説明

9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有する新規なアクリレート化合物及びその製造法

【課題】高い屈折率を有しかつ紫外域の吸収や蛍光の問題が無い透明性に優れた重合可能な新規なアクリレート化合物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】高屈折性を有し、かつ260nm以上の高波長側に吸収が無く蛍光の問題も無い透明性に優れた芳香族多環化合物であるエタノアントラセン骨格を有し、かつラジカル重合可能なアクリレート基を有する化合物を提供する。また、アントラセン化合物と多官能アクリレートから当該化合物を合成する方法を提供する。この化合物はラジカル重合性があり、その重合物は透明性に優れ、高い屈折率を持つ樹脂として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジカル重合性を有するアクリレート化合物に関し、特に、高屈折率を有する高分子材料用のモノマーとして有用なアクリレート化合物及びその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物は、高屈折率を有する9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格と重合性を有するアクリレート基の両方を有する化合物である。そして、この高屈折率を有する化合物を重合した高分子化合物もまた同様に高屈折率を有し、特に光学分野で有用な材料として期待される。
【0003】
最近光学分野においてガラス代替材料としてプラスチックが盛んに用いられている。たとえば、ポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等がよく知られている。これらプラスチック材料は、軽量性、安全性、意匠性を有している反面、屈折率の面では無機ガラスより低く、分厚くなりやすいという欠点がある。そこで、近年、高屈折率を有するプラスチック材料に対する要望が高くなってきている。特に、高屈折率プラスチック材料の光学用物品への進出は著しく、液晶ディスプレイ用パネル、カラーフィルター、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、光ディスク、ホログラム、光ファイバー、光道波路等への検討が盛んに行われている。
【0004】
プラスチックの屈折率とその原料となるモノマーの屈折率とは正の相関関係にあり、高屈折率のプラスチックを得るためには高分子を構成するモノマー部分が高屈折率を有するものであることが必要である。
【0005】
モノマーとしての有機化合物の屈折率を高くする方法としては、分子構造中にハロゲン原子(フッ素を除く)や硫黄原子さらには芳香環を導入することが有用であることは既に良く知られている。たとえば、ハロゲン原子の有する高い固有屈折率を利用し、ビフェニル環にハロゲン原子を導入した高屈折率重合体が報告されている(特許文献1)。しかし、ハロゲン化によって、耐光性が著しく劣化し、また、高比重であるという欠点があった。又ハロゲン以外に高い固有屈折率を有する硫黄原子を有する単量体組成物も報告されている(特許文献2)。しかし、これらは高い屈折率、優れた耐衝撃性を有するものの、得られたポリマーの耐光性が著しく劣り、硫黄特有の不快臭が問題となる欠点があった。また、これらを用いたプラスチックが廃棄物として処理されるとき、有害なガスや化合物を生じることが懸念される。
【0006】
一方、芳香環の導入に関してはこれまで、ベンゼン環、ビフェニル環を有する高屈折率材料が知られており、これらは、軽く透明性にすぐれ、バランスの良い高屈折率材料となる(特許文献3等)。しかし、ベンゼン環を用いた場合、モノマーの屈折率として1.54を超えるものを得ることは困難であった。また、ビフェニル環を用いた場合は、ベンゼン環のモノマーに比べ、吸収が長波長側にシフトし、光硬化の場合には開始剤とUV吸収が重なるため、光開始効率が低下するという問題点があった。また、さらに高い屈折率を得るため、芳香族を含む多環化合物であるアントラセン環、フルオレン環の導入も検討されている(特許文献4)。また、アントラセン基やフルオレン基等芳香環を含む多環化合物基を高分子反応によりポリマーに導入する試みもなされている(特許文献5)。
【0007】
しかしながら、アントラセン環やフルオレン環の導入により比較的高い屈折率をもつポリマーが得られるが、フルオレン環を導入した場合は、紫外領域に吸収があり、光照射により着色しやすくなり、耐光性に問題が出てくる。またアントラセン環を導入した場合はアントラセン環が蛍光を発するため、光学材料分野での適用は困難である等の問題がある。
【0008】
よって、高屈折率を有する芳香族多環化合物であり、ビフェニル基、アントラセン基やフルオレン基にみられるような紫外域の吸収や蛍光の問題が無い透明性にすぐれた化合物基を持つ重合可能なモノマーの開発が望まれている。
【0009】
一方、アントラセン化合物がジエノフィルとディールス・アルダー反応することは知られている。例えば、無置換のアントラセンが無水マレイン酸、マレイミド、マレイン酸エステル、アクロレイン、アクリロニトリル、ベンゾキノンなどのジエノフィルとディールス・アルダー反応し、9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン化合物を与えることが知られている(非特許文献1,2,3など)。
【0010】
しかし、本発明の多官能アクリレートとアントラセン化合物とのディールス・アルダー反応は知られていない。また、アントラセン化合物と多官能アクリレートとのディールス・アルダー反応によって得られた9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を含むアクリレート化合物について、重合物を合成するためのモノマーとして又は光学材料の原料モノマーとして検討された例も無い。
【0011】
【特許文献1】特開平05−170702号公報
【特許文献2】特開2002−20433号公報
【特許文献3】特開2003−064296号公報
【特許文献4】特開2004−083855号公報
【特許文献5】特開2006−312709号公報
【非特許文献1】「ジャーナル オブ アメリカン ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)」、(米国)、 1948年、70巻、p.1458
【非特許文献2】「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー(J.Org.Chem.)、(米国)、1939年、4巻、p.60
【非特許文献3】「ヒェミッシェ・ベリヒテ(Chemische Berichte)」、(ドイツ)、1931年、64巻、p.1676
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明者らは、かかる状況に鑑み、これらの欠点を排除した技術を提供すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の目的は、高い屈折率を有し、かつ紫外域の吸収や蛍光の問題が無い、透明性に優れかつ重合可能である新規なアクリレート化合物及びその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記目的を達成するために、鋭意検討した結果、(1)9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物が、高屈折率であり、かつ、紫外領域に吸収を持たないこと(2)当該化合物を重合させた重合物が光学材料として有用であること(3)アクリル基又はメタクリル基を二つ以上有する多官能アクリレートとアントラセン化合物をアントラセン化合物の9,10位でディールス・アルダー反応させることにより合成できることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、以下に記載する発明を提供するものである。
【0014】
第1発明では、下記の一般式(1)で示される9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を提供する。
【0015】
【化1】

【0016】
(一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z及びZは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Wは下記一般式(2)で表される2価基を示す。)
【0017】
【化2】

【0018】
(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、i及びj はそれぞれ独立に0〜9の整数を示し、pは1〜9の整数を示す。)
【0019】
第2の発明は、一般式(1)において、X及びYが水酸基である第1発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を提供する。
【0020】
第3の発明は、一般式(1)において、X又はYのいずれか一方が水素原子であり他方が水酸基である第1発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を提供する。
【0021】
第4の発明は、一般式(1)において、X及びYが水素原子である第1発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を提供する。
【0022】
第5の発明は、一般式(2)において、R及びRが水素原子であり、i及びjの合計が0〜13の整数であり、pが1である、第1〜4の発明のいずれか一の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を提供する。
【0023】
第6の発明は、一般式(2)において、Rが水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、Rがアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、第1〜4の発明のいずれか一の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を提供する。
【0024】
第7の発明は、一般式(2)において、R及びRがそれぞれ独立にアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、第1〜4の発明のいずれか一の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を提供する。
【0025】
第8の発明は、下記の一般式(3)に示されるアントラセン化合物と一般式(4)に示されるアクリレート化合物をディールス・アルダー反応させることを特徴とする、上記一般式(1)で示される9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0026】
【化3】

【0027】
(一般式(3)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z1及びZ2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0028】
【化4】

【0029】
(一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、i及びj はそれぞれ独立に0〜9の整数を示し、pは1〜9の整数を示す。)
【0030】
第9の発明は、一般式(3)において、X及びYが水酸基である第8の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0031】
第10の発明は、一般式(3)において、X又はYのいずれか一方が水素原子であり他方が水酸基である第8の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0032】
第11の発明は、一般式(3)において、X及びYが水素原子である第8の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0033】
第12の発明は、一般式(4)において、R及びRが水素原子であり、i及びjの合計が0〜13の整数であり、pが1である、第8〜11の発明のいずれか一の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0034】
第13の発明は、一般式(4)において、Rが水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、Rがアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、第8〜11の発明のいずれか一の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0035】
第14の発明は、一般式(4)において、R及びRがそれぞれ独立にアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、第8〜11の発明のいずれか一の発明に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法を提供する。
【0036】
本発明において、9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格とは、下記構造式(5)で表される骨格を称する。
【0037】
【化5】

【0038】
また、ディールス・アルダー反応とは、1,3−共役ジエンと不飽和化合物が付加反応を起こし、環化して環状付加物を生成する有機化学反応を称する。
【発明の効果】
【0039】
本発明は、以下に詳細に記述するとおりであり、次のような特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
本発明における9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有する新規なアクリレート化合物は、高屈折率を有し、かつ260nm以上の高波長側に吸収の無い透明性に優れた化合物である。そして、当該アクリレート化合物は重合可能であり、その重合物は、高屈折率で透明性が高く光学材料として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明を詳細に記述する。
本発明の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有する新規なアクリレート化合物は、高屈折率を有する9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格部分と、アクリロイル基又はメタクリロイル基等のラジカル重合性の官能基を有する重合可能性基により構成されている。この重合可能性基部分を重合することにより、高分子体にエタノアントラセン骨格を組み込むことが可能となる。9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格は屈折率が高いことから、当該エタノアントラセン骨格を有する新規なアクリレート化合物を重合することにより高屈折率を有する重合体を得ることができるというのが本発明である。
【0041】
つまり、9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格に重合可能性基が結合したものであれば目的は達成される。重合可能性基を構成するラジカル重合性の官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基のほかに、ビニル基、エポキシ基、イソシアネート基等が可能であるが、特に、ラジカル重合性の官能基がアクリロイル基又はメタクリロイル基である場合は、重合速度が早く、透明度の高い重合物が得られるので好ましい。
【0042】
この9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有する化合物は、アントラセン化合物をアクリル基又はメタアクリル基を2個以上有する多官能アクリレートとディールス・アルダー反応させることにより合成することができる。
【0043】
本発明の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有する新規なアクリレート化合物として、下記一般式(1)の化合物が挙げられる。
【0044】
【化6】

【0045】
(一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Wは下記一般式(2)で表される2価基を示す。)
【0046】
【化7】

【0047】
(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、i及びj はそれぞれ独立に0〜9の整数を示し、pは1〜9の整数を示す。)
【0048】
一般式(1)において、Z1、Z2で示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子,臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基,n―プロポキシ基,n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられ、アリールオキシ基としては、フェノキシ基、p−メチルフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基、p−ヒドロキシフェノキシ基,o−ヒドロキシフェノキシ基等が挙げられる。一般式(2)において、RおよびRで示されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、アミル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基,n―プロポキシ基,n−ブトキシ基、n−ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
【0049】
一般式(1)の化合物は、X及びYが水素原子であるか水酸基であるかにより、下記の一般式(6)〜(9)に分けることができる。
【0050】
まず、一般式(1)の化合物において、X及びYが水酸基である場合、下記一般式(6)の化合物となる。
【0051】
【化8】

【0052】
(一般式(6)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Wは上記一般式(2)で表される基を示す。)
【0053】
一般式(6)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基及び一般式(2)におけるRおよびRで示されるアルキル基、アルコキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0054】
次に、一般式(1)の化合物おいて、X又はYのいずれか一方が水素原子であり、他方が水酸基である場合、下記一般式(7)又は一般式(8)の化合物となる。
【0055】
【化9】

【0056】
【化10】

【0057】
(一般式(7)及び一般式(8)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Wは上記一般式(2)で表される基を示す。)
【0058】
一般式(7)及び一般式(8)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基及び一般式(2)におけるRおよびRで示されるアルキル基、アルコキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0059】
そして、一般式(1)の化合物において、X及びYが水素原子である場合、下記一般式(9)の化合物となる。
【0060】
【化11】

【0061】
(一般式(9)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Wは上記一般式(2)で表される基を示す。)
【0062】
一般式(9)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、及び一般式(2)におけるRおよびRで示されるアルキル基、アルコキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0063】
また、上記一般式(1)の化合物において、Wを示す一般式(2)におけるR及びRが水素原子であり、i及びjの合計が0〜13の整数であり、pが1である場合下記一般式(10)の化合物となる。
【0064】
【化12】

【0065】
(一般式(10)において、nは1〜14の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0066】
一般式(10)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0067】
また、上記一般式(10)の化合物において、X及びYが水酸基である場合下記一般式(11)の化合物となる。
【0068】
【化13】

【0069】
(一般式(11)において、nは1〜14の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0070】
一般式(11)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0071】
また、一般式(10)の化合物おいて、X又はYのいずれか一方が水素原子であり、他方が水酸基である場合下記一般式(12)又は一般式(13)の化合物となる。
【0072】
【化14】

【0073】
【化15】

【0074】
(一般式(12)及び一般式(13)において、nは1〜14の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0075】
一般式(12)及び一般式(13)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0076】
そしてまた、上記一般式(10)の化合物において、X及びYが水素原子である場合下記一般式(14)の化合物となる。
【0077】
【化16】

【0078】
(一般式(14)において、nは1〜14の整数を示し、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0079】
一般式(14)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0080】
また、上記一般式(1)の化合物において、Wを示す一般式(2)のRが水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、Rがアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である場合下記一般式(15)の化合物となる。
【0081】
【化17】

【0082】
(一般式(15)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0083】
一般式(15)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0084】
また、上記一般式(15)の化合物において、X及びYが水酸基である場合下記一般式(16)の化合物となる。
【0085】
【化18】

【0086】
(一般式(16)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0087】
一般式(16)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0088】
また、一般式(15)の化合物おいて、X又はYのいずれか一方が水素原子であり、他方が水酸基である場合下記一般式(17)又は一般式(18)の化合物となる。
【0089】
【化19】

【0090】
【化20】

【0091】
(一般式(17)及び一般式(18)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0092】
一般式(17)及び一般式(18)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0093】
そしてまた、上記一般式(15)の化合物において、X及びYが水素原子である場合下記一般式(19)の化合物となる。
【0094】
【化21】

【0095】
(一般式(19)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0096】
一般式(19)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0097】
また、上記一般式(1)の化合物において、Wを示す一般式(2)のR及びRがアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である場合下記一般式(20)の化合物となる。
【0098】
【化22】

【0099】
(一般式(20)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0100】
一般式(20)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0101】
また、上記一般式(20)の化合物において、X及びYが水酸基である場合下記一般式(21)の化合物となる。
【0102】
【化23】

【0103】
(一般式(21)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0104】
一般式(21)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0105】
また、一般式(20)の化合物おいて、X又はYのいずれか一方が水素原子であり、他方が水酸基である場合下記一般式(22)又は一般式(23)の化合物となる。
【0106】
【化24】

【0107】
【化25】

【0108】
(一般式(22)及び一般式(23)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0109】
一般式(22)及び一般式(23)において、Z1、Z2で示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0110】
そしてまた、上記一般式(20)の化合物において、X及びYが水素原子である場合下記一般式(24)の化合物となる。
【0111】
【化26】

【0112】
(一般式(24)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、Z1、Z2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【0113】
一般式(24)において、Z1、Z2示されるアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基は、一般式(1)の化合物における場合と同様である。
【0114】
次に、具体的に化合物を例示する。一般式(6)で示される化合物としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0115】
まず、一般式(6)において、Z1及びZ2が水素原子である化合物を表1に例示する。以下の表において、「Bu」は、ブチル基を示し、「2−CH」等における化学記号の前に付与した数字の2などは、置換しているベンゼン環の2位についていることを意味する。
【0116】
【表1】

【0117】
次に、般式(6)において、Z1及びZ2がアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基である化合物を表2に例示する。
【0118】
【表2】

【0119】
表1及び表2の例示において、化合物No.6−1〜No.6−8及びNo.6−25〜No.6−44が一般式(11)で表される化合物に該当する。
【0120】
そして、一般式(16)及び一般式(21)の化合物でZ1及びZ2が水素原子であるものを表3に、Z1及びZ2がアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基であるものを表4及び表5に例示する。
【0121】
【表3】

【0122】
【表4】

【0123】
【表5】

【0124】
そして次に、一般式(7)又は一般式(8)で示される化合物としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0125】
まず、一般式(7)でZ1及びZ2が水素原子である化合物を表6に、一般式(8)の化合物でZ1及びZ2が水素原子である化合物を表7に例示する。
【0126】
【表6】

【0127】
【表7】

【0128】
また、Z1及びZ2がアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基である化合物を表8、表9に例示する。
【0129】
【表8】

【0130】
【表9】

【0131】
表6及び表8の例示において、化合物No.7−1〜No.7−8及びNo.7−25〜No.7−44、並びに表7及び表9の例示において、化合物No.8−1〜No.8−8及びNo.8−25〜No.8−44が一般式(12)及び一般式(13)で表される化合物に該当する。
【0132】
一般式(17)、一般式(18)及び一般式(22)、一般式(23)の化合物としては、表10、表11、表12、表13、表14及び表15の化合物が例示される。
【0133】
【表10】

【0134】
【表11】

【0135】
【表12】

【0136】
【表13】

【0137】
【表14】

【0138】
【表15】

【0139】
一般式(9)で示される化合物としては、例えば、次のものが挙げられる。
【0140】
まず、一般式(9)において、Z1及びZ2が水素原子である化合物を表16に例示する。
【0141】
【表16】

【0142】
また、Z1及びZ2がアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基である化合物を表17に例示する。
【0143】
【表17】

【0144】
表16及び表17の例示において、化合物No.9−1〜No.9−8及びNo.9−25〜No.9−44が一般式(14)で表される化合物に該当する。
【0145】
一般式(19)及び一般式(24)の化合物としては、表18、表19及び表20の化合物が例示される。
【0146】
【表18】

【0147】
【表19】

【0148】
【表20】

【0149】
これらの9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物は高い屈折率を有することが特徴である。従来より知られているアルキル置換モノアクリレート、アルキレン置換ジアクリレートで硫黄原子やハロゲン原子を含まない化合物では屈折率が1.50を超えることは一般的に極めて困難であった。たとえば、アルキレンジアクリレートである1,4−ブタンジオールジアクリレートや1,6−ヘキサンジオールジアクリレートの屈折率はそれぞれ、1.456、1.459である。トリシクロデカンジメタノールジアクリレートでも1.503である。本発明の化合物はこれらの化合物より高屈折率を有し、最高1.58を超える屈折率を達成しうるものである。そして、硫黄原子や、ハロゲン原子を導入することなく、炭素、酸素、水素等の環境に優しい原子のみで構成されている点も注目されるものである。
【0150】
また、これら9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物は、そのディールス・アルダー付加物の前駆体であるアントラセン化合物が350nmから400nmにUV吸収を示すのに対し、260nmから長波長側には全くUV吸収が認められない。これは、ディールス・アルダー反応によってアントラセン骨格が消失し、ベンゼン骨格が出現することにより、前駆体であるアントラセン骨格に起因する350nmから400nmの間の三つの吸収及び260nmの吸収が消失し、ベンゼン骨格に起因する200nm付近の吸収のみが現れるからである。
【0151】
よって、当該9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物は紫外域の吸収やアントラセン骨格由来による蛍光の問題も無く、また当該エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物を重合したポリマーもまたアントラセン環を含むポリマーで問題となる紫外域の吸収や蛍光の問題が無く透明性に優れた光学材料として有望なポリマー材料となりうることが期待される。
【0152】
次に、本発明のエタノアントラセン構造を有するアクリレート化合物の製造法であるが、一般式(3)に示す化合物と一般式(4)に示すジエノフィルとがディールス・アルダー反応することにより得ることができる。
【0153】
【化27】

【0154】
一般式(3)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z及びZは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。
【0155】
【化28】

【0156】
一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、i及びj はそれぞれ独立に0〜9の整数を示し、pは1〜9の整数を示す。
【0157】
一般式(3)において、X及びYが水酸基である場合、9,10−アントラヒドロキノン化合物となる。この9,10−アントラヒドロキノン化合物は対応するアントラキノン化合物を還元することにより容易に得ることができる。使用できるアントラキノン化合物としては、9,10−アントラキノン、2−メチル−9,10−アントラキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラキノン、2−アミル−9,10−アントラキノン、2−クロロ−9,10−アントラキノン、2−メトキシ−9,10−アントラキノン、2−フェノキシ−9,10−アントラキノン、1−メチル−9,10−アントラキノン、1−t−ブチル−9,10−アントラキノン、1−アミル−9,10−アントラキノン、2−メチルペンチル−9,10−アントラキノン、1−クロロ−9,10−アントラキノン、1−メトキシ−9,10−アントラキノン、1−フェノキシ−9,10−アントラキノン等が挙げられる。還元剤としては、ハイドロサルファイト、パラジウム/カーボンを触媒とする水素還元、過酸化チオ尿素等が挙げられる。9,10−アントラヒドロキノンを製造する場合は、ナフトキノンとブタジエンのディールス・アルダー反応物のアルカリ塩(以下SAQと称する)を還元剤として9,10−アントラキノンを還元すれば、9,10−アントラヒドロキノン以外の副生成物が生じないので精製が簡単になり、工業的には有利である。
【0158】
本発明で用いられる9,10−アントラヒドロキノン化合物としては、例えば、9,10−アントラヒドロキノン、2−メチル−9,10−アントラヒドロキノン、2−t−ブチル−9,10−アントラヒドロキノン、2−アミル−9,10−アントラヒドロキノン、2−クロロ−9,10−アントラヒドロキノン、2−メトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、2−フェノキシ−9,10−アントラヒドロキノン、1−メチル−9,10−アントラヒドロキノン、1−t−ブチル−9,10−アントラヒドロキノン、1−アミル−9,10−アントラヒドロキノン、2−メチルペンチル−9,10−アントラヒドロキノン、1−クロロ−9,10−アントラヒドロキノン、1−メトキシ−9,10−アントラヒドロキノン、1−フェノキシ−9,10−アントラヒドロキノン等が挙げられる。
【0159】
一般式(3)において、X又はYのいずれか一方が水素原子であり他方が水酸基である場合、9−アントラノール化合物となる。この9−アントラノール化合物は対応するアントロン化合物を酸あるいはアルカリ触媒で異性化することにより容易に得ることができる。本発明で用いられる9−アントラノール化合物としては、例えば、9−アントラノール、2−メチル−9−アントラノール、2−t−ブチル−9−アントラノール、2−アミル−9−アントラノール、2−クロロ−9−アントラノール、2−メトキシ−9−アントラノール、2−フェノキシ−9−アントラノール、1−メチル−9−アントラノール、1−t−ブチル−9−アントラノール、1−アミル−9−アントラノール、1−クロロ−9−アントラノール、1−メトキシ−9−アントラノール、1−フェノキシ−9−アントラノール等が挙げられる。
【0160】
一般式(3)において、X及びYが水素原子である場合、アントラセン化合物となる。本発明で用いられるアントラセン化合物としては、例えば、アントラセン、2−メチルアントラセン、2−t−ブチルアントラセン、2−アミルアントラセン、2−クロロアントラセン、2−メトキシアントラセン、2−フェノキシアントラセン、2−アミノアントラセン、1−メチルアントラセン、1−t−ブチルアントラセン、1−アミルアントラセン、1−クロロアントラセン、1−メトキシアントラセン、1−フェノキシアントラセン、1−アミノアントラセン等が挙げられる。
【0161】
本発明のアクリレート化合物を得るためのアントラセン化合物としては、上記の一般式(3)で示されるアントラセン化合物において、X及びYが水素原子又は水酸基であるアントラセン化合物を用いることが好ましいが、これらに加えて、以下のような他の置換基を有するアントラセン化合物であっても同様に用いることができる。この場合において、用いたアントラセン化合物に対応する置換基を有するアクリレート化合物を得ることが出来る。
【0162】
すなわち、一般式(3)において、X又はYのいずれか一方が水素原子であり、もう一方がハロゲン原子である9−ハロゲノアントラセン化合物にも適用できる。本発明を適用できる9−ハロゲノアントラセン化合物としては、例えば、9−クロロアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−ヨードアントラセン等が挙げられる。
【0163】
また、一般式(3)において、XまたはYのいずれか一方が水素原子であり、もう一方がヒドロキシメチル基である9−アントラセンメタノール化合物及びその誘導体にも適用できる。本発明を適用できる9−アントラセンメタノール化合物及びその誘導体としては、例えば、9−アントラセンメタノール、9−アントラセンメチルアセテート、9−アントラセンメチルアクリレート、9−アントラセンメチル炭酸エステル化合物等が挙げられる。
【0164】
さらにまた、一般式(3)において、X及び/又はYがハロメチル基であるハロメチルアントラセン化合物にも適用できる。本発明を適用できるハロメチルアントラセン化合物としては、例えば、9−クロルメチルアントラセン、9−ブロモメチルアントラセン、9,10−ビスクロロメチルアントラセン、9,10−ビスブロモメチルアントラセン等が挙げられる。
【0165】
一般式(4)で示されるジエノフィルとしては、表21及び表22に例示する多官能アクリレートが用いられる。まず、アクリレート基をふたつ持つ2官能アクリレートを表21に例示する。
【0166】
【表21】

【0167】
次に、三つ以上アクリレート基を有する多官能アクリレート化合物を表22に例示する。
【0168】
【表22】

【0169】
これら、一般式(3)に示したアントセン化合物と一般式(4)に示したジエノフィルのディールス・アルダー反応は、溶媒の存在下もしくは非存在下、加熱することによって行うことができる。アントラセン化合物に対するジエノフィルの添加量は、好ましくは1.0モル倍から3モル倍、より好ましくは1.2モル倍から2モル倍である。3モル倍を超えると、未反応のジエノフィルを除去することが困難で、製品純度に悪影響を及ぼすので好ましくない。
【0170】
また、多官能アクリレートをジエノフィルとして用いていることから、アクリレート1分子に対して、複数分子のアントラセン化合物が付加する可能性があるが、1モル倍未満ではこの反応による不純物が増加し、製品純度が低下し好ましくない。
【0171】
溶媒を使用する場合は、使用可能な溶剤としては、例えばトルエン、エチルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、クロルベンゼン、1−クロルナフタレン等の芳香族系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、クロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール,i−プロピルアルコール,n−プロピルアルコール,n−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒が好適に用いられる。溶媒の使用量は適宜選択できるが、溶媒の使用量としては、アントラセン化合物、ジエノフィルの合計重量に対して1倍から2倍程度が好ましい。芳香族系溶媒の場合は、アントラセン化合物の溶解度がほとんどなく、スラリー状となるが、加熱して反応が進行するに伴いアントラセン化合物が溶解し最後は均一溶液となる場合が多い。
【0172】
一般式(3)において、XとYが水酸基であるアントラヒドロキノン化合物に比べ、XとYが水素原子であるアントラセン化合物は、ディールス・アルダー反応活性が低い。一般に、ディールス・アルダー反応において、ジエン側は電子が豊富で、ジエノフィル側は電子欠損状態であるほうが反応は進行しやすい。その意味で、アントラセン骨格に電子供与基が付いているアントラヒドロキノン化合物の方がディールス・アルダー反応活性が高くなっていると思われる。XあるいはYのどちらかが水酸基となっているアントラノール化合物の場合はその中間の活性を示すといえる。
【0173】
一方、一般式(3)におけるZ1、Z2も同様の観点から電子供与基であるほうが好ましいが、反応の場である中央のジエンから遠く、電子的影響が間接的であるため、9,10位の置換基ほど顕著な影響を与えない。そのため、種々の置換基が容認される。
【0174】
低活性のアントラセン化合物を用いる場合は、ディールス・アルダー反応触媒を添加しても良い。触媒としては、三フッ化ホウ素等のルイス酸触媒を用いることができる。添加量は、アントラセン化合物に対して、0.1〜5重量%である。
【0175】
反応温度は50℃以上、150℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上,120℃以下である。50℃未満では反応速度が低く反応に時間がかかりすぎ、また150℃を超えるとアントラセン化合物が分解し生成物の純度が低下する可能性があるので好ましくない。反応終了後、反応混合物をアルコール、例えばメタノール中に投入して不溶分を濾別したのち、得られたアルコール溶液を濃縮し、ディールス・アルダー反応物と未反応アクリレートの混合物を得る。このものをn−へキサン等の貧溶媒で洗えば、未反応アクリレートを除くことができ、その結果、一般に無色で水あめ状のディールス・アルダー付加物を得ることができる。
【0176】
アントラノール化合物を用いた場合は、反応するジエノフィルによって、ディールス・アルダー反応生成物として、一般式(7)の化合物と一般式(8)の化合物の混合物となる場合がある。この生成物は、共に高屈折率であることから、分離することなく重合反応させ、重合体化しても本発明の目的を達成することが出来る。
【0177】
かくして得られた、アントラセン化合物と多官能アクリレートのディールス・アルダー反応物は、原料の多官能アクリレートよりも高い屈折率を有する。原料の多官能アクリレートの屈折率が1.4〜1.45程度であるのに対して、生成物の屈折率は0.1程度上昇して1.5〜1.55程度に達し、高屈折率を有する重合体を合成するためのモノマーとして利用できる。
【0178】
また、これらディールス・アルダー反応物は無色透明であって、図1,2に本発明の化合物のUVスペクトルの一例を示したが、そのUVスペクトルは可視光領域から260nmまでほとんど吸収を示さない。このことから、これらディールス・アルダー反応物は高屈折率光学材料として有用であると考えられる。
【実施例】
【0179】
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。
【0180】
生成物の確認および物性は下記の機器による測定により行った。
(1)屈折率:アタゴ製屈折率計T1を用いて20℃にて測定した。なお、粉体試料については、2−フェノキシエチルアクリレートに溶解して屈折率を測定し、外挿法により当該試料の屈折率を求めた。(2)IRスペクトル:赤外線(IR)分光光度計、日本分光社製、型式:IR−810(3)H−NMR分析:核磁気共鳴装置(NMR)、日本電子社製、型式:GSX FT NMR Spectorometer、270MHz(4)融点:ゲレンキャンプ社製融点測定装置、型式:MFB−595(JIS K0064準拠)を用いて測定した。
【0181】
(実施例1)2−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−メチル−11−カルボキシ)エチルメタクリレート(化合物No.6−2)の合成
50mlの耐圧ガラス管に9,10−アントラヒドロキノン4.2g(20.0mmol)、1,2−エタンジオールジメタクリレート(化合物No.4−2)5.94g(30.0mmol)、トルエン25g、重合禁止剤としてメトキノン50mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、105℃のオイルバスに浸漬した。浸漬7時間後、加熱を停止し、反応液を冷却した。反応混合物をメタノール120ml中に投入し、析出したアントラキノンの針状結晶を濾別して除いた。ついで、得られた濾液を濃縮乾燥し淡いピンク色水あめ状物8.50gを得た。このものを40℃に加温したn−へキサン30mlで4回洗浄し、未反応の1,2−エタンジオールジメタクリレートを除き、無色の水あめ状物4.9gを得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは、2−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−メチル−11−カルボキシ)エチルメタクリレート(化合物No.6−2)であることが明らかとなった。生成物の、9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は60モル%であった。この水飴状物をトルエン/n−ヘキサンから再結晶し、無色の立方結晶を2.3g(5.6mmol)得た。
【0182】
(1) 屈折率 : n=1.579
(2) IR(KBr,cm−1) :3500,2970,1724,1710,1640,1460,1380,1320,1300,1242,1160,1120,1060,946,818,762,650.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=1.12(s,3H),1.69(d,J=12Hz,1H),1.97(s,3H),2.68(s,1H),2.86(d,J=12Hz,1H),4.02−4.12(m,2H),4.12−4.23(m,2H),5.06(s,1H),5.64(s,1H),6.14(s,1H),7.11−7.22(m,2H),7.22−7.32(m,2H),7.38−7.50(m,3H),7.66−7.75(m,1H).
【0183】
(実施例2) 4−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ブチルアクリレート(化合物No.6−3)の合成
50mlの耐圧ガラス管に9,10−アントラヒドロキノン4.2g(20.0mmol)、1,4−ブタンジオールジアクリレート(化合物No.4−3)4.8g(24.2mmol)、トルエン18g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体90mg、重合禁止剤としてメトキノン50mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、103℃のオイルバスに浸漬した。浸漬10分後、9,10−アントラヒドロキノンの結晶は溶解し、均一溶液となった。30分攪拌後、加熱を停止し、反応液を冷却した。反応混合物をメタノール100ml中に投入し、析出したアントラキノンの針状結晶を濾別して除いた。ついで、得られた濾液を濃縮乾燥し淡いピンク色の水あめ状物を8.6g得た。このものを40℃に加温したn−へキサン30mlで2回洗浄し、未反応1,4−ブタンジオールジアクリレートを除き、無色の水あめ状物を6.5g(15.9mmol)を得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは、4−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ブチルアクリレートであることが明らかとなった。生成物の、9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は79モル%であった。この水飴状物をトルエン/n−ヘキサンから再結晶し、無色の立方結晶を3.4g(8.3mmol)得た。
【0184】
(1) 屈折率 : n=1.582
(2) IR(KBr,cm−1) :3500,3380,3050,2975,1706,1640,1621,1460,1420,1306,1290,1220,1204,1062,1040,980,926,920,811.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=1.37−1.56(m,4H),2.22(t,J=9H,1H),2.37(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),2.96(dd,J=3Hz,J=9Hz、1H),3.10(s,1H),3.90−4.10(m,4H),5.27(s,1H),5.86(d,J=8Hz,1H),6.13(dd,J=8Hz,J=17Hz,1H),6.43(d,J=17Hz,1H),7.17−7.30(m,4H),7.44−7.53(m,3H),7.64−7.68(m,1H).
(4) 融点 : 82−83℃
【0185】
(実施例3) 6−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ヘキシルアクリレート(化合物No.6−5)の合成
50mlの耐圧ガラス管に9,10−アントラヒドロキノン4.2g(20.0mmol)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(化合物No.4−5)5.4g(23.9mmol)、トルエン20g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体100mg、重合禁止剤としてメトキノン50mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、103℃のオイルバスに浸漬した。浸漬5分後、9,10−アントラヒドロキノンの結晶は溶解し、均一溶液となった。30分攪拌後、加熱を停止し、反応液を冷却した。反応混合物をメタノール100ml中に投入し、析出したアントラキノンの針状結晶を濾別して除いた。ついで、得られた濾液を濃縮乾燥し淡いピンク色の水あめ状物を9.8g得た。このものを40℃に加温したn−へキサン30mlで2回洗浄し、未反応1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを除き、無色の水あめ状物を7.3g(16.7mmol)得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは、6−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ヘキシルアクリレートであることが明らかとなった。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は84モル%であった。
【0186】
(1) 屈折率 : 1.559
(2) IR(KBr,cm−1) :3480,3080,3050,2950,2860,1725,1715,1638,1620,1460,1410,1300,1280,1200,1060,982,812,760,704,620,601.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=0.95−1.18(m,2H),1.20−1.33(m,2H),1.33−1.46(m,2H),1.55−1.70(m,2H),2.24(t,J=9Hz,1H),2.33(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),2.94(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),3.16(s,1H),3.84−4.02(m,2H),4.08−4.20(m,2H),5.34(s,1H),5.84(d,J=8Hz,1H),6.14(dd,J=8Hz,J=17Hz,1H),6.43(d、J=17Hz,1H),7.16−7.27(m,4H),7.43−7.54(m,3H),7.63−7.70(m,1H).
【0187】
(実施例4) 9−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ノニルアクリレート(化合物No.6−7)の合成
50mlの耐圧ガラス管に9,10−アントラヒドロキノン4.2g(20.0mmol)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(化合物No.4−7)6.4g(25.2mmol)、トルエン20g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体90mg、重合禁止剤としてメトキノン50mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、103℃のオイルバスに浸漬した。浸漬5分後、9,10−アントラヒドロキノンの結晶は溶解し、均一溶液となった。30分攪拌後、加熱を停止し、反応液を冷却した。反応混合物をメタノール100ml中に投入し、析出したアントラキノンの針状結晶を濾別して除いた。ついで、得られた濾液を濃縮乾燥し淡いピンク色の水あめ状物を9.7g得た。このものを40℃に加温したn−へキサン30mlで2回洗浄し、未反応1,9−ノナンジオールジアクリレートを除き、無色の水あめ状物を7.0g(14.6mmol)得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは、9−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ノニルアクリレート(化合物No.6−7)であることが明らかとなった。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は73モル%であった。
【0188】
(1) 屈折率 : n=1.553
(2) IR(KBr,cm−1) : 3480,3076,3045,2940,2860,1724,1708,1638,1620,1460,1410,1300,1280,1200,1060,982,970,812,764,700,620,602.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=1.03−1.37(m,10H),1.37−1.52(m,2H),1.58−1.73(m,2H),2.25(t,J=9Hz,1H),2.35(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),2.88(s,1H),2.95(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),3.90−4.00(m,2H),4.10−4.20(m,2H),5.33(s,1H),5.81(d,J=8Hz、1H),6.13(dd,J=8Hz,J=17Hz,1H),6.41(d,J=17Hz,1H),7.16−7.29(m,4H),7.44−7.55(m,3H),7.63−7.70(m,1H).
【0189】
(実施例5) 2−アクリロイルオキシメチル−2−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)メチル−ブチルアクリレート(化合物No.6−55)の合成
50mlの耐圧ガラス管に9,10−アントラヒドロキノン4.2g(20.0mmol)、トリメチロールプロパントリアクリレート(化合物No.4−25)6.5g(22.0mmol)、トルエン20g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体90mg、重合禁止剤としてメトキノン50mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、103℃のオイルバスに浸漬した。浸漬5分後、9,10−アントラヒドロキノンの結晶は溶解し、均一溶液となった。20分攪拌後、加熱を停止し、反応液を冷却した。反応混合物をメタノール100ml中に投入し、析出したアントラキノンの針状結晶を濾別して除いた。ついで、得られた濾液を濃縮乾燥し淡いピンク色の水あめ状物を10.0g得た。得られた水あめ状物を40℃に加温したn−へキサン30mlで洗浄し、無色の水あめ状物を9.5g(18.8mmol)得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは、2−アクリロイルオキシメチル−2−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)メチル−ブチルアクリレート(化合物No.6−55)であることが明らかとなった。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、94モル%であった。
【0190】
(1) 屈折率 : n=1.542
(2) IR(KBr,cm−1) : 3490,2980,1728,1636,1620,1460,1410,1280,1180,1060,980,810,760,623,602.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=0.76(t,J=8Hz,3H),1.27(q,J=8Hz,2H),2.16−2.31(m,2H),2.91−3.02(m,2H),3.50(s,1H),3.84−4.00(m,2H),4.19(s,4H),5.08(s,1H),5.86(d,J=8Hz,2H),6.11(dd、J=8Hz,J=17Hz,2H),6.41(d,J=17Hz,2H),7.12−7.27(m、4H),7.43−7.54(m,3H),7.59−7.68(m,1H).
【0191】
(実施例6) 2,2−ビス(アクリロイルオキシメチル)−2−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)メチル−エチルアクリレート(化合物No.6−61)の合成
50mlの耐圧ガラス管に9,10−アントラヒドロキノン4.2g(20.0mmol)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(化合物No.4−31)7.7g(22.0mmol)を仕込み、トルエン20g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体80mg、重合禁止剤としてメトキノン50mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、103℃のオイルバスに浸漬した。浸漬5分後、9,10−アントラヒドロキノンの結晶は溶解し、均一溶液となった。30分攪拌後、加熱を停止し、反応液を冷却した。反応混合物をメタノール100ml中に投入し、析出したアントラキノンの針状結晶を濾別して除いた。ついで、得られた濾液を濃縮乾燥し淡いピンク色の水あめ状物を10.8g得た。得られた濾液を40℃に加温したn−へキサン30mlで洗浄し、無色の水あめ状物を10.1g(18.0mmol)得た。IR、1H−NMR分析の結果、このものは、2,2−ビス(アクリロイルオキシメチル)−2−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)メチル−エチルアクリレート(化合物No.6−61)であることが明らかとなった。生成物の9,10−アントラヒドロキノンに対する収率は、90モル%であった。
【0192】
(1) 屈折率 : n=1.534
(2) IR(KBr,cm−1) : 3480,2960,1730,1636,1620,1460,1410,1280,1160,1060,980,806,760,620,602.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl):δ=2.19(s,1H),2.20−2.30(m,1H),2.89−3.04(m,1H),3.50(s、1H),3.96−4.09(m,2H),4.31(s,6H),4.86(s,1H),5.89(d、J=8Hz、3H),6.10(dd,J=8Hz,J=17Hz,3H),6.40(d,J=17Hz,3H),7.10−7.29(m,4H),7.44−7.56(m,3H),7.58−7.68(m,1H).
【0193】
(実施例7) 9−(9,10−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ノニルアクリレート(化合物No.7−7)の合成
50mlの耐圧ガラス管に9−アントロン3.96g(20.0mmol)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(化合物No.4−7)6.43g(24.0mmol)、トルエン20g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体100mg、重合禁止剤としてメトキノン80mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、103℃のオイルバスに浸漬した。浸漬2分後、9−アントロンの結晶は溶解し、均一溶液となった。1時間攪拌後、加熱を停止し、反応液を冷却した。反応混合物にメタノールを150ml加え、無色の溶液を得た。次に、このメタノール溶液を濃縮乾燥し無色の水あめ状物を10.1g得た。このものを40℃に加温したn−へキサン40mlで2回洗浄し、未反応1,9−ノナンジオールジアクリレートを除き、無色の水あめ状物を8.2g(18.3mmol)得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは、9−(9,10−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ノニルアクリレート(化合物No.7−7)であることが明らかとなった。生成物の9−アントロンに対する収率は91モル%であった。
【0194】
(1) 屈折率 : n=1.559
(2) IR(KBr,cm−1) : 3450,3076,3045,2940,2860,1723,1462,1410,1300,1274,1190,1062,982,810,766,750.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=1.10−1.38(m,10H),1.38−1.50(m,2H),1.60−1.75(m,2H),2.15−2.25(m,1H),2.77−2.91(m,2H),3.86−4.00(m,2H),4.12−4.23(m,2H),4.29(s,1H),5.24(s,1H),5.81(d,J=8Hz,1H),6.13(dd,J=8Hz,J=17Hz,1H),6.40(d,J=17Hz,1H),7.07−7.20(m,4H),7.21−7.30(m,2H),7.54(d,J=8Hz,1H),7.66(d,J=8Hz,1H).
【0195】
(実施例8) 6−(9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ヘキシルアクリレート(化合物No.9−5)の合成
50mlの耐圧ガラス管にアントラセン3.56g(20.0mmol)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(化合物No.4−5)5.42g(24.0mmol)、トルエン15g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体100mg、重合禁止剤としてメトキノン50mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、103℃のオイルバスに浸漬した。浸漬2分後、アントラセンの結晶は溶解し、均一溶液となった。2時間30分加熱攪拌後、反応液を冷却し、メタノール100ml中に投入した。ついで、混合物を濃縮乾燥し淡いピンク色の水あめ状物を9.8g得た。このものを40℃に加温したn−へキサン30mlで2回洗浄し、未反応1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを除き、無色の水あめ状物を5.1g(12.6mmol)得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは、6−(9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ヘキシルアクリレートであることが明らかとなった。生成物のアントラセンに対する収率は、63モル%であった。
【0196】
(1) 屈折率 : n=1.553
(2) IR(KBr,cm−1) :3080,3030,2950,2870,1722,1620,1638,1460,1410,1300,1274,1192,1060,982,812,760.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=1.20−1.47(m,2H),1.47−1.62(m,2H),1.62−1.75(m,2H),2.00(t,J=9Hz,1H),2.17(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),2.88(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),3.90−4.04(m,2H),4.10−4.21(m,2H),4.34(s,1H),4.68(s,1H),5.83(d,J=8Hz,1H),6.13(dd,J=8Hz,J=17Hz,1H),6.41(d,J=17Hz,1H),7.01−7.15(m,4H),7.18−7.34(m,4H).
【0197】
(実施例9) 9−(9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ノニルアクリレート(化合物No.9−7)の合成
50mlの耐圧ガラス管にアントラセン7.12g(40.0mmol)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(化合物No.4−7)13.4g(50.0mmol)、トルエン25g、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体100mg、重合禁止剤としてメトキノン80mgを仕込み、窒素雰囲気に置換した後、107℃のオイルバスに浸漬した。浸漬4分後、アントラセンの結晶は溶解し、均一溶液となった。30分加熱攪拌後、反応液を冷却し、メタノール100ml中に投入した。ついで、混合物を減圧濃縮したところ無色のオイルが沈んだので、これを別取りし、加熱濃縮して無色の水あめ状物を17.9g得た。このものを40℃に加温したn−ヘキサン30mlで2回洗浄し、未反応の1,6−ヘキサンジオールジアクリレートを除き、無色の水あめ状物12.4g(28.7mmol)を得た。IR、H−NMRの測定結果より、このものは9−(9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ノニルアクリレートであることが明らかとなった。生成物のアントラセンに対する収率は71モル%であった。
【0198】
(1) 屈折率 : n=1.541
(2) IR(KBr,cm−1) :3080,3030,2940,2860,1728,1638,1621,1467,1410,1300,1276,1192,1108,1060,982,810,760,580,550.
(3) H−NMR(270MHz、CDCl): δ=1.18−1.46(m,10H),1.46−1.60(m,2H),1.60−1.75(m,2H),2.00(t,J=9Hz,1H),2.17(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),2.86(dd,J=3Hz,J=9Hz,1H),3.88−4.04(m,2H),4.10−4.20(m,2H),4.34(s,1H),4.66(s,1H),5.82(d,J=8Hz,1H),6.12(dd,J=8Hz,J=17Hz,1H),6.40(d,J=17Hz,1H),7.02−7.15(m,4H),7.20−7.35(m,4H).
【0199】
【表23】

【0200】
【表24】

【0201】
表23の結果から明らかなように、本発明のエタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物は、1.53以上の高屈折率を示す化合物であることがわかる。また、参考例の屈折率との比較からエタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物は、従来より知られている1官能アクリレート化合物の屈折率と比べて高い屈折率を有することがわかる。さらに、表24において、本発明の化合物とそのものを合成するために用いた原料のジアクリレート、トリアクリレート等の屈折率を比較した。表24より明らかなように、エタノアントラセン骨格の導入により屈折率は0.1程度大きくは向上していることがわかる。また、図1及び図2より、ディールス・アルダー反応することにより、原料であるアントラセン化合物が持つ300nm以上の領域の吸収と260nmの吸収が消失し、200nm付近の吸収のみになっていることがわかる。これらの結果より、エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物は高い屈折率を有し、かつ紫外域の吸収や蛍光の問題が無い透明性に優れた化合物であるといえる。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明のアクリレート化合物は、高屈折率及び高光線透過率を要求される光学部材を製造するための重合性モノマーとして好適に使用できる。その使用例は「2008年光機能材料・製品市場の全貌(上巻、下巻)」((株)富士経済、2008年)、「透明プラスチックの最前線」((株)エヌ・ティー・エス、2006年)高分子材料・技術総覧編集委員会「高分子材料・技術総覧」((株)産業技術サービスセンター、2004)、光応用技術・材料事典編集委員会「光応用技術・材料事典」((株)産業技術サービスセンター、2006年)等の公刊物に開示されている。
【0203】
具体的にはUVレジスト、DeepUVレジスト、液状ソルダレジスト、電着レジスト、プリント基板用ドライフィルムレジスト、TFT用フォトレジスト、ブラックレジスト、カラーレジスト、FDP(フラットディスプレイパネル)やPDP(プラズマディスプレイパネル)用ドライフィルムレジスト等のレジスト類、ダイシングテープ、バックグラインドテープ等のテープ類、カラーフィルタ用オーバーコート剤、バッファコート剤、PDP電極防湿コート材料、PDP電極材料等のエレクトロニクス分野、UV塗料・コーティング等の塗料・コーティング類、UV硬化型インキ、UV硬化型インクジェット、光ファイバーコーティング等のインキ類、光ディスクコーティング、UV硬化型接着剤等の塗料・コーティング関連分野、接着剤類、シール材類、眼鏡レンズ、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、TFT用のプリズムレンズシート、非球面レンズ、マイクロレンズ等のレンズ類、カラーフィルタ等の光学材料分野に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0204】
【図1】2−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−メチル−11−カルボキシ)エチルメタクリレート(化合物No.6−2)のUVスペクトルである。
【図2】4−(9,10−ジヒドロ−9,10−ジヒドロキシ−9,10−エタノアントラセン−11−カルボキシ)ブチルアクリレート(化合物No.6−3)のUVスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の一般式(1)で示される9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物。
【化1】


(一般式(1)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z及びZは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示し、Wは下記一般式(2)で表される2価基を示す。)
【化2】


(一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、i及びj はそれぞれ独立に0〜9の整数を示し、pは1〜9の整数を示す。)
【請求項2】
X及びYが水酸基である請求項1に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物。
【請求項3】
X又はYのいずれか一方が水素原子であり他方が水酸基である請求項1に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物。
【請求項4】
X及びYが水素原子である請求項1に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物。
【請求項5】
及びRが水素原子であり、i及びjの合計が0〜13の整数であり、pが1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物。
【請求項6】
が水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、Rがアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物。
【請求項7】
及びRがそれぞれ独立にアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物。
【請求項8】
下記の一般式(3)に示されるアントラセン化合物と下記の一般式(4)に示されるアクリレート化合物をディールス・アルダー反応させることを特徴とする、請求項1に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法。
【化3】


(一般式(3)において、X及びYは同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は水酸基を示し、Z1及びZ2は同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基又はアリールオキシ基を示す。)
【化4】


(一般式(4)において、Rは水素原子又はメチル基を示し、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基を示し、i及びj はそれぞれ独立に0〜9の整数を示し、pは1〜9の整数を示す。)
【請求項9】
X及びYが水酸基である請求項8に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法。
【請求項10】
X又はYのいずれか一方が水素原子であり他方が水酸基である請求項8に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法。
【請求項11】
X及びYが水素原子である請求項8に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法。
【請求項12】
及びRが水素原子であり、i及びjの合計が0〜13の整数であり、pが1である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法。
【請求項13】
が水素原子、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、ヒドロキシメチル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、アクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、Rがアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法。
【請求項14】
及びRがそれぞれ独立にアクリロイルオキシメチル基又はメタクリロイルオキシメチル基であり、i及びjが1であり、pが1である、請求項8〜11のいずれか一項に記載の9,10−ジヒドロ−9,10−エタノアントラセン骨格を有するアクリレート化合物の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−286763(P2009−286763A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143985(P2008−143985)
【出願日】平成20年5月31日(2008.5.31)
【出願人】(000199795)川崎化成工業株式会社 (133)
【Fターム(参考)】