説明

ATC信号送信装置及びATC信号送信方法

【課題】列車長より短い軌道回路が連続する高密度運転区間におけるATC送信器の設備台数を削減して地上設備のコスト低減を図る。
【解決手段】ATC送信器1bから出力するATC信号を、送信切換回路2bで列車長より短い長さの複数の軌道回路21T〜25Tを有し、かつ列車長より長い制御区間20CAの各軌道回路21T〜25Tに順次切り換えて送信して、軌道回路21T〜25Tの長さを列車長より短くした高密度運転区間において制御区間20CAに1台のATC送信器1bを設ければ良く、ATC送信器の設備台数を削減して地上設備のコスト低減を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、軌道回路を伝送路として列車に対してATC信号を送信するATC信号送信装置及びATC信号送信方法、特に高密度運転区間における地上設備の簡略化に関するものである。
【背景技術】
【0002】
列車の速度を自動的に制限速度以下に制御するため、先行列車の位置と進路の条件等により定まる停止目標位置と現在の在線位置で定められたATC信号を軌道回路に送信して列車に送信し、列車に搭載された車上装置は受信した列車制御信号から算出される停止目標位置までの照査速度パターンに基づき連続的に列車を減速するようにしている。
【0003】
このATC信号を使用して列車を高密度運転するため、非特許文献1に示されたATC信号送信装置は、図7に示すように、軌道回路1T〜nTを列車3の長さより短く細分化し、列車間隔を最低1軌道回路とする全重複式とし、2軌道回路毎にATC送信器10a〜10nを設け、別途設けた列車在線を検出する列車検出結果に基づき列車3が在線する軌道回路の先端よりATC信号を送信している。例えば列車3が軌道回路11T〜軌道回路22Tに在線している場合、ATC送信器10bからATC信号を軌道回路22Tの先端より送信し、ATC送信器10aは稼動しない状態になっている。
【0004】
列車3にATC信号を送信するためのATC送信器10a〜ATC送信器10nは、列車3に対して稼動するものであることから、列車長より短い軌道回路が連続する場合、2軌道回路毎に送信器10を配置する従来の方法では送信器の稼動率が低下する。例えば図8(a)〜(c)に示すように、列車長の1/3より短い長さの軌道回路が連続する場合、2軌道回路毎にATC送信器10a〜10nを設け、前後の列車間隔を1軌道回路空ける全重複式においては、高密度運転で列車3が最大在線状態であっても、稼動するATC送信器10は40%であり、多くのATC装置10が稼動していなく無駄が多く、地上設備に多くの費用を要し、ATC装置の無駄を省くことが課題である。
【0005】
この無駄を省く列車制御方法が例えば特許文献1や特許文献2及び特許文献3に開示されている。この列車制御方法は、図9に示すように、複数の軌道回路1T〜10Tよりなる制御区間に同時に投入される列車3の本数に対応して複数のATC送信器10a〜10dを設け、各ATC装置10a〜10dと各軌道回路1T〜10Tとの間の接続を送信出力切換部11の送信切換回路で選択的に切り替えるようにしている。そして列車3が制御区間に進入すると、送信出力切換部11は例えばATC装置10aを軌道回路1Tに接続してATC装置10aからATC信号を軌道回路1Tに送信し、列車3の在線位置に応じてATC信号の送信先を軌道回路2T〜10Tと順次切り替え、例えば列車3が軌道回路4Tに在線しているとき後続列車が制御区間に進入するとATC装置10bを軌道回路1Tに接続してATC装置10bからも制御区間にATC信号を送信する。このように投入される列車3の本数に対応して複数のATC送信器10a〜10dを設け、各ATC送信器10a〜10dから送信するATC信号を列車3の在線位置に応じて軌道回路1T〜10Tと順次切り替えるから、制御区間に所定の本数の列車が投入されたとき、全てのATC装置10a〜10dを稼動して非稼動のATC送信器10はなく無駄を省くことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この列車制御方法は送信出力切換部11に、ATC送信器10a〜10d毎に制御区間を構成する軌道回路単位の送信切換回路を必要とすることから、制御区間を構成する軌道回路数とATC送信器台数を掛け合わせた送信切換回路が必要となる。制御区間を構成する軌道回路数に対して同時に制御区間に投入する列車本数が少ない場合には送信切換回路が少なくて有効ではあるが、列車長より短い軌道回路が連続する高密度運転区間においては送信切換回路が増大して効果は半減するという問題がある。
【0007】
この発明は、このような問題を解消し、列車長より短い軌道回路が連続する高密度運転区間におけるATC送信器の設備台数を削減して地上設備のコスト低減を図るATC信号送信装置及びATC信号送信方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のATC信号送信装置は、ATC送信器と送信切換手段を有し、前記ATC送信器は、列車長より短い長さの軌道回路を複数有し、かつ列車長より長い制御区間ごとに設けられ、列車の位置情報等の進路の条件を入力して列車の速度を制御するATC信号を生成して前記送信切換手段に出力し、前記送信切換手段は、前記ATC送信器から出力されたATC信号を送信対象制御区間の各軌道回路に送信するものであり、送信対象制御区間内における列車長の異なる列車を含めた列車の在線状態に応じて送信する軌道回路を切り換えることを特徴とする。
【0009】
前記信号切換手段は、送信対象制御区間の各軌道回路の列車在線・非在線条件を組合せた論理回路を有し、送信対象制御区間内に列車が在線する場合は、列車の先端が在線する軌道回路の前方からATC信号を送信し、列車の先端が送信対象制御区間を通り越した状態で送信対象制御区間に続行列車が進入すると続行列車の先端が在線する軌道回路の前方からATC信号を送信することを特徴とする。
【0010】
また、前記ATC送信器は、信号生成部と送信部とを有し、前記信号生成部は、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間の列車進行方向前方の制御区間内に入りきって在線する場合は、先行列車が在線する制御区間の前記ATC送信器の送信対象制御区間に隣接する最終軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間と列車進行方向前方の制御区間に跨って在線する場合は、前記ATC送信器の送信対象制御区間の先行列車後端が在線する軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車の先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、前記送信部は、前記信号生成部で生成したATC信号を前記信号切換手段に出力することを特徴とする。
【0011】
この発明のATC信号送信方法は、列車長より短い長さの軌道回路を複数有し、かつ列車長より長い制御区間ごとに設けられたATC送信器により、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間の列車進行方向前方の制御区間内に入りきって在線する場合は、先行列車が在線する制御区間の前記ATC送信器の送信対象制御区間に隣接する最終軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間と列車進行方向前方の制御区間に跨って在線する場合は、前記ATC送信器の送信対象制御区間の先行列車後端が在線する軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車の先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、前記送信対象制御区間内に列車が在線する場合は、列車の先端が在線する軌道回路の前方から生成したATC信号を送信し、列車の先端が前記送信対象制御区間を通り越した状態で前記送信対象制御区間に続行列車が進入すると続行列車の先端が在線する軌道回路の前方から生成したATC信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、ATC送信器から出力するATC信号を、列車長より短い長さの複数の軌道回路を有し、かつ列車長より長い制御区間の各軌道回路に順次切り換えて送信することにより、軌道回路の長さを列車長より短くした高密度運転区間において各制御区間に1台のATC送信器を設ければ良く、ATC送信器の設備台数を削減して地上設備のコスト低減を図ることができる。
【0013】
また、信号切換手段は、送信対象制御区間の各軌道回路の列車在線・非在線条件を組合せた論理により送信対象制御区間内に列車が在線する場合は、列車の先端が在線する軌道回路の前方からATC信号を送信し、列車の先端が送信対象制御区間を通り越した状態で送信対象制御区間に後続列車が進入すると後続列車の先端が在線する軌道回路の前方からATC信号を送信するから信号切換手段の構成を簡略化することができる。
【0014】
さらに、先行列車が送信対象制御区間の列車進行方向前方の制御区間内に入りきって在線する場合は、先行列車が在線する制御区間の送信対象制御区間に隣接する最終軌道回路から送信対象制御区間に進入した列車の先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成するから、編成長が短い先行列車が送信対象制御区間の前方制御区間内に入りきって在線して前方制御区間の後方の軌道回路が列車非在線になっても制御対象制御区間に在線する列車が前方制御区間に進入することを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明のATC信号送信器の構成を示すブロック図である。
【図2】ATC送信器の構成を示すブロック図である。
【図3】送信切換回路の構成を示す論理回路図である。
【図4】ATC信号の送信点の切り換えを示す送信点遷移図である。
【図5】列車の在線位置に対応したATC信号を示す信号分布図である。
【図6】列車の在線位置に対応したATC信号を生成する論理回路図である。
【図7】高密度運転区間におけるATC送信器の配置を示すブロック図である。
【図8】高密度運転区間におけるATC送信器の使用状態を示すブロック図である。
【図9】稼動しないATC装置を低減する従来の列車制御方法を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、この発明のATC信号送信装置の構成を示すブロック図である。ATC信号送信装置は、軌道回路i1T〜軌道回路i5T(i=1〜4)を伝送路として列車3に対してATC信号を送信するものであり、ATC送信器1a〜ATC送信器1dと送信切換回路2a〜送信切換回路2dを有する。軌道回路i1T〜軌道回路i5Tは高密度運転をするため長さを通常走行する列車3の列車長より短くなっている。ATC送信器1a〜ATC送信器1dの制御区間10CA〜制御区間40CAは列車3の列車長に他の列車の進入を許さない防護区間を加えた列車占有長以上の複数の軌道回路i1T〜軌道回路i5Tで構成されている。例えば図1に示すように、軌道回路i1T〜軌道回路i5Tの長さが列車長の1/3と1/4の間にある場合、列車3の列車長を含む4つの軌道回路と防護区間となる少なくとも1つの軌道回路の5つの軌道回路i1T〜軌道回路i5Tにより制御区間10CA〜制御区間40CAが構成されている。
【0017】
ATC送信器1a〜ATC送信器1dは、図2のブロック図に示すように、信号生成部5と送信部6を有する。信号生成部5は、制御条件連絡回路4を介して送られる列車位置情報等の進路の条件を入力して列車3の速度を制御するためのATC信号を作成する。送信部6は、信号生成部5で作成したATC信号を送信切換回路2a〜送信切換回路2dに出力する。送信切換回路2a〜送信切換回路2dは、複数の軌道回路i1T〜軌道回路i5TよりなるATC送信器1a〜ATC送信器1dの制御区間10CA〜制御区間40CAにある軌道回路i1T〜軌道回路i5Tの列車在線・非在線条件の組合せ回路よりなる論理回路を有し、制御区間10CA〜制御区間40CA内における列車3の在線状態に応じてATC送信器1a〜ATC送信器1dから出力されて列車3に送信するATC信号の送信先を軌道回路i1T〜軌道回路i5Tと順次切り換える。
【0018】
例えば図3の論理回路図に示すように、送信切換回路2bは制御区間20CAを構成する複数の軌道回路21T〜軌道回路25Tと、軌道回路25Tと隣接する列車進行方向前方の制御区間30CAの軌道回路31Tに列車3の先端が在線するか否を示す条件によりATC送信器1bから出力されたATC信号の送信点を軌道回路21Tから軌道回路25Tまで順次切り換える。例えば制御区間20CAに列車3が在線して列車3の先端が軌道回路24Tに在線する場合、軌道回路25Tには列車3が在線していなく切換リレー25SCは無励磁となり、軌道回路24Tには列車3が在線しているため切換リレー24SCが励磁されATC送信器1bから出力するATC信号を軌道回路24Tの先端から送信する。この列車3の先端が制御区間20CAを通り越して制御区間30CAの軌道回路31Tに進入して列車3の後端が制御区間20CAの軌道回路22Tから抜けて後続列車が制御区間20CAの軌道回路21Tに進入すると、切換リレー25SC〜切換リレー22SCは無励磁となり、切換リレー21SCが励磁されてATC送信器1bから出力するATC信号を軌道回路21Tの先端から送信する。
【0019】
このATC信号送信装置で列車3を高密度運転して制御区間10CA〜制御区間40CAのそれぞれに列車3が在線して走行しているときに、ATC送信器1a〜ATC送信器1dで出力するATC信号を制御区間10CA〜制御区間40CAに送信する状態を図4のATC信号の送信点遷移図を参照して説明する。
【0020】
列車3を高密度運転する場合、図4(a)に示すように、制御区間40CAに在線する列車3の先端が軌道回路44Tに有り、後端が軌道回路41Tに有る場合、ATC送信器1dから出力するATC信号は送信切換回路2dにより軌道回路44Tに送信される。このとき列車3が在線する軌道回路41T〜軌道回路43Tは無信号(02)になり、軌道回路41Tの後方の制御区間30CAの軌道回路35Tは制御区間40CAに在線する列車3の防護区間となり、ATC送信器1cから出力するATC信号は送信切換回路2cにより軌道回路34Tに送信され、軌道回路35Tは無信号(02)となる。このときATC送信器1Cから送信切換回路2cを介して軌道回路34Tに送信されるATC信号は停止信号(01)となり、制御区間30CAに在線する列車3が軌道回路35Tに進入できないようになっている。制御区間20CAと制御区間10CAに在線する列車3も同様に先行列車3の防護区間となる軌道回路25Tと軌道回路15Tには進入できないようになっている。
【0021】
このように制御区間40CA〜制御区間10CAで列車3の先端が軌道回路i4T(i=1〜4)にある状態で列車3が進行して、図4(b)に示すように列車3の先端が制御区間40CA〜制御区間10CAの軌道回路i5Tに進入すると、ATC送信器1d〜ATC送信器1aから出力するATC信号は送信切換回路2d〜送信切換回路2aにより軌道回路i5Tに送信される。このとき制御区間40CA〜制御区間10CAの軌道回路i5T以外の軌道回路i1T〜軌道回路i4Tは無信号となっている。制御区間40CA〜制御区間10CAに在線する列車3が進行して、図4(c)に示すように、列車3の先端が前方の制御区間に進入して後端は制御区間40CA〜制御区間10CAの軌道回路i2Tから抜けと、ATC送信器1d〜ATC送信器1aから出力するATC信号は送信切換回路2d〜送信切換回路2aにより軌道回路i1Tに送信され、軌道回路i1Tに対する列車の進入を許可する。
【0022】
このように列車3の進行にしたがって送信切換回路2d〜送信切換回路2aはATC送信器1d〜ATC送信器1aから出力するATC信号の送信点を順次切り換えることにより、軌道回路i1T〜軌道回路i5Tの長さを通常走行する列車3の列車長より短くした高密度運転区間において各制御区間40CA〜制御区間10CAにそれぞれ1台のATC送信器1d〜ATC送信器1aを設ければ良く、ATC送信器の設備台数を削減して地上設備のコスト低減を図ることができる。
【0023】
次に、制御区間10CA〜制御区間40CAのいずれかを先行列車3が走行しているときATC送信器1a〜ATC送信器1dの信号生成部5で生成して送信部6から出力するATC信号について、図5の信号分布図と図6の論理回路図を参照して説明する。なお、図6の論理回路図において、例えば31TRは軌道回路31Tにおける列車在線有無を示すリレー接点を表し、図6は実用上不要なリレー接点を含む原理を示す。
【0024】
例えば図5のEとFに示すように、先行列車3が制御区間30CA内に入りきって在線する場合、制御区間20CAにはATC送信器1bから出力するATC信号を送信できるから後続列車は制御区間20CAに進入できる。このとき制御区間20CAにATC信号を送信するATC送信器1bの信号生成部5は、先行列車3が在線する制御区間30CAの最終軌道回路31Tから制御区間20CAに進入した後続列車3の先端が在線する軌道回路までの列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成する。例えば図5のFに示すように、先行列車3が制御区間30CAに在線している場合、後続列車3が制御区間20CAの軌道回路21Tに進入すると、ATC送信器1bの信号生成部5は、制御区間30CAの最終軌道回路31Tから制御区間20CAの軌道回路21Tまでの列車在線・非在線条件に基づいた論理により例えば制限速度55km/hのATC信号を生成して送信部6から送信切換回路2bに出力する。送信切換回路6は入力したATC信号を後続列車の先端が在線する軌道回路21Tに送信する。
【0025】
このようにATC送信器1bの信号生成部5は先行列車3が制御区間30CAに入りきって在線し、ATC送信器1cが先行列車3に対して送信している場合、制御区間30CAの最終軌道回路31Tに基づく論理で制御区間20CAの軌道回路21T〜25Tに送信するATC信号を生成するから、図5のFに示すように、編成長が短い列車3が制御区間30CAの軌道回路33Tに在線して後方の軌道回路31Tが列車非在線になっても後続列車が制御区間30CAに進入を許可する信号を選択することはない。
【0026】
また、例えば図5のB,C,Dに示すように、先行列車3の先端が制御区間30CAの軌道回路31Tに在線し、この先行列車3が制御区間30CAと制御区間20CAに跨って在線している場合、制御区間20CAにはATC送信器1bから出力するATC信号を送信できるから後続列車は制御区間20CAに進入できる。このとき制御区間20CAにATC信号を送信するATC送信器1bの信号生成部5は、先行列車3の後端が在線する軌道回路から制御区間20CAで後続列車3の先端が在線する軌道回路までの列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成する。例えば図5のCに示すように、先行列車3の先端が制御区間30CAの軌道回路31Tに進入して後端が制御区間20CAの軌道回路24Tに在線している場合、後続列車が制御区間20CAに進入すると、ATC送信器1bの信号生成部5は、制御区間20CAの軌道回路24Tから軌道回路21Tの情報に応じた論理により例えば制限速度20km/hのATC信号を生成して送信部6から送信切換回路2bに出力する。送信切換回路6は入力したATC信号を後続列車3の先端が在線する軌道回路21Tに送信する。
【0027】
このようにして先行列車3が制御区間30CAと制御区間20CAに跨って在線している場合、後続列車3を制御区間20CAに進入させて先行列車3の防護区間の後方の軌道回路まで追い込むことができる。
【符号の説明】
【0028】
1;ATC送信器、2;送信切換回路、3;列車、4;制御条件連絡回路、
5;信号生成部、6;送信部、i1T〜i5T(i=1〜4);軌道回路、
10CA〜40CA;制御区間。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特許第4240253号公報
【特許文献2】特開2002−166830号公報
【特許文献3】特開2003−2202号公報
【非特許文献】
【0030】
【非特許文献1】京三サーキュラー 1994 No.1 営団銀座線信号保安システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ATC送信器と送信切換手段を有し、
前記ATC送信器は、列車長より短い長さの軌道回路を複数有し、かつ列車長より長い制御区間ごとに設けられ、列車の位置情報等の進路の条件を入力して列車の速度を制御するATC信号を生成して前記送信切換手段に出力し、
前記送信切換手段は、前記ATC送信器から出力されたATC信号を送信対象制御区間の各軌道回路に送信するものであり、送信対象制御区間内における列車長の異なる列車を含めた列車の在線状態に応じて送信する軌道回路を切り換えることを特徴とするATC信号送信装置。
【請求項2】
前記信号切換手段は、送信対象制御区間の各軌道回路の列車在線・非在線条件を組合せた論理回路を有し、送信対象制御区間内に列車が在線する場合は、列車の先端が在線する軌道回路の前方からATC信号を送信し、列車の先端が送信対象制御区間を通り越した状態で送信対象制御区間に続行列車が進入すると続行列車の先端が在線する軌道回路の前方からATC信号を送信することを特徴とする請求項1記載のATC信号送信装置。
【請求項3】
前記ATC送信器は、信号生成部と送信部とを有し、
前記信号生成部は、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間の列車進行方向前方の制御区間内に入りきって在線する場合は、先行列車が在線する制御区間の前記ATC送信器の送信対象制御区間に隣接する最終軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間と列車進行方向前方の制御区間に跨って在線する場合は、前記ATC送信器の送信対象制御区間の先行列車後端が在線する軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車の先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、
前記送信部は、前記信号生成部で生成したATC信号を前記信号切換手段に出力することを特徴とする請求項1又は2記載のATC信号送信装置。
【請求項4】
列車長より短い長さの軌道回路を複数有し、かつ列車長より長い制御区間ごとに設けられたATC送信器により、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間の列車進行方向前方の制御区間内に入りきって在線する場合は、先行列車が在線する制御区間の前記ATC送信器の送信対象制御区間に隣接する最終軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、先行列車が前記ATC送信器の送信対象制御区間と列車進行方向前方の制御区間に跨って在線する場合は、前記ATC送信器の送信対象制御区間の先行列車後端が在線する軌道回路から前記ATC送信器の送信対象制御区間に進入した列車の先端が在線する軌道回路までの各軌道回路の列車在線・非在線条件に基づいた論理によりATC信号を生成し、
前記送信対象制御区間内に列車が在線する場合は、列車の先端が在線する軌道回路の前方から生成したATC信号を送信し、列車の先端が前記送信対象制御区間を通り越した状態で前記送信対象制御区間に続行列車が進入すると続行列車の先端が在線する軌道回路の前方から生成したATC信号を送信することを特徴とするATC信号送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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