説明

COおよびH2から炭化水素を合成するための触媒およびその製造方法

本発明は石油化学、ガス化学、石炭化学に関するものであり、特に本発明はCOおよびHから炭化水素を合成するための触媒および該触媒の製造方法に関する。当該触媒はペレット化され、少なくとも当該触媒の全重量に対して1〜40重量%の活性成分としてのラネーコバルト、25〜94重量%の金属アルミニウムおよび5〜30重量%のバインダーを含有する。本発明は、COおよびHからの炭化水素の合成に対して、過熱に対する触媒安定性および炭化水素C−C100の高生産性を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は石油化学、ガス化学、石炭化学に関するものである。特に本発明はCOおよびHから炭化水素C−C100を合成するための触媒およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
合成ガス、すなわち一酸化炭素および水素から炭化水素を製造する方法(フィッシャー−トロプシュ法)はよく知られている。適切なフィッシャー−トロプシュ触媒はメンデレーエフの元素の周期表のVIII族から選択される金属を含有する。様々な生成物が触媒の組成に依存して得られる。
【0003】
フィッシャー−トロプシュ法は発熱性および感温性が高い。高温により触媒の活性は改善されるが、メタンや二酸化炭素などのような副生成物の形成により、主生成物の選択性は落ちる。革新的で、効率的で、しかも選択性のある触媒を製造するためには、過熱に対する安定性および従って反応器の定温性を提供する革新的な解決方法が必要である。従って、合成ガスから炭化水素を効率的に製造するためには、新型の触媒が必要である。
【0004】
固定床反応器中における作業上の問題を解決するための方法のひとつに、ペレット化された触媒の熱伝導性を増大させる方法がある。この場合、熱伝導性材料をフィッシャー−トロプシュ触媒に使用する。熱伝導性材料は触媒の担体として使用されることは知られている。
【0005】
例えば、RU2256501号明細書はコバルトに基づいてCOおよびHから炭化水素を合成するための触媒に関するものである。当該触媒は、高い熱伝導性を提供する担体として金属アルミニウム粉体を含有する。当該触媒は以下の方法で製造される;アルミニウム粉体に硝酸コバルト水溶液を含浸させる。次いで、含浸された粉体を水浴で乾燥させ、450℃で1時間か焼する。しかしながら当該触媒は選択性が低く、主生成物の生産性が低い。
【0006】
RU2326732号明細書は、メンデーレフの元素の周期表のVIII族の金属および金属アルミニウムを含有する、COおよびHからの炭化水素合成用触媒ペレットを提供する。当該明細書には、以下に示す当該触媒の製造方法が記載されている:ペーストより押出法で製造された担体に活性金属(触媒の全重量に対して5〜40重量%)を含浸法により適用する;当該ペーストは酸化物成分(酸化アルミニウムおよび/または酸化ケイ素および/または酸化チタンおよび/または酸化ジルコニウム)、鱗片形状の金属アルミニウム1〜25重量%およびベーマイトSB−1を5〜15重量%含有する。担体(酸化物成分、金属アルミニウム粉体、ジエチルエーテル、バインダー、水、可塑剤および細孔形成性成分を含有する)を押出、乾燥、か焼により製造した後、活性金属塩の水溶液を当該担体に逐次段階で含浸させる。担体は0.1〜5重量%の促進剤(ジルコニウムまたはメンデーレフの元素の周期表におけるVIII族の金属および/または酸化物)を含有することができ、促進剤は当該促進剤の塩の水溶液による含浸により導入される。しかしながら担体は酸化物成分と金属アルミニウムの両方を含有し、活性成分は含浸により担体に適用されるので、高価な活性金属の過剰消費が起こる。
【0007】
US6642281号明細書には、COの触媒的水素化において、活性成分として分散活性金属、特にラネーコバルトを使用することが開示されている。当該触媒は、コバルトをアルミニウム、チタン、ケイ素または亜鉛と合金にして、冷却し、当該合金を微粉砕して微粉体にした後、アルミニウム、チタン、ケイ素または亜鉛を化学的抽出または溶解することにより製造される。当該明細書においてラネーコバルト(骨格コバルト)は触媒的水素化において分離触媒(separate catalyst)として使用される。このような触媒は安定であるが、コストの大きな成分の含有量が高いため、かなり高価である。このような触媒をペレットまたはブロックで製造することはできない。
【0008】
US4826799号明細書は、水素化用触媒ペレットおよびその製造方法に関するものである。当該触媒は、ラネー金属15〜50重量部、高重合体(例えば、ポリエチレン)1〜30重量部、アルミニウムのα−酸化物1〜42重量部、および均質充填材を含有する。可塑剤として鉱油が0〜40重量部使用される。混合物は押出法または合金化法により形成され、ポリマーおよび可塑剤は温度850〜1200℃でのか焼により除去される。合金が一旦、形成されると、当該合金を処理して水酸化ナトリウムによりアルミニウムを抽出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、上記の触媒およびその製造方法は以下に示す重大な欠点を有している;高価な成分の含有量が高いことによる高コスト;ペレットの低い熱伝導性;特別な装置が必要な高温処理の困難性および必要性により、触媒コストが増大し、その製造方法が困難になること。
【0010】
以上をまとめると、効率および選択性が改善され、過熱に対して安定な低コスト触媒が必要である。当該触媒の簡便な製造方法も必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、COおよびHから炭化水素を合成するための触媒を提供する。当該触媒は、活性成分としてのラネーコバルト(Raney cobalt)粉体またはカルボニルコバルトの分散粒子、立体的熱伝導性格子(spatial heat-conducting lattice)を形成する金属アルミニウムおよびバインダーを含有し、前記分散粒子が金属アルミニウムの立体的熱伝導性格子内へ嵌入されており(embedded)、当該触媒はペレット化されている。
【0012】
本発明の好ましい実施態様においては、前記ラネーコバルトまたはカルボニルコバルトの含有量は触媒の全重量に対して1〜40重量%の範囲内である。
【0013】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属アルミニウムの含有量は触媒の全重量に対して25〜94重量%の範囲内である。
【0014】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属アルミニウムは分散粉体である。
【0015】
本発明の好ましい実施態様においては、前記バインダーはベーマイトまたは酸化ケイ素(エアロジル(aerosil))。
【0016】
前記バインダーの含有量は触媒の全重量に対して5〜30重量%の範囲内である。
【0017】
前記触媒は、Mg、Zr、Ti、Ca、Ba、Al、Siおよび/またはこれらの混合物からなる群から選択される複数種の元素の酸化物または混合酸化物からなる添加剤をさらに含有する。
【0018】
本発明の好ましい実施態様においては、前記添加剤の含有量は触媒の全重量に対して0.5〜30重量%の範囲内である。
【0019】
前記触媒は、1種またはそれ以上の活性成分をさらに含有できる。
【0020】
本発明の好ましい実施態様においては、前記活性成分としてCoおよび/またはRuが使用される。
【0021】
本発明の好ましい実施態様においては、前記活性成分の含有量は触媒の全重量に対して5〜30重量%の範囲内である。
【0022】
前記触媒は促進剤をさらに含有し、該促進剤として、メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の元素が使用される。
【0023】
本発明は、COおよびHから炭化水素を合成するための触媒を製造する方法にも関する。当該方法は以下の工程を含む;ラネーコバルトまたはカルボニルコバルトの分散粉体、金属アルミニウム、バインダーおよび液相を混合して均質ペーストを得る工程;該ペーストを押出して、金属アルミニウムの立体格子および該格子内へ嵌入されたラネーコバルトまたはカルボニルコバルト粒子を有する触媒ペレットを形成する工程;該ペレットを乾燥し、か焼(calcinating)する工程。
【0024】
本発明の好ましい実施態様においては、前記ラネーコバルトおよびカルボニルコバルトは触媒の全重量に対して約1〜40重量%の量で使用される。
【0025】
本発明の好ましい実施態様においては、前記金属アルミニウムは触媒の全重量に対して約25〜94重量%の量で使用される。
【0026】
本発明の好ましい実施態様においては、前記バインダーとしてベーマイトまたは酸化ケイ素(エアロジル)が触媒の全重量に対して約5〜30重量%の量で使用される。
【0027】
本発明の好ましい実施態様においては、前記液相として、蒸留水、硝酸またはアンモニア水、トリエチレングリコールおよび/またはポリビニルアルコールの混合物が使用される。
【0028】
本発明の好ましい実施態様においては、前記ペレットの乾燥を、空気または不活性ガス流中、温度25〜120℃で12〜36時間、好ましくは18〜24時間行う。
【0029】
本発明の好ましい実施態様においては、前記ペレットのか焼を、空気または不活性ガス流中、複数の段階で、120℃から450℃まで温度上昇させながら、8〜36時間、好ましくは12〜20時間行う。
【0030】
本発明の好ましい実施態様においては、金属化合物、特にCoおよび/またはRuの化合物の溶液を複数の段階で含浸させることにより、さらなる活性成分をか焼ペレットへ導入する。当該含浸は当該活性成分の含有量が触媒の全重量に対して5〜30重量%を達成するまで繰り返す。
【0031】
本発明の好ましい実施態様においては、各段階の含浸後、ペレットを空気により温度80〜90℃で0.5〜1.5時間乾燥し、次いでペレットを空気流中、200〜450℃で0.5〜15時間か焼する。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の発明者等の多くの研究により、フィッシャー−トロプシュ触媒の活性成分としてラネーコバルトを用いることが最良の実践であることが明らかになる。ラネーコバルトは、COおよびHから炭化水素を合成するときに、主生成物の高い選択性、安定性を提供するが、かなり高価であり、また激しい熱の除去がもたらされる場合に限って最良の品質を示す。
【0033】
ラネーコバルトを含有する現実の触媒は、当該活性成分の含有量が高いため、非常に高価であり、またペレット形状のときでさえ熱伝導性は高くない。これらの要因が、当該触媒をCOおよびHからの炭化水素の合成に使用する妨げとなる。
【0034】
アルミニウムは熱伝導性が高く、反応域からの熱の除去を改善し、触媒性能の安定性を改善させるので、触媒組成物中で金属アルミニウムを使用することは、上記のことと共に、興味深いことである。
【0035】
しかしながら公知の触媒において金属アルミニウムは担体として使用されるため、高価な活性金属は非経済的に使用され、さらにはそのような触媒において活性金属はラネーコバルトのより効果的な形態では使用されない。
【0036】
触媒はペレットで使用することが好ましいことに注目するべきである。
【0037】
触媒ペレットの利点はよく知られている;特に触媒ペレットは反応器において流れ抵抗が低い固定床を形成することができる。このような固定ペレットにより、任意に、当該触媒の活性中心に原料の成分が供給され、生成物が運び出される。このようなペレットを備えた反応器は、簡便性、信頼性および低価格について利点を有するものであり、分散粒子または粉体の触媒を備えた反応器が必要とする特別な混合装置および他の扱い困難な装置の使用を必要としない。以上をまとめると、活性があり、効果的で、かつ効率的な触媒ペレットが、先行技術に開示された他の触媒に対して利点があることは明らかである。
【0038】
本発明の発明者等は、COおよびHから炭化水素、特にC−C100炭化水素を合成するための触媒であって、上記した利点を備え、欠点を示さない触媒の製造にはじめて成功した。
【0039】
当該触媒の製造は、活性成分としてのラネーコバルトと金属アルミニウムとを触媒中で組み合わせることにより達成できるようになった。
【0040】
本発明の発明者等の研究により、分散ラネーコバルトの粒子、金属アルミニウム、バインダーを含有する均質ペーストの押出によってのみ、金属アルミニウムの立体的な熱伝導性格子および該格子内へ嵌入されたラネーコバルト分散粒子を有するペレットの製造が可能になることが明らかになる。当該触媒のこのような構造により、高い熱伝導性が提供される一方で、活性金属の少量での使用が可能になる。従って、ラネーコバルトは、触媒の活性成分と立体的熱伝導性格子の成分という二重の役割を担う。
【0041】
活性金属は触媒中に含浸により導入されるのではなく、分散成分を混合して均質ペーストを得た後、押出、乾燥およびか焼することにより導入されることが重要である。
【0042】
このような触媒構造の製造を可能にするのは押出であることが見出された。
【0043】
開示する格子を備えた触媒の製造に際しての特異的な特徴は、当該ペレットの表面には金属光沢が存在するが、そのような格子を有さない従来の触媒ペレットは光沢がないということである。
【0044】
本発明においては活性成分として、ラネーコバルトまたはカルボニルコバルトが使用される。ラネーコバルトはラネー合金の浸出(leaching)により工業的に生産される。カルボニルコバルトはガス状のカルボニルコバルトの分解(decomposition)により工業的に生産される。
【0045】
ラネーコバルトまたはカルボニルコバルトの含有量は触媒の全重量に対して1〜40重量%である。当該含有量が1%未満であると、触媒の十分な生産性が達成されない。当該含有量が40%を超えると、立体的熱伝導性格子が、このような量の活性成分から熱を除去させることができず、その場合には生産性の増大は起こらない。
【0046】
金属アルミニウムは、アルミニウム粉体の形態、分散粉体の形態または別の分散形態、例えば、厚み100μm未満の線材の形態であってもよい。金属アルミニウムの含有量は触媒の全重量に対して25〜94重量%である。分散アルミニウムの含有量が25%未満であると、立体的熱伝導性格子の形成をもたらさない;94%を超えると、COおよびHから炭化水素を合成するための触媒活性が低下する。
【0047】
本発明においてはバインダーとしてベーマイトまたは酸化ケイ素(エーロゾル(aerosol))を用い、バインダーの含有量は触媒の全重量に対して5〜30重量%である。バインダーの含有量が5%未満であると、ペレット強度の本質的な低下が起こり、30%を超えると、COおよびHから炭化水素を合成するための触媒活性が低下する。
【0048】
ペーストを製造するための混合物へは、Mg、Zr、Ti、Ca、Ba、Al、Siまたはこれらの混合物からなる群から選択される複数種の元素の酸化物または混合酸化物からなる粉体状の添加剤をさらに導入することができる。このような添加剤は触媒製造の適合性を増大させる。当該添加剤の含有量は触媒の全重量に対して0.5〜30重量%である。当該添加剤の含有量が0.5%未満であると、触媒特性は影響を受けず、30%を超えると、COおよびHから炭化水素を合成するための触媒活性が低下する。
【0049】
当該触媒の重要な利点は、1種またはそれ以上のさらなる活性成分を導入できることである。さらなる活性成分としてはCoおよび/またはRuを使用することが好ましい。
【0050】
当該さらなる活性成分の含有量は触媒の全重量に対して5〜30重量%である。当該含有量が5%未満であると、活性の高いラネーコバルトを含有する触媒の特性は影響を受けず、30%を超えると、生産性のさらなる増大をもたらさないが、主生成物の選択性に対する陰性反応をもたらし得る。
【0051】
触媒は促進剤をさらに含有することができる。促進剤としては、メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の元素が使用される。
【0052】
本発明によれば、COおよびHから炭化水素を合成するための触媒を製造する方法が提供される。当該方法は以下の工程を含む;ラネーコバルトまたはカルボニルコバルトの分散粉体、金属アルミニウム、バインダーおよび液相を混合して均質ペーストを得る工程;該ペーストを押出して、金属アルミニウムの立体格子および該格子内へ嵌入されたラネーコバルトまたはカルボニルコバルト粒子を有する触媒ペレットを形成する工程;該ペレットを乾燥し、か焼する工程。
【0053】
本発明の好ましい実施態様においては、ラネーコバルトおよびカルボニルコバルトは触媒の全重量に対して約1〜40重量%の量で使用される。
【0054】
本発明の好ましい実施態様においては、金属アルミニウムは触媒の全重量に対して約25〜94重量%の量で使用される。
【0055】
本発明の好ましい実施態様においては、バインダーとしてベーマイトまたは酸化ケイ素(エアロジル)が触媒の全重量に対して約5〜30重量%の量で使用される。
【0056】
本発明の好ましい実施態様においては、液相として、蒸留水、硝酸またはアンモニア水、トリエチレングリコールおよび/またはポリビニルアルコールの混合物が使用される。
【0057】
液相は必要なコンシステンシーを有する均質ペーストを得るために必要なものであり、押出段階での適正なペレットの製造を可能にする。
【0058】
ペレットの乾燥は、空気または不活性ガス流中、温度25〜120℃で12〜36時間、好ましくは18〜24時間行う。
【0059】
ペレットのか焼は、空気または不活性ガス流中、複数の段階で、120℃から450℃まで温度上昇させながら、8〜36時間、好ましくは12〜20時間行う。
【0060】
さらなる活性成分は、金属化合物、特にCoおよび/またはRuの化合物の溶液を複数の段階で含浸させることにより、か焼ペレットへ導入する。当該含浸は該活性成分の含有量が触媒の全重量に対して5〜30重量%を達成するまで繰り返す。
【0061】
好ましくは、各段階の含浸後、ペレットを空気により温度80〜90℃で0.5〜1.5時間乾燥し、次いでペレットを空気流中、200〜450℃で0.5〜15時間か焼する。
【0062】
メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の溶液を用いた含浸により、促進剤をか焼ペレットへさらに導入することができる。当該含浸は促進剤の含有量が触媒の全重量に対して0.1〜5重量%を達成するまで繰り返す。含浸後は、ペレットを空気により温度80〜90℃で0.5〜1.5時間乾燥し、次いでペレットを空気流中、200〜450℃で0.5〜15時間か焼する。
【0063】
触媒は以下のように製造される:
ラネーコバルト粉体1〜40重量%、金属アルミニウム粉体25〜94重量%およびバインダー粉体5〜30重量%からなる混合物を、蒸留水、硝酸またはアンモニア水、トリエチレングリコールおよび/またはポリビニルアルコールからなる液相に添加する。Mg、Zr、Ti、Ca、Ba、Al、Siまたはこれらの混合物からなる群から選択される複数種の元素の酸化物または混合酸化物からなる粉体状の添加剤を0.5〜30重量%の量でペーストへさらに導入することができる。当該ペーストを押出して、ペレットを製造する。当該ペレットを空気または不活性ガス中、温度25〜120℃で12〜36時間、好ましくは18〜24時間乾燥させる。当該ペレットを、空気または不活性ガス流中、120℃から450℃まで温度上昇させながら、8〜36時間、好ましくは12〜20時間か焼する。
【0064】
金属化合物、特にCoおよび/またはRuの化合物の溶液を複数の段階で含浸させることにより、さらなる活性成分をか焼ペレットへ導入する。当該含浸は当該活性成分の含有量が触媒の全重量に対して5〜30重量%を達成するまで繰り返す。好ましくは、各段階の含浸後、ペレットを空気により温度80〜90℃で0.5〜1.5時間乾燥し、次いでペレットを空気流中、200〜450℃で0.5〜15時間か焼する。
【0065】
メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の溶液を用いた含浸により、促進剤をか焼ペレットへさらに導入することができる。当該含浸は促進剤の含有量が触媒の全重量に対して0.1〜5重量%を達成するまで繰り返す。含浸後は、ペレットを空気により温度80〜90℃で0.5〜1.5時間乾燥し、次いでペレットを空気流中、200〜450℃で0.5〜15時間か焼する。
【0066】
合成を行う前に、触媒サンプルを、水素または水素含有ガス流中(ガス時間率(gas hour space rate)1000〜10000 l/時、好ましくは3000〜5000 l/時)、温度300〜450℃および大気圧下、0.5〜10時間(好ましくは1〜5時間)還元させることにより活性化する。
【0067】
請求項に係る触媒の固定床を備えたチューブ状反応器中、圧力1〜5MPa、好ましくは2〜3.5MPaおよび温度160〜350℃、好ましくは180〜250℃で、CO:HからC−C100炭化水素を合成する。合成ガス中のCO:Hのモル比は1:1〜1:3(好ましくは1:2〜2.5)の範囲内である。合成ガスは最高50%まで窒素を含有することができる。
【0068】
以下の実施例により、本発明の様々な具体的な実施態様をさらに説明する。
【実施例】
【0069】
実施例1
10%ラネーCo+70%Al+20%ベーマイトを含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.5g、等級PAP−2のアルミニウム粉体1.75gおよびラネーコバルト粉体0.25gを、HNO(64%)0.15ml、蒸留水2.5mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.15mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。ペレットを乾燥オーブン中、乾燥させた。乾燥状況は25〜120℃で20時間である。その後、乾燥ペレットを、マッフル中、空気で、以下の温度上昇;35℃/時間の割合で120℃から190℃、15℃/時間の割合で190℃から250℃、50℃/時間の割合で250℃から450℃の温度上昇を行いながら、か焼し、該ペレットを450℃で5時間か焼した。その後、ペレットを室温まで冷却し、2.5mm切片に裁断した。
【0070】
実施例2
20%ラネーCo+70%Al+10%ベーマイトを含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.25g、等級PAP−2のアルミニウム粉体1.75gおよびラネーコバルト粉体0.5gを、HNO(64%)0.1ml、蒸留水2mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.15mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0071】
実施例3
20%ラネーCo+50%Al+10%ベーマイトを含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.75g、等級PAP−1のアルミニウム粉体1.25gおよびラネーコバルト粉体0.5gを、HNO(64%)0.3ml、蒸留水2mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.25mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0072】
実施例4
40%ラネーCo+30%Al+30%ベーマイトを含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.75g、等級ASD−1のアルミニウム粉体0.75gおよびラネーコバルト粉体1gを、HNO(64%)0.3ml、蒸留水2mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.25mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0073】
実施例5
1%ラネーCo+94%Al+5%ベーマイトを含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.125g、等級PAP−2のアルミニウム粉体2.365gおよびラネーコバルト粉体0.01gを、HNO(64%)0.1ml、蒸留水3mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.15mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0074】
実施例6
10%ラネーCo+77%Al+3%ZrO+10%ベーマイトを含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.25g、等級PAG−1のアルミニウム粉体1.967g、ZrO粉体0.033gおよびラネーコバルト粉体0.25gを、HNO(64%)0.15ml、蒸留水3mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.15mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0075】
実施例7
20%Co/(1%ラネーCo+74%Al+5%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.125g、等級PAP−2のアルミニウム粉体2.365gおよびラネーコバルト粉体0.01gを、HNO(64%)0.1ml、蒸留水3mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.15mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0076】
その後、Co(NO・6HOの水溶液由来の20%Coをペレット(1%ラネーCo+74%Al+5%ベーマイト)に2段階で適用する。
段階1 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(1%ラネーCo+74%Al+5%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約400℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られた材料に添加し、室温まで冷却する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約400℃の温度で1時間か焼する。
【0077】
実施例8
20%Co/(1%Co+74%Al+5%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.125g、等級PAP−2のアルミニウム粉体2.365gおよびカルボニルコバルト粉体0.01gを、HNO(64%)0.1ml、蒸留水3mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.15mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0078】
その後、Co(NO・6HOの水溶液由来の20%Coをペレット(1%Co+74%Al+5%ベーマイト)に対して請求項7に記載の2段階で適用する。
【0079】
実施例9
10%Co/(9%ラネーCo+58.5%Al+4.5%MgO+9%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.75g、等級PAP−2のアルミニウム粉体1.145g、MgO粉体0.05gおよびラネーコバルト粉体0.25gを、HNO(64%)0.3ml、蒸留水3mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.2mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0080】
その後、Co(NO・6HOの水溶液由来の10%Coをペレット(9%ラネーCo+58.5%Al+4.5%MgO+9%ベーマイト)に1段階で適用する。この目的のために、Co(NO・6HOを1.37gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(9%ラネーCo+58.5%Al+4.5%MgO+9%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
【0081】
実施例10
30%Co/(3.5%ラネーCo+38.5%Al+7%SiO+21%エアロジル)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
エアロジル0.75g、等級PAP−2のアルミニウム粉体1.375g、SiO粉体0.25gおよびラネーコバルト粉体0.125gを、アンモニア水(25%)0.5ml、蒸留水3mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.25mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0082】
その後、Co(NO・6HOの水溶液由来の30%Coをペレット(3.5%ラネーCo+38.5%Al+7%SiO+21%エアロジル)に3段階で適用する。
段階1 Co(NO・6HOを1.76gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(3.5%ラネーCo+38.5%Al+7%SiO+21%エアロジル)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.76gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られた材料に添加し、室温まで冷却する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階3 Co(NO・6HOを1.76gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階2で得られた材料に添加し、室温まで冷却する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
【0083】
実施例11
10%Co/(13.5%ラネーCo+22.5%Al+27%Al+27%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.75g、等級PAP−2のアルミニウム粉体0.625g、γ−Al粉体0.75gおよびラネーコバルト粉体0.375gを、HNO(64%)0.25ml、蒸留水3mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.15mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0084】
その後、Co(NO・6HOの水溶液由来の10%Coをペレット(13.5%ラネーCo+22.5%Al+27%Al+27%ベーマイト)に、実施例9で記載したように、1段階で適用する。
【0085】
実施例12
20%Co/(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.25g、等級PAP−2のアルミニウム粉体1.475g、ゼオライトHYの形態のAlとSiの混合酸化物粉体0.75gおよびラネーコバルト粉体0.025gを、HNO(64%)0.1ml、蒸留水2.5mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.1mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0086】
その後、Co(NO・6HOの水溶液由来の20%Coをペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)に、実施例7で記載したように、2段階で適用する。
【0087】
実施例13
5%Ru/(9.5%ラネーCo+47.5%Al+28.5%Hモルデナイト+9.5%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ベーマイト0.25g、等級PAP−2のアルミニウム粉体0.5g、ゼオライトHモルデナイト(HMordenite)の形態のAlとSiの混合酸化物粉体0.75gおよびラネーコバルト粉体0.125gを、HNO(64%)0.1ml、蒸留水2.5mlおよびトリエチレングリコール(TEG)0.1mlを含有する液相に添加し、均質な混合物が得られるまで撹拌を継続した。その後、混合物を直径2.5mmのダイを介して押し出した。得られたペレットを、実施例1で記載したように、乾燥、か焼、冷却および裁断した。
【0088】
その後、RuClの水溶液由来の5%Ruをペレット(9.5%ラネーCo+47.5%Al+28.5%Hモルデナイト+9.5%ベーマイト)に1段階で適用する。RuClを0.257gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(9.5%ラネーCo+47.5%Al+28.5%Hモルデナイト+9.5%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約400℃の温度で1時間か焼する。
【0089】
実施例14
20%Co−5%Zr/(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を実施例12で記載したように製造する。
【0090】
その後、ZrO(NO・2HOおよびCo(NO・6HOの水溶液に適宜由来する5%Zrおよび20%Coをペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)に3段階で適用する。
段階1 ZrO(NO・2HOを0.39gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られたペレットに添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
段階3 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階2で得られた材料に添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
【0091】
実施例15
20%Co−2%La/(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を実施例12で記載したように製造する。
【0092】
その後、La(NO・6HOおよびCo(NO・6HOの水溶液に適宜由来する2%Laおよび20%Coをペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)に3段階で適用する。
段階1 La(NO・6HOを0.159gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られたペレットに添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
段階3 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階2で得られた材料に添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
【0093】
実施例16
20%Co−2%Mg/(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を実施例12で記載したように製造する。
【0094】
その後、Mg(NO・6HOおよびCo(NO・6HOの水溶液に適宜由来する2%Mgおよび20%Coをペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)に3段階で適用する。
段階1 Mg(NO・6HOを0.544gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られたペレットに添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
段階3 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階2で得られた材料に添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
【0095】
実施例17
20%Co−2%Cr/(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を実施例12で記載したように製造する。
【0096】
その後、Cr(NO・9HOおよびCo(NO・6HOの水溶液に適宜由来する2%Crおよび20%Coをペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)に3段階で適用する。
段階1 Cr(NO・9HOを0.392gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られたペレットに添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
段階3 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階2で得られた材料に添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
【0097】
実施例18
20%Co−2%Fe/(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を実施例12で記載したように製造する。
【0098】
その後、Fe(NO・9HOおよびCo(NO・6HOの水溶液に適宜由来する2%Crおよび20%Coをペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)に3段階で適用する。
段階1 Fe(NO・9HOを0.368gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られたペレットに添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
段階3 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階2で得られた材料に添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
【0099】
実施例19
20%Co−0.1%Re/(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を含有する触媒サンプルを以下のように製造する。
ペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)を実施例12で記載したように製造する。
【0100】
その後、NHReOおよびCo(NO・6HOの水溶液に適宜由来する0.1%Reおよび20%Coをペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)に3段階で適用する。
段階1 NHReOを0.0036gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液をペレット(1%ラネーCo+39%Al+24%HY+16%ベーマイト)2.5gに添加し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約450℃の温度で1時間か焼する。
段階2 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階1で得られたペレットに添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
段階3 Co(NO・6HOを1.54gで蒸留水1.5mlに溶解し、当該溶液を段階2で得られた材料に添加し、室温まで冷却し、0.5時間保持する。その後、ペレットを水浴で45分間乾燥し、空気流中、約250℃の温度で1時間か焼する。
【0101】
合成前に、触媒を水素流(ガス時間率3000 l/時)中、400℃で1時間活性化する。請求項に係る触媒の固定床を備えたチューブ状反応器中、CO:H=1/2(mol)から炭化水素を圧力2MPaおよび温度160〜240℃で合成する。ガスの供給量は2000 l/時である。
【0102】
実施例1〜19に係る組成の触媒サンプルを用いてCOおよびHから炭化水素を合成した結果を以下の表1に示す。
【0103】
【表1】

【0104】
その結果、当該触媒およびその製造方法により、過熱に対する触媒安定性と主生成物の高生産性が転化率を低下させることなくもたらされる。得られる生成物は触媒組成により決定され、連鎖生長反応の予測値(expectation)0.72〜0.85により特徴付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
COおよびHから炭化水素を合成するための触媒であって、活性成分としてのラネーコバルト粉体またはカルボニルコバルトの分散粒子、立体的熱伝導性格子を形成する金属アルミニウムおよびバインダーを含有し、前記分散粒子が金属アルミニウムの立体的熱伝導性格子内へ嵌入されており、前記触媒がペレット化されている触媒。
【請求項2】
ラネーコバルトまたはカルボニルコバルトの含有量が触媒の全重量に対して1〜40重量%の範囲内である請求項1に記載の触媒。
【請求項3】
金属アルミニウムの含有量が触媒の全重量に対して25〜94重量%の範囲内である請求項1に記載の触媒。
【請求項4】
金属アルミニウムが分散粉体である請求項1に記載の触媒。
【請求項5】
バインダーがベーマイトまたは酸化ケイ素(エアロジル)である請求項1に記載の触媒。
【請求項6】
バインダーの含有量が触媒の全重量に対して5〜30重量%の範囲内である請求項1に記載の触媒。
【請求項7】
触媒が、Mg、Zr、Ti、Ca、Ba、Al、Siおよび/またはこれらの混合物からなる群から選択される複数種の元素の酸化物または混合酸化物からなる添加剤をさらに含有する請求項1に記載の触媒。
【請求項8】
添加剤の含有量が触媒の全重量に対して0.5〜30重量%の範囲内である請求項1に記載の触媒。
【請求項9】
触媒が、1種またはそれ以上のさらなる活性成分をさらに含有する請求項1に記載の触媒。
【請求項10】
さらなる活性成分としてCoおよび/またはRuが使用される請求項9に記載の触媒。
【請求項11】
さらなる活性成分の含有量が触媒の全重量に対して5〜30重量%の範囲内である請求項10に記載の触媒。
【請求項12】
触媒が促進剤をさらに含有し、該促進剤として、メンデレーエフの元素の周期表のII〜IVおよび/またはVI〜VIII族の元素が使用される請求項1に記載の触媒。
【請求項13】
COおよびHから炭化水素を合成するための触媒を製造する方法であって、以下の工程を含む方法;
分散ラネーコバルト粉体またはカルボニルコバルト、金属アルミニウム、バインダーおよび液相を混合して均質ペーストを得る工程;
該ペーストを押出して、金属アルミニウムの立体格子および該格子内へ嵌入されたラネーコバルトまたはカルボニルコバルト粒子を有する触媒ペレットを形成する工程;
該ペレットを乾燥し、か焼する工程。
【請求項14】
ラネーコバルトおよびカルボニルコバルトが触媒の全重量に対して約1〜40重量%の量で使用される請求項13に記載の方法。
【請求項15】
金属アルミニウムが触媒の全重量に対して約25〜94重量%の量で使用される請求項13に記載の方法。
【請求項16】
バインダーとしてベーマイトまたは酸化ケイ素(エアロジル)が触媒の全重量に対して約5〜30重量%の量で使用される請求項13に記載の方法。
【請求項17】
液相として、蒸留水、硝酸またはアンモニア水、トリエチレングリコールおよび/またはポリビニルアルコールの混合物が使用される請求項13に記載の方法。
【請求項18】
ペレットの乾燥を、空気または不活性ガス流中、温度25〜120℃で12〜36時間、好ましくは18〜24時間行う請求項13に記載の方法。
【請求項19】
ペレットのか焼を、空気または不活性ガス流中、複数の段階で、120℃から450℃まで温度上昇させながら、8〜36時間、好ましくは12〜20時間行う請求項13に記載の方法。
【請求項20】
金属化合物、特にCoおよび/またはRuの化合物の溶液を複数の段階で含浸させることにより、さらなる活性成分をか焼ペレットへ導入し、該含浸は該活性成分の含有量が触媒の全重量に対して5〜30重量%を達成するまで繰り返す請求項13に記載の方法。
【請求項21】
各段階の含浸後、ペレットを空気により温度80〜90℃で0.5〜1.5時間乾燥し、次いでペレットを空気流中、200〜450℃で0.5〜15時間か焼する請求項20に記載の方法。

【公表番号】特表2012−529986(P2012−529986A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516026(P2012−516026)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/RU2010/000323
【国際公開番号】WO2010/147513
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511305438)インフラ・テクノロジーズ・リミテッド (4)
【氏名又は名称原語表記】INFRA TECHNOLOGIES LTD.
【Fターム(参考)】