説明

DIG−3殺虫性CRYトキシン

DIG−3Cryトキシン、このトキシンをコードするポリヌクレオチド、およびこのトキシンを産生する遺伝子導入植物は、害虫を防除するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に明確に組み込まれる、2009年4月17日に出願の米国特許仮出願第61/170189号に対して利益を主張する。
【0002】
本発明は、新規な殺虫性Cryトキシン、および昆虫を防除するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(B.t.)は、δ−エンドトキシンまたはCryタンパク質として知られる農薬結晶タンパク質を産生する土壌伝播性細菌である。Cryタンパク質は、感受性のある昆虫の中腸細胞に作用することによって機能する経口の中毒性物質である。δ−エンドトキシンの広範なリストが、http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/intro.html.に維持され、定期的に更新されている。
【0004】
ユーロピアンコーンボーラー(European corn borer)(ECB)、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(Hubner)は、米国およびカナダの全域にわたってトウモロコシに最も損害を与える害虫であり、穀物収量の損失および昆虫管理用の費用により、1年に推定で10億ドルの収入低下をもたらす(Witkowskiら、2002年)。Cryタンパク質、最も顕著にはCry1Ab、Cry1AcまたはCry1Fをコードする遺伝子を発現する遺伝子導入トウモロコシは、ECBに対して商業的レベルの効力を提供する。
【0005】
ECB耐性遺伝子導入トウモロコシが成功したにもかかわらず、耐性昆虫集団の発生の可能性により、ECB防除におけるCryタンパク質の長期耐用性がおびやかされ、ECBおよびその他の有害生物を防除するための新規なCryタンパク質を発見および開発する必要性が生じる。B.t.Cryタンパク質に対する昆虫の耐性は、いくつかの機構を介して発生する可能性がある(Heckelら、2007年;PigottおよびEllar、2007年)。Cryタンパク質に対する多数のクラスの受容体タンパク質が、昆虫内で確認され、多数の例が各受容体クラス内に存在する。特定のCryタンパク質に対する耐性は、例えば、受容体タンパク質のカドヘリン領域のトキシン結合部分内での突然変異によって発生する可能性がある。耐性のさらなる手段は、プロトキシンを処理するプロテアーゼによって媒介される可能性がある。したがって、鱗翅目(Lepidoptera)の種におけるCryトキシンに対する耐性は、少なくとも4つの異なる主要耐性遺伝子によって複雑な遺伝子的根拠を有する。Cryタンパク質に対して耐性である鱗翅目昆虫は、コナガ(Plutella xylostella)種(Tabashnik、1994年)、キンウワバ(Trichoplusia ni)種(JanmaatおよびMyers、2003、2005年)、およびオオタバコガ(Helicoverpa zeae)種(Tabashnikら、2008年)の中の分野で発生した。新規で効力の高いCryタンパク質の開発は、ECBおよびその他の害虫を管理するためのさらなるツールを提供するであろう。遺伝子導入トウモロコシ中で組み合わせて作られる異なる作用機序を有するCryタンパク質は、ECB昆虫の耐性の発生を防ぎ、害虫防除のためのB.t.技術の長期有用性を保護するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、本明細書中でDIG−3と呼ばれるトキシンおよびDIG−3の変異体を含む殺虫性Cryトキシン、これらのトキシンをコードする核酸、該トキシンを使用して有害生物を規制する方法、遺伝子導入宿主細胞中でトキシンを産生させる方法、および該トキシンを産生する遺伝子導入植物を提供する。野生型DIG−3トキシンの予想されるアミノ酸配列を、配列番号2に示す。
【0007】
実施例1に記載のように、DIG−3タンパク質をコードする核酸は、Dow AgroSciences LLCによってPS46Lと内部的に呼ばれるB.t.株から単離された。完全長コード領域に関する核酸配列を決定し、その核酸配列から完全長タンパク質配列を推定した。DIG−3トキシンは、Cry1BII(GenBank受入番号AAM93496)およびその他のB.チューリンゲンシス(B.thuringiensis)のCry1B型タンパク質に対していくらかの類似性を有する(http://www.lifesci.sussex.ac.uk/home/Neil_Crickmore/Bt/intro.html)。
【0008】
DIG−3トキシンの殺虫活性のある変異体も、本明細書中で説明され、集約的にDIG−3トキシンと呼ぶ。
【0009】
DIG−3トキシンは、また、その他の害虫を防除するためのRNAiの方法と組み合わせて使用することができる。例えば、コーンルートワーム(corn rootworm)中の必須遺伝子、または害虫中の必須遺伝子を抑制するために、DIG−3を、遺伝子導入植物中で、dsRNAと組み合わせて使用することができる。このような標的遺伝子としては、例えば、液胞型ATPアーゼ、ARF−1、Act42A、CHD3、EF−1α、およびTFIIBが挙げられる。適切な標的遺伝子の例は、国際公開第2007/035650号中に開示されているような液胞型ATPアーゼである。
【0010】
本明細書中で報告する驚くべき発見は、DIG−3トキシンが、Cry1FおよびCry1Aトキシンに対して耐性であるユーロピアンコーンボーラー(European corn borer)およびダイアモンドバックモス(diamond back moth)の各集団に対して活性であることである。したがって、DIG−3トキシンは、鱗翅目の有害生物の規制に使用するには理想的な候補である。該トキシンは、単独で、または耐性昆虫集団の発生を抑制するために、Cry1F、Cry1AbおよびCry1Acなどのその他のCryトキシンと組み合わせて使用することができる。
【0011】
配列番号2の殺虫活性のあるフラグメント、およびこのようなフラグメントをコードするヌクレオチドは、本発明の別の態様である。
【0012】
一実施形態において、本発明は、
(a)配列番号2の残基113〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2の残基113〜643のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号2によってコードされるトキシンの発現または活性に不都合な影響を及ぼさない20個までのアミノ酸の置換、欠失または修飾を有する、配列番号2の残基113〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるコアトキシンセグメントを含む、単離されたDIG−3トキシンポリペプチドを提供する。
【0013】
一実施形態において、本発明は、
(a)配列番号2の残基73〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2の残基73〜643のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号2によってコードされるトキシンの発現または活性に不都合な影響を及ぼさない20個までのアミノ酸の置換、欠失または修飾を有する、配列番号2の残基73〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるコアトキシンセグメントを含む、単離されたDIG−3トキシンポリペプチドを提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明は、
(a)配列番号2の残基1〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2の残基1〜643のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号2によってコードされるトキシンの発現または活性に不都合な影響を及ぼさない20個までのアミノ酸の置換、欠失または修飾を有する、配列番号2の残基1〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるDIG−3コアトキシンセグメントを含む、単離されたDIG−3トキシンポリペプチドを提供する。
【0015】
「単離された」とは、本出願人らによれば、ポリペプチドまたはDNA分子が、人の手によってそれらの本来の環境から取り出され、異なる環境に置かれていることを意味する。
【0016】
別の実施形態において、本発明は、DIG−3トキシンを含む植物を提供する。
【0017】
別の実施形態において、本発明は、有害生物集団を規制する方法であって、前記集団を農薬上有効な量のDIG−3トキシンと接触させることを含む方法を提供する。
【0018】
別の実施形態において、本発明は、DIG−3トキシンをコードする単離された核酸を提供する。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)由来でなく植物中での発現を駆動する能力のあるプロモーターに作動可能に連結された、DIG−3トキシンをコードするヌクレオチド配列を含むDNA構築物を提供する。本発明は、また、そのゲノム中に安定的に組み込まれたDNA構築物を含む遺伝子導入植物、および有害生物から植物を保護する方法であって、前記植物中に該構築物を導入することを含む方法を提供する。
【0020】
配列の簡単な説明
配列番号1は、完全長DIG−3トキシンをコードするDNA配列である(3771個のヌクレオチド)。
【0021】
配列番号2は、完全長DIG−3タンパク質配列である(1256個のアミノ酸)。
【0022】
配列番号3は、植物に対して最適化された完全長DIG−3DNA配列である(3771個のヌクレオチド)。
【0023】
配列番号4は、Cry1Abプロトキシンセグメントである(545個のアミノ酸)。
【0024】
配列番号5は、キメラトキシン:DIG−3コアトキシンセグメント/Cry1Abプロトキシンセグメントである(1188個のアミノ酸)。
【0025】
配列番号6は、双子葉植物に対して最適化された、Cry1AbプロトキシンセグメントをコードするDNA配列である(1635のヌクレオチド)。
【0026】
配列番号7は、トウモロコシに対して最適化された、Cry1Abプロトキシンセグメントをコードする、DNA配列である(1635のヌクレオチド)。
【発明を実施するための形態】
【0027】
DIG−3トキシン、および殺虫活性のある変異体。
配列番号2の完全長DIG−3トキシンに加えて、本発明は、殺虫活性のある変異体も包含する。用語「変異体」とは、本出願人らによれば、フラグメント、特定の欠失および挿入突然変異体、ならびに特定の融合タンパク質を包含することを意図する。DIG−3は、典型的な3ドメイン型Cryトキシンである。本発明に包含されるDIG−3トキシンの変異体を説明する前置きとして、概括的に3ドメイン型Cryトキシン、とりわけDIG−3タンパク質トキシンの構成を簡単に概観することが有用であろう。
【0028】
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)のδ−エンドトキシン結晶タンパク質分子の大部分は、2つの機能性セグメントから構成されている。プロテアーゼ耐性コアトキシンは第1セグメントであり、タンパク分子の最初の約半分に相当する。約130kDaの完全なプロトキシン分子は、昆虫消化管中のプロテアーゼによって、耐性なコアセグメントへと迅速にプロセッシングされる。このプロセッシングによって除去されるセグメントを、本明細書中で「プロトキシンセグメント」と呼ぶ。プロトキシンセグメントは、トキシン結晶の形成に関与すると考えられる(Arvidsonら、1989)。プロトキシンセグメントは、かくして、トキシン分子のプロテアーゼプロセッシングを低減させることによりコアが昆虫に到達するのを制限することによって(Haiderら、1986)、またはトキシンの溶解性を低下させることによって(Aronsonら、1991)、トキシンに対する一部の昆虫の特異性を運ぶようである。B.t.トキシンは、特定のクラス内でさえも、コアトキシンセグメントからプロトキシンセグメントへの移行についての長さおよび正確な配置においてある程度変動する。コアトキシンセグメントからプロトキシンセグメントへの移行は、典型的には、完全長トキシンのうちの約50%〜約60%で起こることになる。配列番号2は、完全長DIG−3ポリペプチドの1256アミノ酸の配列を開示し、その中のN末端の643個のアミノ酸が、DIG−3のコアトキシンセグメントを含む。配列番号1の5’末端の1929個のヌクレオチドが、コアトキシンセグメントのためのコード領域を含む。
【0029】
Cry1Aa1、Cry2Aa1、Cry3Aa1、Cry3Bb1、Cry4Aa、Cry4BaおよびCry8Ea1についての三次元結晶構造が決定されている。コアトキシンに関するこれらの構造は、著しく類似しており、後述の特徴を有する3つの異なるドメインから構成される(de Maagdら、2003年で概説されている)。
【0030】
ドメインIは、7つのα−へリックスの束であり、α−へリックス5は、6つの両親媒性へリックスで取り囲まれている。このドメインは、細孔形成に関連し、溶血毒およびコリシンを含む他の細孔生成タンパク質と相同性を有している。DIG−3タンパク質のドメインIは、配列番号2のアミノ酸残基56〜278を含む。
【0031】
ドメインIIは、β−プリズム中に一緒に詰められた3つの逆並行βシートによって形成されている。このドメインのループは、昆虫の中腸受容体に結合する上で重要な役割を演じる。Cry1Aタンパク質において、ドメインIIのβシートの頂端で表面に露出されたループは、鱗翅目類のカドヘリン受容体に結合するのに関与する。Cry3AaのドメインIIのループは、レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata)(Say)(コロラドポテトビートル(Colorado potato beetle))の膜結合型メタロプロテアーゼに類似の方式で結合する(Ochoa−Campuzanoら、2007)。ドメインIIは、卵黄およびジャカリンを含めた特定の炭水化物結合性タンパク質と相同性を有する。DIG−3タンパク質のドメインIIは配列番号2のアミノ酸残基283〜493を含む。
【0032】
ドメインIIIは、2つの逆平行βシートのβサンドイッチである。このドメインは、構造上、グルカナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、シアリダーゼなどのタンパク質の炭水化物結合ドメインと関係する。ドメインIIIは、特定のクラスの受容体タンパク質に結合し、おそらくは第2のクラスの受容体(その例が、Cry1Aタンパク質の場合のアミノペプチダーゼおよびアルカリホスファターゼである)と相互作用するオリゴマー性トキシンプレ細孔の挿入に関係する(PigottおよびEllar、2007)。さらに、類似のCryドメインIII受容体が鞘翅目で確認されている。保存されたB.t.配列のブロック2および3は、それぞれドメイン2のN末端およびC末端の近くに位置する。それゆえ、これらの保存された配列のブロック2および3は、3つの機能性ドメイン間の概算の境界領域である。これらの領域の保存されたDNAおよびタンパク質の相同性は、組み換えB.t.トキシンを遺伝子操作するために活用されている(米国特許第6090931号、国際公開第91/01087号、国際公開第95/06730号、国際公開第1998/022595号)。DIG−3タンパク質のドメインIIIは、配列番号2のアミノ酸残基503〜641を含む。
【0033】
ドメインIのα−へリックス1は、受容体に結合した後、除去されることが報告されている。Aronsonら(1999)は、BBMVに結合したCry1Acが、α−へリックス1の直後の残基59で始まるプロテイナーゼKによる開裂から保護されることを立証し、Cry1Abについて同様の結果が述べられている。Gomezら(2002)は、BBMV受容体に結合して形成されるCry1Abオリゴマーが、ドメインIのα−へリックス1部分を欠くことを見出した。また、Soberonら(2007)は、三次元Cry構造上のα−へリックス1を包含するほぼ60個のアミノ酸を欠くCry1AbおよびCry1AcのN末端欠失突然変異体が、カドヘリン結合の不在下で、分子量約60kDaのモノマーをプレ細孔に組み立てる能力があることを示した。これらのN末端欠失突然変異体は、Cry耐性の昆虫幼生に対して活性であると報告された。さらに、Diaz−Mendozaら(2007)は、地中海コーンボーラー(Mediterranean corn borer)(Sesamia nonagrioides)に対する活性を保持している43kDaおよび46kDaのCry1Abフラグメントを発表した。これらのフラグメントは、アミノ酸残基116〜423を含むことが立証されたが、正確なアミノ酸配列は解明されておらず、これらのタンパク質分解性フラグメントの活性の機構は未知である。Gomezら(2002)、Soberonら(2007)およびDiaz−Mendozaら(2007)の結果は、Cry1AbのN末端からの36個のアミノ酸の欠失が殺虫活性の喪失をもたらしたことを報告したHofteら(1986)の結果と対照的である。
【0034】
本発明者らは、DIG−3トキシンのドメインI中の、α−へリックス1、α−へリックス2A、α−へリックス2B、およびα−へリックス3の始まりと終わり、ならびにそれらの間のスペーサー領域の位置を、DIG−3タンパク質の配列をその構造が既知であるCry8Ea1についてのタンパク質配列と比較することによって推定した。これらの位置を表1に記す。
【表1】

【0035】
DIG−3のアミノ末端欠失変異体。
本発明は、その一態様において、殺虫活性を改善し、昆虫による耐性の発生を回避するために、α−へリックス1、α−へリックス2A、およびα−へリックス2Bのすべてまたは一部が欠失したDIG−3変異体を提供する。これらの改変は、改善された標的有害生物の範囲、効力、および耐虫性の管理などの改善された特性を備えたDIG−3変異体を提供するために行われた。本発明の一部の実施形態において、対象とする改変は、昆虫の中毒につながるプロトキシン活性化および細孔形成の有効性に影響を及ぼす可能性がある。より具体的には、改善された特性を備えたDIG−3変異体を提供するために、DIG−3タンパク質のN末端をコードする核酸配列の一部を除去する段階的欠失が記述される。その欠失は、ドメインIのα−へリックス1のすべて、およびα−へリックス2のすべてまたは一部を、α−へリックス3〜7の構造的完全性を維持しながら除去する。したがって、本発明は一部としては、より有効な細孔形成のためのドメイン1のα−へリックス構成部分を遺伝子操作することによってなされるCryタンパク質の有効性の改善に関する。より具体的には、本発明は一部としては、Cry1タンパク質のドメインI中のα−へリックス1およびα−へリックス2に対する推定上の二次的な構造相同性を備えた領域中にN末端欠失を有するように設計された、改善されたDIG−3タンパク質に関する。
【0036】
DIG−3トキシンの殺虫特性を改善するための欠失は、予想されるα−へリックス2Aの開始点の前に始まることができ、かつα−へリックス2Bの終結点の後に終わることができるが、好ましくはα−へリックス3中に延びることはない。
【0037】
N末端欠失変異体のためのコード配列の設計において、メチオニンをコードするATG開始コドンは、欠失変異体をコードするように設計されたヌクレオチド配列の5’末端で挿入される。遺伝子導入植物中で使用するために設計された配列の場合、Varshavsky(1997)の「N末端則」に従うことが有益である可能性がある。一部のアミノ酸は、タンパク質のN末端残基として提示されると真核細胞中でのタンパク質の不安定性および分解の一因となることが教示されている。例えば、酵母および哺乳動物細胞中での観察から集められたデータは、N末端を不安定化するアミノ酸は、F、L、W、Y、R、K、H、I、N、Q、D、Eおよび可能性としてはPであることを示している。タンパク質の分解機構の詳細は、生物間で多少異なる可能性があるが、上で観察されるN末端を不安定化するアミノ酸の同一性が保存されていることは、類似の機構が植物細胞中で機能できることを示唆している。例えば、Worleyら(1998)は、植物において、N末端則は、塩基性および芳香族残基を包含することを見出した。主題のB.t.殺虫性タンパク質のα−へリックス3の開始点近くでの植物プロテアーゼによるタンパク質分解性の開裂は、不安定化N末端アミノ酸を露出する可能性があることがあり得る。このようなプロセシングは、開裂されたタンパク質を急速な崩壊に導き、B.t.殺虫性タンパク質の蓄積を、有効な昆虫防除に不十分なレベルまでに制限する可能性がある。したがって、不安定安化アミノ酸の1つで始まるN末端欠失変異体の場合、本出願人らは、翻訳開始メチオニンと不安定化アミノ酸との間にG(グリシン)アミノ酸を指定するコドンを付加することを選択する。
【0038】
実施例2は、本発明によるDIG−3のアミノ末端欠失変異体の具体例を与える。毒性を保持するさらなる有用なフラグメントは、完全長の可溶化結晶タンパク質のトリプシンまたはキモトリプシン消化によって同定することができる。毒性DIG−3タンパク質フラグメントのさらなる例は、DIG−3コード領域のフラグメントによってコードすることができる。昆虫に活性なDIG−3変異体は、大部分が、短いN末端切断、および長いC末端切断を有することになる。最も短い毒性フラグメントのN末端終端は、当技術分野で日常的に利用可能な技術によるトリプシンまたはキモトリプシンで処理された可溶性結晶タンパク質のN末端アミノ酸配列決定によって好都合に決定される。
【0039】
キメラトキシン。別のCryトキシンのプロトキシンセグメントに融合された1つのCryトキシンのコアトキシンセグメントを利用するキメラタンパク質が、以前に報告されている。DIG−3変異体は、コアトキシンセグメントの終端を越えたいくつかの箇所で異種プロトキシンセグメントに融合されたDIG−3トキシンのN末端コアトキシンセグメントを含むトキシン(完全長であっても、前記のN末端欠失を有してもよい)を包含する。異種プロトキシンセグメントへの移行は、ほぼ本来のコアトキシン/プロトキシン結合点で起こることができ、あるいは代替的に、本来のプロトキシンの一部(コアトキシンセグメントを越えて延びる)を、下流中で起こる異種プロトキシンへの移行を伴って保持することができる。例として、本発明のキメラトキシンは、DIG−3の完全長コアトキシンセグメント(アミノ酸1〜643)および異種プロトキシンセグメント(アミノ酸643〜C末端)を有する。好ましい実施形態において、異種プロトキシンセグメントは、配列番号5に示したような、Cry1Abδ−エンドトキシンから誘導される。
【0040】
配列番号4は、本発明のDIG−3変異体で有用なCry1Abプロトキシンセグメントの545個のアミノ酸の配列を開示する。本発明のキメラトキシン中に含めることが最も重要である、このプロトキシンセグメントの末尾の約100〜150個のアミノ酸が注目される。
【0041】
プロテアーゼ感受性変異体。
昆虫の消化管内プロテアーゼは、典型的には、飼料のタンパク質から必要なアミノ酸を得ることにおいて昆虫を助けることで機能する。最も理解されている昆虫の消化性プロテアーゼは、とりわけ鱗翅目種中で最も一般的であると思われるセリンプロテアーゼである(EnglemannおよびGeraerts、1980)。鞘翅目昆虫は、鱗翅目の消化管に比べてより中性〜酸性である消化管を有する。鞘翅目の幼虫および成虫の大部分、例えば、コロラドポテトビートル(Colorado potato beetle)は、わずかに酸性の中腸を有し、システインプロテアーゼが、重要なタンパク質分解活性を提供する(WolfsonおよびMurdock,1990)。より正確には、ThieおよびHouseman(1990)は、コロラドポテトビートル(Colorado potato beetle)中にシステインプロテアーゼ、カテプシンB様、およびカテプシンH様、ならびにアスパルチルプロテアーゼ、カテプシンD様を確認し、特徴付けた。Gillikinら(1992)は、ウェスターンコーンルートワーム(western corn rootworm)幼虫の消化管中でのタンパク質分解活性を特徴付け、主としてシステインプロテアーゼを見出した。米国特許第7230167号には、カテプシンGに帰せられるプロテアーゼ活性が、ウェスターンコーンルートワーム(western corn rootworm)中に存在することが開示されている。昆虫消化管プロテアーゼの多様性および異なる活性レベルは、特定のB.t.トキシンに対する昆虫の感受性に影響を及ぼす可能性がある。
【0042】
本発明の別の実施形態において、プロテアーゼの開裂部位は、特定の害虫の感受性幼虫の中腸内でのタンパク質プロセシングに影響を及ぼすように所望の位置で遺伝子操作することができる。これらのプロテアーゼ開裂部位は、化学的遺伝子合成またはスプライス重複PCR(Hortonら、1989)などの方法で導入することができる。例えば、セリンプロテアーゼ認識配列は、感受性幼虫の中腸内で、所望の欠失点においてタンパク質プロセシングを実施するように、Cryタンパク質構造中の特定部位で任意選択により挿入することができる。このような方式で利用できるセリンプロテアーゼには、トリプシンまたはトリプシン様酵素、キモトリプシン、エラスターゼなどの、鱗翅目中腸セリンプロテアーゼが含まれる(Christellerら、1992)。さらに、未分画幼虫中腸プロテアーゼ標本で作り出されるCryタンパク質消化産物を配列決定することによって、または刷子縁膜小胞への結合によって経験的に同定される欠失部位を、タンパク質活性化をもたらすように遺伝子操作することができる。遺伝子欠失によって、またはプロテアーゼ開裂部位の導入によって作り出される改変Cryタンパク質は、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)、ジアトラエ・グランジオセラ(Diatraea grandiosella)、ヘリコベルパ・ジア(Helicoverpa zea)、アグロチス・イプシロン(Agrotis ipsilon)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)、スポドプテラ・イクシグア(Spodoptera exigua)、ジアトラエ・サッカラリス(Diatraea saccharalis)、ロクサグロチス・アルビコスタ(Loxagrotis albicosta)、およびその他の標的有害生物を含む、鱗翅目有害生物に対して改善された活性を有する。
【0043】
トリプシン、キモトリプシン、およびカテプシンG様プロテアーゼなどの鞘翅目セリンプロテアーゼ、カテプシン(B様、L様、O様、およびK様プロテアーゼ)などの鞘翅目システインプロテアーゼ(Koiwaら、2000;およびBownら、2004)、ADAM10などの鞘翅目メタロプロテアーゼ(Ochoa−Campuzanoら、2007)、ならびにカテプシンD様およびE様、ペプシン、プラスメプシンならびにキモシンなどの鞘翅目アスパラギン酸プロテアーゼを、特定害虫の感受性幼虫の中腸内でのCryタンパク質のプロセシングに影響を及ぼすように、所望のプロセシング部位で適切な認識配列を遺伝子操作することによってさらに利用することができる。
【0044】
このようなプロテアーゼ開裂部位を導入するのに好ましい位置は、α−へリックス2Bとα−へリックス3との間の「スペーサー」領域内に、例えば、完全長DIG−3タンパク質のアミノ酸109〜113内に存在する可能性がある(配列番号2および表1)。遺伝子欠失によって、またはプロテアーゼ開裂部位の導入によって作り出される改変Cryタンパク質は、限定はされないが、ウェスターンコーンルートワーム(western corn rootworm)、サザンコーンルートワーム(southern corn root worm)、ノーザンコーンルートワーム(northern corn rootworm)などを含む害虫に対して改善された活性を有する。
【0045】
ポリペプチドのN末端またはC末端残基を含むアミノ酸の配列決定を可能にする種々の技術が存在する。例えば、自動化されたエドマン分解法を逐次方式で使用して、30アミノ酸残基までのN末端アミノ酸配列を残基につき98%の正確さで決定することができる。さらに、ポリペプチドのカルボキシ終端を含むアミノ酸配列の決定も可能である(Baileyら、1992;米国特許第6046053号)。したがって、一部の実施形態において、例えば昆虫の消化管から調製されたプロテアーゼによるタンパク質分解処理によって活性化されたB.t.Cryタンパク質を特徴付けることができ、活性化されたトキシンフラグメントのN末端またはC末端アミノ酸を確認することができる。昆虫、植物または微生物プロテアーゼによるより大きな変異体タンパク質のタンパク質分解開裂を可能にするまたは排除するためのコード配列中の適切な位置でのプロテアーゼプロセシング部位の導入または排除によって作られるDIG−3変異体は、本発明の範囲に包含される。このような操作の最終結果は、無傷の(完全長)トキシンタンパク質と同様またはより良好な活性を有するトキシンフラグメント分子の生成であると理解される。
【0046】
DIG−3トキシンのドメイン。
DIG−3トキシンの分離ドメイン(および、このようなドメインに90%、95%または97%同一である変異体)は、有害生物への増大された毒性範囲、改善された有効性、または増大されたタンパク質安定性を備えた新規トキシンを提供するために、他のCryトキシンからのドメインとの組合せを形成する上で有用であると予想される。DIG−3タンパク質のドメインIは、配列番号2のアミノ酸残基56〜278からなる。DIG−3タンパク質のドメインIIは、配列番号2のアミノ酸残基283〜493からなる。DIG−3タンパク質のドメインIIIは、配列番号2のアミノ酸残基503〜641からなる。ドメインの取替えまたはシャッフリングは、変更したδ−エンドトキシンタンパク質を作り出すための機構である。ドメインIIおよびIIIは、δ−エンドトキシンタンパク質間で取替えることができ、改善された農薬活性または標的範囲を備えたハイブリッドトキシンまたはキメラトキシンをもたらす。ドメインIIは、受容体結合に関連し、DIG−3のドメインIIは、他のCry1Bトキシンから極めて逸脱している。ドメインIIIは、特定クラスの受容体タンパク質に結合し、恐らく、オリゴマートキシンプレ細孔の挿入に関与する。他のトキシン中での一部のドメインIIIの置換は、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)に対して優れた毒性を生じることが示され(de Maagdら、1996)、Cryトキシンドメイン取替えの設計に関する指針が存在する(Knightら、2004)。
【0047】
組み換えタンパク質を作り出し、それらを農薬活性について試験するための方法は、当技術分野で周知である(例えば、Naimovら、2001;de Maagdら、1996;Geら、1991;Schnepfら、1990;Rangら、1999を参照されたい)。Cry1AおよびCry3Aタンパク質からのドメインIは、膜中に細孔を挿入および形成する能力について研究された。ドメインIのα−へリックス4およびα−へリックス5は、膜内挿入および細孔形成において重要な役割を演じ(Waltersら、1993;Gazitら、1998;Nunez−Valdezら、2001)、他のα−へリックスを、傘の骨のように膜表面に接触させるように提案された(Bravoら、2007;Gazitら、1998)。
【0048】
限られた数のアミノ酸の欠失、置換、または付加することによって創り出されるDIG−3変異体。配列番号2のアミノ酸配列に対するアミノ酸の欠失、置換、および付加は、逐次的方式で容易に行うことができ、このような変更の殺虫活性に対する効果は、バイオアッセイで試験することができる。変化の数が数の上で限られているなら、このような試験は、不合理な実験を必要としない。本発明は、コアトキシンセグメント(配列番号2のアミノ酸1〜643、または配列番号2のアミノ酸73〜643)の殺虫活性のある変異体を包含し、その中で、10個まで、15個まで、または20個までの独立なアミノ酸の付加、欠失、または置換がなされている。
【0049】
本発明は、配列番号2のアミノ酸1〜643に、あるいは配列番号2のアミノ酸73〜643に90%、95%または97%同一であるコアトキシンセグメントを有するDIG−3変異体を包含する。
【0050】
変異体は、ランダムな突然変異をもたらすことによって調製することができ、あるいは変異体を設計することができる。設計された突然変異体の場合には、アミノ酸の同一性が、生物学的活性を占めるトキシンの重要な領域中で維持される場合、または最終的に生物学的活性を担う三次元配置の決定に関与する場合、天然のトキシンに類似の活性を備えた変異体を作り出す確率が高くなる。また、置換が保存的である場合にも、活性を保持する確率が高い。アミノ酸は、次のクラス、すなわち、非極性、未帯電極性、塩基性、および酸性に分けることができる。あるクラスのアミノ酸を、同一タイプの別のアミノ酸で置き換える保存的置換は、変異体の生物学的活性を著しく変える可能性が最も少ない。表2に各クラスに属するアミノ酸の例を列挙する。
【表2】

【0051】
一部の例において、非保存的置換も行うことができる。これらの置換が、トキシンの生物学的活性を有意には損なってはならないことが重要な要素である。変異体は、突然変異誘発のためアミノ酸配列が異なるポリペプチドを包含する。本発明に包含される変異体タンパク質は、生物学的に活性であり、すなわち、それらは、天然タンパク質の所望される生物学的活性を有し続ける、すなわち、殺虫活性を保持する。
【0052】
また、配列レベルを異にするが、同様のまたは類似の総合的に必須な三次元構造、表面電荷分布などを有する変異体タンパク質も設計することができる。例えば、米国特許第7058515号;Larsonら、2002;Stemmer、1994a、1994b、1995;およびCrameriら、1996a、1996b、1997を参照されたい。
【0053】
核酸。
DIG−3トキシンをコードする単離核酸は、本発明の一態様である。これは、配列番号2、および配列番号5をコードする核酸、ならびにその相補配列と、配列番号2の殺虫性変異体をコードするその他の核酸を包含する。遺伝子コードの冗長性のため、種々の異なるDNA配列が、本明細書に開示のアミノ酸配列をコードすることができる。同一または本質的に同一のトキシンをコードするこれらの代替的DNA配列を創り出すことは、十分に当業者の技量内である。
【0054】
遺伝子合成。
本明細書に記載の改善されたCryタンパク質をコードするDNA配列は、当技術分野で周知の種々の方法によって調製することができる。例えば、合成遺伝子セグメントおよび合成遺伝子は、亜リン酸トリエステルおよびホスホラミダイト化学物質(Caruthersら、1987)によって調製することができ、必要に応じて、DNA合成を実施するためにコマーシャルベンダーを利用可能である。完全長DIG−3タンパク質をコードする配列は、例えば、制限断片のライゲーションまたは重複オリゴヌクレオチドのポリメラーゼ連鎖反応の組立てを含む、種々の方法で組み立てることができる(StewartおよびBurgin、2005)。さらに、末端欠失をコードする配列は、部位特異的末端オリコヌクレオチドを使用するPCR増幅によって調製することができる。
【0055】
DIG−3トキシンをコードする核酸は、例えば、いくつかの商業的供給業者のいずれかによって現在実施されている方法による合成的構築によって調製することができる(例えば、米国特許第7482119号参照)。これらの核酸またはその部分もしくは変異体は、また、例を挙げれば、例えば米国特許第5380831号の遺伝子シンセサイザーおよび設計方法を使用して、合成的に構築することができる。別法として、合成または天然に存在する遺伝子の変形形態を、点突然変異を生じさせるための標準的な分子生物学的技術を使用して容易に構築することができる。これらの遺伝子のフラグメントは、また、市販のエキソヌクレアーゼまたはエンドヌクレアーゼを使用して標準的手順により調製することができる。例えば、Bal31などの酵素または部位特異的突然変異誘発を利用して、これらの遺伝子の終端からヌクレオチドを規則正しく切り離すことができる。また、活性トキシンフラグメントをコードする遺伝子フラグメントを、種々の制限酵素を使用して得ることができる。
【0056】
DIG−3トキシンのためのアミノ酸配列が得られると、意図した宿主によって優先されるコドンを使用してコード配列を逆翻訳し、次いで問題を引き起こす可能性のある配列を除去し、非コード読み取り枠中の長いオープンコード配列を除去するための周期的終止コドンをもたらすために代替のコドンを使用して配列を改良することによって、コード配列を設計することができる。
【0057】
配列同一性の定量。
2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列のパーセント同一性を測定するため、配列を最適な比較目的のために整列させる。2つの配列間のパーセント同一性は、配列が共有する同一位置の数の関数である(すなわち、パーセント同一性=同一位置の数/位置の総数(例えば、重複位置)×100)。一実施形態において、2つの配列は、同じ長さである。2つの配列間のパーセント同一性は、ギャップを許容するまたはしない後記技術に類似した技術を使用して測定することができる。パーセント同一性の計算では、典型的には、正確な一致を計数する。
【0058】
2つの配列間のパーセント同一性の測定は、数学的アルゴリズムを使用して完了できる。このようなアルゴリズムの非限定的例は、KarlinおよびAltschul(1990)の例であり、KarlinおよびAltschul(1993)において修正され、BLASTNおよびBLASTX各プログラム中に組み込まれる。BLASTサーチは、核酸またはタンパク質データベース中の問い合わせ配列に相同(類似)する配列を同定するのに好都合に使用することができる。BLASTNサーチは、本発明の特許請求される核酸分子に対して相同性を有するヌクレオチド配列を同定するために実施することができる(スコア=100、ワード長=12)。BLASTXサーチは、本発明の特許請求される殺虫性タンパク質分子に対して相同性を有するアミノ酸配列を同定するために実施することができる(スコア=50、ワード長=3)。
【0059】
ギャップ付きBLAST(Altschulら、1997)は、比較の目的でギャップのあるアラインメントを得るのに利用できる。別法として、PSI−Blastは、分子間の遠隔関係を検出する反復サーチを実施するのに使用することができる(Altschulら、1997)。BLAST、ギャップ付きBLAST、およびPSI−Blast各プログラムを利用する場合、それぞれのプログラムのデフォルトパラメーターを使用することができる。www.ncbi.nlm.nih.govを参照されたい。
【0060】
配列を比較するために利用される数学的アルゴリズムの非限定的例が、ClustalWアルゴリズムである(Thompsonら、1994)。ClustalWは、配列を比較し、アミノ酸またはDNA配列の全体を整列し、これによってアミノ酸配列全体またはヌクレオチド配列全体の配列保存に関するデータを提供することができる。ClustalWアルゴリズムは、Vector NTIプログラムスイート(Invitrogen,Inc.、Carlsbad、カリフォルニア州)のALIGNXモジュールなどの、市販DNA/アミノ酸解析ソフトウェアパッケージ中で使用されている。アミノ酸配列をALIGNXで整列する場合には、2つの配列間のパーセントアミノ酸類似性(コンセンサス)または同一性を評価するために、10のギャップオープンペナルティ、0.1のギャップ伸張ペナルティ、およびblosum63mt2比較マトリックスでのデフォルト設定を好都合に使用することができる。DNA配列をALIGNXで整列する場合には、2つの配列間のパーセント同一性を評価するために、15のギャップオープンペナルティ、6.6のギャップ伸張ペナルティ、およびswgapdnamt比較マトリックスでのデフォルト設定を好都合に使用することができる。
【0061】
配列比較のために利用される数学的アルゴリズムの別の非限定的例が、MyersおよびMiller(1988)の例である。このようなアルゴリズムは、wEMBOSS配列整列ソフトウェアパッケージ(http://emboss.sourceforge.net/で利用可能)の一部であるwSTRETCHERプログラム中に組み込まれている。wSTRETCHERは、線形空間を使用する標準的な動的プログラミングアルゴリズムの修正形態を使用して、2つの配列の最適な大域的アラインメントを計算する。アラインメントを計算するのに使用される置換マトリックス、ギャップ挿入ペナルティ、およびギャップ伸張ペナルティを指定することができる。ヌクレオチド配列を比較するためにwSTRETCHERプログラムを利用する場合には、16のギャップオープンペナルティおよび4のギャップ伸張ペナルティを、スコアリングマトリックスファイルEDNAFULLと共に使用することができる。アミノ酸配列を比較するために使用する場合には、12のギャップオープンペナルティおよび2のギャップ伸張ペナルティを、EBLOSUM62スコアリングマトリックスファイルと共に使用することができる。
【0062】
配列比較のために利用される数学的アルゴリズムのさらなる非限定的例は、配列アラインメントソフトウェアパッケージGAPバージョン10およびwNEEDLE(http://emboss.sourceforge.net/)中に組み込まれているNeedlemanおよびWunsch(1970)の例である。GAPバージョン10は、次のパラメーターを使用して配列の同一性または類似性を測定するのに使用することができ、ヌクレオチド配列の場合、%同一性および%類似性は、50のギャップウェイトおよび3の長さウェイト、ならびにnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを使用して検索される。アミノ酸の配列比較の場合、%同一性または%類似性は、8のギャップウェイトおよび2の長さウェイト、ならびにBLOSUM62スコアリングプログラムを使用して測定される。
【0063】
wNEEDLEは、2つの入力配列を読み取り、それらの全長に沿って最適アラインメント(ギャップを含む)を検索し、それらの最適な大域的配列アラインメントをファイルに書き込む。アルゴリズムは、すべての可能なアラインメントを探索し、それぞれの可能な残基またはヌクレオチドの一致に関する値を含むスコアリングマトリックスを使用して最良のものを選択する。wNEEDLEは、最大の可能なスコアを有するアラインメントを検索し、ここで、アラインメントのスコアは、(スコアリングマトリックスから得られる一致の合計)−(整列された配列中のオープンペナルティおよび伸張ギャップから生じるペナルティ)に等しい。置換マトリックス、ギャップオープンペナルティおよび伸張ペナルティは、ユーザー指定である。アミノ酸配列を比較する場合には、10のデフォルトギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ伸張ペナルティ、およびEBLOSUM62比較マトリックスを使用する。wNEEDLEを使用してDNA配列を比較する場合には、10のギャップオープンペナルティ、0.5のギャップ伸張ペナルティ、およびEDNAFULL比較マトリックスを使用する。
【0064】
同等のプログラムも使用することができる。「同等のプログラム」とは、問題の任意の2つの配列に関して、ALIGNX wNEEDLE、またはwSTRETCHERによって作り出される対応するアラインメントに比較した場合に、同一のヌクレオチドまたはアミノ酸残基の一致および同一のパーセント配列同一性を有するアラインメントを作り出す任意の配列比較プログラムを意図する。%同一性は、報告される整列領域にわたる2つの配列(長さ中の任意のギャップを含む)間の同じ一致のパーセンテージであり、%類似性は、報告される整列領域にわたる2つの配列(長さ中の任意のギャップを含む)間の一致のパーセンテージである。
【0065】
アラインメントは、目視によって手動で実施することもできる。
【0066】
組換え宿主。
本発明のトキシンをコードする遺伝子は、広範な種類の微生物または植物宿主中に導入することができる。トキシン遺伝子の発現は、直接的または間接的に、農薬タンパク質の細胞内産生および維持をもたらす。適切な微生物宿主、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)の場合、該微生物を、それらが増殖し、取り込まれる有害生物の環境に適用することができる。結果は、有害生物の規制である。別法として、トキシン遺伝子を宿す微生物を、トキシンの活性を延長し、かつ細胞を安定化する条件下で処理することができる。毒性活性を維持している処理細胞を、次いで、標的有害生物の環境に適用することができる。
【0067】
B.t.トキシン遺伝子が適当なベクターを介して微生物宿主中に導入され、前記宿主が生存状態で環境に適用される場合、特定の宿主微生物を使用することが必須である。目的の1種または複数の作物の「植物圏」(葉面、葉圏、根圏、および/または根面)を占拠することが知られている微生物宿主が選択される。これらの微生物は、特定の環境(作物およびその他の昆虫生息地)中で野生型土着微生物と首尾よく競合する能力があり、ポリペプチド農薬を発現する遺伝子の安定な維持および発現を提供し、望ましくは環境での分解および不活性化からの農薬の改善された保護を提供するように選択される。
【0068】
多数の微生物が、広範な種類の重要作物の葉面(植物の葉の表面)および/または根圏(植物の根を取り囲む土壌)に存在することが知られている。これらの微生物には、細菌、藻類、および真菌が含まれる。とりわけ有益なのは、細菌、例えば、シュードモナス(Pseudomonas)、エルウィニア(Erwinia)、セラチア(Serratia)、クレブシエラ(Klebsiella)、キサントモナス(Xanthomonas)、ストレプトミセス(Streptomyces)、リゾビウム(Rhizobium)、シノリゾビウム(Sinorhizobium)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、メチロフィリウス(Methylophilius)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アセトバクター(Acetobacter)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、アルスロバクター(Arthrobacter)、アゾトバクター(Azotobacter)、ロイコノストック(Leuconostoc)、およびアルカリゲネス(Alcaligenes)属;真菌とりわけ酵母、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、クリベロマイセス(Kluyveromyces)、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)、ロドトルラ(Rhodotorula)、およびアウレオバシジウム(Aureobasidium)属などの微生物である。とりわけ有益なのは、シュードモナス・シリンゲ(Pseudomonas syringae)、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)、アグロバクテリウム・ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、ロドシュードモナス・スフェロイデス(Rhodopseudomonas spheroides)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、シノリゾビウム・メリロチ(Sinorhizobium meliloti)(以前にはリゾビウム・メリロチ(Rhizobium meliloti))、アルカリゲネス・ユートロフス(Alcaligenes eutrophus)、およびアゾトバクター・ビネランジ(Azotobacter vinelandii)などの植物圏細菌種;ならびにロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、R.グルチニス(R.glutinis)、R.マリナ(R.marina)、R.アウランティアカ(R.aurantiaca)、クリプトコッカス・アルビダス(Cryptococcus albidus)、C.ジフルエンス(C.diffluens)、C.ラウレンティ(C.laurentii)、サッカロミセス・ロセイ(Saccharomyces rosei)、S.プレトリエンシス(S.Pretoriensis)、S.セレビシエ(S.cerevisiae)、スポロボロマイセス・ロセウス(Sporobolomyces roseus)、S.オドルス(S.odorus)、クリベロマイセス・ベロナエ(Kluyveromyces veronae)、およびアウレオバシジウム・ポルランス(Aureobasidium pollulans)などの植物圏酵母種である。とりわけ有益なのは、有色微生物である。
【0069】
害虫の防除方法。
昆虫が、遺伝子導入植物の発現、製剤化されたタンパク質組成物(群)、噴霧可能なタンパク質組成物(群)、ベイトマトリックス、またはその他の送達システムを介して送達された有効量のトキシンと接触すると、結果は、典型的には昆虫の死亡であり、あるいは昆虫は、トキシンを昆虫にとって利用可能にする供給源を餌にしない。
【0070】
対象とするタンパク質トキシンは、種々の方式で標的昆虫に接触するように「適用」または提供できる。例えば、遺伝子導入植物(ここで、タンパク質は、植物によって産生され、植物中に存在する)を使用することができ、それは当技術分野で周知である。トキシン遺伝子の発現は、また、根、葉などの植物の特定組織中で選択的に達成することができる。これは、例えば、組織特異的プロモーターの使用を介して達成できる。スプレー式適用は、もう1つの例であり、これも当技術分野で周知である。対象とするタンパク質は、所望の最終用途向けに適切に製剤化され、次いで、蔓延が発見される前に、標的昆虫が発見された後に、前および後の双方などに、保護すべき植物上に、および/または植物の周りに/植物の付近に噴霧(そうでなければ適用)することができる。例えば、ベイト顆粒も使用することができ、当技術分野で周知である。
【0071】
遺伝子導入植物
対象とするタンパク質は、任意のタイプの植物を鱗翅目昆虫による損傷から実際に保護するために使用することができる。このような植物の非限定的例には、ごく一部の例を挙げれば、トウモロコシ、ヒマワリ、ダイズ、ワタ、カノーラ、イネ、モロコシ、コムギ、オオムギ、野菜、観賞植物、コショウ(トウガラシを含む)、サトウダイコン、果実、および芝生が含まれる。植物を形質転換する方法は、当技術分野で周知であり、例示となる形質転換法は、実施例中に記載される。
【0072】
本発明の好ましい実施形態は、対象とする殺虫性タンパク質またはその変異体をコードする遺伝子での植物の形質転換である。形質転換された植物は、形質転換された植物の細胞における対象とする殺虫性タンパク質またはその変異体の防除量の存在によって、昆虫標的有害生物による攻撃に耐性がある。B.t.殺虫性トキシンの殺虫特性をコードする遺伝子材料を、特定の害虫によって食される植物のゲノム中に組み込むことによって、成虫または幼虫は、食用植物の摂取後に死亡するであろう。単子葉および双子葉各類の多数のメンバーが、形質転換されている。遺伝子導入農耕作物、ならびに果実および野菜は、商業的に重要である。このような作物には、限定はされないが、トウモロコシ、イネ、ダイズ、カノーラ、ヒマワリ、アルファルファ、モロコシ、コムギ、ワタ、ピーナツ、トマト、ジャガイモなどが含まれる。外来遺伝子材料を植物細胞中に導入するための、および導入された遺伝子を安定的に維持し発現する植物を得るためのいくつかの技術が存在する。このような技術には、ミクロ粒子上に被覆された遺伝子材料の直接的な細胞中への促進(米国特許第4945050号および米国特許第5141131号)が含まれる。アグロバクテリウム(Agrobacterium)技術を使用して植物を形質転換することができ、米国特許第5177010号、米国特許第5104310号、欧州特許出願公開第0131624号、欧州特許出願公開第120516号、欧州特許出願公開第159418号、欧州特許出願公開第176112号、米国特許第5149645号、米国特許第5469976号、米国特許第5464763号、米国特許第4940838号、米国特許第4693976号、欧州特許出願公開第116718号、欧州特許出願公開第290799号、欧州特許出願公開第320500号、欧州特許出願公開第604662号、欧州特許出願公開627752号、欧州特許出願公開第0267159号、欧州特許出願公開第0292435号、米国特許第5231019号、米国特許第5463174号、米国特許第4762785号、米国特許第5004863号、および米国特許第5159135号を参照されたい。その他の形質転換技術には、WHISKERS(商標)技術が含まれ、米国特許第5302523号および米国特許第5464765号を参照されたい。また、エレクトロポレーション技術を使用して植物を形質転換しており、国際公開第87/06614号、米国特許第5472869号、米国特許第5384253号、国際公開第92/09696号、および国際公開第93/21335号を参照されたい。これらの形質転換の特許および刊行物はすべて、参照により組み込まれる。植物を形質転換するための多数の技術に加えて、外来遺伝子と接触させる組織のタイプも変更できる。このような組織には、限定はされないが、胚形成組織、カルス組織I型およびII型、胚軸、分裂組織などが含まれる。ほとんどすべての植物組織を、当業者の技術範囲内の適切な技術を使用して、脱分化中に形質転換することができる。
【0073】
DIG−3トキシンをコードする遺伝子を、上で開示した、当技術分野で周知の種々の技術を使用して、植物細胞中に挿入することができる。例えば、形質転換される微生物細胞の選択を可能にするマーカーおよび大腸菌(Escherichia coli)中で機能する複製系を含む多数のクローニングベクターを、外来遺伝子を調製および改変して高等植物中に導入するために利用できる。このような操作には、例えば、意図した用途のために望まれるような、突然変異の挿入、切り詰め、付加、または置換が含まれ得る。ベクターは、例えば、pBR322、pUC系、M13mp系、pACYC184などを含む。したがって、Cryタンパク質または変異体をコードする配列を、ベクター中に適切な制限酵素部位で挿入することができる。得られるプラスミドは、大腸菌(E.coli)細胞の形質転換のために使用され、その細胞を、適切な栄養培地中で培養し、次いで、収集、溶菌して、有効な量のプラスミドを回収する。配列解析、制限酵素フラグメント解析、電気泳動、およびその他の生化学−分子生物学的方法が、解析の方法として一般に実施される。各操作の後、使用するDNA配列を、開裂させ、次のDNA配列に連結することができる。操作された各DNA配列を、同じまたは他のプラスミド中でクローン化することができる。
【0074】
植物細胞の形質転換のためにT−DNAを含むベクターを使用することは、徹底的に研究され、欧州特許第120516号;LeeおよびGelvin、2008;Fraleyら、1986;およびAnら、1985中に十分に記載されており、その分野で十分に確立されている。
【0075】
挿入されるDNAが植物ゲノム中に組み込まれると、それは、後の世代を通して比較的安定である。植物細胞を形質転換するのに使用されるベクターは、通常、形質転換された植物細胞に、とりわけビアラホス、カナマイシン、G418、ブレオマイシン、またはヒグロマイシンなどの除草剤または抗生物質に対する耐性を付与するタンパク質をコードする選択マーカー遺伝子を含む。個別に採用される選択マーカー遺伝子は、したがって、挿入されるDNAを含まない細胞の増殖を選別化合物によって抑制しながら、形質転換された細胞の選択を可能にすることになる。
【0076】
多数の技術が、宿主植物細胞中にDNAを挿入するために利用可能である。それらの技術には、形質転換因子としてのアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)またはアグロバクテリウム・リゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)によって送達されるT−DNAを用いる形質転換が含まれる。さらに、植物プロトプラストの、送達されるべきDNAを含むリポソームとの融合、DNAの直接注入、遺伝子銃形質転換(微粒子衝突)、またはエレクトロポレーション、ならびにその他の可能な方法を採用することができる。
【0077】
本発明の好ましい実施形態において、植物は、タンパク質コード領域のコドン使用頻度が植物に対して最適化されている遺伝子で形質転換される。例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5380831号を参照されたい。また、有利には、切り詰められたトキシンをコードしている植物が使用される。切り詰められたトキシンは、典型的には、完全長トキシンの約55%〜約80%をコードしている。植物中で使用するための合成B.t.遺伝子を創り出す方法は、当技術分野で公知である(Stewart、2007)。
【0078】
形質転換技術にかかわらず、遺伝子は、ベクター中に植物プロモーターを含めることによって植物細胞中でB.t.殺虫性トキシン遺伝子および変異体を発現するように適合された遺伝子移入ベクター中に好ましくは組み込まれる。植物プロモーターに加えて、種々の供給源からのプロモーターを、各植物細胞で効率的に使用して外来遺伝子を発現することができる。例えば、オクトピンシンターゼプロモーター、ノパリンシンターゼプロモーター、およびマンノピンシンターゼプロモーターなどの細菌起源のプロモーターを使用することができる。例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sおよび19S各プロモーター、キャサバベインモザイクウイルスからのプロモーターなどの植物ウイルス起源のプロモーターを使用することができる。植物プロモーターには、限定はされないが、リブロース−1,6−ビスホスフェート(RUBP)カルボキシラーゼの小サブユニット(ssu)、β−コングリシニンプロモーター、ファセオリンプロモーター、ADH(アルコールデヒドロゲナーゼ)プロモーター、熱ショックプロモーター、ADF(アクチン解重合因子)プロモーター、ユビキチンプロモーター、アクチンプロモーター、および組織特異的プロモーターが含まれる。プロモーターは、また、転写効率を改善できる特定のエンハンサー配列エレメントを含むことができる。典型的なエンハンサーには、限定はされないが、ADH1−イントロン1およびADH1−イントロン6が含まれる。構成プロモーターを使用することもできる。構成的プロモーターは、ほとんどすべての細胞型中で、およびほとんどすべての時点で連続的な遺伝子発現を指令する(例えば、アクチン、ユビキチン、CaMV35S)。組織特異的プロモーターは、葉または種子など、特定の細胞または組織型中での遺伝子発現を担い(例えば、ゼイン、オレオシン、ナピン、ACP(アシル担体タンパク質)プロモーター)、これらのプロモーターを使用することもできる。植物発育の特定段階で活性であるプロモーター、および特定の植物組織および器官中で活性であるプロモーターを使用することもできる。このようなプロモーターの例には、限定はされないが、根特異的、花粉特異的、胚特異的、コーンシルク特異的、ワタ繊維特異的、種子胚乳特異的、師部特異的であるプロモーターなどが含まれる。
【0079】
特定の状況下では、誘導性プロモーターを使用することが望ましいことがある。誘導性プロモーターは、物理的刺激(例えば、熱ショック遺伝子)、光(例えば、RUBPカルボキシラーゼ)、ホルモン(例えば、グルココルチコイド)、抗生物質(例えば、テトラサイクリン)、代謝産物、およびストレス(例えば、欠乏)などの特定のシグナルに応答した遺伝子発現を担う。5’非翻訳リーダー配列、RNA転写終結配列、およびポリ−アデニレート付加シグナル配列などの、植物中で機能するその他の望ましい転写エレメントおよび翻訳エレメントを使用することができる。多数の植物特異的遺伝子移入ベクターが、当技術分野で知られている。
【0080】
昆虫耐性(IR)形質を含む遺伝子導入作物は、コーン植物およびワタ植物において北米全体で普及しており、これらの形質の利用は、世界的に拡大している。IRと除草剤耐性(HT)を組み合わせた市販の形質転換作物が、多数の種子会社によって開発されてきた。これらには、B.t.殺虫性タンパク質によって付与されるIR形質と、スルホニルウレア類、イミダゾリノン類、トリアゾロピリミジン、スルホンアニリド類などのアセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤;ビアロホス、グルホシネートなどのグルタミンシンターゼ(GS)阻害剤;メソトリオン、イソキサフルトールなどの4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤;グリホサートなどの5−エノールピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSPS)阻害剤;およびハロキシホップ、キザロホップ、ジクロホップなどのアセチル−補酵素Aカルボキシラーゼ(ACCアーゼ)阻害剤に対する耐性などのHT形質との組合せが含まれる。形質転換で準備されたタンパク質が、植物に、フェノキシ酸系除草剤およびピリジルオキシ酢酸オーキシン系除草剤(国際公開第2007/053482号を参照されたい)、またはフェノキシ酸系除草剤、およびアリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤(国際公開第2005/107437号を参照されたい)などの除草剤の化学クラスに対する耐性を提供する、その他の例が知られている。IR形質を介して複数の有害生物の問題を防除する能力は、価値ある商品構想であり、この製品構想の便益は、昆虫規制形質および雑草規制形質が同一植物中で組み合わされる場合に、増強される。さらに、改善された価値は、本発明のタンパク質などのB.t.殺虫性タンパク質によって付与されるIR形質と、前述のような1種または複数のさらなるHT形質と、さらには1種または複数のさらなる移入形質(例えば、B.t.由来またはその他の殺虫性タンパク質によって付与されるその他の昆虫耐性、RNAiなどの機構によって付与される昆虫耐性、線虫耐性、病気耐性、ストレス寛容性、改善された窒素利用性など)または産出される形質(例えば、高い油脂流量、健康的な油脂組成、栄養改善など)との、単一植物での組合せを介して得ることができる。このような組合せは、通常的な育種(育種の積み重ね)を介して、または共同的に複数の遺伝子の同時導入を含む新規な形質転換事象(分子の積み重ね)として得ることができる。作物植物における害虫および改善された雑草防除を扱う能力が利益に含まれ、その能力は生産者および/または消費者に二次的利益を提供する。したがって、本発明は、任意の数の農学的問題を柔軟かつ高い費用効果で制御する能力を有する改善された作物品質の完全な農学的パッケージを提供するために、その他の形質と組み合わせて使用することができる。
【0081】
標的有害生物
本発明のDIG−3トキシンは、鱗翅目昆虫の規制で使用するのにとりわけ適している。鱗翅目は、毎年極めて大きな総額の損害をもたらす、農業、園芸、および家庭の有害生物の重要な群である。この昆虫目は、葉および根を摂食する幼虫および成虫を包含する。鱗翅目害虫には、限定はされないが、以下がが含まれる:アコロイア・グリセラ(Achoroia grisella)、アクレリス・グロベラナ(Acleris gloverana)、アクレリス・バリアナ(Acleris variana)、アドキソフィエス・オラナ(Adoxophyes orana)、アグロチス・イプシロン(Agrotis ipsilon)(ブラックカットワーム)、アラバマ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アルソフィラ・ポメタリア(Alsophila pometaria)、アメロイス・トランシテラ(Amyelois transitella)、アナガスタ・クエニエラ(Anagasta kuehniella)、アナルシア・リネアテラ(Anarsia lineatella)、アニソタ・セナトリア(Anisota senatoria)、アンテラエア・ペルニイ(Antheraea pernyi)、アンチカルシア・ゲマタリス(Anticarsia gemmatalis)、アルキプス(Archips)種、アルギロタエニア(Argyrotaenia)種、アテチス・ミンダラ(Athetis mindara)、ボンビクス・モリ(Bombyx mori)、ブクラトリックス・ツルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、カドラ・カウテラ(Cadra cautella)、コリストネウラ(Choristoneura)種、コチルス・ホスペス(Cochylls hospes)、コリアス・ユリセマ(Colias eurytheme)、コルシラ・セファロニカ(Corcyra cephalonica)、シディア・ラチフェレナス(Cydia latiferreanus)、シディア・ポモネラ(Cydia pomonella)、ダタナ・インテゲリマ(Datana integerrima)、デンドロリムス・シベリカス(Dendrolimus sibericus)、デスミア・フェネラリス(Desmia feneralis)、ジアファニア・ヒアリナタ(Diaphania hyalinata)、ジアファニア・ニチダリス(Diaphania nitidalis)、ジアトラエ・グランジオセラ(Diatraea grandiosella)(サウスウェスターンコーンボーラー)、ジアトラエ・サッカラリス(Diatraea saccharalis)(シュガーケインボーラー)、エノモス・サブシグナリア(Ennomos subsignaria)、エオレウマ・ロフチニ(Eoreuma loftini)、エスフェスチア・エルテラ(Esphestia elutella)、エラニス・チラリア(Erannis tilaria)、エスチグメネ・アクレア(Estigmene acrea)、エウリア・サルブリコラ(Eulia salubricola)、エウポコエリア・アンビグエラ(Eupocoellia ambiguella)、エウポエシリア・アンビグエラ(Eupoecilia ambiguella)、エウプロクチス・クリソロエア(Euproctis chrysorrhoea)、エウゾア・メソリア(Euxoa messoria)、ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella)、グラホリタ・モレスタ(Grapholita molesta)、ハリシナ・アメリカナ(Harrisina americana)、ヘリコベルパ・サブフレクサ(Helicoverpa subflexa)、ヘリコベルパ・ゼア(Helicoverpa zea)(コーンイアーワーム)、ヘリオチス・ビレセンス(Heliothis virescens)(タバコバッドワーム)、ヘミロイカ・オリビア(Hemileuca oliviae)、ホモエオソマ・エレクテルム(Homoeosoma electellum)(サンフラワーヘッドモス)、ヒファンチア・クネア(Hyphantia cunea)、ケイフェリア・リコペルシセラ(Keiferia lycopersicella)、ランブジナ・フィセラリア・フィセラリア(Lambdina fiscellaria fiscellaria)、ランブジナ・フィセラリア・ルグブロサ(Lambdina fiscellaria lugubrosa)、ロイコーマ・サリシス(Leucoma salicis)、ロベシア・ボトラナ(Lobesia botrana)、ロクサグロチス・アルビコスタ(Loxagrotis albicosta)(ウェスターンビーンカットワーム)、ロクソステジ・スチクチカリス(Loxostege sticticalis)、リマントリア・ジスパル(Lymantria dispar)、マカラ・チリサリス(Macalla thyrisalis)、マラコソマ(Malacosoma)種、マメストラ・ブラシカエ(Mamestra brassicae)、マメストラ・コンフィグラタ(Mamestra configurata)(バーサアーミーワーム)、マンデュカ・キンクエマクラタ(Manduca quinquemaculata)、マンデュカ・セクスタ(Manduca sexta)(タバコホルンワーム)、マルカ・テスツラリス(Maruca testulalis)、メランクラ・ピクタ(Melanchra picta)、オペロフテラ・ブルマタ(Operophtera brumata)、オリジア(Orgyia)種、オストリニア・ヌビラリス(Ostrinia nubilalis)(ユーロピアンコーンボーラー)、パレアクリタ・ベルナタ(Paleacrita vernata)、パピアペマ・ネブリス(Papiapema nebris)(コモンストークボーラー)、パピリオ・クレスホンテス(Papilio cresphontes)、ペクチノホラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiella)、フィリガニジア・カリフォルニカ(Phryganidia californica)、フィロノリクテル・ブランカルデラ(Phyllonorycter blancardella)、ピエリス・ナピ(Pieris napi)、ピエリス・ラパエ(Pieris rapae)、プラチペナ・スカブラ(Plathypena scabra)、プラチノタ・フロエンダナ(Platynota flouendana)、プラチノタ・スツルタナ(Platynota stultana)、プラチプチリア・カルヅイダクチラ(Platyptilia carduidactyla)、プロジア・インテルプンクテラ(Plodia interpunctella)、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)(ダイアモンドバックモス)、ポンティア・プロトダイス(Pontia protodice)、シューダレチア・ユニプンクタ(Pseudaletia unipuncta)(アーミーワーム)、シュードプラシア・インクルデンス(Pseudoplasia includens)、ラチプルシア・ヌ(Rachiplusia nu)(アルゼンチンルーパー)、サブロデス・アエグロタタ(Sabulodes aegrotata)、シズラ・コンシナ(Schizura concinna)、シトトロガ・セレアレラ(Sitotroga cerealella)、スピロンタ・オセラナ(Spilonta ocellana)、スポドプテラ・フルギペルダ(Spodoptera frugiperda)(フォールアーミーワーム)、スポドプテラ・エクシグア(Spodoptera exigua)(ビートアーミーワーム)、タウルンストポエア・ピチオカンパ(Thaurnstopoea pityocampa)、エンソラ・ビセリエラ(Ensola bisselliella)、トリコプルシア・ヒ(Trichoplusia hi)、ウデア・ルビガリス(Udea rubigalis)、キシロミゲス・クリアイルス(Xylomyges curiails)、およびイポノメウタ・パデラ(Yponomeuta padella)。
【0082】
作物植物の鞘翅目有害生物を規制するためのDIG−3の使用も想定される。一部の実施形態において、Cryタンパク質は、限定はされないが、例えば、ジアブロチカ・ウンデシンプンクタタ・ホワルジ(Diabrotica undecimpunctata howardi)(サザンコーンルートワーム)、ジアブロチカ・ロンジコルニス・バルベリ(Diabrotica longicornis barberi)(ノーザンコーンルートワーム)およびジアブロチカ・ベルギフェラ(Diabrotica virgifera)(ウェスターンコーンルートワーム)などのルートワーム、ならびにシクロセファラ・ボレアリス(Cyclocephala borealis)(ノーザンマスクドコガネムシ)、シクロセファラ・イマクラテ(Cyclocephala immaculate)(サザンマスクドコガネムシ)、およびポピリア・ジャポニカ(Popillia japonica)(ジャパニーズビートル)の幼虫などの地虫が含まれる害虫の規制向けに、経済的に導入できる。
【0083】
限定はされないが、根こぶ線虫(Meloidogyne icognita)およびダイズ嚢胞線虫(Heterodera glycines)を含む寄生線虫を規制するためのDIG−3トキシンの使用も想定される。
【0084】
DIG−3トキシンの抗体検出
抗トキシン抗体。
本明細書に開示のトキシンに対する、または同等のトキシンまたはこれらのトキシンのフラグメントに対する抗体は、本技術分野の標準的手順を使用して容易に調製することができる。このような抗体は、DIG−3トキシンの存在を検出するのに有用である。
【0085】
B.t.殺虫性トキシンが単離されたら、該トキシンに特異的な抗体を、当技術分野で周知である通常の方法によって生じさせることができる。選択した宿主への数週間または数ヶ月にわたる反復注入は、免疫応答を誘発し、かなりの抗B.t.トキシン血清価をもたらす。好ましい宿主は哺乳動物種であり、より好ましい種は、ウサギ、ヤギ、ヒツジおよびマウスである。このような免疫化された動物から採取した血液を、確立された方法で処理して、B.t.殺虫性トキシンと反応性のある抗血清(ポリクロナール抗体)を得ることができる。次いで、抗血清を、当技術分野で既知の技術によるトキシンへの吸着によってアフィニティー精製することができる。アフィニティー精製された抗血清を、当技術分野で既知の手順を使用して抗血清内の免疫グロブリン画分を単離することによってさらに精製することができる。得られる材料は、B.t.殺虫性トキシンと反応性のある免疫グロブリンの異種集団となる。
【0086】
抗B.t.トキシンの抗体は、また、免疫原性担体に複合されたB.t.殺虫性トキシンの合成ペプチドフラグメントからなる半合成免疫原を調製することによって作り出すことができる。ペプチドフラグメントを作製するのに有用な多数のスキームおよび装置が、当技術分野で周知である。ウシ血清アルブミンまたはスカシ貝ヘモシアニンなどの多くの適切な免疫原性担体も、当技術分野で周知であり、免疫原と担体タンパク質とをカップリングするための技術も同様である。半合成免疫原が構築されると、B.t.殺虫性トキシンフラグメントに特異的な抗体の調製手順は、天然B.t.トキシンと反応性のある抗体を調製するのに使用されるものと同じである。
【0087】
抗B.t.トキシンのモノクロナール抗体(MAb)は、精製されたB.t.殺虫性トキシンを使用して容易に調製される。MAbの産生方法は、20年にわたって実施されており、当業者に周知である。アジュバント中の精製B.t.殺虫性トキシンの腹腔内または皮下反復注入は、ほとんどの動物で免疫応答を誘発する。過免疫のB−リンパ球を、動物から取り出し、無限培養可能な適切な融合パートナー細胞株と融合する。そのB−リンパ球が過免疫であり、MAbの産生で使用される可能性のある好ましい動物は、哺乳動物である。より好ましい動物は、ラットおよびマウスであり、最も好ましいのは、BALB/cマウス系統である。
【0088】
多数の哺乳動物細胞株が、ハイブリドーマの産生に適した融合パートナーである。多くのこのような株は、American Type Culture Collection(ATCC、Manassas、バージニア州)および商業的供給業者から入手可能である。好ましい融合パートナー細胞株は、マウスの骨髄腫に由来し、HL−1(登録商標)フレンドリー骨髄腫−653細胞株(Ventrex、Portland、メイン州)が最も好ましい。融合したら、得られるハイブリドーマを、選択増殖培地中で1〜2週間培養する。2種の周知の選択系が、未融合骨髄腫細胞または骨髄腫細胞間の融合物を混合ハイブリドーマ培養物から除去するために利用することができる。選択系の選択は、免疫されるマウスの系統、および使用される骨髄腫融合パートナーに依存する。TaggartおよびSamloff(1983)によって発表されたAAT選択系を使用することができるが、Littlefield(1964)によって発表されたHAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)選択系が、好ましいマウス系統および前述の融合パートナーとのその適合性のため、好ましい。使用済み増殖培地を、免疫特異的MAb分泌についてスクリーニングする。酵素結合性免疫吸着アッセイ(ELISA)法が、この目的に最も適しているが、大規模なスクリーニング用に適合されたラジオイムノアッセイも許容される。関連性のないまたはあまり所望されない培養物の著しい数を連続的に削減するように設計された複数のスクリーニングを実施することができる。B.t.殺虫性トキシンと反応性のあるMAbを分泌する培養物を、既知のB.t.殺虫性トキシンとの交差反応性についてスクリーニングすることができる。好ましいB.t.殺虫性トキシンに優先的に結合するMAbは、市販のアッセイを使用してアイソタイプに分けられる。好ましいMAbは、IgGクラスに属し、より高度に好ましいMAbはIgGおよびIgG2aサブアイソタイプに属する。
【0089】
好ましいMAbを分泌するハイブリドーマ培養物を数回サブクローニングして、単クローン性および安定性を確立することができる。真核生物の非接着性細胞培養物をサブクローニングするための周知の方法は、限界希釈法、軟質アガロースおよび蛍光活性化細胞ソーティング技術を包含する。各サブクローニングの後、生じた培養物を、好ましくは、抗体分泌およびアイソタイプについて再アッセイして、安定な好ましいMAb分泌培養物が確立されたことを確実にする。
【0090】
抗B.t.トキシン抗体は、特許請求された本発明のB.t.殺虫性トキシン、およびその変異体またはフラグメントを検出する種々の方法において有用である。レポーティング基(reporting group)で標識された抗体を使用して、多様な環境中での抗原の存在を確認することができることは広く知られている。放射性同位体で標識された抗体は、卓越した正確さおよび感度で、多様な生物学的流体中での抗原の存在を確認するためのラジオイムノアッセイにおいて数十年の間使用されてきた。より最近になって、酵素で標識された抗体が、ELISAアッセイにおいて放射能標識化抗体の代替として使用されている。さらに、本発明のB.t.殺虫性トキシンに対して免疫反応性のある抗体を、ポリスチレンウェルなどの固定化基材または粒子に結合させ、B.t.トキシンが試験サンプル中に存在するかどうかを判定するための免疫アッセイで使用することができる。
【0091】
核酸プローブを使用する検出
本発明のトキシンおよび遺伝子を同定するためのさらなる方法は、オリゴヌクレオチドプローブの使用による。これらのプローブは、ヌクレオチド配列を検出できる。これらの配列を、適切な放射性標識によって検出可能にすることができ、あるいは例えば米国特許第6268132号中に記載のように本質的に蛍光性にすることができる。当技術分野で周知のように、プローブ分子および核酸サンプルが、2つの分子間で強力な塩基対形成結合を形成することによってハイブリッドを形成すると、プローブおよびサンプルが実質的に配列相同性を有することを、合理的に想定することができる。好ましくは、ハイブリダイゼーションは、例えばKellerおよびManak(1993)に記載のような当技術分野で周知の技術によってストリンジェントな条件下で実施される。プローブの検出は、ハイブリダイゼーションが起こったかどうかを既知の方式で判定する手段を提供する。このようなプローブ分析は、本発明のトキシンコード遺伝子を同定するための迅速な方法を提供する。本発明によるプローブとして使用されるヌクレオチドセグメントは、DNAシンセサイザーおよび標準的手順を使用して合成することができる。これらのヌクレオチド配列はまた、本発明の遺伝子を増幅するためのPCRプライマーとして使用することができる。
【0092】
核酸のハイブリダイゼーション
分子生物学の当業者にとって周知であるように、2つの核酸の類似性は、それらのハイブリダイズする傾向によって特徴付けることができる。本明細書中で使用する場合、「ストリンジェントな条件」または「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」という用語は、プローブがその標的配列に他の配列に比べて検出可能なより大きな程度まで(例えば、バックグラウンドの少なくとも2倍超)ハイブリダイズ(アニール)する条件を指すと解釈される。ストリンジェントな条件は、配列に依存し、環境により異なる。ハイブリダイゼーション条件および/または洗浄条件のストリンジェンシーを制御することによって、プローブに対して100%相補的である標的配列を同定することができる(相同プロービング)。別法として、ストリンジェンシーの条件を、配列中の一部の不一致を認めるように調節して、より低度の類似性を検出することができる(非相同プロービング)。一般に、プローブは、約1000未満のヌクレオチド長、好ましくは500未満のヌクレオチド長である。
【0093】
典型的には、ストリンジェントな条件は、塩濃度が、pH7.0〜pH8.3で約1.5M未満のNaイオン、典型的には約0.01〜1.0MのNaイオン濃度(またはその他の塩)であり、温度は、短いプローブ(例えば、10〜50ヌクレオチド)で少なくとも約30℃、長いプローブ(例えば、50を超えるヌクレオチド)で少なくとも約60℃である。ストリンジェントな条件は、また、ホルムアミドなどの不安定化剤の添加で達成することができる。典型的な低ストリンジェンシー条件には、37℃の30%〜35%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)の緩衝溶液でのハイブリダイゼーション、および50℃〜55℃での1X〜2X SSC(20X SSC=3.0M NaCl/0.3Mクエン酸三ナトリウム)中での洗浄が含まれる。典型的な中等度のストリンジェンシー条件には、37℃での、40%〜45%のホルムアミド、1.0M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および55℃〜60℃での0.5X〜1X SSC中での洗浄が含まれる。典型的な高ストリンジェンシー条件には、37℃での50%ホルムアミド、1M NaCl、1%SDS中でのハイブリダイゼーション、および60℃〜65℃での0.1X SSC中での洗浄が含まれる。任意選択で、洗浄緩衝液は、約0.1%〜約1%のSDSを含むことができる。ハイブリダイゼーションの継続時間は、一般に、約24時間未満、通常、約4〜約12時間である。
【0094】
特異性は、典型的には、ハイブリダイゼーション後の洗浄の関数であり、決定的因子は、最終洗浄溶液のイオン強度および温度である。DNA/DNAハイブリッドの場合、熱融解温度(T)は、(規定のイオン強度およびpHの下で)相補性標的配列の50%が、完全に一致したプローブにハイブリダイズする温度である。Tは、各1%の不一致に対し約1℃低下し、したがって、T、ハイブリダイゼーション条件、および/または洗浄条件を調節して、所望の同一性をもつ配列のアニーリングを促進することができる。例えば、90%を超える同一性を備えた配列を求めるなら、Tを10℃下げることができる。一般に、ストリンジェントな条件は、規定されたイオン強度およびpHで、特定の配列およびその相補配列に対するTに比べて約5℃低いように選択される。しかし、高ストリンジェント条件は、Tに比べて1℃、2℃、3℃または4℃より低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、中等度にストリンジェントな条件は、Tに比べて6℃、7℃、8℃、9℃または10℃より低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができ、低ストリンジェントな条件は、Tに比べて11℃、12℃、13℃、14℃、15℃または20℃より低い温度でのハイブリダイゼーションおよび/または洗浄を利用することができる。
【0095】
(℃)は、実験的に測定することができ、あるいは計算によって近似することができる。DNA−DNAハイブリッドの場合、Tは、MeinkothおよびWahlの式(1984)で近似することができる:
(℃)=81.5℃+16.6(logM)+0.41(%GC)−0.61(%ホルムアミド)−500/L;
ここで、Mは一価カチオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%ホルムアミドはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、Lは塩基対中のハイブリッドの長さである。
【0096】
別法として、Tは、次式によって記述される(Beltzら、1983)。
(℃)=81.5℃+16.6(log[Na+])+0.41(%GC)−0.61(%ホルムアミド)−600/L
ここで、[Na+]はナトリウムイオンのモル濃度であり、%GCはDNA中のグアノシンおよびシトシンヌクレオチドのパーセンテージであり、%ホルムアミドはハイブリダイゼーション溶液中のホルムアミドのパーセンテージであり、Lは塩基対中のハイブリッドの長さである。
【0097】
これらの式、ハイブリダイゼーションおよび洗浄組成物、および所望のTを使用して、当業者は、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄溶液のストリンジェンシーの変更が本質的に記述されることを理解するであろう。所望の不一致度が、45℃(水溶液)または32℃(ホルムアミド溶液)未満のTをもたらすなら、より高い温度を使用できるように、SSC濃度を高めることが好ましい。核酸のハイブリダイゼーションへの完璧な指針が、Tijssen(1993)およびAusubelら(1995)の論文中に認められる。Sambrookら(1989)の論文も参照されたい。
【0098】
サザンブロット上に固定化されたDNAの放射能標識化された遺伝子特異的プローブとのハイブリダイゼーションは、標準的な方法によって実施することができる(Sambrookら、同上)。ポリヌクレオチドプローブを標識化するのに使用される放射性同位体としては、32P、33P、14C、または3Hを挙げることができる。放射性同位体のポリヌクレオチドプローブ分子中への組み込みは、分子生物学の分野の当業者にとって周知であるいくつかの方法のいずれかによって行うことができる(例えば、Sambrookら、同上を参照されたい)。
【0099】
一般に、ハイブリダイゼーションおよびそれに続く洗浄は、特許請求されるトキシンコード遺伝子に対して相同性を有する標的配列の検出を可能にする厳密な条件下で実施することができる。二本鎖DNA遺伝子プローブの場合、ハイブリダイゼーションは、6X SSPE、5Xデンハート液、0.1%SDS、0.1mg/mL変性DNA中、DNAハイブリッドのTより20〜25℃低い温度で一夜実施することができる[20X SSPEは3M NaCl、0.2M NaHPO、および0.02M EDTA(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム塩)であり;100Xデンハート液は、20g/Lポリビニルピロリドン,20g/L Ficollタイプ400、および20g/Lウシ血清アルブミン(フラクションV)である]。
【0100】
洗浄は、典型的には、次のように実施することができる:
1X SSPE、0.1%SDS中、室温で15分間、2回(低ストリンジェンシーの洗浄)。
0.2X SSPE、0.1%SDS中、T−20℃で15分間、1回(中等度のストリンジェンシーの洗浄)。
【0101】
オリゴヌクレオチドプローブの場合、ハイブリダイゼーションは、6X SSPE、5Xデンハート液、0.1%SDS、0.1mg/mL変性DNA中、ハイブリッドのTより10℃〜20℃低い温度で一夜実施することができる。オリゴヌクレオチドプローブのためのTは、次式によって決定することができる(Suggsら、1981)。
(℃)=2(T/A塩基対の数)+4(G/C塩基対の数)
【0102】
洗浄は、典型的には、次のように実施することができる:
1X SSPE、0.1%SDS中、室温で15分間、2回(低ストリンジェンシーの洗浄)。
1X SSPE、0.1%SDS中、ハイブリダイゼーション温度で15分間、1回(中等度のストリンジェンシーの洗浄)。
【0103】
ハイブリダイゼーション用プローブ分子、およびプローブと標的分子との間で形成されるハイブリッド分子を、放射能標識化以外の手段によって検出できるようにすることができる。このような代替方法は、本発明の範囲に包含されると解釈される。
【0104】
本明細書中で言及または引用されるすべての特許、特許出願、仮出願、および刊行物は、参照によりその全体で、それらが本明細書の明確な教示と矛盾しない程度まで本明細書に組み込まれる。特別に指摘または暗示しない限り、不定冠詞(a、an)および定冠詞(the)は、本明細書中で使用する場合、「少なくとも1つ」を意味する。本明細書中で用語「遺伝子材料」を使用することによって、すべての遺伝子、核酸、DNAおよびRNAを包含することを意味する。
【0105】
ポリヌクレオチド、DNA、RNA、オリゴヌクレオチド、およびプライマーのヌクレオチド残基の名称について、およびタンパク質のアミノ酸残基の名称については、標準的なIUPACの省略形を、本文書を通して採用する。核酸配列は、標準的な5’から3’の方向で示され、タンパク質配列は、標準的なアミノ(N)末端からカルボキシ(C)末端の方向で示される。
【0106】
以下は、本発明を実施するための手順を例示する実施例である。本明細書に記載の実施例および実施形態は、単に例示目的のためであること、およびそれらを考慮した種々の改変形態または変更形態が当業者に対して示唆され、本出願の精神および範囲内、ならびに添付の特許請求の範囲内に包含されることを理解されたい。これらの実施例を、限定と解釈すべきでない。特記しない限り、パーセンテージは、すべて重量によるものであり、溶媒混合物の比率は、すべて容積による。温度は、すべて摂氏温度である。
【実施例1】
【0107】
DIG−3トキシンをコードする遺伝子の単離
本明細書中でDIG−3と称する殺虫性Cryタンパク質をコードする核酸を、B.t.株PS46LのゲノムDNAから、配列番号1の塩基1286〜1311にハイブリダイズする縮重順方向プライマー、および配列番号1の塩基2480〜2499の相補配列にハイブリダイズするミスマッチの逆方向プライマーを使用するPCRによって単離した。このプライマー対を使用して、配列番号1のヌクレオチド1286〜2499に対応する1214bpのフラグメントを増幅した。この配列を、Genome Walker(商標)ユニバーサルキット(Clontech、Palo Alto、カリフォルニア州)から構成される方法を使用するゲノムウォーキングを開始するためのアンカーポイントとして使用した。DIG−3コード領域にまたがるフラグメントの核酸配列を決定した。配列番号1は、完全長DIG−3タンパク質をコードする3771bpのヌクレオチド配列である。配列番号2は、配列番号1に由来する完全長DIG−3タンパク質のアミノ酸配列である。バチルス(Bacillus)種において、配列番号1のその領域などのタンパク質コード領域は、翻訳すればアミノ酸メチオニンを表すTTGコドンで始まることができることに留意されたい。
【実施例2】
【0108】
DIG−3からドメインIのα−へリックスの欠失
DIG−3トキシンの殺虫特性を改善するために逐次的、段階的欠失を行い、そのそれぞれがDIG−3タンパク質のN末端部分を欠失させる。該欠失は、α−へリックス3からα−へリックス7までの構造的完全性を維持しながら、ドメインIのα−へリックス1の一部または全部、およびα−へリックス2の一部または全部を除去する。
【0109】
欠失は、次のように設計した。この実施例は、完全長DIG−3タンパク質をコードする完全長キメラDNA配列、例えば、配列番号1、および配列番号2をそれぞれ利用して、67の特定変異体を伴う設計原理を例示する。この例は、配列番号5のキメラ配列(Cry1Abプロトキシンセグメントに融合されるDIG−3コアトキシンセグメントをコードするDNA)を利用して、さらなる67の特定変異体を提供する。当業者は、DIG−3タンパク質のすべてまたはN末端部分をコードするその他のDNA配列を、同様に操作して、所望の結果を達成できることを認識するであろう。最初の欠失変異体のコード配列を考案するために、α−へリックス2Aの始まり近くのプロリン残基用のコドン(すなわち、配列番号2の完全長DIG−3タンパク質のためのP73)までα−へリックス1をコードする塩基のすべてを除去する。これによって、配列番号1の塩基1〜216の除去は、配列番号2のアミノ酸1〜72のためのコード配列を除去する。開始点(すなわち、完全長タンパク質のアミノ酸73に対応するコドンの前)での翻訳開始ATG(メチオニン)コドンの再導入は、1185のアミノ酸を含む欠失変異体DIG−3タンパク質(すなわち、メチオニン+完全長DIG−3タンパク質のアミノ酸73〜1256)をコードする3555塩基のオープンリーディングフレームを含む欠失変異体のコード配列を提供する。配列番号2の完全長DIG−3タンパク質の残基73〜112に対応する単一アミノ酸のためのさらなるコドンを除去する逐次的、段階的欠失は、α−へリックス2Aおよびα−へリックス2Bの一部またはすべてを欠く変異体を提供する。したがって、第2の設計された欠失変異体のコード配列は、配列番号1の塩基1〜219の除去を必要とし、それによってアミノ酸1〜73のためのコード配列を除去する。機能性オープンリーディングフレームの修復は、残りのコード配列の開始点に翻訳開始メチオニンコドンを再導入することによって再び完了され、これによって、1184個のアミノ酸を含む欠失変異体DIG−3タンパク質(すなわち、メチオニン+完全長DIG−3タンパク質のアミノ酸74〜1256)をコードする3552塩基のオープンリーディングフレームを有する第2の欠失変異体のコード配列を提供する。最後に設計される欠失変異体のコード配列は、配列番号1の塩基1〜336の除去を必要とし、これによって、アミノ酸1〜112のためのコード配列を除去し、翻訳開始メチオニンコドンの再導入後に、1145アミノ酸の欠失変異体DIG−3タンパク質(すなわち、メチオニン+完全長DIG−3タンパク質のアミノ酸113〜1256)をコードする3435塩基のオープンリーディングフレームを有する欠失変異体コード配列を提供する。例示されるように、欠失配列の除去後にイニシエーターメチオニンコドンを、残りのコード配列の最初に付加して、機能性オープンリーディングフレームを再生させる。また、先に記載したように、欠失配列の除去によって全長タンパク質の残りの部分のN末端に前述の不安定決定性アミノ酸の1つが露出されたままである場合、メチオニンコドンとその不安定決定性アミノ酸のコドンとの間に、さらなるグリシンコドンを付加できる。
【0110】
表3に、前記のストラテジーにより設計された特定変異体を記載する。
【表3】

【表4】

【表5】

【0111】
表3に記載のトキシンをコードする核酸は、前に述べたとおり、植物中での発現を意図した合成遺伝子に関する一般的原理により設計される。
【実施例3】
【0112】
DIG−3B.t.殺虫性タンパク質のためのコード配列の植物最適化バージョンの設計
植物のコドンバイアスを有するDNA配列を設計、合成して、遺伝子導入単子葉植物および遺伝子導入双子葉植物中でDIG−3タンパク質を産生させた。トウモロコシ(Zea mays L.)用のコドン使用頻度表を、GenBankに寄託された配列から得られる706のタンパク質コード配列(CD)から計算した。タバコ(Nicotiana tabacum、1268CD)、カノーラ(Brassica napus、530CD)、ワタ(Gossypium hirsutum、197CD)、およびダイズ(Glycine max、約1000CD)用のコドン使用頻度表を、ウェブサイト、http://www.kazusa.or.jp/codon/のデータからダウンロードした。適切な加重平均相対量の、トウモロコシおよび双子葉双方のデータセットに共通な高度に使用されるコドンを含むバイアス付きコドンセットを、どちらかの植物タイプ中のアミノ酸に関する全コドン使用の約10%未満で使用される任意の冗長なコドンを除外した後に計算した。DIG−3タンパク質をコードする植物最適化配列を引き出すため、得られるDNA配列が植物最適化コドンバイアス表の全コドン組成を有するように、実験的に決定したDIG−3 DNA配列へのコドン置換を行った。配列のさらに洗練させて、望ましくない制限酵素認識部位、潜在的植物イントロンスプライス部位、A/T残基またはC/G残基のロングラン、および植物細胞におけるコード領域のRNA安定性、転写、または翻訳を妨害する可能性のあるその他のモチーフを排除した。所望の制限酵素認識部位を導入し、かつ長い内部オープンリーディングフレーム(+1以外のフレーム)を排除するために、その他の変更を行った。これらの変更は、すべて、植物用バイアス付きコドン組成を維持する制約内で行われた。設計された配列の合成は、商業的供給業者によって実施された(DNA2.0、Menlo Park、カリフォルニア州)。
【0113】
合成遺伝子の作製に関するさらなる指針は、例えば、国際公開第97/13402号および米国特許第5380831号中に見出すことができる。
【0114】
完全長DIG−3トキシンをコードする植物最適化DNA配列を、配列番号3に示す。Cry1Abプロトキシンセグメントをコードする双子葉最適化DNA配列を、配列番号6として開示する。Cry1Abプロトキシンセグメントをコードするトウモロコシ最適化DNA配列を、配列番号7として開示する。
【実施例4】
【0115】
DIG−3殺虫性トキシンをコードする発現プラスミドの構築および細菌宿主中での発現
標準的なクローニング法を使用して、植物最適化コード領域中にコードされる完全長DIG−3タンパク質を産生するように遺伝子操作されたシュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)発現プラスミドを構築した。制限酵素エンドヌクレアーゼを、New England BioLabs(NEB、Ipswich、マサチューセッツ州)から入手し、T4DNAリガーゼ(Invitrogen)をDNAのライゲーションに使用した。プラスミドの調製は、供給業者の説明書に従って、NucleoBond(登録商標)Xtraキット(Macherey−Nagel Inc、Bethlehem、ペンシルベニア州)またはPlasmid Midi Kit(登録商標)(Qiagen)を使用して実施した。DNAフラグメントは、アガローストリスアセテートゲル電気泳動の後に、Millipore Ultrafree(登録商標)−DAカートリッジ(Billerica、マサチューセッツ州)を使用して精製した。
【0116】
基本的なクローニング戦略は、DIG−3トキシンのコード配列(CDS)をpDOW1169中にSpeIおよびXhoI各制限酵素部位でサブクローニングすることを必要とし、それによって、その配列は、PtacプロモーターおよびプラスミドpKK223−3(PL Pharmacia、Milwaukee、ウィスコンシン州)由来のrrnBT1T2ターミネーターの発現調節下に置かれる。pDOW1169は、RSF1010起源の複製、pyrF遺伝子、およびその中にタンパク質コード領域を含むDNAフラグメントを導入できる制限酵素認識部位の前方にリボソーム結合部位を有する中程度のコピー数のプラスミドである(米国特許出願公開第2008/0193974号)。pDAB4171と呼ばれる発現プラスミドを、エレクトロポレーションによってDC454(突然変異ΔpyrFおよびlsc::lacIQIを有する野生型に近いP.フルオレセンス(P.fluorescens)株)またはその誘導体中に形質転換し、SOC−ダイズ加水分解産物培地中で回収し、選択培地(ウラシルを欠くM9グルコース寒天、Sambrookら、同上)上に播種する。微生物操作の詳細は、参照により本明細書に組み込まれるSquiresら(2004)、米国特許出願公開第2006/0008877号、米国特許出願公開第2008/0193974号、および米国特許出願公開第2008/0058262号で利用可能である。コロニーを、まずPCRでスクリーニングし、次いで、陽性クローンをミニプレッププラスミドDNAの制限酵素消化によって分析した。インサートを含む選択されたクローンのプラスミドDNAを、Big Dye(登録商標)ターミネーター、バージョン3.1を供給業者(Applied Biosystems/Invitrogen)の推奨するように使用することによって、または商業的配列決定業者(MWG Biotech、Huntsville、アラバマ州)との契約によって配列決定した。配列データを、Sequencher(商標)ソフトウェア(Gene Codes Corp.、Ann Arbor、ミシガン州)を使用して組み立て、解析した。
【0117】
振盪フラスコ中での増殖および発現の解析。
特徴付けおよび昆虫でのバイオアッセイのためのDIG−3トキシンの製造は、発現構築物(例えば、クローンDP2826)を収容する振盪フラスコ中で増殖したP.フルオレセンス(P.fluorescens)株によって達成された。1%グルコースおよび微量元素を補足したM9培地中で増殖された種培養物を使用して、5%グリセロールを含む50mLの規定された最小培地(Teknova カタログ番号3D7426Hollister、カリフォルニア州)に播種した。振盪しながらの30℃で24時間の初期インキュベーションの後に、イソプロピル−β−D−1−チオガラクトピラノシド(IPTG)を添加することによって、Ptacプロモーターを介するDIG−3トキシン遺伝子の発現を誘導した。培養物を、誘導の時点、および誘導後の異なる時点でサンプリングした。細胞密度を、600nmでの光学密度(OD600)によって測定した。例えば、Huangら(2007)および米国特許出願公開第2006/0008877号中に記載のように、シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)の増殖に適したその他の培養培地も利用することができる。
【0118】
振盪フラスコ中のサンプルの細胞分画およびSDS−PAGE分析。
各サンプリングの時点で、サンプルの細胞密度を、OD600=20に調節し、1mLのアリコートを14000xgで5分間遠心分離した。細胞ペレットを−80℃で凍結した。凍結された振盪フラスコ内細胞ペレットサンプルからの可溶性画分および不溶性画分を、EasyLyse(商標)細菌タンパク質抽出溶液(EPICENTRE(登録商標)Biotechnologies、Madison、ウィスコンシン州)を使用して調製した。各細胞ペレットを、1mLのEasyLyse(商標)溶液に再懸濁し、さらに溶解緩衝液中に1:4で希釈し、振盪しながら室温で30分間インキュベートした。この溶解物を、4℃、14,000rpmで20分間遠心分離し、上清を可溶性画分として回収した。次いで、ペレット(不溶性画分)を等容積のリン酸緩衝化生理食塩水(PBS;11.9mM NaHPO、137mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)に再懸濁した。
【0119】
サンプルを、β−メルカプトエタノールを含む2X Laemmliサンプル緩衝液(Sambrookら、同上)と1:1で混合し、5分間煮沸した後、Criterion XT(登録商標)Bis−Tris12%ゲル(Bio−Rad Inc.、Hercules、カリフォルニア州)にロードした。推奨されたXT MOPS緩衝液中で電気泳動を実施した。ゲルを、製造業者(Bio−Rad)のプロトコールに従ってBio−Safeクーマシー染色液で染色し、Alpha Innotech Imagingシステム(San Leandro、カリフォルニア州)を使用して画像化した。
【0120】
封入体の調製。
Cryタンパク質封入体(IB)の調製は、SDS−PAGEおよびMALDI−MS(マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分光測定法)によって立証されるように、不溶性B.t.殺虫性タンパク質を産生するP.フルオレセンス(P.fluorescens)発酵物からの細胞で実施した。P.フルオレセンス(P.fluorescens)発酵のペレットを、37℃の水浴中で解凍した。細胞を、溶解緩衝液(50mM Tris、pH7.5、200mM NaCl、20mM EDTA(エチレンジアミン四酢酸)二ナトリウム塩、1%Triton X−100、および5mMジチオトレイトール(DTT)、5mL/Lの細菌プロテアーゼ阻害剤カクテル(P8465 Sigma−Aldrich、St.Louis、ミズーリ州)を使用直前に添加した)中に25%w/vまで再懸濁した。細胞を、最低に設定した携帯型ホモジナイザー(Tissue Tearor、BioSpec Products Inc.、Bartlesville、オクラホマ州)を使用して懸濁した。細胞懸濁液にリゾチーム(25mgのSigma L7651,ニワトリ卵白由来)を、金属スパチュラで混合して添加し、懸濁液を室温で1時間インキュベートした。懸濁液を、氷上で15分間冷却し、次いでBranson Sonifier250(1分の持続期間を2回、動作周期50%、出力30%)を使用して超音波処理した。細胞溶解物を顕微鏡法でチェックした。必要な場合、さらなる25mgのリゾチームを添加し、インキュベーションおよび超音波処理を繰り返した。細胞溶解物を顕微鏡法で確認したら、この溶解物を11500xgで25分間(4℃)遠心分離して、IBペレットを形成し、上清を廃棄した。IBペレットを、100mLの溶解緩衝液で再懸濁し、携帯型ミキサーでホモジナイズし、上記のように遠心分離した。上清が無色になり、かつIBペレットが堅くオフホワイトになるまで、IBペレットを再懸濁(50mLの溶菌緩衝液中に)、ホモジナイズ、超音波処理、および遠心分離によって反復洗浄した。最終洗浄では、IBペレットを、2mM EDTAを含む滅菌濾過(0.22μm)蒸留水中に再懸濁し、遠心分離した。最終ペレットを、2mMEDTAを含む滅菌濾過蒸留水中に再懸濁し、1mLアリコートに−80℃で貯蔵した。
【0121】
IB調製物中のタンパク質のSDS−PAGE分析および定量を、IBペレットの1mLアリコートを解凍すること、および滅菌濾過蒸留水で1:20に希釈することによって実施した。希釈されたサンプルを、次いで、4X還元サンプル緩衝液[250mM Tris、pH6.8、40%グリセロール(v/v)、0.4%ブロモフェノールブルー(w/v)、8%SDS(w/v)、および8%β−メルカプトエタノール(v/v)]と共に煮沸し、1X Tris/グリシン/SDS緩衝液(BioRad)で展開される、Novex(登録商標)4〜20%Tris−グリシン、12+2ウェルゲル(Invitrogen)にロードした。ゲルを、200ボルトで60分間展開し、次いでクーマシーブルー(45%メタノール、10%酢酸中の50%G−250/50%R−250)で染色し、蒸留水中の7%酢酸、5%メタノールで脱染した。標的バンドの定量は、該バンドの濃度測定値を、標準曲線を作出するために同一ゲル上で展開されたウシ血清アルブミン(BSA)サンプルに対比して行った。
【0122】
封入体の可溶化。
PfクローンDP2826からの封入体懸濁液(32mg/mLのDIG−3タンパク質を含む)6mLを、最高に設定したEppendorfモデル5415C微量遠心管で遠心分離(ほぼ14000xg)して封入体をペレットにした。貯蔵緩衝液上清を除去し、50mLコニカル管中、25mLの100mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH11)で置き換えた。封入体を、ピペットを使用して再懸濁し、ボルテックスして完全に混合した。この遠心管を、静かに揺れる台上に4℃で一夜載せ、標的タンパク質を抽出した。抽出物を、4℃、30000xgで30分間遠心分離し、生じた上清を、Amicon Ultra−15再生セルロース遠心フィルター装置(30000の分子量カットオフ);Millipore)を使用して5分の1に濃縮した。次いで、サンプル緩衝液を、使い捨てのPD−10カラム(GE Healthcare、Piscataway、ニュージャージー州)を使用して10mM CAPS[3−(シクロヘキサミノ)1−プロパンスルホン酸]、pH10に変更した。
【0123】
ゲル電気泳動。
電気泳動のために、濃縮された抽出物を、還元剤として5mMのジチオトレイトールを含むNuPAGE(登録商標)LDSサンプル緩衝液(Invitrogen)で1:50に希釈することによって調製し、95℃で4分間加熱した。サンプルを、0.2〜2μg/レーンの範囲の5つのBSA標準(標準曲線の作出のため)と並んで、4〜12%NuPAGE(登録商標)ゲルの二つ組みのレーンにロードした。MOPS SDS展開緩衝液(Invitrogen)を使用して、トラッキングダイがゲルの底部に到達するまで、200Vの電圧を印加した。ゲルを、45%メタノール、10%酢酸中の0.2%クーマシーブルーG−250で染色し、まず45%メタノール、10%酢酸で簡単に、次いで7%酢酸、5%メタノールで、バックグラウンドが透明になるまで十分に脱染した。脱染に続いて、ゲルを、Biorad Fluor−S MultiImagerでスキャンした。装置のQuantitiy One v.4.5.2ソフトウェアを使用して、バックグラウンドを差し引いたタンパク質バンド量を取得し、BSA標準曲線を作成し、その曲線を使用して、ストック液中のDIG−3タンパク質の濃度を計算した。
【実施例5】
【0124】
シュードモナス・フルオレセンス(Pseudomonas fluorescens)中で産生された改変DIG−3タンパク質の殺虫活性
DIG−3B.t.殺虫性トキシンは、ユーロピアンコーンボーラー(European corn borer)(ECB;Ostrinia nubilalis(Hubner))、cry1F耐性ECB(rECB)、ダイアモンドバックモス(diamondback moth)(DBM;Plutella xylostella(Linnaeus))、cry1A耐性DBM(rDBM)、コーンイアーワーム(corn earworm)(CEW;Helicoverpa zea(Boddie))、ブラックカットワーム(black cutworm)(BCW;Agrotis ipsilon(Hufnagel))、タバコバッドワーム(tabocco budworm)(TBW;Heliothis virescens)(Fabricius))、およびキャベツルーパー(cabbage looper)(CL;Trichoplusia ni)(Hubner))を含む鱗翅目種に対して活性であることを実証した。DIG−3タンパク質は、フォールアームワーム(fall armworm)(FAW、Spodoptera frugiperda)、Cry1F耐性FAW(rFAW)、およびウェスターンコーンルートワーム(western corn rootworm)(WCR;Diabrotica virgifera virgifera ルコント)に対する活性についても試験された。
【0125】
サンプルの調製およびバイオアッセイ。
10mM CAPS(pH10)中の封入体調製物を、10mM CAPS(pH10)で適切に希釈し、すべてのバイオアッセイに、この緩衝液からなる対照処理を含めた。この対照処理は、死亡率または成長阻害に関するバックグラウンドのチェックとして役立つ。
【0126】
BioRad画像化システム(Quantity One ソフトウェア、バージョン4.5.2を備えたFluor−S MultiImager)を使用して測定されるゲルデンシトメトリー用の標準曲線を作成するためBSAを使用するゲル電気泳動によって、バイオアッセイ緩衝液中のタンパク質濃度を推定した。ゲルマトリックス中のタンパク質を、クーマシーブルーをベースにした染色液で染色し、読取り前に脱染した。
【0127】
精製されたタンパク質を、殺虫活性について、人工昆虫飼料の新生鱗翅目幼虫を用いて実施するバイオアッセイにおいて試験した。BCW、CEW、CL、DBM、rDBM、ECB、FAW、およびTBWの幼虫を、商業的昆虫飼育場(Benzon Research Inc.、Carlisle、ペンシルベニア州)によって養育されたコロニーから入手した卵から孵化させた。WCR卵は、Crop Characteristics Inc.(Farmington、ミネソタ州)から入手した。rECBおよびrFAWの幼虫は、所有コロニー(Dow AgroSciences LLC、Indianapolis、インディアナ州)から集めた卵から孵化させた。
【0128】
バイオアッセイは、昆虫バイオアッセイ用に特別に設計された128ウェルのプラスチックトレー(C−D International、Pitman、ニュージャージー州)中で実施した。各ウェルには、1.0mLの多種用鱗翅目飼料(Southland Products、Lake Village、アーカンサス州)を入れた。各ウェルの1.5cmの飼料表面にピペットでタンパク質サンプルの40μLのアリコートを加えた(26.7μL/cm)。飼料の濃度は、ウェル中の表面積の平方センチメートル(cm)当たりのDIG−3タンパク質の量(ng)として計算した。処理されるトレーを、飼料表面上の液体が蒸発するかまたは飼料中に吸収されるまで換気フード中に保持した。
【0129】
孵化の数時間以内に、個々の幼虫を湿らせたラクダ毛ブラシで拾い上げ、ウェル毎に1幼虫を処理された飼料上に置いた。次いで、寄生されたウェルを、透明プラスチックの粘着シート(C−D International、Pitman、ニュージャージー州)で密封し、ガス交換を可能にするために穴を開けた。バイオアッセイトレーを、調節された環境条件(28℃、相対湿度約40%、明:暗=16:8)下に5日間保持した後、各タンパク質サンプルに晒された昆虫の総数、死亡昆虫数、および生残昆虫の重量を記録した。各処理について、パーセント死亡率およびパーセント成長阻害を計算した。成長阻害(GI)は、次の通り計算した:
GI=[1−(TWIT/TNIT)/(TWIBC/TNIBC)]
ここで、TWITは、その処理における昆虫の総重量であり、
TNITは、その処理における昆虫の総数であり、
TWIBCは、バックグラウンドチェック(緩衝液対照)における昆虫の総重量であり、
TNIBCは、バックグラウンドチェック(緩衝液対照)における昆虫の総数である。
【0130】
GI50を、GI値が50%となる、飼料中のDIG−3タンパク質濃度であるように定めた。LC50(50%致死濃度)を、試験昆虫の50%が死滅する飼料中のDIG−3タンパク質濃度として記録した。JMPソフトウェア(SAS、Cary、ノースカロライナ州)を使用して統計解析(一方向ANOVA)を行った。
【0131】
表6に、ユーロピアンコーンボーラー(European corn borer)およびCry1F耐性ユーロピアンコーンボーラー(European corn borer)(rECB)に対するDIG−3タンパク質のバイオアッセイ試験の結果を示す。試験昆虫rECBが、野生型昆虫ECBと同様、DIG−3タンパク質の作用に対して感受性を持つことは、予想外の驚くべき発見である。
【表6】

【0132】
表7に、鱗翅目および鞘翅目有害生物(WCR)の広範な範囲についてのバイオアッセイの結果を示す。DIG−3タンパク質は、ダイアモンドバックモス(diamondback moth)およびrDBMに対して予想外の驚くべき活性を有した。さらに、DIG−3Cryタンパク質は、いくつかのその他の鱗翅目昆虫の成長を規制する上で有効である。
【表7】

*GI=成長阻害、P-値=検定統計量、df=自由度、α(アルファ)レベル0.05=検定有意性のレベル
【実施例6】
【0133】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)の形質転換
バイナリー植物形質転換および発現プラスミドの構築では、標準的なクローニング法を使用する。制限酵素エンドヌクレアーゼおよびT4 DNAリガーゼは、NEBから入手する。プラスミド調製を、製造業者の説明書に従って、NucleoSpin(登録商標)プラスミド調製キットまたはNucleoBond(登録商標)AX Xtra Midiキット(双方ともMacherey−Nagel製)を使用して実施する。DNAフラグメントを、ゲル単離の後にQIAquick(登録商標)PCR精製キットまたはQIAEX II(登録商標)ゲル抽出キット(双方ともQiagen製)を使用して精製する。
【0134】
天然もしくは改変された形態のDIG−3タンパク質またはそのフラグメントをコードするヌクレオチド配列を含むDNAフラグメントは、商業的供給業者(例えば、DNA2.0、Menlo Park、カリフォルニア州)によって合成され、標準的なプラスミドベクター中のクローニングされたフラグメントとして供給されることができ、あるいは適切なヌクレオチド配列を含むその他の構築物の標準的な分子生物学的操作によって得ることができる。DIG−3コード領域に対する内部の固有の制限酵素部位を確認することができ、DIG−3コード領域の制限酵素部位間の配列を含むDNAフラグメントを合成することができ、このようなそれぞれのフラグメントは、特定の欠失、挿入またはその他のDIG−3変形形態をコードする。改変されたDIG−3フラグメントをコードするDNAフラグメントを、他のDIG−3コード領域フラグメントまたは他のCryコード領域フラグメントに、適切な制限酵素部位で連結して、所望の完全長DIG−3タンパク質、欠失または変異体DIG−3タンパク質、または融合タンパク質をコードするコード領域を得ることができる。例えば、最初のDIG−3コード領域の開始点の適切な制限酵素認識部位、およびDIG−3コード領域に対して内部の第2制限酵素部位を確認することができる。この最初のDIG−3コード領域のこれらの制限酵素部位での開裂は、最初のDIG−3コード領域の一部を含むDNAフラグメントを作り出す。別のDIG−3コード領域または他のCryコード領域に特異的な類似の適合性のある制限酵素部位によって挟まれた第2のDNAフラグメントを、最初のDNA制限酵素フラグメントと組み合わせて使用して、変異体または融合クローンを構築することができる。
【0135】
非限定的例において、基本的なクローニング戦略は、完全長または改変DIG−3コード配列(CDS)を植物発現プラスミド中にNcoIおよびSacI各制限酵素部位でサブクローニングすることでよい。植物発現エレメント(例えば、植物で発現可能なプロモーター、3’末端転写終結、およびポリアデニレート付加決定子など)の調節下で適切なDIG−3コード領域を含んで得られる植物発現カセットは、例えば、Gateway(登録商標)技術または標準的な制限酵素フラグメントクローニング法を利用して、バイナリーベクタープラスミド中にサブクローンされる。Gateway(登録商標)技術を利用するなら、例えば、LR Clonase(商標)(Invitrogen)を使用して、完全長および改変遺伝子植物発現カセットをバイナリー植物形質転換プラスミド中に再結合することができる。大腸菌(E.coli)およびアグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞中にプラスミドが存在するなら、抗生物質スペクチノマイシンに対する耐性を付与する細菌遺伝子を収容するバイナリー植物形質転換ベクターを採用するのが便利である。また、所望の宿主植物中で機能性である植物で発現可能で選択可能なマーカー遺伝子を含むバイナリーベクタープラスミドを採用するのが便利である。植物で発現可能で選択可能なマーカー遺伝子の例としては、限定はされないが、抗生物質カナマイシン、ネオマイシンおよびG418に対する耐性を付与する、トランスポゾンTn5のアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(aphII)、ならびにグリホサート、ヒグロマイシン、メトトレキセート、ホスフィノトリシン(ビアラホス)、イミダゾリノン、スルホニルウレア、およびトリアゾロピリミジン系除草剤、例えば、クロロスルフロン、ブロモキシニル、ダラポンなどに対する耐性または寛容性をコードするそれらの遺伝子をコードするものが含まれる。
【0136】
アグロバクテリウム・ツムファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)株Z707S(Z707のストレプトマイシン耐性誘導体;Hepburnら、1985)のエレクトロコンピテント細胞を調製し、エレクトロポレーションを利用して形質転換する(WeigelおよびGlazebrook、2002)。エレクトロポレーションの後、キュベットに1mLのYEPブロス(g/L:酵母エキス、10;ペプトン、10;NaCl、5)を添加し、細胞−YEP懸濁液を15mLの培養管に移し、水浴中、絶えず撹拌しながら28℃で4時間インキュベートする。細胞を、スペクチノマイシン(200μg/mL)およびストレプトマイシン(250μg/mL)を含むYEP+寒天(25g/L)上に播種し、プレートを28℃で2〜4日間インキュベートする。十分に分離された単一コロニーを選択し、前と同様、スペクチノマイシンおよびストレプトマイシンを含む新鮮なYEP+寒天平板上にストリークし、28℃で1〜3日間インキュベートする。
【0137】
バイナリー植物形質転換ベクター中のDIG−3遺伝子インサートの存在は、選択されたアグロバクテリウム(Agrobacterium)コロニーから調製された鋳型プラスミドDNAを含むベクター特異的プライマーを使用するPCR分析によって実施される。前と同様、スペクチノマイシンおよびストレプトマイシンを含むYEP中で増殖された15mLの一夜培養物の4mLアリコートからの細胞ペレットを、Qiagen Spin(登録商標)Mini Prepsを使用して製造業者の説明書により抽出する。対照として、アグロバクテリウム(Agrobacterium)のエレクトロポレーション形質転換で使用されるバイナリーベクターからのプラスミドDNAを含める。PCR反応は、Invitrogen製のTaqDNAポリメラーゼを0.5Xの濃度で、製造業者の説明書により使用して完成させる。PCR反応は、次の条件、すなわち、ステップ1)94℃で3分間、ステップ2)94℃で45秒間、ステップ3)55℃で30秒間、ステップ4)72℃で、予想される産生物の長さkbにつき1分間、ステップ5)ステップ2へと29回、ステップ6)72℃で10分間、でプログラムされたMJ Research Peltierサーマルサイクラー中で実施される。反応物は、サイクリングの後、4℃で維持される。増幅産物を、アガロースゲル電気泳動(例えば、0.7%〜1%アガロース、w/v)で分析し、エチジウムブロミド染色で可視化する。PCR産物がプラスミド対照と同一であるコロニーを選択する。
【0138】
別法として、DIG−3遺伝子インサートを含むバイナリー植物形質転換ベクターのプラスミド構築を、アグロバクテリウム(Agrobacterium)操作の当業者にとって周知の標準的な分子生物学的方法によって、候補アグロバクテリウム(Agrobacterium)分離株から調製されたプラスミドDNAを制限酵素消化フィンガープリントマッピングによって実施する。
【0139】
アグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換法を介して形質転換された植物を得る当業者は、Z707S以外のその他のアグロバクテリウム(Agrobacterium)株を有利に使用することができ、株の選択が、形質転換されるべき宿主植物種の個性に依存する可能性があることを理解するであろう。
【実施例7】
【0140】
双子葉植物におけるDIG−3B.t.殺虫性タンパク質および変異体の産生
アラビドプシス(Arabidopsis)の形質転換。
アラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)Col−01を、フローラルディップ法(WeigelおよびGlazebrook、2002)を使用して形質転換する。選択されたアグロバクテリウム(Agrobacterium)コロニーを使用して、選択に適した抗生物質を含むYEPブロスの1mL〜15mL培養物に接種する。培養物を、220rpmで絶えず撹拌しながら28℃で一夜インキュベートする。各培養物を使用して、選択に適した抗生物質を含むYEPブロスの2つの培養物500mLに接種し、新たな培養物を、絶えず撹拌しながら28℃で一夜インキュベートする。細胞を、ほぼ8700xg、室温で10分間ペレット化し、生じる上清液を廃棄する。細胞ペレットを、1/2xのMurashige−Skoog塩(Sigma−Aldrich)/GamborgのB5ビタミン(Gold BioTechnology、St.Louis、ミズーリ州)、10%(w/v)ショ糖、0.044μMベンジルアミノプリン(DMSO中の1mg/mL原液の10μL/L)および300μL/L Silwet L−77を含む500mLの浸透媒体中に徐々に再懸濁させる。ほぼ1月齢の植物を、最も新しい花房のを確実に覆うよう注意して、培地中に15秒間浸漬する。次いで、植物を、それらの側面に横たえさせ、24時間覆い(透明または不透明)、水で洗浄し、直立させる。植物を、16時間の明/8時間の暗の光周期で、22℃で育成する。浸漬からほぼ4週間後に、種子を収穫する。
【0141】
アラビドプシス(Arabidopsis)の育成および選別。
新たに収穫したT1種子を、乾燥剤の存在下に室温で少なくとも7日間乾燥させる。種子を、0.1%寒天/水(Sigma−Aldrich)溶液に懸濁し、次いで、4℃で2日間土の層間で保存する。植付けに備えるため、10.5インチx21インチの発芽トレー(T.O.Plastics Inc.、Clearwater、ミネソタ州)中のSunshine MixLP5(Sun Gro Horticulture Inc.、Bellevue、ワシントン州)を微細なバーミキュライトで覆い、Hoagland溶液(HoaglandおよびArnon、1950)で湿るまで潅水し、次いで24時間排水したままにする。土層間に保存した種子を、バーミキュライト上に播種し、加湿ドーム(KORD Products、Bramalea、オンタリオ州、カナダ)で7日間覆う。種子を発芽させ、植物を、Conviron(モデルCMP4030またはCMP3244;Controlled Environments Limited、Winnipeg、マニトバ州、カナダ)中で、120〜150μmol/m秒の光強度の長日条件下(明16時間/暗8時間)に一定の温度(22℃)および湿度(40〜50%)下で育成する。植物は、初期にはHoagland溶液、その後は脱イオン水で潅水して土壌を濡らすことなく湿らせて保持する。
【0142】
播種の5〜6日後にドームを取り去り、形質転換されていない種子から発芽した植物を死滅させるため、植物に化学選別剤を噴霧する。例えば、バイナリー植物形質転換ベクターによって提供される、植物で発現可能で選択可能なマーカー遺伝子が、pat遺伝子またはbar遺伝子(Wehrmannら、1996)である場合、形質転換された植物を、Finale(5.78%グルホシネートアンモニウム、Farnam Companies Inc.、Phoenix、アリゾナ州)の1000X溶液で噴霧することによって選別することができる。それに続く2回の噴霧は、5〜7日の間隔で実施される。生き残り(盛んに生育している植物)を、最終噴霧の7〜10日後に識別し、Sunshine Mix LP5で調製されたポット中に移植する。移植された植物を、加湿ドームで3〜4日間覆い、前記の生育条件下でConviron中に配置する。
【0143】
双子葉植物の形質転換に関わる当業者は、その他の植物で発現可能で選択可能なマーカー遺伝子(例えば、除草剤耐性遺伝子)を使用する場合に形質転換植物のその他の選別方法を利用できることを理解するであろう。
【0144】
遺伝子導入アラビドプシス(Arabidopsis)の昆虫でのバイオアッセイ
改変されたCryタンパク質を発現する遺伝子導入アラビドプシス(Arabidopsis)系は、人工飼料オーバーレイアッセイにおいて感受性昆虫種に対して活性であることが立証される。遺伝子導入および非導入アラビドプシス(Arabidopsis)系から抽出されたタンパク質を適切な方法で定量し、タンパク質濃度を正規化するようにサンプル量を調節する。バイオアッセイは前記のように人工飼料で実施される。非遺伝子導入アラビドプシス(Arabidopsis)および/または緩衝液および水を、バックグラウンドチェック処理としてアッセイ中に含める。
【実施例8】
【0145】
スーパーバイナリーベクターを作製するためのアグロバクテリウム(Agrobacterium)の形質転換
アグロバクテリウム(Agrobacterium)スーパーバイナリー系は、単子葉植物宿主の形質転換に便利に使用される。スーパーバイナリーベクターを構築および検証するための方法は、十分に開示されており、参照により本明細書に組み込まれる(日本たばこ産業(東京、日本)から入手可能なプラスミドpSB1用操作マニュアル、バージョン3.1)。標準的な分子生物学および微生物学の方法を使用して、スーバーバイナリープラスミドを作製する。スーパーバイナリープラスミドの構造の確認/検証は、バイナリーベクターについて前に記載したような方法を使用して行われ、プラスミドpSB1用操作マニュアル中に提案されているように修正することができる。
【実施例9】
【0146】
単子葉植物におけるDIG−3B.t.殺虫性タンパク質および変異体の作製
トウモロコシのアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介性形質転換。
High II Fクロスからの種子(Armstrongら、1991)を、95%Metro−Mix360無土壌育成培地(Sun Gro Horticulture、Bellevue、ワシントン州)と5%粘度/ローム土壌との混合物を含む5ガロンポット中に播種する。植物を、16:8時間の明:暗光周期による高圧ナトリウムランプおよびメタルハライドランプの組合せを使用して温室中で育成する。形質転換用の未成熟F胚を得るために、制御された同胞受粉を実施する。未成熟胚を、胚がほぼ1.0〜2.0mmの大きさである受粉後8〜10日目に隔離する。
【0147】
感染および共培養。
トウモロコシの穂を、液体石鹸でこすり洗いすること、70%エタノールに2分間浸漬すること、次いで20%市販漂白剤(0.1%次亜塩素酸ナトリウム)に30分間浸漬することによって表面滅菌した後、滅菌水ですすぎ洗う。スーパーバイナリーベクターを含むアグロバクテリウム(Agrobacterium)細胞の懸濁液を、100mg/Lスペクチノマイシン、10mg/Lテトラサイクリン、および250mg/Lストレプトマイシンを含むYEP固体培地上にて28℃で2〜3日間増殖させた細菌の1〜2ループを、100μMアセトシリンゴンを含む5mLの液体感染培地(LS基本培地(LinsmaierおよびSkoog、1965)、N6ビタミン(Chuら、1975)、1.5mg/L 2,4−ジクロロフェノキシ酢酸(2,4−D)、68.5g/L ショ糖、36.0g/L グルコース、6mM L−プロリン、pH5.2)中に移すことによって調製する。溶液を、均一な懸濁が達成されるまでボルテックスし、紫色フィルターを備えたクレット−サマーソン比色計を使用して、約200Klett単位の最終密度まで、または550nmでほぼ0.4の光学密度まで調節する。未成熟胚を、2mLの感染培地を含むミクロ遠心管中に直接単離する。培地を除去し、200Klett単位の密度を有する1mLのアグロバクテリウム(Agrobacterium)溶液で置き換え、アグロバクテリウム(Agrobacterium)および胚溶液を、室温で5分間インキュベートし、次いで、共培養培地(LS基本培地、N6ビタミン、1.5mg/L 2,4−D、30.0g/L ショ糖、6mM L−プロリン、0.85mg/L AgNO、100μM アセトシリンゴン、3.0g/L ジェランガム(PhytoTechnology Laboratories.、Lenexa、カンザス州)、pH5.8)に、暗条件下に25℃で5日間移す。
【0148】
共培養の後、胚を選択培地に移し、その後、ほぼ8週間の過程にわたって、形質転換された分離株が得られる。植物で発現可能なpatまたはbar選別マーカー遺伝子を含むスーパーバイナリープラスミドで形質転換されたトウモロコシ組織の選別のために、LSをベースにした培地(LS基本培地、N6ビタミン、1.5mg/L2,4−D、0.5g/L MES(2−(N−モルホリノ)エタンスルホン酸一水和物;PhytoTechnologies Labr.)、30.0g/L ショ糖、6mM L−プロリン、1.0mg/L AgNO、250mg/L セフォタキシム、2.5g/L ジェランガム、pH5.7)を、ビアラホス(Gold BioTechnology)と共に使用する。胚を、3mg/L ビアラホスを含む選択培地に、胚形成分離株が得られるまで移す。回収された分離株を、再生およびさらなる分析のために、2週間間隔で新たな選択培地へ移すことによって大きくする。
【0149】
トウモロコシの形質転換に関わる当業者は、その他の植物で発現可能で選択可能なマーカー遺伝子(例えば、除草剤耐性遺伝子)を使用する場合に形質転換植物のその他の選別方法が利用可能であることを理解するであろう。
【0150】
再生および種子生産。
再生のため、培養物を、「28」誘導培地(MS塩およびビタミン、30g/L ショ糖、5mg/L ベンジルアミノプリン、0.25mg/L 2,4−D、3mg/L ビアラホス、250mg/L セフォタキシン、2.5g/L ジェランガム、pH5.7)に低い明条件(14μEm−2−1)下に1週間、次いで高い明条件(ほぼ89μEm−2−1)下に1週間移す。続いて、組織を、「36」再生培地(植物成長調節剤を欠くことを除いて誘導培地と同様)に移す。小植物が高さ3〜5cmまで生長したら、それらを、SHGA培地(Schenk−Hildebrandt塩、およびビタミン(1972);PhytoTechnologies Labr.)、1.0g/L myo−イノシトール、10g/L ショ糖、および2.0g/L ジェランガム、pH5.8)を含むガラス培養管に移し、さらなる成長、ならびに茎および根の発育を可能にした。植物を、本明細書中で前に記載したと同様の土壌混合物に移植し、温室中で開花まで育成する。種子生産のための調節された受粉を実施する。
【実施例10】
【0151】
遺伝子導入トウモロコシのバイオアッセイ
植物細胞中で産生されるDIG−3タンパク質および変異体の生物活性を、通常のバイオアッセイ法(例えば、Huangら、2006を参照されたい)によって立証する。例えば、DIG−3トキシンを産生する植物に由来する種々の植物組織または組織片を、調節された給餌環境中で標的昆虫に給餌することによって、有効性を立証することができる。別法として、本明細書中で前に記載したように、DIG−3トキシンを産生する植物から得られる種々の植物組織からタンパク質抽出物を調製し、抽出されたタンパク質を人工飼料でのバイオアッセイに組み込むことができる。このような給餌アッセイの結果を、DIG−3タンパク質または変異体を産生しない宿主植物からの適切な対照組織、またはその他の対照サンプルを採用する、同様に実施されるバイオアッセイに比較すべきであることを理解されたい。
【0152】
【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)配列番号2の残基113〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2の残基113〜643のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号2によってコードされるトキシンの発現または活性に有害な影響を及ぼさない20個までのアミノ酸の置換、欠失、または修飾を含む、配列番号2の残基113〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるコアトキシンセグメント、または殺虫活性のあるそのフラグメントを含む、単離されたポリペプチド。
【請求項2】
(a)配列番号2の残基73〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2の残基73〜643のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号2によってコードされるトキシンの発現または活性に有害な影響を及ぼさない20個までのアミノ酸の置換、欠失、または修飾を含む、配列番号2の残基73〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるコアトキシンセグメント、または殺虫活性のあるそのフラグメントを含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項3】
(a)配列番号2の残基1〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(b)配列番号2の残基1〜643のアミノ酸配列に対して少なくとも90%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むポリペプチド;
(c)配列番号2によってコードされるトキシンの発現または活性に有害な影響を及ぼさない20個までのアミノ酸の置換、欠失、または修飾を含む、配列番号2の残基1〜643のアミノ酸配列を含むポリペプチド
からなる群から選択されるコアトキシンセグメント、または殺虫活性のあるそのフラグメントを含む、請求項1に記載の単離されたポリペプチド。
【請求項4】
請求項1に記載のポリペプチドを含む植物。
【請求項5】
有害生物集団を防除する方法であって、前記集団を農薬上有効な量の請求項1に記載のポリペプチドと接触させることを含む方法。
【請求項7】
請求項1に記載のポリペプチドをコードする、単離された核酸。
【請求項8】
配列番号1または配列番号3の請求項7に記載の単離された核酸。
【請求項9】
配列番号2または配列番号5の請求項1に記載のポリペプチド。
【請求項10】
バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)に由来しないプロモーターに作動可能に連結され、植物中で発現を駆動できる、請求項1に記載のヌクレオチド配列を含むDNA構築物。
【請求項11】
ゲノム中に安定的に組み込まれた請求項10に記載のDNA構築体を含む遺伝子導入植物。
【請求項12】
植物を有害生物から保護する方法であって、前記植物中に請求項10に記載の構築物を導入することを含む方法。
【請求項13】
ユーロピアンコーンボーラー(European corn borer)に対する活性を有する、請求項1に記載のポリペプチド。

【公表番号】特表2012−524086(P2012−524086A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506050(P2012−506050)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/028381
【国際公開番号】WO2010/120452
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(501035309)ダウ アグロサイエンシィズ エルエルシー (197)
【Fターム(参考)】