説明

C型肝炎ウイルスからの自己複製RNA分子

【課題】細胞培養物複製を樹立する高められた効率を有する特異なC型肝炎ウイルスHCVRNA分子の提供、及びHCV複製の潜在的なインヒビターを評価するのに有益な、このRNA分子を用いたHCV複製の抑制について化合物を試験する方法の提供。
【解決手段】HCV非構造領域中のG2042C/R突然変異を含むC型肝炎ウイルスHCV自己複製ポリヌクレオチド分子。このRNA分子でトランスフェクトされた宿主細胞。この宿主細胞を用いたHCV複製の抑制について化合物を試験する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に適当な細胞系中で自己複製するHCV RNA分子、特に細胞培養物複製を樹立する高められた効率を有する自己複製HCV RNA構築物に関する。
【背景技術】
【0002】
C型肝炎ウイルス(HCV)は世界中の輸血後及び群集-後天性非A非B肝炎の主要な病因物質である。世界中の200万人以上の人々がそのウイルスにより感染されると推定される。高比率のキャリヤーが慢性感染されるようになり、多くが慢性肝臓疾患、所謂慢性C型肝炎に進行する。このグループは順に重症肝臓疾患、例えば、肝硬変、肝細胞癌及び死に至る末期肝臓疾患のリスクが高い。HCVがウイルス存続を確立し、高率の慢性肝臓疾患を生じるメカニズムは充分に解明されていなかった。HCVが宿主免疫系と相互作用し、侵食する方法は知られていない。
加えて、HCV感染及び疾患に対する保護における細胞性免疫応答及び体液性免疫応答の役割は未だ実証されていなかった。
種々の臨床研究が慢性C型肝炎で冒された患者のHCV感染症を有効に治療することができる医薬化合物を同定することを目標として行なわれていた。これらの研究はインターフェロン-α、単独及びリバビリンの如きその他の抗ウイルス薬と組み合わせての使用を伴っていた。このような研究はかなりの数の参加者がこれらの治療に応答せず、また有利に応答するもののうち、大部分が治療の終了後に再発することを示した。現在まで、HCV感染症の治療に広く有効な抗ウイルス化合物はない。
【0003】
HCVはフラビウイルス科のエンベロープ陽性ストランドRNAウイルスである。一本鎖HCV RNAゲノムは陽極性のものであり、長さ約9600ヌクレオチドの一つのオープンリーディングフレーム(ORF)を含み、これは約3010アミノ酸の線状ポリタンパク質をコードする。感染細胞では、このポリタンパク質が多くの部位で細胞プロテアーゼ及びウイルスプロテアーゼにより開裂されて構造タンパク質及び非構造(NS)タンパク質を生じる。構造タンパク質(C、E1、E2及びE2-p7)はウイルス粒子を構成するポリペプチドを含む(Hijikataら, 1991; Grakouiら, 1993(a))。非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5B)はHCV RNAゲノムの複製を触媒作用し、調節する酵素又はアクセサリー因子をコードする。構造タンパク質のプロセシングは宿主細胞プロテアーゼにより触媒作用される(Hijikataら, 1991)。成熟非構造タンパク質の生成は2種のウイルスによりコードされたプロテアーゼにより触媒作用される。
【0004】
第一のものはポリタンパク質からのNS3タンパク質の放出を自己触媒作用するNS2/3亜鉛依存性メタロプロテアーゼである。放出されたNS3はN末端セリンプロテアーゼドメインを含み(Grakouiら, 1993(b); Hijikataら, 1993)、ポリタンパク質からの残りの開裂を触媒作用する。放出されたNS4Aタンパク質は少なくとも二つの役割を有する。第一に、NS3タンパク質と安定な複合体を形成し、NS3/NS4A複合体の膜局在化を助け(Kimら, Arch Virol. 1999, 144: 329-343)、第二に、NS3プロテアーゼ活性のコファクターとして作用する。この膜関連複合体は順にポリタンパク質の残りの部位の開裂を触媒作用し、こうしてNS4B、NS5A及びNS5Bの放出を行なう(Bartenschlagerら, 1993; Grakouiら, 1993(a); Hijikataら, 1993; Loveら, 1996; またKwongら, 1998に概説されている)。NS3タンパク質のC末端セグメントはまたヌクレオシドトリホスファターゼ及びRNAヘリカーゼ活性を有する(Kimら, 1995)。タンパク質NS4Bの機能は知られていない。高度にリン酸化されたタンパク質であるNS5Aは種々のHCV遺伝子型のインターフェロン耐性を担うと考えられる(Gale Jr.ら, 1997 Virology 230, 217; Reedら, 1997)。NS5BはHCVの複製に関係するRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)である。
【0005】
HCV RNAゲノムのオープンリーディングフレームはその5'末端で約340ヌクレオチドの非翻訳領域(NTR)(これは内部リボソーム侵入部位(IRES)で機能する)により隣接され、またその3'末端で約230ヌクレオチドのNTRにより隣接される。5'NTR及び3'NTRの両方がRNAゲノム複製に重要である。ゲノム配列変化はゲノムにわたって等しく分布されておらず、5'NTR及び3'NTRの部分が最も高度に保存された部分である。真性の高度に保存された3'NTRはRiceらに付与された米国特許第5,874,565号の目的である。
HCVゲノムのクローン化され、特性決定された部分配列及び完全配列がまた有望な抗ウイルス療法に適した標的に関して分析されていた。4種のウイルス酵素活性が可能な標的、例えば、(1)NS2/3プロテアーゼ、(2)NS3/4Aプロテアーゼ複合体、(3)NS3ヘリカーゼ及び(4)NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼを与える。NS3/4Aプロテアーゼ複合体及びNS3ヘリカーゼが既に結晶化され、それらの三次元構造が決定されていた(Kimら, 1996; Yemら, 1998; Loveら, 1996; Kimら, 1998; Yaoら, 1997; Choら, 1998)。NS5B RNA依存性RNAポリメラーゼがまた結晶化されてその他の核酸ポリメラーゼを連想させる構造を明らかにした(Bressanelliら, 1999, Proc. Natl. Acad. Sci, USA 96: 13034-13039; Agoら, 1999, Structure 7: 1417-1426; Lesburgら, 1999, Nat. Struct. Biol. 6: 937-943)。
【0006】
たとえ慢性HCV感染症の療法の開発に重要な標的がこれらの酵素で同定されたとしても、またたとえ好適なインヒビターに関する世界中の広範な研究が合理的な薬剤設計及びHTSの助けにより進行しているとしても、療法の開発は一つの重大な欠陥、即ち、細胞培養系又は簡単な動物モデル(これらはHCVウイルスの直接かつ信頼できる増殖を可能にする)の欠如を有する。有効な細胞培養系の欠如は依然としてHCV複製の理解がわかりにくいままであるという現在までの主たる理由である。
フラビウイルス及びペスチウイルス自己複製RNAが記載され、比較的高い歩留りで異なる細胞系中の複製に使用されていたが、HCVによる同様の実験は現在まで成功していなかった(Khromykhら, 1997; Behtensら, 1998; Moserら, 1998)。細胞系又は一次細胞培養物がHCVを含む高力価患者血清で感染し得ることが異なる刊行物から知られている(Lanfordら, 1994; Shimizuら, 1993; Mizutaniら, 1996; Ikedaら, 1998; Foumerら, 1998; Itoら, 1996)。しかしながら、これらのウイルス感染細胞系又は細胞培養物はHCV-RNA又はHCV抗原の直接検出を可能にしない。
【0007】
また、ヘパトーマ細胞系がクローン化HCVゲノムのin vitro転写により得られた合成HCV-RNAでトランスフェクトし得ることがYooら, 1995、及びDashら, 1997の刊行物から知られている。両方の刊行物において、著者らはウイルスHCVゲノムが細胞にトランスフェクトされた後にmRNAとして直接機能し、翻訳プロセスの経過中にウイルスタンパク質の合成を可能にするプラスストランドRNAであり、こうして新しいHCV粒子がHCVウイルスを形成でき、それらのRNAがRT-PCRにより検出されるという基本的概念から出発した。しかしながら、RT-PCR実験の公表された結果は記載されたHCVトランスフェクトされたヘパトーマ細胞中のHCV複製が潜在的な抗ウイルス薬への暴露後の複製の変調を測定するのはもちろん、複製の量を測定するのに特に有効ではなく、しかも充分ではないことを示す。更に、高度に保存された3'NTRはウイルス複製に必須であることが現在知られている(Yanagiら, 1999)。この知識はYooらの記述(上記文献)及びDashらの記述(上記文献)とは厳密には矛盾し、彼らは彼らの実験のためにHCVゲノムの真性3'末端ではなく更に短い3'NTRを有するHCVゲノムのみを使用していた。
【0008】
WO 98/39031に、Riceらは、特にa)高度に保存された5'-末端配列“GCCAGCC”、b)HCVポリタンパク質コーディング領域、及びc)3'-NTR真性配列を含む、真性HCVゲノムRNA配列を開示していた。
WO 99/04008に、Purcellらはまた高度に保存された5'-末端配列“GCCAGC”のみを含むHCV感染性クローンを開示していた。
最近、Lohmanら, 1999 (Science 285: 110-113)及びBartenschlagerら(2000年10月3日に公開されたCA2,303,526に)は複製の量が正確かつ再現性良く測定し得るような効率でウイルスRNA(I377/NS2-3')がトランスフェクトされた細胞中で自己複製するHCV細胞培養系を開示していた。Lohman及びBartenschlagerの開示はノーザンブロットによる直接測定により立証された細胞培養におけるHCV RNA複製の最初の実証であった。その中に開示されたこのレプリコン系及び配列は保存された5'配列“GCCAGC”をもう一度強調する。5'NTRの保存を強調する同様の観察がBlightら, 2000 (Science 290: 1972-1974)及び2001年11月29日に公表されたWO 01/89364によりなされた。
【0009】
RNAを複製する細胞培養物中の5'及び3'非翻訳領域の保存に加えて、Lohmanら, 2001、Kriegerら, 2001及びGuoら, 2001による三つのその他の刊行物がHCV非構造タンパク質コーディング領域内の異なる適応突然変異体を最近開示していた。
HCV非構造タンパク質のアミノ酸を変化する特定ヌクレオチド変化が培養細胞中の安定な複製HCVサブゲノムレプリコンを樹立する効率を高めることが示されている。
今、本件出願人は、全ての先の論文とは反対に、高度に保存された5'-NTRが適応により突然変異されて、HCV非構造領域における突然変異と協力して、導入及び/又は複製の一層大きい効率を与えるHCV RNA配列を生じ得ることを見出した。
また、本件出願人は細胞培養において永久に複製するHCV RNAを樹立する効率を改良するHCV非構造領域内の新規な適応突然変異を同定した。
本発明の一つの利点は自己複製するHCV RNA分子を含むこれらの既存の系の別型を提供することである。更に、本発明はプラスストランドゲノムの開始ヌクレオチドが既に開示されたGの別型としてのAであり得ることを実証する。
本発明の更なる利点は一層高い効率で導入し、かつ/又は複製する特異なHCV RNA分子を提供することである。本件出願人は細胞系中のこの特定RNA分子の実用性及びHCV複製の特定インヒビターを評価する際のその使用を実証する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
第一実施態様において、本発明は1位にある高度に保存されたグアニンがアデニンに置換されているC型肝炎ウイルスの5'-非翻訳領域を提供する。
特に、本発明はI377/NS2-3'構築物(Lohmannら, 1999、受理番号AJ242651)に従ってナンバリングして1位にアデニンを含むC型肝炎ウイルスポリヌクレオチドを提供する。
特に、本発明はACCAGC(配列番号8)からなる5'-末端を含むHCV自己複製ポリヌクレオチドを提供する。
第二実施態様において、本発明はR(1135)K; S(1148)G; S(1560)G; K(1691)R; L(1701)F; I(1984)V; T(1993)A; G(2042)C; G(2042)R; S(2404)P; L(2155)P; P(2166)L 及び M(2992)Tからなる群から選ばれた一つ以上のアミノ酸置換を含むポリタンパク質をコードするHCV自己複製ポリヌクレオチドに関する。
特に、本発明は上記アミノ酸置換のいずれか一つを含み、更にアミノ酸置換E(1202)Gを含むポリタンパク質をコードするHCV自己複製ポリヌクレオチドに関する。
【0011】
更に特別に、本発明はG2042C又はG2042R突然変異を含むポリタンパク質をコードするHCV自己複製ポリヌクレオチドを提供する。
最も特別に、本発明は1位のヌクレオチド置換G→Aを含むHCV自己複製ポリヌクレオチドを提供し、前記ポリヌクレオチドはG2042C又はG2042R突然変異を更に含むポリタンパク質をコードする。
特に、本発明のポリヌクレオチドはRNA又はRNAに転写し得るDNAの形態であってもよい。
第三実施態様において、本発明はまたプロモーターと機能し得る形で連結された、上記ポリヌクレオチドのDNA形態を含む発現ベクターを提供する。
第四実施態様によれば、上記自己複製ポリヌクレオチド又はベクターでトランスフェクトされた宿主細胞が提供される。
第五実施態様において、本発明は
−潜在的C型肝炎ウイルスインヒビターの存在下又は不在下で上記宿主細胞をインキュベートする工程、
−全細胞RNAを細胞から単離する工程、
−複製されたHCV RNAの量を測定するようにRNAを分析する工程、
−インヒビターの不在下と存在下の細胞中のHCV RNAのレベルを比較する工程
を含むRNA複製アッセイを提供する。
第六実施態様において、本発明は
a)上記宿主細胞を化合物で処理する工程、
b)処理された宿主細胞を減少された複製について評価する工程を含む、HCV複製を抑制するための化合物の試験方法に関するものであり、減少された複製が複製を抑制する化合物の能力を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
定義
特に定義されない限り、本明細書に使用される科学用語及び技術用語並びに命名法は本発明が関係する当業者により普通に理解されるのと同じ意味を有する。
一般に、細胞培養、感染、分子生物学方法等に関する操作は当業界で使用される普通の方法である。このような通常の技術は参考マニュアル、例えば、Sambrookら(1989)及びAusubelら(1994)に見られる。
ヌクレオチド配列は当業界で普通に使用されるような1文字ヌクレオチド記号を使用して、またIUPAC-IUB生化学命名委員会の推奨(1972)に従って、5'から3'の方向に、左から右に、一本鎖により本明細書に示される。
【0013】
本記載は幾つかのルーチンで使用される組換えDNA(rDNA)技術用語について言及する。それにもかかわらず、このようなrDNA用語の選ばれた例の定義が明瞭及び一貫性のために示される。
“DNAセグメントもしくは分子又は配列”という用語は、デオキシリボヌクレオチドアデニン(A)、グアニン(G)、チミン(T)及び/又はシトシン(C)を含む分子を表すのに本明細書に使用される。これらのセグメント、分子又は配列は天然に見られ、又は合成により誘導し得る。遺伝子コードに従って読まれる場合、これらの配列はポリペプチド、タンパク質、タンパク質フラグメント等と称し得るアミノ酸の線状ストレッチ又は配列をコードし得る。
本発明に使用される“遺伝子”という用語は当業界で公知であり、単一タンパク質又はポリペプチドを特定する核酸配列に関する。タンパク質の機能活性が保持される限り、ポリペプチドは完全長配列又はコーディング配列のいずれかの部分によりコードし得る。
【0014】
“構造遺伝子”はRNAに転写され、ウイルス粒子を構成する特定構造機能を有するタンパク質に翻訳されるDNA配列を特定する。“構造タンパク質”はウイルス粒子にとり込まれたHCVタンパク質、即ち、コアー“C”、E1、E2、及びE2-p7を特定する。
“非構造タンパク質”はウイルス粒子中に含まれないHCVタンパク質、即ち、NS2、NS3、NS4A、NS5A及びNS5Bを特定する。
“制限エンドヌクレアーゼ又は制限酵素”はDNA分子中の特定塩基配列(通常4、5又は6塩基対の長さ)を認識し、この配列が現れるあらゆる場所でDNA分子を開裂する能力を有する酵素である。このような酵素の例はEcoRIであり、それは塩基配列G↓AATTCを認識し、この認識部位でDNA分子を開裂する。
“制限フラグメント”は制限エンドヌクレアーゼによるDNAの消化により生成されたDNA分子である。あらゆる所定のゲノム又はDNAセグメントが特別な制限エンドヌクレアーゼにより制限フラグメントの少なくとも二つの別個の分子に消化し得る。
【0015】
“アガロースゲル電気泳動”はサイズに基づいてポリヌクレオチド分子を分別するための分析方法である。その方法は核酸分子が篩中のようにゲル中を移動し、それにより最小の分子が最大の移動度を有し、ゲル中を最も遠くに移動するという事実に基づいている。ゲルの篩特性は最大分子を遅延し、その結果、これらは最小の移動度を有する。分別されたポリヌクレオチドは当業界で公知の方法を使用してゲルを染色すること、核酸ハイブリダイゼーション又は分別された分子を検出可能な標識で標識することにより視覚化し得る。全てのこれらの方法が当業界で公知であり、特別な方法がAusubelらの上記文献に見られる。
“オリゴヌクレオチド又はオリゴマー”は二つ以上、好ましくは三つより多いデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドを含む分子である。その分子の正確なサイズは多くの因子に依存し、これらは順にオリゴヌクレオチドの最終の機能又は使用に依存する。オリゴヌクレオチドは合成、クローニング又は増幅により誘導し得る。
【0016】
“配列増幅”は多量の標的配列を生じるための方法である。一般に、一種以上の増幅プライマーが核酸配列にアニールされる。適当な酵素を使用して、プライマーに隣接し、又はプライマーの間に見られる配列が増幅される。本明細書に使用される増幅方法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)であり、逆転写酵素(RT)と一緒に使用されて特定RNA配列の増幅されたDNAコピーを生じ得る。
“増幅プライマー”は標的配列に隣接するRNA又はDNA領域にアニールすることができ、当業界で公知の好適な条件下でDNA合成の開始プライマーとして利用できるオリゴヌクレオチドを表す。合成されたプライマー延長生成物は標的配列に相補性である。
“ドメイン”又は“領域”という用語はタンパク質内の特定の機能又は構造を特定する特定アミノ酸配列を表す。本明細書中の例として、HCV非構造ポリタンパク質内に含まれるNS3プロテアーゼドメインがある。
【0017】
“プラスミド”、“ベクター”又は“DNA構築物”という用語は当業界で普通に知られており、オリゴヌクレオチド配列、又は本発明の配列を含むことができ、本発明のDNAがクローン化し得るDNAビヒクルとして利用できるプラスミドDNA、ファージDNA、ウイルスDNA等を含むが、これらに限定されないあらゆる遺伝要素を表す。多くの型のベクターが存在し、当業界で公知である。
“発現ベクター”という用語は上記されたが、宿主への形質転換又はトランスフェクション後に挿入された配列の発現を可能にするように設計されたベクターを特定する。クローン化遺伝子(挿入された配列)は通常プロモーター配列の如き調節要素配列の制御下に置かれる。このような発現調節配列はベクターが原核生物もしくは真核生物の宿主又はその両方(シャトルベクター)中で機能し得る形で連結された遺伝子をin vitro又はin vivoで発現されるように設計されているかどうか、更に転写要素、例えば、エンハンサー要素、終結配列、組織特異性要素、及び/又は翻訳開始部位及び翻訳終結部位を含むことができるかどうかに応じて変化するであろう。
【0018】
宿主細胞又はインジケーター細胞はこのような核酸が細胞内に導入された場合に外因性又は異種のDNA(例えば、DNA構築物)又はRNAにより“トランスフェクト”された。トランスフェクトDNAは細胞のゲノムを構成する染色体DNAに組み込まれ(共有結合され)てもよく、又は組み込まれなくてもよい。例えば、原核生物、酵母、及び哺乳類細胞では、トランスフェクト/形質転換DNAがプラスミドの如きエピソーム要素に維持されてもよい。真核細胞に関して、安定にトランスフェクトされた細胞の例はトランスフェクトDNAが染色体に組み込まれたようになり、染色体複製により娘細胞により遺伝される細胞である。宿主細胞又はインジケーター細胞はRNAでトランスフェクトし得る。細胞はRNAが複製し、RNAのコピーが細胞分裂後に娘細胞に分離する場合にRNAで安定にトランスフェクトし得る。この安定性は真核細胞がトランスフェクトDNA又はRNAを含む娘細胞の集団を含む細胞系又はクローンを樹立する能力により実証される。トランスフェクション方法は当業界で公知である(Sambrookら, 1989; Ausubelら, 1994)。RNAが観察可能な表現型、例えば、抗生物質耐性を与える遺伝マーカーをコードする場合、複製RNAの安定なトランスフェクションが宿主細胞によるこのような表現型の獲得により監視し得る。
【0019】
本明細書に使用される“導入”という用語は複製RNAの安定なトランスフェクションによる宿主細胞への遺伝マーカーの導入を表す。
本発明を実施するのに有益なヌクレオチド配列及びポリペプチドとして、突然変異体、同族体、サブタイプ、準種、対立遺伝子、等が挙げられるが、これらに限定されない。一般に、本発明の配列はポリタンパク質をコードすることが理解される。本発明のポリタンパク質及びそのあらゆる変異体、誘導体又はフラグメントは活性プロテアーゼに自己プロセシングされることが当業者に明らかであろう。
本明細書に使用される“変異体”という表示は本発明の状況下で初期の配列の生物学的活性と実質的に同様である生物学的活性(機能的又は構造的)を保持する配列(核酸又はアミノ酸)、分子を表す。この変異体は同種又は異種であってもよく、また天然変異体であってもよく、又は合成により調製されてもよい。このような変異体として、一つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を有するアミノ酸配列が挙げられるが、但し、そのタンパク質の生物学的活性が保存されることを条件とする。同じことが一つ以上のヌクレオチドの置換、欠失、又は付加を有し得る核酸配列の変異体に当てはまるが、但し、その配列の生物学的活性が一般に維持されることを条件とする。
【0020】
“誘導体”という用語は通常これらの分子の一部ではない付加的な化学部分を含む場合の上記変異体のいずれをも含むことが意図されている。これらの化学部分は、分子の可溶性、吸収、生物学的半減期の改良、毒性の低下及び望ましくない副作用の排除又は軽減を含む種々の目的を有し得る。更に、これらの部分は標識、結合の目的に使用でき、又はそれらは一種以上の融合生成物中に含まれてもよい。上記作用を媒介することができる種々の部分がレミントンのThe Science and Practice of Pharmacy (1995)に見られる。
このような部分を分子に結合する方法は当業界で公知である。“フラグメント”という用語は同定されたDNA、RNA又はアミノ酸配列のあらゆるセグメント及び/又は本発明により必要とされるようなその生物学的活性(機能的又は構造的)を実質的に保持する本明細書に上記された変異体又は誘導体のいずれかのあらゆるセグメントを表す。
本発明の“変異体”、“誘導体”、及び“フラグメント”という用語は単離/精製でき、化学合成でき、又は組換えDNA技術により生成し得るタンパク質又は核酸分子を本明細書中で表す。全てのこれらの方法が当業界で公知である。本明細書に以下に例示されるように、本発明に使用されるヌクレオチド配列及びポリペプチドは、例えば、in vitro突然変異誘発により修飾し得る。
【0021】
本発明に使用される“HCVポリタンパク質コーディング領域”という用語はポリタンパク質オープンリーディングフレーム(ORF)をコードするC型肝炎ウイルスの部分を意味する。このORFは野生型HCVタンパク質と同じであり、又は異なるタンパク質をコードし得る。ORFはまた野生型ポリタンパク質コーディング領域によりコードされた機能性タンパク質の一部のみをコードしてもよい。その中にコードされたタンパク質はHCVの異なる分離株からのものであってもよく、非HCVタンパク質はまたその中にコードされてもよい。
本明細書に使用されるように、ポリヌクレオチド分子に関して使用される略号“NTR”は非翻訳領域を意味する。“UTR”という用語は非翻訳領域を意味する。
両方が互換可能に使用される。
【0022】
好ましい実施態様
特に、本発明はACCAGC(配列番号8)からなる5'-末端を含むHCV自己複製ポリヌクレオチド分子を提供する。
本発明の第一実施態様によれば、特に
−5'-末端又はその付近に配列ACCAGCを含む5'-非翻訳領域(NTR)、
−HCVポリタンパク質コーディング領域、及び
−3'-NTR領域
を含むHCVポリヌクレオチド構築物が提供される。
第二実施態様において、本発明はR(1135)K; S(1148)G; S(1560)G; K(1691)R; L(1701)F; I(1984)V; T(1993)A; G(2042)C; G(2042)R; S(2404)P; L(2155)P; P(2166)L 及び M(2992)Tからなる群から選ばれた一つ以上のアミノ酸置換を含むポリタンパク質をコードするHCV自己複製ポリヌクレオチドに関する。
【0023】
特に、本発明は上記アミノ酸置換のいずれか一つを含み、更にアミノ酸置換E(1202)Gを含むポリタンパク質をコードするHCV自己複製ポリヌクレオチドに関する。
また、本発明の第一実施態様はG2042C/R突然変異を含むHCV自己複製ポリヌクレオチド分子に関する。
第二実施態様によれば、本発明は特に
−5'-末端又はその付近に配列ACCAGCを含む5'-NTR領域、
−G(2042)C又はG(2042)R突然変異を含むHCVポリタンパク質をコードするHCVポリタンパク質領域、及び
−3'-NTR領域
を含むHCVポリヌクレオチド構築物を提供する。
本発明のポリヌクレオチド構築物はDNA又はRNA分子であることが好ましい。構築物はRNA分子であることが更に好ましい。構築物はDNA分子であることが最も好ましい。
更に特別には、本発明の第一実施態様は配列番号2、4、5、6、7、24及び25からなる群から選ばれたDNA分子によりコードされたRNA分子に関する。
最も特別には、本発明は配列番号2、4、5、6、7、24及び25からなる群から選ばれたDNA分子を提供する。
【0024】
第三実施態様において、本発明はまたプロモーターと機能し得る形で連結された、上記ポリヌクレオチドのDNA形態を含む発現ベクターに関する。
プロモーターはT3、T7及びSP6からなる群から選ばれることが好ましい。
本発明の第四実施態様によれば、上記自己複製ポリヌクレオチド又はベクターでトランスフェクトされた宿主細胞が提供される。特に、宿主細胞は真核生物細胞系である。更に特別には、真核生物細胞系は肝臓細胞系である。最も特別には、肝臓細胞系はHuh-7である。
第五実施態様において、本発明は
a)上記宿主細胞をRNA複製に適した条件下でインキュベートする工程、
b)全細胞RNAを細胞から単離する工程、及び
c)複製されたHCV RNAの量を測定するようにRNAを分析する工程
を含むことを特徴とするRNA複製アッセイを提供する。
工程c)におけるRNAレベルの分析は複製されたHCV RNAの量を測定するようにHCV特異性プライマーを使用する実時間RT-PCR分析によりRNAを増幅することにより行なわれることが好ましい。
またこの第五実施態様において、構築物はリポーター遺伝子を含み、工程c)におけるRNAレベルの分析は発現されたリポーターのレベルを評価することにより行なわれる。
【0025】
第六実施態様の好ましい局面によれば、本発明は
a)化合物の存在下又は不在下で、上記アッセイに記載された工程a)を行なう工程、
b)全細胞RNAを細胞から単離する工程、及び
c)複製されたHCV RNAの量を測定するようにRNAを分析する工程、
d)インヒビターの不在下と存在下の細胞中のHCV RNAのレベルを比較する工程を含み、
減少されたRNAレベルが複製を抑制する化合物の能力を示すことを特徴とするHCV複製の抑制について化合物を試験する方法に関する。
細胞系は約3-4日にわたって約37℃の温度で試験化合物とともにインキュベートされることが好ましい。
【実施例】
【0026】
実施例1
レプリコン構築物(APGK-12;図1)
オリゴヌクレオチドリンカー
5' gaattccagatggcgcgcccagatgttaaccagatccatggcacactctagagtactgtcgac 3'(配列番号9)をEcoRI及びSalIで切断されたpET-9a(ノバゲン)につないでベクターpET-9a-modを生成することによりpET9a-EMCVを得た。このリンカーは下記の制限部位を含む:EcoRI、AscI、HpaI、NcoI、XbaI、ScaI、SalI。プライマー
5' cggaatcgttaacagaccacaacggtttccctc 3' (配列番号10)及び5' ggcgtacccatggtattatcgtgtttttca 3'(配列番号11)を用いてEMCV IRESをPCRによりベクターpTM1から増幅し、EcoRI及びNcoIによりpET-9a-modにつないでpET-9a-EMCVを生成した。
HCV NS2〜NS5Bの配列続いてHCVの3'UTRをレプリコン構築物I377/NS2-3'(Lohmanら, 1999;受理番号:AJ242651)から得、オペロン・テクノロジーズ社によりヌクレオチド8032でNS5B中のNcoI部位でTからCへの変化により合成した。この配列をGenOp(登録商標)ベクター(オペロン・テクノロジーズ)からNcoI及びScaIで放出し、pET-9a-EMCVに導入してpET-9a-EMCV-NS2-5B-3'UTRを生成した。
【0027】
プライマー
T7プロモーターを含む5' gcatatgaattctaatacgactcactataggccagcccccgattg 3'(配列番号12)及びプライマー
5' ggcgcgccctttggtttttctttgaggtttaggattcgtgctcat 3'(配列番号13)を用いる患者血清から単離されたHCV cDNAからのHCV IRESの増幅並びに
プライマー
5' aaagggcgcatgattgaacaagatggattgcacgca 3'(配列番号14)及び
5' gcatatgttaactcagaagaactcgtcaagaaggcgata 3'(配列番号15)を用いるベクターpcDNA 3.1(インビトロゲン)からのネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子の増幅によりpET-9a-HCV-neoを得た。これらの2種のPCRフラグメントを混合し、プライマー
5' gcatatgaattctaatacgactcactataggccagcccccgattg 3'(配列番号16)及び
5' gcatatgttaactcagaagaactcgtcaagaaggcgata 3'(配列番号15)で増幅し、EcoRI及びHpaIで切断し、pET-9a-modに導入してpet-9a-HCV-neoを生成した。EMCV-NS2-5B-3'UTRをpET-9a-EMCV-NS2-5B-3'UTRからHpaI及びScaIで放出し、pet-9a-HCV-neoに導入し、これをHpaIで切断してpET-9a-APGK12を生成した。ABIプリズム(登録商標)ビッグダイTMターミネーター・サイクル配列決定キットを使用してこのインサートを特定の連続プライマーで配列決定し、ABIプリズム(登録商標)377DNAシーケンサーで分析し、配列番号1に示す。
【0028】
RNA in vitro転写
pET-9a-APGK12 DNAを完全長レプリコンの発現のためにScaIで切断し、又はトランケート陰性対照RNAの発現のためにBglIIで切断した。DNAを1%アガロースゲルで分析し、フェノール/クロロホルム抽出により精製した。T7リボマックス(登録商標)キット(プロメガ)を使用してRNAを生成し、続いてフェノール/クロロホルムで抽出し、7.5 M LiCl2で沈殿させた。RNAを15分間にわたってDNAse Iで処理してDNA鋳型を除去し、RNイージイ(登録商標)カラム(キアゲン)で更に精製した。RNA保全性を変性ホルムアルデヒド1%アガロースゲルで確かめた。
【0029】
実施例2
Huh7細胞の一次トランスフェクション及びレプリコン細胞系の選択
ヒトヘパトーマHuh7細胞(健康科学研究資源バンク、大阪、日本)を10%FBS/DMEM中で増殖させた。細胞を70%集密まで増殖させ、トリプシン処理し、食塩加リン酸緩衝液(PBS)で洗浄し、1x107細胞/PBS1mlに調節した。細胞800μlを0.4cmのキュベットに移し、レプリコンRNA15μgと混合した。約18ミリ秒にわたって960μF、300ボルトを使用して細胞をエレクトロポレーションにかけ、二つの15cmの組織培養プレートに均等に分配し、24時間にわたって組織培養インキュベーター中でインキュベートした。第一世代及び第二世代のレプリコン細胞系の選択は1mg/mlのG418を補給した10%FBS/DMEM培地によるものであった。コロニーが観察されるまで細胞を3-5週間にわたって選択し、これらを単離し、膨張させた。
G418選択及びAPGK12(配列番号1)RNAでトランスフェクトしたHuh-7細胞の増殖後に、特有のコロニーを形成した細胞をトリプシンで処理し、更に大きい培養フラスコに連続的に通して細胞系を樹立した。約10X106の細胞を夫々の細胞系から回収した。細胞を溶解し、全細胞RNAを抽出し、キアゲンRNAイージイ(登録商標)調製操作に概説されたように精製した。図2は変性アガロース-ホルムアルデヒドゲルのノーザンブロットで分析された種々の細胞系からの全細胞RNA12μgの分析を示す。
【0030】
図2AはプラスストランドレプリコンRNAの存在を検出するノーザンブロット(HCV特異性マイナスストランドRNAで放射能探査した)である。レーン1及び2はin vitro転写されたAPGK12 RNAの109コピーを含む陽性対照である。レーン2はナイーブHuh-7細胞からの全細胞RNA12μgと混合されたin vitro転写されたRNAを含む。レーン3は未処理Huh-7細胞からの全細胞RNAの陰性対照である。レーン4及び5はネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子のDNA組込みコピーを有するB1及びB3 G418耐性細胞系からの細胞RNAを含む。レーン6は8キロベース範囲の陽性シグナルにより検出された高コピー数のHCVサブゲノムレプリコンRNAを有する、S22.3と称される、Huh-7細胞系からの全細胞RNAを含む。その他の細胞系は検出可能なレプリコンRNAを有しない。図2BはブロットがHCVマイナスストランドRNAの存在を検出するためにHCV特異性プラスストランドRNAで放射能探査された以外は2Aに示されたゲルの2回反復のノーザンブロットである(レーン1及び2は完全長ゲノムHCVマイナスストランドRNAの109コピーを含む陽性対照レーンである)。レーン6(これは細胞系S22.3からの全細胞RNA12μgを含む)のみが8-9キロベースの予想サイズで検出可能なマイナスストランドレプリコンRNAを有する。ノーザンブロットのホスファーイメージャー走査に基づいた、RNAコピー数の定量推定はプラスストランドの約6X107コピー/全RNA1μg、及びマイナスストランドの6X106コピー/全RNA1μgである。プラスストランド及びマイナスストランド中間体の存在はHCVサブゲノムRNAがS22.3細胞系中で活発に複製していることを確かめる。
【0031】
実施例3
S22.3細胞系はHCV非構造タンパク質を構成的に発現する。
HCV非構造タンパク質発現をS22.3細胞系中で調べた。図3はレプリコン陰性B1細胞系(G418耐性Huh-7細胞系)ではなくS22.3細胞系中のHCV NS4Aタンパク質を検出する間接免疫蛍光の結果を示す。間接免疫蛍光を培養され、ラブ-テクチャンバースライドに固定(4%パラホルムアルデヒド)された細胞について行なった。細胞を10分間にわたって0.2%トリトンX-100で予備浸透し、続いて食塩加リン酸緩衝液(PBS)に溶解した5%ミルク粉末で1時間処理した。HCV NS4A領域をスパンするペプチドに対し生じたポリクローナル抗体を含むウサギ血清が検出に使用した一次抗体であった。一次抗体とともに2時間インキュベートした後に、細胞をPBSで洗浄し、レッド-フルオー・アレキサ(登録商標)594(モレキュラー・プローブズ)と結合された二次ヤギ抗ウサギ抗体を3時間にわたって細胞に添加した。未結合二次抗体をPBS洗浄で除去し、細胞をカバースリップでシールした。図3(上部パネル)は特定蛍光フィルターを備えた顕微鏡で検出した免疫蛍光の結果を示す。下部パネルは屈折干渉コントラスト(DIC)顕微鏡により見た細胞の同じ視野を表す。視野内のS22.3(図3A)細胞の大半は細胞質中に局在化するHCV NS4Aタンパク質について陽性染色し、一方、HCVタンパク質を発現することができないB1細胞(図3B)は染色のバックグラウンドレベルを有するにすぎない。S22.3細胞の小部分が高レベルの強く染色されたHCV NS4Aを発現する。
【0032】
また、2シストロンのレプリコンRNAによりコードされたタンパク質の発現を(i)ナイーブHuh-7細胞系、(ii)ネオマイシン耐性Huh-7細胞系B1、及び(iii)S22.3細胞系から抽出された全タンパク質のSDS-PAGE分離後にウェスタン-ブロットで調べた。図4パネルA、B、及びCは、夫々ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)、HCV NS3、及びHCV NS5Bに特異的なウサギポリクローナル抗血清で探査したウェスタンブロットの結果を示す。視覚化をケミルミネセント反応性二次HRP-結合ヤギ抗ウサギ抗体のオートラジオグラフィー検出により得た。図4パネルAはS22.3 RNAレプリコン細胞系がB1細胞系(これはnpt遺伝子の組込みDNAコピーを含む)より高いレベルでNPTタンパク質を発現し、ナイーブHuh-7細胞系がNPTタンパク質を生成しないことを示す。図4パネルB及びCはS22.3細胞系のみが夫々成熟HCV NS3タンパク質及びNS5Bタンパク質を生成することを示す。ウェスタンブロットはS22.3細胞系(これは活発に複製するHCVサブゲノムレプリコンRNAを有する)がHCV非構造タンパク質の高レベル発現によりRNAの複製を維持することを実証する。
【0033】
実施例4
適応レプリコンの配列決定
RNイージイキット(キアゲン)を使用して、レプリコン含有Huh7細胞から全RNAを抽出した。レプリコンRNAを逆転写し、ワンステップRT-PCRキット(キアゲン)及びHCV特異性プライマー(WO 00/66623に開示された完全長配列から選ばれたような)を使用するPCRにより増幅した。オリゴヌクレオチドプライマーを使用して10種の異なるRT-PCR産物(スタッガー様式で全2シストロンレプリコンをカバーした)を増幅した。PCRフラグメントをABIプリズム(登録商標)ビッグダイTMターミネーター・サイクルPCR配列決定で直接配列決定し、ABIプリズム(登録商標)377DNAシーケンサーで分析した。HCVレプリコン3'末端及び5'末端の配列を分析するために、Kolyhalovら, 1996に記載されたRNA連結反応/RT-PCR操作に従った。S22.3のヌクレオチド配列を配列番号2として表す。
【0034】
実施例5
HCVレプリコンRNAの連続継代
S22.3細胞系からの全細胞RNAを上記のように調製した。HCVレプリコンRNAコピー数をタクマン(登録商標)RT-PCR分析により測定し、全S22.3細胞RNA20μg(HCV RNAの1X109コピーを含む)を8X106ナイーブHuh-7細胞へのエレクトロポレーションによりトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を続いて10%ウシ胎児血清(10%FCS)を補給したDMEMを含む10cmの組織培養プレート中で培養した。トランスフェクションの24時間後に培地を1mg/mlのG418を補給したDMEM(10%FCS)に交換し、次いで3日毎に交換した。23の見えるコロニーがトランスフェクション及びG418選択後の3〜4週で形成した。G418耐性コロニーを連続継代HCVレプリコンRNAを有する第一細胞系に相当する第二世代細胞系に膨張させた。これらの細胞系の3種:R3、R7、及びR16は更なる分析の主題であった。第一に、適応レプリコンの夫々による導入の効率をナイーブHuh-7細胞への全細胞RNA(R3、R7及びR16から抽出した)のエレクトロポレーションにより測定した。
【0035】
エレクトロポレーション後に、G418選択の3〜5週後に生じた見えるG418耐性コロニーをカウントすることにより、導入効率を上記のように測定した(表1)。第二に、連続継代適応レプリコンの配列を実施例4に記載されたR3、R7及びR16レプリコン細胞系の夫々から抽出された全細胞RNAから決定した(配列番号4、5、6)。pAPGK12を基準配列(配列番号1)として使用して、適応レプリコンのHCVセグメント中で選択されたヌクレオチド変化を図5Aに示す。これらのヌクレオチド変化の幾つかがサイレントであり、コードされたアミノ酸を変化せず、一方、その他がアミノ酸置換をもたらす。図5BはpAPGK12のアミノ酸配列を基準として用いて適応レプリコンによりコードされたアミノ酸変化を要約する。基準配列APGK-12(配列番号1)は樹立細胞系の複製RNA中に維持されない5'-末端に特別なG(5'-GG)を含むことを注目することが重要である。また、ヌクレオチド1におけるG→Aに加えて、分析された全てのクローン中に見られるアミノ酸2042(NS2のa.a.810が配列番号中a.a.1としてナンバリングされるので、配列表中にアミノ酸1233として示される)に適応突然変異G→C/Rがあることは注目に値する。
【0036】
【表1】

Huh-7細胞のトランスフェクション
【0037】
実施例6
5'G→A置換を含むAPGK12(APGK12-5'A、配列番号24)の構築
pAPGK12 DNAを修飾して配列中の第一ヌクレオチドを変化して5'GGを5'Aで置換した。配列のEcoRI/AgeI部分をその突然変異を含むPCR生成EcoRI/AgeIフラグメントで置換することによりpAPGK12中の変化を導入した。増幅に使用したオリゴヌクレオチドは(配列番号20):5'-GTG GAC GAA TTC TAA TAC GAC TCA CTA TAA CCA GCC CCC GAT TGG-3'及び(配列番号21):5'-GGA ACG CCC GTC GTG GCC AGC CAC GAT-3'であり、195bp DNAフラグメントを生成し、次いでこれをEcoRI及びAgeIで消化した。得られる178bp制限フラグメントを使用してpAPGK12中のEcoRI/AgeIフラグメントを置換してpAPGK12-5'Aプラスミドを生成した。
【0038】
実施例7
R3-レプリコン(R3REP)のcDNAクローニング
R3レプリコンのcDNAクローンをR3細胞系から抽出されたRNAのRT-PCRにより生成した。下記の2種のオリゴヌクレオチドを使用した:(配列番号22):5'-GTC GTC TTC TCT GAC ATG GAG AC-3'及び(配列番号23):5'-GAG TTG CTC AGT GGA TTG ATG GGC AGC-3'。NS2コーディング領域内で開始してNS5Bコーディング領域の5'-末端まで延びる、約4400nt PCRフラグメントをTAクローニング(インビトロゲン)によりプラスミドpCR3.1にクローン化した。次いでこのR3配列のSacII/XhoI部分を使用して上記pAPGK12及びpAPGK12-5'A中に存在するSacII/Xhoフラグメントを置換した。その結果、2種のR3 cDNA配列を生成した:(I)開始5'Gを有するR3-Rep-5'G(配列番号7)及び開始5'Aを有するR3-Rep-5'A(配列番号25)。R3 rep cDNAの配列決定は初期のpAPGK12配列とは異なる特異なヌクレオチド変化を同定した(図5Aを参照のこと)。これらの変化の幾つかはサイレントであり、コードされたアミノ酸を変化せず、一方、その他はアミノ酸変化をもたらす(図5Bを参照のこと)。R3とR3-repの相違はR3細胞系から抽出された全RNAの配列決定から観察されなかったヌクレオチド変化をコードする特異なR3-rep cDNAクローンの単離を反映する。
【0039】
実施例8
修飾構築物によるコロニー形成の効率
上記実施例1に記載されたようにしてT7リボマックス(登録商標)キット(プロメガ)を使用して、pAPGK12、pAPGK12-5'A、pR3-Rep及びpR3-Rep-5'AからのRNAをin vitro転写により生成した。pAPGK12-5'A鋳型及びpR3-Rep-5'A鋳型を含む反応を5'-Aを有する開始転写産物中の市販RNAポリメラーゼの制限のために10倍にスケールアップした。夫々のクローンに関する完全長RNA及び対照トランケートRNAを実施例2に記載されたようにしてエレクトロポレーションにより8x106のナイーブHuh-7細胞に導入した。レプリコンRNAに全細胞Huh-7キャリヤーRNAを補給して最終の15-20μgの量を得た。次いで細胞を二つの150mmのプレート中で10%ウシ胎児血清及び0.25mg/mlのG418を補給したDMEM培地中で培養した。G418の低濃度はレプリコン含有細胞系を単離し、選択するのに充分であった。何とならば、対照トランケートRNAを含むトランスフェクタントのいずれもが耐性コロニーを生じなかったからである。対照的に、5'G又は5'Aを有するin vitro転写されたAPGK-12RNAはG418による選択後に同じ効率でコロニーを形成する(図6パネルA及びB中で約80cfu/μg)。
【0040】
種々の量(0.1ngから1μgまでの範囲)のR3-rep-5'A RNAをナイーブHuh-7細胞にトランスフェクトして1.2x106cfu/μgのRNAのコロニー形成効率を測定した(図6パネルCはRNA1μgによるトランスフェクションを示す)。種々の量(0.1ngから1μgまでの範囲)のR3-rep〔5'G〕を同様にトランスフェクトして2x106cfu/μgのRNAのコロニー形成効率を生じた(図6パネルDはRNA1μgによるコロニー形成を示す)。最初に示された、HCVサブゲノムレプリコンは5'Gに代えて5'Aヌクレオチドにより有効に複製することに注目されたい。5'A又は5'G RNAを有するAPGK12は同様の導入効率を有する。同様に、5'A又は5'Gを有するR3-Rep RNAは両方とも著しく増大された導入効率を示す。注目すべきは、R3-RepによりコードされたHCV非構造セグメント内の適応突然変異体はトランスフェクトされたRNA1μg当りのコロニー形成単位の著しい増大により示されるように導入効率のかなりの増大を与える。
【0041】
実施例9
細胞系中のHCVレプリコンRNAレベルの定量
S22.3細胞、又はその他の適応レプリコンを有する細胞系を、10%FBS、PenStrep及び1μg/mlのゲネチシンを補給したDMEMに接種した。インキュベーション期間の終了時に、レプリコンコピー数をABIプリズム7700配列検出系とともに実時間RT-PCRにより評価する。タクマン(登録商標)EZ RT-PCRキットはHCV RNAの検出及び分析のための系を与える(Martellら, 1999 J. Clin. Microbiol. 37: 327-332により最初に実証された)。下流プロセシングを伴わない逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)産物の直接検出を色素染色DNAプローブの蛍光の増大を監視することにより行なう(図6)。両方のプライマー(Ruster, B. Zeuzem, S.及びRoth, W.K., 1995, Analytical Biochemistry 224: 597-600から適応)のヌクレオチド配列及びHCVゲノムの5'-領域中に配置されたプローブ(1998年6月25-28日のベネチア-リド、イタリアにおけるC型肝炎ウイルス及び関連ウイルス分子ウイルス学及び病因に関する第五回国際会議におけるHohne, M.、Roeske, H.及びSchreier, E. 1998, Poster Presentation: P297から適応)は以下のとおりである。
【0042】
HCVフォワードプライマー:
5'ACG CAG AAA GCG TCT AGC CAT GGC GTT AGT 3'(配列番号17)
HCVリバースプライマー:
5'TCC CGG GGC ACT CGC AAG CAC CCT ATC AGG 3'(配列番号18)
HCVプローブ:
5'FAM-TGG TCT GCG GAA CGG GTG AGT ACA CC-TAMRA 3'(配列番号19)
FAM:蛍光リポーター色素
TAMRA:クエンチャー色素
タクマン(登録商標)EZ RT-PCRキットを使用して、下記の反応をセットアップした。
【0043】
【表2】

【0044】
この反応混合物に、10ng/μLに希釈されたS22.3細胞から抽出された全RNA5μLを反応当りRNA合計50ngのために添加した。レプリコンコピー数を既知の量のレプリコンコピーからつくられた標準曲線で評価し(野生型Huh-7 RNA 50ngを補給した)、同じ反応混合物中でアッセイした(図7)。
ABIプリズム7700配列検出系でのRT-PCR反応に使用した熱サイクラーパラメーターをHCV検出のために最適化した。
【0045】
【表3】

【0046】
定量化は閾値サイクルに基づき、この場合、増幅プロットが特定蛍光閾値と交差する。閾値サイクルの比較は異なるサンプル中の相対的鋳型濃度の高感度の測定を与える。PCR適合度が最高である場合の、早期サイクル中の監視は、正確な定量化のための正確なデータを与える。相対的鋳型濃度は既知のコピー数でHCV RNAの標準曲線を使用することによりRNAコピー数に変換し得る(図7)。
実施例10
特定のHCV NS3プロテアーゼ抗ウイルス化合物がS22.3細胞系中でHCVレプリコンの複製を抑制する。
S22.3細胞中でレプリコンレベルに関する特定のHCV NS3プロテアーゼ抗ウイルス化合物の効果を測定するために、細胞を10%FBS、PenStrep及び1μg/mlのゲネチシンを補完したDMEM500μL中でウェル当り5X104細胞で24ウェル細胞培養クラスターに接種した。化合物添加まで細胞を5%CO2のインキュベーター中で37℃でインキュベートした。インヒビターの投与量-応答曲線は連続2倍希釈(1:1)から得られる11の濃度を示した。化合物Aの開始濃度は100nMであった。また、一つの対照ウェル(化合物を含まない)を実験の過程に入れた。24ウェルプレートを5%CO2のインキュベーター中で37℃で4日間インキュベートした。4日のインキュベーション期間後に、細胞をPBSで1回洗浄し、RNAをキアゲンからのRNイージイ(登録商標)ミニキット及びキアシュレッダー(登録商標)で抽出した。夫々のウェルからのRNAを50μLのH2O中で溶離した。RNAをカリイ1EUV-可視スペクトロフォトメーターで260nmにおける光学密度により定量した。夫々のウェルからのRNA50ngを使用して実施例6に詳述されたようにHCVレプリコンRNAコピー数を定量した。インヒビターを含む夫々のウェルの抑制のレベル(抑制率、%)を下記の式(CN=HCVレプリコンコピー数)により計算した。

【0047】
【数1】

【0048】
次いで計算された抑制率(%)を使用して、下記の式を使用してSASの非線形回帰ルーチンNLIN操作によりIC50、傾斜係数(n)及び最大抑制(Imax)を測定した。
【0049】
【数2】

【0050】
化合物Aを少なくとも4回そのアッセイで試験した。IC50曲線をSAS非線形回帰分析により個々に分析した。図8は典型的な曲線を示し、表2は化合物Aの個々のIC50値及び平均IC50値を示す。複製アッセイにおける化合物Aの平均IC50は1.1nMであった。
【0051】
【表4】

表2 S22.3細胞系レプリコンアッセイにおける化合物AのIC50
【0052】
検討
潜在的な抗ウイルス化合物の正確な試験に必要とされるレベルまでの、C型肝炎ウイルスの再現性のあり、かつ盛んなex vivo増殖はいずれの系でも得られていなかった。C型肝炎ウイルスRNA複製の分子メカニズムを研究する別のアプローチとして、選択可能な自己複製2シストロンRNAが開発された(Lohmanら, 1999, Science 285: 110-113; Bartenschlager CA 2,303,526)。最小に、これらのレプリコンは非構造タンパク質の一部又は全部をコードし、またネオマイシンホスホトランスフェラーゼの如き選択可能なマーカーを有する。選択されたクローン間のこれらのサブゲノムレプリコンRNAの細胞内定常状態レベルは適度から高度までであるが、Lohmanら又はBartenschlagerにより記載されたコンセンサスRNAのトランスフェクション後にG418耐性コロニーを生じる頻度は非常に低い。8百万の細胞がin vitro転写された2シストロンレプリコンRNA1μgでトランスフェクトされる場合、100未満のコロニーが生じられる。低効率のコロニー形成が最初にLohmannら(1999, Science 285: 110-113)により最初に認められた。それ以来、Lohmannら(2001)、Blightら(2000)、及びGuoら(2001)は、コロニー形成アッセイで著しく改良された効率でサブゲノムRNAを単離していた。Lohmannらは1999年にサブゲノムレプリコンの選択が適応突然変異体の選択に関係しないかもしれないことを初期に報告していた。何とならば、連続継代RNAは改良されたトランスフェクション効率を示さなかったからである。それにもかかわらず、複製HCV RNAの機能及び適応度を特徴づけようと努力して、本発明者らは最初に選択された細胞系から単離されるレプリコンRNAを連続継代した。注目すべきことに、たとえレプリコンRNAの量がin vitro転写されたRNAをトランスフェクトするのに最初に使用されたよりも低い大きさの程度であったとしても、コロニー形成効率の有意な増大がこの実験から得られた。更に、この第一世代クローンからナイーブHuh-7細胞へのレプリコンRNAの第二ラウンドの連続継代はコロニー形成効率の更に別の増大を与えた(表1)。
【0053】
複製HCV RNAの本発明者らの分析はコロニー形成の効率を大きさの4倍程度まで高める幾つかの適応突然変異を同定した。適応突然変異は多くの非構造タンパク質だけでなく、5'非翻訳領域に見られた。HCV 5'-UTRのインオウギュレーティング(inaugurating)ヌクレオチドとしての5'-Aへの5'-GGダブレットの置換は、世界中からの多くの遺伝子型及びサブタイプの配列決定にもかかわらず、従来記載されていなかったHCVゲノムの変異体である。5'-GGを有する本発明者らの初期のレプリコンは単一の5'-A又は5'-Gを有する変異体に進化し、これらの両方が等しい導入効率を示した。本発明者らは5'A端に耐え、それを安定に維持することができるHCVゲノムの最初の報告をここに記載する。更に、本発明者らはこの特定単一ヌクレオチド置換を本発明者らのcDNAクローンに再導入するのに成功し、このような端を有するin vitro転写されたRNAを生成して5'Aが5'Gと同じく有効に機能することを確かめる。
【0054】
本発明者らはR3レプリコン中のHCV非構造タンパク質NS3、NS4A及びNS5A中の適応アミノ酸置換、並びにR7クローン中のNS5B中の置換を同定した(図5Bを参照のこと)。これらの突然変異、特にR3-rep(配列番号7)により特定された組み合わせは、cDNAクローンに再構成され、RNAレプリコンに転写された場合に、初期の野生型APGK12レプリコンRNAから20,000倍までの有意に高められた導入効率をもたらす。しかしながら、細胞内レプリコンRNAの定常状態レベルは異なる単離されたクローンの夫々と匹敵した。この結果は適応突然変異による複製効率の増大が一層高いRNA複製のために一層高い安定な細胞内RNAレベルをもたらすのではなく、むしろ一層多くの数のHuh7細胞中のレプリコン樹立のための増大された許容性を与えることを示唆する。このような表現型は、分裂細胞の集団内の永久複製RNAを樹立するために特定閾値を越えるのに必要とされる、de novo複製の量の初期の増大により、一時的に発現されるかもしれない。
【0055】
最近、三つのその他のグループがまたその他の異なる適応突然変異体を同定した。Lohmannら(2000)はNS3、NS4B、NS5A及びNS5B中の突然変異により10,000倍まで高められた導入効率を報告した。Blightら(2000)はNS5A中の単一突然変異により20,000倍までの導入効率の増強を報告し、一方、Guoら(2001)はNS5A中の単一アミノ酸の欠失により5,000-10,000倍の導入効率の増大を報告した。本発明者らがここに記載するアミノ酸置換はRNAトランスフェクション及び/又は複製の効率を高める適応突然変異体として従来同定されていなかった。一つの例外は本発明者らがR7及びR16レプリコンの両方中で見出したNS3中のE1202Gの突然変異である。この適応はGuoら(2001)及びKriegerら(2001)に既に記載されていた。本明細書に記載された、例外以外の、全てのその他の適応突然変異は公表されていない。
選択可能なサブゲノムHCVレプリコンの開発は培養細胞中のHCV RNA複製、存続、及び病因に関する探求の潜在的な手段を与えた。しかしながら、初期に記載された(Lohmannら, 1999)HCV RNA含有レプリコンによる低い導入効率はそれがリバースゲネチクス(reverse genetics)研究に実用的な系ではないことを示した。
本明細書に記載された適応突然変異体は低い導入効率を解決する。その他のグループによる適応突然変異体の最近の記載に鑑みて、本発明者らは適応のレベルが著しく変化し得るが、適応が異なるHCV NSタンパク質中の異なる突然変異により得られることに注目する。本明細書に記載される適応突然変異体をコードするレプリコンはHCV RNA複製又はHCVレプリコンRNAコロニー形成を変調し得る新規HCV標的又は宿主細胞標的を同定するためのリバースゲネチクス研究に理想的に適している。適応され、かつ高度に有効なレプリコンは容易に定量可能な導入効率に影響する微妙な遺伝子型又は表現型の変化を特徴づけるのに適した手段である。
【0056】
最後に、本発明者らは本発明者らの適応HCVサブゲノムレプリコン細胞系を使用してHCV NS3プロテアーゼの特定の小分子インヒビターによるHCV RNA複製の上手な抑制を実証した。これはHCV非構造タンパク質の一種を特異的に抑制するように設計された、抗ウイルス薬が細胞培養物中のHCV RNA複製を抑制するという最初の実証である。更に、この化合物及び本発明者らのS22.3細胞系はRNA複製がHCV非構造タンパク質NS3〜NS5Bにより誘導されるという提案を正当化する。本発明者らが記載し、正当化したアッセイは細胞培養物中のHCV非構造タンパク質機能のその他のインヒビターを高処理量様式で特徴づけるのに極めて有益であろう。
本開示中に見られるあらゆる文献はそれらが下記のリスト中に見られようと、また見られなくても参考として本明細書に含まれる。
【0057】
文献
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【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】2シストロンレプリコンRNAの略図である。Lohmanら, 1999からのI377/NS2-3'レプリコンとAPGK12レプリコンの間の配列のずれがレプリコンの下に示される。I377/NS2-3'レプリコン中の+1位にあるGヌクレオチドに代えて、APGK12は5'末端にGGをもたらす付加的なGを含む(最初のGは-1位としてカウントされる)。neo遺伝子とEMCV IRES配列の間のリンカー領域において、二つの領域はI377/NS2-3'からずれている。I377/NS2/3中に存在しない14ヌクレオチド(CGCGCCCAGATGTT)がAPGK12中の位置1184に挿入される。I377/NS2-3'中に存在する11ヌクレオチド(1231-1241)が欠失されてAPGK-12を生成する。NS5Bコーディング領域において、位置8032にあるTがCに突然変異されてNcoI制限部位を除く。
【図2】RNAトランスフェクトされたHuh-7細胞系のノーザンブロットを示す。全細胞RNA又は対照RNA12μgを0.5%アガロース-ホルムアルデヒドゲルで分離し、ハイボンドN+紙に移し、固定し、プラスストランドレプリコンRNAの存在を検出するHCV特異性マイナスストランドRNAで放射能探査した(図2A)。レーン1及び2:in vitro転写されたAPGK12 RNAの109コピーを含む陽性対照。レーン3:トランスフェクトされなかったHuh-7細胞からの全細胞RNAの陰性対照。レーン4及び5:ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子のDNAコピーを組み込んだB1細胞系及びB3細胞系からの細胞RNA。レーン6:矢印により強調された高コピー数HCVサブゲノムレプリコンRNAを有する、S22.3と称される、Huh-7細胞系からの全細胞RNA。その他の細胞系は検出可能なレプリコンRNAを有しない。図2BはブロットがHCVマイナスストランドRNAの存在を検出するためにHCV特異性プラスストランドRNAで放射能探査された以外は図2Aと同じである。レーン1及び2は完全長HCVマイナスストランドRNAの109コピーを含む陽性対照レーンである。レーン6(これは細胞系S22.3からの全細胞RNA12μgを含む)は8-9キロベースの予想サイズの検出可能なマイナスストランドレプリコンRNAを有する。Mはアガロースゲル上の非放射性分子サイズマーカーの移動を表す。28sは28sリボソームRNAの移動を表し、全細胞RNAのサンプル中のこの種の検出を説明する。
【図3】S22.3細胞系中のHCV非構造タンパク質の間接免疫蛍光を示す。間接免疫蛍光を培養され、固定され、透過され、HCV NS4Aタンパク質のセグメントに特異性のウサギポリクローナル抗体に暴露された細胞について行なった。レッド-フルオー・アレキサ594(モレキュラー・プローブズ)と結合された二次ヤギ抗ウサギ抗体を検出のために使用した。上部パネルは免疫蛍光の結果(40Xの対物)及びS22.3細胞の特定染色を示す。下部パネルは屈折干渉コントラスト(DIC)顕微鏡検査により見た細胞の同じ視野を表す。視野内のS22.3(図3A)細胞の大半が細胞質中に局在化するHCV NS4Aタンパク質について陽性染色し、一方、HCVタンパク質を発現することができないB1細胞(図3B)のみが染色のバックグラウンドレベルを有する。
【図4】3種の細胞系:(i)ナイーブHuh-7細胞系、(ii)ネオマイシン耐性Huh-7細胞系B1、及び(iii)S22.3細胞系から抽出された全タンパク質のSDS-PAGE分離後のウェスタン-ブロットを示す。パネルA、B、及びCは、夫々ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(NPT)、HCV NS3、及びHCV NS5Bに特異性のウサギポリクローナル抗血清で探査されたウェスタンブロットの結果を示す。視覚化をケミルミネセント反応性二次ヤギ抗ウサギ抗体のオートラジオグラフィー検出により得た。パネルAはS22.3RNAレプリコン細胞系が対照B1細胞より高いレベルでNPTタンパク質を発現し、ナイーブHuh-7細胞系がNPTタンパク質を生成しないことを示す。パネルB及びCはS22.3細胞系のみが夫々成熟HCV NS3タンパク質及びNS5Bタンパク質を生成することを示す。Mは前染色されたポリペプチドマーカーの分子量(キロダルトン)を表す。
【図5A】異なるHCV2シストロンレプリコン中のAPGK12配列とは異なるヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を同定する。S22.3適応レプリコンはAPGK12鋳型から転写されたRNAのトランスフェクション後に選択された第一世代レプリコンである。R3、R7、R16はS22.3第一世代レプリコン細胞系から単離されたRNAのトランスフェクション後に選択された第二世代レプリコンである。図5A:適応レプリコンの夫々中で特性決定されたヌクレオチド突然変異がレプリコンの夫々のセグメント(IRES、NS3、NS4A、NS5A、及びNS5B)に隣接して示される。
【図5B】異なるHCV2シストロンレプリコン中のAPGK12配列とは異なるヌクレオチド配列及びアミノ酸配列を同定する。S22.3適応レプリコンはAPGK12鋳型から転写されたRNAのトランスフェクション後に選択された第一世代レプリコンである。R3、R7、R16はS22.3第一世代レプリコン細胞系から単離されたRNAのトランスフェクション後に選択された第二世代レプリコンである。図5B:アミノ酸番号は完全長HCVポリタンパク質に従ってナンバリングされ、第二シストロン中の最初のアミノ酸はI377/NS2-3'構築物のNS2中のアミノ酸810に相当する。
【図6】4種のin vitro転写されたHCVサブゲノム2シストロンレプリコンRNAのコロニー形成効率を示す。APGK12は基準配列として利用できる。構築物の夫々中のHCV IRESの開始ヌクレオチド及び二つのR3-repに関するHCV非構造領域におけるアミノ酸の相違(APGK12基準配列からの)が強調される。5'G又は5'Aを有するin vitro転写されたAPGK-12 RNAは0.25mg/mlのG418による選択後に同じ効率(パネルA及びB中で約80cfu/μg)でコロニーを形成することに注目されたい。第二世代R3細胞系から単離されたRNAをDNAに逆転写し、pAPGK12ベクター骨格にクローン化してR3-repを生成し、これを配列決定し、HCVポリタンパク質のNS5Aセグメント中にL(2155)P置換を含む付加的な変化をコードすることがわかった(R3-rep配列を表2及び表3中でR3配列と比較のこと)。種々の量のin vitro転写されたR3-rep-5'A RNAをナイーブHuh-7細胞にトランスフェクトして1.2X106 cfu/μgのRNAのコロニー形成効率を測定した(パネルC)。また、種々の量のR3-rep-5'Gをトランスフェクトして2X106 cfu/μgのRNAのコロニー形成効率を生じた(パネルD)。
【図7】典型的なRT-PCR増幅プロット(左パネル)及び標準曲線におけるCt値vs既知のHCV RNA量のグラフ表示(右パネル)を示す。左パネル中のプロットされた曲線の夫々は、前もって決めた量のHCVレプリコンRNAに関する蛍光リポーターシグナル(デルタ-Rn)の増分vsPCRサイクル数をグラフ化する。Ct値は蛍光が任意の値(水平線)を越える点を測定することにより得られる。右パネルは前もって測定した標準の開始RNAコピー数(大きい黒いドット)とCt値の間の線形関係を示す。小さいドットは種々の濃度のHCV複製の特定インヒビターで処理されたS22.3細胞からのRNAサンプル(未知の量のHCVレプリコンRNAを含む)のCt値である。
【図8】Huh7細胞中のHCV RNAレプリコンレベルに関するインヒビターAの次第に増大する濃度の効果を示す。S22.3細胞を0.5nMで開始し、1024nMまでの範囲の次第に増大する濃度のインヒビターAの存在下で増殖させた。インヒビター投与量-応答曲線は連続2倍希釈(1:1)からの11種の濃度の結果である。また、インヒビターを含まない、一つの対照ウェルを実験の過程中に入れた。細胞を5%CO2インキュベーター中で4日間にわたって37℃でインキュベートした。全細胞RNAを抽出し、光学密度により定量した。HCVレプリコンRNAを実時間RT-PCRにより評価し、インヒビター濃度の関数としてのゲノム均等物/全RNA1μgとしてプロットした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−GCCAGC又はACCAGCからなる5'-NTR、
−HCVポリタンパク質をコードする領域であって、前記ポリタンパク質が(2042)位にあるGのCへの置換; 又は (2042)位にあるGのRへの置換からなる少なくとも一つのアミノ酸置換を含む領域、及び
−3'-NTR領域
を含むことを特徴とするC型肝炎ウイルス(HCV)自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリタンパク質が(1135)位にあるRのKへの置換; (1148)位にあるSのGへの置換; (1560)位にあるSのGへの置換; (1691)位にあるKのRへの置換; (1701)位にあるLのFへの置換; (1984)位にあるIのVへの置換; (1993)位にあるTのAへの置換; (2404)位にあるSのPへの置換; (2155)位にあるLのPへの置換; (2166)位にあるPのLへの置換 及び (2992)位にあるMのTへの置換からなる群から選ばれた一つ以上のアミノ酸置換をさらに含む請求項1記載のHCV自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項3】
請求項2に記載の、一つ以上のアミノ酸置換を含むポリタンパク質をコードするHCV自己複製ポリヌクレオチドであって、更にアミノ酸置換:(1202)位にあるEのGへの置換を含むことを特徴とするHCV自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項4】
前記置換が(1135)位にあるRのKへの置換; (1560)位にあるSのGへの置換; (1691)位にあるKのRへの置換; (1993)位にあるTのAへの置換; 及び (2166)位にあるPのLへの置換からなる群から選ばれる請求項3記載のHCV自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記置換が(1202)位にあるEのGへの置換; (1984)位にあるIのVへの置換; 及び (2992)位にあるMのTへの置換からなる群から選ばれる請求項3記載のHCV自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記置換が(1148)位にあるSのGへの置換; (1202)位にあるEのGへの置換; (1701)位にあるLのFへの置換; 及び (2404)位にあるSのPへの置換からなる群から選ばれる請求項2記載のHCV自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項7】
前記ポリヌクレオチドが配列番号2、4、5、6、7及び25からなる群から選ばれたDNA分子によりコードされたRNA分子である請求項1記載のHCV自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項8】
前記ポリヌクレオチドが配列番号2、4、5、6、7及び25からなる群から選ばれたDNA分子である請求項1記載のHCV自己複製ポリヌクレオチド。
【請求項9】
プロモーターに機能し得る形で連結された、請求項1記載のHCV自己複製ポリヌクレオチドのDNA形態を含むことを特徴とする発現ベクター。
【請求項10】
請求項1記載のHCV自己複製ポリヌクレオチド分子でトランスフェクトされた宿主細胞。
【請求項11】
宿主細胞が真核生物細胞系である請求項10記載の宿主細胞。
【請求項12】
前記真核生物細胞系が肝臓細胞系である請求項11記載の宿主細胞系。
【請求項13】
前記肝臓細胞系がHuh-7である請求項12記載の宿主細胞。
【請求項14】
a)請求項10記載の宿主細胞をRNA複製に適した条件下でインキュベートする工程、
b)全細胞RNAを細胞から単離する工程、及び
c)複製されたHCV RNAの量を測定するようにRNAを分析する工程
を含むことを特徴とするRNA複製アッセイ。
【請求項15】
複製されたHCV RNAの量を測定するようにHCV特異性プライマーを使用する実時間RT-PCR分析によりRNAを増幅することにより工程c)におけるRNAレベルの分析を行なう請求項14記載のRNA複製アッセイ。
【請求項16】
前記宿主細胞の自己複製ポリヌクレオチドがリポーター遺伝子をコードし、工程c)におけるRNAレベルの分析を発現されたリポーターのレベルを評価することにより行なう請求項14記載のRNA複製アッセイ。
【請求項17】
a)化合物の存在下又は不在下で、請求項10記載の宿主細胞をRNA複製に適した条件下でインキュベートする工程、
b)全細胞RNAを細胞から単離する工程、及び
c)複製されたHCV RNAの量を測定するようにRNAを分析する工程、
d)インヒビターの不在下と存在下の細胞中のHCV RNAのレベルを比較する工程を含み、
減少されたRNAレベルが複製を抑制する化合物の能力を示すことを特徴とするHCV複製の抑制について化合物を試験する方法。
【請求項18】
前記細胞系を試験化合物とともに3-4日間にわたって37℃の温度でインキュベートする請求項17記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−304803(P2006−304803A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−158565(P2006−158565)
【出願日】平成18年6月7日(2006.6.7)
【分割の表示】特願2002−553495(P2002−553495)の分割
【原出願日】平成13年12月20日(2001.12.20)
【出願人】(501263533)ベーリンガー インゲルハイム (カナダ) リミテッド (7)
【Fターム(参考)】