説明

9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換した9a−N−{N’−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体

本発明はアザリド列の新規半合成マクロライド抗生物質である、一般式(I)


(式中RはH又はクラジノシル部分を表わし、R1はクロロ、アミノ、フェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3,4−ジメチル−4−イソキサゾリルアミノ及び5−メチル−3−イソキサゾリルアミノ基を表わす)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換された9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体及びこれの無機酸又は有機酸との製薬上許容し得る酸付加塩に関し、またそれらの製造方法又は製薬組成物に関し、並びに部屋及び医療装置の滅菌用に且つまた壁面及び木質被覆の保護用に該組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般式 1

(式中Rは水素又はクラジノシル部分を表わし、R1はクロロ、アミノ、フェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3,4−ジメチル−5−イソキサゾリルアミノ及び5−メチル−3−イソキサゾリルアミノ基を表わす)の、殺菌活性を有するアザリド列の新規な半合成マクロライド抗生物質である、9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換した9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体、これの無機酸又は有機酸との製薬上許容し得る酸付加塩、製薬組成物の製造方法並びに得られた製薬組成物の細菌感染の処置での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスロマイシンAはマクロライド抗生物質であり、その構造はC−9位にカルボニル基を有する14員のマクロラクトン環を特徴としている。エリスロマイシンAは1952年にマクガイア(McGuire)によって見出され[Antibiot. Chemother., 2(1952)281]、しかも50年以上に亘ってグラム陽性菌及び若干のグラム陰性菌によって生起される疾病の処置に信頼し得る且つ有効な抗菌剤として考えられていた。然しながら酸性媒質中では、エリスロマイシンAはスピロケタール構造の不活性なC−6/C−12代謝物である無水エリスロマイシンAに容易に転化する[P. KurathらのExperientia 27 (1971) 362]。エリスロマイシンAのアグリコン環のスピロ環化はC−9ケトン又はC−6及び/又はC−12位のヒドロキシ基の化学的な変形により成功裡に阻止されることは周知である。C−9ケトンのオキシム化により[S. Dokicらのテトラヘドロン レターズ1967, 1945]、及び続いて得られた9(E)−オキシムを9−[O−(2−メトキシエトキシ)メチルオキシム]エリスロマイシンA(ロキシスロマイシン)に改変することにより[仏国特許第2,473,525号、1981]あるいは9(S)−エリスロマイシルアミンに改変することにより[R.S. EganらのJ. Org. Chem., 39 (1974) 2492]あるいはこれのより複雑なオキサジン誘導体、9−デオキソ−11−デオキシ−9,11−{イミノ[2−(2−メトキシエトキシエチリデン)オキシ}−9(S)−エリスロマイシンA(ジリスロマイシン)に改変することにより[P. Lugan i sur. のJ. Crist. Mol. Struct. 9 (1979) 329]、新規な半合成マクロライドが合成され、それらの基本的な特徴は、酸性媒質中でのより大きな安定性に加えて、親の抗生物質エリスロマイシンAに関してより良い薬物動力学と長い半減期とである。C−9ケトンを改変する第3の仕方では、9(E)−オキシムのベックマン転位が用いられ且つ得られたイミノエーテルを14員のケトラクトン環を15員のアザラクトン環に拡大のもと、11−アザ−10−デオキソ−10−ジヒドロエリスロマイシンA(9−デオキソ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマ
イシンA)に還元する(G. Kobrehel i sur.の米国特許第4,328,334号1982)。エシュバイラー−クラーク法(Eschweiler−Clark process)による9a−アミノ基の還元性N−メチル化により(G. Kobrehelらのベルギー特許第892,397号、1982)、あるいは対応のN−オキシドへの転化によりアミノ基の予備的な保護により及び次いでアルキル化及び還元により[G.M.Grightらの米国特許第4,474,768号、1984]、アザリド抗生物質の原型であるN−メチル−11−アザ−10−デオキソ−10−ジヒドロエリスロマイシンA(9−デオキソ−9a−メチル−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA、アジスロマイシン)が合成され、これは、グラム陰性菌及び細胞内微生物を含めて広範囲の抗菌性に加えて、施用部位への輸送の特異的機構、長い生物学的半減期及び短かい治療期間を特徴としている。欧州特許(EP−A)第0316128号(G.M. Brightら)においては9−デオキソ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAの新規な9a−アリル及び9a−プロパルギル誘導体が開示され、米国特許第4,492,688号、1985(Brigt G.T.)においては対応の環式エーテルの合成及び抗菌活性が開示されている。J. Antibiotics 46 (1993) 1239 (G.Kobrehelら) においては、新規な9−デオキソ−9a−アザ−11−デオキシ−9a−ホモエリスロマイシンA、9a,11−環式カルバメート及びそれのO−メチル誘導体の合成及び活性スペクトルが更に開示されている。
【0003】
既知の確立された従来技術によると、9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体及びこれの無機酸又は有機酸との製薬上許容し得る付加塩、その製造方法並びに医薬製剤の製造方法及び使用は今まで開示されていなかった。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
アザリド列の新規な半合成マクロライド抗生物質である9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換した9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体及びこれの無機酸又は有機酸との製薬上許容し得る付加塩は、9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと反応させることにより得られた9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロキ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの9a−N−{N'−[4−(スルホニルフェニル)カルバモイル]}誘導体に対してアンモニア又は置換アミンを反応させしかも場合によっては得られた9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニル]カルバモイル}誘導体を無機酸および有機酸と反応させることにより製造できることが見出され、これは本発明の目的である。
【0005】
一般式1

(式中RはH又はクラジノシル基を表わし、R1はクロロ基を表わす)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの新規な置換した9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体は一般式2

(式中RはH又はクラジノシル基を表わす)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−ホモエリスロノリドAを次式3

の4−(クロロスルホニル)フェニル イソシアネートと反応させることにより製造でき、その後に一般式1(但しRは前述の意義を有し、R1はClを表わす)の化合物はそれぞれ一般式1(但しRはH又はクラジノシル基を表わし、R1はClを表わす)の化合物をトルエン、キシレン又は或る別の非プロトン溶剤中で0℃〜110℃の温度で一般式4

(式中R2はH、フェニル基、2−ピリジル基、3,4−ジメチル−5−イソキサゾリル基又は5−メチル−3−イソキサゾリル基を表わす)のアンモニア又は置換アミンと反応させることにより得られることが見出された。
【0006】
本発明の目的を表わす製薬上許容できる酸付加塩は、反応に不活性な溶剤中で、9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換した9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体を少なくとも当モル量の対応の無機酸又は有機酸例えば塩化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、ラウリルスルホン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、コハク酸、エチルコハク酸、ラクトビオン酸、シュウ酸、サリチル酸及び同様な酸と反応させることにより得られる。付加塩は溶剤を蒸発させることにより単離されあるいは別法によると自発的な沈澱後の濾過により又は非極性補助溶剤の添加による沈澱により単離される。
【0007】
一般式1の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換した9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体及びこれの無機酸又は有機酸との製薬上許容し得る付加塩は試験管内で抗菌活性を有する。
【0008】
最小阻止濃度(MIC)は90%の生長阻止を示す濃度として定義されしかも臨床実験標準用の国際委員会(NCCLS、M7−A2)実験様式により肉汁希釈法により測定した。供試物質の最終濃度は64〜0.125μg/mlの範囲にある。全ての化合物についてMIC濃度は感受性及び耐性型のグラム陽性菌種(黄色ブドウ球菌、肺炎連鎖球菌及び化膿連鎖球菌)のパネル及びグラム陰性菌株(大腸菌、インフルエンザ菌、E. faecalis,M. catarrhalis)について決定した。実施例3〜7からの供試化合物は化膿連鎖球菌の感受性菌株について活性であり(MIC 2〜8μg/ml)、肺炎連鎖球菌の感受性菌株について活性である(MIC 0.5〜8μg/ml)。実施例3及び4からの供試化合物は化膿連鎖球菌iMLS耐性菌株について強い抗菌活性を示した(MIC 2μg/ml)。
【0009】
MIC(mg/ml)として表わした実施例3〜7の化合物について得られた結果は、例えば部屋及び医療装置の殺菌剤として及び例えば壁面及び木質被覆の保護用の工業的な微生物剤としてそれらの潜在的な用途を示唆している。
【0010】
本発明の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニル]カルバモイル}誘導体の製造方法は次の実施例により例示するが、該実施例は本発明の範囲を限定すると何ら解釈すべきでない。
【0011】
実施例1
9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{[4−(クロロスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
1.35g(1.84ミリモル)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAと0.40g(1.84ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと30mlの乾燥トルエンとの化合物を0℃〜5℃の温度で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下に蒸発乾固させると粗製の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{[4−(クロロスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得た。
塩化メチレン溶剤を用いてシリカゲルカラム上でクロマトグラフィーにより粗製物から純粋な生成物を得た。
MS (ES+) m/z=794。
【0012】
実施例2
5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{[4−(クロロスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドA
実施例1に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエン中で1.95g(2.0ミリモル)の5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAと0.43g(2.0ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートとから粗製物を得、それから溶剤として塩化メチレンを用いてシリカゲルカラム上のクロマトグラフィーにより純粋な5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{[4−(クロロスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを得た。
MS (ES+) m/z=794。
【0013】
実施例3
9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{[4−(アミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
30mlの乾燥トルエンに入れた1.35g(1.81ミリモル)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAと0.4g(1.84ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートとの溶液を0℃〜5℃の温度で約1.0時間攪拌した。反応混合物に5.0ml(4.55g; 61.5ミリモル)の23%アンモニア水溶液を添加し、反応混合物を室温で約30分間攪拌した。粗製物を濾過し、それから塩化メチレン:メタノール(9:1)の溶剤系を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより純粋な9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{[4−(アミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得た。
【0014】
IR (KBr)/cm-1 = 1727, 1638, 1593, 1552, 1126, 1013.
1H NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 4.41(1H, H-1'), 4.76(1H, H-1"), 400(1H, H-3), 3.41(1H, H-5), 3.20(3H, 3"-OCH3), 2.89(1H, 4"), 2.50(6H, 3'-N'(CH3)2), 2.26 (1H, H-2"a), 1.51(1H, H-2"b), 1.29(1H, H-8), 0.96(3H, 10-CH3), 0.89(3H, 4-CH3), 0.80(3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 175.6(C-1), 155.5 (9a-NCONH), 101.9(C-1'), 95.2(C-1"), 84.1(C-5), 78.3(C-3), 48.8 (3"-OCH3), 44.5(C-2), 27.6(C-8), 19.9(8-CH3), 9.2(10-CH3), 11.1(C-15)
MS (ES+) m/z (%) = 933.
【0015】
実施例4
9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(フェニルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.35g(1.84ミリモル)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAと0.4g(1.84ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと1.0ml(11.0ミリモル)のアニリンとから、次のスペクトルデータを有する0.8gの純粋な9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(アミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得た。
【0016】
IR (KBr)/cm-1 = 1727, 1638, 1593, 1552, 1126, 1013.
1H NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 4.45(1H, H-1'), 4.76(1H, H-1"), 4.01(1H, H-3), 3.38(1H, H-5), 3.22 (3H, 3"-OCH3), 2.90(1H, 4"), 2.50(6H, 3'−N'(CH3)2), 2.26(1H, H-2"a), 1.52(1H, H-2"b), 1.27(1H, H-8), 0.90(3H, 10-CH3), 0.89(3H, 4-CH3), 0.79(3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 179.0 (C-1), 155 (9a-NCONH), 103.8(C-1'), 95.8(C-1"), 84.7(C-5), 79.0(C-3), 50.0(3"-OCH3), 46.5(C-2), 27.9(C-8), 20.4 (8-CH3), 9.2(10-CH3), 11.3(C-15).
MS (ES+) m/z(%) = 1009.
【0017】
実施例5
9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(2−ピリジルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.35g (1.84ミリモル)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAと0.4g(1.84ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと0.70g(5.2ミリモル)の2−アミノピリジンとから、次のスペクトルデータを有する0.5gの純粋な9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(2−ピリジルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得た。
【0018】
IR (KBr)/cm-1 = 1727, 1638, 1593, 1552, 1126, 1013.
1H NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 4.41 (1H, H-1'), 4.75(1H, H-1"), 4.00(1H, H-3), 3.38(1H, H-5), 3.21(3H, 3"-OCH3), 2.89(1H, 4"), 2.50(6H, 3'-N'(CH3)2), 2.27(1H, H-2"a), 1.48(1H, H-2"b), 1.27(1H, H-8), 0.89(3H, 10-CH3), 0.88(3H, 4-CH3), 0.79(3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 175.6(C-1), 155.4(9a-NCONH), 101.9(C-1'), 95.1(C-1"), 84.0(C-5), 78.1(C-3), 48.8(3"-OCH3), 46.5(C-2), 27.6(C-8), 19.9(8-CH3), 9.1(10-CH3), 11.1(C-15).
MS (ES+) m/z (%) = 1014.
【0019】
実施例6
9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(3,4−ジメチル−5−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.35g(1.84ミリモル)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAと0.4g(1.84ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと0.41g(3.67ミリモル)の5−アミノ−3,4−ジメチルイソキサゾールとから1.5gの純粋な9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(3,4−ジメチル−5−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得た。
MS (ES+) m/z(%)= 1028.
【0020】
実施例7
9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(5−メチル−3−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.35g(1.84ミリモル)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAと0.4g(1.84ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと0.36g(3.67ミリモル)の3−アミノ−5−メチルイソキサゾールとから、次のスペクトルデータを有する0.40gの純粋な9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(5−メチル−3−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンAを得た。
【0021】
1H NMR (500 MHz: CDCl3/δ) = 4.42(1H, H-1'), 4.75(1H, H-1"), 4.01(1H, H-3), 3.39(1H, H-5), 3.20 (3H, 3"-OCH3), 2.89(1H, 4"), 2.50(6H, 3'-N'(CH3)2), 2.24 (1H, H-2"a), 1.48(1H, H-2"b), 1.28(1H, H-8), 0.90(3H, 10-CH3), 0.87(3H, 4-CH3), 0.79(3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 175.8(C-1), 155.6(9a-NCONH), 101.7(C-1'), 95.8(C-1"), 84.0(C-5), 78.3(C-3), 48.9(3"-OCH3), 45(C-2), 27.8(C-8), 20.2(8-CH3), 9(10-CH3), 11.3(C-15).
MS (ES+) m/z (%) = 1014.
【0022】
実施例8
5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−[4−(アミノスルホニルフェニル)カルバモイル]−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlのキシレンに入れた1.15g(2.0ミリモル)の5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAと0.43 g (2.0ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと5.0ml(4.55g;61.5ミリモル)の23%アンモニア水溶液とから、次のスペクトルデータを有する0.60gの純粋な5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−[4−(アミノスルホニルフェニル)カルバモイル]−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを得た。
【0023】
1H NMR (500 MHz; ピリジン/δ) = 8.16, 7.93, 7.93, 7.5 (1H, フェニルニ), 5.60(1H, H-13), 5,1(1H, H-1'), 4.41 (1H, H-5), 4.30(1H, H-3), 3.61(1H, H-5'), 3.49(1H, H-2'), 3.02(1H, H-2), 2.61(1H, H-3'), 2.21(6H, 3'-N(CH3)2), 2.36(1H, H-14a), 1.70(1H, H-4'a), 1.87(1H, H-14b), 1.69(1H, H-4), 1.52(1H, H-4'b), 1.58(3H, 2-CH3), 1.01 (3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; ピリジン/δ) = 178(C-1), 156.7(NHCONH), 144.8(フェニル), 133.2(フェニル), 131.5, 129.3, 127.6, 115.3(CH, フェニル), 103.3(C-1'), 75.0(C-13), 75.4(C-3), 69.9(C-5'), 69.2(C-2'), 68.0(C-5), 65.4(C-3'), 45.6(C-2), 40.3 (3'-N(CH3)2), 39.1(C-4), 23.2(C-14), 29.2(C-4'), 16.7(2-CH3), 11.4(C-15).
MS (ES+) m/z (%) = 775.
【0024】
実施例9
5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(フェニルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.15g(2.0ミリモル)の5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAと0.43 g (2.0ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと0.4ml(0.419g,4.4ミリモル)のアニリンとから、次のスペクトルデータを有する0.70gの純粋な5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(フェニルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを得た。
【0025】
1H NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 4.35(1H, H-1'), 3.86(1H, H-3), 3.57(1H, H-5'), 3.31(1H, H-2'), 2.67(1H, H-2), 2.5(1H, H-3'), 2.30(6H, 3'-N(CH3)2), 1,96(1H, H-14a), 1.70(1H, H-4'a), 1.56(1H, H-14b), 1.30(1H, H-4'b), 0.93(3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; CDCl3/δ) =175.8(C-1), 105.3 (C-1'), 75.4(C-3), 69.8(C-5'), 68.9(C-2'), 64.6(C-3'), 44,7(C-2), 39.6(3'-N(CH3)2), 20.9(C-14), 29.8(C-4'), 10.4(C-15)
MS (ES+) m/z (%) = 851.
【0026】
実施例10
5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(2−ピリジルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.15g(2.0ミリモル)の5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAと0.43g(2.0ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと0.4g(4.2ミリモル)の2−アミノピリジンとから、次のスペクトルデータを有する0.80gの純粋な5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(2−ピリジルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを得た。
【0027】
1H NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 8.30, 7.64, 7.38, 7.64 (1H, アミノピリミジン), 4.34(1H, H-1'), 3.84 (1H, H-3), 3.58(1H, H-5'), 3.31(1H, H-2'), 2.63(1H, H-2), 2.6(1H, H-3'), 2.29(6H, 3'-N(CH3)2), 1.94(1H, H-14a), 1.71(1H, H-4'a), 1.55(1H, H-14b), 1.29(1H, H-4'b), 0.92(3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 141.5, 140.8, 114,5, 114.1 (アミノピリミジン), 105.4(C-1'), 75.3(C-3), 69.9(C-5'), 68.9(C-2'), 64.6(C-3'), 44.7(C-2), 39.6(3'-N(CH3)2), 20.9(C-14), 29.9(C-4'), 10.4(C-15).
MS (ES+) m/z (%) = 852.
【0028】
実施例11
5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(3,4−ジメチル−3−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.15g(2.0ミリモル)の5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAと0.43g(2.0ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと0.45g(4.0ミリモル)の5−アミノ−3,4−ジメチルイソキサゾールとから、次のスペクトルデータを有する0.75gの純粋な5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(3,4−ジメチル−3−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを得た。
MS (ES+) m/z(%) = 870.
【0029】
実施例12
5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(5−メチル−3−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドA
実施例3に記載した方法と同様に、30mlの乾燥トルエンに入れた1.15g(2.0ミリモル)の5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAと0.43g(2.0ミリモル)の4−(クロロスルホニル)フェニルイソシアネートと0.39g(4.0ミリモル)の3−アミノ−5−メチルイソキサゾールとから、次のスペクトルデータを有する0.7gの純粋な5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−N−{N'−[4−(5−メチル−3−イソキサゾリルアミノスルホニル)フェニル]カルバモイル}−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを得た。
【0030】
1H NMR (500 MHz; CDCl3/δ) = 4.36 (1H, H-1'), 3.87(1H, H-3), 3.56(1H, H-5'), 3.32(1H, H-2'), 2.65 (1H, H-2), 2.48(1H, H-3'), 2.32(6H, 3'-N(CH3)2), 1.95(1H, H-14a), 1.70(1H, H-4'a), 1.55(1H, H-14b), 1.30(1H, H-4'b), 0.90(3H, H-15).
13C NMR (500 MHz; CDCl3/δ) =105.6(C-1'), 74.6 (C-3), 69(C-5'), 69.3(C-2'), 64.6(C-3'), 44(C-2), 40.1(3'-N(CH3) 2), 21.4(C-14), 30.2(C-4'), 10.8 (C-15).
MS (ES+) m/z (%) = 856.


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1):

(式中RはH又はクラジノシル部分を表わし、R1はクロロ、アミノ、フェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3,4−ジメチル−5−イソキサゾリルアミノ及び5−メチル−3−イソキサゾリルアミノ基を表わす)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換した9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体及びこれの無機酸又は有機酸との製薬上許容し得る酸付加塩。
【請求項2】
R1はクロロ基を表わし、Rはクラジノシル部分を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1はクロロ基を表わし、RはHを表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1はアミノ基を表わし、Rはクラジノシル部分を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R1はフェニルアミノ基を表わし、Rはクラジノシル基を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R1は2−ピリジルアミノ基を表わし、Rはクラジノシル基を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項7】
R1は3,4−ジメチル−5−イソキサゾリル基を表わし、Rはクラジノシル部分を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項8】
R1は5−メチル−3−イソキサゾリルアミノ基を表わし、Rはクラジノシル基を表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R1はアミノ基を表わし、RはHを表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R1はフェニルアミノ基を表わし、RはHを表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項11】
R1は2−ピリジルアミノ基を表わし、RはHを表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R1は3,4−ジメチル−5−イソキサゾリルアミノ基を表わし、RはHを表わすことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項13】
R1は5−メチル−3−イソキサゾリルアミノ基を表わし、RはHを表わすことを特徴とする請求項1の化合物。
【請求項14】
一般式2

(式中RはH又はクラジノシル基を表わす)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA又は5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAを次式3

の4−(クロロスルホニル)フェニル イソシアネートと反応させることにより調製し得る一般式1(但しR1はクロロ基を表わし、RはH又はクラジノシル基を表わす)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの9a−N−{N'−[4−(クロロスルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体を、トルエン、キシレン又は或る別の非プロトン溶剤中で0〜110℃の温度で一般式4

(式中R2はH又はフェニル、2−ピリジル、3,4−ジメチル−5−イソキサゾリル又は5−メチル−3−イソキサゾリル基を表わす)のアンモニア又はアミンと反応させ、次いで適当ならば無機酸又は有機酸と反応させることを特徴とする、一般式1

(式中、R1はクロロ、アミノ、フェニルアミノ、2−ピリジルアミノ、3,4−ジメチル−5−イソキサゾリルアミノ及び5−メチル−3−イソキサゾリルアミノ基を表わし、RはH又はクラジノシル基を表わす)の9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロマイシンA及び5−O−デソサミニル−9−デオキソ−9−ジヒドロ−9a−アザ−9a−ホモエリスロノリドAの置換した9a−N−{N'−[4−(スルホニル)フェニルカルバモイル]}誘導体の製造方法。
【請求項15】
製薬上許容し得る担体と殺菌有効量の請求項1記載の化合物とを含有してなる製薬組成物。
【請求項16】
部屋及び医療装置滅菌用の組成物並びに壁面及び木質被覆を保護する組成物を製造するため請求項1〜13の何れかに記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2006−507315(P2006−507315A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−550854(P2004−550854)
【出願日】平成15年11月10日(2003.11.10)
【国際出願番号】PCT/HR2003/000058
【国際公開番号】WO2004/043985
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(504378294)プリバ−イストラツイヴアツキー インスティテュト デイ.オー.オー (17)
【Fターム(参考)】