説明

7−デアザアデノシン誘導体及びその医薬用途

【課題】血漿尿酸値異常に起因する疾患に有用な7−デアザアデノシン誘導体を提供する。
【解決手段】
下記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体若しくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩等、又はそれを有効成分として含有する医薬組成物等。
【化1】


〔式中、R、Rは、H、ハロゲン、−AH基又は−A−D−E−G基{Aは、単結合、−O−、−COO−等;Dは、置換可低級アルキレン、低級アルケニレン又は低級アルキニレン;Eは、単結合、−O−、−NR−(Rは、H又は低級アルキル)等;Gは、H、置換可低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル又はアリール低級アルキル};Yは、単結合、−O−、−S−又は−CH−;Qは、H、ハロゲン、置換可低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、アリール、ヘテロアリール等である〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品として有用な7−デアザアデノシン誘導体に関するものである。
【0002】
さらに詳しく述べれば、本発明は、ナトリウム依存性ヌクレオシド輸送体2(以下CNT2という)阻害活性を有し、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療薬として有用な、7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物に関するものである。
【背景技術】
【0003】
尿酸はヒトにおけるプリン体の最終産物であり、性、年齢を問わず、血漿中の尿酸溶解濃度が7.0mg/dLを正常上限とし、これを超えるものを臨床的に高尿酸血症と定義している。高尿酸血症は成人の男性に多く、プリン体代謝に関与する遺伝的要因と高エネルギー食、高核酸食の摂取といった二次的要因との複合の結果生じると考えられている。高尿酸血症の状態が持続すると関節内又は関節周囲に尿酸塩の結晶が沈着して関節炎を発症するリスクが高くなる。このような関節炎を発症した症状を痛風といい、関節炎を痛風発作という。高尿酸血症の病型は、尿酸の産生量が増加する尿酸産生過剰型、尿中の尿酸排泄量が低下する尿酸排泄低下型及び両者が混在した混合型に大別される(例えば、非特許文献1及び2参照)。
【0004】
高尿酸血症や痛風の予防又は治療においては血漿尿酸値を一定水準以下にコントロールして痛風関節炎の発症を防止することが基本であり、この痛風関節炎の発症は、血漿尿酸値を4.6〜6.6mg/dLにコントロールしたときが最も発症率が低いとされている。従来、高尿酸血症や痛風の治療には、尿酸合成阻害薬のアロプリノール又は尿酸排泄促進薬のプロベネシド、ブコローム、ベンズブロマロンなどを用いた血漿尿酸レベルの改善が行われている。また、痛風発作時の治療においては、コルヒチンなどの鎮痛発作治療薬、インドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジンなどの非ステロイド性抗炎症薬及びステロイドが用いられている(例えば非特許文献1参照)。
【0005】
尿酸合成阻害薬であるアロプリノールは、中毒症候群(過敏性血管炎)、スティーブンス・ジョンソン症候群、剥離性皮膚炎、再生不良性貧血、肝機能障害などの副作用がある。また、尿酸排泄促進薬は腎不全患者には使えないという制約があり、さらに、プロベネシド、ブコロームやベンズブロマロンは、胃腸障害や尿路結石などの副作用を発現し、特に、ベンズブロマロンは、特異体質患者の場合、劇症肝炎を起こすこともある(例えば、非特許文献1参照)。
【0006】
このような従来の治療薬の問題点を解決できるような副作用の少ない新しい予防又は治療薬、特に、治療方法の選択枠を広げるという意味から、従来の治療薬とはメカニズムの異なった新しい予防又は治療薬が望まれている。
【0007】
高尿酸血症は、過食、高プリン・高脂肪・高タンパク食嗜好、常習飲酒、運動不足などの生活習慣によって引き起こされ、また、肥満、高血圧、糖・脂質代謝異常などとも深く関係することから、生活習慣の是正を目的とした非薬物療法としての生活指導の役割は大きい。その中においてもプリン体の過剰摂取制限を行う食事療法は重要な位置を占めているが、この食事療法及び生活習慣の改善は持続することが困難で、成功しないことも多い。
【0008】
ヒトにおける核酸の消化吸収系路については、腸管内において、摂取した核酸もしくは核タンパク質から放出された核酸が、リボヌクレアーゼ、デオキシリボヌクレアーゼ及びポリヌクレオチダーゼによってモノヌクレオチドへと分解されたのち、さらにヌクレオチダーゼ及びホスファターゼによってヌクレオシドへと分解され吸収される経路が主経路と考えられており、このうち吸収されたプリンヌクレオシドはさらに尿酸へと変換されるものとされている(例えば、非特許文献3参照)。この経路以外に、ヌクレオシドがさらに分解されて核酸塩基を生成した後に吸収される経路、あるいは食物に含まれる核酸塩基が直接吸収される経路なども考えられるが、これらの経路については未だ詳細な解明がなされていない。
【0009】
腸管内でのヌクレオシドの取り込みにはヌクレオシド輸送担体と呼ばれる膜タンパク質が関与している。哺乳類の細胞には、この輸送担体としては、ヌクレオシドの濃度差によって取り込む平衡化(Equilibrative)輸送体(以下ENTという)及び細胞内外のイオン濃度差を利用するナトリウム依存性ヌクレオシド輸送体(以下CNTという)が存在している(例えば、非特許文献4参照)。ヒトのヌクレオシド輸送担体について、これまで、ENTについては、タイプ1(以下ENT1という)及びタイプ2(以下ENT2という)の2つのタイプが同定され、クローニングされている(例えば、非特許文献5及び6参照)。また、CNTについては、タイプ1(以下CNT1という)、タイプ2(上記CNT2)及びタイプ3(以下CNT3という)の3タイプが同定、クローニングされている(例えば、非特許文献7〜9参照)。
【0010】
これらの輸送担体の分布及び特性についてもある程度確認されている。ENTは、ENT1、ENT2共にヒト正常組織において広く発現しており、プリン、ピリミジンヌクレオシド両方を輸送する。機能的には、ニトロベンジルチオイノシン(nitrobenzylthioinosine、以下、NBMPRという)による阻害に対する感受性が異なっており、ENT1は低濃度のNBMPR(IC50<5nM)でも顕著に阻害され、ENT2はNBMPRによって阻害されにくく、高濃度のNBMPR(IC50>1μM)によってのみ阻害される(例えば、非特許文献10参照)。
【0011】
一方、CNTに関しては、CNT1はピリミジンヌクレオシドとアデノシンを取り込み、ラットにおいて、空腸、腎臓においてm−RNAの発現が認められている。CNT2はプリンヌクレオシドとウリジンを取り込み、ヒトにおいて、心臓、肝臓、骨格筋、腎臓、腸、などを含む臓器に多種類のm−RNAの発現が認められている。CNT3は最近クローニングされているが、プリン、ピリミジンヌクレオシド両方を取り込み、ヒトにおいて、骨髄、膵臓、腸、乳腺にm−RNAの発現が確認できている。また、機能的には、全てのCNTはNBMPRによって影響を受けないことが確認されている(例えば、非特許文献9及び11参照)。
【0012】
また、これまでの腸管における輸送メカニズムの研究において、CNTを介して粘膜(mucosal)側からヌクレオシドが取り込まれ、ENTを介して漿膜(serosal)側からヌクレオシドが吸収されていることが示されている(例えば、非特許文献12参照)。しかしながら、ヒトの腸管、特に小腸におけるヌクレオシド吸収における輸送担体の関与については詳細に解明されていない。
【0013】
一方、特許文献1及び2において、プリン体の吸収を抑制することにより血漿尿酸値が低下することが示されており、また、その外にも、ヒトにおいて、食物由来のプリン体の摂取制限を行うことにより血漿尿酸値が低下することも確認されている。従って、腸管から吸収されたプリンヌクレオシドから生成した尿酸は血漿尿酸濃度に反映されており(例えば、非特許文献13参照)、腸管からのプリンヌクレオシド吸収を効果的に抑制することにより血漿中の尿酸値を調整することができる。
【0014】
また、CNT2阻害作用を有する化合物は、腸管におけるプリンヌクレオシド吸収を抑制し、血漿尿酸値を低下させることができることが報告されている(特許文献3〜5参照)。
【0015】
ところで、4−アミノ−5−シアノ−7−デアザアデノシン−6−アルキルアミノ誘導体としては、C型肝炎ウィルス感染、HIVウィルス感染等の治療に有用な化合物が報告されているが、更に6位にベンジルアミノ基が置換した化合物は記載されていない(特許文献6〜8参照)。以上のように、本発明の7−デアザアデノシン誘導体は新規な化合物であり、CNT2阻害活性を有し、痛風や高尿酸血症などの血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療に有用であることも全く報告も示唆もされていない。
【特許文献1】特開2001−163788号公報
【特許文献2】特許第2632577号公報
【特許文献3】国際公開第2004−101593号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2005−063788号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2006−030803号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2004−007512号パンフレット
【特許文献7】特表2004−520367号公報
【特許文献8】国際公開第02−057287号パンフレット
【非特許文献1】高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン作成委員会編集,「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン ダイジェスト版」,日本痛風・核酸代謝学会発行,2002年9月1日,p.1−9
【非特許文献2】谷口敦夫、外1名,「診断と治療」,2002年,第90巻,第2号,p.186−191
【非特許文献3】「ハーパー・生化学 原書25版」,上代淑人外訳,丸善株式会社発行,2001年1月30日,p.417
【非特許文献4】Carol E. Cass、外11名,「メンブレン トランスポーターズ アズ ドラッグ ターゲッツ(Membrane Transporters as Drug Targets)」、1999年、p.318−321
【非特許文献5】Mark Griffiths、外10名,「ネイチャー メディスン(NATURE MEDICINE)」,1997年1月,第3巻,第1号,p.89−93
【非特許文献6】Charles R.Crawford、外3名,「ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,1998年,第273巻,第9号,p.5288−5293
【非特許文献7】Mabel W.L.Ritzel、外5名,「アメリカン ジャーナル オブ フィジオロジー(American Journal of Physiology)」,1997年,第272巻,セル フィジオロジー(Cell Physiology),第41巻,p.C707−C714
【非特許文献8】Juan Wang、外5名,「アメリカン ジャーナル オブ フィジオロジー(American Journal of Physiology)」,1997年,第273巻,リーナル フィジオロジー(Renal Physiology),第42巻,p.F1058−F1065
【非特許文献9】Mabel W.L.Ritzel、外14名,「ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」,2001年,第276巻,第4号,p.2914−2927
【非特許文献10】Carol E. Cass、外11名,「メンブレン トランスポーターズ アズ ドラッグ ターゲッツ(Membrane Transporters as Drug Targets)」、1999年、p.316−318
【非特許文献11】Carol E. Cass、外11名,「メンブレン トランスポーターズ アズ ドラッグ ターゲッツ(Membrane Transporters as Drug Targets)」、1999年、p.327−332
【非特許文献12】James D. Young、外4名,「ガストロインテスティナル トランスポート モレキュラー フィジオロジー(Gastrointestinal transport, molecular physiology)」、2001年、p.334−337
【非特許文献13】N.Zollner,「プロシーディング オブ ザ ニュートリション ソサイアティー(Proceedings of the Nutrition Society)」,1982年,第41巻,p.329−342
【非特許文献14】Jyoti. B. Chattopadhyaya,「シンセシス(Synthesis)」,1977年,p.725−726
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療に有用な7−デアザアデノシン誘導体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは上記課題を解決すべく、ヒトの腸管におけるヌクレオシド吸収について鋭意研究を行い、CNT2阻害活性を有する化合物を探索した結果、ヒトCNT2遺伝子導入COS7細胞を用いた実験において、後述する一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体が、強力なイノシン取り込み阻害活性を示すことを確認した。それ故、一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物は、優れたCNT2阻害活性を発現し、血漿尿酸値上昇を顕著に抑制することから、新規な血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療薬となり得ることを見出し、本発明をなすに至った。
【0018】
即ち、本発明は、
〔1〕 下記一般式(I)
【化1】


〔式中、R、Rは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−AH基又は−A−D−E−G基{Aは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−(R及びRは、独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Dは、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキレン、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニレン又は下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニレンであり;Eは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−、−NRCOO−又は−NRCONR−、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいシクロアルキレン、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロシクロアルキレン、下記置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいアリーレン又は下記置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいへテロアリーレン(R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Gは、水素原子、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル又はアリール低級アルキル}であり;
Yは、単結合、−O−、−S−又は−CH−であり;
Qは、水素原子、ハロゲン原子、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル、下記置換基群βから選択される基を1〜3個有していてもよいアリール、下記置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロアリールである〕で表される、7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物;
〔置換基群α〕
ハロゲン原子、シアノ、チオール、カルボキシル、フタルイミド、低級アルキル、低級アルキルチオ、低級アルコキシカルボニル、−OW、−OCOW、−OCOOW、−NWCOW、−NWCOOW、−NHC(=NH)−NH、−NW、−CONW、−NWCONW、又は−SONW{Wは、水素原子、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル;W〜Wは、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、又はアリール低級アルキル(W及びWは共に結合している窒素原子を含めて脂環式アミノを形成してもよい);置換基中にW〜Wが2以上存在する場合は、互いに同一でも異なっていてもよい}
〔置換基群β〕
水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−TH基又は−T−U−V−Z基{Tは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−(R及びRは、独立して、水素原子又は低級アルキル);Uは、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキレン、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニレン又は上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニレン;Vは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−、−NRCOO−又は−NRCONR10−、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいシクロアルキレン、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロシクロアルキレン、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいアリーレン又は上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいへテロアリーレン(R及びR10はそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル);Zは、水素原子、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル又はアリール低級アルキル}
【0019】
〔2〕Yが単結合であり;Qが一般式:
【化2】

〔式中、R11は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−AH基又は−A−D−E−G基{Aは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−(R及びRは、独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Dは、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキレン、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニレン又は置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニレンであり;Eは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−、−NRCOO−又は−NRCONR−、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいシクロアルキレン、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロシクロアルキレン、置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいアリーレン又は置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいへテロアリーレン(R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Gは、水素原子、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル又はアリール低級アルキル}であり;
12、R13は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル、下記置換基群γから選択される基を1〜3個有していてもよいアリール、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロアリールである〕で表される基である、前記〔1〕記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物;
〔置換基群γ〕
ハロゲン原子、シアノ、水酸基、チオール、カルボキシル、フタルイミド、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキルチオ、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、アミノ、モノ(ジ)低級アルキルアミノ、ヒドロキシ低級アルキル、アリール低級アルキル
〔3〕前記〔1〕又は〔2〕記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物;
〔4〕ナトリウム依存性ヌクレオシド輸送体2阻害薬である、前記〔1〕又は〔2〕記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物;
〔5〕血漿尿酸値低下薬である、前記〔1〕又は〔2〕記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物;
〔6〕血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療用である、前記〔3〕〜〔5〕の何れかに記載の医薬組成物;
〔7〕血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症及び急性尿酸性腎症から選択される疾患である、前記〔6〕記載の医薬組成物;
〔8〕有効成分として、尿酸排泄促進薬、尿酸合成阻害薬、尿アルカリ化薬、尿酸オキシダーゼ、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬及びステロイドの群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を組み合せてなる、前記〔3〕〜〔7〕のいずれかに記載の医薬組成物;等に関するものである。
【0020】
ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子をいう。
低級とは、炭素数6以下の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を意味する。例えば、低級アルキルとして、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル等が挙げられ、低級アルケニルとして、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、2−メチルアリル等が挙げられ、低級アルキニルとして、エチニル、2−プロピニル等が挙げられ、低級アルキレンとして、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン、イソブチレン、sec−ブチレン、tert−ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、ネオペンチレン、tert−ペンチレン、ヘキシレン等が挙げられ、低級アルケニレンとして、ビニレン、アリレン、1−プロペニレン、イソプロペニレン、1−ブテニレン、2−ブテニレン、2−メチルアリレン等が挙げられ、低級アルキニレンとして、エチニレン、2−プロピニレン等が挙げられ、低級アルコキシカルボニルとして、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、イソペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、tert−ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル等が挙げられる。
【0021】
シクロアルキルとは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチル等の炭素数3〜8の脂肪族単環状炭化水素基をいい、シクロアルキレンとは、上記シクロアルキルの遊離原子価の出ている原子以外の原子に結合している水素原子を1個除いた2価の基をいう。
【0022】
ヘテロシクロアルキルとは、アジリジノ、アゼチジノ、モルホリノ、2−モルホリニル、チオモルホリノ、1−ピロリジニル、ピペリジノ、4−ピペリジニル、1−ピペラジニル、1−ピロリル等の、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を1〜2個環内に含み、オキソ基を1〜2個有していてもよい3〜8員環の脂肪族単環状炭化水素基、及びベンゼン環が縮合した5〜6員環の前記脂肪族単環状炭化水素基(例えば、1,3−ジオキソイソインドリン−2−イル等)をいい、ヘテロシクロアルキレンとは、上記ヘテロシクロアルキルの遊離原子価の出ている原子以外の原子に結合している水素原子を1個除いた2価の基をいう。
【0023】
アリールとは、フェニル、ナフチル等の炭素数6又は10の芳香族環状炭化水素基をいい、アリーレンとは、上記アリールの遊離原子価の出ている原子以外の原子に結合している水素原子を1個除いた2価の基をいう。
【0024】
ヘテロアリールとは、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、トリアゾール、テトラゾール、フラザン等から派生される、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜4個環内に含む5もしくは6員環の芳香族ヘテロ環基、又はインドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾイソチアゾール、インダゾール、ベンズイミダゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、キノキサリン、キナゾリン、シノリン、インドリジン、ナフチリジン、プテリジン等から派生される、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択される任意のヘテロ原子を1〜4個環内に含む5もしくは6員環と6員環が縮合した芳香族ヘテロ環基をいい、ヘテロアリーレンとは、上記ヘテロアリールの遊離原子価の出ている原子以外の原子に結合している水素原子を1個除いた2価の基をいう。
【0025】
モノ(ジ)低級アルキルアミノとは、上記低級アルキルでモノ又はジ置換されたアミノをいう。ジ置換の場合の低級アルキル基は異なっていてもよい。
脂環式アミノとは、アジリジノ、アゼチジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、1−ピロリジニル、ピペリジノ、1−ピペラジニル、1−ピロリル等の、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を結合部位の窒素原子以外の環内に含み、オキソ基を1〜2個有していてもよい3〜8員環の環状アミノ(例えば、2−オキソ−1−ピロリジニル等)をいう。
【0026】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物において、Yは、好ましくは、単結合であり、Qは、好ましくは、前記置換基群βから選択される任意の基を有していてもよいアリールである。
【0027】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、例えば、以下の方法もしくはそれに準じた方法、又はその他文献記載の方法もしくはそれらに準じた方法等に従い製造することができる。尚、保護基が必要な場合は、常法に従い適宜導入及び脱離の操作を組み合わせて実施することもできる。
【0028】
【化3】

【0029】
(式中のPは水酸基の保護基であり、Xはハロゲンであり、R、R、Y及びQは上記と同義である。)
【0030】
工程1
前記一般式()で表される化合物とアミン化合物()を、無溶媒下又は不活性溶媒中、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2, 6−ルチジン、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどの塩基存在下又は非存在下で縮合し、必要に応じて保護基の除去を行うことにより、本発明の前記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体を製造することができる。不活性溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソブタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、トルエン、水、これらの混合溶媒等が挙げられる。反応温度は室温から還流温度であり、反応時間は原料物質や溶媒、反応温度により異なるが、通常、5分〜7日間である。また、本工程は必要に応じて耐圧反応容器を用いて反応を行うことができる。
【0031】
前記工程において原料として用いられる前記一般式()で示される化合物は、公知の方法(例えばNUCLEOSIDES & NUCLEOTIDES, 1999, 18(2), 153-159., NUCLEOSIDES & NUCLEOTIDES, 1993, 12(6), 643-648., TETRAHEDRONE, 1986, 42(21), 5869-5878.に記載の方法)やそれに準拠した方法により製造することができる。
【0032】
前記工程において原料として用いられるアミン化合物()又はその塩は、市販品を購入するか、公知の方法やそれに準拠した方法により製造することができ、また、以下に例示する方法によっても製造することができる。なお、保護基が必要な場合は、常法に従い適宜導入及び脱離の操作を組み合わせて実施することができる。
【0033】
【化4】

【0034】
(式中のR、R、Y及びQは上記と同義である。)
【0035】
工程2−1
アジド化合物()を、一般的なアジドの還元法に従い反応を行うことにより、アミン化合物()を製造することができる。例えばアジド化合物()を不活性溶媒中、塩酸、酢酸等の酸の存在下又は非存在下、パラジウム炭素、プラチナ炭素等の金属触媒を用いて接触還元することによりアミン化合物()を製造することができる。不活性溶媒としてはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、水及びそれらの混合溶媒が挙げられる。
【0036】
その他の方法としては、アジド化合物()を不活性溶媒中、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のリン試薬を用いて還元することによりアミン化合物()を製造することもできる。不活性溶媒としてはテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ベンゼン、水、及びこれらの混合溶媒が挙げられる。またアジド化合物()を不活性溶媒中、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いることによりアミン化合物()を製造することができる。不活性溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒等が挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0037】
工程2−2
ニトリル化合物()を、一般的なニトリルの還元法に従い反応を行うことにより、アミン化合物()を製造することができる。例えば、ニトリル化合物()を不活性溶媒中、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム等の還元剤を用いて還元することによりアミン化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒等が挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0038】
その他の方法としてはニトリル化合物()を不活性溶媒中、塩酸、酢酸等の酸の存在下又は非存在下、パラジウム炭素、酸化白金等の金属触媒を用いて接触還元することにより化合物()を製造することができる。不活性溶媒としてはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、水及びそれらの混合溶媒が挙げられる。その反応温度は通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0039】
工程2−3
アルドキシム化合物()を、一般的なオキシムの還元法に従い反応を行うことにより、アミン化合物()を製造することができる。例えば、アルドキシム化合物()を不活性溶媒中、塩酸、酢酸等の酸の存在下又は非存在下、パラジウム炭素、酸化白金等の金属触媒を用いて接触還元することによりアミン化合物()を製造することができる。不活性溶媒としてはメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、水及びそれらの混合溶媒等が挙げられる。その反応温度は通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0040】
また、アルドキシム化合物()を不活性溶媒中、水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を用いることによりアミン化合物()を製造することもできる。不活性溶媒としてはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、それらの混合溶媒等が挙げられる。その反応温度は通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0041】
工程2−4
フタルイミド化合物()を、一般的なフタロイル基の脱保護に従い反応を行うことにより、アミン化合物()を製造することができる。例えば、フタルイミド化合物()を不活性溶媒中、ヒドラジン、メチルアミン、アンモニア等を用いて脱保護させることによりアミン化合物()を製造することができる。不活性溶媒としてメタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、水、それらの混合溶媒等が挙げられる。その反応温度は通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0042】
工程2−5
カルバモイル化合物()を、一般的なアミドの還元法に従い反応を行うことにより、アミン化合物()を製造することができる。例えば、カルバモイル化合物()を不活性溶媒中、水素化リチウムアルミニウム、ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体等の還元剤を用いて還元することによりアミン化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、あるいはそれらの混合溶媒を挙げることができる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0043】
前記工程2において出発原料として用いられている()〜()は市販品を購入するか、あるいは公知の方法やそれに準じた方法で製造することができる。例えば、以下のような方法で製造することができる。なお、保護基が必要な場合は常法に従い、適宜導入、脱保護を組み合わせ実施することができる。
【0044】
【化5】

【0045】
(式中のR、R、Y及びQは上記と同義である。)
【0046】
工程3−1
アルデヒド()を、一般的なアルデヒドの酸化条件に従い反応を行うことにより、カルボン酸(10)を製造することができる。例えばアルデヒド()を不活性溶媒中、2−メチル−2−ブテン及びリン酸二水素ナトリウムの存在下、亜塩素酸ナトリウムを用いて酸化することにより、カルボン酸(10)を製造することができる。不活性溶媒としてはtert−ブチルアルコール、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、0℃〜室温であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。その他の合成法としては、アルデヒド()を不活性溶媒中、酸化剤(例えば、OXONE(登録商標)等)を用いて酸化することにより、カルボン酸(10)を製造することができる。不活性溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、tert−ブチルアルコール、アセトニトリル、アセトン、水、それらの混合溶媒が挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0047】
工程3−2
カルボン酸(10)を、一般的な縮合反応に従い反応を行うことにより、アミド化合物()を製造することができる。例えば、カルボン酸(10)を不活性溶媒中、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、又は非存在下、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、N−エチル−N’−3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド及びその塩酸塩、ジフェニルホスホリルアジド、カルボジイミダゾール等の縮合剤を用い、場合によっては1−ヒドロキシベンゾトリアゾール等の添加剤を加え、アンモニアと反応させることにより、アミド化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、水、それらの混合溶媒が挙げられる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0048】
工程3−3
アミド化合物()を、一般的な脱水反応に従い反応を行うことにより、ニトリル化合物()を製造することができる。例えば、アミド化合物()を不活性溶媒中、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下又は非存在下、トリフルオロ酢酸無水物、塩化チオニル、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリド、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド等を用いて脱水することにより、ニトリル化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0049】
工程3−4
アルデヒド()を、一般的な縮合反応に従い反応を行うことにより、アルドキシム化合物()を製造することができる。例えば、アルデヒド()を不活性溶媒中、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、又は非存在下、ヒドロキシルアミン及びその塩と反応させることにより、アルドキシム化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、水、それらの混合溶媒を挙げることができる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0050】
【化6】

【0051】
(式中のXはハロゲン、メタンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基等の脱離基であり、R、R、Y及びQは上記と同義である。)
【0052】
アルコール化合物(11)は対応する前記アルデヒド()あるいは前記カルボン酸(10)を一般的な還元反応に従い製造することができる。還元反応は、例えば不活性溶媒中、水素化リチウムアルミニウム、水素化ジイソブチルアルミニウム、ボラン−テトラヒドロフラン錯体を用いて行うことができる。不活性溶媒としては、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、トルエン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、-78℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0053】
工程3−5
アルコール化合物(11)を一般的なハロゲン化、スルホニル化の方法に従い反応させることにより、化合物(12)を製造することができる。ハロゲン化反応は、例えば、無溶媒あるいは不活性溶媒中、塩化チオニル、塩化オキザリル、三塩化リン、五塩化リン、臭化チオニル等のハロゲン化試薬を用い、必要に応じて触媒量のN,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、ピリジン等の添加して行うことができる。不活性溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、それらの混合溶媒を挙げることができる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。スルホニル化反応は、例えば、不活性溶媒中、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、水素化ナトリウム等の塩基の存在下、メタンスルホニルクロリド、p−トルエンスルホニルクロリドと反応させることにより行うことができる。不活性溶媒としては、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、-78℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0054】
工程3−6
アジド化合物()は、一般的なアジド化法に従い製造することができる。例えば、アルコール化合物(11)を不活性溶媒中、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル等のアゾジカルボン酸エステル、及びトリフェニルホスフィン等の有機リン試薬の存在下、アジ化ナトリウム、アジ化リチウム等のアジド化試薬と反応させることによりアジド化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0055】
工程3−7
フタルイミド化合物()は、一般的なフタルイミドとの縮合反応に従い製造することができる。例えば、アルコール化合物(11)を不活性溶媒中、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル等のアゾジカルボン酸エステル、及びトリフェニルホスフィン等の有機リン試薬の存在下、フタルイミドと反応させることにより、フタルイミド化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0056】
工程3−8
アジド化合物()は、一般的なアジド化法に従い、化合物(12)より製造することもできる。アジド化反応は、例えば、アジ化ナトリウム、アジ化リチウム等のアジド化試薬を用いて行うことができる。不活性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、エタノール、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0057】
工程3−9
フタルイミド化合物()は一般的なフタルイミド化法に従い、製造することもできる。例えば、化合物(12)を不活性溶媒中、フタルイミドカリウムと反応されることによりフタルイミド化合物()を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、N−メチル−ピロリドン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0058】
前記工程において出発原料として用いられる前記アルデヒド()は市販品を購入するか、あるいは公知の方法やそれに準拠した方法などにより製造することもでき、また、以下に例示する方法により製造することもできる。
【化7】

【0059】
(式中、R、R、Y、Q及びXは上記と同義である。)
【0060】
工程4−1
ハロゲン化合物(13)を不活性溶媒中、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等を用いリチオ化反応をおこない、N,N−ジメチルホルムアミド等と反応することによりアルデヒド()を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、トルエン、それらの混合溶媒を挙げることができる。その反応温度は、通常、-78℃〜室温であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、5分〜2時間である。
【0061】
前記アルデヒド化合物()において、Yが単結合、Qがアリール基又はヘテロアリール基である化合物(9a)は、市販品を購入するか又は以下に例示する方法によっても製造することができる。
【0062】
【化8】

【0063】
(式中Lはホルミル基であり、Xはハロゲン原子又はトリフルオロメタンスルホニルオキシ基であり、R14は水素原子、低級アルキル基又は互いに環を形成してもよい低級アルキル基であり、Yは単結合であり、R、R及びQは上記と同義である。)
【0064】
工程5−1
化合物(14)と化合物(15)を、不活性溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム触媒及び炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化セシウム等の塩基の存在下に反応させることによりアルデヒド(9a)を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、トルエン、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。本工程において用いられている化合物(15)は、市販品を購入するか、公知の方法(例えばJ.Org.Chem., 200, 65(1), 164-168., J.Org.Chem., 1993, 58(8), 2201-2208., J.Med.Chem.,1997,40(22), 3542-3550., Synthesis,2004,4,469-483.に記載の方法)やそれに準拠した方法などにより製造することもできる。
【0065】
前記一般式(14)で表される化合物において、Rがアルコキシ基である化合物(14a)は以下の合成法によっても製造することができる。
【0066】
【化9】

【0067】
(R15はアルキル基であり、R、P及びLは上記と同義である。)
【0068】
工程6−1
フェノール化合物(17)は、カテコール化合物(16)を、例えば、不活性溶媒中、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、また触媒量のヨウ化ナトリウムの存在下又は非存在下、保護化試薬を用いて反応を行うなど、一般的な保護基の導入方法により製造することができる。保護化試薬としては、例えば、ベンジルブロミド、メチルヨージド、クロロメチルメチルエーテル、tert−ブチルジメチルシリルクロリド等を挙げることができる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、ジクロロメタン、トルエン、水、これらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0069】
工程6−2
アルコキシ化合物(18)は、一般的なアルキル化法に従い製造することができる。例えば前記フェノール化合物(17)を、不活性溶媒中、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン等の塩基の存在下、また触媒量のヨウ化ナトリウムの存在下又は非存在下、ハロゲン化アルキルと反応させることによりアルコキシ化合物(18)を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、ジクロロメタン、トルエン、水、又はこれらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0070】
工程6−3
フェノール化合物(19)は、アルコキシ化合物(18)を常法により脱保護することにより製造することができる。
【0071】
工程6−4
トリフルオロメタンスルホニルオキシ化合物(14a)は、一般的なスルホニル化反応を行うことにより製造することができる。例えば、不活性溶媒中、フェノール化合物(19)をトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、トルフルオロメタンスルホン酸無水物等のトリフルオロメタンスルホニル化試薬と反応させることによりトリフルオロメタンスルホニルオキシ化合物(14a)を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、-78℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、10分〜1日間である。
【0072】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物において、Yが単結合である化合物(Ia)は、以下のような合成法に従い、合成することもできる。
【0073】
【化10】

【0074】
(式中のYは単結合であり、R、R、R14、Q、P、及びXは上記と同義である。)
【0075】
化合物(20)と前記化合物(15)を、不活性溶媒中、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム触媒及び炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、フッ化セシウム等の塩基の存在下に反応させることにより、本発明の化合物(Ia)を製造することができる。不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、エタノール、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメトキシエタン、トルエン、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は、通常、室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質、溶媒及び反応温度により異なるが通常、30分〜3日間である。
【0076】
また、前記一般式(I)で表される化合物において、R、R及びQの少なくとも一つが低級アルケニル又は低級アルキニルである化合物は、1)該基が臭素原子又はヨウ素原子である化合物を、対応するアルケン誘導体又はアルキン誘導体を用いて、不活性溶媒中、酢酸パラジウム等のパラジウム触媒、トリフェニルホスフィン等の有機リン配位子及び炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下に縮合することにより、又は、2)該基が臭素原子又はヨウ素原子である化合物を、対応する有機ホウ素化合物を用いて、不活性溶媒中、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム、ナトリウムtert−ブトキシド等の塩基の存在下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)等のパラジウム触媒及び必要に応じて2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル等の配位子共存下に縮合することにより、製造することもできる。該反応1)及び2)に用いられる不活性溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、エタノール、アセトニトリル、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は通常室温〜還流温度であり、反応時間は原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常10分間〜1日間である。
【0077】
前記一般式(I)で表される化合物において、R、R及びQの少なくとも一つに、アルコキシ、アルキルチオ、モノ又はジ置換アミノ、エステルを有する化合物は、それぞれ該基が水酸基、チオール、アミノ又はカルボキシルである化合物を、対応するハロゲン化アルキル等のアルキル化試薬を用いて、不活性溶媒中、水素化ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、水酸化ナトリウム等の塩基の存在下、必要に応じて触媒量のヨウ化ナトリウム共存下にアルキル化することにより製造することもできる。該反応に用いられる不活性溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジクロロメタン、トルエン、エタノール、アセトン、水、それらの混合溶媒等を挙げることができる。その反応温度は通常0℃〜還流温度であり、反応時間は原料物質や溶媒、反応温度などにより異なるが、通常10分間〜1日間である。
【0078】
本発明において使用される保護基としては、一般的に有機合成反応において用いられる各種の保護基を用いることができる。例えば、水酸基の保護基としては、p−メトキシベンジル、ベンジル、メトキシメチル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、tert−ブチルジメチルシリル、tert−ブチルジフェニルシリル、アリル等の他、2つの水酸基が隣接する場合は、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン等を挙げることができる。チオール基の保護基としては、p−メトキシベンジル、ベンジル、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル等を挙げることができる。アミノ基の保護基としては、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、トリフルオロアセチル、アセチル、フタロイル等を挙げることができる。カルボキシ基の保護基としては、ベンジル、tert−ブチルジメチルシリル、アリル等を挙げることができる。
【0079】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物は、慣用の分離手段である分別再結晶法、クロマトグラフィーを用いた精製法、溶媒抽出法、固相抽出法等により単離精製することができる。
【0080】
本発明の前記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体又はそのプロドラッグは、常法により、その薬理学的に許容される塩とすることができる。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの鉱酸との酸付加塩、ギ酸、酢酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、プロピオン酸、クエン酸、コハク酸、酒石酸、フマル酸、酪酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、炭酸、安息香酸、グルタミン酸、アスパラギン酸等の有機酸との酸付加塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の無機塩基との塩、N−メチル−D−グルカミン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、2−アミノエタノール、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、アルギニン、リジン等の有機塩基との付加塩を挙げることができる。
【0081】
本発明の前記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体において、不飽和結合を有する化合物には、2つの幾何異性体である、シス(Z)体の化合物及びトランス(E)体の化合物が存在するが、本発明においてはそのいずれの化合物を使用してもよく、それらの混合物であっても構わない。
【0082】
本発明の前記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体において、糖残基部分を除き不斉炭素原子を有する化合物には、1つの不斉炭素につきそれぞれR配置の化合物及びS配置の化合物が存在するが、本発明においてはいずれの光学異性体を使用してもよく、それらの光学異性体の混合物であっても構わない。
【0083】
本発明の前記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体には種々の互変異性体が存在するが、本発明の化合物にはそれらの互変異性体も含まれる。
【0084】
本発明において、プロドラッグとは、薬理学的に許容できる通常プロドラッグにおいて使用される基で親化合物を修飾した化合物をいい、例えば、安定性や持続性の改善等の特性が付与され、腸管内等で親化合物に変換されて効果を発現することが期待できる。本発明の前記一般式(I)で表される化合物のプロドラッグは、対応するハロゲン化物等のプロドラッグ化試薬を用いて、常法により、前記一般式(I)で表される化合物における水酸基、アミノ基、その他プロドラッグ化の可能な基から選択される1以上の任意の基に、常法に従い適宜プロドラッグを構成する基を導入した後、所望に応じ、適宜常法に従い単離精製することにより製造することができる(「月刊薬事 医薬品適正使用のための臨床薬物動態」,2000年3月臨時増刊号,第42巻,第4号,p.669−707、「新・ドラッグデリバリーシステム」,株式会社シーエムシー発行,2000年1月31日,p.67−173参照)。水酸基やアミノ基において使用されるプロドラッグを構成する基としては、例えば、低級アルキル−CO−、低級アルキル−O−低級アルキレン−CO−、低級アルキル−OCO−低級アルキレン−CO−、低級アルキル−OCO−、低級アルキル−O−低級アルキレン−OCO−等を挙げることができる。
【0085】
本発明において、医薬品として許容される溶媒との溶媒和物としては、例えば、エタノールとの溶媒和物が挙げられる。
【0086】
本発明において、血漿尿酸値異常に起因する疾患としては、痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症、急性尿酸性腎症などの疾患を挙げることができ、特には、痛風、高尿酸血症を挙げることができる。
【0087】
本発明の医薬組成物を実際の予防又は治療に用いる場合、その有効成分である前記一般式(I)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物の投与量は、患者の年齢、性別、体重、疾患及び治療の程度等により適宜決定されるが、例えば、経口投与の場合成人1日当たり概ね1〜2000mgの範囲で、一回又は数回に分けて投与することができる。
【0088】
本発明の医薬組成物を実際の予防又は治療に用いる場合、用法に応じ、経口的又は非経口的に種々の剤型のものが使用されるが、例えば、散剤、細粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、ドライシロップ剤などの経口投与製剤が好ましい。
【0089】
これらの医薬組成物は、通常の調剤学的手法に従い、その剤形に応じ適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などの医薬品添加物を適宜混合し、常法に従い調剤することにより製造することができる。
【0090】
例えば、散剤は、有効成分に必要に応じ、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和して散剤とする。例えば、錠剤は、有効成分に、適当な賦形剤、崩壊剤、結合剤、滑沢剤などを加え、常法に従い打錠して錠剤とし、さらに必要に応じ、適宜コーティングを施し、フィルムコート錠、糖衣錠、腸溶性皮錠などにする。例えば、カプセル剤は、有効成分に、適当な賦形剤、滑沢剤などを加え、よく混和した後、又は常法に従い顆粒又は細粒とした後、適当なカプセルに充填してカプセル剤とする。さらに、このような経口投与製剤の場合は予防又は治療方法に応じて、速放性もしくは徐放性製剤とすることもできる。
【0091】
本発明の前記一般式(I)で表される化合物もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物の他に、ヌクレオシド吸収を実質的に阻害しない、高尿酸血症治療薬又は痛風治療薬を組み合せて使用することができる。
本発明において使用できる高尿酸血症治療薬としては、例えば、プロベネシド、ブコローム、ベンズブロマロン等の尿酸排泄促進薬、アロプリノール、オキシプリノール、フェブキソスタット、Y−700等の尿酸合成阻害薬、炭酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸ナトリウム等の尿アルカリ化薬、ラスブリカーゼ、ウリカーゼ−PEG−20、遺伝子組換え型尿酸オキシダーゼ(ウリカーゼ)等の尿酸オキシダーゼ等を挙げることができる。
また痛風治療薬としてはコルヒチン、又はインドメタシン、ナプロキセン、フェンブフェン、プラノプロフェン、オキサプロジン、ケトプロフェン、エトリコキシブ、テノキシカム等の非ステロイド性抗炎症薬、並びにステロイド等を挙げることができる。
【0092】
本発明においては、本発明の有効成分の他に、少なくとも1種のこれら薬剤と組み合せて使用することもできるが、少なくとも1種のこれら薬剤と組み合せてなる医薬組成物とは、本発明の有効成分と同時に配合した単一の医薬組成物に限らず、本発明の有効成分を含有する医薬組成物とは別個に製造した医薬組成物として同時に又は間隔をずらして併用する投与形態も含む。また、本発明の有効成分以外の薬剤と組み合せて使用する場合、本発明の化合物の投与量は、組み合せて使用する他の薬剤の投与量に応じて減量することができ、場合により、上記疾患の予防又は治療上相加効果以上の有利な効果を得ることや、組み合せて使用する他の薬剤の副作用を回避又は軽減させることができる。
【発明の効果】
【0093】
本発明の前記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物は、優れたCNT2阻害活性を発現し、腸管でのプリンヌクレオシドの体内吸収を阻害して、血漿尿酸値上昇を顕著に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0094】
本発明の内容を以下の参考例、実施例及び試験例でさらに詳細に説明するが、本発明はその内容に限定されるものではない。
【0095】
参考例1
{3−[3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ]プロピル}カルバミン酸ベンジルエステル
3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(2.16g)をN,N−ジメチルホルムアミド(15mL)に溶解させ、炭酸カリウム(2.03g)、(3−ブロモプロピル)カルバミン酸ベンジルエステル(3.2g)を加え室温にて16時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製することにより、標記化合物(3.9g)を得た。
【0096】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.34 (12H, s), 1.90-2.10 (2H, m), 3.30-3.55 (2H, m), 4.00-4.15 (2H, m), 4.95-5.10 (1H, brs), 5.10 (2H, m), 6.90-7.05 (1H, m), 7.20-7.50 (8H, m)
【0097】
参考例2
N−{4−[3−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチル
{3−[3−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)フェノキシ]プロピル}カルバミン酸ベンジルエステル(3.8g)、N−(4−ブロモベンジル)カルバミン酸tert−ブチル(2.1g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.42g)、炭酸カリウム(1.5g)、水(4mL)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)懸濁液を80℃にて12時間撹拌した。反応混合物を水中にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。得られた溶液をアミノプロピルシリカゲルを通し原点成分を除去後、ろ液を減圧下濃縮した。得られた残渣をn−ヘキサン/ジエチルエーテル=(1/1)にて懸濁させ、不溶物をろ取し、減圧下乾燥させることにより、標記化合物(2.2g)を得た。
【0098】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.46 (9H, s), 1.95-2.05 (2H, m), 3.35-3.55 (2H, m), 4.00-4.15 (2H, m), 4.20-4.45 (2H, m), 4.75-5.10 (2H, m), 5.10 (2H, s), 6.80-6.95 (1H, m), 7.09 (1H, s), 7.10-7.45 (8H, m), 7.53 (2H, d, J=8.2Hz)
【0099】
参考例3
4−[3−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミン塩酸塩
N−{4−[3−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチル(1.8g)に4mol/L塩化水素−ジオキサン(1.84mL)を加え室温にて1時間撹拌した。この反応混合物に1.8mLのジエチルエーテルを加え室温にて15分撹拌した。析出してきた結晶をろ取し、ジエチルエーテルにて洗浄した。この結晶を減圧下14時間乾燥させ、標記化合物(1.6g)を得た。
【0100】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
1.80-1.95 (2H, m), 3.10-3.25 (2H, m), 4.00-4.15 (4H, m), 5.0 (2H, s), 6.85-7.0 (1H, m), 7.15-7.45 (8H, m), 7.56 (2H, d, J=8.2Hz), 7.72 (2H, d, J=8.2Hz), 8.25-8.50 (3H, brs)
【0101】
参考例4
4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンゾニトリル
4−ブロモベンゾニトリル(3.0g)、3−ベンジルオキシフェニルボロン酸(4.5g)、炭酸ナトリウム(3.5g)、水(3mL)、エタノール(12mL)の混合物にテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.95g)、を室温にて加え、マイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 Initiator)を用い160℃で30分間反応を行った。得られた反応混合物に、酢酸エチルを加えセライトろ過をおこない不溶物を除去した。ろ液を水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製することにより、標記化合物(4.4g)を得た。
【0102】
H−NMR(CDCl3)δppm:
5.13 (2H, s), 7.00 - 7.10, (1H, m), 7.15 - 7.25 (2H, m), 7.30 - 7.50 (6H, m), 7.65 - 7.75 (4H, m)
【0103】
参考例5
4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンジルアミン
水素化リチウムアルミニウム(0.87g)をテトラヒドロフラン(100mL)に懸濁させた。この懸濁液に4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンゾニトリル(4.4g)のテトラヒドロフラン(50mL)溶液を氷冷下滴下した。この反応溶液を60℃にて2時間撹拌後、氷冷し、水(0.87mL)、15%水酸化ナトリウム水溶液(0.87mL)を加え反応を終了させた。この反応混合物に無水硫酸ナトリウム(50g)を加え、この懸濁液を室温にて3時間撹拌した。この懸濁液をセライトろ過し、ろ液を減圧下濃縮することにより、標記化合物(4.4g)を得た。
【0104】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
1.81 (brs, 2H), 3.74 (s, 2H), 5.19 (s, 2H), 6.95 - 7.05 (m, 1H), 7.20 - 7.65 (m, 12H)
【0105】
参考例6
N−[4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンジルアミン(2.0g)をテトラヒドロフラン(20mL)に溶解させ、この溶液にジ−tert−ブチルジカルボネート(1.7g)を室温にて加え、13時間撹拌した。反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製し、標記化合物(2.1g)を得た。
【0106】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.47 (9H, s), 4.25-4.45 (2H, m), 4.80-4.90 (1H,m), 5.12 (2H, s), 6.95-7.0 (1H, m), 7.10-7.25 (2H, m), 7.30-7.60 (10H, m)
【0107】
参考例7
N−[4−(3−ヒドロキシフェニル)ベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−[4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(2.1g)、10%パラジウム炭素(0.2g)の混合物をメタノール(20mL)中、水素雰囲気下、室温にて1時間反応を行った。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮することにより、標記化合物(1.6g)を得た。
【0108】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
1.40 (9H, m), 4.15 (2H, d, J=6.5Hz), 6.70-6.80 (1H, m), 6.95-7.10 (2H, m), 7.24 (1H, t, J=7.9Hz), 7.29 (2H, d, J=8.2Hz), 7.35-7.50 (1H, m), 7.54 (2H, d, J=8.2Hz), 9.50 (1H, s)
【0109】
参考例8
N−{4−[3−(3−クロロプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−[4−(3−ヒドロキシフェニル)ベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.5g)、炭酸カリウム(0.69g)、N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)の混合物に1−ブロモ−3クロロプロパン(0.5mL)を加え、室温にて13時間撹拌した。この反応混合物を水中に注ぎ、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製し、標記化合物(0.43g)を得た。
【0110】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.47 (9H, s), 2.20-2.35 (2H, m), 3.77 (2H, t, J=6.4Hz), 4.10-4.45 (4H,m), 4.75-5.00 (1H, m), 6.85-6.95 (1H, m), 7.05-7.25 (2H, m), 7.30-7.40 (3H, m), 7.50-7.60 (2H,m)
【0111】
参考例9
N−{4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−{4−[3−(3−クロロプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.2g)、ジメチルアミン(0.5mL、2.0M−メタノール溶液)、ヨウ化ナトリウム(0.080g)、エタノール(0.7mL)、アセトニトリル(0.7mL)の混合物を、マイクロウェーブ反応装置(Biotage社製、Initiater)を用い、150℃にて30分間反応を行った。溶媒を減圧下濃縮し、得られた残渣をアミノプロピルシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製し、標記化合物(0.16g)を得た。
【0112】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.47 (9H, s), 1.90-2.05 (2H, m), 2.26 (6H, s), 2.47 (2H, t, J=7.2Hz), 4.00-4.15 (2H, m), 4.20-4.45 (2H, m), 4.80-5.00 (1H, m), 6.85-6.95 (1H, m), 7.00-7.20 (2H, m), 7.25-7.45 (3H, m), 7.50-7.60 (2H, m)
【0113】
参考例10
4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミン
N−{4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステル(0.16g)をジクロロメタン(2mL)に溶解させ、トリフルオロメタンスルホン酸(0.46g)を加え、室温にて13時間撹拌した。揮発性成分を減圧下留去した後に、2N水酸化ナトリウム水溶液中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和重曹水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮を行うことにより、標記化合物(0.12g)を得た。
【0114】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
1.70-1.95 (2H, m), 2.14 (6H, s), 2.30-2.45 (2H, m), 3.74 (2H, m), 4.00-4.15 (2H, m), 6.85-6.95 (1H, m), 7.10-7.70 (7H, m)
【0115】
参考例11
3−メトキシ−4−フェニルベンゾニトリル
4−ヒドロキシ−3−メトキシベンゾニトリル(7.5g)、ピリジン(12mL)、ジクロロメタン(100mL)の混合物中に、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(9.7mL)を、0℃にて10分間かけて滴下した。反応混合物を室温下、1時間撹拌した後にジエチルエーテル(100mL)、1mol/L塩酸(100mL)を加えることにより反応を停止した。有機層を分離し、水層をジエチルエーテル(50mL×3回)で抽出した。まとめた有機層を、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣とフェニルボロン酸(7.3g)、テトラブチルアンモニウムブロミド(0.81g)、炭酸カリウム(13.8g)、水(20mL)、トルエン(100mL)の混合物に、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(2.9g)を室温にて加え、80℃で一時間撹拌した。得られた反応混合物を室温に冷却し、水(100mL)を加え、セライトろ過により不溶物を除去した。ろ液の有機層を分離し、水層をジエチルエーテル(50mLにて3回)で抽出した。まとめた有機層を、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をアミノプロピルシリカゲルクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製することにより、標記化合物(10.5g)を得た。
【0116】
H−NMR(CDCl3)δppm:
3.85 (3H, s), 7.15-7.25 (1H, m), 7.30-7.55 (7H, m)
【0117】
参考例12
3−ヒドロキシ−4−フェニルベンゾニトリル
3−メトキシ−4−フェニルベンゾニトリル(10.5g)をジクロロメタン(20mL)に溶解させ、三臭化ホウ素(1mol/Lジクロロメタン溶液:100mL)を0℃にて30分かけて滴下した。この反応混合物を室温にて80時間撹拌した後に、水(100mL)を滴下することにより反応を停止した。不溶物をセライトろ過により除去し、ろ液の有機層を分離した。水層をジエチルエーテル(50mLにて3回)で抽出した。まとめた有機層を、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下濃縮し、標記化合物(9.6g)を得た。
【0118】
H−NMR(CDCl3)δppm:
5.55 (1H, brs), 7.20-7.60 (8H, m)
【0119】
参考例13
3−ベンジルオキシ−4−フェニルベンゾニトリル
3−ヒドロキシ−4−フェニルベンゾニトリル(9.6g)、炭酸カリウム(14g)、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)の混合物に、ベンジルブロミド(7.0mL)を10分間かけて室温にて滴下した。この反応混合物を室温にて18時間撹拌した後に、水(50mL)を加え、ジエチルエーテルで抽出した。水層をジエチルエーテル(50mLにて3回)で抽出した。まとめた有機層を、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣を20%酢酸エチル−n−ヘキサン(120mL)加え、加温することにより溶解させた。この溶液を室温に冷却し、析出してきた結晶をろ取し、n−ヘキサン(20mL)にて洗浄後、乾燥させることにより、標記化合物(9.9g)を得た。
【0120】
H−NMR(CDCl3)δppm:
5.13 (2H, s), 7.20-7.40 (13H, m)
【0121】
参考例14
3−ベンジルオキシ−4−フェニルベンジルアミン
3−ベンジルオキシ−4−フェニルベンゾニトリル(13.5g)、をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解させ、水素化リチウムアルミニウム(2.2g)のテトラヒドロフラン懸濁液をアルゴン雰囲気下30分間かけて、0℃にて滴下した。この反応混合物を室温にて2時間撹拌した後に、メタノールと1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を加えた。不溶物を除去し、ろ液の有機層を分離した。水層をジエチルエーテル(50mLにて3回)で抽出した。まとめた有機層を、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下濃縮し、標記化合物(13.5g)を得た。
【0122】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.20-1.80 (2H, m), 3.90 (2H, s), 5.10 (2H, s), 6.95-7.10 (2H, m), 7.20-7.65 (11H, m)
【0123】
参考例15
N−(3−ベンジルオキシ−4−フェニルベンジル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
3−ベンジルオキシ−4−フェニルベンジルアミン(13.5g)をテトラヒドロフラン(50mL)に溶解させ、この溶液にジ−tert−ブチルジカルボネート(10.7g)のテトラヒドロフラン溶液を0℃にて加え、室温にて2時間撹拌した。反応混合物を減圧下濃縮することにより、標記化合物(18.7g)を得た。
【0124】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.48 (9H, s), 4.20-4.40 (2H, m), 4.75-5.0 (1H, m), 5.07 (2H, s), 6.90-7.05 (2H, m), 7.20-7.65 (11H, m)
【0125】
参考例16
N−(3−ヒドロキシ−4−フェニルベンジル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−(3−ベンジルオキシ−4−フェニルベンジル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(18.7g)、10%パラジウム炭素(1.87g)の混合物をメタノール中、水素雰囲気下、50℃にて12時間反応を行った。不溶物をろ去し、ろ液を減圧下濃縮することにより、標記化合物(13.4g)を得た。
【0126】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.48 (9H, m), 4.20-4.40 (2H, m), 4.80-5.0 (1H, m), 5.34 (1H, brs.), 6.80-7.0 (2H, m), 7.15-7.25 (1H, m), 7.30-7.55 (5H, m)
【0127】
参考例17
N−[3−(3−クロロプロポキシ)−4−フェニルベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−(3−ヒドロキシ−4−フェニルベンジル)カルバミン酸tert−ブチルエステル(13.4g)、炭酸カリウム(15.5g)、N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)の混合物に、1−ブロモ−3クロロプロパン(5.3mL)を室温にて加えた。この反応混合物を室温にて12時間撹拌した後に、水(50mL)を加え、ジエチルエーテルで抽出した。水層をジエチルエーテル(50mLにて3回)で抽出した。まとめた有機層を、飽和食塩水にて洗浄し、無水硫酸マグネシウムにて乾燥後、減圧下濃縮した。得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄後、乾燥させることにより、標記化合物(8.0g)を得た。
【0128】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.48 (9H, m), 2.10-2.20 (2H, m), 3.60 (2H, t, J=6.3Hz), 4.11 (2H, t, J=5.5Hz), 4.20-4.40 (2H, m), 4.80-5.0 (1H, m), 6.80-7.05 (2H, m), 7.15-7.60 (6H, m)
【0129】
参考例18
N−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−4−フェニルベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−{4−[3−(3−クロロプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステルの代わりにN−[3−(3−クロロプロポキシ)−4−フェニルベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステルを用いて、参考例9と同様の方法に従い、標記化合物を得た。
【0130】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.60-2.00 (4H, m), 2.21 (6H, s), 2.3-2.45 (2H, m), 3.90 (2H, s), 4.0-4.1 (2H, m), 6.9-7.0 (2H, m), 7.2-7.65 (6H, m)
【0131】
参考例19
N−(3−{3−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]プロポキシ}−4−フェニルベンジル)カルバミン酸tert−ブチルエステル
N−{4−[3−(3−クロロプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステルの代わりにN−[3−(3−クロロプロポキシ)−4−フェニルベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステル、ジメチルアミンの代わりに2−メチルアミノエタノールを用いて、参考例9と同様の方法に従い、標記化合物を得た。
【0132】
H−NMR(CDCl3)δppm:
1.47 (9H,s), 1.80-1.95 (2H, m), 2.20 (3H, m), 2.40-2.55 (4H, m), 3.45-3.6 (2H, m), 4.0 (2H, t, J=6.2Hz), 4.20-4.4 (2H, m), 4.80-5.05 (1H, m), 6.85-7.0 (2H, m), 7.2-7.6 (6H, m)
【0133】
参考例20
3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−4−フェニルベンジルアミン
N−{4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステルの代わりにN−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−4−フェニルベンジル]カルバミン酸tert−ブチルエステルを用い、参考例10と同様の方法に従い標記化合物を合成した。
【0134】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
1.6-2.0 (4H, m), 2.21 (6H, s), 2.3-2.45 (2H, m), 3.90 (2H, s), 4.0-4.1 (2H, m), 6.9-7.0 (2H, m), 7.2-7.65 (6H, m)
【0135】
参考例21
3−{3−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]プロポキシ}−4−フェニルベンジルアミン
−{4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジル}カルバミン酸tert−ブチルエステルの代わりにN−(3−{3−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]プロポキシ}−4−フェニルベンジル)カルバミン酸tert−ブチルエステルを用い、参考例10と同様の方法に従い標記化合物を合成した。
【0136】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
2.0-2.25 (2H, m), 2.7-2.85 (3H, m), 3.0-4.2 (10H, m) 7.0-7.6 (8H, m)
【0137】
参考例22
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(1.49g)のN,N−ジメチルホルムアミド(20mL)の溶液にtert−ブチルジメチルクロロシラン(3.03g)、イミダゾール(1.64g)を室温にて加え、同温にて一晩撹拌した。この反応混合物を0.5mol/L塩酸に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を0.5mol/L塩酸、水、飽和食塩水にて順次洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製することにより、標記化合物(1.5g)を得た。
【0138】
H−NMR(CDCl3)δppm:
-0.39 (3H, s), -0.086 (3H, s), 0.00 (3H, s), 0.032 (3H, s), 0.144 (3H, s), 0.152 (3H, s), 0.782 (9H, s), 0.856 (9H, s), 0.96 (9H, s), 3.65-3.80 (1H, m), 4.00-4.20 (2H, m), 4.45-4.60 (1H, m), 5.49 (2H, brs.), 5.50-5.60 (1H, m), 6.00 (1H, d, J=6.4Hz), 8.23 (1H, s)
【0139】
参考例23
4−アミノ−6−{4−[3−(3−アミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.20g)をイソブタノール(2mL)に溶解させ、4−[3−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミン塩酸塩(0.24g)、ジイソプロピルエチルアミン(0.218g)を室温にて加え、マイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiator)にて155℃で2時間反応を行った。エタノールを減圧下除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより4−アミノ−6−{4−[3−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.22g)を得た。得られたビフェニル化合物をメタノール(3mL)に溶解させ、触媒量の10%パラジウム炭素末を室温にて加え、水素雰囲気下室温にて1時間撹拌した。不溶物をろ去し、ろ液の溶媒を減圧下留去することにより、標記化合物(0.15g)を得た。
【0140】
H−NMR(CDCl3)δppm:
-0.33 (3H, s), -0.052 (3H, s), 0.042 (3H, s), 0.062 (3H, s), 0.101 (3H, s), 0.146 (3H, s), 0.723 (9H, m), 0.849 (9H, m), 0.944 (9H, m), 1.90-2.05 (2H, m), 2.90-3.0 (2H, m), 3.78 (1H, dd, J=12.6Hz, 2.5Hz), 3.89 (1H, dd, J=12.6Hz, 2.5Hz), 4.05-4.3 (4H, m), 4.6-5.1 (3H, m), 5.14 (2H, brs.), 6.37 (1H, d, J=7.4Hz), 6.5-6.65 (1H, m), 6.8-6.95 (1H, m), 7.05-7.4 (3H, m), 7.41 (2H, d, J=8.2Hz), 7.56 (2H, d, J=8.2Hz), 8.17 (1H, s)
【0141】
参考例24
4−アミノ−5−シアノ−6−{4−[3−(3−メタンスルホニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−{4−[3−(3−アミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.06g)をジクロロメタン(1mL)に溶解させメタンスルホニルクロリド(0.007mL)、トリエチルアミン(0.014mL)を室温にて加え、同温にて2時間撹拌した。反応混合物を水に注ぎ、酢酸エチルにて抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥後、溶媒を減圧下除去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/n-ヘキサン)にて精製を行うことにより、標記化合物(0.046g)を得た。
【0142】
H−NMR(CDCl3)δppm:
-0.333 (3H, s), -0.051 (3H, s), 0.73 (3H, s), 0.104 (3H, s), 0.148 (3H, s), 0.723 (9H, s), 0.855 (9H, s), 0.946 (9H, s), 2.05-2.2 (2H, m), 2.96 (3H, s), 3.3-3.45 (2H, m), 3.7-4.0 (2H, m), 4.05-4.3 (4H, m), 4.5-5.1 (4H, m), 5.16 (2H, brs.), 6.38 (1H, d, J=7.2Hz), 6.55-6.7 (1H, m), 6.8-6.95 (1H, m), 7.05-7.65 (7H, m), 8.17 (1H, s)
【0143】
参考例25
4−アミノ−6−(4−ブロモベンジルアミノ)−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.30g)をエタノール(2mL)に溶解させ、4−ブロモベンジルアミン(0.16g)、ジイソプロピルエチルアミン(0.16g)を室温にて加え、マイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiator)にて155℃で2時間反応を行った。エタノールを減圧下除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、標記化合物(0.24g)を得た。
【0144】
H−NMR(CDCl3)δppm:
-0.5-0.10 (18H, m), 0.632 (9H, s), 0.774 (9H, s), 0.865 (9H, s), 3.79 (1H, dd, J=11.6Hz, 2.2Hz), 3.81 (1H, dd, J=11.6Hz, 2.2Hz), 3.95-4.2 (2H, m), 4.4-4.95 (3H, m), 5.06 (2H, brs.), 6.32 (1H, d, J=7.7Hz), 6.5-6.65 (1H, m), 7.16 (2H, d, J=8,3Hz), 7.39 (2H, d, J=8.3Hz), 8.09 (1H, s)
【0145】
実施例1
4−アミノ−6−ベンジルアミノ−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.02g)のイソブチルアルコール(1.0mL)溶液にベンジルアミン(0.1mL)を加え、マイクロウェーブ反応装置(Biotage社製 initiator)を用い155℃にて90分間反応を行った。得られた残渣を逆相分取カラムクロマトグラフィー(ジーエルサイエンス社製、Inertsil(登録商標) ODS-3、0、5μm、20×50mm、流速30mL/分リニアグラジェント、水/メタノール=90/10〜10/90)にて精製することにより、標記化合物(0.012g)を得た。
【0146】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
3.75-3.95 (2H, m), 4.15-4.4 (2H, m), 4.6-4.9 (3H, m), 6.51 (1H,d, J=8.1Hz), 7.2-7.55 (5H, m), 8.23 (1H, s)
【0147】
実施例2
4−アミノ−5−シアノ−6−(4−フェニルベンジルアミノ)−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
ベンジルアミンの代わりに4−フェニルベンジルアミンを用いて実施例1と同様の方法に従い標記化合物を合成した。
【0148】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
3.6-3.75 (2H, m), 4.1-4.2 (2H, m), 4.55-4.8 (3H, m), 5.15-5.45 (2H, m), 5.95-6.25 (3H, m), 6.28 (1H, d, J=7.9Hz), 7.2-7.75 (9H, m), 8.01 (1H, s), 8.1-8.3 (1H, m)
【0149】
実施例3
4−アミノ−6−[4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンジルアミノ]−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.10g)をイソブチルアルコール(2.0mL)に溶解させ、4−[(3−ベンジルオキシ)フェニル]ベンジルアミン(0.235g)を加え、マイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiator)を用い175℃で90分間反応を行った。得られた残渣を逆相分取カラムクロマトグラフィー(資生堂社製CAPSELL PAC;C18AQ、0.5μm、20×50mm、流速30mL/分リニアグラジェント、水/メタノール=90/10〜10/90)にて精製することにより、標記化合物(0.062g)を得た。
【0150】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
3.7-3.95 (2H, m), 4.0-4.4 (2H, m), 4.6-4.85 (3H, m), 5.11 (2H, s), 6.37 (1H, d, J=6.5Hz), 6.8-7.75 (13H, m), 8.00 (1H, s)
【0151】
実施例4
4−アミノ−5−シアノ−6−[4−(3−ヒドロキシフェニル)ベンジルアミノ]−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−[4−(3−ベンジルオキシフェニル)ベンジルアミノ]−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.062g)をメタノール(2mL)に溶解させ、触媒量の10%パラジウム炭素末を加え、水素雰囲気下室温にて1時間撹拌した。不溶物をろ去し、ろ液の溶媒を減圧下留去した。得られた残渣を逆相分取カラムクロマトグラフィー(ジーエルサイエンス社製、Inertsil(登録商標) ODS-3、0、5μm、20×50mm、流速30mL/分リニアグラジェント、水/メタノール=90/10〜10/90)にて精製することにより、標記化合物(0.0039g)を得た。
【0152】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
3.75-3.90 (2H, m), 4.0-4.4 (2H, m), 4.6-4.9 (3H, m), 6.37 (1H, d, J=7.8Hz), 6.6-7.75 (8H, m), 8.01 (1H, s)
【0153】
実施例5
4−アミノ−5−シアノ−6−{4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.10g)をイソブチルアルコール(2.0mL)に溶解させ、4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミン(0.098g)を加え、マイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiator)を用い155℃で120分間反応を行った。得られた残渣に2mol/L塩酸(0.3mL)を加え逆相分取カラムクロマトグラフィー(資生堂社製CAPSELL PAC;C18AQ、0.5μm、20×50mm、流速30mL/分リニアグラジェント、水/メタノール=90/10〜10/90)にて精製することにより、標記化合物(0.015g)を得た。
【0154】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
2.05-2.4 (2H, m), 2.93 (6H, s), 3.7-3.95 (2H, m), 4.0-4.35 (4H, m), 4.6-4.9 (3H, m), 6.38 (1H, d, J=7.8Hz), 6.8-7.4 (4H, m), 7.45 (2H, d, J=8.3Hz), 7.59 (2H, d, J=8.3Hz), 8.01 (1H, s)
【0155】
実施例6
4−アミノ−5−シアノ−6−(3−{3−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]プロポキシ}−4−フェニル)ベンジルアミノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミンの代わりに3−{3−[(2−ヒドロキシエチル)メチルアミノ]プロポキシ}−4−フェニル)ベンジルアミンを用い実施例5と同様の方法に従い標記化合物を合成した。
【0156】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
1.75-2.0 (2H, m), 2.20 (3H, s), 2.4-2.6 (4H, m), 3.5-3.65 (2H, m), 3.75-4.1 (4H, m), 4.15-4.3 (2H, m), 4.65-4.85 (3H, m), 6.38 (1H, d, J=7.9Hz), 7.0-7.6 (8H, m), 8.00 (1H, s)
【0157】
実施例7
4−アミノ−5−シアノ−6−[3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−4−フェニル]ベンジルアミノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.10g)をエタノール(2.0mL)に溶解させ、3−(3−ジメチルアミノプロポキシ)−4−フェニルベンジルアミン(0.098g)を加え、マイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiator)を用い175℃で90分間反応を行った。得られた残渣に2mol/L塩酸(0.3mL)を加え逆相分取カラムクロマトグラフィー(資生堂社製CAPSELL PAC;C18AQ、0.5μm、20×50mm、流速30mL/分リニアグラジェント、水/メタノール=90/10〜10/90)にて精製し、濃縮後得られた残渣をジエチルエーテルにて洗浄することにより、標記化合物(0.015g)を得た。
【0158】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
1.75-1.95 (2H, m), 2.17 (6H, s), 2.3-2.45 (2H, m), 3.75-4.0 (2H, m), 4.02 (2H, t, J=6.0Hz), 4.1-4.35 (2H, m), 4.65-4.85 (3H, m), 6.38 (1H, d, J=8.0Hz), 7.0-7.55 (8H, m), 8.00 (1H, s)
【0159】
実施例8
4−アミノ−5−シアノ−6−(4−フェノキシベンジルアミノ)−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−ブロモ−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.05g)をエタノール(2mL)に溶解させ、4−フェノキシベンジルアミン(0.042g)、ジイソプロピルエチルアミン(0.027g)を室温にて加え、マイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiater)にて155℃で120分間反応を行った。エタノールを減圧下除去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより4−フェノキシベンジルアミン中間体(0.037g)を得た。この中間体(0,037g)をメタノール(2.5mL)に溶解させ、フッ化アンモニウム(0.0495g)を加えマイクロウェーブ反応装置(Biotage社製 Initiater)にて155℃で120分間反応を行った。この反応混合物に水(1.5mL)を加え30分間撹拌した。析出してきた結晶をろ過し、水、ジエチルエーテルにて順次洗浄することにより、標記化合物(0.0080g)を得た。
【0160】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
3.75-3.9 (2H, m), 4.1-4.3 (2H, m), 4.65-4.85 (3H, m), 6.35 (1H, d, J=7.8Hz), 6.9-7.15 (5H, m), 7.25-7.45 (4H, m), 8.00 (1H, s)
【0161】
実施例9
4−アミノ−5−シアノ−6−{4−(3−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミノ}−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−(4−ブロモベンジルアミノ)−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.24g)をN,N−ジメチルホルムアミド(3mL)に溶解させ、3−メトキシカルボニルフェニルボロン酸(0.063g)、炭酸ナトリウム(0.062g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0,034g)、水(0.6mL)を加え90℃にて13時間撹拌した。反応混合物を室温に冷却し、水中に注ぎ酢酸エチルにて抽出した。有機層を水、飽和食塩水にて洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出溶媒:酢酸エチル/n−ヘキサン)にて精製することにより、ビフェニル中間体化合物(0,097g)を得た。得られた化合物(0.097g)をメタノール(2.5mL)に溶解させ、フッ化アンモニウム(0.12g)を加えた。反応混合物をマイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiator)を用い125℃で90分間反応を行った。得られた反応混合物を室温まで冷却し、水(2mL)を加え10分間撹拌した。析出してきた結晶を水、ジエチルエーテルにて順次洗浄し、減圧下40℃にて乾燥することにより、標記化合物(0,034g)を得た。
【0162】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
3.7-3.85 (2H, m), 3.92 (3H, s), 4.1-4.3 (2H, m), 4.65-4.95 (3H, m), 6.39 (1H, d, J=7.8Hz), 7.45-8.1 (8H, m), 8.15-8.35 (1H, m)
【0163】
実施例10
4−アミノ−6−{4−(3−カルボキシフェニル)ベンジルアミノ}−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−5−シアノ−6−{4−(3−メトキシカルボニルフェニル)ベンジルアミノ}−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.02g)をエタノール(1mL)に溶解させ、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液(1mL)を加えた。反応混合物を室温下、12時間撹拌した。この反応混合物に1mol/L塩酸(2mL)を加え、室温にて1時間撹拌した。析出してきた結晶を水、ジエチルエーテルにて順次洗浄し、標記化合物(0.012g)を得た。
【0164】
H−NMR(DMSO-d6)δppm:
3.5-3.8 (3H, m), 4.0-4.2 (2H, m), 4.5-4.85 (3H, m), 6.31 (1H, d, J=7.8Hz),6.5-7.05 (1H, brs.), 7.49 (2H, d, J=7.9Hz), 7.55-7.65 (1H, m), 7.71 (2H, d, J=7.9Hz), 7.85-8.05 (2H, m), 8.10-8.25 (2H, m), 8.3-8.5 (1H, m), 12.5-14.0 (1H, brs.)
【0165】
実施例11
4−アミノ−6−{4−[3−(3−アミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−5−シアノ−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−{4−[3−(3−アミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン(0.08g)をメタノール(3mL)に溶解させ、フッ化アンモニウム(0.10g)を加え、反応混合物をマイクロウェーブ反応装置( Biotage社製 initiator)を用い120℃で30分間反応を行った。得られた反応混合物を室温まで冷却し、水(2mL)を加え10分間撹拌した。得られた結晶を水、ジエチルエーテルにて順次洗浄し、減圧下乾燥させることにより、標記化合物(0,023g)を得た。
【0166】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
2.05-2.25 (2H, m), 3.13 (2H, t, J=7.2Hz), 3.75-3.9 (2H, m), 4.05-4.35 (4H, m), 4.60-5.0 (3H, m), 6.38 (1H, d, J=7.9Hz), 6.85-7.0 (1H, m), 7.1-7.7 (7H, m), 8.01 (1H, s)
【0167】
実施例12
4−アミノ−5−シアノ−6−{4−[3−(3−メタンスルホニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−7−(β−D−リボフラノシル)−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン
4−アミノ−6−{4−[3−(3−アミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−5−シアノ−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンの代わりに4−アミノ−5−シアノ−6−{4−[3−(3−メタンスルホニルアミノプロポキシ)フェニル]ベンジルアミノ}−7−[2’,3’,5’−トリス−O−(tert−ブチルジメチルシリル)β−D−リボフラノシル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンを用いて実施例11と同様の方法に従い標記化合物を合成した。
【0168】
H−NMR(MeOH-d4)δppm:
1.95-2.15 (2H, m), 2.92 (3H, s), 3.26 (2H, m), 3.75-3.90 (2H, m), 4.12 (2H, t, J=6.1Hz), 4.1-4.3 (2H, m), 4.65-4.95 (3H, m), 6.38 (1H, d, J=7.9Hz), 6.85-7.4 (4H, m), 7.50 (2H, d, J=8.2Hz), 7.62 (2H, d, J=8.2Hz), 8.02 (1H, s)
【0169】
上記実施例化合物1〜12の化学構造式を表1に示す。表中の略号は、Ex No.は、実施例番号;Strcは、化学構造式;を、それぞれ示す。
【0170】
【表1】

【0171】
試験例1
ヒトCNT2のcDNAクローニングと発現プラスミドの作製
ヒトCNT2cDNAは、ヒト腎臓cDNA(クロンテック(CLONTECH)社製)を用いたPCR増幅によって得た。PCR反応液は、1μLcDNA、2ユニッツ・プラチナタック・DNAポリメラーゼ ハイフィデリティー(units Platinum taq DNA polymerase high fidelity/インビトロジェン(Invitrogen)社製)、1μMプライマー(フォワード:5'-AGG AGC CAG AGG GAA TCA AT-3'、リバース:5'-ACA TCT TGG TGA GTG AGT TG-3')を用いて調製した。増幅は、94℃2分で加熱後、1サイクル、94℃30秒、58℃30秒、68℃3分、32サイクルで行い、PCR II−TOPOベクター(インビトロジェン(Invitrogen)社製)に組み込んだ。作製したプラスミドを鋳型として、制限酵素付加したプライマーを用いてPCR反応を行った。PCR反応液は、100ngプラスミド、2ユニッツ・パイロベスト DNAポリメラーゼ(units Pyrobest DNA polymerase/タカラ(Takara)社製)、330nMプライマー(フォワード:5'-CCG CTC GAG AGG AGC CAG AGG GAA TCA AT-3'、リバース:5'-CGT CTA GAA CAT CTT GGT GAG TGA GTT G-3')を用いて調製した。増幅は、95℃3分で加熱後、1サイクル、98℃10秒、60℃30秒、72℃1分、15サイクル、72℃7分、1サイクルで行い、PCI−ネオ・マンマリアン・エクスプレッションベクター(neo mammalian expression vector/プロメガ(Promega)社製)に組み込んだ。クローニングしたヒトCNT2アミノ酸配列は、既に報告されているヒトCNT2アミノ酸配列(NCBI Accession No.AAC51930)に対し、P22L(コドンCCGがCTG)、S45C(コドンAGCがTGC)、I160M(コドンATAがATG)へと置換している。
【0172】
試験例2
ヒトCNT2一過性発現細胞の調製
ヒトCNT2発現プラスミドをリポフェクション法によりCOS−7細胞(RIKEN CELL BANK RCB0539)に導入した。リポフェクション試薬はリポフェクタミン2000(LIPOFECTAMINE 2000/インビトロジェン(Invitrogen)社製)を用いた。COS−7細胞を1mLあたり5x10個となるよう10%ウシ胎児血清(三光純薬製)含有D−MEM培地(インビトロジェン(Invitrogen)社製)に懸濁し、これをコラーゲンコート96穴プレート(岩城硝子製)の1穴あたり100μLずつ分注し、2時間、37℃、5% CO2条件下にて培養を行った。1穴あたり0.6μLのリポフェクタミン2000を25μLのOPTI−MEM(インビトロジェン(Invitrogen)社製)で希釈し、室温で7分間静置する(以下Lipo 2000−OPTIとする)。1穴あたり0.3μgのプラスミドを25μLのOPTI−MEM(インビトロジェン(Invitrogen)社製)で希釈し、Lipo 2000−OPTIに加えて穏やかに混和し30分間静置した後、1穴あたり50μLずつ細胞培養液に添加し、37℃、5% COの条件下2日間培養し、取り込み阻害活性の測定に供した。
【0173】
試験例3
イノシン取り込み阻害活性の測定
「取り込み用緩衝液」は140mM塩化ナトリウム、2mM塩化カリウム、1mM塩化カルシウム、1mM塩化マグネシウム、10mMヘペス(HEPES)2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸、5mMトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、5mMグルコースを含む緩衝液pH7.4に、イノシンの非放射ラベル体(和光純薬社製)と14Cラベル体(室町薬品)のイノシンの最終濃度が10μMとなるように混和し添加した。基礎取り込み測定用には塩化ナトリウムに替えて140mMの塩化コリンを含む「基礎取り込み測定用緩衝液」を調製した。測定時には取り込み用緩衝液及び基礎取り込み測定用緩衝液には、NBMPRを最終濃度が10μMとなるように加えた。化合物の阻害活性を測定する場合には、ジメチルスルフォキシドに溶解した後、取り込み用緩衝液にて適宜希釈し測定用緩衝液とした。ヒトCNT2一過性発現細胞の培地を除去し、前処置用緩衝液(イノシン、グルコースを含まない基礎取り込み測定用緩衝液)を1穴あたり200μL加え、37℃で10分間静置した。同一操作をもう1度繰り返した後、前処置用緩衝液を除去し、測定用緩衝液及び基礎取り込み測定用緩衝液を1穴当たり75μLずつ加え37℃で静置した。30分後に測定用緩衝液、基礎取り込み測定用緩衝液を除去し、1穴当たり200μLの洗浄用緩衝液(10μM非放射ラベル体イノシンを含む基礎取り込み測定用緩衝液)で2回洗浄した。1穴当たり75μLの0.2mol/L水酸化ナトリウムで細胞を溶解し、その液をピコプレート(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製)に移した。150μLのマイクロシンチ40(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製)を加えて混和し、シンチレーションカウンター(パーキンエルマー(Perkin Elmer)社製)にて放射活性を計測した。対照群の取り込みから基礎取り込み量を差し引いた値を100%として、試験化合物の各濃度におけるイノシンの取り込み量を算出した。試験化合物がイノシンの取り込みを50%阻害する濃度(IC50値)をロジットプロットにより算出した。結果は表2に示す通りである。
【0174】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明の前記一般式(I)で表される7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物は、優れたCNT2阻害活性を発現し、血漿尿酸値上昇を顕著に抑制することができる。それ故、血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療薬として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】


〔式中、R、Rは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−AH基又は−A−D−E−G基{Aは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−(R及びRは、独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Dは、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキレン、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニレン又は下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニレンであり;Eは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−、−NRCOO−又は−NRCONR−、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいシクロアルキレン、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロシクロアルキレン、下記置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいアリーレン又は下記置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいへテロアリーレン(R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Gは、水素原子、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル又はアリール低級アルキル}であり;
Yは、単結合、−O−、−S−又は−CH−であり;
Qは、水素原子、ハロゲン原子、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、下記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル、下記置換基群βから選択される基を1〜3個有していてもよいアリール、下記置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロアリールである〕で表される、7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物。
〔置換基群α〕
ハロゲン原子、シアノ、チオール、カルボキシル、フタルイミド、低級アルキル、低級アルキルチオ、低級アルコキシカルボニル、−OW、−OCOW、−OCOOW、−NWCOW、−NWCOOW、−NHC(=NH)−NH、−NW、−CONW、−NWCONW、又は−SONW{Wは、水素原子、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル;W〜Wは、それぞれ独立して、水素原子、低級アルキル、ヒドロキシ低級アルキル、又はアリール低級アルキル(W及びWは共に結合している窒素原子を含めて脂環式アミノを形成してもよい);置換基中にW〜Wが2以上存在する場合は、互いに同一でも異なっていてもよい}
〔置換基群β〕
水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−TH基又は−T−U−V−Z基{Tは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−(R及びRは、独立して、水素原子又は低級アルキル);Uは、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキレン、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニレン又は上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニレン;Vは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−、−NRCOO−又は−NRCONR10−、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいシクロアルキレン、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロシクロアルキレン、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいアリーレン又は上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいへテロアリーレン(R及びR10はそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル);Zは、水素原子、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、上記置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル又はアリール低級アルキル}
【請求項2】
Yが単結合であり;Qが一般式:
【化2】


〔式中、R11は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、シアノ、−AH基又は−A−D−E−G基{Aは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−又は−NRCONR−(R及びRは、独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Dは、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキレン、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニレン又は置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニレンであり;Eは、単結合、−O−、−S−、−NR−、−COO−、−CONR−、−NRCO−、−NRCOO−又は−NRCONR−、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいシクロアルキレン、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロシクロアルキレン、置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいアリーレン又は置換基群βから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいへテロアリーレン(R及びRはそれぞれ独立して、水素原子又は低級アルキル)であり;Gは、水素原子、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、置換基群αから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル又はアリール低級アルキル}であり;
12、R13は、独立して、水素原子、ハロゲン原子、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキル、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルケニル、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよい低級アルキニル、下記置換基群γから選択される基を1〜3個有していてもよいアリール、下記置換基群γから選択される任意の基を1〜3個有していてもよいヘテロアリールである〕で表される基である、請求項1記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物。
〔置換基群γ〕
ハロゲン原子、シアノ、水酸基、チオール、カルボキシル、フタルイミド、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、低級アルキルチオ、低級アルコキシ、低級アルコキシカルボニル、カルバモイル、アミノ、モノ(ジ)低級アルキルアミノ、ヒドロキシ低級アルキル、アリール低級アルキル
【請求項3】
請求項1又は2記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項4】
ナトリウム依存性ヌクレオシド輸送体2阻害薬である、請求項1又は2記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項5】
血漿尿酸値低下薬である、請求項1又は2記載の7−デアザアデノシン誘導体もしくはそのプロドラッグ又はその薬理学的に許容される塩、又はその水和物もしくは溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項6】
血漿尿酸値異常に起因する疾患の予防又は治療用である、請求項3〜5の何れかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
血漿尿酸値異常に起因する疾患が痛風、高尿酸血症、尿路結石、高尿酸性腎症及び急性尿酸性腎症から選択される疾患である、請求項6記載の医薬組成物。
【請求項8】
有効成分として、尿酸排泄促進薬、尿酸合成阻害薬、尿アルカリ化薬、尿酸オキシダーゼ、コルヒチン、非ステロイド性抗炎症薬及びステロイドの群から選ばれる少なくとも1種の薬剤を組み合せてなる、請求項3〜7のいずれかに記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2007−277203(P2007−277203A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−108674(P2006−108674)
【出願日】平成18年4月11日(2006.4.11)
【出願人】(000104560)キッセイ薬品工業株式会社 (78)
【Fターム(参考)】