説明

CATV用増幅器

【課題】機器仕様を容易に変更でき、指定された機器仕様に適合させることができるCATV用増幅器を提供することを目的とする。
【解決手段】CATV用増幅器における下り増幅部20の増幅器28、32間に、利得設定用のATT設定用補助基板30をコネクタ31により着脱可能に設ける。ATT設定用補助基板30は、各種の機器仕様に合わせてアッテネータ値の異なるものを複数用意し、指定の機器仕様に適合するものを装着して下り増幅部20の利得を設定する。また、利得調整部(GC)27を制御するAGCコントロール回路36とAGC信号を分岐する方向性結合器33との間に、AGC設定用補助基板34をコネクタ35により着脱可能に設ける。AGC設定用補助基板34は、各種機器仕様に合わせてアッテネータ値の異なるものを複数用意し、指定の機器仕様に適合するものを装着して下り増幅部20の出力値を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助基板を用いて複数の機器仕様に対応させることができるCATV用増幅器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CATVシステムでは、受信点装置(ヘッドエンド)で受信したテレビ信号を高品位の同軸ケーブルにより一定のスパンでCATV用増幅器(幹線増幅器)を多段にカスケードに接続して加入者端末が集合するエリアまで伝送している。
【0003】
CATVシステムは、上記したようにCATV用増幅器が多段にカスケード接続され、テレビ信号が上記同軸ケーブルとCATV用増幅器とで減衰・増幅を繰り返しながら信号レベルを維持して長距離伝送される。上記のようなCATVシステムの施設においては、ケーブルの減衰特性(周波数の1/2乗に比例した減衰特性)、分岐機器、分配機器の損失、CATV用増幅器の増幅性能などを勘案し、CATVシステムのレベルダイヤグラム等の設計が行われている。既設の施設において上記機器が製品寿命、故障、伝送帯域の拡張などで改修、若しくは交換が必要になった場合、既存の機器と仕様上、同じ利得、信号出力レベル、スロープ(チルト)特性等が同一のものに交換しなくてはならない。しかし当該CATVシステムが施設されて年数が長期間経過した場合、当該機器自体を修理する、改修用に少量生産する、あるいは保守用に長期に在庫することなどは非常に困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−215032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように既存CATV用増幅器が長期の使用によって性能が劣化し、あるいは故障等によって改修あるいは交換の必要が生じた場合、改修に供される機器はそれまで使用していた既存の機器と性能、仕様が同一に調整されている必要がある。このため改修に供されるCATV用増幅器は、既存のCATV施設に対応して夫々のCATVのシステム仕様に合致する複数の機種を用意する必要があった。
【0006】
従来、CATV用増幅器では、伝送ケーブルの長さ(ケーブルスパン)が設定長さより短くなった、幹線途中に介在する分岐機器・分配器記の損失、伝送路の周波数特性の偏差などに対処するために、信号入力部にBON(疑似線路)・EQ(等価回路)・ATT(減衰器)等の補正回路を設けて増幅回路の入力信号が、所定の信号レベルで且つ、周波数に対して平坦な特性となるように補正するようにしている。この補正に際して、メイン基板上にコネクタを介してBON・EQ・ATT等の補正回路を設けたカード式の補助基板を着脱可能に設け、当該補助基板を差し替えて補正することが行われている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、CATV用増幅器に設けられた増幅回路の利得、出力の信号レベルの特性(AGCの特性)については機器所定の仕様に予め設定されており自在に変更することはない。既存のCATV施設の改修のために現用のCATV用増幅器を用いようとすると、増幅回路の利得、出力の信号レベルの特性(AGCの特性)などを、当該施設の特性に合致するように特殊仕様品として設計、調整したものを限定的に生産する必要があった。この結果、改修に供されるCATV用増幅器は、生産数量が少ないため生産性が悪く、仕様が限定的なため管理が繁雑である等の問題を生じるものであった。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、単一機種により、複数の機器仕様に対応させることができると共に、設定した仕様を後から容易に変更することが可能なCATV用増幅器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係るCATV用増幅器は、高周波信号を増幅する増幅部と、前記増幅部の出力信号レベルが一定となるように該増幅部の利得を制御するAGC回路と、前記増幅部に着脱可能に設けられ、仕様に対応した増幅特性設定回路を備えた特性設定用補助基板と、前記AGC回路に着脱可能に設けられ、仕様に対応したAGC動作設定回路を備えたAGC設定用補助基板とを具備し、指定された機器仕様に応じて前記特性設定用補助基板及びAGC設定用補助基板を交換可能に構成したことを特徴とする。
【0009】
第2の発明は、前記第1の発明に係るCATV用増幅器において、前記特性設定用補助基板及びAGC設定用補助基板は、それぞれ2種類の機器仕様に対応した設定回路を備えると共に両端部にコネクタを備え、前記各設定回路は前記両端部に設けたコネクタにより選択的に前記増幅部、AGC回路に接続できるように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特性設定用補助基板及びAGC設定用補助基板を交換するだけで、任意の機器仕様に対応させることができ、また、一旦設定した仕様を後からでも容易に変更することができる。従って、1機種の増幅器を製作するだけで複数の機器仕様に対応させることができ、増幅器を多機種用意する必要がなく、生産性を向上し得ると共に製品の管理がきわめて容易となる。
【0011】
また、特性設定用補助基板及びAGC設定用補助基板は、それぞれ2種類の機器仕様に対応した設定回路を備えると共に両端部にコネクタを備えることにより、補助基板の上下を反転させ、反対側のコネクタを本体側のコネクタに装着するだけで機器仕様を変更することができる。このため増幅器を実際に設置する場所において仕様変更が生じた場合でも、きわめて容易に機器仕様を変更でき、作業性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例1に係るCATV用増幅器の回路構成を示すブロック図である。
【図2】同実施例1に係るCATV用増幅器の代替仕様の設定例を示す図である。
【図3】同実施例1に係るCATV用増幅器の代替仕様の他の設定例を示す図である。
【図4】同実施例1におけるATT設定用補助基板及びAGC設定用補助基板を機器本体に装着する場合の具体的な構成例を示す斜視図である。
【図5】(a)は本発明の実施例2に係るATT設定用補助基板の構成例を示す正面図、(b)は同AGC設定用補助基板の構成例を示す正面図である。
【図6】同実施例2におけるATT設定用補助基板の機器本体への装着例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明をCATV双方向増幅器に実施した場合の回路構成例を示すブロック図である。
【0015】
図1において、10は下り入力/上り出力端子で、この下り入力/上り出力端子10には、CATVシステムのヘッドエンド装置(図示せず)から送られてくる例えば70〜770MHzのCATV下り信号が入力される。下り入力/上り出力端子10に入力された下り信号は、PSF(パワーソースフィルタ)11及びモニタ信号分岐用の方向性結合器12を介して方向性フィルタ13に入力される。
【0016】
PSF11は、動作電源が下り信号に重畳して供給される場合に、下り信号から動作電源を分離して電源回路(図示せず)へ供給する。
【0017】
モニタ信号分岐用の方向性結合器12は、詳細を後述する上り増幅部40から方向性フィルタ13を介して送られてくる例えば10〜55MHzの上り信号の一部(例えば−20dB)を分離して上り出力モニタ端子14へ出力する。
【0018】
方向性フィルタ13は、下り信号と上り信号を分波するためのフィルタであり、高域通過端子、低域通過端子及び共通端子を有し、共通端子と高域通過端子との間で下り信号を通過させるハイパスフィルタ(HPF)と、低域通過端子と共通端子との間で上り信号を通過させるローパスフィルタ(LPF)とを有している。
【0019】
上記方向性フィルタ13のハイパスフィルタ(HPF)から出力される下り信号は、下り増幅部20へ送られる。この下り増幅部20は、周波数偏差を補正する等化器(EQ:イコライザ)22、信号減衰量を設定するアッテネータ(ATT)23、モニタ信号を分岐する方向性結合器24、下り信号を増幅する増幅器26、利得調整部(GC)27、増幅器28、ケーブルの減衰特性に対応して周波数特性(チルト特性)を設定するスロープ調整器(SLOPE)29、下り増幅部20の利得等を調整するためのATT設定用補助基板(ATT−Pad)30、増幅器32、AGC用信号を分岐する方向性結合器33が直列に設けられると共に、方向性結合器33により分岐されたAGC用信号がAGC設定用補助基板(AGC−Pad)34、AGCコントロール回路36及び切替スイッチ37を介して利得調整部(GC)27の制御端子に入力される。また、下り増幅部20には、手動操作によりAGCのレベル調整を行うMGCコントロール部38が設けられ、切替スイッチ37を介して利得調整部(GC)27の制御端子に接続される。切替スイッチ37は、AGCコントロール回路36とMGCコントロール部38とを切替えて利得調整部(GC)27の制御端子に接続する。
【0020】
上記モニタ信号分岐用の方向性結合器24は、下り信号の一部(例えば−20dB)を分岐して下り入力モニタ端子25へ出力する。
【0021】
利得調整部(GC)27は、例えばピンダイオードによりアッテネータを構成しており、AGCコントロール回路36あるいはMGCコントロール部38からの制御信号によって減衰量が調整される。
【0022】
ATT設定用補助基板30は、下り増幅部20の増幅特性例えば利得を設定するためのアッテネータを備え、機器本体側のコネクタ31に対して着脱可能に設けられる。上記ATT設定用補助基板30は、予め複数の機器仕様に合わせてアッテネータ(ATT)の減衰量が異なるものを複数種用意する。
【0023】
AGC設定用補助基板34は、下り増幅部20の出力レベルを設定するためのアッテネータを備え、機器本体側のコネクタ35に対して着脱可能に設けられる。上記AGC設定用補助基板34は、予め複数の機器仕様に合わせてアッテネータ(ATT)の減衰量が異なるものを複数種用意する。
【0024】
上記下り増幅部20で増幅された下り信号、すなわち方向性結合器33を介して出力される下り信号は、下り信号と上り信号を分波する方向性フィルタ15に入力される。この方向性フィルタ15は、高域通過端子、低域通過端子及び共通端子を有し、高域通過端子と共通端子との間で下り信号を通過させるハイパスフィルタ(HPF)と、共通端子と低域通過端子との間で上り信号を通過させるローパスフィルタ(LPF)とを有している。
【0025】
方向性フィルタ15の高域通過端子に入力された下り増幅部20の出力信号は、ハイパスフィルタ(HPF)を通って共通端子から出力され、更にモニタ信号分岐用の方向性結合器16、PSF(パワーソースフィルタ)17及び下り出力/上り入力端子18を介してCATV加入者宅のテレビ受像機(図示せず)等へ送られる。上記モニタ信号分岐用の方向性結合器16は、下り信号の一部を分岐し(例えば−20dB)、下り出力モニタ端子19へ出力する。
【0026】
また、上記下り出力/上り入力端子18には、CATV加入者宅の端末装置例えばパーソナルコンピュータから送られてくるインターネット等によるCATV上り信号(10〜55MHz)が入力され、PSF17、モニタ信号分岐用の方向性結合器16、方向性フィルタ15のローパスフィルタ(LPF)を介して上り増幅部40へ送られる。
【0027】
PSF17は、動作電源が上り信号に重畳して供給される場合に、上り信号から動作電源を分離して分離して電源回路(図示せず)へ供給する。
【0028】
上り増幅部40は、増幅切替器41、モニタ信号を分岐する方向性結合器42、上り信号を増幅する増幅器44、利得調整部(GC)45、周波数特性を設定するスロープ調整器(SLOPE)46、上り信号を選択して通過させるローパスフィルタ(LPF)47、上り信号を増幅する増幅器48、信号減衰量を設定するアッテネータ49からなり、このアッテネータ49を介して出力される上り信号が方向性フィルタ13のローパスフィルタ(LPF)を介して取出され、モニタ信号分岐用の方向性結合器12、PSF11、下り入力/上り出力端子10を介して伝送線路へ出力され、ヘッドエンド装置へ送られる。
【0029】
上記増幅切替器41は、例えばオート/パス/−10db/カットの切替端子を備えており、「パス」は信号線路をオン状態に保持して上り信号をそのまま通過させる切替端子、「−10dB」は上り信号を−10dB減衰させる切替端子、「カット」は上り信号をカットする切替端子である。また、「オート」の切替端子は、「パス/−10db/カット」の機能を遠隔操作により設定可能にするためのものである。
【0030】
モニタ信号分岐用の方向性結合器42は、上り信号の一部(例えば−20dB)を分岐して上り入力モニタ端子43へ出力する。
【0031】
次に上記のように構成されたCATV用増幅器の下り増幅部20において、ATT設定用補助基板30による利得設定及びAGC設定用補助基板34による出力レベルの設定について説明する。ATT設定用補助基板30及びAGC設定用補助基板34を用いて下り増幅部20の利得及び出力レベルを設定する場合は、切替スイッチ37をAGCコントロール回路36側に切替えてAGC制御が行われる状態にする。
【0032】
CATV用増幅器の下り入力/上り出力端子10に入力された下り信号は、方向性フィルタ13に入力され、ハイパスフィルタ(HPF)で選択されて下り増幅部20に入力される。下り増幅部20に入力された下り信号は、等化器(EQ)22で周波数偏差が補正され、アッテネータ(ATT)23で信号レベルが調整された後、増幅器26で増幅されて利得調整部(GC)27に入力される。この利得調整部(GC)27は、AGCコントロール回路36からの制御信号によって、例えばピンダイオードからなるアッテネータの減衰量が制御される。
【0033】
上記利得調整部(GC)27でレベル調整された下り信号は、増幅器28で増幅された後、スロープ調整器(SLOPE)29で周波数特性が設定されると共にATT設定用補助基板30に設定されたアッテネータで信号レベルが調整され、その後、増幅器32で増幅される。この増幅器32で増幅された下り信号は、方向性結合器33によりAGC設定用補助基板34側に分岐される。このAGC設定用補助基板34は、上記方向性結合器33で分岐されたAGC用信号のレベルを予め設定されたアッテネータにより調整してAGCコントロール回路36に入力する。このAGCコントロール回路36は、AGC設定用補助基板34のアッテネータでレベル調整された信号を検波ダイオードで検波して電圧に変換し、その検波電圧に応じて利得調整部(GC)27を制御し、方向性結合器33から方向性フィルタ15へ出力される下り増幅部20の出力信号が一定レベルに保持されるように動作する。
【0034】
そして、例えば上記下り増幅部20の利得が最大で32dBあり、客先仕様における下り増幅部20の利得が28dBである場合、ATT設定用補助基板30のアッテネータとして「4dB」のものを使用する。このとき下り増幅部20の利得は、最大利得32dBからATT設定用補助基板30の減衰量「4dB」を減算した値、すなわち、
32dB−4dB=28dB
となり、下り増幅部20の利得を客先仕様「28dB」に設定することができる。
【0035】
上記のようにATT設定用補助基板30を交換することにより、増幅器の利得を任意の機器仕様に合わせて設定することができる。
【0036】
次に、下り増幅部20の出力レベルをAGC設定用補助基板34により設定する場合について説明する。
【0037】
下り増幅部20の初期条件(例えば周波数770MHzにおける値)が、
・入力レベル:74dBμV
・出力レベル:106dBμV
・ATT設定用補助基板30の減衰量:0dB(利得32dBのため)
・AGC設定用補助基板34の減衰量:1.5dB(このときの出力106dBμV一定)
である場合において、運用レベルを3dBμV上げた場合(入出力レベル3dBμ大きくなる)を考える。
【0038】
運用レベルが3dB上がると、AGCコントロール回路36における検波ダイオードの入力レベルも3dB大きくなる。これにより利得調整部(GC)27は、大きくなった3dBを下げようとする方向に作用する。
【0039】
このことから、AGC設定用補助基板34のアッテネータを3dB大きくし、AGCコントロール回路36における検波ダイオードの入力レベルが運用レベルを上げる前と同じレベルになるようにする。このようにAGC設定用補助基板34のアッテネータを3dB大きくしても利得調整部(GC)27による減衰量は変わらないため、下り増幅部20の出力が109dBμV一定となるようにAGCが作用する。
【0040】
上記のようにATT設定用補助基板30の設定を代えることで増幅器の利得を任意に設定でき、また、AGC設定用補助基板34の設定を代えることで増幅器の出力値を任意に設定することができる。
【0041】
図2はA社製増幅器の代替仕様の設定例を示したもので、(a)は通常運用時の条件を示し、(b)は多段接続運用時(−2dB運用)の条件を示している。
【0042】
このA社製増幅器の通常運用時の条件(例えば周波数770MHzにおける値)は、
・入力レベル:79dBμV
・出力レベル:107dBμV
・ATT設定用補助基板30の減衰量:4dB(利得28dBのため)
・AGC設定用補助基板34の減衰量:2.5dB(このときの出力107dBμV一定)
である。
【0043】
また、A社製増幅器の多段接続運用時(−2dB運用)の条件(例えば周波数770MHzにおける値)は、
・入力レベル:77dBμV
・出力レベル:105dBμV
・ATT設定用補助基板30の減衰量:4dB(利得28dBのため)
・AGC設定用補助基板34の減衰量:0.5dB(このときの出力105dBμV一定)
である。
【0044】
図3はB社製増幅器の代替仕様の設定例を示したもので、(a)は通常運用時の条件を示し、(b)は多段接続運用時(−3dB運用)の条件を示している。
【0045】
このB社製増幅器の通常運用時の条件(例えば周波数770MHzにおける値)は、
・入力レベル:77dBμV
・出力レベル:109dBμV
・ATT設定用補助基板30の減衰量:0dB(利得32dBのため)
・AGC設定用補助基板34の減衰量:4.5dB(このときの出力109dBμV一定)
である。
【0046】
また、B社製増幅器の多段接続運用時(−3dB運用)の条件(例えば周波数770MHzにおける値)は、
・入力レベル:74dBμV
・出力レベル:106dBμV
・ATT設定用補助基板30の減衰量:0dB(利得32dBのため)
・AGC設定用補助基板34の減衰量:1.5dB(このときの出力106dBμV一定)
である。
【0047】
上記のように2社の増幅器仕様に対し、ATT設定用補助基板30、AGC設定用補助基板34の設定を変更するのみで対応が可能である。
【0048】
なお、上記実施例1では、ATT設定用補助基板30は、利得設定用のアッテネータを設けた場合について説明したが、更に周波数特性等の増幅特性を補正する増幅特性設定回路を設けてもよい。
【0049】
図4は上記ATT設定用補助基板30及びAGC設定用補助基板34を機器本体に装着する場合の具体的な構成例を示す斜視図である。
【0050】
51はCATV用増幅器のケース本体で、上面開口部を覆う蓋体を備えているが、図4では蓋体を省略して示している。ケース本体51は、金属を用いて構成され、内部に回路基板(メイン基板)52がネジ止めにより固着される。回路基板52には、所定のプリント配線が施されると共に電子部品が装着されて、図1に示した増幅器が構成される。この場合、回路基板52には、図1に示したATT設定用補助基板30を装着するためのコネクタ31が設けられると共に、AGC設定用補助基板34を装着するためのコネクタ35が設けられる。
【0051】
ATT設定用補助基板30には、所定仕様のアッテネータが設けられると共に下部先端にコネクタ301が装着され、該アッテネータとコネクタ301との間が電気的に接続される。
【0052】
また、AGC設定用補助基板34には、所定仕様のアッテネータが設けられると共に下部先端にコネクタ341が装着され、該アッテネータとコネクタ341との間が電気的に接続される。
【0053】
そして、ATT設定用補助基板30は、コネクタ301を回路基板52に設けたコネクタ31に装着し、増幅器回路と接続する。
【0054】
また、AGC設定用補助基板34は、コネクタ341を回路基板52に設けたコネクタ35に装着し、増幅器回路と接続する。
【0055】
上記のようにATT設定用補助基板30及びAGC設定用補助基板34は、回路基板52に対してコネクタにより着脱可能に設けることにより、機器仕様に合わせて任意に交換することができる。
【実施例2】
【0056】
次に本発明の実施例2に係るCATV用増幅器について説明する。
【0057】
上記実施例1ではATT設定用補助基板30及びAGC設定用補助基板34にそれぞれ1つの機器仕様のアッテネータを設けたのに対し、この実施例2ではATT設定用補助基板30A及びAGC設定用補助基板34Aにそれぞれ2種類の機器仕様のアッテネータを設けている。
【0058】
図5(a)は実施例2に係るATT設定用補助基板30Aの構成例を示す正面図、図5(b)はAGC設定用補助基板34Aの構成例を示す正面図である。
【0059】
ATT設定用補助基板30Aは、図5(a)に示すように長方形に形成され、下端部にコネクタ301、上端部にコネクタ302が設けられる。ATT設定用補助基板30Aには、下部側に例えばA社仕様のアッテネータを設け、コネクタ301に接続してタイプAの補助基板を構成すると共に、上部側に例えばC社仕様のアッテネータを設け、コネクタ302に接続してタイプCの補助基板を構成している。
【0060】
また、ATT設定用補助基板30Aの前面には、上部側にタイプAの文字(ATT Type−A)303及び補助基板の挿入方向を示す矢印304を印刷し、下部側にタイプCの文字(ATT Type−C)305及び補助基板の挿入方向を示す矢印306を印刷する。この場合、タイプCのアッテネータ形成側にタイプAの文字303を印刷すると共に、タイプAのアッテネータ形成側にタイプCの文字305を印刷し、図6(a)、(b)に示すようにATT設定用補助基板30Aを回路基板52側のコネクタ31に装着した際に、どちらの仕様のアッテネータが増幅器回路に接続されているかを確認できるようにしている。また、タイプAの文字303とタイプCの文字305とは、上下を反転して印刷し、ATT設定用補助基板30を機器本体に装着した際に上側に位置する文字が正常に読めるようにする。すなわち、ATT設定用補助基板30Aに設けたタイプA側のコネクタ301を回路基板52のコネクタ31に装着した場合には、図6(a)に示すように回路基板52より上方に位置しているタイプAの文字(ATT Type−A)303が正常に読めるように、また、ATT設定用補助基板30Aを逆にしてタイプC側のコネクタ302を回路基板52のコネクタ31に装着した場合には、図6(b)に示すように回路基板52より上方に位置しているタイプCの文字(ATT Type−C)305が正常に読めるようにする。
【0061】
また、AGC設定用補助基板34Aは、ATT設定用補助基板30Aと同様の構成を有し、図5(b)に示すように長方形に形成され、下端部にコネクタ341、上端部にコネクタ342が設けられる。AGC設定用補助基板34Aには、下部側に例えばA社仕様のアッテネータを設け、コネクタ341に接続してタイプAの補助基板を構成すると共に、上部側に例えばC社仕様のアッテネータを設け、コネクタ342に接続してタイプCの補助基板を構成している。また、AGC設定用補助基板34Aの前面には、上部側にタイプAの文字(AGC Type−A)343及び基板の挿入方向を示す矢印344を印刷し、下部側にタイプCの文字(AGC Type−C)345及び基板の挿入方向を示す矢印346を印刷する。この場合、タイプCのアッテネータ形成側にタイプAの文字343を印刷すると共に、タイプAのアッテネータ形成側にタイプCの文字345を印刷し、AGC設定用補助基板34Aを機器本体側のコネクタ35に装着した際に、どちらの仕様のアッテネータが回路に接続されているかを確認できるようにしている。
【0062】
上記のようにATT設定用補助基板30A及びAGC設定用補助基板34Aにそれぞれ2種類の機器仕様に対応したアッテネータ及びコネクタを設けることにより、1つの補助基板で2機種の仕様に対応させることができる。
【0063】
また、ATT設定用補助基板30A及びAGC設定用補助基板34Aの上下両端部にコネクタを設けているので、ATT設定用補助基板30A及びAGC設定用補助基板34Aの上下を反転させ、反対側のコネクタを機器本体のコネクタに装着するだけで機器仕様を変更することができる。このため増幅器を実際に設置する場所において、機器仕様を変更する必要が生じた場合、ATT設定用補助基板30及びAGC設定用補助基板34を上下逆にして装着し直すことで、きわめて容易に機器仕様を変更でき、作業性を向上することができる。
【0064】
なお、本発明は、上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【符号の説明】
【0065】
10…下り入力/上り出力端子、11…PSF、12…モニタ信号分岐用の方向性結合器、13…方向性フィルタ、14…上り出力モニタ端子、15…方向性フィルタ、16…モニタ信号分岐用の方向性結合器、17…PSF、18…下り出力/上り入力端子、19…下り出力モニタ端子、20…下り増幅部、22…等化器(EQ)、23…アッテネータ(ATT)、24…モニタ信号分岐用の方向性結合器、25…下り入力モニタ端子、26、28、32…増幅器、27…利得調整部(GC)、29…スロープ調整器(SLOPE)、30、30A…ATT設定用補助基板、31…ATT設定用補助基板装着用のコネクタ、33…AGC信号分岐用の方向性結合器、34、34A…AGC設定用補助基板、35…AGC設定用補助基板装着用のコネクタ、36…AGCコントロール回路、37…切替スイッチ、38…MGCコントロール部、40…上り増幅部、41…増幅切替器、42…方向性結合器、43…上り入力モニタ端子、44、48…増幅器、45…利得調整部(GC)、46…スロープ調整器(SLOPE)、47…ローパスフィルタ(LPF)、49…アッテネータ(ATT)、51…ケース本体、52…回路基板、301、302…コネクタ、303、305…印刷文字、304、306…補助基板の挿入方向を示す矢印、341、342…コネクタ、343、345…印刷文字、344、346…補助基板の挿入方向を示す矢印。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波信号を増幅する増幅部と、前記増幅部の出力信号レベルが一定となるように該増幅部の利得を制御するAGC回路と、前記増幅部に着脱可能に設けられ、仕様に対応した増幅特性設定回路を備えた特性設定用補助基板と、前記AGC回路に着脱可能に設けられ、仕様に対応したAGC動作設定回路を備えたAGC設定用補助基板とを具備し、
指定された機器仕様に応じて前記特性設定用補助基板及びAGC設定用補助基板を交換可能に構成したことを特徴とするCATV用増幅器。
【請求項2】
前記特性設定用補助基板及びAGC設定用補助基板は、それぞれ2種類の機器仕様に対応した設定回路を備えると共に両端部にコネクタを備え、前記各設定回路は前記両端部に設けたコネクタにより選択的に前記増幅部、AGC回路に接続できるように構成したことを特徴とする請求項1に記載のCATV用増幅器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−4159(P2011−4159A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−145486(P2009−145486)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(504378814)八木アンテナ株式会社 (190)
【Fターム(参考)】