説明

CT値−水等価厚変換装置および方法、これらに用いる記憶媒体、並びに放射線治療装置および方法

【課題】特に高CT値を用いる放射線治療用CT値−水等価厚変換(校正)を用いることにより算出した数値と実測値の差を小さくし、高CT値を用いる粒子線治療用CT値−水等価厚変換(校正)が精度高く適用可能であるようにした。
【解決手段】画面の上に、可変密度試料について密度を変えて測定し、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚線図を生成させ、乾燥した状態でのCT値−水等価厚線図を生成させるCT値−水等価厚線図生成手段と、を備え、画面上で、前記二つの線図が高CT値の点で変わったときの状態の水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚校正テーブルとして構成するCT値−水等価厚校正テーブル生成手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT(Computed Tomography)値から水等価厚を求めるCT値−水等価厚変換装置、この装置に用いる記憶媒体、CT値−水等価厚変換テーブル形成方法、並びに水等価厚データを用いた粒子線治療計画装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子線治療においてCT値−水等価厚変換が行われる。このためのCT値−水等価厚変換テーブルあるいは変換式が採用されている。
【0003】
周知のように、X線コンピュータ断層撮影装置は、X線が被検体内で受けた吸収量に基づいて臓器等の組織のX線吸収率を水のそれを基準としたCT値という指標として計算することによって画像を形成するものである。
【0004】
特許文献1には、CT値と水等価厚との関係を用いることが記載されている。
特許文献2には、水等価厚を複数の照射方向について計算し表示することが記載されている。
特許文献3には、被検体に関するスキャノグラフに基づいて水等価厚を計算することが記載されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−312030号公報
【特許文献2】特開平11−290466号公報
【特許文献3】特開2005−305026号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、放射線治療に用いるCT値−水等価厚変換には人体等価ファントムや組織に近い試料として、水溶性成分が主に用いられて校正テーブルあるいは校正式が作成されている。このため必然に試料はCT値が低い値を呈するものが採用されて来た。
【0007】
このような校正法で算出した数値と実測値を比較すると、CT値の高いところで差が大きくなっている。
【0008】
本発明は、特に高CT値を用いる放射線治療用CT値−水等価厚変換校正を用いることにより算出した数値と実測値の差を小さくし、高CT値を用いる放射線治療用CT値−水等価厚変換校正が精度高く適用可能であるようにしたCT値−水等価厚変換装置および方法、これらに用いる記憶媒体、並びに粒子線治療計画装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化した状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係を生成させるCT値−水等価厚関係生成手段、
水分を含んだ状態での前記仮想CT値−水等価厚関係で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成するCT値−水等価厚変換テーブル生成手段、
構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とするCT値−水等価厚変換装置を提供する。
【0010】
本発明は、人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が乾燥した状態と水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときのそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の試料の測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
CT値を一方の軸とし、水等価厚を他方の軸とした座標に形成されたCT値データおよび形成された水等価厚データを画面表示させる画面表示手段と、
前記画面の上に上述したそれぞれの状態のCT値データおよび該CT値データに対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させ、乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させるCT値−水等価厚線図生成手段と、を備え、
前記画面上で、前記二つの線図が高CT値の点で交わったときに、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚校正テーブルとして構成するCT値−水等価厚校正テーブル生成手段と、
構成されたCT値−水等価厚校正テーブルを記憶する記憶手段とを備えたこと
を特徴とするCT値−水等価厚変換装置を提供する。
【0011】
本発明は、また、前記CT値−水等価厚線図生成手段は、前記画面上に、前記一種および三種の試料からなる二つの線図と二種の試料からなる線図によって高CT値および低CT値の二つの点で交わった形状の三角形状を描画させることを特徴とするCT値−水等価変換装置を提供する。
【0012】
本発明は、人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が乾燥した状態と水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化したそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
CT値を一方の軸とし、水等価厚を他方の軸とした仮想座標に形成されたCT値データおよび形成された水等価厚データを仮想的に形成する仮想画面表示手段、
前記仮想画面の上に上述したそれぞれの状態のCT値データおよび該CT値データに対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させ、乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させる仮想CT値−水等価厚線図生成手段、
前記二つの線図が高CT値の点で交わることを判定する手段、
交わったと判定されたときに、水分を含んだ状態での前記仮想CT値−水等価厚直線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成するCT値−水等価厚変換テーブル生成手段、
構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とするCT値−水等価厚変換装置を提供する。
【0013】
本発明は、また、前記CT値−水等価変換装置を備え、
被検体に対するX線照射によって計測された値からCT値を計測するCT値測定装置と、
前記CT値−水等価厚変換テーブルを参照して、前記計測されたCT値に対応する水等価厚を演算する演算手段と、
当該水等価厚を使用した粒子線照射計画装置と、
を備えたことを特徴とする放射線治療計画装置を提供する。
【0014】
本発明は、人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化したそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係図を生成させるCT値−水等価厚関係生成手段と、を備えたCT値−水等価変換校正装置に用いる記憶媒体であって、
前記画面上で、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして記憶すること
を特徴とするCT値−水等価厚変換装置に用いる記憶媒体を提供する。
【0015】
本発明は、また、前記CT値−水等価厚変換装置に使用される試料であって、樹脂製箱に収納され、前記樹脂製箱が金属箱内に収納されて圧縮手段によって圧縮可能とされることを特徴とする可密度試料を提供する。
【0016】
本発明は、CT値データ形成手段によって、人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化した状態で測定されたCT値からCT値データを形成し、
水等価厚データ形成手段によって、CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成し、
CT値−水等価厚関係生成手段によって、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係図を生成させ、
CT値−水等価厚変換テーブル生成手段によって、水分を含んだ状態での前記仮想CT値−水等価厚関係で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成し、
記憶手段に構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶すること
を特徴とするCT値−水等価変換方法を提供する。
【0017】
本発明は、人体等価の試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が乾燥した状態と水分を含んだ状態においてX線CT手段によって、X線が照射されたときの密度が変化したそれぞれの状態でX線が照射されたときの測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
CT値を一方の軸とし、水等価厚を他方の軸とした座標軸を画面に表示させる画面表示手段と、を備えたCT値−水等価変換校正装置によるCT値−水等価厚校正テーブル形成方法において、
CT値−水等価厚線図生成手段によって、前記画面の上にそれぞれの状態でのCT値データおよび該CT値に対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図が生成され、および乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図が生成され、
CT値−水等価厚校正テーブル手段によって、前記画面上で,前記二つの線図が高CT値の点で交わったときに、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データがCT値−水等価厚校正テーブルとして形成されること
を特徴とするCT装置によるCT値−水等価厚校正テーブル形成方法を提供する。
【0018】
本発明は、また、前記CT値−水等価厚変換装置によってCT値−水等価厚変換テーブルが形成され、X線CT装置によって被検体に対してX線を照射してCT値測定装置によってCT値を計測し、演算手段によって前記CT値−水等価厚変換テーブルを参照して、前記実測されたCT値に対応する水等価厚を演算すること
を含んで構成されることを特徴とする放射線治療方法に用いるためのCT値に対する水等価厚データ形成方法を提供する。
【0019】
本発明は、また、前記水等価厚データ形成方法によって形成された水等価厚データを用いた粒子治療計画方法を提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、高CT値を示す骨成分等価の試料を可変密度試料として使用し、水溶性成分として構成するのではなく圧縮可能な粉体あるいは混合体を使用することのために信頼性の高いCT値−水等価厚変換テーブルを生成することができ、これに伴なって適切な粒子線治療計画を立てることができる。
【0021】
本発明によれば、また、前記画面上で、前記二つの線図が二つの点で交わったときの状態の水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚折れ線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成するCT値−水等価厚変換テーブル構成手段あるいは方法を備えており、二つの線図が高CT値の点で変わることが確認されて、精度が、確保されたCT値−水等価厚変換テーブルを作成することができ、もって粒子線治療を適格に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0023】
図1は、本発明の実施例であるCT値−水等価厚変換校正装置およびこのCT値−水等価厚変換校正装置を備えた粒子線治療システムを示す。
【0024】
図1において、CT値−水等価厚変換装置100は、粒子線治療用のX線CT装置1、水等価厚測定装置2、可変密度試料3、演算処理装置(演算処理手段)4、記憶装置(記憶手段、記憶媒体)5および画面表示装置(画面表示手段)6を備える。
【0025】
また、図1において、粒子線治療システム200は上述のCT値−水等価厚変換装置100、患者(被検体)CTデータ取得装置7、治療計画装置8および粒子線治療装置8を備える。
精度の高い治療計画の下、各種の粒子線治療装置が用いられるようになってきている。
【0026】
粒子線治療用のX線CT装置1は、数多くの医療機器メーカーに作られており、そのビームの質はまちまちであり、データ入力のフォーマットもまちまちである。このX線CT装置1は、被検体、試料に対してX線を照射するX線照射装置と被検体、試料を透過したX線を検出するX線検出手段とX線照射手段とX線検出手段を用いて収集された被検体、試料の投影データに基づいて画像データを生成する画像データ生成手段と画像データに基づいてCT値を計測するCT値データ形成手段とCのCT値データ形成手段によって形成されたCT値の時間的変化を記憶する記憶手段およびCT値表示手段を備える。
【0027】
このX線CT装置1に人体骨成分等価の試料として粉体あるいは粉体混合物である可変密度試料3が供される。X線CT装置1は、この可変密度試料3を用いて圧縮され、非水溶状態かつ可変密度状態で、すなわち異圧縮状態、異密度状態で連続して複数の測定点でX線照射による測定を行う。
【0028】
可変密度試料3は、X線測定時と同一測定条件とされて水等価厚測定装置2にも供せられ、X線CT装置1で測定した時の密度状態と同一の密度状態の時の水等価厚がレンジ測定を利用して測定されて、水等価厚測定装置2に設けられた水等価厚データ形成手段によって一連の測定値から水等価データが形成される。
【0029】
図2は、可密度試料装置10の詳細を示す。図2において、可密度試料装置10は、内箱となる圧縮体形成体11と外箱12とからなり、矢印に示すようにして圧縮体形成体11は外箱12に組み入れられる。
【0030】
圧縮体形成体10は、内箱体13、内箱体13の蓋部14、これに設けたボルト16で一体化された保持板15、内箱体の内部の空間部17に配設され、内壁に密着して上下可動可能な圧縮板18、圧縮板18の内部で先端部が回転し、保持板15の中央部に穿設したネジ穴に挿入され、ネジ穴に係合するネジ部の設けられた圧縮棒19、その頭部20を有し、圧縮板18の下方部に形成される空間部に可密度試料3が収納される。
【0031】
圧縮体形成体11あるいは内箱体13は樹脂、例えばアクリセル樹脂される。特に内箱体13は測定誤差をなくすために樹脂製とすることが求められる。内箱体13の柔性質を補強するために外箱12は金属製とする。外箱12は一方が開口した箱状とされ、内部に形成された空間部21に前述の圧縮体形成体11の内箱体13が上方から挿入され、蓋部14は外箱12の上面で受けられる。外箱12の側面には圧縮状況を観察するための覗き窓22が形成してある。
【0032】
可密度試料3は三種からなる。
一種:ハイドロキシアパタイト(カルシウムとリンからなる結晶、Ca10(PO
(OH))、りん酸水素=カリウム(KHPO)、りん酸水素カルシウム=水和物(CaHPO・2HO)の粉末と混合物及び水分を含み、水分を含んだ状態のもの(水溶性ではない)
二種:油の成分、例えばラード、サラダ油、肺の等価ファントム、およびこれらの混
合物で水分を含まない。
三種:一種と同成分、ただし水分を含まない。空気を含んだ乾燥した状態のもの
特に、本実施例の場合、一種と三種が重要であり、一種の場合、特にこれらの成分が水分を含んでいる状態であって水溶性とされていないこと、そして三種が空気を含むが乾燥状態とされていることが重要である。
【0033】
以上のようにして、人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が乾燥した状態と水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときのそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、が形成される。
【0034】
図3に演算処理装置3の詳細をブロック図で示す。
図3において、演算処理装置4は、入力手段31、画面表示手段22、上述したCT値データ形成手段23、水等価厚データ形成手段24、CT値−水等価厚線図生成手段25、CT値−水等価厚変換テーブル生成手段26および出力手段27を備える。
【0035】
入力手段31には可密度試料3についてX線CT装置1および水等価厚測定装置2で計測されたCT値および水等価厚が入力される。
【0036】
これらの入力されたCT値および水等価厚によって上述したCT値データ形成手段23および水等価厚データ形成手段24によってCT値データおよび水等価厚データがそれぞれ形成される。
【0037】
画面表示手段22は、CT値を一方の軸(X軸)とし、水等価厚を他方の軸(Y軸)とした座標に形成されたCT値データおよび形成された水等価厚データを画面表示装置6の画面に表示させる。
【0038】
CT値−水等価厚線図生成手段25は、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚線図および乾燥した状態でのCT値−水等価厚線図を生成する。
【0039】
CT値−水等価厚変換テーブル生成手段26は、画面表示装置6の画面6A上に生成した二つの線図を表示させる。ここでは線図から得られるCT値−水等価厚変換値情報をもってCT値−水等価厚変換テーブルを表示する。このCT値−水等価厚変換テーブルは線図から定まる変換式によっても定めることができる。
【0040】
図4は、CT値−水等価厚線図生成手段25により生成されたCT値−水等価厚線図が画面表示手段22によって画面表示装置6の画面6Aに表示された状態を示す。
【0041】
図4には、三角形状の変換テーブルが表示される。この三角形状の変換テーブルを形成するために前述した3種の試料が採用される。特に、一種が重要であり、次いで二種の試料についての計測が重要である。
【0042】
一種の試料は(A)の線図を生成するのに使用され、二種の試料は(B)の線図を生成するのに使用され、そして三種の試料は(C)の線図を生成するのに使用される。
【0043】
これらの線図の生成に際して、CT値−水等価変換は、水分に対してCT値が0のときに水等価厚1.0に対応させる。そして、空気のCT値は−1000に対応させる。このようにして、骨成分は高CT値に、空気成分は低CT値に表示されるものとする。このようにした場合に、人体内の実質臓器のCT値は概ね−150〜150までに分布し、150を越える値は殆ど骨であり、−150以下の値は殆ど空気であると推定される。
【0044】
一種の試料に水分を加えて図2に示す可密度試料装置10に入れてCT値および水等価厚の計測準備を完了させる。
【0045】
加圧しないで、すなわち圧縮しない状態においては水分の影響がほとんどでCT値0、水等価厚1.0付近となる。徐々に圧縮して行くと水分の影響が減り、試料一種によるCT値が高CT値を示し、CT値1000値位まで測定可能である。これ以上の値を精度向上のために欲しい場合には同一の一種の結晶材を使用して同様にして計測する。2成分混合物を使用することによってもCT値が1000以上の高CT値を計測することができる。
【0046】
計測したCT値の間隔および計測した水等価厚の間隔を等間隔とした座標にあっては、上述のようにして計測した値によって生成した(A)の線図は実験によれば実質的に直線線図となり、画面上で延長可能とされる。
【0047】
二種の試料について空気を入れた状態で圧縮なしの状態から圧縮した状態まで密度を変化させて同様に計測を行う。密度が小さい状態において、すなわち主に空気である場合に、CT値は−1000付近を示し、高密度になるとCT値0、水等価厚1.0付近の値となる。上述のようにして計測した値によって生成した(B)の線図は実質的に直線線図となり、延長可能とされる。直線図(A)(B)は双方によって折れ線を形成する。本実施例の場合、直線図(A)が重要であるが、直線図(B)は重要性は低い。
【0048】
三種の試料について空気を入れた状態で、水分を含まない乾燥状態で圧縮なしの状態から徐々に圧縮した状態まで密度を変化させて計測を行う。密度が小さい状態においてCT値は空気に等価のCT値−1000が計測され、圧縮していくに従ってCT値は高くなり、CT値が1000付近までの計測がなされる。CT値1000以上のデータが欲しい場合には(A)線図の場合と同様に同一の種の結晶材を使用して同様に計測していく。2成分混合物を使用することによってもCT値が1000以上の高CT値を計測することができる。上述のように計測した値によって生成した(C)の線図は実験によれば実質的に直線線図であり、(A)線図よりも長く取得可能であり、延長可能となる。
【0049】
ここで重要なのはCT値2000〜3000付近において、すなわち所定域の高CT値において直線図(A)と直線図(C)とが交わること、すなわち交点が出現されるに至ることが発見されたことである。このような現象は、骨成分と等価な高CT試料を使用することによって出現する。高圧縮による高密度になると一種の試料についての水分の影響は極小となり、三種の試料についての水分の影響は極小となり、実質的に同一の試料について計測していることになると考えられる。従って交点が得られたということは、試料一種を構成する試料についての計測手段、計測方法は精確であって正しくCT値−水等価厚を示すに外ならない。本出願の発明者等の実験によれば、上述の交点が出現しない場合には、試料についての計測手段あるいは計測方法が正しくセットあるいは実施されていないことが確認され、このような場合には(A)の線図で得られた変換データは実用に供し得ないことが判った。
【0050】
以上のように、本実施例によれば、画面54の上に上述したそれぞれの状態のCT値データおよび該CT値データに対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させ、乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させるCT値−水等価厚線図生成手段25と、を備え、画面上で二つの線図が高CT値の点で交わったときに、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成するCT値−水等価厚変換テーブル生成手段26と、構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶する記憶手段5とを備えたことを特徴とするCT値−水等価厚変換装置100が構成される。ここで変換テーブルは校正テーブルと言い換えることができる。
【0051】
高CT値2000〜3000付近までのデータを形成しない場合には、CT値0付近からCT値1000値ぐらいまでの(A)線図を座標上で延長することを行う。また、(C)線図についてはCT値−1000付近からCT値1000値ぐらいまでの線図を延長することを行う。このような手段によっても線図(A)および線図(C)が所定域の高CT値3000付近で交点となって交わることを確認できる。このような確認において、線図(C)が低CT値−1000から高CT値1000ぐらいまでの直線を延長するようにすることは計測データを向上させる上で重要である。
【0052】
本実施例で示すように、(A)線図を形成するに当って試料一種の骨成分に等価の高CT値を示す試料を使用し、この試料を水に溶かすのではなく水分と混合状態、すなわち水分を含む状態として圧縮して密度を変化させる計測方法は、同一試料について密度を徐々に変えて連続して計測することができ、従って多数の計数点がえられることになって測定精度を向上させ得るということで重要である。従って、圧縮可能であって、異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可変密度試料を使用するようにしたことに大きな測定上の意味がある。
【0053】
そして、本実施例で示すように、線図(C)を付加することによって、線図(A)の形成データが変換データ、校正データとして正しいものかを確認でき(判定でき)、安心して治療計画立案に採用できることになる。なお、このような手法に慣れた技術者によれば、十分な精度で線図(A)と(B)を取得できれば、治療計画立案に採用できることになることは明白である。この手法に不慣れな段階の技術者にあっては線図(C)を付加し、線図(A)、線図(B)および線図(C)によって三角形状の変換データを形成するのが望ましい。この場合の三角形状には、各線図がすべてそろわない場合に判明しているデータのみで矛盾が生じていないかを確認する場合を含めるものとする。
【0054】
上述の例では、二つの線図(A)および(C)が画面上で高CT値2000〜3000付近で交わったときに、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルを構成した。高CT値2000〜3000付近で交わることについてコンピュータの演算によっても確認することができる。すなわち、線図(A)および(B)は一般式として一次式
y=ax+b y=cx+d
で表され、線図(C)は
y=ex+f
本例の場合、それぞれ線図(A)は、
y=0.0004x+1.0699
線図(B)は、
y=0.0061x+1.0632
線図(C)は、
y=0.0006x+0.589
で表されるのでこれを解法することによっても交点が高CT値2000〜3000付近に存在するかを確認することができる。本例の場合、高CT値は2404.5であると推定される。従来の水溶性成分を使用した校正法では算出した数値と実測値とを比較してみると、CT値の高いところで差が大きくなっている。高CT値を用いて線図(A)を形成し、変換テーブルを形成する本実施例によれば、算出した数値と実測値とを比較した時に、この差を小さくすることができるという特徴がある。従って、被検体が高CT値を呈する部分の計測を精確に行うことができるメリットがある。
【0055】
この手法は、次に示す手法によって交点を確認することと同等である。
CT値を一方の軸とし、水等価厚を他方の軸とした仮想座標に形成されたCT値データおよび形成された水等価厚データを仮想的に形成し(仮想画面表示手段)、
仮想画面の上に上述したそれぞれの状態のCT値データおよび該CT値データに対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させ、乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させ(仮想CT値−水等価厚線図生成手段)、
前記二つの線図が高CT値の点で交わることを判定し(判定手段)、
そして、交わったと判定されたときに、水分を含んだ状態での仮想CT値−水等価厚直線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚校正テーブルとして構成するCT値−水等価厚変換テーブルが生成されることになる。
【0056】
コンピュータ上であるいは画面上で線図(A)および線図(C)が交わるかどうかの確認は、病院あるいは施設に設置されたX線CT装置1のビームの質が異なる場合に、作成した変換テーブルの信頼性を確認する上で重要である。
【0057】
図1あるいは図2において、以上のように生成されたCT値−水等価厚変換テーブルは、出力手段27を介して治療計画装置8に出力される。治療計画装置8は入力手段31、演算手段32および出力手段34を有するが、前述したCT値−水等価変換装置100を治療計画装置7に組み込んで、CT値−水等価厚変換装置100を治療計画装置8の一部構成とすることができる。
【0058】
治療計画装置8は、粒子線治療を施す被検体に対する粒子線の照射計画を作成するためのものがある。
【0059】
原子の構成要素である電子や原子核の流れが粒子線と呼ばれ、陽子線、X線、ヘリウム、重粒子線(炭素、ネオン、アルゴン等)が治療に用いられる。
【0060】
治療計画装置8の入力手段31には、被検体についての患者CTデータ取得装置7で取得された計測されたCT値が入力される。
【0061】
演算手段32は、CT値−水等価厚変換テーブルを参照し、入力されたCT値から水等価厚を演算する。治療計画装置8の粒子線照射計画手段33は、被検体の局所に線量を集中し、かつ周囲正常組織への線量を少なくするために演算された水等価厚を用いて計画を立てる。計画された水等価厚は出力手段34から粒子線治療装置9に出力され、治療に用いられる。
【0062】
図5は、変換校正テーブルの形成方法および水等価厚演算方法を示す。
図5において、上述したようにして人体骨成分等価の粉末もしくは混合体可密度試料の形成を行う(S11)。可密度試料については既に説明した。この試料について乾燥した状態と非水溶性の状態で水分を含んだ状態を形成する(S12)。それぞれの状態について状態を変えて連続してX線照射してCT値測定(S13)およびそれぞれの状態について水等価厚測定(S14)を行う。
【0063】
画面にX−Y軸座標を表示する(S15)。
このX−Y軸座標にCT値−水等価線図(A)およびCT値−水等価厚線図(C)を生成し、表示する(S16)。
【0064】
二つの線図によって三角形状が描画される。特に高CT値の点Dで線図(A)および(C)の交点が形成されたかを判定する(S17)。加えて低CT値のE点における判定を行ってもよい。この判定は機械によって行ってもよいし、人間が画面上で観察してその結果を入力するようにしてもよい。
【0065】
高CT値の点Dで交点が形成されている場合に、CT値−水等価厚線図(A)でCT値−水等価厚変換テーブルあるいは変換式の生成を行う(S18)。交点が形成されていない場合には、再度CT値測定(S13)および水等価厚測定(S14)を行う。
【0066】
構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶媒体に格納し、記憶する(S19)。以上のようにして、変換テーブルの形成を行う。
【0067】
次いで、被検体に対してX線照射してCT値を測定する(S20)。CT値−水等価厚変換テーブルを参照し(S21)、被検体についての水等価厚を演算し、確定し、出力する(S22)。出力値は、通常知られている手法に従って粒子線治療計画に活用される(S23)。
【0068】
以上のように構成することによって、特に高CT値を用いる放射線治療用CT値−水等価厚変換(校正)を用いることが可能になって算出した数値と実測値の差を小さくし、高CT値を用いる放射線治療用CT値−水等価厚変換(校正)が精度高く適用可能であることが担保されて、CT値−水等価厚変換(校正)装置および方法、これらに用いる記憶媒体、並びに放射線治療装置および方法が提供される。
【0069】
多成分系のデータを取得することによって、各2成分混合物の測定の精度を確認することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施例のCT値−水等価厚変換(校正)装置および粒子線治療システムの擬略構成を示すブロック図。
【図2】可変密度試料装置の詳細図。
【図3】演算処理装置の詳細を示すブロック図。
【図4】CT値−水等価厚線図の1例を示すグラフ図。
【図5】本発明の実施例のフローチャート図。
【符号の説明】
【0071】
1…X線CT装置、2…水等価厚測定装置、3…可変密度試料、4…演算処理装置、5…記憶装置(記憶媒体)、6…患者(被検体)CTデータ取得装置、7…画面表示装置、8…治療計画装置、9…粒子線治療装置、22…画面表示手段、25…CT値−水等価厚線図生成手段、26…CT値−水等価厚変換テーブル生成手段、31…入力手段、32…演算手段、27,34…出力手段、(A)…水分を含んだ状態での一種試料のCT値−水等価厚線図、(B)…水分を含まない状態での二種試料のCT値−水等価厚線図、(C)…乾燥した状態での三種試料のCT値−水等価厚線図、D…高CT値での交点、E…低CT値での交点、100…CT値−水等価厚変換(校正)装置、200…粒子線治療システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化した状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係を生成させるCT値−水等価厚関係生成手段、
水分を含んだ状態での前記仮想CT値−水等価厚関係で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成するCT値−水等価厚変換テーブル生成手段、
構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とするCT値−水等価厚変換装置。
【請求項2】
人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が乾燥した状態と水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときのそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の試料の測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
CT値を一方の軸とし、水等価厚を他方の軸とした座標に形成されたCT値データおよび形成された水等価厚データを画面表示させる画面表示手段と、
前記画面の上に上述したそれぞれの状態のCT値データおよび該CT値データに対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させ、乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させるCT値−水等価厚線図生成手段と、を備え、
前記画面上で、前記二つの線図が高CT値の点で交わったときに、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚校正テーブルとして構成するCT値−水等価厚校正テーブル生成手段と、
構成されたCT値−水等価厚校正テーブルを記憶する記憶手段とを備えたこと
を特徴とするCT値−水等価厚変換装置。
【請求項3】
請求項2において、前記CT値−水等価厚線図生成手段は、前記画面上に、前記一種および三種の試料からなる二つの線図と二種の試料からなる線図によって高CT値および低CT値の二つの点で交わった形状の三角形状を描画させることを特徴とするCT値−水等価厚変換装置。
【請求項4】
人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が乾燥した状態と水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化したそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
CT値を一方の軸とし、水等価厚を他方の軸とした仮想座標に形成されたCT値データおよび形成された水等価厚データを仮想的に形成する仮想画面表示手段、
前記仮想画面の上に上述したそれぞれの状態のCT値データおよび該CT値データに対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させ、乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図を生成させる仮想CT値−水等価厚線図生成手段、
前記二つの線図が高CT値の点で交わることを判定する手段、
交わったと判定されたときに、水分を含んだ状態での前記仮想CT値−水等価厚直線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成するCT値−水等価厚変換テーブル生成手段、
構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶する記憶手段と、
を備えたことを特徴とするCT値−水等価厚変換装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のCT値−水等価変換装置を備え、
被検体に対するX線照射によって計測された値からCT値を計測するCT値測定装置と、
前記CT値−水等価厚変換テーブルを参照して、前記計測されたCT値に対応する水等価厚を演算する演算手段と、
当該水等価厚を使用した粒子線照射計画装置と、
を備えたことを特徴とする放射線治療計画装置。
【請求項6】
人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化したそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係図を生成させるCT値−水等価厚関係生成手段と、を備えたCT値−水等価変換校正装置に用いる記憶媒体であって、
前記画面上で、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして記憶すること
を特徴とするCT値−水等価厚変換装置に用いる記憶媒体。
【請求項7】
請求項1から6に記載したCT値−水等価厚変換装置に使用される試料であって、樹脂製箱に収納され、前記樹脂製箱が金属箱内に収納されて圧縮手段によって圧縮可能とされることを特徴とする可密度試料。
【請求項8】
CT値データ形成手段によって、人体骨成分等価の粉体あるいは粉体混合物試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が水分を含んだ状態においてX線CT手段によってX線が照射されたときの密度が変化した状態で測定されたCT値からCT値データを形成し、
水等価厚データ形成手段によって、CT値測定時と同一測定条件の可密度試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成し、
CT値−水等価厚関係生成手段によって、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚関係図を生成させ、
CT値−水等価厚変換テーブル生成手段によって、水分を含んだ状態での前記仮想CT値−水等価厚関係で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データをCT値−水等価厚変換テーブルとして構成し、
記憶手段に構成されたCT値−水等価厚変換テーブルを記憶すること
を特徴とするCT値−水等価変換方法。
【請求項9】
人体等価の試料であって、圧縮可能であって異密度状態で複数の測定点で測定が可能な可密度試料に、該試料が乾燥した状態と水分を含んだ状態においてX線CT手段によって、X線が照射されたときの密度が変化したそれぞれの状態で測定されたCT値からCT値データを形成するCT値データ形成手段と、
CT値測定時と同一測定条件の試料について測定された水等価厚から水等価厚データを形成する水等価厚データ形成手段と、
CT値を一方の軸とし、水等価厚を他方の軸とした座標軸を画面に表示させる画面表示手段と、を備えたCT値−水等価変換校正装置によるCT値−水等価厚校正テーブル形成方法において、
CT値−水等価厚線図生成手段によって、前記画面の上にそれぞれの状態でのCT値データおよび該CT値に対応の水等価厚データを表示させて、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図が生成され、および乾燥した状態でのCT値−水等価厚直線図が生成され、
CT値−水等価厚校正テーブル手段によって、前記画面上で,前記二つの線図が高CT値の点で交わったときに、水分を含んだ状態でのCT値−水等価厚直線図で表されるCT値データおよびこれに対応する水等価厚データがCT値−水等価厚校正テーブルとして形成されること
を特徴とするCT装置によるCT値−水等価厚校正テーブル形成方法。
【請求項10】
請求項8から9のいずれかに記載のCT値−水等価厚変換装置によってCT値−水等価厚変換テーブルが形成され、X線CT装置によって被検体に対してX線を照射してCT値測定装置によってCT値を計測し、演算手段によって前記CT値−水等価厚変換テーブルを参照して、前記実測されたCT値に対応する水等価厚を演算すること
を含んで構成されることを特徴とする放射線治療方法に用いるためのCT値に対する水等価厚データ形成方法。
【請求項11】
請求項10に記載した水等価厚データ形成方法によって形成された水等価厚データを用いた粒子治療計画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−205(P2009−205A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−162605(P2007−162605)
【出願日】平成19年6月20日(2007.6.20)
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】