説明

CD収納容器

【課題】全体を紙材で形成するとともに簡素な構造で容易かつ安価に形成でき、丸ごとリサイクル可能にして環境に配慮するとともに、CD販売(購入)の状態でそのままファイリングケースとして使用することで際立った利点を有するCD収納容器を提供する。
【解決手段】紙材よりなるファイル部1を背面部2と表面部3および裏面部4で形成する。表面部3と裏面部4を背面部2の両側に折り曲げ自在に設けるとともに、背面部2と表面部3と裏面部4の下部に背面部2の横幅と略同じ幅を有する折り返し片2a、3a、4aを設ける。折り返し片2a、3a、4aおよび表面部3と裏面部4をそれぞれ折り曲げて表面部3と裏面部4の間に、CDをそれぞれ収容した紙材からなるCDケースを複数枚収納する収納部を形成するとともに、折り返し片2a、3a、4aを重ね合わせて前記収納部の底部を形し、紙材からなる外箱にファイル部1を収納可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD−RやDVD−R等のCDをそれぞれCDケースに収納して複数枚を収納するCD収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CDの収納容器には、CDを収納するファイル部とこのファイル部を収納するケース部を別体とした、所謂ブックタイプのCD収納容器が提案されている。
【0003】
例えば、図7の展開図および図8の斜視図に示すように、台紙中央面31の左右側に左突出片32と右突出片33を設けるとともに、上下側に蓋片34と折り返し片35を設けてCD42を収納する内箱40の台紙30を作成し、左右突出片32,33に形成した折り曲げ線36aを山折り、折り曲げ線36bを谷折りして蛇腹部37a,37bを形成した後、折り返し片35を蛇腹部37a,37b側に折り返し、折り返し片35の舌片38を蛇腹部37a,37bの切り込み39に挿入して蛇腹部37a,37bの間にCD42を収納する内箱40を組み立てている。なお、蛇腹部37a,37bに切り込みを設けずに舌片38を蛇腹部37a,37bに糊付け等により固定しても良いとしている。この内箱40は、一側を開口している外箱41に挿入される(特許文献1)。
【0004】
しかしながら、前記内箱40は、台紙中央面31の左右上下側に突片を形成するとともに左右突出片32,33に折り曲げ線36a、36bを形成し、その折り曲げ線36aを山折りし、折り曲げ線36bを谷折りした後、折り返し片35を蛇腹部37a,37bに取り付けて形成されているので、内箱40を形成する台紙30は複雑な形状に製作され、また内箱40の作成に数多くの手間を要するという問題があった。さらに、内箱40内に2枚以上のCD42、例えば10枚のCD42を収納するためには、左右突出片32,33にそれぞれ22本の折り曲げ線を形成し、その折り曲げ線を交互に山折り、谷折りする必要があり、多くの枚数のCD42を収納する内箱40を形成するには、より以上の複雑な台紙30を製作し、かなりの手間を掛けなければならいという問題があった。
【0005】
また、嵌合凸部を設け、この嵌合凸部にCDの中心孔を嵌合してCDを収容する透明なプラスチック材料で形成したCDジャケットをCDジャケット用ホルダーに収納し、このCDジャケット用ホルダーをケースに複数収納するものが提案されている。
【0006】
例えば、図9の斜視図に示すように、CDジャケット用ホルダー45は、全体が透明なプラスチック材料で形成され、背46を介して一体に結合されかつ両開きできる一対の向かい合ったシート状表側部分47の内側にそれぞれ前記CDジャケットを差し込めるように上方を開口したポケット48が形成されており、このCDジャケット用ホルダー45は、図10に示すように、一側を開口した透明なプラスチック材料で形成されたケース49に複数個(図では3個)並べて収容されるようになっている(特許文献2)。
【0007】
しかしながら、前記CDジャケット用ホルダー45は、複雑で簡単に形成できない問題があった。また、CDジャケット用ホルダー45、CDを収容するジャケットおよびケース49は、それぞれプラスチック材料で形成されており、これを焼却処理するとNOXやダイオキシン等の有害物質が発生して環境を汚染するという問題があった。
【0008】
【特許文献1】特開平7−137780号公報
【特許文献2】実用新案登録第3014736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたもので、全体を紙材で形成するとともに簡素な構造で容易かつ安価に形成でき、丸ごとリサイクル可能にして環境に配慮するとともに、CD販売(購入)の状態でそのままファイリングケースとして使用することで際立った利点を有するCD収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1は、CDを収納するファイル部と該ファイル部を収納する外箱からなるCD収納容器において、一側に前記ファイル部を挿入可能な開口部を設けた紙材からなる外箱と、背面部の両側に表面部と裏面部を一体に折り曲げ自在に設けるとともに、前記表面部と裏面部の少なくとも一方を前記外箱の深さと略同じ横幅に形成し、前記背面部と表面部と裏面部のそれぞれの下部に背面部の横幅と略同じ幅を有する折り返し片を設けた紙材からなるファイル部とを備え、前記折り返し片および前記表面部と裏面部をそれぞれ折り曲げて表面部と裏面部の間に、CDをそれぞれ収容した紙材からなる中央に窓部を設けたCDケースを複数枚収納する収納部を形成するとともに、前記折り返し片により前記収納部の底部を形成したことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項2は、請求項1において、前記ファイル部は、背面部の縦幅に対して、表面部の縦幅を紙材の厚さ分短くし、裏面部の縦幅を紙材の厚さ分長くしたことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項3は、請求項1において、前記ファイル部の表面部は、その横幅を裏面部の横幅の略半分に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、押し返し片をそれぞれ同じ方向に折曲するとともに表面部と裏面部を折り返し片と同じ方向に折曲することで、重なり合う折り返し片を底部とするCDの収納部を表面部と裏面部の間に極めて容易に形成することができる。そして、底部は3枚が折り重ねられているので、底部としての強度を増すことができる。また、前述したように形成したファイル部にCDを収容したCDケースを収納し、このファイル部を外箱に収納することで、販売にあたって極めて簡単にCDを収納したCD収納容器を作成することができ、購入した後には、そのまま分類、整理保存できるブックタイプのファイリングケースとして利用でき、ファイリング部や外箱の背面部に収容したCDの内容等を表示したラベルを添付することで、更にファイリングケースとしての利用価値が向上する。さらに、ファイル部、CDケースおよび外箱は、全て紙材からなっているので、分別処理を行うことなくリサイクル可能であり、例え焼却処分しても有害物質が発生しないので環境に優しく、また、ファイル部や外箱をボール紙等の厚紙にて形成することにより軽量で十分に強度が得られるとともに、CDケースを表面部と裏面部の間に挟持して外箱に収納するだけの簡素な構造であり、安価に製造することが可能になる。
【0014】
請求項2の発明によれば、表面部の折り返し片の厚さを背面部の縦幅で吸収できるとともに、背面部の折り返し片の厚さを裏面部の縦幅で吸収できるので、折り返し片を3枚重ねて底部を形成しても、常に、裏面部の折り返し片が外側に位置するとともに、表面部の折り返し片が内側に位置し、背面部の折り返し片がその間に位置する状態で折り返し片の全面が重なり合うので、折り返し片の端部が浮き上がることがなく底部としての強度を確実に得ることができるとともに外箱にファイル部を挿入する際の妨げとならず、またファイル部と外箱の底部同士が隙間なく接するので良好な外観を得ることができる。
【0015】
請求項3の発明によれば、表面部と裏面部の間に収納しているCDケース内のCDをファイル部の表面側から見ることができるとともに、CDケースの取り出しを容易に行うことできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
ファイル部、外箱およびCDケースを全て紙製とする。このことは、多くの部分が消却、埋め立て処分されているプラスチック系と異なり、紙材においてはある程度確立されているリサイクルの実施が可能になる。また、プラスチック系は、石油の原油価格の高騰等の不安定要素があり、脱石油が望まれている現状に対応できるとともに、この脱石油を模索し、枯渇燃料である石油資源を守ることができる。
【実施例1】
【0017】
本発明の実施例1を図1〜5に基づいて説明する。図1はCD収納容器のファイル部を内部からみた状態を示す展開図、図2はファイル部の形成途中の状態を内部から見て示す斜視図、図3はファイル部における表面部を開けた状態を示す平面図、図4はCDを収納したファイル部を外箱に収納する状態を示す斜視図、図5はファイル部を外箱に収納した状態を示す斜視図である。
【0018】
本実施例は、CD−RやDVDーR等のCDをパッケージするCD収納容器で、CDを収納するファイル部1は、再生可能なボール紙等の紙材よりなり、背面部2の両側に表面部3と裏面部4が形成されるとともに、背面部2と表面部3および裏面部4の下部にそれぞれ折り返し片2a、3a、4aが形成されている。なお、以下の説明にあって、縦幅とは図1において上下方向の幅とし、横幅とは水平方向の幅とするものとする。
【0019】
表面部3と裏面部4は、図2に示すように、内側に折曲可能な折り曲げ線3b、4bを介して背面部2の両側において一体に形成されており、折り返し片2a、3a、4aも内側に折曲可能な折り曲げ線2c、3c、4cを介して背面部2、表面部3、裏面部4の下部において一体に形成されている。
【0020】
表面部3は、図4に示すように、その縦幅が収納するCDケース5の縦幅と略同じ長さに形成され、背面部2の縦幅はファイル部1を形成する紙材の厚さ分だけ表面部3の縦幅より長く形成されるとともに、裏面部4の縦幅は背面部2の縦幅より紙材の厚さ分だけ長く形成されており、常に外側から、折り返し片4a、2a、3aの順序で重ね合わせがなされるようになっており、その重ね合わせた際に折り返し片4a、2a、3aが傾くことなく全面が密着し得るようになっている。
【0021】
さらに、裏面部4の横幅は、CDケース5の横幅と略同じ長さに形成され、表面部3の横幅は、裏面部4の横幅の略半分の長さに形成されている。背面部2の横幅は、CDを収容するCDケース5の枚数に応じて決められており、例えば図4に示すように表面部3と裏面部4の間でCDを12枚挟持し得る長さに形成される。
【0022】
折り返し片2a、3a,4aは、その横幅がそれぞれ背面部2、表面部3、裏面部4の横幅と略同じ長さに形成に形成され、その縦幅は背面部2の横幅と略同じ長さに形成されている。
【0023】
外箱は、ファイル部1と同様な紙材で形成されており、図4に示すように、外箱6は、ファイル部1を収納し得る大きさの箱形(ブックタイプ)に形成され、その一面側部にファイル部1を収納可能な開口部7が形成されている。なお、外箱6の開口部7の中央に円形状や台形状の切り欠き部8を形成することで、外箱6に収納したファイル部1の引き出しを容易に行うことができるようにすることができる。
【0024】
また、図3に示すように、CDを収容するCDケース5は、再生可能な上質紙(例えば、クラフト紙)よりなり、上部を開口した封筒形状に形成され、対向する平面の一面中央には紙パルプより生成されたグラシン紙を貼着して閉塞した円形窓部9が形成されている。
【0025】
本実施例のCD収納容器を組み立てる際には、図1の展開図に示す状態のファイル部1において、折り曲げ片2a、3a,4aをそれぞれ折り曲げ線2c、3c、4cに沿って背面部2、表面部3、裏面部4に対して図1における紙面の表方向へ略直角に折り曲げるとともに、図2に示すように、表面部3と裏面部4を折り曲げ線3b、4bに沿って手前に折り曲げつつ、最終的に直角に折り曲げて表面部3と裏面部4とを平行にする。このとき、折り返し片2a,3a,4aは、背面部2、表面部3、裏面部4の縦幅の違いにより、常時、折り返し片3aが上方(内部)に位置するとともに、折り返し片2aが中間に位置し、折り返し片4aが下方(外部)に位置する。そして、折り返し片3a、2a、4aは、それぞれ表面部3、背面部2、裏面部4に対して直角な状態で互いに隙間なく当接して、折り返し片3a,2a、4aの3枚を組み合わされたCD収納部の底部が形成されて強度が増され、ファイル部1を外箱6から取り出す際にも収納したCDの落下を確実に防ぐことができる。
【0026】
すなわち、図3に示すように、表面部3を立ち上げてファイル部1が開放された状態から、図4に示すように、ファイル1を閉じた状態に戻すときに、常に、裏面部4の折り返し片4aが外側、表面部3の折り返し片3aが内側となり、背面部2の折り返し片2aが折り返し片4aと3aの間に位置することになる。このように、収納するCDケース5と略同じ長さを有する裏面部4の折り返し片4aを外側にすることで、ファイル部1を外箱6に挿入する際にファイル部1の底面が外箱6の底面に引っかかることがなくなり、外箱6に対してファイル部1をスムーズに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1におけるファイル部を示す展開図である。
【図2】本発明の実施例1におけるファイル部の組み立て途中の状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施例1におけるファイル部の表面部を開けた状態を示す平面図である。
【図4】CDを収納したファイル部を外箱に収納する状態を示す斜視図である。
【図5】ファイル部を外箱に収納した状態を示す斜視図である。
【図6】外箱の変形例を示す斜視図である。
【図7】従来技術の台紙を示す展開図である。
【図8】従来技術のCD収納容器を示す斜視図である。
【図9】従来技術のCDジャケット用ホルダーを示す斜視図である。
【図10】従来技術のCD収納容器を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 ファイル部
2 背面部
2a,3a,4a 折り返し片
2b,3b,3c,4b,4c 折り曲げ線
3 表面部
4 裏面部
5 CDケース
6 外箱
7 開口部
8 切り欠き部
9 円形窓部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CDを収納するファイル部と該ファイル部を収納する外箱からなるCD収納容器において、
一側に前記ファイル部を挿入可能な開口部を設けた紙材からなる外箱と、背面部の両側に表面部と裏面部を一体に折り曲げ自在に設けるとともに、前記表面部と裏面部の少なくとも一方を前記外箱の深さと略同じ横幅に形成し、前記背面部と表面部と裏面部のそれぞれの下部に背面部の横幅と略同じ幅を有する折り返し片を設けた紙材からなるファイル部とを備え、前記折り返し片および前記表面部と裏面部をそれぞれ折り曲げて表面部と裏面部の間に、CDをそれぞれ収容した紙材からなるCDケースを複数枚収納する収納部を形成するとともに、前記折り返し片により前記収納部の底部を形成したことを特徴とするCD収納容器。
【請求項2】
前記ファイル部は、背面部の縦幅に対して、表面部の縦幅を紙材の厚さ分短くし、裏面部の縦幅を紙材の厚さ分長くしたことを特徴とする請求項1記載のCD収納容器。
【請求項3】
前記ファイル部の表面部は、その横幅を裏面部の横幅の略半分に形成したことを特徴とする請求項1記載のCD収納容器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−30956(P2007−30956A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−219746(P2005−219746)
【出願日】平成17年7月29日(2005.7.29)
【出願人】(300054457)有限会社大日プリンティング (7)
【Fターム(参考)】