CT撮影用マーカーおよび3次元断層撮影像の作成方法
【課題】X線撮影した場合にも正確な大きさの画像が得られる3次元断層撮影用マーカーを提供する。
【解決手段】患者の口腔領域に配置された状態で口腔領域の口腔領域断層撮影データが取得され、かつ患者の歯列模型に配置された状態で歯列模型の外形データが取得されるマーカーにおいて、マーカーの位置を基準として、口腔領域断層撮影データと外形データとから3次元断層撮影像が作成されるマーカーが、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなる。
【解決手段】患者の口腔領域に配置された状態で口腔領域の口腔領域断層撮影データが取得され、かつ患者の歯列模型に配置された状態で歯列模型の外形データが取得されるマーカーにおいて、マーカーの位置を基準として、口腔領域断層撮影データと外形データとから3次元断層撮影像が作成されるマーカーが、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT撮影用マーカーおよび該マーカーを用いた3次元断層撮影像の作成方法に関し、特に、上下顎骨や上下歯列のCT撮影用マーカーおよび該マーカーを用いた3次元断層撮影像の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科における人工歯根インプラント手術等において、上下顎骨や上下歯列の形態を把握することは重要である。このため、従来は、X線を用いて口腔領域のCT(Computerized Tomography)像を撮影し、かかるCT像を基に、上下顎骨や上下歯列の3次元CT像を得ていた(例えば、非特許文献1、2)。
【0003】
しかしながら、口腔内に歯科金属修復物がある場合、歯科金属修復物に起因するアーチファクト(映像障害)がCT像に発生し、2次元のCT像を合成して作成した上下顎骨や上下歯列の3次元CT像が正確に表示されないという問題があった。これに対して、発明者らは、人工歯根インプラント手術等では、通常、石膏等で歯列模型が作製されることに着目し、歯列模型の形状データを用いて患者のCT像を修正することにより、アーチファクトを除去した3次元CT像を得る方法を見出した。
【非特許文献1】Aita, H., Ueda, Y., Tamura, S., Kasai, N., Ohata, N., Inoue, N., Kobayashi,H. & Ikeda, K. (2002) "A new method of removing metal artifacts from 3-D model data for rapid prototyping", Maxillofacial Prosthetics 25: pp42
【非特許文献2】G Goerres, G.W., Hany, T.F., Kamel, E., von Schulthess, G.K. & Buck, A. (2002) "Head and neck imaging with PET and PET/CT: artefacts from dental metallic implants", European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 29: pp367-370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯列模型の形状データを用いて患者の3次元CT像の修正は、歯列模型の形状データの基準位置(マーカー)と、3次元CT像の基準位置(マーカー)とが重なるように、3次元CT像の一部を歯列模型の形状データで置き換えて行われる。具体的には、唾液不溶解性のアクリルボールをマーカーとして、歯列模型の形状データと、患者の3次元CT像の双方に取り込み、マーカーが重なるように3次元CT像の一部を歯列模型の形状データで置き換える。
【0005】
しかしながら、これらのマーカー材料のCT値(ハンスフィールド値)は、歯や骨のCT値と大きく異なるため、CT像において、マーカーの大きさが実際より大きく表示されるため、高精度で位置合わせが求められる場合には問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、X線撮影した場合にも正確な大きさの画像が得られる3次元断層撮影用マーカー、およびかかるマーカー用いた3次元断層撮影像の作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、患者の口腔領域に配置された状態で口腔領域の口腔領域断層撮影データが取得され、かつ患者の歯列模型に配置された状態で歯列模型の外形データが取得されるマーカーであって、マーカーの位置を基準として、口腔領域断層撮影データと外形データとから3次元断層撮影像が作成されるマーカーが、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなることを特徴とするCT撮影用マーカーである。
【0008】
また、本発明は、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法であって、バイトとバイトに固定されたマーカーからなるインターフェイスを準備する工程と、バイトを噛んだ状態で患者の口腔領域の断層撮影像を取得し、口腔領域断層撮影データとする工程と、患者の歯列模型を作製し、バイトを噛んだ状態で歯列模型の外形データを取得し、歯列模型撮影データとする工程と、口腔領域断層撮影データからマーカーを含む3次元口腔領域像を作成する工程と、歯列模型撮影データからマーカーを含む3次元歯列模型像を作成する工程と、3次元口腔領域像中のマーカーと、3次元歯列模型像中のマーカーとが略一致するように重ねた位置で、3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換える工程とを含むことを特徴とする3次元断層撮影像作成方法でもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるCT撮影用マーカーおよび3次元断層撮影像の作成方法を用いることにより、形状データを用いて3次元CT像を高精度で修正することが可能となり、正確な3次元断層撮影像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、歯の金属修復物を有する患者の口腔内写真(下顎)である。このような金属修復物を有する患者に対して口腔領域のCT像を撮影し、3次元イメージに合成した3次元口腔領域像を図2に示す。3次元口腔領域像は、断層写真であるCT像を積み重ねて合成する。3次元口腔領域像の合成には、ハプティックデバイス(商品名:PHANToM)を用いる。
【0011】
図2に示すように、患者が金属修復物を有する場合、金属修復物によるアーチファクト(映像障害)が発生し、歯列部分の正確な画像が得られない。例えば、上下顎骨のCT撮影に対しては、密度の高い金合金、銀合金、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、ステンレス鋼等が、アーチファクトを発生させるアーチファクト源となる。
【0012】
一方、人工歯根インプラント手術や顎変形症手術を行う場合、通常は、石膏の歯列模型が作製される。歯列模型は、患者の歯列の型を取り作製されるため、その患者の歯列が正確に再現されている。
【0013】
本実施の形態では、かかる歯列模型から3次元歯列模型像をとり、かかる3次元歯列模型像を用いて3次元口腔領域像の一部を置き換えるものである。
【0014】
図3は、患者の3次元口腔領域像の一部を、3次元歯列模型像で置き換える場合に、位置合わせの基準となるインターフェイスである。全体が10で表されるインターフェイスは、歯列バイト1と、位置合わせ用マーカープレート2、マーカーボール3からなる。なお、マーカーボール3は歯列バイト1に埋め込まれているため、位置のみ表示する。
【0015】
歯列バイト1は、その患者の歯列に対応した形状となっている。また、歯列バイト1は、顎骨や歯列模型の撮影に用いられるCT値(400〜900)では撮影されない材料から形成される。かかる材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような高分子材料(即時重合レジン)、シリコーン、ウレタン、チオコールのようなゴム系材料がある。
【0016】
マーカープレート2は石膏から形成された板状体からなる。マーカープレート2の表面には、例えば、直径が4〜5mmの半球状の凸部(又は凹部)が部分的に設けられている。後述する位置合わせの工程で、かかる凸部が重なるように位置合わせすることにより、位置合わせの精度が向上する。
【0017】
マーカーボール3は、X線造影剤入りのプラスチックボールからなる。具体的には、一般にX線撮影で使用されるバリウム造影剤(硫酸バリウム)、ヨード系造影剤(ガストログラフィン)等のX線造影剤と、アクリルメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)に代表されるアクリル樹脂等のプラスチックを混合して、球状に固めたものが使用される。マーカーボール3の表面は、非造影性のプラスチックで覆われても構わない。
【0018】
マーカーボール3に使用するX線造影剤は、以下の材料から適宜選択することができる。
バリウム、アルミニウム、ストロンチウム、ビスマス、ジルコニウム、チタン、鉄、金、銀、銅、パラジウム、亜鉛、コバルト、イットリウム、タングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ストロンチウム、ハフニウム、ランタン、ガドリニウム、イッテルビウム、等の重元素を含有するフィラー、ガラス粉末、それらの粉末状合金、及びそれらの酸化物、フッ化物、硫酸塩、炭酸塩、タングステン酸塩、及び炭化物、並びにそれらの混合物。
バリウム系化合物(例えば硫酸バリウム)、ヨウ素含有有機化合物(例えばヨードホルム、ヨウ素を付加した不飽和油脂、ヨウ素懸濁油脂、ヨウ素ピリドン酢酸ナトリウム、芳香族多官能ヨード化合物、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化銀−ゼラチンコロイド、ヨウ素化されたカルボン酸)、ジルコニウム系化合物、イッテルビウム系化合物、ガドリニウム系化合物、及びビスマス系化合物(例えば次炭酸ビスマス、硫酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス、酸化ビスマス)、ケイ酸ジルコニウム、銀−タンパク質コロイド、酸化トリウム(IV)ゾル、ガドリニウム−ジエチレントリアミン五酢酸液、非イオン性ヨウド化合物を内包したリポソームおよびカチオンを含有する造影剤、炭酸水素ナトリウム、酒石酸。
臭素化又はヨウ素化したアクリレート系又はメタクリレート系モノマー、ヨウ素置換安息香酸エステルの酸化物。
アクリルメタクリル酸エステル化合物またはその溶液に、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、シリコーン、ポリエステル等を混合した混合物。
不透過剤ハイドロキシアパタイト(HA)、硫酸カルシウム(石膏)、水酸化カルシウム。
【0019】
マーカーボール3のCT値は、X線造影剤の濃度を変えることにより調整可能である。マーカーボール3を構成する、X線造影剤とプラスチックの混合材料のCT値は、150〜1500の範囲にあることが好ましい。
【0020】
ここでは、まず、図4のフローチャートを参照しながら、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像作成方法について説明する。CT撮影は、顎骨や歯列模型の撮影に用いられるCT値を用いて行われる、顎骨や歯列模型の撮影とする。
かかる方法では、まず、患者の歯列模型20を、例えば石膏で作製する。この石膏模型は、一般的な歯科治療で用いられる模型である。
【0021】
次に、図5に示すように、歯列模型20にインターフェイス10を噛ませる。上述のように、インターフェイス10の歯列バイト1は、歯列模型20と噛み合うようにできている。
【0022】
このように、歯列模型20にインターフェイス10を噛ませて固定した状態で、3次元計測器を用いて外形データを取得し、記憶手段に保存される(工程S11)。歯列模型20の形状は、例えば、接触式または非接触式の測定装置を用いて測定することができるが、CT像を用いて形状を求めることもできる。
【0023】
更に、3次元計測器を用いて測定された外形データから、3次元歯列模型像が構築される(工程S12)。
【0024】
次に、図6(a)に示すように、患者30にインターフェイス10を噛ませた状態で、口腔領域を撮影し、CT像(口腔領域断層撮影データ)を得る。かかるデータは、入力手段を介してコンピュータに入力され、記憶手段に保存される(工程S21)。
【0025】
口腔領域断層撮影データは、3次元口腔領域像35に合成されて、表示手段に表示される(工程S22)。図6(b)は、患者30にインターフェイス10を噛ませた状態の3次元口腔領域像35である。図6(b)からわかるように、歯列近傍では、金属修復物の影響でアーチファクトが発生している。また、歯列バイトは、3次元口腔領域像35には写っていない。
【0026】
次に、図7(a)に示すように、図5の3次元歯列模型像25を、図6(b)の3次元口腔領域像35に取り込む。具体的には、図5の3次元歯列模型像25を、図6(b)の3次元口腔領域像35の座標上に配置して、マーカープレート2および/またはマーカーボール3を用いて位置合わせした後に、3次元歯列模型像25で3次元口腔領域像35の一部を置き換える(工程S3)。
なお、図7(b)は、マーカープレート2、マーカーボール3の位置がわかりやすいように、3次元口腔領域像35の一部を示すものである。
【0027】
3次元像を置き換える際、双方の3次元像中のマーカープレート2および/またはマーカーボール3が重なるように位置合わせを行う。位置合わせには、Polygon Edition Tool (Konica-Minolta製) を用いる。マーカープレート2やマーカーボール3のような基準を用いてCT像を合成することにより、高い位置精度で、3次元歯列模型像25を、3次元口腔領域像35に取り込むことができる。特に、マーカーボール3は患者の口腔内に配置されているため、マーカーボール3を用いることにより高精度で位置合わせができる。
【0028】
具体的には、マーカープレート2を用いた位置合わせでは、まず、3次元歯列模型像25に含まれるマーカープレート2上の、基準点(3点)を抽出する。次に、3次元口腔領域像35に含まれるマーカープレート2に対しても、マーカープレート2上の同じ位置にある基準点(3点)を抽出する。
ここでは、同一のマーカープレート2が双方の3次元像で用いられているため、基準点の位置が正確に抽出される。また、マーカープレート2の表面に、凸部が設けられることにより、基準点の特定が容易かつ正確に行える。
【0029】
次に、3次元口腔領域像35に含まれるマーカープレート2上で抽出された3点に、3次元歯列模型像25に含まれるマーカープレート2上で抽出された3点が重なるように、3次元口腔領域像35と3次元歯列模型像25とを重ねる。かかる工程で、3次元口腔領域像35と3次元歯列模型像25とが、概ね位置合わせされる。
【0030】
続いて、3次元歯列模型像25に含まれるマーカープレート2と、3次元口腔領域像35に含まれるマーカープレート2に対して、例えば法線ベクトル法を適用して、更に、正確に位置合わせを行う。
【0031】
一方、マーカーボール3を用いた位置合わせでは、複数のマーカーボール3の位置がそれぞれ重なるように位置合わせが行われる。特に、マーカーボール3は患者の口腔内の歯列近傍に配置されるため、これを用いることにより高精度の位置合わせが可能となる。
【0032】
ここでは、マーカープレート2とマーカーボール3の双方を有するインターフェイス10を用いて説明したが、いずれか一方のマーカーのみを有するインターフェイスを用いても構わない。
【0033】
また、双方の3次元像において、異なったマーカーを用いることも可能である。また、精度が若干劣ってもよい場合は、特定の歯や歯の傷などを基準点に用いて位置合わせを行っても良い。
【0034】
位置合わせが終了した状態で、3次元口腔領域像35の一部を3次元歯列模型像25で置き換える。これにより、図7(a)に示すような3次元像が得られる。
【0035】
図7(a)では、3次元歯列模型像25がそのまま3次元口腔領域像35に合成されているため、必要に応じて3次元歯列模型像25をトリミングし、3次元歯列模型像25中の歯列以外の部分(主に歯肉部分)を削除し、歯列のみの像(3次元歯列像)とする(工程S4)。具体的には、ディスプレイ等の表示手段に表示された3次元歯列模型像25を見ながら、カーソルやポインタ等の入力手段を介して所定の選択領域を指定し、かかる選択領域に含まれるデータを3次元歯列模型像25のデータから消去する。選択領域は、位置データとして、例えば座標で入力しても構わない。
【0036】
また、図7(a)では、アーチファクト40が残っているが、必要に応じてこれも削除する(S5)。アーチファクト40の除去には、例えばハプティックデバイス(触力覚デバイス)であるPHANToM(米国、SensAble Technologies 社製)が用いられる。具体的には、表示手段に表示された3次元画像のアーチファクト40を見ながら、不要な領域をカーソルやポインタ等の入力手段を介して選択領域として指定し、かかる選択領域に含まれるデータを3次元口腔領域像35のデータから削除する。
【0037】
図8は、下顎骨と下歯列の3次元口腔領域像35を上方から見た場合であり、マーカープレート2とマーカーボール3が明確に示されている。
【0038】
また、図9は、一部を3次元歯列模型像25で置き換えた3次元口腔領域像35であり、マーカーボール3が正面中央に表されている。
【0039】
一方、図10は、比較例であり、従来のアクリル樹脂からなるマーカーボール13を用いて位置合わせを行った場合の、下顎部の3次元口腔領域像である。図10から分かるように、マーカーボール13は中央の色の濃い部分(内部領域)と、その周囲の色の薄い部分(外周領域)からなっている。
【0040】
これは、CT像を用いて作製した3次元口腔領域像では、マーカーボール13の像が、実際の大きさより大きく表示されるためである。即ち、3次元口腔領域像(CT像)中のマークボール13と、3次元歯列模型像(外形データ)中のマークボール13とを比較した場合、前者の方が大きく表示されるため、これらを重ね合わせた場合、図10のような内部領域と外周領域ができてしまう。この結果、重ね合わせ精度、即ち、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像との合成精度が低くなってしまう。
【0041】
これに対して、本実施の形態にかかる、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなるマーカーボール3を用いた場合、3次元歯列模型像においても、マーカーボール3は正確な大きさに表示される。このため、両画像の重ね合わせ精度が向上し、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像とを高精度で合成することができる。
【0042】
なお、アーチファクトの除去は、トリミング後の歯列模型像をもとに行っても良い。即ち、アーチファクトは、例えば、図7(a)に見られるように、金属修復物を有する歯列から外方に延びる。このため、トリミング後の歯列模型像を基準として、トリミング後の歯列模型像(歯列)の外部表面から外方に広がった領域を選択領域として入力し、かかる領域に含まれる3次元口腔領域像35のデータを削除することにより、アーチファクトの削除が可能となる。更にアーチファクトが部分的に残る場合には、上述の方法に従って、ハプティックデバイスを用いて除去しても構わない。
【0043】
以上の工程で、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像が完了する。
【0044】
ここで、図4のフローチャートでは、3次元歯列模型像25を3次元口腔領域像35に合成(工程S3)してから3次元歯列模型像25のトリミング(工程S4)、アーチファクトの除去(工程S5)を行ったが、トリミング(工程S4)、アーチファクト除去(工程S5)を別々の画像で行った後に、双方の画像を合成(工程S3)することもできる。例えば、位置合わせした状態で、2つの画像を重ねて表示した後、それぞれの画像に対してトリミング(工程S4)とアーチファクトの除去(工程S5)を行い、最後に2つの画像を合成(工程S3)しても良い。
【0045】
図11は、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像(CT像)の作成方法を、インプラント手術を行う患者に適用した場合の3次元像である。図11(a)は、本方法適用前の3次元像であり、図11(b)は、本方法適用後の3次元像である。
図11からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった下顎の歯列が明確に表されるようになる。
【0046】
また、図12は、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像(CT像)の作成方法を、顎変形患者に適用した場合の3次元像である。図12(a)は、本方法適用前の3次元CT像であり、図12(b)、(c)は、本方法適用後の3次元CT像(正面、側面)である。図12からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった上下の歯列が、正面、側面ともに明確に表されるようになる。
【0047】
このように、本実施の形態では、CT像から得た3次元口腔領域像を、歯列模型を3次元計測器で測定して得た3次元歯列模型像を用いて修正したが、歯列模型の形状は、接触式3次元デジタイザ(商品名ATOS、ドイツGOM社製)やレーザ光測定装置、接触式の測定装置を用いて測定することもできる。
【0048】
また、本実施の形態では、3次元断層撮影像としてCT撮影で得られた像について説明したが、MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴映像)法を用いて得られた像に対しても適用できる。MRI法を用いて3次元断層撮影像を作成した場合は、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、Ti等からなる金属修復物が、アーチファクト源となる。
【0049】
ここでは、マーカーボール3として、X線造影剤とプラスチックとの混合材料からなるボール状のマーカーを用いたが、かかるマーカーボール3では、CT値が骨や歯と近いため、画像上でマーカーボール3と歯等の識別が難しい場合がある。このような場合、混合材料からなるマーカーボールの表面をアクリル樹脂等の非造影性プラスチックでコーティングしたマーカーボールを用いても構わない。また、マーカーボール3は、位置合わせが行いやすい球状が好ましいが、立方体等の他の形状としても構わない。
【0050】
また、マーカープレート2の代わりに、その一端から他端に向かって造影剤の濃度が増加するように形成されたマーカープレートを用いても構わない。図13は、HA (hydroxylapatite) Standard Phantomとして形成したマーカープレート2の斜視図であり、造影剤HA(ハイドロキシアパタイト)の濃度の異なる7つの単位プレート12が並列に配置された構造となっている。HAの濃度は、一端側の単位プレート12から順に、150、300、450、600、750、900、1050mg/mlとなっている。また、7つの単位プレート12の形状(長さ、幅、厚み)は全て同じである。
【0051】
なお、ここでは、7つの単位プレートを用いたが、2以上であれば、特に単位プレートの数に制限は無い。また、ここでは、造影剤の濃度が一端から他端に向かって段階状に変わるようにしたが、漸次増加するように形成しても構わない。
【0052】
ここで、HA濃度150mg/mlは、最もX線が透過しやすい下顎骨神経管の鞘部のHA濃度に相当する。一方、HA濃度1050mg/mlは、最もX線が透過しにくい上下顎骨の皮質骨部のHA濃度に相当する。
【0053】
このようなマーカープレート2を有するインターフェイスを患者に噛ませた状態で、口腔領域をX線撮影し、CT像(口腔領域断層撮影データ)を得る。CT像を画像として再現する際、マーカープレート2の像を見ながら、HA濃度150mg/mlの部分(色濃度1)からHA濃度1050mg/mlの部分(色濃度256)まで明瞭に再現される条件(特にコントラスト)を選択する。
【0054】
このように調整したCT像では、HA濃度の最も低い下顎骨神経管の鞘から、HA濃度の最も高い上下顎骨の皮質骨部まで、明瞭に表されたCT像を得ることができ、X線撮像装置(CT機)の特性や撮影条件に影響されずに、骨の濃淡を明瞭に表したCT像を得ることができる。
【0055】
歯科インプラント手術を行う場合、インプラントを初期固定する部位をCT像上で決定するが、このような骨の濃淡を明瞭に表したCT像を用いることにより、インプラントを固定する部位の決定が容易かつ正確に行える。
【0056】
なお、ここでは、マーカープレート2の材料としてHA(ハイドロキシアパタイト)を用いたが、同じ色温度を再現する他の材料を使用することも可能である。
また、マーカープレート2を1枚用いる場合について述べたが、図3のように、2枚を組み合わせても構わない。更に、マーカープレート2の表面には、図3と同様に半球状の凹部等を形成することが好ましい。
【0057】
続いて、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像を作成するためのコンピュータシステムについて、簡単に説明する。
図14は、全体が100で表されるコンピュータシステムの概略図である。コンピュータシステム100は、まず、口腔領域断層撮影データ/歯列模型撮影データ等を入力するための、入力部101を有する。口腔領域断層撮影データ/歯列模型撮影データは、例えばDICOMデータとして提供される。トリミングする領域、アーチファクトとして除去する領域等の選択領域も、かかる入力部を介して行われる。
【0058】
入力部101は、例えば、インターネットやCD−ROMによる供給等、一般的なコンピュータへのデータ供給手段のほか、ポインタやカーソルで、表示手段の所定領域を選択するような手段であっても良い。
【0059】
コンピュータシステム100は、また、口腔領域断層撮影データ等を記憶する記憶部102を有する。記憶部102は、例えばハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体からなる。
【0060】
コンピュータシステム100は、また、制御演算部103を有する。制御演算部103は、更に、口腔領域断層撮影データ/歯列模型撮影データから3次元像を作成する3次元像作成部105を含む。3次元像の作成には、例えば、VGStudio MAX1.1 (Volume Graphic製)が用いられ、DICOMデータが、STL(Standard Template Library)形式の3次元データに変換される。
【0061】
制御演算部103は、また、3次元像合成部106を有する。3次元像合成部106では、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像との位置合わせを行い、3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換えて画像合成を行う。
【0062】
制御演算部103は、また、3次元歯列模型像をトリミングするトリミング部107を含む。トリミング部107には、例えば、Konica-Minolta製のPolygon Edition Toolなどが使用される。
【0063】
制御演算部103は、更に、3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを削除するアーチファクト除去部108を有する。かかる除去部としては、例えば、ハプティックデバイスであるPHANToM(米国、SensAble Technologies 社製)が用いられる。
【0064】
コンピュータシステム100は、更に、表示部104を有する。表示部104には、例えば、一般的なディスプレイが用いられる。
【0065】
なお、コンピュータシステム100は、必要に応じて、コンピュータシステムが一般的に備える他の手段を備えるものとする。
【実施例】
【0066】
CT撮影用マーカーの造影精度について、即ち、実際の大きさに比べてどの程度大きく撮影されるかについて、以下のような実験を行って調べてみた。
【0067】
<試料>
試料1:X線造影剤(バリウム)入りアクリル即重スキャニングレジン(CT値3000)
試料2:X線造影剤(バリウム)入りアクリル即重スキャニングレジン(CT値200)
試料3:アルミナボール
試料4:石膏
【0068】
<撮影条件>
CT装置:GE社製Discovery ST−8
撮影条件:120Kv、200mA、0.6sec、Slice:0.625mm、X−Y:0.49mm、オーバーラップ:0.5mm、FOV:250mm
【0069】
<結果>
実際の寸法に対するCT像の寸法の増加する割合は、以下の通りである。
試料1(CT3000) :4.41%
試料2(CT200) :測定不能
試料3(アルミナボール) :5.38%
試料4(石膏) :1.30%
【0070】
このように、試料4(石膏)と、試料1(CT3000)で、試料3のアルミナボールより、増加する割合が低く成っている。
従って、口腔内に設置するマーカーには試料1(CT3000)を使用し、口腔外に設置するマーカーには試料4(石膏)を用いることが好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】金属修復物を有する患者の口腔内写真である。
【図2】金属修復物を有する患者の3次元CT像である。
【図3】位置合わせの基準となるインターフェイスである。
【図4】3次元断層撮影像作成方法のフローチャートである。
【図5】インターフェイスを噛んだ状態の歯列模型である。
【図6】(a)はインターフェイスを噛んだ状態の患者であり、(b)はその3次元CT像である。
【図7】(a)は本方法による合成後の3次元CT像であり、(b)は3次元CT像の一部である。
【図8】顎骨と下歯列の3次元口腔領域像を上方から見た像である。
【図9】一部を3次元歯列模型像で置き換えた3次元口腔領域像である。
【図10】従来のアクリル樹脂からなるマーカーボールを用いて位置合わせを行った場合の3次元口腔領域像である。
【図11】インプラント手術を行う患者の3次元CT像であり、(a)は本方法適用前、(b)は本方法適用後の3次元CT像である。
【図12】顎変形患者の3次元CT像であり、(a)は本方法適用前、(b)(c)は本方法適用後の3次元CT像である。
【図13】他のマーカープレートの斜視図である。
【図14】3次元断層撮影像用のコンピュータシステムの概略図である。
【符号の説明】
【0072】
1 歯列バイト
2 マーカープレート
3 マーカーボール
10 インターフェイス
12 単位プレート
20 歯列模型
25 歯列模型の3次元CT像
30 患者
35 患者の3次元CT像
40 アーチファクト
100 コンピュータシステム
【技術分野】
【0001】
本発明は、CT撮影用マーカーおよび該マーカーを用いた3次元断層撮影像の作成方法に関し、特に、上下顎骨や上下歯列のCT撮影用マーカーおよび該マーカーを用いた3次元断層撮影像の作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
歯科における人工歯根インプラント手術等において、上下顎骨や上下歯列の形態を把握することは重要である。このため、従来は、X線を用いて口腔領域のCT(Computerized Tomography)像を撮影し、かかるCT像を基に、上下顎骨や上下歯列の3次元CT像を得ていた(例えば、非特許文献1、2)。
【0003】
しかしながら、口腔内に歯科金属修復物がある場合、歯科金属修復物に起因するアーチファクト(映像障害)がCT像に発生し、2次元のCT像を合成して作成した上下顎骨や上下歯列の3次元CT像が正確に表示されないという問題があった。これに対して、発明者らは、人工歯根インプラント手術等では、通常、石膏等で歯列模型が作製されることに着目し、歯列模型の形状データを用いて患者のCT像を修正することにより、アーチファクトを除去した3次元CT像を得る方法を見出した。
【非特許文献1】Aita, H., Ueda, Y., Tamura, S., Kasai, N., Ohata, N., Inoue, N., Kobayashi,H. & Ikeda, K. (2002) "A new method of removing metal artifacts from 3-D model data for rapid prototyping", Maxillofacial Prosthetics 25: pp42
【非特許文献2】G Goerres, G.W., Hany, T.F., Kamel, E., von Schulthess, G.K. & Buck, A. (2002) "Head and neck imaging with PET and PET/CT: artefacts from dental metallic implants", European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging 29: pp367-370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歯列模型の形状データを用いて患者の3次元CT像の修正は、歯列模型の形状データの基準位置(マーカー)と、3次元CT像の基準位置(マーカー)とが重なるように、3次元CT像の一部を歯列模型の形状データで置き換えて行われる。具体的には、唾液不溶解性のアクリルボールをマーカーとして、歯列模型の形状データと、患者の3次元CT像の双方に取り込み、マーカーが重なるように3次元CT像の一部を歯列模型の形状データで置き換える。
【0005】
しかしながら、これらのマーカー材料のCT値(ハンスフィールド値)は、歯や骨のCT値と大きく異なるため、CT像において、マーカーの大きさが実際より大きく表示されるため、高精度で位置合わせが求められる場合には問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、X線撮影した場合にも正確な大きさの画像が得られる3次元断層撮影用マーカー、およびかかるマーカー用いた3次元断層撮影像の作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、患者の口腔領域に配置された状態で口腔領域の口腔領域断層撮影データが取得され、かつ患者の歯列模型に配置された状態で歯列模型の外形データが取得されるマーカーであって、マーカーの位置を基準として、口腔領域断層撮影データと外形データとから3次元断層撮影像が作成されるマーカーが、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなることを特徴とするCT撮影用マーカーである。
【0008】
また、本発明は、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法であって、バイトとバイトに固定されたマーカーからなるインターフェイスを準備する工程と、バイトを噛んだ状態で患者の口腔領域の断層撮影像を取得し、口腔領域断層撮影データとする工程と、患者の歯列模型を作製し、バイトを噛んだ状態で歯列模型の外形データを取得し、歯列模型撮影データとする工程と、口腔領域断層撮影データからマーカーを含む3次元口腔領域像を作成する工程と、歯列模型撮影データからマーカーを含む3次元歯列模型像を作成する工程と、3次元口腔領域像中のマーカーと、3次元歯列模型像中のマーカーとが略一致するように重ねた位置で、3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換える工程とを含むことを特徴とする3次元断層撮影像作成方法でもある。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかるCT撮影用マーカーおよび3次元断層撮影像の作成方法を用いることにより、形状データを用いて3次元CT像を高精度で修正することが可能となり、正確な3次元断層撮影像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1は、歯の金属修復物を有する患者の口腔内写真(下顎)である。このような金属修復物を有する患者に対して口腔領域のCT像を撮影し、3次元イメージに合成した3次元口腔領域像を図2に示す。3次元口腔領域像は、断層写真であるCT像を積み重ねて合成する。3次元口腔領域像の合成には、ハプティックデバイス(商品名:PHANToM)を用いる。
【0011】
図2に示すように、患者が金属修復物を有する場合、金属修復物によるアーチファクト(映像障害)が発生し、歯列部分の正確な画像が得られない。例えば、上下顎骨のCT撮影に対しては、密度の高い金合金、銀合金、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、ステンレス鋼等が、アーチファクトを発生させるアーチファクト源となる。
【0012】
一方、人工歯根インプラント手術や顎変形症手術を行う場合、通常は、石膏の歯列模型が作製される。歯列模型は、患者の歯列の型を取り作製されるため、その患者の歯列が正確に再現されている。
【0013】
本実施の形態では、かかる歯列模型から3次元歯列模型像をとり、かかる3次元歯列模型像を用いて3次元口腔領域像の一部を置き換えるものである。
【0014】
図3は、患者の3次元口腔領域像の一部を、3次元歯列模型像で置き換える場合に、位置合わせの基準となるインターフェイスである。全体が10で表されるインターフェイスは、歯列バイト1と、位置合わせ用マーカープレート2、マーカーボール3からなる。なお、マーカーボール3は歯列バイト1に埋め込まれているため、位置のみ表示する。
【0015】
歯列バイト1は、その患者の歯列に対応した形状となっている。また、歯列バイト1は、顎骨や歯列模型の撮影に用いられるCT値(400〜900)では撮影されない材料から形成される。かかる材料としては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のような高分子材料(即時重合レジン)、シリコーン、ウレタン、チオコールのようなゴム系材料がある。
【0016】
マーカープレート2は石膏から形成された板状体からなる。マーカープレート2の表面には、例えば、直径が4〜5mmの半球状の凸部(又は凹部)が部分的に設けられている。後述する位置合わせの工程で、かかる凸部が重なるように位置合わせすることにより、位置合わせの精度が向上する。
【0017】
マーカーボール3は、X線造影剤入りのプラスチックボールからなる。具体的には、一般にX線撮影で使用されるバリウム造影剤(硫酸バリウム)、ヨード系造影剤(ガストログラフィン)等のX線造影剤と、アクリルメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)に代表されるアクリル樹脂等のプラスチックを混合して、球状に固めたものが使用される。マーカーボール3の表面は、非造影性のプラスチックで覆われても構わない。
【0018】
マーカーボール3に使用するX線造影剤は、以下の材料から適宜選択することができる。
バリウム、アルミニウム、ストロンチウム、ビスマス、ジルコニウム、チタン、鉄、金、銀、銅、パラジウム、亜鉛、コバルト、イットリウム、タングステン、タンタル、ニオブ、モリブデン、ストロンチウム、ハフニウム、ランタン、ガドリニウム、イッテルビウム、等の重元素を含有するフィラー、ガラス粉末、それらの粉末状合金、及びそれらの酸化物、フッ化物、硫酸塩、炭酸塩、タングステン酸塩、及び炭化物、並びにそれらの混合物。
バリウム系化合物(例えば硫酸バリウム)、ヨウ素含有有機化合物(例えばヨードホルム、ヨウ素を付加した不飽和油脂、ヨウ素懸濁油脂、ヨウ素ピリドン酢酸ナトリウム、芳香族多官能ヨード化合物、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化銀−ゼラチンコロイド、ヨウ素化されたカルボン酸)、ジルコニウム系化合物、イッテルビウム系化合物、ガドリニウム系化合物、及びビスマス系化合物(例えば次炭酸ビスマス、硫酸ビスマス、オキシ炭酸ビスマス、酸化ビスマス)、ケイ酸ジルコニウム、銀−タンパク質コロイド、酸化トリウム(IV)ゾル、ガドリニウム−ジエチレントリアミン五酢酸液、非イオン性ヨウド化合物を内包したリポソームおよびカチオンを含有する造影剤、炭酸水素ナトリウム、酒石酸。
臭素化又はヨウ素化したアクリレート系又はメタクリレート系モノマー、ヨウ素置換安息香酸エステルの酸化物。
アクリルメタクリル酸エステル化合物またはその溶液に、ポリウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリアクリルアミド、ポリ酢酸ビニル、シリコーン、ポリエステル等を混合した混合物。
不透過剤ハイドロキシアパタイト(HA)、硫酸カルシウム(石膏)、水酸化カルシウム。
【0019】
マーカーボール3のCT値は、X線造影剤の濃度を変えることにより調整可能である。マーカーボール3を構成する、X線造影剤とプラスチックの混合材料のCT値は、150〜1500の範囲にあることが好ましい。
【0020】
ここでは、まず、図4のフローチャートを参照しながら、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像作成方法について説明する。CT撮影は、顎骨や歯列模型の撮影に用いられるCT値を用いて行われる、顎骨や歯列模型の撮影とする。
かかる方法では、まず、患者の歯列模型20を、例えば石膏で作製する。この石膏模型は、一般的な歯科治療で用いられる模型である。
【0021】
次に、図5に示すように、歯列模型20にインターフェイス10を噛ませる。上述のように、インターフェイス10の歯列バイト1は、歯列模型20と噛み合うようにできている。
【0022】
このように、歯列模型20にインターフェイス10を噛ませて固定した状態で、3次元計測器を用いて外形データを取得し、記憶手段に保存される(工程S11)。歯列模型20の形状は、例えば、接触式または非接触式の測定装置を用いて測定することができるが、CT像を用いて形状を求めることもできる。
【0023】
更に、3次元計測器を用いて測定された外形データから、3次元歯列模型像が構築される(工程S12)。
【0024】
次に、図6(a)に示すように、患者30にインターフェイス10を噛ませた状態で、口腔領域を撮影し、CT像(口腔領域断層撮影データ)を得る。かかるデータは、入力手段を介してコンピュータに入力され、記憶手段に保存される(工程S21)。
【0025】
口腔領域断層撮影データは、3次元口腔領域像35に合成されて、表示手段に表示される(工程S22)。図6(b)は、患者30にインターフェイス10を噛ませた状態の3次元口腔領域像35である。図6(b)からわかるように、歯列近傍では、金属修復物の影響でアーチファクトが発生している。また、歯列バイトは、3次元口腔領域像35には写っていない。
【0026】
次に、図7(a)に示すように、図5の3次元歯列模型像25を、図6(b)の3次元口腔領域像35に取り込む。具体的には、図5の3次元歯列模型像25を、図6(b)の3次元口腔領域像35の座標上に配置して、マーカープレート2および/またはマーカーボール3を用いて位置合わせした後に、3次元歯列模型像25で3次元口腔領域像35の一部を置き換える(工程S3)。
なお、図7(b)は、マーカープレート2、マーカーボール3の位置がわかりやすいように、3次元口腔領域像35の一部を示すものである。
【0027】
3次元像を置き換える際、双方の3次元像中のマーカープレート2および/またはマーカーボール3が重なるように位置合わせを行う。位置合わせには、Polygon Edition Tool (Konica-Minolta製) を用いる。マーカープレート2やマーカーボール3のような基準を用いてCT像を合成することにより、高い位置精度で、3次元歯列模型像25を、3次元口腔領域像35に取り込むことができる。特に、マーカーボール3は患者の口腔内に配置されているため、マーカーボール3を用いることにより高精度で位置合わせができる。
【0028】
具体的には、マーカープレート2を用いた位置合わせでは、まず、3次元歯列模型像25に含まれるマーカープレート2上の、基準点(3点)を抽出する。次に、3次元口腔領域像35に含まれるマーカープレート2に対しても、マーカープレート2上の同じ位置にある基準点(3点)を抽出する。
ここでは、同一のマーカープレート2が双方の3次元像で用いられているため、基準点の位置が正確に抽出される。また、マーカープレート2の表面に、凸部が設けられることにより、基準点の特定が容易かつ正確に行える。
【0029】
次に、3次元口腔領域像35に含まれるマーカープレート2上で抽出された3点に、3次元歯列模型像25に含まれるマーカープレート2上で抽出された3点が重なるように、3次元口腔領域像35と3次元歯列模型像25とを重ねる。かかる工程で、3次元口腔領域像35と3次元歯列模型像25とが、概ね位置合わせされる。
【0030】
続いて、3次元歯列模型像25に含まれるマーカープレート2と、3次元口腔領域像35に含まれるマーカープレート2に対して、例えば法線ベクトル法を適用して、更に、正確に位置合わせを行う。
【0031】
一方、マーカーボール3を用いた位置合わせでは、複数のマーカーボール3の位置がそれぞれ重なるように位置合わせが行われる。特に、マーカーボール3は患者の口腔内の歯列近傍に配置されるため、これを用いることにより高精度の位置合わせが可能となる。
【0032】
ここでは、マーカープレート2とマーカーボール3の双方を有するインターフェイス10を用いて説明したが、いずれか一方のマーカーのみを有するインターフェイスを用いても構わない。
【0033】
また、双方の3次元像において、異なったマーカーを用いることも可能である。また、精度が若干劣ってもよい場合は、特定の歯や歯の傷などを基準点に用いて位置合わせを行っても良い。
【0034】
位置合わせが終了した状態で、3次元口腔領域像35の一部を3次元歯列模型像25で置き換える。これにより、図7(a)に示すような3次元像が得られる。
【0035】
図7(a)では、3次元歯列模型像25がそのまま3次元口腔領域像35に合成されているため、必要に応じて3次元歯列模型像25をトリミングし、3次元歯列模型像25中の歯列以外の部分(主に歯肉部分)を削除し、歯列のみの像(3次元歯列像)とする(工程S4)。具体的には、ディスプレイ等の表示手段に表示された3次元歯列模型像25を見ながら、カーソルやポインタ等の入力手段を介して所定の選択領域を指定し、かかる選択領域に含まれるデータを3次元歯列模型像25のデータから消去する。選択領域は、位置データとして、例えば座標で入力しても構わない。
【0036】
また、図7(a)では、アーチファクト40が残っているが、必要に応じてこれも削除する(S5)。アーチファクト40の除去には、例えばハプティックデバイス(触力覚デバイス)であるPHANToM(米国、SensAble Technologies 社製)が用いられる。具体的には、表示手段に表示された3次元画像のアーチファクト40を見ながら、不要な領域をカーソルやポインタ等の入力手段を介して選択領域として指定し、かかる選択領域に含まれるデータを3次元口腔領域像35のデータから削除する。
【0037】
図8は、下顎骨と下歯列の3次元口腔領域像35を上方から見た場合であり、マーカープレート2とマーカーボール3が明確に示されている。
【0038】
また、図9は、一部を3次元歯列模型像25で置き換えた3次元口腔領域像35であり、マーカーボール3が正面中央に表されている。
【0039】
一方、図10は、比較例であり、従来のアクリル樹脂からなるマーカーボール13を用いて位置合わせを行った場合の、下顎部の3次元口腔領域像である。図10から分かるように、マーカーボール13は中央の色の濃い部分(内部領域)と、その周囲の色の薄い部分(外周領域)からなっている。
【0040】
これは、CT像を用いて作製した3次元口腔領域像では、マーカーボール13の像が、実際の大きさより大きく表示されるためである。即ち、3次元口腔領域像(CT像)中のマークボール13と、3次元歯列模型像(外形データ)中のマークボール13とを比較した場合、前者の方が大きく表示されるため、これらを重ね合わせた場合、図10のような内部領域と外周領域ができてしまう。この結果、重ね合わせ精度、即ち、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像との合成精度が低くなってしまう。
【0041】
これに対して、本実施の形態にかかる、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなるマーカーボール3を用いた場合、3次元歯列模型像においても、マーカーボール3は正確な大きさに表示される。このため、両画像の重ね合わせ精度が向上し、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像とを高精度で合成することができる。
【0042】
なお、アーチファクトの除去は、トリミング後の歯列模型像をもとに行っても良い。即ち、アーチファクトは、例えば、図7(a)に見られるように、金属修復物を有する歯列から外方に延びる。このため、トリミング後の歯列模型像を基準として、トリミング後の歯列模型像(歯列)の外部表面から外方に広がった領域を選択領域として入力し、かかる領域に含まれる3次元口腔領域像35のデータを削除することにより、アーチファクトの削除が可能となる。更にアーチファクトが部分的に残る場合には、上述の方法に従って、ハプティックデバイスを用いて除去しても構わない。
【0043】
以上の工程で、アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像が完了する。
【0044】
ここで、図4のフローチャートでは、3次元歯列模型像25を3次元口腔領域像35に合成(工程S3)してから3次元歯列模型像25のトリミング(工程S4)、アーチファクトの除去(工程S5)を行ったが、トリミング(工程S4)、アーチファクト除去(工程S5)を別々の画像で行った後に、双方の画像を合成(工程S3)することもできる。例えば、位置合わせした状態で、2つの画像を重ねて表示した後、それぞれの画像に対してトリミング(工程S4)とアーチファクトの除去(工程S5)を行い、最後に2つの画像を合成(工程S3)しても良い。
【0045】
図11は、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像(CT像)の作成方法を、インプラント手術を行う患者に適用した場合の3次元像である。図11(a)は、本方法適用前の3次元像であり、図11(b)は、本方法適用後の3次元像である。
図11からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった下顎の歯列が明確に表されるようになる。
【0046】
また、図12は、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像(CT像)の作成方法を、顎変形患者に適用した場合の3次元像である。図12(a)は、本方法適用前の3次元CT像であり、図12(b)、(c)は、本方法適用後の3次元CT像(正面、側面)である。図12からわかるように、本方法を適用することにより、アーチファクトにより不明瞭であった上下の歯列が、正面、側面ともに明確に表されるようになる。
【0047】
このように、本実施の形態では、CT像から得た3次元口腔領域像を、歯列模型を3次元計測器で測定して得た3次元歯列模型像を用いて修正したが、歯列模型の形状は、接触式3次元デジタイザ(商品名ATOS、ドイツGOM社製)やレーザ光測定装置、接触式の測定装置を用いて測定することもできる。
【0048】
また、本実施の形態では、3次元断層撮影像としてCT撮影で得られた像について説明したが、MRI(Magnetic Resonance Imaging;磁気共鳴映像)法を用いて得られた像に対しても適用できる。MRI法を用いて3次元断層撮影像を作成した場合は、Ni−Cr合金、Co−Cr合金、Ti等からなる金属修復物が、アーチファクト源となる。
【0049】
ここでは、マーカーボール3として、X線造影剤とプラスチックとの混合材料からなるボール状のマーカーを用いたが、かかるマーカーボール3では、CT値が骨や歯と近いため、画像上でマーカーボール3と歯等の識別が難しい場合がある。このような場合、混合材料からなるマーカーボールの表面をアクリル樹脂等の非造影性プラスチックでコーティングしたマーカーボールを用いても構わない。また、マーカーボール3は、位置合わせが行いやすい球状が好ましいが、立方体等の他の形状としても構わない。
【0050】
また、マーカープレート2の代わりに、その一端から他端に向かって造影剤の濃度が増加するように形成されたマーカープレートを用いても構わない。図13は、HA (hydroxylapatite) Standard Phantomとして形成したマーカープレート2の斜視図であり、造影剤HA(ハイドロキシアパタイト)の濃度の異なる7つの単位プレート12が並列に配置された構造となっている。HAの濃度は、一端側の単位プレート12から順に、150、300、450、600、750、900、1050mg/mlとなっている。また、7つの単位プレート12の形状(長さ、幅、厚み)は全て同じである。
【0051】
なお、ここでは、7つの単位プレートを用いたが、2以上であれば、特に単位プレートの数に制限は無い。また、ここでは、造影剤の濃度が一端から他端に向かって段階状に変わるようにしたが、漸次増加するように形成しても構わない。
【0052】
ここで、HA濃度150mg/mlは、最もX線が透過しやすい下顎骨神経管の鞘部のHA濃度に相当する。一方、HA濃度1050mg/mlは、最もX線が透過しにくい上下顎骨の皮質骨部のHA濃度に相当する。
【0053】
このようなマーカープレート2を有するインターフェイスを患者に噛ませた状態で、口腔領域をX線撮影し、CT像(口腔領域断層撮影データ)を得る。CT像を画像として再現する際、マーカープレート2の像を見ながら、HA濃度150mg/mlの部分(色濃度1)からHA濃度1050mg/mlの部分(色濃度256)まで明瞭に再現される条件(特にコントラスト)を選択する。
【0054】
このように調整したCT像では、HA濃度の最も低い下顎骨神経管の鞘から、HA濃度の最も高い上下顎骨の皮質骨部まで、明瞭に表されたCT像を得ることができ、X線撮像装置(CT機)の特性や撮影条件に影響されずに、骨の濃淡を明瞭に表したCT像を得ることができる。
【0055】
歯科インプラント手術を行う場合、インプラントを初期固定する部位をCT像上で決定するが、このような骨の濃淡を明瞭に表したCT像を用いることにより、インプラントを固定する部位の決定が容易かつ正確に行える。
【0056】
なお、ここでは、マーカープレート2の材料としてHA(ハイドロキシアパタイト)を用いたが、同じ色温度を再現する他の材料を使用することも可能である。
また、マーカープレート2を1枚用いる場合について述べたが、図3のように、2枚を組み合わせても構わない。更に、マーカープレート2の表面には、図3と同様に半球状の凹部等を形成することが好ましい。
【0057】
続いて、本実施の形態にかかる3次元断層撮影像を作成するためのコンピュータシステムについて、簡単に説明する。
図14は、全体が100で表されるコンピュータシステムの概略図である。コンピュータシステム100は、まず、口腔領域断層撮影データ/歯列模型撮影データ等を入力するための、入力部101を有する。口腔領域断層撮影データ/歯列模型撮影データは、例えばDICOMデータとして提供される。トリミングする領域、アーチファクトとして除去する領域等の選択領域も、かかる入力部を介して行われる。
【0058】
入力部101は、例えば、インターネットやCD−ROMによる供給等、一般的なコンピュータへのデータ供給手段のほか、ポインタやカーソルで、表示手段の所定領域を選択するような手段であっても良い。
【0059】
コンピュータシステム100は、また、口腔領域断層撮影データ等を記憶する記憶部102を有する。記憶部102は、例えばハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体からなる。
【0060】
コンピュータシステム100は、また、制御演算部103を有する。制御演算部103は、更に、口腔領域断層撮影データ/歯列模型撮影データから3次元像を作成する3次元像作成部105を含む。3次元像の作成には、例えば、VGStudio MAX1.1 (Volume Graphic製)が用いられ、DICOMデータが、STL(Standard Template Library)形式の3次元データに変換される。
【0061】
制御演算部103は、また、3次元像合成部106を有する。3次元像合成部106では、3次元口腔領域像と3次元歯列模型像との位置合わせを行い、3次元口腔領域像の一部を3次元歯列模型像で置き換えて画像合成を行う。
【0062】
制御演算部103は、また、3次元歯列模型像をトリミングするトリミング部107を含む。トリミング部107には、例えば、Konica-Minolta製のPolygon Edition Toolなどが使用される。
【0063】
制御演算部103は、更に、3次元口腔領域像に含まれるアーチファクトを削除するアーチファクト除去部108を有する。かかる除去部としては、例えば、ハプティックデバイスであるPHANToM(米国、SensAble Technologies 社製)が用いられる。
【0064】
コンピュータシステム100は、更に、表示部104を有する。表示部104には、例えば、一般的なディスプレイが用いられる。
【0065】
なお、コンピュータシステム100は、必要に応じて、コンピュータシステムが一般的に備える他の手段を備えるものとする。
【実施例】
【0066】
CT撮影用マーカーの造影精度について、即ち、実際の大きさに比べてどの程度大きく撮影されるかについて、以下のような実験を行って調べてみた。
【0067】
<試料>
試料1:X線造影剤(バリウム)入りアクリル即重スキャニングレジン(CT値3000)
試料2:X線造影剤(バリウム)入りアクリル即重スキャニングレジン(CT値200)
試料3:アルミナボール
試料4:石膏
【0068】
<撮影条件>
CT装置:GE社製Discovery ST−8
撮影条件:120Kv、200mA、0.6sec、Slice:0.625mm、X−Y:0.49mm、オーバーラップ:0.5mm、FOV:250mm
【0069】
<結果>
実際の寸法に対するCT像の寸法の増加する割合は、以下の通りである。
試料1(CT3000) :4.41%
試料2(CT200) :測定不能
試料3(アルミナボール) :5.38%
試料4(石膏) :1.30%
【0070】
このように、試料4(石膏)と、試料1(CT3000)で、試料3のアルミナボールより、増加する割合が低く成っている。
従って、口腔内に設置するマーカーには試料1(CT3000)を使用し、口腔外に設置するマーカーには試料4(石膏)を用いることが好ましいことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】金属修復物を有する患者の口腔内写真である。
【図2】金属修復物を有する患者の3次元CT像である。
【図3】位置合わせの基準となるインターフェイスである。
【図4】3次元断層撮影像作成方法のフローチャートである。
【図5】インターフェイスを噛んだ状態の歯列模型である。
【図6】(a)はインターフェイスを噛んだ状態の患者であり、(b)はその3次元CT像である。
【図7】(a)は本方法による合成後の3次元CT像であり、(b)は3次元CT像の一部である。
【図8】顎骨と下歯列の3次元口腔領域像を上方から見た像である。
【図9】一部を3次元歯列模型像で置き換えた3次元口腔領域像である。
【図10】従来のアクリル樹脂からなるマーカーボールを用いて位置合わせを行った場合の3次元口腔領域像である。
【図11】インプラント手術を行う患者の3次元CT像であり、(a)は本方法適用前、(b)は本方法適用後の3次元CT像である。
【図12】顎変形患者の3次元CT像であり、(a)は本方法適用前、(b)(c)は本方法適用後の3次元CT像である。
【図13】他のマーカープレートの斜視図である。
【図14】3次元断層撮影像用のコンピュータシステムの概略図である。
【符号の説明】
【0072】
1 歯列バイト
2 マーカープレート
3 マーカーボール
10 インターフェイス
12 単位プレート
20 歯列模型
25 歯列模型の3次元CT像
30 患者
35 患者の3次元CT像
40 アーチファクト
100 コンピュータシステム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の口腔領域に配置された状態で該口腔領域の口腔領域断層撮影データが取得され、かつ該患者の歯列模型に配置された状態で該歯列模型の外形データが取得されるマーカーであって、該マーカーの位置を基準として、該口腔領域断層撮影データと該外形データとから3次元断層撮影像が作成されるマーカーが、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなることを特徴とするCT撮影用マーカー。
【請求項2】
更に、表面が非造影性プラスチックで覆われたことを特徴とする請求項1に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項3】
上記X線造影剤が、バリウム造影剤またはヨード系造影剤からなり、上記プラスチックが、アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項4】
上記混合材料のCT値が、150〜1500の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項5】
上記マーカーが球状であることを特徴とする請求項1または2に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項6】
上記マーカーがプレート状であり、その表面に半球状の凹部または凸部を有することを特徴とする請求項1に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項7】
上記マーカーが、その一端から他端に向かって造影剤の濃度が増加するように形成されたプレート状のマーカーからなることを特徴とする請求項1に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項8】
上記マーカーは、濃度の異なる造影剤から形成された複数の単位プレートを並置した構造であることを特徴とする請求項7に記載のCT撮像用マーカー。
【請求項9】
アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法であって、
バイトとバイトに固定されたマーカーからなるインターフェイスを準備する工程と、
該バイトを噛んだ状態で患者の口腔領域の断層撮影像を取得し、口腔領域断層撮影データとする工程と、
該患者の歯列模型を作製し、該バイトを噛んだ状態で該歯列模型の外形データを取得し、歯列模型撮影データとする工程と、
該口腔領域断層撮影データから該マーカーを含む3次元口腔領域像を作成する口腔領域像作成工程と、
該歯列模型撮影データから該マーカーを含む3次元歯列模型像を作成する工程と、
該3次元口腔領域像中の該マーカーと、該3次元歯列模型像中の該マーカーとが略一致するように重ねた位置で、該3次元口腔領域像の一部を該3次元歯列模型像で置き換える工程とを含むことを特徴とする3次元断層撮影像作成方法。
【請求項10】
上記マーカーが患者の口腔領域内に配置された状態で、上記口腔領域断層撮影データが取得されることを特徴とする請求項9に記載の3次元断層撮影像作成方法。
【請求項11】
上記マーカーが、その一端から他端に向かって造影剤の濃度が増加するように形成されたプレート状のマーカーからなり、
上記口腔領域像作成工程は、該プレートの両端部が表示される条件で、該マーカーを含む3次元口腔領域像を作成する工程からなることを特徴とする請求項9に記載の3次元断層撮影像作成方法。
【請求項1】
患者の口腔領域に配置された状態で該口腔領域の口腔領域断層撮影データが取得され、かつ該患者の歯列模型に配置された状態で該歯列模型の外形データが取得されるマーカーであって、該マーカーの位置を基準として、該口腔領域断層撮影データと該外形データとから3次元断層撮影像が作成されるマーカーが、X線造影剤とプラスチックの混合材料からなることを特徴とするCT撮影用マーカー。
【請求項2】
更に、表面が非造影性プラスチックで覆われたことを特徴とする請求項1に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項3】
上記X線造影剤が、バリウム造影剤またはヨード系造影剤からなり、上記プラスチックが、アクリル樹脂からなることを特徴とする請求項1または2に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項4】
上記混合材料のCT値が、150〜1500の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項5】
上記マーカーが球状であることを特徴とする請求項1または2に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項6】
上記マーカーがプレート状であり、その表面に半球状の凹部または凸部を有することを特徴とする請求項1に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項7】
上記マーカーが、その一端から他端に向かって造影剤の濃度が増加するように形成されたプレート状のマーカーからなることを特徴とする請求項1に記載のCT撮影用マーカー。
【請求項8】
上記マーカーは、濃度の異なる造影剤から形成された複数の単位プレートを並置した構造であることを特徴とする請求項7に記載のCT撮像用マーカー。
【請求項9】
アーチファクト源を有する口腔領域の3次元断層撮影像を作成する方法であって、
バイトとバイトに固定されたマーカーからなるインターフェイスを準備する工程と、
該バイトを噛んだ状態で患者の口腔領域の断層撮影像を取得し、口腔領域断層撮影データとする工程と、
該患者の歯列模型を作製し、該バイトを噛んだ状態で該歯列模型の外形データを取得し、歯列模型撮影データとする工程と、
該口腔領域断層撮影データから該マーカーを含む3次元口腔領域像を作成する口腔領域像作成工程と、
該歯列模型撮影データから該マーカーを含む3次元歯列模型像を作成する工程と、
該3次元口腔領域像中の該マーカーと、該3次元歯列模型像中の該マーカーとが略一致するように重ねた位置で、該3次元口腔領域像の一部を該3次元歯列模型像で置き換える工程とを含むことを特徴とする3次元断層撮影像作成方法。
【請求項10】
上記マーカーが患者の口腔領域内に配置された状態で、上記口腔領域断層撮影データが取得されることを特徴とする請求項9に記載の3次元断層撮影像作成方法。
【請求項11】
上記マーカーが、その一端から他端に向かって造影剤の濃度が増加するように形成されたプレート状のマーカーからなり、
上記口腔領域像作成工程は、該プレートの両端部が表示される条件で、該マーカーを含む3次元口腔領域像を作成する工程からなることを特徴とする請求項9に記載の3次元断層撮影像作成方法。
【図4】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−233294(P2009−233294A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−87017(P2008−87017)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)【国等の委託研究の成果に係る記載事項】 平成16〜18年度、科学技術振興機構による委託開発事業「歯科インプラント手術用骨上ステント」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(507178785)Bionic株式会社 (8)
【出願人】(391003358)和田精密歯研株式会社 (4)
【出願人】(000199577)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)【国等の委託研究の成果に係る記載事項】 平成16〜18年度、科学技術振興機構による委託開発事業「歯科インプラント手術用骨上ステント」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(507178785)Bionic株式会社 (8)
【出願人】(391003358)和田精密歯研株式会社 (4)
【出願人】(000199577)
【Fターム(参考)】
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