと呼ばれる専用ケースを常時装着していることが一般的である。専用ケースには一定の厚さがあるため、これを装着すると2次元映像表示装置のサイズは大きくなる。しかし、本実施例によれば、大きさの異なる2次元映像表示装置に対応できるため、同一機種においても専用ケースを装着した場合と、装着しない場合の両形態の2次元映像表示装置にも対応できる。
【0057】
また、ミラーフレーム21,22の端部21d、22d、ミラーフレーム23の端部2d、軸2k、本体ケース3の基準面3g、軸受け3kのそれぞれの配置を工夫することにより、2次元映像表示面が本体ケース底面3hに対して角度θの範囲で少々傾いて装着しても、ミラーを所定の位置に配置することが可能である。
【0058】
2次元映像表示装置70を3次元映像表示装置から取り外すときには、図2のように、ミラー装置90を回転させて、本体ケース3から開放状態にする。そして、2次元映像表示装置70を収容部3mから取り出す。この場合、本体ケース3のフランジ3iの高さは、複数種の2次元映像表示装置70,80の高さよりも低く設計されており、2次元映像表示装置70の側面70aはフランジ3iから露出している。このため、側面70aを指でつかんで、本体ケース3から2次元映像表示装置70を簡単に取り外すことができる。大きさが異なる2次元映像表示装置80の場合でも同様である。
【0059】
次に、図12を参照して、3枚のミラーを折畳んだ場合の3次元映像表示装置について説明する。ミラーフレーム21、22は、それぞれ軸21a,22a,を中心にミラーケース2の内側に回動して折り重なる。ミラーフレーム21、22が折畳まれると、ミラーケース2と本体ケース3の間に収まる。ねじりコイルバネ41,42は反発して、ミラーフレーム21,22がミラーケース2を開けようとするが、フック2fとフック穴3fが係合して両者が連結する状態を保持するため、ミラーフレーム21、22が折り畳まれた状態で安定している。
ミラーケース2乃至ミラー装置90を閉じた状態では、図8乃至図4に示すように、3次元映像表示装置は厚さが薄く、周囲に突起物も無い1つの箱形状となるので、コンパクトで携帯に適した状態となる。
【0060】
一方、ミラーケース2乃至ミラー装置90を開けるときには、ミラーケース2のフックポイント2iの部分を押すことで、フック2fが外れて、ミラーケース2を開けることができる。この時、コイルバネの41,42の反発力で、ミラーフレーム21,22は自動的に回動して、図8乃至図1に示す、所定の位置に戻る。このように、ミラーケース2を閉じた状態から、図1に示すような3次元映像を観賞する状態に、簡単な操作で行うことができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、種々変形して実施し得る。
例えば、上記実施形態では、2枚のハーフミラーとその後部に1枚のフルミラーの合計3枚のミラーを配置した例であるが、これに限らず、3枚以上のハーフミラーを配置する例でもよい。
【符号の説明】
【0062】
2:ミラーケース 21,22,23:ミラーフレーム 21d,22d,2d:端部 3:本体ケース 3m:収容部 41,42:ねじりコイルバネ 51:軟質部材
60,70,80:2次元映像表示装置 61,71,81:画面 90:ミラー装置
91,92,11,12:ハーフミラー 93,13:フルミラー 91a,92a,93a:虚像
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元表示装置に関し、特に、映像表示装置に表示される映像を、ミラーを用いて3次元映像として表示する3次元映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の3次元映像表示装置として、映像表示装置に複数のハーフミラーから構成されるミラー組立体を配置した3次元映像表示装置が知られている。例えば、特許文献1や特許文献2には、2次元映像表示装置に表示された映像からハーフミラーによって生成された虚像を観賞者から見て奥行き位置の異なる複数の表示面に同時に表示することで立体映像を生成する3次元映像表示装置が開示されている。例えば、特許文献1に記載の3次元表示装置は本発明者が提案したものであり、この3次元表示装置は複数のハーフミーらの高さを観賞者に近いほど高く、奥行き方向行くに従って低く形成することにより、映像領域を生成させ視認できる範囲を広げている。
【0003】
このように2次元映像装置に複数のハーフミラーを配置して平面的な虚像を奥行き方向に重ねて見せる立体映像は、芝居の舞台で使われる書割のような立体映像であるが、特殊な眼鏡を必要としない。また立体視の生理的要因においても、通常の立体を見るのとまったく同じ、輻輳、ピント調節、両眼視差、運動視差のすべての要因を使っているため、両眼視差や輻輳などの一部の要因だけで見る立体映像装置のような眼の疲れがない。
【0004】
また、最近では、特許文献3や特許文献4に記載のように、携帯電話や携帯ゲーム装置等の表示器を有する携帯端末に2次元表示及び3次元表示の機能を搭載することが提唱されている。即ち、特許文献3に記載の技術は、携帯電話等にレンチキュラ方式による3次元表示画面を持つ表示器を反転可能に保持する機構を備える。また、特許文献4に記載の技術は、内蔵するハーフミラーや凹面鏡等からなる立体表示部材に投影して携帯電話の立体画像表示窓を介して空間に浮かんでいるように虚像の立体映像として表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−20564号公報
【特許文献2】特開2009−53539号公報
【特許文献3】特開2002−372929号公報
【特許文献4】特開2010−141447号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献3に記載の技術によれば、レンチキュラ方式による3次元表示画面を持つ表示器を反転可能に保持する機構が必須となる。しかし、ある通信キャリアの携帯電話を使用しているユーザは、必ずしもこの種の3次元表示機能を必要とするとは限らず、その結果3次元表示機能を搭載したコスト的に高価な携帯電話を購入させられることになる。
【0007】
また、特許文献4に記載の技術によれば、携帯電話にハーフミラーや凹面鏡等からなる立体表示装置を備えることが必須となる。そのため、特許文献3の技術の場合と同様に、携帯電話に3次元表示のための格別な機構が必要となるので、コスト高となる。
また、特許文献3及び4の技術は、携帯電話に格別な機構を要するので、例えば通信キャリア会社で一般に普及している携帯電話に一律にこの3次元表示機能を採用することは実際的に困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、3次元映像表示のために映像表示装置に格別な機構や改造を施すことなく、映像表示装置の画面に表示される映像を3次元映像として表示する3次元映像表示装置を提供することにある。
本発明はまた、映像を反射する複数のミラーを回転して畳んで収納することで、コンパクトな構造の3次元映像表示装置を提供することにある。
本発明はまた、幅や厚さなどの大きさの異なる映像表示装置を受け入れることができる3次元映像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る3次元映像表示装置は、好ましくは、映像表示装置の画面に表示される映像を、複数のミラーを用いて3次元に表示する3次元映像表示装置において、
該映像表示装置を装着する本体ケースと、
該本体ケースの後部に回転可能に軸支されたミラーケースと、該ミラーケースの奥に向かって、所定間隔で平行に回転可能に該ミラーケースに搭載された複数のミラーとを備えたミラー装置を有し、
3次元映像を観賞する場合、該ミラーケースは軸を中心に回転して、該複数のミラーの先端部が略同じ平面を形成するように、該複数のミラーが該画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して支持された状態で、該画面に表示される映像を反射し、
該本体ケースから該映像表示装置を外した状態で、該ミラーケースは軸を中心にして該本体ケースと閉じる方向へ回転して、該複数のミラーは回転して内部に畳まれた状態で収納されることを特徴とする3次元映像表示装置として構成される。
【0010】
好ましい例では、前記複数のミラーはそれぞれ四辺形のミラーフレームに装着され、
前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、前記ミラーケースは、該軸を中心に回転して該複数のミラーフレームの先端が該映像表示装置の画面と接触した状態で支持され、この状態で該画面に表示される映像を観賞者の方向へ反射する。
【0011】
また、好ましくは、前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、
軸を中心に前記ミラーケースを回転して、該画面に対して該複数のミラーが所定角度傾斜して支持された状態で該画面に表示される映像を反射する第1の位置と、
該軸を中心に前記ミラーケースを後方へ回転させて、該複数のミラーを該映像表示装置の画面から離して、該映像表示装置の画面に表示される映像を観賞できる第2の位置との間で、該ミラーケースを回転可能とする。
【0012】
また、好ましくは、前記複数の四辺形のミラーの高さを規定する辺は、奥に行くにつれて短くなるように形成され、
前記複数のミラーは、前方側に配置され、軸を中心に該ミラーケースに対して回転可能な第1および第2のハーフミラーと、
該第1および第2のハーフミラーの後方に配置され、該ミラーケースに固定された1枚のフルミラーを含む。
【0013】
また、好ましくは、前記ミラーケース及び前記ミラーフレーム及び前記本体ケースは合成樹脂性である。
【0014】
また、好ましくは、前記本体ケースは、その周囲を囲むフランジと、該フランジに囲まれた内側にあって、該映像表示装置を収容する収容部を備える。
【0015】
また、好ましくは、前記本体ケースは、その奥部の両側に配置された1対の軟質部材を備え、装着される該映像表示装置の側部を該軟質部材によって保持する。
【0016】
また、好ましくは、前記本体ケースは、その奥部に、該映像表示装置の先頭部が挿入されるソケット部と、該ソケット部内の底部にあって、挿入された該映像表示装置の底部を上方向へ押圧する板バネを備える。
【0017】
また、好ましくは、3次元映像を観賞する時に前記ミラーケースの後端に設けられた前記軸と、前記複数のミラーフレームの先端部は同一平面上にあり、
前記本体ケースの後端には、該ミラーケースの軸と係合する軸受けが設けられ、該本体ケースの前記ソケット部内の上部が形成する基準面は該軸受けと同一平面上にあり、
該映像表示装置を該本体ソケットに装着したときに、該本体ケースの該板バネ部の押圧によって、該映像表示装置の画面が該基準面と接触し、
該映像表示装置の厚さの違いによる傾斜に拘わらず、前記複数のミラーフレームが該画面に位置付けされる。
【0018】
また、好ましくは、前記ミラーケースの前端にはフックが設けられ、かつ前記本体ケースの該フランジの前部にはフック穴が設けられ、
該ミラーケースが回転して該本体ケースに閉じられたとき、該フックと該フック穴が係合して、該ミラーケースと該本体ケースを合体した状態を保持する。
【0019】
また、好ましくは、前記本体ケースは、映像を表示する画面を有する携帯可能な映像表示装置を装着する。
【0020】
また、好ましくは、前記本体ケース及び前記ミラーケースはそれぞれ箱型形状を成し、前記ミラーケースが前記本体ケースに閉じて合体した状態で、両者は1つの箱型形状となる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の3次元映像表示装置によれば、映像表示装置を簡単に装着することができ、従来のような特殊な眼鏡をかけることなく、3次元映像を容易に観賞することができる。また、映像表示装置を格別に改造することなく、一般に実用化されている映像表示装置をそのまま用いて3次元映像の表示を行うことが可能である。
また、ミラー装置を本体ケースに対して回転可能とし、かつ映像を反射する複数のミラーを回転して畳んでミラー装置内に収納することで、コンパクトな構造となり、持ち運びに便利である。
更に、幅又は高さ等の大きさの異なる複数の映像表示装置を受け入れることができ、3次元映像を観賞できる表示装置の機種が広がる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】一実施形態における3次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図。
【図2】一実施形態における映像表示装置の画面で2次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図。
【図3】一実施形態におけるミラー装置の分解斜視図。
【図4】一実施形態におけるミラー装置を閉じた状態の3次元映像表示装置の斜視図。
【図5】一実施形態におけるミラー装置の斜視図。
【図6】一実施形態における本体ケースを上方から見た斜視図。
【図7】一実施形態における本体ケースを底面から見た斜視図。
【図8】一実施形態におけるミラー装置の側断面図。
【図9】一実施形態における本体ケースの三方向から見た断面図。
【図10】一実施形態における3次元映像が観賞できる状態における3次元映像表示装置の三方向から見た断面図。
【図11】一実施形態における3次元映像が観賞できる状態における3次元映像表示装置の三方向から見た断面図。
【図12】一実施形態におけるミラーを折畳んだ状態の3次元映像表示装置の側断面図。
【図13】3次元映像表示装置の原理を示す斜視図。
【図14】3次元映像表示装置の原理を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図13および図14は、一実施形態に係る3次元映像表示装置の原理を示す斜視図および側面図である。これらの図において、3次元映像表示装置は主に、2次元映像表示装置60と、2次元映像表示装置60の上側に配置されるミラー装置90により構成される。ミラー装置90は主に、複数のミラー即ち2枚の平板のハーフミラー91,92と、1枚の平板のフルミラー93により構成される。なお、図13および図14は3次元映像表示装置の原理を示すものであり、ハーフミラー91,92とフルミラー93の配置関係だけが示され、これらのミラーを所定の位置に固定するための構成要素は示されていない。
【0024】
図14に示すように、ハーフミラー91,92とフルミラー93とは、2次元映像表示面61に対して所定間隔に、かつ観賞者側(前方)に向けて所定角度に傾斜させて配置される。本実施例では「フルミラー」とは、反射率が100%〜80%の鏡を指す。また「ミラー」は、ハーフミラーとフルミラーとを含む。
【0025】
ハーフミラー91,92およびフルミラー93は観賞者200の側に約45°傾斜させて配置することが好ましい。また、複数のミラー91,92,93の上端の高さは奥に行くにつれて低くなるように、観賞者側のミラー91の高さが高く、奥に行くにつれてその高さが低くなるように設定されている。ハーフミラー91,92とフルミラー93は、2次元映像表示装置60の画面61の映像領域61a,61b,61cに表示された映像を反射し、虚像91a,92a,93aを生成する。而して、ハーフミラー91の下の映像領域61aの虚像91a、ハーフミラー92の下の映像領域61bの虚像92a、フルミラー93の下の映像領域61cの虚像93aが観賞者200の視線方向201の奥行き位置に重なって見え、立体映像として見える。
【0026】
この実施形態においては、観賞者200からみて最も手前のハーフミラー91の可視光の透過率:反射率を67:33〜60:40の範囲とし、次のハーフミラー92の可視光の透過率:反射率を50:50〜55:45とし、最も奥のフルミラー93の可視光の反射率を100%〜80%とすることで、観賞者からはすべての虚像91a,91b,91cがほぼ同じ明るさに見え、室内で照明を点けた状態でも十分な明るさの映像が得られる。
【0027】
なお、ミラー装置を構成する各ミラーの透過率:反射率の好ましい組み合わせとしては、ハーフミラー91が67:33、ハーフミラー92が50:50、フルミラー93の反射率が100%としてもよい。これはフルミラー93の反射性能が高い場合を想定している。
また別の好ましい組み合わせは、ハーフミラー91が69:31、ハーフミラー92が55:45、フルミラー93の反射率が80%である。これはフルミラー83の反射性能がやや劣った場合を想定している。
【0028】
さらに別の好ましい組み合わせは、ハーフミラー91が60:40、ハーフミラー92が50:50、フルミラー93の反射率が80%である。上記2つの組合せは理論的な計算に基づく値であるが、この値は実験的に得られた値である。
【0029】
この場合のゴーストを軽減するために、ハーフミラー91,92およびフルミラー93の反射物質のコーティング面は観賞者200の側になるように配置する。ハーフミラー91,92、フルミラー93の材質は透明なガラスが好ましい。また反射物質は誘電体多層膜コートによることが好ましい。
【0030】
2次元映像表示装置60は、薄型テレビや携帯電話、スマートフォンなどに用いられる、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LEDディスプレイ、有機ELディスプレイなどを示すが、ディスプレイ部分を含んだ薄型テレビ全体、携帯電話、スマートフォン、携帯ゲームプレーヤー、タッチ式タブレット、等の表示器を有する携帯装置を含む。
【0031】
次に、図1以降を参照しながら、3次元映像表示装置の具体的な構成例について説明する。なお、ハーフミラーやフルミラーの基本的な寸法比等は図13乃至図14と同じである。
【0032】
図1は、3次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図、図2はミラー装置を開いた状態における2次元映像表示装置の画面で2次元映像が観賞できる状態の3次元映像表示装置の斜視図、図3はミラー装置の分解斜視図、図4は、ミラー装置を閉じた状態の3次元映像表示装置の斜視図、図5はミラー装置の斜視図を示す。
【0033】
図4に示すように、3次元映像表示装置は、ミラー装置90と本体ケース3から構成される。図1に示すように本体ケース3は略箱型であり、その中に2次元映像表示装置70が収容される。2次元映像表示装置70は例えばスマートフォンである。ミラー装置90は、複数のミラー(本例では3枚ミラー)が奥行き方向に所定の間隔で平行に配列して実装される、略箱型のミラーケース2を備え、このミラーケース2、その軸2kが本体ケース3の後端部の軸受け3k(図6、図7参照)に支持されて回転可能である。図2はミラーケース2を回転させて、本体ケース3から完全に開いた状態を示す。また、図4に示すように、ミラーケース2が本体ケース3に閉じた状態では、3次元映像表示装置は1つの箱型となるので、コンパクトとなり、バッグへの収納や持ち運びが容易で便利となる。
【0034】
図1ないし図6に示すように、本体ケース3はその周囲をフランジ(高さの低い側壁)3iで囲い、中央にはフランジ3iによって囲まれた収容部3mが設けられる。この収容部3mに、2次元映像を表示する画面71を備えた2次元映像表示装置70が、着脱自在に装着される。手前の左右には、2次元映像表示装置70が手前側に移動して脱落することを防止するための、1対のガイド壁3bが設けられる。なお、本体ケース3の詳細は、図6〜図7を参照して後述する。
【0035】
次に、ミラー装置90の構成について詳しく説明する。
図2を参照するに、ミラーケース2には、前方から順に2枚のハーフミラー11、12及び1枚のフルミラー13が実装される。2枚の四辺形のハーフミラー11、12は四辺形のミラーフレーム21、22にはめ込むようにして取り付けられ、四辺形のフルミラー13は同じく四辺形のミラーフレーム23に取り付けられる。複数のミラー11,12,13の四辺形状の幅(図示の例では長辺)は同じであるが、他の一辺(短辺)は奥に行く(鑑賞者から遠く)につれて、短くなる。ここで、ミラーケース2と、ミラーフレーム21,22,23はいずれも弾性のある合成樹脂、例えばABS、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの材料で形成するのが好ましい。
【0036】
次に、図3の分解斜視図を参照して、ミラー装置90の組立て構造について説明する。
ハーフミラー11,12はそれぞれミラーフレーム21,22にはめ込まれ、フルミラー13はミラーケース2の一部を形成するミラーフレーム23にはめ込まれて取り付けられる。ミラーフレーム21にはそれぞれ一対の軸21aがある。片方の軸21aにねじりコイルバネ41を係合した状態で、ミラーケース2に設けられた1対の軸受け部2aに取り付けられる。ハーフミラー12をはめ込んだミラーフレーム22も同様に、ねじりコイルバネ42を係合した状態で、ミラーケース2に設けられた1対の軸受け部2bに取り付けられる。なお、軸受け部2a,2bは弾性のある合成樹脂で形成されているので、ある程度の変形が可能であり、ミラーフレーム21,22の軸21a,22aをはめ込むことが可能である。
【0037】
このようにして、ハーフミラー11,12を取り付けたミラーフレーム21,22は、ねじりコイルバネ41,42の作用力によってミラーフレーム21,22を軸21a,22aを中心にして開放する方向に回転させる力が働き、ミラーフレームの先端21d,22dを2次元映像表示装置の画面71の表面に密着させる(詳しくは図8、図10を参照)。一方、フルミラー13を取り付けたミラーフレーム23はミラーケース2と一体成型されていて、回転はしない。この状態で、ミラーフレーム23の先端2dは、ミラーフレームの先端21d,22dと同じように、画面71に接する面(図8のS)を形成する。
【0038】
図5は、ミラー装置90の組立が完成した状態の斜視図を示す。
ミラーケース2の後端には1対の軸2kが設けられ、この軸2kが本体ケース3に設けられた1対の軸受け3kに係合して、ミラー装置90と本体ケース3が合体した組立体を構成する。ミラー装置90乃至ミラーケース2は、本体ケース3に対して軸2kを中心にして回転可能である。
【0039】
図1は、2次元映像表示装置70を本体ケース3の収容部3mに収容した状態で、2次元映像表示装置70の画面71に表示された2次元映像を、ミラー21〜23で反射させて、観賞者に3次元映像を表示する状態を示す。また、図2は、同じく2次元映像表示装置70を本体ケース3の収容部3mに収容した状態であって、ミラー装置90を回転させて画面71を開放させた状態で、2次元映像表示装置70の画面71に表示される通常の2次元映像を観賞することができる状態を示す。この状態では3次元映像は観賞できない。なお、スマートフォンのような画面71がタッチパネルの機能を備えている場合は、2次元映像を観賞中にも指などで画面71を自在に触ることができる。
【0040】
図8はミラー装置の側断面図である。
図8を参照して、ミラーフレーム21,22の動作、作用について説明する。
ミラーフレーム21は、軸21aを中心軸として一定の範囲で回転可能な状態にある。しかし、ねじりコイルバネ41の力によってミラーフレーム21に回転力が加わり、端部21bがストッパー2eに接する状態にある。この状態では、ミラーフレーム21に何も力を加えない場合は、ミラーフレーム21はミラーケース2に対してこの位置を維持し続ける。またミラーフレーム21に一定以上の力を加えられると(即ちミラーケースを本体ケース3に閉じるとき)、ねじりコイルバネ41の反発力が負けて、ミラーフレーム21は端部21dの部分がミラーケース2にむけて回動する。
【0041】
ミラーフレーム22も、ミラーフレーム21と同様の状態にある。ただしミラーフレーム22の場合は、端部22bがミラーケース2の底面2gに接する状態にある。ミラーフレーム22も一定以上の力が加えられると、端部22dの部分がミラーケース2に向けて回動する。なお、ねじりコイルバネ41,42は軸21a,22a以外の箇所に係合させてもよい。
【0042】
図8の状態で、ミラーフレーム21の端部21d、ミラーフレーム22の端部22d、およびミラーフレーム23の端部2dは同一平面S(即ち画面71)にある。さらに、ミラーケース2の一対の軸2kの中心も同一平面S上にある。また、ハーフミラー11,12およびフルミラー13の反射面は平面Sに対して45°を維持して並行状態になっている。
【0043】
ミラーフレーム21の端部21dが、ハーフミラー11の反射面に対して45°の角度となっている理由は、端部21dが2次元映像表示装置70の画面71に接触した際に、2次元映像表示装置70の画面71に対してできるだけ広い面積で接することで、画面71をガラス製のハーフミラー21が傷付けないためである。
【0044】
図6及び図7、図9を参照して、本体ケース3の構成について詳しく説明する。
本体ケース3の奥部には、2次元映像表示装置70の先頭部が挿入されるソケット部3eが設けられ、更にソケット部3eの対向する本体ケース3の底部には、その一部が切り欠かれて、ソケット部3eの内部に曲げて延伸した板バネ部3aが設けられる。これらの構成部位は、本体ケース3と一体形成された合成樹脂製である。
【0045】
ソケット部3eの内部の左右には、例えばスポンジやゴム等から成る一対の軟質部材51が配設される。図9に軟質部材51の配設位置を示す。なお、図9の(A)は縦断面図、(B)は、平面図、(C)は横断面図である。ソケット部3eの内部に一対の軟質部材51を配設する理由は、幅の異なる複数種の2次元映像表示装置70を受け入れて、この軟質部材51でその幅の違いを吸収するためである。
【0046】
図9(A)に示すように、本体ケース3の底部に板バネ部3aを設ける理由は、板バネ部3aと本体ケース3のソケット部3eの内側との間に、高さ異なる複数種の2次元映像表示装置70を受け入れて、この板バネ部3aの弾性力によって画面71が基準面3gに常に接した状態になる。また、板バネ3aの圧力によって、2次元映像表示装置70がソケット部3eから容易に抜けないように、それを保持している。
【0047】
本体ケース3の後端部には、ミラー装置90の軸2kを回転自在に取り付けるための軸受け3kが設けられる。図9(A)に示すように、軸受3kは基準面3gと同一平面R上にある。また、図8の各ミラーフレームの端部21d,22d,2dおよび軸2kは同一平面S上にある。本体ケース3に対してミラー装置90が軸2kを中心に回転するとき、この平面Sも同時に回転し、図10(A)に示すように平面Rと平面Sとが合致する。2次元映像表示装置70の画面71は基準面3gに接しているため、各ミラーフレームの端部21d,22d,2dが画面71に密着することになる。このように、ハーフミラー11,12とフルミラー13が画面71に対して高い精度で位置付けられた状態で、観賞者に3次元映像を表示することができる。
【0048】
図10は、本体ケース3に2次元映像表示装置70を収容して、ミラー装置90を用いて3次元映像が観賞できる状態における3次元映像表示装置の三方向から見た断面図である。
本体ケース3のソケット部3eに2次元映像表示装置70を挿入すると、一対の軟質部材51は2次元映像表示装置70の幅形状に合わせて収縮し、一定の圧力で2次元映像表示装置70を押さえつける。軟質部材51には一定の摩擦があるので、本体ケース3のソケット部3eから2次元映像表示装置70が容易に抜けることを防止する。
【0049】
また、本体ケース3の手前に設けられた一対の略L字型の壁3b(図9乃至図10)にっよって、2次元映像表示装置70が本体ケース3から容易に抜けることを防止している。ここで、壁3bは、2次元映像表示装置70幅及び長さよりも若干大きいサイズを許容する位置に設置されている。
【0050】
図10(A)、(C)において、本体ケース3の板バネ3aは一定の圧力で2次元映像表示装置70を基準面3gに対して押し付けており、画面71の端部は常に基準面3gと接触した状態にある。
【0051】
また、図10(A)に示すように、3つのミラーフレーム21,22,23が、3次元映像を表示する状態にあるときでも、ミラーフレーム23とミラーケース2は一体形成され、端部2dと、軸2kと、ミラーフレーム23とミラーケース2の合体した頂点P(角度βを維持して)は3点支持の状態にあり、強固であるので、ミラーケース2は並行配置状態にあるミラーフレーム21,22に対して外力を伝えない状態にある。このため、ミラーケース2の外部から外力が加わったとしても、並行配置状態で3次元映像の表示状態にあるミラーフレーム21,22が折り畳まれることが防止できる。
【0052】
図11は、図10に示した2次元映像表示装置70と異なる大きさの2次元映像表示装置80を、本体ケース3に装着した場合を示す。
図10の2次元映像表示装置70の各寸法Ws1、Ds1、Ts1と比べて、図11の2次元映像表示装置80の各寸法Ws2、Ds2、Ts2は全て若干小さい例である。図11(B),(C)に示すように、軟質部材51は2次元映像表示装置80をその幅方向から十分な圧力で保持している。また、本体ケース3の板バネ3aは一定の圧力で2次元映像表示装置80を基準面3gに対して押し付けており、画面81の端部は常に基準面3gと接触した状態になる。軟質部材51には一定の摩擦があるため、本体ケース3のソケット部3eから2次元映像表示装置80は容易に抜けることを防止している。
【0053】
また、図9及び図10に示す、一対の略L字型の壁3cによって、2次元映像表示装置80が本体ケース3から容易に抜けることを防止している。なお壁3cは2次元映像表示装置80よりも若干大きいサイズを許容する位置に設置されている。更にガイド壁3bと壁3cには段差があるため、大きさの異なる2種類の2次元映像表示装置70、80の両方を受け入れることができる。
【0054】
図10(A)の例では、本体ケース3の底部3hと画面71は平行であったが、図11(A)の例では、2次元映像表示装置80の厚さTs2が薄いため、画面81は底部3hとわずかな角度θを成している。
【0055】
図11のように、画面81が底部3hに対してわずかな角度θを成していても、ミラーフレーム21,22の端部21d、22d、ミラーフレーム23のケース端部2d、ミラーケース2の軸2kは同一平面上にあり、画面81が基準面3gとほぼ接しているため、軸受け3kは画面81上にある。このように、端部21d、22d、および端部2dが形成する平面S(図8)は画面81と同一面にあることになり、ハーフミラー11,12およびフルミラー13が画面81に対して高い精度で所定の位置に配置されることになる。
【0056】
このように本実施例によれば、軟質部材51、板バネ3a、略L字形の壁3b,3cによって大きさの異なる2次元映像表示装置を、本体ケース3に収容して装着することができるので、複数の2次元映像表示装置の機種に対応できる。また、2次元映像表示装置がスマートフォンである場合、ジャケットなどと呼ばれる専用ケースを常時装着していることが一般的である。専用ケースには一定の厚さがあるため、これを装着すると2次元映像表示装置のサイズは大きくなる。しかし、本実施例によれば、大きさの異なる2次元映像表示装置に対応できるため、同一機種においても専用ケースを装着した場合と、装着しない場合の両形態の2次元映像表示装置にも対応できる。
【0057】
また、ミラーフレーム21,22の端部21d、22d、ミラーフレーム23の端部2d、軸2k、本体ケース3の基準面3g、軸受け3kのそれぞれの配置を工夫することにより、2次元映像表示面が本体ケース底面3hに対して角度θの範囲で少々傾いて装着しても、ミラーを所定の位置に配置することが可能である。
【0058】
2次元映像表示装置70を3次元映像表示装置から取り外すときには、図2のように、ミラー装置90を回転させて、本体ケース3から開放状態にする。そして、2次元映像表示装置70を収容部3mから取り出す。この場合、本体ケース3のフランジ3iの高さは、複数種の2次元映像表示装置70,80の高さよりも低く設計されており、2次元映像表示装置70の側面70aはフランジ3iから露出している。このため、側面70aを指でつかんで、本体ケース3から2次元映像表示装置70を簡単に取り外すことができる。大きさが異なる2次元映像表示装置80の場合でも同様である。
【0059】
次に、図12を参照して、3枚のミラーを折畳んだ場合の3次元映像表示装置について説明する。ミラーフレーム21、22は、それぞれ軸21a,22a,を中心にミラーケース2の内側に回動して折り重なる。ミラーフレーム21、22が折畳まれると、ミラーケース2と本体ケース3の間に収まる。ねじりコイルバネ41,42は反発して、ミラーフレーム21,22がミラーケース2を開けようとするが、フック2fとフック穴3fが係合して両者が連結する状態を保持するため、ミラーフレーム21、22が折り畳まれた状態で安定している。
ミラーケース2乃至ミラー装置90を閉じた状態では、図8乃至図4に示すように、3次元映像表示装置は厚さが薄く、周囲に突起物も無い1つの箱形状となるので、コンパクトで携帯に適した状態となる。
【0060】
一方、ミラーケース2乃至ミラー装置90を開けるときには、ミラーケース2のフックポイント2iの部分を押すことで、フック2fが外れて、ミラーケース2を開けることができる。この時、コイルバネの41,42の反発力で、ミラーフレーム21,22は自動的に回動して、図8乃至図1に示す、所定の位置に戻る。このように、ミラーケース2を閉じた状態から、図1に示すような3次元映像を観賞する状態に、簡単な操作で行うことができる。
【0061】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施例に限定されることなく、種々変形して実施し得る。
例えば、上記実施形態では、2枚のハーフミラーとその後部に1枚のフルミラーの合計3枚のミラーを配置した例であるが、これに限らず、3枚以上のハーフミラーを配置する例でもよい。
【符号の説明】
【0062】
2:ミラーケース 21,22,23:ミラーフレーム 21d,22d,2d:端部 3:本体ケース 3m:収容部 41,42:ねじりコイルバネ 51:軟質部材
60,70,80:2次元映像表示装置 61,71,81:画面 90:ミラー装置
91,92,11,12:ハーフミラー 93,13:フルミラー 91a,92a,93a:虚像
【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像表示装置の画面に表示される映像を、複数のミラーを用いて3次元に表示する3次元映像表示装置において、
該映像表示装置を装着する本体ケースと、
該本体ケースの後部に回転可能に軸支されたミラーケースと、該ミラーケースの奥に向かって、所定間隔で平行に回転可能に該ミラーケースに搭載された複数のミラーとを備えたミラー装置を有し、
3次元映像を観賞する場合、該ミラーケースは軸を中心に回転して、該複数のミラーの先端部が略同じ平面を形成するように、該複数のミラーが該画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して支持された状態で、該画面に表示される映像を反射し、
該本体ケースから該映像表示装置を外した状態で、該ミラーケースは軸を中心にして該本体ケースと閉じる方向へ回転して、該複数のミラーは回転して内部に畳まれた状態で収納されることを特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項2】
前記複数のミラーはそれぞれ四辺形のミラーフレームに装着され、
前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、前記ミラーケースは、該軸を中心に回転して該複数のミラーフレームの先端が該映像表示装置の画面と接触した状態で支持され、この状態で該画面に表示される映像を観賞者の方向へ反射する、請求項1記載の3次元映像表示装置。
【請求項3】
前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、
軸を中心に前記ミラーケースを回転して、該画面に対して該複数のミラーが所定角度傾斜して支持された状態で該画面に表示される映像を反射する第1の位置と、
該軸を中心に前記ミラーケースを後方へ回転させて、該複数のミラーを該映像表示装置の画面から離して、該映像表示装置の画面に表示される映像を観賞できる第2の位置との間で、該ミラーケースを回転可能とする、請求項1乃至2のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項4】
前記複数の四辺形のミラーの高さを規定する辺は、奥に行くにつれて短くなるように形成され、
前記複数のミラーは、前方側に配置され、軸を中心に該ミラーケースに対して回転可能な第1および第2のハーフミラーと、
該第1および第2のハーフミラーの後方に配置され、該ミラーケースに固定された1枚のフルミラーを含む、請求項1乃至3のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項5】
前記ミラーケース及び前記ミラーフレーム及び前記本体ケースは合成樹脂性である、請求項1乃至4のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項6】
前記本体ケースは、その周囲を囲むフランジと、該フランジに囲まれた内側にあって、該映像表示装置を収容する収容部を備える、
請求項1乃至5のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項7】
前記本体ケースは、その奥部の両側に配置された1対の軟質部材を備え、装着される該映像表示装置の側部を該軟質部材によって保持する、
請求項1乃至6のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項8】
前記本体ケースは、その奥部に、該映像表示装置の先頭部が挿入されるソケット部と、該ソケット部内の底部にあって、挿入された該映像表示装置の底部を上方向へ押圧する板バネを備える、
請求項1乃至7のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項9】
3次元映像を観賞する時に前記ミラーケースの後端に設けられた前記軸と、前記複数のミラーフレームの先端部は同一平面上にあり、
前記本体ケースの後端には、該ミラーケースの軸と係合する軸受けが設けられ、該本体ケースの前記ソケット部内の上部が形成する基準面は該軸受けと同一平面上にあり、
該映像表示装置を該本体ソケットに装着したときに、該本体ケースの該板バネ部の押圧によって、該映像表示装置の画面が該基準面と接触し、
該映像表示装置の厚さの違いによる傾斜に拘わらず、前記複数のミラーフレームが該画面に位置付けされる、請求項8の記載の3次元映像表示装置。
【請求項10】
前記ミラーケースの前端にはフックが設けられ、かつ前記本体ケースの該フランジの前部にはフック穴が設けられ、
該ミラーケースが回転して該本体ケースに閉じられたとき、該フックと該フック穴が係合して、該ミラーケースと該本体ケースを合体した状態を保持する、
請求項1乃至9のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項11】
前記本体ケースは、映像を表示する画面を有する携帯可能な映像表示装置を装着する、請求項1乃至10のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項12】
前記本体ケース及び前記ミラーケースはそれぞれ箱型形状を成し、前記ミラーケースが前記本体ケースに閉じて合体した状態で、両者は1つの箱型形状となる、
請求項1乃至11のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項1】
映像表示装置の画面に表示される映像を、複数のミラーを用いて3次元に表示する3次元映像表示装置において、
該映像表示装置を装着する本体ケースと、
該本体ケースの後部に回転可能に軸支されたミラーケースと、該ミラーケースの奥に向かって、所定間隔で平行に回転可能に該ミラーケースに搭載された複数のミラーとを備えたミラー装置を有し、
3次元映像を観賞する場合、該ミラーケースは軸を中心に回転して、該複数のミラーの先端部が略同じ平面を形成するように、該複数のミラーが該画面に対して観賞者側に所定角度傾斜して支持された状態で、該画面に表示される映像を反射し、
該本体ケースから該映像表示装置を外した状態で、該ミラーケースは軸を中心にして該本体ケースと閉じる方向へ回転して、該複数のミラーは回転して内部に畳まれた状態で収納されることを特徴とする3次元映像表示装置。
【請求項2】
前記複数のミラーはそれぞれ四辺形のミラーフレームに装着され、
前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、前記ミラーケースは、該軸を中心に回転して該複数のミラーフレームの先端が該映像表示装置の画面と接触した状態で支持され、この状態で該画面に表示される映像を観賞者の方向へ反射する、請求項1記載の3次元映像表示装置。
【請求項3】
前記本体ケースに該映像表示装置を装着した状態において、
軸を中心に前記ミラーケースを回転して、該画面に対して該複数のミラーが所定角度傾斜して支持された状態で該画面に表示される映像を反射する第1の位置と、
該軸を中心に前記ミラーケースを後方へ回転させて、該複数のミラーを該映像表示装置の画面から離して、該映像表示装置の画面に表示される映像を観賞できる第2の位置との間で、該ミラーケースを回転可能とする、請求項1乃至2のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項4】
前記複数の四辺形のミラーの高さを規定する辺は、奥に行くにつれて短くなるように形成され、
前記複数のミラーは、前方側に配置され、軸を中心に該ミラーケースに対して回転可能な第1および第2のハーフミラーと、
該第1および第2のハーフミラーの後方に配置され、該ミラーケースに固定された1枚のフルミラーを含む、請求項1乃至3のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項5】
前記ミラーケース及び前記ミラーフレーム及び前記本体ケースは合成樹脂性である、請求項1乃至4のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項6】
前記本体ケースは、その周囲を囲むフランジと、該フランジに囲まれた内側にあって、該映像表示装置を収容する収容部を備える、
請求項1乃至5のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項7】
前記本体ケースは、その奥部の両側に配置された1対の軟質部材を備え、装着される該映像表示装置の側部を該軟質部材によって保持する、
請求項1乃至6のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項8】
前記本体ケースは、その奥部に、該映像表示装置の先頭部が挿入されるソケット部と、該ソケット部内の底部にあって、挿入された該映像表示装置の底部を上方向へ押圧する板バネを備える、
請求項1乃至7のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項9】
3次元映像を観賞する時に前記ミラーケースの後端に設けられた前記軸と、前記複数のミラーフレームの先端部は同一平面上にあり、
前記本体ケースの後端には、該ミラーケースの軸と係合する軸受けが設けられ、該本体ケースの前記ソケット部内の上部が形成する基準面は該軸受けと同一平面上にあり、
該映像表示装置を該本体ソケットに装着したときに、該本体ケースの該板バネ部の押圧によって、該映像表示装置の画面が該基準面と接触し、
該映像表示装置の厚さの違いによる傾斜に拘わらず、前記複数のミラーフレームが該画面に位置付けされる、請求項8の記載の3次元映像表示装置。
【請求項10】
前記ミラーケースの前端にはフックが設けられ、かつ前記本体ケースの該フランジの前部にはフック穴が設けられ、
該ミラーケースが回転して該本体ケースに閉じられたとき、該フックと該フック穴が係合して、該ミラーケースと該本体ケースを合体した状態を保持する、
請求項1乃至9のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項11】
前記本体ケースは、映像を表示する画面を有する携帯可能な映像表示装置を装着する、請求項1乃至10のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【請求項12】
前記本体ケース及び前記ミラーケースはそれぞれ箱型形状を成し、前記ミラーケースが前記本体ケースに閉じて合体した状態で、両者は1つの箱型形状となる、
請求項1乃至11のいずれかの項記載の3次元映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−92720(P2013−92720A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235946(P2011−235946)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(512282039)プルック プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(512282039)プルック プライベート リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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