説明

B型肝炎ウイルスを検出するための組成物および方法

【課題】B型肝炎ウイルス(HBV)、I型ヒト免疫不全ウイルス(HIV−1)およびC型肝炎ウイルス(HCV)のいずれかまたは全ての核酸を検出するための診断アッセイを提供する。
【解決手段】HBV相補配列を含んでなるオリゴヌクレオチド、常磁性粒子からなる固体支持体を含んでなる捕捉オリゴヌクレオチド組成物、少なくとも2種類の増幅オリゴマーを含むプライマーの組み合わせおよび検出反応に用いるプローブによる、HBV核酸を検出する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国仮出願第60/389,393号、2002年6月14日出願の優先権を請求する。この先行出願の全開示は、本明細書に援用される。
【0002】
発明の分野
本発明は、バイオテクノロジーの分野に関する。より具体的には、本発明は、B型肝炎ウイルス、I型ヒト免疫不全ウイルス、およびC型肝炎ウイルスのいずれかまたはすべての核酸を検出するための診断アッセイに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
B型肝炎ウイルス(HBV)による感染は世界中で起こり、そして急性および慢性両方のウイルス肝炎の重要な原因である。HBVは、42nmのウイルス粒子サイズを有する部分的二本鎖環状DNAウイルスである。この粒子には、外層リポタンパク質コートおよびB型肝炎表面抗原(HBsAg)が含まれる。HBsAgは、ウイルス粒子結合型として、または22nmの球状粒子および管状粒子に凝集する未結合(free)非感染性タンパク質として、血液中を循環する。HBVの伝染は、主に、血液および/または性的接触を通じて仲介される。このウイルスのインキュベーション期間は、180日と同程度に長い範囲である(Gitlin, Clin. Chem. 43:1500(1997))。
【0004】
HBsAgは、HBV感染2〜12週後に検出可能であり、HBV感染の最初の血清学的マーカーである。このマーカーの存在は、しばしば、肝臓生化学の症状または異常より6〜8週間先行する。ウイルス粒子内に含有されるB型肝炎コア抗原に特異的な抗体は、通常、HBsAgの検出2週間後に現れ、そして急性肝炎開始6ヶ月後まで検出可能なままである(Gitlin、上記)。
【0005】
輸血からの肝炎ウイルス伝染のリスクは、輸血後肝炎(PTH)が1940年に最初に認識されて以来、劇的に減少した。例えば、1970年、NIHの科学者らは、心臓切開手術を受け、そして商業的血液ドナーまたは志願血液ドナーから血液を得た患者において、黄疸性肝炎および無黄疸性肝炎の発生率を決定する、前向き研究の結果を報告した。黄疸性肝炎および無黄疸性肝炎は、商業的血液レシピエントの51%で発展したが、志願ドナーからの血液を得た患者ではまったく発展しなかった。
【0006】
1970年、NIH会議で、「オーストラリア」抗原(現在、B型肝炎表面抗原として知られる)が感染性病原体、おそらく肝炎ウイルスの一部であることもまた、明らかになった。わずか2、3年後、商業的血液およびHBsAg陽性ドナーを同時に排除すると、PTHの発生率が、前の割合の約7%に減少した(Toblerら, Clin. Chem. 43:1487(1997))。これらの方策は、献血供給の安全性を劇的に改善した。
【0007】
さらに近年、核酸試験が始められてアッセイ感度が増加し、それによって、献血供給のより高いレベルの安全性が確実になってきている。HBVを検出するためのアッセイおよび試薬が、例えば米国特許第5,780,219号および第4,562,159号;並びに公表国際特許出願第WO94/08032号および第WO95/02690号に先に開示されてきている。
【発明の概要】
【0008】
本発明の概要
本発明の第一の側面は、捕捉オリゴヌクレオチド組成物であって、100ヌクレオチドまでの長さを有し、そして配列番号68の20の隣接ヌクレオチドまたは配列番号69の25の隣接ヌクレオチドいずれかであるHBV相補配列を含む、ポリヌクレオチドを含む、前記組成物に関する。さらに、該ポリヌクレオチドは固体支持体に固定されている。本発明の1つの態様において、固体支持体は常磁性粒子である。別の態様において、該ポリヌクレオチドは、第一のホモポリマー配列をさらに含み、該固体支持体は第二のホモポリマー配列に共有結合した常磁性粒子であり、そして該ポリヌクレオチドは、第一のホモポリマー配列および第二のホモポリマー配列間の相補的塩基対形成によって、該固体支持体に固定されている。さらに別の態様において、該ポリヌクレオチドの該HBV相補配列は、配列番号70〜76のいずれかである。より好ましくは、該ポリヌクレオチドの該HBV相補配列は配列番号73である。さらに別の態様において、該ポリヌクレオチドの該HBV相補配列は、配列番号77〜87のいずれかである。より好ましくは、該ポリヌクレオチドの該HBV相補配列は、配列番号80または87である。
【0009】
本発明の第二の側面は、HBV標的核酸を検出するためのキットに関する。この例では、発明されたキットは、少なくとも1つの捕捉オリゴヌクレオチドであって、長さ100ヌクレオチドまでであり、そして配列番号68の少なくとも20の隣接ヌクレオチドのHBV相補配列または配列番号69の少なくとも25の隣接ヌクレオチドの配列を含む、前記捕捉オリゴヌクレオチドを含む。この捕捉オリゴヌクレオチドは固体支持体に固定されている。該キットはさらに、下流HBV相補配列、および場合によって、HBV核酸に相補的でない第一鎖プライマー上流配列を含む、少なくとも1つの第一鎖プライマーを含む。第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号2の中に含有される20〜50の隣接塩基からなり、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体(analog)の存在が可能である。さらに、該キットは、下流HBV相補配列、および場合によって、HBV核酸に相補的でない第二鎖プライマー上流配列を含む、少なくとも1つの第二鎖プライマーを含む。該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号4の配列の中に含有される20〜54の隣接塩基からなり、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の存在が可能である。本発明の1つの態様において、少なくとも1つの第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号22〜28のいずれであることも可能である。より具体的には、少なくとも1つの捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号73、配列番号80および配列番号87のいずれかである。より一般的には、そして該キットに含有されるプライマーに関して、HBV核酸に相補的でない、該第一鎖プライマー上流配列は、RNAポリメラーゼのプロモーター配列であることも可能である。別の態様において、少なくとも1つの第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列は配列番号22〜28いずれであることも可能である。さらに別の態様において、少なくとも1つの第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号5〜15のいずれかである。少なくとも1つの第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号22〜28のいずれかである場合、少なくとも1つの第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、好ましくは配列番号5〜15である。別の態様において、少なくとも1つの第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号22〜28のいずれかである場合、少なくとも1つの第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、好ましくは配列番号5〜15のいずれかである。異なる態様にしたがって、発明されたキットには、発明された第一鎖プライマーおよび第二鎖プライマーを用いた増幅反応で生じる単位複製配列(amplicon)にハイブリダイズする、少なくとも1つの検出可能標識プローブがさらに含まれる。好ましいプローブは、23ヌクレオチドまでの長さを有し、そして配列番号95またはその相補体の配列に含有される少なくとも17の隣接ヌクレオチドの配列を有し、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の存在が可能である。より好ましくは、検出可能標識プローブは、配列番号50〜66のいずれかである。別の態様において、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号22〜28のいずれかであり、そして該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号5〜15のいずれかである場合、配列番号50〜66のいずれかである配列を有する、少なくとも1つの検出可能標識プローブがさらに含まれる。発明されたキットが、発明された第一鎖プライマーおよび第二鎖プライマーを用いた増幅反応で生じる単位複製配列にハイブリダイズする、少なくとも1つの検出可能標識プローブを含む場合、該プローブは、ヌクレオチドの標的相補ループ配列を含む分子ビーコンであることも可能である。ヌクレオチドのこの標的相補ループ配列は、好ましくは、配列番号126の配列の中に含有される12〜20の隣接ヌクレオチドの配列である。より好ましくは、ヌクレオチドの該標的相補ループ配列は、配列番号127〜133のいずれかである。一般的に言って、発明されたキットの少なくとも1つの第二鎖プライマーは、2つの第二鎖プライマーを含むことも可能である。この場合、少なくとも1つの第一鎖プライマーは、好ましくは、配列番号22、配列番号23、配列番号26および配列番号27のいずれかである。一般的に言って、発明されたキットの少なくとも1つの第一鎖プライマーは、2つの第一鎖プライマーを含むことも可能であり、そして少なくとも1つの第二鎖プライマーは、2つの第二鎖プライマーを含むことも可能である。このキットの非常に好ましい態様において、RNAを含んでなるHBV偽標的がさらに含まれる。
【0010】
本発明の第三の側面はまた、生物学的試料中に存在しうるHBV標的核酸を増幅するためのキットにも関する。このキットは、下流HBV相補配列、および場合によって、HBV核酸に相補的でない第一鎖プライマー上流配列を含む、第一鎖プライマーを含む。該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号2の中に含有される20〜50の隣接塩基からなり、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の存在が可能である。該キットはまた、下流HBV相補配列、および場合によって、HBV核酸に相補的でない第二鎖プライマー上流配列を含む、第二鎖プライマーも含有する。第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号4の配列の中に含有される20〜54の隣接塩基からなり、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の存在が可能である。本発明の特定の態様において、第一鎖プライマー上流配列は、RNAポリメラーゼのプロモーター配列である。特定の他の態様において、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号2の中に含有される20〜24の隣接塩基からなる。より好ましい態様において、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号22〜28のいずれかであり、あるいはさらにより好ましくは、配列番号22、配列番号23、配列番号26または配列番号27のいずれかである。本発明の特定の特別の態様において、該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号5〜15のいずれかであり、あるいはさらにより好ましくは、配列番号11または配列番号15のいずれかである。別の態様にしたがって、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列が、配列番号22、配列番号23、配列番号26または配列番号27のいずれかであるならば、該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、好ましくは、配列番号5〜15のいずれかである。この場合、該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、好ましくは、配列番号11および配列番号15のいずれかである。本発明の非常に好ましい態様において、該キットは、該第一鎖プライマーおよび該第二鎖プライマーを用いて行った増幅反応で生じるHBV単位複製配列にハイブリダイズする、少なくとも1つの検出可能標識プローブをさらに含む。さらにより非常に好ましい態様において、該検出可能標識プローブは、配列番号50またはその相補体、配列番号57またはその相補体、あるいは配列番号55またはその相補体の配列を含む。別の態様において、該検出可能標識プローブは、ヌクレオチドの標的相補ループ配列を含む分子ビーコンである。ヌクレオチドのこの標的相補ループ配列は、典型的には、配列番号126またはその相補体の配列に含有される12〜20の隣接ヌクレオチドの配列からなり、ヌクレオチド類似体並びにRNAに均等な塩基およびDNAに均等な塩基の存在が可能である。異なる態様において、該キットは、さらなる第一鎖プライマーを含む。好ましい態様において、該キットがさらなる第一鎖プライマーを含む場合、該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、配列番号11または配列番号15の配列を有する。さらなる異なる態様において、該キットは、さらなる第二鎖プライマーをさらに含む。例えば、該キットがさらなる第二鎖プライマーを含む場合、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列は、好ましくは配列番号22、配列番号23、配列番号26または配列番号27のいずれかである。さらなる異なる態様において、該キットは、さらなる第一鎖プライマーおよびさらなる第二鎖プライマー両方をさらに含む。この態様は、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号22を含み、さらなる第一鎖プライマーが配列番号23を含み、該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号15を含み、そしてさらなる第二鎖プライマーが配列番号11を含むキットに例示される。このキットの非常に好ましい態様において、RNAで作成されているHBV偽標的がさらに含まれる。別の態様において、該キットがさらなる第一鎖プライマーおよびさらなる第二鎖プライマー両方をさらに含む場合、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号23を含むことも可能であり、さらなる第一鎖プライマーが配列番号26を含むことも可能であり、該第二鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号15を含むことも可能であり、そしてさらなる第二鎖プライマーが配列番号11を含むことも可能である。別の態様において、該キットがさらなる第一鎖プライマーおよびさらなる第二鎖プライマー両方をさらに含む場合、該第一鎖プライマーの該下流HBV相補配列が配列番号24を含むことも可能であり、さらなる第一鎖プライマーが配列番号17を含むことも可能であり、該第二鎖プライマーが配列番号15を含むことも可能であり、そしてさらなる第二鎖プライマーが配列番号5を含むことも可能である。別の態様において、該キットがさらなる第一鎖プライマーおよびさらなる第二鎖プライマー両方をさらに含む場合、該第一鎖プライマーが配列番号24を含むことも可能であり、さらなる第一鎖プライマーが配列番号20を含むことも可能であり、該第二鎖プライマーが配列番号15を含むことも可能であり、そしてさらなる第二鎖プライマーが配列番号5を含むことも可能である。一般的に言って、本発明にしたがったキットは、HIV−1標的核酸を増幅するためのプライマー、およびHCV標的核酸を増幅するためのプライマーのいずれかまたは両方をさらに含むことも可能である。
【0011】
定義
以下の用語は、本明細書に明らかに逆に言及しない限り、本開示の目的のため、以下の意味を有する。
【0012】
本明細書において、「生物学的試料」は、ヒトから得た、組織またはポリヌクレオチド含有材料いずれかである。本発明にしたがった生物学的試料には、末梢血、血漿、血清、骨髄、リンパ節を含む生検試料、呼吸組織または滲出物、胃腸組織、子宮頚スワブ試料、精液または他の体液、組織または材料が含まれる。生物学的試料を処理して、組織または細胞構造を破壊し、それによって、酵素、緩衝剤、塩、界面活性剤等を含有可能な溶液中に、細胞内構成要素を遊離させることも可能である。
【0013】
本明細書において、「ポリヌクレオチド」は、RNAまたはDNAいずれかと共に、合成ヌクレオチド類似体または他の分子いずれかであって、配列中に存在することも可能であり、そして相補配列を有する第二の分子と該ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーションを妨げないものを意味する。該用語は、天然存在ヌクレオチドの類似体を含有するポリマーも含み、そして特に、リボースの2’位にメトキシ基(OMe)を有する類似体を含む。
【0014】
本明細書において、「検出可能標識」は、検出可能であるか、または検出可能反応を導くことが可能である、化学種である。本発明にしたがった検出可能標識は、直接または間接的にポリヌクレオチドプローブに連結することも可能であり、そして放射性同位体、酵素、ハプテン、色素または検出可能な色を与える粒子(例えばラテックスビーズまたは金属粒子)などの発色団、発光化合物(例えば生物発光部分、燐光部分または化学発光部分)および蛍光化合物を含む。
【0015】
「均質検出可能標識」は、プローブ上の標識が標的配列にハイブリダイズしているかどうかを測定することによって、均質な方式で検出可能な標識を指す。すなわち、均質検出可能標識は、標識または標識プローブの非ハイブリダイズ型からハイブリダイズ型を物理的に除去することなく、検出可能である。これらの標識は、Arnoldら、米国特許第5,283,174号;Woodheadら、米国特許第5,656,207号;およびNelsonら、米国特許第5,658,737号に詳細に記載されている。均質アッセイで用いるのが好ましい標識には、化学発光化合物(例えば、Woodheadら、米国特許第5,656,207号;Nelsonら、米国特許第5,658,737号;およびArnold, Jr.ら、米国特許第5,639,604号を参照されたい)が含まれる。好ましい化学発光標識はアクリジニウムエステル(「AE」)化合物、例えば標準的AEまたはその誘導体(例えば、ナフチル−AE、オルト−AE、1−または3−メチル−AE、2,7−ジメチル−AE、4,5−ジメチル−AE、オルト−ジブロモ−AE、オルト−ジメチル−AE、メタ−ジメチル−AE、オルト−メトキシ−AE、オルト−メトキシ(シンナミル)−AE、オルト−メチル−AE、オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−メタ−ジフルオロ−AE、および2−メチル−AE)である。
【0016】
本明細書において、「増幅」は、標的核酸配列、その相補体または断片の多コピーを得るためのin vitro法を指す。
「標的核酸」または「標的」によって、標的核酸配列を含有する核酸を意味する。
【0017】
「標的核酸配列」、「標的ヌクレオチド配列」、「標的配列」または「標的領域」によって、一本鎖核酸分子のヌクレオチド配列のすべてまたは一部を含んでなる特定のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列、およびそれに相補的なデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチド配列を意味する。
【0018】
「転写関連増幅」によって、RNAポリメラーゼを用い、核酸テンプレートから多数のRNA転写物を産生する核酸増幅のいかなる種類も意味する。「転写仲介増幅」(TMA)と呼ばれる転写関連増幅法の一例は、一般的に、RNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼ、デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸、およびプロモーター−テンプレート相補オリゴヌクレオチドを使用し、そして場合によって、1以上の類似オリゴヌクレオチドを含むことが可能である。多様なTMAが、Burgら、米国特許第5,437,990号;Kacianら、米国特許第5,399,491号および第5,554,516号;Kacianら、PCT第WO93/22461号;Gingerasら、PCT第WO88/01302号;Gingerasら、PCT第WO88/10315号;Malekら、米国特許第5,130,238号;Urdeaら、米国特許第4,868,105号および第5,124,246号;McDonoughら、PCT第WO94/03472号;およびRyderら、PCT第WO95/03430号に詳細に開示されるように、当該技術分野に周知である。Kacianらの方法が、本明細書に開示する種類の核酸増幅法を行うのに好ましい。
【0019】
本明細書において、「オリゴヌクレオチド」または「オリゴマー」は、少なくとも2、一般的には約5〜約100の間の化学サブユニットのポリマー鎖であり、各サブユニットは、ヌクレオチド塩基部分、糖部分、および直鎖空間立体配置でサブユニットを連結する連結部分を含んでなる。一般的なヌクレオチド塩基部分は、グアニン(G)、アデニン(A)、シトシン(C)、チミン(T)およびウラシル(U)であるが、水素結合することが可能な、他のまれなヌクレオチド塩基、または修飾されたヌクレオチド塩基が当業者に周知である。オリゴヌクレオチドは、場合によって、糖部分、塩基部分、および主鎖構成要素のいずれかの類似体を含むことも可能である。本発明の好ましいオリゴヌクレオチドは、約10〜約60残基のサイズ範囲に属する。オリゴヌクレオチドは、天然存在供給源から精製することが可能であるが、好ましくは、多様な周知の酵素的方法または化学的方法のいずれかを用いて合成する。
【0020】
本明細書において、「プローブ」は、核酸、好ましくは増幅した核酸の標的配列に、ハイブリダイゼーションを促進する条件下で、特異的にハイブリダイズして、検出可能ハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドである。プローブは、プローブの端(単数または複数)に付着していることも可能であるし、または内部にあることも可能である、検出可能部分を含有可能である。標的ポリヌクレオチドと組み合わせるプローブのヌクレオチドは、検出可能部分がプローブの配列に関して内部である場合にそうである可能性があるように、厳密に隣接していなくてもよい。検出は、直接(すなわち標的配列または増幅した核酸に直接ハイブリダイズするプローブから生じる)であっても、または間接的(すなわちプローブを標的配列または増幅した核酸に連結する中間分子構造にハイブリダイズするプローブから生じる)であってもよい。プローブの「標的」は、一般的に、標準的水素結合(すなわち塩基対形成)を用い、プローブオリゴヌクレオチドの少なくとも一部に特異的にハイブリダイズする、増幅した核酸配列内に含有される配列を指す。プローブは、標的特異的配列、およびプローブの三次元コンホメーションに寄与する他の配列(例えば、Lizardiら、米国特許第5,118,801号および第5,312,728号に記載されるようなもの)を含んでなることが可能である。「十分に相補的な」配列は、プローブの標的特異的配列に完全に相補的でなくても、標的配列へのプローブオリゴヌクレオチドの安定なハイブリダイゼーションを可能にする。
【0021】
本明細書において、「増幅プライマー」は、標的核酸またはその相補体にハイブリダイズし、そして核酸増幅反応に関与するオリゴヌクレオチドである。増幅プライマー、またはより簡単に「プライマー」は、場合によって修飾したオリゴヌクレオチドであって、テンプレート核酸にハイブリダイズ可能であり、そしてDNAポリメラーゼ活性によって伸長可能な3’端を有する、前記オリゴヌクレオチドであることも可能である。
【0022】
「実質的に相同」、「実質的に対応している」または「実質的に対応する」によって、対象のオリゴヌクレオチドが、参照塩基配列に存在する少なくとも10の隣接塩基領域に、少なくとも70%相同、好ましくは少なくとも80%相同、より好ましくは少なくとも90%相同、そして最も好ましくは100%相同である、少なくとも10の隣接塩基領域を含有する塩基配列を有することを意味する(RNA均等物およびDNA均等物は除く)。当業者は、非特異的ハイブリダイゼーションの許容し得ないレベルを妨げる一方、多様な割合の相同性で、標的配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするために、ハイブリダイゼーションアッセイ条件に対して行いうる修飾を、容易に認識するであろう。類似性の度合いは、2つの配列を構成する核酸塩基の順序を比較することによって決定され、そして2つの配列間に存在しうる他の構造的相違が、相補塩基との水素結合を妨げない限り、こうした構造的相違を考慮に入れない。2つの配列間の相同性の度合いはまた、比較している、少なくとも10の隣接塩基の各組に存在する塩基ミスマッチ数に関して表すことも可能であり、これは0〜2塩基相違の範囲であることも可能である。
【0023】
「実質的に相補的」によって、対象のオリゴヌクレオチドが、標的核酸配列に存在する少なくとも10の隣接塩基領域に、少なくとも70%相補的、好ましくは少なくとも80%相補的、より好ましくは少なくとも90%相補的、そして最も好ましくは100%相補的である、少なくとも10の隣接塩基領域を含有する塩基配列を有することを意味する(RNA均等物およびDNA均等物は除く)。(当業者は、非特異的ハイブリダイゼーションの許容し得ないレベルを妨げる一方、多様な割合の相補性で、標的配列へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションを可能にするために、ハイブリダイゼーションアッセイ条件に対して行いうる修飾を、容易に認識するであろう。)相補性の度合いは、2つの配列を構成する核酸塩基の順序を比較することによって決定され、そして2つの配列間に存在しうる他の構造的相違が相補塩基との水素結合を妨げない限り、こうした構造的相違を考慮に入れない。2つの配列間の相補性の度合いはまた、比較している、少なくとも10の隣接塩基の各組に存在する塩基ミスマッチ数に関して表すことも可能であり、これは0〜2塩基ミスマッチの範囲であることも可能である。
【0024】
「十分に相補的」によって、一連の相補塩基間の水素結合によって、別の塩基配列にハイブリダイズすることが可能な隣接核酸塩基配列を意味する。相補塩基配列は、標準的塩基対形成(例えばG:C、A:TまたはA:U塩基対形成)を用いて、オリゴヌクレオチドの塩基配列の各位で相補的であることも可能であるし、または標準的水素結合を用いると相補的ではない1以上の残基(無塩基性(abasic)「ヌクレオチド」を含む)を含有するが、全体の相補塩基配列が、適切なハイブリダイゼーション条件において、別の塩基配列と特異的にハイブリダイズ可能であるものであることも可能である。隣接塩基は、オリゴヌクレオチドが特異的にハイブリダイズすることが意図される配列に、好ましくは少なくとも約80%、より好ましくは少なくとも約90%、そして最も好ましくは約100%相補的である。当業者には、適切なハイブリダイゼーション条件が周知であり、該条件は、塩基配列組成に基づいて容易に予測可能であるし、または日常的な試験を用いることによって、実験的に決定可能である(例えば、Sambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989)§§1.90−1.91、7.37−7.57、9.47−9.51および11.47−11.57、特に§§9.50−9.51、11.12−11.13、11.45−11.47および11.55−11.57を参照されたい)。
【0025】
「捕捉オリゴヌクレオチド」によって、塩基対ハイブリダイゼーションにより、標的配列および固定化オリゴヌクレオチドを特異的に連結するための手段を提供する、少なくとも1つの核酸オリゴヌクレオチドを意味する。捕捉オリゴヌクレオチドは、好ましくは、2つの結合領域:標的配列結合領域および固定化プローブ結合領域を、通常、同一のオリゴヌクレオチド上に隣接して含むが、1以上のリンカーにより共に連結される、2つの異なるオリゴヌクレオチド上に存在する、標的配列結合領域および固定化プローブ結合領域を含むことも可能である。例えば、固定化プローブ結合領域が第一のオリゴヌクレオチド上に存在し、標的配列結合領域が第二のオリゴヌクレオチド上に存在することが可能であり、そして2つの異なるオリゴヌクレオチドが、第一および第二のオリゴヌクレオチドの配列に特異的にハイブリダイズする配列を含有する第三のオリゴヌクレオチドであるリンカーとの水素結合によって、連結される。
【0026】
「固定化プローブ」または「固定化核酸」によって、固定された支持体に捕捉オリゴヌクレオチドを直接または間接的に連結する核酸を意味する。固定化プローブは、試料中の非結合成分からの、結合した標的配列の分離を促進する、固体支持体に連結されたオリゴヌクレオチドである。
【0027】
「分離」または「精製」によって、生物学的試料の1以上の構成要素を、該試料の1以上の他の構成要素から除去することを意味する。試料構成要素には、タンパク質、炭水化物、脂質および標識プローブなどの成分もまた含む可能性がある、一般的に水性溶液相中の核酸が含まれる。好ましくは、分離工程または精製工程は、試料に存在する他の試料構成要素を、少なくとも約70%、より好ましくは少なくとも約90%、そしてさらにより好ましくは少なくとも約95%除去する。
【0028】
「RNA均等物およびDNA均等物」または「RNAに均等な塩基およびDNAに均等な塩基」によって、同一の相補塩基対ハイブリダイゼーション特性を有する、RNA分子およびDNA分子を意味する。RNA均等物およびDNA均等物は、異なる糖部分(すなわち、リボース対デオキシリボース)を有し、そしてRNAにはウラシル、そしてDNAにはチミンが存在する点が異なる可能性がある。RNA均等物およびDNA均等物の間の相違は、均等物が、特定の配列に対し、同じ度合いの相補性を有するため、相同性の相違に寄与しない。
【0029】
「本質的にからなる」によって、本発明の基本的なそして新規の特性を実質的に変化させない、さらなる構成要素(単数または複数)、組成物(単数または複数)または方法工程(単数または複数)が、本発明の組成物またはキットまたは方法に含まれていることも可能であることを意味する。こうした特性には、生物学的試料、例えば全血または血漿において、HBV核酸の約100コピーのコピー数で、HBV核酸を選択的に検出する能力が含まれる。本発明の基本的なそして新規の特性に実質的な影響を有する、いかなる構成要素(単数または複数)、組成物(単数または複数)、または方法工程(単数または複数)も、この用語の外に属するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】HBV核酸(太い水平線に示されるもの)内の標的領域を検出するのに使用可能な多様なポリヌクレオチドを例示する概略図である。標的領域に対する以下の核酸の位置を示す:「捕捉オリゴヌクレオチド」は、増幅前に標的核酸にハイブリダイズし、そして該核酸を捕捉するのに用いる核酸を指し、「T」は、相補配列を有する固定化オリゴヌクレオチド(示していない)にハイブリダイズするのに用いるテール配列を指す;「非T7プライマー」および「T7プロモーター−プライマー」は、TMAを行うのに用いる2つの増幅プライマーを示し、「P」は、T7プロモーター−プライマーのプロモーター配列を示し;そして「プローブ」は、増幅した核酸を検出するのに用いるプローブを指す。
【図2】図2は、広い範囲の標準物質量に渡る、インプット・テンプレート量およびハイブリダイゼーションシグナル強度間の線形の関係を強調する、定量的HBV標準物質曲線を示す線グラフである。
【図3】図3は、リアルタイム核酸増幅反応へのHBV標準インプットの量(x軸)およびバックグラウンド閾値を越えて測定された蛍光シグナルの発生時間(y軸)に関する線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本発明は、B型肝炎ウイルス(HBV)および/またはヒト免疫不全ウイルス−1(HIV−1)および/またはC型肝炎ウイルス(HCV)の核酸を選択的に検出するための組成物、方法およびキットに関する。本明細書に開示する組成物は、ヒト血液、血清、血漿、あるいはウイルス核酸の存在に関して試験しようとする他の体液または組織などの生物学的試料において、これらの核酸を増幅し、そして検出するのに有用である。本明細書に開示する増幅プライマーの多くは、マルチプレックス増幅反応の構成要素として好適に使用可能であり、該反応においては、プライマーおよび付属ポリヌクレオチドの複雑な一団から、いくつかの単位複製配列種が生じうる。例えば、関連しないウイルスのポリヌクレオチドを増幅可能なマルチプレックス増幅反応に、これらの反応のアッセイ感度を実質的に危うくすることなく、最も非常に好ましい、本明細書に開示するHBV特異的プライマーを使用可能である。
【0032】
本明細書に開示するプローブ、プライマーおよび方法を、診断適用において、あるいは献血および血液製剤、または感染性粒子を含有しうる他の組織をスクリーニングするために、使用可能である。さらに、生物学的試料において、核酸増幅技術を使用してHBV核酸のコピー数を測定する定量的アッセイを開示する。この定量的アッセイは、抗ウイルス療法を受けている患者において、ウイルス負荷を監視するための重要なツールに相当する。
【0033】
序論および概説
本発明は、生物学的試料においてHBV核酸を検出するための組成物(核酸捕捉オリゴヌクレオチド、増幅オリゴヌクレオチドおよびプローブ)、方法およびキットを含む。こうした使用に適したオリゴヌクレオチド配列を設計するため、類似の配列を有する領域をマッチングし、そして次いで、配列を比較することによって、サブタイプを含む既知のHBV DNA配列をまず並列して、診断アッセイの試薬として働きうるウイルスゲノムの候補領域を同定した。これらの比較に基づいて、図1に図式的に示す捕捉オリゴヌクレオチド、プライマーおよびプローブを用い、HBVゲノムの「S遺伝子/pol遺伝子」領域を検出用に選択した。比較した配列間で、比較的少ない変異体を含有する配列部分を、捕捉、増幅、および増幅した配列の検出に使用するのに適した合成オリゴヌクレオチドを設計するための出発点として選択した。オリゴヌクレオチドを設計する際の他の考慮には、配列の相対GC含量(約30%〜約55%の範囲)、および予測される二次構造(例えば分子内ハイブリッドを形成するヘアピンターン)が配列内に相対的に欠如していることが含まれた。
【0034】
これらの解析に基づき、以下に示す、捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマーおよびプローブ配列を設計した。一般レベルの技術を有する当業者は、T7プロモーター配列を伴うまたは伴わない、HBVに特異的なプライマー配列が、以下に記載する、プライマーに基づく多様なin vitro増幅法で、プライマーとして使用可能であることを理解するであろう。さらに、本明細書に開示するハイブリダイゼーションプローブが増幅プライマーとして使用可能であり、そして本明細書に開示する増幅プライマーがハイブリダイゼーションプローブとして使用可能であることもまた、意図する。さらに、本明細書に開示するハイブリダイゼーションプローブが捕捉オリゴヌクレオチドとして使用可能であり、そして本明細書に開示する捕捉オリゴヌクレオチドがハイブリダイゼーションプローブとして使用可能であることも意図する。さらに、本明細書に開示する増幅プライマーが捕捉オリゴヌクレオチドとして使用可能であり、そして本明細書に開示する捕捉オリゴヌクレオチドが増幅プライマーとして使用可能であることも意図する。
【0035】
有用な増幅法
本発明と組み合わせて有用な増幅法には:転写仲介増幅(TMA)、核酸配列に基づく増幅(NASBA)、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、鎖置換増幅(SDA)、並びに自己複製ポリヌクレオチド分子およびMDV−1 RNAおよびQ−ベータ酵素のような複製酵素を用いる増幅法が含まれる。これらの多様な増幅技術を実施する方法は、それぞれ、米国特許第5,399,491号、公開欧州特許出願EP 0 525 882、米国特許第4,965,188号、米国特許第5,455,166号、米国特許第5,472,840号およびLizardiら, BioTechnology 6:1197(1988)に見出すことが可能である。核酸増幅反応をどのように行うかを記載する、これらの文書の開示は、本明細書に援用される。
【0036】
本発明の非常に好ましい態様において、TMAプロトコルを用いて、HBV核酸配列を増幅する。このプロトコルにしたがって、DNAポリメラーゼ活性を提供する逆転写酵素はまた、内因性RNアーゼH活性も所持する。この方法に用いるプライマーの1つは、増幅しようとする標的核酸の一方の鎖に相補的な配列の上流に位置するプロモーター配列を含有する。増幅の第一の工程において、プロモーター−プライマーは、定義される部位で、HBV標的DNAにハイブリダイズする。逆転写酵素は、プロモーター−プライマーの3’端からの伸長によって、標的DNAの相補DNAコピーを生成する。相対する鎖のプライマーが新たに合成されたDNA鎖と相互作用した後、逆転写酵素によって、DNAの第二鎖がプライマー端から合成され、それによって二本鎖DNA分子が生成される。RNAポリメラーゼは、この二本鎖DNAテンプレート中のプロモーター配列を認識し、そして転写を開始する。新たに合成されたRNA単位複製配列は各々、TMA法に再進入し、そして新たな複製周期のテンプレートとして働き、それによって、RNA単位複製配列の指数的拡大を導く。DNAテンプレートは各々、100〜1000コピーのRNA単位複製配列を作成可能であるため、この拡大の結果、1時間未満で、100億の単位複製配列を生じることも可能である。方法全体が自己触媒性であり、そして一定の温度で行われる。
【0037】
プライマーの構造的特徴
上に示すように、「プライマー」は、テンプレート核酸にハイブリダイズ可能であり、そしてDNAポリメラーゼ活性によって伸長可能な3’端を有する、場合によって修飾されたオリゴヌクレオチドを指す。プライマーの5’領域は、標的核酸に非相補性であることも可能である。5’非相補領域がプロモーター配列を含む場合、これを「プロモーター−プライマー」と称する。当業者は、プライマーとして作用することが可能ないかなるオリゴヌクレオチド(すなわち標的配列に特異的にハイブリダイズし、そしてDNAポリメラーゼ活性によって伸長可能な3’端を有するオリゴヌクレオチド)も、5’プロモーター配列を含むよう修飾可能であり、そしてしたがってプロモーター−プライマーとして機能可能であると認識するであろう。同様に、いかなるプロモーター−プライマーもプロモーター配列の除去によって、またはプロモーター配列を含まない合成によって、修飾可能であり、そしてそれでもプライマーとして機能可能である。
【0038】
プライマーのヌクレオチド塩基部分は、修飾塩基部分が、G、A、C、TまたはUと非共有結合を形成する能力を保持し、そして少なくとも1つの修飾ヌクレオチド塩基部分を含んでなるオリゴヌクレオチドが、一本鎖核酸とハイブリダイズするのを立体的に妨げられない限り、(例えばプロピン基の付加によって)修飾可能である。有用なプローブの化学組成と関連して以下に示すように、本発明にしたがったプライマーの窒素性塩基は、慣用的な塩基(A、G、C、T、U)、その既知の類似体(例えばイノシンまたは「I」;The Biochemistry of the Nucleic Acids 5−36, Adamsら監修, 第11版, 1992を参照されたい)、プリン塩基類またはピリミジン塩基類の既知の誘導体(例えば、N−メチルデオキシグアノシン、デアザ−またはアザ−プリン類およびデアザ−またはアザ−ピリミジン類、5位または6位に置換基を有するピリミジン塩基類、2位、6位または8位に改変された置換基または置換置換基を有するプリン塩基類、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン類、4−アミノ−ピリミジン類、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン類、およびO−アルキル−ピリミジン類(Cook、PCT国際公報第WO93/13121号を参照されたい))、および主鎖がポリマーの1以上の残基に関し、窒素性塩基を含まない、「無塩基性」残基(Arnoldら、米国特許第5,585,481号を参照されたい)であることも可能である。プライマー主鎖を構成する一般的な糖部分は、リボースおよびデオキシリボースを含むが、2’−O−メチルリボース(OMe)、ハロゲン化糖、および他の修飾糖もまた、使用可能である。通常、プライマー主鎖の連結基は、リン含有部分であり、最も一般的にはホスホジエステル連結であるが、他の連結、例えばホスホロチオエート類、メチルホスホネート類、および「ペプチド核酸類」(PNA)に見られるペプチド様連結などのリン非含有連結もまた、本明細書に開示するアッセイでの使用に意図される。
【0039】
有用なプローブ標識系および検出可能部分
特異的核酸ハイブリダイゼーションを監視するのに使用可能な、本質的にいかなる標識系および検出系を、本発明と組み合わせて使用することも可能である。有用な標識のコレクションに含まれるのは、放射標識、酵素、ハプテン、連結されたオリゴヌクレオチド、化学発光分子および電気検出法に受け入れられる酸化還元活性部分である。好ましい化学発光分子には、Arnoldらによって、米国特許第5,283,174号に開示される、均質保護アッセイと関連して使用するための種類のアクリジニウムエステル、およびWoodheadらによって、米国特許第5,656,207号に開示される、単一反応中で、多数の標的を定量化するアッセイと関連して使用するための種類のアクリジニウムエステルが含まれる。これらの特許文書に含有される開示は、本明細書に援用される。好ましい電気標識および検出アプローチは、米国特許第5,591,578号および第5,770,369号、並びに公開国際特許出願第WO98/57158号に開示され、これらの開示は、本明細書に援用される。本発明において、標識として有用な酸化還元活性部分には、Cd、Mg、Cu、Co、Pd、Zn、FeおよびRuなどの遷移金属が含まれる。
【0040】
本発明にしたがった、プローブ用の特に好ましい検出可能標識は、均質アッセイ系(すなわち混合物中で、結合した標識プローブが、非結合標識プローブに比較して、検出可能な変化、例えば安定性または差別的分解を示す系)で検出可能である。均質アッセイで用いるのが好ましい標識は、化学発光化合物(例えば、Woodheadら、米国特許第5,656,207号;Nelsonら、米国特許第5,658,737号;またはArnoldら、米国特許第5,639,604号に記載されるようなもの)である。特に好ましい化学発光標識には、アクリジニウムエステル(「AE」)化合物、例えば標準的AEまたはその誘導体、例えば、ナフチル−AE、オルト−AE、1−または3−メチル−AE、2,7−ジメチル−AE、4,5−ジメチル−AE、オルト−ジブロモ−AE、オルト−ジメチル−AE、メタ−ジメチル−AE、オルト−メトキシ−AE、オルト−メトキシ(シンナミル)−AE、オルト−メチル−AE、オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−オルト−フルオロ−AE、1−または3−メチル−メタ−ジフルオロ−AE、および2−メチル−AEが含まれる。
【0041】
いくつかの適用において、検出前にまず、ハイブリダイズしていないプローブの除去を必要とすることなく、試験試料におけるプローブ:標的二重鎖の検出を容易にするため、プローブが少なくともある程度の自己相補性を示すことが望ましい。たとえば、「分子トーチ」と呼ばれる構造は、連結領域によってつながれ、そしてあらかじめ決定されたハイブリダイゼーションアッセイ条件下で互いにハイブリダイズする、自己相補性を持つ別個の領域を含むよう、設計される(「標的結合ドメイン」および「標的閉鎖ドメイン」を生み出す)。変性条件に曝露されると、分子トーチの2つの相補領域(完全にまたは部分的に相補的であることも可能)が融解し、あらかじめ決定されたハイブリダイゼーションアッセイ条件を回復すると、標的結合ドメインが、標的配列にハイブリダイズするのに利用可能であるようにしておく。分子トーチは、標的結合ドメインが、標的閉鎖ドメインよりも、標的配列へのハイブリダイゼーションを支持するように設計される。分子トーチの標的結合ドメインおよび標的閉鎖ドメインは、分子トーチが標的核酸にハイブリダイズした時と対照的に、分子トーチが自己ハイブリダイズした時に、異なるシグナルを生じ、このシグナルによって、会合する検出可能標識を有するハイブリダイズしていないプローブの存在下で、試験試料中のプローブ:標的二重鎖の検出を可能にするように配置された、相互作用する標識(例えば発光剤/消光剤)を含む。分子トーチは、国際公報第WO00/01850号に完全に記載され、該公報の開示は本明細書に援用される。
【0042】
本発明と組み合わせて使用可能な自己相補的ハイブリダイゼーションアッセイプローブの別の例は、一般的に「分子ビーコン」と呼ばれる構造である。分子ビーコンは、標的相補配列を有する核酸分子、標的核酸配列の非存在下で、プローブを閉じたコンホメーションに保持する親和性対(または核酸アーム)、およびプローブが閉じたコンホメーションにあるときに相互作用する標識対を有する核酸分子を含んでなる。標的核酸および標的相補配列のハイブリダイゼーションは、親和性対のメンバーを分離し、それによって、プローブを開いたコンホメーションにシフトする。開いたコンホメーションへのシフトは、例えば蛍光体および消光剤であることも可能な標識対の相互作用が減少することによって、検出可能である。分子ビーコンは、米国特許第5,925,517号に記載され、該特許の開示は本明細書に援用される。本明細書に開示したプローブ配列の1つのいずれかの端に、蛍光体を含んでなる第一の核酸アームおよび消光剤部分を含んでなる第二の核酸アームを付加することによって、HBV特異的核酸配列を検出するのに有用な分子ビーコンを生成することも可能である。この配置で、本明細書に開示するHBV特異的プローブ配列は、生じた分子ビーコンの標的相補「ループ」部分として働く。
【0043】
分子ビーコンは、好ましくは、検出可能標識の相互作用対で標識される。標識の相互作用対のメンバーとして好ましい検出可能標識の例は、FRETまたは非FRETエネルギー移動機構によって、互いに相互作用する。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)は、熱エネルギーへの変換を伴わず、そしてドナーおよびアクセプターが力学的に衝突することなく、原子間距離よりかなり大きい距離に渡る、発色団間の共鳴相互作用によって、分子または分子系において、吸収部位から利用部位へのエネルギーの量子の無放射伝達を伴う。「ドナー」は、まずエネルギーを吸収する部分であり、そして「アクセプター」は、続いてエネルギーが移動される部分である。FRETに加えて、少なくとも3つの他の「非FRET」エネルギー移動プロセスがあり、これによって、励起エネルギーがドナー分子からアクセプター分子に移動可能である。
【0044】
FRET機構によるとしてもまたは非FRET機構によるとしても、1つの標識により放出されたエネルギーが、第二の標識に受け取られるかまたは吸収されることが可能であるのに十分に近くに、2つの標識が保持される場合、2つの標識は、互いに「エネルギー移動関係」にあるという。例えば、分子ビーコンがステム二重鎖の形成によって閉じた状態に維持され、そしてプローブの1つのアームに付着した蛍光体からの蛍光放出が、相対するアーム上の消光剤部分によって消光される場合がそうである。
【0045】
発明された分子ビーコンの非常に好ましい標識部分には、蛍光体および蛍光消光特性を有する第二の部分(すなわち「消光剤」)が含まれる。この態様において、特徴的なシグナルは、特定の波長の蛍光である可能性があるが、あるいは可視光シグナルであることも可能である。蛍光が関与する場合、放出変化は、好ましくはFRET、または放射エネルギー移動のためであるか、あるいは非FRET様式である。閉じた状態で相互作用標識対を有する分子ビーコンが、適切な周波数の光によって刺激される場合、蛍光シグナルは第一のレベルで生じ、非常に低い可能性もある。この同じプローブが開いた状態にあり、そして適切な周波数の光によって刺激される場合、蛍光体および消光剤部分は互いに十分に分離されており、これらの間のエネルギー移動は、実質的に排除される。この条件下では、消光剤部分は、蛍光体部分からの蛍光を消光することが不能である。蛍光体が適切な波長の光エネルギーに刺激される場合、第一のレベルより高い、第二のレベルの蛍光シグナルが生成されるであろう。2つのレベルの蛍光の間の相異は検出可能であり、そして測定可能である。この方式で蛍光体および消光剤部分を用いると、分子ビーコンは、「開いた」コンホメーションにおいてのみ、「オン」であり、そして容易に検出可能なシグナルを発することによって、プローブが標的に結合していることを示す。プローブのコンホメーション状態は、標識部分間の相互作用を制御することによって、プローブから生じるシグナルを改変する。
【0046】
本発明と関連させて使用することも可能なドナー/アクセプター標識対の例には、非FRET対からFRETを区別しようとしなければ、フルオレセイン/テトラメチルローダミン、IAEDANS/フルオレセイン、EDANS/DABCYL、クマリン/DABCYL、フルオレセイン/フルオレセイン、BODIPY FL/BODIPY FL、フルオレセイン/DABCYL、ルシファーイエロー/DABCYL、BODIPY/DABCYL、エオジン/DABCYL、エリスロシン/DABCYL、テトラメチルローダミン/DABCYL、テキサスレッド/DABCYL、CY5/BH1、CY5/BH2、CY3/BH1、CY3/BH2およびフルオレセイン/QSY7色素が含まれる。一般の当業者は、ドナー色素およびアクセプター色素が異なる場合、アクセプターの感作された蛍光の出現によって、またはドナー蛍光の消光によって、エネルギー移動を検出可能であることを理解するであろう。ドナー種およびアクセプター種が同一である場合、生じた蛍光偏光によって、エネルギーを検出可能である。DABCYLおよびQSY7色素などの非蛍光アクセプターは、好適なことに、直接(すなわち非感作)アクセプター励起から生じるバックグラウンド蛍光の潜在的な問題を排除する。ドナー−アクセプター対の1つのメンバーとして使用可能な、好ましい蛍光体部分には、フルオレセイン、ROX、およびCY色素(例えばCY5)が含まれる。ドナー−アクセプター対の別のメンバーとして使用可能な非常に好ましい消光剤部分には、DABCYLおよびBiosearch Technologies, Inc.(カリフォルニア州ナバト)から入手可能なBLACK HOLE QUENCHER部分が含まれる。
【0047】
合成技術、および標識を核酸に結合し、そして標識を検出する方法は、当該技術分野に周知である(例えばSambrookら, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版(Cold Spring Harbor Laboratory Press, ニューヨーク州コールドスプリングハーバー, 1989), 第10章;Nelsonら、米国特許第5,658,737号;Woodheadら、米国特許第5,656,207号;Hoganら、米国特許第5,547,842号;Arnoldら、米国特許第5,283,174号;Kourilskyら、米国特許第4,581,333号、およびBeckerら、欧州特許出願第0 747 706号を参照されたい)。
【0048】
プローブの化学的組成
本発明にしたがったプローブは、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド類似体を含んでなり、そしてそれに共有結合した検出可能標識を所持することも可能である。プローブのヌクレオシドまたはヌクレオシド類似体は、窒素性複素環塩基、または塩基類似体を含んでなり、ここで、ヌクレオシドは、例えばホスホジエステル結合によって共に連結されて、ポリヌクレオチドを形成する。したがって、プローブは、慣用的なリボ核酸(RNA)および/またはデオキシリボ核酸(DNA)を含んでなることも可能であるが、これらの分子の化学的類似体もまた、含んでなることも可能である。プローブの「主鎖」は、当該技術分野に知られる多様な連結で構成可能であり、該連結には、1以上の糖−ホスホジエステル連結、ペプチド核酸結合(ときに、Hyldig−Nielsenら、PCT国際公報第WO95/32305号に記載されるように「ペプチド核酸」と称される)、ホスホロチオエート連結、メチルホスホネート連結またはそれらの組み合わせが含まれる。プローブの糖部分は、リボースまたはデオキシリボースいずれか、あるいは、例えば、2’−O−メチルリボースおよび2’ハロゲン化物置換(例えば2’−F)などの既知の置換を有する同様の化合物であることも可能である。窒素性塩基は、慣用的な塩基(A、G、C、T、U)、その既知の類似体(例えばイノシンまたは「I」;The Biochemistry of the Nucleic Acids 5−36, Adamsら監修, 第11版, 1992を参照されたい)、プリン塩基類またはピリミジン塩基類の既知の誘導体(例えば、N−メチルデオキシグアノシン、デアザ−またはアザ−プリン類およびデアザ−またはアザ−ピリミジン類、5位または6位に置換基を有するピリミジン塩基類、2位、6位または8位に改変された置換基または置換置換基を有するプリン塩基類、2−アミノ−6−メチルアミノプリン、O−メチルグアニン、4−チオ−ピリミジン類、4−アミノ−ピリミジン類、4−ジメチルヒドラジン−ピリミジン類、およびO−アルキル−ピリミジン類(Cook、PCT国際公報第WO93/13121号を参照されたい))、および主鎖がポリマーの1以上の残基に関し、窒素性塩基を含まない、「無塩基性」残基(Arnoldら、米国特許第5,585,481号を参照されたい)であることも可能である。核酸は、RNAおよびDNAに見られる慣用的な糖、塩基および連結のみを含んでなることも可能であるし、または慣用的な構成要素および置換両方(例えばメトキシ主鎖を介して連結される慣用的塩基、または慣用的塩基および1以上の塩基類似体を含む核酸)を含むことも可能である。
【0049】
HBVに特異的な増幅プライマーおよび検出プローブの選択
望ましい特性を持つ増幅プライマーおよびプローブを設計するのに有用な指針を本明細書に記載する。HBV核酸を増幅し、そして探査する(probing)のに最適な部位は、隣接配列の約200塩基内に、そして好ましくは110塩基内に、長さ約15塩基より大きい、2つ、そして好ましくは3つの保存領域を含有する。プライマーまたはプロモーター−プライマーのセットで観察される増幅の度合いは、オリゴヌクレオチドがその相補配列にハイブリダイズする能力および酵素的に伸長される能力を含む、いくつかの要因に応じる。ハイブリダイゼーション反応の度合いおよび特異性は、いくつかの要因に影響を受けるため、これらの要因を操作すると、標的に完全に相補的であるにしろ、そうでないにしろ、特定のオリゴヌクレオチドの正確な感度および特異性が決定されるであろう。変化するアッセイ条件の影響が当業者に知られ、そしてHoganら、米国特許第5,840,488号に記載され、該特許の開示は本明細書に援用される。
【0050】
標的核酸配列の長さ、そしてしたがってプライマー配列またはプローブ配列の長さが重要でありうる。ある場合、望ましいハイブリダイゼーション特性を有するプライマーまたはプローブを生じるであろう、位置および長さが異なる、特定の標的領域由来のいくつかの配列がありうる。完全に相補的でない核酸がハイブリダイズすることは可能であるが、通常、完全に相同な塩基配列の最長のストレッチが、主にハイブリッド安定性を決定するであろう。
【0051】
増幅プライマーおよびプローブは、オリゴヌクレオチド:非標的(すなわち標的核酸に類似の配列を持つ核酸)核酸ハイブリッドの安定性を最小限にするよう配置されるべきである。増幅プライマーおよび検出プローブが、標的および非標的配列間を区別可能であることが好ましい。プライマーおよびプローブを設計する際、これらのTm値の相違は、可能な限り大きくするべきである(少なくとも2℃、そして好ましくは5℃)。
【0052】
ハイブリダイゼーションに阻害性である、強い内部構造を形成することが知られる核酸領域は、プライマーまたはプローブとしてより好ましくない。こうした構造の例には、ヘアピンループが含まれる。同様に、広範な自己相補性を持つオリゴヌクレオチドも回避すべきである。
【0053】
非特異的伸長(プライマー二量体または標的非コピー)の度合いもまた、増幅有効性に影響を及ぼしうる。このため、プライマーは、特に配列の3’端で、低い自己相補性または交差相補性を有するよう選択される。長いホモポリマー領域および高いGC含量を回避して、偽のプライマー伸長を減少させる。設計のこの側面を補助するのに、商業的に入手可能なコンピュータソフトウェアが利用可能である。入手可能なコンピュータプログラムには、MacDNASISTM2.0(Hitachi Software Engineering American Ltd.)およびOLIGOバージョン4.1(National Bioscience)が含まれる。
【0054】
一般レベルの技術を有する当業者は、ハイブリダイゼーションが、相補核酸の2つの一本鎖の会合を伴い、水素結合二本鎖を形成することを認識するであろう。2つの鎖の一方が、完全にまたは部分的にハイブリッドに関与しているならば、その鎖が、新たなハイブリッドの形成に、より関与しにくいであろうことは暗黙の了解である。目的の配列のかなりの部分が一本鎖であるように、プライマーおよびプローブを設計することによって、ハイブリダイゼーションの率および度合いを非常に増加させることが可能である。標的が、組み込まれたゲノム配列である場合、これは当然、二本鎖型を生じるであろう(ポリメラーゼ連鎖反応の産物の場合のように)。これらの二本鎖標的は、当然、プローブとのハイブリダイゼーションに阻害性であり、そしてハイブリダイゼーション工程前に、変性を要する。
【0055】
ポリヌクレオチドがその標的にハイブリダイズする率は、標的結合領域における標的二次構造の熱安定性の測定値である。ハイブリダイゼーション率の標準的な測定値は、リットルあたりのヌクレオチドのモル数に秒を乗じたものとして測定される、C1/2である。したがって、これは、その濃度で最大ハイブリダイゼーションの50%が生じる時間を乗じた、プローブ濃度である。この値は、多様な量のポリヌクレオチドを一定量の標的に、固定した時間、ハイブリダイズさせることによって、決定する。C1/2は、一般の当業者によく知られるであろう標準法によって、グラフ的に見出される。
【0056】
好ましい増幅プライマー
プライマーおよびプローブを含む、本明細書に開示するオリゴヌクレオチドの多くは、HBV、サブタイプADWの配列由来であった。クローニングされたB型肝炎ウイルスDNAの全ヌクレオチド配列は、GENBANK寄託番号V00866を通じてアクセス可能である。
【0057】
一般的に言って、本発明にしたがった増幅反応を行うのに有用なプライマーは、下流HBV相補配列、および場合によって、HBV標的に相補的でない上流配列を有する。HBV標的核酸の一方の鎖に相補的な特定のプライマー(すなわち「第一鎖」プライマー)のHBV相補配列は、好ましくは、長さ20〜50塩基であり、そして配列番号2の20〜50の隣接塩基を有し、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の置換が可能である。HBV標的核酸の第二鎖または相対する鎖に相補的な特定のプライマー(すなわち「第二鎖」プライマー)のHBV相補配列は、好ましくは、長さ20〜54塩基であり、そして配列番号4の20〜54の隣接塩基を有し、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の置換が可能である。もちろん、HBV標的に相補的でない、場合による上流配列が、プライマーの全体の長さに加わるであろう。場合による上流配列の例は、RNAポリメラーゼのプロモーターであろう。
【0058】
増幅反応を行うのに有用なプライマーは、異なる長さを有することも可能である。例えば、HBV標的核酸配列の一方の鎖に相補的な増幅オリゴヌクレオチド(すなわち第一鎖プライマー)は、好ましくは100塩基まで、より好ましくは18〜60塩基の長さを有し、そして18〜27塩基、またはさらにより好ましくは20〜23塩基の長さの範囲のHBV相補配列を有し、そしてGTGTCTTGGCCAAAATTCGCAGTCCCCAACCTCCAATCACTCACCAACCTCCTGTCCTCCAATTTGTCCTGGTTATCGCTGGATGTGTCTGCGGCGTTTTATCATATTCCTCTTCATCCTGCTGCTAT(配列番号1)に示す配列に実質的に対応する、1以上の窒素性塩基類似体の置換が可能である、少なくとも18の隣接塩基を含む。この群に属する、プロモーター−プライマーを含むプライマーの例には、配列番号16〜49が含まれる。HBV核酸を増幅するのにさらにより非常に好ましいプライマーは、100塩基まで、より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、そしてCTGGATGTGTCTGCGGCGTTTTATCATATTCCTCTTCATCCTGCTGCTAT(配列番号2)に実質的に対応する配列内に含有される、1以上の窒素性塩基類似体の置換が可能である、少なくとも20の隣接塩基、より好ましくは20〜24の隣接塩基を含むHBV相補配列を有する。この群に属するプライマーの例には、配列番号22〜28、および配列番号39〜45のそれぞれのT7プロモーター−プライマーが含まれる。HBV核酸を増幅するプライマーの別の非常に好ましいコレクションは、100塩基まで、より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、そしてATCATATTCCTCTTCATCCTGCTGCTAT(配列番号3)に実質的に対応する配列内に含有される、1以上の窒素性塩基類似体の置換が可能である、少なくとも23の隣接塩基、より好ましくは23〜24の隣接塩基を含むHBV相補配列を有する。この群に属するプライマーの例には、配列番号24〜28、および配列番号41〜45のそれぞれのT7プロモーター−プライマーが含まれる。HBV配列を増幅するのにTMA反応を用いた場合、T7プロモーター−プライマーなど、これらの特性を有するプライマーは、プロモーター−プライマーとして用いるのに非常に好ましい。もちろん、プライマーがT7プロモーター−プライマーである場合、5’端に、T7プロモーター配列が含まれるであろうし、これは典型的には、プライマーの長さを約27〜33塩基、増加させる。プロモーター−プライマーの例には、配列番号33〜49に示す配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書に開示するプロモーター−プライマーは、上に引用するTMA法を用いた核酸増幅反応を行うのに特に望ましい。
【0059】
増幅反応を行うのに、いずれかの組み合わせで上述のプライマーとともに使用可能な他のプライマー(すなわち第二鎖プライマー)は、HBV標的核酸配列の相対する鎖に相補的である。HBV標的核酸配列のこの相対する鎖に相補的な増幅プライマーは、好ましくは100塩基、またはより好ましくは20〜31塩基、またはさらにより好ましくは20〜21塩基の長さを有する。これらのプライマーは、非プロモーター・プライマー(すなわちプロモーター−プライマーに比較した際、HBVテンプレートの相対する鎖に相補的であるプライマー)として使用するのに特に好ましい。本明細書に開示するように、これらのプライマーは、GGAATTAGAGGACAAACGGGCAACATACCTTGATAATCCAGAAGAACCAATAAG(配列番号4)に実質的に対応する配列由来で、窒素性塩基類似体の置換が可能である、少なくとも20の隣接塩基を有する。これらの基準を満たす特定の増幅プライマーの例には、配列番号5〜15に示す配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。さらにより好ましいのは、AGGACAAACGGGCAACATACCTTGATAATCCAGAAGAACCAATAAG(配列番号142)に実質的に対応する配列由来で、窒素性塩基類似体の置換が可能である、少なくとも20の隣接塩基を有するプライマーである。これらの基準を満たす特定の増幅プライマーの例には、配列番号5〜9、11および15に示す配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0060】
上に明記する可変長の増幅プライマーは、標的結合に関与せず、そして増幅法または検出法に実質的に影響を与えない可能性がある、外来性の(extraneous)配列の存在に対応すると意図するのを理解すべきである。例えば、本発明にしたがって、増幅反応を行うのに有用なプロモーター−プライマーは、HBV標的核酸にハイブリダイズする、少なくとも最小の配列、および最小配列上流に位置するプロモーター配列を有する。しかし、標的結合配列およびプロモーター配列間に配列を挿入すると、増幅反応における有用性を危うくすることなく、プライマーの長さを変化させることが可能である。さらに、増幅プライマーおよび検出プローブの長さは、これらのオリゴヌクレオチド配列が、望ましい相補配列にハイブリダイズするのに必須の最小必要条件に適合する限り、好みの問題である。
【0061】
表1および表2は、HBV核酸を増幅するためのプライマーとして使用した、オリゴヌクレオチド配列の特定の例を示す。表1は、核酸の一方の鎖上のHBV配列に相補的なプライマーの配列を示す。表2は、本発明の開発中に用いた、HBV標的相補配列およびプロモーター−プライマーの全長配列両方の配列を示す。表1のオリゴヌクレオチド配列と比較して、表2のオリゴヌクレオチド配列は、HBVゲノムの相対する核酸鎖に相補的である。
【0062】
表1
増幅プライマーのポリヌクレオチド配列
【0063】
【表1】

【0064】
表2は、HBV標的相補オリゴヌクレオチド配列(配列番号16〜32)および対応するプロモーター−プライマー配列(配列番号33〜49)を示す。上述のように、すべてのプロモーター−プライマーには、その3’端に、HBV標的配列に相補的な配列が、そしてその5’端に、T7プロモーター配列が含まれた。
【0065】
表2
増幅プライマーのポリヌクレオチド配列
【0066】
【表2A】

【0067】
【表2B】

【0068】
TMA反応において、HBV配列を増幅するのに好ましいプライマーセットには、HBV標的配列にハイブリダイズする第一のプライマー(表2に列挙するプライマーの1つなど)および第一のプライマーの伸長産物の配列に相補的な第二のプライマー(表1に列挙するプライマー配列の1つなど)が含まれる。非常に好ましい態様において、第一のプライマーは、その5’端にT7プロモーター配列を含む、プロモーター−プライマーである。
【0069】
好ましい検出プローブ
本発明の別の側面は、HBV核酸を検出するハイブリダイゼーションプローブとして使用可能なオリゴヌクレオチドに関する。HBVの核酸中に存在する標的核酸配列を増幅するための方法は、単位複製配列を検出する、場合によるさらなる工程を含むことが可能である。HBV核酸を検出するためのこの方法は、標的核酸配列またはその相補体に優先的にハイブリダイズするハイブリダイゼーションアッセイプローブと試験試料を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で接触させ、それによって、検出のため、安定なプローブ:標的二重鎖を形成する工程を含む。次に、試験試料中のHBV核酸の存在または非存在の指標として、ハイブリッドが試験試料中に存在するかどうか決定する工程がある。これは、プローブ:標的二重鎖を検出することを伴う可能性がある。
【0070】
HBV核酸配列を検出するのに有用なハイブリダイゼーションアッセイプローブには、HBV標的核酸配列に実質的に相補的な塩基配列が含まれる。したがって、本発明のプローブは、HBV標的核酸配列の一方の鎖、またはその相補体にハイブリダイズする。これらのプローブは、場合によって、HBV核酸に相補的であることもまたはないことも可能な、標的核酸領域外のさらなる塩基も有することが可能である。
【0071】
好ましいプローブは、塩濃度が0.6〜0.9Mの範囲である場合、約60℃に対応する、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするために、標的核酸に十分に相同である。好ましい塩には、塩化リチウムが含まれるが、塩化ナトリウムおよびクエン酸ナトリウムなどの他の塩もまた、ハイブリダイゼーション溶液中で使用可能である。高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例は、あるいは、0.48Mリン酸ナトリウム緩衝液、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、並びに各1mMのEDTAおよびEGTAによって、あるいは0.6M LiCl、1%ラウリル硫酸リチウム、60mMコハク酸リチウム、並びに各10mMのEDTAおよびEGTAによって提供される。
【0072】
HBV核酸配列を検出するのに好ましい特定のプローブは、17〜23ヌクレオチドの範囲の長さの標的相補配列を有する。HBV核酸を検出するのに使用可能な非常に好ましいプローブは、長さ23ヌクレオチドの、より好ましくは22ヌクレオチドの、より好ましくは20ヌクレオチドの、より好ましくは19ヌクレオチドの、より好ましくは18ヌクレオチドの、またはより好ましくは17ヌクレオチドの標的相補配列を有する。もちろん、これらの標的相補配列は、直鎖配列であることも可能であるし、あるいは分子ビーコンの構造に含有されるか、または検出しようとするHBV標的配列に相補的でない、場合による1以上の核酸配列を有する他の構築物の構造に含有されることも可能である。上述のように、プローブは、DNA、RNA、DNAおよびRNAの組み合わせ、核酸類似体で作成することも可能であるし、または1以上の修飾ヌクレオシド(例えばリボフラノシル部分に2’−O−メチル置換を有するリボヌクレオシド)を含有することも可能である。
【0073】
本明細書に開示するアッセイを行うのに使用可能なプローブの例には、ACGGGCAACATACCTTGATAGTCCAGAAGAACCAACAAGAAGATGAGGCATAGCAGCAGGATGCAGAGGAA(配列番号67)に示す配列、またはその相補体内に含有される、少なくとも17、より好ましくは17〜23、またはより好ましくは17〜19の隣接ヌクレオチドが含まれ、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の置換が可能である。本発明にしたがった、特定の好ましいプローブには、検出可能標識が含まれる。1つの態様において、この標識は、非ヌクレオチドリンカーによってプローブに連結されたアクリジニウムエステルである。例えば、米国特許第5,585,481号;および米国特許第5,639,604号に実質的に記載されるように、特に後者の特許の第10欄第6行から第11欄第3行に、そして実施例8に記載されるように、リンカーを介して付着した化学発光アクリジニウムエステル化合物で、検出プローブを標識することも可能である。これらの特許文書に含有される開示は、本明細書に援用される。ハイブリダイゼーションプローブが、内部に配置されたリンカーを介してアクリジニウムエステル部分で標識されている場合、プローブは、好ましくは、その開示が本明細書に援用される米国特許第6,245,519号にしたがって「保護プローブ」の存在下で保存される。例えば、プローブが長さ19塩基であり、そして6位および7位の間に連結されるアクリジニウムエステルを有するならば、対応する保護プローブは、必要な示差Tmを提供するため、長さ16塩基であることも可能である。この場合、我々は、プローブに連結されるアクリジニウムエステル標識の一方の側に3つの相補塩基、およびもう一方の側に13の相補塩基を有する保護プローブを用いた。もちろん、他の配列変動も想定可能である。
【0074】
表3は、HBV単位複製配列を検出するのに用いた、ハイブリダイゼーションプローブの配列を示す。HBV核酸配列を検出する別のプローブは、HBVの相対するセンス鎖にハイブリダイズ可能であるため、本発明はまた、表に示す配列に相補的なオリゴヌクレオチドも含む。
【0075】
表3
HBV検出プローブのポリヌクレオチド配列
【0076】
【表3】

【0077】
本発明のいくつかの態様において、HBV単位複製配列を検出するのに用いるプローブ配列には、メトキシ主鎖、または核酸主鎖中の少なくとも1つのメトキシ連結が含まれる。
【0078】
捕捉オリゴヌクレオチドの選択および使用
好ましい捕捉オリゴヌクレオチドには、固体支持体上の固定用の標的として働く第二の配列(すなわち「テール」配列)に共有結合した、HBV配列(すなわち「HBV標的配列」)に相補的な第一の配列が含まれる。捕捉オリゴヌクレオチドの塩基配列を連結するいかなる主鎖も使用可能である。特定の好ましい態様において、捕捉オリゴヌクレオチドは、主鎖中、少なくとも1つのメトキシ連結を含む。好ましくは捕捉オリゴヌクレオチドの3’端にあるテール配列を用いて、相補塩基配列にハイブリダイズさせ、生物学的試料中の他の構成要素に優先して、ハイブリダイズした標的HBV核酸を捕捉する手段を提供する。
【0079】
テール配列中で、相補塩基配列にハイブリダイズするいかなる塩基配列も使用可能であるが、ハイブリダイズする配列が、約5〜50ヌクレオチド残基の長さに渡ることが好ましい。特に好ましいテール配列は、実質的にホモポリマー性であり、約10〜約40ヌクレオチド残基、またはより好ましくは約14〜約30残基を含有する。本発明にしたがった捕捉オリゴヌクレオチドは、HBV標的ポリヌクレオチドに特異的に結合する第一の配列、および固体支持体に固定されたオリゴ(dT)ストレッチに特異的に結合する第二の配列を含むことが可能である。
【0080】
図1に例示する構成要素を用いて、生物学的試料中のHBV配列を検出する1つのアッセイは、捕捉オリゴヌクレオチドを用いて標的核酸を捕捉する工程、少なくとも2つのプライマーを用いて、捕捉した標的領域を増幅する工程、および、まず増幅した核酸に含有される配列に標識プローブをハイブリダイズさせ、そして次いで、結合した標識プローブから生じるシグナルを検出することによって、増幅した核酸を検出する工程を含む。
【0081】
捕捉工程は、好ましくは、捕捉オリゴヌクレオチドを用い、該工程では、ハイブリダイゼーション条件下で、1部分の捕捉オリゴヌクレオチドが標的核酸中の配列に特異的にハイブリダイズし、そしてテール部分が、標的領域を試料の他の構成要素から分離するのを可能にする、リガンド(例えばビオチン−アビジン結合対)などの結合対の1つの構成要素として働く。好ましくは、捕捉オリゴヌクレオチドのテール部分は、固体支持体粒子に固定された相補配列にハイブリダイズする配列である。好ましくは、まず、捕捉オリゴヌクレオチドおよび標的核酸は、溶液相ハイブリダイゼーション動力学を利用するため、溶液中にある。ハイブリダイゼーションは、捕捉オリゴヌクレオチド:標的核酸複合体を産生し、該複合体は、相補固定化配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドのテール部分のハイブリダイゼーションを通じて、固定化プローブに結合可能である。したがって、標的核酸、捕捉オリゴヌクレオチドおよび固定化プローブを含んでなる複合体が、ハイブリダイゼーション条件下で形成される。好ましくは、固定化プローブは、テール配列に相補的であり、そして固体支持体に付着する、反復配列であり、そしてより好ましくは、ホモポリマー配列(例えばポリA、ポリT、ポリCまたはポリG)である。例えば、捕捉オリゴヌクレオチドのテール部分がポリA配列を含有する場合、固定化プローブはポリT配列を含有するであろうが、相補配列のいかなる組み合わせも使用可能である。捕捉オリゴヌクレオチドはまた、「スペーサー」残基も含有可能であり、該スペーサー残基は、標的にハイブリダイズする塩基配列および固定化プローブにハイブリダイズするテールの塩基配列間に位置する、1以上の塩基である。標的核酸:捕捉オリゴヌクレオチド複合体に結合するのに、いかなる固体支持体も使用可能である。有用な支持体は、マトリックスまたは溶液中の遊離粒子(例えばニトロセルロース、ナイロン、ガラス、ポリアクリレート、混合ポリマー、ポリスチレン、シランポリプロピレン、および好ましくは磁気誘引可能粒子)いずれかであることも可能である。固体支持体に固定化プローブを付着させる方法が周知である。支持体は、好ましくは、標準法(例えば遠心分離、磁気粒子の磁気誘引など)を用いて溶液から回収可能な粒子である。好ましい支持体は常磁性単分散粒子(すなわち±約5%でサイズが均一)である。
【0082】
標的核酸:捕捉オリゴヌクレオチド:固定化プローブ複合体を回収すると、(生物学的試料におけるその濃度に比較して)標的核酸が効率的に濃縮され、そして生物学的試料中に存在する可能性がある増幅阻害因子から標的核酸が精製される。捕捉された標的核酸は、例えば、上述のように、付着した標的核酸:捕捉オリゴヌクレオチド:固定化プローブ複合体を含む粒子を、洗浄溶液に再懸濁し、そして次いで、洗浄溶液から、付着した複合体を含む粒子を回収することによって、1回以上洗浄し、標的をさらに精製することが可能である。好ましい態様において、捕捉工程は、連続的に、捕捉オリゴヌクレオチドを標的核酸とハイブリダイズさせ、そして次いで、ハイブリダイゼーション条件を調整し、捕捉オリゴヌクレオチドのテール部分と、固定化相補配列とのハイブリダイゼーションを可能にすることによって、行う(例えば、PCT第WO98/50583号に記載されるように)。捕捉工程、およびいかなるものでもよい、場合による洗浄工程が完了すると、次いで、標的核酸を増幅可能である。操作工程数を制限するため、標的核酸は、場合によって、捕捉オリゴヌクレオチドから遊離させることなく、増幅させることも可能である。
【0083】
HBV核酸の2つの異なる領域を、本明細書において、捕捉オリゴヌクレオチドの標的として記載し、各領域は、本明細書記載の方法によって増幅可能なHBV核酸配列を定義する、相対して配置された境界の1つの外側に位置する。これらの領域の1つにハイブリダイズする捕捉オリゴヌクレオチドの配列は、AGACTCGTGGTGGACTTCTCTCAATTTTCTAGGGGGATCACCCGTGTGTCTTGGCCAAAATTCGCAGTCCCCAACCTCCAATCACTCACCAAC(配列番号68)に実質的に対応する配列内に含有される。捕捉オリゴヌクレオチドのHBV相補部分の好ましい長さは、20〜40ヌクレオチド、より好ましくは25〜30ヌクレオチドの範囲に属する。このカテゴリーに属する有用な捕捉オリゴヌクレオチドの例には、配列番号70〜76に示す配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。HBV核酸配列の他の領域にハイブリダイズする捕捉オリゴヌクレオチドの配列は、CGTTTCTCTTGGCTCAGTTTACTAGTGCCATTTGTTCAGTGGTTCGTAGGGCTTTCCCCCACTGTTTGGCTTT(配列番号69)に実質的に対応する配列内に含有される。これらの捕捉オリゴヌクレオチドの好ましい大きさは、長さ25〜50ヌクレオチド、より好ましくは25〜32ヌクレオチドの範囲に属する。このカテゴリーに属する有用な捕捉オリゴヌクレオチドの例には、配列番号77〜87のHBV相補配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。有用な捕捉オリゴヌクレオチドは、ミスマッチ配列が、増幅しようとする配列を含有するHBV核酸にハイブリダイズする限り、上述の配列に対するミスマッチを含有することも可能である。本明細書記載の各捕捉オリゴヌクレオチドには、3’端のポリ(dA)テールに連結された、表4に示すHBV相補配列の1つが含まれた。配列番号71および配列番号80に同定するオリゴヌクレオチドを例外として、捕捉オリゴヌクレオチドにはすべて、HBV相補配列およびポリ(dA)テール間に配置される3つのチミジンヌクレオチドもまた含まれた。下に示すように、これらのチミジンヌクレオチドの存在は、捕捉法の成功に必須であるとは考えられない。特に、配列番号86の捕捉オリゴヌクレオチドの16位には、天然に存在する「G」核酸塩基の代わりに「C」核酸塩基が存在することから、本発明の捕捉オリゴヌクレオチドには、少なくとも1つの塩基置換が許容されることが立証された。
【0084】
表4
捕捉オリゴヌクレオチドのHBV相補部分のポリヌクレオチド配列
【0085】
【表4】

【0086】
HBVポリヌクレオチド配列を増幅し、そして検出するのに好ましい方法
本発明の好ましい方法を、以下に示す実施例に記載し、そして例示する。図1は、HBVゲノム(太い水平な実線によって示す)の標的領域を検出するのに使用可能な1つの系を図式的に例示する。この系は、4つのオリゴヌクレオチド(より短い実線によって示す):標的領域でHBV配列に特異的にハイブリダイズする配列、および生物学的試料中に存在する標的領域を捕捉するため、固体支持体に固定された相補配列にハイブリダイズするテール(「T」)を含む、1つの捕捉オリゴヌクレオチド;標的領域でHBV配列に特異的にハイブリダイズする配列、および二重鎖で、T7 RNAポリメラーゼの機能するプロモーターとして作用するT7プロモーター配列(「P」)を含む、1つのT7プロモーター−プライマー;T7プロモーター−プライマーを用いて、標的領域配列から作成される第一鎖cDNAに特異的にハイブリダイズする配列を含む、1つの非T7プライマー;および2つのプライマーを用いて増幅される標的領域の一部に特異的にハイブリダイズする配列を含む、1つの標識プローブを含む。
【0087】
上に示すように、2つのプライマーを用いる、捕捉された標的領域の増幅は、一般のレベルの技術を有する当業者によく知られるであろう、多様な既知の核酸増幅反応いずれによっても達成可能である。好ましい態様において、TMAなどの転写関連増幅反応を使用する。こうした態様において、標的核酸の単一コピーから、多くの鎖の核酸を産生し、こうして、増幅した配列に結合するプローブを検出することによって、標的の検出を可能にする。好ましくは、転写関連増幅は、溶液中で、適切な塩および緩衝剤と共に、2種類のプライマー(1つはプロモーター配列を含有するため、プロモーター−プライマーと称され、図1ではRNAポリメラーゼを表す「P」と示す)、2つの酵素(逆転写酵素およびRNAポリメラーゼ)、および基質(デオキシリボヌクレオシド三リン酸、リボヌクレオシド三リン酸)を用い、核酸テンプレートから多数のRNA転写物を生じる。
【0088】
図1を参照すると、転写仲介増幅中、捕捉された標的核酸は、T7プロモーター−プライマーとして示される第一のプライマーにハイブリダイズする。逆転写酵素を用いて、標的DNAをテンプレートとして用い、T7プロモーター−プライマーから相補DNA鎖を合成する。非T7プライマーとして示される、第二のプライマーは、新たに合成されたDNA鎖にハイブリダイズし、そして逆転写酵素の作用によって伸長されてDNA二重鎖が形成され、それによって二本鎖T7プロモーター領域が形成される。次いで、T7 RNAポリメラーゼは、この機能するT7プロモーターを用いることによって、多数のRNA転写物を生成する。TMAの自己触媒機構は、RNA転写物をテンプレートとして用いるcDNA合成工程に続いて、反復してハイブリダイゼーション工程および重合工程を使用し、さらなる転写物を産生して、それによって標的領域特異的核酸配列を増幅する。
【0089】
検出工程は、上述の増幅したRNA転写物または単位複製配列に特異的に結合する、少なくとも1つの検出プローブを用いる。好ましくは、検出プローブは、均質検出系を用いて検出可能な標識で標識される。例えば、標識プローブは、上述のような、化学発光シグナルが産生され、そして検出されることが可能な、アクリジニウムエステル化合物で標識されることも可能である。あるいは、標識プローブは、蛍光体および消光剤部分を含んでなることも可能である。分子ビーコンは、均質検出系で使用可能なこうした標識プローブの1つの態様である。
【0090】
マルチプレックス増幅反応
多数の解析物ポリヌクレオチドを検出する簡便な試験形式は、異なるプライマーセットを用いて同時に増幅反応を行うことを伴い、ここで、反応中合成される単位複製配列を、ハイブリダイゼーションによって検出する。これに関して、Gen−Probe Incorporated(カリフォルニア州サンディエゴ)は、3つの重要な工程を用いて、単一試験管マルチプレックス形式でHIV−1および/またはHCV(C型肝炎ウイルス)核酸を検出するHIV−1/HCV試験を開発した。最初の試料調製法において、血漿を界面活性剤で処理してウイルスゲノムRNAを遊離させ、標的特異的オリゴヌクレオチドを標的にハイブリダイズさせ、そして磁気微小粒子上に捕捉して、該粒子を磁場中で血漿から分離する。次に、転写に基づくポリヌクレオチド増幅系を使用して、単一反応中で、HIV−1および/またはHCV標的RNAを増幅する。最後に、HIV−1またはHCV単位複製配列に相補的な化学発光プローブの核酸ハイブリダイゼーションを用いて、検出を達成する。アッセイが陽性結果を生じたら、識別試験を行って、2つのウイルス間を区別する。
【0091】
以下に記載する方法において、HIV−1核酸を増幅し、そして検出するのに特に用いたオリゴヌクレオチドは、以下の配列を有した。HIV−1核酸の一方の鎖に特異的な増幅プライマーには、CGGGCGCCACTGCTAGAGATTTT(配列番号98)およびGTTTGTATGTCTGTTGCTATTATGTCTA(配列番号99)の配列が含まれ、各プライマーには、AATTTAATACGACTCACTATAGGGAGACGGGCGCCACTGCTAGAGATTTT(配列番号100)およびAATTTAATACGACTCACTATAGGGAGAGTTTGTATGTCTGTTGCTATTATGTCTA(配列番号101)の対応するプロモーター−プライマーを生じる、場合による上流プロモーター配列がさらに含まれた。本発明の開発中に用いた、相対する鎖のプライマーは、GCCTCAATAAAGCTTGCC(配列番号102)およびACAGCAGTACAAATGGCAG(配列番号103)の配列を有した。本明細書に示すマルチプレックスデータを得るのには用いなかったが、好ましい相対する鎖の代替プライマーには、GACAGCAGTACAAATGGCAG(配列番号104)およびAGACAGCAGTACAAATGGCAG(配列番号105)が含まれる。HIV単位複製配列を検出するためのプローブは、CCACAATTTTAAAAGAAAAGGG(配列番号106)(7位および8位のヌクレオチド間でAE標識されている)、CUGGUAICUAGAGAUCCCUC(配列番号107)(9位および10位のヌクレオチド間でAE標識されている)、およびGGATTGGIIIGTACAGTGC(配列番号108)(5位および6位のヌクレオチド間でAE標識されている)に示す配列を有した。CCACAAGCUUAGAAGAUAGAGAGG(配列番号109)(10位および11位のヌクレオチド間でAE標識されている)の配列を有するプローブを、内部対照単位複製配列を検出するのに用いた。最後の位がDNAヌクレオチドに占められたことを除いて、これらのプローブをすべて、2’−OMe類似体を用いて調製し、それによってRNAに均等な塩基およびDNAに均等な塩基、塩基類似体並びにヌクレオチド主鎖類似体の組み合わせを用いて、プローブを柔軟に調製可能であることを確認した。プローブ保護オリゴヌクレオチドは、GGATCTCTAGCTACC(配列番号110)、CCCTTTTCTTTTAAAATTGTGG(配列番号111)、およびCTATCTTCTAAGCTTG(配列番号112)の配列を有した。捕捉オリゴヌクレオチドには、ACUGACGCUCUCGCACCCAUC(配列番号113)およびUCUGCUGUCCCUGUAAUAAACCCG(配列番号114)のHIV相補配列が含まれ、そして2’−OMe類似体を用いて該捕捉オリゴヌクレオチドを調製し、そして3つのT残基を間に配置して、3’端でA30のテール配列に連結した。
【0092】
HCV核酸を増幅し、そして検出するのに用いた、好ましいオリゴヌクレオチドは、以下の配列を有した。HCV核酸の一方の鎖に特異的な増幅プライマーには、AGTACCACAAGGCCTTTCGCIACCCAAC(配列番号115)の配列が含まれ、そしてAATTTAATACGACTCACTATAGGGAGAAGTACCACAAGGCCTTTCGCIACCCAAC(配列番号116)の対応するプロモーター−プライマーを生じる、場合による上流プロモーター配列がさらに含まれた。本発明の開発中に用いた、相対する鎖のプライマーは、CTAGCCATGGCGTTAGTA(配列番号117)およびCTACTGTCTTCACGCAGAAAGCG(配列番号118)の配列を有した。HCV単位複製配列を検出するためのプローブは、CCCGGGAGAGCCAUAGUGGUCT(配列番号119)(14位および15位のヌクレオチド間でAE標識されている)、およびCTGCGGAACCGGTGAGTAC(配列番号120)(13位および14位のヌクレオチド間でAE標識されている)に示す配列を有した。HCV単位複製配列の検出は、AGCCUCCAGGACCCCCCCT(配列番号121)の配列を有するヘルパープローブの使用によって促進された。上述のように、最後の位がDNAヌクレオチドに占められたことを除いて、これらのプローブを、2’−OMe類似体を用いて調製し、それによってRNAに均等な塩基およびDNAに均等な塩基、塩基類似体並びにヌクレオチド主鎖類似体の組み合わせを用いて、プローブを柔軟に調製可能であることを確認した。プローブ保護オリゴヌクレオチドは、GACCACTATGGCTC(配列番号122)およびGTACTCACCGGTTC(配列番号123)の配列を有した。捕捉オリゴヌクレオチドには、GGGCACUCGCAAGCACCCU(配列番号124)およびCAUGGUGCACGGUCUACG(配列番号125)のHCV相補配列が含まれ、そして2’−OMe類似体を用いて該捕捉オリゴヌクレオチドを調製し、そして3つのT残基を間に配置して、3’端でA30のテール配列に連結した。
【0093】
特に、上述のオリゴヌクレオチドは、単一解析物検出に関して本明細書に記載する条件下で使用可能である。実際、HIV−1を増幅し、そして検出するのに用いたオリゴヌクレオチドは、HIV−1を検出するための独立型アッセイで使用可能であり、そしてHCVを増幅し、そして検出するのに用いたオリゴヌクレオチドは、HCVを検出するための独立型アッセイで使用可能である。これらの代替独立型アッセイの各々が、本発明の好ましい態様に相当する。さらに、HIV−1を増幅し、そして検出するのに用いたオリゴヌクレオチドは、マルチプレックス反応において、HCVを増幅し、そして検出するのに用いたオリゴヌクレオチドと組み合わせて使用されてきている。再び、この組み合わせが、本発明の別の好ましい態様に相当する。最後に、本明細書の多くの実施例に開示するように、HIV−1およびHCV増幅および検出オリゴヌクレオチドを組み合わせて用いて、HIV−1、HCVおよびHBV解析物のいずれかまたはすべてを増幅し、そして検出することが可能なアッセイが用意されてきている。
【0094】
マルチプレックス増幅反応において、各プライマーセットが、異なる解析物ポリヌクレオチドに特異的である、異なるプライマーセットの数が増加するにつれて、プライマー間、並びにプライマーおよび無関係な単位複製配列間の望ましくない相互作用の機会が増加する。本明細書に開示する最も非常に好ましいプライマー配列は、HBV核酸のみを特異的に増幅する反応で使用可能であり、そしてまた、HIV−1およびHCVからウイルス特異的配列を増幅することがさらに可能な単一ポリヌクレオチド増幅反応における試薬としても使用可能である。
【0095】
HBV核酸を検出するキット
本発明はまた、ウイルス核酸テンプレートを用いて、ポリヌクレオチド増幅反応を行うためのキットも含む。特定の好ましいキットは、in vitro増幅反応において、HBV核酸を増幅するのに使用可能なオリゴヌクレオチドプライマー対を含有する。典型的なキットには、増幅しようとするHBV核酸配列の相対する鎖に相補的な、第一および第二の増幅オリゴヌクレオチドが含まれる。「第一鎖」プライマーとも称される第一の増幅オリゴヌクレオチドには、HBV核酸の一方の鎖に相補的な下流配列、および場合によって、そのHBV核酸に相補的でない上流配列が含まれる。第一の増幅オリゴヌクレオチドは、好ましくは100塩基までの長さ、より好ましくは20〜60塩基の長さを有し、そして配列番号2に実質的に対応する配列内に含有される、1以上のヌクレオチドまたは窒素性塩基類似体の置換が可能である、少なくとも20の隣接塩基、より好ましくは20〜50の隣接塩基、さらにより好ましくは20〜24の隣接塩基を含むHBV相補配列を有する。この群に属するプライマーには、配列番号22〜28、および配列番号39〜45の対応するT7プロモーター−プライマーが含まれる。第二の増幅オリゴヌクレオチドは、好ましくは100塩基まで、またはより好ましくは20〜31塩基、またはさらにより好ましくは20〜21塩基の長さを有する。「第二鎖」プライマーとも称される、この第二のプライマーは、配列番号4に実質的に対応する配列内に含有される、ヌクレオチドまたは窒素性塩基類似体の置換が可能である、少なくとも20の隣接塩基、より好ましくは20〜54の隣接塩基、より好ましくは20〜21の隣接塩基を有する。これらの基準を満たす増幅プライマーには、配列番号5〜15に示す配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。該キットは、1以上のオリゴヌクレオチド検出プローブをさらに含有することも可能である。これらのプローブは、配列番号67に示す配列、またはその相補体内に含有される、少なくとも17の隣接ヌクレオチド、より好ましくは17〜23の隣接ヌクレオチド、またはより好ましくは17〜19の隣接ヌクレオチドを含むことも可能であり、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の置換が可能である。特に好ましいプローブには、配列番号50、配列番号57および配列番号54の配列を有するものが含まれるが、本明細書に開示する他のプローブも使用可能であり、そして本発明の範囲内に属すると意図される。もちろん、これらの配列の相補体もまた、HBV配列を検出するプローブとして使用可能である。キットに含まれることが可能な他のプローブは、実施例10に記載される種類の分子ビーコン・ハイブリダイゼーションプローブである。本発明にしたがったさらに他のキットは、増幅前に、他の種からHBVテンプレート核酸を精製するための捕捉オリゴヌクレオチドをさらに含むことが可能である。典型的な捕捉オリゴヌクレオチドは、100ヌクレオチドまでの長さを有し、そして配列番号68の少なくとも20の隣接ヌクレオチド、より好ましくは20〜40の隣接ヌクレオチド、またはさらにより好ましくは25〜30の隣接ヌクレオチドの範囲に属するHBV相補部分を有する。このカテゴリーに属する有用な捕捉オリゴヌクレオチドの例には、配列番号70〜76に示す配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。別の捕捉オリゴヌクレオチドは、100ヌクレオチドまでの長さを有し、そして配列番号69の少なくとも25の隣接ヌクレオチド、より好ましくは25〜50の隣接ヌクレオチド、またはさらにより好ましくは25〜32の隣接ヌクレオチドの範囲に属するHBV相補部分を有する。このカテゴリーに属する有用な捕捉オリゴヌクレオチドの例には、配列番号77〜87に示す配列を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。実際、HBV核酸を検出する、発明された方法を実施するのに有用なキットは、互いにパッケージングした組み合わせで、本明細書に開示する、増幅オリゴヌクレオチド組成物および/または検出プローブ組成物および/または捕捉オリゴヌクレオチド組成物の、本質的にいずれを含むことも可能である。
【0096】
本発明にしたがった他の好ましいキットには、HBV以外のウイルス標的の核酸を増幅するが、HBV標的核酸を増幅するプライマーと組み合わせて使用可能な、プライマーが含まれる。例えば、HBV標的核酸を増幅するプライマーは、HIV−1および/またはHCV標的核酸を増幅するのに使用可能なプライマーとパッケージングした組み合わせにあることも可能である。HIV−1およびHCVを増幅するための典型的なプライマーを本明細書に開示する。特に好ましい態様において、該キットには、HBV、HIV−1およびHCVを増幅するためのプライマーが含まれる。さらに他のキットには、HIV−1またはHCV標的核酸いずれかの1つのみを増幅するのに使用可能なプライマーが含まれる。さらに他のキットには、HIV−1およびHCV両方を増幅するプライマーが含まれるが、HBV核酸を増幅するプライマーが含まれない。したがって、多くの異なるキット構成が本発明に含まれることが明らかであるはずである。HIV−1およびHCV核酸を増幅し、そして検出するためのプライマーおよび捕捉オリゴヌクレオチド配列を本明細書に開示する。
【実施例】
【0097】
本発明の一般的な原理は、以下の限定されない実施例を参照することによって、より完全に認識可能である。
実施例1は、ハイブリダイゼーションプローブを同定し、続いてHBV核酸を検出するアッセイにおいて、該プローブを用いる方法を記載する。この方法では、適切な7つの合成オリゴヌクレオチドのうち1つが、候補プローブが結合する標的として働いた。
【0098】
(実施例1)
HBVを検出するためのオリゴヌクレオチドプローブ
RNAまたは2’−OMe主鎖を用いた標準的実験室法にしたがって、合成HBV標的オリゴヌクレオチドを調製した。これらの標的は以下の配列を有した:
UUCCUCUUCAUCCUGCU(配列番号88);
UUCCUCUUCAUCCUGCUGCUAUGCCUCAUCUUCUU(配列番号89);
UUCCUCUGCAUCCUGCUGCUAUGCCUCAUCUUCUUGUUG(配列番号90);
GCCUCAUCUUCUUGUUGG(配列番号91);
CUCAUCUUCUUGUUGGUUCUUCUGGACUAUCAAGG(配列番号92);
UUGGUUCUUCUGGACUAUCAAGG(配列番号93);およびCAAGGUAUGUUGCCCGU(配列番号94)。2’−OMeヌクレオチドを用いて、合成HBV標的にハイブリダイズするための候補プローブを調製し、そしてこのプローブは、表3に示す配列を有した。特に、配列番号90に同定する標的配列の8位は、HBV遺伝子型Bの配列に特徴的なG部分によって占められた。
【0099】
ハイブリダイゼーション反応は、5x10RLUに対応するAE標識プローブの量を含有するハイブリダイゼーション緩衝液100μl体積、および100fmolの合成HBV標的オリゴヌクレオチドを含有する10μlからなった。陰性対照反応では、HBV標的オリゴヌクレオチドを省いた。その開示が上で本明細書に援用されている米国特許第5,585,481号および第5,639,604号に記載される方法にしたがって、内部に配置された非ヌクレオチドリンカーによってオリゴヌクレオチド構造に連結されたAE部分を用いて、表5に列挙するプローブを各々、標識した。異なるリンカー位を使用することによって、この標識技術の汎用性(versitility)を確認した。より具体的には、配列番号50のプローブ上のリンカーは、8位および9位の間に位置し、配列番号51のプローブ上のリンカーは、5位および6位の間に位置し、配列番号52のプローブ上のリンカーは、5位および6位の間に位置し、配列番号53のプローブ上のリンカーは、11位および12位の間に位置し、配列番号54のプローブ上のリンカーは、6位および7位の間または13位および14位の間に位置し、配列番号55のプローブ上のリンカーは、17位および18位の間または8位および9位の間に位置し、配列番号56のプローブ上のリンカーは、14位および15位の間に位置し、配列番号57のプローブ上のリンカーは、8位および9位の間に位置し、配列番号58のプローブ上のリンカーは、10位および11位の間に位置し、配列番号59のプローブ上のリンカーは、13位および14位の間に位置し、配列番号60のプローブ上のリンカーは、8位および9位の間に位置し、配列番号61のプローブ上のリンカーは、9位および10位の間に位置し、配列番号62のプローブ上のリンカーは、6位および7位の間に位置し、配列番号63のプローブ上のリンカーは、14位および15位の間に位置し、配列番号64のプローブ上のリンカーは、17位および18位の間に位置し、配列番号65のプローブ上のリンカーは、5位および6位の間に位置し、そして配列番号66のプローブ上のリンカーは、8位および9位の間に位置する。0.05Mコハク酸リチウム(pH5)、0.6M LiCl、1%(w/v)ラウリル硫酸リチウム、10mM EDTA、10mM EGTAを含有する溶液200μl中、60℃で15分間、プローブハイブリダイゼーションを行った。ハイブリダイゼーション反応に続いて、300μlの0.15M四ホウ酸ナトリウム(pH8.5)および1% TRITON X−100(Union Carbide Corporation;コネチカット州ダンベリー)を添加した。これらの混合物をまず、60℃で10分間インキュベーションして、ハイブリダイズしていないプローブを不活性化し、そしてその後、室温に冷却した。1mM硝酸および0.1%(v/v)過酸化水素を自動的に注入した後、1N水酸化ナトリウムを含有する溶液を注入するよう設定した、LEADER I発光測定装置(Gen−Probe Incorporated)を用いて、各試料において、ハイブリダイズしたプローブによる化学発光をアッセイした。化学発光反応の結果を、相対光単位(RLU)で測定した。この方法から得た試料結果を表5に示す。
【0100】
表5
プローブハイブリダイゼーション結果
【0101】
【表5】

【0102】
表5に示す結果は、各プローブが、低いバックグラウンドシグナルで、そしてHBV標的オリゴヌクレオチドとの少なくとも穏やかなレベルの陽性反応を生じたことを示した。しかし、プローブのいくつかは、実質的に他のものより優れた結果を生じ、それによって、HBV配列におけるプローブ結合の好ましい標的領域が定義された。より具体的には、配列番号65〜66のプローブを例外として、すべてのプローブは、対応するプローブハイブリダイゼーションシグナルの0.5%未満の陰性対照値を生じた。このパターンに基づいて、HBV単位複製配列にハイブリダイズし、そして該配列を検出するのに好ましいプローブには、CCTTGATAGTCCAGAAGAACCAACAAGAAGATGAGGCATAGCAGCAGGATGCAGAGGAA(配列番号95)に示す配列、またはその相補体内に含有される、17〜23の隣接ヌクレオチドが含まれ、RNA均等物およびDNA均等物並びにヌクレオチド類似体の存在が可能である。特に、配列番号54のプローブに関して示す結果は、6位および7位の間に位置するリンカーを有するオリゴヌクレオチドに関するものであるが、13位および14位の間に位置するリンカーを含む、同一の核酸塩基配列を有するプローブに関しても、実質的に同一の結果が得られた。これらの代替物の各々は、発明されたプローブの好ましい態様に相当する。さらに、配列番号55のプローブに関して表に示す結果は、17位および18位の間に位置するリンカーを有するオリゴヌクレオチドに関するものであり、優れているが、8位および9位の間に位置するリンカーを持つ同一の核酸塩基配列を有するプローブに関しては、いくぶん低い値が得られた。これらの代替物もまた、各々、発明されたプローブの好ましい態様に相当する。実際、上述のプローブいずれかに連結された検出可能標識いずれかの配置は、多様であることも可能であり、そしてなお本発明の範囲内に属することも可能である。
【0103】
ある範囲の増幅プライマーおよび捕捉オリゴヌクレオチドが、生物学的試料中のHBV核酸を検出可能であることを立証するため、配列番号50、配列番号52、配列番号54(2つの上述の標識位を有する別個のオリゴヌクレオチドの組み合わせを用いる)、配列番号57、および配列番号58の配列を有するハイブリダイゼーションアッセイプローブを続いて用いた。これらの配列またはその相補体を有するプローブは、RNA均等物およびDNA均等物の存在並びにヌクレオチド類似体の置換が可能であり、各々、本発明の特に好ましい態様に相当する。
【0104】
核酸テンプレートの供給源としてHBVビリオンを使用する一連の方法において、HBV核酸を増幅するのに好ましいプライマーの組み合わせを同定した。以下に記載する方法を用いて、プロモーター−プライマーおよび相対する鎖のプライマーを、組み合わせてスクリーニングした。転写仲介増幅(TMA)プロトコルを用いて、これらの方法を特に行ったが、本明細書に開示するプライマーを用いて、一般レベルの技術を有する当業者によく知られるであろう代替in vitro核酸増幅法によって単位複製配列を産生することも可能である。
【0105】
実施例2は、有用な増幅プライマーを同定する方法を記載する。この方法で記載するHBV特異的標的捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマーおよびプローブに加えて、該反応にはまた、HIV−1およびHCV解析物に特異的な上述のオリゴヌクレオチドも含まれた。HIV−1およびHCVオリゴヌクレオチドは、HBV解析物の検出に実質的には寄与しなかった。
【0106】
(実施例2)
増幅プライマーの同定
HBV遺伝子型Aのビリオンは、プライマー対のセットを使用する増幅反応において、HBVテンプレート配列の供給源として働いた。その開示が上で本明細書に援用される、Kacianら、米国特許第5,399,491号に本質的に記載されるように、TMA反応を行った。各プロモーター−プライマーには、HBV相補配列上流のT7プロモーター配列AATTTAATACGACTCACTATAGGGAGA(配列番号96)が含まれた。100μlの反応緩衝液中、約7〜33コピーの間のHBVテンプレート、および1〜20pmolの各プライマーを用いて、多様なプライマーの組み合わせに関して増幅反応を行った。HIV特異的オリゴヌクレオチドでなく、HBV特異的オリゴヌクレオチドを用いて、テンプレートを捕捉したことを除いて、公開国際特許出願第PCT/US2000/18685号に開示される方法に本質的にしたがい、増幅前に、核酸に標本プロセシングおよび標的捕捉を行った。重要なことに、該方法で用いる捕捉オリゴヌクレオチドはすべて、増幅可能なHBVテンプレートを捕捉可能であることが知られた。したがって、この方法は、異なるプライマーおよびプローブの組み合わせが、マルチプレックス増幅アッセイにおいて、協調する能力に重点を置いた。5〜25国際単位/ml(IU/ml)のHBVを含有する感染血清のストック試料500μlアリコットを用いて、すべての方法を行った。特に、この方法で用いたビリオン調製の1IU中には、およそ3コピーのHBVゲノムがある。標的核酸およびプライマーを60℃に10分間加熱して、そして次いで42℃に冷却し、プライマーアニーリングを促進した。次いで、モロニーネズミ白血病ウイルス(MMLV)逆転写酵素(5,600単位/反応)およびT7 RNAポリメラーゼ(3,500単位/反応)を混合物に添加した。最終増幅反応は、50mM Tris HCl(pH8.5)、35mM KCl、4mM GTP、4mM ATP、4mM UTP、4mM CTP、1mM dATP、1mM dTTP、1mM dCTP、1mM dGTP、20mM MgCl、20mM N−アセチル−L−システイン、および5%(w/v)グリセロールを含有した。42℃で1時間インキュベーションした後、100μl増幅反応すべてを、本質的に実施例1に記載するようなハイブリダイゼーションアッセイに供した。より具体的には、表3に列挙する6つの異なるプローブの1以上を、アクリジニウムエステルで約1〜1.2x10RLU/pmolの比活性に標識し、そして次いで、ハイブリダイゼーション反応において、用いた各プローブに関して、7.5x10RLUに同等の量を用いた。陽性結果と判断するには、プローブハイブリダイゼーションを示す化学発光シグナルは、アッセイにおいて、50,000RLUを越えていなければならなかった。
【0107】
表6は、異なる組み合わせのプライマー、プローブおよびHBVテンプレート・インプットレベルを用いて行った増幅法の結果を示す。表の最後の列に陽性検出%として結果を示し、そしてこの結果は、さらに、該方法で用いた反復試験数を示した。必ずしも同時に行わなくてもよいいくつかの方法から、これらの結果を収集した。
【0108】
表6
多様なプライマーの組み合わせを用いた、HBVポリヌクレオチド配列の増幅
【0109】
【表6A】

【0110】
【表6B】

【0111】
【表6C】

【0112】
【表6D】

【0113】
表6に示す結果によって、7コピー/反応と同程度に低いテンプレートレベルであっても、プライマーの組み合わせの多くが、非常に高いレベルのHBV検出可能性を生じることが示された。重要なことに、HBVテンプレートがこれらのアッセイで検出可能であることを示す結果によって、適切なプライマーの組み合わせが、HBV核酸配列を増幅するのに協調可能であることが立証され、そしてHIV/HCVマルチプレックス反応の他の構成要素が、複雑な反応混合物において、HBVプライマーの組み合わせが機能する能力に干渉しないことがさらに立証された。陽性結果、すなわち非ゼロレベルのHBV検出可能性が試験中に観察されたことによって、プライマーの組み合わせが、HBVのみを増幅するアッセイにおいて有用であるとともに、HIV−1およびHCVテンプレートを増幅可能なマルチプレックスアッセイにおいて有用であることも示された。HBV配列の増幅および検出が起こらなかったことを示す陰性結果は、マルチプレックスアッセイにのみ該当した。陰性結果は、例えば、マルチプレックス反応において、HBVプライマーおよび他のウイルス標的の1つを増幅するのに用いたプライマー間の望ましくない相互作用のためであった可能性もある。以下に示す感度データに支持されるように、本明細書に示す結果において、低いが、測定可能なレベルのHBV検出可能性を生じるプライマーの組み合わせは、HBVテンプレートの増幅に成功したことを示し、そしてこうした組み合わせがHBV核酸増幅アッセイの有用な構成要素であることを確証した。これらの有用なプライマーに定義される上流ドメインおよび下流ドメイン内に含有される他のプライマーもまた、HBV配列を増幅するのに使用可能である。
【0114】
表6に示す結果によって、配列番号16、配列番号18、または配列番号19のHBV相補配列を含むプロモーター−プライマーが、優れたレベルの検出可能性を生じる増幅反応に関与し、このことは、反応が単一のプロモーター−プライマーのみを含む場合であっても、そして一本鎖M13クローンがHBV遺伝子型Aテンプレートの供給源であっても、あてはまることがさらに示された。この結果は、表9に示す結果に示すように、一本鎖M13クローンが、HBV遺伝子型Gテンプレートの供給源として働く場合の、2つのプロモーター−プライマーの見かけの必要条件とは、いくぶん異なっていた。いかなる特定の理論に縛られることも望まないが、一本鎖M13テンプレートと組み合わせて単一のプロモーター−プライマーを用いた場合、いくつかの場合のみで、比較的優れた結果が観察されたことは、アッセイ感度が異なるレベルであることを反映する可能性もある。
【0115】
特定の好ましい態様において、HBV核酸を増幅するための少なくとも2つのプライマーセットであって:(i)配列番号22または配列番号23の塩基配列を有するか、または該塩基配列に実質的に対応するオリゴヌクレオチドを含んでなる、第一の増幅プライマー;および(ii)配列番号15または配列番号11の塩基配列を有するか、または該塩基配列に実質的に対応するオリゴヌクレオチドを含んでなる、第二の増幅プライマーを含む、前記セットを提供する。HBVゲノムに存在しない、プロモーター配列などの、HBV標的配列に相補的でない、場合による配列が、標的相補配列の上流に位置する位で、プライマーに付加されていることも可能である。特に好ましい組み合わせにおいて、第一の増幅プライマーは、配列番号23の塩基配列を有するか、または該塩基配列に実質的に対応するオリゴヌクレオチドを含んでなるプロモーター−プライマー(例えば配列番号40)であり、そして第二の増幅プライマーは、配列番号11の塩基配列を有するか、または該塩基配列に実質的に対応するオリゴヌクレオチドを含んでなる。
【0116】
先の実施例におけるように、有用な捕捉オリゴヌクレオチドを同定する方法はまた、HBV核酸供給源として、HBV遺伝子型A陽性血漿のストックも使用した。試験を受けた各オリゴヌクレオチドには、オリゴ(dA)テール配列に連結されたHBV特異的配列が含まれた。機能する捕捉オリゴヌクレオチドは、HBV標的およびオリゴ(dT)を展示する磁気粒子と組み合わせると、HBV DNAおよび粒子を架橋し、それによってHBV標的を固定した。微粒子複合体を溶液から除去することは、HBVテンプレートを濃縮する手段に相当した。以下に記載する方法において、捕捉オリゴヌクレオチドをHBV DNAおよびオリゴ(dT)で修飾した磁気粒子と接触させた。収集した粒子を洗浄し、結合したHBV配列をin vitro核酸増幅反応で増幅し、そして生じた増幅産物を均質保護アッセイにおいて検出した。陽性結果によって、捕捉オリゴヌクレオチドが、標的捕捉工程中、磁気粒子上にHBV DNA標的を固定し、そして増幅工程および検出工程が成功であったことが示された。
【0117】
以下の実施例は、候補HBV捕捉オリゴヌクレオチドを試験するのに用いる方法を記載する。この方法で記載するHBV特異的標的捕捉、増幅プライマー、およびプローブに加えて、該反応にはまた、HIV−1およびHCV解析物に特異的な上述のオリゴヌクレオチドも含まれた。HIV−1およびHCVオリゴヌクレオチドは、HBV解析物の検出に実質的には寄与しなかった。
【0118】
(実施例3)
異なる捕捉オリゴヌクレオチドを用いたHBV標的配列の検出
500μlの体積を有し、そして6〜20コピーのHBVゲノムを含有する、HBV感染血漿試料を、総量1.6pmolの捕捉オリゴヌクレオチド(1.6pmolの単一の捕捉オリゴヌクレオチド、各0.8pmolの2つの捕捉オリゴヌクレオチド、または各0.53pmolの3つの捕捉オリゴヌクレオチドいずれか)、およびポリ(dT14)に共有結合した0.7〜1.05μ常磁性粒子(Seradyn、インディアナ州インディアナポリス)約40μgを含有する溶解/捕捉試薬400μl中に分散させた。該方法に用いた捕捉オリゴヌクレオチドは、表4に示す配列を有した。溶解/捕捉試薬は、HIV−1内部増幅対照テンプレート、HIV−1およびHCV特異的捕捉オリゴヌクレオチド、並びに294mMラウリル硫酸リチウム、730mM塩化リチウム、および50mM水酸化リチウムを含有する100mM HEPES緩衝溶液をさらに含んだ。上述のように、配列番号71および配列番号80の配列を含むものを除いて、表4に示す各捕捉オリゴヌクレオチドには、HBV相補配列およびオリゴ(dA)テール領域間に、5’−TTT−3’スペーサー配列を配置した。特に、5’−TTT−3’配列の存在または非存在を除いて同一の配列を有するいくつかのオリゴヌクレオチドの試験は、実質的に類似の結果を生じ、それによって、スペーサー配列が任意であることが示された。混合物を55〜60℃に約15〜30分間加熱し、そして次いで、室温に冷却してハイブリダイゼーションを可能にした。Wangら、米国特許第4,895,650号に記載するものなどの方法を用いて、磁場を適用し、固定化捕捉オリゴヌクレオチドおよびHBV DNAを含有する粒子複合体を収集した。1mlの洗浄緩衝液(10mM HEPES、6.5mM NaOH、1mM EDTA、0.3%(v/v)エタノール、0.02%(w/v)メチル−パラベン、0.01%(w/v)プロピル−パラベン、150mM NaCl、0.1%(w/v)ラウリル硫酸ナトリウム)で粒子を2回洗浄した。次いで、洗浄した粒子を、実施例2に記載する増幅試薬75μlに再懸濁した。この試薬には、塩、ヌクレオチド、リボヌクレオチド、HBV特異的プライマーとともに、HIV−1およびHCV標的配列を増幅可能なプライマーが含まれた。次いで、HBV標的核酸を増幅し、そして本質的に実施例1に記載するように、均質保護アッセイを用いて、増幅産物を検出した。内部対照単位複製配列に特異的なプローブと、またはHBV単位複製配列に特異的なプローブとハイブリダイズした際に陽性シグナルを生じる反応を、有効な実験とスコア付けした。有効な実験をHBV単位複製配列の存在に関して陽性と見なすためには、プローブハイブリダイゼーションを示す化学発光シグナルは、アッセイにおいて、50,000RLUを越えていなければならなかった。
【0119】
表7は、HBV特異的捕捉オリゴヌクレオチド(単数または複数)の同一性、および系がHBV配列を有効に増幅し、そして検出する能力と相関する試料結果を示す。増幅反応において、陽性結果を達成するため、HBV捕捉オリゴヌクレオチドは、増幅プライマーおよびプローブ(単数または複数)と協同で作用して、HBVテンプレート核酸を捕捉し、HBVテンプレート核酸を増幅し、そして次いで増幅した核酸を検出可能でなければならなかった。しかし、実験設計はまた、HIV−1およびHCV標的核酸を増幅するのに用いるプライマーが、HBVテンプレート核酸の捕捉、増幅および検出に実質的に干渉しないことも必要とした。したがって、陽性結果は、HBV特異的アッセイにおいてのみでなく、HIV−1およびHCV標的核酸を増幅可能なマルチプレックス反応の背景においても機能する、捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマーおよび検出プローブの組み合わせを同定した。
【0120】
特に、この方法で用い、そして表7に列挙するプロモーター−プライマーは、T7プロモーターを含む全長配列によって同定される。しかし、プロモーター−プライマーのHBV相補部分は、ポリメラーゼ連鎖反応などの代替プロトコルによって増幅反応を行うための必須配列に相当し、プロモーター配列は場合によることが理解されるものとする。したがって、配列番号33〜49は、場合によるプロモーター配列を所持し、そして対応する配列番号16〜32は、それぞれの必須HBV相補配列に相当する。これらの後者のHBV相補配列は、HBV核酸を増幅する、相対する鎖のプライマーと組み合わせて有用である。
【0121】
表7
異なる組み合わせの捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマーおよび検出プローブを用いたHBV検出の効率
【0122】
【表7A】

【0123】
【表7B】

【0124】
【表7C】

【0125】
表7に示す結果によって、捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマーおよび検出プローブの特定の組み合わせが、他のものより実質的により優れた結果を生じることが確認された。例えば、配列番号23のHBV相補配列を含有するプロモーター−プライマー(すなわち配列番号40)および配列番号15の相対する鎖のプライマーは、20コピーのHBVテンプレートしか含有しない増幅反応の100%で陽性結果を生じることが可能であった。これらのプライマーは、HBV核酸を増幅するのに特に好ましい組み合わせに相当する。同様に、配列番号54の上述のプローブ、並びに配列番号50および配列番号57のプローブの組み合わせは、非常に効率的な方式で、HBV単位複製配列を検出可能であった。これらの配列を有するプローブ、またはこれらに相補的な配列を有するプローブが、HBV核酸を検出するのに好ましい。
【0126】
表7に示す結果によって、捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマーおよび検出プローブの特定の組み合わせが、マルチプレックス増幅系において、相乗的に働くことがさらに示された。例えば、配列番号74および配列番号86の捕捉オリゴヌクレオチド、配列番号15の増幅プライマー、並びに配列番号23のHBV相補配列を含有するプロモーター−プライマー(すなわち配列番号40)を、配列番号50および配列番号57のプローブとともに用い、20コピーのHBVテンプレート核酸を用いて行った試験に関して示した結果によって、これらのプライマーおよびプローブが各々、有効な実験の100%で、HBVテンプレート核酸を増幅し、そして検出することが可能であることが立証された。HBVテンプレート核酸20コピーを含有する反応において、同一プライマーおよびプローブを、配列番号71および配列番号80に同定する捕捉オリゴヌクレオチドの1つのみと組み合わせて用いると、有効な実験のわずか約30%でしか陽性結果が達成されなかった。しかし、配列番号71および配列番号80の配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドを、互いに組み合わせて用いると、各オリゴヌクレオチドが、単一の捕捉オリゴヌクレオチドのみを有する試験で用いた総量の半分しか存在しなくても、100%に近づく、劇的により高い結果が達成された。これによって、インプット標的が非常に低いレベルであっても、アッセイ試薬の特定の組み合わせが、予期されぬ、優れた結果をどのように生じるかが立証された。
【0127】
実施例4は、発明されたオリゴヌクレオチドの特定のセットを用いて、本明細書に記載する、異なる増幅アッセイが、異なる感度範囲にどのように特徴付けられたかを例示する方法を記載する。この方法からの知見によって、増幅反応で用いたテンプレートのレベルが特定の閾値を越えた場合、増幅アッセイにおいて、100%の陽性HBV検出結果を得ることが可能であると確証された。以下に示す結果を本明細書の他の実施例の結果と比較することによって明らかであろうように、この閾値は、増幅反応に用いた特定の組み合わせのオリゴヌクレオチドに依存する。特に、この実施例に記載するアッセイは、配列番号57のプローブが検出工程に用いる唯一のプローブである場合であっても、HBV遺伝子型A〜Gを検出した。
【0128】
(実施例4)
HBV核酸の検出
HIV−1およびHCV配列を増幅するのに必要なプライマーを省いたことを除いて、本質的に先行する実施例に記載するように、核酸増幅反応を行った。この方法に用いる捕捉オリゴヌクレオチドには、配列番号71および配列番号80のHBV相補配列が含まれた。増幅プライマーには、配列番号22および配列番号23の配列が含まれ、これらの配列は各々、その5’端に付加されたT7プロモーター配列を有した。プロモーター・プライマーの全長配列を、配列番号39および配列番号40に示した。相対する鎖のプライマーは、配列番号15および配列番号11に示す配列を有した。該方法で用いるアクリジニウムエステル標識プローブは、上述のような、配列番号50および配列番号57に示す配列を有した。ビリオン含有血漿500μlアリコットを、上述の界面活性剤溶解および標的捕捉法に供した。やはり上述の方法を用いて、増幅反応を行い、そして増幅産物を検出した。この方法でプロセシングした試料のビリオン濃度は、0〜100EU/mlの範囲であり、1EUはHBVゲノムおよそ3コピーに相当する。増幅反応におけるHBV標的配列の陽性検出を、本質的に先行する実施例に記載するように、評価した。
【0129】
表8に示す結果によって、300コピーのHBVテンプレートを用いて行った反応の100%が陽性結果を生じ、そして反応あたり、75〜150コピーの間のあるレベルでは、95%の陽性が達成されることが示された。重要なことに、配列番号15として同定するプライマーの非存在下で増幅反応を行うと、実質的に類似の結果が得られた。したがって、HBV核酸を増幅するのに好ましいプライマーの組み合わせは、配列番号22、配列番号23、および配列番号11に示すHBV相補配列を有し、配列番号15のプライマーは任意であった。HBV増幅産物を検出するのに好ましいプローブ組成物には、配列番号57のプローブが含まれ、配列番号50のプローブをさらに包含するかどうかは、任意であった。
【0130】
表8
感度試験は、アッセイにおいて検出されるテンプレートレベルの範囲を確立する
【0131】
【表8】

【0132】
明記したレベルのインプット・テンプレートでは高レベルのHBV検出を生じなかった、表6および表7に列挙するプライマーの組み合わせであっても、テンプレートの量が十分に高ければ、100%検出可能に近づくレベルで、HBV含有試料を同定可能であったことが、表8の結果によってさらに確認された。これらの知見に基づいて、インプット・テンプレートの量が反応あたり6〜20コピーの範囲であった場合に、少なくともHBV検出のある程度の測定値を生じたプライマーの組み合わせは、in vitroでHBV核酸を増幅するための方法において、有用であると見なされると結論付けられる。いくつかの状況において、非常に高感度のアッセイを生じるプライマーの組み合わせを用いることが望ましい可能性があるが、他の状況では、いくぶんより低い感度によって特徴付けられるアッセイを用いることから利益が得られる可能性もある。したがって、表6および表7で測定可能な結果を生じる、本明細書に開示するプライマーの組み合わせいずれかは、HBV核酸増幅アッセイの構成要素として使用可能であり、そして本発明の範囲内に属する。
【0133】
実施例5は、先行する実施例の定性的アッセイをどのように定量形式に適応可能であるかを例示する。3つのHBV遺伝子型A陽性対照のスパイク回収は、アッセイ性能の定量的評価を提供した。該アッセイは、その開示が本明細書に援用される米国特許第6,294,338号記載の偽標的の使用に頼る。RNAまたはDNA偽標的いずれを定量的アッセイに使用することも可能であるが、以下の方法は、RNA偽標的を用いて行われた。
【0134】
(実施例5)
HBVを測定する定量的アッセイ
定量的アッセイに用いたオリゴヌクレオチド構成要素は、配列番号50のプローブを省いたことを除いて、先行する実施例に用いた試薬と同一であった。各増幅反応には、約80x10コピーに対応する量の配列番号97の配列を有するRNA偽標的がさらに含まれた。380〜12,000HBV IU/mlの範囲の濃度を有するHBV遺伝子型A標準物質を、別個の反応において、HBVテンプレートの供給源として用いて、標準曲線を生じた。実質的に上に記載するように、60分間の期間、TMA反応を行った。1:6.25の比のアクリジニウムエステル標識種および非標識種の組み合わせとして、配列番号57の上述のプローブを使用する、標準的均質保護アッセイを用いて、増幅したHBV配列の検出を行った。非標識プローブの使用によって、すべての化学発光シグナルが、特異的にハイブリダイズしたプローブを測定する照度計の信頼可能な反応範囲内に属することが可能になった。偽標的単位複製配列は、この方法で用いたプローブによっては検出されなかった。
【0135】
図2に示す結果によって、定量的アッセイが、0〜12,000IU/mlの広い範囲のHBV濃度に渡って、インプットHBVテンプレートの量およびハイブリダイゼーションシグナル強度間の実質的に線形の関係をどのように生じるかが示された。このアッセイの検出下限は、単一増幅反応において、HBV核酸約1IU/ml、または1〜2コピーであった。したがって、この定量的アッセイは、非常に高感度であり、そして非常に広い範囲に渡って正確な方式で、HBV濃度、またはテンプレートコピー数を測定する能力を有した。
【0136】
実施例6は、TMA反応における第二のプロモーター−プライマーの使用が、どのように、異なるHBV遺伝子型の検出可能性に陽性に影響を及ぼしうるかを立証する方法を記載する。この方法で記載するHBV特異的標的捕捉オリゴヌクレオチド、増幅プライマー、およびプローブに加えて、該反応にはまた、HIV−1およびHCV解析物に特異的な上述のオリゴヌクレオチドも含まれた。HIV−1およびHCVオリゴヌクレオチドは、HBV解析物の検出に実質的には寄与しなかった。
【0137】
(実施例6)
HBV遺伝子型の改善された検出可能性
Millenium Biotech, Inc.(フロリダ州フォート・ローダーデール)またはBoston Biomedica(マサチューセッツ州ウェストブリッジウォーター)から、遺伝子型決定されたHBV含有試料(遺伝子型A〜F)を得た。製造供給元の解析証明書によって、定量値が提供され、そしてこの値は、AMPLICOR HBV MONITORアッセイ(Roche Diagnostics Corp.)からの結果に基づいた。HBV遺伝子型Gビリオンを含有する血漿試料がないため、配列番号87を含む捕捉オリゴヌクレオチドを除いて、すべての相当するオリゴヌクレオチドに対応するHBV遺伝子型G核酸配列を含む、一本鎖M13クローンが、この遺伝子型の配列を増幅する方法のテンプレートとして働いた。陰性ヒト血漿を用いた患者血漿試料の連続希釈によって、パネルメンバーを作成した。内部対照を含有する、標的捕捉試薬(配列番号73、配列番号80および配列番号87のHBV相補配列を有する上述の捕捉オリゴヌクレオチドを、磁気粒子とともに含有する、HEPES緩衝界面活性剤溶液)400μl、および各標本またはパネルメンバー500μlを、手動で、10試験管単位(TTU)にピペッティングした。標的捕捉試薬および標本を添加した後、TTUをボルテックスし、そして60℃の水槽中、20分間インキュベーションし、その後、室温(15〜30℃)で14〜20分間インキュベーションした。次いで、TTUのラックを磁気分離ベイに9〜20分間入れた。各試験管から液体を吸引し、そして次いで、1mlの洗浄溶液と交換した。ラックをボルテックスし、そして再び分離ベイに4〜10分間入れた。各試験管から洗浄溶液を吸引し、そして洗浄工程および分離工程を反復し、最後の吸引で終えた。最終吸引工程後、75μlの増幅試薬(Tris緩衝溶液中の2つの異なるプライマー配合物の1つ、dNTP類、NTP類および補助因子を含む)を各試験管に添加した。プライマー配合物Aには、配列番号23のHBV相補配列を有するプロモーター−プライマー(すなわち配列番号40)とともに、配列番号15および配列番号11に同定する、相対する鎖のプライマーが含まれた。プライマー配合物Bには、配列番号26のHBV相補配列を有するプロモーター−プライマー(すなわち配列番号43)がさらに含まれた。各混合物に200μlの不活性油を上層して、増幅工程中の蒸発を妨げ、そしてTTUのラックをボルテックスして、微小粒子を再懸濁した。25μlの酵素試薬(HEPES/Tris緩衝溶液中のMMLV逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼ)を添加する前に、ラックを水槽中、60℃で10分間インキュベーションし、その後、41.5℃で9〜20分間平衡化した。酵素試薬を添加した直後、TTUのラックをインキュベーターから取り出して、そして震蘯して混合した。次いで、ラックを水槽中、41.5℃で60分間インキュベーションした。増幅後、コハク酸緩衝界面活性溶液中、配列番号54の上述のアクリジニウムエステル標識プローブを含むプローブ試薬100μlを各試験管に添加し、ボルテックスし、そして水槽中、60℃で15分間インキュベーションした。プローブハイブリダイゼーション工程の完了後、250μlの選択試薬(界面活性剤を含むホウ酸緩衝溶液)を各試験管に添加した。試験管をボルテックスし、そして次いで、60℃で10分間インキュベーションした。60℃の水槽から取り出した後、TTUのラックを水槽中、19〜27℃に10〜75分間冷却し、そして次いで、0.1%過酸化水素および1mM硝酸の溶液200μl;および1N NaOH 200μlを自動的に注入するよう設定したLEADER HC+照度計(Gen−Probe Incorporated;カリフォルニア州サンディエゴ)に入れた。反応性を決定するため、各100試験管実験に含まれる陽性標準物質および陰性標準物質から生成したカットオフ値に、生じた化学発光を比較した。各標本反応のアッセイ性能を監視するため、標的捕捉試薬中に含有される内部対照を各試験標本に添加した。内部対照は、HIV−1の一部および内部対照プローブに標的とされるユニークな配列を含有する、in vitro合成転写物からなった。各反応中の内部対照シグナルは、異なる標識を持つプローブからの光放出の動力学が異なることによって、HBVシグナルとは区別された。迅速に光を放出させるプローブを用いて内部対照増幅産物を検出し、一方、より遅い光放出動力学を持つプローブを用いて、HBVに特異的な単位複製配列を検出した。照度計からのインプットを受け取ったソフトウェアは、2つのシグナル間を識別した。これらの方法の結果を表9に示す。
【0138】
表9
HBV遺伝子型の改善された検出可能性
【0139】
【表9】

【0140】
表9に示す結果に示すように、2つのプロモーター−プライマーを含むプライマー配合物は、50コピーレベルで異なるHBV遺伝子型各々を含有する試料の100%において、好適にHBVを検出した。これは、1つのプロモーター−プライマーしか含まない増幅反応において、HBV遺伝子型B、C、D、EまたはGテンプレートを同じテンプレートコピーレベルで用いた場合には、あてはまらなかった。単一のプロモーター−プライマーおよびクローニングしたHBV遺伝子型Gテンプレートを用いて行ったTMA反応で得た陰性結果は、完全に一本鎖であるテンプレートを使用したための人為的結果であった。HBV遺伝子型Gビリオンをテンプレート供給源として、そしてプライマー配合物Bをプライマー供給源として用いて行った別個の試験では、15コピー/反応および50コピー/反応の両方で、100%の検出可能性を生じた。HBV遺伝子型A〜Gの核酸を非常に高感度な様式で増幅することが望ましい場合、反応において、2つの第一鎖プライマーおよび少なくとも1つの第二鎖プライマーを用いることが好ましい。特定の例において、HBV遺伝子型A〜Gの核酸を非常に高感度のTMA反応において増幅することが望ましい場合、反応において、2つのプロモーター・プライマーおよび少なくとも1つの非プロモーター・プライマーを用いることが好ましい。もちろん、1つの上流プライマーおよび1つの下流プライマーのみを用いて、熱周期プロトコルに基づくin vitro核酸増幅反応、または新たに合成された核酸鎖をテンプレートから物理的に分離する工程を伴う方法を行うことも可能である。
【0141】
以下の実施例は、本明細書に開示するオリゴヌクレオチドの組み合わせを、HIV−1およびHCV核酸各々を非常に高感度な様式で検出することも可能なマルチプレックス反応でも使用可能であることを示す証拠を提示する。
【0142】
実施例7は、HIV−1に特異的なオリゴヌクレオチド、並びに本明細書に開示する増幅プロトコルおよび検出プロトコルを用いて、HIV−1標的核酸を検出する方法を記載する。
【0143】
(実施例7)
マルチプレックス増幅反応におけるHIV−1の検出
HIV−1 WHO標準サブタイプB(97/656)の試料を、陰性ヒト血漿中に希釈して、0〜300IU/mlの範囲のウイルス力価を生じた。次いで、配列番号100〜114のHIV−1特異的オリゴヌクレオチドとともに、配列番号115〜125のHCV特異的オリゴヌクレオチドおよびHBV特異的オリゴヌクレオチドを用いて、実施例2に記載する方法にしたがって、この希釈パネルの500μl試料を、標本プロセシング、標的捕捉、増幅および検出に供した。HIV−1特異的捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号113〜114の配列を有した。配列番号100〜101のHIV−1特異的プロモーター−プライマーは、それぞれ、上流プロモーター配列に付加された配列番号98〜99の必須HIV相補配列を有した。相対する鎖のプライマーは、配列番号102〜103の配列を有した。プローブは、配列番号106〜108の配列を有した。HCV特異的捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号124〜125の配列を有した。配列番号116のHCV特異的プロモーター−プライマーは、上流プロモーター配列に付加された配列番号115の必須HCV相補配列を有した。相対する鎖のプライマーは、配列番号117〜118の配列を有した。プローブは、配列番号120および122の配列を有した。この方法のHBV特異的オリゴヌクレオチドには、配列番号73、配列番号80および配列番号87のHBV相補配列を有する捕捉オリゴヌクレオチド;配列番号40、配列番号43、配列番号15および配列番号11の増幅プライマー;および配列番号54の上述のハイブリダイゼーション検出プローブが含まれた。配列番号40および43のHBV特異的プロモーター−プライマーは、それぞれ、上流プロモーター配列に付加された、配列番号23および26の必須HBV相補配列を有した。20の反復実験を行い、そして95%の信頼区間で95%検出可能性が測定された。方法の結果を表10に示す。
【0144】
表10
マルチプレックス増幅反応におけるHIV−1核酸の検出
【0145】
【表10】

【0146】
表10に示す結果によって、HCVおよびHBV核酸もまた検出可能なマルチプレックス反応において、HIV−1核酸が検出されることが明らかに示された。さらに、さらなる試験によって、このアッセイのHIV−1種/群検出可能性には、反応が100コピー/ml以上のHIV−1を含有している場合、100%陽性に近づくレベルのA、B、C、D、E、F、G、N群およびO群が含まれた。上に示すように、この方法で用いたHIV−1特異的オリゴヌクレオチドのコレクションを、HIV−1を検出する独立型アッセイで、あるいはHCVまたはHBVに特異的なオリゴヌクレオチドと組み合わせて二重アッセイを生成して、用いることも可能である。
【0147】
実施例8は、HCVに特異的なオリゴヌクレオチド、並びに本明細書に開示する増幅プロトコルおよび検出プロトコルを用いて、HCV標的核酸を検出する方法を記載する。
(実施例8)
マルチプレックス増幅反応におけるHCVの検出
HCV WHO標準遺伝子型I(96/790)の試料を、陰性ヒト血漿中に希釈して、0〜100IU/mlの範囲のウイルス力価を生じた。次いで、先の実施例に記載するオリゴヌクレオチドおよび方法を用いて、この希釈パネルの500μl試料を、標本プロセシング、標的捕捉、増幅および検出に供した。20の反復実験を行い、そして95%の信頼区間で95%検出可能性が測定された。方法の結果を表11に示す。
【0148】
表11
マルチプレックス増幅反応におけるHCV核酸の検出
【0149】
【表11】

【0150】
表11に示す結果によって、HIVおよびHBV核酸もまた検出可能なマルチプレックス反応において、HCV核酸が検出されることが明らかに示された。さらに、さらなる試験によって、反応が100コピー/ml以上のHCVを含有している場合、HCV遺伝子型1、1b、2b、2a/c、3、3e、4、4a、4b/c、5、5a、6、6aはすべて、100%陽性で検出されることが示された。上に示すように、この方法で用いたHCV特異的オリゴヌクレオチドのコレクションを、HCVを検出する独立型アッセイで、あるいはHIVまたはHBVに特異的なオリゴヌクレオチドと組み合わせて二重アッセイを生成して、用いることも可能である。
【0151】
実施例9は、HBVに特異的なオリゴヌクレオチド、並びに本明細書に開示する増幅プロトコルおよび検出プロトコルを用いて、HBV標的核酸を検出する方法を記載する。以下に提示する実験結果は、このアッセイの感度を定量的に例示する。
【0152】
(実施例9)
マルチプレックス増幅反応におけるHBVの検出
HBV WHO標準遺伝子型A(97/746)の試料を、陰性ヒト血漿中に希釈して、0〜45IU/mlの範囲のウイルス力価を生じた。次いで、実施例7に記載するオリゴヌクレオチドおよび方法を用いて、この希釈パネルの500μl試料を、標本プロセシング、標的捕捉、増幅および検出に供した。80の反復実験を行い、そして95%の信頼区間で95%検出可能性が測定された。方法の結果を表12に示す。
【0153】
表12
マルチプレックス増幅反応におけるHBV核酸の検出
【0154】
【表12】

【0155】
表12に示す結果によって、HIV−1およびHCV核酸もまた検出可能なマルチプレックス反応において、HBV核酸が検出されることが明らかに示された。さらに、HBV遺伝子型A〜Gの核酸はすべて、このアッセイで検出可能であった。上に示すように、この方法で用いたHBV特異的オリゴヌクレオチドのコレクションを、HBVを検出する独立型アッセイで、あるいはHIVまたはHCVに特異的なオリゴヌクレオチドと組み合わせて二重アッセイを生成して、用いることも可能である。
【0156】
上述の解析物検出系の汎用性をさらに例示するため、単位複製配列産生を、「リアルタイム」増幅法において、時間の関数として、監視した。増幅反応に含まれる単位複製配列特異的分子ビーコンは、単位複製配列合成を連続して監視する手段を提供した。時間とともに蛍光放出が増加することから、分子ビーコンにハイブリダイズし、そしてプローブの「開いた」コンホメーションへの検出可能な推移を引き起こす単位複製配列が産生されたことが示された。
【0157】
分子ビーコンは、標的相補ループ配列、標的の非存在下で相補塩基対形成によって相互作用して「ステム」構造(すなわち「閉じた」コンホメーション)を形成する親和性対(または核酸「アーム」)、およびプローブが閉じたコンホメーションにある際に相互作用する標識対のセットを含んでなる。標的核酸およびプローブの標的相補配列のハイブリダイゼーションは、親和性対のメンバーを分離させて、それによってプローブを開いたコンホメーションにシフトさせる。このシフトは、例えば蛍光体および消光剤であることも可能な、標識対のメンバー間の相互作用減少のため、検出可能である。分子ビーコンは、米国特許第5,925,517号に完全に記載され、該特許文書の開示は本明細書に援用される。
【0158】
商業的に入手可能なソフトウェアを用いて、HBV、HIV−1またはHCV単位複製配列に特異的な分子ビーコンを用いて得られる、時間に依存する結果を解析した。これらの解析物からの結果によって、増幅反応に含まれる標的コピー数、および蛍光シグナルがバックグラウンド閾値を越える時間(すなわちバックグラウンドを越える「発生時間」)の間に、強い線形の関係が示された。以下に提示する結果によって確認されるように、これらの方法は、非常に広い範囲に渡って、解析物標的量を定量化するのに有用であった。より具体的には、既知の量の解析物ポリヌクレオチドを標準物質標準として用いる場合、測定された発生時間を標準的プロットと比較することによって、試験試料に存在する解析物の量を決定することが可能である。
【0159】
増幅および検出が同時に行われるように、以下に記載する方法で用いる増幅反応が、一定の温度で、そして別個の検出工程のための中断を伴わずに行われる事実から、分子ビーコンには厳しい必要条件が課せられた。より具体的には、方法の成功は、単位複製配列が指数的増幅機構のテンプレートとして続いて使用されるのを阻害することなく、分子ビーコンが単位複製配列に結合することを必要とした。実際、分子ビーコンの存在下で、増幅反応が効率的に進行可能であるという知見によって、標的とプローブの相互作用が、増幅反応を不可逆的に阻害しないか、また損なわないことが示された。
【0160】
実施例10は、各々相互作用する蛍光体/消光剤対で標識された分子ビーコンプローブを用いて、TMA反応において、時間に依存する単位複製配列産生を監視する方法を記載する。この実施例に記載する分子ビーコンは、増幅した核酸産物の一方の鎖にしかハイブリダイズしないが、相補プローブ配列もまた、相対する核酸鎖にハイブリダイズすると予測され、そしてしたがって、本発明の範囲内に属する。
【0161】
(実施例10)
単位複製配列産生のリアルタイム監視
Perkin−Elmer(カリフォルニア州フォスターシティー)EXPEDITEモデル8909自動化合成装置上、3’消光剤連結調節孔ガラス(CPG)および5’蛍光体標識ホスホロアミダイトを用いて、標準的固相ホスファイトトリエステル化学反応によって、HBV、HIV−1またはHCV単位複製配列に結合特異性を有する分子ビーコンを合成した。分子ビーコンを構築するのに用いた蛍光体には、フルオレセイン、ROXおよびCY5色素が含まれた。BLACK HOLE QUENCHER2(Biosearch Technologies, Inc.;カリフォルニア州ナバト)およびDABCYLを消光剤として用いた。2’−メトキシヌクレオチド類似体を用いて、すべての分子ビーコンを構築した。Glen Research Corporation(バージニア州スターリング)から、CPGおよびホスホロアミダイト試薬を購入した。合成後、濃水酸化アンモニウム(30%)を60℃で2時間用いる処理によって、プローブを脱保護し、そして固体支持体マトリックスから切断した。次に、一般レベルの技術を有する当業者によく知られるであろう標準法を用いて、ポリアクリルアミド電気泳動後、HPLCを用いて、プローブを精製した。
【0162】
該方法で用いたHBV、HIV−1およびHCV核酸標的は、既知の濃度の人工的標的または合成標的であった。HBV標的は、各プライマーに対応するかまたは相補的な配列を含む、HBVゲノムの一部を含有する一本鎖M13クローンであった。HIV−1標的は合成転写物であった。HCV標的は、HCVゲノム配列を含むARMORED RNA(Ambion, Inc.;テキサス州オースティン)であった。ARMORED RNA(登録商標)技術は、特異的RNA配列およびウイルスコートタンパク質を偽ウイルス粒子に集合させることによって、リボヌクレアーゼ耐性RNA対照および標準を産生するために用いられる。分子ビーコンを約1.5pmol/反応のレベルで用いた。HBVを増幅する反応は、5x10〜5x10テンプレートコピー/反応を含有した。HIV−1を増幅する反応は、5x10〜5x10テンプレートコピー/反応を含有した。HCVを増幅する反応は、5〜5x10テンプレートコピー/反応を含有した。
【0163】
本質的に実施例2に記載するような塩および試薬、標的ポリヌクレオチド、並びに分子ビーコンを含む15μlの緩衝溶液を含有する試験管にまず、15μlの不活性油を上層して蒸発を妨げた。次いで、試験管を乾燥熱ブロック中、60℃で10分間インキュベーションして、プライマーアニーリングを促進した。HBV標的を増幅するプライマーは、配列番号23、配列番号26、配列番号15および配列番号11の標的相補配列を有した。HIV−1標的を増幅するプライマーは、配列番号99、配列番号100、配列番号103および配列番号102の標的相補配列を有した。HCV標的を増幅するプライマーは、配列番号115、配列番号117および配列番号118の標的相補配列を有した。特に、HBV特異的分子ビーコンを試験するのに用いた増幅反応には、3つの標的すべてを増幅するためのプライマーすべてが含まれた。HIV−1およびHCV特異的分子ビーコンを試験するのに用いた増幅反応には、これらの標的両方を増幅するためのプライマーがすべて含まれたが、HBV標的を増幅するためのプライマーは含まれなかった。もちろん、以下に記載する分子ビーコンはいずれも、いかなる組み合わせのプライマーを含む増幅反応でも使用可能であると意図される。60℃のインキュベーション工程に続いて、試験管を42℃の熱ブロックに移し、そして次いで10分間インキュベーションした。マルチチャネルピペッターを用いて、MMLV逆転写酵素およびT7 RNAポリメラーゼ酵素両方を含む酵素試薬の5μlアリコットを各試験管に添加した。試験管を簡単にボルテックスし、そして次いで、あらかじめ42℃に温めておいたROTORGENE−2000(Corbett Research;オーストラリア・シドニー)ローターに移した。42℃で増幅反応を行い、蛍光読み取りを30秒ごとに行い、そしてROTORGENE−2000装置とバンドリングされた標準的ソフトウェアを用いて、結果をリアルタイムで解析した。
【0164】
表13は、本発明の開発中に用いた、HBV特異的分子ビーコンの標的相補ループ配列を示す。分子ビーコンは各々、付加された5’CCGAGアーム配列、および付加された3’CUCGGアーム配列を含んだ。各プローブは、5’端にCY5蛍光体を、そして3’端にBLACK HOLE QUENCHER 2部分を含んだ。HBV特異的分子ビーコンはすべて、長さ12〜20ヌクレオチドであり、そして配列AAGAAGATGAGGCATAGCAGCAGGATGAAGAGGAA(配列番号126)内に含有される12〜20の隣接ヌクレオチドを含む、標的相補ループ配列を有し、ヌクレオチド類似体並びにRNA均等物およびDNA均等物の存在が可能であった。
【0165】
表13
HBV特異的分子ビーコンの標的相補ループ配列
【0166】
【表13】

【0167】
表14に示す結果によって、HBV特異的分子ビーコンの1つを含む増幅反応は、望ましいことに、時間とともに増加する蛍光シグナルを生じることが確認された。すべての結果は、3つ組で行う反応に基づいた。重要なことに、異なる分子ビーコンは、リアルタイムアッセイ形式で、いくぶん異なって振る舞った。例えば、配列番号127の標的相補ループ配列を有する非常に好ましい分子ビーコンを含む反応は、標的数が多いと迅速な検出を生じ、そして試験したインプット標的レベルのすべての範囲に渡って、対数プロット上、蛍光シグナルおよび標的量間に、強い線形の関係を生じた(図3を参照されたい)。このプローブを用いて得られた発生時間の読み取りの変動計数(CV)は、3.2%以下であり、これによって、データ点間の正確さが非常に高レベルであることが示された。配列番号133の標的相補ループ配列を有する分子ビーコンを含む反応は、異なる反応特性を示し、低い標的レベルでのプローブ反応のため、試験した標的インプットレベルの範囲に渡って、いくぶん、より線形でなかった。この後者のプローブは、5,000コピーより多いHBVのHBV標的量を検出し、そして定量化するのに特に有用であろう。
【0168】
表14
異なる分子ビーコンの測定された発生時間
【0169】
【表14】

【0170】
「NT」=未試験
「ND」=検出されない
=3回の反復実験のうち1回のみが反応性
**=3回の反復実験のうち2回のみが反応性
表15は、本発明の開発中に用いたHIV特異的分子ビーコンの標的相補ループ配列を示す。配列番号134の標的相補ループ配列を有する分子ビーコンは、付加された5’CCGAGアーム配列、および付加された3’CUCGGアーム配列を含んだ。このプローブは、5’端にROX蛍光体を、そして3’端にBLACK HOLE QUENCHER 2消光剤部分を含んだ。関連する分子ビーコンは、同一の標的相補ループ配列を有したが、全体の配列5’−CCGAGAGGGUACAGUGCAGGGGUCUCGG−3’(配列番号135)を有した。上述のHIV特異的分子ビーコンと比較すると、このプローブのアームは各々、該プローブの標的相補ループ配列にすぐ隣接した単一のさらなるヌクレオチドを含んだ。このプローブはまた、5’端にフルオレセイン蛍光体(ROXの代わり)を、そして3’端にDABCYL消光剤部分(BLACK HOLE 2 QUENCHER 2の代わり)も含んだ。配列番号136の標的相補ループ配列を有する分子ビーコンは、付加された5’CCGAGAアーム配列、および付加された3’UCUCGGアーム配列を含んだ。このプローブはまた、5’端にフルオレセイン蛍光体を、そして3’端にDABCYL消光剤部分も含んだ。これらの方法に用いた分子ビーコンは、長さ16〜17ヌクレオチドであり、そして配列GGGGTACAGTGCAGGGG(配列番号137)内に含有される16〜17の隣接ヌクレオチドを含む、標的相補ループ配列を有し、ヌクレオチド類似体並びにRNA均等物およびDNA均等物の存在が可能であった。
【0171】
表15
HIV特異的分子ビーコンの標的相補ループ配列
【0172】
【表15】

【0173】
表16に示す結果によって、HIV特異的分子ビーコンの1つを含む増幅反応は、望ましいことに、時間とともに増加する蛍光シグナルを生じることが確認された。配列番号134の標的相補ループ配列を含む分子ビーコンは、低い標的レベルで、迅速な検出を可能にした。このプローブを含む反応を3つ組で行い、そしてこの反応は、HIV−1標的の5x10〜5x10コピー/反応に渡る、少なくとも4対数の有用な動的範囲で、インプット標的レベルおよび蛍光シグナル間の強い線形の関係を示した。結果を表に示していないが、さらなる試験によって、この分子ビーコンを含む反応の動的範囲は、HIV−1標的の5x10または5x10コピー/反応までに渡ることが示された。配列番号135の配列を有する分子ビーコンは、発生時間に対するインプット標的量の対数グラフ上、二相性のプロットを示した。これらの反応を5つの反復実験で行い、HIV−1標的の5x10〜5x10コピー/反応の範囲で、インプット標的量および発生時間間の強い線形の関係が示され、そして5x10〜5x10コピー/反応の範囲で、いくぶんより弱い線形の関係が示された。この分子ビーコンは、リアルタイムアッセイにおいて、より高い範囲の標的量を定量化するのに特に有用であるが、HIV−1テンプレートの5x10〜5x10コピー/反応に渡る範囲を含む、少なくとも5対数の有用な動的範囲を示した。配列番号136の標的相補ループ配列を有する分子ビーコンを含む反応を3つ組で行い、そしてこの反応は、HIV−1標的の5x10〜5x10コピー/反応に渡る、少なくとも3対数の有用な動的範囲で、インプット標的レベルおよび蛍光シグナル間の強い線形の関係を示した。興味深いことに、この分子ビーコンを含む増幅反応は、他の2つのHIV特異的分子ビーコンいずれかを含む反応に比較した際、低い標的量を検出するのに、わずかに長い時間を必要とした。
【0174】
表16
異なる分子ビーコンの測定された発生時間
【0175】
【表16】

【0176】
「NT」=未試験
「ND」=検出されない
表17は、本発明の開発中に用いたHCV特異的分子ビーコンの標的相補ループ配列を示す。配列番号138の標的相補ループ配列を含む分子ビーコンは、付加された5’CCGAGGアーム配列、および付加された3’CCUCGアーム配列を含んだ。この分子ビーコンは、5’端にCY5蛍光体を、そして3’端にBLACK HOLE QUENCHER 2部分を含んだ。配列番号139の標的相補ループ配列を含む分子ビーコンは、付加された5’CCGAGアーム配列、および付加された3’CUCGGアーム配列を含んだ。この分子ビーコンは、5’端のフルオレセイン蛍光体で、そして3’端のDABCYL部分で標識された。配列番号140の標的相補ループ配列を含む分子ビーコンは、付加された5’CGGACアーム配列、および付加された3’GUCCGアーム配列を含んだ。この分子ビーコンは、5’端のCY5蛍光体で、そして3’端のBLACK HOLE QUENCHER 2部分で標識された。配列番号138、配列番号139および配列番号140の標的相補ループ配列を含むプローブの標的相補ループ配列を宿する分子ビーコンを、それぞれ、5回、3回および4回の反復実験で試験した。これらの方法に用いた分子ビーコンはすべて、長さ10〜14ヌクレオチドであり、そして配列TAGTATGAGTGTCGTGCAGCCTCCAGGACCCCCCCTCCCGGGAGAGCCATAGTGGTCTGCGGAACCGGTGAGTACACCGGAATTGC(配列番号141)内に含有される10〜14の隣接ヌクレオチドを含む、標的相補ループ配列を有し、ヌクレオチド類似体並びにRNA均等物およびDNA均等物の存在が可能であった。
【0177】
表17
HCV特異的分子ビーコンの標的相補ループ配列
【0178】
【表17】

【0179】
表18に示す結果によって、HCV特異的分子ビーコンの1つを含む増幅反応は、望ましいことに、時間とともに増加する蛍光シグナルを生じることが確認された。配列番号138の標的相補ループ配列を有する分子ビーコンを含む反応は、約6対数の有用な動的範囲を示し、HCVテンプレートの5x10〜5x10コピー/反応に渡る標的量範囲で、優れた結果が達成された。配列番号139の標的相補ループ配列を有する分子ビーコンを含む反応は、約7対数の有用な動的範囲を示し、HCVテンプレートの約5x10〜5x10コピー/反応の範囲で、優れた結果が達成された。配列番号140の標的相補ループ配列を有する分子ビーコンを含む反応は、約8対数の有用な動的範囲を示し、HCVテンプレートの約5〜5x10コピー/反応の全範囲に渡って、素晴らしい結果が達成された。
【0180】
表18
異なる分子ビーコンの測定された発生時間
【0181】
【表18】

【0182】
「NT」=未試験
=3回の反復実験のうち1回のみが反応性
**=4回の反復実験のうち3回のみが反応性
本発明は、いくつかの特定の実施例およびその態様に関して記載されている。もちろん、前述の詳細な説明を概観すれば、本発明のいくつかの異なる態様が、一般の技術を有する当業者に示唆されるであろう。したがって、本発明の真の範囲は、付随する請求項を参照して、決定すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
HBV核酸を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)HBV核酸を含むと疑われる試料を、(i)長さ100ヌクレオチドまでのポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号68の20の隣接ヌクレオチドおよび配列番号69の25の隣接ヌクレオチドからなる群より選択されるHBV相補配列を含んでなるポリヌクレオチド、および(ii)固体支持体を含んでなる捕捉オリゴヌクレオチド組成物と接触させる工程と;
(b)HBV相補配列を含む前記ポリヌクレオチド、前記HBV核酸、および前記固体支持体の間に捕捉複合体を形成するための条件を提供する工程と;
(c)前記捕捉複合体を、前記試料の1以上の成分から除去する工程と;
(d)前記HBV核酸を、少なくとも2種類の増幅オリゴマーを含むプライマーの組み合わせと接触させる工程と;
(e)前記HBV核酸の増幅のための条件を提供する工程と;および
(f)検出反応を提供する工程であって、ここで陽性検出結果が前記試料中のHBV核酸の存在を表示する、工程。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記固体支持体が常磁性粒子である、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記ポリヌクレオチドがさらに第一のホモポリマー配列を含み、ここで前記固体支持体は第二のホモポリマー配列に共有結合した常磁性粒子であり、そしてここで前記ポリヌクレオチドは、前記第一のホモポリマー配列および前記第二のホモポリマー配列間の相補的塩基対形成によって、前記捕捉複合体中の前記固体支持体に固定されている、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記ポリヌクレオチドの前記HBV相補配列が、配列番号70〜配列番号87からなる群より選択される、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記ポリヌクレオチドの前記HBV相補配列が、配列番号73、配列番号80、および配列番号87からなる群より選択される、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記プライマーの組み合わせが表6からのプライマーの組み合わせであり、ここで前記プロモーター・プライマーのHBV相補配列が、その5’端でRNAポリメラーゼのプロモーター配列と連結している、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、ここで前記プライマーの組み合わせが少なくとも70%の陽性検出を示す表6からのプライマーの組み合わせである、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記検出反応が表5から選択される検出プローブを用いる、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、ここで工程(d)から(f)が表6に示されるプライマーおよび検出プローブの組み合わせを使用し、ここで前記プロモーター・プライマーの前記HBV相補配列がその5’端でRNAポリメラーゼのプロモーター配列と連結している、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、ここで表6からの前記プライマーおよび検出プローブの組み合わせが、少なくとも70%の陽性検出を示すものである、方法。
【請求項11】
請求項1に記載の方法であって、ここで前記捕捉工程、増幅工程、および検出工程が表7中のオリゴマーの組み合わせを用いて実施される、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法であって、ここで表7中の前記オリゴマーの組み合わせが、少なくとも50%の陽性検出を示すものである、方法。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法であって、ここで前記試料が血液試料である、方法。
【請求項14】
HBV核酸を検出するための方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)HBV核酸を含むと疑われる試料を少なくとも2種類の増幅オリゴマーを含むプライマーの組み合わせと接触させる工程と;
(b)前記HBV核酸を増幅するための条件を提供する工程と;および
(c)検出反応を提供する工程であって、ここで陽性検出結果が前記試料中のHBV核酸の存在を表示する工程。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、ここで前記プライマーの組み合わせが表6からのプライマーの組み合わせであり、ここで前記プロモーター・プライマーの前記HBV相補配列がその5’端でRNAポリメラーゼのプロモーター配列と連結している、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、ここで前記プライマーの組み合わせが、少なくとも70%の陽性検出を示す表6からのプライマーの組み合わせである、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、ここで前記検出反応が表5から選択される検出プローブを用いる、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、ここで工程(a)から工程(c)が表6に示されるプライマーおよび検出プローブの組み合わせを用い、ここで前記プロモーター・プライマーの前記HBV相補配列がその5’端でRNAポリメラーゼのプロモーター配列と連結している、方法。
【請求項19】
請求項18に記載の方法であって、ここで表6からの前記プライマーおよび検出プローブの組み合わせが、少なくとも70%の陽性検出を示すものである、方法。
【請求項20】
請求項14に記載の方法であって、配列番号70〜配列番号87からなる群より選択されるHBV相補配列と連結した第一のホモポリマー配列を含む少なくとも1種類の捕捉オリゴヌクレオチドを用いて、前記試料から前記HBV核酸を捕捉する工程をさらに含む、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、ここで前記捕捉工程が捕捉複合体を形成し、ここで前記複合体がHBV核酸、捕捉オリゴヌクレオチド、および第二のホモポリマー配列に共有結合した固体支持体を含み、ここで前記捕捉オリゴヌクレオチドが、前記第一のホモポリマー配列および前記第二のホモポリマー配列間の相補的塩基対形成によって、前記捕捉複合体中の前記固体支持体に固定されている、方法。
【請求項22】
請求項20に記載の方法であって、ここで前記ポリヌクレオチドの前記HBV相補配列が、配列番号70〜配列番号87からなる群より選択される、方法。
【請求項23】
請求項20に記載の方法であって、ここで前記ポリヌクレオチドの前記HBV相補配列が、配列番号73、配列番号80、および配列番号87からなる群より選択される、方法。
【請求項24】
請求項20に記載の方法であって、ここで前記捕捉工程、増幅工程、および検出工程が、表7中のオリゴマーの組み合わせを用いて実施される、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、ここで表7からの前記オリゴマーの組み合わせが、少なくとも50%の陽性検出を示すものである、方法。
【請求項26】
請求項14−25のいずれか一項に記載の方法であって、ここで前記試料が血液試料である、方法。
【請求項27】
HBV核酸および少なくとも1種類の他の核酸を検出するためのマルチプレックス増幅方法であって、以下の工程を含む方法:
(a)請求項1〜12または14〜25のいずれか一項に記載の方法によって、試料中のHBV核酸の存在または非存在を検出する工程;および
(b)HIV核酸;HCV核酸;ならびにHIV核酸およびHCV核酸からなる群より選択される核酸の存在または非存在を、前記試料中で検出する工程。
【請求項28】
増幅および検出反応における使用のためのオリゴヌクレオチドの組み合わせであって、ここで前記オリゴヌクレオチドの組み合わせが、表6からなる群より選択される、組み合わせ。
【請求項29】
請求項28のオリゴヌクレオチドの組み合わせであって、ここでプロモーター・プライマーHBV相補配列がRNAポリメラーゼのプロモーター配列と連結している、組み合わせ。
【請求項30】
増幅および検出反応における使用のためのオリゴヌクレオチドの組み合わせであって、ここで前記オリゴヌクレオチドの組み合わせが、表7からなる群より選択される、組み合わせ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−19528(P2011−19528A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214048(P2010−214048)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2004−513526(P2004−513526)の分割
【原出願日】平成15年6月13日(2003.6.13)
【出願人】(500169900)ジェン−プローブ・インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】