説明

AD変換装置

【課題】アナログイコライザの前置を不要とするAD変換装置を提供する。
【解決手段】Nビット分解能を有するM個(M≧N+3)の逐次比較型AD変換回路と制御回路とを備え、各逐次比較型AD変換回路(i)は、入力アナログ信号のサンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷Q(i)を保持する可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1と、各可変容量キャパシタの容量の変更に応じて、逐次比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)内の、容量が変更された可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1の端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)〜Vm(i+m−2)と、サンプリングタイミングT(i+m−1)に対応するサンプリング電圧Vs(i+m−1)とに基づいて、前補正電圧Vd(i+m−1)を生成する電圧補正回路と、Nビットのデジタル出力を生成する逐次比較部とを備え、可変容量キャパシタの容量を変化させる容量制御部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路チップ内やチップ間などを接続する高速インタフェースの受信装置に備えられるAD変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路チップ内やボード内のチップ間および異なるボードに搭載されたチップ間を接続するための高速インタフェースの規格として、様々な高速インタフェースが普及している。このような高速インタフェースの例としては、Serial−ATA(Advanced Technology Attachment)、PCI(Peripheral Component Interconnect)‐Express、USB3.0および10Gbit−Ethernet(登録商標)などが挙げられる。
【0003】
上述したような高速インタフェースに備えられる受信装置には、伝送路での減衰によって劣化した受信信号波形を整形する機能が備えられている。波形整形機能は、アナログ/デジタル変換部の後段に配置されたデジタルイコライザによって、あるいは、伝送路を介して入力されたアナログ信号をアナログイコライザに通すことで実現される(特許文献1,2参照)。
【0004】
一方、AD変換回路の一例として、逐次比較型(SAR:Successive Approximation Register)AD変換回路がある(特許文献3参照)。従来のnビット分解能を有するSAR型AD変換回路では、アナログ入力をサンプリングした電圧値を所定ホールド期間にわたって維持し、その間に、上位ビットに対応する参照電圧値から順次にn回の比較を繰り返す。そして、この各ビットに対応する参照電圧との比較結果を、nビットのAD変換結果として出力する。
【0005】
また一方、AD変換処理の高速化を図る技術として、入力アナログ信号を分岐して複数のAD変換回路に入力し、これらのAD変換回路を時分割で動作させるタイムインタリーブ構成も提案されている。例えば、nビット分解能を有するSAR型AD変換回路をn個用意し、これらを各ビットの比較に用いられるクロックに従って時分割動作させる構成などが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2005−517325号公報
【特許文献2】特開2007−325263号公報
【特許文献3】特開2006−108893号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
AD変換装置の前段に、アナログイコライザを配置して、入力信号波形を整形することにより、AD変換装置の負担を軽減することができる。その一方、AD変換装置の構成によっては、アナログイコライザが受信装置LSIチップに対応する半導体ダイにおいて大きな面積を占めてしまう場合がある。なぜなら、例えば、上述した時分割動作するn個のAD変換回路は、前段に配置されたアナログイコライザから、波形整形された入力アナログ信号の供給を受ける。このような電力供給性能を実現するために、アナログイコライザに含まれるトランジスタや抵抗、キャパシタなどの素子は、一般的な論理回路に比べて非常に大きな素子なってしまうからである。
【0008】
本件開示の装置は、アナログイコライザの前置を不要とするAD変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的は、以下に開示するAD変換装置によって達成することができる。
【0010】
一つの観点によるAD変換装置は、Nビット分解能を有するM個(M≧N+3)の逐次比較型AD変換回路(1)〜(M)と、M個の逐次比較型AD変換回路を、それぞれの番号順のサンプリングタイミングT(i)に対応付けて時分割動作させる制御回路とを備え、各逐次比較型AD変換回路(i)は、入力アナログ信号のサンプリングタイミングT(i)でのサンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷Q(i)を保持するm−1個の可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1と、各可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1の容量の変更に応じて、サンプリングタイミングT(i)〜T(i+m−2)までに対応する逐次比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)内の、容量が変更された前記可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1の端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)〜Vm(i+m−2)と、サンプリングタイミングT(i+m−1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+m−1)のサンプリング電圧Vs(i+m−1)とに基づいて、前記サンプリング電圧Vs(i+m−1)に対応する補正電圧Vd(i+m−1)を生成する電圧補正回路と、補正電圧Vd(i+m−1)と所定の参照電圧とを比較することにより、補正電圧Vd(i+m−1)に対応するNビットのデジタル出力を生成する逐次比較部とを備え、各比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)に対して、各比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)内の可変容量キャパシタの容量を変化させる容量制御部を備える。
【発明の効果】
【0011】
本件開示のAD変換装置によれば、アナログイコライザの前置が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】m−1−tapイコライズ機能を有するAD変換装置の一実施形態を示す図である。
【図2】1−tapイコライズ機能を有するAD変換装置の一実施形態を示す図である。
【図3】イコライズ機能を説明する図である。
【図4】受信装置の一実施形態を示す図である。
【図5】容量制御部の一実施形態を示す図である。
【図6】逐次比較部の構成例を示す図である。
【図7】逐次比較型AD変換回路の別実施形態を示す図である。
【図8】可変容量キャパシタの一実施形態を示す図である。
【図9】AD変換装置の別実施形態を示す図である。
【図10】AD変換装置の別実施形態を示す図である。
【図11】サンプリング動作を説明する図である。
【図12】ホールド動作を説明する図である。
【図13】イコライズ動作およびAD変換動作を説明する図である。
【図14】リセット動作を説明する図である。
【図15】AD変換装置の動作を説明するタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
(一つの実施形態)
図1に、m−1−tapイコライズ機能を有するAD変換装置の一実施形態を示す。
【0014】
図1に示したAD変換装置は、M(M≧N+3)個の分解能Nビットの逐次比較型AD変換回路(SAR−ADC)110(1)〜110(M)と、容量制御部121を含む制御回路120とを備えている。
【0015】
なお、図1においては、M個のSAR−ADC110(1)〜110(M)のうち、i番目のSAR−ADC110(i)について詳細構成を示している。i−1番目、i+1番目およびi+m−1番目のSAR−ADC110(i−1)、110(i+1)、110(i+m−1)は、SAR−ADC110(i)と同様に構成される。図示を省略したSAR−ADC110も、SAR−ADC110(i)と同様に構成される。以下の説明では、SAR−ADC110(1)〜110(M)を総称する際には、単に、SAR−ADC110と称する。
【0016】
SAR−ADC110は、m−1個の可変容量キャパシタCv〜Cvm−1と一つの固定容量キャパシタCsと電圧補正回路111と逐次比較器112とを備えている。可変容量キャパシタCv〜Cvm−1および固定容量キャパシタCsには、スイッチSW1を介して入力アナログ信号が入力される。つまり、スイッチSW1が閉じられているときに、可変容量キャパシタCv〜Cvm−1および固定容量キャパシタCsに入力アナログ信号の電圧値に対応する電荷を蓄積することでサンプリングが行われる。そして、スイッチSW1が開かれたときに、可変容量キャパシタCv〜Cvm−1および固定容量キャパシタCsが入力アナログ信号から切り離される。このスイッチSW1の操作の後、上述したサンプリング操作の際に蓄積された電荷は可変容量キャパシタCv〜Cvm−1および固定容量キャパシタCsにホールドされる。
【0017】
M個のSAR−ADC110(1)〜110(M)は、所定のサンプリング間隔で設定されたサンプリングタイミングT(1)〜T(M)に従って、順次に、循環的に上述したようなサンプリングを行う。
【0018】
図1に示したAD変換装置では、i番目のSAR−ADC110(i)に備えられた電圧補正回路111は、次のようにして、m−1−tapイコライズ機能によって補正された補正電圧を生成する。この電圧補正回路111には、i番目からi+m−2番目までの各SAR−ADC110(i)〜110(i+m−2)の可変容量キャパシタCv〜Cvm−1の端子間電圧が入力されている。つまり、i番目のSAR−ADC110(i)からの隔たりに対応する番号を持つ可変容量キャパシタの端子間電圧が、各SAR−ADC110(i)〜110(i+m−2)から電圧補正回路111に入力される。更に、電圧補正回路111には、i+m−1番目のSAR−ADC110(i+m−1)で得られるサンプリング電圧Vs(i+m−1)が入力される。
【0019】
また、上述した各SAR−ADC110(i)〜110(i+m−2)の可変容量キャパシタCv〜Cvm−1にサンプリング電圧がホールドされた後に、それぞれの容量が変更される。変更後の容量は、可変容量キャパシタCv〜Cvm−1の元の容量に、それぞれ係数g〜gm−1を乗じた値とすることができる。
【0020】
つまり、上述した電圧補正回路111には、SAR−ADC110(i)〜110(i+m−2)のサンプリング電圧Vs(i)〜Vs(i+m−2)に上述した係数g〜gm−1を乗じた電圧値と、サンプリング電圧Vs(i+m−1)とが入力される。したがって、容量制御部121により、上述した係数g〜gm−1を適切に調整すれば、電圧補正回路111で上述した入力電圧値を合成することにより、m−1−tapイコライザの機能を実現することができる。
【0021】
図1に示したi番目のSAR−ADC110(i)に備えられた電圧補正回路111では、上述したm−1−tapイコライザの機能の適用結果として、サンプリング電圧Vs(i+m−1)に対応する補正電圧が得られる。この補正電圧が、i番目のSAR−ADC110(i)に備えられた逐次比較器112に入力される。そして、この逐次比較器112の比較処理により、この補正電圧値に対応するデジタルデータが得られる。
【0022】
図1に示した例では、i番目のSAR−ADC110(i)から出力されるデジタルデータOUTPUT(i)は、サンプリングタイミングT(i+m−1)での入力アナログ信号電圧値にイコライズを適用した結果に対応するAD変換結果となる。このように、図1に示したAD変換装置の例では、AD変換過程に、m−1−tapイコライザの機能が組み込まれている。
【0023】
次に、上述したmの値を2とした1−tapイコライザ機能を有するAD変換装置の例について説明する。
(別の実施形態)
図2に、1−tapイコライザ機能を有するAD変換装置の一実施形態を示す。
【0024】
図2に示したAD変換装置は、N+3個の逐次比較型AD変換回路(SAR−ADC)110(1)〜110(N+3)と、容量制御部121を含む制御回路120とを備えている。
【0025】
なお、図2においては、N+3個のSAR−ADC110(1)〜110(N+3)のうち、i番目とi+1番目のSAR−ADC110(i)、110(i+1)について詳細構成を示している。i−1番目とi+2番目のSAR−ADC110(i−1)、110(i+2)は、SAR−ADC110(i)、110(i+1)と同様に構成される。図示を省略した1番目からi−2番目のSAR−ADC110(1)〜110(i−2)およびi+3番目からN+3番目のSAR−ADC110(i+3)〜110(N+3)も、SAR−ADC110(i)、110(i+1)と同様に構成される。以下の説明では、SAR−ADC110(1)〜110(N+3)を総称する際には、単に、SAR−ADC110と称する。
【0026】
SAR−ADC110は、可変容量キャパシタCvと、電圧補正回路111と逐次比較器112とを備えている。可変容量キャパシタCvには、スイッチSW1を介して入力アナログ信号が入力される。つまり、スイッチSW1が閉じられているときに、可変容量キャパシタCvに入力アナログ信号の電圧値に対応する電荷を蓄積することでサンプリングが行われる。そして、スイッチSW1が開かれて、可変容量キャパシタCvが入力アナログ信号から切り離されると、蓄積された電荷は可変容量キャパシタCvにホールドされる。
【0027】
N+3個のSAR−ADC110(1)〜110(N+3)は、所定のサンプリング間隔で設定されたサンプリングタイミングT(1)〜T(N+3)に従って、順次に、循環的に上述したようなサンプリングを行う。
【0028】
例えば、サンプリングタイミングT(i)では、SAR−ADC110(i)において、サンプリング電圧Vs(i)が得られる。そして、次のサンプリングタイミングT(i+1)では、i+1番目のSAR−ADC110(i+1)において、上述と同様のサンプリングが行われる。そして、SAR−ADC110(i+1)の可変容量キャパシタCvに、サンプリングタイミングT(i+1)におけるサンプリング電圧Vs(i+1)に対応する電荷Qがホールドされる。
【0029】
次に、i番目のSAR−ADC110(i)で得られるサンプリング電圧Vs(i)とi+1番目のSAR−ADC110(i+1)で得られるサンプリング電圧Vs(i+1)を用いて、イコライズ機能を実現する方法について説明する。
【0030】
図3に、イコライズ機能を説明する図を示す。図3において、サンプリング間隔τごとに設定されたサンプリングタイミングTiにおいて得られたサンプリング電圧Vs(Ti)は、入力アナログ信号波形を示すグラフにプロットされている。
【0031】
図3に示したイコライザでは、サンプリング電圧Vs(i)は、アンプ1により利得Gで増幅される。また、このとき、遅延回路τで遅延されたサンプリング電圧Vs(i−1)は、アンプ2によって利得Gで増幅される。そして、これらのアンプ1,2の出力は、加算器によって加算される。
【0032】
上述したアンプ1の利得Gとアンプ2の利得Gとを適切に設定すれば、図3に示したようなイコライザによって、伝送路における損失を補償することができる。そして、図3の左上に示したような入力信号波形を、図3の右下に示したように、矩形波に近い補正後の波形を加算器の出力電圧Vd(t)として得ることができる。
【0033】
ここで、サンプリング電圧Vs(i)の入力に対応して得られる加算器の出力電圧Vd(i)は、式(1)のように表される。
【0034】
Vd(i)=G×Vs(i)+G×Vs(i−1) ・・・(1)
一方、容量C1を持つキャパシタに蓄積される電荷Qは、キャパシタの端子間電圧Vを用いて、Q=C1×Vのように表される。したがって、電荷Qがホールドされている間に、キャパシタの容量を第1の容量C1から第2の容量C2に変化すると、このキャパシタの端子間電圧は、元の値Vsから別の値Vmに変化する。変化後の電圧値Vmは、元の電圧値Vsに、第1の容量C1と第二の容量C2との比に相当する係数kを乗じることで得られる。つまり、変化後の電圧値Vmは、元の電圧値Vsを利得kで増幅した値と見ることができる。
【0035】
上述したように、図2に示したi番目のSAR−ADC110(i)の可変容量キャパシタCvに、サンプリングタイミングT(i)においてサンプリング電圧Vs(i)と第1の容量C1との積で表される電荷Q(i)が蓄積され、この電荷Q(i)がホールドされる。
【0036】
そして、次のサンプリングタイミングT(i+1)では、i番目のSAR−ADC110(i+1)の可変容量キャパシタCvに、サンプリング電圧Vs(i+1)と第1の容量C1との積で表される電荷Q(i+1)が蓄積され、この電荷Q(i+1)がホールドされる。
【0037】
このとき、SAR−ADC110(i)の可変容量キャパシタCvの容量を第2の容量C2に変化させると、可変容量キャパシタCvの端子間電圧は、サンプリング電圧Vs(i)に上述した係数kを乗じた係数乗算電圧Vm(i)に変化する。
【0038】
したがって、この係数kを適切に設定し、サンプリング電圧Vs(i+1)から係数乗算電圧Vm(i)を減算する仕組みにより、図3に示したようなイコライザの機能を実現することができる。
【0039】
図2に示した各SAR−ADC110(1)〜(N+3)の可変容量キャパシタCvの容量は、容量制御部121からの制御信号に応じて、第1の容量C1あるいは第2の容量C2が設定される。容量制御部121は、例えば、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)に対応するサンプリングタイミングにおいて、各可変容量キャパシタCvに第1の容量を設定する。そして、サンプリングタイミングの終了に伴って、第1の容量から第2の容量への変更を指示する制御信号が、容量制御部121によって生成される。
【0040】
このようにして、第2の容量に変化させられた可変容量キャパシタCvの端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)は、SAR−ADC110(i)に備えられた電圧補正回路111に渡される。また、このとき、SAR−ADC110(i+1)からサンプリングタイミングT(i+1)に対応するサンプリング電圧Vs(i+1)が、この電圧補正回路111に渡される。
【0041】
そして、この電圧補正回路111において、例えば、サンプリング電圧Vs(i+1)と係数乗算電圧Vm(i)との差分として、補正電圧Vd(i+1)が生成される。この処理は、上述した式(1)を基に処理される。
【0042】
図2に示した例では、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)の電圧補正回路111は、差分生成部113とサンプル保持キャパシタCcとを備えている。i+1番目のSAR−ADC110(i+1)に備えられたサンプル保持キャパシタCcは、対応するサンプリングタイミングT(i+1)において、スイッチSW2を介して入力アナログ信号に接続され、入力アナログ信号のサンプリングを行う。その後、サンプル保持キャパシタCcは、ホールドしたサンプリング電圧Vs(i)を、このスイッチSW2を介して、i番目のSAR−ADC110(i)の電圧補正回路111に渡す。
【0043】
このように、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)の電圧補正回路111に備えられたサンプル保持キャパシタCcにサンプリング電圧Vsを保持させておく。これにより、各SAR−ADC110におけるサンプリング電圧Vsを、ひとつ前のサンプリングタイミングに対応するSAR−ADC110に伝えることができる。
【0044】
なお、各SAR−ADC110の電圧補正回路111に、一つ前のSAR−ADC110におけるサンプリング電圧Vsを渡す方法は、サンプル保持キャパシタCcを用いる方法に限られない。要は、サンプリング電圧Vsを保持することできればよい。
【0045】
このようにして、例えば、SAR−ADC110(i+1)から渡されたサンプリング電圧Vs(i+1)は、差分生成部113に入力される。そして、このサンプリング電圧Vs(i+1)と係数乗算電圧Vm(i)との差分として、補正電圧Vd(i+1)が生成される。このようにして生成された補正電圧Vd(i+1)は、逐次比較部112による逐次比較処理に供される。そして、この逐次比較部112の処理により、補正電圧Vd(i+1)のAD変換結果が得られる。この補正電圧Vd(i+1)のAD変換結果が、i番目のSAR−ADC110(i)の出力OUTPUT(i)として出力される。
【0046】
このようにして得られるAD変換装置の出力には、上述したように、入力アナログ信号の波形を理想的な波形に近づけるためのイコライズ処理が施される。このイコライズ処理により、従来の高速インタフェースの受信装置において、AD変換装置に前置されていたアナログイコライザと同等のイコライズ機能を果たすことができる。これにより、受信装置において、AD変換装置に前置されるアナログイコライザを不要とすることができる。なお、図2に示したような基本構成を備えたAD変換装置では、上述したイコライズ機能により整形された信号を後段の装置に渡すことができる。したがって、高速インタフェースの受信装置において、AD変換装置の後段に配置されるデジタルイコライザなどの回路の負担を軽減することができる。
【0047】
図4に、受信装置の一実施形態を示す。なお、図4に示した構成要素のうち、図2に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0048】
図4に示した受信装置においては、受信処理部の図示を省略した。なお、図4に示した入力アナログ信号は、伝送路を介して受信装置に到達した信号を反映して、この受信処理部によって生成される。
【0049】
図4に示したAD変換装置110では、2番目〜N+3番目のSAR−ADC110(2)〜(N+3)におけるサンプリング電圧Vs(2)〜Vs(N+3)は、それぞれ一つ前のSAR−ADC110(1)〜(N+2)に渡されている。そして、SAR−ADC110(1)のサンプリング電圧Vs(1)は、SAR−ADC110(N+3)に渡されている。つまり、図4に示したAD変換装置110は、N+3個のSAR−ADC110(1)〜(N+3)を循環的に用いる仕組みを備えている。
【0050】
AD変換装置110の制御回路120は、SAR制御部122を備えている。このSAR制御部122は、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)に対して、それぞれに対応するサンプルーホールド信号(S/H)により、サンプル−ホールドのタイミングを示す。また、クロック信号CLKにより、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)における逐次比較処理の同期を制御する。
【0051】
図4に示したAD変換装置110によるAD変換結果は、デジタルイコライザ101を介してCDR(Clock Data Recovery)102に入力され、Nビットの受信データとして出力される。デジタルイコライザ101において、内部でのイコライズ機能の制御に用いられる制御情報を、容量制御部121に入力し、上述した可変容量キャパシタCvの容量の設定に利用することができる。例えば、デジタルイコライザ101において抽出されるエラー情報(error)を容量制御部121に入力すればよい。
【0052】
図5に、容量制御部の一実施形態を示す。図5に示した例では、容量制御部は、変換テーブル123と、セレクタ回路125とを備えている。
【0053】
変換テーブル123は、エラー情報(error)の様々な値E(j=1〜L)に対応して、可変容量キャパシタCvの容量を設定するためのコードα、β(j=1〜L)を保持している。
【0054】
デジタルイコライザ101からのエラー情報に対応して変換テーブル123に保持されたmビットのコードα、βがそのままセレクタ回路125を介して各SAR−ADC110に渡される。
【0055】
図5に示したセレクタ回路125は、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)にそれぞれ対応するセレクタSEL(1)〜SEL(N+3)を備えている。これらのセレクタSEL(1)〜SEL(N+3)は、対応するサンプル−ホールド信号S/H(1)〜S/H(N+3)に応じて、変換テーブル123に保持されたmビットのコードα、βを、セレクタ回路125により切り替え出力する。
【0056】
これらのセレクタSEL(1)〜SEL(N+3)の出力は、容量制御信号cont(1)〜cont(N+3)として、対応するSAR−ADC110(1)〜(N+3)に入力される。この容量制御信号cont(1)〜cont(N+3)による可変容量キャパシタCvの容量の制御については、後述する。
【0057】
ところで、逐次比較型AD変換回路の逐次比較部には、入力信号と参照電圧との比較のために、デジタル−アナログ変換器(DAC)が備えられている。
【0058】
図6に、逐次比較部の構成例を示す。図6に示した例では、差動入力信号input,inputxに対応して、2つのDACと2つの比較器が備えられている。これらのDACの出力は、それぞれ対応する比較器に入力されている。
【0059】
2つのDACは、いずれも、N個のキャパシタを備えている。これらのキャパシタは、それぞれ異なる容量を有している。図6に示した例では、各キャパシタの容量は、右から容量C,容量2Cのように順に2倍になっている。また、最も左側のキャパシタでは容量2N−1Cとなり、全てのキャパシタを合計した容量は2Cとなる。
【0060】
これらのキャパシタは、それぞれに対応するスイッチにより、対応する入力信号、参照電圧referenceと接地電圧とのいずれかに接続される。これらのスイッチそれぞれの切り替えは、SAR(Successive Approximation Register)により、比較器の出力に基づいて制御される。
【0061】
図6に示した2つのDACに備えられたそれぞれN個のキャパシタは、容量2Cを持つサンプル保持キャパシタと見ることができる。つまり、逐次比較部112に備えられるDACを、サンプリング電圧Vsを一つ前のSAR−ADC110に伝えるためのサンプル保持キャパシタCcとして利用することができる。
【0062】
更に、差動型のAD変換回路には、一方の差動入力信号inputに対応するAD変換を行う第1変換部と、他方の差動入力信号inputxに対応するAD変換を行う第2変換部とが備えられる。そして、差動入力信号input,inputxでは、互いに符号が異なるので、それぞれをサンプリングして得られるサンプリング電圧Vsの符号もまた互い異なる。
【0063】
以下、差動型のAD変換回路の仕組みを利用して上述したイコライズ機能を実現する方法について説明する。
(別の実施形態)
図7に、逐次比較型AD変換回路の別実施形態を示す。なお、図7では、N+3個のSAR−ADC110のうち、1番目のSAR−ADC110(1)の構成を代表として示している。
【0064】
SAR−ADC110(1)は、それぞれDAC117を含む第1変換部114と第2変換部115とを備えている。第1変換部114には、一方の差動入力信号inputが入力され、第2変換部115には、他方の差動入力信号inputxが入力される。
【0065】
図7に示した2つのDAC117に備えられたスイッチSW3の切り替えは、SAR116によって制御される。また、第1変換部114および第2変換部115にそれぞれ備えられる比較器118の入力と出力との間にはバイパス回路が設けられている。このバイパス回路に設けられたスイッチは、サンプル−ホールド信号によってサンプリングタイミングが示されたときに閉じられ、その他の場合は開かれている。
【0066】
図7に示した例では、比較器118の入力端子は、可変容量キャパシタCvの一方の端子に接続されている。そして、可変容量キャパシタCvのもう一方の端子は、スイッチSW1を介して、入力アナログ信号、接地電位およびSAR−ADC110(2)からの入力のいずれかに接続される。
【0067】
ここで、SAR−ADC110(1)の第1変換部114に、SAR−ADC110(2)に備えられる第2変換部115のDAC117にホールドされたサンプリング電圧Vsx(2)を入力することができる。そして、SAR−ADC110(1)の第2変換部115に、SAR−ADC110(2)に備えられる第1変換部114のDAC117にホールドされたサンプリング電圧Vs(2)を入力することができる。
【0068】
例えば、第1変換部114では、サンプリングタイミングT(1)でDAC117および可変容量キャパシタCvに、差動入力信号inputに対応するサンプリング電圧Vs(1)に対応する電荷が蓄積される。その後、SAR−ADC110(2)のサンプリングタイミングにおいて、可変容量キャパシタCvの容量が変更されたことにより、可変容量キャパシタCvの端子間電圧は係数乗算電圧Vm(1)に変化する。次いで、スイッチSW1を介してSAR−ADC110(2)からサンプリング電圧Vsx(2)の入力を受け取る。すると、可変容量キャパシタCvの比較器118に接続された端子の電位として、上述したサンプリング電圧Vsx(2)と係数乗算電圧Vm(1)の差分が得られる。つまり、上述したサンプリング電圧Vsx(2)を、SAR−ADC110(1)の第1変換部114に備えられたスイッチSW1に導く回路と、このスイッチSW1および可変容量キャパシタCvとにより、差分生成部113の機能が実現されている。このようにして、比較器118に補正電圧Vdx(2)が入力される。そして、SAR−ADC110(2)のDAC117の動作に応じて、比較器118の出力として、上述した補正電圧Vdx(2)に対応するデジタルデータの各ビットが得られる。これが、SAR−ADC110(1)の出力output(1)として出力される。
【0069】
同様に、第2変換部115では、サンプリングタイミングT(1)でDAC117および可変容量キャパシタCvに、差動入力信号inputxに対応するサンプリング電圧Vsx(1)に対応する電荷が蓄積される。その後、SAR−ADC110(2)のサンプリングタイミングにおいて、可変容量キャパシタCvの変更されたことにより、可変容量キャパシタCvの端子間電圧は係数乗算電圧Vmx(1)に変化する。次いで、スイッチSW1を介してSAR−ADC110(2)からサンプリング電圧Vs(2)の入力を受け取る。すると、可変容量キャパシタCvの比較器118に接続された端子の電位として、上述したサンプリング電圧Vs(2)と係数乗算電圧Vmx(1)の差分が得られる。つまり、SAR−ADC110(2)のサンプリング電圧Vs(2)を、SAR−ADC110(2)の第2変換部115に備えられたスイッチSW1に導く回路と、このスイッチSW1とにより、差分生成部113の機能が実現されている。このようにして、比較器118に補正電圧Vd(2)が入力される。そして、SAR−ADC110(2)のDAC117の動作に応じて、比較器118の出力として、上述した補正電圧Vd(2)に対応するデジタルデータの各ビットが得られる。これが、SAR−ADC110(1)の出力outputx(1)として出力される。
【0070】
このように、差動型のAD変換装置では、一つ後のSAR−ADC110から、異符号の差動入力信号に対応するサンプリング電圧Vsを受け取って、可変容量キャパシタCvに入力し、可変容量キャパシタCvを加算器として用いることができる。
【0071】
図8に、可変容量キャパシタの一実施形態を示す。なお、図8に示した構成要素のうち、図7に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0072】
また、図8に示したスイッチSW1において、端子T1は入力信号に接続され、端子T2は接地されている。そして、端子T3には、一つ後のサンプリングタイミングに対応するSAR−ADCによるサンプリング電圧が入力される。
【0073】
図8の例では、可変容量キャパシタCvは、m個のキャパシタ素子C〜Cと、これらのキャパシタ素子に対応するスイッチを含むスイッチ回路119とを備えている。スイッチ回路119に含まれるm個のスイッチは、mビットの容量制御信号contの各ビットに対応し、キャパシタ素子C〜CをスイッチSW1あるいは参照電圧Vrefに接続する。
【0074】
このような可変容量キャパシタCvは、図5に示したような容量制御部121と組み合わせて用いることができる。この組み合わせを採用した場合は、各SAR−ADC110にそれぞれm本の配線により、容量制御信号contを表すコードα、βを伝え、それぞれの可変容量キャパシタCvの容量を制御することができる。なお、上述した構成例では、各SAR−ADC110に対応する容量制御信号contは、変換テーブル123とによって生成される。つまり、図5に示した構成例では、変換テーブル123セレクタ回路125とは、コード生成部に相当する。
【0075】
次に、上述した構成を有するAD変換装置に含まれる各SAR−ADC110(1)〜(N+3)にそれぞれ備えられる第1変換部、第2変換部のレイアウト例について説明する。
(別の実施形態)
図9に、AD変換装置の別実施形態を示す。なお、図9において、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)に含まれる第1変換部114、第2変換部115をそれぞれSAR−ADC110の番号を示す添え字を符号に付して示した。例えば、第1変換部114、第2変換部115は、SAR−ADC110(1)に含まれる。
【0076】
図9は、SAR−ADC110の分解能を示すNが奇数である場合に適したレイアウトの例を示している。Nが奇数である場合に、N+3は偶数となる。この場合に、図9に示すように、奇数番目のSAR−ADC110(2n−1)(n=1〜(N+3)/2)に属する第1変換部114と偶数番目のSAR−ADC110(2n)(n=1〜(N+3)/2)に属する第2変換部115とを含む第1グループを形成する。一方、第2グループには、奇数番目のSAR−ADC110(2n−1)(n=1〜(N+3)/2)に属する第2変換部115と偶数番目のSAR−ADC110(2n)(n=1〜(N+3)/2)に属する第1変換部114とが含まれる。
【0077】
図9に示した第1グループおよび第2グループでは、各サンプリングタイミングに対応するSAR−ADC110の第1変換部114と第2変換部115とが交互に配置されている。このような配置では、例えば、1番目のSAR−ADC110(1)の第1変換部114に隣接して、2番目のSAR−ADC110(2)の第2変換部115が配置される。したがって、SAR−ADC110(1)の第1変換部114は、半導体ダイ上で隣接して配置されるSAR−ADC110(2)の第2変換部115から、係数乗算電圧Vm(1)に加算されるサンプリング電圧Vsx(2)を受け取ることができる。このように、図9に示したようなレイアウトでは、各第1変換部114および各第2変換部115は、隣接して配置された第2変換部115および第1変換部114から一つ後のサンプリングタイミングに対応するサンプリング電圧Vsを受け取ることができる。したがって、図9に示したような配置を採用することにより、上述したイコライズ機能を実現するための配線の短縮を図ることができる。
【0078】
なお、図9に示した例では、1番目のSAR−ADC110(1)に属する第1変換部114のサンプリング電圧Vs(1)は、同一の第1グループにおいてN+3番目に配置された第2変換部115N+3に導かれている。そして、第2変換部115のサンプリング電圧Vsx(1)は、同一の第2グループにおいてN+3番目に配置された第1変換部114N+3に導かれている。
【0079】
同様の配置は、SAR−ADCの分解能が偶数ビットの場合にも適用することができる。
(更に別の実施形態)
図10に、AD変換装置の別実施形態を示す。なお、図10に示した構成要素のうち、図9に示した構成要素と同等のものについては、同一の符号を付して示し、その説明は省略する。
【0080】
各SAR−ADCの分解能が偶数ビットの場合には、SAR−DAC110の個数N+3は奇数となる。このため、上述したように第1変換部114と第2変換部115とが交互に配置すると、第1グループでは、最初とN+3番目に第1変換部114が配置され、第2グループでは、最初とN+3番目に第2変換部115が配置される。
【0081】
この場合は、第1グループの先頭に配置された第1変換部114によるサンプリング電圧Vs(1)は、第2グループのN+3番目に配置された第2変換部115N+3に導かれる。同様に、第2グループの先頭に配置された第2変換部115によるサンプリング電圧Vsx(1)は、第1グループのN+3番目に配置された第1変換部114N+3に導かれる。
【0082】
次に、上述した第1グループに属する第1変換部114と第2変換部115とを例にとって、AD変換装置の時分割動作を説明する。
【0083】
図11に、サンプリング動作を説明する図を示す。また、図12に、ホールド動作を説明する図を示す。更に、図13に、イコライズ動作およびAD変換動作を説明する図を示す。更にまた、図14に、リセット動作を説明する図を示す。また、図15に、AD変換装置の動作を説明するタイミング図を示す。
【0084】
なお、図15において、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)に対応するサンプリングタイミングを、それぞれ符号T(1)〜T(N+3)を付して示した。サンプリングタイミングは、クロックCLKのN+3周期で一巡し、N+4周期目からは、新たなサイクルが開始される。また、図15では、上述したサンプリングタイミングに対応して、サンプルーホールド信号S/H(1)〜S/H(N+3)および容量制御信号cont(1)〜cont(N+3)の変化を示している。
【0085】
図11に示した例は、SAR−ADC110(1)に対応するサンプリングタイミングT(1)における第1変換部114および第2変換部115の各スイッチSWの接続状態を示している。
【0086】
サンプリングタイミングT(1)では、SAR−ADC110(1)に対するサンプル−ホールド信号S/H(1)は、Hレベルに変化する(図15参照)。これに応じて、図11に示すように、SAR−ADC110(1)に属する第1変換部114のスイッチSW1〜スイッチSW3はいずれも、端子T1に接続される。また、上述したサンプル−ホールド信号S/H(1)の変化に応じて、比較器118のバイパス回路に設けられたスイッチはオンとなる。このとき、可変容量キャパシタCvとサンプル保持キャパシタCcは、スイッチSW2を介して接続される。そして、可変容量キャパシタCvおよびサンプル保持キャパシタCcに、それぞれ対応するスイッチSW1,SW3を介して、入力信号inputが入力される。このようにして、第1変換部114の可変容量キャパシタCvおよびサンプル保持キャパシタCcにより、サンプリングタイミングT(1)における入力信号inputがサンプリングされる。なお、サンプリングタイミングT(1)において、容量制御信号cont(1)は、電圧値V1に変化する(図15参照)。これに応じて、第1変換部114の可変容量キャパシタCvの容量は、電圧値V1に対応する第1の容量C1に設定される。
【0087】
図12に示した例は、SAR−ADC110(2)に対応するサンプリングタイミングT(2)における第1変換部114および第2変換部115の各スイッチSWの接続状態を示している。
【0088】
サンプリングタイミングT(2)では、SAR−ADC110(2)に対するサンプル−ホールド信号S/H(1)は、Hレベルに変化する(図15参照)。これに応じて、図12に示したSAR−ADC110(2)に属する第2変換部115のスイッチSW1〜スイッチSW3および比較器118のバイパス回路に設けられたスイッチは、図11に示した第1変換部114と同様に操作される。そして、第2変換部115の可変容量キャパシタCvおよびサンプル保持キャパシタCcにより、サンプリングタイミングT(2)における入力信号inputxがサンプリングされる。なお、サンプリングタイミングT(2)において、容量制御信号cont(2)は、電圧値V1に変化する(図15参照)。これに応じて、第2変換部115の可変容量キャパシタCvの容量は、第1の容量C1に設定される。
【0089】
一方、SAR−ADC110(1)に対するサンプル−ホールド信号S/H(1)は、サンプリングタイミングT(2)において、Lレベルに変化する(図15参照)。これに応じて、図12に示すように、SAR−ADC110(1)に属する第1変換部114では、上述したバイパス回路のスイッチはオフとなる。また、各スイッチSW1〜SW3は、いずれも端子T2に接続される。これにより、第1変換部114の可変容量キャパシタCvおよびサンプル保持キャパシタCcは、いずれも入力信号inputから切り離される。また、スイッチSW2の切り替えにより、可変容量キャパシタCvとサンプル保持キャパシタCcとの間の接続も切り離される。これにより、サンプリング電圧Vs(1)は、第1変換部114の可変容量キャパシタCvとサンプル保持キャパシタCcとで個別にホールドされる。
【0090】
また、サンプリングタイミングT(2)では、容量制御信号cont(1)は、電圧値V2に変化する(図15参照)。これに応じて、第1変換部114の可変容量キャパシタCvの容量は、電圧値V2に対応する第1の容量C2に変更される。これにより、第1変換部114の可変容量キャパシタCvの端子間電圧は、サンプリング電圧Vs(1)に第1の容量C1と第2の容量C2との比を乗じた係数乗算電圧Vm(1)に変化する。
【0091】
図13に示した例は、サンプリングタイミングT(3)〜T(N+2)までの期間における第1変換部114および第2変換部115の各スイッチSWの接続状態を示している。
【0092】
サンプリングタイミングT(3)において、SAR−ADC110(2)に対するサンプル−ホールド信号S/H(2)は、Lレベルに変化する(図15参照)。これに応じて、図13に示すように、SAR−ADC110(2)に属する第2変換部115では、上述したSAR−ADC110(1)に属する第1変換部114と同様のホールド操作が行われる。このホールド操作により、サンプリング電圧Vsx(2)は、第2変換部115の可変容量キャパシタCvとサンプル保持キャパシタCcとで個別にホールドされる。
【0093】
SAR−ADC110(1)に属する第1変換部114では、サンプリングタイミングT(3)〜T(N+2)までの期間にわたって、スイッチSW1が端子T3に接続される。また、上述したSAR−ADC110(2)に属する第2変換部115におけるホールド操作で、この第2変換部115のスイッチSW2が端子2に接続されている。これらのスイッチ操作により、第2変換部115のサンプル保持キャパシタCcと第1変換部114の可変容量キャパシタCvとを直列に接続する回路が形成される。そして、第2変換部115のサンプル保持キャパシタCcにホールドされたサンプリング電圧Vsx(2)と第1変換部114の可変容量キャパシタCvに保持された係数乗算電圧Vm(1)とが加算される。これにより、図3に示した1タップのデジタルイコライザと同等のイコライズ作用がサンプリング電圧Vsx(2)に対して施され、補正電圧Vdx(2)が得られる。
【0094】
そして、第2変換部115において、サンプル保持キャパシタCcに含まれるN個のキャパシタに対応するスイッチは、サンプリングタイミングT(3)〜T(N+2)までの期間にわたって、クロック信号に同期して順次に操作される。各サンプリングタイミングにおけるスイッチ操作に応じた参照電圧との比較結果は、第1変換部114の比較器118によって検出される。これにより、補正電圧Vdx(2)に対応するNビットのデジタルデータの各ビットが確定され、第1変換部114の出力output(1)として出力される。
【0095】
なお、SAR−ADC110(2)に属する第2変換部115では、SAR−ADC110(1)に属する第1変換部114から一つ遅れたサンプリングタイミングT(4)において、可変容量キャパシタCvに対応するスイッチSW1が端子T3に接続される。そして、SAR−ADC110(2)の第2変換部115の可変容量キャパシタCvとSAR−ADC110(3)の第1変換部114のサンプル保持キャパシタCcとが直列に接続され、上述したイコライズ処理が行われる。そして、このイコライズ処理結果として得られた補正電圧Vd(3)は、サンプリングタイミングT(5)からクロック信号のN周期分の期間において、上述したようにして逐次比較AD変換される。また、得られたAD変換結果は、SAR−ADC110(2)の第2変換部115の出力output(2)として出力される。
【0096】
図14に示した例は、サンプリングタイミングT(N+3)における第1変換部114および第2変換部115の各スイッチSWの接続状態を示している。
【0097】
サンプリングタイミングT(N+3)において、SAR−ADC110(2)に属する第2変換部115では、上述した期間におけるスイッチ接続状態が維持される。
【0098】
一方、SAR−ADC110(1)の第1変換部114では、スイッチSW2が端子T3に接続され、サンプル保持キャパシタCcに対応するスイッチSW3は端子T2に接続される。これにより、サンプル保持キャパシタCcの両端が接地電位に接続され、サンプル保持キャパシタCcはリセットされる。
【0099】
このように、各SAR−ADC110では、上述したサンプリング動作、ホールド動作、イコライズおよびAD変換動作、そしてリセット動作を1つのサイクルとして繰り返す。そして、このようなサイクルの処理は、各SAR−ADC110(1)〜(N+3)により、1クロックずつタイミングをずらして実行される。
【0100】
ところで、各SAR−ADC110に備えられる可変容量キャパシタCvの構成は、図8に示した構成に限られない。
【0101】
以上の説明に関して、更に、以下の各項を開示する。
(付記1) Nビット分解能を有するM個(M≧N+3)の逐次比較型AD変換回路(1)〜(M)と、
前記M個の逐次比較型AD変換回路を、それぞれの番号順のサンプリングタイミングT(i)に対応付けて時分割動作させる制御回路と、
を備え、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)は、
入力アナログ信号のサンプリングタイミングT(i)でのサンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷Q(i)を保持するm−1個の可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1と、
前記各可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1の容量の変更に応じて、サンプリングタイミングT(i)〜T(i+m−2)までに対応する逐次比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)内の、容量が変更された前記可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1の端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)〜Vm(i+m−2)と、サンプリングタイミングT(i+m−1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+m−1)のサンプリング電圧Vs(i+m−1)とに基づいて、前記サンプリング電圧Vs(i+m−1)に対応する補正電圧Vd(i+m−1)を生成する電圧補正回路と、
前記補正電圧Vd(i+m−1)と所定の参照電圧とを比較することにより、前記補正電圧Vd(i+m−1)に対応するNビットのデジタル出力を生成する逐次比較部と、
を備え、
前記各比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)に対して、各比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)内の可変容量キャパシタの容量を変化させる容量制御部を備えたことを特徴とするAD変換装置。
(付記2) 付記1に記載のAD変換装置において、
m=2であり、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)は、
入力アナログ信号のサンプリングタイミングT(i)でのサンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷Q(i)を保持する可変容量キャパシタと、
前記可変容量キャパシタの容量の変更に応じて、容量が変更された前記可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)と、サンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+1)のサンプリング電圧Vs(i+1)とから、前記サンプリング電圧Vs(i+1)に対応する補正電圧Vd(i+1)を生成する電圧補正回路と、
前記補正電圧Vd(i+1)と所定の参照電圧とを比較することにより、前記補正電圧Vd(i+1)に対応するNビットのデジタル出力を生成する逐次比較部と、
を備え、
前記制御回路は、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)に対して、前記サンプリングタイミングT(i+1)において、当該逐次比較型AD変換回路(i)の可変容量キャパシタの容量を第1の容量から第2の容量に変化させる容量制御部と、
を備えた
ことを特徴とするAD変換装置(1)。
(付記3) 付記2に記載のAD変換装置において、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)の電圧補正回路は、
前記サンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷を保持し、一つ前のサンプリングタイミングT(i−1)に対応する前記各逐次比較型AD変換回路(i−1)の前記電圧補正回路の処理に供する別のサンプル保持キャパシタと、
一つ後のサンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記電圧補正回路に含まれる前記サンプル保持キャパシタに保持された電荷に対応する電圧V(i+1)から、前記係数乗算電圧Vm(i)を減算することにより、前記補正電圧Vd(i+1)を生成する差分生成部と、
を備えた
ことを特徴とするAD変換装置。
(付記4) 付記2に記載のAD変換装置において、
前記可変容量キャパシタは、
並列接続された複数のキャパシタ素子と、
前記複数のキャパシタ素子の数と同じビット数を持つ制御コードの各ビット値に応じて、対応する前記キャパシタを前記可変容量キャパシタの容量として寄与させるように接続するスイッチ回路と、
を有し、
前記容量制御部は、前記可変容量キャパシタの容量が所望の容量となるように、前記スイッチ回路による接続を制御する前記制御コードを生成するコード生成部を備える
ことを特徴とするAD変換装置。
(付記5) 付記3に記載のAD変換装置において、
前記入力アナログ信号は、互いに符号が逆である第1入力信号と第2入力信号とを含む差動信号であり、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)は、
前記第1入力信号が入力される第1変換部と、
前記第2入力信号が入力される第2変換部と、
を備え、
前記第1変換部および前記第2変換部は、それぞれ、前記可変容量キャパシタと前記電圧補正回路とを備え、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)の前記第1変換部に備えられた前記電圧補正回路は、
前記第1変換部に備えられた前記可変容量キャパシタの容量が前記第2の容量に変化させられた際に前記可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)と、一つ後のサンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+1)の前記第2変換部の前記電圧補正回路に含まれる前記サンプル保持キャパシタに保持されたサンプリング電圧Vsx(i+1)と、を加算して、前記サンプリングタイミングT(i+1)に対応する補正電圧Vdx(i+1)を得る第1加算器と、
を備え、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)の前記第2変換部に備えられた前記電圧補正回路は、
前記第1変換部に備えられた前記可変容量キャパシタの容量が前記第2の容量に変化させられた際に前記可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vmx(i)と、前記サンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+1)の前記第1変換部の前記電圧補正回路に含まれる前記サンプル保持キャパシタに保持されたサンプリング電圧Vs(i+1)と、を加算して、前記サンプリングタイミングT(i+1)に対応する補正電圧Vd(i+1)を得る第2加算器と、
を備えた
ことを特徴とするAD変換装置。
(付記6) 付記5に記載のAD変換装置において、
前記逐次比較型AD変換回路の個数N+3は、偶数であり、
奇数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第1変換部と偶数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第2変換部とが、前記AD変換装置が形成される半導体ダイにおいて交互に並ぶように配列された第1グループと、
奇数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第2変換部と偶数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第1変換部とが、前記半導体ダイにおいて交互に並ぶように配列された第2グループと、
を備え、
前記第1グループの末尾に配列される前記逐次比較型AD変換回路(N+3)の前記第2変換部の前記第2加算器に、前記第2の容量に変化させられた前記第1変換部の可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vmx(N+3)と、前記第1グループの先頭に配列される前記逐次比較型AD変換回路(1)の前記第1変換部に備えられた前記サンプル保持キャパシタの端子間電圧に対応する電圧V(1)とを入力するように配線し、
前記第2グループの末尾に配列される前記逐次比較型AD変換回路(N+3)の前記第1変換部の前記第1加算器に、前記第2の容量に変化させられた前記第1変換部の可変容量キャパシタの端子間に現れる電圧V(N+3)と、前記第2グループの先頭に配列される前記逐次比較型AD変換回路(1)の前記第2変換部に備えられた前記サンプル保持キャパシタの端子間電圧に対応する電圧Vx(1)とを入力するように配線する
ことを特徴とするAD変換装置。
(付記7) 付記5に記載のAD変換装置において、
前記逐次比較型AD変換回路の個数N+3は、奇数であり、
奇数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第1変換部と偶数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第2変換部とが、前記AD変換装置が形成される半導体ダイにおいて交互に並ぶように配列された第1グループと、
奇数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第2変換部と偶数番目の前記逐次比較型AD変換回路に含まれる前記第1変換部とが、前記半導体ダイにおいて交互に並ぶように配列された第2グループと、
を備え、
前記第1グループの末尾に配列される前記逐次比較型AD変換回路(N+3)の前記第1変換部の前記第1加算器に、前記第2の容量に変化させられた前記第1変換部の可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vm(N+3)と、前記第2グループの先頭に配列される前記逐次比較型AD変換回路(1)の前記第2変換部に備えられた前記サンプル保持キャパシタの端子間電圧に対応する電圧Vx(1)とを入力するように配線し、
前記第2グループの末尾に配列される前記逐次比較型AD変換回路(N+3)の前記第2変換部の前記第2加算器に、前記第2の容量に変化させられた前記第2変換部の可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vmx(N+3)と、前記第1グループの先頭に配列される前記逐次比較型AD変換回路(1)の前記第1変換部に備えられた前記サンプル保持キャパシタの端子間電圧に対応する電圧V(1)とを入力するように配線する
ことを特徴とするAD変換装置。
【符号の説明】
【0102】
101 デジタルイコライザ
102 CDR
110 逐次比較型AD変換回路(SAR−ADC)
111 電圧補正回路
112 逐次比較部
113 差分生成部
114 第1変換部
115 第2変換部
116 逐次比較レジスタ(SAR)
117 デジタルアナログ変換器(DAC)
118 比較器
119 スイッチ回路
120 制御回路
121 容量制御部
122 SAR制御部
123 変換テーブル
125 セレクタ回路
Cv 可変容量キャパシタ
Cc サンプル保持キャパシタ
Cs 固定容量キャパシタ
SW1,SW2,SW3 スイッチ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
Nビット分解能を有するM個(M≧N+3)の逐次比較型AD変換回路(1)〜(M)と、
前記M個の逐次比較型AD変換回路を、それぞれの番号順のサンプリングタイミングT(i)に対応付けて時分割動作させる制御回路と、
を備え、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)は、
入力アナログ信号のサンプリングタイミングT(i)でのサンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷Q(i)を保持するm−1個の可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1と、
前記各可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1の容量の変更に応じて、サンプリングタイミングT(i)〜T(i+m−2)までに対応する逐次比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)内の、容量が変更された前記可変容量キャパシタCv1〜Cvm−1の端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)〜Vm(i+m−2)と、サンプリングタイミングT(i+m−1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+m−1)のサンプリング電圧Vs(i+m−1)とに基づいて、前記サンプリング電圧Vs(i+m−1)に対応する補正電圧Vd(i+m−1)を生成する電圧補正回路と、
前記補正電圧Vd(i+m−1)と所定の参照電圧とを比較することにより、前記補正電圧Vd(i+m−1)に対応するNビットのデジタル出力を生成する逐次比較部と、
を備え、
前記各比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)に対して、前記各比較型AD変換回路(i)〜(i+m−2)内の前記可変容量キャパシタの容量を変化させる容量制御部を備えたことを特徴とするAD変換装置。
【請求項2】
請求項1に記載のAD変換装置において、
m=2であり、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)は、
入力アナログ信号のサンプリングタイミングT(i)でのサンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷Q(i)を保持する可変容量キャパシタと、
前記可変容量キャパシタの容量の変更に応じて、容量が変更された前記可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)と、サンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+1)のサンプリング電圧Vs(i+1)とから、前記サンプリング電圧Vs(i+1)に対応する補正電圧Vd(i+1)を生成する電圧補正回路と、
前記補正電圧Vd(i+1)と所定の参照電圧とを比較することにより、前記補正電圧Vd(i+1)に対応するNビットのデジタル出力を生成する逐次比較部と、
を備え、
前記制御回路は、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)に対して、前記サンプリングタイミングT(i+1)において、当該逐次比較型AD変換回路(i)の可変容量キャパシタの容量を第1の容量から第2の容量に変化させる容量制御部と、
を備えた
ことを特徴とするAD変換装置。
【請求項3】
請求項2に記載のAD変換装置において、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)の電圧補正回路は、
前記サンプリング電圧Vs(i)に相当する電荷を保持し、一つ前のサンプリングタイミングT(i−1)に対応する前記各逐次比較型AD変換回路(i−1)の前記電圧補正回路の処理に供する別のサンプル保持キャパシタと、
一つ後のサンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記電圧補正回路に含まれる前記サンプル保持キャパシタに保持された電荷に対応する電圧V(i+1)から、前記係数乗算電圧Vm(i)を減算することにより、前記補正電圧Vd(i+1)を生成する差分生成部と、
を備えた
ことを特徴とするAD変換装置。
【請求項4】
請求項2に記載のAD変換装置において、
前記可変容量キャパシタは、
並列接続された複数のキャパシタ素子と、
前記複数のキャパシタ素子の数と同じビット数を持つ制御コードの各ビット値に応じて、対応する前記キャパシタを前記可変容量キャパシタの容量として寄与させるように接続するスイッチ回路と、
を有し、
前記容量制御部は、前記可変容量キャパシタの容量が所望の容量となるように、前記スイッチ回路による接続を制御する前記制御コードを生成するコード生成部を備える
ことを特徴とするAD変換装置。
【請求項5】
請求項3に記載のAD変換装置において、
前記入力アナログ信号は、互いに符号が逆である第1入力信号と第2入力信号とを含む差動信号であり、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)は、
前記第1入力信号が入力される第1変換部と、
前記第2入力信号が入力される第2変換部と、
を備え、
前記第1変換部および前記第2変換部は、それぞれ、前記可変容量キャパシタと前記電圧補正回路とを備え、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)の前記第1変換部に備えられた前記電圧補正回路は、
前記第1変換部に備えられた前記可変容量キャパシタの容量が前記第2の容量に変化させられた際に前記可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vm(i)と、一つ後のサンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+1)の前記第2変換部の前記電圧補正回路に含まれる前記サンプル保持キャパシタに保持されたサンプリング電圧Vsx(i+1)と、を加算して、前記サンプリングタイミングT(i+1)に対応する補正電圧Vdx(i+1)を得る第1加算器と、
を備え、
前記各逐次比較型AD変換回路(i)の前記第2変換部に備えられた前記電圧補正回路は、
前記第1変換部に備えられた前記可変容量キャパシタの容量が前記第2の容量に変化させられた際に前記可変容量キャパシタの端子間に現れる係数乗算電圧Vmx(i)と、前記サンプリングタイミングT(i+1)に対応する前記逐次比較型AD変換回路(i+1)の前記第1変換部の前記電圧補正回路に含まれる前記サンプル保持キャパシタに保持されたサンプリング電圧Vs(i+1)と、を加算して、前記サンプリングタイミングT(i+1)に対応する補正電圧Vd(i+1)を得る第2加算器と、
を備えた
ことを特徴とするAD変換装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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