説明

6個〜10個の炭素原子の鎖長さを有する疎水性のブロックを有するカチオン性界面活性剤を使用した、鉱物油を産出するための方法

本発明は、Winsor type III マイクロエマルジョンフラッディングを使用して鉱物油を産出するための方法であって、一般式がR1+(R2m(R3n(R4)X-の少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む水性の界面活性剤処方物を、注入孔を通して鉱物油堆積物中に注入し、そして、産出孔を通して、原油を堆積物から取り出す方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Winsor Type III マイクロエマルジョンフラッディングを使用して鉱物油を産出するための方法であって、一般式
1+(R2m(R3n(R4)X-
の少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む水性の界面活性剤処方物を、注入孔を通して鉱物油堆積物中に注入し、そして、産出孔を通して原油を堆積物から取り出すための方法に関する。
【0002】
本発明は更に、この一般式のイオン性界面活性剤に関し、及びこれらを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
天然の鉱物油堆積物中では、鉱物油は、多孔性の貯蔵岩の空洞中に存在し、これは不浸透性の頂部層によって、土壌の表面に対してシールされている。空洞は非常に微細な空洞、毛細管、孔、又はこれらに類似するものであって良い。微細孔ネック(微細孔のくびれ)は、例えば、直径が僅か1μmであっても良い。天然ガスを含む鉱物油の他に、堆積物は、塩含有量を多かれ少なかれ有する水を含んでいる。
【0004】
鉱物油の産出では、一次、二次、及び三次産出の間で区別がなされる。一次産出では、堆積物のドリルあけを開始した後、堆積物の自己生成の圧力のために、鉱物油が孔を通して流れる。
【0005】
従って一次抜出の後、二次抜出が行われる。二次抜出では、鉱物油の産出の役割を担う孔(borehole) 、いわゆる産出孔に加え、鉱物油−含有構造に更なる孔がドリルあけされる。圧力を維持するために、又は圧力を再度上げるために、これらのいわゆる注入孔を通して堆積物中に水が注入される。水を注入する結果、鉱物油は空洞を通して、(注入孔から進行して、産出孔の方向へと)構造物の中をゆっくりと動かされる。しかしながら、このことは、空洞が完全に油で満たされ、そして粘度のより高い油が水によって前方へと押されて進む限りにおいて作用する。流動性の水が空洞によって中断されると、水は直ちにこの時点から、抵抗の最も少ない通路を流れ、すなわち、形成された通路を流れ、そしてもはや油を前方へと押すことがない。
【0006】
一次及び二次産出によって通常、堆積物中に存在する約30〜35%の量の鉱物油しか産出すことができない。
【0007】
三次抜出を使用することによって、鉱物油の収率を高めることができることが公知である。三次油産出の書評は、例えば“Joural of Petroleum Sience of Engineering 19(1998)”,page 265 〜 280に見出すことができる。三次油産出は、例えば熱水又は蒸気が堆積物中に注入される熱的方法を含む。これは油の粘度を低下させる。使用する流体媒体は同様に、CO2又は窒素等のガスであっても良い。
【0008】
三次鉱物油産出は、油抜出のための助剤として適切な化学物質が使用される方法をも含む。これは、水流の端部に向いた場所(水流の端部あたり)に影響を及ぼし、そしてその結果、これまで岩の構造体内に堅固に保持された鉱物油を産出するために使用することができる。
【0009】
二次抜出の終わり頃、堆積岩の孔内に捕捉されている鉱物油に、粘性力及び毛細管力が作用する。これらの2種の力の割合は、相互に相対的に、微視的油分離によって決定される。無次元パラメーター、いわゆる毛細管数(capillary number)を使用して、これらの力の作用が記述される。これは、粘性力(速度×力が作用する相の粘度)の毛細管力(油と水の界面張力×岩の濡れ)に対する割合である:
【0010】
【数1】

【0011】
この式中、μは鉱物油(石油)を動かす流体の粘度、νはDarcy速度(単位面積当たりの流量)、σは鉱物油を動かす液体と鉱物油の間の界面張力、及びθは鉱物油と岩の間の接触角である(C.Melrose,C.F.Brandner,J.Canadian Petr.Tech.58,Oct.−Dec.,1974)。毛細管数(キャピラリー数)が高いと、油の可動化性が大きくなり、従って油の取出の程度が大きくなる。
【0012】
二次油産出の終わり頃の毛細管数は、約10-6の範囲であることが公知であり、そして追加的な鉱物油を可動化するために、約10-3〜10-2に毛細管数を増す必要がある。
【0013】
この目的のために、Winsor type III マイクロエマルジョンフラッディングとして知られているフラッディング法の特定の形式を行うことが可能である。マイクロエマルジョンフラッディングでは、注入された界面活性剤が、水相及び堆積物中に存在する油相と、Winsor type III マイクロエマルジョンを形成する。Winsor type III マイクロエマルジョンは、特に小さい小滴のエマルジョンではなく、熱力学的に安定な、水、油及び界面活性剤の混合物である。これらの3つの有利な点は、以下のものである:
−鉱物油及び水性相の間の、非常に低い界面張力σが達成されること、
−これは通常、非常に低い粘度を有し、及びこの結果、多孔性のマトリクス内に捕捉されない、
−これは、最少限のエネルギー導入で形成され、そして非常に長い期間にわたり安定性を維持することができる(従来のエマルジョンは、これとは対照的に、主に貯蔵体では発生しない高いせん断力を必要とし、そして動力学的にのみ安定化される)。
【0014】
Winsor type III マイクロエマルジョンは、過剰の水及び過剰の油で平衡状態にある。マイクロエマルジョン処方物のこれらの条件下では、界面活性剤は油−水界面をカバーし、そして界面張力σを、より好ましくは<10-2mN/mの値にまで低下させる(超低界面張力)。
【0015】
最適の結果を得るために、界面活性剤の規定された割合を有する水−マイクロエマルジョン−油系中のマイクロエマルジョンの割合は、その性質上最大であるべきである。この理由は、対応するより低い界面張力が達成されるからである。
【0016】
このようにして、油の小滴の形状を変化させることができ(油と水の間の界面張力が所定の程度にまで低下され、これにより、最少の界面表面がもはや求められず、及び球形状がもはや好まれない)、及びこれらを、フラッディング水によって、毛細管の開口部を通して駆動する(押し出す)ことができる。
【0017】
全ての油−水界面が界面活性剤で覆われた場合、界面活性剤の過剰の量の存在下に、Winsor type III マイクロエマルジョンが形成される。従ってこれは、油相と水相の間で非常に低い界面張力を引き起こす、界面活性剤のための貯蔵所(reservoir)を構成する。粘度が低いWinsor type III マイクロエマルジョンによって、これは、フラッディング工程において、多孔性の堆積岩を通って移動する(これに対して、エマルジョンは、多孔性マトリックスに捕捉され、そして堆積物を閉塞する)。Winsor type III マイクロエマルジョンが、界面活性剤で未だ覆われていない油−水界面に出会うと、マイクロエマルジョンからの界面活性剤は、この新しい界面の界面張力を相当に低下させ、そして(例えば、油の小滴の変形によって)油の可動化をもたらす。
【0018】
油小滴は、次に結合して連続的な油バンク(油貯蔵体)になることができる。これは2つの長所を有している:
第1に、連続的な油バンクが新しい多孔性の岩を通る時に、そこに存在する油滴がバンクと合体することができる。更に、油小滴が結合して油バンクを形成することで、油−水界面を低減させ、そして従って、もはや界面活性剤を再度放出する必要がなくなる。従って、放出された界面活性剤は、上述しように、処方物中に残留している油滴を可動化することができる。
【0019】
従ってWinsor type III マイクロエマルジョンフラッディングは、非常に効果的な方法で、そしてエマルジョンフラッディング法と比較して、必要とされる界面活性剤が非常に少ない。マイクロエマルジョンフラッディングでは、界面活性剤は、典型的には任意に、共溶媒及び/又は塩基性塩(任意に、キレート剤の存在下に)と一緒に注入される。次に、濃厚な(増粘の)ポリマー溶液が可動性制御のために注入される。更なる変形例では、増粘ポリマーと界面活性剤、共溶媒、及び/又は塩基性塩(任意にキレート剤と一緒に)の混合物が注入され、そして次に、増粘ポリマー(thickening polymer)の溶液が可動性制御のために注入される。これらの溶液は通常、貯蔵器(貯蔵物)の閉塞を防止するために澄んでいる。
【0020】
三次鉱物油抜出のための界面活性剤に必要とされる条件は、他の用途のための界面活性剤に必要とされる条件とは相当に異なる:三次油抜出のために適切な界面活性剤は、水と油の間の界面張力(典型的には、約20mN/m)を、(鉱物油の十分な可動化を可能とするために)10-2mN/m未満に低減するべきである。このことは、約15℃〜130℃の通常の堆積温度、及び塩の含有量が高い水の存在下に、より特定的には、高い割合のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの存在下にも行わなければならない。界面活性剤は従って、塩の含有量が高い堆積水中にでも可溶性でなければならない。
【0021】
これらの必要条件を満たすために、界面活性剤の混合物、特にアニオン性、及び非イオン性の界面活性剤の混合物がしばしば提案されてきた。
【0022】
特許文献1(US4374734)には、鉱物油産出中のエマルジョンを破壊するための乳化破壊剤として、カチオン性界面活性剤の使用が開示されている。上述した一例は、ジオクチルジメチルアンモニウムクロリドである。
【0023】
特許文献2(US4596662)には、スルホスシネートの30〜70%グリコールジエステル、30〜50%のプロポキシル化アルキルアミン及び0.1〜4%のアルキルフェノールエーテルサルフェートの組合せが開示されている。プロポキシル化さえたアルキルアミンは、2〜20PO単位を含んでも良く、及び1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を窒素上に含んでも良い。
【0024】
特許文献3(DD260713A1)には、C12−C18−アルキルスルホネートナトリウム塩及びC12−C18−アルキルジメチルベンジルアンモニウムクロリドを同時に使用する場合の、マイクロエマルジョンの処方物が開示されている。
【0025】
特許文献4(WO93/04265A1)には、1種のアニオン性及び1種のカチオン性界面活性剤の混合物が開示されており、これは、界面活性剤の組合せで、沈殿物を形成することがなく、及び良好な発泡性能を有しているとされている。カチオン性界面活性剤は、ドデシル(ビスヒドロキシメチル)メチルアンモニウムクロリドである。
【0026】
使用するパラメーター、例えばタイプ、濃度、及び使用する界面活性剤の相互の混合割合の使用は、従って、与えられた油処方物の条件(例えば温度及び塩含有量)に従い、この技術分野の当業者によって調整される。
【0027】
上述したように、鉱物油生産は、毛細管数に比例する。油と水の間の界面張力が低いと、毛細管数は高くなる。低い界面張力と、同時に界面活性剤の十分に高い溶解度は通常、達成することが困難である。これは特に、原油中に存在するカルボン酸を疎水性の界面活性剤に変換する塩基性塩が加えられない場合に該当する(この場合、水への良好な溶解性を有する親水性界面活性剤を単に注入する必要があるものである)。長鎖カチオン性界面活性剤及び長鎖アニオン性界面活性剤の組合せは、未変換の錯体として沈殿可能であり、又は好ましくない組合せの場合には、油中への分解によって失われ得る。カチオン性の対イオン、例えばテトラエチルアンモニウムの、アニオン性界面活性剤との使用は、高い塩分のために、十分なものではない。この理由は、ナトリウムイオンの過剰量が高いからである。フラッディング工程の過程で、対イオンの変換が行われるからである。フラッディング工程の過程で、対イオンの交換が行われ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0028】
【特許文献1】US4374734
【特許文献2】US4596662
【特許文献3】DD260713A1
【特許文献4】WO93/04265A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
従って、本発明の目的は、界面活性剤フラッディング、又は好ましいマイクロエマルジョンフラッディングに使用するために特に適切な界面活性剤を提供することにあり、及び三次原油産出のための改良された方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
従って、Winsor type III マイクロエマルジョンフラッディングを使用して鉱物油を産出するための方法であって、
油と水の間の界面張力を<0.1mN/m、好ましくは<0.05mNm、より好ましくは<0.01mN/mに下げるために、少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む水性の界面活性剤処方物を、少なくとも1つの注入孔を通して鉱物油堆積物中に注入し、そして、少なくとも1つの産出孔を通して、原油を堆積物から取り出す工程を有し、
前記界面活性剤処方物が、一般式
1+(R2m(R3n(R4)X-
(但し、
1が、直鎖状の、又は枝分かれした、飽和の、又は不飽和の、6個〜10個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族炭化水素基(ヒドロカルビル基:hydrocarbyl radical)であり、
2及びR3が、それぞれ独立して、エチレンオキシ、プロピレンオキシ及び/又はブチレンオキシ及び/又はペンチレンオキシ、好ましくはエチレンオキシ及び/又はプロピレンオキシ、及びより好ましくはエチレンオキシであり、
4が、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又はフェニル−CH2−CH2−、又はフェニル−CH(CH3)−基であり、
mが、1〜8であり、及び
nが、1〜8であり、そしてm+nの合計が、2〜8の範囲であり、及び
Xが、アニオンである)
の界面活性剤を少なくとも1種含むことを特徴とする鉱物油を産出するための方法が提供される。
【0031】
上述した方法の更なる好ましい実施の形態では、界面活性剤処方物は、一般式
1+(R2m(R3n(R4)X-
(但し、
1が、直鎖状の、又は枝分かれした、飽和の、又は不飽和の、6個〜10個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族炭化水素基であり、
2及びR3が、それぞれ独立して、メチル基、エチル基、及び/又はベンジル基であり、
4が、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又はフェニル−CH2−CH2−、又はフェニル−CH(CH3)−基であり、
n=m=1であり、及び
Xが、アニオンである)
の界面活性剤を少なくとも1種含む。
【0032】
追加的に、上述した一般式の、少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む、鉱物油産出用の界面活性剤混合物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に本発明を詳細に説明する;
Winsor type III マイクロエマルジョンフラッディングを使用して鉱物油の三次産出を行うための、本発明に従う方法では、本発明の界面活性剤を使用することで、油と水の間の界面張力が、<0.1mN/mの値、好ましくは<0.05mN/mの値、より好ましくは<0.01mN/mの値に下げられる。従って、油と水の間の界面張力は、0.1mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値、好ましくは0.05mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値、より好ましくは0.01mN/m〜0.0001mN/mの範囲の値に低下される。
【0034】
鉱物油を産出するための、上述した本発明に従う方法では、(この一般式の界面活性剤を少なくとも1種含む)水性の界面活性剤処方物が使用される。これは追加的に、更なる界面活性剤、及び/又は他の成分を含んでも良い。
【0035】
この少なくとも1種の界面活性剤は、上記に定義した、一般式R1+(R2m(R3n(R4)X-によってまとめることができる。産出の結果、この一般式によってまとめることができる、複数の異なる界面活性剤が、界面活性剤処方物中に存在することができる。
【0036】
1基は、直鎖状の、又は枝分かれした、6個〜10個の炭素原子を有する、脂肪族及び/又は芳香族の炭化水素基(ヒドロカルビル基:hydrocarbyl radical)である。本発明の好ましい実施の形態では、R1基はヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、イソノニル基、デシル基、又は2−プロピルヘプチル基である。
【0037】
上述した一般式で、R2及びR3は、それぞれ独立して、メチル、エチル、又はベンジルとして定義され、又はそれぞれが、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、及び/又はブチレンオキシ基、及び/又はペンチレンオキシとして定義される。エチレンオキシ、プロピレンオキシ、及びブチレンオキシ基、及びペンチレンオキシ基は、ランダム分布、交互文分布であり、又は任意所望の配列の2個、3個、4個又はこれ以上の個数のブロックの状態である。
【0038】
上記に定義した一般式中で、m及びnはそれぞれ整数である。しかしながら、この定義が、各場合において、単一の界面活性剤の定義であることは、ポリアルコキシレートの分野の当業者にとって明確である。界面活性剤の混合物、又はこの一般式の界面活性剤を複数含む界面活性剤処方物の場合、数m及びnは、界面活性剤の全分子についての平均である。この理由は、アミンのエチレンオキシド、又はプロピレンオキシド、又はブチレンオキシド、又はペンチレンオキシドとのアルコキシル化は、常に鎖長さの所定の分布をもたらすからである。この分布は、原則として公知の、いわゆる多分散性Dによって記載することができる。D=Mw/Mnは、質量平均モル質量を数平均モル質量で割った値である。多分散性は、この技術分野の当業者にとって公知の方法、例えばゲル浸透クロマトグラフィーによって測定することができる。
【0039】
上述した式で、mは1〜8、好ましくは1〜4である。
【0040】
上述した式で、nは1〜8、好ましくは1〜4である。
【0041】
本発明に従えば、m+nの合計は、2〜8の範囲、好ましくは2〜5の範囲である。
【0042】
上記に定義した一般式で、R4は、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はヒドロキシアルキル基である。本発明の更なる実施の形態では、R4は、ベンジル基、又はフェニル−CH2−CH2−又はフェニル−CH(CH3)−基である。本発明の好ましい実施の形態では、R4は、メチル、エチル、プロピル、及びブチル基から選ばれる。
【0043】
「ヒドロキシアルキル」は、1つのヒドロキシ基によって置換されたアルキル基を意味する。ヒドロキシ−低アルキル基(hydroxyl-lower alkyl group)が好ましい。好ましい基の例は次のものを含む:ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、及び2−ヒドロキシブチル。
【0044】
上記の式中で、X-は、アニオン、好ましくはクロリド、ブロミド、アイオダイド、サルフェート、メチルスルホネート、カーボネート、及びフォスフェイトから選ばれるアニオンである。
【0045】
この一般式の界面活性剤は、対応する一級アミンをアルコキシル化することによって、原則として公知の態様で製造することができる。このようなアルコキシル化の実施は、この技術分野の当業者にとって、原則として公知である。同様に、反応条件、特に触媒の選択が、アルコキシレートのモル質量分布に影響を及ぼし得ることが、この技術分野の当業者にとって公知である。
【0046】
更なる界面活性剤
この一般式の界面活性剤に加え、この処方物は追加的に、任意に、更なる界面活性剤を含んでも良い。ここで、例えば、アルコキシ基を有しないアニオン性界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネート、オレフィンスルホネート、パラフィンスルホネート、アルキルカルボキシレート、アルキルスルフェート、及び/又はアルキルフォスフェイト、アルコキシ基を有するアニオン性界面活性剤、例えばエーテルサルフェート(より好ましくはアルキルプロポキシサルフェート)、エーテルスルホネート、エーテルカルボキシレート、及びエーテルフォスフェイト;アルキルアルコキシレート、例えばアルキルエトキシレート、アルキルプロポキシエトキシレート、又は他に、ベタイン、又はツビッターイオン性の界面活性剤、例えばアルキルジメチルアミンオキシドが記載されて良い。これらの更なる界面活性剤は特に、オリゴマー性又はポリマー性の界面活性剤であっても良い。このような共界面活性剤を使用して、マイクロエマルジョンを形成するために必要とされる界面活性剤の量を低下させることが有利である。
【0047】
従って、このようなポリマー性共界面活性剤は、「マイクロエマルジョンブースター」とも称される。このようなポリマー性界面活性剤の例は、少なくとも1種の親水性のブロック、及び少なくとも1種の疎水性ブロックを含む両親媒性のブロックコポリマーを含む。例は、ポリプロピレンオキシド−ポリエチレンオキシドブロックコポリマー、ポリイソブチレン−ポリエチレンオキシドブロックコポリマー、及びポリエチレンオキシド側鎖と疎水性主鎖を有するくし形ポリマー(主鎖は、好ましくは、基本的にオレフィン又は(メト)アクリレートをモノマーとして含んでいる)を含む。ここで「ポリエチレンオキシド」という用語は、各場合において、上記に定義したプロピレンオキシドを含むポリエチレンオキシドブロックを含む。このような界面活性剤の更なる詳細は、WO2006/131541A1に開示されている。
【0048】
鉱物油産出のための工程
Winsor type III マイクロエマルジョンフラッディングを使用した、鉱物油産出のための本発明に従う方法で、この一般式の界面活性剤の適切な水性処方物が、少なくとも1個の注入孔を通して、鉱物油堆積物中に注入され、そして堆積物中から、少なくとも1個の産出孔を通して原油が取り出される。ここで、「原油(crude oil)」という用語は、当然、単一相油を意味するものではなく、むしろ通常の原油−水エマルジョンを意味する。通常、堆積物(堆積床)には複数個の注入孔及び複数個の産出孔が設けられる。界面活性剤の主たる効果は、水と油の間の界面張力を−望ましくは<0.1mNmの値に相当に低下させることにある。「界面活性剤フラッディング」、又は好ましくはマイクロエマルジョンフラッディングとして公知のように、界面活性剤処方物を注入した後、水を構造体に注入することにより(「水フラッディング」)、又は好ましくは強い増粘作用を有するポリマーの高粘性水溶液を注入することにより(「ポリマーフラッディング」)、圧力を維持することができる。しかしながら、界面活性剤が最初に構造体に作用するようにすることによる技術も公知である。更に公知の技術は、界面活性剤と増粘ポリマーの溶液を注入し、次に増粘ポリマーの溶液を注入する技術である。この技術分野の当業者は、「界面活性剤フラッディング」、「水フラッディング」及び「ポリマーフラッディング」の工業的な機能を知っており、及び堆積物のタイプに従って、適切な技術を使用する。
【0049】
本発明に従う方法のために、この一般式の界面活性剤を含む水性処方物が使用される。水に加え、この処方物は任意に、水混和性の、又は少なくとも1種の水分散性の有機物質、又は他の物質を含んでも良い。このような添加剤は、特に、貯蔵の間、又は油田への輸送の間、界面活性剤溶液を安定化させるように作用する。しかしながら、このような追加的な溶媒の量は通常、50質量%を超えるべきではなく、好ましくは20質量%を超えるべきではない。本発明の特に有利な実施の形態では、もっぱら水が処方物のために使用される。水混和性溶媒の例は特に、アルコール、例えばメタノール、エタノール、及びプロパノール、ブタノール、sec−ブタノール、ペンタノール、ブチルエチレングリコール、ブチルジエチレングリコール、又はブチルトリエチレングリコールを含む。
【0050】
本発明の好ましい実施の形態では、水性の界面活性剤処方物は、アルキルアルコキシサルフェート又はアルキルアルコキシスルホン酸化タイプの、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。これは、水性の界面活性剤処方物中に、記載した(使用した:claimed)カチオン性界面活性剤よりも高い濃度で存在し、例えば、(電荷の中和によって界面活性剤溶液が溶解性を維持し、澄んだ溶液を形成させるために)アニオン性界面活性剤のカチオン性界面活性剤に対する割合が、モルベースで、少なくとも5.5:4.5、好ましくは少なくとも6:4、より好ましくは少なくとも7:3で存在する。
【0051】
本発明の好ましい実施の形態では、水性の界面活性剤処方物は、アルキルアリールスルフォネートタイプの、少なくとも1種のアニオン性界面活性剤を含む。これは、記載した(クレームした)カチオン性界面活性剤よりも高い濃度で、水性の界面活性剤処方物中に存在し、すなわち、(電荷の中和によって界面活性剤溶液が溶解性を維持し、澄んだ溶液を形成させるために)アニオン性界面活性剤のカチオン性界面活性剤に対する割合が、モルベースで、少なくとも5.5:4.5、好ましくは少なくとも6:4、より好ましくは少なくとも7:3で存在する。
【0052】
本発明に従えば、この一般式の界面活性剤の割合は、存在する全ての界面活性剤(すなわち、この一般式の界面活性剤と任意に存在する界面活性剤)に対して、49質量%以下である。この割合は、好ましくは、30質量%以下である。
【0053】
本発明に従い使用される混合物は、好ましくは、堆積物の界面活性剤フラッディングのために使用することができる。これは特に、Winsor type III マイクロエマルジョンフラッディング(Winsor type III範囲、又は両連続性マイクロエマシュジョン(bicontinuous microemulsion phase) が存在する範囲でのフラッディング)にとって適切である。マイクロエマルジョンフラッディングの技術については、既に上記に詳しく説明した。
【0054】
界面活性剤に加え、この処方物は、更なる成分、例えばC4−〜C8アルコール及び/又は塩基性塩(いわゆる「アルカリ界面活性剤フラッディング」)を含んでも良い。このような添加剤は、例えば、処方物中の保持率を低減するために使用される。アルコールの、使用される界面活性剤の合計量に対する割合は通常、少なくとも1:1であるが、しかしながら、相当に過剰な量のアルコールを使用することもできる。塩基性塩の量は、典型的には、0.1質量%〜5質量%の範囲である。
【0055】
本方法が適用される堆積物は、温度が少なくとも10℃、例えば10〜150℃、好ましくは少なくとも15℃〜120℃、より好ましくは15〜90℃である。全ての界面活性剤を一緒にした合計濃度は、水性界面活性剤処方物の合計量に対して、0.05〜5質量%、好ましくは0.1〜2.5質量%である。この技術分野の当業者は、所望の特性、特に鉱物油地層(鉱物油構造)の条件に従い、適切な選択を行う。ここで、界面活性剤の濃度が、地層(構造)への注入後に変化することはこの技術分野の当業者にとって明確である。この理由は、処方物は地層水と混合可能であるか、又は界面活性剤は地層の固体表面上に吸収されることができるからである。界面活性剤が界面張力を特に良好に低下させ、同時に界面活性剤が溶解して澄んだ溶液を形成することは、本発明に従い使用される混合物にとって大きな有利性である。
【0056】
最初に濃縮物(該濃縮物は、現場でのみ、地層中に注入するための所望の濃度に希釈される)を製造しておくことが当然可能であり、そして推奨される。通常、このような濃縮物中の界面活性剤の合計濃度は、10〜45質量%である。
【実施例】
【0057】
以下に実施例を使用して、本発明を詳細に説明する:
パートI:界面活性剤の合成
共通の方法1:KOH触媒を使用したアルコキシル化
2lオートクレーブ内に、アルコキシル化されるアルコール(1.0eq)を、50質量%のKOHを含むKOH水溶液と混合した。KOHの量は、製造する生成物の0.3質量%である。攪拌の間、100℃及び20mbarで2時間、脱水した。次に、N2を使用して3回パージし、N2の約1.3バールの供給圧力を設定し、及び120〜130℃の温度上昇を行った。温度が125℃〜135℃の範囲(エチレンオキシドの場合)、又は130℃〜140℃の範囲(プロピレンオキシドの場合)に維持して、アルキレンオキシドを計量導入した。次に、125〜135℃で更に5時間攪拌し、N2でパージし、70℃に冷却し、そして反応器を空にした。塩基性の粗製生成物を、酢酸を使用して中和した。この替りに、市販のマグネシウムシリケートを使用し、次に濾過除去することによって中和を行うこともできる。CDCl31HNMRスペクトル、ゲル浸透クロマトグラフィー、及びOH価測定を使用して、淡色の生成物の特徴付けを行い、及び収率(yield)を測定した。
【0058】
共通の方法2:クロロスルホン酸を使用した硫酸化
1lの丸底フラスコ中で、サルフェート化されるアルキルアルコキシレート(1.0eq)を、1.5倍の量のジクロロメタン(質量%に基づく)中に溶解させ、そして5〜10℃に冷却した。この後、温度が10℃を超えないようにして、クロロスルホン酸(1.1eq)を滴下させて加えた。この混合物を室温にまで上昇させ、そして(上述した反応混合物を滴下させて、最大15℃で体積の半分のNaOH水溶液に加える前に)この温度で4時間、N2流下に攪拌した。NaOHの量は、使用するクロロスルホン酸に基づいて、僅かに過剰になるように計算した。得られたpHは、約pH9〜10である。ジクロロメタンを(穏やかな真空度下に、回転蒸発器を使用して)最大50℃で除去した。
【0059】
1HNMRを使用して生成物の特徴付けを行い、及び溶液の水含有量を測定した(約70%)。
【0060】
共通の方法3:アミンのアルコキシル化
2lオートクレーブ内に、アルコキシル化される1級アミン(1.0eq)を、少量の水(0.1eq)と混合した。次に、N2を使用して3回パージし、N2の約1.3バールの初期圧力を設定し、及び120〜130℃の温度上昇を行った。温度を125℃〜135℃の範囲に維持して、2.0eqのアルキレンオキシドを計量導入した。次に、125〜135℃で更に5時間攪拌し、N2でパージし、70℃に冷却し、そして反応器を空にした。塩基性の粗製生成物を、酢酸を使用して中和した。CDCl31HNMRスペクトル、ゲル浸透クロマトグラフィー、及びOH価測定を使用して、淡色の生成物の特徴付けを行い、及びアミン価及び収率(yield)を測定した。
【0061】
選択的に(任意に)、2.0eqのアルキレンオキシドと反応したアミンを(50%のKOHを含む)KOH水溶液と混合した。KOHの量は、製造される生成物の0.3質量%である。混合物を100℃、及び20mbarで2時間にわたり脱水した。次に、N2を使用して3回パージし、N2の約1.3バールの初期圧力を設定し、及び120〜130℃の温度上昇を行った。温度が125℃〜135℃の範囲(エチレンオキシドの場合)、又は130℃〜140℃の範囲(プロピレンオキシドの場合)に維持して、アルキレンオキシドを計量導入した。次に、125〜135℃で更に5時間攪拌し、N2でパージし、70℃に冷却し、そして反応器を空にした。CDCl31HNMRスペクトル、ゲル浸透クロマトグラフィー、及びOH価測定及びアミン価測定を使用して、淡色の生成物の特徴付けを行い、及び収率を測定した。
【0062】
共通の方法4:アミンの、ジメチルサルフェートを使用した四級化
2lのガラスフラスコに、最初に、四級化されるアミン(1.0eq)を挿入した(このアミンは、選択的に、同量の水で希釈されている)。次に攪拌させながらジメチルサルフェート(1.0eq)を滴下させて(温度が60℃を超えないようにして)ゆっくりと加えた。アミン価を使用して、変換(率)を測定した。四級化の程度が95%以上になるまで、攪拌を継続した。選択的に、少量で過剰したジメチルサルフェート(0.1eq)を使用することができる。単に水で沸騰させることによって、過剰のジメチルサルフェートを破壊することができる。CDCl31HNMRスペクトル、ゲル浸透クロマトグラフィー、及びアミン価測定を使用して、淡色の生成物の特徴付けを行い、及び収率を測定した。
【0063】
以下のアルコール及びアミンを合成のために使用した:

【0064】
性能試験
得られた界面活性剤を、(三次鉱物油産出のための、その安定性を評価するために)次の試験を行うために使用した。
a)溶解度
アルキルアルコキシサルフェート及びカチオン性界面活性剤を室温で、塩分を含んだ注入水、又は堆積物からの産出水に溶解させ(合計濃度500〜3000ppm)そして溶液を堆積温度にした。選択的に、ブチルジエチレングリコール(BDG)を加えた。24時間後、試料を目視的に評価し、そして澄んだ溶液が存在する場合にのみ、更に使用した。2つの堆積物の注入水は、4000〜30000ppmのTDS(合計溶解塩)の塩分を有していた。堆積温度はそれぞれ18℃、及び32℃であった。
b)界面張力
更に、2種の原油(dead crude oil)(それぞれ約14のAPI)及び塩分を含んだオリジナルの注入水の界面張力を、18℃と32℃の堆積温度で、スピニングドロップ法を使用して直接的に測定した。この目的のために、a)で製造した界面活性剤溶液を使用した。油の液滴を、堆積温度で、この澄んだ(透明な)溶液に導入し、そして界面張力を2時間後に読み取った。
【0065】
結果
結果を表1〜6に示す。
【0066】
表1 注入水への18℃での溶解度
【0067】
【表1】

【0068】
表1に見ることができるように、与えられた条件下で、澄んだ界面活性剤処方物をもたらす組合せが、いくつか存在する。
【0069】
表2 原油I及び注入水の18℃での測定
【0070】
【表2】

【0071】
しかしながら表2と比較して、12個の炭素原子を有する基に基づくカチオン性界面活性剤が、実施例6のものと比較して、相当に悪い(粗末な)界面張力を与えることが注目される。このことは驚くべきことであった。その理由は、比較的長いアルキル基を有する界面活性剤は、典型的には、より良好な界面調略を与えるからである。実施例7に見ることができるように、主張(クレーム)した界面活性剤は、低塩分の場合(実施例6、合計塩含有量12500ppm)のみならず、約24300ppmの合計塩含有量の高塩分含有量でも、<0.01mNmの界面張力を与える。
【0072】
表3 18℃での注入水への溶解度
【0073】
【表3】

【0074】
表3では、比較的高度にエトキシル化されたカチオン性界面活性剤を含む界面活性剤処方物を使用する場合であっても、溶解性についての問題が生じていない。
【0075】
表4 18℃における原油I及び注入水での測定
【0076】
【表4】

【0077】
表4に見ることができるように、アルキルアルコキシサルフェート及び比較的高度にエトキシル化されたカチオン性界面活性剤の組合せは、塩分の広い範囲で、<0.01mNm/mの界面張力を有している。
【0078】
表5 32℃における注入水への溶解度
【0079】
【表5】

【0080】
表5では、高い温度(18℃の替りに32℃)を有する堆積物について、界面活性剤処方物の溶解性が観察(考察)された。これまでの試験に加え、処方物は塩基をNaOHの状態で含んでいる。
【0081】
表6 32℃における原油II及び注入水での測定
【0082】
【表6】

【0083】
表6に見ることができるように、6〜10個の炭素原子を有するアルキル基を有するカチオン性の共界面活性剤(cosurfactant)の補助で、0.02mNm以下(実施例2〜4)の低い界面張力を達成することが可能である。比較例C1での比較的長鎖のカチオン性界面活性剤は、等級が1段階高い界面張力を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式
1+(R2m(R3n(R4)X-
(但し、
1が、直鎖状の、又は枝分かれした、飽和の、又は不飽和の、6個〜10個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族炭化水素基であり、
2及びR3が、それぞれ独立して、メチル、エチル、及びベンジル、又はエチレンオキシ、プロピレンオキシ及び/又はブチレンオキシ及び/又はペンチレンオキシであり、
4が、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又はフェニル−CH2−CH2−、又はフェニル−CH(CH3)−基であり、
mが、1〜8であり、及び
nが、1〜8であり、そしてm+nの合計が、2〜8の範囲であり、及び
Xが、アニオンである)
の界面活性剤。
【請求項2】
2及びR3が、それぞれ独立して、メチル、エチル、又はベンジルであり、及びn=m=1であることを特徴とする請求項1に記載の界面活性剤。
【請求項3】
2及びR3が、それぞれエチレンオキシであり、及びR4が、メチル又はエチルであることを特徴とする請求項1に記載の界面活性剤。
【請求項4】
n+mの合計が、2〜5の範囲であることを特徴とする請求項1又は3に記載の界面活性剤。
【請求項5】
一般式
1+(R2m(R3n(R4)X-
(但し、
1が、直鎖状の、又は枝分かれした、飽和の、又は不飽和の、6個〜10個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族炭化水素基であり、
2及びR3が、それぞれ独立して、メチル、エチル、及びベンジル、又はエチレンオキシ、プロピレンオキシ及び/又はブチレンオキシ及び/又はペンチレンオキシであり、
4が、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又はフェニル−CH2−CH2−、又はフェニル−CH(CH3)−基であり、
mが、1〜8であり、及び
nが、1〜8であり、そしてm+nの合計が、2〜8の範囲であり、及び
Xが、アニオンである)
の界面活性剤を少なくとも1種含む界面活性剤処方物。
【請求項6】
2及びR3が、それぞれ独立して、メチル、エチル、又はベンジルであり、及びn=m=1であることを特徴とする請求項5に記載の界面活性剤処方物。
【請求項7】
全ての界面活性剤を一緒にした濃度が、水性界面活性剤処方物の合計量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項5又は6に記載の界面活性剤処方物。
【請求項8】
Winsor type III マイクロエマルジョンフラッディングを使用して鉱物油を産出するための方法であって、
油と水の間の界面張力を<0.1mN/mに下げるために、少なくとも1種のイオン性界面活性剤を含む水性の界面活性剤処方物を、少なくとも1つの注入孔を通して鉱物油堆積物中に注入し、そして、少なくとも1つの産出孔を通して、原油を堆積物から取り出す工程を有し、
前記界面活性剤処方物が、一般式
1+(R2m(R3n(R4)X-
(但し、
1が、直鎖状の、又は枝分かれした、飽和の、又は不飽和の、6個〜10個の炭素原子を有する脂肪族及び/又は芳香族炭化水素基であり、
2及びR3が、それぞれ独立して、メチル、エチル、及びベンジル、又はエチレンオキシ、プロピレンオキシ及び/又はブチレンオキシ及び/又はペンチレンオキシであり、
4が、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル基、又はヒドロキシアルキル基、ベンジル基、又はフェニル−CH2−CH2−、又はフェニル−CH(CH3)−基であり、
mが、1〜8であり、及び
nが、1〜8であり、そしてm+nの合計が、2〜8の範囲であり、及び
Xが、アニオンである)
の界面活性剤を少なくとも1種含むことを特徴とする鉱物油を産出するための方法。
【請求項9】
m+nの合計が2〜5の範囲であることを特徴とする請求項8に記載の鉱物油を産出するための方法。
【請求項10】
2及びR3が、それぞれ独立して、メチル、エチル、又はベンジルであり、及びn=m=1であることを特徴とする請求項9に記載の鉱物油を産出するための方法。
【請求項11】
水性の界面活性剤処方物が、アルキルアルコキシサルフェート、又はアルキルアルコキシスルホン酸化タイプのアニオン性界面活性剤を少なくとも1種含み、該アニオン性界面活性剤は、記載されたカチオン性界面活性剤の量よりも多い量で水性の界面活性剤処方物中に存在することを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の鉱物油を産出するための方法。
【請求項12】
水性の界面活性剤処方物が、アルキルアリールスルホネートタイプのアニオン性活性剤をも含み、該アニオン性活性剤は、記載されたカチオン性界面活性剤の量よりも多い量で、水性の界面活性剤処方物中に存在することを特徴とする請求項8〜10の何れか1項に記載の鉱物油を産出するための方法。
【請求項13】
全ての界面活性剤を一緒にした濃度が、水性の界面活性剤処方物の合計量に対して、0.05〜5質量%であることを特徴とする請求項8〜11の何れか1項に記載の鉱物油を産出するための方法。

【公表番号】特表2013−521122(P2013−521122A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556510(P2012−556510)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053552
【国際公開番号】WO2011/110601
【国際公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】