AC励起を用いた検体測定システムおよび方法
生物学的流体中の検体の測定方法であって、DC成分およびAC成分を有する励起信号を印加することを包含する。ACおよびDC応答が測定され、補正されたDC応答がAC反応を使用して決定され、および検体の濃度が補正されたDC応答に基づいて決定される。他の方法および装置が開示されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対する参考文献]
本出願は、2002年10月4日に出願された米国特許出願第10/264,890号の一部継続出願であり、それは、2000年4月24日に出願された米国特許出願第09/530,171号の分割出願であり、それは、1998年12月21日に出願された国際特許出願第PCT/US98/27203の米国国内段階であり、それは、1997年12月22日に出願された(現在は、放棄されている)米国特許出願第08/996,280号の一部継続出願であり、またこれらの出願の各々から優先権メリットを請求している。本出願は、2003年6月20日に出願された米国特許仮出願第60/480,298号にも優先権を主張している。これらの出願の各々の内容はここに参照により組み入れられる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、流体中の検体の濃度を測定するときに使用する測定方法および装置に関するものである。さらに、詳細には、本発明は、排他的ではないが、血液中のグルコースの濃度を測定するために使用される方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
物質濃度の測定、特に他の交絡した物質の存在下での物質の濃度の測定は、多くの分野で、特に医学的診断において重要である。たとえば、血液などの体液中のグルコースの測定は、糖尿病の有効的治療のために、不可欠なものである。
【0004】
糖尿病治療は、典型的には2つのタイプのインシュリン治療:根本的治療および食事時間治療を含んでいる。根本的インシュリンは、就寝前にしばしば取られる連続的な、たとえば、時放性インシュリンに言及する。食事時間インシュリン治療は、糖および炭化水素の新陳代謝を含めた種々の因子により生じる血液グルコースの変動を規制するために、より早く作用するインシュリンの追加の投与を提供する。血液グルコースの変動の適当な規制は、血液中のグルコース濃度の正確な測定を必要とする。そのようにすることを仕損じると、盲目および極端な循環の損失を含めた極度の合併症を生じうることになり、最終的には、糖尿病患者が、彼のあるいは彼女の指、手、足などを使用することを、奪ってしまうことになる。
【0005】
たとえば、グルコースなどの血液サンプル中の検体濃度を測定するためには、多くの方法が、公知である。このような方法は、典型的には、2つの範疇:光学的方法および電気化学的方法に集約される。光学的方法は、一般的には、試薬中のスペクトルシフトを観察するために、反射あるいは吸収スペクトルを含む。そのようなシフトは、検体の濃度を示す色変化を生じる化学変化により生じる。電気化学的方法は、一般的には、二者択一的に、検体の濃度を示す電流応答あるいは電量応答を含む。たとえば、コロンブス(Columbus)の米国特許第4,233,029号、ペース(Pace)の米国特許第4,225,410号、コロンブス(Columbus)の米国特許第4,323,536号、マグリー(Muggli)の米国特許第4,008,448号、リリヤ(Lilya)らの米国特許第4,654,197号、スズミンスキー(Szuminsky)らの米国特許第5,108,564号、ナンカイ(Nankai)らの米国特許第5,120,420、スズミンスキー(Szuminski)らの米国特許第5,128,015号、ホワイト(White)の米国特許第5,243,516号、デイーボルド(Diebold)らの米国特許第5,437,999号、ポールマン(Pollmann)らの米国特許第5,288,636号、カーター(Carter)らの米国特許第5,628,890号、ヒル(Hill)らの米国特許第5,682,884号、ヒル(Hill)らの米国特許第5,727,548号、クリスモア(Crismore)らの米国特許第5,997,817号、フジワラ(Fujiwara)らの米国特許第6,004,441号、プリーデル(Priedel)らの米国特許第4,919,770号、およびシー(Shieh)の米国特許第6,054,039号を参照のこと、またこれらは、ここに、そっくり参照として組み入れられている。
【0006】
血液中の化学物質の濃度を測定する電気化学的方法の重要な制限は、検体および試薬の種々の活性成分の拡散に対する交絡変数の効果である。たとえば、血液サンプルの形状および状態は、濃度対信号マップ関数をベースとしたものに密接に対応していなければならない。
【0007】
血液サンプルの形状は、典型的には、テスト装置のサンプル受け取り部分により制御される。血液グルコース計の場合、たとえば、血液サンプルは、典型的には、計器中に差し込む使い捨てテストストリップ上に置かれる。テストストリップは、サンプルの形状を定めるためのサンプル室(毛細管充填スペース)を持っていても良い。2者択一的には、サンプルの形状の効果は、効果的に無限のサンプルサイズを保証することにより、制限しても良い。たとえば、検体を測定するために使用される電極は、テストストリップの血液の滴が電極を越えてあらゆる方向に実質的に広がるように、近接して間隔をあけておいても良い。しかしながら、サンプルによる測定電極の適切なカバー性を確保することは、正確なテスト結果を達成するために、重要な因子である。このことが、特に毛細管充填スペースを用いた場合に、過去において問題となること判明した。
【0008】
血液グルコース測定の精度に対する制限の他の例は、血液組成あるいは状態(測定される態様以外)中の変化を包含する。たとえば、ヘマトクリット(赤血球の濃度)中の変化、あるいは血液中の他の化学物質の濃度の変化が、血液サンプルの信号発生に影響を及ぼすことがある。血液サンプルの温度における変化は、血液化学物質の測定での交絡変数の他の例である。
【0009】
このようにして、温度、ヘマトクリットおよび血液中の他の化学物質の濃度における変化を包含した交絡変数の存在下でさえも、正確に血液グルコースを測定するシステムおよび方法が、必要とされている。特に、毛細管充填装置中のサンプルによる測定電極の適切なカバー性を確かめるためのシステムおよび方法もまた必要とされている。流体中の検体を正確に測定するシステムおよび方法が、同様に必要とされている。本発明の目的は、そのようなシステムおよび方法を提供することである。
【発明の開示】
【0010】
本発明の1つの実施形態において、生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法が開示されており、測定方法は、a)AC成分を持つ第1信号を、前記生物学的流体に印加すること、b)前記第1信号に対する第1応答を測定すること、c)第2信号を前記生物学的流体に印加し、前記第2信号がDC信号であること、d)前記第2信号に対する第2応答を測定すること、および前記第1応答を前記第2応答に組み合わせて、医学的に有意な成分の濃度の表示を生じることを含む。
【0011】
本発明の他の1つの実施形態において、生物学的流体テストサンプルの測定方法を開示しており、前記方法は、前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定すること、前記第1電気的応答はAC成分を有すること、前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および少なくとも部分的には前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプルのグルコース濃度を表示する値を決定することを含む。
【0012】
本発明の他の1つの実施形態において、生物学的流体テストサンプルを決定する方法を開示しており、前記方法は、第1テスト信号に対する前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定すること、第1テスト信号はAC成分を持つこと、第2テスト信号に対する前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および少なくとも部分的には、前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含む。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、生物学的流体の検体濃度の決定方法を開示しており、前記方法は、第1交互信号を生物学的流体に印加すること、第1信号に対する応答を測定すること、DC成分を持つ第2信号を、生物学的流体に印加すること、第2信号に対する応答を測定すること、および前記第1信号に対する応答および前記第2信号に対する応答を解析し、検体濃度の表示を生み出すことを含む。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度の決定方法を開示しており、前記方法は、第1信号を、血液サンプルに対して印加すること、第1信号はAC成分を持つこと、第1信号に対する第1応答を測定すること、第2信号を、血液サンプルに対して印加すること、第2信号は、AC成分を持つこと、第2信号に対する第2応答を測定すること、第3信号を、血液サンプルに対して印加すること、第3信号は、DC成分を持つこと、第3信号に対する第3応答を測定すること、および少なくとも部分的には、前記第1応答と前記第2応答と第3応答に基づいて、血液中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含む。
【0015】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する装置を開示しており、前記装置は、血液サンプルを受け取るために適応されるテスト室と、AC成分を持つ第1テスト信号およびDC成分を持つ第2テスト信号を、テスト室中に受け取られるサンプル上の血液サンプルに対して印加するために適応される第1電極回路と、第1テスト信号に対する第1応答および第2テスト信号に対する第2応答を測定するために適応される第2電極回路と、および前記第1応答と前記第2応答を処理して、血液サンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定するために適応されるプロセッサとを含む。
【0016】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのヘマトクリット値を決定する方法を開示しており、前記方法は、(a)AC成分を持つ第1信号を、血液サンプルに対して印加すること、(b)第1信号に対するAC応答を測定すること、(c)血液サンプルの温度を測定すること、および(d)AC応答および温度を用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含む。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、第1交流電位を、血液サンプルに対して印加すること、交流電位に対する第1応答を測定すること、DC電位を、血液サンプルに対して印加すること、DC電位に対する第2応答を測定することと、血液サンプルのヘマトクリット含有量に関係する第1値を、第1応答を用いて決定すること、血液サンプルの温度に関係する第2値を、第1値および第1応答を用いて決定すること、血液サンプルのグルコース濃度に関する第3値を、第1値、第2値および第3応答を用いて測定することを含む。
【0018】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、a)AC成分を有する前記1信号を、血液サンプルに対して印加する工程と、b)前記第1信号に対するAC応答を測定する工程と、c)第2信号を、血液サンプルに対して印加する工程であって、前記第2信号はDC信号であり、d)前記第2信号に対するDC応答を決定する工程と、d)血液サンプルのヘマトクリット値を、前記AC応答を用いて決定する工程と、e)血液サンプルの推定温度を、前記ヘマトクリット値および前記AC応答を用いて決定する工程と、および血液サンプルのグルコース濃度を、前記ヘマトクリット値、前記推定温度および前記DC応答を用いて、決定する工程とを含む。
【0019】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、前記血液サンプルを提供し、血液サンプルが、0.4μlと同等かそれ未満の最小体積であって、a)AC成分を有する信号を、前記血液サンプルに対して印加すること、b)前記信号に対するAC応答を測定すること、および少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定することを含み、前記決定が約3秒以内である。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、AC成分を有する信号を、血液サンプルに対して印加すること、a)前記信号に対するAC応答を測定すること、および測定が、少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定し、全テスト時間が約5.5秒以内である。
【0021】
本発明の他の実施形態において、生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、流体サンプルを受け取るセルを設けること、医学的に有意な成分と反応する化学的性質と、医学的に有意な成分と前記化学的性質との反応が、評価されうる第1ターミナルおよび第2ターミナルとをセル上に設けること、それぞれの前記セルの前記第1および第2ターミナルに補完的な第1および第2ターミナルを持った装置を設け、前記装置の前記第1および第2ターミナルのそれぞれと前記セルの前記第1および第2ターミナルとを接触させるように置くことにより、前記装置により前記反応の評価を可能にすること、および前記装置の前記第1および第2ターミナルを横断して第1信号を印加し、前記第1信号に対する前記セルの応答における前記サンプルの属性を決定し、また前記サンプルの属性の表示を生成するように設計された評価制御器、前記装置に設けることを含む。
【0022】
本発明のさらに他の実施形態において、生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、AC成分を有する第1信号を、前記生物学的流体に対して印加する工程と、a)前記第1信号に対する第1応答を測定する工程、および前記第1応答に基づいて、生物学的流体の属性を決定することを含む。
【0023】
本発明は、同伴する図を参照して、例示のみによりさらに記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の原理の理解を促進する目的のために、図に示された実施形態を参照し、かつ実施形態を記述するために、特定の語彙を使用する。にもかかわらず、本発明の範囲は、それによりなんら制限されるものではない。いかなる変更および記述されあるいは図示された実施形態のさらなる改質およびここに示された発明の原理の更なる応用は、発明に関連する当業者なら通常考慮されるものであり、保護されるものとする。特に、本発明は、血液グルコース計量器について考察されているが、本発明は、他の検体および他のサンプルタイプを測定するための装置を用いて使用できるということが、考慮されている。このような代わりの実施形態は、当業者にとって明白な適応を、ここに考察された実施形態に必要としている。
【0025】
「電気化学的バイオセンサーに関する装置および方法(2003年6月20日に出願された出願番号第60/480,243号)」とタイトル付けられた米国特許仮出願および「検体センサーに関する装置および方法」(2003年6月20日に出願された出願番号第60/480,397号)」の全開示は、ここに、言及してそのまま組み入れられる。
【0026】
本発明によるシステムおよび方法は、流体中の検体の正確な測定を可能にする。特に、エラーを生じる干渉物の存在にもかかわらず、検体の分析が依然として正確である。たとえば、本発明による血液グルコース計量器は、血液グルコースの濃度を、典型的にはサンプルの温度およびヘマトクリットレベルの変化により生じるエラーも無く測定する。血液グルコースの正確な測定は、糖尿病における盲目の防御、循環の損失および血液グルコースの不充分な規制の他の合併症に対してきわめて価値がある。本発明によるシステムおよび方法さらなる利点は、測定が、より迅速に、かつより少ないサンプル体積で実施可能であり、糖尿病患者が、血液グルコースをより簡便に測定できることである。同様に、血液、尿、他の生物学的流体中の他の検体の正確な、かつ迅速な測定は、改良された診断と広い範囲な病状の治療を提供する。
【0027】
電気化学的血液グルコース計量器は、典型的には(必ずしも常にではないが)、試薬の存在下で血液サンプルの電気化学的応答を測定するということ理解される。この試薬は、グルコースと反応して、血液中には存在しない電荷キャリヤを生じる。したがって、所与の信号の存在下での電気化学的応答は、主として、血液グルコースの濃度に依存している。しかし、副次的に、所与の信号に対する血液の電気化学的応答は、ヘマトクリットおよび温度を含めた他の因子に依存している。たとえば、米国特許第5,243,516号、米国特許第5,288,636号、米国特許第5,352,351号、米国特許第5,385,846号および米国特許第5,508,171号を参照することまた、それらは、血液グルコースの測定に対するヘマトクリットの交絡効果を考察し、参照することにより、全体がここに組み入れられる。さらに、ある他の化学物質は、たとえば、尿酸、ビリルビンおよび酸素を含めた血液サンプルを経由して、電荷キャリヤの移送に影響を与え、これにより、グルコースの測定においてエラーを生じることになる。
【0028】
本発明による血液グルコースを測定するための好ましい実施形態のシステムおよび方法は、血液サンプルのインピーダンス(それから、アドミタンスおよび位相角が、由来している)に対して、種々の因子の寄与の信号依存性を使用することにより、一般に動作する。血液サンプルのインピーダンスに対する種々の因子の寄与は、印加される信号の関数であるから、交絡因子の影響(すなわち、測定しようとする因子以外のもの)は、多重信号に対する血液サンプルのインピーダンスを測定することにより実質的に減少させることが出来る。特に、交絡因子の影響(主として、温度およびヘマトクリット、しかしながら酸素のような化学干渉物も含む)は、主として、サンプルの抵抗に寄与するが、一方、グルコース依存性の反応は、主として、キャパシタンスに対して寄与する。このようにして、交絡因子の影響は、単独あるいはDC励起と組み合わせて、AC励起に対して、血液サンプルのインピーダンスを測定することにより除去できる。そこで、AC信号のインピーダンス(あるいはインピーダンス由来のアドミタンスおよび位相情報)は、干渉物の影響に対するDC信号あるいはAC由来のキャパシタンンスを補正するために使用される。
【0029】
充分に高いAC周波数における測定は、サンプルのインピーダンスの容量性の成分に相対的に鈍感であり、一方、低周波数(DCを含む)測定は、サンプルインピーダンスの抵抗性成分および容量性成分の両者に対して、敏感さが増加する(周波数が減少するにつれて)ということは、理解されるであろう。インピーダンスの抵抗性成分および容量性成分は、多数の周波数におけるインピーダンスを測定することにより、より良く単離出来る。しかし、計器類のコストおよび複雑さは測定数が増加し、かつ発生される必要のある周波数が増加するにしたがって増加する。このようにして、現在好ましい実施形態においては、インピーダンスは、10以上の周波数において測定されても良いが、好ましくは、2から10の周波数のあいだで、またさらに好ましくは、2から5の周波数のあいだであることが最も好ましい。
【0030】
ここで使用されるように、「AC成分を有する信号」という語句は、幾分かの交流電位(電圧)部分を持っている信号を言う。たとえば、信号は、100%の交流電位(電圧)を持っておりDC部分の無い「AC信号」であっても良く、前記信号は、時間的に分離されたAC部分およびDC部分を持っていても良く、あるいは前記信号は、DCオフセットを持ったACであっても良い(ACおよびDC信号は、重ねあわされる)。
【0031】
一連のACおよびDC信号を用いたサンプル測定
図1は、本発明によるシステムおよび方法において使用に適した好ましい実施形態の励起を示しており、一般的に100で示され、その中で、DC励起およびAC励起の4周波数が使用されている。図1は、励起が、適当な試薬と混合された全血液のサンプルに印加される際の、励起に対する典型的な応答をも図示しており、応答は一般的に102示される。相対的に高い周波数の信号が、時刻101で開始して印加される。好ましい実施形態においては、周波数は、約10kHzから約20kHzのあいだであり、また約12.4mVと約56.6mVとのあいだの振幅を持っている。20kHzの周波数は、図1の例で使用されている。当業者らは、これらの値が、セル形状および特定のセル化学などの種々のパラメータに対して最適化されることを理解するであろう。
【0032】
時刻110において、テストストリップは、計量器中に挿入され、グルコース計量器中へのテストストリップの挿入に対するいくつかの可能な応答が示される。テストストリップは、励起信号100が、開始する前に(すなわち、時間101の前に)挿入しても良いが、テストストリップ自身が、ストリップとしての適合性に対するコントロールとしてテストされることが有利であるということは、高く評価されるであろう。したがって、励起信号100は、テストストリップを挿入する前に開始されることが望ましい。たとえば、112において示しているように、前記ストリップが、テストストリップが事前投与されるか、あるいは環境の水分のために湿潤している場合は、相対的に大きな電流漏洩が生じ得る。もしテストストリップに事前投与し、かつ大いにあるいは完全に乾燥した場合には、114に示しているように、中間電流漏洩が生じ得る。理想的には、テストストリップの挿入は、116に示すように、テスト電極間の電荷キャリヤの予期された欠如のために、漏洩電流を生じないかあるいは無視できる漏洩電流を生じる。所定の閾値レベル以上の測定電流漏洩は、表示されるエラーメッセージを生じ、またテストの継続を防ぐことが好ましい。
【0033】
適当なテストストリップがひとたび挿入されると、時刻120に示されるように、使用者はテストストリップに投与する。血液サンプルが、電極をカバーすると、グルコースが試薬と反応し、接触面積が最大にまで増加するにしたがい、電流応答が急速に増加する。応答電流は、安定な状態に到達し、これはこの周波数におけるサンプルのインピーダンスを示している。この測定が行われ、テストメーターがこれを記録すると、好ましい実施形態においては、励起周波数は、時刻130に示されているように、約10kHzにまで減少させられる。第3測定を行い、これをテストメーターが記録する。第4測定は、好ましい実施形態においては、時刻150に示すように、約1kHzで行われる。好ましい実施形態においては、測定は、規則的な間隔(たとえば、1サイクルにつき10点)で行われる。安定な状態応答は、電流あるいは電圧(好ましくは、大きさと位相の両方で)として測定され、かつインピーダンスおよび/あるいはアドミタンスが、そこから計算できるということが理解されるであろう。本明細書および請求項は、インピーダンス、あるいはアドミタンス(大きさおよび/あるいは位相)抵抗、伝導度、電流あるいは電荷としてAC応答を、また電流、電荷抵抗あるいは伝導度としてDC応答を選択的に言及しているが、当業者であれば、これらの測定は交換可能であり、どの尺度を使用しているかということを説明するために、測定と補正数学を調整することのみが必要になることを認識する。好ましい実施形態においては、テストメーターは、1つの電極に電圧を印加し、かつ他の電極における電流応答を測定することで、AC応答およびDC応答を得る。
【0034】
ある代替の実施形態においては、測定は、より少ない周波数あるいはより多い周波数にて行われる。測定は少なくとも2つの周波数で、少なくとも1次数離れて行われるのが好ましい。2つ以上のAC周波数を使用するときには、最大周波数および最小周波数が、少なくとも1次数離れていることが好ましい。
【0035】
たとえば、正弦波形、台形、三角形、四角形およびろ過された四角形を含む種々の波形が、AC信号に使用されるということが理解されるであろう。現在の好ましい実施形態においては、AC信号は、正弦波形に近似するろ過された四角形の波形をしている。この波形は、四角形波発生器および1つ以上のフィルターを使用して、真の正弦波形以上に経済的に発生できる。
【0036】
全ての4つのAC測定が行われると、160に示されるように、信号は、短時間にゼロ振幅まで減少されることが好ましい。そこで、170に示されるように、DC励起が始まる。DC励起の振幅は、生じる応答あるいは応答堅牢性を最大にするために、使用される試薬に基づいて選択されるのが、有利である。たとえば、フェリシアナイドが、2電流測定システム中に使用されるとすると、DC振幅は、約300mVになるのが好ましい。たとえば、他の例では、ニトロソアニリン誘導体が、2電流測定システム中に使用されるとすると、DC振幅は約500から550mVになるのが好ましい。代わりの例においては、第3参照電極が使用されると、DC振幅は、フェリシアナイドに対しては600mV(銀/塩化銀参照電極に対して)およびニトロソアニリン誘導体に対して40から100mV(銀/塩化銀参照電極に対して)であることが、好ましい。DC励起のあいだ、測定は100ポイント/秒の速度で行われるのが、好ましい。反応が、作用電極の次の未反応グルコースの拡散により制限されるので、電流応答は、減衰曲線にしたがう(コットレル曲線として知られている)。得られる安定状態振幅(測定されあるいは推定された)は、技術に公知であるように、サンプルのグルコース推定を決定するために使用される。そこで、血液中のグルコース濃度により近接して対応する補正された推定は、以下により詳細に説明されているように、干渉物の影響を補正するためのAC信号に対するサンプルのインピーダンスを使用することにより決定される。
【0037】
本発明による方法は、他の検体の濃度および他の流体中の濃度を測定するためにも使用されるということが理解されるであろう。たとえば、本発明による方法は、尿、唾液、脊髄液などの中の医療的に有意な検体の濃度を測定するために使用してもよい。同様に、試薬の適当な選択により、本発明による方法は、たとえば、乳酸、ヒドロキシ酪酸などの濃度を測定するために適用される。
【0038】
同時に印加されたAC信号およびDC信号を用いたサンプル測定
少なくとも、印加されたDCおよびAC成分のいくつかは、同時に印加できることが理解されよう。図2は、本発明によるシステムおよび方法において使用するために適した励起信号を図示しており、そこでは、ACおよびDC成分のいくつかは、同時に印加され、一般的に200で示され、図1中に対応して番号を付される対応するイベントを持っている(たとえば、信号200は、時刻201に開始されまた、ストリップは、時刻210において挿入されるなど)。信号100の場合のように、信号200は、約10から20kHzの周波数を持ち、かつ約12.4から56.6mVの振幅を持っている。しかし、前記ストリップが、投与された後には、時刻220に示されるように、DCオフセットが、270において示されるように、重ねあわされる。典型的なACおよびDC応答が図2に示されている。ACおよびDC応答は同時に測定され、かつ数学的に解析され、またインピーダンス(アドミタンスの大きさおよび位相)および電流的あるいは電量的応答を決定するために使用される。
【0039】
本発明による血液グルコースの測定用システムは、ロッシュ・ダイアグノスティクス社から市販されているものなど、およびここにそのまま丸ごと組み入れている米国特許第6,270,637号および米国特許第5,989,917号中に記載されているようなものなど、先行技術システム中に使用されているものと一般的に類似する血液グルコース計量器およびテストストリップを用いることが有利である。これらのテストストリップは、血液サンプルをテスト用に受け取るサンプルセルと励起信号が提供され測定が行われるサンプルセル内に配置された電極を持つ装置を提供する。当業者達は、これらのテストストリップおよび計量器は、血液中のグルコースの測定のために有利に使用されるが、本発明を実施するに当たり、他の装置が他の検体あるいは他の流体測定用により適していることが理解されよう。
【0040】
適当なグルコース計量器は、以上で述べてきたものなどのように、AC成分およびDC成分有する信号を発生し、測定する電気回路の添加により、公知の計量器から適用され、以下により詳細に記述するように、AC測定を用いてDC測定を補正するようにプログラムすることにより適用される。テストストリップの特定の形状およびテストストリップの化学性は、グルコースの濃度、ヘマトクリットおよび温度とサンプルのインピーダンスの関係における種々の変化を生じさせうることが理解されよう。このようにして、テストストリップの形状と化学性の所与の組み合わせが較正されねばならないし、かつ計量器が、対応するアルゴリズムを用いてプログラムされねばならない。たとえば、本発明は、可能な置換の例を挙げると、1)ACのみ、2)ACの後にDC,3)AC後DC後AC、4)DC後AC、および5)DCオフセットを用いたACの印加を包含している。
【0041】
DC測定に対する干渉物の効果に対する補正のための複合ACインピーダンス測定データの使用は、次の1連の例により有利に説明される。これらの例は、本発明の原理が、テスト標本中の検体濃度を測定する時に、如何に精度の向上およびテスト速度の向上に役立つかということを示している。次の例は、血液グルコース測定に際してのヘマトクリットおよび温度の干渉効果を補正することに関係しているが、当業者は、本発明の教示は、血液グルコース測定中および他の検体測定での他の干渉物の影響に対する補正に等しく有用であることを認めるであろう。さらに、本明細書および請求項は、「ヘマトクリット値の定量」および「温度の決定」などの工程に言及している。例としてのヘマトクリット値の使用に対して、そのようなステートメントは、実際のヘマトクリット値の決定を含むだけでなく、いくつかの名目上の点に対するヘマトクリット補正因子を包含していることを意図している。換言すれば、本プロセスは、サンプルのヘマトクリット値に等しい数には、実際には決して到達しないが、その代わりに、サンプルヘマトクリット値が、ある量だけ名目上の値から異なっているものを測定する。両者の概念は、「ヘマトクリット値を決定する」などというステートメントによりカバーされることを意図している。
【0042】
実施例1:DCのみ測定投与応答研究
実施例1で行われた測定は、図3Aおよび3B中に図示され、かつ300で一般的に示されているテストストリップを用いて行った。テストストリップ300は、ここで参照することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。このテストストリップ300は、ロッシュ・ディアグノスティクス コーポレーション(インディアナ州、インディアナポリス市)からComfort Curve(登録商標)として市販されているものである。使用されたフェリシアナイド試薬は、表IおよびII中に記載された組成を持っていた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
測定においては、血液サンプルは、テストストリップ300に適用されまた図4に示されている励起電位は、電極に印加された。励起は、サンプル適用後0秒から約4.5秒のあいだに印加された2kHz、40mVrms(56.56mVピーク)のAC信号を含み、続いて、その後印加された300mVのDC信号を含む。しかし、この例の計算に対しては、DC測定データのみを分析した。
【0046】
最小限必要なDC励起時間を決定するために、「投与応答」研究を行った。その中では、グリコール化された(グルコースを使い尽くした)血液を、別々の分割単位に分割し、また血液サンプル中に異なった5つの既知のレベルのグルコースを得るために、制御されたレベルのグルコースを添加した。2つのパラメータを変化させたとき、得られるDC電流プロファイルを調べた。第1パラメータは、培養時間あるいはテストストリップ300に対して適用された血液サンプルの検出とテストストリップ300へのDC電位の印加とのあいだの時間であった。変化される第2パラメータは、読み取り時間であって、あるいは、DC電位の印加後と得られる電流の測定のあいだの時間であった。テストストリップに対して適用された血液サンプルの検出と濃度決定計算に使用される最後の測定間の時間の長さが、全テスト時間である。したがって、本研究においては、培養時間と読み取り時間との和が、全テスト時間である。この研究の結果は、図5および図6に示している。
【0047】
図5では、DC応答は、培養時間なしで測定された(読み取り時間=全テスト時間)。図5は、相関係数r2対読み取り時間をプロットしている。見られるごとく、相関係数は、1.0秒以内に0.95秒を越えている。図6には、DC応答が、培養時間を変化させて測定した。培養時間が、与えられると(培養時間が、2秒程度の短時間であったとしても)、このr2値は、DC電位の印加後、0.5秒またはそれ以内に0.99超にまで上昇した。
【0048】
しかし、消費者グルコーステスト装置におけるこのような迅速テスト時間の実行に対する障壁は、サンプル中の血液セルの存在から、干渉レベルの血液サンプルまでの血液サンプルの変化である。ヘマトクリット(細胞対血漿からなる血液サンプルの体積%)は、個人個人で変化する。このような測定上でのヘマトクリットの干渉影響はかなり複雑である。しかし、実施例1のテストにおいて、全てのサンプルは、同一レベルのヘマトクリットを含んでいた。異なるグルコースレベルにおける可変のヘマトクリット影響を持たない場合、ヘマトクリット項は、相関数字中で相殺される。
【0049】
実施例2:毛細管血液サンプルの組み合わされたACおよびDC測定
実施例2で行われた測定も、図3Aおよび3B中に図示され、300で一般的に示されているテストストリップを用いて行った。上述したように、テストストリップ300は、ここで参照することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。
【0050】
測定においては、種々の指先ドナーからの毛細管血液サンプルが、テストストリップ300に適用されまた図4中に示された励起電位が、電極に印加された。励起は、サンプル適用後0秒から4.5秒のあいだに印加された2kHz、40mVrmsのAC信号を含み、続いて、その後300mVのDC信号が印加された。
【0051】
この実施例2においては、サンプルのAC応答は、アドミタンス(インピーダンスの逆数)として導き出された。アドミタンス応答は、温度依存性の様式でサンプルのヘマトクリットレベルに比例している。アドミタンス、ヘマトクリットおよびテスト温度とのあいだの関係は、図7中に図示されている。図7中に図示されているアドミタンスのために使用されるデータが、図4中に示された励起のAC部分のあいだに各サンプルに対して行われた最後のアドミタンス測定である。
【0052】
このデータの回帰分析により、次の式によるアドミタンス、ヘマトクリットおよび温度の関係が得られる。
【0053】
【数1】
【0054】
血液ヘマトクリットを予測するためにこの関係を使用することは、計量器中の温度センサーおよび測定されたアドミタンスにより報告されるテスト温度データを用いて達成される。式1中、c0、c1およびc2は、定数であり、かつdTは、「名目」(たとえば、24℃)として定義される中央から温度での偏差であり、またHestは、同様に「名目」値からのヘマトクリットでの予測された偏差である。本目的に対して、ヘマトクリットの実際の値は、必要ではなく、また名目ヘマトクリットに比例するが、その周りに集まる応答を生じることが、一般的に好ましい。このようにして、70%ヘマトクリットに対しては、42%の名目値からの偏差は28%であり、一方逆に、20%ヘマトクリットに対して、同じ名目値からの偏差は、−22%であろう。
【0055】
式1を使用して、ヘマトクリットレベルを推定するためにACアドミタンス測定を使用することにより、DCグルコースの正確さは、DC応答においてのヘマトクリット干渉に対しての次のように補正するために、推定ヘマトクリット、温度およびDC応答を組み合わせることにより大いに向上できる。
【0056】
【数2】
式中、DCは、印加されたDC信号に対する測定されたグルコース電流応答であり、またPREDは、ヘマトクリットおよび温度の影響に対して補正される補償された(予測される)グルコース応答である。式2中の定数(a0、hct1、hct2、tau1、tau2、a1、hct3、hct4、tau3、およびtau4)は、技術で公知のように、回帰分析を用いることにより決定することが出来る。
【0057】
図8は、温度が変化する際の(AC測定データを無視して)、全ての毛細管血液サンプルの未補正の5.5秒DCグルコース応答を示している。理解されるように、温度およびヘマトクリットが、変化するにしたがって、DC電流応答における幅広い変化がある。図9は、サンプルの実際の血液グルコースレベル対式2を用いた予測された応答のあいだの相関関係を示している。理解出来るように、DC応答が、AC応答を用いてヘマトクリットレベルを補償するとき、0.9404から0.9605のr2値は、5.5秒の全テスト時間を用いて達成される。
【0058】
実施例3:血液グルコースレベルおよびヘマトクリットを推定するためのAC位相角の使用
実施例3で行われた測定も、図3Aおよび3B中に図示され、300において一般的に示されているテストストリップを用いて行った。上述したように、テストストリップ300は、ここで言及することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。毛細管血液サンプルからのヘマトクリットレベルが、典型的には、30%から50%の間でのみ変化するため、20%から70%からのヘマトクリット範囲を持つスパイクされた静脈血液サンプルが、本実施例3のために使用された。5つのレベルのグルコース、温度(14,21,27,36および42℃)およびヘマトクリット(20,30,45,60および70%)は、独立して変化し、125のサンプルについて、共分散性研究が実現した。
【0059】
測定においては、血液サンプルが、テストストリップ300に対して適応されまた図10中に示された励起電位が、電極に対して印加された。励起は、ほぼ4.1秒のあいだの2kHzのAC信号、ほぼ0.1秒のあいだの1kHzのAC信号、およびほぼ0.1秒のあいだの200Hz信号を含む。3つの全AC信号は、56.56mVピークの振幅を持っていた。本実施例中では、DC励起は使用しなかった。全テスト時間は、サンプル適用時刻から4.3秒であった。
【0060】
AC応答の他の成分である位相角(特に、本実施例3中で、200Hzなどの低い周波数)は、このテストストリップおよび試薬の場合でのサンプルグルコースレベルの関数である。この関係は、図11に示されており、そこでは、3つのテスト周波数の各々に対するAC位相角は、参照グルコースレベルに対してプロットされる。3つの周波数の各々に対する回帰分析は、2kHzで0.9114、1kHzで0.9354、および200Hzで0.9635のAC位相角対参照グルコースレベルでのr2相関値を生じる。したがって、本発明は、グルコースレベルを測定するために、AC位相角の使用を包含している。測定された位相角を生じるAC励起周波数は、2kHzあるいはそれ以下、より好ましくは、1kHzあるいはそれ以下、また最も好ましくは、200Hzあるいはそれ以下であるが、DC励起を含んでいない。
【0061】
200Hz位相角応答と血液グルコースレベルのあいだの直線的関係は、次の通りである。
【0062】
【数3】
式中Peffは有効位相であり、これはグルコースに比例し、語彙Γおよびγは定数であり、またΦは測定されたAC位相角である。
【0063】
上の実施例1において使用される温度およびヘマトクリットを補償するための同一アプローチ(式1および式2を参照)を使用することにより、次のような予測アルゴリズムが、生成される。
【0064】
【数4】
【0065】
125の血液サンプル(各々は8つのテストストリップで試験された)に対して得られた補正された(予測された)応答PRED対グルコースは、図12中に示している。全温度および全ヘマトクリットを組み合わせたPRED応答対既知のグルコースレベルのr2相関は、0.9870である。この実施例3は、血液グルコース測定の精度を減少させる干渉物を補償するためのAC測定の値を再び示している。従来の市販されているセンサーを使用すると、本発明は、4.3秒全テスト時間で、0.9870の全r2値を生じている。
【0066】
AC位相角測定は、温度変化の影響に対してほとんど影響しないヘマトクリットレベル測定を生み出すことが出来るということも示された。他の125のサンプルの他の共変研究(5つのグルコース濃度、5つのヘマトクリット濃度および5つの温度)において、各サンプルは、20kHz,10kHz,2kHz,1kHzおよびDCの励起プロファイルを用いてテストされた。種々の周波数におけるAC位相角は、線形回帰を用いて4つのAC周波数各々における次の式の係数を決定するグルコース、ヘマトクリットおよび温度に関係している。
【0067】
【数5】
式中Gluは、既知のグルコース濃度、HCTは、既知のヘマトクリット濃度、またTempは、既知の温度である。
【0068】
決定された係数は、温度係数(c3)は、20kHzおよび10kHzで本質的にゼロであり、これらの周波数では、式から温度を削除する。さらに、グルコース係数(c1)は、以上で説明したように、高周波ACインピーダンス測定が、グルコースレベルによって、大きく影響されずまたそのために、干渉物質のレベルを測定するために有用であるから、AC周波数の全てにおいて本質的にゼロである。したがって、ヘマトクリットレベルは、AC位相角測定のみを用いて、温度およびグルコースレベルから独立して決定可能であるが、分かった。好ましい実施形態において、ヘマトクリットは、全ての4つの測定された周波数からの位相角データを使用して、測定しても良い。
【0069】
【数6】
【0070】
当業者たちは、この係数は、特定のテストストリップ構造および試薬の化学性のいずれに対しても経験的に決定することが出来るということを認識する。したがって、本発明は好ましくは少なくとも1つのAC周波数において行われる、より好ましくは少なくとも2つのAC周波数において行われる、また最も好ましくは少なくとも4つのAC周波数において行われる、AC位相角測定のみを用いて、ヘマトクリットを推定するために使用しても良い。
【0071】
実施例4:ニトロソアニリン試薬を用いた組み合わせACおよびDC測定
実施例4で行われた測定も、図3Aおよび3B中に図示され、300で一般的に示されているテストストリップを用いて行った。上述したように、テストストリップ300は、ここで参照することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。しかし、テストストリップは、異なった試薬を使用することにより、米国特許第5997817号中に記載されているテストストリップから改質された。使用されたニトロソアニリン試薬は、表IIIおよびIV中に記載されている組成物を持っている。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
実施例4に対するグルコースバイオセンサーの製造方法は、試薬の製造以外は、米国特許番号第5,997,817号中に開示された全ての点において同じである。好ましい実施形態のニトロソアニリン試薬の調製用プロトコルは、次の通りである:
【0075】
工程1:1.54gのリン酸水素2カリウム(無水)を、43.5gの脱イオン水に添加することにより、緩衝液を調製する。燐酸カリウムが、溶解するまで混合する。
【0076】
工程2:1.14gのリン酸2水素カリウムを、工程1からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0077】
工程3:0.59gの琥珀酸2ナトリウム(6水和物)を、工程2からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0078】
工程4:工程3からの溶液のpHが、6.7±0.1であることを確かめる。調整は必要ではない。
【0079】
工程5:工程4からの溶液の5gアリコートを調製し、またこれに対して、113キロ単位(DCIPアッセイによる)のアポ酵素のキノプロテイン・グルコース・デヒドロゲナーゼ(EC#:1.1.99.17)を添加する。これは、おおよそ0.1646gである。このたんぱく質が、溶解するまでゆっくり混合する。
【0080】
工程6:工程5からの溶液に4.2mgのPQQを添加し、かつ2時間以上混合して、機能性酵素を提供するためにPQQとアポ酵素を再連結させる。
【0081】
工程7:工程4からの溶液に媒介物先駆体である0.66gのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)−3−メトキシ−4−ニトロソアニリン(塩化水素)(BM31.1144)を添加する。溶解するまで混合する(この溶液は、黒緑色をしている)。
【0082】
工程8:工程7からの溶液のpHを測定し、またpHを目標の7.0±0.1になるように調節する。通常は、これは、1.197gの5N水酸化カリウムを用いて達成される。水酸化カリウムの特定量は、望みのpHに達するために必要なように変化するから、1.197gからの質量の逸脱は、一般的には、またこの工程でも添加される3.309gの脱イオン水のアリコートから調合される。
【0083】
工程9:0.047gのナトロゾルを、回転羽根が暴露されないように、かつ溶液が溢れないように充分な深さを持った容器中にほぼ600rpmの速度で混合されている(回転ミキサーと攪拌羽根を使用して)44.57gの脱イオン水上にゆっくり散布することにより、ナトロゾル250M(アクアロン社から入手可能)の溶液を調製する。ナトロゾルが完全に溶解するまで混合する。
【0084】
工程10:0.54gのアヴィセルを、工程9からの溶液の表面上にゆっくりと散布して、先に進む前に60分以上のあいだほぼ600rpmの速度で、混合することにより、アヴィセルRC−591F(FMSから入手可能)の懸濁液を調製する。
【0085】
工程11:工程10からの懸濁液に対して、0.81gの300kDa平均分子量のポリエチレンオキサイドを、攪拌しながら徐々に添加して、先に進む前に60分以上のあいだ混合を続ける。
【0086】
工程12:混合しながら、工程11からの懸濁液に工程8からの溶液を徐々に添加する。混合速度を400rpmに減少させる。
【0087】
工程13:工程12からの試薬に1.89gのトレハロースを添加して、15分以上混合を続ける。
【0088】
工程14:工程13からの試薬に32.7mgのトリトンX−100(ロッシュ ディアグノスティクス コーポレーションから入手可能)を添加して、混合を継続する。
【0089】
工程15:工程14からの試薬に対して、工程6からの酵素溶液を添加すること。30分以上混合すること。この時点で、試薬は完成である。室温において、この湿潤試薬質量は、24時間使用に対して受け入れられると考えられる。
【0090】
スパイクされた静脈血液サンプルを使用した。5レベルのグルコース、4つの温度(19、23、32および38℃)および5レベルのヘマトクリット(20、30,45,60および70%)を、それぞれ独立に変化させ、100のサンプルについて共分散研究を行った。16のテストストリップ300を、グルコース、温度およびヘマトクリットのそれぞれ固有な組み合わせに対してテストした。血液サンプルを、テストストリップ300に適用し、また図13に示されている励起電位を電極に印加した。励起は、3.2kHzのAC信号をほぼ4秒間、2.13kHzのAC信号をほぼ0.1秒間、1.07kHzのAC信号をほぼ0.1秒間、200HzのAC信号をほぼ0.1秒間、25HzのAC信号をほぼ0.1秒間を含み、続いて、550mVのDC信号をほぼ1.0秒間を包含した。4つの全てのAC信号は、56.56mVピークの振幅を持っていた。全テスト時間は、サンプル適用時間から5.5秒であった。
【0091】
実施例4では、サンプルのAC応答は、アドミタンス(インピーダンスの逆数)として導き出された。アドミタンス応答は、温度依存性の様式でサンプルのヘマトクリットレベルに比例している。アドミタンス、ヘマトクリットおよびテスト温度とのあいだの関係は、図14中に図示されている。実施例2のテストストリップ構造と比較して、グルコースに対する温度およびヘマトクリット影響の直交性は、実施例4においてはそれほど強くなく、そのためクロス乗積の項(T×HCT)は、図14中に使用されたアドミタンス回帰式に加えられた。図14中に図示されたアドミタンスに対して使用されるデータは、図13に示された励起の3.2kHzのAC部分のあいだに、各サンプルに対して行われた最後のアドミタンス測定である。
【0092】
このデータの回帰分析により、次の式のアドミタンス、ヘマトクリットおよび温度の関係が得られる。
【0093】
【数7】
【0094】
3.2kHzで行われたアドミタンス測定は、このテストシステムでヘマトクリットに最も相関している。血液ヘマトクリットを予測するためにこの関係を使用することは、計量器中の温度センサーにより報告されたテスト温度データおよび測定されたアドミタンスを用いて達成される。式7中、c0、c1、c2およびc3は、定数であり、かつdTは、「名目」(たとえば、24℃)として定義される中央から温度の偏差であり、またHestは、同様に「名目」値からのヘマトクリットでの推定された偏差である。本目的に対して、ヘマトクリットの実際の値は必要ではなく、また名目ヘマトクリットに比例するが、その周りに集まる応答を生じることが一般的に好ましい。このようにして、70%ヘマトクリットに対しては、42%の名目値からの偏差は28%であり、一方逆に、20%ヘマトクリットに対して、同じ名目値からの偏差は、−22%である。
【0095】
式7を使用して、ヘマトクリットレベルを推定するためにACアドミタンス測定を使用することにより、DCグルコース応答の正確さは、次のようにDC応答においてのヘマトクリット干渉に対して補正するために、推定ヘマトクリット、温度およびDC応答を組み合わせることにより大いに向上できる(上の式2と同一である):
【0096】
【数8】
式8中の定数は、先行技術で公知なように、回帰分析を用いて決定することが出来る。
【0097】
図15は、ヘマトクリットおよび温度が変化する際の(AC測定データを無視して)、全ての血液サンプルの未補正の5.5秒DCグルコース応答を示している。理解されるように、温度およびヘマトクリットが、変化するにしたがって、DC電流応答における幅広い変化がある。図16は、サンプルの実際の血液グルコースレベル対式8を用いた予測される応答のあいだの相関関係を示している。理解出来るように、DC応答が、AC応答データを用いてヘマトクリットレベルに対して補償される場合、0.9818の全r2値は、5.5秒の全テスト時間で達成される。このことは、実施例1から3で使用されたものと異なる試薬クラスを用いて、高い精度と迅速なテスト時間を達成における本発明の適用性を示している。
【0098】
実施例5:0.397μlのサンプルを用いた、組み合わせACおよびDC測定
本発明の測定方法が、他のテストストリップ設計の場合にも同様に有用であることが見出された。実施例5は、図17Aおよび17B中に図示され、1700で一般的に示されているテストストリップ設計を用いて行った。図17Aを参照して、テストストリップ1700は、50nmの導電性(金)層(たとえば、スパタリングあるいは蒸着)で被覆された350μm厚みのポリエステル(好ましい実施形態においては、これは、デュポン社から入手可能なメリネックス329である。)の不透明な断片から形成されている底箔層1702を含んでいる。電極および接続トレースは、その後レーザ切除プロセスにより、導電性層にパターン形成され、示されているように、作用電極、対極および用量充足電極(以下にさらに詳細に記載されている)を形成する。このレーザ切除プロセスは、石英上クロムマスクを経由して通過するエキシマレーザ手段により行われる。マスクパターンは、レーザフィールドの一部の反射を生じ、一方フィールドの他の部分の通貨を生じ、レーザ光により接触された表面から放出されたパターンを金上に形成する。
【0099】
バイオセンサーのための電極を製作するレーザ切除技術を使用した例は、2001年5月25日に出願された米国特許出願連続番号第09/866,030「連続カバーレイチャンネルを持ったレーザ切除電極を有するバイオセンサー」および1999年10月4日に出願された「パターン化された積層体および電極用のレーザ規定の特性」というタイトルの米国特許出願第09/411,940号中に記載されており、また両者は、参照してここに組み入れられている。
【0100】
その後、底箔層1702は、きわめて薄い試薬膜の形状の試薬層1704を用いて、電極上に延びている領域で被覆されている。この手法は、図17上で「試薬層」と標識された領域中で、底箔層1702にわたり、ほぼ7.2ミリメータ幅のストライプを配置する。本実施例においては、この領域は塗布表面の1平方メートル当り50gの湿潤塗膜重量で被覆されており、乾燥試薬は、20μm未満の厚みになる。試薬ストライプは、名目空気温度が110℃であるインライン乾燥システムを用いて、従来は乾燥されている。処理速度は、名目上は30から38m/分であり、また試薬のレオロジーに依存している。
【0101】
材料は、底箔1702の場合に、電極パターンがリールの長さに直交するように連続リールで加工される。ひとたび底箔1702が、試薬で被覆されると、スペーサが細長く切られ、底箔1702上にオープンリール式で配置される。背面および腹部面の両方の上に、25μmのPSA(疎水性接着剤)で被覆された100μmのポリエステル(好ましい実施形態においては、これは、デュポン社から入手可能なメリネックス329である)で形成された2つのスペーサ1706が、底箔層1702上に用いられ、その結果、スペーサ1706は1.5mm分離され、また作用電極、対極および用量充足電極が、このギャップ中に集められる。(米国特許第5,997,817中に記載のプロセスを用いて)腹部面上に親水性膜で被覆された100μmのポリエステルから形成されるトップ箔層1708が、スペーサ1706上に配置される。好ましい実施形態においては、この親水性膜は、名目厚み10ミクロンで、ヴァイテルおよびロダペックス界面活性剤を用いて被覆されている。トップ箔層1708は、オープンリール式プロセスを用いて積層される。その後、このセンサーは、裁断および切断により、材料の得られたリールから生産できる。
【0102】
したがって、スペーサ1706中の1.5mmのギャップは、底箔層1702とトップ箔層1708のあいだに毛細管充填スペースを形成する。スペーサ1706上の疎水性接着剤は、スペーサ1706の下の試薬中にテストサンプルが流れ込むことを防止し、これによりテスト室体積が定められている。テストストリップ1700は幅が5mmであり、スペーサ1706と導電性層を組み合わせた高さが0.15mmであるから、サンプル受け取り室体積は次の通りである。
【0103】
【数9】
【0104】
図17Bに示すように、サンプル適用ポート1710および用量充足電極からの距離は1.765mmである。作用電極、対極および用量充足電極を充分にカバーするために必要な体積(すなわち、測定のために必要な最小サンプル体積)は、次の通りである。
【0105】
【数10】
【0106】
テストストリップ1700用の試薬組成物は、表Vおよび表VIに与えられている。
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
好ましい実施形態のニトロソアニリン試薬の調製用プロトコルは、次の通りである。
【0110】
工程1:1.654gのリン酸水素2カリウム(3水和物)を、31.394gの脱イオン水に添加することにより緩衝液を調製する。燐酸カリウムが溶解するまで混合する。
【0111】
工程2:0.941gのリン酸2水素カリウムを、工程1からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0112】
工程3:0.285gの琥珀酸2ナトリウム(6水和物)を、工程2からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0113】
工程4:工程3からの溶液のpHが、6.8±0.1であることを確かめる。調整は必要ではないようにするべきである。
【0114】
工程5:工程4からの溶液の4.68gアリコートを調製し、これに229キロ単位(DCIPアッセイによる)のアポ酵素のキノプロテイン・グルコース・デヒドロゲナーゼ(EC#:1.1.99.17)を添加する。これは、おおよそ0.3321gである。このたんぱく質が、溶解するまでゆっくり混合する。
【0115】
工程6:工程5からの溶液に9.3mgのPQQを添加し、かつ2時間以上混合して、機能性酵素を提供するために、PQQとアポ酵素を再連結させる。
【0116】
工程7:0.772gのトレハロースを1.218gの脱イオン水中に溶解することにより溶液を調整する。
【0117】
工程8:酵素の再連結後、工程6からの溶液に工程7からの溶液を添加し、30分以上のあいだ混合を続ける。
【0118】
工程9:工程4からの溶液に、0.690gの媒介物先駆体BM31.1144を添加する。溶解するまで混合する(この溶液は、黒緑色をしている)。
【0119】
工程10:工程9からの溶液のpHを測定し、またpHを目標の7.0±0.1になるように調節する。通常は、これは1.006gの5N水酸化カリウムを用いて達成される。水酸化カリウムの特定量は、望みのpHに達するために必要なように変化するため、1.006gからの質量の逸脱は、一般的にはこの工程でも添加される3.767gの脱イオン水のアリコートから調合される。
【0120】
工程11:0.350gのナトロゾルを、回転羽根が暴露されないように、かつ溶液が溢れないように充分な深さを持った容器中にほぼ600rpmの初期速度で混合された(回転ミキサーと攪拌羽根を使用して)56.191gの脱イオン水上にゆっくり散布することにより、ナトロゾル250M(アクアロン社(Aqualon)から入手可能)の溶液を調製する。ナトロゾルが溶解するに従い、混合速度を1.2から1.4krpmの速度まで増加する必要がある。ナトロゾルが完全に溶解するまで混合する。得られたマトリックスは、きわめて粘着性がある−このことは、予測されている。
【0121】
工程12:工程11からの溶液に0.350gのナトリウム‐カルボキシメチルセルロース7HF(アクアロン社(Aqualon)から入手可能)を徐々に添加する。ポリマーが、溶解するまで混合する。
【0122】
工程13:工程13からの懸濁液に1.01gの300kDa平均分子量のポリエチレンオキサイドを、攪拌しながら徐々に添加して、先に進む前に60分以上混合を続ける。
【0123】
工程14:混合しながら、工程13からの懸濁液に工程10からの溶液を徐々に添加する。
【0124】
工程15:工程14からの試薬に、34.2mgのトリトンX−100(ロッシュ ディアグノスティクス コーポレーションから入手可能)を添加して、混合を継続する。
【0125】
工程16:工程15からの試薬に対して、工程8からの酵素溶液を添加する。30分以上混合する。この時点で、試薬は完成である。室温において、この湿潤試薬質量は24時間使用に対して受け入れられると考えられる。
【0126】
図18中に示された測定結果は、読み取り時間が、温度とヘマトクリットの3つの組み合わせに対して変化する際の、DC電流応答およびグルコースレベル間の相関係数r2を示している。これらの結果は、強固なDC応答は、1秒ほどの速さのテストに対して予期されるべきであることを、示している。しかし、温度およびヘマトクリットの干渉する効果によるセンサー精度(相関)の望ましくない変化があり、これが本発明の組み合わされたACおよびDC測定法が、より密接な相関した結果を生じるべきだと示唆することを、当業者は認めるであろう。
【0127】
図18において得られた有望な結果に基づいて、テストストリップ1700に印加された図19の励起信号を用いて、さらなるテストが設計された。励起は、ほぼ1.8秒間印加された10kHzのAC信号、ほぼ0.2秒間印加された20kHzのAC信号、ほぼ0.2秒間印加された2HzのAC信号、ほぼ0.2秒間印加された1HzのAC信号、およびほぼ0.5秒間印加されたDC信号を含んでいる。AC信号は、12.7mVピークの振幅を持っていたが、DC信号は550mVの振幅を持っていた。全テスト時間は、サンプル適用時間から3.0秒であった。
【0128】
5つのグルコースレベル(40、120、200、400および600)、5つのヘマトクリットレベル(20、30,45,60および70%)および5つの温度(12、18、24、32および44℃)を表すスパイクされた静脈血液サンプルを使用して、共分散研究を設計した結果、125の別の組み合わせを得た。以前の例と同様に、アドミタンス、温度およびヘマトクリットのあいだの関係を試験し、かつプロットして(図20は、温度が変化したときの、20kHzにおけるアドミタンス対ヘマトクリットを示している)、また温度依存の様式で、アドミタンスが、ヘマトクリットに対して直線的関係があることが確認された。しかし、新たなる発見は、AC応答の位相角は温度とは独立した様式で、ヘマトクリットと相関しているということであった。20kHzのAC応答の位相角は、図21中に、ヘマトクリットに対してプロットされている。10kHzで測定された位相角に対する結果は、同様であった。したがって、血液サンプルのヘマトクリットは、次の位相角情報のみを用いて確実に推定される。
【0129】
【数11】
【0130】
本実施例5中で使用されるテストストリップに対して、位相角とヘマトクリットのあいだの相関関係は、より高周波数で良好である。このために、定数c2は、ゼロに近くなり、かつHestは、10kHzおよび20kHzのデータのみを使用して確実に推定することが出来る。しかし、低周波数の使用は、Hest関数のストリップ対ストリップ可変性において、わずかな向上を見せる。したがって、本発明は、少なくとも1つのAC周波数で行われ、より好ましくは、少なくとも2つのAC周波数で行われ、また最も好ましくは、少なくとも4つのAC周波数で行われるAC位相角測定のみを用いて、ヘマトクリットを推定するために使用しても良い。
【0131】
ヘマトクリットは、AC応答データのみを用いて決定可能であり、アドミタンスは、温度とヘマトクリットに対して線形で関係していることが我々は、図20理解できるため、AC応答のみを使用する分析下で、次のようにサンプルの温度を決定することが可能である。
【0132】
【数12】
式中、b0、b1、b2およびb3は、定数である。AC応答データからのヘマトクリットおよび温度の推定は、より多くのあるいはより少ない周波数測定で行っても良く、またこの例に対して選択された周波数とは異なる周波数で測定を行っても良いことが理解されよう。最も強力な結果をもたらす特定の周波数は、テストストリップ形状および寸法により決定される。したがって、本発明は、少なくとも1つのAC周波数で行われ、より好ましくは、少なくとも2つのAC周波数で行われ、また最も好ましくは、少なくとも4つのAC周波数で行われるAC応答測定のみを用いて、テストサンプル温度を推定するように使用しても良い。
【0133】
テスト中のサンプル温度を直接測定すること(AC応答により)は、サンプルの温度を推定するための従来の方法に対して、大いなる向上であることは、当業者は認識するであろう。典型的には、テストストリップが計量器中に挿入される場所に近接するテスト計中に、サーミスタが配置される。サーミスタは、実際のサンプルから離れた温度を測定するため、それはせいぜい真のサンプル温度のおおよその近似となる。さらに、サンプル温度が、変化する場合には(たとえば、蒸発による)、テスト計の熱慣性およびサーミスタ自身そのものが、計量器が搭載しているサーミスタが、テスト中のサンプルの真の温度を正確に反映することを妨げる。対照的に、本発明の温度推定は、テスト中のサンプル内で行われる測定から導き出され(すなわち、テスト中のサンプルが、試薬と反応する反応ゾーン内で)、これにより、測定位置から離れているサンプルによって導入されるいかなるエラーも除去している。さらに、本発明の温度見積もりは、温度推定により補正されるグルコース測定データに非常に近接する時期に集められるデータを使用して行われ、これによりさらに精度が向上する。このことが、先行技術の方法に対して大幅な向上を表している。
【0134】
血液グルコース測定に対する干渉物の影響を補正するための本実施例5の方法の有効性を示すものとして、未補償のDC電流応答対既知のグルコース濃度が、グルコース、温度およびヘマトクリットの全ての125の組み合わせに対して、図22中にプロットされている(このデータをプロットする時には、AC測定は無視される)。当業者により理解されるように、このデータは、ヘマトクリットおよび温度に対して膨大な変化を示している。
【0135】
先に考察したように、DCグルコース応答の正確さは、次のように、DC応答におけるヘマトクリットおよび温度干渉を補正するために、推定されたヘマトクリット、温度およびDC応答を組み合わせることにより大いに改善できる。
【0136】
【数13】
【0137】
式13中の定数は、先行技術で公知なように、回帰分析を用いて決定することが出来る。したがって、本発明は、AC位相角応答を用いることにより、ヘマトクリットの推定を可能にしている(式11)。推定されたヘマトクリットおよび測定されたACアドミタンスは、推定された温度を決定するために使用できる(式12)。最後に、推定されたヘマトクリットおよび推定された温度は、予測されたグルコース濃度を得るために、測定されたDC応答を用いて使用できる(式13)。
【0138】
上記の方法論を、図22中にプロットされたテストデータに対して適用して、図23中に示された予測グルコース対DC電流応答を得る。このデータは、20%から70%の範囲のヘマトクリットレベルおよび12℃から44℃の範囲の温度を持っている125の共変サンプルを表している。これらの干渉物レベルにおける幅広い変化であっても、本発明の測定された方法は、3.0秒の全テスト時間を用いて、0.9874の全r2相関係数を生み出している。
【0139】
実施例6:0.397μlのサンプルを用いた同時ACおよびDC測定
実施例5に対して上述した同一のテストストリップ1700および試薬を用いて、図24中に示された励起プロファイルを、全テスト時間を減少させるために利用した。図5に対して記述されたように、20kHzおよび10kHzにおける位相角は、ヘマトクリット推定値と最も密接に相関していることが決定された。したがって、全テスト時間を減少させるために、実施例6中のこれらの2つの周波数に対して、AC部分の励起を限定することが決められた。全テスト時間をさらに減少させるために、10kHzAC励起をDC信号(すなわち、DCオフセットを持ったAC信号)に同時に印加され、またこの理論は、この組み合わされたモードが、DC電流、AC位相およびACアドミタンスに対する同時結果の収集を可能にし、最速の可能な結果を提供する。したがって、20kHz信号は、0.9秒に対して印加された。その後、10kHzおよびDC信号が、0.1秒間隔後1.0秒間同時に印加された。
【0140】
本実施例6に対しては、7つのグルコースレベルおよび7つのヘマトクリットレベルを表す49のスパイクされた粘凋な血液サンプルをテストした。その後、DC電流および血液ヘマトクリットのあいだの相関係数r2を、サンプル適用後、3つのDC測定時間:1.1秒、1.5秒および1.9秒で試験した。これらの相関は、図25中のヘマトクリットに対してプロットされた。相関は、一般的には1.1秒では最も悪く、また一般的には1.5秒では最も良いが、これらの全ての結果は、比較可能であった。しかし、最小の相関係数は、0.99を越えている。
【0141】
図26は、ヘマトクリットレベルに対して、プロットされた20kHzにおける位相角を示している。この2組のデータ間の相関は非常に良好であり、したがって、10kHzデータはヘマトクリットを推定するためには、不必要であることが決められた。したがって、ヘマトクリットは、次のように20kHz位相角データからのみ推定可能である。
【0142】
【数14】
【0143】
図27は、読み取り時間が、1.1秒、1.5秒および1.9秒のあいだで変化するときの、全ての測定されたヘマトクリットレベルに対するDC電流応答対グルコースレベルを示している。1.1秒におけるDC電流は、1.5秒におけるDC電流よりも大きく、さらにそれは、1.9秒におけるDC電流より大きいことは、驚くべきことではない。ヘマトクリットレベルは、特に高いグルコース濃度において、DC電流に対して大きな影響を持っていることを、当業者は、認識している。
【0144】
以上で考察したように、DCグルコース応答の精度は、次のように、ヘマトクリットにより生じる干渉を補償することにより大いに向上できる。
【0145】
【数15】
【0146】
温度変化は、実施例6の実験中には含まれていないため、式15は、温度補償項を含んでいないことに注意をする。Hest項と組み合わせて、10kHzおよび20kHzアドミタンスを用いて、テスト項が含まれることということは、前例から合理的に推論することが出来る。ヘマトクリットは、20kHz位相角測定データのみを用いて確実に推定することが出来るため、ヘマトクリット補正済みの予測されたグルコース応答は、この位相角情報および測定されたDC応答のみを用いて決定することが出来る。1.1秒(1.1秒の全テスト時間を表している)でのDCリードに対してのみの補償されたDC応答対グルコースレベルは、図28中に図示されている。このデータは、1.1秒の全テスト時間の場合の全r2相関が、0.9947であることを示している。
【0147】
1.5秒のDCリードに対する同一のデータは、図29中に図示されており、1.5秒の全テスト時間に対して、全r2相関が、0.9932であることを示している。1.9秒のDCリードに対する同一のデータは、図30中に図示されており、1.9秒の全テスト時間に対して、全r2相関が、0.9922であることを示している。驚くべきことに、r2相関が、テスト時間が長くなるとともに、実際には、わずかに減少していた。これにもかかわらず、3つの補正されたデータ組の全てに対する相関係数−そこでは、20%から60までの範囲の全ての7つのヘマトクリットが組み合わされる−が、0.99を越え、これは、向上した精度と合わせて1.1秒という速さで血液グルコーステストをもたらす本発明の適用性を示すものであり、ここでは、センサーはグルコース測定テストを行うために、0.4マイクロリッター未満の血液を必要としている。
【0148】
実施例7:不正使用センサーを検出するためのAC位相角の使用
検体測定プロセスに対する品質制御の追加の方策を提供するために、特に、このテストシステムが、素人の最終使用者により使用されることになるときには、ミス投与された(2回投与されるなど)センサー(テストストリップ)、以前使用されたセンサー、あるいは劣化した酵素を持っていたセンサー(あまりにも多湿の環境に貯蔵されたり、あまりにも古かったりなど)を検出することが、望ましい。これらの状態は、集約的には「不正使用センサー」として見なされる。不正使用センサーがテスト計中に挿入される場合には、検体測定プロセスを中断する(あるいは、テスト結果が正確ではないということを、少なくとも使用者に警告する)テストを考案することが望ましい。
【0149】
血液グルコース分析を行うときには、血液サンプルが連続して試薬化学性と反応するため、テスト計は典型的には数回連続して電流測定を行う。従来技術で公知なように、この応答電流はコットレル電流として知られており、また反応の進行にしたがって減衰パターンが続く。コットレルフェイルセーフ比(CFR)を次のように定義付ける。
信頼システム中のバイオセンサーのコットレル応答は、次の式により与えられる。
【0150】
【数16】
式中
n=グルコース分子当り解除された電子
F=ファラデー定数
A=作用電極表面領域
t=励起印加からの経過時間
D=拡散係数
C=グルコース濃度
α=共同因子依存性定数
【0151】
この式の全てのパラメータは、グルコース濃度および時間以外は、通常はセンサーに対して一定となる。したがって、正規化したコットレルフェイルセーフ比(NCFR)を、次のように定義する。
【0152】
【数17】
【0153】
この式中の時間項は、既知でありまたセンサー測定に対して一定であるから、この比は、同一のサンプル時間および間隔を持ったコットレル曲線に対して常に一定となる。したがって、最後のセンサー電流により分けられるセンサー電流の合計は、グルコース濃度に依存しない定数を生み出す。この関係は、好ましい実施形態においては、潜在的に欠陥のあるバイオセンサー応答を検出するために使用される。
【0154】
センサー測定のあいだに得られた電流の全てを合計することにより、センサーのコットレル応答に対するチェックを行う電流合計フェイルセーフを考案できる。最後の電流が得られるとき、これは2つの定数により乗算される(製造時に計量器中に読み込まれる、あるいはさらに好ましくは、別のコードキーにより、あるいはセンサー自身にコード付けされた情報などにより、各ロットのセンサーを計量器に供給される)。これらの定数は、許容されるNCFR値に対する上限および下限を表している。
【0155】
最終電流を乗算される定数の2つの積は、バイオセンサー電流の合計と比較される。電流の合計は、この2つの積のあいだに収まるべきであり、これにより上記の比が、許容値の範囲に満たされたことを示している。
【0156】
したがって、好ましい実施形態は、単一DCブロックがあるときには、次のチェックを行う。
【0157】
【数18】
式中
Cu=コードキーからの上限定数
Cl=コードキーからの下限定数
Im=最終バイオセンサー電流
いくつかの実施形態は、測定シーケンス中に2つのDCブロックを含み得るため、改良されたコットレルフェイルセーフ比(MCFR)は、次のように公式化できる。
【0158】
【数19】
式中
w1、w2=計量定数(たとえば、コードキーから)
NCFR1、NCFR2=DCブロック1および2それぞれに対する正規化されたコットレルフェイルセーフ比
【0159】
したがって、好ましい実施形態は、2つのDCブロックがあるときには、次のチェックを行う。
【0160】
【数20】
式中
Cu=コードキーからの上限定数
Cl=コードキーからの下限定数
Im1、Im2=DCブロック1および2中の最終バイオセンサー電流
【0161】
NCFR(およびMCFR)は、ヘマトクリットと相関している。実施例3中に以上で示したように、AC位相角も、ヘマトクリットと相関している。そこで、AC位相角およびNCFRは互いに相関している。この関係は、センサーが正しく使用されているときのみ保たれる。この相関は、不正使用されるセンサーに対しては低下する。
【0162】
したがって、不正使用されるセンサーが使用されているかどうかを、示すフェイルセーフ計算を行うために、測定された位相角データを解析するための式を設計することが可能である。好ましい実施形態においては、寄生抵抗などにより生じるエラーに対してテストをより強力にするために、2つの別の周波数において測定された位相角のあいだの差を使用することが選択される。異なる漸近線に対する2つの母集団を駆動するために逆正接を適用すると、次のフェイルセーフ式を生じる。
【0163】
【数21】
式中
1000=スケールファクター
NCFR=コットレルフェイルセーフ比
fS0=線形回帰切片
fS1=線形回帰勾配
Φ10kHz=10kHzにおける位相角
Φ20kHz=20kHzにおける位相角
【0164】
式21を用いて、ゼロ以下のフェイルセーフ値は不正使用センサーを示し、一方ゼロ以上のフェイルセーフ値は、非不正使用センサーを示すように交点の項fS0を選択することが可能である。当業者は、異なる交点を選択することにより反対の結果が得られることを認識しているであろう。
【0165】
用量充足電極の使用
以上記述したように、正確なサンプル測定は、サンプルによる測定電極の十分なカバーが必要とすることが確認された。先行技術において、サンプル体積の不充分さを検出するために、種々の方法が使用されてきた。たとえば、ロッシュ・ダイアグノスティクス社、インディアナポリス、インディアナ州により販売されているアキュチェック(登録商標)アドバンテージ(登録商標)グルコーステスト計は、非コットレル電流減衰が、単一測定電極対により検出された場合に、サンプル体積の不足の可能性を使用者に警告した。使用者は、特定の時間割り当て以内に、テストストリップの再投与を支持された。
【0166】
不充分なサンプルサイズの可能性は、極少量のサンプル体積を必要とすることにより、痛みを最小にするために設計された血液切開装置と組み合わせて使用される毛細管充填装置の使用により近年高まってきた。サンプルの不充分な量が、毛細管充填スペース中に引き込まれる場合には、測定電極が、充分にカバーされずに測定精度が損なわれる可能性がある。不充分なサンプルに関連する諸問題を克服するために、測定電極から下流に追加の電極を配置したり、あるいは作用電極の下流にサブエレメントおよび上流にメジャーエレメントを配置したり、あるいは測定電極から上流および下流の両方に配置された表示電極(1つは、作用電極および対極にわたるサンプルの進行流れに追随し、あるいは離れた下流にサンプルが到達に追随することが出来る)を置いたりするなど、種々の先行技術解決法が提案されてきた。これらの解決法の各々に関連する問題は、それらが、各々、バイアスを受けたテスト結果を回避し、サンプルの充分な量の存在を評価するために、上流あるいは下流表示電極のいずれかと連通する1つのあるいは他の測定電極を組み入れいるということである。
【0167】
これらの先行技術解決法があるにもかかわらず、装置がサンプルの充足性を誤解する傾向があるという失敗モードが存続し続けている。本発明者たちは、このような誤った結論は、不均一流頭の分岐と組み合わせて、測定電極対(同一平面あるいは反対の形状)の下流部材と投与検出電極との距離に主として関係していると決定した。異常な(不均一な)流頭を持つ毛細管充填スペースを横切るサンプルは、測定電極と表示電極のあいだの回路を閉じることがあり、バイアスされた結果を避けるために充分なサンプルが存在することをシステムに誤って通知することがありうる。
【0168】
テストストリップ毛細管充填スペースの組成および/あるいは作製に用いられる多くの因子は、このような不規則の流頭挙動に影響を与える。これらの因子としては、
・毛細管充填スペースを形成する異なった壁の表面エネルギー間の不均衡、
・テストストリップ製造施設内の材料あるいは完成品の汚染、
・毛細管充填スペースの壁を構成する単一要素からの汚染物の非意図的導入(たとえば、放出ライナーが使用される製造工程で一般的な離型剤(典型的にはシリコン)がある)。
【0169】
・積層工程に使用される接着剤(あるいは汚染された接着剤)の疎水性特性
・毛細管充填スペース壁の異質な表面の荒れ、
・寸法アスペクト比、
・毛細管充填スペース内の汚染されたメッシュ材料、および
・毛細管充填スペース内のメッシュ材料上への界面活性剤の不均一な適用が、挙げられる。
【0170】
本発明者たちにより決定された先行技術の充足方法に関する他の問題は、上流あるいは下流の投与検出電極に電気的に接続されている1つあるいは他の使用可能な測定電極の使用に関係するこのような配列において、測定ゾーンの化学量論(測定電極上あるいはあいだの領域)は、測定ゾーンに存在している関心検体を測定する前に、投与検出/用量充足テストサイクル間で混乱させられる。サンプルマトリクスが仕上げにおいて急進的に変化するため、これらのサンプルの充填特性も変化し、サンプルタイプ間のタイミング差を生じる。そのような不安定なタイミング・ルーチンが、不正確さと拡大された全システムエラー数的指標のさらなる原因として作用する。
【0171】
このような1つ以上の障害を解決するための試みは、典型的には、1)さらに複雑な製造プロセス(各々がさらなる汚染の傾向を引き起こす追加のプロセス工程)、2)追加の原料品質制御手段、3)親水性および疎水性樹脂の混合物を有し、製造コストにマイナス影響を与える積層複合材などのより高価な原料、および4)メッシュおよび/あるいは毛細管壁の労働集約的な界面活性剤被覆につながる。
【0172】
実施例8:毛細管充填スペース中の流体の流頭挙動の決定
毛細管充填スペースを用いるテストストリップ中の用量充足を適切に表示する電極システムを設計するために、毛細管充填スペースを経由してサンプルが、進行するにしたがって、サンプルのリード端における流頭形状を試験する実験が行われた。両面接着テープで結合された2枚の透明なポリカーボネートシートからなるテスト備品が、使用され、そこでは、毛細管充填スペースは、両面接着テープ中の経路を切断することにより形成された。ポリカーボネートの上シートおよび下シートの使用により、サンプルの流頭が毛細管充填スペースを経由して流れるためビデオテープに録画できる。
【0173】
特に、1mm厚さのレーザカットされたレキサン(登録商標)ポリカーボネートシート(キャデラック・プラスチック社、ウエッスル、スインドンSN5 7EX、イギリスから得られる)を用いて、テスト装置が積層される。トップおよび底のポリカーボネートシートは、両面接着テープ(ミネソタ州、セントポールのスリーエム コーポレーション(3M Corporetion))から得られる#200MP高性能アクリル接着剤)を用いて結合された。毛細管経路は、両面接着テープ中に必要な幅開口をレーザカットすることにより定められる。0.05μm、0.125μmおよび0,225μmのテープ厚みが、必要な経路高さを与えるために使用される。テスト装置の毛細管スペースの寸法は図31中に表にしてある。
【0174】
トップおよび底のポリカーボネートシート部分は、再現可能な作製を確かなものとするために特注の冶具を用いて、レーザカット接着テープを用いて積層された。各測定装置に対しては、毛細管経路への入り口を定める流体受器領域が、上ポリカーボネートシートおよび接着剤テープ要素中にプレカットされた開口により形成された。3つの経路高さの各々に対しては、0.5mm、1.00mm、1.5mm、2.00mm、3.00mmおよび4.00mmの経路幅が作製された。全ての装置に対する毛細管経路長さは、50mmであった。18の装置タイプの各々の28個が構成された。組み立てられた装置は、ドイツのドートマンドのワイドマン・プラスチック・テクノロジー社によりプラズマ処理された。次のプラズマ処理条件が、使用された。
【0175】
プロセッサ:マイクロウエーブ・プラズマ・プロセッサ400
マイクロウエーブ・パワー:600W
ガス:酸素
圧力:0.39ミリバール
ガス流量150ml/分
時間:10分
表面エネルギー事前処理:<38mN/m
表面エネルギー事後処理:72mN/m
【0176】
プラズマ処理された装置は、使用しないときには、2℃から8℃保存された。装置は、使用前に最低1時間室温で均衡された。
【0177】
各装置には、45%のヘマトクリット値を有する所定の体積の静脈血液を投与した。流れおよび流頭挙動は、後日の解析のためにビデオテープ上で捉えられた。毛細管充填経路の相対的寸法は、流頭挙動を定めたということが決定された。図31中の点線の左の装置(A2,A4,B2,B4、B5、C2,C4およびC5)は、凸状の流頭挙動を生じ、一方、点線の右側の装置(A6,A8,A11,B6,B8,B11、C6,C8およびC11)は、凹状流頭挙動を示した。凸状および凹状の流頭挙動の両方が、図31に概略的に示されている。このデータは、毛細管充填スペースの高さと幅のアスペクト比が、サンプル流頭が、凸であるか凹であるかどうかを決める因子であるということを示している。
【0178】
用量充足電極の使用(続き)
毛細管充填スペース中の凹状流頭に関連した問題は、図32Aから図32Cに図示されている。各々の図中では、テストストリップは、作用電極3200と、参照電極3202と、および測定電極3200あるいは3202の1つと併せて作動する下流の用量充足電極3204とを含む。上述した測定電極の1つと併せて、用量充足電極3204の使用に関連する測定ゾーンの化学量論的な問題に加えて、図32Aから図32Cは、凹形状を示すサンプル流頭が、またバイアスされた測定結果を生じることを示している。各図において、サンプルの移動方向が、矢印により示されている。図32Aにおいては、毛細管壁に隣接したサンプルの部分が、用量充足電極3204到達し、これにより用量充足性決定を行うためのテスト計によりモニターされる測定電極対の1つとこの電極のあいだのDC回路を電気的に完結させる。テスト計は、このとき測定するために充分なサンプルがあることを結論づけることになるが、サンプルは、参照電極3202にかろうじて到達し、このとき得られた測定結果は、高度にバイアスされる。
【0179】
同様に、用量充足電極3204は接触している(測定を開始するべきだということを示唆している)が、参照電極3202は、サンプルにより部分的にのみカバーされるという状況を図32Bは図示している。このとき、サンプルは、参照電極3202に到達するが、参照電極3202は完全にサンプルによってカバーされず、したがってこのとき得られた測定結果は、部分的にバイアスされる。したがって、図32Aから図32Bに示された両方の状況は、用量充足性に対して偽陽性を示し、これにより測定結果をバイアスすることになる。参照電極3202がサンプルにより完全にカバーされる図32Cに示された状況においてのみ、測定結果は測定ゾーンにおける毛細管充填の程度により、バイアスを受けないであろう。
【0180】
本発明は、用量充足決定の際の用量充足電極と、測定電極との1つを組み合わせた先行技術設計に関係する化学量論的な問題を解決している。図33に示したように、本発明は、測定電極から下流に位置決めされた独立した対を持っているテストストリップを含んでいる。テストストリップは、一般的に3300として示され、また対極3302および作用電極3304からなる測定電極対を含んでいる。これらの電極は、従来技術で公知のようにおよび以上に記述したように、多層テストストリップ構造中の適当な基板上に形成しても良い。テストストリップの多層構造は、従来技術でも公知のように、毛細管充填スペース3306の形成を提供する。毛細管充填スペース3306内および測定電極3302および3304から下流では(サンプル流れの方向に対して)、用量充足作用電極3308および用量充足対極3310が形成されるとともに用量充足電極対を形成している。
【0181】
テストストリップ3300が、テスト計中に挿入されると、いつサンプルが毛細管充填スペースのこの領域まで移動したかどうかを決定するために、テスト計は用量充足電極3308および3310のあいだの導通路を、連続的にチェックを行う。サンプルがひとたびこのレベルに到達すると、テスト計は、測定電極がサンプルでカバーされ、かつサンプル測定シーケンスが開始されてよいことを結論付けるプログラムにしてもよい。先行技術設計に必要とされたのと違って、図33のテストストリップ設計を用いた用量充足テストのあいだでは、電圧あるいは電流が測定電極3302および3304のいずれにも印加される必要がないことが理解されよう。このようにして、測定ゾーンの化学量論は、測定ゾーンに残っている関心のある検体測定を行う前の用量充足テストサイクルあいだは混乱しない。このことは、先行技術の用量充足テスト方法に対する有意な向上を表している。
【0182】
図34Aに示しているように、毛細管充填スペース3306を充填しながら凸型流頭を示すサンプルを生じるように、毛細管充填スペースが設計されるとき、テストストリップ3300が、用量充足性を判定することも望ましい。見られるように、凸型流頭が、用量充足電極対3308および3310に到達するときに、測定電極3302および3304上の測定ゾーンは、サンプルでカバーされる。しかし、図34Bに示されているように、毛細管充填スペース3306により、サンプルが充填しながら凸型流頭を示すことが出来る場合は、テストストリップ設計3300は、理想的な結果を生み出さないことがある。見られるように、測定ゾーンが、サンプルで完全にカバーされる前に、凹型流頭の周辺端が用量充足電極3308および3310に到達する。DCあるいは低周波励起(以下より詳細に考察する)の場合には、用量充足電極3308および3310は、流頭の端により両者とも接触されるとすぐに、サンプル充実性を示すことになる。毛細管スペース3306を充填するサンプルが、凸型流頭を示すとき、図33のテストストリップ中に示された用量充足電極設計は最も良く作動する。
【0183】
毛細管充填スペース3306の縦軸に対して垂直に配向された毛細管充填スペース3306内に、用量充足電極3308および3310が、最長軸を持つことが、理解されよう。このような電極は、ここでは、「垂直用量充足電極」とする。代替的な用量充足電極配置が図35Aから図35Bに示されている。図35Aに示すように、本発明は、測定電極から下流側に位置決めされた用量充足電極の独立した対を持っているテストストリップを含んでおり、そこでは、毛細管充填スペースの縦軸に対して平行に配向された毛細管充填スペース内に、用量充足電極は、最長軸を持っている。そのような電極は、ここでは、「平行用量充足電極」とする。図35中のテストストリップは、3500として一般的に示されており、かつ対極3502および作用電極3504からなる測定電極対を含んでいる。これらの電極は、従来技術で公知のようにおよび以上に記述したように、多層テストストリップ構造で適当な基板上に形成しても良い。テストストリップの多層構造は、従来技術でも公知のように、毛細管充填スペース3506の形成を提供する。毛細管充填スペース3506内および測定電極3502および3504から下流では(サンプル流れの方向に対して)、用量充足作用電極3508および用量充足対極3510が形成され、ともに平行な用量充足電極を形成している。
【0184】
テストストリップ3500がテスト計中に挿入されると、いつサンプルが、毛細管充填スペースのこの領域まで移動したか決定するために、テスト計は用量充足電極3508および3510のあいだの導通路を連続的にチェックする。サンプルがひとたびこのレベルに到達すると、テスト計は、測定電極がサンプルでカバーされ、かつサンプル測定シーケンスが開始されたことを結論付けるプログラムにしてもよい。テストストリップ3300の場合には(先行技術設計に必要とされたのと違って)、図35のテストストリップ設計を用いた用量充足テストのあいだには、測定電極3502および3504のいずれに対しても、電圧あるいは電流が印加される必要がないことが理解されよう。このようにして、測定ゾーンの化学量論は、測定ゾーンに残っている関心のある検体測定を行う前の用量充足テストサイクルのあいだは混乱しない。このことは、先行技術の用量充足テスト方法に対する有意な向上を表している。
【0185】
用量充足電極が、相対的に高周波数のAC励起信号で付勢されるとき、さらなる改良された操作が、テストストリップ3500の平行用量充足電極を用いて実現される。用量充足励起信号として相対的に高周波数のAC信号が、使用されるとき、用量充足電極3508および3510は有意な端効果を示し、そこでは、ギャップに沿った電極端がサンプル流体でカバーされるときには、励起信号が電極間のみのギャップを横切る。テストストリップ3500は、図36中の拡大された大きさで示されている(毛細管充填スペース3506および可視のストリップ対計量電極接触パッド内にある電極部分の場合のみ)。用量充足電極3508および3510の対の1つが、AC信号で励起されるときには、大多数の信号は、1つの電極の上部平坦表面から他の電極の上部平坦表面へよりも、1つの電極端から他の電極端へ移動する(端がサンプルで覆われているとき)。端から端への電気的伝達のこれらの経路は、概略的に図36中の電界ライン3602として示される。
【0186】
高周波数ACは、用量充足電極からの端のみの最良感度を生じる。好ましい実施形態においては、10kHzの9mVrms(±12.7mVピーク対ピーク)励起信号が、用量充足電極の1つを励起するために使用される。この用量充足電極3508および3510の端のあいだのギャップ幅GWは、好ましくは100から300μmであり、より好ましくは150から260μmであり、また最も好ましくは255μmである。より小さなギャップ幅GWは、端が少なくとも部分的にサンプルでカバーされている用量充足電極間を伝達される信号量を増加させる。しかし、信号伝達経路のキャパシタンスは、ギャップ幅GWを減少するにつれて増加する。
【0187】
AC励起を用いて使用されるときには、図35および図36の平行用量充足電極設計の利点は、サンプルが電極ギャップに沿った端の少なくとも1部を覆うまで、電極間の電気的伝達は実質的に無いということである。したがって、図35Aの凹型流頭を示すサンプルは、図示されたサンプルが、用量充足電極3508および3510の両者には接触するが、ギャップに沿った電極端には接触しない場合においては、用量充足電極間での有意な電気的伝達を生じないものである。したがって、サンプルがギャップに沿った電極端間の用量充足電極を実際に橋渡しするまで、テスト計は用量充足性の結論を形成しない。凹型流頭の最も後ろの部分が、用量充足電極3508および3510に到達した後にのみこれが生じ、この時点においてサンプルが測定電極上の測定ゾーンを完全に覆う。図35B中で見られるごとく、流頭が用量充足電極に到達すると(その時点で、サンプルが測定電極上の測定ゾーンを完全に覆う)すぐに、サンプルの凸型流頭が用量充足電極3508および3510を活性化する。
【0188】
図35および図36中に示された平行用量充足電極に対する他の利点は、電極間に伝達される信号量は、サンプルにより覆われるギャップ端の量に比例しているということである。したがって、テスト計中で適当な閾値を用いることにより、用量充足性の結論は、サンプルが、用量充足電極のギャップ端の所定の部分を覆うまで保留される。さらに、用量充足性信号の解析により、テスト計は所望により、テスト計により行われる各測定に対する毛細管充填スペースの充填率を記録することが出来る。
【0189】
電極形状自体は、特に凸型流頭の場合に充分なサンプルを検出するという観点で、以前の実施形態より利点を示すが、サンプル検出ではDC応答よりもAC応答の使用において、さらなる改良が、達成されるということが見出された。DC応答は、たとえば、温度、ヘマトクリットおよび検体(たとえば、グルコース)の変化に対して敏感であるという問題点がある。充分に高周波数でのAC応答は、検体濃度の変動に対して強靭にさせることが出来る。さらに、毛細管充填装置中での充分に高周波数で発生したAC応答は、サンプルにより充填される電極端間の平行ギャップの量により主に制限される。このようにして、流頭の谷が、実際にサンプル充足性電極の平行端以内に侵入するまで、凸型流頭に対してAC応答(アドミタンスの場合)は、ほとんど感知されずあるいはまったく感知されない。さらに、閾値較正により、センサーはテスト開始前に充填される平行ギャップを多く必要とするアドミタンスに対してはより高い閾値を用いて、有利と思われるように多少感度良くすることが出来る。
【0190】
現行の装置のさらなる制限は、センサーの毛細管スペースを充填するために必要な時間量を、電極形状が、識別する能力がないことである。この制限は、用量充足電極および測定電極の相互依存性を持っていることにより生じる。このことは、独立した用量充足電極のさらなる利点となる。好ましい実施形態においては、投与前に、信号が測定電極を横切って最初に印加される。応答が、観察されるときには、電位はすぐにスイッチオフされ、かつ第2信号が用量充足電極を横切って印加され、そのあいだ、このシステムは、信号(電極カバー程度を示す)に対する応答を探し、かつ第1イベント(測定電極で、応答が観察されるとき)および第2イベント(用量充足電極で応答が、観察されるとき)あいだの期間をマークする。非常に長い間隔のために誤った結果が導かれる場合には、閾値以内では許容される結果が得られ、閾値外ではおよびフェイルセーフがトリガーされる閾値を確立することが可能であり、応答を避けあるいは使用者に対して、潜在性の不正確さの最低限の警告をする。許容しうると考えられる充分なサンプルの投与と検出の時間のずれは、特定のセンサー設計と化学性に依存している。あるいは、サンプルが、最初にセンサーに適用された時間を検出するために、投与検出電極の独立した対(図示されていない)が、測定電極から上流に付加されても良い。
【0191】
DC信号は、上記のイベントの1つあるいは両方の検出に使用できるが、好ましい実施形態は、測定電極における電気化学的応答を不必要に混乱することを避けるために、また流頭の不規則性に関しての強靭な検出を与えるために、充分な高周波数のAC信号を使用する。
【0192】
ここに引用した全ての出版物、先行出願および他の文献は、それぞれが、個々に参照として組み入れられ、かつ充分に説明されてきたかのように、ここに、完全を期して、参照として組み入れられている。
【0193】
図および前述の記述において、本発明を詳細に説明し、かつ記述してきたが、同じことは、説明に役立つものでありまた特性に制限的ではないと考えるべきである。好ましい実施形態および好ましい実施形態の作成法あるいは使用法をさらに説明するのに役立つと思われるある他の実施形態のみを、示してきた。本発明の精神以内に入る全ての変更および改質は、保護されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】連続して印加されるAC成分およびDC成分を有する本発明によるシステムおよび方法において使用するのに適した第1の実施形態励起信号の図である。
【図2】同時に印加されるAC成分およびDC成分を有する本発明によるシステムおよび方法において使用するのに適した第2の実施形態励起信号の図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のテストストリップを図示している。
【図4】実施例1のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図5】培養時間のない実施例1のテスト用相関係数r2(グルコース対DC電流)対リアルタイムのプロットである。
【図6】培養時間を変化させた実施例1のテスト用相関係数r2(グルコース対DC電流)対リアルタイムのプロットである。
【図7】実施例2のテスト用ACアドミタンス対ヘマトクリットのプロットである。
【図8】実施例2のテスト用の相殺されていないDC電流対グルコースのプロットである。
【図9】実施例2のテスト用予測されたグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図10】実施例3のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図11】実施例3のテストに対するAC位相角対参照グルコースのプロットである。
【図12】実施例3のテストに対する予想されたグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図13】実施例4のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図14】実施例4のテスト用ACアドミタンス対ヘマトクリット(温度を用いてパラメーター表示される)のプロットである。
【図15】実施例4のテストに対する相殺されていないDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図16】実施例4のテストに対する予想されたグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図17A】本発明の第2の実施形態のテストストリップを図示している。
【図17B】本発明の第2の実施形態のテストストリップを図示している。
【図18】実施例5のテスト中の温度およびヘマトクリット3つの組み合わせに対してリアルタイムが、変化するにしたがい、DC電流応答対グルコースレベルのあいだの相関係数r2をパラメータを用いて図示するプロットである。
【図19】実施例5のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図20】実施例5のテストにおいて、温度が、パラメータ的に変化するときの、ACアドミタンス対ヘマトクリットのプロットである。
【図21】実施例5のテストにおいて、温度が、パラメータ的に変化するときの、ACアドミタンス対ヘマトクリットのプロットである。
【図22】実施例5のテストに対する相殺されていないDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図23】実施例5のテストに対する予想されるグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図24】実施例6のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図25】実施例6のテスト中のヘマトクリットに対してプロットされたヘマトクリットとDC電流応答のあいだの相関係数r2のプロットである。
【図26】実施例6のテスト用ACアドミタンス位相角対ヘマトクリットのプロットである。
【図27】実施例6のテストに対する相殺されていないDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図28】実施例6の1.1秒全テスト時間に対する相殺されたDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図29】実施例6の1.5秒全テスト時間に対する相殺されたDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図30】実施例6の1.9秒全テスト時間に対する相殺されたDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図31】実施例8のテスト装置に使用される毛細管充填経路の高さおよび幅を詳細に示す表であるのみならず、毛細管充填スペース中の凸および凹サンプルフロー正面の概略図である。
【図32A】凹フロー正面が、先行技術用量充足電極と遭遇するときに、バイアスされた測定結果用電位を示すテストストリップの概略平面図である。
【図32B】凹フロー正面が、先行技術用量充足電極と遭遇するときに、バイアスされた測定結果用電位を示すテストストリップの概略平面図である。
【図32C】凹フロー正面が、先行技術用量充足電極と遭遇するときに、バイアスされた測定結果用電位を示すテストストリップの概略平面図である。
【図33】測定電極から独立している1対の垂直用量充足電極を持つ本発明のテストストリップの概略平面図である。
【図34A】凸および凹フロー正面をそれぞれもっているサンプルを含む図33のテストストリップの概略平面図である。
【図34B】凸および凹フロー正面をそれぞれもっているサンプルを含む図33のテストストリップの概略平面図である。
【図35A】測定電極から独立している1対の平行用量充足電極を持つ本発明のテストストリップの概略平面図である。
【図35B】測定電極から独立している1対の平行用量充足電極を持つ本発明のテストストリップの概略平面図である。
【図36】電極が、サンプルでカバーされるときに、電極間を伝達する電場線を概略的に図示する図35のテストストリップの概略平面図である。
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対する参考文献]
本出願は、2002年10月4日に出願された米国特許出願第10/264,890号の一部継続出願であり、それは、2000年4月24日に出願された米国特許出願第09/530,171号の分割出願であり、それは、1998年12月21日に出願された国際特許出願第PCT/US98/27203の米国国内段階であり、それは、1997年12月22日に出願された(現在は、放棄されている)米国特許出願第08/996,280号の一部継続出願であり、またこれらの出願の各々から優先権メリットを請求している。本出願は、2003年6月20日に出願された米国特許仮出願第60/480,298号にも優先権を主張している。これらの出願の各々の内容はここに参照により組み入れられる。
【0002】
[技術分野]
本発明は、流体中の検体の濃度を測定するときに使用する測定方法および装置に関するものである。さらに、詳細には、本発明は、排他的ではないが、血液中のグルコースの濃度を測定するために使用される方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
物質濃度の測定、特に他の交絡した物質の存在下での物質の濃度の測定は、多くの分野で、特に医学的診断において重要である。たとえば、血液などの体液中のグルコースの測定は、糖尿病の有効的治療のために、不可欠なものである。
【0004】
糖尿病治療は、典型的には2つのタイプのインシュリン治療:根本的治療および食事時間治療を含んでいる。根本的インシュリンは、就寝前にしばしば取られる連続的な、たとえば、時放性インシュリンに言及する。食事時間インシュリン治療は、糖および炭化水素の新陳代謝を含めた種々の因子により生じる血液グルコースの変動を規制するために、より早く作用するインシュリンの追加の投与を提供する。血液グルコースの変動の適当な規制は、血液中のグルコース濃度の正確な測定を必要とする。そのようにすることを仕損じると、盲目および極端な循環の損失を含めた極度の合併症を生じうることになり、最終的には、糖尿病患者が、彼のあるいは彼女の指、手、足などを使用することを、奪ってしまうことになる。
【0005】
たとえば、グルコースなどの血液サンプル中の検体濃度を測定するためには、多くの方法が、公知である。このような方法は、典型的には、2つの範疇:光学的方法および電気化学的方法に集約される。光学的方法は、一般的には、試薬中のスペクトルシフトを観察するために、反射あるいは吸収スペクトルを含む。そのようなシフトは、検体の濃度を示す色変化を生じる化学変化により生じる。電気化学的方法は、一般的には、二者択一的に、検体の濃度を示す電流応答あるいは電量応答を含む。たとえば、コロンブス(Columbus)の米国特許第4,233,029号、ペース(Pace)の米国特許第4,225,410号、コロンブス(Columbus)の米国特許第4,323,536号、マグリー(Muggli)の米国特許第4,008,448号、リリヤ(Lilya)らの米国特許第4,654,197号、スズミンスキー(Szuminsky)らの米国特許第5,108,564号、ナンカイ(Nankai)らの米国特許第5,120,420、スズミンスキー(Szuminski)らの米国特許第5,128,015号、ホワイト(White)の米国特許第5,243,516号、デイーボルド(Diebold)らの米国特許第5,437,999号、ポールマン(Pollmann)らの米国特許第5,288,636号、カーター(Carter)らの米国特許第5,628,890号、ヒル(Hill)らの米国特許第5,682,884号、ヒル(Hill)らの米国特許第5,727,548号、クリスモア(Crismore)らの米国特許第5,997,817号、フジワラ(Fujiwara)らの米国特許第6,004,441号、プリーデル(Priedel)らの米国特許第4,919,770号、およびシー(Shieh)の米国特許第6,054,039号を参照のこと、またこれらは、ここに、そっくり参照として組み入れられている。
【0006】
血液中の化学物質の濃度を測定する電気化学的方法の重要な制限は、検体および試薬の種々の活性成分の拡散に対する交絡変数の効果である。たとえば、血液サンプルの形状および状態は、濃度対信号マップ関数をベースとしたものに密接に対応していなければならない。
【0007】
血液サンプルの形状は、典型的には、テスト装置のサンプル受け取り部分により制御される。血液グルコース計の場合、たとえば、血液サンプルは、典型的には、計器中に差し込む使い捨てテストストリップ上に置かれる。テストストリップは、サンプルの形状を定めるためのサンプル室(毛細管充填スペース)を持っていても良い。2者択一的には、サンプルの形状の効果は、効果的に無限のサンプルサイズを保証することにより、制限しても良い。たとえば、検体を測定するために使用される電極は、テストストリップの血液の滴が電極を越えてあらゆる方向に実質的に広がるように、近接して間隔をあけておいても良い。しかしながら、サンプルによる測定電極の適切なカバー性を確保することは、正確なテスト結果を達成するために、重要な因子である。このことが、特に毛細管充填スペースを用いた場合に、過去において問題となること判明した。
【0008】
血液グルコース測定の精度に対する制限の他の例は、血液組成あるいは状態(測定される態様以外)中の変化を包含する。たとえば、ヘマトクリット(赤血球の濃度)中の変化、あるいは血液中の他の化学物質の濃度の変化が、血液サンプルの信号発生に影響を及ぼすことがある。血液サンプルの温度における変化は、血液化学物質の測定での交絡変数の他の例である。
【0009】
このようにして、温度、ヘマトクリットおよび血液中の他の化学物質の濃度における変化を包含した交絡変数の存在下でさえも、正確に血液グルコースを測定するシステムおよび方法が、必要とされている。特に、毛細管充填装置中のサンプルによる測定電極の適切なカバー性を確かめるためのシステムおよび方法もまた必要とされている。流体中の検体を正確に測定するシステムおよび方法が、同様に必要とされている。本発明の目的は、そのようなシステムおよび方法を提供することである。
【発明の開示】
【0010】
本発明の1つの実施形態において、生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法が開示されており、測定方法は、a)AC成分を持つ第1信号を、前記生物学的流体に印加すること、b)前記第1信号に対する第1応答を測定すること、c)第2信号を前記生物学的流体に印加し、前記第2信号がDC信号であること、d)前記第2信号に対する第2応答を測定すること、および前記第1応答を前記第2応答に組み合わせて、医学的に有意な成分の濃度の表示を生じることを含む。
【0011】
本発明の他の1つの実施形態において、生物学的流体テストサンプルの測定方法を開示しており、前記方法は、前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定すること、前記第1電気的応答はAC成分を有すること、前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および少なくとも部分的には前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプルのグルコース濃度を表示する値を決定することを含む。
【0012】
本発明の他の1つの実施形態において、生物学的流体テストサンプルを決定する方法を開示しており、前記方法は、第1テスト信号に対する前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定すること、第1テスト信号はAC成分を持つこと、第2テスト信号に対する前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および少なくとも部分的には、前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含む。
【0013】
本発明の1つの実施形態において、生物学的流体の検体濃度の決定方法を開示しており、前記方法は、第1交互信号を生物学的流体に印加すること、第1信号に対する応答を測定すること、DC成分を持つ第2信号を、生物学的流体に印加すること、第2信号に対する応答を測定すること、および前記第1信号に対する応答および前記第2信号に対する応答を解析し、検体濃度の表示を生み出すことを含む。
【0014】
本発明のさらに他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度の決定方法を開示しており、前記方法は、第1信号を、血液サンプルに対して印加すること、第1信号はAC成分を持つこと、第1信号に対する第1応答を測定すること、第2信号を、血液サンプルに対して印加すること、第2信号は、AC成分を持つこと、第2信号に対する第2応答を測定すること、第3信号を、血液サンプルに対して印加すること、第3信号は、DC成分を持つこと、第3信号に対する第3応答を測定すること、および少なくとも部分的には、前記第1応答と前記第2応答と第3応答に基づいて、血液中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含む。
【0015】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する装置を開示しており、前記装置は、血液サンプルを受け取るために適応されるテスト室と、AC成分を持つ第1テスト信号およびDC成分を持つ第2テスト信号を、テスト室中に受け取られるサンプル上の血液サンプルに対して印加するために適応される第1電極回路と、第1テスト信号に対する第1応答および第2テスト信号に対する第2応答を測定するために適応される第2電極回路と、および前記第1応答と前記第2応答を処理して、血液サンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定するために適応されるプロセッサとを含む。
【0016】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのヘマトクリット値を決定する方法を開示しており、前記方法は、(a)AC成分を持つ第1信号を、血液サンプルに対して印加すること、(b)第1信号に対するAC応答を測定すること、(c)血液サンプルの温度を測定すること、および(d)AC応答および温度を用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含む。
【0017】
本発明のさらに他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、第1交流電位を、血液サンプルに対して印加すること、交流電位に対する第1応答を測定すること、DC電位を、血液サンプルに対して印加すること、DC電位に対する第2応答を測定することと、血液サンプルのヘマトクリット含有量に関係する第1値を、第1応答を用いて決定すること、血液サンプルの温度に関係する第2値を、第1値および第1応答を用いて決定すること、血液サンプルのグルコース濃度に関する第3値を、第1値、第2値および第3応答を用いて測定することを含む。
【0018】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、a)AC成分を有する前記1信号を、血液サンプルに対して印加する工程と、b)前記第1信号に対するAC応答を測定する工程と、c)第2信号を、血液サンプルに対して印加する工程であって、前記第2信号はDC信号であり、d)前記第2信号に対するDC応答を決定する工程と、d)血液サンプルのヘマトクリット値を、前記AC応答を用いて決定する工程と、e)血液サンプルの推定温度を、前記ヘマトクリット値および前記AC応答を用いて決定する工程と、および血液サンプルのグルコース濃度を、前記ヘマトクリット値、前記推定温度および前記DC応答を用いて、決定する工程とを含む。
【0019】
本発明の他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、前記血液サンプルを提供し、血液サンプルが、0.4μlと同等かそれ未満の最小体積であって、a)AC成分を有する信号を、前記血液サンプルに対して印加すること、b)前記信号に対するAC応答を測定すること、および少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定することを含み、前記決定が約3秒以内である。
【0020】
本発明のさらに他の実施形態において、血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、AC成分を有する信号を、血液サンプルに対して印加すること、a)前記信号に対するAC応答を測定すること、および測定が、少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定し、全テスト時間が約5.5秒以内である。
【0021】
本発明の他の実施形態において、生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、流体サンプルを受け取るセルを設けること、医学的に有意な成分と反応する化学的性質と、医学的に有意な成分と前記化学的性質との反応が、評価されうる第1ターミナルおよび第2ターミナルとをセル上に設けること、それぞれの前記セルの前記第1および第2ターミナルに補完的な第1および第2ターミナルを持った装置を設け、前記装置の前記第1および第2ターミナルのそれぞれと前記セルの前記第1および第2ターミナルとを接触させるように置くことにより、前記装置により前記反応の評価を可能にすること、および前記装置の前記第1および第2ターミナルを横断して第1信号を印加し、前記第1信号に対する前記セルの応答における前記サンプルの属性を決定し、また前記サンプルの属性の表示を生成するように設計された評価制御器、前記装置に設けることを含む。
【0022】
本発明のさらに他の実施形態において、生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法を開示しており、前記方法は、AC成分を有する第1信号を、前記生物学的流体に対して印加する工程と、a)前記第1信号に対する第1応答を測定する工程、および前記第1応答に基づいて、生物学的流体の属性を決定することを含む。
【0023】
本発明は、同伴する図を参照して、例示のみによりさらに記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の原理の理解を促進する目的のために、図に示された実施形態を参照し、かつ実施形態を記述するために、特定の語彙を使用する。にもかかわらず、本発明の範囲は、それによりなんら制限されるものではない。いかなる変更および記述されあるいは図示された実施形態のさらなる改質およびここに示された発明の原理の更なる応用は、発明に関連する当業者なら通常考慮されるものであり、保護されるものとする。特に、本発明は、血液グルコース計量器について考察されているが、本発明は、他の検体および他のサンプルタイプを測定するための装置を用いて使用できるということが、考慮されている。このような代わりの実施形態は、当業者にとって明白な適応を、ここに考察された実施形態に必要としている。
【0025】
「電気化学的バイオセンサーに関する装置および方法(2003年6月20日に出願された出願番号第60/480,243号)」とタイトル付けられた米国特許仮出願および「検体センサーに関する装置および方法」(2003年6月20日に出願された出願番号第60/480,397号)」の全開示は、ここに、言及してそのまま組み入れられる。
【0026】
本発明によるシステムおよび方法は、流体中の検体の正確な測定を可能にする。特に、エラーを生じる干渉物の存在にもかかわらず、検体の分析が依然として正確である。たとえば、本発明による血液グルコース計量器は、血液グルコースの濃度を、典型的にはサンプルの温度およびヘマトクリットレベルの変化により生じるエラーも無く測定する。血液グルコースの正確な測定は、糖尿病における盲目の防御、循環の損失および血液グルコースの不充分な規制の他の合併症に対してきわめて価値がある。本発明によるシステムおよび方法さらなる利点は、測定が、より迅速に、かつより少ないサンプル体積で実施可能であり、糖尿病患者が、血液グルコースをより簡便に測定できることである。同様に、血液、尿、他の生物学的流体中の他の検体の正確な、かつ迅速な測定は、改良された診断と広い範囲な病状の治療を提供する。
【0027】
電気化学的血液グルコース計量器は、典型的には(必ずしも常にではないが)、試薬の存在下で血液サンプルの電気化学的応答を測定するということ理解される。この試薬は、グルコースと反応して、血液中には存在しない電荷キャリヤを生じる。したがって、所与の信号の存在下での電気化学的応答は、主として、血液グルコースの濃度に依存している。しかし、副次的に、所与の信号に対する血液の電気化学的応答は、ヘマトクリットおよび温度を含めた他の因子に依存している。たとえば、米国特許第5,243,516号、米国特許第5,288,636号、米国特許第5,352,351号、米国特許第5,385,846号および米国特許第5,508,171号を参照することまた、それらは、血液グルコースの測定に対するヘマトクリットの交絡効果を考察し、参照することにより、全体がここに組み入れられる。さらに、ある他の化学物質は、たとえば、尿酸、ビリルビンおよび酸素を含めた血液サンプルを経由して、電荷キャリヤの移送に影響を与え、これにより、グルコースの測定においてエラーを生じることになる。
【0028】
本発明による血液グルコースを測定するための好ましい実施形態のシステムおよび方法は、血液サンプルのインピーダンス(それから、アドミタンスおよび位相角が、由来している)に対して、種々の因子の寄与の信号依存性を使用することにより、一般に動作する。血液サンプルのインピーダンスに対する種々の因子の寄与は、印加される信号の関数であるから、交絡因子の影響(すなわち、測定しようとする因子以外のもの)は、多重信号に対する血液サンプルのインピーダンスを測定することにより実質的に減少させることが出来る。特に、交絡因子の影響(主として、温度およびヘマトクリット、しかしながら酸素のような化学干渉物も含む)は、主として、サンプルの抵抗に寄与するが、一方、グルコース依存性の反応は、主として、キャパシタンスに対して寄与する。このようにして、交絡因子の影響は、単独あるいはDC励起と組み合わせて、AC励起に対して、血液サンプルのインピーダンスを測定することにより除去できる。そこで、AC信号のインピーダンス(あるいはインピーダンス由来のアドミタンスおよび位相情報)は、干渉物の影響に対するDC信号あるいはAC由来のキャパシタンンスを補正するために使用される。
【0029】
充分に高いAC周波数における測定は、サンプルのインピーダンスの容量性の成分に相対的に鈍感であり、一方、低周波数(DCを含む)測定は、サンプルインピーダンスの抵抗性成分および容量性成分の両者に対して、敏感さが増加する(周波数が減少するにつれて)ということは、理解されるであろう。インピーダンスの抵抗性成分および容量性成分は、多数の周波数におけるインピーダンスを測定することにより、より良く単離出来る。しかし、計器類のコストおよび複雑さは測定数が増加し、かつ発生される必要のある周波数が増加するにしたがって増加する。このようにして、現在好ましい実施形態においては、インピーダンスは、10以上の周波数において測定されても良いが、好ましくは、2から10の周波数のあいだで、またさらに好ましくは、2から5の周波数のあいだであることが最も好ましい。
【0030】
ここで使用されるように、「AC成分を有する信号」という語句は、幾分かの交流電位(電圧)部分を持っている信号を言う。たとえば、信号は、100%の交流電位(電圧)を持っておりDC部分の無い「AC信号」であっても良く、前記信号は、時間的に分離されたAC部分およびDC部分を持っていても良く、あるいは前記信号は、DCオフセットを持ったACであっても良い(ACおよびDC信号は、重ねあわされる)。
【0031】
一連のACおよびDC信号を用いたサンプル測定
図1は、本発明によるシステムおよび方法において使用に適した好ましい実施形態の励起を示しており、一般的に100で示され、その中で、DC励起およびAC励起の4周波数が使用されている。図1は、励起が、適当な試薬と混合された全血液のサンプルに印加される際の、励起に対する典型的な応答をも図示しており、応答は一般的に102示される。相対的に高い周波数の信号が、時刻101で開始して印加される。好ましい実施形態においては、周波数は、約10kHzから約20kHzのあいだであり、また約12.4mVと約56.6mVとのあいだの振幅を持っている。20kHzの周波数は、図1の例で使用されている。当業者らは、これらの値が、セル形状および特定のセル化学などの種々のパラメータに対して最適化されることを理解するであろう。
【0032】
時刻110において、テストストリップは、計量器中に挿入され、グルコース計量器中へのテストストリップの挿入に対するいくつかの可能な応答が示される。テストストリップは、励起信号100が、開始する前に(すなわち、時間101の前に)挿入しても良いが、テストストリップ自身が、ストリップとしての適合性に対するコントロールとしてテストされることが有利であるということは、高く評価されるであろう。したがって、励起信号100は、テストストリップを挿入する前に開始されることが望ましい。たとえば、112において示しているように、前記ストリップが、テストストリップが事前投与されるか、あるいは環境の水分のために湿潤している場合は、相対的に大きな電流漏洩が生じ得る。もしテストストリップに事前投与し、かつ大いにあるいは完全に乾燥した場合には、114に示しているように、中間電流漏洩が生じ得る。理想的には、テストストリップの挿入は、116に示すように、テスト電極間の電荷キャリヤの予期された欠如のために、漏洩電流を生じないかあるいは無視できる漏洩電流を生じる。所定の閾値レベル以上の測定電流漏洩は、表示されるエラーメッセージを生じ、またテストの継続を防ぐことが好ましい。
【0033】
適当なテストストリップがひとたび挿入されると、時刻120に示されるように、使用者はテストストリップに投与する。血液サンプルが、電極をカバーすると、グルコースが試薬と反応し、接触面積が最大にまで増加するにしたがい、電流応答が急速に増加する。応答電流は、安定な状態に到達し、これはこの周波数におけるサンプルのインピーダンスを示している。この測定が行われ、テストメーターがこれを記録すると、好ましい実施形態においては、励起周波数は、時刻130に示されているように、約10kHzにまで減少させられる。第3測定を行い、これをテストメーターが記録する。第4測定は、好ましい実施形態においては、時刻150に示すように、約1kHzで行われる。好ましい実施形態においては、測定は、規則的な間隔(たとえば、1サイクルにつき10点)で行われる。安定な状態応答は、電流あるいは電圧(好ましくは、大きさと位相の両方で)として測定され、かつインピーダンスおよび/あるいはアドミタンスが、そこから計算できるということが理解されるであろう。本明細書および請求項は、インピーダンス、あるいはアドミタンス(大きさおよび/あるいは位相)抵抗、伝導度、電流あるいは電荷としてAC応答を、また電流、電荷抵抗あるいは伝導度としてDC応答を選択的に言及しているが、当業者であれば、これらの測定は交換可能であり、どの尺度を使用しているかということを説明するために、測定と補正数学を調整することのみが必要になることを認識する。好ましい実施形態においては、テストメーターは、1つの電極に電圧を印加し、かつ他の電極における電流応答を測定することで、AC応答およびDC応答を得る。
【0034】
ある代替の実施形態においては、測定は、より少ない周波数あるいはより多い周波数にて行われる。測定は少なくとも2つの周波数で、少なくとも1次数離れて行われるのが好ましい。2つ以上のAC周波数を使用するときには、最大周波数および最小周波数が、少なくとも1次数離れていることが好ましい。
【0035】
たとえば、正弦波形、台形、三角形、四角形およびろ過された四角形を含む種々の波形が、AC信号に使用されるということが理解されるであろう。現在の好ましい実施形態においては、AC信号は、正弦波形に近似するろ過された四角形の波形をしている。この波形は、四角形波発生器および1つ以上のフィルターを使用して、真の正弦波形以上に経済的に発生できる。
【0036】
全ての4つのAC測定が行われると、160に示されるように、信号は、短時間にゼロ振幅まで減少されることが好ましい。そこで、170に示されるように、DC励起が始まる。DC励起の振幅は、生じる応答あるいは応答堅牢性を最大にするために、使用される試薬に基づいて選択されるのが、有利である。たとえば、フェリシアナイドが、2電流測定システム中に使用されるとすると、DC振幅は、約300mVになるのが好ましい。たとえば、他の例では、ニトロソアニリン誘導体が、2電流測定システム中に使用されるとすると、DC振幅は約500から550mVになるのが好ましい。代わりの例においては、第3参照電極が使用されると、DC振幅は、フェリシアナイドに対しては600mV(銀/塩化銀参照電極に対して)およびニトロソアニリン誘導体に対して40から100mV(銀/塩化銀参照電極に対して)であることが、好ましい。DC励起のあいだ、測定は100ポイント/秒の速度で行われるのが、好ましい。反応が、作用電極の次の未反応グルコースの拡散により制限されるので、電流応答は、減衰曲線にしたがう(コットレル曲線として知られている)。得られる安定状態振幅(測定されあるいは推定された)は、技術に公知であるように、サンプルのグルコース推定を決定するために使用される。そこで、血液中のグルコース濃度により近接して対応する補正された推定は、以下により詳細に説明されているように、干渉物の影響を補正するためのAC信号に対するサンプルのインピーダンスを使用することにより決定される。
【0037】
本発明による方法は、他の検体の濃度および他の流体中の濃度を測定するためにも使用されるということが理解されるであろう。たとえば、本発明による方法は、尿、唾液、脊髄液などの中の医療的に有意な検体の濃度を測定するために使用してもよい。同様に、試薬の適当な選択により、本発明による方法は、たとえば、乳酸、ヒドロキシ酪酸などの濃度を測定するために適用される。
【0038】
同時に印加されたAC信号およびDC信号を用いたサンプル測定
少なくとも、印加されたDCおよびAC成分のいくつかは、同時に印加できることが理解されよう。図2は、本発明によるシステムおよび方法において使用するために適した励起信号を図示しており、そこでは、ACおよびDC成分のいくつかは、同時に印加され、一般的に200で示され、図1中に対応して番号を付される対応するイベントを持っている(たとえば、信号200は、時刻201に開始されまた、ストリップは、時刻210において挿入されるなど)。信号100の場合のように、信号200は、約10から20kHzの周波数を持ち、かつ約12.4から56.6mVの振幅を持っている。しかし、前記ストリップが、投与された後には、時刻220に示されるように、DCオフセットが、270において示されるように、重ねあわされる。典型的なACおよびDC応答が図2に示されている。ACおよびDC応答は同時に測定され、かつ数学的に解析され、またインピーダンス(アドミタンスの大きさおよび位相)および電流的あるいは電量的応答を決定するために使用される。
【0039】
本発明による血液グルコースの測定用システムは、ロッシュ・ダイアグノスティクス社から市販されているものなど、およびここにそのまま丸ごと組み入れている米国特許第6,270,637号および米国特許第5,989,917号中に記載されているようなものなど、先行技術システム中に使用されているものと一般的に類似する血液グルコース計量器およびテストストリップを用いることが有利である。これらのテストストリップは、血液サンプルをテスト用に受け取るサンプルセルと励起信号が提供され測定が行われるサンプルセル内に配置された電極を持つ装置を提供する。当業者達は、これらのテストストリップおよび計量器は、血液中のグルコースの測定のために有利に使用されるが、本発明を実施するに当たり、他の装置が他の検体あるいは他の流体測定用により適していることが理解されよう。
【0040】
適当なグルコース計量器は、以上で述べてきたものなどのように、AC成分およびDC成分有する信号を発生し、測定する電気回路の添加により、公知の計量器から適用され、以下により詳細に記述するように、AC測定を用いてDC測定を補正するようにプログラムすることにより適用される。テストストリップの特定の形状およびテストストリップの化学性は、グルコースの濃度、ヘマトクリットおよび温度とサンプルのインピーダンスの関係における種々の変化を生じさせうることが理解されよう。このようにして、テストストリップの形状と化学性の所与の組み合わせが較正されねばならないし、かつ計量器が、対応するアルゴリズムを用いてプログラムされねばならない。たとえば、本発明は、可能な置換の例を挙げると、1)ACのみ、2)ACの後にDC,3)AC後DC後AC、4)DC後AC、および5)DCオフセットを用いたACの印加を包含している。
【0041】
DC測定に対する干渉物の効果に対する補正のための複合ACインピーダンス測定データの使用は、次の1連の例により有利に説明される。これらの例は、本発明の原理が、テスト標本中の検体濃度を測定する時に、如何に精度の向上およびテスト速度の向上に役立つかということを示している。次の例は、血液グルコース測定に際してのヘマトクリットおよび温度の干渉効果を補正することに関係しているが、当業者は、本発明の教示は、血液グルコース測定中および他の検体測定での他の干渉物の影響に対する補正に等しく有用であることを認めるであろう。さらに、本明細書および請求項は、「ヘマトクリット値の定量」および「温度の決定」などの工程に言及している。例としてのヘマトクリット値の使用に対して、そのようなステートメントは、実際のヘマトクリット値の決定を含むだけでなく、いくつかの名目上の点に対するヘマトクリット補正因子を包含していることを意図している。換言すれば、本プロセスは、サンプルのヘマトクリット値に等しい数には、実際には決して到達しないが、その代わりに、サンプルヘマトクリット値が、ある量だけ名目上の値から異なっているものを測定する。両者の概念は、「ヘマトクリット値を決定する」などというステートメントによりカバーされることを意図している。
【0042】
実施例1:DCのみ測定投与応答研究
実施例1で行われた測定は、図3Aおよび3B中に図示され、かつ300で一般的に示されているテストストリップを用いて行った。テストストリップ300は、ここで参照することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。このテストストリップ300は、ロッシュ・ディアグノスティクス コーポレーション(インディアナ州、インディアナポリス市)からComfort Curve(登録商標)として市販されているものである。使用されたフェリシアナイド試薬は、表IおよびII中に記載された組成を持っていた。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
測定においては、血液サンプルは、テストストリップ300に適用されまた図4に示されている励起電位は、電極に印加された。励起は、サンプル適用後0秒から約4.5秒のあいだに印加された2kHz、40mVrms(56.56mVピーク)のAC信号を含み、続いて、その後印加された300mVのDC信号を含む。しかし、この例の計算に対しては、DC測定データのみを分析した。
【0046】
最小限必要なDC励起時間を決定するために、「投与応答」研究を行った。その中では、グリコール化された(グルコースを使い尽くした)血液を、別々の分割単位に分割し、また血液サンプル中に異なった5つの既知のレベルのグルコースを得るために、制御されたレベルのグルコースを添加した。2つのパラメータを変化させたとき、得られるDC電流プロファイルを調べた。第1パラメータは、培養時間あるいはテストストリップ300に対して適用された血液サンプルの検出とテストストリップ300へのDC電位の印加とのあいだの時間であった。変化される第2パラメータは、読み取り時間であって、あるいは、DC電位の印加後と得られる電流の測定のあいだの時間であった。テストストリップに対して適用された血液サンプルの検出と濃度決定計算に使用される最後の測定間の時間の長さが、全テスト時間である。したがって、本研究においては、培養時間と読み取り時間との和が、全テスト時間である。この研究の結果は、図5および図6に示している。
【0047】
図5では、DC応答は、培養時間なしで測定された(読み取り時間=全テスト時間)。図5は、相関係数r2対読み取り時間をプロットしている。見られるごとく、相関係数は、1.0秒以内に0.95秒を越えている。図6には、DC応答が、培養時間を変化させて測定した。培養時間が、与えられると(培養時間が、2秒程度の短時間であったとしても)、このr2値は、DC電位の印加後、0.5秒またはそれ以内に0.99超にまで上昇した。
【0048】
しかし、消費者グルコーステスト装置におけるこのような迅速テスト時間の実行に対する障壁は、サンプル中の血液セルの存在から、干渉レベルの血液サンプルまでの血液サンプルの変化である。ヘマトクリット(細胞対血漿からなる血液サンプルの体積%)は、個人個人で変化する。このような測定上でのヘマトクリットの干渉影響はかなり複雑である。しかし、実施例1のテストにおいて、全てのサンプルは、同一レベルのヘマトクリットを含んでいた。異なるグルコースレベルにおける可変のヘマトクリット影響を持たない場合、ヘマトクリット項は、相関数字中で相殺される。
【0049】
実施例2:毛細管血液サンプルの組み合わされたACおよびDC測定
実施例2で行われた測定も、図3Aおよび3B中に図示され、300で一般的に示されているテストストリップを用いて行った。上述したように、テストストリップ300は、ここで参照することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。
【0050】
測定においては、種々の指先ドナーからの毛細管血液サンプルが、テストストリップ300に適用されまた図4中に示された励起電位が、電極に印加された。励起は、サンプル適用後0秒から4.5秒のあいだに印加された2kHz、40mVrmsのAC信号を含み、続いて、その後300mVのDC信号が印加された。
【0051】
この実施例2においては、サンプルのAC応答は、アドミタンス(インピーダンスの逆数)として導き出された。アドミタンス応答は、温度依存性の様式でサンプルのヘマトクリットレベルに比例している。アドミタンス、ヘマトクリットおよびテスト温度とのあいだの関係は、図7中に図示されている。図7中に図示されているアドミタンスのために使用されるデータが、図4中に示された励起のAC部分のあいだに各サンプルに対して行われた最後のアドミタンス測定である。
【0052】
このデータの回帰分析により、次の式によるアドミタンス、ヘマトクリットおよび温度の関係が得られる。
【0053】
【数1】
【0054】
血液ヘマトクリットを予測するためにこの関係を使用することは、計量器中の温度センサーおよび測定されたアドミタンスにより報告されるテスト温度データを用いて達成される。式1中、c0、c1およびc2は、定数であり、かつdTは、「名目」(たとえば、24℃)として定義される中央から温度での偏差であり、またHestは、同様に「名目」値からのヘマトクリットでの予測された偏差である。本目的に対して、ヘマトクリットの実際の値は、必要ではなく、また名目ヘマトクリットに比例するが、その周りに集まる応答を生じることが、一般的に好ましい。このようにして、70%ヘマトクリットに対しては、42%の名目値からの偏差は28%であり、一方逆に、20%ヘマトクリットに対して、同じ名目値からの偏差は、−22%であろう。
【0055】
式1を使用して、ヘマトクリットレベルを推定するためにACアドミタンス測定を使用することにより、DCグルコースの正確さは、DC応答においてのヘマトクリット干渉に対しての次のように補正するために、推定ヘマトクリット、温度およびDC応答を組み合わせることにより大いに向上できる。
【0056】
【数2】
式中、DCは、印加されたDC信号に対する測定されたグルコース電流応答であり、またPREDは、ヘマトクリットおよび温度の影響に対して補正される補償された(予測される)グルコース応答である。式2中の定数(a0、hct1、hct2、tau1、tau2、a1、hct3、hct4、tau3、およびtau4)は、技術で公知のように、回帰分析を用いることにより決定することが出来る。
【0057】
図8は、温度が変化する際の(AC測定データを無視して)、全ての毛細管血液サンプルの未補正の5.5秒DCグルコース応答を示している。理解されるように、温度およびヘマトクリットが、変化するにしたがって、DC電流応答における幅広い変化がある。図9は、サンプルの実際の血液グルコースレベル対式2を用いた予測された応答のあいだの相関関係を示している。理解出来るように、DC応答が、AC応答を用いてヘマトクリットレベルを補償するとき、0.9404から0.9605のr2値は、5.5秒の全テスト時間を用いて達成される。
【0058】
実施例3:血液グルコースレベルおよびヘマトクリットを推定するためのAC位相角の使用
実施例3で行われた測定も、図3Aおよび3B中に図示され、300において一般的に示されているテストストリップを用いて行った。上述したように、テストストリップ300は、ここで言及することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。毛細管血液サンプルからのヘマトクリットレベルが、典型的には、30%から50%の間でのみ変化するため、20%から70%からのヘマトクリット範囲を持つスパイクされた静脈血液サンプルが、本実施例3のために使用された。5つのレベルのグルコース、温度(14,21,27,36および42℃)およびヘマトクリット(20,30,45,60および70%)は、独立して変化し、125のサンプルについて、共分散性研究が実現した。
【0059】
測定においては、血液サンプルが、テストストリップ300に対して適応されまた図10中に示された励起電位が、電極に対して印加された。励起は、ほぼ4.1秒のあいだの2kHzのAC信号、ほぼ0.1秒のあいだの1kHzのAC信号、およびほぼ0.1秒のあいだの200Hz信号を含む。3つの全AC信号は、56.56mVピークの振幅を持っていた。本実施例中では、DC励起は使用しなかった。全テスト時間は、サンプル適用時刻から4.3秒であった。
【0060】
AC応答の他の成分である位相角(特に、本実施例3中で、200Hzなどの低い周波数)は、このテストストリップおよび試薬の場合でのサンプルグルコースレベルの関数である。この関係は、図11に示されており、そこでは、3つのテスト周波数の各々に対するAC位相角は、参照グルコースレベルに対してプロットされる。3つの周波数の各々に対する回帰分析は、2kHzで0.9114、1kHzで0.9354、および200Hzで0.9635のAC位相角対参照グルコースレベルでのr2相関値を生じる。したがって、本発明は、グルコースレベルを測定するために、AC位相角の使用を包含している。測定された位相角を生じるAC励起周波数は、2kHzあるいはそれ以下、より好ましくは、1kHzあるいはそれ以下、また最も好ましくは、200Hzあるいはそれ以下であるが、DC励起を含んでいない。
【0061】
200Hz位相角応答と血液グルコースレベルのあいだの直線的関係は、次の通りである。
【0062】
【数3】
式中Peffは有効位相であり、これはグルコースに比例し、語彙Γおよびγは定数であり、またΦは測定されたAC位相角である。
【0063】
上の実施例1において使用される温度およびヘマトクリットを補償するための同一アプローチ(式1および式2を参照)を使用することにより、次のような予測アルゴリズムが、生成される。
【0064】
【数4】
【0065】
125の血液サンプル(各々は8つのテストストリップで試験された)に対して得られた補正された(予測された)応答PRED対グルコースは、図12中に示している。全温度および全ヘマトクリットを組み合わせたPRED応答対既知のグルコースレベルのr2相関は、0.9870である。この実施例3は、血液グルコース測定の精度を減少させる干渉物を補償するためのAC測定の値を再び示している。従来の市販されているセンサーを使用すると、本発明は、4.3秒全テスト時間で、0.9870の全r2値を生じている。
【0066】
AC位相角測定は、温度変化の影響に対してほとんど影響しないヘマトクリットレベル測定を生み出すことが出来るということも示された。他の125のサンプルの他の共変研究(5つのグルコース濃度、5つのヘマトクリット濃度および5つの温度)において、各サンプルは、20kHz,10kHz,2kHz,1kHzおよびDCの励起プロファイルを用いてテストされた。種々の周波数におけるAC位相角は、線形回帰を用いて4つのAC周波数各々における次の式の係数を決定するグルコース、ヘマトクリットおよび温度に関係している。
【0067】
【数5】
式中Gluは、既知のグルコース濃度、HCTは、既知のヘマトクリット濃度、またTempは、既知の温度である。
【0068】
決定された係数は、温度係数(c3)は、20kHzおよび10kHzで本質的にゼロであり、これらの周波数では、式から温度を削除する。さらに、グルコース係数(c1)は、以上で説明したように、高周波ACインピーダンス測定が、グルコースレベルによって、大きく影響されずまたそのために、干渉物質のレベルを測定するために有用であるから、AC周波数の全てにおいて本質的にゼロである。したがって、ヘマトクリットレベルは、AC位相角測定のみを用いて、温度およびグルコースレベルから独立して決定可能であるが、分かった。好ましい実施形態において、ヘマトクリットは、全ての4つの測定された周波数からの位相角データを使用して、測定しても良い。
【0069】
【数6】
【0070】
当業者たちは、この係数は、特定のテストストリップ構造および試薬の化学性のいずれに対しても経験的に決定することが出来るということを認識する。したがって、本発明は好ましくは少なくとも1つのAC周波数において行われる、より好ましくは少なくとも2つのAC周波数において行われる、また最も好ましくは少なくとも4つのAC周波数において行われる、AC位相角測定のみを用いて、ヘマトクリットを推定するために使用しても良い。
【0071】
実施例4:ニトロソアニリン試薬を用いた組み合わせACおよびDC測定
実施例4で行われた測定も、図3Aおよび3B中に図示され、300で一般的に示されているテストストリップを用いて行った。上述したように、テストストリップ300は、ここで参照することにより組み入れられた米国特許第5,997,817号中に記載されているように、相対的に厚い膜試薬を含む毛細管充填スペース、および作用電極および対極を含んでいる。しかし、テストストリップは、異なった試薬を使用することにより、米国特許第5997817号中に記載されているテストストリップから改質された。使用されたニトロソアニリン試薬は、表IIIおよびIV中に記載されている組成物を持っている。
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】
実施例4に対するグルコースバイオセンサーの製造方法は、試薬の製造以外は、米国特許番号第5,997,817号中に開示された全ての点において同じである。好ましい実施形態のニトロソアニリン試薬の調製用プロトコルは、次の通りである:
【0075】
工程1:1.54gのリン酸水素2カリウム(無水)を、43.5gの脱イオン水に添加することにより、緩衝液を調製する。燐酸カリウムが、溶解するまで混合する。
【0076】
工程2:1.14gのリン酸2水素カリウムを、工程1からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0077】
工程3:0.59gの琥珀酸2ナトリウム(6水和物)を、工程2からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0078】
工程4:工程3からの溶液のpHが、6.7±0.1であることを確かめる。調整は必要ではない。
【0079】
工程5:工程4からの溶液の5gアリコートを調製し、またこれに対して、113キロ単位(DCIPアッセイによる)のアポ酵素のキノプロテイン・グルコース・デヒドロゲナーゼ(EC#:1.1.99.17)を添加する。これは、おおよそ0.1646gである。このたんぱく質が、溶解するまでゆっくり混合する。
【0080】
工程6:工程5からの溶液に4.2mgのPQQを添加し、かつ2時間以上混合して、機能性酵素を提供するためにPQQとアポ酵素を再連結させる。
【0081】
工程7:工程4からの溶液に媒介物先駆体である0.66gのN,N−ビス(ヒドロキシエチル)−3−メトキシ−4−ニトロソアニリン(塩化水素)(BM31.1144)を添加する。溶解するまで混合する(この溶液は、黒緑色をしている)。
【0082】
工程8:工程7からの溶液のpHを測定し、またpHを目標の7.0±0.1になるように調節する。通常は、これは、1.197gの5N水酸化カリウムを用いて達成される。水酸化カリウムの特定量は、望みのpHに達するために必要なように変化するから、1.197gからの質量の逸脱は、一般的には、またこの工程でも添加される3.309gの脱イオン水のアリコートから調合される。
【0083】
工程9:0.047gのナトロゾルを、回転羽根が暴露されないように、かつ溶液が溢れないように充分な深さを持った容器中にほぼ600rpmの速度で混合されている(回転ミキサーと攪拌羽根を使用して)44.57gの脱イオン水上にゆっくり散布することにより、ナトロゾル250M(アクアロン社から入手可能)の溶液を調製する。ナトロゾルが完全に溶解するまで混合する。
【0084】
工程10:0.54gのアヴィセルを、工程9からの溶液の表面上にゆっくりと散布して、先に進む前に60分以上のあいだほぼ600rpmの速度で、混合することにより、アヴィセルRC−591F(FMSから入手可能)の懸濁液を調製する。
【0085】
工程11:工程10からの懸濁液に対して、0.81gの300kDa平均分子量のポリエチレンオキサイドを、攪拌しながら徐々に添加して、先に進む前に60分以上のあいだ混合を続ける。
【0086】
工程12:混合しながら、工程11からの懸濁液に工程8からの溶液を徐々に添加する。混合速度を400rpmに減少させる。
【0087】
工程13:工程12からの試薬に1.89gのトレハロースを添加して、15分以上混合を続ける。
【0088】
工程14:工程13からの試薬に32.7mgのトリトンX−100(ロッシュ ディアグノスティクス コーポレーションから入手可能)を添加して、混合を継続する。
【0089】
工程15:工程14からの試薬に対して、工程6からの酵素溶液を添加すること。30分以上混合すること。この時点で、試薬は完成である。室温において、この湿潤試薬質量は、24時間使用に対して受け入れられると考えられる。
【0090】
スパイクされた静脈血液サンプルを使用した。5レベルのグルコース、4つの温度(19、23、32および38℃)および5レベルのヘマトクリット(20、30,45,60および70%)を、それぞれ独立に変化させ、100のサンプルについて共分散研究を行った。16のテストストリップ300を、グルコース、温度およびヘマトクリットのそれぞれ固有な組み合わせに対してテストした。血液サンプルを、テストストリップ300に適用し、また図13に示されている励起電位を電極に印加した。励起は、3.2kHzのAC信号をほぼ4秒間、2.13kHzのAC信号をほぼ0.1秒間、1.07kHzのAC信号をほぼ0.1秒間、200HzのAC信号をほぼ0.1秒間、25HzのAC信号をほぼ0.1秒間を含み、続いて、550mVのDC信号をほぼ1.0秒間を包含した。4つの全てのAC信号は、56.56mVピークの振幅を持っていた。全テスト時間は、サンプル適用時間から5.5秒であった。
【0091】
実施例4では、サンプルのAC応答は、アドミタンス(インピーダンスの逆数)として導き出された。アドミタンス応答は、温度依存性の様式でサンプルのヘマトクリットレベルに比例している。アドミタンス、ヘマトクリットおよびテスト温度とのあいだの関係は、図14中に図示されている。実施例2のテストストリップ構造と比較して、グルコースに対する温度およびヘマトクリット影響の直交性は、実施例4においてはそれほど強くなく、そのためクロス乗積の項(T×HCT)は、図14中に使用されたアドミタンス回帰式に加えられた。図14中に図示されたアドミタンスに対して使用されるデータは、図13に示された励起の3.2kHzのAC部分のあいだに、各サンプルに対して行われた最後のアドミタンス測定である。
【0092】
このデータの回帰分析により、次の式のアドミタンス、ヘマトクリットおよび温度の関係が得られる。
【0093】
【数7】
【0094】
3.2kHzで行われたアドミタンス測定は、このテストシステムでヘマトクリットに最も相関している。血液ヘマトクリットを予測するためにこの関係を使用することは、計量器中の温度センサーにより報告されたテスト温度データおよび測定されたアドミタンスを用いて達成される。式7中、c0、c1、c2およびc3は、定数であり、かつdTは、「名目」(たとえば、24℃)として定義される中央から温度の偏差であり、またHestは、同様に「名目」値からのヘマトクリットでの推定された偏差である。本目的に対して、ヘマトクリットの実際の値は必要ではなく、また名目ヘマトクリットに比例するが、その周りに集まる応答を生じることが一般的に好ましい。このようにして、70%ヘマトクリットに対しては、42%の名目値からの偏差は28%であり、一方逆に、20%ヘマトクリットに対して、同じ名目値からの偏差は、−22%である。
【0095】
式7を使用して、ヘマトクリットレベルを推定するためにACアドミタンス測定を使用することにより、DCグルコース応答の正確さは、次のようにDC応答においてのヘマトクリット干渉に対して補正するために、推定ヘマトクリット、温度およびDC応答を組み合わせることにより大いに向上できる(上の式2と同一である):
【0096】
【数8】
式8中の定数は、先行技術で公知なように、回帰分析を用いて決定することが出来る。
【0097】
図15は、ヘマトクリットおよび温度が変化する際の(AC測定データを無視して)、全ての血液サンプルの未補正の5.5秒DCグルコース応答を示している。理解されるように、温度およびヘマトクリットが、変化するにしたがって、DC電流応答における幅広い変化がある。図16は、サンプルの実際の血液グルコースレベル対式8を用いた予測される応答のあいだの相関関係を示している。理解出来るように、DC応答が、AC応答データを用いてヘマトクリットレベルに対して補償される場合、0.9818の全r2値は、5.5秒の全テスト時間で達成される。このことは、実施例1から3で使用されたものと異なる試薬クラスを用いて、高い精度と迅速なテスト時間を達成における本発明の適用性を示している。
【0098】
実施例5:0.397μlのサンプルを用いた、組み合わせACおよびDC測定
本発明の測定方法が、他のテストストリップ設計の場合にも同様に有用であることが見出された。実施例5は、図17Aおよび17B中に図示され、1700で一般的に示されているテストストリップ設計を用いて行った。図17Aを参照して、テストストリップ1700は、50nmの導電性(金)層(たとえば、スパタリングあるいは蒸着)で被覆された350μm厚みのポリエステル(好ましい実施形態においては、これは、デュポン社から入手可能なメリネックス329である。)の不透明な断片から形成されている底箔層1702を含んでいる。電極および接続トレースは、その後レーザ切除プロセスにより、導電性層にパターン形成され、示されているように、作用電極、対極および用量充足電極(以下にさらに詳細に記載されている)を形成する。このレーザ切除プロセスは、石英上クロムマスクを経由して通過するエキシマレーザ手段により行われる。マスクパターンは、レーザフィールドの一部の反射を生じ、一方フィールドの他の部分の通貨を生じ、レーザ光により接触された表面から放出されたパターンを金上に形成する。
【0099】
バイオセンサーのための電極を製作するレーザ切除技術を使用した例は、2001年5月25日に出願された米国特許出願連続番号第09/866,030「連続カバーレイチャンネルを持ったレーザ切除電極を有するバイオセンサー」および1999年10月4日に出願された「パターン化された積層体および電極用のレーザ規定の特性」というタイトルの米国特許出願第09/411,940号中に記載されており、また両者は、参照してここに組み入れられている。
【0100】
その後、底箔層1702は、きわめて薄い試薬膜の形状の試薬層1704を用いて、電極上に延びている領域で被覆されている。この手法は、図17上で「試薬層」と標識された領域中で、底箔層1702にわたり、ほぼ7.2ミリメータ幅のストライプを配置する。本実施例においては、この領域は塗布表面の1平方メートル当り50gの湿潤塗膜重量で被覆されており、乾燥試薬は、20μm未満の厚みになる。試薬ストライプは、名目空気温度が110℃であるインライン乾燥システムを用いて、従来は乾燥されている。処理速度は、名目上は30から38m/分であり、また試薬のレオロジーに依存している。
【0101】
材料は、底箔1702の場合に、電極パターンがリールの長さに直交するように連続リールで加工される。ひとたび底箔1702が、試薬で被覆されると、スペーサが細長く切られ、底箔1702上にオープンリール式で配置される。背面および腹部面の両方の上に、25μmのPSA(疎水性接着剤)で被覆された100μmのポリエステル(好ましい実施形態においては、これは、デュポン社から入手可能なメリネックス329である)で形成された2つのスペーサ1706が、底箔層1702上に用いられ、その結果、スペーサ1706は1.5mm分離され、また作用電極、対極および用量充足電極が、このギャップ中に集められる。(米国特許第5,997,817中に記載のプロセスを用いて)腹部面上に親水性膜で被覆された100μmのポリエステルから形成されるトップ箔層1708が、スペーサ1706上に配置される。好ましい実施形態においては、この親水性膜は、名目厚み10ミクロンで、ヴァイテルおよびロダペックス界面活性剤を用いて被覆されている。トップ箔層1708は、オープンリール式プロセスを用いて積層される。その後、このセンサーは、裁断および切断により、材料の得られたリールから生産できる。
【0102】
したがって、スペーサ1706中の1.5mmのギャップは、底箔層1702とトップ箔層1708のあいだに毛細管充填スペースを形成する。スペーサ1706上の疎水性接着剤は、スペーサ1706の下の試薬中にテストサンプルが流れ込むことを防止し、これによりテスト室体積が定められている。テストストリップ1700は幅が5mmであり、スペーサ1706と導電性層を組み合わせた高さが0.15mmであるから、サンプル受け取り室体積は次の通りである。
【0103】
【数9】
【0104】
図17Bに示すように、サンプル適用ポート1710および用量充足電極からの距離は1.765mmである。作用電極、対極および用量充足電極を充分にカバーするために必要な体積(すなわち、測定のために必要な最小サンプル体積)は、次の通りである。
【0105】
【数10】
【0106】
テストストリップ1700用の試薬組成物は、表Vおよび表VIに与えられている。
【0107】
【表5】
【0108】
【表6】
【0109】
好ましい実施形態のニトロソアニリン試薬の調製用プロトコルは、次の通りである。
【0110】
工程1:1.654gのリン酸水素2カリウム(3水和物)を、31.394gの脱イオン水に添加することにより緩衝液を調製する。燐酸カリウムが溶解するまで混合する。
【0111】
工程2:0.941gのリン酸2水素カリウムを、工程1からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0112】
工程3:0.285gの琥珀酸2ナトリウム(6水和物)を、工程2からの溶液に添加し、かつ溶解するまで混合する。
【0113】
工程4:工程3からの溶液のpHが、6.8±0.1であることを確かめる。調整は必要ではないようにするべきである。
【0114】
工程5:工程4からの溶液の4.68gアリコートを調製し、これに229キロ単位(DCIPアッセイによる)のアポ酵素のキノプロテイン・グルコース・デヒドロゲナーゼ(EC#:1.1.99.17)を添加する。これは、おおよそ0.3321gである。このたんぱく質が、溶解するまでゆっくり混合する。
【0115】
工程6:工程5からの溶液に9.3mgのPQQを添加し、かつ2時間以上混合して、機能性酵素を提供するために、PQQとアポ酵素を再連結させる。
【0116】
工程7:0.772gのトレハロースを1.218gの脱イオン水中に溶解することにより溶液を調整する。
【0117】
工程8:酵素の再連結後、工程6からの溶液に工程7からの溶液を添加し、30分以上のあいだ混合を続ける。
【0118】
工程9:工程4からの溶液に、0.690gの媒介物先駆体BM31.1144を添加する。溶解するまで混合する(この溶液は、黒緑色をしている)。
【0119】
工程10:工程9からの溶液のpHを測定し、またpHを目標の7.0±0.1になるように調節する。通常は、これは1.006gの5N水酸化カリウムを用いて達成される。水酸化カリウムの特定量は、望みのpHに達するために必要なように変化するため、1.006gからの質量の逸脱は、一般的にはこの工程でも添加される3.767gの脱イオン水のアリコートから調合される。
【0120】
工程11:0.350gのナトロゾルを、回転羽根が暴露されないように、かつ溶液が溢れないように充分な深さを持った容器中にほぼ600rpmの初期速度で混合された(回転ミキサーと攪拌羽根を使用して)56.191gの脱イオン水上にゆっくり散布することにより、ナトロゾル250M(アクアロン社(Aqualon)から入手可能)の溶液を調製する。ナトロゾルが溶解するに従い、混合速度を1.2から1.4krpmの速度まで増加する必要がある。ナトロゾルが完全に溶解するまで混合する。得られたマトリックスは、きわめて粘着性がある−このことは、予測されている。
【0121】
工程12:工程11からの溶液に0.350gのナトリウム‐カルボキシメチルセルロース7HF(アクアロン社(Aqualon)から入手可能)を徐々に添加する。ポリマーが、溶解するまで混合する。
【0122】
工程13:工程13からの懸濁液に1.01gの300kDa平均分子量のポリエチレンオキサイドを、攪拌しながら徐々に添加して、先に進む前に60分以上混合を続ける。
【0123】
工程14:混合しながら、工程13からの懸濁液に工程10からの溶液を徐々に添加する。
【0124】
工程15:工程14からの試薬に、34.2mgのトリトンX−100(ロッシュ ディアグノスティクス コーポレーションから入手可能)を添加して、混合を継続する。
【0125】
工程16:工程15からの試薬に対して、工程8からの酵素溶液を添加する。30分以上混合する。この時点で、試薬は完成である。室温において、この湿潤試薬質量は24時間使用に対して受け入れられると考えられる。
【0126】
図18中に示された測定結果は、読み取り時間が、温度とヘマトクリットの3つの組み合わせに対して変化する際の、DC電流応答およびグルコースレベル間の相関係数r2を示している。これらの結果は、強固なDC応答は、1秒ほどの速さのテストに対して予期されるべきであることを、示している。しかし、温度およびヘマトクリットの干渉する効果によるセンサー精度(相関)の望ましくない変化があり、これが本発明の組み合わされたACおよびDC測定法が、より密接な相関した結果を生じるべきだと示唆することを、当業者は認めるであろう。
【0127】
図18において得られた有望な結果に基づいて、テストストリップ1700に印加された図19の励起信号を用いて、さらなるテストが設計された。励起は、ほぼ1.8秒間印加された10kHzのAC信号、ほぼ0.2秒間印加された20kHzのAC信号、ほぼ0.2秒間印加された2HzのAC信号、ほぼ0.2秒間印加された1HzのAC信号、およびほぼ0.5秒間印加されたDC信号を含んでいる。AC信号は、12.7mVピークの振幅を持っていたが、DC信号は550mVの振幅を持っていた。全テスト時間は、サンプル適用時間から3.0秒であった。
【0128】
5つのグルコースレベル(40、120、200、400および600)、5つのヘマトクリットレベル(20、30,45,60および70%)および5つの温度(12、18、24、32および44℃)を表すスパイクされた静脈血液サンプルを使用して、共分散研究を設計した結果、125の別の組み合わせを得た。以前の例と同様に、アドミタンス、温度およびヘマトクリットのあいだの関係を試験し、かつプロットして(図20は、温度が変化したときの、20kHzにおけるアドミタンス対ヘマトクリットを示している)、また温度依存の様式で、アドミタンスが、ヘマトクリットに対して直線的関係があることが確認された。しかし、新たなる発見は、AC応答の位相角は温度とは独立した様式で、ヘマトクリットと相関しているということであった。20kHzのAC応答の位相角は、図21中に、ヘマトクリットに対してプロットされている。10kHzで測定された位相角に対する結果は、同様であった。したがって、血液サンプルのヘマトクリットは、次の位相角情報のみを用いて確実に推定される。
【0129】
【数11】
【0130】
本実施例5中で使用されるテストストリップに対して、位相角とヘマトクリットのあいだの相関関係は、より高周波数で良好である。このために、定数c2は、ゼロに近くなり、かつHestは、10kHzおよび20kHzのデータのみを使用して確実に推定することが出来る。しかし、低周波数の使用は、Hest関数のストリップ対ストリップ可変性において、わずかな向上を見せる。したがって、本発明は、少なくとも1つのAC周波数で行われ、より好ましくは、少なくとも2つのAC周波数で行われ、また最も好ましくは、少なくとも4つのAC周波数で行われるAC位相角測定のみを用いて、ヘマトクリットを推定するために使用しても良い。
【0131】
ヘマトクリットは、AC応答データのみを用いて決定可能であり、アドミタンスは、温度とヘマトクリットに対して線形で関係していることが我々は、図20理解できるため、AC応答のみを使用する分析下で、次のようにサンプルの温度を決定することが可能である。
【0132】
【数12】
式中、b0、b1、b2およびb3は、定数である。AC応答データからのヘマトクリットおよび温度の推定は、より多くのあるいはより少ない周波数測定で行っても良く、またこの例に対して選択された周波数とは異なる周波数で測定を行っても良いことが理解されよう。最も強力な結果をもたらす特定の周波数は、テストストリップ形状および寸法により決定される。したがって、本発明は、少なくとも1つのAC周波数で行われ、より好ましくは、少なくとも2つのAC周波数で行われ、また最も好ましくは、少なくとも4つのAC周波数で行われるAC応答測定のみを用いて、テストサンプル温度を推定するように使用しても良い。
【0133】
テスト中のサンプル温度を直接測定すること(AC応答により)は、サンプルの温度を推定するための従来の方法に対して、大いなる向上であることは、当業者は認識するであろう。典型的には、テストストリップが計量器中に挿入される場所に近接するテスト計中に、サーミスタが配置される。サーミスタは、実際のサンプルから離れた温度を測定するため、それはせいぜい真のサンプル温度のおおよその近似となる。さらに、サンプル温度が、変化する場合には(たとえば、蒸発による)、テスト計の熱慣性およびサーミスタ自身そのものが、計量器が搭載しているサーミスタが、テスト中のサンプルの真の温度を正確に反映することを妨げる。対照的に、本発明の温度推定は、テスト中のサンプル内で行われる測定から導き出され(すなわち、テスト中のサンプルが、試薬と反応する反応ゾーン内で)、これにより、測定位置から離れているサンプルによって導入されるいかなるエラーも除去している。さらに、本発明の温度見積もりは、温度推定により補正されるグルコース測定データに非常に近接する時期に集められるデータを使用して行われ、これによりさらに精度が向上する。このことが、先行技術の方法に対して大幅な向上を表している。
【0134】
血液グルコース測定に対する干渉物の影響を補正するための本実施例5の方法の有効性を示すものとして、未補償のDC電流応答対既知のグルコース濃度が、グルコース、温度およびヘマトクリットの全ての125の組み合わせに対して、図22中にプロットされている(このデータをプロットする時には、AC測定は無視される)。当業者により理解されるように、このデータは、ヘマトクリットおよび温度に対して膨大な変化を示している。
【0135】
先に考察したように、DCグルコース応答の正確さは、次のように、DC応答におけるヘマトクリットおよび温度干渉を補正するために、推定されたヘマトクリット、温度およびDC応答を組み合わせることにより大いに改善できる。
【0136】
【数13】
【0137】
式13中の定数は、先行技術で公知なように、回帰分析を用いて決定することが出来る。したがって、本発明は、AC位相角応答を用いることにより、ヘマトクリットの推定を可能にしている(式11)。推定されたヘマトクリットおよび測定されたACアドミタンスは、推定された温度を決定するために使用できる(式12)。最後に、推定されたヘマトクリットおよび推定された温度は、予測されたグルコース濃度を得るために、測定されたDC応答を用いて使用できる(式13)。
【0138】
上記の方法論を、図22中にプロットされたテストデータに対して適用して、図23中に示された予測グルコース対DC電流応答を得る。このデータは、20%から70%の範囲のヘマトクリットレベルおよび12℃から44℃の範囲の温度を持っている125の共変サンプルを表している。これらの干渉物レベルにおける幅広い変化であっても、本発明の測定された方法は、3.0秒の全テスト時間を用いて、0.9874の全r2相関係数を生み出している。
【0139】
実施例6:0.397μlのサンプルを用いた同時ACおよびDC測定
実施例5に対して上述した同一のテストストリップ1700および試薬を用いて、図24中に示された励起プロファイルを、全テスト時間を減少させるために利用した。図5に対して記述されたように、20kHzおよび10kHzにおける位相角は、ヘマトクリット推定値と最も密接に相関していることが決定された。したがって、全テスト時間を減少させるために、実施例6中のこれらの2つの周波数に対して、AC部分の励起を限定することが決められた。全テスト時間をさらに減少させるために、10kHzAC励起をDC信号(すなわち、DCオフセットを持ったAC信号)に同時に印加され、またこの理論は、この組み合わされたモードが、DC電流、AC位相およびACアドミタンスに対する同時結果の収集を可能にし、最速の可能な結果を提供する。したがって、20kHz信号は、0.9秒に対して印加された。その後、10kHzおよびDC信号が、0.1秒間隔後1.0秒間同時に印加された。
【0140】
本実施例6に対しては、7つのグルコースレベルおよび7つのヘマトクリットレベルを表す49のスパイクされた粘凋な血液サンプルをテストした。その後、DC電流および血液ヘマトクリットのあいだの相関係数r2を、サンプル適用後、3つのDC測定時間:1.1秒、1.5秒および1.9秒で試験した。これらの相関は、図25中のヘマトクリットに対してプロットされた。相関は、一般的には1.1秒では最も悪く、また一般的には1.5秒では最も良いが、これらの全ての結果は、比較可能であった。しかし、最小の相関係数は、0.99を越えている。
【0141】
図26は、ヘマトクリットレベルに対して、プロットされた20kHzにおける位相角を示している。この2組のデータ間の相関は非常に良好であり、したがって、10kHzデータはヘマトクリットを推定するためには、不必要であることが決められた。したがって、ヘマトクリットは、次のように20kHz位相角データからのみ推定可能である。
【0142】
【数14】
【0143】
図27は、読み取り時間が、1.1秒、1.5秒および1.9秒のあいだで変化するときの、全ての測定されたヘマトクリットレベルに対するDC電流応答対グルコースレベルを示している。1.1秒におけるDC電流は、1.5秒におけるDC電流よりも大きく、さらにそれは、1.9秒におけるDC電流より大きいことは、驚くべきことではない。ヘマトクリットレベルは、特に高いグルコース濃度において、DC電流に対して大きな影響を持っていることを、当業者は、認識している。
【0144】
以上で考察したように、DCグルコース応答の精度は、次のように、ヘマトクリットにより生じる干渉を補償することにより大いに向上できる。
【0145】
【数15】
【0146】
温度変化は、実施例6の実験中には含まれていないため、式15は、温度補償項を含んでいないことに注意をする。Hest項と組み合わせて、10kHzおよび20kHzアドミタンスを用いて、テスト項が含まれることということは、前例から合理的に推論することが出来る。ヘマトクリットは、20kHz位相角測定データのみを用いて確実に推定することが出来るため、ヘマトクリット補正済みの予測されたグルコース応答は、この位相角情報および測定されたDC応答のみを用いて決定することが出来る。1.1秒(1.1秒の全テスト時間を表している)でのDCリードに対してのみの補償されたDC応答対グルコースレベルは、図28中に図示されている。このデータは、1.1秒の全テスト時間の場合の全r2相関が、0.9947であることを示している。
【0147】
1.5秒のDCリードに対する同一のデータは、図29中に図示されており、1.5秒の全テスト時間に対して、全r2相関が、0.9932であることを示している。1.9秒のDCリードに対する同一のデータは、図30中に図示されており、1.9秒の全テスト時間に対して、全r2相関が、0.9922であることを示している。驚くべきことに、r2相関が、テスト時間が長くなるとともに、実際には、わずかに減少していた。これにもかかわらず、3つの補正されたデータ組の全てに対する相関係数−そこでは、20%から60までの範囲の全ての7つのヘマトクリットが組み合わされる−が、0.99を越え、これは、向上した精度と合わせて1.1秒という速さで血液グルコーステストをもたらす本発明の適用性を示すものであり、ここでは、センサーはグルコース測定テストを行うために、0.4マイクロリッター未満の血液を必要としている。
【0148】
実施例7:不正使用センサーを検出するためのAC位相角の使用
検体測定プロセスに対する品質制御の追加の方策を提供するために、特に、このテストシステムが、素人の最終使用者により使用されることになるときには、ミス投与された(2回投与されるなど)センサー(テストストリップ)、以前使用されたセンサー、あるいは劣化した酵素を持っていたセンサー(あまりにも多湿の環境に貯蔵されたり、あまりにも古かったりなど)を検出することが、望ましい。これらの状態は、集約的には「不正使用センサー」として見なされる。不正使用センサーがテスト計中に挿入される場合には、検体測定プロセスを中断する(あるいは、テスト結果が正確ではないということを、少なくとも使用者に警告する)テストを考案することが望ましい。
【0149】
血液グルコース分析を行うときには、血液サンプルが連続して試薬化学性と反応するため、テスト計は典型的には数回連続して電流測定を行う。従来技術で公知なように、この応答電流はコットレル電流として知られており、また反応の進行にしたがって減衰パターンが続く。コットレルフェイルセーフ比(CFR)を次のように定義付ける。
信頼システム中のバイオセンサーのコットレル応答は、次の式により与えられる。
【0150】
【数16】
式中
n=グルコース分子当り解除された電子
F=ファラデー定数
A=作用電極表面領域
t=励起印加からの経過時間
D=拡散係数
C=グルコース濃度
α=共同因子依存性定数
【0151】
この式の全てのパラメータは、グルコース濃度および時間以外は、通常はセンサーに対して一定となる。したがって、正規化したコットレルフェイルセーフ比(NCFR)を、次のように定義する。
【0152】
【数17】
【0153】
この式中の時間項は、既知でありまたセンサー測定に対して一定であるから、この比は、同一のサンプル時間および間隔を持ったコットレル曲線に対して常に一定となる。したがって、最後のセンサー電流により分けられるセンサー電流の合計は、グルコース濃度に依存しない定数を生み出す。この関係は、好ましい実施形態においては、潜在的に欠陥のあるバイオセンサー応答を検出するために使用される。
【0154】
センサー測定のあいだに得られた電流の全てを合計することにより、センサーのコットレル応答に対するチェックを行う電流合計フェイルセーフを考案できる。最後の電流が得られるとき、これは2つの定数により乗算される(製造時に計量器中に読み込まれる、あるいはさらに好ましくは、別のコードキーにより、あるいはセンサー自身にコード付けされた情報などにより、各ロットのセンサーを計量器に供給される)。これらの定数は、許容されるNCFR値に対する上限および下限を表している。
【0155】
最終電流を乗算される定数の2つの積は、バイオセンサー電流の合計と比較される。電流の合計は、この2つの積のあいだに収まるべきであり、これにより上記の比が、許容値の範囲に満たされたことを示している。
【0156】
したがって、好ましい実施形態は、単一DCブロックがあるときには、次のチェックを行う。
【0157】
【数18】
式中
Cu=コードキーからの上限定数
Cl=コードキーからの下限定数
Im=最終バイオセンサー電流
いくつかの実施形態は、測定シーケンス中に2つのDCブロックを含み得るため、改良されたコットレルフェイルセーフ比(MCFR)は、次のように公式化できる。
【0158】
【数19】
式中
w1、w2=計量定数(たとえば、コードキーから)
NCFR1、NCFR2=DCブロック1および2それぞれに対する正規化されたコットレルフェイルセーフ比
【0159】
したがって、好ましい実施形態は、2つのDCブロックがあるときには、次のチェックを行う。
【0160】
【数20】
式中
Cu=コードキーからの上限定数
Cl=コードキーからの下限定数
Im1、Im2=DCブロック1および2中の最終バイオセンサー電流
【0161】
NCFR(およびMCFR)は、ヘマトクリットと相関している。実施例3中に以上で示したように、AC位相角も、ヘマトクリットと相関している。そこで、AC位相角およびNCFRは互いに相関している。この関係は、センサーが正しく使用されているときのみ保たれる。この相関は、不正使用されるセンサーに対しては低下する。
【0162】
したがって、不正使用されるセンサーが使用されているかどうかを、示すフェイルセーフ計算を行うために、測定された位相角データを解析するための式を設計することが可能である。好ましい実施形態においては、寄生抵抗などにより生じるエラーに対してテストをより強力にするために、2つの別の周波数において測定された位相角のあいだの差を使用することが選択される。異なる漸近線に対する2つの母集団を駆動するために逆正接を適用すると、次のフェイルセーフ式を生じる。
【0163】
【数21】
式中
1000=スケールファクター
NCFR=コットレルフェイルセーフ比
fS0=線形回帰切片
fS1=線形回帰勾配
Φ10kHz=10kHzにおける位相角
Φ20kHz=20kHzにおける位相角
【0164】
式21を用いて、ゼロ以下のフェイルセーフ値は不正使用センサーを示し、一方ゼロ以上のフェイルセーフ値は、非不正使用センサーを示すように交点の項fS0を選択することが可能である。当業者は、異なる交点を選択することにより反対の結果が得られることを認識しているであろう。
【0165】
用量充足電極の使用
以上記述したように、正確なサンプル測定は、サンプルによる測定電極の十分なカバーが必要とすることが確認された。先行技術において、サンプル体積の不充分さを検出するために、種々の方法が使用されてきた。たとえば、ロッシュ・ダイアグノスティクス社、インディアナポリス、インディアナ州により販売されているアキュチェック(登録商標)アドバンテージ(登録商標)グルコーステスト計は、非コットレル電流減衰が、単一測定電極対により検出された場合に、サンプル体積の不足の可能性を使用者に警告した。使用者は、特定の時間割り当て以内に、テストストリップの再投与を支持された。
【0166】
不充分なサンプルサイズの可能性は、極少量のサンプル体積を必要とすることにより、痛みを最小にするために設計された血液切開装置と組み合わせて使用される毛細管充填装置の使用により近年高まってきた。サンプルの不充分な量が、毛細管充填スペース中に引き込まれる場合には、測定電極が、充分にカバーされずに測定精度が損なわれる可能性がある。不充分なサンプルに関連する諸問題を克服するために、測定電極から下流に追加の電極を配置したり、あるいは作用電極の下流にサブエレメントおよび上流にメジャーエレメントを配置したり、あるいは測定電極から上流および下流の両方に配置された表示電極(1つは、作用電極および対極にわたるサンプルの進行流れに追随し、あるいは離れた下流にサンプルが到達に追随することが出来る)を置いたりするなど、種々の先行技術解決法が提案されてきた。これらの解決法の各々に関連する問題は、それらが、各々、バイアスを受けたテスト結果を回避し、サンプルの充分な量の存在を評価するために、上流あるいは下流表示電極のいずれかと連通する1つのあるいは他の測定電極を組み入れいるということである。
【0167】
これらの先行技術解決法があるにもかかわらず、装置がサンプルの充足性を誤解する傾向があるという失敗モードが存続し続けている。本発明者たちは、このような誤った結論は、不均一流頭の分岐と組み合わせて、測定電極対(同一平面あるいは反対の形状)の下流部材と投与検出電極との距離に主として関係していると決定した。異常な(不均一な)流頭を持つ毛細管充填スペースを横切るサンプルは、測定電極と表示電極のあいだの回路を閉じることがあり、バイアスされた結果を避けるために充分なサンプルが存在することをシステムに誤って通知することがありうる。
【0168】
テストストリップ毛細管充填スペースの組成および/あるいは作製に用いられる多くの因子は、このような不規則の流頭挙動に影響を与える。これらの因子としては、
・毛細管充填スペースを形成する異なった壁の表面エネルギー間の不均衡、
・テストストリップ製造施設内の材料あるいは完成品の汚染、
・毛細管充填スペースの壁を構成する単一要素からの汚染物の非意図的導入(たとえば、放出ライナーが使用される製造工程で一般的な離型剤(典型的にはシリコン)がある)。
【0169】
・積層工程に使用される接着剤(あるいは汚染された接着剤)の疎水性特性
・毛細管充填スペース壁の異質な表面の荒れ、
・寸法アスペクト比、
・毛細管充填スペース内の汚染されたメッシュ材料、および
・毛細管充填スペース内のメッシュ材料上への界面活性剤の不均一な適用が、挙げられる。
【0170】
本発明者たちにより決定された先行技術の充足方法に関する他の問題は、上流あるいは下流の投与検出電極に電気的に接続されている1つあるいは他の使用可能な測定電極の使用に関係するこのような配列において、測定ゾーンの化学量論(測定電極上あるいはあいだの領域)は、測定ゾーンに存在している関心検体を測定する前に、投与検出/用量充足テストサイクル間で混乱させられる。サンプルマトリクスが仕上げにおいて急進的に変化するため、これらのサンプルの充填特性も変化し、サンプルタイプ間のタイミング差を生じる。そのような不安定なタイミング・ルーチンが、不正確さと拡大された全システムエラー数的指標のさらなる原因として作用する。
【0171】
このような1つ以上の障害を解決するための試みは、典型的には、1)さらに複雑な製造プロセス(各々がさらなる汚染の傾向を引き起こす追加のプロセス工程)、2)追加の原料品質制御手段、3)親水性および疎水性樹脂の混合物を有し、製造コストにマイナス影響を与える積層複合材などのより高価な原料、および4)メッシュおよび/あるいは毛細管壁の労働集約的な界面活性剤被覆につながる。
【0172】
実施例8:毛細管充填スペース中の流体の流頭挙動の決定
毛細管充填スペースを用いるテストストリップ中の用量充足を適切に表示する電極システムを設計するために、毛細管充填スペースを経由してサンプルが、進行するにしたがって、サンプルのリード端における流頭形状を試験する実験が行われた。両面接着テープで結合された2枚の透明なポリカーボネートシートからなるテスト備品が、使用され、そこでは、毛細管充填スペースは、両面接着テープ中の経路を切断することにより形成された。ポリカーボネートの上シートおよび下シートの使用により、サンプルの流頭が毛細管充填スペースを経由して流れるためビデオテープに録画できる。
【0173】
特に、1mm厚さのレーザカットされたレキサン(登録商標)ポリカーボネートシート(キャデラック・プラスチック社、ウエッスル、スインドンSN5 7EX、イギリスから得られる)を用いて、テスト装置が積層される。トップおよび底のポリカーボネートシートは、両面接着テープ(ミネソタ州、セントポールのスリーエム コーポレーション(3M Corporetion))から得られる#200MP高性能アクリル接着剤)を用いて結合された。毛細管経路は、両面接着テープ中に必要な幅開口をレーザカットすることにより定められる。0.05μm、0.125μmおよび0,225μmのテープ厚みが、必要な経路高さを与えるために使用される。テスト装置の毛細管スペースの寸法は図31中に表にしてある。
【0174】
トップおよび底のポリカーボネートシート部分は、再現可能な作製を確かなものとするために特注の冶具を用いて、レーザカット接着テープを用いて積層された。各測定装置に対しては、毛細管経路への入り口を定める流体受器領域が、上ポリカーボネートシートおよび接着剤テープ要素中にプレカットされた開口により形成された。3つの経路高さの各々に対しては、0.5mm、1.00mm、1.5mm、2.00mm、3.00mmおよび4.00mmの経路幅が作製された。全ての装置に対する毛細管経路長さは、50mmであった。18の装置タイプの各々の28個が構成された。組み立てられた装置は、ドイツのドートマンドのワイドマン・プラスチック・テクノロジー社によりプラズマ処理された。次のプラズマ処理条件が、使用された。
【0175】
プロセッサ:マイクロウエーブ・プラズマ・プロセッサ400
マイクロウエーブ・パワー:600W
ガス:酸素
圧力:0.39ミリバール
ガス流量150ml/分
時間:10分
表面エネルギー事前処理:<38mN/m
表面エネルギー事後処理:72mN/m
【0176】
プラズマ処理された装置は、使用しないときには、2℃から8℃保存された。装置は、使用前に最低1時間室温で均衡された。
【0177】
各装置には、45%のヘマトクリット値を有する所定の体積の静脈血液を投与した。流れおよび流頭挙動は、後日の解析のためにビデオテープ上で捉えられた。毛細管充填経路の相対的寸法は、流頭挙動を定めたということが決定された。図31中の点線の左の装置(A2,A4,B2,B4、B5、C2,C4およびC5)は、凸状の流頭挙動を生じ、一方、点線の右側の装置(A6,A8,A11,B6,B8,B11、C6,C8およびC11)は、凹状流頭挙動を示した。凸状および凹状の流頭挙動の両方が、図31に概略的に示されている。このデータは、毛細管充填スペースの高さと幅のアスペクト比が、サンプル流頭が、凸であるか凹であるかどうかを決める因子であるということを示している。
【0178】
用量充足電極の使用(続き)
毛細管充填スペース中の凹状流頭に関連した問題は、図32Aから図32Cに図示されている。各々の図中では、テストストリップは、作用電極3200と、参照電極3202と、および測定電極3200あるいは3202の1つと併せて作動する下流の用量充足電極3204とを含む。上述した測定電極の1つと併せて、用量充足電極3204の使用に関連する測定ゾーンの化学量論的な問題に加えて、図32Aから図32Cは、凹形状を示すサンプル流頭が、またバイアスされた測定結果を生じることを示している。各図において、サンプルの移動方向が、矢印により示されている。図32Aにおいては、毛細管壁に隣接したサンプルの部分が、用量充足電極3204到達し、これにより用量充足性決定を行うためのテスト計によりモニターされる測定電極対の1つとこの電極のあいだのDC回路を電気的に完結させる。テスト計は、このとき測定するために充分なサンプルがあることを結論づけることになるが、サンプルは、参照電極3202にかろうじて到達し、このとき得られた測定結果は、高度にバイアスされる。
【0179】
同様に、用量充足電極3204は接触している(測定を開始するべきだということを示唆している)が、参照電極3202は、サンプルにより部分的にのみカバーされるという状況を図32Bは図示している。このとき、サンプルは、参照電極3202に到達するが、参照電極3202は完全にサンプルによってカバーされず、したがってこのとき得られた測定結果は、部分的にバイアスされる。したがって、図32Aから図32Bに示された両方の状況は、用量充足性に対して偽陽性を示し、これにより測定結果をバイアスすることになる。参照電極3202がサンプルにより完全にカバーされる図32Cに示された状況においてのみ、測定結果は測定ゾーンにおける毛細管充填の程度により、バイアスを受けないであろう。
【0180】
本発明は、用量充足決定の際の用量充足電極と、測定電極との1つを組み合わせた先行技術設計に関係する化学量論的な問題を解決している。図33に示したように、本発明は、測定電極から下流に位置決めされた独立した対を持っているテストストリップを含んでいる。テストストリップは、一般的に3300として示され、また対極3302および作用電極3304からなる測定電極対を含んでいる。これらの電極は、従来技術で公知のようにおよび以上に記述したように、多層テストストリップ構造中の適当な基板上に形成しても良い。テストストリップの多層構造は、従来技術でも公知のように、毛細管充填スペース3306の形成を提供する。毛細管充填スペース3306内および測定電極3302および3304から下流では(サンプル流れの方向に対して)、用量充足作用電極3308および用量充足対極3310が形成されるとともに用量充足電極対を形成している。
【0181】
テストストリップ3300が、テスト計中に挿入されると、いつサンプルが毛細管充填スペースのこの領域まで移動したかどうかを決定するために、テスト計は用量充足電極3308および3310のあいだの導通路を、連続的にチェックを行う。サンプルがひとたびこのレベルに到達すると、テスト計は、測定電極がサンプルでカバーされ、かつサンプル測定シーケンスが開始されてよいことを結論付けるプログラムにしてもよい。先行技術設計に必要とされたのと違って、図33のテストストリップ設計を用いた用量充足テストのあいだでは、電圧あるいは電流が測定電極3302および3304のいずれにも印加される必要がないことが理解されよう。このようにして、測定ゾーンの化学量論は、測定ゾーンに残っている関心のある検体測定を行う前の用量充足テストサイクルあいだは混乱しない。このことは、先行技術の用量充足テスト方法に対する有意な向上を表している。
【0182】
図34Aに示しているように、毛細管充填スペース3306を充填しながら凸型流頭を示すサンプルを生じるように、毛細管充填スペースが設計されるとき、テストストリップ3300が、用量充足性を判定することも望ましい。見られるように、凸型流頭が、用量充足電極対3308および3310に到達するときに、測定電極3302および3304上の測定ゾーンは、サンプルでカバーされる。しかし、図34Bに示されているように、毛細管充填スペース3306により、サンプルが充填しながら凸型流頭を示すことが出来る場合は、テストストリップ設計3300は、理想的な結果を生み出さないことがある。見られるように、測定ゾーンが、サンプルで完全にカバーされる前に、凹型流頭の周辺端が用量充足電極3308および3310に到達する。DCあるいは低周波励起(以下より詳細に考察する)の場合には、用量充足電極3308および3310は、流頭の端により両者とも接触されるとすぐに、サンプル充実性を示すことになる。毛細管スペース3306を充填するサンプルが、凸型流頭を示すとき、図33のテストストリップ中に示された用量充足電極設計は最も良く作動する。
【0183】
毛細管充填スペース3306の縦軸に対して垂直に配向された毛細管充填スペース3306内に、用量充足電極3308および3310が、最長軸を持つことが、理解されよう。このような電極は、ここでは、「垂直用量充足電極」とする。代替的な用量充足電極配置が図35Aから図35Bに示されている。図35Aに示すように、本発明は、測定電極から下流側に位置決めされた用量充足電極の独立した対を持っているテストストリップを含んでおり、そこでは、毛細管充填スペースの縦軸に対して平行に配向された毛細管充填スペース内に、用量充足電極は、最長軸を持っている。そのような電極は、ここでは、「平行用量充足電極」とする。図35中のテストストリップは、3500として一般的に示されており、かつ対極3502および作用電極3504からなる測定電極対を含んでいる。これらの電極は、従来技術で公知のようにおよび以上に記述したように、多層テストストリップ構造で適当な基板上に形成しても良い。テストストリップの多層構造は、従来技術でも公知のように、毛細管充填スペース3506の形成を提供する。毛細管充填スペース3506内および測定電極3502および3504から下流では(サンプル流れの方向に対して)、用量充足作用電極3508および用量充足対極3510が形成され、ともに平行な用量充足電極を形成している。
【0184】
テストストリップ3500がテスト計中に挿入されると、いつサンプルが、毛細管充填スペースのこの領域まで移動したか決定するために、テスト計は用量充足電極3508および3510のあいだの導通路を連続的にチェックする。サンプルがひとたびこのレベルに到達すると、テスト計は、測定電極がサンプルでカバーされ、かつサンプル測定シーケンスが開始されたことを結論付けるプログラムにしてもよい。テストストリップ3300の場合には(先行技術設計に必要とされたのと違って)、図35のテストストリップ設計を用いた用量充足テストのあいだには、測定電極3502および3504のいずれに対しても、電圧あるいは電流が印加される必要がないことが理解されよう。このようにして、測定ゾーンの化学量論は、測定ゾーンに残っている関心のある検体測定を行う前の用量充足テストサイクルのあいだは混乱しない。このことは、先行技術の用量充足テスト方法に対する有意な向上を表している。
【0185】
用量充足電極が、相対的に高周波数のAC励起信号で付勢されるとき、さらなる改良された操作が、テストストリップ3500の平行用量充足電極を用いて実現される。用量充足励起信号として相対的に高周波数のAC信号が、使用されるとき、用量充足電極3508および3510は有意な端効果を示し、そこでは、ギャップに沿った電極端がサンプル流体でカバーされるときには、励起信号が電極間のみのギャップを横切る。テストストリップ3500は、図36中の拡大された大きさで示されている(毛細管充填スペース3506および可視のストリップ対計量電極接触パッド内にある電極部分の場合のみ)。用量充足電極3508および3510の対の1つが、AC信号で励起されるときには、大多数の信号は、1つの電極の上部平坦表面から他の電極の上部平坦表面へよりも、1つの電極端から他の電極端へ移動する(端がサンプルで覆われているとき)。端から端への電気的伝達のこれらの経路は、概略的に図36中の電界ライン3602として示される。
【0186】
高周波数ACは、用量充足電極からの端のみの最良感度を生じる。好ましい実施形態においては、10kHzの9mVrms(±12.7mVピーク対ピーク)励起信号が、用量充足電極の1つを励起するために使用される。この用量充足電極3508および3510の端のあいだのギャップ幅GWは、好ましくは100から300μmであり、より好ましくは150から260μmであり、また最も好ましくは255μmである。より小さなギャップ幅GWは、端が少なくとも部分的にサンプルでカバーされている用量充足電極間を伝達される信号量を増加させる。しかし、信号伝達経路のキャパシタンスは、ギャップ幅GWを減少するにつれて増加する。
【0187】
AC励起を用いて使用されるときには、図35および図36の平行用量充足電極設計の利点は、サンプルが電極ギャップに沿った端の少なくとも1部を覆うまで、電極間の電気的伝達は実質的に無いということである。したがって、図35Aの凹型流頭を示すサンプルは、図示されたサンプルが、用量充足電極3508および3510の両者には接触するが、ギャップに沿った電極端には接触しない場合においては、用量充足電極間での有意な電気的伝達を生じないものである。したがって、サンプルがギャップに沿った電極端間の用量充足電極を実際に橋渡しするまで、テスト計は用量充足性の結論を形成しない。凹型流頭の最も後ろの部分が、用量充足電極3508および3510に到達した後にのみこれが生じ、この時点においてサンプルが測定電極上の測定ゾーンを完全に覆う。図35B中で見られるごとく、流頭が用量充足電極に到達すると(その時点で、サンプルが測定電極上の測定ゾーンを完全に覆う)すぐに、サンプルの凸型流頭が用量充足電極3508および3510を活性化する。
【0188】
図35および図36中に示された平行用量充足電極に対する他の利点は、電極間に伝達される信号量は、サンプルにより覆われるギャップ端の量に比例しているということである。したがって、テスト計中で適当な閾値を用いることにより、用量充足性の結論は、サンプルが、用量充足電極のギャップ端の所定の部分を覆うまで保留される。さらに、用量充足性信号の解析により、テスト計は所望により、テスト計により行われる各測定に対する毛細管充填スペースの充填率を記録することが出来る。
【0189】
電極形状自体は、特に凸型流頭の場合に充分なサンプルを検出するという観点で、以前の実施形態より利点を示すが、サンプル検出ではDC応答よりもAC応答の使用において、さらなる改良が、達成されるということが見出された。DC応答は、たとえば、温度、ヘマトクリットおよび検体(たとえば、グルコース)の変化に対して敏感であるという問題点がある。充分に高周波数でのAC応答は、検体濃度の変動に対して強靭にさせることが出来る。さらに、毛細管充填装置中での充分に高周波数で発生したAC応答は、サンプルにより充填される電極端間の平行ギャップの量により主に制限される。このようにして、流頭の谷が、実際にサンプル充足性電極の平行端以内に侵入するまで、凸型流頭に対してAC応答(アドミタンスの場合)は、ほとんど感知されずあるいはまったく感知されない。さらに、閾値較正により、センサーはテスト開始前に充填される平行ギャップを多く必要とするアドミタンスに対してはより高い閾値を用いて、有利と思われるように多少感度良くすることが出来る。
【0190】
現行の装置のさらなる制限は、センサーの毛細管スペースを充填するために必要な時間量を、電極形状が、識別する能力がないことである。この制限は、用量充足電極および測定電極の相互依存性を持っていることにより生じる。このことは、独立した用量充足電極のさらなる利点となる。好ましい実施形態においては、投与前に、信号が測定電極を横切って最初に印加される。応答が、観察されるときには、電位はすぐにスイッチオフされ、かつ第2信号が用量充足電極を横切って印加され、そのあいだ、このシステムは、信号(電極カバー程度を示す)に対する応答を探し、かつ第1イベント(測定電極で、応答が観察されるとき)および第2イベント(用量充足電極で応答が、観察されるとき)あいだの期間をマークする。非常に長い間隔のために誤った結果が導かれる場合には、閾値以内では許容される結果が得られ、閾値外ではおよびフェイルセーフがトリガーされる閾値を確立することが可能であり、応答を避けあるいは使用者に対して、潜在性の不正確さの最低限の警告をする。許容しうると考えられる充分なサンプルの投与と検出の時間のずれは、特定のセンサー設計と化学性に依存している。あるいは、サンプルが、最初にセンサーに適用された時間を検出するために、投与検出電極の独立した対(図示されていない)が、測定電極から上流に付加されても良い。
【0191】
DC信号は、上記のイベントの1つあるいは両方の検出に使用できるが、好ましい実施形態は、測定電極における電気化学的応答を不必要に混乱することを避けるために、また流頭の不規則性に関しての強靭な検出を与えるために、充分な高周波数のAC信号を使用する。
【0192】
ここに引用した全ての出版物、先行出願および他の文献は、それぞれが、個々に参照として組み入れられ、かつ充分に説明されてきたかのように、ここに、完全を期して、参照として組み入れられている。
【0193】
図および前述の記述において、本発明を詳細に説明し、かつ記述してきたが、同じことは、説明に役立つものでありまた特性に制限的ではないと考えるべきである。好ましい実施形態および好ましい実施形態の作成法あるいは使用法をさらに説明するのに役立つと思われるある他の実施形態のみを、示してきた。本発明の精神以内に入る全ての変更および改質は、保護されることが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】連続して印加されるAC成分およびDC成分を有する本発明によるシステムおよび方法において使用するのに適した第1の実施形態励起信号の図である。
【図2】同時に印加されるAC成分およびDC成分を有する本発明によるシステムおよび方法において使用するのに適した第2の実施形態励起信号の図である。
【図3】本発明の第1の実施形態のテストストリップを図示している。
【図4】実施例1のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図5】培養時間のない実施例1のテスト用相関係数r2(グルコース対DC電流)対リアルタイムのプロットである。
【図6】培養時間を変化させた実施例1のテスト用相関係数r2(グルコース対DC電流)対リアルタイムのプロットである。
【図7】実施例2のテスト用ACアドミタンス対ヘマトクリットのプロットである。
【図8】実施例2のテスト用の相殺されていないDC電流対グルコースのプロットである。
【図9】実施例2のテスト用予測されたグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図10】実施例3のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図11】実施例3のテストに対するAC位相角対参照グルコースのプロットである。
【図12】実施例3のテストに対する予想されたグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図13】実施例4のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図14】実施例4のテスト用ACアドミタンス対ヘマトクリット(温度を用いてパラメーター表示される)のプロットである。
【図15】実施例4のテストに対する相殺されていないDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図16】実施例4のテストに対する予想されたグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図17A】本発明の第2の実施形態のテストストリップを図示している。
【図17B】本発明の第2の実施形態のテストストリップを図示している。
【図18】実施例5のテスト中の温度およびヘマトクリット3つの組み合わせに対してリアルタイムが、変化するにしたがい、DC電流応答対グルコースレベルのあいだの相関係数r2をパラメータを用いて図示するプロットである。
【図19】実施例5のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図20】実施例5のテストにおいて、温度が、パラメータ的に変化するときの、ACアドミタンス対ヘマトクリットのプロットである。
【図21】実施例5のテストにおいて、温度が、パラメータ的に変化するときの、ACアドミタンス対ヘマトクリットのプロットである。
【図22】実施例5のテストに対する相殺されていないDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図23】実施例5のテストに対する予想されるグルコース応答対実際のグルコース応答のプロットである。
【図24】実施例6のテストにおいて利用される励起信号の図である。
【図25】実施例6のテスト中のヘマトクリットに対してプロットされたヘマトクリットとDC電流応答のあいだの相関係数r2のプロットである。
【図26】実施例6のテスト用ACアドミタンス位相角対ヘマトクリットのプロットである。
【図27】実施例6のテストに対する相殺されていないDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図28】実施例6の1.1秒全テスト時間に対する相殺されたDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図29】実施例6の1.5秒全テスト時間に対する相殺されたDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図30】実施例6の1.9秒全テスト時間に対する相殺されたDC応答対実際のグルコースのプロットである。
【図31】実施例8のテスト装置に使用される毛細管充填経路の高さおよび幅を詳細に示す表であるのみならず、毛細管充填スペース中の凸および凹サンプルフロー正面の概略図である。
【図32A】凹フロー正面が、先行技術用量充足電極と遭遇するときに、バイアスされた測定結果用電位を示すテストストリップの概略平面図である。
【図32B】凹フロー正面が、先行技術用量充足電極と遭遇するときに、バイアスされた測定結果用電位を示すテストストリップの概略平面図である。
【図32C】凹フロー正面が、先行技術用量充足電極と遭遇するときに、バイアスされた測定結果用電位を示すテストストリップの概略平面図である。
【図33】測定電極から独立している1対の垂直用量充足電極を持つ本発明のテストストリップの概略平面図である。
【図34A】凸および凹フロー正面をそれぞれもっているサンプルを含む図33のテストストリップの概略平面図である。
【図34B】凸および凹フロー正面をそれぞれもっているサンプルを含む図33のテストストリップの概略平面図である。
【図35A】測定電極から独立している1対の平行用量充足電極を持つ本発明のテストストリップの概略平面図である。
【図35B】測定電極から独立している1対の平行用量充足電極を持つ本発明のテストストリップの概略平面図である。
【図36】電極が、サンプルでカバーされるときに、電極間を伝達する電場線を概略的に図示する図35のテストストリップの概略平面図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を持つ第1信号を、前記生物学的流体に印加すること、
b)前記第1信号に対する第1応答を測定すること、
c)第2信号を前記生物学的流体に印加し、前記第2信号がDC信号であること、
d)前記第2信号に対する第2応答を測定すること、および
e)医学的に有意な成分の濃度の表示を生じるように、前記第1応答を前記第2応答に組み合わせることを含んでなる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1信号が、前記第2信号の前に流体に印加されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1信号が、前記第2信号の後に流体に印加されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1信号および前記第2信号が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1応答が、アドミタンス値を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記数が、2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記数が、2以上でかつ10以下であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記数が、10以上であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上で、かつ約20kHz以下である周波数を持つことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記生物学的流体が、血液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記生物学的流体を試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に、行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に、行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項18】
生物学的流体テストサンプルの測定方法であって、
前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定し、前記第1電気的応答がAC成分を有すること、
前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および
少なくとも部分的には、前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプルのグルコース濃度を表示する値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記第1電気的応答が、AC信号であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第1電気的応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記第1電気的応答を測定することが、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記第1電気的応答が多数の周波数を含み、その数が1より大きいことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記第1電気的応答のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記生物学的流体テストサンプルを試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的流体テストサンプルが、血液であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項26】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項27】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項28】
第1テスト信号を、前記生物学的流体テストサンプルに印加する工程であって、前記第1テスト信号がAC成分を持つこと、
第2テスト信号を前記生物学的流体テストサンプルに印加する工程とを、さらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項29】
前記第2テスト信号が、DC信号であることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記第2テスト信号の前に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記第2テスト信号の後に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記第1テスト信号および前記第2テスト信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだテストサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項34】
グルコース濃度を表示する値を決定することが、少なくとも部分的に前記第1電気的応答に基づいて、第2電気的応答を補正することを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項35】
生物学的流体テストサンプルの測定方法であって、
第1テスト信号に対する前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定し、第1テスト信号がAC成分を持つこと、
第2テスト信号に対する前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および
少なくとも部分的に、前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
前記第1テスト信号が、AC信号であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記第1電気的応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記第1電気的応答の測定が、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記第1電気的応答が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項40】
前記第1テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下である周波数を持つことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項41】
前記生物学的流体テストサンプルを、試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項42】
前記生物学的流体テストサンプルが、血液であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記第2テスト信号が、DC信号であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項44】
DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に行われることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項46】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項47】
前記第2テスト信号の前に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項48】
前記第2テスト信号の後に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項49】
前記第1テスト信号および前記第2テスト信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだテストサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項50】
グルコース濃度を表示する値を決定することが、少なくとも部分的には前記第1電気的応答に基づいて、第2電気的応答を補正することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項51】
生物学的流体の検体濃度を決定する方法であって、
第1交互信号を、生物学的流体に対して印加すること、
第1信号に対する応答を測定すること、
DC成分を持つ第2信号を、生物学的流体に対して印加すること、
第2信号に対する応答を測定すること、および
前記第1信号に対する応答および前記第2信号に対する応答を解析し、検体濃度の表示を生み出すことを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記第1信号に対する応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記第1信号に対する応答を測定することが、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記第1テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項57】
前記第2信号が、DC信号であることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項58】
前記DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記生物学的流体を試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項60】
前記生物学的流体が、血液であることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に行われることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項62】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項63】
前記第2テスト信号の前に、前記第1テスト信号をサンプルに対して印加することをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項64】
前記第2テスト信号の後に、前記第1テスト信号をサンプルに対して印加することをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項65】
前記第1テスト信号および前記第2テスト信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだテストサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項66】
検体濃度の表示を生み出すことが、少なくとも部分的に第1電気的応答に基づいて第2電気的応答を補正することを含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項67】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
第1信号を、血液サンプルに対して印加し、前記第1信号がAC成分を持つこと、
第1信号に対する第1応答を測定すること、
第2信号を、血液サンプルに対して印加し、前記第2信号がAC成分を持つこと、
第2信号に対する第2応答を測定すること、
第3信号を、血液サンプルに対して印加し、第3信号がDC成分を持つこと、
第3信号に対する第3応答を測定すること、および
少なくとも部分的に、前記第1応答と前記第2応答と第3応答に基づいて、血液中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
前記第1テスト信号が、AC信号であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項69】
前記第1信号に対する前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記第2テスト信号が、AC信号であることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記第2信号に対する前記第2応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項72】
前記第1信号に対する前記第1応答の測定が、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項73】
前記第2信号に対する前記第2応答の測定が、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項74】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項75】
前記第1テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持っていることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項76】
前記第2信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項77】
前記第2テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持っていることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項78】
前記第3信号が、DC信号であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項79】
DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項78記載の方法。
【請求項80】
前記血液サンプルを試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項81】
前記第1信号に対する前記第1応答を測定することおよび第2信号に対する第2応答を測定することが、第3信号に対する前記第3応答を測定する前に、行われることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項82】
第2信号に対する第2応答を測定することが、第3信号に対する前記第3応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項83】
前記第2信号の前におよび前記第3信号の前に、血液サンプルに対して、前記第1信号を印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項84】
前記第1信号および前記第2信号の後に、生物学的流体に対して、前記第3信号を印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項85】
前記第1信号および前記第3信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだ生物学的流体に印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項86】
前記第2信号および前記第3信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだ生物学的流体に印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項87】
血液サンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定することが、少なくとも部分的に、前記第1信号に対する前記第1応答および前記第2信号に対する第2応答に基づいて、前記第3信号に対する第3応答を補正することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項88】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する装置であって、
血液サンプルを受け取るために適用されるテスト室と、
AC成分を持つ第1テスト信号およびDC成分を持つ第2テスト信号を、テスト室中に受け取られるサンプル上の血液サンプルに対して印加するために適用される第1電極回路と、
第1テスト信号に対する第1応答および第2テスト信号に対する第2応答を測定するために適用される第2電極回路と、および
前記第1応答と前記第2応答を処理して、血液サンプルのグルコース濃度を表示する値を決定するために適用されるプロセッサとを含むことを特徴とする装置。
【請求項89】
前記テスト室が、使い捨てのテストストリップ上に形成されていることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項90】
前記第1電極回路が、発生器出力を持つ電位発生器と、
発生器出力に動作可能に結合されている電気コネクターと、
テストストリップ上に形成され、かつ前記電気コネクターに動作可能に結合されているトレースと、
前記テストストリップ上に形成され、かつ前記トレースに動作可能に結合されている電極を含んでいることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項91】
前記第2電極回路が、
前記テストストリップ上に形成された電極と、
テストストリップ上に形成され、かつ前記電極に動作可能に結合されているトレースと、
前記トレースに動作可能に結合されている電気コネクターと、および
電気コネクターに動作可能に結合されている増幅器とを含んでいることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項92】
前記プロセッサが、デジタルマイクロプロセサあるいはマイクロ制御器でることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項93】
血液サンプルのヘマトクリット値を決定する方法であって、
(a)AC成分を持つ第1信号を、血液サンプルに印加すること、
(b)第1信号に対するAC応答を測定すること、
(c)血液サンプルの温度を測定すること、および
(d)AC応答および温度を用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項94】
前記(d)が関係式Hest=c0+c1Y+c2dTを用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含み、
前記関係式中、Hestはヘマトクリット値であり、c0、cおよびc2は定数であり、Yはアドミタンスとして表現されているAC応答であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記(d)が関係式Hest=(Y+c0+c1dT)/(c2dT+c3)を用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含み、
前記関係式中、Hestは、ヘマトクリット値であり、c0、c1およびc2は定数であり、Yはアドミタンスとして表現されているAC応答であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項96】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項97】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項98】
前記第1信号が、ほぼ2kHzのAC信号であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項99】
(e)第2信号を血液サンプルに印加する工程であって、前記第2信号がDC信号であり、
(f)前記第2信号に対するDC応答を測定する工程、および
(g)ヘマトクリット値と温度とDC応答を組み合わせて、血液サンプルのグルコース濃度の表示を生じる工程をさらに含むことを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項100】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項99記載の方法。
【請求項101】
前記第1信号および前記第2信号が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項99記載の方法。
【請求項103】
前記工程(g)が関係式PRED=(a0+hct1Hest+hct2Hest2+tau1dT+tau2dT2)+(a1DC)(1+hct3Hest+hct4Hest2)(1+tau3dT+tau4dT2)を用いて、グルコース濃度を決定し、
前記関係式中、PREDはグルコース濃度であり、DCはDC応答であり、a0、a1、hct、hct2、hct3、hct4、tau1、tau2、tau3およびtau4は定数であり、Hestはヘマトクリット値であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項99に記載の方法。
【請求項104】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
交流電位を、血液サンプルに印加すること、
交流電位に対する第1応答を測定すること、
DC電位を、血液サンプルに印加すること、
DC電位に対する第2応答を測定すること、
血液サンプルのヘマトクリット含有量に関係する第1値を、第1応答を用いて決定すること、
血液サンプルの温度に関係する第2値を、第1値および第1応答を用いて決定すること、および
血液サンプルのグルコース濃度に関する第3値を、第1値、第2値および第2応答を用いて決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項105】
前記交流電位が、AC信号であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項106】
前記交流電位およびDC電位が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項107】
前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項108】
前記交流電位が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項109】
前記数が2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記数が2以上でかつ10以下あることを特徴とする請求項108記載の方法。
【請求項111】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項108記載の方法。
【請求項112】
前記交流電位のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項113】
前記交流電位が、n個の交流電位を含み、かつ前記第1値の決定が、関係式Hest=c0+c1Φ1…cnΦnを用いてグルコース濃度を決定し、
前記関係式中、Hestはヘマトクリット値であり、c0、c1、…cnは定数であり、Φ1…Φnはそれぞれn個の第1信号の各々に対するAC位相角度応答であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項114】
第3値の前記決定が関係式PRED=(a0+hct1Hest+hct2Hest2+tau1dT+tau2dT2)+(a1DC)(1+hct3Hest+hct4Hest2)(1+tau3dT+tau4dT2)を用いてグルコース濃度を決定し、
前記関係式中、PREDはグルコース濃度であり、DCは第2アドミタンス応答であり、a0、a1、hct、hct2、hct3、hct4、tau1、tau2、tau3およびtau4は定数であり、Hestはヘマトクリット値であり、dTは温度値であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項115】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を有する前記1信号を、血液サンプルに印加する工程と、
b)前記第1信号に対するAC応答を測定する工程と、
c)第2信号を血液サンプルに印加し、前記第2信号がDC信号であって、
d)前記第2信号に対するDC応答を測定する工程と、
e)血液サンプルのヘマトクリット値を、前記AC応答を用いて決定する工程と、
f)血液サンプルの推定温度を、前記ヘマトクリット値および前記AC応答を用いて決定する工程と、および
g)血液サンプルのグルコース濃度を、前記ヘマトクリット値、前記推定温度および前記DC応答を用いて決定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項116】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項117】
前記第1信号および前記第2信号が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項118】
前記第1アドミタンス応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項119】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項120】
前記数が2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記数が2以上でかつ10以下あることを特徴とする請求項119記載の方法。
【請求項122】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項119記載の方法。
【請求項123】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項124】
前記第1信号がn個の第1信号を含み、前記工程(e)が関係式Hest=c0+c1Φ1…cnΦnを用いヘマトクリット値を測定することを含み、
前記関係式中、Hestはヘマトクリット値であり、c0、c1、…cnは定数であり、Φ1…Φnはそれぞれn個の第1信号の各々に対するAC位相角度応答であることを特徴とする請求項115に記載の方法。
【請求項125】
前記工程(g)が関係式PRED=(a0+hct1Hest+hct2Hest2+tau1dT+tau2dT2)+(a1DC)(1+hct3Hest+hct4Hest2)(1+tau3dT+tau4dT2)を用いて、グルコース濃度を決定することを含み、
前記関係式中、PREDはグルコース濃度であり、DCは第2アドミタンス応答であり、a0、a1、hct、hct2、hct3、hct4、tau1、tau2、tau3およびtau4は定数であり、Hestはヘマトクリット値であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項126】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
a)血液サンプルを提供することであって、前記血液サンプルが0.4μlと同等かそれ未満の最小体積であり、
b)AC成分を有する信号を、前記血液サンプルに印加すること、
c)前記信号に対するAC応答を測定すること、および
d)少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定することであって、前記決定が約3秒または約3秒以下の全テスト時間を有することを特徴とする方法。
【請求項127】
前記全テスト時間が、約1.9秒以内であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項128】
前記全テスト時間が、約1.5秒以内であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項129】
前記全テスト時間が、約1.1秒以内であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項130】
前記信号が、AC信号であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項131】
前記AC応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項132】
前記AC応答が、位相角情報を含むことを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項133】
前記信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項134】
前記数が2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項133記載の方法。
【請求項135】
前記数が2以上でかつ10以下あることを特徴とする請求項133記載の方法。
【請求項136】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項133記載の方法。
【請求項137】
前記信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項138】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を有する信号を血液サンプルに印加すること、
b)前記信号に対するAC応答を測定すること、および
c)少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定することであって、前記決定が約5.5秒または約5.5秒いかの全テスト時間を有することを特徴とする方法。
【請求項139】
前記全テスト時間が、約3秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項140】
前記全テスト時間が、約1.9秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項141】
前記全テスト時間が、約1.5秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項142】
前記全テスト時間が、約1.1秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項143】
前記信号が、AC信号であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項144】
前記AC応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項145】
前記AC応答が、位相角情報を含むことを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項146】
前記信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項147】
前記数が2以上で、かつ5以下あることを特徴とする請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記数が2以上で、かつ10以下あることを特徴とする請求項146に記載の方法。
【請求項149】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項146記載の方法。
【請求項150】
前記信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項151】
生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法であって、
流体サンプルを受け取るセルを設けること、
医学的に有意な成分と反応する化学的性質と、医学的に有意な成分と前記化学的性質との反応が評価されうる第1ターミナルおよび第2ターミナルとをセルに設けること、
前記セルの前記第1および第2ターミナルにそれぞれ補完的な第1および第2ターミナルを持った装置を設け、前記装置の前記第1および第2ターミナルのそれぞれと前記セルの前記第1および第2ターミナルのセルとを接触させる配置が、前記装置により前記反応の評価を可能にすること、および
前記装置の前記第1および第2ターミナルにわたって第1信号を印加し、前記第1信号に対する前記セルの応答における前記サンプルの属性を決定し、また前記サンプルの属性の表示を生成するように構成された評価制御器を前記装置に設けることを含むことを特徴とする方法。
【請求項152】
前記第1信号が、AC成分を含むことを特徴とする請求項151記載の方法。
【請求項153】
第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項151記載の方法。
【請求項154】
生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を有する第1信号を、前記生物学的流体に印加する工程と、
b)前記第1信号に対する第1応答を測定する工程、および
c)前記第1応答に基づいて、生物学的流体の属性を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項155】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項156】
前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項157】
前記第1応答が、アドミタンス測定を含むことを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項158】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項159】
前記生物学的流体が、血液であることを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項160】
前記生物学的流体を、試薬と反応させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項1】
生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を持つ第1信号を、前記生物学的流体に印加すること、
b)前記第1信号に対する第1応答を測定すること、
c)第2信号を前記生物学的流体に印加し、前記第2信号がDC信号であること、
d)前記第2信号に対する第2応答を測定すること、および
e)医学的に有意な成分の濃度の表示を生じるように、前記第1応答を前記第2応答に組み合わせることを含んでなる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1信号が、前記第2信号の前に流体に印加されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記第1信号が、前記第2信号の後に流体に印加されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1信号および前記第2信号が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記第1応答が、アドミタンス値を含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項9】
前記数が、2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記数が、2以上でかつ10以下であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項11】
前記数が、10以上であることを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項12】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上で、かつ約20kHz以下である周波数を持つことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記生物学的流体が、血液であることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記生物学的流体を試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に、行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項16】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に、行われることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項17】
DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項18】
生物学的流体テストサンプルの測定方法であって、
前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定し、前記第1電気的応答がAC成分を有すること、
前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および
少なくとも部分的には、前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプルのグルコース濃度を表示する値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
前記第1電気的応答が、AC信号であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項20】
前記第1電気的応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記第1電気的応答を測定することが、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項22】
前記第1電気的応答が多数の周波数を含み、その数が1より大きいことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項23】
前記第1電気的応答のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項24】
前記生物学的流体テストサンプルを試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項25】
前記生物学的流体テストサンプルが、血液であることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項26】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項27】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項28】
第1テスト信号を、前記生物学的流体テストサンプルに印加する工程であって、前記第1テスト信号がAC成分を持つこと、
第2テスト信号を前記生物学的流体テストサンプルに印加する工程とを、さらに含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項29】
前記第2テスト信号が、DC信号であることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項31】
前記第2テスト信号の前に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項32】
前記第2テスト信号の後に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記第1テスト信号および前記第2テスト信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだテストサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項34】
グルコース濃度を表示する値を決定することが、少なくとも部分的に前記第1電気的応答に基づいて、第2電気的応答を補正することを含むことを特徴とする請求項18記載の方法。
【請求項35】
生物学的流体テストサンプルの測定方法であって、
第1テスト信号に対する前記生物学的流体テストサンプルの第1電気的応答を測定し、第1テスト信号がAC成分を持つこと、
第2テスト信号に対する前記テストサンプルの第2電気的応答を測定すること、および
少なくとも部分的に、前記第1電気的応答と前記第2電気的応答に基づいて、テストサンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項36】
前記第1テスト信号が、AC信号であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記第1電気的応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記第1電気的応答の測定が、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項39】
前記第1電気的応答が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項40】
前記第1テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下である周波数を持つことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項41】
前記生物学的流体テストサンプルを、試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項42】
前記生物学的流体テストサンプルが、血液であることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【請求項43】
前記第2テスト信号が、DC信号であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項44】
DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に行われることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項46】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項47】
前記第2テスト信号の前に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項48】
前記第2テスト信号の後に、前記第1テスト信号をサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項49】
前記第1テスト信号および前記第2テスト信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだテストサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項50】
グルコース濃度を表示する値を決定することが、少なくとも部分的には前記第1電気的応答に基づいて、第2電気的応答を補正することをさらに含むことを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項51】
生物学的流体の検体濃度を決定する方法であって、
第1交互信号を、生物学的流体に対して印加すること、
第1信号に対する応答を測定すること、
DC成分を持つ第2信号を、生物学的流体に対して印加すること、
第2信号に対する応答を測定すること、および
前記第1信号に対する応答および前記第2信号に対する応答を解析し、検体濃度の表示を生み出すことを含むことを特徴とする方法。
【請求項52】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項53】
前記第1信号に対する応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項54】
前記第1信号に対する応答を測定することが、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項55】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項56】
前記第1テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項57】
前記第2信号が、DC信号であることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項58】
前記DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項57記載の方法。
【請求項59】
前記生物学的流体を試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項60】
前記生物学的流体が、血液であることを特徴とする請求項51に記載の方法。
【請求項61】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定する前に行われることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項62】
前記第1応答を測定することが、前記第2応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項63】
前記第2テスト信号の前に、前記第1テスト信号をサンプルに対して印加することをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項64】
前記第2テスト信号の後に、前記第1テスト信号をサンプルに対して印加することをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項65】
前記第1テスト信号および前記第2テスト信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだテストサンプルに印加することをさらに含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項66】
検体濃度の表示を生み出すことが、少なくとも部分的に第1電気的応答に基づいて第2電気的応答を補正することを含むことを特徴とする請求項51記載の方法。
【請求項67】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
第1信号を、血液サンプルに対して印加し、前記第1信号がAC成分を持つこと、
第1信号に対する第1応答を測定すること、
第2信号を、血液サンプルに対して印加し、前記第2信号がAC成分を持つこと、
第2信号に対する第2応答を測定すること、
第3信号を、血液サンプルに対して印加し、第3信号がDC成分を持つこと、
第3信号に対する第3応答を測定すること、および
少なくとも部分的に、前記第1応答と前記第2応答と第3応答に基づいて、血液中のグルコース濃度を表示する値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項68】
前記第1テスト信号が、AC信号であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項69】
前記第1信号に対する前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記第2テスト信号が、AC信号であることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記第2信号に対する前記第2応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項72】
前記第1信号に対する前記第1応答の測定が、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項73】
前記第2信号に対する前記第2応答の測定が、アドミタンス値を測定することを含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項74】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項75】
前記第1テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持っていることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項76】
前記第2信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項77】
前記第2テスト信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持っていることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項78】
前記第3信号が、DC信号であることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項79】
DC信号が、約300mVから550mVの大きさを持つことを特徴とする請求項78記載の方法。
【請求項80】
前記血液サンプルを試薬と反応させることをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項81】
前記第1信号に対する前記第1応答を測定することおよび第2信号に対する第2応答を測定することが、第3信号に対する前記第3応答を測定する前に、行われることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項82】
第2信号に対する第2応答を測定することが、第3信号に対する前記第3応答を測定した後に行われることを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項83】
前記第2信号の前におよび前記第3信号の前に、血液サンプルに対して、前記第1信号を印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項84】
前記第1信号および前記第2信号の後に、生物学的流体に対して、前記第3信号を印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項85】
前記第1信号および前記第3信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだ生物学的流体に印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項86】
前記第2信号および前記第3信号を、少なくとも部分的に共通する時間のあいだ生物学的流体に印加することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項87】
血液サンプル中のグルコース濃度を表示する値を決定することが、少なくとも部分的に、前記第1信号に対する前記第1応答および前記第2信号に対する第2応答に基づいて、前記第3信号に対する第3応答を補正することをさらに含むことを特徴とする請求項67記載の方法。
【請求項88】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する装置であって、
血液サンプルを受け取るために適用されるテスト室と、
AC成分を持つ第1テスト信号およびDC成分を持つ第2テスト信号を、テスト室中に受け取られるサンプル上の血液サンプルに対して印加するために適用される第1電極回路と、
第1テスト信号に対する第1応答および第2テスト信号に対する第2応答を測定するために適用される第2電極回路と、および
前記第1応答と前記第2応答を処理して、血液サンプルのグルコース濃度を表示する値を決定するために適用されるプロセッサとを含むことを特徴とする装置。
【請求項89】
前記テスト室が、使い捨てのテストストリップ上に形成されていることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項90】
前記第1電極回路が、発生器出力を持つ電位発生器と、
発生器出力に動作可能に結合されている電気コネクターと、
テストストリップ上に形成され、かつ前記電気コネクターに動作可能に結合されているトレースと、
前記テストストリップ上に形成され、かつ前記トレースに動作可能に結合されている電極を含んでいることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項91】
前記第2電極回路が、
前記テストストリップ上に形成された電極と、
テストストリップ上に形成され、かつ前記電極に動作可能に結合されているトレースと、
前記トレースに動作可能に結合されている電気コネクターと、および
電気コネクターに動作可能に結合されている増幅器とを含んでいることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項92】
前記プロセッサが、デジタルマイクロプロセサあるいはマイクロ制御器でることを特徴とする請求項88記載の装置。
【請求項93】
血液サンプルのヘマトクリット値を決定する方法であって、
(a)AC成分を持つ第1信号を、血液サンプルに印加すること、
(b)第1信号に対するAC応答を測定すること、
(c)血液サンプルの温度を測定すること、および
(d)AC応答および温度を用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項94】
前記(d)が関係式Hest=c0+c1Y+c2dTを用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含み、
前記関係式中、Hestはヘマトクリット値であり、c0、cおよびc2は定数であり、Yはアドミタンスとして表現されているAC応答であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記(d)が関係式Hest=(Y+c0+c1dT)/(c2dT+c3)を用いて、血液サンプルのヘマトクリット値を決定することを含み、
前記関係式中、Hestは、ヘマトクリット値であり、c0、c1およびc2は定数であり、Yはアドミタンスとして表現されているAC応答であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項96】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項97】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項98】
前記第1信号が、ほぼ2kHzのAC信号であることを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項99】
(e)第2信号を血液サンプルに印加する工程であって、前記第2信号がDC信号であり、
(f)前記第2信号に対するDC応答を測定する工程、および
(g)ヘマトクリット値と温度とDC応答を組み合わせて、血液サンプルのグルコース濃度の表示を生じる工程をさらに含むことを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項100】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項99記載の方法。
【請求項101】
前記第1信号および前記第2信号が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項99記載の方法。
【請求項103】
前記工程(g)が関係式PRED=(a0+hct1Hest+hct2Hest2+tau1dT+tau2dT2)+(a1DC)(1+hct3Hest+hct4Hest2)(1+tau3dT+tau4dT2)を用いて、グルコース濃度を決定し、
前記関係式中、PREDはグルコース濃度であり、DCはDC応答であり、a0、a1、hct、hct2、hct3、hct4、tau1、tau2、tau3およびtau4は定数であり、Hestはヘマトクリット値であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項99に記載の方法。
【請求項104】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
交流電位を、血液サンプルに印加すること、
交流電位に対する第1応答を測定すること、
DC電位を、血液サンプルに印加すること、
DC電位に対する第2応答を測定すること、
血液サンプルのヘマトクリット含有量に関係する第1値を、第1応答を用いて決定すること、
血液サンプルの温度に関係する第2値を、第1値および第1応答を用いて決定すること、および
血液サンプルのグルコース濃度に関する第3値を、第1値、第2値および第2応答を用いて決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項105】
前記交流電位が、AC信号であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項106】
前記交流電位およびDC電位が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項107】
前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項108】
前記交流電位が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項109】
前記数が2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記数が2以上でかつ10以下あることを特徴とする請求項108記載の方法。
【請求項111】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項108記載の方法。
【請求項112】
前記交流電位のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項113】
前記交流電位が、n個の交流電位を含み、かつ前記第1値の決定が、関係式Hest=c0+c1Φ1…cnΦnを用いてグルコース濃度を決定し、
前記関係式中、Hestはヘマトクリット値であり、c0、c1、…cnは定数であり、Φ1…Φnはそれぞれn個の第1信号の各々に対するAC位相角度応答であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項114】
第3値の前記決定が関係式PRED=(a0+hct1Hest+hct2Hest2+tau1dT+tau2dT2)+(a1DC)(1+hct3Hest+hct4Hest2)(1+tau3dT+tau4dT2)を用いてグルコース濃度を決定し、
前記関係式中、PREDはグルコース濃度であり、DCは第2アドミタンス応答であり、a0、a1、hct、hct2、hct3、hct4、tau1、tau2、tau3およびtau4は定数であり、Hestはヘマトクリット値であり、dTは温度値であることを特徴とする請求項104記載の方法。
【請求項115】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を有する前記1信号を、血液サンプルに印加する工程と、
b)前記第1信号に対するAC応答を測定する工程と、
c)第2信号を血液サンプルに印加し、前記第2信号がDC信号であって、
d)前記第2信号に対するDC応答を測定する工程と、
e)血液サンプルのヘマトクリット値を、前記AC応答を用いて決定する工程と、
f)血液サンプルの推定温度を、前記ヘマトクリット値および前記AC応答を用いて決定する工程と、および
g)血液サンプルのグルコース濃度を、前記ヘマトクリット値、前記推定温度および前記DC応答を用いて決定する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項116】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項117】
前記第1信号および前記第2信号が、少なくとも部分的に同時に印加されることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項118】
前記第1アドミタンス応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項119】
前記第1信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項120】
前記数が2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項119に記載の方法。
【請求項121】
前記数が2以上でかつ10以下あることを特徴とする請求項119記載の方法。
【請求項122】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項119記載の方法。
【請求項123】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項124】
前記第1信号がn個の第1信号を含み、前記工程(e)が関係式Hest=c0+c1Φ1…cnΦnを用いヘマトクリット値を測定することを含み、
前記関係式中、Hestはヘマトクリット値であり、c0、c1、…cnは定数であり、Φ1…Φnはそれぞれn個の第1信号の各々に対するAC位相角度応答であることを特徴とする請求項115に記載の方法。
【請求項125】
前記工程(g)が関係式PRED=(a0+hct1Hest+hct2Hest2+tau1dT+tau2dT2)+(a1DC)(1+hct3Hest+hct4Hest2)(1+tau3dT+tau4dT2)を用いて、グルコース濃度を決定することを含み、
前記関係式中、PREDはグルコース濃度であり、DCは第2アドミタンス応答であり、a0、a1、hct、hct2、hct3、hct4、tau1、tau2、tau3およびtau4は定数であり、Hestはヘマトクリット値であり、dTは血液サンプルの温度値であることを特徴とする請求項115記載の方法。
【請求項126】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
a)血液サンプルを提供することであって、前記血液サンプルが0.4μlと同等かそれ未満の最小体積であり、
b)AC成分を有する信号を、前記血液サンプルに印加すること、
c)前記信号に対するAC応答を測定すること、および
d)少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定することであって、前記決定が約3秒または約3秒以下の全テスト時間を有することを特徴とする方法。
【請求項127】
前記全テスト時間が、約1.9秒以内であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項128】
前記全テスト時間が、約1.5秒以内であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項129】
前記全テスト時間が、約1.1秒以内であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項130】
前記信号が、AC信号であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項131】
前記AC応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項132】
前記AC応答が、位相角情報を含むことを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項133】
前記信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項134】
前記数が2以上でかつ5以下あることを特徴とする請求項133記載の方法。
【請求項135】
前記数が2以上でかつ10以下あることを特徴とする請求項133記載の方法。
【請求項136】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項133記載の方法。
【請求項137】
前記信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項126記載の方法。
【請求項138】
血液サンプルのグルコース濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を有する信号を血液サンプルに印加すること、
b)前記信号に対するAC応答を測定すること、および
c)少なくともAC応答を用いて、血液サンプルのグルコース濃度を決定することであって、前記決定が約5.5秒または約5.5秒いかの全テスト時間を有することを特徴とする方法。
【請求項139】
前記全テスト時間が、約3秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項140】
前記全テスト時間が、約1.9秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項141】
前記全テスト時間が、約1.5秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項142】
前記全テスト時間が、約1.1秒以内であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項143】
前記信号が、AC信号であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項144】
前記AC応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項145】
前記AC応答が、位相角情報を含むことを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項146】
前記信号が多数の周波数を含み、その数が1以上であることを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項147】
前記数が2以上で、かつ5以下あることを特徴とする請求項146に記載の方法。
【請求項148】
前記数が2以上で、かつ10以下あることを特徴とする請求項146に記載の方法。
【請求項149】
前記数が10以上であることを特徴とする請求項146記載の方法。
【請求項150】
前記信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項138記載の方法。
【請求項151】
生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法であって、
流体サンプルを受け取るセルを設けること、
医学的に有意な成分と反応する化学的性質と、医学的に有意な成分と前記化学的性質との反応が評価されうる第1ターミナルおよび第2ターミナルとをセルに設けること、
前記セルの前記第1および第2ターミナルにそれぞれ補完的な第1および第2ターミナルを持った装置を設け、前記装置の前記第1および第2ターミナルのそれぞれと前記セルの前記第1および第2ターミナルのセルとを接触させる配置が、前記装置により前記反応の評価を可能にすること、および
前記装置の前記第1および第2ターミナルにわたって第1信号を印加し、前記第1信号に対する前記セルの応答における前記サンプルの属性を決定し、また前記サンプルの属性の表示を生成するように構成された評価制御器を前記装置に設けることを含むことを特徴とする方法。
【請求項152】
前記第1信号が、AC成分を含むことを特徴とする請求項151記載の方法。
【請求項153】
第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項151記載の方法。
【請求項154】
生物学的流体の医学的に有意な成分の濃度を決定する方法であって、
a)AC成分を有する第1信号を、前記生物学的流体に印加する工程と、
b)前記第1信号に対する第1応答を測定する工程、および
c)前記第1応答に基づいて、生物学的流体の属性を決定することを含むことを特徴とする方法。
【請求項155】
前記第1信号が、AC信号であることを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項156】
前記第1応答が、大きさおよび位相角情報を含むことを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項157】
前記第1応答が、アドミタンス測定を含むことを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項158】
前記第1信号のAC成分が、約1Hz以上でかつ約20kHz以下の周波数を持つことを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項159】
前記生物学的流体が、血液であることを特徴とする請求項154記載の方法。
【請求項160】
前記生物学的流体を、試薬と反応させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項154記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図36】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17A】
【図17B】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図35A】
【図35B】
【図36】
【公表番号】特表2007−524825(P2007−524825A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517463(P2006−517463)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019688
【国際公開番号】WO2004/113896
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/019688
【国際公開番号】WO2004/113896
【国際公開日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】
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