説明

ATM装置およびそのコネクション設定方法ならびにATM通信網

【課題】障害時の迂回接続で最低限確保しなければならない帯域を低く抑え、かつ重要であるCBRデータを確実に伝送させるために、代わりに可変ビットデータ(b−VBR)の保証される平均レートの上限を低く抑えシグナリングする。
【解決手段】相手装置とのコネクション設定確立状態で、ATM装置1の障害判定部62により障害発生を検出した時、当該コネクションに設定されているトラヒッククラス情報が迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うクラス(b−VBR)であることをトラヒッククラス識別部63で識別した場合、トラヒックパラメータ変更部64は送受信レート情報の保証平均レートの上限を示すパラメータをg−SCRから迂回時用のd−SCRに変更する。セットアップメッセージ送受信部66はこのd−SCRとb−VBRとをセットアップメッセージの可変長情報要素に入れ迂回対象のATM装置に送出しコネクションを設定する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はATM(Asynchronous Transfer Mode:非同期転送モード)で交換接続するATM交換機等のATM装置に関し、特にATM通信網(ネットワーク)を構成するATM装置間の回線障害等の迂回接続におけるコネクション設定を行うATM装置およびそのコネクション設定方法ならびにATM通信網に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、ATMにおけるサービス・カテゴリのうち、CBR(Constant Bit Rate)は常に一定のレートで伝送するため重要データまたはリアルタイム性の動画・音声データを扱うクラスである。また、VBR(Variable Bit Rate)は可変ビットレートであるが、トラヒックパラメータの一つであるSCR(Sustainable Cell Rate:平均セル速度)の帯域分は確実に保証するためリアルタイム性の可変レートビデオ・音声やLANデータを扱うクラスである。ABR(Available Bit Rate)はフィードバック制御によりネットワークの輻輳状況に応じて適切にデータレートを確保するため、LAN(Local Area Network)アプリケーションデータを扱う場合やトラヒック変動が激しい場合に用いるクラスである。UBR(Unspecified Bit Rate)は帯域割り当てもなく品質保証規定もないため、いつか通信できればいいデータを扱うクラスである。従来はこれらクラスを用途に応じて設定し、ATM装置間でデータ通信を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のクラスはネットワーク迂回を十分に考慮したトラヒッククラスではなかった。また現状では、帯域当たりの単価は高く、ユーザはできる限り帯域を切りつめようとするのが実状である。そのような状況で、障害に対処するためにバックアップ用の帯域を確保しなければならず、帯域の有効活用が望まれている。
【0004】本発明の目的は、障害時の迂回接続において最低限確保しなければならない帯域を低く抑え、かつ重要であるCBRデータを確実に伝送させるために、代わりに可変ビットデータ(b−VBR)の保証される平均レートの上限を低く抑えてシグナリングすることができるATM装置およびそのコネクション設定方法ならびにATM通信網を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明のATM装置は、ATM通信網の装置間でコネクション設定用セットアップメッセージの中に入れる可変長情報要素として、他のATM装置への迂回を考慮したトラヒッククラス情報とこのトラヒッククラス情報に対応し装置間の正常時の保証される平均レートの上限を示す第1の送受信レート情報と迂回時の保証される平均レートの上限を示す第2の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報とを定め、前記正常時には前記第1および第3の送受信レート情報を用い、前記迂回時には前記第2および第3の送受信レート情報を用いて、コネクション設定を行う。
【0006】また、本発明のATM装置は、入力側回線を終端し装置内部とのインタフェースを行う入力側インタフェース部と、出力側回線を終端し装置内部とのインタフェースを行う出力側インタフェース部と、前記入力側インタフェース部から入力されたATMセルをハードウェアスイッチングにより所定の出側に出力するATMスイッチと、装置動作用の各種データおよび呼処理プログラムを記憶しておくための記憶部と、前記記憶部から読み出したデータに基づきATM通信網の装置間の各コネクションに適用されるトラヒッククラス情報および送受信レート情報の設定を行わせると共に前記呼処理プログラムを用い相手装置からの受信情報に従い呼処理を行い前記装置間が正常状態のときには、コネクション設定用セットアップメッセージの可変長情報要素中に迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うトラヒッククラス情報およびこのトラヒッククラス情報に対応し正常時の保証される平均レートの上限を示す第1の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報を入れて送出し装置間のコネクション設定を行わせる中央制御部と、前記中央制御部の呼処理に基づいてコネクションの設定・解放制御を行うスイッチ制御部と、前記装置間のコネクションに対応するデータ設定入力操作を行うための入力部とを備え、前記装置間の障害を検出したときには、コネクション設定用セットアップメッセージの可変長情報要素中に迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うトラヒッククラス情報およびこのトラヒッククラス情報に対応し迂回時の保証される平均レートの上限を示す第2の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報を入れて送出し装置間のコネクション設定を行わせる中央制御部を備える。前記中央制御部は、前記入力部から入力されたデータに基づきATM通信網の装置間のコネクションごとに所定のトラヒッククラス情報および送受信レート情報を設定するトラヒックパラメータ設定部と、前記障害の検出を行う障害判定部と、障害が起こったコネクションのトラヒッククラス情報が迂回を考慮した特定のクラスであるか否かを前記記憶部にあらかじめ記憶したデータを参照し識別するトラヒッククラス識別部と、前記トラヒッククラス識別部によってトラヒッククラスが前記特定のクラスであると識別されたとき正常時用の保証される平均レートの上限を示すパラメータから迂回時用の保証される平均レートの上限を示すパラメータに変更するトラヒックパラメータ変更部と、セットアップメッセージを生成するセットアップメッセージ生成部と、前記セットアップメッセージ生成部で生成したセットアップメッセージの可変長情報要素に前記トラヒックパラメータ変更部で変更した指定のパラメータを入れて迂回対象のATM装置へ送出するセットアップメッセージ送受信部とを備える。
【0007】本発明のATM装置におけるコネクション設定方法は、ATM通信網を構成するATM装置間を接続するコネクションごとにトラヒッククラス情報および送受信レート情報を設定しておき、相手ATM装置とのコネクションを設定確立した状態で、前記障害が発生していることを検出したとき、当該コネクションに設定されているトラヒッククラス情報が迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うクラスであることを識別した場合には、前記送受信レート情報として保証される平均レートの上限を示すパラメータのみを正常時用から迂回時用のパラメータに変更し、この変更したパラメータと前記トラヒッククラス情報とをセットアップメッセージの可変長情報要素に入れて迂回対象のATM装置に送出し、コネクションを設定する。
【0008】本発明のATM通信網は、上述したATM装置を用いて構築される。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】図1を参照すると、ATM通信網を構成する複数のATM装置のうちの一つが示されており、ATM装置1は、入力側回線を終端し装置内部とのインタフェースを行う入力側インタフェース部2と、出力側回線を終端し装置内部とのインタフェースを行う出力側インタフェース部3と、入力側インタフェース部2から入力されたATMセルをハードウェアスイッチングにより所定の出側に出力するATMスイッチ4と、装置動作用の各種データおよび呼処理プログラムを記憶しておくための記憶部5と、記憶部5から読み出したデータに基づきATM通信網の装置間の各コネクションに適用されるトラヒッククラス情報および送受信レート情報の設定を行わせると共に呼処理プログラムを用い相手装置からの受信情報に従い呼処理を行いATM装置間が正常状態のときには、コネクション設定用セットアップメッセージの可変長情報要素中に迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うトラヒッククラス情報およびこのトラヒッククラス情報に対応し正常時の保証される平均レートの上限を示す第1の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報を入れて送出し装置間のコネクション設定を行わせる中央制御部6と、中央制御部6の呼処理に基づいてコネクションの設定・解放制御を行うスイッチ制御部7と、装置間のコネクションに対応するデータ設定入力操作を行うための入力部8とを備える。また、中央制御部6は、ATM装置間の障害を検出したときには、コネクション設定用セットアップメッセージの可変長情報要素中に迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うトラヒッククラス情報およびこのトラヒッククラス情報に対応し迂回時の保証される平均レートの上限を示す第2の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報を入れて送出し装置間のコネクション設定を行わせる。
【0011】中央制御部6は、入力部8から入力されたデータに基づきATM通信網の装置間のコネクションごとに所定のトラヒッククラス情報および送受信レート情報を設定するトラヒックパラメータ設定部61と、回線等の障害検出を行う障害判定部62と、障害となったコネクションのトラヒッククラス情報が迂回を考慮した特定のクラスであるか否かを記憶部5にあらかじめ記憶したデータを参照し識別するトラヒッククラス識別部63と、トラヒッククラス識別部63によってトラヒッククラスが特定のクラスであると識別されたとき正常時用の保証される平均レートの上限を示すパラメータから迂回時用の保証される平均レートの上限を示すパラメータに変更するトラヒックパラメータ変更部64と、セットアップメッセージを生成するセットアップメッセージ生成部65と、セットアップメッセージ生成部65で生成したセットアップメッセージの可変長情報要素にトラヒックパラメータ変更部64で変更した指定のパラメータを入れて迂回対象のATM装置へ送出するセットアップメッセージ送受信部66とを備える。
【0012】ATM装置1は、コネクション設定のシグナリング情報をセットアップメッセージに入れて送信する。このコネクション設定ではセットアップメッセージの周知の可変長情報要素に、迂回を考慮したノンリアルタイム型データとして、ATM装置間の正常時の保証される平均レートの上限を示す第1の送受信レート情報(g−SCR)と迂回時の保証される平均レートの上限を示す第2の送受信レート情報(d−SCR)と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報(PCR)とを定め、正常時には第1および第3の送受信レート情報を用い、迂回時には第2および第3の送受信レート情報を用いセットアップメッセージに入れて、コネクション設定を行う。
【0013】コネクション設定に使われるセットアップメッセージにおいて、可変長情報要素(Information Element:IE)の情報の一つであるATMトラヒッククラスを、従来のCBR(Constant Bit Rate)、rt−VBR(real−time Variable Bit Rate)、nrt−VBR(non−real−time Variable BitRate)、ABR(Available Bit Rate)、UBR(Unspecified Bit Rate)の他に、障害時の迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うクラスb−VBR(bribery Variable Bit Rate)を新たに定義する。
【0014】一般的にノンリアルタイムデータを扱うトラヒッククラスはrt−VBR、nrt−VBRである。このrt−VBR、nrt−VBRには、ATMコネクション上で送信できる送信レートの上限を示すPCR(Peak Cell Rate)、連続するセル転送間隔の変動をどこまで許容するかというパラメータであるCDVT(Cell Delay Variation Tolerance)、ATMコネクションの保証される平均レートの上限を示すSCR(Sustainable Cell Rate)、ピークレートで連続送信できるセル数を決めるパラメータであるBT(Burst Tolerance)を設定し、コネクション時にはこの情報をもつメッセージが送信される。
【0015】ここで、今回新たに定義したb−VBRデータには、PCR(Peak Cell Rate)、CDVT(Cell Delay Variation Tolerance)、BT(Burst Tolerance)および正常時の保証される平均レートの上限を示すg−SCR(general Sustainable Cell Rateと定義)と迂回時の保証される平均レートの上限を示すd−SCR(detour Sustainable Cell Rateと定義)を設定する。正常時のコネクション設定のシグナリングは、b−VBRクラスデータに対してはg−SCRでシグナリング情報が送信されコネクションが確立し、迂回時のコネクションを確立させる場合にはd−SCRでシグナリングされる。
【0016】ここで、b−VBRデータの送受信レートは、迂回時にはg−SCRがd−SCRに切り替わってシグナリングするようにATM装置内部を制御する。ネットワークにおいては、これらの情報を含んだセットアップパケットがコネクション設定のシグナリング情報としてノードに送信されコネクションが確立する。
【0017】次に図2を参照して動作を説明する。始めに、ATM通信網を構成するATM装置間を接続するコネクションごとにトラヒッククラス情報および送受信レート情報(トラヒックパラメータ)を設定しておく(ステップ1:S1と略称)。相手ATM装置とのコネクションを設定確立した状態で(S2、S3)、回線等に障害が発生していることを検出したとき(S4)、当該コネクションに設定されているトラヒッククラス情報が迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うクラスであることを識別した場合には(S5)、送受信レート情報を保証される平均レートの上限を示すパラメータをg−SCRからd−SCRに変更する(S6)。この変更したパラメータとトラヒッククラス情報とをセットアップメッセージの可変長情報要素に入れて迂回対象のATM装置に送出し(S7)、コネクションを設定する(S8)。
【0018】次に図3にATMネットワーク構成例を示す。前提としてコネクション設定については、ATM装置A、B間通信■をVP(Virtual Pass)=A、VC(Virtual Channel)=a1(CBR)、a2(b−VBR)、a3(b−VBR)とし、ATM装置A、C間通信■をVP=B、VC=b1(CBR)、b2(CBR)、b3(b−VBR)、そしてATM装置B、C間通信■をVP=C、VC=c1(CBR)、c2(b−VBR)、c3(b−VBR)とする。また、ATM装置のポートの設定については、ATM機器の各ポートごとにCBR、b−VBR、(ABR、UBR)の各パラメータ(CBRならばPCR、CDVTを、b−VBRならばPCR、CDVT、g−SCR、d−SCR、BT)を設定する。
【0019】次に、ATM装置のコネクション設定動作について説明する。
【0020】ATM装置は、ATMスイッチにコネクションを設定して欲しいとの要求をセットアップメッセージに入れて送信する。セットアップメッセージには各種情報が入っており、プロトコル識別子でシグナリングのバージョンなどの識別を行い、呼識別子で設定しようとするコネクションの識別を行う。相手アドレスや自分のアドレス、要求品質などは可変長情報要素(IE)に入っている。
【0021】IEには、AALの識別(AAL1〜AAL5)やAAL PDUサイズを示すAAL parameterと、コネクションの送受信レート(PCR/g−SCR、d−SCR Burst size)を示すATM trafficdescriptorと、ポイントツーポイントかマルチポイントかを示すBroadband bearer capabilityと、トラヒッククラスを示すCBR/rt−VBR/nrt−VBR/b−VBR/ABR/UBRと、ATMを使用する上位プロトコル情報(例えばアドレスやソケット番号)を示すBroadband high layer Informationと、ATMを使用する上位プロトコルのプロトコル識別子(例えばIPやOSIレイヤ3)を示すBroadband low layer Informationと、目的地ATMアドレスを示すCalled party addressと、目的地サブATMアドレスを示すCalled party subaddressと、送信元ATMアドレスを示すCalling party addressと、送信元サブアドレスを示すCalling party subaddressと、VPI/VCIを示すConnection identifierと、セル廃棄、遅延等のATM転送時間の要求品質を示すQuality of Service parameterと、中継ネットワークの指定を示すTransit network selectionと、ポイントマルチポイント用の各リーフの識別子を示すEnd point reference等が入っている。
【0022】ATM装置はこれを受け取り、目的地までのルートを決定する。さらに要求品質が満たされるか否かを判断し、リソースの予約を行う。これによりコネクションが設定されると、VPI/VCIが、まずCALL PROCEEDINGによりユーザ端末に返され、CONNECTメッセージによりコネクションが確定されたことを通知する。この時のATM traffic descriptorは、b−VBRデータに対してはg−SCRでシグナリングされる。
【0023】図3において、ATM装置間(A−B間)で障害等により迂回が生じる場合、PNNIプロトコルにより迂回路(A−C間)のコネクションがセットアップメッセージのシグナリングにより新たに確立する。この時、IEのATM traffic descriptorに含まれる送受信レート情報が正常時にはg−SCRおよびPCRでシグナリングされていたものが迂回用のd−SCRおよびPCRでシグナリングされ、コネクション確立する。
【0024】ここでは、ATMトラヒッククラスb−VBRデータの送受信レート情報のうち、保証されている平均レートの上限を示すパラメータがg−SCRからd−SCRに変わってコネクション確立しているため、迂回後のVP=Bは、障害等により迂回が生じた側のCBRデータであるVC=z1(=a1)、b−VBRデータであるVC=z2(=a2)、z3(=a3)のd−SCR分の帯域、および迂回が行われる前からコネクション確立していた側のCBRデータであるVC=b1、b2、b−VBRデータであるVC=b3のd−SCR分の帯域は保証されることになる(設計段階においてVP=Bの帯域は、迂回後の保証帯域の合計値以上になるようにする)。また同様にB−C間のVP=Cについても、b−VBRデータはd−SCRでシグナリングされ帯域は確保されることになる。
【0025】例えば図3において、a1,a2のSCR(=g−SCR)およびa3のSCR(=g−SCR)それぞれが1Mbpsとすると、■が回線障害等により■に迂回路を設定する場合、従来ではa1,a2のSCR(=g−SCR)およびa3のSCR(=g−SCR)の合計である3Mbps分の帯域が保証されなければならない帯域として最低限必要であったが、本発明によれば、a1の1MbpsはCBRのため全帯域を保証し、a2,a3はb−VBRで迂回時には、d−SCR分のみ帯域保証を行うので、つまり保証される平均レートの上限を低く、仮にa2のd−SCR,a3のd−SCRをそれぞれ0.5Mbpsとしておけば、迂回時のみ必要で、かつ最低限確保する必要がある帯域の合計は2Mbpsでよいことになる。すなわち、重要なCBRデータを確実に伝送させることを優先し、その代わりにb−VBRの保証される平均レートの上限を低くしてシグナリングし、コネクション設定する。
【0026】なお、従来のVBRデータ(rt−VBR、nrt−VBR)のSCRと今回定義したb−VBRデータのg−SCRは同等のものである(その様に回路設計する)ため、本発明のシグナリング機能を備えていないATM装置にも接続することができる。その場合、迂回用のd−SCRは使えないので従来通りのサービスとなる。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、迂回時のb−VBRデータに対する保証平均レートの上限であるd−SCRが、正常時のg−SCRに比べて低く設定できるため、迂回を考慮した帯域をできる限り低くおさえることができる。また、コネクション要求するのは送信ATM端末およびスイッチのコネクション設定部であるため、コネクション設定部を換えるだけで、システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のATM装置の実施の形態を示す構成図である。(b)は(a)における中央制御部の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態の動作を示すフロー図である。
【図3】迂回時のコネクション例を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ATM装置
2 入力側インタフェース部
3 出力側インタフェース部
4 ATMスイッチ
5 記憶部
6 中央制御部
7 スイッチ制御部
8 入力部
61 トラヒックパラメータ設定部
62 障害判定部
63 トラヒッククラス識別部
64 トラヒックパラメータ変更部
65 セットアップメッセージ生成部
66 セットアップメッセージ送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ATM通信網の装置間でコネクション設定用セットアップメッセージの中に入れる可変長情報要素として、他のATM装置への迂回を考慮したトラヒッククラス情報とこのトラヒッククラス情報に対応し装置間の正常時の保証される平均レートの上限を示す第1の送受信レート情報と迂回時の保証される平均レートの上限を示す第2の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報とを定め、前記正常時には前記第1および第3の送受信レート情報を用い、前記迂回時には前記第2および第3の送受信レート情報を用いて、コネクション設定を行うことを特徴とするATM装置。
【請求項2】 入力側回線を終端し装置内部とのインタフェースを行う入力側インタフェース部と、出力側回線を終端し装置内部とのインタフェースを行う出力側インタフェース部と、前記入力側インタフェース部から入力されたATMセルをハードウェアスイッチングにより所定の出側に出力するATMスイッチと、装置動作用の各種データおよび呼処理プログラムを記憶しておくための記憶部と、前記記憶部から読み出したデータに基づきATM通信網の装置間の各コネクションに適用されるトラヒッククラス情報および送受信レート情報の設定を行わせると共に前記呼処理プログラムを用い相手装置からの受信情報に従い呼処理を行い前記装置間が正常状態のときには、コネクション設定用セットアップメッセージの可変長情報要素中に迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うトラヒッククラス情報およびこのトラヒッククラス情報に対応し正常時の保証される平均レートの上限を示す第1の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報を入れて送出し装置間のコネクション設定を行わせる中央制御部と、前記中央制御部の呼処理に基づいてコネクションの設定・解放制御を行うスイッチ制御部と、前記装置間のコネクションに対応するデータ設定入力操作を行うための入力部とを備えることを特徴とするATM装置。
【請求項3】 前記装置間の障害を検出したときには、コネクション設定用セットアップメッセージの可変長情報要素中に迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うトラヒッククラス情報およびこのトラヒッククラス情報に対応し迂回時の保証される平均レートの上限を示す第2の送受信レート情報と送信できる送信レートの上限を示す第3の送受信レート情報を入れて送出し装置間のコネクション設定を行わせる中央制御部を備えることを特徴とする請求項2記載のATM装置。
【請求項4】 前記中央制御部は、前記入力部から入力されたデータに基づきATM通信網の装置間のコネクションごとに所定のトラヒッククラス情報および送受信レート情報を設定するトラヒックパラメータ設定部と、前記障害の検出を行う障害判定部と、障害が起こったコネクションのトラヒッククラス情報が迂回を考慮した特定のクラスであるか否かを前記記憶部にあらかじめ記憶したデータを参照し識別するトラヒッククラス識別部と、前記トラヒッククラス識別部によってトラヒッククラスが前記特定のクラスであると識別されたとき正常時用の保証される平均レートの上限を示すパラメータから迂回時用の保証される平均レートの上限を示すパラメータに変更するトラヒックパラメータ変更部と、セットアップメッセージを生成するセットアップメッセージ生成部と、前記セットアップメッセージ生成部で生成したセットアップメッセージの可変長情報要素に前記トラヒックパラメータ変更部で変更した指定のパラメータを入れて迂回対象のATM装置へ送出するセットアップメッセージ送受信部とを備えることを特徴とする請求項2または3記載のATM装置。
【請求項5】 ATM通信網を構成するATM装置間を接続するコネクションごとにトラヒッククラス情報および送受信レート情報を設定しておき、相手ATM装置とのコネクションを設定確立した状態で、前記障害が発生していることを検出したとき、当該コネクションに設定されているトラヒッククラス情報が迂回を考慮したノンリアルタイム型データを扱うクラスであることを識別した場合には、前記送受信レート情報として保証される平均レートの上限を示すパラメータのみを正常時用から迂回時用のパラメータに変更し、この変更したパラメータと前記トラヒッククラス情報とをセットアップメッセージの可変長情報要素に入れて迂回対象のATM装置に送出し、コネクションを設定することを特徴とするATM装置におけるコネクション設定方法。
【請求項6】 請求項1,2,3または4いずれか記載のATM装置を用いて通信ネットワークを構築することを特徴とするATM通信網。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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