説明

DC/DC変換回路

【課題】昇圧用のDC/DC変換回路において、小型化及び変換効率の向上を実現する。
【解決手段】入力された直流電圧を昇圧して出力するDC/DC変換回路1であって、複数のキャパシタC1〜C4と、これらを並列又は直列に接続する接続装置10とを備える。接続装置10は、並列接続用のスイッチS1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bを介して各キャパシタを並列接続する回路、及び、直列接続用のスイッチS1c,S2c,S3cを介して各キャパシタを直列接続する回路を含み、各スイッチのオン又はオフを選択することによって、並列接続された各キャパシタC1〜C4を、入力された電圧で充電した後、直列接続に切り替えて放電出力させる、という工程を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DC変換回路、特に、直流電圧を昇圧する回路に関する。
【背景技術】
【0002】
図7は、従来の、昇圧型チョッパ100の基本回路である(例えば、非特許文献1参照。)。図において、スイッチング素子Qをオンさせると、直流電源200からリアクトルLに電流が流れ、エネルギーがリアクトルLに蓄えられる。次に、スイッチング素子Qをオフにすると、リアクトルLに蓄えられたエネルギーが出力側へ放出され、ダイオードDを介してキャパシタCの両端には、直流電源200の電源電圧より高い電圧が現れる。スイッチング素子Qは図示しない制御装置によってPWM制御され、所望の出力電圧が得られるように、デューティが調整される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】アルテ21「パワーエレクトロニクス」第1版(平成11年発行)、第68ページ、オーム社
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の昇圧型チョッパ100では、リアクトルLが比較的大きな部品であり、コンパクト化を妨げる要因となっている。また、リアクトルLはコイルの銅損及び鉄心の鉄損があり、そのため、昇圧によるDC/DC変換の変換効率が損なわれる。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、昇圧用のDC/DC変換回路において、小型化及び変換効率の向上を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、入力された直流電圧を昇圧して出力するDC/DC変換回路であって、複数のキャパシタと、並列接続用のスイッチを介して各キャパシタを並列接続する回路、及び、直列接続用のスイッチを介して各キャパシタを直列接続する回路を含み、各スイッチのオン又はオフを選択することによって、並列接続された各キャパシタを、入力された電圧で充電した後、直列接続に切り替えて放電出力させる、という工程を繰り返す接続装置とを備えたものである。
【0006】
上記のように構成されたDC/DC変換回路では、並列接続の状態で充電されたキャパシタが、直列接続に切り替えられることにより、放電により出力される電圧は各キャパシタの両端電圧の総和となる。すなわち、入力された電圧は、基本的にキャパシタの数だけ増倍され、昇圧される。このようなDC/DC変換回路は、昇圧にリアクトルを必要としない。
【0007】
(2)また、上記(1)のDC/DC変換回路において、直列接続の放電出力を平滑する平滑用キャパシタと、当該平滑用キャパシタに至る回路に介挿された出力用のスイッチとを備えていることが好ましい。
この場合、出力用のスイッチをオフにすることにより、平滑用キャパシタすなわち出力側を、並列接続時のキャパシタ及び入力電圧から絶縁することができる。
【0008】
(3)また、上記(1)のDC/DC変換回路において、複数のキャパシタ及び接続装置を1段の構成として、当該構成が複数段に設けられていてもよい。
この場合、入力された電圧を、複数段階で昇圧することで、さらに高い電圧へ昇圧することができる。
【0009】
(4)また、上記(1)のDC/DC変換回路において、スイッチは、SiC半導体、GaN半導体、又は、ダイヤモンド半導体からなるスイッチング素子であってもよい。
これらの素子は、シリコンと比較して圧倒的に絶縁耐力が優れている他、オン抵抗が小さいのでスイッチング損失が少ない。また、高速応答に適し、耐久性にも優れている。
【発明の効果】
【0010】
本発明のDC/DC変換回路によれば、小型化が可能となり、また、変換効率が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係るDC/DC変換回路の主要な構成を示す図である。
【図2】図1に示すDC/DC変換回路に関して、(a)及び(b)はそれぞれ、キャパシタの充電時及び放電時のスイッチの状態を示す回路図である。
【図3】図1又は図2に示す各スイッチのオン・オフに関するタイムチャートの一例である。
【図4】本発明の第2実施形態に係るDC/DC変換回路の主要な構成を示す図である。
【図5】図4に示す各スイッチのオン・オフに関するタイムチャートの一例である。
【図6】図1におけるスイッチを例えばMOS−FETで構成する場合の回路図の一例である。
【図7】従来の、昇圧型チョッパの基本回路である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
《第1実施形態》
図1は、本発明の第1実施形態に係るDC/DC変換回路の主要な構成を示す図である。図において、DC/DC変換回路1には、直流電源2から直流電圧が入力される。直流電源2は、交流電圧を整流した電源、又は、電池による電源である。
【0013】
DC/DC変換回路1は、複数のキャパシタC1〜C4と、これらのキャパシタC1〜C4を並列又は直列に接続するための接続装置10(キャパシタC1〜C4は含まない。)と、を主要な構成要素として備えている。接続装置10は、並列接続用のスイッチS1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bを介して各キャパシタC1〜C4を並列接続する回路(図の横方向の線路)、及び、直列接続用のスイッチS1c,S2c,S3cを介して各キャパシタC1〜C4を直列接続する回路(図の斜め方向の線路)を含んでいる。
【0014】
また、回路上のノード(接続点)Npと、Nnとの間に、出力用のスイッチSoutを介して出力用の平滑用キャパシタCoutが接続されている。この平滑用キャパシタCoutの両端電圧が、DC/DC変換回路1の出力電圧となる。
【0015】
各スイッチS1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3b,S1c,S2c,S3c,Soutは、マイクロコンピュータや、スイッチング用のドライバを含む制御装置11によってオン・オフ制御される。なお、図示したキャパシタの個数(4個)は説明の便宜上の一例に過ぎず、入力電圧と所望の出力電圧との関係によって個数は異なる。また、キャパシタC1〜C4のキャパシタンスは必ずしも共通の値でなくてもよいが、典型的には同一値である。
【0016】
スイッチとしては、SiC半導体、GaN半導体、又は、ダイヤモンド半導体からなるスイッチング素子が好適である。これらの素子は、シリコンと比較して圧倒的に絶縁耐力が優れており、1000V以上の耐圧を低オン抵抗で実現することも可能である。低オン抵抗により、スイッチング損失を少なくすることができる。また、高速応答に適し、耐久性にも優れている。
【0017】
次に、上記のように構成されたDC/DC変換回路1の動作について説明する。図2の(a)及び(b)はそれぞれ、キャパシタC1〜C4の充電時及び放電時のスイッチの状態を示す回路図である。
まず、充電時において制御装置11(図1)は、(a)に示すように、並列接続用のスイッチS1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bを全てオンの状態とし、かつ、直列接続用のスイッチS1c,S2c,S3c及び出力用のスイッチSoutをオフの状態とする。
【0018】
この状態では、直流電源2から供給される入力電圧Vinにより、互いに並列に接続された4つのキャパシタC1〜C4が充電され、両端電圧は同じ値Vinとなる。なお、仮に、4つのキャパシタC1〜C4のキャパシタンスが完全に同一ではなかったとしても、それぞれのキャパシタンスに応じた電荷が蓄積され、両端電圧は同じ値Vinである。
【0019】
次に、制御装置11は、(b)に示すように、並列接続用のスイッチS1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bを全てオフの状態とし、かつ、直列接続用のスイッチS1c,S2c,S3c及び出力用のスイッチSoutをオンの状態とする。これによって4つのキャパシタC1〜C4は直列に接続される。このとき、ノードNp−Nn間に発生する電圧をVoutは、短時間的には、4直列に接続されたキャパシタC1〜C4の両端電圧の総和となり、
Vout=4・Vin
となる。キャパシタの数がn(2以上の自然数)であれば、一般的には
Vout=n・Vin
と表される。
【0020】
図3は、各スイッチのオン・オフに関するタイムチャートの一例である。例えば時刻t1に並列接続用のスイッチS1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bがオンの状態になり、時刻t2にオフの状態となる。その直後の時刻t3に、直列接続用のスイッチS1c,S2c,S3c及び出力用のスイッチSoutがオンの状態となり、時刻t4にオフの状態となる。以下同様に、スイッチングが周期Tで繰り返される。並列接続用のスイッチと、直列接続用のスイッチとは、互いに同時にオンの状態とならないように、僅かな時間差(例えばt2〜t3)が設けてある。
【0021】
このようにして、図2の(a)に示すキャパシタC1〜C4の充電と、(b)に示すキャパシタC1〜C4の放電とは、例えば2kHz程度の高頻度で繰り返し実行される。すなわち、接続装置10は、各スイッチのオン又はオフを適宜選択することによって、並列接続された各キャパシタC1〜C4を、入力された電圧で充電した後、直列接続に切り替えて放電出力させる、という工程を繰り返す。従って、キャパシタC1〜C4は、エネルギーが尽きることなく直流電源として機能し、平滑用キャパシタCoutの両端から上記電圧Voutが出力される。すなわち、入力電圧を4倍(n倍)に昇圧するDC/DC変換回路1となる。
【0022】
なお、具体的な数値の一例を挙げると、キャパシタC1〜C4のキャパシタンスは4000μF、充電時の両端電圧は25V、平滑用キャパシタCoutのキャパシタンスは1000μF、出力電圧Voutが100Vとして、10Aの電流を負荷に供給するとき、2kHzのスイッチングにより、電圧Voutの出力変動を、−5%程度(95〜100V)に抑えることができる。
【0023】
以上のように、このDC/DC変換回路1では、並列接続の状態で充電されたキャパシタが、直列接続に切り替えられることにより、放電により出力される電圧は各キャパシタの両端電圧の総和となる。すなわち、入力された電圧は、基本的にキャパシタの数だけ増倍され、昇圧される。このようなDC/DC変換回路1は、昇圧にリアクトルを必要としないため、小型化・軽量化に適し、また、リアクトルの銅損・鉄損が無いので、変換効率が改善される。
【0024】
なお、平滑用キャパシタCoutに至る回路に出力用のスイッチSoutが介挿されていることにより、このスイッチSoutをオフにすれば、平滑用キャパシタCoutすなわち出力側を、電圧の異なる並列接続時のキャパシタC1〜C4及び入力電圧Vinから絶縁することができる。
【0025】
《第2実施形態》
図4は、本発明の第2実施形態に係るDC/DC変換回路1の主要な構成を示す図である。この場合も図1と同様に制御装置11が設けられているが、ここでは図示を省略している。
【0026】
第1実施形態との本質的な違いは、「複数のキャパシタ及び接続装置」を1段の構成として、当該構成が複数段(この例では2段)に設けられている点である。ここでは、各段のキャパシタの構成数は3としているが、これは説明の便宜上の一例に過ぎず、入力電圧と所望の出力電圧との関係によって個数は異なる。
【0027】
まず、第1段の昇圧回路101は、3個のキャパシタC11〜C13と、並列接続用のスイッチS11a,S12a,S11b,S12bを介して各キャパシタC11〜C13を並列接続する回路(図の横方向の線路)、及び、直列接続用のスイッチS11c,S12cを介して各キャパシタC11〜C13を直列接続する回路(図の斜め方向の線路)を含んでいる。
【0028】
また、第2段の昇圧回路102は、3個のキャパシタC21〜C23と、並列接続用のスイッチS21a,S22a,S21b,S22bを介して各キャパシタC21〜C23を並列接続する回路(図の横方向の線路)、及び、直列接続用のスイッチS21c,S22cを介して各キャパシタC21〜C23を直列接続する回路(図の斜め方向の線路)を含んでいる。
【0029】
第1段の昇圧回路101における放電時の高電位側ノードNp1は、第1段の昇圧回路101の出力用のスイッチSo1を介して、第2段の昇圧回路102における充電電圧印加用のノードNpcに接続される。また、第2段の昇圧回路102における放電時の高電位側ノードNp2と負極電路側のノードNn2との間に、第2段の昇圧回路102の出力用のスイッチSo2を介して、出力用の平滑用キャパシタCoutが接続されている。この平滑用キャパシタCoutの両端電圧が、DC/DC変換回路1の出力電圧となる。
【0030】
次に、上記のように構成された第2実施形態に係るDC/DC変換回路1の動作について説明する。
まず、第1段の昇圧回路101における充電時において制御装置11(図1)は、並列接続用のスイッチS11a,S12a,S11b,S12bを全てオンの状態とし、かつ、直列接続用のスイッチS11c,S12c及び出力用のスイッチSo1をオフの状態とする。
【0031】
この状態では、直流電源2から供給される入力電圧Vinにより、互いに並列に接続された3つのキャパシタC11〜C13が充電され、両端電圧は同じ値Vinとなる。なお、仮に、3つのキャパシタC11〜C13のキャパシタンスが完全に同一ではなかったとしても、それぞれのキャパシタンスに応じた電荷が蓄積され、両端電圧は同じ値Vinである。
【0032】
次に、制御装置11は、並列接続用のスイッチS11a,S12a,S11b,S12bを全てオフの状態とし、かつ、直列接続用のスイッチS11c,S12c及び出力用のスイッチSo1をオンの状態とする。これによって3つのキャパシタC11〜C13は直列に接続される。このとき、ノードNp1−Nn1間に発生する電圧Vo1は、短時間的には、3直列に接続されたキャパシタC11〜C13の両端電圧の総和となり、
Vo1=3・Vin
となる。キャパシタの数がn(2以上の自然数)であれば、一般的には
Vo1=n・Vin
と表される。
【0033】
このような第1段の昇圧回路101に関しての、キャパシタC11〜C13の充電と放電とは、例えば2kHz程度の高頻度で繰り返し実行される。すなわち、接続装置10は、各スイッチのオン又はオフを適宜選択することによって、並列接続された各キャパシタC11〜C13を、入力された電圧で充電した後、直列接続に切り替えて放電出力させる、という工程を繰り返す。従って、キャパシタC11〜C13は、エネルギーが尽きることなく直流電源として機能し、ノードNp1−Nn1の間に、電圧Vo1が出力される。
【0034】
一方、第1段の昇圧回路101から放電出力を行うとき、制御装置11は、第2段の昇圧回路102において並列接続用のスイッチS21a,S22a,S21b,S22bを全てオンの状態とし、かつ、直列接続用のスイッチS21c,S22c及び出力用のスイッチSo2をオフの状態とする。
【0035】
この状態では、第1段の昇圧回路101から供給される入力電圧Vo1により、互いに並列に接続された3つのキャパシタC21〜C23が充電され、両端電圧は同じ値Vo1となる。なお、仮に、3つのキャパシタC21〜C23のキャパシタンスが完全に同一ではなかったとしても、それぞれのキャパシタンスに応じた電荷が蓄積され、両端電圧は同じ値Vo1である。
【0036】
次に、制御装置11は、並列接続用のスイッチS21a,S22a,S21b,S22bを全てオフの状態とし、かつ、直列接続用のスイッチS21c,S22c及び出力用のスイッチSo2をオンの状態とする。これによって3つのキャパシタC21〜C23は直列に接続される。このとき、ノードNp2−Nn2間に発生する電圧Vo2は、短時間的には、3直列に接続されたキャパシタC21〜C23の両端電圧の総和となり、
Vo2=3・Vo1=9・Vin
となる。昇圧回路101のキャパシタの数がn、昇圧回路102のキャパシタの数がm(2以上の自然数)であれば、一般的には
Vo2=m・Vo1=m・n・Vin
と表される。
【0037】
このような第2段の昇圧回路102に関しての、キャパシタC21〜C23の充電と放電とは、第1段の昇圧回路101と同様に高頻度で繰り返し実行される。すなわち、接続装置10は、各スイッチのオン又はオフを適宜選択することによって、並列接続された各キャパシタC21〜C23を、入力された電圧で充電した後、直列接続に切り替えて放電出力させる、という工程を繰り返す。従って、キャパシタC21〜C23は、エネルギーが尽きることなく直流電源として機能し、ノードNp2−Nn2の間に、電圧Vo2が出力される。
【0038】
図5は、図4のDC/DC変換回路1における各スイッチのオン・オフに関するタイムチャートの一例である。例えば時刻t1に第1段の昇圧回路101における並列接続用のスイッチS11a,S12a,S11b,S12bがオンの状態になり、時刻t2にオフの状態となる。また、これと並行して、時刻t1に第2段の昇圧回路102における直列接続用のスイッチS21c,S22c及び出力用のスイッチSo2がオンの状態になり、時刻t2にオフの状態となる。
【0039】
時刻t3には、第1段の昇圧回路101における直列接続用のスイッチS11c,S12c及び出力用のスイッチSo1がオンの状態となり、時刻t4にオフの状態となる。また、これと並行して、時刻t3に第2段の昇圧回路102における並列接続用のスイッチS21a,S22a,S21b,S22bがオンの状態になり、時刻t4にオフの状態となる。
以下同様に、スイッチングが周期Tで繰り返される。並列接続用のスイッチと、直列接続用のスイッチとは、互いに同時にオンの状態とならないように、僅かな時間差(例えばt2〜t3)が設けてある。
【0040】
以上のように、第2実施形態におけるDC/DC変換回路1では、第1実施形態と同様に、昇圧にリアクトルを必要としないため、小型化に適し、また、リアクトルの銅損・鉄損が無いので、変換効率が改善される。
また、このような複数段に昇圧回路(複数のキャパシタ+接続装置)を設けることで、入力された電圧を、複数段階に昇圧することができ、第1実施形態の場合よりも、さらに高い電圧へ昇圧することができる。
【0041】
《その他》
なお、図1におけるスイッチを例えばMOS−FETで構成する場合、例えば図6のように構成することができる。MOS−FETは通常、内部に寄生ダイオードを有するので、ドレイン、ソースの配置に配慮する必要がある。並列接続用のスイッチS1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3bは、キャパシタC1〜C4を直列接続したとき(すなわち並列接続用のスイッチがオフのとき)電位差に対して寄生ダイオードが順方向にならないように配置される。
【0042】
また、直列接続用のスイッチも同様に、キャパシタC1〜C4を並列接続したとき(すなわち直列接続用のスイッチがオフのとき)電位差に対して寄生ダイオードが順方向にならないように配置すればよいが、図示のように、それぞれ一対を逆極性で対向するように直列に配置してもよい。一対三組のスイッチ(S1c1,S1c2)、(S2c1,S2c2)、(S3c1,S3c2)はそれぞれ同時にオン・オフし、オフ時には、対向する寄生ダイオードにより双方向に通電を阻止する。
【0043】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のDC/DC変換回路は、コンパクトで変換効率が高いので、各種のDC昇圧用途に使用することができる。例えば、太陽光発電システムにも利用可能である。すなわち、太陽光発電システムおいては、日照条件によって変動する太陽電池モジュールの発電電圧を昇圧する必要があるが、本発明のDC/DC変換回路は、このような昇圧目的に好適に使用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:DC/DC変換回路
10:接続装置
C1〜C4,C11〜C13,C21〜C23:キャパシタ
Cout:平滑用キャパシタ
S1a,S2a,S3a,S1b,S2b,S3b,S1c,S2c,S3c,S11a,S12a,S11b,S12b,S21a,S22a,S21b,S22b,S11c,S12c,S21c,S22c,S1c1,S1c2,S2c1,S2c2,S3c1,S3c2,Sout,So1,So2:スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された直流電圧を昇圧して出力するDC/DC変換回路であって、
複数のキャパシタと、
並列接続用のスイッチを介して各キャパシタを並列接続する回路、及び、直列接続用のスイッチを介して各キャパシタを直列接続する回路を含み、各スイッチのオン又はオフを選択することによって、並列接続された各キャパシタを、入力された電圧で充電した後、直列接続に切り替えて放電出力させる、という工程を繰り返す接続装置と
を備えていることを特徴とするDC/DC変換回路。
【請求項2】
前記直列接続の放電出力を平滑する平滑用キャパシタと、当該平滑用キャパシタに至る回路に介挿された出力用のスイッチとを備えた請求項1記載のDC/DC変換回路。
【請求項3】
前記複数のキャパシタ及び接続装置を1段の構成として、当該構成が複数段に設けられている請求項1記載のDC/DC変換回路。
【請求項4】
前記スイッチは、SiC半導体、GaN半導体、又は、ダイヤモンド半導体からなるスイッチング素子である請求項1〜3のいずれか1項に記載のDC/DC変換回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−44799(P2012−44799A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185005(P2010−185005)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】