説明

CD37免疫治療薬併用療法およびその使用

本開示は、CD37特異的結合分子(例えば、CD37特異的SMIPまたは抗体)を、同時または順次に行うことができる、mTOR阻害剤(例えば、ラパマイシンおよびその誘導体または類似体)またはホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤(例えば、p110δ特異的阻害剤)と組み合わせて使用して、リンパ腫、癌腫または骨髄腫などのB細胞関連過剰増殖疾患を治療または予防するための方法を提供する。別の態様において、本開示は、非ホジキンリンパ腫を治療するためのキットを提供し、このキットは(a)単位投与量のCD37特異的結合分子および(b)単位投与量のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2008年11月13日に出願された米国仮特許出願第61/114,385号(この仮出願は、その全体が本明細書に参考として援用される)の利益を主張する。
【0002】
配列表に関する説明
本出願に関連する配列表は、紙原稿の代わりにテキスト形式で提供され、参照により本明細書に組み込まれている。配列表を含むテキストファイルの名称は、910180_418PC_SEQUENCE_LISTING.txtである。テキストファイルは、324KBであり、2009年11月13日に作成されており、EFS−Webを介して明細書の出願と同時に電子的に提出されている。
【0003】
技術分野
本開示は、全般的には、B細胞障害を治療するための組成物および方法を提供し、より具体的には、リンパ腫、癌腫または骨髄腫などのB細胞関連過剰増殖疾患を治療または予防する上で相乗的に作用する、それらの組成物を含むmTOR阻害剤またはホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤と組み合わせたCD37特異的結合分子の使用を提供する。
【背景技術】
【0004】
関連分野の説明
ヒト免疫系は、全般的に、侵入外来物質および病原体から体を保護する。免疫系の1つの構成要素は、外来物質または病原体に結合し、場合によってはその破壊を媒介することによって体を保護する抗体を生成するB細胞とも呼ばれるBリンパ球である。しかし、場合によっては、免疫系の機能が失われる可能性があり、疾患が引き起こされる。例えば、B細胞の無制御増殖を含む多くの癌、自己免疫疾患および炎症性疾患が存在する。
【0005】
B細胞をそれらの細胞表面上の分子、例えばCD37によって特定することができる。CD37は、B前駆細胞または血漿細胞上でなく正常な抗体生成B細胞上に強く発現される細胞表面抗原のテトラスパニン膜貫通ファミリーに属する、高度にグリコシル化された40〜52kDaタンパク質である。正常なB細胞に加えて、慢性リンパ性白血病(CLL)、非ホジキンリンパ腫(NHL)および毛様細胞白血病を含むB細胞由来のほぼすべての悪性腫瘍がCD37発現に対して陽性である(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3)。
【0006】
いくつかのCD37特異的免疫療法が開発された。CD37に特異的なIgG1マウスモノクローナル抗体MB−1が、131Iで標識され、NHLの治療における臨床試験で試験された(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;非特許文献7および非特許文献8参照)。MB−1抗体は、抗体依存性細胞毒(ADCC)などのFcエフェクター機能が欠如しており、裸のMB−1抗体は、インビボ異種移植片モデルにおいて腫瘍成長を阻害しなかった(非特許文献9)。加えて、別のマウスモノクローナル抗CD37であるG28−1に結合したアドリアマイシンを有する免疫共役体がマウスに投与され、細胞内放出されるアドリアマイシンでインターナライズされることが示された(非特許文献10参照)。CD37に誘導される小モジュラー免疫医薬(SMIP(商標))品と呼ばれる改変融合タンパク質は、ヒトにおいて現在試験されている(例えば、特許文献1および特許文献2;特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2003/0133939号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2007/0059306号明細書
【特許文献3】国際公開第2009/126944号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Mooreら、J. Pathol.(1987年)152巻:13頁
【非特許文献2】MersonおよびBrochier、Immunol. Lett.(1988年)19巻:269頁
【非特許文献3】Faureら、Am. J. Dermatopathol.(1990年)12巻:122頁
【非特許文献4】Pressら、J. Clin. Oncol.(1989年)7巻:1027頁
【非特許文献5】Bernsteinら、Cancer Res.(1990年)(増刊)50巻:1017頁
【非特許文献6】Pressら、Front. Radiat. Ther. Oncol.(1990年)24巻:204頁
【非特許文献7】Pressら、Adv. Exp. Med. Biol.(1991年)303巻:91頁
【非特許文献8】Brownら、Nucl. Med. Biol.(1997年)24巻:657頁
【非特許文献9】Buchsbaumら、Cancer Res.(1992年)52巻:6476頁
【非特許文献10】Braslawskyら、Cancer Immunol. Immunother.(1991年)33巻:367頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
抗体ベースの治療に対して広範な研究が実施されてきたが、当該技術分野では、B細胞関連障害または疾患を治療するための代替のまたは改良された組成物が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示は、B細胞を減少させるか、または異常B細胞活性に関連する疾患もしくは障害を治療するためのCD37特異的結合分子およびmTORもしくはPI3K阻害剤の組合せ使用のための方法、組成物およびキットを提供する。
【0011】
一態様において、本開示は、異常B細胞活性に関連する疾患もしくは障害を有するか、または有することが疑われる被験体において、B細胞の数を減少させるか、または該疾患もしくは障害を治療する方法であって、治療有効量のCD37特異的結合分子および治療有効量のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤で被験体を治療する(すなわち、それを被験体に投与する)ことを含む方法を提供する。請求項2から20に記載され、本明細書に記載されるさらなる方法が提供される。
【0012】
別の態様において、本開示は、非ホジキンリンパ腫を治療するためのキットであって、(a)単位投与量のCD37特異的結合分子および(b)単位投与量のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を含むキットを提供する。請求項22に記載され、本明細書に記載されるさらなるキットが提供される。
【0013】
別の態様において、本開示は、(a)CD37特異的結合分子および(b)mTORまたはホスファチジルイノシトール3キナーゼ(PI3K)阻害剤を含む組成物を提供する。請求項24から36に記載され、本明細書に記載されるさらなる組成物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、Rec−1細胞の成長に対するCAS−024およびラパマイシンの組合せ効果を示す。両分子は、等しい濃度で使用された。
【図2】図2は、SU−DHL−6細胞の成長に対するCAS−024およびラパマイシンの組合せ効果を示す。両分子は、等しい濃度で使用された。
【図3】図3Aおよび3Bは、Rec−1およびSU−DHL−6細胞系に対する組合せ指数(CI)プロットを示す。CI値は、(A)効果レベルおよび(B)全効果範囲にわたる平均CI±95%信頼区間についてプロットされたCAS−024とラパマイシンの相互作用を示す。
【図4】図4は、SU−DHL−6細胞の成長に対するCAS−024およびテムシロリムスの組合せ効果を示す。両分子は、等しい濃度で使用された。
【図5】図5は、Rec−1細胞の成長に対するCAS−024およびテムシロリムスの組合せ効果を示す。両分子は、等しい濃度で使用された。
【図6】図6は、効果レベルについてのSU−DHL−6細胞系に対するCAS−024とテムシロリムスとの組合せのCIプロットを示す。
【図7】図7は、効果レベルについてのRec−1細胞系に対するCAS−024とテムシロリムスとの組合せのCIプロットを示す。
【図8】図8は、Rec−1およびSU−DHL−6細胞系に対するCAS−024とテムシロリムスとの組合せのCIプロットを示す。CI値は、全効果範囲にわたる平均CI±95%信頼区間を表す。
【図9】図9は、効果レベルについてのSU−DHL−6細胞に対するCAS−024とLY294002に対するCIプロットである。それらの値は、3つの独立した実験の平均である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示は、癌などの特定の疾患または障害に関連したB細胞を減少させるための、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤の組合せ使用のための組成物および方法を提供する。この組合せの意外な結果は、これらの化合物が相乗的に作用して、B細胞の減少を大きくすることである。関連する態様において、本開示は、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)などのB細胞リンパ腫または慢性リンパ性白血病などのB細胞白血病などの異常B細胞活性に関連する疾患を有するか、または有することが疑われる個体を治療するための方法を提供する。
【0016】
本開示をより詳細に記載する前に、本明細書に使用される特定の用語の定義を示すことが、その理解に役立ち得る。さらなる定義は、本開示全体を通じて記載される。
【0017】
本明細書において、任意の濃度範囲、百分率範囲、比率範囲、または整数範囲は、他に指定される場合を除いて、記載の範囲内の任意の整数の値、および適切であればその端数(整数の10分の1および100分の1など)を含むと理解される。また、ポリマーサブユニット、サイズまたは厚さなどの任意の物理的特徴に関して本明細書に記載される任意の数字は、他に指定される場合を除いて、記載の範囲内の任意の数字を含むと理解される。本明細書に使用されているように、「約」は、他に指定される場合を除いて、指定の範囲、値または構造の±20%を指す。本明細書に使用されている「不定冠詞(a)」および「不定冠詞(an)」は、列挙された構成要素の「1つまたは複数」を指すと理解されるべきである。代替(例えば「または(or)」)の使用は、代替の1つ、両方またはその任意の組合せを指すと理解されるべきである。本明細書に使用されているように、「含む(include)」および「含む(comprise)」という用語は、同義で使用される。加えて、本明細書に記載の構造体および置換基の様々な組合せから誘導される個々の化合物または化合物群は、各化合物または化合物群が個々に記載されているのと同程度で本出願により開示されていることが理解されるべきである。したがって、特定の構造体または特定の置換基の選択は、本開示の範囲内である。
【0018】
本開示による「結合ドメイン(binding domain)」または「結合領域(binding region)」は、例えば、生体分子(例えばCD37)、または同一もしくは異なる分子の複数の複合体、または集合体、または凝集体を特異的に認識し、それに結合する能力を有する任意のタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドまたはペプチドであってよい。例示的な結合ドメインは、単鎖抗体可変領域(例えば、ドメイン抗体、sFv、scFv、Fab)を含む。ウェスタンブロット、ELISAまたはBiacore(登録商標)分析を含めて、特定の標的を特異的に結合させる本開示の結合ドメインを特定するための様々なアッセイが公知である。
【0019】
本開示の結合ドメインおよびそれらの融合タンパク質は、それらが、例えば、約10−1、10−1、10−1、10−1、10−1、1010−1、1011−1、1012−1または1013−1以上の親和性またはK(すなわち、1/Mの単位の特定の結合相互作用の平衡結合定数)で標的分子を結合させる場合に、試験サンプルに存在する他の構成要素を有意に結合させることなく、標的を「特異的または選択的に結合させること」を含めて、所望の程度で結合させることが可能であり得る。「高親和性」結合ドメインは、少なくとも10−1、少なくとも10−1、少なくとも10−1、少なくとも1010−1、少なくとも1011−1、少なくとも1012−1、少なくとも1013−1以上のKの結合ドメインを指す。「低親和性」結合ドメインは、10−1まで、10−1まで、10−1まで、またはそれ未満のKの結合ドメインを指す。代替的に、親和性をMの単位(例えば10−5Mから10−13M)の特定の結合相互作用の平衡解離定数(K)として定義することができる。本開示による結合ドメインポリペプチドおよび融合タンパク質の親和性を、従来の技術を使用して容易に測定することができる(例えば、Scatchardら、(1949年)、Ann. N.Y. Acad. Sci. 51巻:660頁;および米国特許第5,283,173号、同第6,468,614号またはその同等物参照)。
【0020】
「CD37特異的結合分子」という用語は、他のタンパク質と比較してヒトCD37タンパク質抗原(例えば、GenBank受託番号EAW52467.1、EAW52468.1、BAG62633.1、BAH14719.1、BAG62877.1、NP001765.1およびNP001035120.1参照)に優先的に結合し、少なくとも約10−1(例えば、少なくとも約10−1、10−1、10−1、1010−1、1011−1、1012−1または1013−1)のKaで結合するタンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチドまたはペプチドを指す。
【0021】
「CD37特異的結合ドメイン」という用語は、CD37の結合に直接関与するCD37特異的結合分子の部分またはドメインを指す。CD37特異的結合ドメインは、それ自体が(すなわち、CD37特異的結合分子の他の部分を含まずに)、少なくとも約10−1(例えば、少なくとも約10−1、10−1、10−1、1010−1、1011−1、1012−1または1013−1)のKaでCD37に結合する。CD37特異的結合ドメインは、それ自体がCD37特異的結合分子として十分であり得る。例示的なCD37特異的結合ドメインは、モノクローナル抗体G28−1、IPO24、WR17、MB371、HH1またはHD28の可変ドメインまたはCDRなどの抗CD37抗体可変ドメインまたはCDRに基づくことができるCD37特異的scFvおよびFab断片を含む。
【0022】
抗体技術の当業者によって理解される用語は、本明細書においてそうでないことが明記される場合を除いて、当該技術分野で取得された意味がそれぞれ与えられる。抗体は、抗原結合可変ドメイン、ヒンジ領域、およびエフェクター機能を媒介する定常領域を有することが公知である。「抗体」という用語は、ジスルフィド結合によって相互接続された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む完全抗体、ならびに標的分子を結合させる能力を有するか、または保持する完全抗体の抗原結合部分を指す。モノクローナル抗体またはその抗原結合部分は、非ヒト抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体またはヒト抗体であってよい。免疫グロブリン構造および機能は、例えば、Harlowら編、Antibodies: A Laboratory Manual、第14章(Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor、1988年)に概説されている。
【0023】
例えば、「VL」および「VH」という用語は、それぞれ抗体の軽および重鎖の可変結合ドメインを指す。可変結合ドメインは、「相補性決定領域」(CDR)および「フレームワーク領域」(FR)として公知の個別の十分に画定された小領域で構成される。より具体的には、抗体の各VHおよびVLドメインは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序でアミノ末端からカルボキシル末端まで配列された3つのCDRおよび4つのFRで構成される。
【0024】
重および軽鎖可変ドメインを、リンカーアミノ酸配列を介して互いに融合させて、「単鎖可変断片」(scFv)を形成することができる。「可変ドメインリンカー」は、得られたポリペプチドが、同じ軽および重鎖可変領域を有する抗体と同じ標的分子に対して特異的な結合親和性を保持するように、2つの可変ドメインの相互作用に適合するスペーサー機能を提供する、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインの間に介在し、重鎖可変ドメインを軽鎖可変ドメインと接続するか、または軽鎖可変ドメインを重鎖可変ドメインと接続する約5から約35個のアミノ酸(例えば(GlySer)(nおよびmは、1から6の数から独立して選択される整数であり、好ましくは、nは4であり、mは3、4または5である))のアミノ酸配列である。
【0025】
抗体は、典型的にはFab部分と定常領域の間に位置するヒンジ配列を有する(ただし、ヒンジの下部は、定常領域のアミノ末端部分を含むことができる)。背景として、免疫グロブリンヒンジは、Fab部分が空間を移動できるように可動性スペーサーとして作用する。結晶学的試験によれば、IgGヒンジドメインを、機能的および構造的に、上部ヒンジ領域、コアまたは中央ヒンジ領域および下部ヒンジ領域の3つの領域に細分することができる(Shinら、(1992年)、Immunol. Rev. 130巻:87頁)。例示的な上部ヒンジ領域は、IgG1に見いだされるEPKSCDKTHT(配列番号263)、IgG2に見いだされるERKCCVE(配列番号270)、IgG3に見いだされるELKTPLGDTT HT(配列番号271)またはEPKSCDTPPP(配列番号272)およびIgG4に見いだされるESKYGPP(配列番号273)を含む。例示的な中央またはコアヒンジ領域は、IgG1およびIgG2に見いだされるCPPCP(配列番号274)、IgG3に見いだされるCPRCP(配列番号275)およびIgG4に見いだされるCPSCP(配列番号276)を含む。IgG1、IgG2およびIgG4抗体は、それぞれ単一の上部および中央ヒンジを有すると思われるが、IgG3は、1つがELKTPLGDTTHTCPRCP(配列番号277)であり、3つがEPKSCDTPPPCPRCP(配列番号278)である4つのヒンジを縦列で有する。
【0026】
IgAおよびIgD抗体は、IgG様コア領域を欠いていると思われ、IgDは、2つの上部ヒンジ領域を縦列で有すると思われる(例えば、ESPKAQASSVPTAQPQAEGSLAKATTAPATTRNT、配列番号279およびGRGGEEKKKEKEKEEQEERETKTP、配列番号280参照)。IgA1およびIgA2抗体に見いだされる例示的な野生型上部ヒンジ領域は、それぞれVPSTPPTPSPSTPPTPSPS(配列番号281)およびVPPPPP(配列番号282)である。
【0027】
IgEおよびIgM抗体は、対照的に、典型的なヒンジ領域を欠き、その代わりにヒンジ様特性を有するCH2ドメインを有する。IgEおよびIgMの例示的な野生型CH2上部ヒンジ様配列は、それぞれ配列番号283(VCSRDFTPPTVKILQSSSDGGGHFPPTIQLLCLVSGYTPGTINITWLEDG QVMDVDLSTASTTQEGELASTQSELTLSQKHWLSDRTYTCQVTYQGHTFE DSTKKCA)および配列番号284(VIAELPPKVSVFVPPRDGFFGNPRKSKLIC QATGFSPRQIQVSWLREGKQVGSGVTTDQVQAEAKESGPTTYKVTSTLTI KESDWLGQSMFTCRVDHRGLTFQQNASSMCVP)に示される。
【0028】
本明細書に使用されているように、「野生型免疫グロブリンヒンジ領域」は、抗体の重鎖に見いだされる、CH1ドメインとCH2ドメインの間に介在し、CH1ドメインとCH2ドメインを接続する(IgG、IgAおよびIgDの場合)か、またはCH1ドメインとCH3ドメインの間に介在し、CH1ドメインとCH3ドメインを接続する(IgEおよびIgMの場合)天然の上部および中央ヒンジアミノ酸配列を指す。
【0029】
本明細書に使用されているように、「改変免疫グロブリンヒンジ領域」は、(a)30%までのアミノ酸変化(例えば、25%まで、20%まで、15%まで、10%まで、または5%までのアミノ酸置換または欠失)を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域、または(b)約5個のアミノ酸(例えば、約5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個または20個のアミノ酸)から約120個までのアミノ酸の長さを有し(好ましくは、約10から約40個のアミノ酸、または約15から約30個のアミノ酸、または約15から約20個のアミノ酸、または約20から約25個のアミノ酸の長さを有し)、約30%までのアミノ酸変化(例えば、約25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%もしくは1%までのアミノ酸置換もしくは欠失またはそれらの組合せ)を有し、配列番号274〜276に示されるIgGコアヒンジ領域を有する野生型免疫グロブリンヒンジ領域の部分を指す。
【0030】
加えて、抗体は、定常領域を含む。「CL」という用語は、「免疫グロブリン軽鎖定常領域」または「軽鎖定常領域」、すなわち抗体軽鎖の定常領域を指す。「CH」という用語は、抗体イソタイプに応じて、CH1、CH2およびCH3(IgA、IgD、IgG)またはCH1、CH2、CH3およびCH4ドメイン(IgE、IgM)にさらに分割可能である「免疫グロブリン重鎖定常領域」または「重鎖定常領域」を指す。定常領域ドメインの一部は、抗体のFc領域(「断片結晶性」領域)を構成し、エフェクター機能(抗体依存性細胞媒介細胞毒性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、補体依存性細胞毒性(CDC)および補体固定など)、Fc受容体(例えばCD16、CD32、FcRn)、Fc受容体への結合(例えば、CD16、CD32、FcRn)、インビボの長半減期、タンパク質A結合、および恐らくはさらに胎盤移行に関与する(Caponら、(1989年)、Nature 337巻:525頁参照)。
【0031】
例示的な野生型ヒトCH2ドメインは、配列番号285〜293に示され、野生型ヒトCH3ドメインは、配列番号294〜302に示され、野生型ヒトCH4ドメインは、配列番号303および304に示される。「改変免疫グロブリン定常領域」は、野生型定常領域に対する配列同一性が少なくとも75%(例えば、80%、82%、84%、86%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%)の免疫グロブリン定常領域を指す。例えば、「改変免疫グロブリンCH2領域」または「改変CH2領域」は、野生型免疫グロブリンCH2領域(例えばヒトCH2)に対する配列同一性が少なくとも75%(例えば、80%、82%、84%、86%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%)のCH2領域を指す。同様に、「改変免疫グロブリンCH3領域」または「改変CH3領域」は、野生型免疫グロブリンCH3領域(例えばヒトCH3)に対する配列同一性が少なくとも75%(例えば、80%、82%、84%、86%、88%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または99.5%)のCH3領域を指す。
【0032】
本明細書に使用されている「配列同一性」は、配列をアラインし、必要であれば最大の配列同一性率を達成するためにギャップを導入し、保存的置換を配列同一性の一部として考慮しない場合の、別の基準ポリペプチド配列におけるアミノ酸残基と同一であるある配列におけるアミノ酸残基の比率を指す。配列同一性率の値は、パラメータをデフォルト値に設定して、Altschulら、(1997年)、「Gapped BLAST and PSI−BLAST:a new generation of protein database search programs」、Nucleic Acids Res. 25巻:3389〜3402頁に規定されているようにNCBI BLAST2.0ソフトウェアによって生成される。
【0033】
一部の実施形態において、改変免疫グロブリン領域またはドメインは、野生型免疫グロブリンドメインの保存的アミノ酸置換のみを含む。一部の他の実施形態において、改変免疫グロブリンドメインは、野生型免疫グロブリンドメインの非保存的アミノ酸置換のみを含む。さらに他の実施形態において、改変免疫グロブリンドメインは、保存的および非保存的アミノ酸置換の両方を含む。
【0034】
「保存的置換」は、当該技術分野において、1つのアミノ酸を、類似の特性を有する別のアミノ酸に置換することと認識される。例示的な保存的置換が当該技術分野で周知である(例えば、PCT公開第WO97/09433号、10頁;Lehninger、Biochemistry、第2版、Worth Publishers, Inc. NY:NY(1975年)、71〜77頁;Lewin、Genes IV、Oxford University Press、NYおよびCell Press、Cambridge、MA(1990年)、8頁参照)。一部の実施形態において、保存的置換は、ロイシンからセリンへの置換を含む。
【0035】
本明細書に使用されている「誘導体」という用語は、親化合物と構造的に類似しており、親化合物から(実際に、または理論的に)誘導可能な化合物の化学的または生物学的に修飾された形を指す。一般に、「誘導体」は、親化合物が「誘導体」を生成する出発物質であり得るのに対して、親化合物が、「類似体」を生成する出発物質として使用され得るとは限らないという点で「類似体」と異なる。
【0036】
「小モジュラー免疫医薬(SMIP(商標))タンパク質またはポリペプチド」は、そのアミノからカルボキシ末端に、(i)標的分子を特異的に結合させる結合ドメイン、(ii)リンカーポリペプチド(例えば、免疫グロブリンヒンジまたはその誘導体)ならびに(iii)(a)IgG、IgAまたはIgDの免疫グロブリンCH2ポリペプチドおよび免疫グロブリンCH3ポリペプチド、または(b)IgMまたはIgEの免疫グロブリンCH3ポリペプチドおよび免疫グロブリンCH4ポリペプチドを含む単鎖融合タンパク質を指す(米国特許公開第2003/0133939号、同第2003/0118592号および同第2005/0136049号;ならびにPCT公開第WO2005/017148号参照)。
【0037】
「PIMSタンパク質」は、結合領域が融合タンパク質のカルボキシ末端に位置する逆転SMIP分子である。PIMSタンパク質を作製するための構造および方法がPCT公開第WO2009/023386号および米国特許出願公開第2009/0148447号に記載されており、CD37結合ドメインを含むことができるその構造は、参照により本明細書に組み込まれている。例示的なPIMS分子は、抗体から誘導された定常小領域(例えば、CH2ドメインおよびCH3ドメインを含む領域)、リンカーペプチド(例えば、CD分子幹領域またはその機能性変異体)および結合ドメイン(例えばCD37)をアミノ末端からカルボキシ末端方向に含む単鎖ポリペプチドである。一部の実施形態において、PIMSは、定常小領域と結合ドメインの間のリンカーペプチドと同一であっても異なっていてもよい、定常小領域のアミノ末端(例えば免疫グロブリンヒンジ領域)に配置される第2のリンカーペプチドをさらに含む。
【0038】
「SCORPIONタンパク質」は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子からの可変領域を含む2つの結合ドメインを含む融合タンパク質である。SCORPIONタンパク質を作製するための構造および方法がPCT公開第WO2007/146968号および米国特許出願公開第2009/0175867号に記載されており、CD37結合ドメインを含むことができるその構造は、参照により本明細書に組み込まれている。例示的なSCORPIONタンパク質は、アミノ末端からカルボキシ末端に、(a)免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子からの可変領域を含む第1の結合ドメイン、(b)第1のリンカーペプチド、(c)エフェクター機能を提供する免疫グロブリン定常小領域、(d)第2のリンカーペプチド、ならびに(e)免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子からの可変領域を含む第2の結合ドメインを含む、エフェクター機能を有する単鎖多価または多特異的結合タンパク質である。一部の実施形態において、第1および第2の結合ドメインは、同じ標的(例えばCD37)を結合させる。一部の他の実施形態において、第1および第2の結合ドメインは、異なる標的を結合させる。
【0039】
本明細書に使用されているように、他に示される場合を除いて、免疫グロブリン分子または免疫グロブリン領域もしくはドメインを含む融合タンパク質の可変領域におけるアミノ酸残基の位置は、Kobat番号付け規約(Kabat、Sequences of Proteins of Immunological Interest、第5版、Bethesda, MD:Public Health Service、National Institutes of Health(1991年))に従って番号付けされ、免疫グロブリン分子の定常領域におけるアミノ酸残基の位置は、EU命名法(Wardら、1995年Therap、Immunol. 2巻:77〜94頁;Kobat、前出)に従って番号付けされる。
【0040】
「B細胞関連障害または疾患」または「異常B細胞活性に関連する疾患または障害」は、異常B細胞活性、または異常B細胞活性もしくは正常な過程、適正な過程または予定された過程から逸脱した活性に関連する(例えば、それを引き起こすか、またはそれに起因する)疾患または障害を指す。例えば、B細胞関連障害または疾患は、損傷された、または欠陥のあるDNAまたは他の細胞構成要素を有するB細胞の不適切な増殖を含むことができる。異常B細胞活性は、不適切に高レベルのB細胞分裂、または不適切に低レベルのB細胞アポプトシス、またはその両方によって特徴づけられる細胞増殖を含むことができる。当該疾患は、癌性または非癌性、良性または悪性にかかわらず、例えば、B細胞、B細胞群または組織の単一または複数の局部異常増殖を有することができる。B細胞関連障害または疾患は、自己抗体の生成、または正常なレベルで生成されるとより望ましい抗体の過剰生成などの異常抗体生成を含むこともできる。本明細書において、異常B細胞活性は、特定のB細胞小集団で起こり、他の小集団では起こらず、またはT細胞に対する不適切な抗原提供、または他のB細胞経路などによるT細胞の不適切な刺激を含むことができる。
【0041】
「治療」または「治療すること」は、療法的治療または予防/防止的治療を指す。療法的治療は、治療を受ける個体における疾患の少なくとも1つの症候を改善すること、または個体における進行性疾患の悪化を遅らせること、またはさらなる関連症候もしくは疾患の発生を防止すること、またはそれらの組合せを行うことができる。
【0042】
特異的結合分子(例えば、CD37特異的結合分子)または化合物(例えば、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤)の「治療有効量(または投与量)」または「有効量(または投与量)」は、治療されている疾患の1つまたは複数の症候の改善、進行性疾患の悪化の遅延、さらなる関連症候または疾患の発生の防止、またはそれらの任意の組合せをもたらすのに十分な化合物または化合物の組合せの量を指す。
【0043】
「異常B細胞活性に関連する疾患を有するか、または有する疑いがある被験体」は、疾患もしくは障害の症候が異常B細胞活性もしくはB細胞増殖によって引き起こされ得るか、または異常B細胞活性によって悪化し得るか、またはB細胞活性の調節によって軽減され得る被験体(ヒトおよび別の動物)である。当該疾患の例としては、B細胞悪性疾患もしくはB細胞癌(例えば、B細胞リンパ腫、B細胞白血病またはB細胞骨髄腫)、自己抗体生成(例えば自己免疫疾患)または炎症によって特徴づけられる疾患、またはT細胞に対する不適切なB細胞抗原提供によって引き起こされるか、またはB細胞を含む他の経路によって引き起こされる不適切なT細胞刺激によって特徴づけられる疾患が挙げられる。
【0044】
CD37特異的結合分子
本明細書に記載の組合せ治療に有用なCD37特異的結合分子は、CD37特異的結合ドメインを含む。CD37特異的結合ドメインを単独で、あるいは抗CD37抗体もしくはその抗原結合断片、抗CD37抗体Fab部分もしくは(Fab)部分、抗CD37単鎖Fv(scFv)、抗CD37SMIPタンパク質、抗CD37PIMSタンパク質または抗CD37SCORPIONタンパク質などの形を含む骨格で使用することができる。
【0045】
本発明に有用な免疫グロブリンベースのCD37特異的結合ドメインは、本明細書に記載される当該技術分野で公知のもの、または当該技術分野で公知の様々な方法によって生成されるものを含む(例えば、米国特許第6,291,161号および同第6,291,158号参照)。例えば、CD37特異的結合ドメインを、CD37に特異的に結合するFab断片についてFabファージライブラリーをスクリーニングすることによって特定することができる(Hoetら、(2005年)、Nature Biotechnol. 23巻:344頁)。例えば便利な系(例えば、マウス、HuMAbマウス(登録商標)、TCマウス(商標)、KM−マウス(登録商標)、ラマ、ヒツジ、ニワトリ、ラット、ハムスター、ラビット等)において免疫源としてCD37を使用する雑種細胞発生のための伝統的な手法を使用して、当該CD37特異的結合ドメインを有する抗CD37抗体を発生させることができる。
【0046】
さらなる結合ドメインの源は、ヒト、齧歯類、トリおよびヒツジを含む様々な種のCD37特異的抗体可変ドメイン(抗体、sFv、scFv、Fab、または可溶性VHドメインもしくはドメイン抗体として形式化できる)を含む。ドメインを結合させるさらなる源は、ラクダ、ヒトコブラクダまたはラマのラクダ科(Ghahroudiら、(1997年)、FEBS Letters 414巻:521頁;Vinckeら、(2009年)、J. Biol. Chem. 284巻:3273頁;およびHamers−Castermanら、(1993年)、Nature、363巻:446頁;およびNguyenら、(1998年)、J. Mol. Biol.、275巻:413頁)、ナースサメ(Rouxら、(1998年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. (USA) 95巻:11804頁)、斑点ラットフィッシュ(Nguyenら、(2002年)、Immunogenetics、54巻:39頁)またはヤツメウナギ(Herrinら、(2008年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci.(USA) 105巻:2040頁およびAlderら、(2008年)、Nature Immunol. 9巻:319頁)などの他の種の抗体の可変ドメインを含む。これらの抗体は、明らかに、重鎖可変領域のみを使用して抗原結合領域を形成することができる。すなわち、これらの機能的抗体は、重鎖のみのホモ二量体である(「重鎖抗体」と称する)(Jespersら、(2004年)、Nature Biotechnol. 22巻:1161頁;Cortez−Retamozoら、(2004年)、Cancer Res. 64巻:2853頁;Baralら、(2006年)、Nature Med. 12巻:580頁およびBarthelemyら、(2008年)、J. Biol. Chem. 283巻:3639頁)。
【0047】
CD37特異的結合ドメインの他の代替源は、ランダムペプチドライブラリーをコードする配列、または代替的な非抗体骨格のループ領域における多様な改変アミノ酸をコードする配列、例えば、フィブリノゲンドメイン(例えば、Weiseiら、(1985年)、Science 230巻:1388頁参照)、クニツドメイン(例えば、米国特許第6,423,498号参照)、アンキリン反復タンパク質(Binzら、(2003年)、J. Mol. Biol. 332巻:489頁およびBinzら、(2004年)、Nature Biotechnology 22巻:575頁)、フィブロネクチン結合ドメイン(Richardsら、(2003年)、J. Mol. Biol. 326巻:1475頁;Parkerら、(2005年)、Protein Eng. Des. Sel. 18巻:435頁およびHackelら、(2008年)、J. Mol. Biol. 381巻:1238頁)、システイン−ノットミニタンパク質(Vitaら、(1995年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. (USA) 92巻:6404頁;Martinら、(2002年)、Nature Biotechnol. 21巻:71頁およびHuangら、(2005年)、Structure 13巻:755頁)、テトラトリコペプチド反復ドメイン(Mainら、(2003年)、Structure11巻:497頁およびCortajarenaら、(2008年)、ACS Chem. Biol.3巻:161頁)、ロイシンリッチ反復ドメイン(Stumppら、(2003年)、J. Mol. Biol. 332巻:471頁)、リポカリンドメイン(例えば、PCT公開第WO2006/095164号、Besteら、(1999年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. (USA) 96巻:1898頁およびSchoenfeldら、(2009年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. (USA) 106巻:8198頁)、V様ドメイン(例えば、米国特許出願公開第2007/0065431号参照)、C型レクチンドメイン(例えば、ZelenskyおよびGready(2005年)、FEBS J. 272巻:6179頁;Beavilら、(1992年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. (USA) 89巻:753頁およびSatoら、(2003年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. (USA) 100巻:7779頁)、mAbまたはFcab(商標)(例えば、PCT公開第WO2007/098934号;同第WO2006/072620号参照)、または他(Nordら、(1995年)、Protein Eng. 8巻:601頁;Nordら、(1997年)、Nature Biotechnol. 15巻:772頁;Nordら、(2001年)、Eur. J. Biochem. 268巻:4269頁;およびBinzら、(2005年)、Nature Biotechnol. 23巻:1257頁)を含む。
【0048】
一部の実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、抗CD37モノクローナル抗体のVHから誘導された、またはそれに基づくVHドメインを含む。さらなる実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、抗CDモノクローナル抗体のVLから誘導された、またはそれに基づくVLドメインを含む。さらなる実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、それぞれ単一抗CD37モノクローナル抗体または少なくとも2つの異なる抗CD37モノクローナル抗体からのVHおよびVLから誘導された、またはそれらに基づくVHドメインおよびVLドメインを含む。好適な実施形態において、VHおよびVLドメインは、モノクローナル抗体G28−1(それぞれ配列番号241および236)またはモノクローナル抗体もしくはSMIPタンパク質CAS−024(それぞれ配列番号245および238)からのドメインである。
【0049】
一部の実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、それぞれ独立して、1つまたは複数の親抗CD37モノクローナル抗体のそれぞれ野生型VHおよびVLドメインと比較すると、1つまたは複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10の)アミノ酸挿入、1つまたは複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10の)アミノ酸欠失、1つまたは複数の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10の)アミノ酸置換(例えば保存的アミノ酸置換)、あるいはそれらの組合せを含むように改変されたVHおよびVLドメインを含む。挿入、欠失または置換は、各CDRがゼロ、または多くとも1つ、2つもしくは3つの変化を含むこと、および改変VHドメイン、VLドメインもしくはその両方を含むCD37結合ドメインが、野生型結合ドメインと同様の、またはそれを超える親和性でCD37を特異的に結合させることができることを前提として、アミノもしくはカルボキシ末端または各ドメインもしくは両ドメインの両末端を含むVHドメイン、VLドメインまたはその両方におけるいずれの箇所であってもよい。
【0050】
免疫グロブリンVLおよびVHドメインを含むCD37特異的結合ドメインは、全部で2つ、3つ、4つ、5つ、または好ましくは6つのCDR(すなわち、VLで3つおよびVHで3つ)を含むことになる。当該CDRは、ヒトまたは非ヒトCDR、あるいはCDR毎に多くとも1つ、2つまたは3つのアミノ酸変化を含むその変異体であってよい。一部の実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、(a)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2および軽鎖CDR3を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに(b)重鎖CDR1、重鎖CDR2および重鎖CDR3を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0051】
例示的なCDRは、配列番号61(RASENVYSYLA)、配列番号62(RTSENVYSYLA)、配列番号311(KASQDVSTAVA)または配列番号312(RASSSIVYMH)に示される軽鎖のCDR1;配列番号63(GYNMN)、配列番号313(GYSFTDFNMY)または配列番号314(GFTFRSYGMS)に示される重鎖のCDR1;配列番号64(FAKTLAE)、配列番号315(WASTRHT)または配列番号316(DTSKLAS)に示される軽鎖のCDR2;配列番号65(NIDPYYGGTTYNRKFKG)、配列番号317(YIDPYNGDTTYNQKFKG)または配列番号318(SINSDGGSTYYPDVKG)に示される重鎖のCDR2;配列番号66(QHHSDNPWT)、配列番号319(QQHYSTPLT)または配列番号320(HQRSSYPTT)に示される軽鎖のCDR3;配列番号67(SVGPFDY)、配列番号68(SVGPFDS)、配列番号69(SVGPMDY)、配列番号321(GPNWVAMDY)または配列番号322(GGALIVTSDAMDY)に示される重鎖のCDR3を含む。好適な軽鎖CDR1は、配列番号61(RASENVYSYLA)であり、好適な軽鎖CDR3は、配列番号68(SVGPFDS)または配列番号69(SVGPMDY)を含む。さらなる例示的なCDRが、(軽鎖CDR1配列について)配列番号128〜137、(重鎖CDR2配列について)138および139、ならびに(重鎖CDR3配列について)213および215〜219に示される。さらなる例示的なCDRをPCT公開第WO2009/126944に見いだすことができ、それらのCDRは、参照により本明細書に組み込まれている。
【0052】
さらなる実施形態において、ヒトCD37に特異的な結合ドメインは、非ヒト、ヒト化またはヒトドメインである免疫グロブリンVLおよびVHドメインを含む。本明細書に使用されているように、「ヒト化CD37特異的結合ドメイン」は、ヒトCD37に特異的な結合ドメインを形成し、それぞれ少なくとも1つ、2つ、3つ、または好ましくは4つのヒトフレームワーク領域を有する非ヒト免疫グロブリンVLおよびVHドメインを含む結合ドメインを指す。
【0053】
「ヒトフレームワーク領域」は、免疫グロブリン可変ドメインに存在するヒトフレームワーク領域(FR)を指し、これは、(i)天然微生物系または体細胞配列からのヒトFR、(ii)対応するFR位置に非ヒトアミノ酸に対応する約50%未満(例えば、好ましくは、約45%未満、40%未満、30%未満、25%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満または1%未満)のアミノ酸を有する改変ヒトFR、または(iii)免疫性が低減されるように、対応するFR位置にヒトアミノ酸に対応する少なくとも約50%(例えば、少なくとも約55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%)のアミノ酸を有する改変非ヒトアミノ酸であってもよい。
【0054】
例示的なヒトFRは、配列番号140〜146(ヒト重鎖FR1)、配列番号147、150および151(ヒト重鎖FR2)、配列番号154〜160(ヒト重鎖FR3)、配列番号161〜163、168および169(ヒト重鎖FR4)、配列番号170〜172、175および177〜181(ヒト軽鎖FR1)、配列番号182、184〜188および191(ヒト軽鎖FR2)、配列番号194〜198、203および205(ヒト軽鎖FR3)および配列番号206〜210(ヒト軽鎖FR4)に示される。さらなる例示的なFR領域を、本明細書に提供されるCD37特異的SMIPタンパク質、例えば、CAS−001、CAS−002、CAS−003およびCAS024(それぞれ配列番号248、249、250および253)に見いだすことができる。
【0055】
一部の実施形態において、CD−37特異的結合ドメインは、そのアミノ末端からカルボキシル末端に、ヒト重鎖FR1、配列番号63に示される重鎖CDR1、ヒト重鎖FR2、配列番号65に示される重鎖CDR2、ヒト重鎖FR3、配列番号67、68または69に示される重鎖CDR3、およびヒト重鎖FR4を含むヒト化重鎖可変領域を含む。さらなる実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、そのアミノ末端からカルボキシル末端に、配列番号144に示されるヒト重鎖FR1、配列番号63に示される重鎖CDR1、配列番号151に示されるヒト重鎖FR2、配列番号65に示される重鎖CDR2、配列番号158に示されるヒト重鎖FR3、配列番号67、68または69に示される重鎖CDR3、ならびに配列番号161に示されるヒト重鎖FR4を含むヒト化重鎖可変領域を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる。さらなる例示的なヒト化軽鎖は、配列番号242〜245に示され、本明細書に提供されるヒト化CD37特異的SMIPタンパク質における軽鎖を含む。
【0056】
さらなる実施形態において、軽鎖または重鎖可変ドメインのみがヒト化ドメインである。例えば、CD37特異的結合ドメインは、ヒト化軽鎖可変ドメイン(すなわち、少なくとも1つのヒトFRを含む軽鎖可変領域)および非ヒト重鎖可変鎖領域(例えばマウスまたはラット)を含むことができる。代替的に、CD37特異的結合ドメインは、非ヒト軽鎖可変ドメイン(例えばマウスまたはラット)およびヒト化重鎖可変鎖ドメイン(すなわち、少なくとも1つのFRを含む重鎖可変領域)を含むことができる。両種類のCD37特異的結合ドメインを「ハイブリッドヒト−非ヒトCD37特異的結合ドメイン」または「キメラCD37特異的結合ドメイン」と呼ぶことができる。
【0057】
一部の実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、scFv断片の形である。好適な実施形態において、CD37特異的結合ドメインは、可変ドメインリンカーを介して互いに接合された軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含むヒトまたはヒト化CD37特異的scFvである。さらなる実施形態において、軽鎖および重鎖可変ドメインの両方がヒト化ドメインであり、配列番号238に示されるヒト化軽鎖可変ドメインおよび配列番号245に示されるヒト化重鎖可変ドメインの両方を含むことができる。さらなる実施形態において、scFvの軽鎖または重鎖可変ドメインのみがヒト化ドメインである。
【0058】
好適な実施形態において、ヒト化CD37特異的scFvにおけるVLドメインのカルボキシル末端は、可変ドメインリンカーを介してVHドメインのアミノ末端に結合される。したがって、得られたscFvは、そのアミノ末端からそのカルボキシル末端に、VLドメイン、可変ドメインリンカーおよびVHドメインを有する。別の好適な実施形態において、ヒト化CD37特異的scFvにおけるVHドメインのカルボキシル末端は、可変ドメインリンカーを介してVLドメインのアミノ末端に結合される。したがって、得られたscFvは、そのアミノ末端からそのカルボキシル末端に、VHドメイン、可変ドメインリンカーおよびVLドメインを有する。好適な実施形態において、scFvのVHおよびVLドメインは、モノクローナル抗体G28−1(それぞれ配列番号241および236)からのドメイン、またはモノクローナル抗体もしくはSMIPタンパク質CAS−024(それぞれ配列番号245および238)からのドメインであり、可変ドメインリンカーは、約5から約35個のアミノ酸、好ましくは約15から約25個のアミノ酸を有する。
【0059】
一部の実施形態において、VHおよびVLドメインまたはVLおよびVHドメインを接合する可変ドメインリンカーは、本明細書に記載される(GlySer)ファミリーに属するものである。例えば、可変ドメインリンカーは、(GlySer)(nおよびmは、1から6の整数から独立して選択される整数であってよい)を含む。一部の好適な実施形態において、nは4であり、mは1、2、3、4、5または6であり、より好ましくは、nは4であり、mは3、4または5である。さらなる実施形態において、GlyまたはSer以外の1つまたは2つのアミノ酸がアミノ末端、カルボキシル末端または両末端に存在し得る。一部の他の実施形態において、(GlySer)の1つまたは複数のアミノ酸をGlyまたはSer以外のアミノ酸で置換することができる。(GlySer)配列を有する例示的な可変ドメイン結合配列は、配列番号229に示される。さらなる例示的な可変ドメイン結合配列は、配列番号225から228に示される。
【0060】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子または結合ドメインは、ヒトCD37タンパク質への結合をめぐって、G28−1モノクローナル抗体(mAb)、CAS−024mAbまたはCAS−024SMIPタンパク質と競合する。本明細書に使用されているように、「結合で競合する」とは、標的分子に特異的な結合分子による標的分子への結合が、同じ標的に特異的な別の結合分子の存在によって抑制または阻害されること、すなわち2つの異なる抗CD37抗体などの2つの異なる結合分子が同一または類似の抗原結合部位またはエピトープに結合することができるか(例えば逐次的または立体配置的)、あるいは近隣の抗原結合部位またはエピトープへの結合を立体阻害できることを意味する。例えば、CD37へのG28−1mAb結合は、CAS−024SMIPタンパク質の不在下でのG28−1mAbによるCD37の結合と比較すると、CAS−024SMIPタンパク質の存在下で抑制される(すなわち、CAS−024は、CD37への結合をめぐってG28−1mAbと競合している)。PCT公開第WO2007/014278号の実施例2およびPCT公開第WO2009/126944号の実施例4〜6に記載されているアッセイなどの競合結合アッセイが当該技術分野で公知であり、それらを使用して、所定のCD37特異的結合ドメインまたはCD37特異的結合分子が、CD37への結合をめぐってG28−1mAb、CAS−024mAbまたはCAS−024SMIPタンパク質と競合することが可能であるかどうかを判断することができる。
【0061】
本開示のCD37特異的結合分子は、CD37特異的結合ドメインをFc領域の免疫グロブリンコンスタントに接合するヒンジまたはリンカーポリペプチドを含むことができる。本明細書に使用されているように、「ヒンジ領域」、「ヒンジ」、「ヒンジポリペプチド」または「リンカーポリペプチド」は、(a)野生型免疫グロブリンヒンジ領域;(b)改変免疫グロブリンヒンジ領域;(c)免疫グロブリンスーパーファミリー構成要素のドメイン間領域に基づく、またはそれから誘導されるペプチド;(d)分化団(CD)分子幹領域またはその機能的変異体;または(e)II型メンブレンタンパク質のファミリーであるC型レクチンの幹領域(例えば、その配列が参照により本明細書に組み込まれているPCT出願公開第WO2007/146968号に示されている例示的なレクチンの幹領域配列、例えば、配列番号111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、133、135、149、151、153、155、157、159、161、163、165、167、169、231、233、235、237、239、241、243、245、247、249、251、253、255、257、259、261、263、265、267、269、271、273、275、277、279、281、287、289、297、305、307、309〜311、313〜331、346、373〜377、380または381参照)、あるいはそれらの機能的変異体を指す。
【0062】
一部の実施形態において、ヒンジ領域は、野生型免疫グロブリンヒンジ領域、例えば、IgGヒンジ、IgAヒンジ、IgDヒンジ、IgEヒンジ、あるいは少なくとも1つのIgG1コアヒンジ領域を含むその機能的断片(例えば、4から20または5から15アミノ酸長)である。一部の好適な実施形態において、ヒンジ領域は、ヒトIgG1、ヒトIgG2、ヒトIgG3、ヒトIgG4、またはその機能的変異体から選択される抗体ヒンジ領域であってよい。いくつかの実施形態において、ヒンジ領域は、野生型ヒト免疫グロブリンヒンジ領域またはその機能的変異体である。当該実施形態の例示的なヒンジは、配列番号90に示される野生型ヒトIgG1ヒンジ領域、配列番号115に示される野生型ヒトIgA1ヒンジ、配列番号116に示される野生型ヒトIgA2ヒンジ、配列番号118に示される野生型ヒトIgG3ヒンジ、配列番号258に示されるヒトIgG3ヒンジの一部、および配列番号127に示されるヒトIgDヒンジである。一部の実施形態において、融合タンパク質構造設計の一部として、1つまたは複数のアミノ酸残基を野生型免疫グロブリンヒンジ領域のアミノまたはカルボキシ末端に加えることができる。当該アミノ酸残基は、「接合アミノ酸」と称する(例えば、配列番号231〜235参照)。
【0063】
一部の実施形態において、ヒンジ領域は、改変野生型IgG免疫ヒンジ領域などの改変(変異)野生型免疫グロブリンヒンジ領域である。例えば、野生型ヒトIgG1ヒンジ領域は、3つのシステイン残基を含む。最N末端システインは、第1のシステインであるのに対して、ヒンジ領域における最C末端システインは、第3のシステインである。一部の実施形態において、変異ヒトIgG1ヒンジ領域は、セリンで置換された第1、第2または第3のシステインの1つ、好ましくは第2のシステインを含むヒトIgG1ヒンジ領域などの2つのシステイン残基のみを有する。一部の他の実施形態において、変異ヒトIgG1ヒンジ領域は、1つのシステイン残基、好ましくは第3のシステインのみを有する。一部の実施形態において、ヒトIgG1ヒンジ領域における第3のシステインに対するプロリンC末端は、例えば、セリンによって置換されている。例示的な変異ヒトIgG1ヒンジ領域は、配列番号92、94、102、104、255、256、106、108、257、96、110、112、98および100に示される。ヒトIgG3ヒンジ領域の例示的な変異部分は、配列番号120、126、259〜261、122および124に示される。一部の実施形態において、融合タンパク質構造設計の一部として、1つまたは複数のアミノ酸残基を変異免疫グロブリンヒンジ領域のアミノまたはカルボキシ末端に加えることができる。当該修飾ヒンジ領域の例は、配列番号231から235にイタリック体に示される。
【0064】
一部の実施形態において、ヒンジ領域は、野生型ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgDおよびIgEヒンジなどの野生型免疫グロブリンヒンジ領域に対して少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有する配列を含むか、または有する。
【0065】
代替的なヒンジまたはリンカー配列を、IgV様またはIgC様ドメインを接続する細胞表面受容体の部分から作製することができる。細胞表面受容体が複数のIgV様ドメインを縦列で含むIgV様ドメインの間の領域、および細胞表面受容体が複数の縦列IgC様領域を含むIgC様ドメインの間の領域を接続領域またはリンカーペプチドとして使用することも可能である。IgV様ドメインとIgC様ドメインの間またはIgC様ドメインもしくはIgV様ドメインの間のドメイン間領域の代表的なヒンジまたはリンカー配列は、CD2、CD4、CD22、CD33、CD48、CD58、CD66、CD80、CD86、CD96、CD150、CD166およびCD244に見いだされる。さらなる代替的なヒンジをCD69、CD72およびCD161などの非免疫グロブリンスーパーファミリー構成要素からのII型受容体のジスルフィド含有領域から作製することができる。
【0066】
一部の実施形態において、ヒンジまたはリンカー配列は、2から150個のアミノ酸、5から60個のアミノ酸、2から40個のアミノ酸を有し、好ましくは8〜20個のアミノ酸を有し、より好ましくは12〜15個のアミノ酸を有し、主として軟質であってよいが、より硬質の特性を与えるか、または最小のβシート構造を有する主としてα螺旋構造を含むこともできる。好ましくは、ヒンジおよびリンカー配列は、血漿および血清中で安定であり、タンパク質分解切断に対して抵抗性を有する。一部の実施形態において、IgG1上部ヒンジ領域における第1のリシンは、タンパク質分解切断を最小限に抑えるように変異され、好ましくは、リシンはメチオニン、トレオニン、アラニンまたはグリシンで置換されるか、または除去される。例示的なリンカーをコードする核酸配列は、配列番号89、91、93、95、97、99、101、103、105、107、109、111、117、119、121、123および125に示される。
【0067】
本開示のCD37特異的結合分子は、抗体から誘導される定常小領域、例えば、IgG、IgAまたはIgDのCH2およびCH3領域ならびにIgMまたはIgEのCH3およびCH4領域を含むことができる。
【0068】
CD37特異的結合分子の一部を形成するCH2ドメインは、特定の免疫グロブリンクラスまたはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2またはIgD)に基づくか、またはそれらから誘導されるか、あるいは(ヒト、マウス、ラットおよび他の哺乳類を含む)様々な種から誘導される野生型または改変免疫グロブリンCH2ドメインであってよい。一部の実施形態において、CH2ドメインは、それぞれ配列番号285、290〜292および286〜288に示されるヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2またはIgDの野生型CH2ドメインなどの野生型ヒト免疫グロブリンCH2ドメインである。一部の好適な実施形態において、CH2ドメインは配列番号285に示される野生型ヒトIgG1 CH2ドメインである。一部の実施形態において、CH2ドメインは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2またはIgD抗体の野生型CH2ドメインに基づくか、またはそれらから誘導される改変CH2ドメインなどの改変ヒト免疫グロブリンCH2ドメインである。例えば、改変CH2ドメインは、1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ以上の変異を234〜238、253、255〜258、290、297、310、318、320、322、331および339の位置に有するヒトIgG1 CH2ドメインであってよい(位置は、EU番号付けに従って番号付けされている)。一部の実施形態において、改変CH2ドメインは、(i)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換;(ii)位置234〜238における1つまたは複数のアミノ酸置換または欠失;(iii)位置253、310、318、320、322または331における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失;(iv)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換および位置234〜238における1つまたは複数の置換または欠失;(v)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換および位置253、310、318、320、322または331における少なくとも1つの置換または欠失;(vi)位置234〜238における1つまたは複数のアミノ酸置換または欠失、および位置253、310、318、320、322または331における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失、あるいは(vi)位置297のアスパラギンにおけるアミノ酸置換、位置234〜238における1つまたは複数のアミノ酸置換または欠失、および位置253、310、318、320、322または331における少なくとも1つのアミノ酸置換または欠失を含む。例えば、一部の実施形態において、改変CH2ドメインは、位置297にアルカリ置換を有するヒトIgG1 CH2ドメインである。一部の他の実施形態において、改変CH2ドメインは、位置235、318、320および322にアラニン置換を有するヒトIgG1 CH2ドメイン(すなわちL235A、E318A、K320AおよびK322A置換を有するヒトIgG1 CH2ドメイン)(配列番号305)である。一部の他の実施形態において、改変CH2ドメインは、位置234、235、237、318、320および322の位置にアラニン置換を有するヒトIgG1 CH2ドメイン(すなわち、L234A、L235A、G237A、E318A、K320AおよびK322A置換を有するヒトIgG1 CH2ドメイン)(配列番号306)である。上記位置における変異は、ADCC活性、ADCP活性、Fc受容体結合または補体固定を低減または排除することができる。
【0069】
CD37特異的結合分子の一部を形成するCH3ドメインは、(ヒト、マウス、ラットおよび他の哺乳類を含む)様々な種の特定の免疫グロブリンクラスまたはサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgM)からの野生型免疫グロブリンCH3ドメインまたはその改変免疫グロブリンCH3ドメインであってよい。特定の実施形態において、CH3ドメインは、それぞれ配列番号294、299〜301、295〜298および302に示されるヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgMの野生型CH3ドメインなどの野生型免疫グロブリンCH3ドメインである。一部の好適な実施形態において、CH3ドメインは、配列番号294に示される野生型ヒトIgG1 CH3ドメインである。一部の実施形態において、CH3ドメインは、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgD、IgEまたはIgMの野生型CH3ドメインに基づくか、またはそれから誘導される改変CH3ドメインなどの改変ヒト免疫グロブリンCH3ドメインである。例えば、改変CH3ドメインは、位置H433およびN434に1つまたは2つの変異を有するヒトIgG1 CH3ドメインであってよい(位置は、EU番号付けに従って番号付けされている)。当該位置の変異は、補体固定に関与し得る。一部の他の実施形態において、改変CH3ドメインは、ヒトIgG1 CH3ドメインであってよいが、位置F405またはY407に1つまたは2つのアミノ酸置換を有する。当該位置におけるアミノ酸は、別のCH3ドメインとの相互作用に関与する。
【0070】
CD37特異的結合分子の一部を形成するCH4ドメインは、IgEまたはIgM分子からの野生型免疫グロブリンCH4ドメインまたはその改変免疫グロブリンCH4ドメインであってよい。一部の実施形態において、CH4ドメインは、それぞれ配列番号303および304に示されるヒトIgEおよびIgM分子の野生型CH4ドメインなどの野生型ヒト免疫グロブリンCH4ドメインである。一部の実施形態において、CH4ドメインは、IgEまたはIgM Fc領域に関連することが公知である免疫活性を増強または低下させる変異を有するヒトIgEまたはIgM分子のCH4ドメインに基づく、またはそれから誘導される改変CH4ドメインなどの改変ヒト免疫グロブリンCH4ドメインである。
【0071】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子の定常小領域は、CH2、CH3および/またはCH4ドメインの組合せ(すなわち、CH2、CH3およびCH4から選択される1つを超える定常サブドメイン)を含む。例えば、定常小領域は、CH2およびCH3ドメインまたはCH3およびCH4ドメインを含むことができる。定常小領域を形成する複数の定常サブドメインは、同じ免疫グロブリン分子(例えば、配列番号246に示されるヒトIgG1 CH2およびCH3から形成された定常小領域)、あるいは同じクラスまたはサブクラスの免疫グロブリン分子に基づくか、またはそれらから誘導され得る。代替的に、複数の定常サブドメインは、異なる免疫グロブリン分子、あるいは異なるクラスまたはサブクラスの免疫グロブリン分子に基づくか、またはそれらから誘導され得る。例えば、一部の実施形態において、定常小領域は、ヒトIgM CH3ドメインおよびヒトIgG1 CH3ドメインの両方を含む。
【0072】
一部の好適な実施形態において、定常小領域は、野生型ヒトIgG1 CH2ドメインおよび野生型ヒトIgG1 CH3ドメインを含む。一部の他の好適な実施形態において、定常小領域は、定常小領域が免疫活性、例えば、ADCC、ADCP、CDC、Fc受容体結合、またはそれらの任意の組合せを促進しないように、(例えば、N297にアミノ酸変異を有し、N297にアミノ酸変異を、そして位置234〜238に少なくとも1つのさらなるアミノ酸変異を有し、または位置234、235、237、318、320および322にアミノ酸変異を有する)改変ヒトIgG1 CH2ドメインおよび野生型ヒトCH3ドメインを含む。他の実施形態において、改変ヒトIgG1 CH2ドメインは、ADCC、ADCP、CDC、Fc受容体結合、またはそれらの任意の組合せなどの免疫活性を向上させることが当該技術分野で公知の変異を有することができる。一部の他の好適な実施形態において、定常小領域は、野生型ヒトIgM CH3ドメインおよび野生型ヒトIgM CH4ドメイン、または野生型ヒトIgE CH3ドメインおよび野生型ヒトIgE CH4ドメインを含む。
【0073】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子は、1つまたは複数のさらなる領域を含むことができる。当該さらなる領域は、発現CD37特異的結合分子の分泌のためのアミノ末端におけるリーダー配列、識別もしくは精製を目的としたそのカルボキシ末端における末尾配列(例えば、6−ヒスチジンタグまたはFLAGエピトープを含む検出または精製のためのエピトープタグ)、あるいは特異的発現系の使用に起因するさらなるアミノ酸残基であってよい。本開示の例示的なリーダーペプチドは、天然のリーダー配列、または配列番号223および224に示されるものなどの他の配列を含む。
【0074】
一部の実施形態において、融合タンパク質は、(免疫グロブリン可変ドメインとリンカーポリペプチドの間、結合ドメインとリンカーポリペプチドまたはヒンジの間、リンカーポリペプチドまたはヒンジと免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドの間、あるいは免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドと免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドの間などの)2つのドメインの間に1個または数個(例えば2〜8個)のアミノ酸残基を有することができ、当該アミノ酸残基は、融合タンパク質の構築物設計によって得られる(例えば、単鎖ポリペプチドをコードする核酸分子の構築時の制限酵素部位の使用によって得られるアミノ酸残基)。本明細書に記載されているように、当該アミノ酸残基は、「接合アミノ酸」または「接合アミノ酸残基」と称することができる。
【0075】
本明細書に使用されているように、タンパク質は、タンパク質の他の部分(例えば、アミノもしくはカルボキシ末端における、または2つのドメインの間のアミノ酸)が併せてタンパク質の長さの多くとも20%(例えば、多くとも15%、10%、8%、6%、5%、4%、3%、2%または1%)に寄与し、CD37に対する親和性、またはB細胞の数を減少させる能力などのタンパク質活性に実質的に影響を及ぼさない(すなわち活性を50%超、例えば、40%超、30%超、25%超、20%超、15%超、10%超または5%超は低下させない)のであれば、1つのドメイン(例えば、CD37特異的結合ドメイン)またはいくつかのドメイン(例えば、CD37特異的結合ドメイン、リンカーポリペプチド、免疫グロブリンCH2領域および免疫グロブリンCH3領域)「から本質的になる」。一部の実施形態において、CD37特異的結合分子は、CD37特異的結合ドメイン、免疫グロブリンヒンジポリペプチド、免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドおよび免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドから本質的になるSMIPタンパク質である。当該分子は、分子のアミノもしくはカルボキシ末端に、または2つの異なるドメインの間(例えば、結合ドメインとヒンジポリペプチドの間、ヒンジポリペプチドと免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドの間、および/または免疫グロブリンCH2領域ポリペプチドと免疫グロブリンCH3領域ポリペプチドの間)に接合アミノ酸をさらに含むことができる。
【0076】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子は、当該技術分野で公知のものを含む抗CD37抗体である。例示的な抗CD37抗体は、第3回HLDA研究会においてCD37抗原を特徴づけるのに使用されたHD28、G28−1、HH1、BI14、WR17およびF93G6を含む(LingおよびMacLennan、302〜335頁、Leucocyte Typing III. White Cell Differentiation Antigens、Oxford University Press、1987年参照)。記載された他のCD37特異的抗体は、RFB−7、Y29/55、MB−1、M−B371、M−B372およびIPO−24を含む(これらのすべての抗体が単一CD37エピトープを認識することを見いだしたMoldenhaurer(2000年)、J. Biol. Regul. Homeost. Agents 14巻:281頁参照)。Schwartz−Albiezら(J. Immunol. 140巻:905頁、1988年)は、エピトープがCD37の炭水化物部分に位置する可能性が高いことに注目している。別のCD37特異的抗体はSB3である(Biosys)一部の好適な実施形態において、これらの抗CD37抗体のいずれもが、本明細書に記載のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤と併用されるキメラもしくはヒト化抗体またはそれらの抗原結合タンパク質である。
【0077】
好適な実施形態において、本開示のCD37結合タンパク質ドメインは、抗体の抗原結合部分であるか、またはCD37に特異的に結合する免疫グロブリン可変ドメインを含む。抗体の例示的なCD37抗原結合部分は、(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる一価断片である断片抗原結合(Fab)部分;(ii)ヒンジ領域におけるジスルフィド架橋によって結合された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一アームからのVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるドメインAb断片(Wardら、(1989年)、Nature 341巻:544頁);(vi)5〜35アミノ酸リンカーによって接合されたVLおよびVHドメインからなる単鎖可変断片(scFv)(例えば、Hustonら、(1988年)、Proc. Nat’l. Acad. Sci. USA 85巻:5879頁;Shanら、(1999年)、J. Immunol. 162巻:6589頁参照)、および(vii)単離CDRを含む。
【0078】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子は、CD37特異的SMIPポリペプチドである。例えば、CD37特異的結合分子は、そのアミノからカルボキシ末端に、(a)CD37特異的結合ドメイン、(ii)ヒンジ領域またはリンカーポリペプチド、(iii)(a)IgG、IgAまたはIgDの免疫グロブリンCH2ポリペプチドおよびIgG、IgAまたはIgDの免疫グロブリンCH3ポリペプチド、あるいは(b)IgMまたはIgEの免疫グロブリンCH3ポリペプチドおよびIgMまたはIgEの免疫グロブリンCH4ポリペプチドを含むCD37特異的SMIPポリペプチドであってよい。CD37特異的結合ドメイン、リンカーポリペプチド、免疫グロブリンCH2ポリペプチド、免疫グロブリンCH3ポリペプチド、免疫グロブリンCH4ポリペプチドは、本明細書に記載されている通りである。
【0079】
例示的なCD37特異的SMIPポリペプチドは、配列番号2または253に示される配列を含む。さらなる例示的なCD37特異的SMIPポリペプチドは、PCT公開第WO2005/017148号に記載されており、例えば、(1)G28−1 scFv、すべての3つのシステイン残基、およびヒトIgG1ヒンジ領域における第3のシステインに対するプロリンカルボキシル末端がセリン残基に変異された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびに野生型ヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含むG28−1 scFv(SSS−S)H WCH2 WCH3;(2)G28−1 scFv、ヒトIgAヒンジの一部、ならびにヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含むG28−1 scFv IgAH WCH2 WCH3;(3)G28−1 scFv、すべての3つのシステイン残基およびヒンジ領域における第3のシステインに対するプロリンカルボキシル末端がセリン残基に変異された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびにヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VHL11S(SSS−S)H WCH2 CH3;(4)G28−1 scFv、第2および第3の位置のシステイン残基ならびに第3のシステインに対するプロリンカルボキシル末端がセリン残基で置換された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびにヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VHL11S(CSS−S)H WCH2 CH3;(5)G28−1 scFv、第2の位置のシステイン残基および第3の位置におけるシステインに対するプロリンカルボキシル末端がセリン残基で置換された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびにヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VHL11S(CSC−S)H WCH2 CH3;(6)G28−1 scFv、ヒンジ領域における第1および第2のシステイン残基がセリン残基に変異された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびにヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VH11S(SSC−P)H WCH2 CH3;(7)G28−1 scFv、第1および第3のシステイン残基ならびにヒンジ領域における第3のシステインに対するプロリンカルボキシル末端がセリン残基に変異された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびにヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VH11S(SCS−S)H WCH2 WCH3;(8)G28−1 scFv、ヒンジ領域における第3のシステイン残基がセリンで置換された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびにヒトIgG1 CH2およびCH3ドメインを含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VHL11S(CCS−P)H WCH2 WCH3;(9)G28−1 scFv、第1のシステインがセリンで置換された改変ヒトIgG1ヒンジ、ならびにヒトCH2およびCH3ドメインを含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VHL11S(SCC−P)H WCH2 WCH3;(10)G28−1 scFvならびにマウスIgE CH2、CH3およびCH4領域を含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VH L11S mlgE CH2 CH3 CH4;(11)G28−1 scFv、マウスIgAヒンジ、および野生型IgA CH2、および4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠く切断IgA CH3ドメイン(配列番号265)を含むG28−1 scFv VH L11S mlgA WlgACH2 T4CH3;(12)G28−1 scFvならびにヒトIgE CH2、CH3およびCH4領域を含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VHL11S hlgE CH2 CH3 CH4;(13)G28−1 scFv、ヒトIgAヒンジの一部、野生型IgA CH2、および4つのカルボキシアミノ酸GTCYを欠く切断IgA CH3ドメイン(配列番号265)を含み、重鎖可変領域の位置11におけるロイシンがセリンで置換されたG28−1 scFv VHL11S hlgAH WlgACH2 TCH3であり、それらのすべてが参照により本明細書に組み込まれている。
【0080】
好適な実施形態において、CD37特異的SMIPポリペプチドは、ヒト化CD37特異的結合ドメインを含む。一部の実施形態において、ヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドは、配列番号2または253に示されるポリペプチドに対して少なくとも70パーセント(例えば、少なくとも70%、72%、74%、76%、80%、82%、84%、85%、86%、88%、90%、92%、94%、95%、96%、97%、98%または99%)の同一性を示し、CD37を特異的に結合させる。例示的なヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドは、リーダー配列を除く配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、80、82、84、86、88、222および262、ならびに配列番号247〜254および266〜269からなる群から選択される任意のアミノ酸配列を含むか、またはそれから本質的になるか、またはそれからなる。本明細書に提供される例示的なヒト化CD37特異的SMIPポリペプチドをコードする単離核酸分子は、配列番号5、7、9、11、13、15、17、19、21、23、25、27、29、31、33、35、37、39、41、43、45、47、51、79、81、83、85、87および221を含むものを含む。
【0081】
好適な実施形態において、CD37特異的結合分子は、配列番号253に示されるアミノ酸配列を含むか、またはそれからなる。別の好適な実施形態において、CD37特異的結合分子は、配列番号253に示されるアミノ酸配列から本質的になる。さらに別の好適な実施形態において、CD37特異的結合分子は、配列番号253に示されるアミノ酸配列からなる。
【0082】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子は、CD37特異的PIMSポリペプチドである。例えば、CD37特異的PIMSポリペプチドは、そのアミノからカルボキシ末端方向に、抗体から誘導された定常小領域(例えば、IgG、IgAまたはIgDのCH2ドメインおよびCH3ドメインを含む領域、あるいはIgMまたはIgEのCH3ドメインおよびCH4ドメインを含む領域)、リンカーペプチドならびにCD37特異的結合ドメイン(ヒト化CD37特異的結合ドメインを含む)を含むことができる。一部の実施形態において、CD37特異的PIMSポリペプチドは、定常小領域とCD37特異的結合ドメインの間のリンカーペプチドと同じであってもなくてもよい第2のリンカーペプチドをさらに含むことができる。CD37特異的結合ドメイン、リンカーポリペプチド、免疫グロブリンCH2ポリペプチド、免疫グロブリンCH3ポリペプチド、免疫グロブリンCH4ポリペプチドは、本明細書に記載されている通りである。
【0083】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子は、CD−37特異的SCORPIONポリペプチドである。例えば、CD37特異的SCORPIONタンパク質は、アミノ末端からカルボキシ末端に、(a)、免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子からの可変ドメインを含む第1の結合ドメイン、(b)第1のヒンジまたはリンカーペプチド、(c)エフェクター機能を提供する免疫グロブリン定常小領域、(d)第2のヒンジまたはリンカーペプチド、ならびに(e)免疫グロブリンまたは免疫グロブリン様分子からの可変ドメインを含む第2の結合ドメインを含み、第1の結合ドメイン、第2の結合ドメインまたは第1および第2の結合ドメインの両方がヒトCD37に特異的に結合する、エフェクター機能を有する単鎖多価結合タンパク質であってよい。CD37特異的結合ドメイン、ヒンジまたはリンカーポリペプチド、ならびに免疫グロブリン定常小領域は、本明細書に記載されている通りである。
【0084】
さらなる実施形態において、本開示のCD37特異的結合分子の免疫グロブリンFc領域(例えばCH2、CH3および/またはCH4領域)は、免疫グロブリン基準配列に対して改変されたグリコシル化パターンを有することができる。例えば、様々な遺伝子技術のいずれかを採用して、グリコシル化部位を形成する1つまたは複数の特定のアミノ酸残基、例えばCH2ドメインのN297(EU番号付け)を改変することができる(Coら、(1993年)、Mol. Immunol. 30巻:1361頁;Jacquemonら、(2006年)、J. Thromb. Haemost. 4巻:1047頁;Schusterら(2005年)、Cancer Res. 65巻:7934頁;Warnockら(2005年)、Biotechnol. Bioeng. 92巻:831頁参照)。代替的に、本開示の融合タンパク質を生成する宿主細胞を、改変グリコシル化パターンを生成するように改変することができる。例えば、当該技術分野で公知の1つの方法は、例えば、ADCCを増大させる二等分された非フコシル化変異体の形の改変グリコシル化を提供する。それらの変異体は、オリゴ糖変性酵素を含む宿主細胞における発現に起因する。代替的に、BioWa/Kyowa HakkoのPotelligent技術は、本開示のグリコシル化分子のフコース含有量を減少させると考えられる。1つの公知の方法において、GDPフコースの生成を介して免疫グロブリンFc領域のグリコシル化パターンを改変する組換え免疫グロブリン生成のためのCHO宿主細胞が提供される。
【0085】
代替的に、化学的技術を用いて、本開示の融合タンパク質のグリコシル化パターンを改変する。例えば、様々なグリコシダーゼおよび/またはマンノシダーゼ阻害剤は、ADCC活性を増大させ、Fc受容体結合を増大させ、グリコシル化パターンを修飾する1つまたは複数の所望の効果を提供する。一部の実施形態において、本開示のCD37特異的結合分子を発現する細胞を、前記宿主細胞によって生成される免疫糖タンパク質分子のADCCを増大させる濃度で炭水化物変性剤を含む培地で成長させ、前記炭水化物変性剤を800μM未満の濃度とする。好適な実施形態において、これらの多特異性融合タンパク質を発現する細胞を、100〜800μM、例えば、100μM、200μM、300μM、400μM、500μM、600μM、700μMまたは800μMの濃度のカスタノスペルミンまたはキフネンシン、好ましくはカスタノスペルミンを含む培地で成長させる。カスタノスペルミンなどの炭水化物変性剤を用いてグリコシル化を改変するための方法は、米国特許出願第2009/0041756号またはPCT公開第WO2008/052030号に示されている。
【0086】
本開示は、B細胞を減少させるか、または異常B細胞活性に関連する疾患もしくは障害を治療するための、本明細書に記載されているか、または当該技術分野で公知であるCD37特異的結合分子のいずれかと組み合わせたmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤の使用を提供する。
【0087】
mTOR阻害剤
背景として、(癌などの)過剰増殖性疾患は、異常細胞シグナル伝達に起因し得る。例えば、ラパマイシン(「mTOR」)の哺乳類標的は、タンパク質キナーゼのPI3Kファミリーと相同性を有する触媒ドメインを有する大きなマルチドメインセリン/トレオニンキナーゼである。(FK506結合タンパク質12ラパマイシン関連タンパク質1またはFRAPとしても公知である)mTORは、アポプトシスを阻害し、栄養物およびエネルギー量ならびに酸化還元状態のセンサとして機能するPI3K/AKT経路の下流の重要なシグナル伝達中間体分子である(例えば、Tokunagaら、(2004年)、Biochem. Biophys. Res. Commun. 313巻:443頁;Grunwaldら、(2002年)、Cancer Res. 62巻:6141頁;Stolovichら、(2002年)、Mol. Cell Biol. 22巻:8101頁参照)。mTORは、細胞成長、細胞増殖、細胞運動、細胞生存、タンパク質合成および転写に関与すると思われる(例えば、HayおよびSonenberg、(2004年)、Genes Dev. 18巻:1926頁;Beeversら、(2006年)、Int. J. Cancer 119巻:757頁参照)。mTOR経路の調節不全は、様々なヒト疾患プロセス、形質転換B細胞を含む様々なヒト疾患プロセス、特に様々な種類の癌(Beeversら、2006年)に対する寄与要因であることが示唆される(Wlodarskiら、(2005年)、Cancer Res. 65巻:7800頁;Leseuxら、(2006年)、Blood 108巻:4156頁参照)。mTOR経路は、未分化星状細胞腫、腎細胞癌腫および多発性骨髄腫に関与することも示唆された。
【0088】
mTORは、2つの複合体、すなわちmTOR複合体1(mTORC1)およびmTOR複合体2(mTORC2)で細胞に存在する(Wullschlegerら、(2006年)、Cell124巻:471頁)。mTORC1は、mTOR、mTORの調節性関連タンパク質(Raptor)、哺乳類LST8/Gタンパク質βサブユニット様タンパク質(mLST8/GβL)およびPRAS40で構成される。この複合体は、栄養物/エネルギー/酸化還元センサとして機能し、タンパク質合成を制御することによりmTORの古典的な特徴によって特徴づけられる。
【0089】
mTORC1は、少なくとも2つのタンパク質、すなわちP70S6キナーゼ1および真核生物初発因子4E(elF4E)結合タンパク質1である4E−BP1の活性を調節する。mTORC1は、p70S6キナーゼ1のセリン389およびトレオニン412をリン酸化する。このリン酸化を、ホスホセリン389残基に特異的な抗体を用いて成長因子処理細胞の全細胞抽出物にて検出することができる。mTORC1は、4E−BP1の少なくとも4つの残基をリン酸化することも証明された。
【0090】
mTORC2は、mTOR、mTORのラパマイシン不感応性随伴種(Rictor)、GβL、および哺乳類ストレス活性化タンパク質キナーゼ相互作用タンパク質(mSIN1)で構成される。mTORC2は、F−アクチンストレス繊維、パラキシリン、RhoA、Rac、Cdc42およびタンパク質キナーゼCα(PKCα)のその刺激を介して細胞骨格の重要な調節剤として機能することも証明された。それは、セリン残基473においてセリン/トレオニンタンパク質キナーゼAKT/PKBをリン酸化する。
【0091】
本明細書に使用されているように、「mTOR阻害剤」という用語は、その基質(例えば、P70S6キナーゼ1、4E−BP1、AKT/PKBおよびeEF2)の少なくとも1つに対するセリン/トレオニンタンパク質キナーゼ活性などのmTORの少なくとも1つの活性を阻害する化合物またはリガンドを指す。当業者は、ラパマイシンまたは類似体またはその誘導体などの化合物がmTOR阻害剤であるかどうかを容易に判断することができる。当該化合物またはリガンドを特定する具体的な方法は、例えば米国特許出願第2003/0008923号に開示されている。
【0092】
一部の実施形態において、mTOR阻害剤は、mTORC1の少なくとも1つの活性を阻害する。さらなる実施形態において、mTOR阻害剤は、mTORC2の少なくとも1つの活性を阻害する。さらなる実施形態において、mTOR阻害剤は、mTORC1の少なくとも1つの活性およびmTORC2の少なくとも1つの活性を阻害する。一部の実施形態において、mTOR阻害剤は、p70s6キナーゼのセリン389またはトレオニン412のリン酸化を阻害することによりG1からSへの細胞周期の進行を阻止することによって細胞再生を阻害する化合物またはリガンドである。
【0093】
好適なmTOR阻害剤、すなわちラパマイシン(USAN一般名はシロリムス(sirolimus)である)が米国特許第3,929,992号に記載されている。一部の実施形態において、CD37特異的結合分子を含む組成物をラパマイシン(シロリムス)、テムシロリムス(temsirolimus)、デホロリムス(deforolimus)、エベロリムス(everolimus)、タクロリムス、ゾタロリムス(zotarolimus)、クルクミンまたはファルネシルチオサリチル酸などのmTORと組み合わせるか、または併用することができる。
【0094】
本明細書に使用されているように、「ラパマイシン類似体またはその誘導体」という用語は、mTOR阻害特性を保持しながらも化学的または生物学的に修飾することができる、米国特許出願公開第2003/0008923号に定義されているラパマイシンコア構造(ラパマイシンコア構造は参照により本明細書に組み込まれている)を有する化合物を含む。当該誘導体は、ラパマイシンのエステル、エーテル、オキシム、ヒドラゾンおよびヒドロキシルアミン、ならびにラパマイシンコア構造上の官能基が例えば還元または酸化によって修飾された化合物を含む。当該化合物の薬学的に許容し得る塩もラパマイシン誘導体であると考えられる。
【0095】
ラパマイシンのエステルおよびエーテルの具体的な例は、ラパマイシン核の42および/または31位におけるヒドロキシル基のエステルおよびエーテル、ならびに(27−ケトンの化学的還元後の)27位におけるヒドロキシル基のエステルおよびエーテルである。オキシム、ヒドラゾンおよびヒドロキシルアミンの具体的な例は、(42−ヒドロキシル基の酸化後の)42位におけるケトンおよびラパマイシン核の27−ケトンのオキシム、ヒドラゾンおよびヒドロキシルアミンである。
【0096】
ラパマイシンの実施例42および/または31エステルおよびエーテルの例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれている以下の特許に開示されている。アルキルエステル(米国特許第4,316,885号)、アミノアルキルエステル(米国特許第4,650,803号);フッ素化エステル(米国特許第5,100,883号);アミドエステル(米国特許第5,118,677号);カルバメートエステル(米国特許第5,118,678号);シリルエーテル(米国特許第5,120,842号)、アミノエステル(米国特許第5,130,307号);アセタール(米国特許第551,413号);アミノジエステル(米国特許第5,162,333号);スルホン酸および硫酸エステル(米国特許第5,177,203号);エステル(米国特許第5,221,670号);アルコキシエステル(米国特許第5,233,036号);O−アリール、−アルキル、−アルケニルおよびアルキニルエーテル(米国特許第5,258,389号);カルボン酸エステル(米国特許第5,260,300号);アリールカルボニルおよびアルコキシカルボニルカルバメート(米国特許第5,262,423号);カルバメート(米国特許第5,302,584号);ヒドロキシエステル(米国特許第5,362,718号);ヒンダードエステル(米国特許第5,385,908号);複素環式エステル(米国特許第5,385,909号);ジェム二置換エステル(米国特許第5,385,910号);アミノアルカノン酸エステル(米国特許第5,389,639号);ホスホリルカルバミン酸エステル(米国特許第5,391,730号);カルバミン酸エステル(米国特許第5,411,967号);カルバミン酸エステル(米国特許第5,434,260号);アミジノカルバミン酸エステル(米国特許第5,463,048号);カルバミン酸エステル(米国特許第5,480,988号);カルバミン酸エステル(米国特許第5,480,989号);カルバミン酸エステル(米国特許第5,489,680号);ヒンダードN−オキシドエステル(米国特許第5,491,231号);ビオチンエステル(米国特許第5,504,091号);O−アルキルエーテル(米国特許第5,665,772号);およびラパマイシンのPEGエステル(米国特許第5,780,462号)。
【0097】
ラパマイシンの27−エステルおよびエーテルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,256,790号に開示されている。
【0098】
ラパマイシンのオキシム、ヒドラゾンおよびヒドロキシルアミンの例は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,373,014号、同第5,378,836号、同第5,023,264号および同第5,563,145号に開示されている。これらのオキシム、ヒドラゾンおよびヒドロキシルアミンの製造は、上記特許に開示されている。42−オキソラパマイシンの製造は、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,023,263号に開示されている。
【0099】
「そのラパマイシン類似体または誘導体」の範囲内の他の化合物は、例えば国際公開第98/02441号およびそれに引用されている参考文献において「ラパログ」と称し、例えば国際公開01/14387号およびそれに引用されている参考文献において「エピラパログ」と称する化合物および化合物類を含む。
【0100】
「ラパマイシン誘導体」の範囲内の別の化合物は、Streptomyces hygroscopicusによって生成されるマクロライド抗生物質から誘導される4−O−(2−ヒドロキシエチル)−ラパマイシンであるエベロリムス(Novartis)である。エベロリムスは、Certican(登録商標)、RAD−001およびSDZ−RADとしても公知である。別の好適なmTOR阻害剤は、抗増殖薬であるゾタロリムス(Abbott Laboratories)である。ゾタロリムスは、mTORの阻害に起因する静菌効果により平滑筋細胞増殖を阻害すると考えられる。別の好適なmTOR阻害剤は、Streptomyces tsukubaensis土壌菌から単離されるマクロライドラクトン免疫抑制薬であるタクロリムスである。タクロリムスは、FK506、FR900506、フジマイシン、L679934、ツクバエノライド、PROTOPIC(登録商標)およびPROGRAF(登録商標)としても公知である。他の好適なmTOR阻害剤は、AP−23675、AP−23573およびAP−23841(Ariad Pharmaceuticals)を含む。
【0101】
好適なラパマイシン誘導体は、エベロリムス、CCI−779(3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸のラパマイシン42−エステル;米国特許第5,362,718号);7−エピ−ラパマイシン;7−チオメチル−ラパマイシン;7−エピ−トリメトキシフェニル−ラパマイシン;7−エピ−チオメチル−ラパマイシン;7−デメトキシ−ラパマイシン;32−デメトキシ−ラパマイシン;2−デスメチル−ラパマイシン;および42−O−(2−ヒドロキシ)エチルラパマイシン(米国特許第5,665,772号)を含む。
【0102】
米国2008/0214596に示されている式Aの例示的なmTOR阻害剤化合物(Novartis)は、参照により本明細書に組み込まれている。式Aの化合物は、例えば、PCT公開第WO94/09010号、同第WO95/16691号、同第WO96/41807号、同第WO99/15530号および米国特許第5,362,718号にも開示されており、それらの化合物は、参照により本明細書に組み込まれている。これらの参考文献に記載されている手順を用いて、これらの化合物を製造することができる。
【0103】
さらなるmTOR阻害剤は、TORC1およびTORC2阻害剤を含む。例えば、OSI−027(OSI Pharmaceuticals)は、小分子TORC1/TORC2阻害剤である。OSI−027は、TORC1およびTORC2シグナル伝達複合体の両方を阻害して、この経路を介する異常細胞シグナル伝達の完全な切断の可能性を提供する。さらに、トルキニブス(torkinib)、ATP競合mTORキナーゼドメイン阻害剤ならびにmTORC1およびmTORC2の両方の阻害剤を本開示によるCD37特異的結合分子と併用することもできる。例示的なトルキニブスは、PP242およびPP30(Feldman、(2009年)、PLoS Biology 7巻:371頁参照)ならびにトリン1(Thoreenら、(2009年)、J Biol Chem 284巻:8023頁)を含む。
【0104】
PI3K阻害剤
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3−キナーゼまたはPI3K)は、ホスファチジルイノシトール(PtdInsまたはPI)のイノシトール環の3位ヒドロキシル基をリン酸化することが可能な関連細胞内単一変換酵素のファミリーである。これらの酵素は、ホスファチジルイノシトール−3−キナーゼとしても公知である。一次構造、調節およびインビトロ脂質基質特異性に基づいて、ホスホイノシトール−3−キナーゼファミリーを3つの異なるクラス、すなわちクラスI、クラスIIおよびクラスIIIに分類することができる(Leeversら、(1999年)、Current Op. Cell Biol. 11巻:219頁参照)。
【0105】
クラスIのPI3Kは、3−リン酸ホスファチジルイノシトール(PI(3)P)、(3,4)−ビスリン酸ホスファチジルイノシトール(PI(3,4)P)および(3,4,5)−トリリン酸ホスファチジルイノシトール(PI(3,4,5)P)の生成に関与する。PI3Kは、Gタンパク質結合受容体およびトリオシンキナーゼ受容体によって活性化される。クラスIのPI3Kは、調節および触媒サブユニットで構成されるヘテロ二量体分子である。それらは、配列類似性によりIAおよびIB部分集合体にさらに分類される。クラスIAのPI3Kは、p110α、βまたはδ触媒サブユニットに結合した5つの調節性p85α、p55α、p50α、p85βまたはp55γの1つで構成される。最初の2つのp110イソ型(αおよびβ)は、すべての細胞に発現されるが、p110δは主として白血球に発現される。p110δは適応性免疫系と並行して進化することが示唆された。調節p101および触媒p110γサブユニットは、IB型PI3Kを含む。
【0106】
PI3Kは、細胞成長、増殖、分化、運動、生存および細胞内輸送を含む多様な細胞機能群に関連づけられた。これらの機能の多くは、タンパク質キナーゼB(PKB、aka AKT)を活性化させるクラスIのPI3Kの能力に関連する。クラスIAのPI3K p110αは、多くの癌において変異され、これらの変異の多くは、キナーゼをより活性にする。PI3Kシグナル伝達をアンタゴナイズするPtdIns(3,4,5)PホスファターゼPTENは多くの腫瘍に存在しない。したがって、PI3K活性は、細胞の形質転換および癌の発生に寄与する。p110αは、細胞生存に役割を果たすことができるのに対して、p110βは、細胞増殖を促進する上でより重要であり得ることが報告によって示唆されている(Benistantら、(2000年)、Oncogene 19巻:5083頁参照)。p110δおよびp110γイソ型は、免疫応答の異なる側面を調節する(Rommel、(2007年)、Nat. Rev. Immunol. 7巻:191頁;Ruckleら、(2007年)、Nat. Rev. Drug Discov. 5巻:903頁)。イソ型p100γは、炎症およびアレルギーのモジュレータとして主要な役割を果たすことが示唆され(Wymannら、(2003年)、Biochem. Soc. Trans. 31巻:275頁)、イソ型p100δは、完全BおよびT細胞抗原受容体シグナル伝達に重要であることが示唆された(Okkenhaugら、(2002年)、Science 297巻:1031頁)。PI3Kは、インシュリンシグナル伝達経路の主要構成要素でもある。
【0107】
クラスIIのPI3Kは、3つのイソ型(C2α、C2βおよびC2γ)を含むが、クラスIおよびIIIと異なり、調節性タンパク質を含まない。クラスIIのPI3Kは、PIからのPI(3)PおよびPI(3,4)Pの生成を触媒する。C2αおよびC2βは、体全体に発現されるが、C2γの発現は、肝細胞に限定される。クラスIのPI3Kと類似のクラスIIのPI3Kを、受容体チロシンキナーゼ(RTK)、サイトカイン受容体およびインテグリンを介する外的刺激によって活性化することができるといういくつかの証拠が示され、癌、治傷およびインシュリンシグナル伝達におけるその役割が示唆された。
【0108】
クラスIIIのPI3Kは、PIからPI(3)Pのみを生成するが、触媒(Vps34)および調節(p150)サブユニットを有するヘテロ二量体として存在するため構造がクラスIとより類似している。クラスIIIのPI3Kは、主として、タンパク質およびベシクルの輸送、食胞成熟ならびに自食作用に関与すると思われる(Falascaら、(2007年)、Biochem. Soc. Trans. 35巻:211頁)。
【0109】
PI3Kによって生成される様々な3−リン酸化ホスホイノシチド(例えば、PtdIns3P、PtdIns(3,4)P2、PtdIns(3,5)P2およびPtdIns(3,4,5)P3)は、PXドメイン、プレックストリン相同性ドメイン(PHドメイン)、FYVEドメインおよび他のホスホイノシチド結合ドメインを含むシグナル伝達タンパク質の組合せ群を、直接的な脂質−タンパク質相互作用を介して様々な細胞膜に補充するメカニズムにて機能する(Frumanら、(1998年)、Annu. Rev. Biochem. 67巻:481頁;Hawkinsら、(2006年)、Biochem. Soc. Trans. 34巻:647頁)。例えば、AKTは、細胞膜に転位されるためにPtdIns(3,4,5)P3(または「PIP3」)分子の形成を必要とするため、PI3−キナーゼ活性の結果として活性化される。次いで、PIP3において、AKTは、ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1(PDPK1)と呼ばれる別のキナーゼによってリン酸化されることによって、活性化される。「PI3K/AKT」シグナル伝達経路は、非常に多様な細胞活性、最も顕著には細胞増殖および生存に必要とされることが証明された。
【0110】
AKTおよびPDK1に加えて、別の関連セリントレオニンキナーゼSGKは、PI3−キナーゼ活性の結果として生成されるPIP3分子に結合する。PI3Kは、長期的増強作用(LTP)に関与することも示唆された。PI3K経路は、また、mTOR、GSK3βおよびPSD−95を含む他の多くのタンパク質を下流に補充する。
【0111】
本明細書に使用されているように、「PI3K阻害剤」という用語は、その基質の少なくとも1つに対するクラスI、IIまたはIIIのPI3Kの少なくとも1つの活性を阻害する化合物(例えば、3−リン酸ホスファチジルイノシトール(PI(3)P)、(3,4)−ビスリン酸ホスファチジルイノシトール(PI(3,4)P)または(3,4,5)−トリリン酸ホスファチジルイノシトール(PI(3,4,5)P)を生成するためのリン酸化ホスファチジルイノシトール)を指す。当業者は、ワートマニンまたはLY294002などの化合物がPI3K阻害剤であるかどうかを容易に判断することができる。当該化合物またはリガンドを識別する具体的な方法は、例えば、米国特許第5,858,753号;同第5,882,910号;および同第5,985,589号、Jacksonら、(2005年)、Nat. Med. 11巻:507頁、Pomelら、(2006年)、J. Med. Chem. 49巻:3857頁;Palankiら、(2007年)、J. Med. Chem. 50巻:4279頁に開示されており、それらの方法は、参照により本明細書に組み込まれている。
【0112】
一部の実施形態において、PI3K阻害剤は、クラスIのPI3Kの活性を阻害する。例えば、PI3K阻害剤は、p110α、p110β、p110γまたはp110δを阻害することができる。好適な実施形態において、PI3K阻害剤は、未処理のp110γまたはp110δと比較して、p110γまたはp110δの活性を阻止または抑制する。一部の実施形態において、PI3K阻害剤は、クラスIIのPI3Kの活性を阻害する。例えば、PI3K阻害剤は、PI3K−C2α、PI3K−C2βまたはPI3K−C2γを阻害することができる。一部の実施形態において、PI3K阻害剤は、クラスIIIのPI3K、Vps34の活性を阻害する。
【0113】
一部の実施形態において、PI3K阻害剤は、特定のPI3Kイソ型に対して選択的または特異的である。阻害剤は、特定のPI3Kイソ型を他のPI3Kイソ型より効果的に阻害する場合に、特定のPI3Kイソ型に対して「選択的」または「特異的」である。例えば、特定のPI3Kイソ型に対して特異的な阻害剤は、特定のPI3Kイソ型に対するIC50が他のPI3Kイソ型に対するIC50の多くとも約1/10(例えば、多くとも約1/20、1/30、1/40、1/50、1/60、1/80、1/100、1/200、1/300、1/400、1/500、1/600、1/800または1/1000)であり得る。例えば、p110δ特異的阻害剤は、p110δに対するIC50値が他のPI3Kイソ型(例えば、p110α、p110βまたはp110γ)に対するIC50の多くとも約1/10であり得る。
【0114】
好適な実施形態において、PI3K阻害剤は、p110α、p110β、p110γまたはp110δに対して特異的である。一部の実施形態において、PI3K阻害剤は、2つ以上のクラスまたはサブクラスのPI3Kを阻害する。一部の実施形態において、PI3K阻害剤は、mTOR阻害剤でもある。
【0115】
好適なPI3K阻害剤は、LY294002(2−モルホリン−4−イル−8−フェニルクロメン−4−オン)またはワートマニンである。LY294002およびワートマニンの両方がPI3Kに対する広範な阻害剤であり、mTORを阻害することもできる。CD37特異的結合分子との組合せ治療に有用なPI3K阻害剤は、PX−866などのワートマニン誘導体を含む(Ihleら、Mol Cancer Ther 3:763巻〜72頁、2004年参照)。
【0116】
本開示に有用な例示的なp110γ特異的阻害剤は、フラン−2−イルメチレンチアゾリジンジオン(AS−252424)(Pomelら、2006年、前出参照)および3,3’−(2,4−ジアミノプテリジン−6,7−ジイル)ジフェノール(Palankiら、前出参照)を含む。本開示に有用な例示的なp110δ特異的阻害剤は、IC486068およびIC87114(ICOS Corp.、現Eli Lilly and Company)ならびにCAL−101およびCAL−263(Calistoga Pharmaceuticals)を含む。CD37特異的結合分子と併用することができる別のPI3K阻害剤は、p110δおよびp110β阻害を有するPI3K阻害剤であるCAL−120(Calistoga Pharmaceuticals)である。CD37特異的結合分子と併用することができる別の例示的なPI3K阻害剤は、p110αおよびP110δ選択的阻害剤であるGDC−0941ビスメシレート(2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−(4−メタンスルホニル−ピペラジン−1−イルメチル)−4−モルホリン−4−イル−チエノ[3,2−D]ピリミジン、ビメシレート塩)である。
【0117】
さらなるPI3K阻害剤は、PCT公開第WO2009/059030に開示されているピラゾール誘導体、国際公開第2009/068482号に開示されているアミノトリアゾール誘導体、国際公開第2009/040552号に開示されているイミダゾチアジアゾール化合物、国際公開第2009/064802号に開示されているp110δに対して特異的な融合ピリミジン−4−オン化合物、国際公開第2009/066084号に開示されている、p110αを阻害するモルホリノ−ピリミジン化合物、国際公開第2009/042607号に開示されている4−ピリミジン−4−イル−モルホリン誘導体、国際公開第2009/036082号に開示されている4−モルホリン−4−イル−チエノピリミジン化合物、国際公開第2009/055418号に開示されているピリドスルホンアミド誘導体、国際公開第2009039140号に開示されている、p110αおよび/またはp110γを阻害するピリドピリミジン誘導体、国際公開第2009046448号に開示されている、p110αを阻害する複素環式誘導体、国際公開第2008/152394号および国際公開第2008/152390号に開示されているp110δに対して特異的なフラノピリミジンおよびゾロピリミジン、国際公開第2008/152387号に開示されているp110δに対して特異的なキナゾリン化合物、国際公開第2009/045175号に開示されているピリミジン置換プリン誘導体、国際公開第2009/052145号に記載されているチエノピリミジンおよびピラゾロピリミジン化合物、国際公開第2009/070524号に開示されているイミダゾロピリミジン、ピロロピリミジンおよびピラゾロピリミジン類似体、国際公開第2008/138834号に開示されている置換イミダゾピリダジン、国際公開第2009/053715号に開示されているp110δに対して選択的なチエノピリミジン誘導体、国際公開第2009/053716号に開示されているp110δに対して選択的なプリン誘導体、国際公開第2009/045174号に開示されている2−(モルホリン−4イル)置換プリン誘導体、米国特許第6,518,277号および同第6,800,620号および米国出願公開第2005/0261317号に開示されているPI3Kδ(p110δ)阻害剤、ならびにBGT226、XL765およびBEZ235(Novartis)を含む。
組合せおよび医薬組成物
本開示は、mTOR阻害剤、PI3K阻害剤またはそれらの任意の組合せを有するCD37特異的結合分子を含む組合せおよび医薬組成物を提供する。
【0118】
一部の実施形態において、本開示は、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤を提供する。CD37特異的結合分子は、CD37特異的抗体、scFv、Fab、SMIP、PIMSおよびSCORPIONポリペプチドを含む、本明細書に提供されるか、または当該技術分野で公知であるいずれか1つであってよい。mTOR阻害剤は、当該技術分野で公知であるか、または本明細書に提供されるいずれか1つであってよい。例えば、一部の実施形態において、本開示の組合せまたは組成物は、CD37特異的抗体またはSMIPタンパク質、およびシロリムス、テムシロリムス、デホロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、クルクミンまたはファルネシルチオサリチル酸から選択されるmTOR阻害剤を含む。他の好適な実施形態において、該組成物は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308、またはそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、あるいは配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、60、80、82、84、86、88または253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドを含む。
【0119】
一部の好適な実施形態において、本開示の組合せまたは組成物は、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにシロリムス、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにテムシロリムス、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにエベロリムス、(4)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにデホロリムス、(5)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにPP242、あるいは(6)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにPP30を含む。一部の他の好適な実施形態において、本開示の組合せまたは組成物は、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにシロリムス、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにテムシロリムス、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにエベロリムス、(4)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにデホロリムス、(5)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにPP242、あるいは(6)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにPP30を含む。他の好適な実施形態において、本開示の組合せまたは組成物は、(1)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびシロリムス、(2)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびテムシロリムス、(3)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびエベロリムス、(4)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびデホロリムス、(5)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびPP242、あるいは(6)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびPP30を含む。
【0120】
さらなる実施形態において、本開示は、CD37特異的結合分子およびPI3K阻害剤を提供する。CD37特異的結合分子は、CD37特異的抗体、scFv、Fab、SMIP、PIMSおよびSCORPIONポリペプチドを含めて、本明細書に提供されるいずれか1つであってよい。PI3K阻害剤は、当該技術分野で公知であるか、本明細書に提供されるいずれか1つであってよい。例えば、一部の実施形態において、本開示の組合せまたは組成物は、本開示の組合せまたは組成物は、CD37特異的抗体またはSMIPタンパク質、ならびにLY294002、ワートマニン、p110γ特異的阻害剤およびp110δ特異的阻害剤から選択されるPI3K阻害剤を含む。これらの実施形態のいくつかにおいて、該組成物は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308、またはそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、あるいは配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、60、80、82、84、86、88または253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドを含む。
【0121】
一部の実施形態において、本開示の組合せまたは組成物は、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにLY294002、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにp110γ特異的阻害剤、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにp110δ特異的阻害剤を含む。一部の他の実施形態において、本開示の組成物は、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにLY294002、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにp110γ特異的阻害剤、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにp110δ特異的阻害剤を含む。一部のさらなる実施形態において、本開示の組成物は、配列番号253およびLY294002、または配列番号253およびp110γ特異的阻害剤、または配列番号253およびp110δ特異的阻害剤を含むCD37特異的SMIPポリペプチドを含む。
【0122】
一部の実施形態において、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤は、溶液または懸濁液で処方される。当該製剤において、CD37特異的結合分子とmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤とのモル比は、1:1000から1000:1、例えば、1:1000から1:500、1:500から1:100、1:100から1:10、1:10から1:1、1:5から5:1、1:1から10:1、10:1から1:10、10:1から100:1、100:1から500:1または500:1から1000:1の範囲であってよい。
【0123】
医薬組成物は、好ましくは、1つまたは複数の薬学的に許容し得る担体を含む。「薬学的または薬理学的に許容し得る」という語句は、以下に記載されるように、当該技術分野で周知の経路を使用して投与されたときにアレルギーまたは他の有害な反応をもたらさない分子体および組成物を指す。「薬学的に許容し得る担体」は、あらゆる臨床的に有用な溶媒、懸濁媒体、コーティング、抗菌および抗真菌薬、等張および吸収遅延薬等を含む。加えて、化合物は、水または一般的な有機溶媒との溶媒和物を形成することができる。当該溶媒和物も企図される。
【0124】
本開示の医薬組成物に使用できる好適な薬学的に許容し得る担体は、水、薬学的に許容し得る有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンゴム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトースおよび薬学的に許容し得る界面活性剤などを含む。使用される担体は、本開示の剤形に応じて上記の物質またはそれらの組合せから適宜選択されるが、それらに限定されない。
【0125】
医薬組成物の製剤は、選択される投与経路に応じて異なる(例えば、液剤、乳剤、錠剤)。液剤または乳剤については、好適な担体は、例えば、食塩水および緩衝媒体を含む水性またはアルコール/水溶液、エマルジョンあるいは懸濁液を含む。非経口媒体は、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースおよび塩化ナトリウム、乳酸加リンゲルまたは不揮発油を含むことができる。静脈内媒体は、様々な添加剤、防腐剤、または液体、栄養物もしくは電解質補充液を含むことができる。
【0126】
様々な水性媒体、例えば、水、緩衝水、0.4%食塩水、0.3%グリシンまたは水性懸濁液は、活性化合物(例えば、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤)と水性懸濁液の製造に好適な賦形剤との混合物を含むことができる。当該賦形剤は、懸濁剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴムおよびアカシアゴムである。分散剤または湿潤剤は、天然ホスファチド、例えば、レシチン、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、またはエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチル−エネオキシセタノール、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレート、またはエチレンオキシドと、脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビトールモノオレートであってよい。水性懸濁液は、1つまたは複数の防腐剤、例えば、エチル、またはn−プロピル、p−ヒドロキシベンゾエートを含むこともできる。
【0127】
結合分子、阻害剤または組合せ組成物を貯蔵のために凍結乾燥させ、使用前に好適な担体で再構成することができる。この技術は、従来の免疫グロブリンに有効であることが証明された。任意の好適な凍結乾燥および再構成技術を採用することができる。凍結乾燥および再構成は、様々な程度の抗体活性低下を招き得ること、および使用量を調整して補償しなければならないことを当業者なら理解するであろう。
【0128】
水を添加することによって水性懸濁液を製造するのに好適な分散性粉末および顆粒は、活性化合物と、分散または湿潤剤、懸濁剤および1つまたは複数の防腐剤との混合物を与える。好適な分散または湿潤剤および懸濁剤は、以上に既に挙げられたものによって例示される。
【0129】
一部の実施形態において、本開示の医薬組成物は、経口投与に好適な形、例えば丸剤、カプセル剤、液剤または懸濁液の形であってよい。当該製剤は、経口製剤を製造するための当該技術分野で公知の任意の方法によって製造され、甘味料、香料、着色剤および防腐剤を含む1つまたは複数の薬剤を含むことができる。錠剤の形の場合は、該組成物は、錠剤賦形剤、例えば充填剤または希釈剤(例えば、炭酸カルシウムもしくはナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムもしくはナトリウム)、崩壊剤(トウモロコシデンプンもしくはアルギン酸)、結合剤(例えば、デンプン、ゼラチンもしくはアカシア)、滑剤、潤滑剤(ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸もしくはタルク)、粘着防止剤、香料または着色剤を含むことができる。
【0130】
これらの製剤におけるCD37特異的結合分子またはmTORもしくはPI3K阻害剤の濃度は、広い範囲、例えば、約0.5重量%未満、通常は約1重量%または少なくとも約1重量%から15もしくは20重量%程度までであってよく、主として、選択される特定の投与方式に従って、液体容量、粘度等に基づいて選択されることになる。非経口注射のための典型的な医薬組成物を、1mLの無菌緩衝水および50mgの抗体を含むように構成することが可能である。静脈内注入のための組成物を、250mlの無菌リンゲル液および150mgの抗体を含むように構成することが可能である。非経口投与可能な組成物を製造するための実際の方法は、当業者に公知または明らかであり、例えばRemington’s Pharmaceutical Science、第15版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.(1980年)により詳細に記載されている。
【0131】
医薬組成物は、無菌注射可能水性、油性懸濁液、分散液、または無菌注射可能溶液もしくは分散液の即時調合のための無菌粉末の形であってよい。以上に挙げられた好適な分散または湿潤剤および懸濁剤を使用して、公知の技術により懸濁液を調製することができる。無菌注射可能製剤は、例えば1,3−ブタンジオールなどの無毒性の非経口投与に許容し得る希釈剤または溶媒による無菌注射可能液または懸濁液であってもよい。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合物、植物油、リンゲル溶液および等張性塩かナトリウム溶液を含む溶媒または分散媒体であり得る。加えて、無菌不揮発油は、溶媒または懸濁媒体として従来使用されている。この目的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む任意のブランドの不揮発油を採用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が、注射薬の製造に使用される。
【0132】
いずれの場合も、剤形は、無菌でなくてはならず、容易なシリンジ注入性が存在する程度に流動的でなければならない。例えば、レシチンなどのコーティングを使用すること、分散液の場合は必要な粒径を維持すること、および界面活性剤を使用することによって適正な流動性を維持することができる。それは、製造および貯蔵条件下で安定でなければならず、細菌および真菌などの微生物の汚染作用から保護されなければならない。微生物の作用の防止を様々な抗菌剤または抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸またはチメロサル等によって果たすことができる。多くの場合、等張剤、例えば糖または塩化ナトリウムを含むことが望ましい。注射可能組成物の長時間吸収を、吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンを組成物に使用することによって果たすことができる。
【0133】
投与に有用な組成物を、取込みまたは吸収エンハンサを用いて調製してそれらの効果を向上させることができる。当該エンハンサは、例えば、サリチレート、グリココレート/リノレート、グリコレート、アプロチニン、バシトラクチン、SDSおよびカプレート等を含む。例えば、Fix (J. Pharm. Sci.、85巻:1282〜1285頁、1996年)およびOliyaiおよびStella(Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol.、32巻:521〜544頁、1993年)を参照されたい。
【0134】
加えて、本開示において使用されることが企図される組成物の親水性および疎水性の特性を十分に均衡させることによって、インビトロおよび特にインビボ用途に対するそれらの利用性を向上させるのに対して、当該均衡を欠く他の組成物は、実質的により利用性が低い。具体的には、本開示において使用されることが考えられる組成物は、体での吸収および生体適合性を可能にする水性媒体への適切な溶解度を有しながら、化合物が細胞膜を横断して推定作用部位に達することを可能にする脂質への溶解度を有する。したがって、考えられる抗体組成物は、それらを目標抗原活性の部位に送達できる場合に最も効果的である。
【0135】
静脈内注入に好適なCD37特異的結合分子の例示的な組成物は、CD37特異的抗体(例えば、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308またはそれぞれ配列番号309および310を含む抗体)を約0.5から約25mg/ml、例えば、約0.5から約2.5mg/ml、約2.5から約10mg/mlおよび約10から約25mg/mlの濃度範囲で含む。
【0136】
皮下投与に好適なCD37特異的結合分子の例示的な組成物は、CD37特異的抗体(例えば、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308またはそれぞれ配列番号309および310を含む抗体)を約25から約250mg/ml、例えば、約25から約100mg/ml、および約100から約250mg/mlの濃度範囲で含む。
【0137】
静脈内注入に好適なCD37特異的結合分子の例示的な組成物は、CD37特異的SMIPポリペプチド(例えば、配列番号253を含むSMIPポリペプチド)を約0.5から約25mg/ml、例えば、約0.5から約2.5mg/ml、約2.5から約10mg/mlおよび約10から約25mg/mlの濃度範囲で含む。
【0138】
皮下投与に好適なCD37特異的結合分子の例示的な組成物は、CD37特異的SMIPポリペプチド(例えば、配列番号253を含むSMIPポリペプチド)を約25から約250mg/ml、例えば、約25から約100mg/ml、および約100から約250mg/mlの濃度範囲で含む。
【0139】
mTOR阻害剤の例示的な組成物は、経口投与に好適な0.1から5mg/ml(例えば1mg/ml)の濃度範囲のラパマイシンを含む溶液である。mTOR阻害剤の別の例示的な組成物は、経口投与に好適な0.1から5mg(例えば、0.1から0.5mg、0.5から1mg、1から2mg、2から3mg、または3から5mg;あるいは0.25、0.5、1または2mg)のラパマイシンを含む錠剤である。mTOR阻害剤の別の例示的な組成物は、約0.1から約10mg/ml(例えば、0.1から0.5mg/ml、0.5から1mg/ml、1から5mg/mlまたは5から10mg/ml;または約0.5、1または2mg/ml)の濃度範囲のラパマイシンを含む経口溶液である。mTOR阻害剤の別の例示的な組成物は、1から50mg/ml(例えば、1から5mg/ml、5から10mg/ml、10から20mg/ml、20から30mg/mlまたは30から50mg/ml;あるいは5、10または25mg/ml)の濃度範囲のテムシロリムスを含む溶液である。当該組成物を、静脈内注入を介する投与の前にさらに希釈することができる。mTOR阻害剤の別の例示的な組成物は、経口投与に好適な1から25mg(例えば、1から2.5mg、2.5から5mg、5から10mgまたは10から25mg、あるいは1、2.5、5、10、15、20または25mg)のエベロリムスを含む錠剤である。PI3K阻害剤の他の例示的な組成物は、CAL−101、CAL−120およびCAL−263の経口製剤である。当該経口製剤は、約50mgから約500mg、例えば約50mgから約100mg、約100mgから約200mg、約200mgから約300mg、約300mgから約400mgおよび約400mgから約500mgを含むことができる。
【0140】
治療方法
本開示は、異常B細胞活性に関連する疾患もしくは障害(例えば、B細胞癌および自己免疫または炎症性疾患)を有するか、または有することが疑われる被験体において、B細胞の数を減少させるか、または該疾患または障害を治療するための方法を提供する。該方法は、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤、CD37特異的結合分子およびPI3K阻害剤、またはそれらの任意の組合せを用いて被験体を治療することを含む。CD37特異的結合分子(例えば、抗CD37抗体またはSMIPタンパク質)とmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤との組合せは、B細胞の数を減少させるか、または異常B細胞活性に関連する疾患もしくは障害を治療するために相乗的に作用することができる。
【0141】
相乗的に作用する2つ以上の化合物は、化合物の複合効果が、単独で投与された場合の各化合物の個々の効果の合計を上回るように相互作用する(例えば、Berenbaum、Pharmacol.、改訂版41巻:93頁、1989年参照)。例えば、CD37特異的SMIPと別の薬剤または化合物との相互作用を様々な機構的および経験的モデルによって分析することができる(例えば、Ouzounovら、Antivir.、改訂版55巻:425頁、2002年参照)。薬剤の組合せの相互作用を分析するために広く使用されている手法は、薬剤(d、d)の組合せがグラフ上の点によって表され、その軸が個々の薬剤の投与量軸であるアイソボール(アイソボログラムとも称する等効果曲線)の構造を採用する(Ouzounovら、前出参照;Tallarida、J. Pharmacol. Exp. Therap. 298巻:865頁、2001年をも参照)。
【0142】
当該技術分野で公知の薬物間相互作用(アンタゴニズム、加算性、相乗性)を分析するための別の方法は、単独および組み合わせて投与される化合物のIC50値の推定値を与える半有効量の原理に従う組合せ指数(CI)の測定を含む(例えば、Chou. In Synergism and Antagonism Chemotherapy、編:Chou and Rideout. Academic Press、San Diego Calif.、61〜102頁、1991年;CalcuSyn(商標)ソフトウェア参照)。1未満のCI値は、相乗的活性を表し、1に等しいCI値は、加算的活性を表し、1を超えるCI値は、アンタゴニズムを表す。
【0143】
さらに別の例示的な方法は、独立効果法である(PritchardおよびShipman、Antiviral Res. 14巻:181頁、1990年;PritchardおよびShipman、Antiviral Therapy 1巻:9頁、1996年;MacSynergy(商標)IIソフトウェア、University of Michigan、Ann Arbor、Mich)。MacSynergy(商標)IIソフトウェアは、計算加算表面を観察データと比較して、統計的に推定化合物相互作用を超える領域(相乗)または推定化合物相互作用を下回る領域(アンタゴニズム)を(数値の形で)表す示差的プロットを生成することによって、化合物相互作用の三次元(3−D)調査を可能にする。例えば、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を含む組成物は、相乗ピークの容量によって計算される、もたらされた相乗性の容量が好ましくは加算効果(すなわち、加算された単独の各薬剤の効果)より約15%大きく、加算効果より約50%大きく、好ましくは約2倍から10倍大きく、あるいは好ましくは約3倍から5倍大きい場合に相乗的活性を有するか、または相乗効果を有すると考えられる。
【0144】
さらなる実施形態において、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を、B細胞悪性疾患またはB細胞癌の治療において相乗的に作用するように投与することができる。例示的なB細胞悪性疾患またはB細胞癌は、B細胞リンパ腫、例えば様々な形のホジキン病、非ホジキンリンパ腫(NHL)または中枢神経系リンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、白血病、例えば、前リンパ球性白血病、急性リンパ球性白血病(ALL)、急性骨髄性白血病(AML)、慢性リンパ性白血病(CLL)、毛様細胞性白血病および慢性筋芽細胞性白血病および骨髄腫(多発性骨髄腫など)を含む。さらなるB細胞癌は、小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫(ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含む)、辺縁帯リンパ腫(脾臓辺縁帯リンパ腫および結節辺縁帯B細胞リンパ腫を含む)、形質細胞骨髄腫/形質細胞腫、骨の孤立性形質細胞腫、骨外形質細胞腫、結節辺縁帯リンパ腫、粘膜関連(MALT)リンパ組織の結節外辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、静脈内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、悪性の可能性が不確定なB細胞増殖、リンパ腫様肉芽腫症および移植後リンパ増殖性障害を含む。
【0145】
一部の実施形態において、本開示の化合物、組成物または組合せを使用して治療することができるB細胞悪性疾患は、バーキットリンパ腫である。バーキットリンパ腫(または「バーキットB細胞悪性疾患」または「バーキット腫瘍」または「バーキット型悪性リンパ腫」)は、リンパ系(特にBリンパ球)の癌である。それを3つの主たる臨床的変種、すなわち地方病性、散発性および免疫不全関連変種に分類することができる。
【0146】
本開示の化合物、組成物または組合せを用いて治療することができる非バーキットB細胞悪性疾患は、B細胞慢性リンパ性白血病(CLL)/小リンパ球性リンパ腫、B細胞前リンパ球性白血病、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、リンパ形質細胞性リンパ腫(ワルデンシュトレームマクログロブリン血症を含むが、それに限定されない)、辺縁帯リンパ腫(脾臓辺縁帯リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、および粘膜関連リンパ組織(MALT)形の結節外辺縁帯域B細胞リンパ腫を含むが、それらに限定されない)、毛様細胞性白血病、形質細胞性骨髄腫/形質細胞腫、濾胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、形質転換大細胞型B細胞リンパ腫、縦隔大細胞型B細胞リンパ腫、静脈内大細胞型B細胞リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫および非ホジキンリンパ腫(NHL)を含む。
【0147】
本開示の組成物および組合せ治療は、自己抗体生成によって特徴づけられる障害(例えば自己免疫疾患)の治療にも有用である。自己免疫疾患は、関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、骨関節炎、多発性軟骨炎、乾癬性関節炎、乾癬、皮膚炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、封入体筋炎、炎症性筋炎、中毒性表皮壊死症、全身性強皮症および硬化症、CREST症候群、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、呼吸困難症候群、髄膜炎、脳炎、ブドウ膜炎、大腸炎、糸状体腎炎、アレルギー状態、湿疹、喘息、T細胞の浸透および慢性炎症性応答を含む状態、アテローム硬化症、自己免疫心筋炎、白血球粘着因子欠乏症、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、亜急性皮膚紅斑性狼瘡、狼瘡、若年発症糖尿病、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎、神経髄膜炎、リウマチ熱、Syndenham舞踏病、サイトカインおよびTリンパ球に媒介される急性および遅延型過敏症に関連する免疫反応、結核、類肉腫症、ウェジナー肉芽腫およびチャーグ・ストラウス病を含む肉芽腫、顆粒球減少症、血管炎(過敏症血管炎/脈管炎、ANCAおよびリウマチ様血管炎を含む)、再生不良性貧血、ダイアモンドブラックファン貧血、自己免疫溶血性貧血(AIHA)を含む免疫溶血性貧血、悪性貧血、赤芽球癆(PRCA)、第VIII因子欠乏症、血友病A、自己免疫好中球減少症、汎血球減少症、白血球減少症、白血球漏出性出血を含む疾患、中枢神経系(CNS)炎症性障害、多臓器傷害症候群、重症筋無力症、抗原抗体複合体媒介疾患、抗腎糸球体基底膜疾患(anti−glomerular basement membrane disease)、抗リン酸脂質抗体症候群、アレルギー性神経炎、ベーチェット病、カストルマン症候群、グッドパスチャー症候群、ランバート・イートン能無力性症候群、レイナウド症候群、シェーグレン症候群、スティーブンス・ジョンソン症候群、固体臓器移植拒絶、移植片対宿主病(GVHD)、天疱瘡様水疱、天疱瘡、自己免疫多腺性内分泌障害、血清陰性脊椎関節症、ラウテル病、スティッフマン症候群、巨大細胞関節炎、免疫複合体腎炎、IgA腎症、IgM多発性神経障害またはIgM媒介神経障害、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、ヘーノホ・シェーンライン紫斑病、自己免疫血小板減少症、自己免疫睾丸炎および卵巣炎を含む睾丸および卵巣の自己免疫疾患、一次甲状腺機能低下症;自己免疫甲状腺炎を含む自己免疫内分泌疾患、慢性甲状腺炎(ハシモト甲状腺炎)、亜急性甲状腺炎、特発性甲状腺機能低下症、アジソン病、グレーヴズ病、自己免疫多腺症候群(または多腺性内分泌障害症候群)、インシュリン依存性真性糖尿病(IDDM)およびシーハン症候群とも呼ばれるI型糖尿病;自己免疫肝炎、リンパ球性間質肺炎(HIV)、閉鎖性気管支梢炎(非移植)対NSIP、ギラン・バレー症候群、大形血管炎(リウマチ性多発筋痛および巨大細胞(タカヤス)関節炎を含む)、中形血管炎(カワサキ病および結節性多発性動脈炎を含む)、結節性多発性動脈炎(PAN)強直性脊椎炎、バージャー病(IgA腎症)、急速進行性糸状体腎炎、一次胆汁性肝硬変、腹腔鵞口瘡(グルテン性腸症)、寒冷グロブリン血症、肝炎に関連する寒冷グロブリン血症、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、冠動脈疾患、家族性地中海熱、微視的多発性血管炎、コーガン症候群、ウィスコット・オールドリッチ症候群および閉塞性血栓血管炎、自己免疫甲状腺疾患(グレーヴズ病およびハシモト甲状腺炎)、シェーグレン症候群、ならびに皮膚筋炎(DM)および多発性筋炎(PM)を含む特発性炎症性筋炎(IIM)を含む。
【0148】
本開示の組成物または組合せ治療は、好ましくは、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)(バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性白血病(precursor B−lymphoblastic lymphoma)およびマントル細胞リンパ腫を含む)、毛様細胞性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、CD37+樹状細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(lymphoplasmacystic lymphoma)、脾臓辺縁帯リンパ腫(splenic marginal zone lymphoma)、粘膜関連リンパ組織(MALT)の結節外辺縁帯域B細胞リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫(nodal marginal zone B−cell lymphoma)、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫(mediastinal (thymic) large B−cell lymphoma)、静脈内大細胞型B細胞リンパ腫(intravascular large B−cell lymphoma)および原発性滲出性リンパ腫などのB細胞リンパ腫または白血病を治療するために使用される。
【0149】
さらに、本開示の組成物または組合せ治療は、好ましくは、自己抗体生成によって特徴づけられる疾患、例えば、特発性炎症性筋障害(idiopathic inflammatory myopathy)、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、重症筋無力症、グレーヴズ病、I型真性糖尿病、抗腎糸球体基底膜疾患、急速進行性糸球体腎炎、バージャー病(IgA腎症)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、クローン病、潰瘍性大腸炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗リン脂質抗体症候群、視神経脊髄炎、多発性硬化症、自己免疫疾患、皮膚筋炎、多発性筋炎またはワルデンシュトレームマクログロブリン血症を治療するために使用される。他の好適な実施形態において、本開示の組成物または組合せ治療は、B細胞経路に関連する不適切なT細胞刺激によって特徴づけられる疾患を治療するために使用される。
【0150】
一部の場合において、遺伝子病変は、特定の癌に関連づけられるか、またはその原因であり得る。例えば、マントル細胞リンパ腫(MCL)は、t(11;14)(q13;q32)転位に密に関連することが細胞遺伝学的分析によって明らかになった(Rimokhら、Genes Chromo. Cancer 2巻:223頁(1990年);Lerouxら、Br. J. Haematol. 77巻:346頁(1991年);Vandenbergheら、Br. J. Haematol 81巻:212頁(1992年))。この転位は、免疫グロブリン重鎖遺伝子(IGH)をBCL−1座と並列させることで、CCND1遺伝子を上方制御し、その結果としてサイクリンD1を過剰発現させる(de Boerら、Cancer Res. 53巻:4148頁(1993年);de Boerら、Oncogene 10巻:1833頁(1995年))。サイクリンD1の過剰発現は、MCLの患者の100%に存在すると考えられるが、t(11;14)(q13;q32)は、70%から75%にしか見いだされない(Lerouxら、1991年;Vandenbergheら、1992年)。加えて、他の癌におけるこの転位の頻度は、B前リンパ球性白血病、形質細胞性白血病および繊毛リンパ腫を有する脾臓リンパ腫において10〜20%であり、慢性リンパ性白血病および多発性骨髄腫において2〜5%である(Huret、Atlas Genet. Cytogenet. Oncol、Haematol. (1998年5月))。さらなる実施形態において、本開示の組成物は、染色体転座t(11;14)(q13;q32)またはサイクリンD1過剰発現に関連するマントル細胞リンパ腫または多発性硬化症を治療するために使用される。
【0151】
本開示の方法は、CD37特異的結合分子を投与する工程およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を投与する工程を含む。一部の実施形態において、化合物の組合せを同じ薬学的に許容し得る担体にて一緒に、または個別に(ただし同時に)投与することができる。他の実施形態において、CD37免疫治療薬およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を任意の順序および任意の組合せで順次的に(例えば、1日、2日、3日、4日、5日、6日または7日の間隔;1週間、2週間、3週間または4週間の間隔等で)投与することができる。
【0152】
結合分子、阻害剤または組合せ組成物を経口投与、局所投与、経皮投与、非経口投与、吸入スプレー、膣投与、直腸投与、頭蓋内注射、またはそれらの任意の組合せにより投与することができる。個別に投与する場合は、CD37特異的阻害剤およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を同じ経路または異なる経路によって投与することができる。例えば、一実施形態において、CD37特異的結合分子を非経口投与し、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を経口投与し、それらを同時または順次投与することができる。本明細書に使用されている「非経口」という用語は、皮下注射、静脈内、筋肉内、嚢内注射または注入技術を含む。静脈内、皮膚内、筋肉内、乳房内、腹腔内、クモ膜下腔内、眼球後、肺内注射による投与および/または特定部位における外科移植も考えられる。一般に、組成物は、発熱性物質、ならびに受給者にとって有害であり得る他の不純物を本質的に含まない。特に静脈内注射または注入が、CD37特異的結合分子を投与するのに好適である。
【0153】
一実施形態において、投与は、部位への直接的な注入によって、あるいは製剤を内部に送達することができる持続送達または持続放出気孔を介して、治療を必要とする癌の部位または患部組織において実施される。例えば、生分解性微小球体またはカプセル、あるいは組成物の持続送達が可能な他の生分解性ポリマー構造(例えば、可溶性ポリペプチド、抗体または阻害剤)を癌の近くに移植される本開示の製剤に含めることができる。
【0154】
医薬組成物を患者の複数の部位に送達することができる。複数の投与を同時に、または一定時間にわたって行うことができる。場合によっては、医薬組成物の連続的な流れを与えることが有益である。さらなる投与を定期的に、例えば時間毎、日毎、週毎または月毎に投与することができる。
【0155】
本開示の結合分子、阻害剤または組成物および組合せは、1つまたは複数の結合分子、阻害剤またはその任意の組合せを含むことができる。結合分子、阻害剤、または組合せおよび組成物を、ステロイドまたはアセトアミノフェンによる前処理などのさらなる治療薬とともに投与することも本開示に考慮される。本開示に考慮されるさらなる治療薬を以下のパラグラフに列挙する。
【0156】
さらなる治療薬は、B細胞関連分子であってよい。本開示に考慮される他のB細胞関連分子や、CD37でないB細胞表面分子に結合する結合分子を含む。B細胞関連分子は、CD19(Bリンパ球性表面抗原B4またはLeu−12とも呼ばれるBリンパ球性抗原CD19)、CD20(CD20特異的結合分子は、TRU−015、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ)、CD21、CD22(Leu−14、Bリンパ球性細胞粘着分子またはBL−CAMとも呼ばれるB細胞受容体CD22)、CD23、CD40(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー5、CD40L受容体またはBp50とも呼ばれるB細胞表面抗原CD40)、CD80(活性化B7−1抗原、B7、B7−1またはBB1とも呼ばれるTリンパ球活性化抗原CD80)、CD86(活性化B7−2抗原、B70、FUN−1またはBU63とも呼ばれるTリンパ球活性化抗原CD86)、CD137(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9とも呼ばれる)、CD152(細胞毒性Tリンパ球タンパク質4またはCTLA−4とも呼ばれる)、L6(膜間4スーパーファミリーメンバー1、膜成分表面マーカー1またはM3S1とも呼ばれる腫瘍関連抗原L6)、CD30(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー8、CD30L受容体またはKi−1とも呼ばれるリンパ球活性化抗原CD30)、CD50(細胞間粘着分子−3(ICAM3)またはICAM−Rとも呼ばれる)、CD54(細胞間粘着分子−1(ICAM1)またはライノウィルス主要群とも呼ばれる)、B7−H1(活性化T細胞、B細胞および骨髄細胞によって発現され、PD−L1とも呼ばれる免疫阻害性受容体に対するリガンド;Dongら、「B7−H1、a third member of the B7 family、co−stimulates T−cell proliferation and interleukin−10 secretion」、Nat. Med.、5巻:1365〜1369頁、(1999年)参照、CD134(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー4、OX40、OX40L受容体、ACT35抗原、またはTAX転写活性化糖タンパク質1受容体とも呼ばれる)、41BB(4−1BBリガンド受容体、T細胞抗原4−1BBまたはT細胞抗原4−1BBまたはT細胞抗原ILA)、CD153(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー8、CD30リガンドまたはCD30−Lとも呼ばれる)、CD154(腫瘍壊死因子リガンドスーパーファミリーメンバー5、TNF関連活性化タンパク質、TRAPまたはT細胞抗原Gp39)、またはToll受容体等を含む。
【0157】
サイトカインおよび成長因子は、本開示に考慮されるさらなる治療薬であり、TNF、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18、IFN、G−CSF、Meg−CSF、GM−CSF、トロンボポエチン、幹細胞因子およびエリスロポエチンの1種または複数種を含む。本開示による医薬組成物または組合せは、他の公知のアンギオポエチン、例えば、Ang−1、Ang−2、Ang−4、Ang−Yおよび/またはヒトアンギオポエチン様ポリペプチドおよび/または血管内皮成長因子(VEGF)を含むこともできる。本開示の医薬組成物に使用される成長因子は、アンギオゲニン、骨形態形成タンパク質−1、骨形態形成タンパク質−2、骨形態形成タンパク質−3、骨形態形成タンパク質−4、骨形態形成タンパク質−5、骨形態形成タンパク質−6、骨形態形成タンパク質−7、骨形態形成タンパク質−8、骨形態形成タンパク質−9、骨形態形成タンパク質−10、骨形態形成タンパク質−11、骨形態形成タンパク質−12、骨形態形成タンパク質−13、骨形態形成タンパク質−14、骨形態形成タンパク質−15、骨形態形成タンパク質受容体IA、骨形態形成タンパク質受容体IB、脳誘導神経栄養因子、毛様体好中球因子、毛様体好中球因子受容体α、サイトカイン誘発好中球走化因子1、サイトカイン誘発好中球走化因子2α、サイトカイン誘発好中球走化因子2β、β内皮細胞成長因子、エンドセリン1、上皮成長因子、内皮誘導好中球誘引物質、線維芽成長因子4、線維芽成長因子5、線維芽成長因子6、線維芽成長因子7、線維芽成長因子8、線維芽成長因子8b、線維芽成長因子8c、線維芽成長因子9、線維芽成長因子10、酸性線維芽成長因子、塩基性線維芽成長因子、膠細胞系誘導好中球因子受容体α1、膠細胞系誘導好中球因子受容体α2、成長関連タンパク質、成長関連タンパク質α、成長関連タンパク質β、成長関連タンパク質γ、ヘパリン結合上皮成長因子、肝細胞成長因子、肝細胞成長因子受容体、インシュリン様成長因子I、インシュリン様成長因子受容体、インシュリン様成長因子II、インシュリン様成長因子結合タンパク質、ケラチノサイト成長因子、白血球阻害因子、白血球阻害因子受容体α、神経成長因子、神経成長因子受容体、ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、胎盤成長因子、胎盤成長因子2、血小板誘導内皮細胞成長因子、血小板誘導成長因子、血小板誘導成長因子A鎖、血小板誘導成長因子AA、血小板誘導成長因子AB、血小板誘導成長因子B鎖、血小板誘導成長因子BB、血小板誘導成長因子受容体α、血小板誘導成長因子受容体β、前B細胞成長刺激因子、幹細胞因子、幹細胞因子受容体、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、形質転換成長因子β1、形質転換成長因子β1.2、形質転換成長因子β2、形質転換成長因子β3、形質転換成長因子β5、潜在形質転換成長因子β1、形質転換成長因子β結合タンパク質I、形質転換成長因子β結合タンパク質II、形質転換成長因子β結合タンパク質III、腫瘍壊死因子受容体I型、腫瘍壊死因子受容体II型、ウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性体受容体、血管内皮成長因子およびキメラタンパク質、ならびにそれらの生体または免疫活性断片を含む。
【0158】
さらなる治療薬として考慮される化学治療薬の例は、アルキル化剤、例えば窒素マスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファランおよびクロラムブシル):ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)およびセムスチン(メチル−CCNU));エチレンイミンおよびメチル−メラミン(例えば、トリエチレンメラミン(TEM)、トリエチレンチオホスホルアミド(チオテパ)およびヘキサメチルメラミン(HMM、アルトレタミン));スルホン酸アルキル(例えばブスルファン);およびトリアジン(例えば、デカバジン(DTIC));抗代謝物質、例えば葉酸類似体(例えば、メトトレキセート、トリメトレキセートおよびペメトレキセド(多標的アンチホレート));ピリミジン類似体(5−フルオロウラシル(5−FU)、フルオロデオキシウリジン、ゲムシタビン、シトシンアラビノシド(AraC、シタラビン)、5−アザシチジンおよび2,2’−ジフルオロデオキシシチジンなど);プリン類似体(例えば、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、アザチオプリン、2’−デオキシコホルマイシン(ペントスタチン)、エリトロヒドロキシノニルアデニン(EHNA)、リン酸フルダラビン、2−クロロデオキシアデノシン(クラドリビン、2−CdA));カムプトテシン(CPT)、トポテカンおよびイリノテカンなどのI型トポイソメラーゼ阻害剤;エピポドフィロトキシンなどの天然物(例えば、エトポシドおよびテニポシド);ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよびビノレビン);アクチノマイシンD、ドキソルビシンおよびブレマイシンなどの抗腫瘍抗生物質;5−ブロモデオジウリジン、5−ヨードデオキシウリジンおよびブロモデオキシシチジンなどの放射線増感剤;シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンなどのプラチナ配位錯体;ヒドロキシ尿素などの置換尿素;N−メチルヒドラジン(MIH)およびプロカルバジンなどのメチルヒドラジン誘導体;ならびにベンダムスチンなどの二官能価化合物(プリン類似体およびアルキル化剤)を含む。
【0159】
自己免疫疾患の治療のために本開示に考慮されるさらなる治療薬は、治療されている個体の免疫系を抑制または遮断するように作用する免疫抑制薬と呼ばれる。免疫抑制薬は、例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、鎮痛薬、グルココルチコイド、関節炎の治療のための疾患調節抗リウマチ薬(DMARD)、または生体応答調節剤を含む。DMARD銘柄における組成物は、RAに加えて多くの他の自己免疫疾患の治療にも有効である。
【0160】
例示的なNSAIDは、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、VioxxおよびCelebrexなどのCox−2阻害剤、ならびにシアル化物からなる群から選択される。例示的な鎮痛薬は、アセトアミノフェン、オキシコドン、塩酸プロポルキシフェンのトラマドールからなる群から選択される。例示的なグルココルチコイドは、コルチソン、デキサメタソン、ヒドロコルチソン、メチルプレドニソロン、プレドニソロンまたはプレドニソンからなる群から選択される。例示的な生体応答調節剤は、細胞表面マーカー(例えば、CD19、CD20等)に向けられる分子、サイトカイン阻害剤、例えばTNFアンタゴニスト(例えば、エタネルセプト(Enbrel(登録商標)、アダリムマブ(Humira(登録商標)およびインフリキシマブ(Remicade(登録商標))、ケモカイン阻害剤、粘着分子阻害剤を含む。生体応答調節剤は、モノクローナル抗体ならびに組換え形の分子を含む。例示的なDMARDは、アザチオプリン、シクロホスファミド、シクロスポリン、メトトレキセート、ペニシラミン、レフルノミド、スルファサラジン、ヒドロキシクロロキン、ゴールド(経口(オーラノフィン)および筋肉内)およびミノサイクリンを含む。好適な実施形態において、本開示のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤組成物または組合せを含む抗CD37は、メトトレキセートとともに使用される。
【0161】
mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤組成物または組合せを含むCD37特異的結合分子およびさらなる治療薬を同じ製剤で調製および投与することができることが考えられる。代替的に、薬剤の各々を個別の製剤として並行して(例えば、同時に、または互いに数分以内に)、順次(各薬剤の投与の間に少なくとも数時間から1日または1週間以上の間隔をおいて)、あるいはそれらの方式を組み合わせて投与する。
【0162】
別の態様において、さらなる治療薬を結合分子、阻害剤または組合せ組成物の投与の前に投与する。前投与は、結合分子、阻害剤または組合せ組成物による治療の10分以上、数時間または1週間の範囲内でのさらなる治療薬の投与を指す。さらなる治療薬を、結合分子組成物の投与に続いて投与することがさらに考えられる。後続投与は、結合分子、阻害剤または組合せ組成物治療または投与後10分以上、数時間または数週間の範囲内での投与を示すことを意図する。
【0163】
結合分子をさらなる治療薬と組み合わせて投与し、さらなる治療薬がサイトカインまたは成長因子、あるいは化学治療薬である場合は、投与は、放射線治療薬または放射線治療を含むこともできることがさらに考えられる。抗体組成物と組み合わせて投与される放射線治療は、治療医による判断に従って、かつ癌の治療を受けている患者に典型的に与えられる投与量で投与される。
【0164】
本開示の組合せおよび医薬組成物(例えば、CD37特異的結合分子、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、あるいはさらなる治療薬を含む組合せまたは組成物)は、医療実施基準に合致した方式(例えば、量、スケジュールおよび経路)で投薬および投与される。この文脈において考慮される要因は、治療されている特定の障害または疾患、特定のCD37特異的結合分子、特定のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、(存在すれば)特定のさらなる治療薬、治療されている特定の哺乳類、個々の患者の臨床的条件、送達の部位、投与方法、投与スケジュールおよび医療実務者に公知の他の要因を含む。
【0165】
本開示の医薬組成物を単一投与量または複数投与量で投与することができる。標準的な投与量応答試験を、最初に動物モデル、次いで臨床試験に使用して、特定の疾患状態および患者集団に対する最適な投与量を決定することができる。
【0166】
概して、CD37特異的結合分子、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、あるいはさらなる治療薬の初期治療有効量は、例えば静脈内注射または注入あるいは皮下注射を介して投与する場合は、患者の体重1kg当たり約0.1から1000mg、例えば、患者の体重1kg当たり約0.1から1mg、約1から10mg、約10〜50mg、約50〜100mg、約100〜500mgまたは約500から1000mgの範囲であってよい。本開示による組合せ治療に使用される場合のCD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤の有効量は、単独で使用される場合の対応する量より少ない。特定のCD37特異的結合分子、特定のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、あるいは特定のさらなる治療薬の吸収、分布、代謝および分泌を含む薬物動態学的(PK)および薬力学的(PD)特性に応じて、CD37特異的結合分子、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、あるいはさらなる治療薬の投与を、毎週、毎月、3ヶ月毎、6ヶ月毎、毎年または2年毎に同じ投与量、または初期投与量と異なる投与量(例えば、初期投与量の3倍、2倍、3分の2、半分、3分の1、4分の1)で繰り返すことができる。
【0167】
経口投与される場合のCD−37特異的結合分子、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、あるいはさらなる治療薬の投与量は、CD37特異的結合分子、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、あるいはさらなる治療薬が0.1から1000mgの範囲、例えば、0.1から1mg、1から10mg、10から50mg、50から100mg、100から500mgまたは500〜1000mgの範囲であってよい。特定のCD37特異的結合分子、特定のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤、あるいは特定のさらなる治療薬の吸収、分布、代謝および分泌を含む薬理的(PK)および薬物(PD)特性に応じて、投与物を毎日2回、毎日1回、毎週1回、毎月1回、またはそれより多いか、もしくは少ない頻度で投与することができる。
【0168】
結合分子、阻害剤または組合せ組成物の投与は、治療薬の単一投与後にB細胞数を少なくとも20%減少させる。一実施形態において、B細胞数を少なくとも約20、約30、約40、約50、約60、約70、約80、約90または約100%減少させる。B細胞の減少は、正規範囲の下限を下回る絶対B細胞計数の減少として定義される。B細胞の回復は、対象の基線値または正規範囲の例えば70%、80%、90%までの絶対B細胞計数の復帰として定義される。さらに、本開示の結合分子、阻害剤または組合せ組成物の投与は、治療されている疾患または障害において所望の臨床効果をもたらす。
【0169】
いくつかの実施形態において、B細胞癌の患者は、本開示による治療を受け、当該技術分野で周知であり、広く使用されており、かつ以下に記載されている臨床基準に基づいて、腫瘍サイズの減少、主要数の減少または疾患症候の改善などの治療に対する全体的に有益な応答を示す。
【0170】
例示的な臨床基準は、癌のクラスを「無痛性」および「攻撃性」リンパ腫の臨床範疇に分類した米国国立癌研究所(NCI)によって提供される。無痛性リンパ腫は、細胞学的「等級」に分類される濾胞細胞リンパ腫、びまん性小リンパ球性リンパ腫/慢性リンパ性白血病(CLL)、リンパ形質細胞性/ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫および毛様細胞白血病を含む。攻撃性リンパ腫は、びまん性混合および大細胞型リンパ腫、バーキットリンパ腫/小切れ込み核細胞型びまん性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫およびAIDS関連リンパ腫を含む。場合によっては、攻撃性および濾胞性リンパ腫の場合は国際予後診断指数(IPI)が使用される。IPIにおいて考慮すべき要因は、年齢(60歳未満対60歳超)、血清ラクテートデヒドロゲナーゼ(正常値対高値)、パフォーマンスステータス(0または1対2〜4)(以下の定義参照)、疾患状態(IまたはII対IIIまたはIV)および結節部外介入(0または1対2〜4)を含む。2つ以上のリスク要因を有する患者は、無再発の可能性および5年の全体生存が50%未満である。
【0171】
攻撃性IPIにおけるパフォーマンスステータスは、以下のように定義される。等級内訳:0:疾患前のすべてのパフォーマンスを制限なく遂行することが可能である;1:物理的に激しい活動が制限されるが、歩行でき、軽作業または座業性の作業、例えば軽い家事、事務作業を遂行することが可能である;2:歩行でき、すべてのセルフケアが可能であるが、覚醒時間の50%以上にわたって作業活動を実施することが不可能である;3:ごく限られたセルフケアが可能であり、覚醒時間の50%を超える時間にわたって寝床または椅子で過ごす;4:完全に不能であり、セルフケアを実施することが不可能で、全面的に寝床または椅子で過ごす;および5:死亡(The International Non−Hodgkin’s Lymphoma Prognostic Factors Project. A predictive model for aggressive non−Hodgkin’s lymphoma. N. Engl. J. Med. 329巻:987〜94頁、1993年参照)。
【0172】
一般に、リンパ腫の等級は、低い等級のリンパ腫が、通常、結節疾患として存在し、しばしば無痛性であり、成長が遅いという基準を臨床的に評価される。中および高等級の疾患は、通常、大形結節外バルキー腫瘍を有するはるかに大きな疾患として存在する。
【0173】
Ann Arbor分類体系を使用して、腫瘍、特に非ホジキンリンパ腫の進行を測定することもできる。さらなる詳細については、The International Non−Hodgkin’s Lymphoma Prognostic Factors Project: A predictive model for aggressive non−Hodgkin’s lymphoma、New England. J. Med. (1993年)329巻:987頁を参照されたい。国立癌研究所と共同で開発されたNHLの評価のためのCheson基準(Chesonら、J Clin Oncol. 1999年、17巻:1244頁;Grillo−Lopezら、Ann Oncol. 2000年、11巻:399頁)によれば、疾患および疾患関連症候のすべての検出可能な臨床およびX線撮影形跡が完全に消え、すべてのリンパ節が正常な大きさに戻り、脾臓の大きさが退縮し、骨髄からリンパ腫がなくなると完全応答が得られる。同様の基準が、様々な他の形の癌または過剰増殖性疾患について開発されており、当業者にとって容易に利用可能である。例えば、CLLを評価するための基準について記載しているChesonら、Clin Adv Hematol Oncol.、2006年、4巻:4〜5頁;AMLに対する基準を記載しているChesonら、J Clin Oncol.2003年、21巻:4642〜9頁;脊髄形成異常性症候群に対する基準について記載しているChesonら、Blood 2000年、96巻:3671〜4頁を参照されたい。
【0174】
一態様において、本開示による方法の治療効果は、応答の程度によって測定され、例えば、部分的応答は、その本来のサイズの半分未満への腫瘍の減少と定義づけられる。完全応答は、臨床またはX線撮影評価によって確認される疾患の完全解消と定義づけられる。一実施形態において、本開示により治療を受けた個体は、治療に対して少なくとも部分的な応答を示す。別の実施形態において、未確認完全応答は、患者が、疾患の完全な消失を示し、脾臓のサイズが退縮するが、リンパ節の退縮が75%を超えており、骨髄が不確定である場合に得られる。未確認完全応答は、患者応答に対する基準を満たし、上回る。全体応答は、全体的な腫瘍付加の少なくとも50パーセントの減少と定義づけられる。
【0175】
別の態様において、B細胞癌を有する患者における治療応答は、治療を受けていない患者と比較して疾患進行の緩慢化として顕在する。緩慢化した疾患進行または上記要因のいずれかの測定を、骨スキャン、CTスキャン、ガリウムスキャン、リンパ管撮影法、MRI、PETスキャンおよび超音波等を含む当該技術分野で周知の技術を使用して実施することができる。
【0176】
一部の実施形態において、B細胞の数を減少させるか、あるいは異常B細胞活性に関連する疾患または障害を有するか、または有することが疑われる被験体における当該疾患または障害を治療する方法は、CD37特異的結合分子とmTOR阻害剤との組合せを用いて被験体を治療することを含む。例えば、該方法は、CD37特異的結合分子およびシロリムス、テムシロリムス、デホロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、クルクミンまたはファルネシルチオサリチル酸から選択されるmTOR阻害剤を、それを必要とする被験体に投与することを含むことができる。上記実施形態のいくつかにおいて、CD37特異的結合分子は、CD37特異的抗体またはCD37特異的結合分子である。
【0177】
さらなる実施形態において、CD37特異的分子は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308またはそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体である。さらなる実施形態において、CD37特異的結合分子は、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、60、80、84、86、88または253に示されるアミノ酸配列を含むSMIPポリペプチドなどのCD37特異的SMIPポリペプチドである。一部の好適な実施形態において、該組合せは、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにシロリムス、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにテムシロリムス、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにエベロリムス、(4)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにデホロリムス、(5)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにPP242、あるいは(6)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにPP30を含む。一部の他の好適な実施形態において、該組合せは、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにシロリムス、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにテムシロリムス、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにエベロリムス、(4)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにデホロリムス、(5)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにPP242、あるいは(6)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにPP30を含む。他の好適な実施形態において、該組合せは、1)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびシロリムス、(2)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびテムシロリムス、(3)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびエベロリムス、(4)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびデホロリムス、(5)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびPP242、あるいは(6)配列番号253を含むCD37特異的SMIPポリペプチドおよびPP30を含む。
【0178】
一部の他の実施形態において、B細胞の数を減少させるか、あるいは異常B細胞活性に関連する疾患または障害を有するか、または有することが疑われる被験体における当該疾患または障害を治療する方法は、CD37特異的結合分子とPI3K阻害剤との組合せを用いて被験体を治療することを含む。例えば、該方法は、CD37特異的結合分子およびLY294002、ワートマニン、p110γ特異的阻害剤またはp110δ特異的阻害剤から選択されるPI3K阻害剤を、それを必要とする被験体に投与することを含むことができる。上記実施形態のいくつかにおいて、CD37特異的結合分子は、CD37特異的抗体またはCD37特異的SMIPポリペプチドである。
【0179】
さらなる実施形態において、CD37特異的結合分子は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308またはそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体である。さらなる実施形態において、CD37特異的結合分子は、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、60、80、84、86、88または253に示されるアミノ酸配列を含むSMIPポリペプチドなどのCD37特異的SMIPポリペプチドである。一部の好適な実施形態において、該組合せは、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにLY294002、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにp110γ特異的阻害剤、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308を含むCD37特異的抗体、ならびにp110δ特異的阻害剤を含む。一部の他の好適な実施形態において、本開示の組合せは、(1)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにLY294002、(2)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにp110γ特異的阻害剤、(3)その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、ならびにp110δ特異的阻害剤を含む。他の好適な実施形態において、該組合せは、配列番号253に示されるアミノ酸配列とPI3K阻害剤LY294002、または配列番号253とp110γ特異的阻害剤、または配列番号253とp110δ特異的阻害剤を含むCD37特異的SMIPポリペプチドである。
【0180】
一部の好適な実施形態において、CD37特異的結合分子(例えば、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308、またはそれぞれ配列番号309および310を含むCD37特異的抗体、あるいは配列番号253を含むCD37特異的SMIP)を、1日から180日(例えば、1から7日、1から14日、1から30日、1から60日、1から90日、1から120日、1から150日;あるいは毎日、毎週、毎月、2ヶ月毎、3ヶ月毎、4ヶ月毎、5ヶ月毎または6ヶ月毎)の範囲の投与の間隔で、投与毎に被験体の体重1kg当たり約0.03mgから約20mg(例えば、0.03から0.1mg、0.1から0.5mg、0.5から2.5mg、2.5から5mg、5から7.5mg、7.5から10mg、10から12.5mg、12.5から15mg、15から17.5mgまたは17.5から20mg)の範囲の投与量で投与する。一部の好適な実施形態において、CD37特異的結合分子を、(例えば、例えば静脈内注入または注射を介して)静脈内投与する。一部の他の好適な実施形態において、CD37特異的結合分子を皮下投与する。
【0181】
一部の好適な実施形態において、ラパマイシンをCD特異的結合分子と組み合わせてmTOR阻害剤として使用する。ラパマイシンを、1日目の1から15mg(例えば、1から2.5mg、2.5から5mg、5から7.5mg、7.5から10mg、10から12.5mgまたは12.5から15mg、あるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15mg)の初期投与量に続いて、0.2から5mg(例えば、0.2から0.5mg、0.5から1mg、1から2mg、2から3mg、3から4mgまたは4から5mg;あるいは0.2、0.4、0.5、0.6、0.8、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5または5mg)の投与量を毎日維持することによって経口投与することができる。一部の実施形態において、ラパマイシンを、1日目の6mgの初期投与量に続いて、2mgの投与量を毎日維持することによって経口投与する。一部の他の実施形態において、ラパマイシンを、1日目の15mgまでの初期投与量に続いて、5mgの投与量を毎日維持することによって経口投与する。
【0182】
一部の好適な実施形態において、テムシロリムスをCD37特異的結合分子と組み合わせてmTORとして使用する。テムシロリムスを、静脈内注入を介して、約1から25mg(例えば、1から2.5mg、2.5から5mg、5から7.5mg、7.5から10mg、10から12.5mg、12.5から15mg、15から20mgまたは20から25mg、あるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24または25mg)の投与量で1週間に1回投与することができる。一部の実施形態において、テムシロリムスを、30〜60分にわたって25mgの投与量で静脈内注入を介して1週間に1回投与する。
【0183】
一部の好適な実施形態において、エベロリムスを、CD37特異的結合分子と組み合わせてmTOR阻害剤として使用する。エベロリムスを約1から約10mg(例えば、1から2.5mg、2.5から5mg、5から7.5mgまたは7.5から10mg;あるいは1、2、2.5、3、4、5、6、7、7.5、8、9または10mg)の投与量で毎日経口投与することができる。一部の実施形態において、エベロリムスを5mgの投与量で毎日経口投与する。一部の実施形態において、エベロリムスを10mgの投与量で毎日経口投与する。
【0184】
一部の好適な実施形態において、CAL−101、CAL−120またはCAL−263をCD37特異的結合分子とともにPI3K阻害剤として使用する。CAL−101、CAL−120またはCAL−263を約10から約500mg(例えば、10から25mg、25から50mg、50から75mg、75から100mg、100から150mg、150から200mg、200から250mg、250から300mg、300から350mg、350から400mg、400から450mgまたは450から500mg;あるいは10、20、25、30、40、50、60、70、75、80、90、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450または500mg)の範囲の投与量で毎日2回または1回経口投与することができる。一部の実施形態において、CAL−101を投与毎に50mg、100mg、200mgまたは350mgの投与量で毎日2回経口投与する。
【0185】
CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤が相乗的に所望の効果を発揮する(例えば、B細胞を減少または枯渇させるか、あるいは臨床的改善を達成する)ために、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤が、治療される被験体に同時に存在することが好ましい。一部の好適な実施形態において、CD37特異的結合分子は、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を投与した同一日に初期投与される。一部の他の好適な実施形態において、CD37特異的結合分子は、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤の初期投与の前の30日(例えば、1、2、3、4、5、6、7、10、14、21または30日)以内に初期投与される。一部のさらなる好適な実施形態において、CD37特異的結合分子は、mTOR阻害剤またはPI3K阻害剤の初期投与後の30日(例えば、1、2、3、4、5、6、7、10、14、21または30日)以内に初期投与される。
【0186】
キット
さらなる態様として、本開示は、本開示の方法を実行するためのそれらの使用を促進するように梱包された本開示の方法に有用な1つまたは複数の化合物または組成物を含むキットを含む。最も単純な実施形態において、当該キットは、本開示の方法を実行するための化合物または組成物の使用を説明するラベルが容器に添付されるか、または梱包体に含められた密閉ボトルまたは容器などの容器で梱包された本開示の方法の実行に有用な本明細書に記載の化合物または組成物を含む。好ましくは、該化合物または組成物を単位剤形で梱包する。キットは、好適な投与経路により組成物を投与するか、またはスクリーニングアッセイを実行するのに好適なデバイスをさらに含む。キットは、本開示の方法における結合分子組成物の使用を説明するラベルを含むことができる。
【0187】
一部の実施形態において、本開示のキットは、それらを同時にまたは順次的に投与する説明書を含む、または含まない、単位投与量、または独立単位投与量として互いに別々に梱包された、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を含む。例えば、マントル細胞リンパ腫を治療するのに好適な本開示のキットは、別々に梱包された、CD37特異的結合分子(例えば、CD37特異的抗体またはCD37特異的SMIPポリペプチド)の単位投与量およびmTOR阻害剤の単位投与量を含むことができる。一部の実施形態において、キットは、別の個別の容器にさらなる治療薬(例えば、CD20特異的結合分子(TRU−015、リツキシマブ、オファツムマブまたはオクレリズマブなど)、サイトカイン、ケモカイン、成長因子、化学治療薬または放射線治療薬)をさらに含むことができる。
【0188】
一部の他の実施形態において、CD37特異的結合分子およびmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤を処方する。得られた製剤を単位投与または複数投与容器で梱包することができ、使用直前に注射用水などの無菌液体媒体を添加することのみを必要とする凍結乾燥条件で貯蔵することができる。
【実施例】
【0189】
(実施例1)
CD37特異的結合分子
様々なCD37特異的結合タンパク質を、本明細書に提供される例示的な成分を用いて作製することができる。例えば、CD37特異的抗体またはSMIP分子を作製することができ、これらの分子はキメラ分子、ヒト化分子またはヒト分子であり得る。より具体的には、好適な軽鎖可変領域CDRは、配列番号236〜240および247〜254に見いだされ、好適な重鎖可変ドメインCDRは、配列番号241〜245および247〜254を含む。また、好適な軽鎖および重鎖可変領域は、それぞれ配列番号236〜240および配列番号241〜245に示される。好適な軽鎖および重鎖可変領域を配列番号247〜254に見いだすこともできる。好適な可変ドメインリンカーは、配列番号225〜229を含み、好適なヒンジは、配列番号230〜235を含む。
【0190】
好適なCD37特異的SMIPポリペプチドは、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、80、82、84、86、88、222および262(ただし、リーダー配列を除く)ならびに配列番号247〜254および266〜269を含む。特に好適な実施形態は、ヒトCD37に結合する組換え483アミノ酸単鎖融合タンパク質であるCAS−024[G28−1VH(M99F、Y102S)−VL(T25A)scFv(SSC−P)H WCH2 WCH3]である。結合ドメインは、重鎖CFR3および軽鎖CDR1に変異を含むG28−1抗体可変領域CDRに基づくヒト化scFvを含む。可変ドメインは、修飾上部およびコアIgG1ヒンジ領域(これらのヒンジ領域に見いだされる3つのシステインの最初の2つがセリンでそれぞれ置換されている)のアミノ末端に対する3アミノ酸接合(GDQ)を介して接続された(GS)(25アミノ酸)配列(配列番号229)によって結合される。ヒンジのカルボキシ末端は、IgGのCH2およびCH3ドメインを含むエフェクタードメインに縮合される。CAS−024のアミノ酸配列は配列番号253に示される。
【0191】
CD37特異的SMIP分子の好適な例示的な構成要素部分は、発現および輸送に使用されるが、配列番号223および224に示される細胞から排出されると成熟融合タンパク質から除去されるリーダー配列;軽鎖および重鎖可変ドメインを接合して、配列番号225〜229に示されるscFv結合ドメインを形成するのに使用されるリンカー配列、scFv結合ドメインを、配列番号230〜235に示されるエフェクタードメインに接合するのに使用されるヒンジ;配列番号236〜240に示される軽鎖可変領域;配列番号241〜245に示される重鎖可変領域;およびエフェクタードメインを含むとともに、CAS−024融合タンパク質を含む特定のCD−37特異的SMIP分子が配列番号247〜253に示される。
【0192】
(実施例2)
CD37特異的CAS−024とラパマイシンの組合せによる成長阻害
CAS−024[G28−1VH(M99F、Y102S)−VL(T25A)scFv(SSC−P)HWCH2 WCH3]が実施例1に記載されている。(リーダー配列を含む)CAS−024をコードするヌクレオチド配列は、配列番号221に示される。ラパマイシン(Sigma、ミズーリ州St.Louis)をDMSOに溶解させ、使用まで−20℃で貯蔵した。使用したCD37を発現する人細胞系は、Rec−1(マントル細胞リンパ腫細胞系)およびSU−DHL−6(びまん性大細胞型リンパ腫細胞系)(いずれもDSMZ、ドイツBraunschweigから入手)であった。
【0193】
Rec−1およびSU−DHL−6細胞を96ウェルプレートにて100μL媒体中1×10細胞/ウェルで仕込んだ。細胞を、抗ヒトIgG F(ab)’2とともにプレインキュベートした様々な濃度のCAS−024(濃度については図1および2参照)で処理し、プレートをラパマイシンの逐次的希釈物の存在下で37℃、5%COにて96時間にわたってインキュベートした。各ウェルにおける最終容量は150μLであった。インキュベート後、プレートを室温まで冷却し、100μL/ウェルのATPlite検出試薬(Perkin Elmer、マサチューセッツ州Boston)で標識した。アッセイは、生細胞に対するマーカーとして細胞ATPを測定する。Topcount NXT(Perkin Elmer、マサチューセッツ州Waltham)プレートリーダーを使用するルミネセンスの検出によってサンプルを分析した。プリズム(バージョン4.0、グラフパッドソフトウェア、カリフォルニア州San Diego)の4−パラメータ曲線適合を使用してデータを換算し、未処理培養物と比較して50%の阻害をもたらす濃度としてIC50を定めた。
【0194】
これらの化合物が相乗的に作用するかどうかを判断するために、半有効/組合せ指数(CI)法をデータ解析に使用した(ChouおよびTalalay)。所定の投与量における各薬物組合せに割り当てられた数値は、異なる薬物組合せ同士の定量的薬物/薬物相互作用比較を可能にする。CI値は、相互作用を3つの範疇、すなわち相乗性、加算性およびアンタゴニズム(それぞれCI<1.0、=1、または>1.0)に分ける。標識およびデータ換算後、カルクシムソフトウェアパッケージを使用してCI値を求めた(Biosoft(登録商標)、英国Cambridge)。
【0195】
CD37結合分子とmTOR阻害剤ラパマイシンとの組合せは、Rec−1(図1)およびSU−DHL−6(図2)細胞成長をいずれかの化合物単独より強く阻害した。実際、CAS−024およびラパマイシンの実測CIは、細胞成長阻害において驚くほど相乗性が強かった(図3参照)。
【0196】
(実施例3)
CD37特異的CAS−024とテムシロリムスの組合せによる成長阻害
CAS−024と別のmTOR阻害剤、テムシロリムスとの組合せのRec−1およびSU−DHL−6細胞成長に対する効果ならびにCIを、実施例2に記載されている方法を使用して測定した。使用したCAS−024およびテムシロリムスの濃度を図4および5に示す。
【0197】
それらの結果は、CAS−024とテムシロリムスとの組合せが、SU−DHL−6(図4)およびRec−1(図5)細胞成長をいずれかの化合物単独より強く阻害したことを示している。実測CI値は、CAS−024とテムシロリムスとの組合せがSU−DHL−6およびRec−1細胞成長を相乗的に阻害したことを示している(図6〜8)。
【0198】
(実施例4)
CD37特異的CAS−024とLY294002の組合せによる成長阻害
CAS−024とPI3K阻害剤、LY294002との組合せのRec−1およびSU−DHL−6細胞成長に対する効果ならびにCIを、実施例2に記載されている方法を使用して測定した。使用したCAS−024およびLY294002の濃度範囲は、それぞれ2から0.2nMおよび50から0.4μMである。
【0199】
それらの結果は、CAS−024とLY394002との組合せがSU−DHL−6およびRec−1細胞成長を相乗的に阻害したことを示している(図9)。
【0200】
上記様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供することができる。本明細書に引用され、かつ/またはアプリケーションデータシートに列挙されている米国特許、米国特許出願効果、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献のすべてが、全面的に参照により本明細書に組み込まれている。必要であれば、様々な特許、出願および文献のコンセプトを採用してさらなる実施形態を提供するために実施形態の態様を修正することができる。
【0201】
以上の詳細な説明に鑑みて、これらおよび他の変更を実施形態に加えることができる。概して、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲に開示される具体的な実施形態に限定するものと見なされるべきでなく、当該特許請求の範囲が与えられる同等物の全範囲とともにすべての可能な実施形態を含むものと見なされるべきである。よって、特許請求の範囲は、本開示によって限定されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常B細胞活性に関連する疾患もしくは障害を有するか、または有することが疑われる被験体において、B細胞の数を減少させるか、または前記疾患もしくは障害を治療する方法であって、治療有効量のCD37特異的結合分子および治療有効量のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤で被験体を治療することを含む、方法。
【請求項2】
前記被験体にmTOR阻害剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記mTOR阻害剤がシロリムス、テムシロリムスまたはトルキニブである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記mTOR阻害剤がデホロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、クルクミンまたはファルネシルチオサリチル酸である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記被験体にPI3K阻害剤を投与することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記PI3K阻害剤がP110δ特異的阻害剤である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記CD37特異的結合分子が、CD37特異的抗体もしくはその抗原結合部分、またはSMIPタンパク質である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記CD37特異的結合分子が、ヒト化抗体もしくはその抗原結合部分、またはヒト化SMIPタンパク質である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記CD37特異的結合分子が、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、60、80、82、84、86または88に示されるアミノ酸配列を含むヒト化CD37特異的SMIPタンパク質である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記CD37特異的結合分子が、配列番号253に示されるアミノ酸配列を含むヒト化CD37特異的SMIPタンパク質である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記CD37特異的結合分子は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308、またはそれぞれ配列番号309および310を含むヒト化CD37特異的抗体である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記CD37特異的結合分子が、配列番号253に示されるアミノ酸配列を有するSMIPタンパク質を含み、前記mTOR阻害剤がシロリムスまたはテムシロリムスである、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記CD37特異的結合分子は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308、またはそれぞれ配列番号309および310を含む抗体を含み、前記mTOR阻害剤がシロリムス、テムシロリムスまたはトルキニブである、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記CD37特異的結合分子および前記mTOR阻害剤または前記PI3K阻害剤が順次投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記CD37特異的結合分子および前記mTOR阻害剤または前記PI3K阻害剤が同時に投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記CD37特異的結合分子および前記mTOR阻害剤または前記PI3K阻害剤が一緒に処方される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記CD37特異的結合分子が非経口投与され、前記mTOR阻害剤または前記PI3K阻害剤が経口投与される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記異常B細胞活性に関連する障害または疾患が、B細胞非ホジキンリンパ腫(NHL)(バーキットリンパ腫、慢性リンパ性白血病(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、免疫芽球性大細胞型リンパ腫、前駆体Bリンパ芽球性白血病およびマントル細胞リンパ腫を含む)、毛様細胞性白血病、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、B細胞前リンパ球性白血病、CD37+樹状細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、脾臓辺縁帯リンパ腫、粘膜関連リンパ組織(MALT)の結節外辺縁帯域B細胞リンパ腫、結節辺縁帯B細胞リンパ腫、縦隔(胸腺)大細胞型B細胞リンパ腫、静脈内大細胞型B細胞リンパ腫および原発性滲出性リンパ腫などのB細胞リンパ腫もしくは白血病;自己抗体生成によって特徴づけられる疾患、例えば、特発性炎症性筋障害、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、重症筋無力症、グレーヴズ病、I型真性糖尿病、抗腎糸球体基底膜疾患、急速進行性糸球体腎炎、バージャー病(IgA腎症)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、クローン病、潰瘍性大腸炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、抗リン脂質抗体症候群、視神経脊髄炎、多発性硬化症、自己免疫疾患、皮膚筋炎、多発性筋炎もしくはワルデンシュトレームマクログロブリン血症;またはB細胞系路に関連する不適切なT細胞刺激によって特徴づけられる疾患である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記被験体が、染色体転座t(11;14)(q13;q32)またはサイクリンD1過剰発現をさらに有する、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記異常B細胞活性に関連する障害または疾患がマントル細胞リンパ腫である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
非ホジキンリンパ腫を治療するためのキットであって、
(a)単位投与量のCD37特異的結合分子と、
(b)単位投与量のmTOR阻害剤またはPI3K阻害剤と
を含むキット。
【請求項22】
TRU−015、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブなどのCD20特異的結合分子;サイトカイン;ケモカイン;成長因子;ベンダムスチンなどの化学治療薬;または放射線治療薬をさらに含む、請求項21に記載のキット。
【請求項23】
(a)CD37特異的結合分子と、
(b)mTOR阻害剤またはホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)阻害剤と
を含む組成物。
【請求項24】
mTOR阻害剤を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記mTOR阻害剤がシロリムス、テムシロリムスまたはトルキニブである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記mTOR阻害剤がデホロリムス、エベロリムス、タクロリムス、ゾタロリムス、クルクミンまたはファルネシルチオサリチル酸である、請求項2に記載の組成物。
【請求項27】
PI3K阻害剤を含む、請求項23に記載の組成物。
【請求項28】
前記PI3K阻害剤がp110δ特異的阻害剤である、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記CD37特異的結合分子が、CD37特異的抗体もしくはその抗原結合部分、またはSMIPタンパク質である、請求項23から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記CD37特異的結合分子が、ヒト化抗体もしくはその抗原結合部分、またはヒト化SMIPタンパク質である、請求項23から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記CD37特異的結合分子が、配列番号6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32、34、36、38、40、42、44、46、48、52、60、80、82、84、86または88に示されるアミノ酸配列を含むヒト化CD37特異的SMIPタンパク質である、請求項23から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記CD37特異的結合分子が、配列番号253に示されるアミノ酸配列を含むヒト化CD37特異的SMIPタンパク質である、請求項23から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記CD37特異的結合分子は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308、またはそれぞれ配列番号309および310を含むヒト化CD37特異的抗体である、請求項23から28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記CD37特異的結合分子が、配列番号253に示されるアミノ酸配列を有するSMIPタンパク質を含み、前記mTOR阻害剤がシロリムス、テムシロリムスまたはトルキニブである、請求項24に記載の組成物。
【請求項35】
前記CD37特異的結合分子は、その軽鎖および重鎖がそれぞれ配列番号307および308、またはそれぞれ配列番号309および310を含み、前記mTOR阻害剤がシロリムス、テムシロリムスまたはトルキニブである、請求項24に記載の組成物。
【請求項36】
TRU−015、リツキシマブ、オファツムマブ、オクレリズマブなどのCD20特異的結合分子;サイトカイン;ケモカイン;成長因子;ベンダムスチンなどの化学治療薬;または放射線治療薬をさらに含む、請求項23から35のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−508774(P2012−508774A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536540(P2011−536540)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2009/064470
【国際公開番号】WO2010/057047
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511084902)エマージェント プロダクト デベロップメント シアトル, エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】