説明

CD40結合剤の使用方法

CD40関連癌を治療するためにCD40結合剤を用いる方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年11月9日出願の米国仮特許出願第60/749,246号、2006年6月5日出願の米国仮特許出願第60/811,301号、2006年6月5日出願の米国仮特許出願第60/811,353号、および2006年9月25日出願の米国仮出願第60/847,234号の優先権を主張するものであり、これらは各々参照によりそのまま本明細書に組み入れる。
【0002】
本発明は一般にCD40抗体の治療用途に関する。さらに具体的には、CD40を発現する細胞を特徴とする種々の疾病または障害の治療のためにCD40抗体を使用する方法が開示される。
【背景技術】
【0003】
CD40は必須のI型膜糖タンパク質であり、腫瘍壊死因子(TNF)受容体スーパーファミリーの一員である。CD40は正常B細胞および新生物性B細胞、指状嵌入細胞、基底上皮細胞ならびに癌腫をはじめとする様々な細胞型で発現される。またCD40は単球、マクロファージ、いくつかの内皮細胞および濾胞性樹状細胞にも存在する。CD40はB細胞の個体発生の初期に発現し、CD10およびCD19の出現の後、CD21、CD23、CD24の発現および表面免疫グロブリンM(sIgM)の出現の前にB細胞前駆体上に現れる(Uckunら, 1990, Blood 15:2449)。初期の報告は、B細胞が形質細胞へと最終分化する際にCD40が消失することを示したが、CD40は扁桃および骨髄由来形質細胞で検出されている(Pellat-Decounynckら, 1994, Blood 84:2597)。
【0004】
CD40と、そのリガンドおよび対をなす受容体CD40L(CD154、gp39およびTRAPとも呼ばれる)との相互作用は体液性免疫応答および細胞性免疫応答の双方を含む。CD40Lは主として活性化リンパ球CD4+ T細胞で発現するトランスメンブランタンパク質である。TNFファミリーの他のタンパク質と同様、CD40Lの構造は非共有結合型三量体の構造である。CD40が介在するシグナル伝達は、B細胞の増殖、免疫グロブリン(Ig)イソ型のスウィッチ、胚中心の形成、およびT細胞依存性抗原に応答したメモリーB細胞の分化決定に必要であるものと思われる。CD40とCD40Lの結合の結果、CD40多量体が形成され、樹状細胞、単球およびB細胞などの抗原提示細胞の活性化シグナルが生成され、サイトカインにより活性化される繊維芽細胞および上皮細胞の増殖および分化シグナルが生じる。CD40シグナルは、一連のTNF受容体関連因子(「TRAF」)の生成をはじめとする種々の経路を介して多量体化した受容体から伝達されることが報告されている(Kehry, 1996, J. Immumol. 156:2345-2348)。TRAFのサブセットはCD40をはじめとするTNF受容体ファミリーメンバーと異なった相互作用を行い、広範な下流経路に刺激をもたらす。TRAF1およびTRAF2はアポトーシスの調節に関連づけられている(Speiserら, 1997, J. Exp. Med. 185:1777-1783; Yehら, 1997, Immunuty 7:715-725)。TRAF2、5および6は増殖事象および活性化事象に関与する。正常B細胞では、CD40とCD40Lの結合は、TRAF2およびTRAF3を受容体複合体へと導き、他のTRAFのダウンレギュレーションを誘発する(Kuhneら, 1997, J. Exp. Med. 186:337-342)。
【0005】
B細胞の発生と分化の間、アポトーシスとCD40仲介のシグナル伝達は密接に関係している。B細胞におけるアポトーシスの主な機能は未成熟B細胞のクローン排除であり、これは未成熟B細胞における表面Igの広範囲の架橋によるものであると思われる。成熟B細胞の運命はまた、おそらくはCD40L分子が仲介する、表面Igを介したシグナル伝達と活性化T細胞に由来するシグナルの組合せによっても調節される。表面IgからのシグナルとCD40からのシグナルの組合せはアポトーシス経路を無効にし、胚中心でのB細胞の生存を維持する。この胚中心におけるアポトーシスからの救済は、親和性抗体生成メモリーB細胞の発生にとって重要である。
【0006】
T細胞悪性疾患およびB細胞悪性疾患の双方では、多くの場合、悪性細胞が、正常リンパ球の活性化に至る刺激に曝された際に抗腫瘍作用(アポトーシスによる、またはアポトーシスによらない増殖停止)が生じる。この活性化により誘発される増殖停止は、抗原受容体または共刺激受容体のいずれかを介したシグナルとともに観察されている(Ashwellら, 1987, Science 237:61; Bridgesら, 1987, J. Immumol. 139:4242; Page and Defranco, 1988 J. Immunol. 140:3717;およびBeckwithら, 1990, J. Natl. Cancer Inst. 82:501)。ある種の刺激性CD40抗体または可溶性CD40LによるCD40刺激は直接B細胞リンパ腫の増殖を阻害する(Funakoshiら, 1994, Blood 83:2787-2784; Franciscoら, 2000, Cancer Res. 60:3225-31)。
【0007】
刺激性抗体の作用は抗体の種類によって異なる。刺激性CD40抗体は、(1)CD40を介して刺激シグナルを送達するが、CD40とCD40L、例えばG28-5、の間の相互作用を高めない(Ledbetterら, 米国特許第5,182,368; PCT公開公報WO96/18413)か、またはCD40とCD40Lの間の相互作用を低下させるもの、および(2)CD40を介して刺激シグナルを送達し、CD40とCD40L、例えばS2C6、の間の相互作用を高め得るもの(Franciscoら, 2000, Cancer Res. 60:3225-31)など、種々の種類のものであり得る。最初のタイプの抗体の投与には望ましくないサイトカイン放出が伴うことが報告されている。2番目のタイプの抗体の投与の効果はこれまでには報告されていない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単な概要
本発明は、CD40表面抗原を発現する細胞を特徴とする疾病および障害の治療のためにCD40結合剤を使用する方法を提供する。CD40結合剤は刺激シグナルをヒトB細胞に送達し、CD40表面抗原を発現する細胞を特徴とするCD40とCD40Lの間の相互作用を高め、in vivo抗新生物活性を有し得る。CD40結合剤は、CD40表面抗原を発現する細胞の増殖を特徴とする種々の疾病または障害の治療に使用することができる。
【0009】
いくつかの態様では、CD40結合剤は、CD40リガンドとCD40の結合を少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%または少なくとも75%高める。種々の実施形態では、CD40結合剤は、例えばCD40表面抗原との結合を介して、例えば癌細胞の増殖を遮断するか、またはそうでなければ癌細胞の成長を停止させる、あるいはその枯渇、死滅またはそうでなければその排除を引き起こすことができる。
【0010】
CD40結合剤は各々、エピトープCD40、一般にヒトCD40を特異的に認識する部分を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、CD40結合剤は、CD40と特異的に結合する抗体の抗原結合フラグメントを少なくとも含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、CD40関連障害の治療または予防のための方法が提供される。これらの方法は一般に、それを必要とする患者に、(i)CD40と免疫特異的に結合し、かつ、(ii)CD40リガンドとB細胞上の細胞表面CD40との結合を少なくとも45%高める(b)初期用量のCD40結合剤を投与することを含む。また、第2回用量のCD40結合剤も患者に投与する。初期用量は一般に第2回用量よりも少なく、それにより患者は、単独で投与した場合の第2回用量に比べて、サイトカイン放出の低下を示す。この初期用量は例えば約0.5mg/kg〜約8mg/kgであり得る。
【0012】
いくつかの実施形態では、CD40結合剤はCD40と特異的に結合するヒト化抗体、キメラ抗体もしくはヒト抗体またはその抗原結合フラグメントである。例えば、この抗体または抗原結合フラグメントは、重鎖可変ドメインおよび/または軽鎖可変領域ドメインを含みうる。重鎖可変領域ドメインは、配列番号2のヒト可変ドメイン重鎖サブグループIIIコンセンサスアミノ酸配列のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、配列番号3の対応する重鎖CDRと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含む。軽鎖可変ドメインは配列番号13のヒト可変ドメイン軽鎖サブグループκIコンセンサスアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、配列番号14の対応する軽鎖CDRと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRを含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、各重鎖CDRは配列番号3の対応する重鎖CDRと少なくとも90%同一である。いくつかの実施形態では、重鎖CDRは、配列番号3の重鎖CDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、各軽鎖CDRは、配列番号14の対応する軽鎖CDRと少なくとも90%同一である。いくつかの実施形態では、軽鎖CDRは、配列番号14のCDR1、CDR2およびCDR3のアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号14、配列番号15または配列番号16のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。いくつかの実施形態では、抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10または配列番号11の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と、配列番号14、配列番号15または配列番号16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を有する。
【0015】
いくつかの実施形態では、重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインは、それぞれ配列番号3と配列番号14、それぞれ配列番号4と配列番号14、それぞれ配列番号5と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号14、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号8と配列番号14、それぞれ配列番号9と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号15、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、またはそれぞれ配列番号11と配列番号16のアミノ酸配列を含む。
【0016】
CD40結合剤は、例えば、イソ型IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のIgG定常領域などのヒトIgG定常領域を含み得る。結合剤は、例えばκ定常ドメインなどの軽鎖定常ドメインを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態では、結合剤はhu sgn-0、hu sgn-1、hu sgn-2、hu sgn-4、hu sgn-14、hu sgn-15、hu sgn-16、hu sgn-17、hu sgn-18、hu sgn-19、hu sgn-22、hu sgn-23、hu sgn-26またはhu sgn-27などの抗体である。いくつかの実施形態では、CD40結合剤は、ATCC受託番号PTA-110を有するハイブリドーマにより分泌されるモノクローナル抗体S2C6と結合に関して競合する。
【0018】
CD40結合剤は、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvフラグメント、ダイアボディー、単鎖抗体、scFvフラグメントまたはscFv-Fcなど、抗体の抗原結合フラグメントであり得る。CD40結合剤は所望によりオーリスタチン(例えば、MMAEまたはMMAF)などの化学療法薬で標識またはそれとコンジュゲートさせることができる。
【0019】
また、容器内にCD40結合剤を含むキットも提供される。このキットは所望により、CD40関連疾患を治療または予防するためにこの抗体を用いることに関する使用説明書など、付加的な成分を含んでいてもよい。
【0020】
また、CD40結合剤と薬学上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物も提供される。
【0021】
いくつかの実施形態では、ヒト化重鎖可変領域および/またはヒト化軽鎖可変領域をコードする単離されたポリヌクレオチドが提供される。ポリヌクレオチドは例えば、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10または配列番号11の重鎖可変ドメインアミノ酸配列をコードし得る。ポリヌクレオチドも、例えば、配列番号14、配列番号15または配列番号16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列をコードし得る。
【0022】
いくつかの実施形態では、単離されたポリヌクレオチドは、それぞれ配列番号3と配列番号14、それぞれ配列番号4と配列番号14、それぞれ配列番号5と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号14、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号8と配列番号14、それぞれ配列番号9と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号15、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、またはそれぞれ配列番号11と配列番号16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインアミノ酸配列をコードする。
【0023】
いくつかの実施形態では、ヒトCD40抗原を発現する細胞の増殖を阻害する方法が提供される。これらの方法は、CD40結合剤を細胞に投与することを含み、CD40結合剤はヒト細胞表面CD40抗原に結合する。この薬剤とCD40抗原の結合はこれらの細胞の増殖または分化を阻害する。
【0024】
いくつかの実施形態では、CD40関連障害を有する患者を治療する方法が提供される。これらの方法は、CD40結合剤を細胞に投与することを含み、CD40結合剤はヒトCD40に結合する。このCD40結合剤とCD40の結合はCD40関連障害の細胞の増殖または分化を阻害する。CD40関連障害としては、例えば、慢性リンパ球性白血病、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、T細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病、ワルデンストローム・マクログロブリン血症またはカポジ肉腫が挙げられる。
【0025】
いくつかの実施形態では、末梢B細胞の枯渇を誘発する方法が提供される。これらの方法は、CD40結合剤を細胞に投与することを含み、結合フラグメントはヒト細胞表面CD40抗原に結合する。この薬剤とCD40抗原の結合はこれらの細胞の枯渇を誘発する。末梢B細胞は患者において自己免疫応答を示す場合がある。
【0026】
本発明は、好ましい実施形態をはじめとする以下の詳細な説明を、添付の図面と配列表を合わせて参照すれば、最もよく理解できる。以下の考察は説明、例証、例示であり、添付の特許請求の範囲により定義される範囲を限定するものではない。
【0027】
(詳細な説明)
開示を明瞭にするため、限定されるものではないが、発明の詳細な説明を以下に続くサブセクションに分ける。
【0028】
本明細書で商標を用いる場合、特に断りのない限り、その商標は商標製品処方物、一般薬剤、および商標製品の有効医薬成分も指す。
【0029】
特に断りのない限り、本明細書で用いる技術用語および科学用語は全て、記載の方法および組成物に直接関連のある当業者に共通に理解されているものと同義を有する。
【0030】
(定義)
「CD40」および「CD40表面抗原」とは、正常B細胞および新生物性B細胞の表面で発現する50kDの糖タンパク質を指し、細胞増殖および分化に関与するの受容体として働き、Bp50と呼ばれることもある(Ledbetterら, 1987, J. Imunol. 138:788-785)。CD40をコードするcDNA分子は、バーキットリンパ腫細胞系統Rajiから作製されたライブラリーから単離されたものである(Stamenkovicら, 1989, EMBO J. 8:1403)。CD40を発現する細胞は、限定されるものではないが、正常B細胞および新生物性B細胞、指状嵌入細胞、基底上皮細胞、癌細胞、マクロファージ、内皮細胞、濾胞性樹状細胞、扁桃細胞、および骨髄由来形質細胞をはじめとする、CD40の表面発現を特徴とする細胞である。いくつかの実施形態では、CD40分子はヒトCD40分子である。
【0031】
本明細書において「CD40抗原エピトープ」および「CD40エピトープ」とは、CD40抗体との免疫反応が可能な分子(例えば、ペプチド)または分子のフラグメントを指し、例えば、S2C6モノクローナル抗体により認識されるCD40抗原決定基を含む。CD40抗原エピトープはタンパク質、タンパク質フラグメントまたはペプチドなどに含まれ得る。これらのエピトープは最も一般的なタンパク質、短鎖オリゴペプチド、オリゴペプチドミミックス(すなわち、CD40抗原の抗体結合特性を模倣する有機化合物)またはその組合せである。
【0032】
本明細書において「特異的結合」および「特異的に結合する」とは、CD40結合剤による所定の抗原への結合を指す。一般に、この薬剤は少なくとも約1x107 M-1の親和性で結合し、所定の抗原と、所定の抗原または密接に関連する抗原以外の抗原(例えば、BSA、カゼイン)との結合に対するその親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で結合する。
【0033】
本明細書において「天然抗体」および「天然免疫グロブリン」は、2つの同一の軽(L)鎖と2つの同一の重鎖(H)からなる、一般に約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質として定義される。各軽鎖は1つのジスルフィド結合により重鎖に共有結合され、ヘテロ二量体を形成している。このヘテロ四量体は、このようなヘテロ二量体の2つの同一の重鎖間に共有結合的ジスルフィド結合により形成される。軽鎖と重鎖は1つのジスルフィド結合により連結されるが、2つの重鎖間のジスルフィド結合の数は免疫グロブリンのイソ型によって異なる。各重鎖および軽鎖はまた、一定間隔をおいた鎖内ジスルフィド橋も有する。各重鎖はアミノ末端に可変ドメイン(VH)、続いて3つまたは4つの定常ドメイン(CH1、CH2、CH3およびCH4)、ならびにCHIとCH2の間にヒンジ領域を有する。各軽鎖は2つのドメイン、アミノ末端可変ドメイン(VL)およびカルボキシ末端定常ドメイン(CL)を有する。VLドメインはVHドメインと非共有結合的に会合するが、CLドメインは一般にジスルフィド結合によりCH1ドメインと共有結合する。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間の境界を形成すると考えられている(Chothiaら, 1985, J. Mol. Biol. 186:651-663)。
【0034】
「超可変」とは、可変ドメイン内のある種の配列が抗体間で配列が大きく異なり、その特異的抗原決定基に対する特定の各抗体の結合および特異性に直接関与するある種の残基を含むということを示す。軽鎖可変ドメインでも重鎖可変ドメインでも、超可変性は相補性決定領域(CDR)または超可変ループ(HVL)として知られる3つのセグメントに集中している。CDRはKabatら, 1991, In: Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.の配列比較により定義され、HVLは、Chothia and Lesk, 1987, J. Mol. Biol. 196: 901-917が記載しているように、可変ドメインの三次元構造によって構造的に定義される。これら2つの方法ではCDRの同定が若干異なり、構造定義が好ましい。Kabatにより定義されているように、CDR-L1は軽鎖可変ドメインの24〜34残基付近に、CDR-L2は50〜56残基付近に、そしてCDR-L3は89〜97残基付近に位置し、CDR-H1は重鎖可変ドメインの31〜35付近、CDR-H2は50〜65付近、そしてCDR-H3は95〜102付近に位置する。
【0035】
重鎖および軽鎖の各々の3つのCDRは、変動が少ない傾向にある配列を含むフレームワーク領域(FR)によって隔てられている。重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインのアミノ末端〜カルボキシ末端までは、FRとCDRは、FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3およびFR4の順で並んでいる。FRの大まかなβ-シート配置は各鎖内のCDRを互いと近接させるととともに、互いのCDRと近接させる。この結果生じた配置は抗原結合部位に寄与する(Kabatら, 1991, NIH Publ. No. 91-3242, Vol. I, 647-669頁参照)が、全てのCDR残基が必ずしも直接抗原結合に関与するわけではない。
【0036】
FR残基およびIg定常ドメインは抗原結合には直接関与しないが、抗原結合に寄与し、かつ/または抗体エフェクター機能を媒介する。いくつかのFR残基は、エピトープと直接非共有結合すること、1以上のCDR残基と相互作用すること、また、重鎖と軽鎖の間の境界に影響を及ぼすことによる、少なくとも3つの方法で抗原結合に有意な作用を持ち得る。定常ドメインは抗原結合には直接関与しないが、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、補体依存性細胞傷害性(CDC)および抗体依存性細胞食作用(ADCP)における抗体の関与など、種々のIgエフェクター機能を媒介する。
【0037】
脊椎動物免疫グロブリンの軽鎖は、定常ドメインのアミノ酸配列に基づいてカッパ(κ)およびラムダ(λ)の2つの明瞭に異なるクラスのうちの1つに割り付けられる。比較として、哺乳類免疫グロブリンの重鎖は、定常ドメインの配列によってIgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMの5つの主要なクラスのうちの1つに割り付けられる。IgGとIgAはさらにサブクラス(イソ型)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に細分される。異なる免疫グロブリン種に対応する重鎖定常ドメインはそれぞれα、δ、ε、γおよびμと呼ばれる。これらの天然免疫グロブリン種のサブユニット構造および三次元配置は周知である。
【0038】
本明細書において「抗体」、「CD40抗体」、「ヒト化CD40抗体」および「変異体ヒト化CD40抗体」は広義で用いられ、具体的にはモノクローナル抗体(全長モノクローナル抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)および抗体フラグメント(可変ドメイン、例えばCD40結合などの所望の生物活性を示す抗体の他の部分)を包含する。
【0039】
「モノクローナル抗体」(mAb)とは、実質的に均質な抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、集団を構成する個々の抗体は自然に起こる突然変異(微量、存在し得る)以外は同じである。モノクローナル抗体は特性が高く、ただ1つの抗原決定基(エピトープとも呼ばれる)に向けられている。修飾語の「モノクローナル」は、同じエピトープに向けられた抗体の実質的に均質な集団を示し、特定の方法による抗体の生産を必要とすると理解すべきでない。モノクローナル抗体は、例えば、Kohlerら, 1975, Nature 256:495が最初に記載したハイブリドーマ法または当技術分野で公知の組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)など、当技術分野で公知のいずれかの技術または方法論によって生産することができる。別の例では、モノクローナル抗体はまた、Clacksonら, 1991, Nature 352: 624-628、およびMarksら, 1991, J. Mol. Biol. 222: 581-597に記載の技術を用いてファージ抗体ライブラリーから単離することもできる。
【0040】
これに対し、ポリクローナル抗体集団の抗体は一般に、免疫グロブリンのイソ型および/またはクラスの不均質な集団であり、多様なエピトープ特異性を示す。
【0041】
本明細書において「キメラ」抗体とは、重鎖および/または軽鎖の1以上の領域またはドメインの一部または全アミノ酸配列が、別種の、または別の免疫グロブリンクラスもしくはイソ型、またはコンセンサス配列のモノクローナル抗体の対応する配列と同一である、あるいは同質である、あるいはその変異体であるというモノクローナル抗体の一種である。キメラ抗体は、抗体フラグメントが例えば、同じエピトープと結合するなど親抗体の所望の生物活性を示す限り、このような抗体のフラグメントも含む(例えば、米国特許第4,816,567号、およびMorrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81: 6851-6855)。
【0042】
「抗体フラグメント」、「CD40抗体フラグメント」、「ヒト化CD40抗体フラグメント」、「変異体ヒト化CD40抗体フラグメント」とは、可変領域または機能的能力が(例えば、特異的CD40エピトープ結合)保持されている、全長CD40抗体の一部を指す。抗体フラグメントの例としては、限定されるものではないが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fd、Fv、scFvおよびscFv-Fcフラグメント、ダイアボディー、直鎖抗体、単鎖抗体、ミニボディー、抗体フラグメントからなるダイアボディーおよび抗体フラグメントからなる多重特異性抗体が挙げられる。
【0043】
ある種の抗体フラグメントは全長抗体の酵素処理により作製することができる。抗体をパパインで消化すると、各々単一の抗原結合部位を有し、「Fab」フラグメントと呼ばれる2つの同じ抗原結合フラグメントと、いわゆるその容易に結晶化する能力のために「Fc」フラグメントが生じる。このFabフラグメントはまた、軽鎖の定常ドメインと重鎖のCH1ドメインも含む。ペプシンで処理すると、2つの抗原結合部位を有して、なお架橋抗原であり得るF(ab')2フラグメントが得られる。
【0044】
Fab'フラグメントは、抗体ヒンジ領域の1以上のシステインを含め、CH1ドメインのC末端にいくつかの付加的残基が存在することでFabフラグメントと異なる。本明細書においてFab-SHは、定常ドメインのシステイン残基が遊離チオール基を持っているFab'を示す。F(ab')2抗体フラグメントはヒンジ領域のシステイン残基により連結されたFab'フラグメント対である。抗体フラグメントの他の化学的カップリングも知られている。
【0045】
「Fv」は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインの、強固な非共有結合的会合による二量体からなる完全な抗原認識・結合部位を含む最小の抗体フラグメントである。この構成では、各可変ドメインの3つのCDRは相互作用し、このVH-VL二量体の表面の抗原結合部位を規定する。この6つのCDRは一体となって抗体に抗原結合特性を付与する。
【0046】
「単鎖Fv」または「scFv」抗体フラグメントは、抗体のVHドメインとVLドメインを含む単鎖Fv変異体であり、ここでこれらのドメインは単一のポリペプチド鎖に存在し、抗原を認識し、抗原と結合することができる。このscFvポリペプチドは所望により、VHドメインとVLドメインの間に、scFvに抗原結合に望ましい三次元構造を形成させることができるポリペプチドリンカーを含む(例えば、Pluckthun, 1994, In The Pharmacology of Monoclonal Antibodies, Vol. 113, Rosenburg and Moore編, Springer-Verlag, New York, 269-315頁参照)。
【0047】
「ダイアボディー」とは、2つの抗原結合部位を有する小抗体フラグメントを指す。各フラグメントは、軽鎖可変ドメイン(VL)と連鎖した重鎖可変ドメイン(VH)を含む。同じ鎖上の2つのドメイン間を対合させるには短いリンカーを用いることで、連結されたVH-VLドメインは別の鎖の相補的ドメインを対合させ、2つの抗原結合部位が生じる。ダイアボディーは、例えば、EP 404,097; WO 93/11161;およびHollingerら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90: 6444-6448に詳しく記載されている。
【0048】
「直鎖抗体」とは、一対の抗原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH-CH1-VH-CH1)を含む抗体を指す。直鎖抗体は、例えば、Zapataら 1995, Protein Eng. 8(10):1057-1062に記載されているように二重特異性または単一特異性であり得る。
【0049】
CD40結合剤(例えば、ヒト化抗体またはヒト化抗体フラグメント)は、所定の抗原と結合することができ、かつ、ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1以上のFRと、非ヒト免疫グロブリンのアミノ酸配列を実質的に有する1以上のCDRとを含む、免疫グロブリンアミノ酸配列変異体またはそのフラグメントを含み得る。この非ヒトアミノ酸配列は本明細書では「インポート」配列と呼び、一般には「インポート」抗体ドメイン、特に可変ドメインに由来すると考えられる。一般に、ヒト化抗体は、ヒト重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインのFRの間に挿入された非ヒト抗体の少なくともCDRまたはHVLを含む。ある態様では、ヒト化CD40抗体はCDRおよび/もしくはHVL残基、またはヒトコンセンサス配列重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインのFRの間に挿入されたマウスモノクローナル抗体S2C6に由来する配列を含む。
【0050】
別の態様では、ヒト化CD40抗体は、少なくとも1つの、一般に2つの可変ドメイン(例えば、Fab、Fab’、F(ab')2、FabcおよびFvフラグメントに含まれるものなど)の実質的に全てを含み、ここで、全て、もしくは実質的に全てのCDRが非ヒト免疫グロブリンのものに相当するか、または全て、もしくは実質的に全てのFRがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。別の態様では、ヒト化CD40抗体はまた、免疫グロブリンFc領域、一般にはヒト免疫グロブリンのものの少なくとも一部も含む。通常、この抗体は軽鎖、ならびに少なくとも重鎖の可変ドメインを含む。この抗体はまた、適当であれば、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3および/またはCH4領域の1以上を含み得る。
【0051】
CD40結合剤は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む免疫グロブリンクラス、ならびにIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2を含むイソ型を含み得る。例えば、定常ドメインは補体結合定常ドメインであってもよく、この場合には、結合剤は細胞傷害活性を示すのが望ましく、イソ型は一般にIgG1である。このような細胞傷害活性が望ましくない場合、定常ドメインは別のイソ型のもの、例えばIgG2であってよい。もう1つのCD40結合剤は、1以上の免疫グロブリンクラスまたはイソ型に由来する配列を含んでもよく、所望のエフェクター機能を至適化するための特定の定常ドメインの選択は当業者の範囲内である。
【0052】
CD40抗体のFRおよびCDR、またはHVLは厳密に親配列に相当する必要はない。例えば、インポートCDR、またはHVL、またはコンセンサスFR配列1以上の残基は置換、挿入または欠失により変更(例えば、突然変異誘発)されて、その結果としてのアミノ酸残基がいずれの親配列の対応する位置の元の残基とも同一でなくなってもよい。しかしながら、このような変更は一般に広範囲でない。通常、抗体残基の少なくとも75%、より多くの場合では少なくとも90%、最も頻繁には95%を超えて、または98%を超えて、または99%を超えて親コンセンサスFRおよびインポートCDR配列に相当する。
【0053】
重鎖可変領域と軽鎖可変領域の間の境界(「VL-VH境界)に影響を及ぼす免疫グロブリン残基は、2鎖の互いに対する近接性または配向に影響を及ぼすものである。鎖内相互作用に関与する可能性のある特定の残基としては、VL残基34、36、38、44、46、87、89、91、96および98ならびにVH残基35、37、39、45、47、91、93、95、100および103(Kabatら, Sequences of Proteins of Immunological Interest (National Institutes of Health, Bethesda, MD., 1987)に示されている符番体系を使用)を含む。付加的残基としては、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許第6,407,213号に記載されているように、VL残基43および85と、VH残基43および60が挙げられる。これらの残基はヒトIgGのみに関して示されているが、種間で適用可能である。鎖内相互作用に関与すると合理的に予測されるインポート抗体残基がコンセンサス配列への置換のために選択される。
【0054】
本明細書において「コンセンサス配列」および「コンセンサス抗体」とは、特定のクラス、イソ型またはサブユニット構造のあらゆる免疫グロブリンの各位置、例えば、ヒト免疫グロブリン可変ドメインに最も頻繁に存在するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指す、このコンセンサス配列は特定の種または多くの種の免疫グロブリンに基づき得る。「コンセンサス」配列、構造または抗体は、特定の実施形態に記載されているようなコンセンサスヒト配列を包含し、特定のクラス、イソ型またはサブユニット構造のあらゆるヒト免疫グロブリン中の各位置に最も頻繁に存在するアミノ酸残基を含むアミノ酸配列を指すものと理解される。コンセンサスヒト構造およびヒト以外の他種を考慮したコンセンサス構造が提供される。よって、このコンセンサス配列は、1以上の既知の免疫グロブリンに存在するが、単一の免疫グロブリンの全アミノ酸配列を正確には複製し得ないアミノ酸を各位置に有するアミノ酸配列を含む。この可変領域コンセンサス配列は、天然で産生される抗体または免疫グロブリンからは得られない。有用なコンセンサス配列としては、Kabatら, 1991, Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5編, Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD.に示されているデータから導き出せば、ヒト軽鎖可変鎖κIコンセンサス配列(配列番号13)およびヒト重鎖可変鎖サブグループIIIコンセンサス配列(配列番号2)ならびにその変異体が挙げられる。重鎖コンセンサス配列および軽鎖コンセンサス配列およびその変異体のFRは、ヒト化CD40抗体の生産に有用な配列を提供する。例えば、米国特許第6,037,454号および同第6,054,297号参照。特定の実施形態では、ヒト化抗体の生産に用いられるFRは、ヒト軽鎖可変鎖κIコンセンサス配列およびヒト重鎖可変鎖サブグループIIIコンセンサス配列のコンセンサス配列に由来するものであった。
【0055】
本明細書において「変異体」、「CD40変異体」、「ヒト化CD40変異体」、または「変異体ヒト化CD40」は各々、マウスモノクローナル抗体S2C6に由来する少なくとも重鎖可変CDRまたはHVLと、ヒトコンセンサス配列配列に由来するFR配列とを有するヒト化CD40抗体を指す。変異体としては、アミノ酸変化が抗体とCD40との結合を実質的に損なわない限り、軽鎖可変ドメインまたは重鎖可変ドメインの一方または双方に1以上のアミノ酸を有するものが挙げられる。ヒト化CD40変異体は一般に、抗体分子の折りたたみの改良を可能とすることにより、抗体の性能を改良するアミノ酸置換を含む。
【0056】
「単離された」CD40結合剤は、同定され、その天然環境の成分から分離および/または回収されたものである。この薬剤の天然環境の夾雑成分は、その薬剤の診断用途または治療用途を妨げ得る物質であり、酵素、ホルモンまたは他のタンパク質性もしくは非タンパク質性溶質であり得る。一態様では、この薬剤は、
(a)ローリー法により測定した場合に、薬剤が95重量%より高い単離、別の態様では、99重量%より高い単離となるまで、
(b)回転カップ分離器の使用により少なくとも15残基のN末端または内部アミノ酸配列が得られるのに十分な程度の単離となるまで、または
(c)クーマシーブルーまたは好ましくは銀染色を用いて可視化した場合に、還元条件または非還元条件下のSDS-PAGEにより均質となるまで
精製される。
【0057】
単離された薬剤としては、その薬剤の天然環境の少なくとも1つの成分が存在しないことから、組換え細胞内のin situ薬剤を含む。しかしながら、通常、単離された薬剤は少なくとも1つの精製工程により調製される。
【0058】
「抗体性能」とは、in vivoにおいて抗原の抗体認識または抗体の有効性に寄与する因子を指す。抗体のアミノ酸配列の変化は折りたたみなどの抗体特性に影響を及ぼすことがあり、抗原に対する抗体の結合の初速度(vo)、抗原からの抗体の解離定数(Kd)、抗原に対する抗体の親和定数、抗体のコンフォメーション、タンパク質の安定性および抗体の半減期などの物理的因子に影響を及ぼし得る。
【0059】
本明細書において「エピトープタグ付き」とは、「エピトープタグ」と融合されたCD40結合剤を指す。「エピトープタグ」は、薬剤生産のためのエピトープの提供に十分な数のアミノ酸を有するポリペプチドであり、なお、CD40結合剤の所望の活性を妨げない。このエピトープタグは通常、そのエピトープタグに対して生じた薬剤が他のエピトープと実質的に交差反応しないように十分にユニークなものである。好適なタグポリペプチドは一般に少なくとも6個のアミノ酸残基を含み、通常、約8〜50のアミノ酸残基、または約9〜30の残基を含む。ある特定の実施形態では、エピトープタグは「サルベージレセプター結合エピトープ」である。本明細書において「サルベージレセプター結合エピトープ」とは、IgG分子のin vivo血清半減期の上昇を担うIgG分子(IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4など)の)Fc領域のエピトープを指す。
【0060】
「細胞傷害薬」とは、細胞の機能を阻害するまたは妨げ、かつ/または細胞の破壊を生じる物質を指す。この用語は放射性同元素(I131、1125、Y90およびRe186など)、化学療法薬ならびに毒素(細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素)およびそのフラグメントを含むものとする。このような細胞傷害薬は、既知の標準的手順を用いて例えばヒト化CD40抗体などの抗体とカップリングさせ、例えば抗体による療法が指示される患者の治療に使用することができる。
【0061】
「化学療法薬」は、癌の治療に有用な化学的化合物である。化学療法薬の例としては、チオテパおよびシクロホスファアミド(cyclosphoshamide)CYTOXAN(商標)などのアルキル化剤;ブスルファン、インプロスルファンおよびピポスルファンなどのスルホン酸アルキル類;ベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン(carboquone)、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa)などのアジリジン類;アルトレートアミン(altretamine)、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホラミド、トリエチレンチオホスホラミドおよびトリメチロロメラミン(trimethylolomelamine)を含むエチレンイミン類及びメチラメラミン類;アセトゲニン類(特にブラタシン(bullatacin)およびブラタシノン(bullatacinone));カンプトセシン(合成類似体トポテカンを含む);ブリオスタチン(bryostatin);カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)およびビゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン類(特にクリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン(dplastatin);オーリスタチン類(auristatins)(類似体モノメチル-オーリスタチンEおよびモノメチル-オーリスタチンFを含む);ズオカルマイシン(duocarmycin)(合成類似体KW-2189およびCBI-TMIを含む);エレウテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコジクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);クロラムブシル(chlorambucil)、クロロナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン(estramustin)、イホスファミド(ifosfamide)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシドヒドロクロリド、メルファラン(melphalan)、ノベンビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロフォスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタードnadono
ナイトロジェンマスタード類;カルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)などのニトロスウレア類(nitrosureas);抗生物質、例えばエネジイン抗生物質(例えば、カリケアマイシン(calicheamicin)、特にカリケアマイシンγ1I及びカリケアマイシンphiI1(例えば、Agnew, Chem. Intl. Ed. Engl. 33:183-186(1994)参照);ダイネマイシン(dynemicin)Aを含むダイネマイシン;クロドロネート(clodronate)などのビスホスホネート;エスペラマイシン(esperamicin);ならびにネオカルチノスタチン(neocarzinostatin)発色団および関連する発色タンパク質エネジイン(enediyne)抗生物質発色団)といった抗生物質;アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン(actinomycin)、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシン類(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、クロモマイシン類(chromomycins)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、デトルビシン(detorbicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン(登録商標))(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン(epirubicin)、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、マーセロマイシン(marcellomycin)、マイトマイシンCなどのマイトマイシン類、ミコフェノール酸、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン(puromycin)、ケラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU)などの代謝拮抗剤;デノプテリン(denopterin)、メトトレキセート、プテロプテリン(pteropterin)、トリメトレキセート(trimetrexate)などの葉酸類似体;フルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなどのプリン類似体;アンシタビン(ancitabine)、アザシチジン(azacitidine)、6-アザウリジン(azauridine)、カルモフール(carmofur)、シタラビン(cytarabine)、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エノシタビン(enocitabine)、フロキシウリジン(floxuridine)などのピリミジン類似体;カルステロン(calusterone)、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate)、エピチオスタノール(epitiostanol)、メピチオスタン(mepitiostane)、テストラクトン(testolactone)などのアンドロゲン類;アミノグルテチミド(aminoglutethimide)、ミトタン(mitotane)、トリロスタン(trilostane)などの抗副腎剤;フロリン酸(frolinic acid)などの葉酸リプレニッシャー(replenisher);アセグラトン(aceglatone);アルドホスファミドグリコシド(aldophospamide glycoside);アミノレブリン酸(aminolevulinic acid);エニルウラシル(eniluracil);アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォルニチン(elfornithine);酢酸エリプチニウム(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン(lentinan);ロニダミン(lonidamine);メイタンシン(maytansine)およびアンサミトシン(ansamitocine)などのメイタンシノイド類(maytansinoids);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン(mitoxatrone);モピダンモール(mopidanmol);ニトラエリン(nitraerine);ペントスタチン(pentosdtatin);フェナメット(phenamet);ピラルビシン(pirarubicin);ロソキサントロン(losoxantrone);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン(procarbazine);PSK(登録商標);ラゾキサン(razoxane);リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン(sizofiran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テニュアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジコン(triaziquone);2,2',2'’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(特に、T-2毒素、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridine)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン(vindesine);ダカルバジン(dacarbazine);マンノムスチン(mannomustine);ミタブロニトール(mitabronitol);ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ(thiotepa);タキソイド類、例えばタキソール(TAXOL)(登録商標), Bristol-Myers Squibb Oncology, Princeton, NJ)およびドキセタキセル(doxetaxel)(タキソテール(TAXOTERE(登録商標), Rhone-Poulenc Rorer, Antony, France);クロラムブシル(chlorambucil);ゲムシタビン(gemcitabine)(Germzar(登録商標));6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;シスプラチン(cisplatinおよびカルボプラチン(carboplatin)などの白金類似体;ビンブラスチン(vinblastine);白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド(ifosfamide);ミトキサントロン(mitoxantrone);ビンクリスチン(vincristine);ビノレルビン(vinorelbine)(Navelbine(登録商標));ノバントロン(novantrone);テニポシド(teniposide);エダトレキセート(edatrexate);ダウノマイシン(daunomycin);アミノプテリン(aminopterin);キセローダ(xeloda);イバンドロナート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチロールニチン(DMFO);レチノイン酸などのレチノイド類;カペシタビン(capecitabine);ならびに上記のいずれかの薬学上許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。またこの定義に含まれるものとしては、腫瘍に対するホルモン作用を調節または阻害する働きをする抗ホルモン剤、例えば、タモキシフェン(Nolvadex(登録商標)を含む)、ラロキシフェン(raloxifene)、ドロロキシフェン(droloxifene)、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)およびトレミフェン(tremifene)(Fareston(商標))を含む抗エストロゲンおよび選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM);および副腎中でのエストロゲン産生を調節するアロマターゼ酵素を阻害するアロマターゼ阻害剤、例えば、4(5)-イミダゾール類、アミノグルテチミド、酢酸メゲストロール(megestrol acetate)(Megace(商標))、エキセメスタン(exemestane)、フォルメスタン(formestane)、ファドロゾール(fadrozole)、ボロゾール(vorozole)(Rivisor(登録商標))、レトロゾール(letrozole)(Femara(商標)およびアナストロゾール(Anastrozole)(Arimidex(商標));フルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、ロイプロリド(leuprolide)およびゴセレリン(goserelin)などの抗アンドロゲン;ならびに上記のいずれかの薬学上許容される塩、酸または誘導体が挙げられる。
【0062】
本明細書において「プロドラッグ」とは、親薬剤と比較して腫瘍細胞に対する細胞傷害性が低く、酵素的に活性化またはより活性な形態に変換され得る薬学上活性な物質の前駆体または誘導体形態を指す。例えば、Wilman, 1986, “Prodrugs in Cancer Chemotherapy”, Biochemical Society Transactions, 14, 375-382頁, 615th Meeting, BelfastおよびStellaら, 1985 , “Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery”, Directed Drug delivery, Borchardtら(編), 247-267頁, Humana Press参照。有用なプロドラッグとしては、限定されるものではないが、ホスフェート含有プロドラッグ、チオホスフェート含有プロドラッグ、サルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D-アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、βラクタム含有プロドラッグ、置換されていてもよいフェノキシアセトアミド含有プロドラッグ、および置換されていてもよいフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、より活性のある細胞傷害性不含薬剤に変換可能な5-フルオロシトシンおよび他の5-フルオロウリジンプロドラッグが挙げられる。プロドラッグ形態に誘導体化可能な細胞傷害薬の例としては、限定されるものではないが、前記の化学療法剤が挙げられる。
【0063】
「標識」とは、抗体と直接的または間接的にコンジュゲートされる検出可能な化合物または組成物を指す。標識はそれ自身が検出可能なものでもよく(例えば、放射性同位体標識または蛍光標識)、あるいは、酵素標識の場合には、検出可能な基質化合物または組成物の化学的変換を触媒するものであってもよい。
【0064】
「リポソーム」は、様々な種の脂質、リン脂質および/または界面活性剤からなる小胞である。リポソームは、所望により1以上の薬学上活性な薬剤と結合または組み合わせられたCD40結合剤(例えば、ヒト化CD40抗体)などの化合物または処方物を哺乳類に送達するのに有用である。リポソームの成分は一般に、生体膜の脂質配置と同様に、2層をなして並んでいる。
【0065】
「単離された」核酸分子は、同定され、核酸の天然源に通常付随している少なくとも1つの夾雑核酸分子から分離された核酸分子である。単離された核酸分子は、天然に見出される形態または状態以外のものである。従って、単離された核酸分子は、天然細胞中に存在する核酸分子とは区別される。しかしながら、単離された核酸分子には、例えば、核酸分子が天然細胞のものとは異なった染色体位置にあるコード産物を通常発現する細胞に含まれる核酸分子が含まれる。
【0066】
「制御配列」とは、特定の宿主生物において作動可能なように連結されたコード配列を発現するのに必要なポリヌクレオチド配列を指す。例えば原核生物での使用に好適な制御配列は、プロモーター、オペレーター、およびリボソーム結合部位を含む。真核生物制御配列としては、限定されるものではないが、プロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーが含まれる。これらの制御配列は原核生物および真核生物宿主細胞においてCD40結合剤の発現および産生に利用することができる。
【0067】
核酸配列は、他の核酸配列と機能的な関係に置かれる場合に「作動可能なように連結」されている。例えば、核酸プレ配列もしくは分泌リーダーは、ポリペプチドの分泌に寄与するプレタンパク質として発現されているならば、そのポリペプチドをコードする核酸と作動可能なように連結されており;プロモーターまたはエンハンサーは、配列の転写に影響を及ぼすならば、コード配列に作動可能なように連結されており;またはリボソーム結合部位は、翻訳を容易にするように配置されているならば、コード配列と作動可能なように連結されている。一般的に、「作動可能なように連結される」とは、連結されているDNA配列が隣接しており、分泌リーダーの場合には隣接していてリーディングフレーム内にあることを意味する。しかし、エンハンサーは必ずしも隣接しているわけではない。連結は便宜な制限部位での連結反応により達成される。そのような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用することができる。
【0068】
本明細書において「細胞」、「細胞系統」および「細胞培養」という表現は互換的に用いられ、その全ての用語はその後代を含む。従って、「形質転換体」および「形質転換細胞」は、最初の親細胞および継代培養回数に関わらず最初のものから誘導された培養物を含む。また、全ての後代が、意図的なまたは自然に起こる突然により、DNA内容が正確に同一でなくてもいよいと理解される。元々の形質転換細胞についてスクリーニングしたものと同じ機能または生物活性を有する突然変異後代も含まれる。明瞭な表示が意図される場合は、文脈から明らかであろう。
【0069】
治療目的で「哺乳類」とは、ヒト、家庭内動物および農場動物、ならびに動物園の動物、スポーツ用の動物またはペットとして分類される動物、例えば、イヌ、ウマ、ネコ、ウシなどを指す。好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0070】
本明細書において「障害」は、本明細書に記載のCD40結合剤による治療から利益を受ける症状である。これには、対象とする障害に哺乳類が罹患する素因になる病理状態を含む慢性および急性の障害または疾病が含まれる。本明細書で治療される障害の非限定例としては、癌、血液性悪性疾患、良性および悪性の腫瘍、白血病およびリンパ球性悪性腫瘍および炎症、血管新生障害および免疫障害が挙げられる。
【0071】
「癌」および「癌性」とは、一般に制御されない細胞増殖を特徴とする哺乳類における病理状態を指す、または示す。癌の例としては、限定されるものではないが、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、肉腫および白血病が挙げられる。
【0072】
本明細書において「CD40関連障害」または「CD40関連疾患」とは、CD40を発現する細胞の改変または除去が指示される症状を指す。これらには、異常な増殖を示すCD40発現細胞または癌性もしくは悪性増殖を伴うCD40発現細胞が含まれる。CD40抗原の異常な発現を示す癌のより具体的な例としては、Bリンパ芽球細胞、バーキットリンパ腫、多発性骨髄腫、T細胞リンパ腫、カポジ肉腫、骨肉腫、上皮および内皮腫瘍、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌、前立腺癌、頭頸部癌、皮膚癌(黒色腫)、膀胱癌および腎臓癌が挙げられる。このような障害としては、限定されるものではないが、白血病、リンパ腫(B細胞リンパ腫および非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、ワルデンストロームマクログロブリン血症を含む);固形腫瘍(骨肉腫、ユーイング肉腫などの肉腫、悪性黒色腫、卵巣腺癌などの腺癌、カポジ肉腫/カポジ腫瘍および扁平上皮癌を含む)が挙げられる。
【0073】
CD40関連障害にはまた、自己免疫障害および炎症性障害などの免疫系の疾病および障害も含まれる。このような症状としては、限定されるものではないが、関節リウマチ(RA)、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、硬皮症、シェーグレン症候群、多発性硬化症、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、肺炎症、喘息および特発性血小板減少性紫斑(ITP)が挙げられる。
【0074】
本明細書において「成長を停止させる」または「成長阻害」とは、細胞、特にCD40抗原を発現する新生細胞種の成長および増殖を阻害することを指す。よって、例えば、成長阻害はS期の新生細胞のパーセンテージを有意に低下させる。
【0075】
「静脈内注入」とは、薬剤を動物またはヒト患者の静脈へおよそ15より長い時間、一般にはおよそ30〜90分かけて導入することを指す。
【0076】
「静脈内ボーラス」または「静脈内プッシュ」とは、身体がおよそ15分以内、一般には5分以内に薬物を受容するような動物またはヒトの静脈への薬物投与を指す。
【0077】
「皮下投与」とは、比較的ゆっくりと、薬剤容器からの送達が維持されることによって、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚と皮下組織の間のポケット内に薬剤を導入することを指す。皮膚をつまみ上げるか引き上げて皮下組織から離すことでポケットが作り出せる。
【0078】
「皮下注入」とは、比較的ゆっくりと、限定されるものではないが30分以内または90分以内といった時間、薬剤容器からの送達が維持されることによって、動物またはヒト患者の皮膚の下に、好ましくは皮膚と皮下組織の間のポケット内に薬剤を導入することを指す。場合によっては、注入は、動物またはヒト患者の皮膚の下に埋め込まれる薬剤送達ポンプの皮下埋植によってなされ、このポンプは所定の時間、例えば30分、90分、または治療計画の長さにわたる期間、所定量を送達する。
【0079】
「皮下ボーラス」とは、動物またはヒト患者の皮膚の下への薬剤投与を指し、ボーラス薬剤送達は好ましくはおよそ15分以内、別の態様では5分以内、さらに別の態様では60秒以内である。さらに別の態様では、投与は皮膚と皮下組織の間のポケット内に行われ、このポケットは皮膚をつまみ上げるか引き上げて皮下組織から離すことで作り出せる。
【0080】
「治療上有効な量」とは、例えば成長停止作用または細胞の除去などの有益な患者の転帰を有する有効薬の量を指して用いる。一態様では、この治療上有効な量はアポトーシス活性を有するか、または細胞死を誘発し得る。別の態様では、治療上有効な量は、例えば疾病の進行を緩慢にするのに効果的であることが示されている目的血清濃度を指す。有効性は、治療する症状に応じて、常法で測定することができる。例えば、CD40を発現する細胞を特徴とする新生物性疾患または障害では、有効性は疾病の進行にかかる時間(TTP)を評価し、奏功率(RR)を判定することにより測定することができる。
【0081】
本明細書において「治療」および「療法」などは、限定されるものではないが、疾病または障害の1以上の症状の緩和または軽減、退縮、進行の遅延または停止を含む臨床上望ましいまたは有益な効果につながる疾病または障害の治療的手段ならびに予防的手段、または抑制的手段を含んで意味する。よって、例えば、治療とは、疾病または障害の症候の発症前または発症後の薬剤の投与、それによる疾病または障害の1以上の徴候の予防または除去を含む。別の例として、この用語は疾病の発現後にその疾病の症候に対抗することを目的とした薬剤の投与を含む。さらに、投与が組織損傷の程度または転移の量もしくは程度などの疾病または障害の臨床パラメーターに影響を及ぼす場合の発症の後または進展した臨床徴候の後の投与も、本発明で用いられる「治療」または「療法」を含む。
【0082】
「添付文書」とは、適応、使用、投与、禁忌および/またはこのような治療製品の使用に関する警告についての情報を含む、治療製品の市販パッケージに慣例的に含まれる説明書を指して用いる。
【0083】
省略形「AFP」は、ジメチルバリン-バリン-ドライソロイン-ドラプロイン-フェニルアラニン-p-フェニレンジアミンを指す。
【0084】
省略形「MMAE」は、モノメチルオーリスタチンEを指す。
【0085】
省略形「AEB」は、オーリスタチンEとパラアセチル安息香酸を反応させることにより生成されるエステルを指す。
【0086】
省略形「AEVB」は、オーリスタチンEとベンゾイル吉草酸を反応させることにより生成されるエステルを指す。
【0087】
省略形「MMAF」は、ドバリン-バリン-ドライソロイニン-ドラプロイン-フェニルアラニンを指す。
【0088】
(CD40結合剤)
本明細書で記載および開示されるのは、CD40抗体、およびCD40と特異的に結合する他の結合剤(CD40結合剤と呼ぶ)の使用方法である。これらのCD40抗体および結合剤はヒトB細胞に刺激シグナルを送達し、CD40とCD40Lの間の相互作用を促進し、in vivo抗新生物活性を有する。CD40抗体および他のCD40結合剤は癌細胞の成長を停止させ、CD40を発現する細胞の削除を生じさせ、またはそうでなければ標的細胞に細胞傷害作用または細胞静止作用を誘発させるか、または生じさせることができる。CD40抗体および他のCD40結合剤は、CD40表面抗原を発現する細胞の増殖を特徴とする多様な疾病または障害の治療に使用することができる。
【0089】
いくつかの態様では、CD40結合剤はCD40リガンドとCD40との結合を少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、または少なくとも75%増大する。CD40リガンドとCD40との結合の増大を測定する方法は、米国特許第6,838,261号(この開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)に開示されている。
【0090】
種々の実施形態では、CD40結合剤は例えばCD40表面抗原との結合を介して、例えば癌細胞の増殖を遮断するか、またはそうでなければ癌細胞の成長を停止させ、あるいはその枯渇、死滅またはそうでなければその削除を生じさせることができる。
【0091】
CD40結合剤(例えば、CD40抗体)は各々、エピトープCD40、一般にはヒトCD40を特異的に認識する部分を少なくとも含む。いくつかの実施形態では、CD40抗体または他のCD40結合剤は、CD40と特異的に結合する抗体の抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、CD40結合剤はCD40との結合をめぐってモノクローナル抗体(mAb)S2C6と競合する。いくつかの実施形態では、CD40結合剤は、CD40(例えば、ヒトCD40またはその変異体)と結合するヒト化CD40抗体の抗原結合フラグメントを含む。これらのCD40結合剤は所望により細胞傷害薬または化学療法薬とコンジュゲートまたは融合させることができる。CD40結合剤がCD40表面抗原と結合し、CD40発現細胞種の枯渇を生じさせる態様では、結合は一般にin vivoにおいてCD40表面抗原細胞をホーミングすることを特徴とする。好適な結合剤は十分な親和性および/またはアビディティ(avidity)でCD40抗原と結合するので、CD40結合剤はこの抗原を発現する細胞を特異的に標的とすることによる治療薬として有用である。
【0092】
S2C6抗体は例えば、Paulieら, 1984, Cancer Immunol. Immunother. 17:165-179)により記載されている。S2C6抗体は、用量依存的様式で一次B細胞増殖を刺激する抗体の能力(例えば、Paulieら, 1989, J. Immunol. 142:590-595参照)、ならびにin vivo抗新生物活性(例えば、米国特許第6,838,261号参照)により示されるようなヒト末梢B細胞に対してアゴニスト活性を示すことが示されている。
【0093】
一態様では、CD40結合剤はモノクローナル抗体S2C6(軽鎖および/または重鎖、または軽鎖CDR1(配列番号25)および/または2(配列番号26)、および/または重鎖CDR1(配列番号30)、2(配列番号31)、および/または3(配列番号32)、または軽鎖CDR3(配列番号27)の全てまたは一部を、このような分子がATCCに寄託され受託番号PTA-110と指定された天然mAb S2C6またはその重鎖もしくは軽鎖でない限り、他のCDRおよび/または4つの重鎖および4つの軽鎖フレームワーク領域の1以上のいずれと組み合わせて含んでもよい。このような分子は、配列および/または翻訳後修飾(グリコシル化、アミド化、非S2C6配列とのペプチド結合または架橋など)がS2C6と異なり得る。
【0094】
種々の特定の実施形態では、CD40結合剤は免疫特異的にCD40と結合し(または多量体化された際に免疫特異的にCD40と結合し)、CD40との結合に対して天然S2C6と競合し、かつ/またはCD40リガンドとCD40との結合を少なくとも45%、50%、60%または65%増大する。このような分子をコードする核酸、例えばS2C6フラグメントまたは誘導体もまた、天然mAb S2C6をコードする核酸とともに本発明の範囲内にある。前記タンパク質の、例えば組換え法による産生も提供される。
【0095】
他の実施形態では、限定されるものではないが、機能的に活性な、すなわち、全長S2C6 mAbに関する1以上の既知の機能的活性を示し得る融合/キメラタンパク質をはじめとする、タンパク質および誘導体などのCD40結合剤が提供される。このような機能的活性としては、限定されるものではないが、CD40との結合能、CD40シグナル伝達経路への刺激シグナルの送達(例えば、B細胞の増殖を生じさせるため)、CD40LとCD40の相互作用の増強、腫瘍成長の阻害能および免疫応答誘発能が挙げられる。
【0096】
S2C6、その誘導体および類似体抗体を含んでなるCD40に対する抗体には、ヒト化抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体、および化学療法薬または生物応答修飾物質などの治療薬とコンジュゲートされた抗体が含まれる。このような抗体としては、限定されるものではないが、上記のいずれかのもののモノクローナル抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、単鎖抗体、二重特異性抗体、Fabフラグメント、F(ab')2フラグメント、単鎖Fvフラグメント、scFv-Fcフラグメント、ミニボディー、マキシボディー、ダイアボディー、トリボディー、テトラボディー、Fab発現ライブラリーにより生成されたフラグメント、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、およびエピトープ結合フラグメントが挙げられる。
【0097】
CD40に対するその他のモノクローナル抗体の生産には、連続培養細胞系統により抗体分子の生産を提供するいずれの技術を用いてもよい。これらには、限定されるものではないが、Kohler and Milstein (1975, Nature 256:495-497;および米国特許第4,376,110号)のハイブリドーマ技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kozborら, 1983, Immunology Today 4:72; Coleら, 1983, Proc. Natl Acad. Sci. USA 80:2026-2030)、およびヒトモノクローナル抗体を生産するためのEBV-ハイブリドーマ技術(Coleら, 1985, Monoclonal Antibodies and Cncer Therapy, Alan R. Liss, Inc., 77-96頁)が挙げられる。このような抗体または当技術分野で利用可能な他の抗CD40抗体は、クローニングのための基礎として使用することができ、従って、S2C6重鎖が組換え発現される場合には相補的軽鎖を供給し(2つの鎖を同じ細胞で組換え発現させてもよいし、あるいは別個の発現および精製の後にin vitroで合わせてもよい)、あるいは任意の特異性の抗体に由来する軽鎖を用いてもよい。S2C6重鎖をコードする、またはS2C6重鎖可変ドメインを含む分子をコードする核酸(例えば、プラスミド)は、抗体軽鎖、または多量体タンパク質の発現のために抗体軽鎖を含む分子を発現する細胞へトランスフェクトすることができ;この抗体軽鎖は組換え型または非組換え型であってもよく、抗CD40特異性を有しても有さなくてもよい。あるいは、S2C6重鎖またはその可変領域またはそのCDRを含む分子を所望により発現させ、相補的軽鎖または軽鎖可変領域を存在させずに用いてもよい。種々の実施形態において、本発明は、CD40結合親和性を有するS2C6、または1コピー以上の重鎖CDR 1、2および/または3(それぞれ配列番号30、31または32)からなる、または(選択的に)含んでなる分子、またはその配列が1コピー以上のCDR1、2または3からなる、または含んでなるタンパク質(ペプチドまたはポリペプチド)を提供する。特定の実施形態では、このようなタンパク質は、例えばC末端アミド化またはN末端アセチル化により、N末端修飾またはC末端修飾することができる。
【0098】
さらに、適当な抗原特異性のマウス抗体分子由来の遺伝子を、適当な生物活性のヒト抗体分子由来の遺伝子とともにスプライシングすることにより、「キメラ抗体」の生産のために開発された技術(Morrisonら, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. 81:6851-6855; Neubergerら, 1984, Nature 312:604-608; Takedaら, 1985, Nature 314:452-454)を使用することもできる。キメラ抗体は、マウスmAb由来の可変領域とヒト免疫グロブリン定常領域を有するものなど、種々の部分が異なる動物種に由来する分子である。(例えば、Cabillyら, 米国特許第4,816,567号;およびBossら, 米国特許第5,816,397号参照。)特定の実施形態では、キメラ抗体は、ATCCに寄託され受託番号PTA-110と指定されたハイブリドーマにより分泌されたモノクローナル抗体S2C6の可変ドメインとヒト定常領域を含んでなる。特定の実施形態では、キメラ抗体の可変ドメインはS2C6 VL(配列番号24)および/またはS2C6 VH(配列番号29)を含んでなる。
【0099】
別の態様では、CD40結合剤はヒト化CD40抗体であり得る。ヒト化抗体を生産するための技術が開発されている(例えば、Queen, 米国特許第5,585,089号;およびWinter, 米国特許第5,225,539号参照)。免疫グロブリン軽鎖可変領域または重鎖可変領域は、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる3つの超可変領域が挿入された「フレームワーク」領域からなる。このフレームワーク領域およびCDRの範囲は正確に定義されている(”Sequences of Proteins of Immunological Interest”, Kabat, E.ら, U.S. Department of Health and Human Services (1983)参照)。要するに、ヒト化抗体は、非ヒト種に由来する1以上のCDRとヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する非ヒト種由来の分子である。
【0100】
いくつかの実施形態では、CD40結合剤は下記の重鎖可変ドメインもしくは軽鎖可変ドメインを含んでなる抗体またはその誘導体であり、該可変ドメインは、(a)3つの相補性決定領域(CDR)1セット(このCDRのセットはモノクローナル抗体S2C6に由来する)と、(b)4つのフレームワーク領域1セット(このフレームワーク領域のセットはモノクローナル抗体S2C6のフレームワーク領域のセットとは異なり、該抗体またはその誘導体は免疫特異的にCD40と結合する)を含んでなる。好ましくは、このフレームワーク領域のセットはヒトモノクローナル抗体、例えばCD40と結合しないヒトモノクローナル抗体に由来するものである。
【0101】
特定の実施形態では、下記の軽鎖可変ドメインを含んでなる抗体またはその誘導体が提供され、該可変ドメインは、(a)3つの相補性決定領域(CDR)1セット(このCDRのセットは配列番号25または配列番号26を含んでなる)と、(b)4つのフレームワーク領域1セット(このフレームワーク領域のセットはモノクローナル抗体S2C6の軽鎖のフレームワーク領域セットとは異なり、該抗体またはその誘導体は免疫特異的にCD40と結合する)を含んでなる。
【0102】
特定の実施形態では、下記の軽鎖可変ドメインを含んでなる抗体またはその誘導体が包含され、該可変ドメインは、(a)3つの相補性決定領域(CDR)1セット(このCDRのセットは配列番号30、配列番号31または配列番号32を含んでなる)と、(b)4つのフレームワーク領域1セット(このフレームワーク領域のセットはモノクローナル抗体S2C6の重鎖のフレームワーク領域セットとは異なり、該抗体またはその誘導体は免疫特異的にCD40と結合する)を含んでなる。
【0103】
特定の実施形態では、ヒトフレームワーク領域アミノ酸は、米国特許第6,037,454号に記載されているような重鎖サブグループIII可変ドメインとκ軽鎖可変のヒトコンセンサス配列に由来する。ヒト化CD40抗体は所望により、コンセンサスフレームワーク領域の特定のアミノ酸置換を含んでもよい。
【0104】
これらのフレームワーク位置における特定のアミノ酸残基の置換により、結合親和性および/または安定性をはじめとする抗体性能の種々の態様を、下記の実施例に示されているような、ヒトコンセンサスフレームワーク領域へのCDRまたはHVLの「ダイレクトスワップ(direct swap)」により形成されたヒト化抗体で示されたものを超えて向上させることができる。
【0105】
いくつかの実施形態では、本明細書で開示されるヒト化CD40抗体は、マウスモノクローナル抗体S2C6のCDRまたはHVLと、実施例1の表3に記載されている特定の置換を有するヒトコンセンサス重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインのFRを含んでなる少なくとも1つの重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインを含む。置換を有する可変重鎖アミノ酸配列および置換を有する可変軽鎖アミノ酸配列のアライメントはそれぞれ表3および4に示されている。これらの配列は配列番号3のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、配列番号14のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインを含む。
【0106】
ある特定の実施形態では、ヒト化CD40抗体は抗体フラグメントである。抗体フラグメントの生産のために種々の技術が開発されている。フラグメントは完全な抗体のタンパク質分解消化によって誘導することができる(例えば、Morimotoら, 1992, Journal of Biochemical and Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117;およびBrennanら, 1985, Science 229:81参照)。あるいは、フラグメントは組換え宿主細胞で直接生産することもできる。例えば、Fab'-SHフラグメントを大腸菌(E. coli)から直接回収し、化学結合によりF(ab')2フラグメントを形成することができる(例えば、Carterら, 1992, Bio/Technology 10:163-167参照)。別のアプローチで、F(ab')2フラグメントを組換え宿主細胞培養物から直接単離することもできる。抗体フラグメントの生産のための他の技術は当業者には明らかである。
【0107】
特定の実施形態は、それぞれ配列番号3と配列番号14、それぞれ配列番号4と配列番号14それぞれ配列番号5と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号14、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号8と配列番号14、それぞれ配列番号9と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号15、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、またはそれぞれ配列番号11と配列番号16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含んでなるヒト化CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。このような実施形態は、F(ab')2などを含む完全抗体を含み得る。
【0108】
いくつかの実施形態は、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10または配列番号11のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一の重鎖可変領域アミノ酸配列を有するCD40結合剤を含む。いくつかの実施形態は、配列番号14、配列番号15または配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を有するCD40結合剤を含む。
【0109】
いくつかの実施形態は、それぞれ配列番号3と配列番号14、それぞれ配列番号4と配列番号14、それぞれ配列番号5と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号14、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号8と配列番号14、それぞれ配列番号9と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号15、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、またはそれぞれ配列番号11と配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を各々含む重鎖可変ドメインと軽鎖可変領域を有するCD40結合剤を含む。
【0110】
いくつかのさらなる実施形態は、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、およびそれぞれ配列番号11と配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を各々含む、重鎖可変ドメインと軽鎖可変ドメインを有するCD40結合剤を含む。
【0111】
さらなる実施形態は、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号16、およびそれぞれ配列番号11と配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を各々含む、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を有するCD40結合剤を含む。
【0112】
他の実施形態は、それぞれ配列番号10と配列番号16のアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を各々含む、重鎖可変領域と軽鎖可変領域を有するCD40結合剤を含む。
【0113】
他の実施形態は、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、およびそれぞれ配列番号11と配列番号16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含んでなるヒト化CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。
【0114】
さらに他の実施形態は、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号16、およびそれぞれ配列番号11と配列番号16の重鎖可変ドメインアミノ酸配列と軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含んでなるヒト化CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。
【0115】
いくつかの実施形態は、配列番号10のアミノ酸配列を含んでなる重鎖可変ドメインと配列番号16のアミノ酸配列を含んでなる軽鎖可変ドメインを含むヒト化CD40抗体のF(ab')2フラグメントを含む。
【0116】
本明細書において、2つのポリペプチド配列に関して「同一」または「同一性%」とは、最大の一致に関して比較およびアラインした際に同じである、または同じであるアミノ酸残基の特定の%を有する2以上の配列もしくは部分配列を指す。同一性%を決定するには、配列を最適に比較する目的でアラインする(例えば、第2のアミノ酸配列との最適なアライメントのために第1のアミノ酸配列の配列中にギャップを導入することができる)。次に、対応するアミノ酸位置のアミノ酸残基を比較する。第1の配列中のある位置が第2の配列の対応する位置と同じアミノ酸残基で占められている場合、これらの分子はその位置において同一である。2つの配列間の同一性%は、それらの配列が共有する同一の位置の数の関数である(すなわち、同一性%=同一の位置の数/位置の総数(例えば、重複する位置)×100)。いくつかの実施形態では、比較する2つの配列は、適当であれば配列内にギャップを導入した後に同じ長さとなる(例えば、比較する配列を超えて伸びる余分な配列を除く)。例えば、可変領域配列を比較する場合、リーダーおよび/または定常ドメイン配列は考慮しない。2配列間の配列比較では、「対応する」CDRとは、両配列で同じ位置にあるCDRを指す(例えば、各配列のCDR-H1)。
【0117】
ヒト化の代わりとして、ヒト抗体を作製してもよい。例えば、免疫化の際に、内因性免疫グロブリン生産の不在下でヒト抗体の全レパートリーを産生し得るトランスジェニック動物(例えばマウス))を使用することができる。例えば、キメラおよび生殖細胞系突然変異マウスにおける抗体重鎖連結領域(JH)遺伝子の同形接合欠損によって内因性抗体生産の完全な阻害が起こることが記載されている。このような生殖細胞系突然変異マウスにおけるヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイの導入により、抗原刺激の際にヒト抗体の産生が起こる。例えば、Jakobovitsら, 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:2551; Jakobovitsら, 1993, Nature 362:255-258; Bruggermannら, 1993, Year in Immuno. 7:33;および米国特許第5,591,669号、同第5,589,369号、同第5,545,807号、同第6,075,181号、同第6,150,584号、同第6,657,103号および同第6,713,610号参照。
【0118】
あるいは、ファージディスプレー技術(例えば、McCaffertyら, 1990, Nature 348:552-553)を用い、非免疫化ドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーからin vitroヒト抗体および抗体フラグメントを生産することもできる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、M13またはfdなどの繊維状ファージのメジャーまたはマイナーコートタンパク質遺伝子のいずれかにフレーム内でクローニングされ、ファージ粒子の表面に機能的抗体フラグメントとして提示される。この線維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含むので、抗体の機能的特性に基づいて選択すれば、それらの特性を示す抗体をコードする遺伝子も選択される。よって、このファージはB細胞の特性をいくらか模倣する。ファージディスプレーは多様な形式で行うことができ、それらの総説としては、例えば、JohnsonとChiswell, 1993, Current Opinion in Structural Biology 3:564-571を参照。いくつかのV遺伝子セグメント源がファージディスプレーに使用可能である。Clacksonら, 1991, Nature 352.624-628は免疫マウスの脾臓に由来するV遺伝子の小ランダムコンビナトリアルライブラリーから多様なアレイの抗オキサゾロン抗体を単離した。非免疫ヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築することができ、本質的にMarksら, 1991, J. MoL Biol. 222:581-597またはGriffithら, 1993, EMBO J. 12:725-734が記載している技術に従い、多様なアレイの抗原(自己抗原を含む)に対する抗体を単離することができる。また、米国特許第5,565,332号および同第5,573,905号も参照。上述のように、ヒト抗体もin vitro活性化B細胞によって生成可能である(米国特許第5,567,610号および同第5,229,275号参照)。
【0119】
他の実施形態では、単鎖抗体の生産に関して記載された技術(米国特許第4,946,778号; Bird, 1988, Science 242:423-426; Hustonら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883;およびWardら, 1989, Nature 334:544-546)を応用し、S2C6配列を用いて単鎖抗体を生産することができる。単鎖抗体はFv領域の重鎖フラグメントと軽鎖フラグメントを、アミノ酸架橋を介して連結することにより単鎖ポリペプチドを得ることにより形成される。特定の実施形態では、単鎖抗体はそれぞれ配列番号24および29に示されるようなアミノ酸配列を含んでなる。
【0120】
特定の実施形態では、CD40ポリペプチド、ペプチドもしくは他の誘導体、または配列番号23もしくは配列番号28の全てまたは一部を含んでなるその類似体に対する抗体は二重特異性抗体である(一般に、例えば、Fanger and Drakeman, 1995, Drug News and Perspectives 8:133-137参照)。このような二重特異性抗体は一般に、(1)エピトープと、(2)種々の「トリガー」分子のうちの1つ、例えば、骨髄細胞上のFc受容体、ならびに細胞傷害性T細胞に特定の標的を破壊させることができると確認されているT細胞上のCD3およびCD2の双方を認識するように操作される。このような二重特異性抗体は、当業者に公知のキメラコンジュゲーション、ハイブリドーマまたは組換え分子生物学的技術のいずれかによって作製することができる。特定の実施形態では、二重特異性抗体はS2C6重鎖可変ドメインもしくは軽鎖可変ドメインまたはそのCDR配列を含んでなる分子を含み、この分子は抗体の重鎖または軽鎖の構造を有するが、天然のS2C6重鎖または軽鎖とは異なる(例えば、フレームワーク領域またはヒト定常ドメインにアミノ酸置換を有することによる)。
【0121】
CD40認識能を保持する他の抗体フラグメントは既知の技術により作製可能である。例えば、このようなフラグメントとしては、限定されるものではないが、抗体分子のペプシン消化により作製することができるF(ab')2フラグメント、およびF(ab')2フラグメントのジスルフィド架橋を還元することにより作製することができるF(ab')フラグメントが挙げられる。あるいは、所望の特異性を有するモノクローナルFabフラグメントを迅速かつ容易に同定することを可能とするために、Fab発現ライブラリーを構築することもできる(Huseら, 1989, Science 246:1275-1281)。作製可能な他の抗体として、上記のいずれかのものの単鎖Fvフラグメント、scFv-Fcフラグメント、ミニボディー、マキシボディー、ダイアボディー、トリボディー、テトラボディー、抗イディオタイプ(抗Id)抗体およびエピトープ結合フラグメントが挙げられる。
【0122】
いくつかの実施形態では、抗体または抗体フラグメントはエフェクター機能を媒介する定常領域を含む。この定常領域は、CD40発現標的細胞に対して抗体依存性細胞傷害性(ADCC)応答、抗体依存性細胞食作用(ADCP)応答、および/または補体依存性細胞傷害性(CDC)応答を提供し得る。エフェクタードメインは例えばIg分子のFc領域であり得る。一般に、CD40結合剤は細胞傷害性白血球(例えば、ナチュラルキラー(NK)細胞、食細胞(例えば、マクロファージ)および/または血清補体成分)を動員かつ/または活性化する。
【0123】
抗体のエフェクタードメインはいずれの好適な脊椎動物種およびイソ型に由来してもよい。種々の動物種に由来するイソ型は、エフェクター機能を媒介する能力が異なる。例えば、ヒト免疫グロブリンのCDCおよびADCC/ADCPを媒介する能力は一般にそれぞれIgM≒IgG1≒IgG3>IgG2>IgG4およびIgG1≒IgG3>IgG2/IgM/IgG4の順である。マウス免疫グロブリンは、一般にそれぞれマウスIgM≒IgG3>>IgG2b>IgG2a>>IgG1およびIgG2b>IgG2a>IgG1>>IgG3の順でCDCおよびADCC/ADCPを媒介する。別の例では、マウスIgG2aはADCCを媒介し、マウスIgG2aおよびIgMの双方はCDCを媒介する。
【0124】
(CD40結合剤の修飾)
他の態様では、CD40結合剤の誘導体(限定されるものではないが、フラグメントを含む)、類似体および分子(例えば、モノクローナル抗体またはmAbに由来するそのフラグメント)が提供される。S2C6タンパク質誘導体およびタンパク質類似体をコードする核酸も提供される。特定の態様では、これらのタンパク質、誘導体または類似体は配列番号23または配列番号28の配列によりコードされている。
【0125】
S2C6 mAbに関連する誘導体および類似体の生産および使用が提供される。特定の実施形態では、この誘導体または類似体は機能的に活性であり、すなわち、全長S2C6 mAbに付随する1以上の機能的活性を示し得る。一例として、所望の結合特異性を有するこのような誘導体または類似体がイムノアッセイ、または腫瘍成長の阻害を目的に治療的に使用可能である。特定の実施形態は、CD40と結合し、CD40LとCD40の結合を増強するS2C6 mAbフラグメントに関する。S2C6タンパク質の誘導体または類似体は、限定されるものではないが、ラジオイムノアッセイ、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、「サンドイッチ」イムノアッセイ、ウエスタンブロット、免疫蛍光アッセイ、タンパク質Aアッセイ、免疫電気泳動アッセイなどの技術を用いた競合アッセイ系および非競合アッセイ系を含む、当技術分野で公知の種々のイムノアッセイによって所望の活性に関して試験することができる。
【0126】
さらに、当技術分野で公知のアッセイを用いて、in vivoまたはin vitroにおいて細胞増殖阻害能(例えば、腫瘍細胞成長の阻害)または細胞増殖刺激能(例えば、B細胞の増殖)を検出または測定することができる。
【0127】
特に、S2C6 mAb誘導体は、機能的に等価な分子をもたらす置換、付加(例えば、挿入)または欠失によりS2C6 mAb配列を変更することで作製することができる。ヌクレオチドコード配列の縮重により、S2C6 mAbをコードする核酸と実質的に同じアミノ酸配列をコードする他のDNA配列も本発明の実施に使用可能である。これらには、限定されるものではないが、配列内に機能的に等価なアミノ酸残基をコードする異なるコドンの置換によって変更されたS2C6 mAb遺伝子の全てまたは一部を含んでなる、従ってサイレント変異を生じるヌクレオチド配列が含まれる。同様に、S2C6 mAb誘導体には、限定されるものではないが、一次アミノ酸配列として、S2C6 mAbのアミノ酸配列の全てまたは一部を含むもの、例えば、配列内の残基が機能的に等価なアミノ酸残基で置換され、サイレント変異を生じている変異配列が含まれる。例えば、配列内の1以上のアミノ酸残基は、機能的に等価として働く同等の極性の別のアミノ酸によって置換することができ、その結果、サイレント変異が生じる。配列内のアミノ酸の置換は、そのアミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸としてはアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンがある。極性天然アミノ酸としては、グリシン、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンがある。正電荷(塩基性)アミノ酸としては、アルギニン、リシンおよびヒスチジンがある。負電荷(酸性)アミノ酸としては、アスパラギン酸およびグルタミン酸がある。このような置換は一般に保存的置換であると理解される。
【0128】
特定の実施形態では、S2C6 mAbの少なくとも10の(連続する)アミノ酸からなるS2C6 mAbのフラグメントからなる、または含んでなるCD40結合剤が提供される。他の実施形態では、このフラグメントはS2C6 mAbの少なくとも20または少なくとも50のアミノ酸からなる。特定の実施形態では、このようなフラグメントはアミノ酸50個、75個、100個または200個より長くない。S2C6 mAbの誘導体または類似体としては、限定されるものではないが、S2C6 mAbまたはそのフラグメントと実質的に相同である(例えば、種々の実施形態では、挿入または欠失のない同一サイズのアミノ酸配列にわたって、またはアライメントが当技術分野で公知のコンピューター相同性プログラムによってなされたアライン配列と比較した場合、に少なくとも60%または70%または80%または90%または95%の同一性)領域を含んでなる分子、あるいはそのコード核酸が高ストリンジェンシー、中ストリンジェンシーまたは低ストリンジェンシー条件下でコードS2C6遺伝子配列とハイブリダイズし得る分子が含まれる。
【0129】
具体的には、相同性を決定するためのコンピュータープログラムの例としては、限定されるものではないが、TBLASTIN、BLASTP、FASTA、TEASTAおよびCLUSTALW (Pearson and Lipman, 1988, Proc. Natl Acad. Sci. USA 85(8):2444-8; Altschulら, 1990, J. Mol. Biol. 215(3):403-10; Thompsonら, 1994, Nucleic Acids Res. 22(22):4673-80; Higginsら, 1996, Methods Enzymol. 266:383-402; Altschulら, 1990, J. Mol. Biol. 215(3):403-10)が挙げられる。これらの各コンピュータープログラムのデフォルトパラメーターは周知であり、利用可能である。
【0130】
具体的には、Basic Alignment Search Tool (BLAST) (Altschulら, 1990, J. Mol. Biol. 215:403-410, The BLAST Algorithm; Altschulら, 1997, Nuc. Acids Res. 25:3389-3402)は、Karlin and Altschul 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2264-68; 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-77の統計学的方法を用いて有意性を割り付ける配列類似性の検索のために仕立てられたヒューリスティック検索アルゴリズムである。5つの特定のBLASTプログラムは次のようなタスクを実行する:1)BLASTPプログラムはタンパク質配列データベースに対してアミノ酸クエリー配列を比較する;2)BLASTNプログラムはヌクレオチド配列データベースに対してヌクレオチドクエリー配列を比較する;3)BLASTXプログラムはタンパク質配列データベースに対してヌクレオチドクエリー配列の6フレーム仮説翻訳産物を比較する(両鎖);4)TBLASTNプログラムは6つのリーディングフレーム全てにおいて翻訳されたヌクレオチド配列データベースに対してタンパク質クエリー配列を比較する(両鎖);5)TBLASTXプログラムはヌクレオチド配列データベースの6フレーム翻訳に対してヌクレオチドクエリー配列の6フレーム翻訳を比較する。
【0131】
Smith-Waterman(データベース: European Bioinformatics Institute (Smith-Waterman, 1981, J. Mol. Biol. 147:195-197)は配列アラインメントのための数学的に正確なアルゴリズムである。
【0132】
FASTA(Pearsonら, 1988, Proc. Natl. Acad. Sci.. USA 85:2444-2448)は、Smith-Watermanアルゴリズムのヒューリスティックな近似法である。BLAST、Smith-WatermanおよびFASTAアルゴリズムの手順および有用性の一般的な考察としては、Nicolasら, 1998, "A Tutorial on Searching Sequence Databases and Sequence Scoring Methods"およびそこに引用されている参照文献を参照。
【0133】
S2C6 mAb誘導体および類似体は当技術分野で公知の種々の方法によって生産することができる。それらの生産を得る操作は遺伝子レベルまたはタンパク質レベルで行うことができる。例えば、クローニングされたS2C6遺伝子配列を、当技術分野で公知の多くの戦略のいずれによって修飾してもよい(Sambrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)。この配列は制限エンドヌクレアーゼで適当な部位で切断した後、所望によりさらなる酵素修飾を行い、単離し、in vitroで連結することができる。S2C6タンパク質の誘導体または類似体をコードする修飾遺伝子の生産においては、所望のS2C6タンパク質活性はコードされている遺伝子領域において、翻訳停止シグナルが挿入されずに、天然タンパク質と同じ翻訳リーディングフレーム内に修飾遺伝子が留まるように注意しなければならない。
【0134】
さらに、S2C6核酸配列は、in vitroまたはin vivoで、翻訳配列、開始配列および/または終結配列を作出および/または破壊するよう、あるいはコード領域においてバリエーションを作り出すために、かつ/または新たな制限エンドヌクレアーゼ部位を形成するか、既存のものを破壊するため、さらなるin vitro修飾を促進するために突然変異させることができる。限定されるものではないが、化学的突然変異誘発、in vitro部位特異的突然変異誘発(Hutchinsonら, 1978, J. Biol. Chem. 253:6551)、突然変異を含むプライマーを用いたPCRなどをはじめ、当技術分野で公知のいずれの突然変異誘発技術も使用することができる。
【0135】
また、S2C6 mAb配列の操作はタンパク質レベルで行ってもよい。翻訳中または翻訳後に、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化、アミド化、既知の保護/遮断基による誘導体化、タンパク質分解切断、抗体分子または他の細胞リガンドとの連結などにより、異なる修飾を受けたS2C6タンパク質フラグメントまたは他の誘導体もしくは類似体が含まれる。多くの化学修飾はいずれも、限定されるものではないが、臭化シアノゲン、トリプシン、キモトリプシン、パパイン、V8プロテアーゼ、NaBH4、アセチル化、ホルミル化、酸化、還元、ツニカマイシンの存在下での代謝合成などによる特定の化学切断をはじめとする既知の技術により行うことができる。
【0136】
さらに、S2C6 mAbの類似体および誘導体は化学的に合成することもできる。例えば、所望のドメインを含んでなるか、またはin vitroで所望の活性を媒介するS2C6 mAbの部分に相当するペプチドをペプチドシンセサイザーの使用により合成することもできる。さらに、所望により、非従来型アミノ酸または化学的アミノ酸類似体をS2C6 mAb配列への置換または付加として導入することもできる。非従来型アミノ酸としては、限定されるものではないが、一般アミノ酸のD-異性体、α-アミノイソ酪酸、4-アミノ酪酸、Abu、2-アミノ酪酸、γ-Abu、ε-Ahx、6-アミノヘキサン酸、Aib、2-アミノイソ酪酸、3-アミノプロピオン酸、オルニチン、ロルロイシン、ノルバリン、ヒドロキシプロリン、サルコシン、シトルリン、システイン酸、t-ブチルグリシン、t-ブチルアラニン、フェニルグリシン、シクロヘキシルアラニン、β-アラニン、フルオロ-アミノ酸、デザイナーアミノ酸(β-メチルアミノ酸、Cα-メチルアミノ酸、Nα-メチルアミノ酸など)、一般にアミノ酸類似体が挙げられる。さらに、アミノ酸はD(右旋型)またはL(左旋型)であり得る。
【0137】
CD40結合剤はまた、CD40抗体またはその抗原結合フラグメントの修飾物を含んでもよい。例えば、癌治療において抗体の有効性を増進するために、エフェクター機能に関して抗体を修飾するのが望ましい場合がある。このような1つの修飾は、Fc領域へシステイン残基を導入し、それによりこの領域に鎖内ジスルフィド結合を形成させることである。このようにして作製されたホモ二量体抗体はインターナリゼーション能の向上、ならびに/または補体が介在する細胞致死および/もしくは抗体依存性細胞傷害性(ADCC)の増強を示し得る。例えば、Caronら, 1992, J. Exp Med. 176:1191-1195;およびShopes, 1992, J. Immunol. 148:2918-2922参照。抗腫瘍活性の向上を示すホモ二量体抗体はまた、Wolffら, 1993, Cancer Research 53: 2560-2565に記載されているようなヘテロ二機能性架橋剤を用いて作製することもできる。あるいは、抗体は二重のFc領域を含むように操作し、補体の溶解および抗体のADCC能を増進することができる。Stevensonら, 1989, Anti-Cancer Drug Design 3: 219-230参照。
【0138】
ADCCを補助する能力を向上させた抗体が、それらのFc領域のグリコシル化パターンを改変することにより作出されている。このことは、CH2ドメイン中のアスパラギン残基N297における抗体のグリコシル化がADCCに必須なIgGとFcγ受容体との間の相互作用に関与することから可能である。N-アセチルグルコサミンの分断の増加またはフコースの還元など、グリコシル化が変更された抗体を発現するように宿主細胞系統が操作されている。フコースの還元は、N-アセチルグルコサミンの分断の存在を高めるよりも、ADCC活性に対してより大きな増強をもたらす。さらに、低フコース抗体によるADCCの増強は、FcγRIIIa V/F多型に依存的である。
【0139】
抗体のFc領域のアミノ酸配列の改変は、ADCCを増強するためのグリコシル化操作の代わりとなる。Fcγ受容体に対するヒトIgG1上の結合部位は包括的な突然変異解析により決定されている。これにより、FcγRIIIaに対する結合親和性を高め、in vitroにおいてADCCを増強するFc突然変異を含むヒト化IgG1抗体の作製に至っている。さらに、例えば他のFcγR受容体との結合をそのままに、または低減しつつ、特定のFcγR受容体との結合の増強するなど、多様な結合特性の入れ替えによるFc変異体が得られている。
【0140】
いくつかの実施形態では、Fc領域は米国特許出願公開公報第2006-0003412号および同第2006-0008883号(これらの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)に記載のように改変することができる。
【0141】
他の特定の実施形態では、CD40結合剤(例えば、S2C6 mAb、フラグメント、類似体または誘導体)は融合タンパク質産物またはキメラタンパク質産物(異なるタンパク質の異種タンパク質配列とペプチド結合を介して結合したタンパク質、フラグメント、類似体または誘導体を含む、本明細書では免疫複合体とも呼ぶ)として発現させてもよい。この異種タンパク質配列は、限定されるものではないが、インターフェロン-α、インターフェロン-γ、インターロイキン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-6および腫瘍壊死因子。またはその機能的に活性な部分をはじめとする生物反応修飾物質を含み得る。あるいは、この異種タンパク質配列は、β-ラクタマーゼまたはカルボキシルエステラーゼなどの酵素;ブリオジン1、シュードモナス外毒素Aまたはゲロニンなどの毒素;またはその機能的に活性な部分を含み得る。さらに、CD40結合剤タンパク質は、限定されるものではないが、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、トリアゼン);代謝拮抗物質(例えば、葉酸類似体、ピリミジン類似体、プリン類似体);天然物(例えば、抗生物質、酵素、生物反応修飾物質);その他の薬剤(例えば、置換尿素、プラチナ錯体);ならびにホルモンおよびアンタゴニスト(例えば、エストロゲン、アンドロゲン、抗アンドロゲン作用薬、ゴナドトロピン放出ホルモン類似体);またはその機能的に活性な断片をはじめとする化学療法薬と化学的に結合させることもできる(例えば、Goodman and Gilman, The Pharmacological Basis of Therapeutics, Ninth Edition, McGraw-Hill, 1225-1287頁, 1996参照)。S2C6キメラタンパク質産物の生産に好適な異種タンパク質の他の非限定例は当業者に公知である。このようなキメラ産物は、所望のアミノ酸配列をコードする適当な核酸配列を、当技術分野で公知の方法により、適切なコードフレーム内で互いに連結し、そのキメラ産物を当技術分野で一般に知られている方法により発現させることで作製することができる。あるいは、このようなキメラ産物はタンパク質合成技術により、例えばペプチドシンセサイザーの使用により作製してもよい。種々の実施形態では、異種タンパク質配列を、例えば当技術分野で周知の化学架橋剤の使用により、互いにペプチド結合によってS2C6関連配列と共有結合させることができる。
【0142】
特定の実施形態では、CD40結合剤は、アミノ末端またはカルボキシ末端においてペプチド結合を介して異なるタンパク質のアミノ酸配列に連結されたS2C6 mAbまたはそのフラグメントを含んでなる(好ましくは、S2C6 mAbの少なくとも1つのドメインもしくはモチーフ、またはS2C6 mAbの少なくとも10、50もしくは100のアミノ酸からなる)キメラタンパク質または融合タンパク質である。特定の実施形態では、この異なるタンパク質は毒素、酵素または生物反応修飾物質である。
【0143】
特定の実施形態では、異なるタンパク質のアミノ酸配列は異なるタンパク質の、または機能的に活性な異なるタンパク質の部分の少なくとも6、10、20または30の連続するアミノ酸である。一実施形態では、このようなキメラタンパク質は、そのタンパク質をコードする核酸(異なるタンパク質のコード配列とフレーム内で連結されたS2C6 mAbのコード配列を含む)の組換え発現により生産される。このようなキメラ産物は、所望のアミノ酸配列をコードする適当な核酸配列を、当技術分野で公知の方法により、適切なコードフレーム内で互いに連結し、そのキメラ産物を当技術分野で一般に知られている方法により発現させることで作製することができる。あるいは、このようなキメラ産物はタンパク質合成技術により、例えばペプチドシンセサイザーの使用により作製してもよい。任意の異種タンパク質コード配列と融合されたS2C6 mAb遺伝子の部分を含んでなるキメラ遺伝子が構築可能である。特定の実施形態は、少なくとも6もしくは15もしくは50のアミノ酸のS2C6 mAbフラグメント、またはS2C6 mAbの1以上の機能的活性を示すフラグメントを含んでなる(例えば、1以上のCDRのコピーを含んでなる)キメラタンパク質に関する。
【0144】
特定の実施形態では、S2C6 mAbまたはその誘導体は、限定されるものではないが、ドキソルビシン、パクリタキセル、ドセタキセルまたはオーリスタチンをはじめとする化学療法薬と化学的に結合される。このようなS2C6 mAb-薬剤コンジュゲートは、CD40を発現する細胞に薬剤を送達することができる。1以上の薬剤分子をS2C6 mAbまたは誘導体に結合させることができる。結合としては、限定されるものではないが、ヒドラゾン結合、ペプチド結合または炭水化物結合が挙げられる。
【0145】
別の態様は、化学療法薬、毒素(例えば、細菌、真菌、植物または動物起源の酵素的に活性な毒素)、または放射性同位元素(すなわち、放射複合体)などの細胞傷害薬とコンジュゲートしたCD40結合剤(例えば、CD40抗体またはそのフラグメント)を含んでなる免疫複合体を含む。
【0146】
このような免疫複合体の生成に有用な化学療法薬は上記されている。有用な免疫複合体の形成に使用可能な酵素的に活性な毒素およびそのフラグメントとしては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒の非結合活性フラグメント、外毒素A鎖(緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、α−サルシン、シナアブラギリ(Aleurites fordii)タンパク質、ジアンシンタンパク質、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolaca americana)タンパク質(PAPI、PAPIIおよびPAP-S)、ニガウリ(Momordica charantia)阻害剤、クルシン、クロチン、サパオナリア・オフィシナリス(Sapaonaria officinalis)阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン、トリコテセンなどが挙げられる。放射複合体としてのCD40結合剤の生産には種々の放射性核種が利用可能である。例としては、212Bi、131I、131In、90Yおよび186Reが挙げられる。
【0147】
CD40結合剤と細胞傷害薬または化学療法薬のコンジュゲートは公知の方法により、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二機能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒド(glutareldehyde)など)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアネート(トルエン2,6-ジイソシアネートなど)、およびビス-活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)の種々の二機能性タンパク質カップリング剤を用いて作製できる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら, 1987, Science 238:1098に記載のようにして作製できる。炭素14標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドと抗体のコンジュゲーションのためのキレート剤の例である。例えば、国際公開公報WO94/11026参照。コンジュゲートはまた、参照により本明細書に組み入れられる公開EP特許出願第0 624 377号に開示されているものなどの切断可能なリンカーを用いて形成することもできる。
【0148】
別の実施形態では、CD40結合剤は、腫瘍プレターゲッティングに利用するための「受容体」(ストレプトアビジンなど)とコンジュゲートしてもよい。この手順では、抗体-受容体コンジュゲートを患者に投与した後、浄化剤を用いて結合してないコンジュゲートを循環から除き、その後、その受容体と選択的に結合する「リガンド」(例えば、アビジン)(このリガンドが細胞傷害薬(例えば、放射性核種)とコンジュゲートされる)を投与する。
【0149】
本明細書に開示されているCD40結合剤はまた、免疫リポソームとして調剤することもできる。抗体を含有するリポソームは、Epsteinら, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:3688; Hwangら, 1980, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4030;および米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されているものなど、当業者に公知の方法によって調製される。循環時間が延長されたリポソームは、例えば、米国特許第5,013,556号に開示されている。
【0150】
特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG-PE)を含んでなる脂質阻害剤を用いた逆相蒸発法によって作製することができる。所望の直径のリポソームを得るためには、規定の孔径のフィルターからリポソームを押し出す。本明細書で開示されている抗体Fab'フラグメントは、Martinら, 1982, J. Biol. Chem. 257:286-288に記載されているように、ジスルフィド交換反応を介して、これらのリポソームとコンジュゲートさせることができる。化学療法薬(ドキソルビシンなど)が所望によりこのリポソーム内に含有される。例えば、Gabizonら, 1989, J. National Cancer Inst, 81(19):1484参照。
【0151】
特定の実施形態では、例えば腫瘍への浸透を高めるために完全な抗体よりもむしろ抗体フラグメントを使用する方が望ましい場合がある。また、その血清半減期を延長するために抗体フラグメントを改質することが望ましい場合がある。これは、例えば、抗体フラグメントにサルベージレセプター結合エピトープを組み込むことで達成することができる。1つの方法では、抗体フラグメントの適当な領域を変更(例えば、突然変異誘発)することもできるし、あるいはエピトープをペプチドタグに組み込み、次にこれを、例えばDNA合成またはペプチド合成により抗体フラグメントの末端または中央のいずれかに融合させることもできる。例えば、WO96/32478参照。
【0152】
他の実施形態では、CD40結合剤の共有結合的修飾も含まれる。それらは、適当であれば、化学合成または酵素的切断もしくは化学的切断によって作製することができる。抗体の他種の共有結合的修飾は、抗体の標的とするアミノ酸残基と、選択された側鎖またはアミノ末端残基もしくはカルボキシ末端残基と反応し得る有機誘導体化剤とを反応させることにより、分子内に導入することができる。
【0153】
共有結合的修飾としては、システイニル残基、ヒスチジル残基、ライシニルおよびアミノ末端残基、アルギニル残基、チロシル残基、カルボキシル側基(アスパルチルまたはグルタミル)、グルタミニルおよびアスパラギニル残基、またはセリル残基またはトレオニル残基の修飾が含まれる。別種の共有結合的修飾は、抗体に対するグリコシドの化学的または酵素的結合を含む。
【0154】
抗体上に存在するいずれかの炭水化物部分の除去は、化学的または酵素的に行うことができる。化学的脱グリコシル化は、Hakimuddinら, 1987, Arch. Biochem. Biophys. 259:52およびEdgeら, 1981, Anal. Biochem., 118:131に記載されている。抗体上の炭水化物部分の酵素的切断は、Thotakuraら, 1987, Meth. Enzymol. 138:350に記載されているように、種々のエンドグリコシダーゼおよびエキソグリコシダーゼの使用により行うことができる。
【0155】
有用な別種の共有結合的修飾は、米国特許第4,640,835号、同第4,496,689号、同第4,301,144号、同第4,670,417号、同第4,791,192号および同第4,179,337号の1以上に示されているように、種々の非タンパク質性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはポリオキシアルキレンの1つに抗体を結合させることを含む。
【0156】
治療的使用
CD40結合剤は、本明細書に記載のCD40の発現に関連する種々の障害の治療に有用である。
【0157】
CD40結合剤は、非経口、皮下、腹腔内、肺内および鼻腔内をはじめとするいずれかの好適な手段により、所望により、局所免疫調節剤処置、病巣内投与(潅流またはそうでなければ移植前に移植片を抗体と接触させることを含む)のために投与することができる。CD40結合剤は例えば、注入またはボーラスとして投与することができる。非経口注入としては、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内または皮下投与がある。さらに、CD40結合剤はパルス注入により、特に漸減量の抗体を用いて適宜投与される。一態様では、投与は注射、最も好ましくは、1つには投与が短期間か長期間かによって、静脈内注射または皮下注射により行われる。
【0158】
疾病の予防または治療のための抗体の適切な用量は、上記で定義したような治療する疾病の種類、疾病の重篤度および経過、抗体が予防目的で投与されるか治療目的で投与されるか、過去の療法、患者の臨床歴および抗体に対する応答、ならびに担当医の判断などの種々の因子によって異なる。抗体は患者に1回または治療期間にわたって適宜投与される。
【0159】
免疫障害またはCD40発現癌の治療または予防に有効なCD40結合剤(例えば、CD40抗体)の量は標準的な臨床技術によって決定することができる。さらに、最適な用量範囲を特定する助けとするために所望によりin vitroアッセイを利用することもできる。処方物中に用いる厳密な用量はまた、投与経路および免疫障害またはCD40発現癌の病期によっても異なり、医師の判断および各患者の状況に応じて決定すべきである。有効用量はin vitroまたは動物モデル試験系から導き出された用量応答曲線から推定することができる。
【0160】
いくつかの実施形態は、免疫障害またはCD40発現癌などのCD40関連障害患者に投与されるCD40結合剤の用量。用量は一般に約0.1mg/kg〜約100mg/kg患者体重である。患者に投与される用量は、約0.1mg/kg〜約50mg/kg、約1mg/kg〜約30mg/kg、約1mg/kg〜約20mg/kg、約1mg/kg〜約15mg/kg、または約1mg/kg〜約10mg/kg患者体重であり得る。
【0161】
用量の例としては、限定されるものではないが、1ng/kg〜100mg/kgである。いくつかの実施形態では、用量は約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kg、約14mg/kg、約15mg/kgまたは約16mg/kgである。この用量は例えば、毎日、週に1回(毎週)、週に2回、週に3回、週に4回、週に5回、週に6回、2週間ごと、または毎月投与することができる。
【0162】
特定の実施形態では、用量は約0.5mg/kg/週、約1mg/kg/週、約2mg/kg/週、約3mg/kg/週、約4mg/kg/週、約5mg/kg/週、約6mg/kg/週、約7mg/kg/週、約8mg/kg/週、約9mg/kg/週、約10mg/kg/週、約11mg/kg/週、約12mg/kg/週、約13mg/kg/週、約14mg/kg/週、約15mg/kg/週または約16mg/kg/週である。いくつかの実施形態では、用量は約1mg/kg/週〜約15mg/kg/週の範囲である。いくつかの実施形態では、用量は約1mg/kg/週〜約10mg/kg/週の範囲である。いくつかの実施形態では、用量は約1mg/kg/週〜約8mg/kg/週の範囲である。
【0163】
他の実施形態では、用量は少なくとも約4mg/kg/週、少なくとも約5mg/kg/週、少なくとも約6mg/kg/週、少なくとも約7mg/kg/週、または少なくとも約8mg/kg/週である。さらに他の実施形態では、用量は約4mg/kg/週〜約15mg/kg/週の範囲である。いくつかの実施形態では、用量は約4mg/kg/週〜約10mg/kg/週の範囲である。いくつかの実施形態では、用量は約4mg/kg/週〜約8mg/kg/週の範囲である。
【0164】
いくつかの実施形態では、漸増用量計画が用いられ、CD40結合が1サイクル以上投与される。一般に、各サイクルの後に少なくとも1週間の非投与期間が続く。各投与サイクルは少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間または少なくとも5週間であり得る。各非投与期間は少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間または少なくとも4週間であり得る。
【0165】
各サイクルは初期(第1の)用量、続いて後続の、より高い用量を含む。いくつかの実施形態では、初期用量は治療用量または至適用量より低用量であり、その後、より高用量が投与される。他の実施形態では、初期用量は治療用量であり、その後、より高用量が投与される。本明細書において至適用量より低用量とは、所望の治療用量よりも少ない用量を指す。所望により、用量レベルは、所望の(目的の)治療上有効な用量となるまで増やし続けることができる(例えば、3番目に高い用量、4番目に高い用量、5番目に高い用量など)。
【0166】
初期用量は1回、2回、3回、4回、5回、6回またはそれ以上の回数投与することができる。投与間隔は毎日、隔日、3日おき、4日おき、5日おき、6日おき、または毎週であり得る。いくつかの実施形態では、初期用量は例えば2日おき、3日おき、4日おきまたは5日おきに投与することができる。例示的実施形態では、初期用量は約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kgまたは約6mg/kgであり得る。
【0167】
上記後続の用量は一般に初期用量に比べて高くなる。例えば、初期用量は約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kgまたは約6mg/kgであり得る。初期用量は所望により反復してよい(すなわち、2回目の投与を行う)。後続の用量は初期用量よりも多く、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約11mg/kg、約12mg/kg、約13mg/kgまたは約16mg/kgであり得る。後続の用量は毎日、2日おき、3日おき、4日おき、5日おき、6日おき、毎週、7日おき、8日おき、9日おき、10日おき、2週間おきまたは毎月投与することができる。
【0168】
いくつかの実施形態では、1日目に初期用量を投与し、続いて2日目、3日目、4日目または5日目に第2回用量を投与する。所望により第3回用量を3日目、4日目、5日目、6日目、7日目、8日目、9日目または10日目に投与することができる。さらなる用量を例えば3日おき、4日おき、5日おき、6日おき、7日おき、8日おき、9日おき、または10日おきに投与することができる。
【0169】
いくつかの実施形態では、投与計画は次の通りである:初期用量1mg/kg;所望により続いて第2回用量1mg/kg;後続の用量2mg/kg;後続の用量3mg/kg;および所望により少なくとも1回の後続の用量4mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、7mg/kgまたは8mg/kg。他の実施形態では、初期用量は1mg/kg、2mg/kg、3mg/kg、4mg/kg、5mg/kgまたは6mg/kgであり、後続の用量は目的の治療用量である。
【0170】
投与サイクル例として次のものがある。
【0171】

いくつかの実施形態では、1サイクルのCD40結合剤を受けた患者は初期用量の後、サイクル中、少なくとも5μg/mlの血漿レベルを維持する。いくつかの実施形態では、1サイクルのCD40結合剤を受けた患者は初期用量の後、サイクル中、少なくとも10μg/の血漿レベルを維持する。
【0172】
いくつかの実施形態では、漸増用量計画は、治療用量(例えば、3、4、6、8、12または16mg/kg)全量の投与に比べ、CD40結合剤の投与に伴う少なくとも1つの有害事象を軽減または予防する。このような有害事象としては、例えば、低血圧、発疹、頭痛、洞頭痛、頭痛/無菌性髄膜炎、食欲不振、体温上昇、クレアチニン上昇、尿路感染、上気道感染、歩行難、疲労、悪寒、嘔吐、悪心、下痢、結膜炎、好中球減少、貧血または肝臓トランスアミナーゼ上昇が挙げられる。いくつかの実施形態では、グレード3有害事象の発生率または頻度が軽減される。いくつかの実施形態では、グレード2有害事象の発生率または頻度が軽減される。いくつかの実施形態では、グレード1有害事象の発生率または頻度が軽減される。いくつかの実施形態では、漸増用量計画は、漸増用量計画で初期用量を受けない(例えば、代わりに目的治療用量を受けた)患者に比べて、患者の第1用量サイトカイン放出を低下させる。
【0173】
いくつかの実施形態では、CD40結合剤は、サイトカイン放出を低減する治療薬と同時投与する。この治療薬はCD40結合剤の投与前、投与中または投与後に投与することができる。例えば、CD40結合剤は、(例えば、多発性骨髄腫またはNHLの治療において)サイトカイン放出を低減する治療薬と同時投与することができる。治療薬は例えば、コルチコステロイド(例えば、メチルプレドニゾロン)などのステロイド、ジフェニルドラミン、アセトアミノフェン、リツキシマブ、またはCD40結合剤の投与により誘発されるサイトカインの放出を阻害または低減する他の薬剤であり得る。例えば、サイトカイン放出を低減する治療薬はCD40結合剤の投与(例えば、第1投与)前、投与と同時または投与後に投与することができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、CD40結合剤は、ワルデンストロームマクログロブリン血症患者にリツキシマブ(例えば、約2mg/kg)と同時に投与される。いくつかの実施形態では、ステロイド(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロンまたはメチルプレドニゾロン)がCD40結合剤の投与前に投与される。
【0175】
CD40結合剤は、優良医療規範に合致した様式で調剤、用量化、および投与される。これに関して考慮するための因子としては、治療する特定の障害、治療する特定の哺乳類、個々の患者の臨床状態、その障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与計画、および医療従事者に公知の他の因子が挙げられる。投与するCD40結合剤の「治療上有効な量」はこのような考慮により管理され、CD40発現に関連する障害を予防、緩和または治療するのに必要な最少量である。
【0176】
CD40結合剤は必ずしも必要ではないが、所望により、問題の障害を予防または治療するために現在使用されている1以上の薬剤とともに調剤してもよい。このような他の薬剤の有効量は、その処方物中に存在するCD40結合剤の量、障害または治療の種類、および上述の他の因子によって異なる。これらは一般に以上に用いたものと同じ用量および投与経路で使用するか、または以上で用いた用量の約1〜99%で使用する。
【0177】
(CD40関連障害)
CD40結合剤は、CD40発現癌または例えば免疫細胞(例えば、リンパ球または樹状細胞)の不適切な活性によるCD40の発現を特徴とする免疫障害の治療または予防に有用である。このようなCD40の発現は、例えば、細胞表面におけるCD40タンパク質レベルの上昇および/または発現したCD40の抗原性の変化によるものであり得る。本発明に記載の方法に従う免疫障害の治療または予防は、このような治療または予防を必要とする患者に有効量のCD40結合剤を投与し、それにより薬剤が(i)病態と関連する、CD40を発現する活性化免疫細胞と結合し、(ii)活性化免疫細胞に対して細胞傷害作用、細胞静止作用または免疫調節作用を示すことにより達成される。
【0178】
免疫細胞の不適切な活性化を特徴とし、本明細書に記載の方法により治療または予防可能な免疫疾患は、例えば、その障害の基礎にある過敏感反応の種類によって分類することができる。これらの反応は一般に、アナフィラキシー反応、細胞傷害性(細胞溶解性)反応、免疫複合体反応または細胞性免疫(CMI)反応(遅延型過敏感(DTH)反応とも呼ばれる)の4種類に分類される。例えば、Fundamental Immunology (William E. Paul ed., Raven Press, N.Y., 3rd ed. 1993)参照。
【0179】
このような免疫疾患の具体的例としては次のものが挙げられる:関節リウマチ、自己免疫脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、アレルギー性脳脊髄炎)、内分泌性眼障害、ブドウ膜炎、全身性紅斑性狼瘡、重症筋無力症、グレーブス病、糸球体腎炎、自己免疫性肝障害、炎症性腸疾患(例えば、クローン病または潰瘍性大腸炎)、アナフィラキシー、アレルギー反応、シェーグレン症候群、I型真性糖尿病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫、繊維筋痛症、多発性筋炎、皮膚筋炎、炎症性筋炎、多発性内分泌障害、シュミット症候群、自己免疫性ブドウ膜炎、アジソン病、副腎炎、甲状腺炎、橋本甲状腺炎、自己免疫性甲状腺疾患、悪性貧血、胃萎縮、慢性肝炎、ルポイド肝炎、アテローム性動脈硬化症、亜急性皮膚紅斑性狼瘡、上皮小体機能低下症、ドレスラー症候群、自己免疫性血小板減少症、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、尋常性天疱瘡、天疱瘡、疱疹性皮膚炎、円形脱毛症、類天疱瘡、硬皮症、進行性全身性硬化症、CREST症候群(石灰症、レイノー現象、食道運動以上、指硬症および毛細管拡張症)、男性および女性自己免疫性不妊症、強直性脊椎炎、潰瘍性大腸炎、混合性結合組織病、結節性多発性動脈炎、全身性壊死脈管炎、アトピー性皮膚炎、アトピー性鼻炎、グッドパスチャー症候群、シャーガス病、サルコイドーシス、リウマチ熱、喘息、反復流産、抗リン脂質症候群、農夫肺、多形性紅斑、心臓切開術後症候群、クッシング症候群、自己免疫性慢性活動性肝炎、鳥飼肺、毒物性上皮壊死、アルポート症候群、肺胞炎、アレルギー性肺胞炎、繊維性肺胞炎、間質性肺疾患、結節性紅斑、壊疽性膿皮症、輸血反応、高安動脈炎、リウマチ性多発性筋痛、側頭動脈炎、住血吸虫症、巨細胞性動脈炎、回虫症、アスペルギルス症、サンプター症候群、湿疹、リンパ腫様肉芽腫症、ベーチェット病、キャプラン症候群、川崎病、デング熱、脳脊髄炎、心内膜炎、心内膜繊維症、眼内炎、持久性隆起性紅斑、乾癬、胎児赤芽球症、好酸球性筋膜炎、シュルマン症候群、フェルティ症候群、フィラリア症、毛様体炎、慢性毛様体炎、異時性毛様体炎、フックス毛様体炎、IgA腎症、ヘノッホ-シェンライン紫斑病、移植片対宿主病、移植拒絶、心筋症、イートン・ランバー症候群、再発性多発性軟骨炎、寒冷グロブリン血症、ワルデンストロームマクログロブリン血症、エバンス症候群、急性呼吸窮迫症候群、肺の炎症、骨粗鬆症、遅延型過敏症および自己免疫性腺不全。
【0180】
よって、本明細書に記載の方法は、Bリンパ球の障害(例えば、全身性紅斑性狼瘡、グッドパスチャー症候群、関節リウマチおよびI型糖尿病)、Th1-リンパ球の障害(例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、乾癬、シェーグレン症候群、橋本甲状腺炎、グレーブス病、原発性胆汁性肝硬変、ウェゲナー肉芽腫、結核または移植片対宿主病)、またはTh2-リンパ球の障害(例えば、アトピー性皮膚炎、全身性紅斑性狼瘡、アトピー性喘息、鼻結膜炎、アレルギー性鼻炎、オーメン症候群、全身性硬化症、または慢性移植片対宿主病)の治療を包含する。一般に、樹状細胞を含む障害は、Th1-リンパ球またはTh2-リンパ球の障害を含む。
【0181】
いくつかの実施形態では、この免疫障害は、障害に関連する活性化T細胞がCD40を発現するT細胞傷害などの、T細胞により媒介される免疫障害である。CD40結合剤はこのようなCD40を発現する活性化Tを枯渇させるために投与することができる。特定の実施形態では、CD40抗体または薬剤の投与は、他のT細胞をCD40または薬剤により実質的に枯渇させることなく、CD40を発現する活性化T細胞を枯渇させることができる。これに関して「実質的に枯渇させない」とは、他のT細胞の約60%未満、または約70%未満、または約80%未満しか枯渇させないことを意味する。
【0182】
本明細書に記載のCD40結合剤はまた、CD40発現癌の治療または予防にも有用である。本発明に記載の方法に従うCD40発現癌の治療または予防は、そのような治療または予防を必要とする患者に有効量のCD40結合剤を投与し、それにより薬剤が(i)CD40発現癌細胞と結合し、(ii)細胞傷害作用または細胞静止作用を示してCD40発現癌細胞を枯渇させるか、またはその増殖を阻害することにより達成される。
【0183】
本発明に記載の方法により治療または予防可能なCD40発現癌としては、例えば、急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病(例えば、骨髄芽球性白血病、前骨髄球性白血病、骨髄単球性白血病、単球性白血病または赤白血病)、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病または慢性リンパ球性白血病などの白血病;赤血球増加症;リンパ腫(例えば、ホジキン病または非ホジキン病);多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症;H鎖病;肉腫および癌腫(例えば、繊維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨原性肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑膜肉腫、中皮腫、ユーイング腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、大腸癌、結腸直腸癌、膵臓癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、皮脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛癌、精上皮癌、胎生期癌、ビルムス腫、子宮頚癌、子宮癌、精巣癌、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、骨芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣細胞腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫、乏突起神経膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽腫、鼻咽頭癌、または食道癌)などの固形癌が挙げられる。
【0184】
非ホジキンリンパ腫のCD40発現種としては、緩徐進行性リンパ腫(例えば、濾胞性リンパ腫、辺縁帯リンパ腫、小細胞リンパ球性リンパ腫)、急速進行性リンパ腫(例えば、マントル細胞リンパ腫)および高度急速進行性リンパ腫(例えば、バーキットリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病)およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(例えば、胚中心(例えばBCL-6陽性)または活性化B細胞リンパ腫)が挙げられる。いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫は、バーキットリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫などの高度急速進行性リンパ腫である。
【0185】
いくつかの実施形態では、患者は進行性(すなわち、不安定)、再発性または難治性の疾患を有する。
【0186】
(医薬組成物およびその投与)
CD40結合剤(例えば、CD40抗体)を含んでなる組成物は、免疫障害またはCD40発現癌を有する患者またはそのリスクを有する患者に投与することができる。本発明はさらに、CD40発現癌または免疫障害の予防または治療用の薬剤の製造におけるCD40結合剤(例えば、CD40抗体)の使用を提供する。本明細書において「患者」とは、例えばヒトならびに霊長類、齧歯類およびイヌなどの非ヒト哺乳類をはじめとする、CD40結合剤が投与され得るいずれの哺乳類患者も意味する。本明細書に記載の方法を用いて特に治療が意図される患者としてはヒトが挙げられる。免疫障害もしくはCD40発現癌の予防または治療において、抗体または薬剤は単独または他の組成物と組み合わせて投与することができる。
【0187】
種々の送達系が知られており、CD40結合剤を投与するために使用可能である。導入方法としては、限定されるものではないが、皮内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、静脈内経路、皮下経路、鼻腔内経路、硬膜外経路および経口経路が挙げられる。CD40結合剤は例えば注入、ボーラスまたは注射により投与することができ、化学療法薬などの他の生物活性剤とともに投与することができる。
【0188】
特定の実施形態では、CD40結合剤組成物は注射、カテーテルの手段、坐剤の手段、または移植片の手段(この移植片は、シアラスティック膜などの膜または繊維をはじめとする多孔質、無孔質、またはゼラチン質である)により投与される。一般に、この組成物を投与する場合、CD40抗体または薬剤が吸着されない材料が用いられる。
【0189】
他の実施形態では、CD40抗体または薬剤は徐放系で送達される。一実施形態では、ポンプが使用できる(例えば、Langer, 1990, Science 249:1527-1533; Sefton, 1989, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng. 14:201; Buchwaldら, 1980, Surgery 88:507; Saudekら, 1989, N. Engl. J. Med. 321:574参照)。別の実施形態では、高分子材料が使用できる。(例えば、Medical Applications of Controlled Release (Langer and Wise eds., CRC Press, Boca Raton, Florida, 1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance (Smolen and Ball eds., Wiley, New York, 1984); Ranger and Peppas, 1983, Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem. 23:61参照。また、Levyら, 1985, Science 228:190; Duringら, 1989, Ann. Neurol. 25:351; Howardら, 1989, J. Neurosurg. 71:105も参照)。他の徐放系は例えばLanger, 前掲に述べられている。
【0190】
CD40結合剤(例えば、CD40抗体)は、治療上有効な量の結合剤と1以上の薬学上適合する成分)を含んでなる医薬組成物として投与することができる。例えば、この医薬組成物は一般に1以上の医薬担体(例えば、水、ならびにラッカセイ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油など、石油起源、動物起源、植物起源または合成起源のものを含む油といった無菌液体)を含む。医薬組成物が静脈投与される場合には、水がより一般的な担体となる。生理食塩水ならびにデキストロースおよびグリセロール水溶液が、特に注射溶液用の液体担体として使用可能である。好適な医薬賦形剤としては、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが挙げられる。他の好適な医薬賦形剤としては、アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン、グリシン)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)ならびに糖類および糖アルコール(例えば、スクロースまたはソルビトールおよび他のポリオール(例えば、トレハロース))が挙げられる。所望によりこの組成物はまた、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含み得る。これらの組成物は溶液、懸濁液、エマルション、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放性処方物などの形態をとり得る。組成物は、従来の結合剤およびトリグリセリドなどの担体とともに坐剤として調剤することができる。経口処方物としては、医薬級のマンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準的な担体を含み得る、好適な医薬担体の例としては、"Remington's Pharmaceutical Sciences" by E.W. Martinに記載されている。このような組成物は、一般に精製形態の、治療上有効な量の核酸またはタンパク質を、患者への適切な投与のための形態を提供するために、好適な量の担体とともに含む。
【0191】
典型的な実施形態では、医薬組成物はヒトに静脈内投与するのに適した医薬組成物として常法に従って調剤される。一般に、静脈内投与用組成物は無菌等張水性バッファー中の溶液である。必要であれば、この医薬はまた、注射部位の痛みを和らげるための可溶化剤およびリグノカインなどの局所麻酔薬を含み得る。一般に、これらの成分は個別または単位投与形に混合し、例えば、有効剤の量を示すアンプルまたは小袋などの湿度から密閉された容器中の凍結乾燥粉末または水不含濃縮物として供給される。この医薬が注入により投与される場合には、医薬級の水または生理食塩水を含有する点滴瓶で分配することができる。医薬が注射により投与される場合は、投与前に成分を混合することができるように無菌注射水または生理食塩水のアンプルを提供することができる。
【0192】
さらに、医薬組成物は、(a)凍結乾燥形態のCD40結合剤(例えば、CD40抗体)を含有する容器と、(b)薬学上許容される注射用の希釈剤(例えば、無菌水)を含有する第2の容器とを含んでなる医薬キットとして提供することもできる。
【0193】
この薬学上許容される希釈剤は凍結乾燥CD40抗体または薬剤の再構成または希釈に使用することができる。所望により、このような容器には医薬品または生物品の製造、使用または販売を規制する政府当局によって規定された形態で注意書きを添付することができ、この注意書きはヒト投与のための製造、使用または販売の当局により認可されていることを示す。
【0194】
いくつかの実施形態では、CD40結合剤を含んでなる医薬組成物は、その結合剤とコンジュゲートされているか、コンジュゲートされていない治療薬をさらに含むことができる。CD40抗体またはCD40結合剤は、免疫障害またはCD40発現癌の治療または予防のための1以上の治療薬と組み合わせて同時投与することができる。例えば、併用療法としては、細胞静止薬、細胞傷害性薬または免疫調節薬を含み得る。併用療法はまた、例えば、活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞の上のCD40以外の受容体または受容体複合体を標的とする薬剤の投与も含み得る。このような薬剤の一例として、活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞の表面において分子と結合する第2の非CD40抗体が挙げられる。別の例として、このような受容体または受容体複合体を標的とするリガンドが挙げられる。一般に、このような抗体またはリガンドは活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞上の細胞表面受容体と結合し、その活性化リンパ球、樹状細胞またはCD40発現癌細胞に細胞静止シグナルまたは細胞傷害シグナルを送達することによりCD40抗体の細胞傷害作用または細胞静止作用を増強する。
【0195】
このようなコンビナトリアル投与は、疾病パラメーター(例えば、症状の重篤度、症状の数または再発頻度)に対して相加作用または相乗作用を持ち得る。
【0196】
コンビナトリアル投与のための治療計画に関して、特定の実施形態では、CD40抗体またはCD40結合剤が治療薬とともに投与される。別の特定の実施形態では、治療薬はCD40抗体またはCD40結合剤の投与前または投与後に、CD40抗体またはCD40結合剤の投与の少なくとも1時間から数ヶ月、例えば、少なくとも1時間、5時間、12時間、1日、1週間、1か月、または3か月前または後に投与される。
【0197】
細胞傷害薬または免疫調節薬の有用なクラスとしては、例えば、抗チューブリン薬、オーリスタチン(例えば、MMAEまたはMMAF)、DNA副溝結合剤、DNA複製阻害剤、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、モノ(白金)、ビス(白金)および三核白金複合体およびカルボプラチンなどの白金複合体)、アントラサイクリン、抗生物質、抗葉酸薬、代謝拮抗物質、化学療法増感薬、デュオカルマイシン、エトポシド、フッ素化ピリミジン、イオノフォア、レキシトロプシン、ニトロソ尿素、プラチノール、プレフォーミング化合物、プリン代謝拮抗物質、ピューロマイシン、放射線増感薬、ステロイド、タキサン、トポイソメラーゼ阻害剤、またはビンカアルカロイドなどが挙げられる。
【0198】
個々の細胞傷害薬または免疫調節薬としては、例えば、アンドロゲン、アントラマイシン(AMC)、アスパラギナーゼ、5-アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ(bortezomib)(例えば、ベルケード(VELCADE)、ブスルファン(busulfan)、ブチオニンスルフォキシミン(buthionine sulfoximine)、カンプトテシン(camptothecin)、カルボプラチン(carboplatin)、カルムスチン(carmustine)(BSNU)、CC-1065、クロラムブシル(chlorambucil)、シスプラチン、コルヒチン、シクロホスファミド、シタラビン(cytarabine)、シチジンアラビノシド、サイトカラシン(cytochalasin)B、ダカルバジン(dacarbazine)、ダクチノマイシン(dactinomycin)(以前はアクチノマイシン(actinomycin))、ダウノルビシン(daunorubicin)、デカルバジン(decarbazine)、ドセタキセル(docetaxel)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エストロゲン、5-フルオルデオキシウリジン、5-フルオロウラシル、グラミシジン(gramicidin)D、ヒドロキシ尿素、イダルビシン(idarubicin)、イフォスファミド(ifosfamide)、イリノテカン(irinotecan)、レナリドミド(lenalidomide)(REVLIMID)、ロムスチン(lomustine)(CCNU)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メルファラン(melphalan)、6-メルカプトプリン、メトトレキサート(methotrexate)、ミトラマイシン(mithramycin)、マイトマイシン(mitomycin)C、ミトキサントロン(mitoxantrone)、ニトロイミダゾール、パクリタキセル(paclitaxel)、プリカマイシン(plicamycin)、プロカルビジン(procarbizine)、ストレプトゾトシン(streptozotocin)、テノポシド(tenoposide)、6-チオグアニン、チオテパ(thioTEPA)、トポテカン(topotecan)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビノレルビン(vinorelbine)、VP-16およびVM-26が挙げられる。
【0199】
いくつかの典型的な実施形態では、治療薬は細胞傷害薬である。好適な細胞傷害薬としては、例えば、ドラスタチン(dolastatin)(例えば、オーリスタチン(auristatin)E、AFP、MMAF、MMAE、AEBまたはAEVB)、DNA副溝結合剤(例えば、エネジイン(enediyne)およびレキシトロプシン(laxitropsin))、デュオカルマイシン(duocarmycin)、タキサン(taxane)(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)、ピューロマイシン、ビンカアルカロイド、CC-1065、SN-38、トポテカン、モルホリノ-ドキソルビシン、リゾキシン(rhizoxin)、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、エチノマイシン(echinomycin)、コンブレタスタチン(combretastatin)、ネトロプシン(netropsin)、エポチロン(epothilone)AおよびB、エストラムスチン(estramustine)、クリプトフィシン(cryptophysin)、セマドチン(cemadotin)、メイタンシノイド(maytansinoid)、ディスコデルモリド(discodermolide)、エレウテロビン(eleutherobin)、またはミトキサントロン(mitoxantrone)が挙げられる。
【0200】
いくつかの実施形態では、細胞傷害薬は、例えば、ドキソルビシン、パクリタキセル、メルファラン、ビンカアルカロイド、メトトレキサート、マイトマイシンCまたはエトポシドなどの従来の化学療法薬である。さらに、CC-1065類似体、カリケアマイシン、マイタンシン、ドラスタチン(dolastatin)10の類似体、リゾキシン(rhizoxin)およびパリトキシン(palytoxin)などの強力な薬剤をCD40抗体またはその薬剤に結合させることができる。
【0201】
特定の実施形態では、細胞傷害薬または細胞静止薬はオーリスタチンE(当技術分野ではドラスタチン-10としても知られる)またはその誘導体である。一般に、オーリスタチンE誘導体は例えばオーリスタチンEとケト酸の間で形成されるエステルである。例えば、オーリスタチンEはパラアセチル安息香酸またはベンゾイル吉草酸と反応させて、それぞれAEBおよびAEVBを生成することができる。他の典型的なオーリスタチン誘導体としては、AFP、MMAFおよびMMAEが挙げられる。オーリスタチンEおよびその誘導体の合成および構造は例えば米国特許出願公開公報第2004-0157782 A1号および同第2005-0238649号;国際特許出願第PCT/US03/24209号, 国際特許出願第PCT/US02/13435号、および米国特許第6,884,869号;同第6,323,315号;同第6,239,104号;同第6,034,065号;同第5,780,588号;同第5,665,860号;同第5,663,149号;同第5,635,483号;同第5,599,902号;同第5,554,725号;同第5,530,097号;同第5,521,284号;同第5,504,191号;同第5,410,024号;同第5,138,036号;同第5,076,973号;同第4,986,988号;同第4,978,744号;同第4,879,278号;同第4,816,444号;および同第4,486,414号に記載されている(これらの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)。
【0202】
特定の実施形態では、細胞傷害薬はDNA副溝結合薬である。(例えば、米国特許第6,130,237号参照)。例えば、いくつかの実施形態では、副溝結合薬はCBI化合物である。他の実施形態では、副溝結合薬はエネジイン(例えば、カリケアマイシン)である。
【0203】
抗チューブリン薬の例としては、限定されるものではないが、タキサン(例えば、タキソール(登録商標)(パクリタキセル)、タキソテール(登録商標)(ドセタキセル))、T67(Tularik)、ビンカアルキロイド(vinca alkyloid)(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシンおよびビノレルビン)、およびドラスタチン(例えば、オーリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、AEB、AEVB)が挙げられる。他の抗チューブリン薬としては、例えば、バッカチン(baccatin)誘導体、タキサン類似体(例えば、エポチロンAおよびB)、ノコダゾール(nocodazole)、コルヒチンおよびコルシミド(colcimid)、エストラムスチン(estramustine)、シプトフィシン(cryptophysin)、セマドチン(cemadotin)、メイタンシノイド(maytansinoid)、コンブレタスタチン(combretastatin)、ディスコデルモリド(discodermolide)およびエレウテロビン(eleutherobin)が挙げられる。
【0204】
いくつかの実施形態では、細胞傷害薬は抗チューブリン薬の別のグループであるメイタンシノイドである。例えば、特定の実施形態では、メイタンシノイドはマイタンシン(maytansine)またはDM-I(ImmunoGen, Inc.; また、Chanら, 1992, Cancer Res. 52:127-131参照)。
【0205】
いくつかの実施形態では、治療薬は放射性同位元素ではない。
【0206】
いくつかの実施形態では、細胞傷害薬または免疫調節薬は代謝拮抗物質である。代謝拮抗物質は、例えば、プリンアンタゴニスト(例えば、アゾチオプリンまたはミコフェノール酸モフェチル)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ阻害剤(例えば、メトトレキサート)、アシクロビル(acyclovir)、ガンシクロビル(gangcyclovir)、ジドブジン(zidovudine)、ビダラビン(vidarabine)、リババリン(ribavarin)、アジドチミジン、シチジンアラビノシド、アマンタジン(amantadine)、ジデオキシウリジン、ヨードデオキシウリジン、ポスカルネット(poscarnet)またはトリフルリジン(trifludine)であり得る。
【0207】
他の実施形態では、細胞傷害薬または免疫調節薬は、タクロリムス(tacrolimus)、シクロスポリン(cyclosporine)またはラパマイシン(rapamycin)である。さらなる実施形態では、細胞傷害薬はアルデスロイキン(aldesleukin)、アレムツズマブ(alemtuzumab)、アリトレチノイン(alitretinoin)、アロプリノール(allopurinol)、アルトレタミン(altretamine)、アミフォスチン(amifostine)、アナストロゾール(anastrozole)、三酸化ヒ素(例えば、TRISENOX)、ベキサロテン(bexarotene)、ベキサロテン(bexarotene)、カルステロン(calusterone)、カペシタビン(capecitabine)、セレコキシブ(celecoxib)、クラドリビン(cladribine)、デニロイキンジフチトックス(Denileukin diftitox)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、プロピオン酸ドロモスタノロン(dromostanolone propionate)、エピルビシン(epirubicin)、エストラムスチン(estramustin)、エキセメスタン(exemestane)、フィルグラスチム(Filgrastim)、フロクスウリジン(floxuridine)、フルダラビン(fludarabine)、フルベストラント(fulvestrant)、ゲムシタビン(gemcitabine)、ゲムツズマブオゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)、ゴセレリン(goserelin)、イダルビシン(idarubicin)、イフォスファミド(ifosfamide)、メシル酸イマチニブ(imatinib mesylate)、インターフェロンα-2a、イリノテカン(irinotecan)、レトロゾール(letrozole)、ロイコボリン(leucovorin)、レバミゾール(levamisole)、メクロレタミン(meclorethamine)またはナイトロジェンマスタード、メゲストロール(megestrol)、メスナ(mesna)、メトトレキサート、メトキサレン(methoxsalen)、マイトマイシン(mitomycin)C、ミトタン(mitotane)、フェンプロピオン酸ナンドロロン(nandrolone phenpropionate)、オプレルベキン(oprelvekin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、パミドロネート(pamidronate)、ペグアデマーゼ(pegademase)、ペグアスパラガーゼ(pegaspargase)、ペグフィルグラスチム(pegfilgrastim)、ペントスタチン(pentostatin)、ピポブロマン(pipobroman)、プリカマイシン(plicamycin)、ポルフィマーナトリウム(porfimer sodium)、プロカルバジン(procarbazine)、キナクリン(quinacrine)、ラスブリカーゼ(rasburicase)、レブリミド(revlimid)、サルグラモスチム(Sargramostim)、ストレプトゾシン(streptozocin)、タモキシフェン(tamoxifen)、テモゾロマイド(temozolomide)、テニポシド(teniposide)、テストラクトン(testolactone)、チオグアニン(thioguanine)、トレミフェン(toremifene)、トシツモマブ(Tositumomab)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、トレチノイン(tretinoin)、ウラシルマスタード(uracil mustard)、バルルビシン(valrubicin)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)、ビノレルビン(vinorelbine)およびゾレドロネート(zoledronate)である。
【0208】
さらなる実施形態では、薬剤はヒト化抗HER2モノクローナル抗体;リツキサン(RITUXAN)(リツキシマブ(rituximab); Genentech, Inc., South San Francisco, CA);キメラ抗CD20モノクローナル抗体;オバレックス(OVAREX)(AltaRex Corporation, MA);パノレックス(PANOREX) (Glaxo Wellcome, NC;マウスIgG2a抗体);セツキシマブエルビタックス(Cetuximab Erbitux)(Imclone Systems Inc., NY;抗EGFR IgGキメラ抗体);ビタキシン(Vitaxin) (Medlmmune, Inc., MD);Campath I/H (Leukosite, MA;ヒト化IgG1抗体);Smart MI95 (Protein Design Labs, Inc., CA;ヒト化抗CD33 IgG抗体);リンホシド(LymphoCide) (Immunomedics, Inc., NJ;ヒト化抗CD22 IgG抗体);Smart ID10 (Protein Design Labs, Inc., CA;ヒト化抗HLA-DR抗体);オンコリム(Oncolym) (Techniclone, Inc., CA;放射性標識マウス抗HLA-Dr10抗体);アロムン(Allomune) (BioTransplant, CA;ヒト化抗CD2 mAb);アバスチン(Avastin) (Genentech, Inc., CA;抗VEGFヒト化抗体);エプラツザマブ(Epratuzamab) (Immunomedics, Inc., NJ and Amgen, CA; 抗CD22抗体);およびCEAcide (Immunomedics, NJ; ヒト化抗CEA抗体)である。
【0209】
他の好適な抗体としては、限定されるものではないが、次の抗原:CA125、CA15-3、CA19-9、L6、Lewis Y、Lewis X、αフェトタンパク質、CA 242、胎盤アルカリ性ホスファターゼ、前立腺特異的抗原、前立腺酸性ホスファターゼ、上皮細胞増殖因子、MAGE-I、MAGE-2、MAGE-3、MAGE -4、抗トランスフェリン受容体、p97、MUC1-KLH、CEA、gp100、MART1、前立腺特異的抗原、IL-2受容体、CD20、CD52、CD33、CD22、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン、CD38、ムチン、P21、MPG、およびNeu癌遺伝子産物に対する抗体が挙げられる。
【0210】
いくつかの実施形態では、治療薬は免疫調節薬である。免疫調節薬は、例えば、ガンシクロビル(gancyclovir)、エタネルセプト(etanercept)、タクロリムス(tacrolimus)、シクロスポリン(cyclosrorine)、ラパマイシン(rapamycin)、シクロホスファミド、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル(mycophenolate mofetin)またはメトトレキサートであり得る。あるいは、免疫調節薬は、例えば、グルココルチコイド(例えば、コルチゾール(Cortisolまたはアルドステロン)またはグルココルチコイド類似体(例えば、デキサメタゾン、プレドニゾンまたはメチル-プレドニゾロン(例えば、SOLU-MEDROL))であり得る。
【0211】
好適なシクロオキシゲナーゼ阻害剤としては、メクロフェナム酸、メフェナム酸、カルプロフェン(carprofen)、ジクロフェナク(diclofenac)、ジフルニサル(diflunisal)、フェンブフェン(fenbufen)、フェノプロフェン(fenoprofen)、イブプロフェン(ibuprofen)、インドメタシン(indomethacin)、ケトプロフェン(ketoprofen)、ナブメトン(nabumetone)、ナプロキセン(naproxen)、スリンダック(sulindac)、テノキシカム(tenoxicam)、トルメチン(tolmetin)およびアセチルサリチル酸が挙げられる。
【0212】
好適なリポキシゲナーゼ阻害剤としては、酸化還元阻害剤(例えば、カテコールブタン誘導体、ノルジヒドログアイアレチン酸(nordihydroguaiaretic acid)(NDGA)、マソプロコール(masoprocol)、フェニドン(phenidone)、イアノパレン(Ianopalen)、インダゾリノン、ナファザトロム(naphazatrom)、ベンゾフラノール、アルキルヒドロキシルアミン)、および非酸化還元阻害剤(例えば、ヒドロキシチアゾール、メトキシアルキルチアゾール、ベンゾピランおよびその誘導体、メトキシテトラヒドロピラン、ボスウェリア酸(boswellic acid)およびボスウェリア酸のアセチル化誘導体、ならびにシクロアルキル基で置換されたキノリンメトキシフェニル酢酸)、ならびに酸化還元阻害剤の前駆体が挙げられる。
【0213】
他の好適なリポキシゲナーゼ阻害剤としては、抗酸化薬(例えば、フェノール、没食子酸プロピル、フラボノイドおよび/またはフラボノイド含有天然基質、フラボンのヒドロキシル化誘導体、フラボノール、ジヒドロケルセチン、ルテオリン(luteolin)、ガランギン(galangin)、オルボール(orobol)、カルコンの誘導体、4,2',4'-トリヒドロキシカルコン、オルト-アミノフェノール、N-ヒドロキシ尿素、ベンゾフラノール、エブセレン(ebselen)およびセレノ酵素を還元する活性を増強する種)、鉄キレート剤(例えば、ヒドロキサム酸およびその誘導体、N-ヒドロキシ尿素、2-ベンジル-1-ナフトール、カテコール、ヒドロキシルアミン、カルノソールトロックス(carnosol trolox)C、カテコール、ナフトール、スルファサラジン(sulfasalazine)、ジレウトン(zyleuton)、5-ヒドロキシアントラニル酸および4-(ω-アリールアルキル)フェニルアルカン酸)、イミダゾール含有化合物(例えば、ケトコナゾール(ketoconazol)およびイトラコナゾール(itraconazole))、フェノチアジンおよびベンゾピラン誘導体が挙げられる。
【0214】
他の好適なリポキシゲナーゼ阻害剤としては、エイコサノイドの阻害剤(例えば、オクタデカテトラエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサペンタン酸、エイコサヘキサン酸およびドコサヘキサン酸ならびにそのエステル、PGE1(プロスタグランジンE1)、PGA2(プロスタグランジンA2)、ビプロストール(viprostol)、15-モノヒドロキシエイコサテトラエン酸、15-モノヒドロキシ-エイコサトリエン酸および15-モノヒドロキシエイコサペンタエン酸、ならびにロイコトリエンB5、C5およびD5)、カルシウム流干渉化合物、フェノチアジン、ジフェニルブチルアミン、ベラパミール(verapamil)、フスコシド(fuscoside)、クルクミン(curcumin)、クロロゲン酸、カフェイン酸、5,8,11,14-エイコサテトラエン酸(ETYA)、ヒドロキシフェニルレチンアミド、イオナパレン(Ionapalen)、エスクリン(esculin)、ジエチルカルバマジン、フェナントロリン(phenantroline)、バイカレイン(baicalein)、プロキシクロミル(proxicromil)、チオエーテル、硫化ジアリルおよびジ-(1-プロペニル)スルフィドが挙げられる。
【0215】
ロイコトリエン受容体アンタゴニストとしては、カルシトリオール(calcitriol)、オンタゾラスト(ontazolast)、Bayer Bay-x-1005、Ciba-Geigy CGS-25019C、エブセレン(ebselen)、Leo Denmark ETH-615、Lilly LY-293111、Ono ONO-4057、Terumo TMK-688、Boehringer Ingleheim BI-RM-270、Lilly LY 213024、Lilly LY 264086、Lilly LY 292728、Ono ONO LB457、Pfizer 105696、Perdue Frederick PF 10042、Rhone-Poulenc Rorer RP 66153、SmithKline Beecham SB-201146、SmithKline Beecham SB-201993、SmithKline Beecham SB-209247、Searle SC-53228、Sumitamo SM 15178、American Home Products WAY 121006、Bayer Bay-o-8276、Warner-Lambert CI-987、Warner-Lambert CI-987BPC-15LY 223982、LiIIy LY 233569、Lilly LY-255283、MacroNex MNX-160、Merck and Co. MK-591、Merck and Co. MK-886、Ono ONO-LB-448、Purdue Frederick PF-5901、Rhone-Poulenc Rorer RG 14893、Rhone-Poulenc Rorer RP 66364、Rhone-Poulenc Rorer RP 69698、Shionoogi S-2474、Searle SC-41930、Searle SC-50505、Searle SC-51146、Searle SC-52798、SmithKline Beecham SKandF- 104493、Leo Denmark SR-2566、Tanabe T-757およびTeijin TEI-1338が挙げられる。
【0216】
いくつかの実施形態では、治療薬はビタミンCまたはシクロヘキシミドでない。いくつかの実施形態では、治療薬はIMiD3 [3-(4-アミノ-1-オキソ-1,3-ジヒドロ-イソインドール-2−イル)-ピペリジン-2,6-ジオン]である。他の実施形態では、治療薬はIMiD3でない。いくつかの実施形態では、治療薬はCD40Lでない。いくつかの実施形態では、治療薬はサリドマイドでない。いくつかの実施形態では、治療薬は外因性サイトカインでない。特定の実施形態では、治療薬はIL-4でない。
【0217】
いくつかの実施形態では、療法は、CHOP(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)、R-CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)、ACVBP(ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、ブレオマイシン、プレドニゾン)、ICE(イダルビシン、高用量シトシンアラビノシド、エトポシド)、R-ICE(リツキシマブ、イダルビシン、高用量シトシンアラビノシド、エトポシド)、CNOP(シクロホスファミド、ミトキサントロン、ビンクリスチン、プレドニゾン)、m-BACOD(メトトレキサート、ブレオマイシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、デキサメタゾン、ロイコボリン)、MACOP-B(メトトレキサート、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾン、ブレオマイシン、ロイコボリン)、ProMACE CytaBOM(プレドニゾン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、エトポシド、シタラビン、ブレオマイシン、ビンクリスチン、メトトレキサート、ロイコボリン)またはGVD(ゲムシタビン、ビンクリスチン、ドキソルビシン)などの併用療法である。
【0218】
いくつかの実施形態では、多発性骨髄腫を有する患者がCD40結合剤およびレナリドミド(lenalidomide)で処置される。患者は例えば進行性または難治性の多発性骨髄腫を有していてもよい。患者は例えば週に1〜約4回CD40結合剤(例えば、約0.5mg/kg〜約16mg/kg)を受ける。
【0219】
いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する患者がCD40結合剤(例えば、約0.5mg/kg〜約8mg/kg)およびCHOPまたはR-CHOPで処置される。患者は新たに診断された患者(例えば、これまでにNHL処置を受けていない)であっても、これまでに処置を受けている患者(例えば、再発したかまたは過去の処置が上手く行かなかった)であってもよい。非ホジキンリンパ腫は緩徐進行性または急速進行性であり得る。
【0220】
いくつかの実施形態では、非ホジキンリンパ腫(NHL)を有する患者がCD40結合剤(例えば、約0.5mg/kg〜約8mg/kg)およびICE またはR-ICEで処置される。患者は新たに診断された患者(例えば、これまでにNHL処置を受けていない)であっても、これまでに処置を受けている患者(例えば、再発したかまたは過去の処置が上手く行かなかった)であってもよい。非ホジキンリンパ腫は緩徐進行性または急速進行性であり得る。
【0221】
いくつかの実施形態では、びまん性大B細胞リンパ腫(DLBCL)を有する患者がCD40結合剤およびR-CHOPまたはCHOPで処置される。患者は新たに診断された患者(例えば、これまでにDLBCL処置を受けていない)であっても、これまでに処置を受けている患者(例えば、再発したかまたは過去の処置が上手く行かなかった)であってもよい。いくつかの実施形態では、CHOPはリツキシマブを除いて投与する。
【0222】
いくつかの実施形態では、マントル細胞リンパ腫またはワルデンストローム・マクログロブリン血症を有する患者がCD40結合剤およびリツキシマブで処置される。いくつかの実施形態では、慢性リンパ球性白血病(CLL)を有する患者がCD40結合剤およびリツキシマブで処置される。
【0223】
(製品)
別の態様では、上記の症状の治療に有用な物質を含有する製品が含まれる。この製品は容器とラベルを含む。好適な容器としては、例えば、瓶、バイアル、シリンジおよび試験管が挙げられる。これらの容器はガラスおよびプラスチックなどの種々の材料からなっていてよい。この容器は症状を治療するのに有効な組成物を収容し、無菌のアクセスポートを有し得る。例えば、この容器は、皮下注射針により貫通可能なストッパーを備えた静脈溶液バッグまたはバイアルであってよい。組成物中の有効剤はCD40結合剤である。容器上または容器に付属しているラベルは、その組成物が選択症状を治療するために使用されることを示している。この製品はさらに、リン酸緩衝生理食塩水、リンゲル液およびデキストロース溶液などの薬学上許容されるバッファーを含む第2の容器を含み得る。これはさらに、他のバッファー、希釈剤、充填剤、針、シリンジおよび使用説明書を含む添付文書など、販売者および使用者の立場から望ましい他の材料を含んでもよい。
【0224】
ATCC寄託
モノクローナル抗体S2C6 ATCC寄託は、「特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約」の条項に従って、1999年5月25日に行われた。ATCCは、米国10801 University Boulevard, Manassass, Virginia 20110-2209に所在する。このATCC寄託により受託番号PTA-110を付与された。ATCCは、米国10801 University Boulevard, Manassass, Virginia 20110-2209に所在する。寄託は当業者に便利なものとして示すものであり、35 U.S.C. 112条の下、寄託が必要であることを承認するものではない。寄託された具体例は本発明のある態様を単に例示するものであり、機能的に等価な抗体はいずれも本発明の範囲内にあるので、本明細書の記載は寄託された抗体によって範囲を限定されない。ここで材料の寄託は、本明細書に書かれている説明が、最良の様式を含め本発明の態様の実施を可能とするのに不十分であることを認めるものではないし、あるいは特許請求の範囲からそれが表す特定の例示を限定するものではない。実際、以上の記載から、本明細書に示され、記載されているものの他、本発明の種々の変更が当業者には自明であり、添付の特許請求の範囲内にある。
【0225】
本発明を以下の実施例でさらに説明するが、それらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例に記載される細胞系統は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクションATCC)、またはDeutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH, Braunschweig, Germany (DMSZ)が明示している条件に従って培養維持した。細胞培養試薬はInvitrogen Corp. (Carlsbad, CA)から入手した。
【実施例】
【0226】
実施例1:ヒト化CD40抗体の生産
ヒト化CD40抗体は一般に、マウスCD40ドナー抗体のCDRをレシピエントヒト抗体に移入することによって構築した。ドナー抗体は、米国特許第6,838,261号に記載され、Bリンパ球に強い増殖促進シグナルを与えることが実証されているマウスモノクローナル抗体S2C6であった。例えば、Paulieら, 2000, J. Immunol. 142:590参照。ヒトサブグループIII重鎖可変ドメイン(配列番号2)とヒトκサブグループI軽鎖可変ドメイン(配列番号13)のコンセンサス配列は、一般にCarterら, 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4285; 米国特許第6,037,454号および米国特許第6,054,297号に記載されているようにして得て、ヒトレシピエント重鎖および軽鎖ドメインとして使用した。ヒト化抗体変異体は国際公開番号WO2006/128103(その開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)に記載のように作製した。抗体変異体の配列を下記表1および2に示す。
【表1】

【表2】

【0227】
これらの変異体軽鎖および重鎖可変ドメインを用いて構築した抗体の結合活性を分析した。各抗体を等濃度となるように希釈した後、連続希釈を行った。これらの希釈抗体を、マイクロアッセイプレート上に固定されたCD40に対する結合に関してアッセイした。変異体抗体の親和性結合データを下表3に示す。親マウス抗体の結合活性に近い結合活性を示す抗体は、sgn-14、sgn-18、sgn-19、sgn-22、sgn-23、sgn-26、およびsgn-27であり、変異体sgn-14、sgn-18、sgn-26、およびsgn-27の結合活性は親マウス抗体のそれにさらに近く、SGN-14および変異体sgn-26はこのアッセイにおいて最もよい性能を示した。
【表3】

【0228】
実施例2:in vitroにおけるヒト化CD40抗体によるシグナル伝達
ヒト化抗CD40抗体(Hu sgn-O;SGN-40とも呼ばれる)とCD40+ NHL細胞との結合は、ERK1/2 MAPキナーゼ経路、p38 MAPキナーゼ経路およびNFkB経路を介したシグナル伝達を活性化させる。Ramos細胞(2%血清中で培養)を、抗ヒトIgGと架橋された(XL)ヒト化CD40抗体で15分間刺激した。シグナルの活性化は、ERK1/2 (Thr202/Tyr204)、p38 (Thr180/Tyr182)およびAKT (Ser473)のリン酸化を認識する抗体を用い、ウエスタンブロット解析により検出した。NFkBの活性化は、IkB-aタンパク質の分解を測定することにより検出した。図2を参照すると、SGN-40はストレス誘導性p38 MAPキナーゼ、およびNF-kB、p42/44 MAPキナーゼを含む前生存経路(pro-survival patheways)を活性した。AKTシグナル伝達はヒト化CD40抗体によりわずか上昇した。
【0229】
さらなる試験において、Ramos細胞(2%FBS)を72時間にわたり架橋型ヒト化CD40抗体または対照hIgGで処理した(1.0mg/ml mAb)。ノーマライズしたタンパク質抽出液を、プロアポトーシスBcl-2ファミリーメンバーBidに関するウエスタンブロット解析により分析した。図3Aを参照すると、架橋型抗CD40抗体はBidをアップレギュレートした。図3Bを参照すると、カスパーゼ-3/7基質ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(切断PARP)の分解を、Asp214において切断されたPARPを認識する抗体を用いるウエスタンブロットにより経時的にモニタリングした。NHL細胞系統において、ヒト化CD40抗体のアポトーシス誘導活性と一致して、カスパーゼ-3およびその下流基質であるポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼの切断が検出された。抗体により媒介されるシグナル伝達は三量体組換えヒト化CD40リガンド(rhCD40L)により媒介されるものと質的に同等であった(データは示されていない)。しかしながら、ヒト化CD40抗体を用いた場合には、シグナル伝達全体の大きさは、SGN-40の部分的アゴニスト特性と一致して、rhCD40Lに比べて小さかった。
【0230】
さらに、重要な前生存シグナル(pro-survival signal)である構成的リン-AKTレベルは、癌腫では高いレベルが報告されているのに対し、病期の高いリンパ腫細胞系統および初代NHL標本では極めて低いことが判明した。低AKT活性はSGN-40シグナル伝達に応答してリンパ腫細胞をアポトーシスへ傾ける可能性がある。
【0231】
実施例3:薬剤の組合せを用いたin vitro試験
ヒト化CD40抗体(SGN-40)は、数種の化学療法薬の、Ramos NHL細胞に対する活性を増強する。2倍希釈系の化学療法薬を、ヒトIgGのFcγ領域に特異的なヤギ抗体のF(ab')2フラグメントにより架橋されたSGN-40(30.0ng/ml〜0.0586ng/ml)とともに、またはそれを伴わずにRamos細胞(2%FBS中で培養)に加えた。細胞を72時間処理した後、3H-チミジンで4時間標識し、増殖速度を測定した。薬剤単独およびヒト化CD40抗体との組合せの用量応答曲線をExcelでまとめ、Combination Indices (CI)をCalcusyn analysis package (Biosoft)を用いて求めた。1.0より有意に低いCI値は相乗効果を示す。1.0より有意に高いCI値は拮抗作用を示す。1.0に等しいCI値は相加的統合を示す。これらの研究では、特に断りのない限りn=3である。
【0232】
下表4を参照すれば、ヒト化CD40抗体は、シスプラチン、メルファランまたはミトキサントロンと組み合わせた場合には相加的活性を示し、ブレオマイシンと組み合わせた場合には相乗作用を示す。
【表4】

【0233】
実施例4:ヒト化CD40抗体の抗腫瘍活性
ヒト化CD40抗体の抗腫瘍活性をSCIDマウスリンパ腫異種移植片モデルでアッセイした。薬剤処置を始める13日前にSCIDマウス(10匹/群)に500万個のRamos腫瘍細胞を皮下注射した。マウスCD40抗体またはヒト化S2C6を週に3回(4mg/kg/用量)、8または5用量を腹腔内投与した。マウスの腫瘍成長を調べ、14日の研究期間中、毎週、腫瘍体積を測定した。図4の結果は、対照マウスの腫瘍成長は9倍近くであったが、マウスCD40抗体またはヒト化S2C6のいずれかで処置したマウスの腫瘍成長は同じ期間で無視できるほどであったことを示す。これらのデータは、このBリンパ腫異種移植片モデルにおいて腫瘍成長を抑制する上で、ヒト化抗体がマウスCD40抗体と同等の効果があったことを示す。
【0234】
実施例5:ヒト化CD40抗体による生存の延長
担癌マウスの生存に対するヒト化CD40抗体の有効性をSCIDマウスリンパ腫異種移植片モデルでアッセイした。抗体処置を行う3日前にSCIDマウス(10/群)に100万個のRamos腫瘍細胞を静脈内接種した。マウスをマウスもしくはヒト化CD40抗体、またはIg対照を、週に2回(4mg/kg/用量)、計5用量、腹膜内投与することにより処置した。毎日マウスケージの死亡率を調べた。図5に示されている結果は、対照抗体で処置したマウスに腫瘍接種後34日を超えて生存したものはなかったが、マウスCD40抗体で処置したマウスでは10個体中8個体が、また、ヒト化CD40抗体で処置したマウスでは10個体全てが腫瘍移植後90日経っても生存し続けたことを示す。これらのデータは、このBリンパ腫異種移植片モデルにおいてSCIDマウスの生存を延長する上で、ヒト化抗体がマウスCD40抗体と同等の効果があったことを示す。
【0235】
実施例6:併用療法
局在リンパ腫をモデル化するために、5 x 106のRamosバーキットリンパ腫細胞をCB.-17 SCIDマウス(Harlan, Indianapolis, IN)の右側腹部に皮下移植した。各群5個体の平均腫瘍サイズが100mm3になった際に療法を開始した。CHOP 1コースを単独またはヒト化CD40抗体(hu sgn-0; SGN-40)と組み合わせて用い、次の投与計画を用いた:シクロホスファミド30mg/kg, i.v. q1d x 1;ドキソルビシン2.475mg/kg, i.v. q1d x 1;ビンクリスチン0.375mg/kg, i.v. q1d x 1;およびプレドニゾン0.15mg/kg, p.o. q1d x 5。CD40抗体は、単独またはプレドニゾンもしくはCHOPと組み合わせて用いる場合、4mg/kg q4d x 4でi.p.投与した。腫瘍サイズは式(L x W2)/2を用いて求めた。
【0236】
図6Aを参照すると、療法の開始はRxで示されている。CHOP、プレドニゾン、CD40抗体、プレドニゾンとCD40抗体、およびCHOPとCD40抗体による処置を非処置対照と比べた。CHOP単独による処置では腫瘍成長にほとんど効果はなかった。CHOPとヒト化CD40抗体による処置は、他の処置よりも実質的に良好であった。
【0237】
SGN-40処置単独とCHOPまたはプレドニゾンとの組合せの効果を比較するため、SCIDマウスにRamos細胞を皮下移植し、上記のようにSGN-40単独またはCHOPとの組合せを投与した。さらに、プレドニゾンステロイドを単独(0.15mg/kg, q1d x 5 po)またはSGN-40(4.0mg/kg, q4d x 4 ip)と組み合わせて投与した。
【0238】
図6Bを参照すると、CHOPまたはプレドニゾンは単独で投与した場合にはほとんど効果はなかった。これに対して、CHOPとプレドニゾンは双方とも、SGN-40と組み合わせて投与した場合により高い有効性を示した。
【0239】
さらなる研究では、ヒト化CD40抗体SGN-40は、異種移植片モデルにおいて生存率の向上に同等に有効であることが示された。要するに、播種性異種移植片モデルにおいてIM-9細胞(1x106/マウス)をSCEDマウスの静脈内に導入した。腫瘍細胞の注射から3日後に動物をSGN-40(4.0mg/kg, q2d x9, ip)もしくはプレドニゾン(0.15mg/kg, q1d x5, po)単独、または組合せのいずれかで処置した。生存率データをカプラン・マイヤー(Kaplan-Meier)曲線を用いてプロットした(データは示されていない)。上述のように、SGN-40の有効性はプレドニゾンが存在してもしなくても本質的に同じであった。
【0240】
実施例7:SGN-40およびリツキシマブはNHL異種移植片モデルにおいて匹敵する活性を有する
SGN-40とリツキシマブの有効性を比較するため、SCIDマウスに5x106個のRamos細胞を皮下移植し、処置前に腫瘍を100mm3まで成長させた。Ramos腫瘍の成長データを、カプラン・マイヤープロット(GraphPad Prism)を用い、各群、腫瘍体積の増加が4倍を超えるマウスの%としてプロットした。マウスにSGN-40もしくはリツキシマブをそれぞれ(4mg/kg, q4d x 4 ip)またはCHOP化学療法(CHO, q1d x 1, iv; P, q1d x 5, po)と組み合わせて投与した。
【0241】
図7を参照すると、SGN-40およびリツキシマブは単独でもCHOPと組み合わせても同等の有効性を示した。
【0242】
実施例7:漸増用量計画
非盲検、多回投与、シングルアーム、第I相プロトコールを、5箇所の臨床施設で開始した。まず、多発性骨髄腫と診断された登録患者に、0.5、1、2および4mg/kg/週のコホート特異的用量レベルのヒト化CD40抗体(hu sgn-0)を毎週静脈注入した。初回の4mg/kgレベルに関連したグレード3サイトカイン放出症候群のために、2週間にわたる患者内用量増加を可能にするように試験を修正した。3、4、6および8mg/kg/週のコホート特異的用量を用いた。患者の適格性判定基準には以下のものを含んだ:患者が少なくとも2回の事前の全身療法に失敗していなければならいこと;化学療法から少なくとも4週間;最小応答(MR)以上を受けた患者は第2サイクルの療法に適格である。
【0243】
修正した用量増加計画を下表5に示す。
【表5】

【0244】
患者の人口統計は次の通りである:性別:男性(14)、女性(9);年齢中央値:61歳(範囲40〜77);人種:白人(17)、黒人(2)、ヒスパニック(2)、その他(2);最初の診断からの期間の中央値:6.3年(範囲1.7〜14.1);事前の療法の中央値:5.5(範囲2〜10)、ボルテゾミブ9;サリドマイド15;レブリミド(Revlimid)(商標)4;メルファラン6;Combination chemo17;および自己移植5。
【0245】
患者の有害事象をモニタリングした。ヒト化CD40抗体の投与はサイトカイン放出を誘発すると思われ、血漿中のTNF-αレベルは最初の注入の後にのみ上昇する。薬剤負荷期間は初期用量のサイトカイン放出症候群を軽減した。プロトコールの改正後、初期用量に関連するサイトカイン放出の徴候は著しく軽減、排除された。さらに、これまでに試験したところでは低用量であっても、抗腫瘍活性の予備的な証拠がある。
【0246】
実施例8:薬物動態
多発性骨髄腫患者に、ヒト化CD40抗体SGN-40を第1週に2回投与し、週1回該40を、第1週は2回投与し、次の4週間は週1回投与した。最終投与を受けなかった患者は分析から除いた。SGN-40のピーク血清濃度(Cmax)は、29日目の最終投与の後に見られ、次のレベルの谷間は7日後の36日目に表6の各コホートで示されている。最終注入後の半減期、およびデータの1コンパートメントモデルフィットからの0日目から50日目の濃度時間曲線下面積も計算した(n/a平均は適用不可)。データは平均値±標準偏差として表す。データは、コホートI 36日目 Cmin (N=2)とコホートII, T1/2およびAUCO-50 (N=1)を除き、平均値±標準偏差(N≧3)として表す。患者は少なくとも約10μg/mlの血漿SGN-40濃度を維持した。
【表6】

【0247】
本明細書には特許出願、特許および科学刊行物を含む種々の参照文献が引用され、これらの開示内容は参照によりそのまま本明細書に組み入れられる。本明細書中の参照文献の引用または特定は、このような参照文献が本発明の先行技術として利用可能であることを承認するものと考えるべきでない。
【0248】
本明細書に開示される教示の適用は、本明細書に記載される特定の実施形態により範囲を限定されない。実際、本明細書に含まれる教示および付属の実施例に照らして、種々の変更が当業者の能力の範囲内にある。このような変更も添付の特許請求の範囲内にあるもとする。
【図面の簡単な説明】
【0249】
【図1A】ヒト化CD40抗体の重鎖のポリペプチド配列(配列番号18)およびコード配列(配列番号17)および相補的DNA配列を示す。ポリペプチド配列にはリーダー配列、可変領域およびヒトIgG1定常領域の位置を示す注釈が付けられている。
【図1B】図1Aの続き。
【図1C】図1Cは、ヒト化CD40抗体の軽鎖のポリペプチド配列(配列番号21)およびコード配列(配列番号20)および相補的DNA配列を示す。ポリペプチド配列にはリーダー配列、可変領域およびヒトκ定常領域の位置を示す注釈が付けられている。
【図2】NHL(Ramos細胞)におけるシグナル伝達経路に対するヒト化CD40抗体の作用。
【図3】ヒト化CD40抗体はin vitroにおいてBidタンパク質をアップレギュレートし、アポトーシスを促進することを示す。
【図4】2週間測定した腫瘍体積に対する対照抗体、マウス抗CD40抗体およびヒト化抗CD40抗体による処理の作用を示す(処理は腫瘍移植13日後に開始)。
【図5】担癌マウスの生存に対する対照抗体、マウス抗CD40抗体およびヒト化抗CD40抗体による処理の作用を示す。
【図6A】CD40抗体単独またはCHOPとの組合せによる処理のリンパ腫モデルの結果を示す。
【図6B】CD40抗体単独またはCHOPもしくはプレドニゾンとの組合せによる処理のリンパ腫モデルの結果を示す。
【図7】NHL異種移植片モデルにおけるSGN-40およびリツキシマブの組合せを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
CD40関連障害の治療または予防方法であって、
(a)(i)CD40と免疫特異的に結合し、かつ、(ii)CD40リガンドと、B細胞上の細胞表面CD40との結合を少なくとも45%増大するCD40結合剤の初期用量を、それを必要とする患者に投与すること;および
(b)第2回用量の該CD40結合剤を患者に投与するが、ただし、該初期用量は該第2回用量よりも少ないものとし、それにより患者がサイトカイン放出の低減を示すこと;
を含み、該CD40結合剤がCD40関連障害の細胞の増殖または分化を阻害する、前記方法。
【請求項2】
初期用量が約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kgまたは約4mg/kgである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2回用量が約1mg/kg〜約16mg/kgである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2回用量が約1mg/kg〜約8mg/kgである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
初期用量およびその後続の用量が連続する日に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
後続の用量が初期用量の2日、3日、4日または7日後に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第3回用量のCD40結合剤を患者に投与することをさらに含み、該第3回用量が第2回用量と同等またはそれ以上であり、サイトカイン放出が低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
それによりCD40結合剤の投与に関連する有害事象が低減される、請求項1または7に記載の方法。
【請求項9】
2回の同じ用量の初期用量を、第2回用量の投与前に患者に投与することをさらに含む、、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
2回の初期用量が2日、3日または4日あけて投与される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
患者に治療薬を投与することをさらに含み、該治療薬がCD40結合剤により誘導されるサイトカイン放出を低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
治療薬がステロイドまたは免疫調節薬である、請求項12に記載の方法。
【請求項13】
CD40結合剤がヒト化抗体、キメラ抗体またはヒト抗体である、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
CD40結合剤が配列番号2のヒト可変ドメイン重鎖サブグループIIIコンセンサスアミノ酸配列のフレームワーク領域のアミノ酸配列と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、配列番号3の対応する重鎖CDRと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを含んでなるヒト化重鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
CD40結合剤が配列番号13のヒト可変ドメイン軽鎖サブグループκIコンセンサスアミノ酸配列のフレームワーク領域と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有するフレームワーク領域と、配列番号14の対応する軽鎖CDRと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを含んでなるヒト化軽鎖可変ドメインを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
CD40結合剤が配列番号13のヒト可変ドメイン軽鎖サブグループκIコンセンサスアミノ酸配列のフレームワーク領域と少なくとも90%同一のアミノ酸配列を含むフレームワーク領域と、配列番号14の対応する軽鎖CDRと少なくとも90%同一のアミノ酸配列を有する少なくとも1つのCDRとを含んでなるヒト化軽鎖可変ドメインをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
各重鎖CDRが配列番号3の対応する重鎖CDRと少なくとも90%同一である、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
重鎖CDRが配列番号3の対応する重鎖CDRのアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
各軽鎖CDRが配列番号14の対応する軽鎖CDRと少なくとも90%同一である、請求項15または16に記載の方法。
【請求項20】
軽鎖CDRが配列番号14の対応する軽鎖CDRのアミノ酸配列を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
重鎖可変ドメインが、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、または配列番号11のアミノ酸配列を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
軽鎖可変ドメインが、配列番号14、配列番号15、または配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項23】
重鎖可変ドメインが、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10または配列番号11のアミノ酸配列と、配列番号14、配列番号15または配列番号16の軽鎖可変ドメインアミノ酸配列を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
CD40結合剤がヒトIgG定常領域をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項25】
IgG定常領域のイソ型がIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
IgG定常領域のイソ型がIgG1である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
軽鎖定常ドメインがκ定常ドメインである、請求項15または16に記載の方法。
【請求項28】
重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号3と配列番号14、それぞれ配列番号4と配列番号14、それぞれ配列番号5と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号14、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号8と配列番号14、それぞれ配列番号9と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号15、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、またはそれぞれ配列番号11と配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号7と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号14、それぞれ配列番号11と配列番号14、それぞれ配列番号10と配列番号16、またはそれぞれ配列番号11と配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインが、それぞれ配列番号7と配列番号14、それぞれ配列番号6と配列番号16、それぞれ配列番号10と配列番号16、またはそれぞれ配列番号11と配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインがそれぞれ配列番号3と配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
重鎖可変ドメインおよび軽鎖可変ドメインがそれぞれ配列番号10と配列番号16のアミノ酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
抗体が、hu sgn-0、hu sgn-1、hu sgn-2、hu sgn-4、hu sgn-14、hu sgn-15、hu sgn-16、hu sgn-17、hu sgn-18、hu sgn-19、hu sgn-22、hu sgn-23、hu sgn-26またはhu sgn-27である、請求項13に記載の方法。
【請求項34】
CD40結合剤が抗原結合抗体フラグメントである、請求項1に記載の方法。
【請求項35】
抗体フラグメントが、Fab、Fab'、F(ab')2、Fvフラグメント、ダイアボディー、単鎖抗体、scFvフラグメントまたはscFv-Fcである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
CD40関連障害が、慢性リンパ球性白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキン病またはワルデンストローム・マクログロブリン血症である、請求項1に記載の方法。
【請求項37】
CD40関連障害が非ホジキンリンパ腫である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
非ホジキンリンパ腫がびまん性大B細胞リンパ腫である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
CD40関連障害が自己免疫疾患である、請求項1に記載の方法。
【請求項40】
治療薬の投与を必要とする患者に(c)CD40発現細胞に対して細胞傷害作用または細胞静止作用を示す治療薬を投与することをさらに含み、
該治療薬がCD20抗体、シクロヘキシミドまたはサリドマイドでない、請求項1に記載の方法。
【請求項41】
治療薬がCD20抗体、シクロヘキシミドまたはサリドマイドでない、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
治療薬がAkt生存経路を阻害する、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
治療薬がホスホ-AKTレベルを低減または阻害する、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
治療薬がボルテゾミブ、ブレオマイシン、CHOP、R-CHOP、ICEまたはR-ICEである、請求項40に記載の方法。
【請求項45】
治療薬がCHOPであり、リツキシマブが患者に投与されない、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
CD40結合剤と治療薬が相乗作用を示す、請求項40に記載の方法。
【請求項47】
CD40結合剤と治療薬が相加作用を示す、請求項40に記載の方法。
【請求項48】
初期用量が少なくとも4mg/kgであり、および治療薬が患者に投与され、ここで治療薬がCD40結合剤により誘導されるサイトカイン放出を低減する、請求項2に記載の方法。
【請求項49】
治療薬がCD40結合剤の投与前に投与される、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
患者が少なくとも4用量のCD40結合剤からなる少なくとも1回のサイクルを受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項51】
患者が少なくとも5用量のCD40結合剤からなる少なくとも1回のサイクルを受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項52】
患者がCD40結合剤からなる少なくとも2回のサイクルを受ける、請求項50または請求項51に記載の方法。
【請求項53】
患者が初期用量の投与後およびサイクル中、少なくとも5μg/mlの血漿レベルを維持する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
患者が初期用量の投与後およびサイクル中、少なくとも10μg/mlの血漿レベルを維持する、請求項53に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−518441(P2009−518441A)
【公表日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544586(P2008−544586)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2006/047308
【国際公開番号】WO2007/075326
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(503188759)シアトル ジェネティクス,インコーポレーテッド (11)
【Fターム(参考)】