説明

COガス検出警報装置

【課題】COガス検出警報設備による警報に依存することなく、CO中毒事故などから回避できることを可能にするCOガス検出警報装置を提供する。
【解決手段】携帯電話機11のケース11a内に、周囲環境のCOガスを検知して該検知COガスの濃度に応じた検知信号を出力するガスセンサ21と、ガスセンサが出力する検知信号に基づいてCOガス濃度を検出し、検出したCOガス濃度が所定値以上のとき警報信号を出力するガス濃度検出手段22とが収容され、ガス濃度検出手段が出力する警報信号に基づいて警報出力制御手段113−1が携帯電話機の出力手段115,116によって構成される警報出力手段に警報を出力させる制御を行うようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はCOガス検出警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来一般に、COガス検出警報装置は、ガス燃焼器なの不完全燃焼によって発生するCOガスによるCO中毒事故を防止するために、COガスの発生する可能性のあるガス燃焼器の近傍、ガスを頻繁に使用する調理場などに設置されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特許公開2001−296020公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、近年、給湯器などの不完全燃焼によるCO中毒事故や、炭火を使用した料理店などで食事中の換気不備などによるCO中毒事故などに遭遇するケースが多く見受けられるようになってきている。このような事故は、COガスの発生する可能性のある場所に、COガス検出警報器を設置することを徹底することで未然に防ぐことができるので、自宅での事故は自身責任でCOガス検出警報器を設置することで回避できる。しかしながら、料理店などの場合には、設置を他人に依存しなければならないので、回避できないこともあり得る。勿論、自己責任で設置できる自宅の場合でも、皆が設置を徹底することは難しい。
【0004】
よって本発明は、上述した現状に鑑み、COガス検出警報設備による警報に依存することなく、給湯器などの不完全燃焼によるCO中毒事故や、炭火を使用した料理店などの換気不備時のCO中毒事故などから回避できることを可能にするCOガス検出警報装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係るCOガス検出警報装置は、図1の基本構成図に示すように、携帯電話機11のケース11a内に収容され、周囲環境のCOガスを検知して該検知COガスの濃度に応じた検知信号を出力するガスセンサ21と、前記ケース内に収容され、前記ガスセンサが出力する検知信号に基づいてCOガス濃度を検出し、該検出したCOガス濃度が所定値以上のとき警報信号を出力するガス濃度検出手段22と、前記携帯電話機の出力手段115,116によって構成される警報出力手段と、前記ガス濃度検出手段が出力する警報信号に基づいて前記警報出力手段に警報を出力させる制御を行う警報出力制御手段113−1とを備えることを特徴とする。
【0006】
請求項1記載の発明によれば、携帯電話機11のケース11a内に、周囲環境のCOガスを検知して該検知COガスの濃度に応じた検知信号を出力するガスセンサ21と、ガスセンサが出力する検知信号に基づいてCOガス濃度を検出し、検出したCOガス濃度が所定値以上のとき警報信号を出力するガス濃度検出手段22とが収容され、ガス濃度検出手段が出力する警報信号に基づいて警報出力制御手段113−1が携帯電話機の出力手段115,116によって構成される警報出力手段に警報を出力させる制御を行うようになっているので、COガス検出警報装置は、携帯電話機11とともに携行可能となっており、しかも、携帯電話機11に警報出力制御手段113−1としての機能を持たせ、携帯電話機11の出力手段115,116を警報出力手段として流用することで、携帯電話機11のケース内にガスセンサ21とガス濃度検出手段22とを収容するだけで構成することができる。
【0007】
請求項2に係るCOガス検出警報装置は、請求項1記載のCOガス検出警報装置において、前記警報出力制御手段113−1は、前記警報信号が第1の所定時間継続して出力されているとき前記警報出力手段に警報を出力させる制御を行うことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、警報出力制御手段113−1は、警報信号が第1の所定時間継続して出力されているとき警報出力手段に警報を出力させる制御を行うようになっているので、検出したCOガス濃度が所定値以上であっても第1の所定時間継続しなければ警報を出力することがない。
【0009】
請求項3に係るCOガス検出警報装置は、請求項1記載のCOガス検出警報装置において、前記警報出力制御手段113−1は、前記ガス濃度検出手段が出力する前記警報信号に基づいて前記警報出力手段に警報を出力させているとき、警報停止操作入力に応じて、前記警報出力手段による警報の出力を停止させ、該停止後も、前記ガス濃度検出手段が第2の所定時間継続して警報信号を出力しているとき、該警報信号に基づく警報の出力を前記警報出力手段に再開させることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、ガス濃度検出手段が出力する警報信号に基づいて警報出力手段に警報を出力させているとき、警報停止操作入力に応じて、警報出力制御手段113−1が警報出力手段による警報の出力を停止させので、警報に気が付いた時点で警報を停止することができ、しかも、停止後も、ガス濃度検出手段が第2の所定時間継続して警報信号を出力しているとき、警報出力制御手段113−1が警報信号に基づく警報の出力を警報出力手段に再開させるので、警報に気が付いて警報を停止した後も依然危険な状況にあることを警報することができる。
【0011】
請求項4に係るCOガス検出警報装置は、請求項2記載のCOガス検出警報装置において、前記警報出力制御手段113−1は、前記ガス濃度検出手段が出力する前記警報信号に基づいてCOガス濃度が所定値以上となっているとの注意を促す注意警報を前記警報出力手段に出力させる制御を行うことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明によれば、警報出力制御手段113−1は、ガス濃度検出手段が出力する警報信号に基づいてCOガス濃度が所定値以上となっているとの注意を促す注意警報を警報出力手段に出力させる制御を行うようになっているので、警報信号が第1の所定時間継続して出力され警報出力手段に本警報を出力させる前に、注意警報によって注意を促しておくことができる。
【0013】
請求項5に係るCOガス検出警報装置は、請求項3記載のCOガス検出警報装置において、前記警報出力制御手段113−1が前記警報出力手段に警報の出力を再開させたとき、予め前記携帯電話機に登録した電話番号又はメールアドレスの通報先に自動ダイヤリング又はメール送信し、警報状態にあることを通報する通報手段113−2をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の発明によれば、警報出力制御手段113−1が警報出力手段に警報の出力を再開させたとき、通報手段113−2が予め携帯電話機に登録した電話番号又はメールアドレスの通報先に自動ダイヤリング又はメール送信し、警報状態にあることを通報するようになっているので、第1及び第2の所定時間の間所定濃度以上の環境下にいて非常に危険なる状況にあることを通報先に通報することができる。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、携行がほとんど習慣になっている携帯電話機とともに携行可能となって、所定値以上のCOガスの検知とその危険を警報によって確実に知らせるこができるので、COガス検出警報設備による警報に依存することなく、給湯器などの不完全燃焼によるCO中毒事故や、炭火を使用した料理店などの換気不備時のCO中毒事故などから回避できることを可能にするCOガス検出警報装置を提供することができる。しかも、携帯電話機に警報出力制御手段としての機能を持たせ、携帯電話機の出力手段を警報出力手段として流用することで、携帯電話機のケース内にガスセンサとガス濃度検出手段とを収容するだけで構成することができるので、人命救助に有効で安価なCOガス検出警報装置を提供することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、検出したCOガス濃度が所定値以上であっても第1の所定時間継続していなければ警報を出力することがないので、例えばたばこの煙などの一過性の高濃度のCOガスの検知によって無闇に警報を出力することが防止することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、警報に気が付いた時点で警報を停止することができるので、何時までも警報を出力し続けることによる煩わしさを解消でき、しかも、警報に気が付いて警報を停止した後も、再開された警報出力によって、依然危険な状況にありより危険度の高いことを警報することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、警報信号が第1の所定時間継続して本警報を出力させる前に、注意警報によって注意を喚起することができるので、本警報が出力される前に事前に危険を回避することを可能にすることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、第1及び第2の所定時間の間所定濃度以上の環境下にいて非常に危険なる状況にあることを通報先に通報することができるので、通報先から通報元に危険を回避するなどの援助を受けることを可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図2は本発明に係るCOガス検出警報装置の一実施形態を示し、同図において、COガス検出警報装置は、携帯電話機11が有する一部の機能を流用して構成され、携帯電話機11のケース11a内に収容され、携帯電話機と一緒に携行できるようにされている。
【0021】
携帯電話機11は、一般に、送受信アンテナ111と、無線通信部112と、制御部113と、マイクロホン114と、スピーカ115と、バイブレータ116と、キー入力部117と、表示器118と、バッテリ119と、GPS部120とを有し、これらは携帯電話機のケース11a内に収容されている。なお、図示しないが、携帯電話機には点灯などによって各種の情報を表すインジケータが設けられている。
【0022】
無線通信部112は、制御部113の制御のもとで送受信アンテナ111を介して無線にて送受信を行う。マイクロホン114は、送話のための音声などピックアップして制御部113に入力する。スピーカ115は、受話のための音声や着信音などを拡声して出力し、バイブレータ116は着信をスピーカ115による着信音に代えて振動にて伝える。キー入力部117は、ダイヤルなどのための数字やメール作成などのための各種の文字を入力する他、各種の操作を入力するためのキーを有する。表示部118は、送信メールの作成の際や受信メール、受信コンテンツの読み取りの際の情報などを表示する。バッテリ119は、制御部113の制御のもとでオンオフされるスイッチ回路121を介して電話機の各部に電源を供給する。GPS部120は、携帯電話機の現在位置情報を取得して制御部113に入力する。
【0023】
図示のように、携帯電話機11のケース11a内には、周囲環境のCOガスを検知してその検知濃度に応じた検知信号を出力するガスセンサ21と、ガスセンサ21が出力する検知信号に基づいてCOガス濃度を検出し、検出したCOガス濃度に応じて危険を知らせる警報信号を出力するガス濃度検出回路22とを有するCOガス検出部20が収容されている。COガス検出部20は、携帯電話機11が通話のために有するスピーカ115及びバイブレータ116などを警報出力部として、携帯電話機11が各種の制御を行うために有する制御部113をガス濃度検出回路22が出力する警報信号に基づいて警報出力部としてのスピーカ115及びバイブレータ116などに警報を出力させる制御を行う警報出力制御部としてそれぞれ流用し、COガス検出警報装置を構成している。
【0024】
COガスセンサ21は、バッテリにて駆動可能なものであれば、特に原理は問わず、電気化学式、半導体式、接触燃焼式、熱線半導体式の何れであってもよい。COガスセンサ21を携帯電話機11のケース11a内に収容するに当たっては、外気を充分に取り入れ、携行時に塞がれ難いケースの位置に穿たれた通気孔に隣接して配置される。ガス濃度検出回路22は、COガスセンサ21からの検知信号の大きさに基づいて検出したCOガス濃度が例えば200ppmの所定値以上のとき警報信号を出力する。なお、200ppmは日本ガス機器検査協会の検定規程に基づく値である。この警報信号を入力する警報出力制御手手段として働く制御得113は、警報信号を例えば15分の第1の所定時間継続して入力したとき警報出力手段としての例えばスピーカ115又はバイブレータ116に警報を音声又は振動によって出力させる制御を行う。なお、バイブレータ116の振動による警報は、周囲への迷惑を考慮して、携帯電話機がスピーカ115による着信音の出力を停止する動作モード(マナーモード)に設定されているときや携帯電話機の電源をオフしているときに出力されるが、警報の内容によっては、マナーモード設定時や電源オフ時であっても、スピーカ115により音声や警報音を出力することが好ましい。
【0025】
警報出力制御手段として働く制御部113はまた、ガス濃度検出回路22が出力する警報信号に基づいてスピーカ115又はバイブレータ116に警報を出力させているとき、キー入力部117の所定のキー操作による警報停止操作入力に応じて、警報の出力を停止させ、この停止後も、ガス濃度検出回路22が例えば5分の第2の所定時間継続して警報信号を出力しているときはこの警報信号に基づく警報の出力をスピーカ115又はバイブレータ116に再開させる。スピーカ115又はバイブレータ116による警報が再開されると、通報手段として働く制御部113が、予め携帯電話機に登録した電話番号の通報先に自動ダイヤリングしたり、登録したメールアドレスに自動的にメール送信して警報状態にあることを通報する。
【0026】
なお、警報出力制御手段として働く制御部113は、ガス濃度検出回路22が出力する警報信号を入力すると、15分の所定時間を待つことなく、COガス濃度が所定値以上となっていることを知らせる注意を促す注意警報をスピーカ115又はバイブレータ116に出力させる。注意警報は、警報信号が所定時間継続して入力したときスピーカ115又はバイブレータ116が出力する警報である本警報と区別できるようなものでなければならない。
【0027】
以上概略説明したCOガス検出警報装置の詳細を、携帯電話機11の制御部113の主要部を構成するマイクロコンピュータの演算処理ユニット(CPU)が予めメモリに格納したプログラムに従って実行する処理を示す図3〜図6のフローチャートを参照して以下説明する。
【0028】
制御部113のCPUは、図3のフローチャートに示すように、バッテリ119から電源が供給されることによって動作を開始し、まず初期化処理を行う(処理ステップは図示せず)。制御部113はバッテリ119から直接電源が供給され動作状態にあるが、携帯電話機の他の部分は、携帯電話機を不動作状態にしたり節電のためスイッチ回路121を介して電源が供給されている。スイッチ回路121は、入力キー部117の特定のキーによる電源切替操作が行われる毎に(ステップS1がYのときに)、オンからオフ又はオフからオンに切り替えられ、その状態が電源フラグF1の0又は1によって記憶されている。
【0029】
具体的には、電源切替操作があると(ステップS1がYのとき)、電源フラグF1によって現在のスイッチ回路121の状態を判断し(ステップS2)、電源フラグF1が0でなくスイッチ回路121がオンしているとき(ステップS2がNのとき)には、スイッチ回路121に例えばLレベルの信号を出力してスイッチ回路121をオフさせるとともに、電源フラグF1に「0」をセットしてそのことを記憶する(ステップS3)。電源フラグF1が「0」であってスイッチ回路121がオフしているとき(ステップS2がYのとき)には、スイッチ回路121に例えばHレベルの信号を出力してスイッチ回路121をオンさせるとともに、電源フラグF1に「1」をセットしてそのことを記憶する(ステップS4)。
【0030】
スイッチ回路121をオンさせたとき(ステップS4の後)、或いは、スイッチ回路121がオンであるとき(ステップS5がYのとき)には、ガス検出部20及び制御部113だけでなく、携帯電話機11の各所にも電源供給され携帯電話機として動作可能になっているので、制御部113のCPUは、携帯電話機のための処理(ステップS6)とCOガス検出警報処理(ステップS7)の両方を実行する。これに対し、スイッチ回路121をオフさせたとき(ステップS3の後、)或いは、スイッチ回路121がオフであるとき(ステップS5がNのとき)には、ガス検出部20及び制御部113だけに電源供給され携帯電話機として動作不能になっているので、制御部113のCPUは、携帯電話機のための処理(ステップS6)は行わず、COガス検出警報処理(ステップS7)のみを実行する。
【0031】
携帯電話機処理S6では、携帯電話機11が本来有する機能を実行するための全ての処理を行う。COガス検出警報処理S7では、常時電源供給されているCOガス検出部20内のCOガスセンサ21がCOガスを検知して出力するCOガス濃度に応じた検知信号をCOガス濃度検出回路22が入力しその大きさに基づいて検出したCOガス濃度が所定値以上のとき出力する警報信号を処理してスピーカ115及びバイブレータ116などに警報を出力させる制御などを行うが、COガス検出警報処理S7の詳細を図4〜図6のフローチャートに基づいて以下説明する。
【0032】
COガス検出警報処理S7では、制御部113のCPUは、COガス検出部20の出力、すなわち、COガス濃度検出回路22の出力を例えば1分のサンプリングタイミングでサンプリングして警報信号が有るか否かを判定する(図4のステップS11,S12)。サンプリングされた警報信号が無いとき(ステップS12がNのとき)には、詳細には後述するマイクロコンピュータの読み出し書き込み自在のメモリであるRAM内に形成した各種のフラグ及びタイマを初期化する処理を行って(ステップS13)から元(図3のステップS1)に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0033】
COガス濃度検出回路22から警報信号が有るとき(ステップS12がYのとき)には、警報信号フラグF2がで「1」あるかどうかを判定する(ステップS14)。なお、警報信号フラグF2はそれ以前に警報信号が有ったかどうかを表し、「0」によって警報信号が無かったことを、「1」によって警報信号が有ったことをそれぞれ表す。それ以前に警報信号が無く警報信号フラグF2が「1」でないとき(ステップS14がNのとき)には、スイッチ回路121がオンしているか否かを電源フラグF1が「1」であるか否かによって判定し(ステップS14)、電源フラグF1が「1」でなくスイッチ回路121がオフしているとき(ステップS14がNのとき)には、携帯電話機11の制御部113以外の部分にも電源を供給するためスイッチ回路121をオンさせ(ステップS16)てからスピーカ115又はバイブレータ116に注意警報を出力させるための駆動信号を出力するなどの注意警報出力処理(ステップS17)を実行し、警報信号が有ったことを示すように警報信号フラグF2を「1」にして(ステップS18)から例えば15分の第1の所定時間を計時するタイマT1の計時を開始させる(ステップS19)。
【0034】
続いて、注意警報停止フラグF3が「1」であるかどうかを判定する(ステップS20)。なお、注意警報停止フラグF3は、注意警報出力処理(ステップS17)の実行によって出力させた注意警報を停止操作によって停止されているか否かを表し、「0」によって停止されていないことを、「1」によって停止されていることをそれぞれ表す。注意警報の出力が停止されていないとき(ステップS20がNのとき)には、注意警報停止操作を待ち(ステップS21)、停止操作があったとき(ステップS21がYのとき)は、スピーカ115又はバイブレータ116に注意警報を出力させるための駆動信号の出力を停止して(ステップS22)からその旨を示すように注意警報停止フラグF3を「1」にする(ステップS23)。
【0035】
注意警報の出力が停止された後は、スピーカ115又はバイブレータ116に注意警報を出力させる必要がないので、元々スイッチ回路121がオフされていたとき(ステップS24がNのとき)には、スイッチ回路121をオフさせ(ステップS25)、警報信号の最初の検出が行われた(スイッチS12)サンプリングタイミング(ステップS11)で計時が開始された(ステップS19)タイマT1が第1の所定時間の計時を行いタイムオーバとなるのを待つ(ステップS26)。
【0036】
タイマT1がタイムオーバとなるまでの間に、警報信号が無くなったとき(ステップS12がNのとき)には、それまでに「1」にされたフラグと計時されたタイマとが初期化され(ステップS13)、フラグは「0」にされ、タイマは0の初期値にリセットされ、注意警報の出力が停止され、かつ、スイッチ回路121は電源フラグF1が「0」のときその状態に対応するようにオフされる。また、注意警報の停止操作が行われないときには、タイマT1が第1の所定時間の計時を行いタイムオーバとなるまで(ステップS26がYとなるまで)元(図3のステップS1)に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0037】
何れにしても、警報信号が第1の所定時間の間入力され続けると(ステップS26がYのとき)、警報出力フラグF4が「1」であるかどうかを判定する(ステップS27)。なお、警報出力フラグF4は、それ以前に警報を出力したかどうかを表し、「0」によって警報を出力していないことを、「1」によって警報を出力したことをそれぞれ表す。それ以前に警報を出力しておらず警報出力フラグF4が「1」でないとき(ステップS27がNのとき)には、スイッチ回路121がオンしているか否かを電源フラグF1が「1」であるか否かによって判定する(ステップS28)。判定の結果、電源フラグF1が「1」でなくスイッチ回路121がオフしているとき(ステップS28がNのとき)には、注意警報の停止操作が既に行われているかどうかを確認する(ステップS29)。
【0038】
確認の結果、注意警報の停止操作が行われ注意警報停止フラグF3が「1」のとき(ステップS29がYのとき)は、スイッチ回路121が既にオフされている(ステップS25)ので、再度オンにする(ステップS30)。注意警報の停止操作が行われておらず注意警報停止フラグF3が「1」でないとき(ステップS29がNのとき)は、スイッチ回路121はオンのままであるので、スピーカ115又はバイブレータ116に警報を出力させるための駆動信号を出力するなどの警報出力処理(ステップS31)を実行する。その後、警報を出力したことを示すように警報出力フラグF4を「1」にして(ステップS32)から例えば5分の第2の所定時間を計時するタイマT2の計時を開始させる(ステップS33)。
【0039】
続いて、警報停止フラグF5が「1」であるかどうかを判定する(ステップS34)。なお、警報停止フラグF5は、警報出力処理(ステップS31)の実行によって出力させた警報を停止操作によって停止されているか否かを表し、「0」によって停止されていないことを、「1」によって停止されていることをそれぞれ表す。警報の出力が停止されていないとき(ステップS34がNのとき)には、警報停止操作を待ち(ステップS35)、停止操作があったとき(ステップS35がYのとき)は、スピーカ115又はバイブレータ116に警報を出力させるための駆動信号の出力を停止して(ステップS36)からその旨を示すように警報停止フラグF5を「1」にする(ステップS37)。
【0040】
警報の出力が停止された後は、スピーカ115又はバイブレータ116に警報を出力させる必要がないので、元々スイッチ回路121がオンされていたとき(ステップS38がYのとき)にはスイッチ回路121をオフさせ(ステップS39)、警報を出力することで計時を開始された(ステップS33)タイマT2が第2の所定時間の計時を行いタイムオーバとなるのを待つ(ステップS40)。
【0041】
タイマT2がタイムオーバとなる(図6中のステップS40がYとなる)までの間に、警報信号が無くなったとき(図4中のステップS12がNのとき)には、それまでに「1」にされたフラグと計時されたタイマとが初期化され(ステップS13)、フラグは「0」にされ、タイマは0の初期値にリセットされ(ステップS13)、警報の出力が停止され、かつ、スイッチ回路121は電源フラグF1が「0」のときその状態に対応するようにオフされる。また、警報の停止操作が行われないときには、タイマT2が第2の所定時間の計時を行いタイムオーバとなるまで(ステップS40がYとなるまで)元(図3のステップS1)に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0042】
何れにしても、警報が出力されてから警報信号が第2の所定時間の間入力され続けると(ステップS40がYのとき)、通報フラグF6が「1」であるかどうかを判定する(ステップS41)。なお、通報フラグF6は、それ以前に通報が行われているかどうかを表し、「0」によって通報が行われていないことを、「1」によって通報が行われていることをそれぞれ表す。それ以前に通報を行っておらず通報フラグF6が「1」でないとき(ステップS41がNのとき)には、警報が停止されているか否かを警報停止フラグF5が「1」であるかどうかによって判定し(ステップS42)、警報が停止されていれば(ステップS42がYのとき)、スイッチ回路121がオンしているか否かを電源フラグF1が「1」であるか否かによって判定する(ステップS43)。
【0043】
判定の結果、電源フラグF1が「1」でなくスイッチ回路121がオフしているとき(ステップS43がNのとき)にはスイッチ回路121をオンにして(ステップS44)から、電源フラグF1が「1」でなくスイッチ回路121がオフしているとき(ステップS43がNのとき)には直ちに、スピーカ115又はバイブレータ116に警報を再度出力させるための駆動信号を出力するなどの警報再出力処理(ステップS45)を実行し、続いて、予め携帯電話機に登録した電話番号の通報先に自動ダイヤリングし、警報状態にあることを通報する通報処理(ステップS46)を実行してから、通報を行ったことを示すように通報フラグF6を「1」にする(ステップS47)。
【0044】
なお、警報出力停止フラグF5が「1」であるとき(ステップS42がNのとき)には、警報は停止されておらず警報は継続して出力されているので、警報の再出力(ステップS45)は必要なく、直ちに通報処理ステップS46を実行する。
【0045】
通報処理ステップS45の実行によって、通報先に警報状態にあることを通報した後は、警報停止操作を待ち(ステップS48)、停止操作があったとき(ステップS48がYのとき)は、スピーカ115又はバイブレータ116に警報を出力させるための駆動信号の出力を停止してから(ステップS49)、スピーカ115又はバイブレータ116に警報を出力させる必要がないので、元々スイッチ回路121がオフされていたとき(ステップS50がNのとき)にはスイッチ回路121をオフさせて(ステップS51)から元(図3のステップS1)に戻り、上述した処理を繰り返すが、停止操作がないとき(ステップS48がNのとき)は、スピーカ115又はバイブレータ116に警報を出力させ続ける。何れにしても、警報信号が無くなるまで(ステップS12がNとなるまで)は、次のCOガス検出による警報動作は停止状態になる。
【0046】
図3乃至図6のフローチャート図を参照して行った説明から明らかなように、制御部113は、プログラムに従ってCPUが行う処理によって、ガス濃度検出回路22が出力する警報信号に基づいてスピーカ115やバイブレータ116に警報を出力させる制御を行う警報出力制御手段113−1として機能する。また、警報出力制御手段113−1は、警報信号が第1の所定時間継続して出力されているときスピーカ115やバイブレータ116に警報を出力させる制御を行う。さらに、警報出力制御手段113−1は、ガス濃度検出回路22が出力する警報信号に基づいてスピーカ115やバイブレータ116に警報を出力させているとき、警報停止操作入力に応じて、スピーカ115やバイブレータ116による警報の出力を停止させ、停止後も、ガス濃度検出回路22が第2の所定時間継続して警報信号を出力しているとき、警報信号に基づく警報の出力をスピーカ115やバイブレータ116に再開させる。さらにまた、警報出力制御手段113−1は、ガス濃度検出回路22が出力する警報信号に基づいてCOガス濃度が所定値以上となっているとの注意を促す注意警報をスピーカ115やバイブレータ116に出力させる制御を行う。
【0047】
制御部113はまた、プログラムに従ってCPUが行う処理によって、警報出力制御手段113−1がスピーカ115やバイブレータ116に警報の出力を再開させたとき、予め携帯電話機に登録した電話番号の通報先に自動ダイヤリングしたり、登録したメールアドレスに自動的にメール送信して警報状態にあることを通報する通報手段113−2としても機能する。
【0048】
上述した実施の形態では、携帯電話機11の制御部113は、携帯電話機11のケース11aに収容したガス濃度検出回路22が所定濃度以上のCOガスの検出によって出力する警報信号を処理することによって、携帯電話機11が本来有する出力手段を利用して警報を出力するので、携帯電話機11に僅かの電子部品を付加するだけで、COガス検出警報設備による警報に依存することなく、CO中毒事故などから回避できることを可能にする安価なCOガス検出警報装置を提供することができる。
【0049】
なお、上述した実施の形態では、COガス検出部20の動作電源を携帯電話機11の動作電源であるバッテリ119から供給するようにしているが、携帯電話機11のバッテリ119と別個に設けられたバッテリから供給するようにしてもよい。
【0050】
また、上述した実施の形態では、COガス検出部20は、携帯電話機11の電源がオフしているときにもバッテリから電源供給され、常時動作するようにされているので、携帯電話機11の電源がオフしているときでも、所定濃度以上のCOガスを検出して警報信号を出力し、必要に応じて警報を出力させることができるようになっているが、携帯電話機11の着信音の出力を停止するための電源オフ機能を優先する場合には、携帯電話機11の電源オン・オフによってCOガス検出部20への電源供給もオン、オフするようにしてもよい。
【0051】
さらに、上述した実施の形態では、例えば1分のサンプリングタイミングで警報信号をサンプリングしてその有無を判定しているにも拘わらず、COガス検出部20への電源供給を常時行っているが、サンプリングタイミング毎のその前後の期間だけCOガス検出部20に電源供給して省電力化を図るようにすることもできる。
【0052】
さらにまた、上述した実施の形態では、注意警報の形態について言及していないが、携帯電話機11の着信音の設定モードに合わせて警報を発生させ、例えば、スピーカによる着信音の発生を停止さる設定を行っているときには、サンプリングタイミング毎にバイブレータを振動させて注意警報を出力するようにし、そうでないときには、例えばサンプリング毎或いは他の周期で、少なくともスピーカによって注意警報を出力させることができる。本警報は、注意警報のように間欠的に警報を出力するのでなく、注意警報と区別できるように連続的な発声によって本警報を出力させるとよい。
【0053】
また、上述した実施の形態では、第2の所定時間が経過するまでに本警報の停止操作を行わないとき、本警報をそのまま出力し続けるようになっていて、本警報と再出力した警報とに違いを設けていないが、第2の所定時間が経過した後の警報は、本警報と相違させて、より危険な状況にあることを明確に報知できるようにすることが好ましい。
【0054】
なお、第2の所定時間が経過した後の通報の際に、携帯電話機11のGPS部120から現在位置情報を取得して、通報情報の一つとして送信させるようにすることで、この位置情報に基づいて通報者の現在位置を知り、通報された位置の周辺にいる人達に危険情報を提供するために利用することも可能になる。なお、通報が携帯電話機11の機能を利用して行われるので、通報を受け取った例えばセキュリティセンタなどから通報元の携帯電話機を呼び出し、危険な状況を念のために直接通報元に連絡することが簡単に行える。
【0055】
また、上述した実施の形態では、警報を表示によって出力することについて言及していないが、スピーカ115やバイブレータ116によって警報が出力されたとき、少なくとも出力から所定時間内に表示器118を表示可能な状態にすることによって、警報の内容が表示器118に文字情報にて自動的に表示させるようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明によるCOガス検出警報装置の基本構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係るCOガス検出警報装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図3】図2中の制御部がプログラムに従って行う処理を全体を概略的に示すフローチャート図である。
【図4】図3のフローチャート図中のCOガス検出警報処理の詳細の一部分を示すフローチャート図である。
【図5】図3のフローチャート図中のCOガス検出警報処理の詳細の他の部分を示すフローチャート図である。
【図6】図3のフローチャート図中のCOガス検出警報処理の詳細のさらに他の部分を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0057】
11 携帯電話機
11a ケース
21 ガスセンサ
22 ガス濃度検出手段(ガス濃度検出回路)
113−1 警報出力制御手段(制御部)
113−2 通報手段(制御部)
115 出力手段(警報出力手段、スピーカ)
116 出力手段(警報出力手段、バイブレータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話機のケース内に収容され、周囲環境のCOガスを検知して該検知COガスの濃度に応じた検知信号を出力するガスセンサと、
前記ケース内に収容され、前記ガスセンサが出力する検知信号に基づいてCOガス濃度を検出し、該検出したCOガス濃度が所定値以上のとき警報信号を出力するガス濃度検出手段と、
前記携帯電話機の出力手段によって構成される警報出力手段と、
前記ガス濃度検出手段が出力する警報信号に基づいて前記警報出力手段に警報を出力させる制御を行う警報出力制御手段と
を備えることを特徴とするCOガス検出警報装置。
【請求項2】
前記警報出力制御手段は、前記警報信号が第1の所定時間継続して出力されているとき前記警報出力手段に警報を出力させる制御を行う
ことを特徴とする請求項1記載のCOガス検出警報装置。
【請求項3】
前記警報出力制御手段は、前記ガス濃度検出手段が出力する前記警報信号に基づいて前記警報出力手段に警報を出力させているとき、警報停止操作入力に応じて、前記警報出力手段による警報の出力を停止させ、該停止後も、前記ガス濃度検出手段が第2の所定時間継続して警報信号を出力しているとき、該警報信号に基づく警報の出力を前記警報出力手段に再開させる
ことを特徴とする請求項1記載のCOガス検出警報装置。
【請求項4】
前記警報出力制御手段は、前記ガス濃度検出手段が出力する前記警報信号に基づいてCOガス濃度が所定値以上となっているとの注意を促す注意警報を前記警報出力手段に出力させる制御を行う
ことを特徴とする請求項2記載のCOガス検出警報装置。
【請求項5】
前記警報出力制御手段が前記警報出力手段に警報の出力を再開させたとき、予め前記携帯電話機に登録した電話番号又はメールアドレスの通報先に自動ダイヤリング又はメール送信し、警報状態にあることを通報する通報手段をさらに備える
ことを特徴とする請求項3記載のCOガス検出警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−102571(P2008−102571A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−282240(P2006−282240)
【出願日】平成18年10月17日(2006.10.17)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】