説明

4’−セレノヌクレオシド及び4’−セレノヌクレオチド

【課題】 ヌクレオシドフラノース環内酸素原子をセレン原子に置換した4’−セレノヌクレオシド及びこれから成るオリゴヌクレオチドを人工的に合成する。
【解決手段】 本願発明は、下記一般式
【化1】


(式中、Rは水素原子又はトリリン酸基を表し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基又はアルコキシアルコキシ基を表し、Bはプリン塩基又はピリミジン塩基を表し、水酸基は保護基により保護されていてもよい。)で表される4’−セレノヌクレオシド又は4’−セレノヌクレオチド、及びこれから成るオリゴヌクレオチドである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、4’位にセレン原子を有する4’−セレノヌクレオシド及び4’−セレノヌクレオチド及びこれらから成るオリゴヌクレオチド並びにこれらの合成法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々に化学修飾されたヌクレオシド及びヌクレオチド誘導体が創薬やバイオテクオロジーへの展開を目的として創製されている。例えば、1998年にVitraveneが初のアンチセンス核酸(非特許文献1)として、また2004年にはMacugenがアプタマー核酸(非特許文献2)として、それぞれ臨床使用が承認された。さらに最近では、RNA干渉などの核酸による創薬が再び注目されている。
このような用途に提供するため、発明者らは、イオウ原子を糖部の4’位に導入したヌクレオシド誘導体の合成に成功している(非特許文献3、特許文献1)。
一方、セレンは、酸素やイオウと原子半径、電気陰性度、酸化還元電位などの化学的性質は異なるが、同族元素であるため、酸素やイオウの生物学的等価体(バイオアイソスター)と考えられており、核酸化学の分野でもセレンが含まれる核酸が知られている。例えば、大腸菌に放射性のSeを与えるとtRNAに4−セレノウリジンが出現することが確認されている(非特許文献4)。また、2’位にSeが導入された核酸の影響についても調べられている(非特許文献5)。また糖化学の分野においても天然物であるチオ糖化合物をセレノ糖へ置換した化合物の合成と生物活性が報告されており、バイオアイソスターとしての有効性が確認されている(非特許文献6)。
【0003】
【特許文献1】特許第3677510号
【非特許文献1】Antimicrob. Agents Chemother., 1996, 40, 2004-2011
【非特許文献2】J. Biol. Chem., 1998, 273, 20556-20567
【非特許文献3】Nucleic Acids Res., 2005, 33, 2942-2951.
【非特許文献4】Biochemica et Biophysica Acta, 366 (1974)109-113
【非特許文献5】Nucleic Acids Research, 2004, vol.32, No.5,1638-1646
【非特許文献6】J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 8245-8250
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
創薬に適応可能な核酸を創製するためには、ヌクレアーゼ抵抗性や高次構造の熱的安定性を高めることだけに主眼をおいた従来の化学修飾核酸ではなく、酵素による認識能も維持した核酸が必要になる。すなわちバイオアイソスターとして機能を維持できる化学修飾を考慮することが重要である。そのためには、過度の化学修飾を核酸に施すのではなく、より少ない化学修飾によってヌクレアーゼ抵抗性などの必要条件を満たす必要がある。
そのため、発明者らは、ヌクレオシドフラノース環内酸素原子をセレン原子に置換した4’−セレノヌクレオシドを合成する方法を研究した。
しかし、4’−セレノヌクレオシドは自然界では合成されないため、人工的に合成するしかないが、セレンは酸化されやすいなどの特徴を持つため、その合成は困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明者らは、従来不安定であると考えられてきたセレノキシドにプメラー(Pummerere)型の反応により核酸塩基を導入することに成功した。その結果、セレノ糖のセレン原子のα位炭素に核酸塩基を導入して、人工的に4’−セレノヌクレオシドを合成することに成功し、本願発明を完成させるに至った。
即ち、本願発明は、下記一般式
【化1】

(式中、Rは水素原子又はトリリン酸基を表し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基又はアルコキシアルコキシ基を表し、Bはプリン塩基又はピリミジン塩基を表し、水酸基は保護基により保護されていてもよい。)で表される4’−セレノヌクレオシド又は4’−セレノヌクレオチドである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の4'−セレノヌクレオシド及び4'−セレノヌクレオチドは、その僅かな構造変化によって4'−セレノ核酸(4'−セレノRNA、4'−セレノDNA及びその誘導体)へと誘導した場合、ヌクレアーゼ抵抗性や高次構造の熱的安定性が高まることが期待される(非特許文献3)。しかもこの4'−セレノ核酸は人為的に合成することができるため、多様な応用展開が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本願発明の4'−セレノヌクレオシド及び4'−セレノヌクレオチドは下記一般式で表される。
【化3】

Bは、プリン塩基又はピリミジン塩基を表す。このプリン塩基とピリミジン塩基として、特に制限は無く、例えば、ジアミノプリンなども挙げられるが、このプリン塩基として、下式で表されるように、アデニン又はグアニン、ピリミジン塩基として、シトシン、ウラシル又はチミンが好ましい。
【化4】

【0008】
は水素原子又は下式のトリリン酸基を表す。
【化5】

は水素原子、水酸基、アルコキシ基又はアルコキシアルコキシ基を表す。このアルコキシ基の炭素数は好ましくは1〜12、より好ましくは1〜4である。このアルコキシ基としては特にメトキシ基が好ましい。またこのアルコキシアルコキシ基は−O−C2n−O−C2m+1で表わされ、nとmは、それぞれ独立に、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜4である。このアルコキシアルコキシ基としては特にメトキシエトキシ基が好ましい。
【0009】
また、この4'−セレノヌクレオシド及び4'−セレノヌクレオチドの水酸基は、保護基により保護されていてもよい。このような保護基として、当該分野で使用される如何なる保護基を用いてもよく、例えば、下記の保護基を用いることができるが、適宜場合に応じて用いることが好ましい。例えば、PMB(パラメトキシベンジル)基は塩基性条件に耐えうる保護基として適しているし、TIPDS(テトライソプロピルジシロキシル)基は3位と5位(又は3'位と5'位)だけを選択的に保護する目的に適しており、DMBz(ジメトキシベンゾイル)基は核酸塩基が糖に対して上側(β面)で立体選択的に反応するための保護基として適している。またDNA/RNA合成機によるオリゴマー合成ではDMTr(ジメトキシトリチル)基、PA(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノフフォスフィノ)基、TBS(tert-ブチルジメチルシリル)基、TOM(トリイソプロピルシリルオキシメチル)基及びCE(シアノエチル)基などが適している。
【化6】

【0010】
次に、本発明の4'−セレノヌクレオシド及び4'−セレノヌクレオチドの製法を以下に記すが、その製法はここに記載の方法に限定されるものではない。
(1)4’−セレノヌクレオシド(上記一般式(化1)で、Rが水素原子、Rが水酸基、Bがピリミジン塩基、プリン塩基の場合)の合成:
D−リボースを原料として、既知の方法(Tetrahedron, 2003, 59, 1699)に従いジオール体を合成し、水酸基を保護してジオール体10を得る。これをp-トルエンスルホニル化の後、臭化リチウムと加熱還流することによりハロゲン体11を得る。続いてセレン化ナトリウムで処理して、4-セレノ糖12を合成する。続いて、水酸基保護基を除去してセレノ糖13とした後、水酸基を再度保護し、セレノ糖15をオゾン酸化して、セレノキシド体16へと変換し、続いてウラシル塩基の存在化でプメラー型の反応を行ない、4'-セレノウリジン誘導体17を得て、これを脱保護して4'-セレノウリジン18を得る。
【0011】
合成経路を下式に示す。式中、Y〜Yは水酸基保護基を表す。
【化7】

【0012】
本願発明の4’−セレノヌクレオシドの合成は、セレノ糖15のセレン原子のα位炭素に核酸塩基を導入することができたことに特徴がある。
一般に、セレノキシド16はスルホキシド等よりも不安定であり、速やかに分解することが知られている。2006年に初めてセレノキシド糖を用いたプメラー型の反応によりセレン原子のα位にアセトキシ基を導入する反応が報告されたが、セレノキシド糖の不安定さ(室温で分解)や反応の位置あるいは立体選択性は全く制御できていなかった(J. Am. Chem. Soc., 2006, 128, 227-239)。そのため、さらに導入が困難である核酸塩基のような複素環をα位に導入した例はなかった。
しかし、発明者らが合成したセレノキシド糖16は室温で精製可能な程度の安定性を有していたため、反応条件を検討することが可能であった。
発明者らは、予備実験として、この化合物16を用いて、上記文献と同様に無水酢酸を用いてプメラー型の反応を行ったところ、アセトキシ基が糖部1位と4位にそれぞれ導入された化合物の混合物が得られ、位置選択性は全く観察されなかった。
【0013】
発明者らは、この予備実験の結果から、立体障害の大きい核酸塩基を直接反応させれば、立体的に空いている1位で優先的に反応が進行するのではないかと考えた。そこで、セレノキシド糖16にシリル化したウラシル塩基を加えるという方法をとり、4'-チオリボヌクレオシド合成の場合(非特許文献3、特許文献1)と同様の反応条件で、シリル化塩基を添加した。しかしこの条件ではセレノキシド糖16の分解が同時に起こってしまうために収率が低いことが判明した。その原因は、スルホキシドとセレノキシドの安定性又は反応性の違いによるものと考えられる。
そこで、シリル化塩基の添加速度を速めたところ、セレノキシド糖16の分解よりもプメラー型の反応が優先し、セレノキシド糖16の1位で位置選択的に核酸塩基が反応し、立体選択性についてもβ体のみが得られ、目的の化合物17を収率50%で得ることができた。
この4'-セレノウリジンを、常法に従いシトシン等の他のピリミジン誘導体へ変換することができる。更に同様の方法で、4'-セレノプリン体を合成することができる。
【0014】
(2)4’−セレノヌクレオシドから2'-デオキシ-4'-セレノヌクレオシドへの変換:
上記の化合物17の糖部2’位の保護基を除去し、化合物26へと変換する。続いて無水トリフルオロメタンスルホン酸で処理することにより、2,2'-アンヒドロ体27とした後、臭化リチウム存在化で加熱することにより2'-ブロモ体28を得る。化合物28の2'位ブロモ基を還元し、2'-デオキシ体29を合成し、脱保護して、2'-デオキシ-4'-セレノウリジン30を得る。
合成経路を下式に示す。式中、Y〜Yは水酸基保護基を表す。
【化8】

この2'-デオキシ-4'-セレノウリジンを、常法に従いシトシン等の他のピリミジン誘導体へ変換することができる。更に同様の方法で、2'-デオキシ-4'-セレノプリン体を合成することができる。
【0015】
(3)4’−セレノヌクレオチド(上記一般式(化1)で、Rがトリリン酸基の場合)の合成:
トリリン酸体の合成については、特許文献1を参照されたい。まず上記4’−セレノヌクレオシド又は2'−デオキシ−4'−セレノセレノヌクレオシドを、1)5'位水酸基の保護(DMTr基)、2)2級水酸基のアセチル化、3)保護基(DMTr基)を除去する。得られた化合物をサリチルホスホクロリダイトを用いて中間体へと導き、1)ピロリン酸処理、2)ヨード酸化、3)加水分解と保護基の除去の操作を連続して行う。
合成経路を下式に示す。式中、Bは塩基、Rは水素原子、水酸基等を表す。
【化9】

【0016】
更に、上記の4’−セレノヌクレオチドを用いてオリゴヌクレオチドを合成することができる。このオリゴヌクレオチドは、下記一般式
【化2】

(式中、R及びBは上記の定義と同じである。)で表される繰り返し単位を有するオリゴヌクレオチドである。
このオリゴヌクレオチドは、上記繰り返し単位のみで構成されてもよいし、天然のヌクレオチド(例えば、UMP、GMP、dTMP等)を含んでもよい。
【0017】
上記4’−セレノヌクレオチドからオリゴヌクレオチドを合成する方法は、如何なる公知の方法で行ってもよいが、保護基を付した4’−セレノヌクレオチドを用いて、DNA/RNA合成機を使用してホスホロアミダイト法によって行うことができる。担持樹脂にCPG(controlled pore glass)を用いて、通常の合成サイクル;1)3%トリクロロ酢酸のジクロロメタンによる脱保護、2)縮合剤(テトラゾールなど)を用いたアミダイト試薬との縮合、3)無水酢酸による未反応体の5'−水酸基のキャッピング、4)ヨード酸化、をくり返すことによりオリゴマーを合成する。各アミダイト試薬は0.1Mのアセトニトリル溶液として使用し、縮合時間は30秒〜600秒の間で適宜調整する。合成機によるオリゴマー合成完了後、樹脂をアンモニア水にさらすことによりオリゴマーの樹脂からの切り出しと塩基部保護基の除去を同時に行う。

以下、実施例にて本発明を例証するが本発明を限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0018】
本実施例では、化合物18(1-(4-Seleno-β-D-ribofuranosyl)uracil)を合成した。合成経路を図1に示す。
まず、化合物10(2,3,5-tri-O-p-methoxybenzyl-D-ribitol)を合成した。
D-リボース(Aldrich社)(60 g, 0.4 mol)をアリルアルコール(1.8 L, 26.4 mol)に溶解し、濃硫酸(6.4 mL, 0.12 mol)を0℃にて加え、その後室温にてメカニカルスターラーで撹拌した。次いで反応液に重曹を加えて中和し、反応液をセライト濾過した。得られたろ液を減圧下にて溶媒留去し減圧乾燥して。黄色油状の残渣を得た。続いて水素化ナトリウム(64 g, 1.6 mol)のTHF(700 mL)溶液に、0℃下にてDMF(300 mL)に溶解した残渣を3時間かけてカニュレーションした。反応液を再び室温に戻し4時間撹拌した後再度0℃下にて、塩化パラメトキシベンジル(190 mL, 1.4 mol)を10 mL/15 min の速度で滴下した。約100 mL滴下したところで室温に戻しH2の発生状況をみながら、慎重に滴下をつづけた。滴下終了後、反応液を室温にて24時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて反応を停止させた後、酢酸エチルと水で分配した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4を用いて乾燥した。綿栓ろ過後に溶媒を留去し、得られた褐色の残渣をクロロホルム−水(1.2 L-0.8L)の混合溶液に溶解させた。二層系溶液に塩化パラジウム(21.2 g, 0.12 mol)を加え、酸素雰囲気下50℃にてメカニカルスターラーで撹拌した。24時間後に反応液を室温に戻してセライトろ過し、クロロホルムを留去した。酢酸エチルを加えて希釈し、水で分配した。さらに有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4乾燥した。綿栓ろ過後に溶媒を留去し、得られた褐色の残渣を減圧乾燥した。残渣をメタノール(1.2 L)に溶解し、0℃にて水素化ホウ素ナトリウム(30.3 g, 0.8 mol)を加え室温で1.5時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をメタノールにて2回共沸し、残渣を酢酸エチルと水で分配した。有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、Na2SO4乾燥した。ろ過後に溶媒を留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(Hexane : AcOEt = 5:1→1:1)により精製し化合物10(162.4 g, 79%)を無色透明の油状物質として得た。以下生成物の分析値を示す。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ?: 7.30-6.81 (m, 12H, Ar), 4.66-4.40 (m, 6H, CH2), 3.94-3.53 (m, 16H, H-1, 2, 3, 4, 5, MeO×3), 2.71 (br s, 1H, 4-OH), 2.36 (br s, 1H, 1-OH).
【0019】
次に、化合物12(1,4-Anhydro-2,3,5-tri-O-p-methoxybenzyl-4-seleno-D-ribitol)を合成した。
化合物10(83.9 g, 164 mmol)をピリジン(450 mL)に溶解し、氷冷下でメタンスルホニルクロライド(65 mL、840 mmol)を加え30分間撹拌した。反応液に氷を加え反応停止後、酢酸エチルと水で分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し、残渣をトルエン共沸し(4回)、粗生成物を黄色油状物質として得た。得られた粗生成物をメチルエチルケトン(500 mL)に溶解し、臭化リチウム(139 g, 1.60 mol)を加え、9時間30分加熱還流した。反応液を酢酸エチルと水で分配し、有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し、粗生成物11を茶色油状物質として得た。セレン粉末(20.7 g, 262 mmol)をエタノール(640 mL)に懸濁し、水素化ホウ素ナトリウム(15 g, 567 mmol)を溶液が白くなるまで少しずつ加えた。その溶液に化合物11のテトラヒドロフラン(160 mL)溶液を加え、60℃で1時間30分加熱した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルと水で分配した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=6:1-5:1-4:1-3:1-2:1-1:1)にて精製し、化合物12 (65.5 g, 3 steps 72%)を淡黄色固体として得た。分析用試料として酢酸エチル−ヘキサンより結晶化し白色結晶を得た。以下生成物の分析値を示す。
mp 82-83℃.
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 7.22 (m, 6 H, Ar), 6.84 (m, 6 H, Ar), 4.52-4.42 (m, 6 H, OCH2 × 3), 4.03 (m, 1 H, H-2, J = 5.3 and 6.9 Hz), 3.94 (m, 1 H, H-3, J = 3.3 and 4.6 Hz), 3.80 (m, 10 H, H-4, OMe × 3), 3.58 (dd, 1 H, H-5a, J =7.3 and 10.2 Hz), 3.44 (dd, 1 H, H-5b, J = 6.6 and 10.2 Hz), 3.00 (dd, 1 H, H-1a, J = 6.9 and 9.9 Hz), 2.89 (dd, 1 H, H-1b, J = 5.3 and 9.9 Hz).
EIMS-LR m/z = 559 (M+).
Anal. Calcd for C29H34O6Se: C, 62.47; H, 5.07. Found: C, 62.47; H, 6.26.
【0020】
次に、化合物14(1,4-Anhydro-3,5-O-(1,1,3,3-tetraisopropyldisiloxane-1,3-diyl)-4-seleno-D-ribitol)を合成した。
化合物12(5.88 g, 10.5 mmol) を塩化メチレン(50.0 mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(10 mL)の塩化メチレン(90 mL)溶液を30分かけて滴下した。滴下後、反応液に固体の炭酸水素ナトリウムを加えて中和し、ろ過した。残渣をメタノールで洗浄し、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=24:1-23:2)にて精製し、化合物13を白色油状物質として得た。続いて化合物13をピリジン共沸した後、ピリジン(25 mL) に溶解し、氷冷下で1,3-ジクロロ-1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン(4.2 mL, 13.2 mmol)のピリジン(15 mL)溶液を20分かけて滴下し、その後室温で2時間撹拌した。反応液に氷を加え反応停止後、酢酸エチルと水で分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=49:1-44:1)にて精製し、化合物14(4.35 g, 2 steps 92%)を無色油状物質として得た。以下生成物の分析値を示す。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 4.45 (m, 1 H, H-2), 4.23 (dd, 1 H, H-3, J = 3.3 and 9.2 Hz), 4.05 (dd, 1 H, H-5a, J = 3.3 and 12.5 Hz), 3.94 (dd, 1 H, H-5b, J = 4.0 and 12.5 Hz), 3.70 (ddd, 1 H, H-4, J = 3.3, 4.0 and 9.2 Hz), 3.04 (dd, 1 H, H-1a, J = 4.6 and 11.2 Hz), 3.94 (dd, 1 H, H-1b, J = 1.3 and 11.2 Hz), 2.04 (br s, 1 H, 2-OH), 1.09-0.82 (m, 28 H, TIPDS).
FABMS-LR m/z = 441 (MH+).
FABMS-HR calcd for C17H37O4SeSi2 441.1395, found 441.1391.
【0021】
次に、化合物15(1,4-Anhydro-2-O-(2,4-dimethoxybenzoyl)-3,5-O-(1,1,3,3-tetraisopropyldisiloxane-1,3-diyl)-4-seleno-D-ribitol)を合成した。
化合物14(4.17 g, 9.46 mmol)をピリジン(95 mL)に溶解し氷冷下において2,4-ジメトキシベンゾイルクロライド (2.86 g, 14.3 mmol) を加え室温に戻し23時間撹拌した。反応液に氷を加え反応停止後、酢酸エチルと水で分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=29:1-9:1-9:1)にて精製し、化合物15(4.21 g, 73%)を無色油状物質として得た。以下生成物の分析値を示す。
1H NMR (270 MHz, CDCl3) δ 7.90 (d, 1 H, Ar, J = 9.2 Hz), 6.50 (m, 2 H, Ar), 5.80 (m, 1 H, H-2, J = 3.3 and 4.3 Hz), 4.33 (dd, 1 H, H-3, J = 3.3 and 9.9 Hz), 4.12 (m, 1 H, H-5a, J = 12.8 Hz), 3.97 (dd, 1 H, H-5b, J = 3.0 and 12.8 Hz), 3.87 (m, 7 H, H-4, OMe × 2), 3.19 (dd, 1 H, H-1a, J = 4.3 and 11.5 Hz), 2.87 (m, 1 H, H-1b, J = 11.5 Hz), 1.11-0.91 (m, 28 H, TIPDS).
FABMS-LR m/z = 605 (MH+).
FABMS-HR calcd for C26H45O7SeSi2 605.1870, found 605.1873.
【0022】
次に、化合物17(1-[2-O-(2,4-Dimethoxybenzoyl)-3,5-O-(1,1,3,3-tetraisopropyldisiloxane-1,3-diyl)-4-seleno-β-D-ribofuranosyl]uracil)を合成した。
化合物15(1.2 g, 2.0 mmol)を塩化メチレンに溶解し、−78℃でオゾンを50分間バブリングした。反応液にアルゴンをオゾンの臭いがなくなるまでバブリングした後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=100:0-97:3)にて精製し、化合物16を無色油状物質として得た。ウラシル(ヤマサ醤油株式会社)(450 mg, 4.0 mmol)のトルエン(13 mL)懸濁溶液にトリエチルアミン(1.1 mL, 8.0 mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(2.9 mL, 16 mmol)を加え、ウラシルが溶解するまで室温で撹拌した。反応液に塩化メチレン(7.0 mL)を加えて一層系の溶液とした後、この混合液を化合物16の塩化メチレン(13 mL)溶液に室温で滴下した。滴下後、トリエチルアミン(1.1 mL, 8.0 mmol)のトルエン(7.0 mL)溶液を室温で滴下し、15分間撹拌した。反応液に氷を加えて反応を停止し、酢酸エチルと水で分配した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル = 9:1-2:1-1:1)にて精製し、化合物17(730 mg, 50%)を白色泡状物質として得た。以下生成物の分析値を示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 8.10 (br s, 1 H, 3-NH), 8.04 (d, 1H, H-6, J = 8.6 Hz), 7.85 (d, 1 H, Ar, J = 8.6 Hz), 6.49 (m, 2 H, Ar), 6.15 (d, 1 H, H-1', J = 1.1 Hz), 5.73 (m, 1 H, H-5, J = 8.6 Hz), 5.67 (dd, 1 H, H-2', J = 1.1 and 4.0 Hz), 4.55 (m, 1 H, H-3'), 4.19 (dd, 1 H, H-5'a, J = 2.9 and 12.5 Hz), 4.05 (m, 1 H, H-5'b, J = 12.5 Hz), 3.97 (m, 1 H, H-4', J = 2.9 Hz), 3.86 (s, 6 H, OMe × 2), 1.15-0.87 (m, 28 H, TIPDS).
FABMS-LR m/z = 715 (MH+).
FABMS-HR calcd for C30H47 N2O9SeSi2 715.1985, found 715.1982.
【0023】
次に、化合物18(1-(4-Seleno-β-D-ribofuranosyl)uracil)を合成した。
化合物17(360 mg, 0.50 mmol)をテトラヒドロフラン(4 mL) に溶解し、テトラブチルアンモニウムフロリドのテトラヒドロフラン溶液 (1 M, 1.5 mL)を加えて室温で1時間撹拌した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣をショートカラムで精製後、メチルアミン(40%メタノール溶液, 4 mL)に溶解させ室温で3時間静置した。反応液を減圧下濃縮し、メタノール共沸を行った。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=19:1-9:1)にて精製し、化合物18(147 mg, 2 steps 62%)を淡黄色泡状物質として得た。分析用試料として水より結晶化し淡黄色結晶を得た。以下生成物の分析値を示す。
mp 199℃.
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 11.32 (br s, 1 H, 3-NH), 7.95 (d, 1 H, H-6, J = 8.0 Hz), 6.05 (d, 1 H, H-1', J = 8.6 Hz), 5.69 (d, 1 H, H-5, J = 8.0 Hz), 5.41 (d, 1 H, 2'-OH, J = 6.3 Hz), 5.27 (d, 1 H, 3'-OH, J = 4.0 Hz), 5.16 (t, 1 H, 5'-OH, J = 5.2 Hz), 4.23 (ddd, 1 H, H-2', J = 3.4, 6.3, and 8.6 Hz), 4.13 (ddd, 1 H, H-3', J = 1.7, 3.4, and 4.0 Hz), 3.74 (ddd, 1 H, H-5'a, J = 5.2, 8.0, and 11.5 Hz), 3.58 (ddd, 1 H, H-5'b, J5'b,4' = 5.2, 6.3, and 11.5 Hz) 3.32 (ddd, 1 H, H-4', J = 1.7 and 6.3 Hz).
13C NMR (125 MHz, DMSO-d6) δ 163.01, 151.11, 142.24, 102.24, 77.28, 73.70, 63.91, 55.46, 49.13.
FABMS-LR m/z = 309 (MH+).
Anal. Calcd for C9H12N2O5Se: C, 35.19; H, 3.94; N, 9.12. Found: C, 35.11; H, 3.87; N, 9.00.
【実施例2】
【0024】
本実施例では、化合物20(1-(4-Seleno-β-D-ribofuranosyl)cytosine)を合成した。合成経路を図2に示す。
まず、化合物19(1-[2-O-(2,4-Dimethoxybenzoyl)-3,5-O-(1,1,3,3-tetraisopropyldisiloxane-1,3-diyl)-4-seleno-β-D-ribofuranosyl]cytosine)を合成した。
化合物17(573 mg, 0.80 mmol)をアセトニトリル (8 mL) に溶解し、トリエチルアミン(336μL, 2.41 mmol),2,4,6-トリイソプロピルフェニルスルホニルクロライド(724 mg, 2.39 mmol)及びN,N-ジメチルアミノピリジン(292 mg, 2.39 mmol)を順次加えて室温で30分間撹拌した。反応液にアンモニア水を加え室温で3時間静置した後、反応液を酢酸エチルと水で分配した。有機層を1 N塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール=100:0-19:1) にて精製し、化合物19(519 mg, 2 steps 91%)を黄色泡状物質として得た。以下生成物の分析値を示す。
1H NMR (500 MHz, CDCl3 + D2O) δ 8.10 (d, 1 H, H-6, J = 7.4 Hz), 7.83 (d, 1 H, Ar, J = 8.6 Hz), 6.47 (m, 2 H, Ar), 6.26 (s, 1 H, H-1'), 5.77 (d, 1 H, H-5, J = 7.4 Hz), 5.66 (d, 1 H, H-2', J = 2.9 Hz), 4.48 (dd, 1 H, H-3', J = 2.9 and 6.9 Hz), 4.16 (dd, 1 H, H-5'a, J = 2.3 and 12.6 Hz), 4.03 (m, 1 H, H-5'b, J = 12.5 Hz), 3.93 (m, 1 H, H-4', J = 2.3 and 6.9 Hz), 3.85 (s, 6 H, OMe×2), 1.25-0.93 (m, 28 H, TIPDS).
FABMS-LR m/z = 714 (MH+).
FABMS-HR calcd for C30H48N3O8SeSi2 714.2145, found 714.2149.
【0025】
次に、化合物20(1-(4-Seleno-β-D-ribofuranosyl)cytosine)を合成した。
化合物18の合成と同様に、化合物19(137 mg, 0.192 mmol)をテトラヒドロフラン(1 mL)に溶解し、テトラブチルアンモニウムフロリドのテトラヒドロフラン溶液(1 M, 570μL)、続いてメチルアミン(40%メタノール溶液, 3.2 mL)と処理し、化合物20(112 mg, 2 steps 62%)を淡黄色泡状物質として得た。分析用試料としてエタノール-ヘキサンより結晶化し白色結晶を得た。以下生成物の分析値を示す。
mp 220-221℃.
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 7.87 (d, 1 H, H-6, J = 7.5 Hz), 7.11 (br s, 2 H, 4-NH2), 6.05 (d, 1 H, H-1', J = 8.0 Hz), 5.75 (d, 1 H, H-5, J = 7.5 Hz), 5.22 (d, 1 H, 2'-OH, J = 6.3 Hz), 5.16 (d, 1 H, 3'-OH, J = 4.0 Hz), 5.08 (t, 1 H, 5'-OH, J = 5.7 Hz), 4.17 (ddd, 1 H, H-2', J = 2.9, 6.3, and 8.0 Hz), 4.10 (ddd, 1 H, H-3', J = 2.3, 2.9, and 4.0 Hz), 3.73 (ddd, 1 H, H-5'a, J = 5.7, 8.0, and 11.5 Hz), 3.53 (dd, 1 H, H-5'b, J = 5.7, 6.3, and 12.5 Hz), 3.34 (ddd, 1 H, H-4', J = 2.3, 6.3, and 8.0 Hz).
FABMS-LR m/z = 308 (MH+).
Anal. Calcd for C9H13N3O4Se・1/16EtOH: C, 35.23; H, 4.33; N, 13.51. Found: C, 35.21; H, 4.28; N, 13.25.
【実施例3】
【0026】
本実施例では、化合物24(9-(-4-seleno-β-D-ribofuranosyl)adenine)を合成した。合成経路を図3に示す。
まず、化合物21(6-Chloro-9-[2-O-(2,4-dimethoxybenzoyl)-3,5-O-(1,1,3,3-tetraisopropyldisiloxane-1,3-diyl)-4-seleno-β-D-ribofuranosyl]-9H-purine)を合成した。
化合物15(610 mg, 1.0 mmol)を塩化メチレンに溶解し、?78℃でオゾンをバブリングした。30分後、反応液にアルゴンをオゾンの臭いがなくなるまでバブリングし、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー (クロロホルム:メタノール = 100:0-97:3) にて精製し化合物16を無色油状物質として得た。6-クロロプリン(618 mg, 4.0 mmol)をアセトニトリル(20 mL)と1,2-ジクロロエタン(10 mL)の混合溶液に懸濁しトリエチルアミン(420μL, 3.0 mmol)とトリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル(1.2 mL, 6.6 mmol) を加えた。6-クロロプリンが溶解するまで室温にて撹拌した後、この反応液を化合物16の1,2-ジクロロエタン(10 mL) 溶液に室温でゆっくりと滴下した。滴下終了後、反応液にさらにトリエチルアミン(420μL, 3.0 mmol)の1,2-ジクロロエタン(5 mL)溶液を室温で滴下し、反応液を14時間加熱還流した。反応液に氷を加え反応を停止し、酢酸エチルと水で分配した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。ろ過後、ろ液を減圧下濃縮し、得られた残渣をフラッシュシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=9:1-7:1-5:1-3:1-2:1)にて精製し化合物21(104 mg, 14%)を黄色泡状物質として得た。以下生成物の分析値を示す。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.77 (s, 1 H, H-8), 7.55 (s, 1 H, H-2), 7.92 (d, 1 H, Ar, J = 8.6 Hz), 6.52 (m, 2 H, Ar), 6.21 (s, 1 H, H-1'), 5.90 (d, 1 H, H-2', J = 4.1 Hz), 5.04 (dd, 1 H, H-3', J = 4.1 and 9.5 Hz), 4.25 (dd, 1 H, H-5'a, J = 2.7 and 12.7 Hz), 4.10 (dd, 1 H, H-5 'b, J = 1.8 and 12.5 Hz), 3.89 (m, 7 H, OMe × 2 and H-4'), 1.25-0.97 (m, 28 H, TIPDS).
FABMS-LR m/z = 757 (MH+).
FABMS-HR calcd for C31H46ClN4O7SeSi2 757.1759 , found 757.1754.
【0027】
次に、化合物23(9-[3,5-O-(1,1,3,3-tetraisopropyldisiloxane-1,3-diyl)-4-seleno-β-D-ribofuranosyl]adenine)を合成した。
化合物21(90 mg, 0.12 mmol) をエタノール性アンモニア(5.0 mL)に溶解し、封管中80 ℃で2時間加熱した。反応液を減圧下濃縮し、得られた残渣にメチルアミン(40% メタノール溶液, 3.0 mL)を加えて室温で2時間静置した。反応混合液を濃縮し、メタノール共沸を3回行った。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=49:1〜49:2)にて精製し、化合物23(37 mg, 2 steps 54%) を白色泡状物質として得た。以下生成物の分析値を示す。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.37 (s, 1 H, H-8), 8.25 (s, 1 H, H-2), 6.08 (s, 1 H, H-1'), 5.57 (br s, 2 H, 6-NH2), 4.87 (dd, 1 H, H-3', J = 4.1 and 9.4 Hz), 4.49 (d, 1 H, H-2', J = 4.1 Hz), 4.18 (dd, 1 H, H-5'a, J = 3.2 and 12.7 Hz), 4.10 (dd, 1 H, H-5 'b, J = 2.7 and 12.7 Hz), 3.98 (ddd, 1 H, H-4', J = 2.7, 3.2, and 9.4Hz), 1.25-0.92 (m, 28 H, TIPDS).
FABMS-LR m/z = 574 (MH+).
FABMS-HR calcd for C22H40N5O4Si2Se 574.1714, found 574.1795.
【0028】
次に、化合物24(9-(-4-seleno-β-D-ribofuranosyl)adenine)を合成した。
化合物23(34 mg, 0.059mmol)をメタノール(1.0 mL)に溶解し、フッ化アンモニウム(21 mg, 0.59mmol)を加え2時間加熱還流した。反応液を減圧下濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1-17:3-4:1)にて精製し化合物24(17 mg, 87%)を白色固体として得た。分析用試料としてエタノール−ヘキサンより結晶化し白色結晶を得た。以下生成物の分析値を示す。
mp 237-238℃.
1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.44(s, 1 H, H-8), 8.13(s, 1 H, H-2), 7.26 (br s, 2 H, 6-NH2), 5.99 (d, 1 H, H-1', J = 7.4 Hz), 5.47 (d, 1 H, 2'-OH, J = 6.3 Hz), 5.31 (d, 1 H, 3'-OH, J = 4.6 Hz), 5.17 (t, 1 H, 5'-OH, J = 5.7 Hz), 4.76 (ddd, 1 H, H-2', J = 3.4, 6.3, and 7.4 Hz), 4.28 (dd, 1 H, H-3', J = 2.9, 3.4, and 4.6 Hz), 3.90 (ddd, 1 H, H-5'a, J = 5.7, 7.4, and 11.4 Hz), 3.64 (ddd, 1 H, H-5'b, J = 5.7, 6.9, and 11.4 Hz), 3.48 (ddd, 1 H, H-4', J = 2.9, 6.9, and 7.4 Hz).
FABMS-LR m/z = 332 (MH+).
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】4’−セレノウリジンの合成経路を示す図である。
【図2】4’−セレノシチジンの合成経路を示す図である。
【図3】4’−セレノアデニンの合成経路を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式
【化1】

(式中、Rは水素原子又はトリリン酸基を表し、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基又はアルコキシアルコキシ基を表し、Bはプリン塩基又はピリミジン塩基を表し、水酸基は保護基により保護されていてもよい。)で表される4’−セレノヌクレオシド又は4’−セレノヌクレオチド。
【請求項2】
下記一般式
【化2】

(式中、Rは水素原子、水酸基、アルコキシ基又はアルコキシアルコキシ基を表し、Bはプリン塩基又はピリミジン塩基を表す。)で表される繰り返し単位を有するオリゴヌクレオチド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−195648(P2008−195648A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−32111(P2007−32111)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成19年2月1日 インターネットアドレス「http://nenkai.pharm.or.jp/127/pc/imulti_result.asp」に発表
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】