説明

CNTヒーター、センサー、ヒューズ

【課題】従来の金属製ヒーターに比べ、形状の自由性が高く、且つ熱発生効率に優れたCNTヒーターの製造法。
【解決手段】ベースとなる素材をCNT又はCNFの分散液を用いて毛細管現象やブラウン運動により分散液を繊維内に均等に浸透・吸着させることにより。ヒーターの本体すなわち抵抗体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
本発明は、元素材に導電性微細炭素構造体、すなわちカーボンナノチューブ(CNT)、カーボンナノファイバー(CNF)、カーボンピコチューブ(CPT)及びカーボンピコファイバー(CPF)を添加することで半導体とし、これに電流を流すことによって抵抗加熱によるジュール熱を発生せしめ、ヒーターとして利用することを目的とする。元素材としては、紙、布、糸、プラスチック、硝子、セラミック、石、植物、皮革、鉱物、金属など、CNT溶液を含浸又は塗布できるものであれば何でもよい。
【背景技術】
【0002】
電気を熱源とするヒーターの方式の一つとして、温度制御の容易な抵抗加熱方式があり、家庭用・工業用に広く用いられている。
【0003】
抵抗発熱体としては、鉄−クロム−アルミ系やニッケル−クロム系の金属を素材とし、これらを棒状又は線状にしたものが用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヒーターでは、抵抗発熱体として上記金属素材が用いられるが、これらは金属であるがゆえに形状やとり回し、及び重量に制約があった。
【0005】
また、金属材料は採掘から精製、加工及び廃棄の際に多量のエネルギー消費を伴い、二酸化炭素の放出等環境への負荷も大きい。
【課題を解決する為の手段】
【0006】
ベースとなる素材、例えば和紙やセラミック材を、CNT又はCNFの分散液に染物の要領で含浸させ、毛細管現象やブラウン運動により分散液を繊維内に均等に浸透・吸着させる。
【0007】
上記の方法によりベース素材の繊維組織内に熱伝動率、電気伝導率の極めて高いCNTを均一に内包させることが出来、素材に導電性を持たせることが可能となる。
【0008】
導体に電流を流すと自由電子と原子及び分子の衝突が起こり熱が発生する(ジュール熱)が、CNTは粒子径が極めて小さいが六員環配列をとっているため表面積が大きく、且つ自由電子の数も多いため、従来の抵抗体と比べて熱発生効率の高い良発熱体となる。
【0009】
このようにして作製した導電材は、形状において極めて高い自由度を持った抵抗発熱体となる。
【発明の効果】
【0010】
CNT溶液を含浸又は塗布できるものであれば、どんなものでもヒーターとしての機能を持たせることが可能となり、従来の金属ヒーターに比べてより多様な製品への導入が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】は、本発明による回路図を模式的に表したものである。下図のCNTヒーターはCNTの微粒子によって熱振動が増えるため、上図の従来のヒーターに比べ効率よく熱が発生することを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物、皮革、繊維、紙、金属などにCNT、CFT、CPT、CPFを添加することで半導体とし、これに電流を流すことによって抵抗加熱によるジュール熱を発生せしめ、ヒーターとしての機能を持たせた製品。
【請求項2】
請求項1の方法で、CNT濃度即ち電気抵抗値に差異を持たせた2本の抵抗体を陽極と陰極に接続し、センサーとして応用したもの。
【請求項3】
請求項1の方法で、抵抗体の一部分のみCNT濃度、即ち電気抵抗値を変化させることによって、安全ヒューズとして応用したもの。

【図1】
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【公開番号】特開2011−171264(P2011−171264A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−55086(P2010−55086)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(594033813)株式会社大成化研 (33)
【Fターム(参考)】