説明

6,11−架橋ビアリールマクロライド

本発明は、式I、IIまたはX
【化1】


で表わされ、抗菌特性を示す化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを開示する。本発明はさらに、抗生物質での治療を必要とする対象に対して投与するための前述の化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明は同様に、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することにより対象における細菌感染を治療する方法にも関する。本発明はさらに、本発明の化合物を製造する方法も含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年9月17日付米国仮特許出願第60/973,017号明細書;2007年9月18日付米国仮特許出願第60/973,201号明細書;2008年5月9日付米国仮特許出願第61/051,875号明細書;2008年9月8日付米国仮特許出願第61/095,111号明細書;2008年5月9日付米国仮特許出願第61/051,857号明細書;2008年6月27日付米国仮特許出願第61/076,208号明細書;2008年5月9日付米国仮特許出願第61/051,862号明細書;2008年6月27日付米国仮特許出願第61/076,213号明細書;および2008年9月8日付米国仮特許出願第61/095,100号明細書の利益を主張するものである。上記出願の内容は、本明細書に参照により援用されている。
【0002】
本発明は、抗菌活性を有し、細菌感染の治療および予防に有用な新規半合成マクロライドに関する。より詳細には、本発明は、6,11−架橋マクロライド系上にビアリール部分を含むマクロライド誘導体、かかる化合物を含む組成物、これを使用するための方法そしてかかる化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
エリスロマイシンを含むマクロライド活性スペクトルは、上気道および下気道の感染の原因である大部分の関連する細菌種を網羅する。14員環マクロライドは、その全体的効能、安全性そして重大な副作用がないことで周知である。しかしながらエリスロマイシンは、胃の酸性媒質の中で不活性産物へと急速に分解し、結果として、低い生物学的利用能および胃腸副作用をもたらす。エリスロマイシン薬物動態の改善は、例えばロキシスロマイシン、クラリスロマイシンおよび15員環マクロライドアジスロマイシンなどのより酸安定性の高い誘導体の合成を通して達成された。しかしながら、16員環マクロライドを含めたこれらの薬剤は全て、いくつかの欠点を示す。これらは、MLS耐性連鎖球菌(streptococci)(MLS=マクロライド−リンコサミド−B型ストレプトグラミン(Macrolides−Lincosamides−type B Streptogramines))に対し不活性であり、アジスロマイシンを除いて、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)に対し活性が低い。その上、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)のエリスロマイシン耐性は、近年著しく増大した(5%から40%超まで)。これらの分離株の間ではペニシリンに対する高い交差耐性百分率が存在し、一部の地域では10〜40%の世界的な流行の拡大が見られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、肺炎球菌の耐性の問題を解決し、優れた薬物動態特性および酸性安定性を有し、その一方でひき続きH.インフルエンザ(H.influenzae)に対する活性を有している新たなマクロライドに対する明らかなニーズが存在する。
【0005】
現在、皮膚および軟組織感染における地域感染型メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Methicillin−Resistant Staphylococcus aureus)(CA−MRSA)ならびに院内感染MRSAの有病率の増加に起因して新たな医療上のニーズが存在する。MRSAは、メチシリンを含めた数多くの抗生物質に対する耐性を発生させ、治療を困難にする特定のタイプの細菌である。従来MRSA感染は、主として病院内で治療されている患者についての問題であった。今日では、地域共同体全体においてMRSAが見られており、安全性プロフィールが改善され病院内ならびに地域共同体の環境において使用するために投与がより簡便な新たな抗生物質に対する膨大なニーズを作り出している。数多くの既存の薬剤に対する細菌耐性の問題が増大していることからもまた、この問題に対処するための新たな抗生物質の開発が必要となっている。
【0006】
エリスロマイシンA、クラリスロマインシンおよびアジスロマイシンを含めた現在のマクロライド抗生物質は、気道ならびに皮膚および軟組織の感染の治療において使用され成功をおさめてきた。マクロライドは一般に安全で寛容度が充分である。しかしながら、マクロライドを大量に臨床使用することで、ブドウ球菌(staphylococci)、連鎖球菌(streptococci)および腸球菌(enterococci)においてマクロライド耐性が急速に出現する結果となった。現行のマクロライド抗生物質は、大部分のMRSA分離株に対し活性がない。
【0007】
MRSA分離株に対するマクロライドの活性を改善することが、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)活性を改善することに加えて、本発明の焦点である。
【0008】
これらの新しいマクロライドは、皮膚および軟組織感染のためのそして上気道感染(「URTI」)および下気道感染(「LRTI」)における薬剤開発に向けた理想的候補となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、改善されたMICおよび/または薬物動態特性を示すビアリール部分を含有する14員環架橋マクロライド化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを提供する。本発明はさらに、抗生物質での治療を必要とする対象に対して投与するための本発明の化合物を含む医薬組成物にも関する。本発明は同様に、本発明の化合物を含む医薬組成物を投与することにより対象における細菌感染を治療する方法にも関する。本発明はさらに、本発明の化合物を製造する方法も含んでいる。
【0010】
本発明の一実施形態においては、式IまたはII
【化1】


(式中、
− Tが水素、OR、ハロゲンまたはNRであり、ここでRおよびRは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)−R;および
(iv)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである);
からなる群から独立して選択される);
(d)−C(O)NHR
(e)−C(O)OR;および
(f)−S(O)R
から選択され;あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって縮合または非縮合、置換または非置換複素環を形成し;
− YはSまたはOであり;
− YおよびYは各々独立して選択されるS、N、OまたはCR10であり;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族化合物から選択され;
− ただしここでYまたはYのいずれかがSでありYがCHまたはNである場合にはTは水素でないことが条件であり;
− X、XおよびXは各々独立して選択されるNまたはCR10であり;
− Cyは置換または非置換複素環式化合物または置換または非置換のヘテロアリールであり;
− AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R
(c)−OR
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されており;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(C〜C−アルキル)−、−N(R10)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しく、R10はアリール、置換アリール;ヘテロアリール;および置換ヘテロアリールから選択される);
(h)−NHC(O)R
(i)−NHS(O)
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択され;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11;および
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(a)水素;
(b)ヒドロキシプロドラッグ基;
(c)−R
(d)−C(O)R
(e)−C(O)O−R;および
(f)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−(SO)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(a)水素;
(b)−N
(c)−CN;
(d)−NO
(e)−C(O)NH
(f)−C(O)OH;
(g)−CHO;
(h)−R
(i)−C(O)OR
(j)−C(O)R;または
(k)−C(O)NR
であり、
− Uが水素である場合、Vは、
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類
からなる群から選択され;
− あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり;
− XおよびYの各々は、独立して、
(a)水素;
(b)ヒドロキシ;
(c)NR
(d)ハロゲン;または
(e)−R
である)
によって表わされる化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグが開示されている。
【0011】
本発明の別の実施形態においては、薬学的に許容される担体または賦形剤と組合せた形で本発明の化合物を治療上有効な量含む医薬組成物が開示されている。本発明のさらに別の実施形態においては、前記医薬組成物を用いて、治療を必要とする対象における抗菌感染を治療する方法が開示されている。本発明の化合物の適切な担体および調合物が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の第1の実施形態は、上述の通りの式IまたはIIの化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグである。
【0013】
本発明の好ましい亜属は以下の通りである:
式(III)
【化2】


(式中
− Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり、
− Q’が、
(a)水素;
(b)OR;または
(c)−OR(式中Rは、
(i)−R;および
(ii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜C12シクロアルキルからなる群から選択されている);
であり;
− R30およびR40は独立して、水素、アシル、置換または非置換の飽和または不飽和の脂肪族基、置換または非置換の飽和または不飽和の脂環式基、置換または非置換の芳香族基、置換または非置換の複素芳香族基、飽和または不飽和複素環基からなる群から選択されるかまたは、それらが結合している窒素分子と一緒になって、置換または非置換の複素環または複素芳香族環を形成することができ;T、Cy、Y〜Y、W、X、Y、AおよびBは先に定義されている通りである)
の化合物。
【0014】
式(IV)
【化3】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり、T、Cy、Y〜Y、XおよびYが、先に定義されている通りである)で表わされる化合物。
【0015】
式V
【化4】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、Y〜Y、R11およびYが、先に定義されている通りである)で表わされる化合物。
【0016】
式VI
【化5】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、Y〜Y、R11およびYが先に定義されている通りである)で表わされる化合物。
【0017】
式VII
【化6】


(式中、
− Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり、
− Q’が、
(a)水素;
(b)OR;または
(c)−OR(式中Rは、
(i)−R;および
(ii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜C12シクロアルキルからなる群から選択されている);
であり;
− R30およびR40は独立して、水素、アシル、置換または非置換の飽和または不飽和の脂肪族基、置換または非置換の飽和または不飽和の脂環式基、置換または非置換の芳香族基、置換または非置換の複素芳香族基、飽和または不飽和複素環基からなる群から選択されるかまたは、それらが結合している窒素分子と一緒になって、置換または非置換の複素環または複素芳香族環を形成することができ;R、R、Cy、X〜X、W、X、Y、AおよびBは先に定義されている通りである)
の化合物。
【0018】
式VIII
【化7】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、Y〜Y、R11およびYが先に定義されている通りである)で表わされる化合物。
【0019】
別の実施形態において、本発明の化合物は、式Ia
【化8】


(式中、
− Tが水素、OR、ハロゲンまたはNRであり、ここでRおよびRは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)−R;および
(iv)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである)
からなる群から独立して選択される);
(d)−C(O)NHR
(e)−C(O)OR
(f)アミノ酸残基;
(g)−S(O)R
から選択され;あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって縮合または非縮合、置換または非置換複素環を形成し;ZはNまたはCR10であり、ZおよびZは各々独立してN、O、SまたはCR10であり;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族化合物から選択され(ただしここでZ、ZおよびZのうち少なくとも二つはCR10でないことが条件である。Cyは置換または非置換複素環式または置換または非置換のヘテロアリールである);
− AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R
(c)−OR
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されており;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(C〜C−アルキル)−、−N(R10)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しく、R10はアリール、置換アリール;ヘテロアリール;および置換ヘテロアリールから選択される)
(h)−NHC(O)R
(i)−NHS(O)R
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択されており;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(a)水素;
(b)ヒドロキシプロドラッグ基;
(c)−R
(d)−C(O)R
(e)−C(O)O−R;および
(f)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−S(O)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(a)水素;
(b)−N
(c)−CN;
(d)−NO
(e)−C(O)NH
(f)−C(O)OH;
(g)−CHO;
(h)−R
(i)−C(O)OR
(j)−C(O)R;または
(k)−C(O)NR
であり、
− Uが水素である場合、Vは、
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類
からなる群から選択され;
− あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり、
− XおよびYの各々は、独立して、
(a)水素;
(b)ヒドロキシ;
(c)NR
(d)ハロゲン;または
(e)−R
である)
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグを含む。
【0020】
本発明の化合物はさらに、式IX
【化9】


(式中、
− X、X、X、XおよびXは各々NまたはCR10から独立して選択され;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族、置換脂肪族化合物またはC−NHRから選択され;Rは、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)−R;および
(iv)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである)
からなる群から独立して選択される);
(h)−C(O)NHR
(i)−C(O)OR
(j)アミノ酸残基;および
(k)−S(O)
であり、
− ただしここで、X〜Xのうち少なくとも1つがNでありX〜Xの少なくとも1つがC−R10であることが条件であり、ここでR10はNHRであり;Cyは、置換または非置換のチアジアゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール、アミノピリジン、6員の環が5位で連結されている2−ピリジン、およびピリミジンおよびピラジンからなる群から選択され;好ましくはCyはオキサゾールまたはチアゾールであり、AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R
(c)−OR
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されているか;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(C〜C−アルキル)−、−N(R10)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しく、R10はアリール;置換アリール;ヘテロアリール;および置換ヘテロアリールから選択される);
(h)−NHC(O)R
(i)−NHS(O)R
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択され;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NH(CO)、NH(CO)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(a)水素;
(b)ヒドロキシプロドラッグ基;
(c)−R
(d)−C(O)R
(e)−C(O)O−R;および
(f)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−(SO)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(a)水素;
(b)−N
(c)−CN;
(d)−NO
(e)−C(O)NH
(f)−C(O)OH;
(g)−CHO;
(h)−R
(i)−C(O)OR
(j)−C(O)R;または
(k)−C(O)NR
であり、
− Uが水素である場合、Vは、
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類
からなる群から選択され;
− あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり、
− XおよびYの各々は、独立して、
(a)水素;
(b)ヒドロキシ;
(c)NR
(d)ハロゲン;または
(e)−R
である)
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグを含む。
【0021】
式IXの化合物の好ましいサブセットにおいて、XはNであり、XはC−NHであり、X、XおよびXはCHであるか;またはXはC−NHであり、XはNであり、X、XおよびXはCHであるか;またはXおよびXはNであり、XおよびXはC−NHであり、XはCHであるか;またはXおよびXはNであり、XはC−NHであり、XおよびXはC−Hであるか;またはXおよびXはNであり、XはC−NHであり、XおよびXはCHであるか;またはXはC−NHであり、XおよびXはNであり、XおよびXはCHである。
【0022】
式X
【化10】


(式中、
− Arが、置換または非置換アミノチアゾール、アミノピラゾール、イソキサゾール、アミノイソキサゾール、オキサジアゾール、アミノオキサジアゾール、アミノオキサゾール、5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール、アミノトリアゾールまたはアミノテトラゾールから選択され;Arが、置換または非置換チアジアゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール、フェニル、ピリジン、アミノピリジン、ピリミジンまたはピラジンから選択されているかまたは;
− Arが置換または非置換アミノピリジン、アミノピリミジンまたはアミノピラジンから選択され、Arが置換または非置換チアジアゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール、アミノピリジン、Arが5位で連結されている2−ピリジン、あるいはピリミジンまたはピラジンであり;
− AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−OR(ここでRは、
(v)水素;
(vi)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(vii)−R;および
(viii)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである);
からなる群から独立して選択される);
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されており;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(R)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しい);
(h)−NHC(O)R
(i)−NHSO
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択され;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NH(CO)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲン、NOおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(a)水素;
(b)ヒドロキシプロドラッグ基;
(c)−R
(d)−C(O)R
(e)−C(O)O−R;および
(f)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−S(O)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(a)水素;
(b)−N
(c)−CN;
(d)−NO
(e)−C(O)NH
(f)−C(O)OH;
(g)−CHO;
(h)−R
(i)−C(O)OR
(j)−C(O)R;または
(k)−C(O)NR
であり、
− Uは水素であり、Vは
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類
からなる群から選択され;
− あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり、
− XおよびYの各々は、独立して、
(a)水素;
(b)ヒドロキシ;
(c)NR
(d)ハロゲン;または
(e)−R
から選択されており、ここで化合物が
【化11】


でないことが条件である)
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグを提供している。
【0023】
式Xの化合物の1つの好ましいサブセットは、式(XI)
【化12】


(式中、
− Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり;
− Q’が、
(a)水素;
(b)OR;または
(c)−OR(式中Rは、
(i)−R;および
(ii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜C12シクロアルキルである);
であり;
− R30およびR40は独立して、水素、アシル、置換または非置換の飽和または不飽和の脂肪族基、置換または非置換の飽和または不飽和の脂環式基、置換または非置換の芳香族基、置換または非置換の複素芳香族基、飽和または不飽和複素環基からなる群から選択されるかまたは、それらが結合している窒素分子と一緒になって、置換または非置換の複素環または複素芳香族環を形成することができ;Ar、Ar、W、X、Y、AおよびBは式Xについて先に定義されている通りである)により表わされる化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグである。式XIの化合物の一実施形態においては、Arはアミノピラゾールである。
【0024】
1つの実施形態において、本発明の化合物は、式XII
【化13】


(式中、
− R、R30、R40、W、XおよびYが、式XおよびXIについて先に定義された通りであり、
− A’は、それが結合している炭素原子と共に、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NH(CO)、NH(CO)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択されている)
によって表わされる化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグである。
【0025】
式XIIの化合物の1セットにおいて、Arは、下記に記載の基から選択され、さらに置換され得る。
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
式XIIの化合物の別のセットにおいて、Arは、下記に記載の基から選択され、さらに置換され得る。
【0029】
【表3】

【0030】
式Xの化合物の1サブセットは、式XIII
【化14】


(式中、
− A’はOまたはN(CO)R11であり;
− Rは水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり;
− TはNRであり、ここでRおよびRは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(v)水素;
(vi)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(vii)−R;および
(viii)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである):
からなる群から独立して選択される);
(l)−C(O)NHR
(m)−C(O)OR
(n)アミノ酸残基;
(o)(RO)(RO)P(O)−;および
(p)−S(O)
から選択され;
− あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって縮合または非縮合、置換または非置換の複素環を形成し;
− W、WおよびWは各々独立して選択されるS、N、OまたはCR10であり;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族化合物から選択され;
− WはNまたはCであり;
− ただしここで、W、W、WおよびWは、それらが属する5員環がチアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,4−チアジアゾール、トリアゾールまたはテトラゾールとなるように選択されることが条件であり、
− Ar、R11およびYは、式Xについて先に定義されている通りである)
によって表わされる化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグである。
【0031】
式Xの化合物の別のサブセットは、式(XIV)
【化15】


(式中、
− A’がOまたはN(CO)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、W〜W、R11およびYが式XIIIについて先に定義された通りである)
によって表わされる化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグである。
【0032】
式Xの化合物のさらに別のサブセットは、式XV
【化16】


(式中、
− A’がOまたはN(CO)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり、T、W〜W、R11、RおよびYが式XIIIについて先に定義された通りである)
によって表わされる化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグである。
【0033】
本発明の別の実施形態においては、式XVI
【化17】


(式中
− Arが
【化18】


からなる群から選択され、
− A’がオキソまたはNC(O)Rであり;
− Rは水素、−C(O)R(好ましくはアミノ酸残基)または(RO)(RO)P(O)−であり;
− 各々のRは独立して、水素、置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換シクロアルキルまたは置換または非置換ヘテロシクロアルキルから選択され、
− 各々のRおよびRは、独立して水素、置換または非置換アルキルまたは置換または非置換アルケニルから選択され、
− YはHまたはFであり、RpはHまたはヒドロキシ保護基である)
の化合物が開示されている。
【0034】
本発明は、式Xの化合物の薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグをも企図している。
【0035】
式XVIの化合物の第1の好ましいサブセットにおいては、Rは水素またはアミノ酸残基である。式Iの化合物の第2の好ましいサブセットにおいては、A’はオキソまたはNC(O)Rであり、ここでRはC〜C−アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはイソプロピルである。
【0036】
一実施形態において、Rは、
【化19】


という式のアミノ酸残基であり、式中qは1〜5の整数であり;各々のXおよびXは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、置換シクロアルキルアルキルまたはシクロアルキルアルキルである。RおよびRは各々独立して水素、アシル(例えば、−C(O)R)、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルである。あるいはXが水素でありqが1である場合、XおよびRは共にC〜C−アルキレン基またはC〜C−アルケニレン基を形成できる。
【0037】
好ましい実施形態においては、Rはα−アミノ酸残基であり、すなわちqは1である。より好ましくは、qは1であり、Xは水素である。さらに一層好ましくは、Rはグリシン、D−およびL−アラニン、D−およびL−フェニルアラニン、D−およびL−チロシン、D−およびL−ロイシン、D−およびL−イソロイシン、D−およびL−バリン、D−およびL−システイン、D−およびL−トレオニン、D−およびL−セリン、D−およびL−アルギニン、D−およびL−アスパラギン酸、D−およびL−グルタミン酸、D−およびL−リジン、D−およびL−ヒスチジン、D−およびL−アスパラギン、D−およびL−プロリン、D−およびL−トリプトファン、D−およびL−グルタミン、 D−およびL−メチオニン、D−およびL−ホモプロリン、D−および−L−β−アラニン、D−およびL−ノルバリン、D−およびL−ノルロイシン、D−およびL−シクロヘキシルアラニン、D−およびL−t−ブチルグリシン、D−およびL−4−ヒドロキシプロリン、D−およびL−ヒドロキシリジン、D−およびL−デモシン、D−およびL−イソデモシン、D−およびL−3−メチルヒスチジン、γ−アミノ酪酸、D−およびL−シトルリン、D−およびL−ホモシステイン、D−およびL−ホモセリン、D−およびL−オルニチンならびにD−およびL−メチオニンスルホンの残基からなる群から選択される。キラルアミノ酸残基についてはL−鏡像体が好ましい。
【0038】
好ましい実施形態においては、Rは天然に発生するL−アミノ酸残基の残基である。天然に発生するL−アミノ酸残基の適切な残基としては、以下に記すものが含まれるがこれらに限定されない:
【化20】

【0039】
特に好ましい実施形態においては、RはL−ロイシンまたはL−アラニンの残基である。
【0040】
本発明の具体的化合物には、下表1に記されている通りの式XVIにより表わされる化合物1〜30、ならびにこれらの化合物の薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグが含まれる。
【化21】

【0041】
【表4】

【0042】
【表5】

【0043】
本発明に係る追加の代表的化合物は、表2〜5中に記されている通りの式XVIの化合物である。
【0044】
【表6】

【0045】
【表7】

【0046】
【表8】

【0047】
【表9】

【0048】
【表10】

【0049】
【表11】

【0050】
【表12】

【0051】
【表13】

【0052】
本発明のさらなる実施形態には、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、本明細書中で描写されている任意の単一の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを含む医薬組成物が含まれる。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態は、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、本明細書中で描写されている2つ以上の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグの組合せを含む医薬組成物である。
【0054】
さらに本発明のさらなる実施形態は、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、当該技術分野において公知の1つ以上の抗生物質(例えばペニシリン、アモキシシリン、アジスロマイシン、エリスロマイシン、シプロフロキサシン、テリスロマイシン、セスロマイシンなど)と組合せた形で本明細書中で描写された任意の単一化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを含む医薬組成物である。
【0055】
さらに、本発明は、本明細書中で描写されている任意の合成方法を介して本明細書中で描写されている任意の化合物を作る方法を企図している。
【0056】
定義
以下に列挙するのは、本発明を記述するために用いられるさまざまな用語の定義である。これらの定義は、個別にかまたはより大きいグループの一部として具体的ケースにおいて別段の限定がある場合を除き、本明細書および特許請求の範囲全体を通して使用されている通りに各用語に適用される。
【0057】
本明細書中で使用する「アリール」という用語は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、イデニルを含めた(ただしこれらに限定されない)単環または多環式炭素環式環系を意味する。
【0058】
本明細書中で使用する「ヘテロアリール」という用語は、S、OおよびNから選択される1つ以上の環状原子を有する単環または多環式芳香族ラジカルを意味し、残りの環状原子は炭素であり、ここで環内に含まれているいずれかのNまたはSは任意には酸化されていてよい。ヘテロアリールにはピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミゾリル、ベンゾキサゾリル、キノキサリニルが含まれるが、これらに限定されない。
【0059】
本発明によると、本明細書中に記述されているアリール、置換アリール、ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールは、任意の芳香族基であり得る。芳香族基は、置換または非置換であり得る。
【0060】
本明細書で使用される「C〜Cアルキル」または「C〜C12アルキル」という用語は、それぞれ1個〜8個の間、または1個〜12個の間の炭素原子をそれぞれ含む飽和した直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。C〜Cアルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、ヘプチルおよびオクチルラジカルがあるがこれに限定されず;かつC〜C12アルキルラジカルの例としては、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルラジカルが含まれるが、これらに限定されない。「アルキレン」という用語は、さらに水素原子が除去されてジラジカル基を形成したアルキル基を意味する。C〜Cアルキレンラジカルの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ブチレン、tert−ブチレン、ネオペンチレン、n−ヘキシレン、ヘプチレンおよびオクチレンラジカルが含まれるが、これらに限定されず;C〜C12アルキルラジカルの例としては、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n−ヘキシレン、オクチレン、デシレン、ドデシレンラジカルが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
本明細書中で使用される「C〜Cアルケニル」という用語は、単一水素原子の除去により少なくとも1つの炭素−炭素2重結合を有する2〜8個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。アルケニル基には例えばエテニル、プロペニル、ブテニル、1−メチル−2−ブテン−1−イル、ヘプテニル、オクテニルなどが含まれるがこれらに限定されない。「アルケニレン」という用語は、さらに水素原子が除去されてジラジカル基を形成したアルケニル基を意味する。アルケニレン基にはエテニレン、プロピニレン、ブテニレン、1−メチル−2−ブテン−1−イレン、ヘプテニレン、オクテニレン、などが含まれるがこれらに限定されない。
【0062】
本明細書中で使用される「C〜Cアルキニル」という用語は、単一水素原子の除去により少なくとも1つの炭素−炭素3重結合を有する2〜8個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖炭化水素ラジカルを意味する。代表的アルキニル基には、例えばエチニル、1−プロピニル、1−ブチニル、へプチニル、オクチニルなどが含まれるが、これらに限定されない。「アルキニレン」という用語は、さらに水素原子が除去されてジラジカル基を形成したアルキニル基を意味する。アルキニレン基には、例えばエチニレン、プロピニレン、ブチニレン、1−メチル−2−ブチン−1−イレン、ヘプチニレン、オクチニレンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0063】
本明細書で使用する「C〜C−シクロアルキル」または「C〜C12−シクロアルキル」という用語は、単環式または多環式飽和炭素環式化合物を意味する。C〜C−シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロオクチルが含まれるが、これらに限定されず;C〜C12−シクロアルキルの例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル、およびビシクロ[2.2.2]オクチルが含まれるが、これらに限定されない。
【0064】
本明細書で使用する「C〜Cシクロアルケニル」または「C〜C12−シクロアルケニル」という用語は、少なくとも1つの炭素−炭素2重結合を有する単環式または多環式炭素環式化合物を意味する。C〜Cシクロアルケニルの例としては、シクロプロピニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが含まれるが、これらに限定されず;C〜C12シクロアルケニルの例としては、シクロプロピニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロオクテニルなどが含まれるがこれらに限定されない。
【0065】
本明細書中で記述されているいずれかのアルキル、アルケニル、アルキニルおよびシクロアルキル部分が同様に脂肪族基、脂環式基または複素環基でもあり得るということが理解される。「脂肪族」基は、炭素原子、水素原子、ハロゲン原子、酸素、窒素またはその他の原子の任意の組合せを含んでいてよく、任意には1つ以上の不飽和単位、例えば2重結合および/または3重結合を含む非芳香族部分である。脂肪族基は、直鎖、分岐または環式であり得、好ましくは約1〜約24個の炭素原子、より典型的には約1個〜約12個の間の炭素原子を含む。脂肪族炭化水素基に加えて、脂肪族基は、例えばポリアルコキシアルキル、例えばポリアルキレングリコール、ポリアミンおよびポリイミンなどを含む。かかる脂肪族基はさらに置換されてよい。
【0066】
本明細書中で使用する「脂環式」という用語は、単一水素原子の除去により単環または二環式飽和炭素環式化合物から誘導された一価の基を表わす。例としてはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルおよびビシクロ[2.2.2]オクチルが含まれるが、これらに限定されない。かかる脂環式基はさらに置換されてよい。
【0067】
「複素環式」または「ヘテロシクロアルキル」という用語は、同義的に使用でき、(i)各環系が、酸素、硫黄および窒素から独立して選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含み、(ii)各環系が飽和または不飽和であり得、(iii)窒素および硫黄ヘテロ原子が任意には酸化されていてよく、(iv)窒素ヘテロ原子が任意には四級化されてよく、(iv)上述の環のいずれかを芳香族環に縮合させてよく、かつ(v)残りの環原子は、任意にはオキソ置換されてよい炭素原子である、非芳香族環または二環式または三環式基に縮合された系を意味することができる。代表的複素環基には、1,3−ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニルおよびテトラヒドロフリルが含まれるが、これらに限定されない。かかる複素環基はさらに置換されてよい。
【0068】
「置換(された)」という用語は、重水素、3重水素、−F、−Cl、−Br、−I、−OH、保護されたヒドロキシ、−NO、−CN、−NH、保護されたアミノ、オキソ、チオキソ、−NH−C〜C12−アルキル、−NH−C〜C−アルケニル、−NH−C〜C−アルキニル、−NH−C〜C12−シクロアルキル、−NH−アリール、−NH−ヘテロアリール、−NH−ヘテロシクロアルキル、−ジアルキルアミノ、−ジアリールアミノ、−ジヘテロアリールアミノ、−O−C〜C12−アルキル、−O−C〜C−アルケニル、−O−C〜C−アルキニル、−O−C〜C12−シクロアルキル、−O−アリール、−O−ヘテロアリール、−O−ヘテロシクロアルキル、−C(O)−C〜C12−アルキル、−C(O)−C〜C−アルケニル、−C(O)−C〜C−アルキニル、−C(O)−C〜C12−シクロアルキル、−C(O)−アリール、−C(O)−ヘテロアリール、−C(O)−ヘテロシクロアルキル、−C(O)NH、−C(O)NH−C〜C12−アルキル、−C(O)NH−C〜C−アルケニル、−C(O)NH−C〜C−アルキニル、−C(O)NH−C〜C12−シクロアルキル、−C(O)NH−アリール、−C(O)NH−ヘテロアリール、−C(O)NH−ヘテロシクロアルキル、−OC(O)−C〜C12−アルキル、−OC(O)−C〜C−アルケニル、−OC(O)−C〜C−アルキニル、−OC(O)−C〜C12−シクロアルキル、−OC(O)−アリール、−OC(O)−ヘテロアリール、−OC(O)−ヘテロシクロアルキル、−OC(O)NH、−OC(O)NH−C〜C12−アルキル、−OC(O)NH−C〜C−アルケニル、−OC(O)NH−C〜C−アルキニル、−OC(O)NH−C〜C12−シクロアルキル、−OC(O)NH−アリール、−OC(O)NH−ヘテロアリール、−OC(O)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)−C〜C12−アルキル、−NHC(O)−C〜C−アルケニル、−NHC(O)−C〜C−アルキニル、−NHC(O)−C〜C12−シクロアルキル、−NHC(O)−アリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)−C〜C12−アルキル、−NHC(O)−C〜C−アルケニル、−NHC(O)−C〜C−アルキニル、−NHC(O)−C〜C12−シクロアルキル、−NHC(O)−アリール、−NHC(O)−ヘテロアリール、−NHC(O)−ヘテロシクロアルキル、−NHC(O)NH、−NHC(O)NH−C〜C12−アルキル、−NHC(O)NH−C〜C−アルケニル、−NHC(O)NH−C〜C−アルキニル、−NHC(O)NH−C〜C12−シクロアルキル、−NHC(O)NH−アリール、−NHC(O)NH−ヘテロアリール、−NHC(O)NH−ヘテロシクロアルキル、NHC(S)NH、−NHC(S)NH−C〜C12−アルキル、−NHC(S)NH−C〜C−アルケニル、−NHC(S)NH−C〜C−アルキニル、−NHC(S)NH−C〜C12−シクロアルキル、−NHC(S)NH−アリール、−NHC(S)NH−ヘテロアリール、−NHC(S)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)NH、−NHC(NH)NH−C〜C12−アルキル、−NHC(NH)NH−C〜C−アルケニル、−NHC(NH)NH−C〜C−アルキニル、−NHC(NH)NH−C〜C12−シクロアルキル、−NHC(NH)NH−アリール、−NHC(NH)NH−ヘテロアリール、−NHC(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−NHC(NH)−C〜C12−アルキル、−NHC(NH)−C〜C−アルケニル、−NHC(NH)−C〜C−アルキニル、−NHC(NH)−C〜C12−シクロアルキル、−NHC(NH)−アリール、−NHC(NH)−ヘテロアリール、−NHC(NH)−ヘテロシクロアルキル、−C(NH)NH−C〜C12−アルキル、−C(NH)NH−C〜C−アルケニル、−C(NH)NH−C〜C−アルキニル、−C(NH)NH−C〜C12−シクロアルキル、−C(NH)NH−アリール、−C(NH)NH−ヘテロアリール、−C(NH)NH−ヘテロシクロアルキル、−S(O)−C〜C12−アルキル、−S(O)−C〜C−アルケニル、−S(O)−C〜C−アルキニル、−S(O)−C〜C12−シクロアルキル、−S(O)−アリール、−S(O)−ヘテロアリール、−S(O)−ヘテロシクロアルキル−SONH、−SONH−C〜C12−アルキル、−SONH−C〜C−アルケニル、−SONH−C〜C−アルキニル、−SONH−C〜C12−シクロアルキル、−SONH−アリール、−SONH−ヘテロアリール、−SONH−ヘテロシクロアルキル、−NHSO−C〜C12−アルキル、−NHSO−C〜C−アルケニル、−NHSO−C〜C−アルキニル、−NHSO−C〜C12−シクロアルキル、−NHSO−アリール、−NHSO−ヘテロアリール、−NHSO−ヘテロシクロアルキル、−CHNH、−CHSOCH、−アリール、−アリールアルキル、−ヘテロアリール、−ヘテロアリールアルキル、−ヘテロシクロアルキル、−C−C12−シクロアルキル、ポリアルコキシアルキル、ポリアルコキシ、−メトキシメトキシ、−メトキシエトキシ、−SH、−S−C〜C12−アルキル、−S−C〜C−アルケニル、−S−C〜C−アルキニル、−S−C〜C12−シクロアルキル、−S−アリール、−S−ヘテロアリール、−S−ヘテロシクロアルキルまたはメチルチオメチルを含めた(ただしこれらに限定されない)置換基による、化合物上にある1、2または3個以上の水素原子の独立した置換による置換を意味する。アリール、ヘテロアリール、アルキルなどはさらに置換可能であることがわかっている。
【0069】
「単糖類」という用語は、クラジノース、アロース、アルトロース、アラビノース、エリスロース、エリスルロース、フルクトース、D−フシトール、L−フシトール、フコサミン、フコース、ガラクトサミン、D−ガラクトサミニトール、ガラクトース、グルコサミン、グルコサミニトール、グルコース、グリセルアルデヒド、グリセロール、グリセロン、グロース、イドース、リキソース、マンノサミン、アノース、プシコース、キノボース、キノボサミン、ラムニトール、ラムノサミン、ラムノース、リボース、リブロース、ソルボース、タガトース、酒石酸、トレオース、キシロースおよびキシルロースのラジカルを包含する。単糖類はさらに、デオキシ糖(アルコールヒドロキシ基が水素により置換されている)、アミノ糖(アルコールヒドロキシ基がアミノ基により置換されている)、チオ糖(アルコールヒドロキシ基がチオールにより置換されている、またはC=OがC=Sにより置換されている、または環状の環酸素が硫黄により置換されている)、セレノ糖、テルロ糖、アザ糖(環炭素が窒素により置換されている)、イミノ糖(環酸素が窒素により置換されている)、ホスファノ糖(環酸素がリンで置換されている)、ホスファ糖(環炭素がリンで置換されている)、C置換単糖(非末端炭素原子にある水素が炭素で置換されたている)、不飽和単糖、アルジトール(カルボニル基がCHOH基で置換されている)、アルドン酸(アルデヒド基がカルボキシ基により置換されている)、ケトアルドン酸、ウロン酸、糖酸などであってよい。アミノ糖には、アミノ単糖類、好ましくはガラクトサミン、グルコサミン、マンノサミン、フコサミン、キノボサミン、ノイラミン酸、ムラミン酸、ラクトースジアミン、アコサミン、バシロサミン、ダウノサミン、デソサミン、フォロサミン、ガロサミン、カノサミン、カンソサミン、ミカミノース、マイコサミン、ペロサミン、ニューモサミン、プルプロサミン、ロドサミンが含まれる。単糖類などをさらに置換できるということがわかっている。
【0070】
「二糖類」、「三糖類」および「多糖類」といった用語は、アベクオース、アミセトース、アミロース、アピオース、アルカノース、アスカリロース、アスコルビン酸、ボイビノース、セロビオース、セロトリオース、カコトリオース、カルコース、コリトース、シマロース、2−デオキシリボース、2−デオキシグルコース、ディジノース、ディジタロース、ディジトキソース、エバロース、エベミトロース、ゲンチアノース、ゲンチオビオース、ハマメロース、イヌリン、イソレボグルコセノン、イソマルトース、イソマルトトリオース、イソパノース、コジビオース、ラクトース、ラクサミン、ラクトースジアミン、ラミナラビオース、レボグルコサン、レボグルコセノン、β−マルトース、マンニノトリオース、メレジトース、メリビオース、ムラミン酸、ミカロース、ミシノース、ノイラミン酸、ニゲロース、ノジリマイシン、ノビオース、オレアンドロース、パンノース、パラトース、プランテオース、プリメベロース、ラフィノース、ロジノース、ルチノース、サルメントース、セドヘプツロース、セドヘプツロサン、サラトリオース、ソフォロース、スタキオース、ストレプトース、スクロース、α,α−トレハロース、トレハロサミン、ツラノース、チベロース、ウンベリフェロースなどのラジカルを包含する。さらに、「二糖類」、「三糖類」および「多糖類」などをさらに置換できるということがわかっている。二糖類には同様にアミノ糖およびその誘導体、詳細にはC−4’位で誘導体化されたミカミノースまたはC−6’位で誘導体化された4デオキシ−3−アミノ−グルコースも含まれる。
【0071】
「三糖類」という用語には、アミノ糖およびハロ糖が含まれ、ここでハロ糖は少なくとも1つのハロゲン置換基を有するサッカリド基である。
【0072】
本明細書で使用される「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を意味する。
【0073】
本明細書で使用される「ヒドロキシ活性化基」という用語は、置換または脱離反応などにおける合成手順中に出発するようにヒドロキシ基を活性化するための当該技術分野において公知の不安定な化学的部分を意味する。ヒドロキシ活性化基の例としては、メシレート、トシレート、トリフレート、p−ニトロベンゾエート、ホスホネートなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
本明細書で使用される「活性化ヒドロキシ」という用語は、メシレート、トシレート、トリフレート、p−ニトロベンゾエート、ホスホネート基などを含む、以上で定義された通りのヒドロキシ活性化基で活性化されたヒドロキシ基を意味する。
【0075】
本明細書中で使用される「ヒドロキシ保護基」という用語は、合成手順中にヒドロキシル基を望ましくない反応から保護するための当該技術分野において公知である不安定な化学的部分を意味する。前記1つまたは複数の合成手順の後、本明細書中で記述されている通りのヒドロキシ保護基は、選択的に除去されてよい。当該技術分野において公知のヒドロキシ保護基は、T.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Group in Organic Synthesis、第3版、John Wiley & Sons,New York(1999年)の中で一般的に記述されている。ヒドロキシ保護基の例としては、ベンジルオキシカルボニル、4−ニトロベンジルオキシカルボニル、4−ブロモベンジルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、メトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ジフェニルメトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、2−(トリメチルシリル)エトキシカルボニル、2−フルフリルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、アセチル、ホルミル、クロロアセチル、トリフルオロアセチル、メトキシアセチル、フェノキシアセチル、ベンゾイル、メチル、t−ブチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、1,1−ジメチル−2−プロピニル、3−メチル−3−ブテニル、アリル、ベンジル、パラ−メトキシベンジルジフェニルメチル、トリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロフリル、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、メタンスルホニル、パラ−トルエンスルホニル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリルなど含まれる。本発明のための好ましいヒドロキシル保護基は、アセチル(Acまたは−C(O)CH)、ベンゾイル(Bzまたは−C(O)C)、およびトリメチルシリル(TMSまたはSi(CH)である。
【0076】
本明細書中で使用されている「保護されたヒドロキシ」という用語は、ベンゾイル、アセチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、メトキシメチル基などを含めた、以上で定義された通りのヒドロキシ保護基で保護されたヒドロキシ基を意味する。
【0077】
本明細書中で使用される「ヒドロキシプロドラッグ基」という用語は、ヒドロキシ基を被覆またはマスキングすることにより過渡的な形で親薬剤の物理化学的、ひいては生物学的特性を変化させることが当該技術分野において公知であるプロモエティを意味する。前記1つまたは複数の合成手順の後、本明細書中に記述されているヒドロキシプロドラッグ基は、生体内でヒドロキシ基に逆戻りすることができなければならない。当該技術分野において公知のヒドロキシプロドラッグ基は、Kenneth B.Sloan、「Prodrugs、Topical and Ocular Drug Delivery」、(Drugs and the Pharmaceutical Sciences;第53巻)、Marcel Dekker,Inc.、New York(1992年)において一般的に記述されている。
【0078】
本明細書で使用される「アミノ保護基」という用語は、合成手順の間に望ましくない反応からアミノ基を保護するための当該技術分野において公知の不安定な化学的部分を意味する。前記1つまたは複数の手順の後、本明細書中で記述されているアミノ保護基を選択的に除去することができる。当該技術分野において公知のアミノ保護基は、T.H.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第3版、John Wiley & Sons、New York(1999年)の中で一般的に記述されている。アミノ保護基の例としては、t−ブトキシカルボニル、9−フルオレニルメトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0079】
「離脱基」という用語は、求核置換反応などの置換反応において別の官能基または原子により変位され得る官能基または原子を意味する。一例として、代表的離脱基には、クロロ、ブロモおよびヨード基;スルホン酸エステル基例えばメシレート、トシレート、ブロシレート、ノシレートなど;およびアシルオキシ基例えばアセトキシ、トリフルオロアセトキシなどが含まれる。
【0080】
本明細書中で使用される「保護されたアミノ」という用語は、以上で定義されたアミノ酸保護基で保護されたアミノ基を意味する。
【0081】
本明細書中で使用される「非プロトン性溶媒」という用語は、プロトン活性に対し比較的不活性である、すなわちプロトン供与体として作用しない溶媒を意味する。例としては、炭化水素、例えばヘキサンおよびトルエン、例えばハロゲン化炭化水素、例えば塩化メチレン、塩化エチレン、クロロホルムなど、複素環式化合物、例えばテトラヒドロフランおよびN−メチルピロリジノン、ならびにエーテル例えばジエチルエーテル、ビス−メトキシメチルエーテルが含まれるが、これらに限定されない。かかる化合物は、当業者にとっては周知であり、個別の溶媒またはその混合物が、試薬の溶解度、試薬の反応度および好ましい温度範囲などの要因に応じて、特定の化合物および反応条件にとって好適であるかもしれない、ということは当業者には明白である。非プロトン性溶媒のさらなる論述は、例えば「Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification」、第4版、John A.Riddickら編、第II巻、「Techniques of Chemistry Series」中、John Wiley & Sons、NY、1986年などの、有機化学教本または専門的モノグラフの中に見出されるかもしれない。
【0082】
本明細書中で使用されている「プロトン性溶媒」という用語は、プロトンを供与する傾向をもつ溶媒例えばアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノールなどを意味する。かかる溶媒は、当業者にとっては周知であり、個別の溶媒またはその混合物が、試薬の溶解度、試薬の反応度および好ましい温度範囲などの要因に応じて、特定の化合物および反応条件にとって好適であるかもしれない、ということは当業者には明白である。プロトン性溶媒のさらなる論述は、例えば「Organic Solvents Physical Properties and Methods of Purification」、第4版、John A.Riddickら編、第II巻、「Techniques of Chemistry Series」中、John Wiley & Sons、NY、1986年などの、有機化学教本または専門的モノグラフの中に見出されるかもしれない。
【0083】
本発明によって想定されている置換基および変数の組合せは、安定した化合物の形成を結果としてもたらすものだけである。本明細書中で用いられる「安定した」という用語は、製造を可能にするのに充分な安定性を有しかつ本明細書中で詳述された目的(例えば対象に対する治療的または予防的投与)にとって有用となるのに充分な時間化合物の完全性を維持する化合物を意味している。
【0084】
合成された化合物を、反応混合物から分離して、カラムクロマトグラフィ、高圧液体クロマトグラフィまたは再結晶化などの方法により精製することが可能である。当業者であれば認識することができるように、本明細書中の式の化合物を合成するさらなる方法は、当業者にとって明白である。さらに、さまざまな合成ステップを交互のシーケンスまたは順序で実施して所望の化合物を得ることができる。本明細書中で記述されている化合物を合成する上で有用な合成化学変換および保護基方法(保護および脱保護)が当該技術分野において公知であり、これには例えばR.Larock、「Comprehensive Organic Transformations」、VCH Publishers(1989年);T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、第2版、John Wiley and Sons(1991年);L.FieserおよびM.Fieser、「Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis」、John Wiley and Sons(1994年);およびL.Paquette、編、「Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis」、John Wiley and Sons(1995年)およびその続版で記述されているようなものが含まれる。
【0085】
本明細書中で使用する「対象」という用語は、動物を意味する。好ましくは動物は哺乳動物である。より好ましくは、哺乳動物はヒトである。対象というのは同様に、例えばイヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、モルモット、魚、鳥なども意味している。
【0086】
本発明の化合物は、選択的生物学的特性を増強するべく適切な機能性を付加することにより修飾されてもよい。かかる修飾は当該技術分野において公知であり、これには、所与の生体系(例えば血液、リンパ系、中枢神経系)内への生物学的進入を増大させ、経口利用可能性を増大し、溶解度を増大させて注射による投与を可能にし、代謝を改変し、排泄速度を改変させる修飾が含まれていてよい。
【0087】
本明細書中に記述されている化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、かくして、絶対立体化学の観点から見てアミノ酸について(R)−または(S)−、或いはまた(D)−または(L)−として定義してよい鏡像体、ジアステレオマー、およびその他の立体異性体を発生させる。本発明は、考えられるこのような異性体ならびにそのラセミ体および光学的に純粋な形態を全て含むように意図されている。光学異性体は、上述の手順によってかまたはラセミ混合物を分割することによって、そのそれぞれの光学的に活性な前駆体から調製され得る。分割は、分割剤の存在下で、クロマトグラフィによってか、反復的結晶化によってかまたは当業者にとって公知のこれらの技術の何れかの組合せによって実施可能である。分割に関するさらなる詳細は、Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」(John Wiley & Sons、1981年)中に見出すことができる。本明細書中で記述される化合物がオレフィン2重結合、その他の不飽和、またはその他の幾何学的不斉中心を含んでいる場合、そして別段の規定のないかぎり、化合物はEおよびZの両方の幾何異性体またはシスおよびトランス異性体を含むことが意図される。同様にして、全ての互変異性型もまた含み入れられるように意図される。本明細書中で現われる任意の炭素−炭素2重結合の立体配置は、便宜上選択されているにすぎず、本文にそのような記述のないかぎり、特定の立体配置を指定するように意図されていない。したがって本明細書中でトランスとして任意に描写された炭素−炭素2重結合または炭素−ヘテロ原子2重結合は、シス、トランスまたは任意の割合でのこれら2つの混合物であってよい。
【0088】
本明細書中で使用する「薬学的に許容される塩」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無くヒトおよびより下等動物の組織と接触した状態で使用するのに適しかつ合理的な損益比にふさわしい塩を意味する。薬学的に許容される塩は、当該技術分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences、第66号:1〜19頁(1977年)の中で薬学的に許容される塩について詳述している。塩は、本発明の化合物の最終的単離および精製の間に原位置で、または適切な有機酸で遊離塩基官能基を反応させることによって別途調製可能である。薬学的に許容される塩の例としては、非毒性酸付加塩および、無機酸例えば塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸を用いてまたは有機酸例えば酢酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、ラクトビオン酸、コハク酸またはマロン酸を用いて、またはイオン交換などの当該技術分野において使用されているその他の方法を使用することによって形成されるアミノ基の塩が含まれるが、これらに限定されない。その他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロホスフェート、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒドロヨウ素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、ペル硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが含まれるが、これらに限定されない。代表的なアルカリまたはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが含まれる。さらなる薬学的に許容される塩としては、該当する場合、非毒性アンモニウム、第4級アンモニウムおよび、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、スルホン酸塩およびスルホン酸アリールなどの対イオンを用いて形成されたアミンカチオンが含まれる。
【0089】
本明細書中で使用する「薬学的に許容されるエステル」という用語は、生体内で加水分解し、人体内で容易に分解して親化合物またはその塩を残すものを含むエステルを意味する。適切なエステル基には、各アルキルまたはアルケニル部分が有利にも6個以下の炭素原子を有している、例えば薬学的に許容される脂肪族カルボン酸、特にアルカン酸、アルケン酸、シクロアルカン酸およびアルカンジオン酸から誘導されたものが含まれる。特定のエステルの例としては、ギ酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、アクリル酸エステルおよびエチルスクシン酸エステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
本明細書中で使用される「薬学的に許容されるプロドラッグ」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応など無くヒトおよびより下等動物の組織と接触した状態で使用するのに適し、合理的な損益比にふさわしく、かつその意図された用途のために有効である本発明の化合物のプロドラッグ、ならびに、可能な場合には本発明の化合物の両性イオン形態を意味する。本明細書中で使用する「プロドラッグ」は、生体内で代謝手段(例えば加水分解)によって、式Iの化合物へと転換可能である化合物を意味する。例えばBundgaard、(編)、「Design of Prodrugs」、Elsevier(1985年);Widderら、(編)、「Methods in Enzymology」、第4巻、Academic Press (1985);Krogsgaard−Larsenら、(編)、「Design and Application of Prodrugs、Textbook of Drug Design and Development」、第5章、113〜191頁(1991年);Bundgaardら、Journal of Drug Deliver Reviews、第8号:1〜38頁(1992年);Bundgaard、J.of Pharmaceutical Sciences、第77号:285頁以降参照(1988年);HiguchiおよびStella(編)「Prodrugs as Novel Drug Delivery Systems」、American Chemical Society(1975年);およびBernard Testa & Joachim Mayer、「Hydrolysis In Drug And Prodrug Metabolism:Chemistry、Biochemistry And Enzymology」John Wiley and Sons,Ltd.(2002年)で論述されているように、さまざまな形態のプロドラッグが当該技術分野において公知である。
【0091】
本発明は同様に、例えば水和物などの本発明の化合物の溶媒にも関する。
【0092】
本発明は同様に、式Iの化合物の薬学的に許容されるプロドラッグを含有する医薬組成物およびかかるプロドラッグを投与することを通して細菌感染を治療する方法をも包含している。例えば、遊離アミノ、アミド、ヒドロキシまたはカルボキシル基を有する式Iの化合物をプロドラッグに転換することができる。プロドラッグは、アミノ酸残基または2つ以上の(例えば2、3または4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖がアミドまたはエステル結合を通して式Iの化合物の遊離アミノ、ヒドロキシまたはカルボン酸基に共有結合により結合されている化合物を含む。アミノ酸残基には、3文字記号で一般的に呼称される20の天然に発生するアミノ酸が含まれるが、これらに限定されず、同じく、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、ベータ−アラニン、ガンマ−アミノ酪酸、シトルリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチンおよびメチオニンスルホンも含まれる。追加のタイプのプロドラッグも同様に包含されている。例えば、アミドまたはアルキルエステルとして、遊離カルボキシル基を誘導体化することができる。遊離ヒドロキシ基は、Advanced Drug Delivery Reviews、1996年、第19号、115頁で概説されているように、ヘミコハク酸塩類、エチルコハク酸塩、リン酸エステル類、酢酸ジメチルアミノ類およびホスホリルオキシメチルオキシカルボニル類を含む(ただしこれらに限定されない)基を用いて誘導体化されてよい。ヒドロキシ基のカルバミン酸プロドラッグ、スルホン酸エステルおよび硫酸エステルと同様に、ヒドロキシおよびアミノ基のカルバミン酸プロドラッグも含まれる。アシル基が、エーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む(ただしこれらに限定されない)基で任意に置換されているアルキルエステルであってよい、またはアシル基が上述の通りのアミノ酸エステルである、(アシルオキシ)メチルおよびアシルオキシ)エチルエーテルなどのヒドロキシ基の誘導体化も包含される。このタイプのプロドラッグは、J.Med.Chem.1996年、39、10の中で記述されている。遊離アミンを、アミド、スルホンアミドまたはホスホンアミドとして誘導体化することもできる。これらのプロドラッグ部分の全てがエーテル、アミンおよびカルボン酸官能基を含む(ただしこれらに限定されない)基を取込んでいてよい。
【0093】
本明細書中で使用されるように、別段の指示の無いかぎり、「細菌感染」または、「原生動物感染」という用語は、哺乳動物、魚類および鳥類で発生する細菌感染および原生動物感染ならびに本発明の化合物などの抗生物質を投与することによって治療または予防できる細菌感染または原生動物感染を含むがこれらに限定されない。このような細菌感染および原生動物感染およびかかる感染に関連する障害には、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus spp.)、またはシュードモナス属(Pseudomonas spp.)による感染に関連する肺炎、中耳炎、髄膜炎、静脈洞炎、気管支炎、扁桃腺炎、嚢胞性線維症(CF)および乳様突起炎;化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、グループCおよびG連鎖球菌類(streptococci)、クロストリジウム・ジプテリエ(Clostridium diptheriae)またはアクチノバシラス・ヘモリティカム(Actinobacillus haemolyticum)による感染に関連する咽頭炎、リウマチ熱、および糸球腎炎;肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、肺炎レジオネラ(Legionella pneumophila)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、ヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)または肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae);による感染に関連する気道感染;黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、コアグラーゼ陽性ブドウ球菌類(coagulase−positive staphylococci)(例えば、表皮ブドウ球菌(S.epidermidis)、S.ヘモリティカス(S.hemolyticus)など)、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)、(S.agalactiae)、連鎖球菌(Streptococcal)グループC−F(微小コロニー連鎖球菌類(minute−colony streptococci))、緑色連鎖球菌類(viridans streptococci)、コリネバクテリウム属(Corynebacterium spp.)、クロストリジウム属(Clostridium spp.)またはバルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)による感染に関連する、合併症のない皮膚および軟組織感染、膿瘍および骨髄炎および産褥熱;腐性ブドウ球菌(S.saprophyticus)または腸球菌属(Enterococcus spp)による感染に関連する、合併症のない急性尿路感染;尿道炎および子宮頸管炎;およびクラミジア・トラコマティス(Chlamydia trachomatis)、ヘモフィラス・デュクレイ(Haemophilus ducreyi)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ウレアプラズマ・ウレアリチカム(Ureaplasma urealyticum)または淋菌(Nesseria gonorrheae)による感染に関連する性病;黄色ブドウ球菌(S.aureus)(食中毒および毒素性ショック症候群)、またはグループA、SおよびC連鎖球菌類(streptococci)による感染症に関連する毒素障害;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)による感染に関連する潰瘍;回帰熱ボレリア(Borrelia recurrentis)による感染に関連する全身性熱疾患;ライム病ボレリア(Borrelia burgdorferi)による感染に関連するライム病;C.トラコマティス(C.trachomatis)、淋菌(N.gonorrhoeae)、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)、化膿連鎖球菌(S.pyogenes)、H.インフルエンザ(H.influenzae)またはリステリア属(Listeria spp.)による感染に関連する結膜炎、角膜炎および涙嚢炎;トリ型結核菌(Mycobacterium avium)またはマイコバクテリム・イントラセルラーレ(Mycobacterium intracellulare)による感染に関連する播種性マイコバクテリウムアビウム(Microbacterium avium)(鳥型結核菌)複合(MAC)病;カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)による感染に関連する胃腸炎;クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium spp.)による感染に関連する腸内原生動物類;緑色連鎖球菌類(viridans streptococci)による感染に関連する歯性感染;百日咳菌(Bordetella pertussis)による感染に関連する持続性咳;ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)またはバクテロイデス属(Bacteroides spp.)による感染に関連するガス壊疽;黄色ブドウ球菌(S.aureus)、プロピオニバクテリウム・アクネ(Propionibacterium acne)による皮膚感染;ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)または肺炎クラミジア(Chlamydia pneumoniae)による感染に関連するアテローム性動脈硬化症が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
動物において治療または予防できるこのような感染に関連する細菌感染および原生動物感染としては、P.ヘモリチカ(P.haemolytica.)、P.マルトシダ(P.multocida)、マイコプラズマ・ボビス(Mycoplasma bovis)またはボルデテラ属(Bordetella spp.)による感染に関連するウシ呼吸器系疾患;大腸菌(E.coli)または原生動物(protozoa)(例えば、コクシジウム(coccidia)、クリプトスポリジウム(cryptosporidia)など)による感染に関連するウシ腸疾患;黄色ブドウ球菌(S.aureus)、S.ウベリス(S.uberis)、S.アガラクタ(S.agalactiae)、S.ディスガラクチア(S.dysgalactiae)、クレブシエラ属(Klebsiella spp.)、コリネバクテリウム(Corynebacterium)または腸球菌属(Enterococcus spp.)による感染に関連する乳牛乳腺炎;A.プルロニューモニア(A.pleuropneumoniae)、P.ムルトシダ(P.multocida)またはマイコプラズマ属(Mycoplasma spp.)による感染に関連するブタ呼吸器系疾患;大腸菌(E.coli)、ローソニア・イントラセルラリス(Lawsonia intracellularis)、サルモネラ属(Salmonella spp.)またはセルプリナ・ハイオディセンテリア(Serpulina hyodysenteria)による感染に関連するブタ腸疾患;フソバクテリウム属(Fusobacterium spp.)による感染に関連する趾間腐乱;大腸菌(E.coli)による感染に関連するウシ子宮筋層炎;フソバクテリウム・ネクロフォラム(Fusobacterium necrophorum)またはバクテロイデス・ノドサス(Bacteroides nodosus)による感染に関連するウシ被毛疣;モラクセラ・ボビス(Moraxella bovis)による感染に関連するウシ伝染性結膜炎;原生動物(protozoa)(すなわち、ネオスポリウム(neosporium))による感染に関連するウシ早流産;大腸菌(E.coli)による感染に関連するイヌおよびネコの尿路感染症;S.エピデルミディス(S.epidermidis)、S.インテルメディウス(S.intermedius)、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(coagulase neg.Staphylococcus)またはP.ムルトシダ(P.multocida)による感染に関連するイヌおよびネコの皮膚および軟組織感染症;およびアルカリゲネス属(Alcaligenes spp.)、バクテロイデス属(Bacteroides spp.)、クロストリジウム属(Clostridium spp.)、エンテロバクター属(Enterobacter spp.)、ユーバクテリウム属(Eubacterium spp.)、ペプト連鎖球菌属(Peptostreptococcus spp.)、ポルフィロモナス属(Porphyromonas spp.)、カンピロバクター属(Campylobacter spp.)、アクチノマイセス属(Actinomyces spp.)、エリシペロスリクス属(Erysipelothrix spp.)、ロドコッカス属(Rhodococcus spp.)、トリパノゾーマ属(Trypanosoma spp.)、プラスモジウム属(Plasmodium spp.)、バベシア属(Babesia spp.)、トキソプラズマ属(Toxoplasma spp.)、ニューモシスティス属(Pneumocystis spp.)、リーシュマニア属(Leishmania spp.)、およびトリコモナス属(Trichomonas spp.)またはプレボテラ属(Prevotella spp.)による感染に関連するイヌおよびネコの歯牙または口腔内感染症が含まれるが、これらに限定されない。本発明の方法にしたがって治療または予防され得るその他の細菌感染および原生動物感染およびかかる感染に関係する障害については、J.P.Sanfordら、「The Sanford Guide To Antimicrobial Therapy」、第26版、(Antimicrobial Therapy,Inc.、1996年)の中で言及されている。
【0095】
抗菌活性
所与の細菌分離株に対する抗微生物剤の試験管内活性を定量的に測定するために、感受性試験を使用することができる。微量希釈法により試験管内抗菌活性について化合物をテストする。観察された細菌分離株について適切なブロス培地を用いて、96ウェルのマイクロタイタープレート内で最小発育阻止濃度(MIC)を決定する。抗微生物剤をDMSO中に連続希釈(2倍)して、約64μg/ml〜約0.03μg/mlの濃度範囲を生成する。その後、希釈した化合物(2μl/ウェル)を無菌の未接種培地(0.2mL)の中に、96固定型チップ−ピペット操作ステーションを用いて移送する。各細菌菌株についての接種材料を、0.5 McFarlandの濁度基準と光学的に比較することによって、およそ5×10個のCFU/mLに標準化する。10μl/ウェルの調整済み細菌接種材料をプレートに接種する。96ウェルプレートを被覆し、周囲空気環境内で24時間35+/−2℃でインキュベートする。インキュベーションの後、増殖の存在(濁度)について光学密度測定によりプレートウェルを目視で検査する。可視的増殖が発生しない抗微生物剤最低濃度をMICとして定義する。本発明の化合物は一般に、約64μg/mlから約0.03μg/mlの範囲内のMICを実証した。
【0096】
全ての試験管内試験は、Clinical Laboratory Standards Institutes(CLSI)により公表された認可規格M7−A7プロトコルの中で記述されているガイドラインにしたがう。
【0097】
本発明はさらに、本発明の少なくとも1つの化合物を治療上有効な量だけ、それを必要としている患者に投与するステップを含む、炎症性の病態を患う患者の治療用組成物および方法を提供する。本発明にしたがって治療可能である炎症性病態の具体的例には、強膜炎;上強膜炎;アレルギー性結膜炎;肺炎症疾患特に嚢胞性線維症(CF)、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)およびサルコイドーシス;直腸S状結腸炎;アレルギー性鼻炎;関節炎;腱炎;アフタ性口内炎および炎症性腸疾患が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
本発明はさらに、i)CFに関連する肺感染および炎症を含めたCF症候にかかりやすい患者の予防的処置、ii)CFに関連する肺感染および炎症の症候の初期発現における治療、およびiii)CFに関連する感染および炎症の継続的または再発性症候の治療のための組成物および方法を提供する。本発明によると、本発明の化合物のうちのいずれか1つに係る化合物が、CFの治療を必要とする患者に対して、慢性肺炎症および感染を含むCFの症候を予防し、減退させ或いは根絶するのに充分な量で投与される。
【0099】
医薬組成物
本発明の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に調合される本発明の化合物を治療上有効な量だけ含んでいる。
【0100】
本明細書において使用される「薬学的に許容される担体または賦形剤」という用語は、非毒性、不活性固体、半固体または液体の充填材、希釈剤、封入材料または任意のタイプの調合補助剤を意味する。薬学的に許容される担体として役立ち得る材料のいくつかの例としては、糖例えばラクトース、グルコース、およびスクロース;デンプン例えばコーンスターチおよびジャガイモデンプン;セルロースおよびその誘導体例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよびセルロースアセテート;トラガカント粉末;麦芽;ゼラチル;タルクであり;賦形剤例えばカカオバターおよび坐薬用ロウ;油例えば落花生油、綿実油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブ油、トウモロコシ油および大豆油;グリコール例えばプロピレングリコール;エステル例えばオレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤例えば水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム;アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液ならびにその他の非毒性相容性潤滑剤例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、香味剤および着香剤、防腐剤および酸化防止剤も、調合者の判断にしたがって組成物中に存在し得る。
【0101】
本発明の薬学組成物は、経口で、非経口で、吸入スプレーにより、局所的に、直腸経由で、経鼻的に、口腔経由で、膣経由でまたは埋込み型タンクを介して投与されてよく、好ましくは経口投与または注射により投与される。本発明の医薬組成物は、任意の従来の非毒性で薬学的に許容される担体、アジュバントまたはビヒクルを含んでいてよい。場合によっては、調合物のpHは、調合された化合物またはその送達形態の安定性を増強するため、薬学的に許容される酸、塩基または緩衝液で調整してよい。本明細書中で使用する非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、くも膜下腔内、頭蓋内注射または輸液技術を含む。
【0102】
経口投与向けの液体剤形には、薬学的に許容されるエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップおよびエレキシル剤が含まれる。活性化合物に加えて、液体剤形は、当該技術分野において一般に用いられる不活性希釈剤、例えば水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸塩ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油脂(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油および胡麻油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール類およびソルビタンの脂肪酸エステル類ならびにそれらの混合物を含んでいてよい。不活性希釈剤の他に、経口組成物は同様に、アジュバント例えば湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味料、香味剤および着香剤も含んでいてよい。
【0103】
注射用製剤例えば、無菌の注射用水性懸濁液または油性懸濁液は、適切な分散剤および湿潤剤および懸濁剤を用いて公知の技術にしたがって調合されてよい。無菌注射用製剤は、同様に、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として無毒性で非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液、懸濁液またはエマルジョンであってもよい。利用可能な許容されるビヒクルおよび溶媒としては、水、リンガー溶液、U.S.P.および等張食塩溶液がある。さらに、従来、溶媒または懸濁剤として無菌の固定油が利用されている。この目的で、合成モノまたはジグリセリドを含めたあらゆる無刺激性固定油を利用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注入物質の調製において利用される。
【0104】
例えば、細菌保持フィルターを通してのろ過によってかまたは、使用前に無菌水またはその他の無菌注射用媒質中で溶解または分散させることのできる無菌固体組成物の形で滅菌剤を取り込むことにより、注射用調合物を滅菌することができる。
【0105】
薬剤の効果を延長させるため、皮下または筋内注射からの薬剤の吸収を緩慢にすることが望ましい場合が多い。これは、水溶性の低い結晶質または非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成できる。このとき薬剤の吸収速度は、それ自体結晶サイズおよび結晶性形状によって左右され得るその溶解速度によって左右される。或いは、非経口投与される薬剤形態の吸収遅延は、油性ビヒクル中に薬剤を溶解させるかまたは懸濁させることによって達成される。注射用デポー形態は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に薬剤のマイクロカプセル化マトリクスを形成させることで作られる。ポリマーに対する薬剤の比および利用される特定のポリマーの性質に応じて、薬剤放出速度を制御することができる。その他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)またはポリ(無水物)が含まれる。デポー注射用調合物は同様に、体内組織と相容性あるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に薬剤を封入することによっても調製可能である。
【0106】
直腸または膣投与向けの組成物は好ましくは、本発明の化合物を周囲温度では固体であるものの体温では液体でありしたがって直腸および膣腔内で融解して活性化合物を放出する適切な非刺激性賦形剤または担体例えばカカオバター、ポリエチレングリコールまたは坐薬用ロウと混合することによって調製可能である。
【0107】
経口投与向けの固体剤形としては、カプセル、錠剤、丸薬、粉末および顆粒が含まれる。このような固体剤形において、活性化合物は、少なくとも1つの不活性で薬学的に許容される賦形剤または担体、例えばクエン酸ナトリウムまたは第2リン酸カルシウムおよび/または:a)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸、b)結合剤例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシア、c)保湿剤例えばグリセロール、d)崩壊剤例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、或る種のケイ酸塩および炭酸ナトリウム、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えばセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレートなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイト粘土などの吸収剤、およびi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびそれらの混合物などの潤滑剤と混合される。カプセル、錠剤および丸薬の場合、剤形は、緩衝剤も含んでいてよい。
【0108】
類似のタイプの固体組成物を、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて軟および硬充填ゼラチンカプセル内における充填剤として利用してもよい。
【0109】
錠剤、糖衣錠、カプセル、丸薬および顆粒の固体剤形は、医薬品製剤技術において周知の腸溶コーティングおよびその他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製可能である。これらは任意で、乳白剤を含有し、1つまたは複数の活性成分を限定的にまたは優先的に腸管の或る部分の中で放出し、任意で遅延して放出することになるような組成を有することもできる。使用可能な包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびロウが含まれる。
【0110】
本発明の化合物の局所的または経皮的投与のための剤形には、軟こう、ペースト、クリーム、ローション、ジェル、粉末、溶液、スプレー、吸入剤またはパッチが含まれる。活性成分は、薬学的に許容される担体と、必要に応じて任意の所要の防腐剤または緩衝液と、無菌条件下で混和される。眼科用調合物、点耳液、眼軟こう剤、粉末および溶液もまた、本発明の範囲内に入るものとして企図されている。
【0111】
軟こう、ペースト、クリームおよびジェルは、本発明の活性化合物に加えて、動物および植物性脂肪、油、ロウ、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルク、酸化亜鉛またはその混合物などの賦形剤を含んでいてよい。
【0112】
粉末およびスプレーは、本発明の化合物に比えて、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含み得る。スプレーは、さらに、クロロフルオロハイドロカーボンなどの通例の噴射剤を含み得る。
【0113】
経皮パッチは、体に対して化合物の制御された送達を提供するという付加的な利点を有する。このような剤形は、適切な媒質内に化合物を溶解させるかまたは配合することによって作ることができる。吸収促進薬を用いて、皮膚を横断する化合物の流束を増大させることもできる。速度は、速度制御膜を提供することまたはポリマーマトリクスまたはゲル内に化合物を分散させることのいずれかによって制御可能である。
【0114】
肺送達のためには、本発明の治療用組成物を調合し、例えば呼吸器系内への吸入などの直接投与によって固体または液体微粒子の形で患者に投与する。本発明を実施するために調製される活性化合物の固体または液体微粒子形態には、呼吸に適するサイズの粒子、すなわち、吸入時点で口および喉頭を通過し気管支および肺胞内に移行するのに充分小さいサイズの粒子が含まれる。エアロゾル化された治療用物質、特にエアロゾル化された抗生物質の送達は、当該技術分野において公知である(例えば全て本明細書に参照により援用されている、VanDevanterらに対する米国特許第5,767,068号明細書、Smithらに対する米国特許第5,508,269号明細書およびMontgomeryに対する国際公開第98/43,650号パンフレットを参照のこと)。抗生物質の肺送達についての論述は、本明細書に参照により援用されている米国特許第6,014,969号明細書中にも見出される。
【0115】
本発明の治療方法によると、ヒトまたは別の動物などの患者に対して本発明の治療上有効な量の化合物を、所望の結果を達成するのに必要な量および時間だけ投与することにより、かかる患者において細菌感染、嚢胞性線維症および炎症性病態が治療または予防される。
【0116】
「治療上有効な量」の本発明の化合物というのは、任意の医療的処置に対し適用可能な合理的な損益比で、処置を受けた対象に対する治療的効果を付与する化合物の量を意味する。
【0117】
治療的効果は、客観的(すなわち一部の試験またはマーカーによって測定可能である)であっても、または主観的(すなわち、対象が効果の兆候を示すかまたは効果を感じる)であってもよい。上述の化合物の有効量は、約0.1mg/Kg〜約500mg/Kg、好ましくは約1〜約50mg/Kgの範囲内であってよい。有効用量は、同様に、投与経路ならびにその他の作用物質との併用の可能性によっても異なる。しかしながら、本発明の化合物および組成物の一日総使用量は、適切な医療的判断の範囲内で、主治医により決定される。任意の特定の患者のための具体的な治療上有効な用量レベルは、治療対象の障害およびその障害の重症度;利用される具体的化合物の活性;利用される具体的組成物;患者の年令、体重、全身状態、性別および食生活;利用される具体的化合物の投与時刻、投与経路、および排泄速度;治療の持続時間;利用される具体的化合物と組合せてまたは同時に使用される薬剤および医療技術分野で周知の同様の因子を含めたさまざまな因子により左右される。
【0118】
単回または分割用量でヒトまたはその他の動物に対して投与される本発明の化合物の総日用量は、例えば体重1kgあたり0.01〜50mgまたはより通常には体重1kgあたり0.1〜25mgの量であり得る。単回用量組成物は、このような量または日用量を構成するためのその分量を含んでいてよい。一般に、本発明に係る治療計画は、かかる治療を必要としている患者に対して本発明の1つまたは複数の化合物を単回または複数回用量で一日あたり約10mg〜約1000mg投与することを含んでいる。
【0119】
本明細書中で記述されている式の化合物は、例えば、注射によって、静脈内で、動脈内で、皮下で(subdermally)、腹腔内で、筋内でまたは皮下で(subcutaneously);または経口で、口腔経由で、経鼻で、経粘膜で、局所的に、眼科製剤の形で、または吸入によって、体重1kgにつき約0.1〜約500mg/kgの範囲内の投薬量で、或いは1mg〜1000mg/用量の間の投薬量で、4〜120時間毎に、または特定の薬剤の要件にしたがって投与され得る。本明細書中の方法は、所望のまたは規定の効果を達成するための有効量の化合物または化合物組成物の投与を企図している。典型的には、本発明の医薬組成物は、一日あたり約1回〜約6回或いは一連続輸液として投与される。かかる投与は、慢性または急性療法として使用可能である。単回剤形を生産するために医薬賦形剤または担体と組合させてよい活性成分の量は、治療される宿主および特定の投与様式に応じて変動する。典型的製剤は約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含有する。或いは、かかる製剤は、約20%〜約80%の活性化合物を含んでいてよい。
【0120】
以上で記述したものより低いまたは高い用量が必要とされるかもしれない。いずれか特定の患者のための具体的な投薬量および治療計画は、利用される具体的化合物の活性、年令、体重、全身状態、性別、食生活、投与時刻、排泄速度、薬剤組合せ、疾病、病態または症候の重症度および経過、疾病、病態または症候に対する患者の体内動態、および担当医の判断を含めたさまざまな因子により左右される。
【0121】
患者の病態が改善した時点で、必要であれば、維持用量の本発明の化合物、組成物または組合せを投与してよい。その後、投薬量または投与頻度、またはその両方を、症候に応じて、症候が所望のレベルまで緩和された時点で改善された病態が保持されるレベルまで削減してよい。しかしながら患者は、疾病症候の再発時点で、長期にわたる間欠的治療を要求してもよい。
【0122】
本発明の組成物が本明細書中に記述された式の化合物および1つ以上の追加の治療用または予防用作用物質を含む場合、化合物および追加の作用物質は両方共、単剤療法計画において通常投与される投薬量の約1〜100%そしてより好ましくは約5〜95%の間の投薬量レベルで存在すべきである。追加の作用物質は、多剤投与計画の一部として本発明の化合物とは別に投与されてよい。あるいは、これらの作用物質を、単一の組成物中で本発明の化合物と混合した状態の単回剤形の一部としてもよい。
【0123】
本発明の医薬組成物は、魚飼料中に前記医薬組成物を配合することにより魚に経口投与することができ、そうでなければ、感染を受けた魚の入った水中に医薬組成物を溶解させてよく、これは、一般に薬浴と呼ばれる方法である。魚の治療のための投薬量は、投与目的(疾病の予防または治療)および投与の種類、治療すべき魚の大きさおよび感染の度合いに応じて異なる。一般的に、魚の体重1kgあたり1日5〜1000mg、好ましくは20〜100mgの投薬量を、一度にまたは数回に分割して投与してよい。以上で規定された投薬量が、単に一般的な範囲にすぎず、魚の年令、体重、疾病の病態に応じてこれを増減してよい、という点が認識される。
【0124】
別段の定義がないかぎり、本明細書中で使用される技術的および科学的用語すべてに、当業者にとって一般に公知である意味が付与される。本明細書中で言及されている全ての刊行物、特許、公開特許出願およびその他の参考文献は、その全体が本明細書に参照により援用される。
【0125】
略語
以下の合成スキームおよび実施例中に出現し得る略語は以下のものである:
Ac:アセチル
AcOH:酢酸
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
BINAP:2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;
BocO:ジ−tert−ブチル−ジカーボネート;
Boc:t−ブトキシカルボニル;
Bpoc:1−メチル−1−(4−ビフェニリル)エチルカルボニル;
Bz:ベンゾイル;
Bn:ベンジル;
BocNHOH:tert−ブチルN−ヒドロキシカルバメート;
t−BuOK:カリウムtert−ブトキシド;
BuSnH:水素化トリブチルチン;
BOP:(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート;
Brine(塩水):塩化ナトリウム水溶液;
CDI:カルボニルジイミダゾール;
CHCl:ジクロロメタン;
CH:メチル;
CHCN:アセトニトリル;
CsCO:炭酸セシウム;
CuCl:塩化銅(I);
CuI:ヨウ化銅(I);
dba:ジベンジリデンアセトン;
dppb:ジフェニルホスフィノブタン;
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン;
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド;
DEAD:アゾジカルボン酸ジエチル;
DIAD:アゾジカルボン酸ジイソプロピル;
DIPEAまたは(i−Pr)EtN:N,N,−ジイソプロピルエチルアミン;
Dess−Martin periodinane:1,1,1−トリス(アセチルオキシ)−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンズヨードキソール−3−(1H)−オン;
DMAP:4−ジメチルアミノピリジン;
DME:1,2−ジメトキシエタン;
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド;
DMSO:ジメチルスルホキシド;
DPPA:ジフェニルホスホリルアジド;
EDC:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド;
EDC HCl:N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミドヒドロクロリド;
EtOAc:酢酸エチル;
EtOH:エタノール;
EtO: ジエチルエーテル;
HATU:O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;
HCl:塩化水素;
HOBT:1−ヒドロキシベンゾトリアゾール;
CO:炭酸カリウム;
n−BuLi:n−ブチルリチウム;
i−BuLi:i−ブチルリチウム;
t−BuLi:t−ブチルリチウム;
PhLi:フェニルリチウム;
LDA:リチウムジイソプロピルアミド;
TMEDA:N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン;
LiTMP:リチウム 2,2,6,6−テトラメチルピペリジネート;
MeOH:メタノール;
Mg:マグネシウム;
MOM:メトキシメチル;
Ms:メシルまたは−SO−CH
MsO:メタンスルホン酸無水物またはメシル−無水物;
NaN(TMS):ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド;
NaCl:塩化ナトリウム;
NaH:水素化ナトリウム;
NaHCO:重炭酸ナトリウムまたは炭酸水素ナトリウム;
NaCO:炭酸ナトリウム;
NaOH:水酸化ナトリウム;
NaSO:硫酸ナトリウム;
NaHSO:重硫酸ナトリウムまたは硫酸水素ナトリウム;
Na:チオ硫酸ナトリウム;
NHNH:ヒドラジン;
NHHCO:重炭酸アンモニウム;
NHCl:塩化アンモニウム;
NMMO:N−メチルモルホリンN−オキシド;
NaIO:過ヨウ素酸ナトリウム;
Ni:ニッケル;
OH:ヒドロキシル;
OsO:四酸化オスミウム;
TEAまたはEtN:トリエチルアミン;
TFA:トリフルオロ酢酸;
THF:テトラヒドロフラン;
TPPまたはPPh:トリフェニルホスフィン;
Troc:2,2,2−トリクロロエチルカルボニル;
Ts:トシルまたは−SO−CCH
TsO:トリルスルホン酸無水物またはトシル−無水物;
TsOH:p−トリルスルホン酸;
Pd:パラジウム;
Ph:フェニル;
POPd:二水素ジクロロビス(ジ−tert−ブチルホスフィニト−κP)パラデート(II);
Pd(dba):トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);
Pd(PPh:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);
PdCl(PhP):トランス−ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II);
Pt:プラチナ;
Rh:ロジウム;
Ru: ルテニウム;
TBS:tert−ブチルジメチルシリル;または
TMS:トリメチルシリル;
TMSCl:塩化トリメチルシリル
【0126】
合成方法
本発明の化合物および方法は、本発明の化合物を調製し得る方法を例示する以下の合成スキームと結びつけてより良く理解される。本発明の化合物および方法は、本発明の化合物を調製し得る方法を例示する以下の合成スキームと結びつけてより良く理解される。
【0127】
本発明の化合物の調製のための好ましい中間体は、
【化22】


に例示されている式XVIIにより表わされる化合物であり、ここでR、L、U、V、W、A、B、R30、R40、Q’およびYは、先に定義づけした通りである。
【0128】
スキーム1〜2は、本発明に係る化合物の調製のための方法について記述する。
【0129】
本発明の化合物の調製のための出発材料として有用である式XVIIの化合物は、本明細書に参照により援用されている米国特許第6,878,691号明細書および7,129,221号明細書の中で記述されている手順を用いてエリスロマイシンから調製される。
【0130】
【化23】


スキーム1は、
【化24】


という式の適切な置換ヒドロキシルアミンを用いてVIIIの架橋ケトンを式(1−2)のオキシムへと転換することによる、本発明の化合物の調製方法を例示しており、ここでBAは先に定義した通りである。このオキシム形成は、さまざまな溶媒中において酸性または塩基性条件のいずれかの下で適切な置換ヒドロキシルアミンを用いて達成可能である。代表的酸としては、塩酸、リン酸、硫酸、p−トルエンスルホン酸、およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウムなどが含まれるが、これらに限定されない。同様に、代表的塩基としては、トリエチルアミン、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミン、2,6−ルチジンなどが含まれるが、これらに限定されない。適切な溶媒には、メタノール、エタノール、水、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、酢酸エチルなどが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、反応は、塩酸水を用いてエタノール中で実施される。反応温度は一般に、−20℃〜40℃であり、反応時間は1〜8時間であるが、これらに限定されず、好ましくは反応は0℃で実施される。
【0131】
【化25】


スキーム2は、水素化ナトリウム、水素化カリウム、カリウムtert−ブトキシド、水酸化カリウム、KHMDSなどの塩基(ただしこれらに限定されない)の存在下で、式R1−NCOのイソシアネート、式R1−C(O)Clの酸塩化物またはイソシアン酸アルキルで処理することにより、式(2−1)の化合物を式(2−2)の化合物に転換することのできる手順を例示している。この反応は、典型的にTHF、DMSO、DMFまたはジオキサンなど(ただしこれらに限定されない)の非プロトン性溶媒の中で実施される。反応温度は、25℃〜80℃である。好ましい反応時間は5〜20時間である。
【0132】
あるいは、EtN、ピリジン、DMAPなどの(ただしこれらに限定されない)塩基およびEDC、BOPCI、HATUなどの(但しこれらに限定されない)カップリング剤の存在下で、ジクロロメタン、塩化エチレン、THF、DMF、アセトニトリルなどの(ただしこれらに限定されない)非プロトン性溶媒中において、25℃〜80℃の温度で、式(2−1)の化合物を式R1−C(O)OHの酸を用いて処理することにより、式(2−2)のエステル化合物の一部を調製することができ、反応時間は2〜24時間である。
【0133】
式(2−1)の化合物をパラジウム触媒およびホスフィン添加物の存在下で置換tert−ブチルアリルカーボネートにより処理してアリルエーテルを得ることもできる。
【0134】

【化26】


の中間体を、当該技術分野において公知の方法にしたがって調製することができる。例えば、スキーム3およびスキーム4は、
【化27】


を調製するために利用可能な方法の一部である。
【0135】
【化28】


化合物3−1を、1〜24時間70〜160℃でトルエン、THF、DMFなどまたはその組合せなどのさまざまな溶媒中において、さまざまなパラジウム(O)カップリング条件下で化合物3−2とカップリングすることができる。結果として得られるビアリール3−3は、室温から60℃までの温度でメタノールまたはエタノールなどのアルコール溶媒中においてアンモニア、メチルアミン、ヒドラジンなどのアミン塩基の存在下で、対応するヒドロキシアミン3−4へと転換され得る。
【0136】
【化29】


化合物4−1を、アセトニトリル、THF、DMFなどまたはその組合せなどの有機溶媒中のN−BocヒドロキシアミンまたはN−ヒドロキシスクシニミドなどの保護されたヒドロキシルアミンを用いてアルキル化する。結果として得られるアルキル化生成物をヨウ化物源で置換して、塩化ピリジルをヨウ化ピリジル4−2に転換した。化合物4−2をさまざまなPd−カップリング条件下でパラジウム(O)源の存在下でアセチレン部分とカップリングして化合物4−3を得、これをさらにヒドロキシアミンと反応させ、HCl、MeSOHまたはp−トルエンスルホン酸などのプロトン酸の存在下で化合物4−4に環化する。
【0137】
印刷物、電子、コンピュータ可読記憶媒体またはその他の形態のいずれであれ、本明細書中で引用されている全ての参考文献は、摘要、記事、官報、刊行物、教科書、学術論文、インタネットウェブサイト、データベース、特許そして特許公報を含めて(ただしこれらに限定されない)、その全体が例示的に本明細書に参照により援用されている。
【実施例】
【0138】
本発明の化合物および方法は、あくまで例示として意図され本発明の範囲を限定するものではない以下の実施例と結びつけて、より良く理解される。当業者にとっては、開示された実施形態に対するさまざまな変更および修正が明らかであり、限定的意味なく、本発明の化学構造、置換基、誘導体、調合物および/または方法に関係するものを含むこのような変更および修正は、本発明の趣旨および添付の特許請求の範囲から逸脱することなく行なうことができる。
【0139】
実施例1
【化30】

【0140】
ステップ1a:
【化31】


エタノール(17mL)中のI−a(1.024g、1.378mmol)およびO−[5−(4−アミノチアゾール−2−イル)−ピリジン−2−イルメチル]−ヒドロキシアミン(I−b、306mg、1.378mmol)の混合物に対して、−30℃で1N−HCl水溶液(2.07mL)を滴下により添加し、30分間−30℃〜−10℃の間で撹拌した。反応混合物を酢酸イソプロピル(200mL)で希釈し、NaHCO水溶液(50mL)、水(50mL)および塩水で連続的に洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、乾燥するまで蒸発させた。酢酸エチル中の30%のアセトンを用いて短かいシリカゲルカラムに残渣を通過させ、浅黄色の発泡体として表題化合物I−cを得た。E/Z=3.4:1。MS:(ESI)m/z(M+H)947.7。
【0141】
ステップ1b:
【化32】


先に得たI−cをRP−HPLCによって精製して、純粋E−異性体を得、これをメタノール(10mL)中に溶解させ、32時間室温に保って2’−OAc保護基を除去し、蒸発させて、表題化合物1を淡いオレンジ色の発泡体として得た。
MS:(ESI)m/z(M+H)905.4。
13C−NMR(CDCl):δ205.1、204.9、187.3、176.9、164.7、164.5、162.3、159.2、157.3、154.2、146.5、133.4、128.3、121.3、103.9、99.5、97.9、90.8、79.4、76.3、73.5、70.4、69.6、65.8、62.9、62.3、41.1、40.2、38.7、31.0、29.6、28.1、24.3、24.1、22.9、21.2、20.6、17.1、14.7、14.2、12.4、8.6。
【0142】
実施例2
【化33】

【0143】
ステップ2a:
【化34】


エタノール(3mL)中のII−a(120mg、0.18mmol)およびO−[5−(3−アミノ−[1,2,4]チアジアゾール−5−イル)−ピリジン−2−イルメチル]−ヒドロキシルアミン(II−b、0.18mmol)の混合物に対して、−40℃で1N−HCl(0.27mL)を滴下により加え、−30℃〜−10℃の間で30分間撹拌した。反応物をCHCl(10mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(5mL)、水(5mL)および塩水で連続的に洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、蒸発させて、白色発泡体として粗製表題化合物II−cを得た。E/Z=2.0:1。MS:(ESI)m/z(M+H)875.5。
【0144】
ステップ2b:
【化35】


先に得たII−cをRP−HPLCにより精製して純粋E−異性体を得、これをメタノール(3mL)中に溶解させ、3時間50℃に保って2’−OAc保護基を除去し、蒸発させて白色発泡体として表題化合物2を得た。
MS:(ESI)m/z(M+H)833.5。
13C−NMR(CDCl):δ217.6、205.6、184.6、170.4、168.3、161.9、154.1、147.5、134.9、125.6、122.3、103.2、79.5、78.8、76.7、76.5、75.9、75.6、70.5、69.7、66.0、62.8、62.0、51.0、47.1、46.1、40.4、39.3、39.2、28.5、23.4、21.4、20.3、18.5、18.0、14.6、14.2、12.4、12.2。
【0145】
実施例3
【化36】

【0146】
ステップ3a:
【化37】


エタノール(40mL)中のO−[2−(6−アミノピリジル−2−イル)−チアゾール−4−イルメチル]−ヒドロキシルアミン(III−a、655mg、2.7mmol)の溶液に対して、0℃で2N−HCl(2.7mL)を添加し、5分間撹拌した。その後、反応混合物に対してI−a(2.0g、2.7mmol)を一度に添加し、30分間0℃で撹拌した。飽和NaHCO水溶液の添加により反応物を急冷し、CHCl(3×70mL)で抽出した。組合せた有機層を塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、ろ過し、乾燥するまで蒸発させた。ヘキサン中の50%のアセトンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィにより粗製化合物を精製して白色発泡体として表題化合物III−b(1.84g)を得た。
E/Z=2.7:1。
MS:(ESI)m/z(M+H)947.8。
【0147】
ステップ3b:
【化38】


先に得たIII−bをRP−HPLCによって精製し、純粋なE−異性体(660mg)を得、これをメタノール(15mL)中に溶解させ、100℃で15分間電子レンジで加熱して2’−OAc保護基を除去し、蒸発させて白色発泡体として表題化合物3を得た。
MS:(ESI)m/z(M+H)905.6。
13C−NMR(CDCl):
205.1,204.9,187.3,169.3,157.9,154.3,149.5,138.5,118.3,110.1,109.6,103.9,99.5,97.8,79.4,76.3,73.3,72.0,70.3,69.6,65.7,62.9,41.0,40.2,31.0,28.1,24.3,23.0,21.2,20.6,17.1,14.7,14.2,12.4,8.6。
【0148】
実施例4
【化39】

【0149】
ステップ4a:
【化40】


EtOH(30mL)およびHCl(1.0M水溶液、20mL、20mmol)中のO−(6−イソキサゾール−5−イル−ピリジン−3−イルメチル)−ヒドロキシルアミン(多くとも4.2mmol)の溶液中に、−10℃で架橋ケトンIV−a(3.30g、4.2mmol)を投入した。混合物を1.5時間−10℃で撹拌してから、固体(solidic)NaHCOで中和させ分配した(EtOAc−HO)。有機物質を水および塩水で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、蒸発させた。残渣をクロマトグラフに付して(シリカ、ヘキサン−EtOAc)、オキシムE/Z混合物(4:1)として所望の化合物IV−b(3.22g、87%)を得た。MS:(ESI)m/e:884.42(M+H)
【0150】
RP−HPLCによりこの混合物1.075gを分離して、530mgの純粋E−異性体を得た。
【0151】
ステップ4b:
【化41】


MeOH中のステップ4a(546mg)由来の化合物の溶液を、63時間室温に放置した後、蒸発させ、乾燥させて表題化合物4(520mg、100%)を得た。
MS:(ESI)m/e:842.39(M+H)13CNMR(CDCl):δ205.8,184.7,177.9,169.0,167.9,154.3,151.3,150.0,145.9,137.1,134.8,120.8,103.0,101.6,79.4,79.2,76.8,75.6,74.7,73.2,70.4,73.2,70.4,69.6,66.2,63.0,62.8,50.7,46.2,40.5,38.8,37.2,28.8,25.3,23.8,21.4,20.2,19.5,17.8,15.1,14.1,13.6,13.0。
【0152】
実施例5
【化42】

【0153】
ステップ5a:
【化43】


ジオキサン−水(1:1、316mL)中のO−[5−(4−アミノチアゾール−2−イル)−ピリジン−2−イルメチル]−ヒドロキシルアミン(I−b、31.54mmol)の混合物を0℃まで冷却した。重炭酸ナトリウム(3.15g、37.85mmol)およびBOC−無水物(7.57g、34.7mmol)を連続的に添加し、14時間室温で撹拌した。フリット漏斗を通して固体をろ過し、水(50mL)で洗浄し、一晩真空乾燥させて、白色固体として表題化合物V−b(5.65g)を得た。ろ液から得た第2の固体を、塩化メチレン中の0〜7%のメタノール(0.5Nのアンモニアを含有)を用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製して、白色粉末として表題化合物V−b(1.713g)を得た。組合せ収量(7.363g 73%)。MS:(ESI)m/z(M+H)323.2。
【0154】
ステップ5b:
【化44】


アセトニトリル(7mL)中のBOCL−アラニン(189.2mg、1.0mmol)、V−b(306mg、0.95mmol)およびN,N’−ジイソプロピルエチルアミン(0.348mL、2.0mmol)の混合物に対して、室温で何回かに分けてHATU(456mg、1.2mmol)を添加し、70分間撹拌した。追加の0.1当量のBOCL−アラニンを反応混合物に添加し、30分間撹拌した。反応物を酢酸イソプロピル(100mL)で希釈し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(30mL)、水(20mL)および塩水で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、乾燥するまで蒸発させた。ヘキサン中の0〜55%の酢酸エチルを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、浅黄色の発泡体として表題化合物V−c(324mg、69%)を得た。
MS:(ESI)m/z(M+H)494.1。
13C NMR(CDOD中):δ173.9,162.6,159.2,150.1,147.2,135.7,130.3,124.6,104.1,82.5,80.9,79.1,51.9,39.0,28.9,28.7,18.6。
【0155】
ステップ5c:
【化45】


塩化メチレン(4mL)中のV−c(296mg、0.6mmol)の溶液を0℃まで冷却し、トリフルオロ酢酸(4mL)で処理し、1時間室温で撹拌した。真空内で反応物を蒸発させ、塩化メチレン(3mL)中に溶解させ、真空内で蒸発させた(一回反復)。残渣をエタノール(8.6mL)中に溶解させ、−40℃まで冷却した。その後、何回かに分けて反応混合物にI−a(446mg、0.6mmol)を添加し、ゆっくりと0℃まで40分間暖めた。−30℃に冷却した後、反応に対して追加のI−a(22mg)を添加し、20分間ゆっくりと0℃まで暖めた。反応物をCHCl(50mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×10mL)、水(5mL)および塩水で連続的に洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、乾燥するまで蒸発させた(分析用RP−HPLCによりE/Z=12.5:1)。移動相として20mMの酢酸アンモニウム水溶液中の50%のアセトニトリルを用いて分取RP−HPLCにより残渣を精製して純粋E−異性体を得た。したがって、純粋E−異性体をメタノール(10mL)中に溶解させ、48時間室温に保ち、蒸発させて、浅黄色の発泡体として表題化合物5(322mg、2ステップにわたり55%)を得た。
MS:(ESI)m/z(M+H)976.2。
MS:(ESI)m/z(M+H)976.7。
13C NMR(CDCl中):δ205.4,205.1,187.6,177.1,174.0,165.0,164.8,162.0,160.0,154.6,148.3,146.9,134.0,128.2,121.8,104.0,102.1,99.8,98.1,80.4,79.7,76.5,73.8,70.6,69.6,66.0,63.2,62.6,51.1,41.4,40.3,39.0,37.6,31.3,28.8,24.6,24.4,23.2,21.8,21.4,20.9,17.4。
【0156】
実施例6:
【化46】


表題化合物を、Boc−L−アラニンの代りにBoc−L−ロイシンを用いて実施例5の手順にしたがって調製した。
【0157】
【化47】


についてのスペクトルデータ。
MS:(ESI)m/z(M+H)536.2。
13C NMR(CDOD中):δ173.8,162.4,159.2,150.0,147.2,135.7,130.3,124.6,104.2,82.5,80.9,79.2,55.0,42.5,28.9,28.7,26.2,23.7,22.2。
【0158】
表題化合物6についてのスペクトルデータ:
MS:(ESI)m/z(M+H)1018.5。
13C NMR(CDCl中):δ205.4,205.1,187.6,177.2,174.0,165.0,164.8,162.0,160.0,154.6,148.4,146.9,133.9,128.2,121.7,110.0,104.1,102.1,99.8,98.1,80.4,79.7,76.5,73.8,70.6,69.7,66.0,63.2,62.6,53.9,44.2,41.3,40.3,39.0,37.5,31.3,28.6,25.2,24.6,24.4,23.6,23.2,21。
【0159】
実施例7〜8
【化48】

【0160】
ステップ7a:
【化49】


R=H:V−cの調製(実施例5、ステップ5b)において記述された手順にしたがって表題化合物7aを調製した。MS:(ESI)m/z(M+H)494.3。13C NMR(CDCl中)δ:171.8,168.9,157.0,153.0,150.9,149.4,139.5,120.9,116.0,115.1,82.1,73.7,28.5,28.4,18.1。
【0161】
ステップ8a:
R=イソプロピル:表題化合物8aを、5aの調製(実施例5、ステップ5b)において記述された手順にしたがって調製した。MS:(ESI)m/z(M+H)536.3。
【0162】
ステップ7bおよび8b:
【化50】

【0163】
ステップ7b:
R=H:5の調製(実施例5、ステップ5c)において記述された手順にしたがって、表題化合物7(R=H)を調製した。
MS:(ESI)m/z(M+H)976.4。
13C NMR(CDCl中)δ:205.4,205.2,187.5,177.1,174.9,168.5,165.0,164.8,154.9,154.1,151.0,149.8,139.5,119.0,115.9,114.5,104.2,99.8,98.1,80.3,79.7,76.6,73.7,72.2,70.6,69.9,66.1,63.1,62.6,51.6,41.3,40.5,39.0,37.5,31.3,29.9,28.4,24.6,24.4,23.2,21.8,21.5,20.9。
【0164】
ステップ8b
R=イソプロピル:5の調製(実施例5、ステップ5c)について記述された手順にしたがって表題化合物8(R=イソプロピル)を調製した。
MS:(ESI)m/z(M+H)1018.5。
13C NMR(CDCl中)δ:205.4,205.2,187.5,177.2,174.9,168.5,165.0,164.8,154.9,154.1,151.0,149.8,139.5,119.0,115.8,114.6,104.2,99.8,98.1,80.3,79.7,76.6,73.7,72.2,70.6,69.9,66.0,63.1,62.6,54.3,44.1,41.3,40.5,39.0,37.6,31.3,29.9,28.4,25.2,24.6,24.4,23.6,23.2。
【0165】
実施例9
【化51】

【0166】
ステップ9a:
【化52】


トルエン中のI−c(1.1g、1.16mmol)と10%の塩化ジベンジルホスホリル(1.45mL)の混合物に対して、トリエチルアミン(0.3mL)およびN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP、5mg)を添加した。反応混合物を16時間50℃で加熱した。反応物を酢酸エチル(20mL)で希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2×10mL)、水(10mL)および塩水で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、ろ過し、乾燥するまで蒸発させた。ヘキサン中の40〜80%のアセトンを用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィにより残渣を精製して、黄色発泡体としてN−リン酸化生成物(210mg、15%)を得た(MS:(ESI)m/z(M+H)1207.9)。結果としての発泡体を、メタノール中に溶解させ、16時間室温で撹拌し、蒸発させて表題化合物9aを得た。MS:(ESI)m/z(M+H)1165.7。
【0167】
ステップ9b:
【化53】


エタノール(3mL)中の9a(28mg)と炭素上の10%パラジウム(10%Pd−C、30mg)の混合物を脱ガスし水素ガスを充填した。それを水素雰囲気(16psi)下で17時間激しく撹拌して表題化合物9を得た。MS:(ESI)m/z(M+H)1075.6。
【0168】
実施例10
【化54】


酢酸エチル(5mL)中の五塩化リン(458mg、2.2mmol)の混合物に対して、5分間0℃で滴下により塩化メチレン(14mL)中のV−b(644mg、2.0mmol)を添加した。6N−HCl(1mL)を0℃で上述の反応混合物に対し滴下により添加し、1時間激しく撹拌した。蒸発後、水(8mL)中にそれを溶解させ、0℃まで冷却し、エタノール(20mL)で希釈し、10Nの水酸化ナトリウム(1.8mL)で中和した。その後、10a(981mg、1.4mmol)を添加し、−30℃まで冷却し、アセトニトリル(10mL)を添加することによってさらに希釈した。1N−HCl(3mL)を反応に対して滴下により添加し、水(20mL)で希釈し、50分間撹拌しながら−10℃に至るまでゆっくりと暖めた。追加の1N−HCl(0.5mL)を添加し、30分間0℃に至るまでゆっくり暖めた。濃縮アンモニアの添加により反応物を中和させ、蒸発させた。反応物をろ過し乾燥させて粗製生成物を得、これを、移動相として水中の0〜50%のメタノール(0.5N−NH)を用いてC18RP−カラムで精製し、凍結乾燥して表題化合物10を得た。
MS:(ESI)m/z(M+H)985.5。
【0169】
実施例11
【化55】

【0170】
ステップ11a
【化56】


EtOH(10mL)中のヒドロキシルアミンXI−a(187mg、0.91mmol)の溶液に対して、0℃で2MのHCl水溶液(0.37mL、0.74mmol)を添加した。5分間撹拌した後、架橋ケトン1aを1分量中の固体として添加し、混合物を30分間室温で撹拌した。反応混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で急冷し、CHClで抽出し(×3)、塩水で洗浄した。有機層を、乾燥するまで濃縮した。ヘキサン中の50%のアセトンで溶出させて、シリカゲルカラムクロマトグラフィ上で残渣を精製して、架橋オキシムの混合物として表題化合物11a、408mg(60%の収量)を得た(E/Z=5:1)。MS:(ESI)m/z(M+H)931.6。
【0171】
ステップ11b:
【化57】


HPLCによりステップ11a由来のE、Z混合物を分離して172mgのE−異性体および27mgのZ−異性体を得た。E−異性体(172mg)を12分間100℃でMeOH(10mL)中で電子レンジ加熱した。反応溶液を乾燥するまで濃縮し、残渣をさらに真空中で乾燥させて、定量的収量として表題化合物11(165mg)を得た。MS:(ESI)m/z(M+H)889.4。
13C NMR(CDCl中)δ:205.1,204.9,187.3,164.5,160.7,158.4,153.8,144.2,138.9,138.3,137.3,112.5,110.1,103.5,99.5,97.9,79.5,76.3,73.4,70.2,69.2,68.2,66.0,62.8,62.4,41.0,40.2,31.0,24.3,24.1,22.9,21.1,20.6,17.1,14.7,14.2,12.4,8.6。
【0172】
実施例1〜11の手順および米国特許第6878691号明細書の手順にしたがって、実施例12〜138(表6)を調製した。
【0173】
【表14】

【0174】
【表15】

【0175】
【表16】

【0176】
【表17】

【0177】
【表18】

【0178】
【表19】

【0179】
【表20】

【0180】
【表21】

【0181】
【表22】

【0182】
【表23】

【0183】
【表24】

【0184】
【表25】

【0185】
【表26】

【0186】
【表27】

【0187】
【表28】

【0188】
【表29】

【0189】
プロドラッグ研究
化合物1および3の遊離アミノチアゾールおよびアミノピリジンを解放するようにアミド結合において分割するアミノ酸誘導体の有効性を調べる目的で、各々化合物1または化合物3のいずれかのアミノ酸プロドラッグである化合物5、6、7および8について、試験管内および生体内研究を実施した。
【0190】
アミノ酸誘導体は、ヒト、ラット、およびマウス血漿およびヒト腸組織内の活性遊離アミノ化合物へと急速に分割された。アミノ酸誘導体は、ラットまたはマウスのいずれの血液中よりも短い半減期で非常に効率良くヒトの血液中で分割された。ラットにおける生体内薬物動態研究も同様に、アミノ酸が急速に分割して対応するアミノチアゾール、化合物1を提供することを確認した。さらに、ロイシンアミノペプチダーゼとのインキュベーションは、アミノ酸を1分以内で完全に分割した(データ示さず)。
【0191】
実験手順および結果は、以下の表7〜11の中にまとめられている。
【0192】
試験管内実験手順
ヒト腸S9インキュベーション
化合物5(1μM)を、37±1℃でNADPH(2mM)の存在下においてMgCl(5mM)を含むリン酸カリウム緩衝液(100mM、pH7.2)中でヒト腸S9およびヒト肝臓S9(2mgのタンパク質/mL)と共にインキュベートした。反応を、化合物5の添加によって開始し、所定の時点(0、5、10、15、20、25、30、45および60分)でインキュベーション混合物から1アリコートを取り出し(1アリコートあたり0.1mL)それを3倍体積の停止試薬(氷冷アセトニトリル、0.3mL)に加えることによって停止させた。遠心分離によって、沈降したタンパク質を除去した。上清中のプロドラッグ化合物5および親化合物1の濃度をLC/MS/MSによって分析した。
【0193】
ヒト、ラットおよびマウス血液インキュベーション
化合物5、6、7および8(2μM)を、新鮮なヒト血液(デュプリケートで実施)、ラットおよびマウス血液と共にインキュベートした。反応を、化合物5の添加によって開始し、所定の時点(0、5、10、15、30、45および60分)でインキュベーション混合物から1アリコートを取り出し(1アリコートあたり0.1mL)それを3倍体積の停止試薬(氷冷アセトニトリル、0.3mL)に加えることによって停止させた。遠心分離によって、沈降したタンパク質を除去した。上清中のプロドラッグ化合物5〜8および親化合物1または3の濃度をLC/MS/MSによって分析した。
【化58】

【0194】
【表30】

【0195】
【表31】

【0196】
生物活性
本発明の代表的化合物は、米国特許第6,878,691号明細書内で開示された化合物に比べて改善されたMIC(最小発育阻止濃度)および/または薬物動態特性を示した。
【0197】
特に、本発明の化合物は、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)および/またはヘモフィラス・インフルエンザ(Haemophilus influenzae)分離株に対する活性を改善した。従来のマクロライド抗生物質は、耐性MRSAに対して活性ではない。しかしながら、本発明のビアリール側鎖の独特の特徴は、一部の独特の側鎖が、マクロライド抗生物質の弱点でもあるH.インフルエンザ(H.influenzae)分離株に対する活性を改善する一方で、構成的に耐性のある分離株を含めたこのきわめて耐性の高いMRSAに対する活性の改善を提供した。さらに、実施例4のような化合物は、改善された生体内薬理学データ、例えば動物感染モデルおよび薬物動態特性、特に高いAUC(曲線下面積)をイヌにおいて提供した。
【0198】
以下の表9および10は、本発明の微生物学データを示し、表11は、参考文献としての米国特許第6,878,691号明細書の関連化合物についての微生物学データを示す。
【0199】
簡潔にするために、ここではMRSAまたはH.インフルエンザ(H.influenzae)分離株のいずれかに対する選択されたデータのみが強調されている。
【0200】
【表32】

【0201】
【表33】

【0202】
【表34】

【0203】
【表35】

【0204】
【表36】

【0205】
【表37】

【0206】
【表38】

【0207】
【表39】

【0208】
【表40】

【0209】
【表41】

【0210】
【表42】

【0211】
表11は、参考文献としての米国特許第6878691号明細書の関連化合物についての微生物データを示す。
【化59】

【0212】
【表43】

【0213】
【表44】

【0214】
化合物1(実施例1)は、MRSAに対する極めて効能の高いMICを有するのみならず、さまざまな感染動物モデルにおいて非常に有効で、マウスの感染した皮膚組織における感染部位において大量に蓄積されてもいる。
【0215】
【表45】

【0216】
【表46】

【0217】
【表47】

【0218】
化合物4(実施例4)は、黄色ブドウ球菌(S.aureus)、肺炎連鎖球菌(S.pneumonia)およびアンピシリン耐性H.インフルエンザ(H.influenzae)に対する強力な抗菌活性を示しただけでなく、動物感染モデルにおいて生体内で非常に有効でもあった。さらに、化合物4は、低いクリアランス、優れた経口吸収(生物学的利用能)およびAUC(曲線下面積)で特にイヌにおいて動物の薬物動態特性の大幅な改善を示した。
【0219】
【表48】

【0220】
【表49】

【0221】
【表50】

【0222】
したがって化合物(1)および化合物(4)は、優れた生体内効能、優れた薬物動態そして高い肺組織分布を伴って、皮膚および軟組織感染および/または気道病原体などの広いMRSA耐性感染スペクトルの治療のための新しい抗生物質剤となる潜在性をもつきわめて効能の高いマクロライドである。
【0223】
本発明をさまざまな好ましい実施形態に関して記述してきたが、それに限定することは意図されておらず、むしろ当業者であれば、本発明の趣旨および添付の特許請求の範囲内にある変更および修正をそれに加えてもよいということを認識することであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)または(II)
【化1】


(式中、
− Tが水素、OR、ハロゲンまたはNRであり、ここでRおよびRは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(v)水素;
(vi)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(vii)−R;および
(viii)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである);
からなる群から独立して選択される);
(q)−C(O)NHR
(r)−C(O)OR;および
(s)−S(O)R
から選択され;あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって縮合または非縮合、置換または非置換複素環を形成し;
− YはSまたはOであり;
− YおよびYは各々独立して選択されるS、N、OまたはCR10であり;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族化合物から選択され;
− ただしここでYまたはYのいずれかがSでありYがCHまたはNである場合にはTは水素でないことが条件であり;
− X、XおよびXは各々独立して選択されるNまたはCR10であり;
− Cyは置換または非置換複素環式化合物または置換または非置換のヘテロアリールであり;
− AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R
(c)−OR
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されており;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(C〜C−アルキル)−、−N(R10)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しく、R10はアリール、置換アリール;ヘテロアリール;および置換ヘテロアリールから選択される);
(h)−NHC(O)R
(i)−NHS(O)
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択されており;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(a)水素;
(b)ヒドロキシプロドラッグ基;
(c)−R
(d)−C(O)R
(e)−C(O)O−R;および
(f)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−(SO)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(a)水素;
(b)−N
(c)−CN;
(d)−NO
(e)−C(O)NH
(f)−C(O)OH;
(g)−CHO;
(h)−R
(i)−C(O)OR
(j)−C(O)R;または
(k)−C(O)NR
であり、
− Uが水素である場合、Vは
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類;
からなる群から選択され;
− あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり;
− XおよびYの各々が、独立して、
(f)水素;
(g)ヒドロキシ;
(h)NR
(i)ハロゲン;または
(j)−R
である)
によって表わされる化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項2】
式(Ia)
【化2】


(式中、
− Tが水素、OR、ハロゲンまたはNRであり、ここでRおよびRは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(ix)水素;
(x)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(xi)−R;および
(xii)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである)
からなる群から独立して選択される);
(t)−C(O)NHR
(u)−C(O)OR
(v)アミノ酸残基;および
(w)−S(O)R
から選択され;あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって縮合または非縮合、置換または非置換複素環を形成し;
− ZはNまたはCR10であり、ZおよびZは各々独立してN、O、SまたはCR10であり;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族化合物から選択され;
− ただしここでZ、ZおよびZのうち少なくとも二つはCR10でないことが条件であり;
− Cyは置換または非置換複素環式化合物または置換または非置換のヘテロアリールであり;
− AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R
(c)−OR
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されており;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(C〜C−アルキル)−、−N(R10)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しく、R10はアリール、置換アリール;ヘテロアリール;および置換ヘテロアリールから選択される);
(h)−NHC(O)R
(i)−NHS(O)
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択されており;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(a)水素;
(b)ヒドロキシプロドラッグ基;
(c)−R
(d)−C(O)R
(e)−C(O)O−R;および
(f)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−(SO)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(a)水素;
(b)−N
(c)−CN;
(d)−NO
(e)−C(O)NH
(f)−C(O)OH;
(g)−CHO;
(h)−R
(i)−C(O)OR
(j)−C(O)R;または
(k)−C(O)NR
であり、
− Uが水素である場合、Vは、
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類;
からなる群から選択され;あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり;
− XおよびYの各々が、独立して、
(a)水素;
(b)ヒドロキシ;
(c)NR
(d)ハロゲン;または
(e)−R
である)
により表わされる化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項3】
式(IX)
【化3】


(式中、
− X、X、X、XおよびXは各々NまたはCR10から独立して選択され;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族化合物から選択され;
− ただしここで、X〜Xのうち少なくとも1つがNでありX〜Xの少なくとも1つがC−R10であることが条件であり、ここでR10は水素またはNHRであり、Rは、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(ix)水素;
(x)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(xi)−R;および
(xii)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである);
からなる群から独立して選択される);
(d)−C(O)NHR
(e)−C(O)OR;および
(f)−S(O)R;アミノ酸残基、
であり、
− Cyは、置換または非置換のチアジアゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール、アミノピリジン、6員の環が5位で連結されている2−ピリジン、およびピリミジンおよびピラジンからなる群から選択され;
− AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R
(c)−OR
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されており;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(C〜C−アルキル)−、−N(R10)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しく、R10はアリール;置換アリール;ヘテロアリール;および置換ヘテロアリールから選択される);
(h)−NHC(O)R
(i)−NHS(O)
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択され;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(a)水素;
(b)ヒドロキシプロドラッグ基;
(c)−R
(d)−C(O)R
(e)−C(O)O−R;および
(f)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−(SO)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(a)水素;
(b)−N
(c)−CN;
(d)−NO
(e)−C(O)NH
(f)−C(O)OH;
(g)−CHO;
(h)−R
(i)−C(O)OR
(j)−C(O)R;または
(k)−C(O)NR
であり、
− Uが水素である場合、Vは、
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類;
からなる群から選択され;
− あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり;
− XおよびYの各々は、独立して、
(f)水素;
(g)ヒドロキシ;
(h)NR
(i)ハロゲン;または
(j)−R
である)
の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項4】
Cyが、オキサゾールおよびチアゾールからなる群から選択されている請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
(a)XがNであり、XがC−NHRであり、X、XおよびXがCHであるか;または、
(b)XがC−NHR、XがNであり、X、XおよびXがCHであるか;または、
(c)XおよびXがNであり、XおよびXがC−NHRであり、XがCHであるか;または、
(d)XおよびXがNであり、XがC−NHRであり、XおよびXがCHであるか;または、
(e)XおよびXがNであり、XがC−NHRであり、XおよびXがCHであるか;または、
(f)XがC−NHRであり、XおよびXがNであり、XおよびXがCHであり、
ここでRが水素またはアミノ酸塩基である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
式III
【化4】


(式中
− Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり;
− Q’が、
(d)水素;
(e)OR;または
(f)−OR(式中Rは、
(iii)−R;および
(iv)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜C12シクロアルキルからなる群から選択されている);
であり、
− R30およびR40は各々独立して、水素、アシル、置換または非置換の飽和または不飽和の脂肪族基、置換または非置換の飽和または不飽和の脂環式基、置換または非置換の芳香族基、置換または非置換の複素芳香族基、飽和または不飽和複素環基からなる群から選択されるかまたは、それらが結合している窒素分子と一緒になって、置換または非置換の複素環または複素芳香族環を形成することができ;T、Cy、Y〜Y、XおよびYは請求項1で先に定義されている通りである)
の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項7】
式(IV)
【化5】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり、T、Cy、Y〜Y、XおよびYが、請求項1で先に定義されている通りである)によって表わされる、請求項1に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項8】
式(V)
【化6】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、Y〜Y、R11およびYが、請求項1で先に定義されている通りである)によって表わされる、請求項1に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項9】
式(VI)
【化7】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、Y〜Y、R11およびYが、請求項1で先に定義されている通りである)によって表わされる、請求項1に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項10】
式(VII)
【化8】


(式中、
− Q’が、
(a)水素;
(b)OR;または
(c)−OR(式中Rは、
(i)−R;および
(ii)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜C12シクロアルキルからなる群から選択されている);
であり、
− R30およびR40は独立して、水素、アシル、置換または非置換の飽和または不飽和の脂肪族基、置換または非置換の飽和または不飽和の脂環式基、置換または非置換の芳香族基、置換または非置換の複素芳香族基、飽和または不飽和複素環基からなる群から選択されるかまたは、それらが結合している窒素分子と一緒になって、置換または非置換の複素環または複素芳香族環を形成することができ;R、R、Cy、X〜X、W、X、Y、AおよびBは請求項1で先に定義されている通りである)
の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項11】
式(VIII)
【化9】


(式中、A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基、またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、Y〜Y、R11およびYが、請求項1で先に定義されている通りである)によって表わされる、請求項1に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項12】
式(XVI)
【化10】


(式中、
− RがH、Arであり、YおよびA’が、
【表1】


からなる群から選択されている)により表わされる化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項13】
細菌感染の治療を必要とする対象におけるかかる治療の方法において、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物を治療上有効な量だけ前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項14】
薬学的に許容される担体と組み合わせた形で、治療上有効な量の請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項15】
治療上有効な量の請求項14に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における細菌感染を治療するための方法。
【請求項16】
治療上有効な量の請求項14に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における嚢胞性線維症を治療するための方法。
【請求項17】
治療上有効な量の請求項14に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における炎症性疾患を治療するための方法。
【請求項18】
式(X)
【化11】


(式中、
− Arが、置換または非置換アミノチアゾール、アミノピラゾール、イソキサゾール、アミノイソキサゾール、オキサジアゾール、アミノオキサジアゾール、アミノオキサゾール、5−アミノ−1,2,4−チアジアゾール、アミノトリアゾールまたはアミノテトラゾールから選択され;Arが、置換または非置換チアジアゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール、ベンゼン、ピリジン、アミノピリジン、ピリミジンまたはピラジンから選択されているかまたは;
− Arが置換または非置換アミノピリジン、アミノピリミジンまたはアミノピラジンから選択され、Arが置換または非置換チアジアゾール、オキサジアゾール、イミダゾール、チアゾール、ピラゾール、オキサゾール、アミノピリジン、Arが5位で連結されている2−ピリジンまたはトリアゾール、ピリミジンまたはピラジンであり;
− AおよびBは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−OR(ここでRは、
(i)水素;
(ii)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(iii)−R;および
(iv)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである);
からなる群から独立して選択される);
(d)−OC(O)R
(e)−OC(O)NHR
(f)−OC(O)OR
(g)−NR(式中、RおよびRは各々独立してRから選択されており;あるいは、RおよびRはそれが連結されている窒素原子と一緒になって、−O−、−NH−、−N(R)−、−S(O)−からなる群から選択される1つ以上のヘテロ官能基を任意に含んでいてよい3員〜10員の環を形成し、ここでnは0、1または2に等しい)
(h)−NHC(O)R
(i)−NHSO
(j)−NHC(O)OR;および
(k)−NHC(O)NHR
から選択され;
− あるいは、AおよびBは、それらが結合している炭素原子と一緒になって、
(a)C=O;
(b)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲン、NOおよびRから独立して選択されており;
(c)C=CH−J−R11
(d)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Lは、独立してRから選択され;
− Wは、
(g)水素;
(h)ヒドロキシプロドラッグ基;
(i)−R
(j)−C(O)R
(k)−C(O)O−R;および
(l)−C(O)N(R);
から選択されており、
− Qは、
(a)−R
(b)−C(O)R
(c)−C(O)NHR
(d)−C(O)OR
(e)−S(O)
(f)単糖類;
(g)二糖類;または
(h)三糖類;
であり、
− Zは、
(l)水素;
(m)−N
(n)−CN;
(o)−NO
(p)−C(O)NH
(q)−C(O)OH;
(r)−CHO;
(s)−R
(t)−C(O)OR
(u)−C(O)R;または
(v)−C(O)NR
であり、
− Uは水素であり、Vは
(a)水素;
(b)−OR
(c)−OC(O)R
(d)−OC(O)NHR
(e)−OS(O)R
(f)−O−単糖類;および
(g)−O−二糖類
からなる群から選択され;あるいは、UおよびVはそれらが結合している炭素原子と一緒になって、C=Oであり、
− XおよびYの各々は、独立して、
(a)水素;
(b)ヒドロキシ;
(c)NR
(d)ハロゲン;または
(e)−R
から選択されており、ここで化合物が;
【化12】


でないことが条件である)により表わされる化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項19】
式(XI)
【化13】


(式中、
− Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり、
− Q’が、
(g)水素;
(h)OR;または
(i)−OR(式中Rは、
(v)−R;および
(vi)O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜C12シクロアルキルからなる群から選択されている);
であり、
− R30およびR40は独立して、水素、アシル、置換または非置換の飽和または不飽和の脂肪族基、置換または非置換の飽和または不飽和の脂環式基、置換または非置換の芳香族基、置換または非置換の複素芳香族基、飽和または不飽和複素環基からなる群から選択されるかまたは、それらが結合している窒素分子と一緒になって、置換または非置換の複素環または複素芳香族環を形成することができ;Ar、Ar、W、X、Y、AおよびBは請求項18で先に定義されている通りである)により表わされる、請求項18に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項20】
Arがアミノピラゾールである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
式(XII)
【化14】


(式中、
− R、R30、R40、W、XおよびYが、請求項19で先に定義された通りであり、
− A’は、それが結合している炭素原子と共に、
(e)C=O;
(f)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(g)C=CH−J−R11
(h)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Arは、
【表2】


【表3】


に記載の基から選択され、Arはさらに置換され得る)によって表わされる、請求項19に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項22】
式(XII)
【化15】


(式中、
− R、R30、R40、W、XおよびYが、請求項19で先に定義された通りであり、
− A’は、
(e)C=O;
(f)C=N−J−R11(式中Jは存在しないか、O、C(O)、SO、NH、NHC(O)、NHC(O)NHまたはNHSOであり;R11はハロゲンおよびRから独立して選択されている);
(g)C=CH−J−R11
(h)置換または非置換および飽和または不飽和の5員〜10員の複素環式化合物;
から選択され;
− Arは、
【表4】


に記載の基から選択され、さらに置換され得る)によって表わされる、請求項19に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項23】
式(XIII)
【化16】


(式中、
− A’はOまたはNC(O)R11であり;Rは水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり;TはNRであり、ここでRおよびRは各々独立して、
(a)水素;
(b)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換または非置換の−C〜Cアルキル、−C〜Cアルケニルまたは−C〜Cアルキニルである);
(c)−C(O)R(ここでRは、
(ix)水素;
(x)アリール;置換アリール;ヘテロアリール;置換ヘテロアリール;
(xi)−R;および
(xii)−R(ここでRは、各々O、SまたはNから選択される0、1、2または3個のヘテロ原子を含む置換および非置換の−C〜C12シクロアルキルである);
からなる群から独立して選択される);
(x)−C(O)NHR
(y)−C(O)OR
(z)アミノ酸残基
(aa)(RO)(RO)P(O)−;および
(bb)−S(O)R
から選択され;あるいはRおよびRは、それらが結合している窒素と一緒になって縮合または非縮合、置換または非置換複素環を形成し;
− W、WおよびWは各々独立して選択されるS、N、OまたはCR10であり;ここでR10は独立して水素、ヒドロキシ、アミノ、ハロゲン、置換または非置換アルコキシ、置換または非置換アルキルアミノ、置換または非置換ジアルキルアミノ、CF、CN、NO、N、スルホニル、アシル、脂肪族および置換脂肪族化合物から選択され;
− WはNまたはCであり;
− ただしここで、W、W、WおよびWは、それらが属する5員環がチアゾール、ピラゾール、イソキサゾール、オキサジアゾール、オキサゾール、1,2,4−チアジアゾール、トリアゾールまたはテトラゾールとなるように選択されることが条件であり、
− Ar、R11およびYは、請求項18で先に定義されている通りである)によって表わされる、請求項18に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項24】
式(XIV)
【化17】


(式中、
− A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、W〜W、R11およびYが請求項23で先に定義された通りである)によって表わされる、請求項23に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項25】
式(XV)
【化18】


(式中、
− A’がOまたはNC(O)R11であり;Rが水素、ヒドロキシ保護された基またはヒドロキシプロドラッグ基であり;T、W〜W、R11およびYが請求項23で先に定義された通りである)によって表わされる、請求項23に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項26】
式(XVI)
【化19】


(式中
− Arが
【化20】


からなる群から選択され、
− A’がオキソまたはNC(O)Rであり;
− Rは水素、−C(O)R(好ましくはアミノ酸残基)または(RO)(RO)P(O)−であり;
− R、RおよびRは各々独立して置換または非置換アルキル、置換または非置換アルケニル、置換または非置換シクロアルキルまたは置換または非置換ヘテロシクロアルキルから選択され、
− YはHまたはFであり、RpはHまたはヒドロキシ保護基であり、ここで化合物が
【化21】


ではない)
の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ。
【請求項27】
Arが、
【化22】


であり、
− Rが、下式
【化23】


のアミノ酸残基であり、式中
− qは1〜5の整数であり、
− 各々XおよびXは独立して、水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、置換シクロアルキルアルキルまたはシクロアルキルアルキルであり、
− RおよびRは各々独立して水素、アルキル、置換アルキル、シクロアルキル、置換シクロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、置換ヘテロシクロアルキルアルキル、置換シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキルまたは置換ヘテロアリールアルキルであるか;または、
− Xが水素でありqが1という整数である場合、XおよびRは共にC〜C−アルキレン基またはC〜C−アルケニレン基を形成できる、
請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
qが1であり、Xが水素である、請求項27に記載の化合物。
【請求項28】
がグリシン、D−またはL−アラニン、D−またはL−フェニルアラニン、D−またはL−チロシン、D−またはL−ロイシン、D−またはL−イソロイシン、D−またはL−バリン、D−またはL−システイン、D−またはL−トレオニン、D−またはL−セリン、D−またはL−アルギニン、D−またはL−アスパラギン酸、D−またはL−グルタミン酸、D−またはL−リジン、D−またはL−ヒスチジン、D−またはL−アスパラギン、D−またはL−プロリン、D−またはL−トリプトファン、D−またはL−グルタミン、D−またはL−メチオニン、D−またはL−ホモプロリン、d−または−l−β−アラニン、D−またはL−ノルバリン、D−またはL−ノルロイシン、D−またはL−シクロヘキシルアラニン、あるいはD−またはL−t−ブチルグリシンの残基である、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
がL−アラニンまたはL−ロイシンの残基である、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
式(XVI)
【化24】


(式中、RpがH、Arであり、YおよびA’は、
【表5】


【表6】


【表7】


からなる群から選択される)により表わされる、請求項18に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項31】
式(XVI)
【化25】


(式中RpがH、Arであり、YおよびA’は、
【表8】


【表9】


【表10】


からなる群から選択される)により表わされる、請求項18に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項32】
式(XVI)
【化26】


(式中RpがH、Arであり、YおよびA’は、
【表11】


からなる群から選択される)により表わされる、請求項18に記載の化合物ならびにその薬学的に許容される塩、エステルおよびプロドラッグ。
【請求項33】
構造
【化27】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ。
【請求項34】
構造
【化28】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項35】
構造
【化29】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項36】
構造
【化30】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ。
【請求項37】
構造
【化31】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項38】
構造
【化32】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項39】
構造
【化33】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ。
【請求項40】
構造
【化34】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項41】
構造
【化35】


を有する請求項26に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ。
【請求項42】
構造
【化36】


を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグ。
【請求項43】
細菌感染の治療を必要とする患者におけるかかる治療の方法であって、請求項26または43に記載の化合物を治療上有効な量だけ前記対象に投与するステップを含む方法。
【請求項44】
薬学的に許容される担体と組合せた形で、治療上有効な量の請求項26または43に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩、エステルまたはプロドラッグを含む医薬組成物。
【請求項45】
治療上有効な量の請求項44に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における細菌感染を治療するための方法。
【請求項46】
治療上有効な量の請求項45に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における嚢胞性線維症を治療するための方法。
【請求項47】
治療上有効な量の請求項45に記載の医薬組成物を対象に投与するステップを含む、対象における炎症性疾患を治療するための方法。

【公表番号】特表2010−539191(P2010−539191A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−525113(P2010−525113)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/076731
【国際公開番号】WO2009/075923
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(503323970)エナンタ ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】