説明

DM用UVニス加熱装置及びこれを組み込んだDM作成システム

【課題】 新規なDM用UVニス加熱装置及びこれを組み込んだDM作成システムを提供すること
【解決手段】 紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMを圧着前に加熱するUVニス加熱装置において、前記UVニス加熱装置は、マグネトロンを有するマイクロ波加熱装置であって、前記小冊子を構成する複数の紙面に夫々塗工されたUVニスを選択的に均一に加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DM用UVニス加熱装置及びこれを組み込んだDM作成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ダイレクトメール(DM)広告の利用は、非常な勢いで増加している。例えば、情報紙面同士が圧着されたシークレット葉書(圧着ハガキ)は、その典型例である。その理由は、2つ折り、3つ折りの紙面構成による情報エリアが大きく、情報の機密性に優れ、配送先での開封率が高く、配送コスト面では官製ハガキと同じである等が挙げられている。
【0003】
従来、DM用圧着ハガキは、フィルムや糊によって情報紙面を貼り合わせていた。その主流であったフィルムラミネートは、圧着面の光沢は極めて良好であるが、印刷紙面にフィルムをラミネートする工程は生産性に劣る。更に、DM利用後の廃棄時には、印刷用紙とフィルムを分別できず、紙の再利用等に関して省資源の面で、焼却するには環境保護の面で問題がある。
【0004】
糊を使用した圧着ハガキは、フィルムラミネート法よりは生産性が高く、廃棄時には可燃物として処理が可能である。しかし、圧着面の印刷に光沢を出す点で非常に劣り、魅力的なDMを作成することが出来ない。
【0005】
これに対して、紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着ハガキは、生産性に優れ、フィルム並みの光沢が得られ、環境にも優しく、今後のDMハガキの主流になると考えられる。
【0006】
他方で、DM利用者は、情報量に関して一層大量の情報を表示できることを望んでいる。葉書サイズのDMでは、2つ折り、3つ折り、往復ハガキタイプと、紙面数の増加が図られている。
【0007】
ここで、本出願書類では、「紙面」はDMの印刷可能な面をいい、「紙面数」は印刷可能な面数をいう。「シート」はDMを構成する用紙をいい、「シート枚数」は、(個々に切断されてなくても)例えば、圧着ハガキではハガキサイズ換算の用紙の枚数をいう。従って、通常、「シート」の両面に「紙面」があり、「シート枚数」の2倍が「紙面数」の関係になる。
【0008】
本発明者等は、以下に説明するような小冊子形式のDMをUVニスを使用して圧着した先行技術文献の存在を知らない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は、大量の情報量を記載できる圧着式のDMに関して、種々のサイズにおいてシート枚数を最大限に増加する開発を継続している。即ち、ここ数年にわたり、A4サイズ、葉書サイズ等に於いて、シート枚数を6枚、8枚、10枚、…を実現する生産技術を鋭意検討している。この場合、後述するように、蛇腹形式のDMは採用できず、小冊子形式のDMを採用することになる。このような紙面枚数多いDMを製作する技術に関しては、別途、特許出願の準備を進めている。
【0010】
しかし、その検討過程で、紙面枚数を増加すると、小冊子形式のDMの内部に位置する紙面間(DMの厚さ方向の中間部にあるシート間)では十分に接着力が得られず、その後容易に剥離してしまう問題が生じた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明は、新規なDM用UVニス加熱装置及びこれを組み込んだDM作成システムを提供することを目的とする。
【0012】
更に、本発明は、新規なDM用UVニス圧着加工方法及びこれを利用したDM作成方法を提供することを目的とする。
【0013】
本発明に係る紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMを圧着前に加熱するUVニス加熱装置は、前記UVニス加熱装置は、マグネトロンを有するマイクロ波加熱装置であって、前記小冊子を構成する複数の紙面に夫々塗工されたUVニスを選択的に均一に加熱する、UVニス加熱装置である。
【0014】
更に、上記UVニス加熱装置では、更に、熱風を発生するヒータを備えてマイクロ波加熱とヒータ加熱を併用してもよい。
【0015】
更に、上記UVニス加熱装置では、更に、加湿手段を備え、マイクロ波加熱の前に前記UVニスを塗工した前記小冊子形式のDMの圧着面を加湿してもよい。
【0016】
更に、上記UVニス加熱装置では、更に、セラミックス製の敷き板を備え、前記小冊子形式のDMを該敷き板の上に設置した状態でマイクロ波加熱を行ってもよい。
【0017】
更に、上記UVニス加熱装置では、更に、前記UVニスを塗工した圧着面を加湿する加湿手段と、セラミックス製の敷き板とを備え、マイクロ波加熱の前に、前記小冊子形式のDMの前記UVニスを塗工した圧着面を加湿し、前記小冊子形式のDMを前記敷き板の上に設置した状態でマイクロ波加熱を行ってもよい。
【0018】
更に、本発明に係る紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMの圧着前にUVニスを加熱する方法は、マグネトロンを有するマイクロ波加熱装置を使用して、前記小冊子形式のDMを構成する複数の紙面に夫々塗工されたUVニスを選択的に均一に加熱する。
【0019】
更に、上記UVニスを加熱する方法では、更に、熱風を発生するヒータを併用して、前記小冊子を周囲からも加熱してもよい。
【0020】
更に、本発明に係る紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMを作成するシステムは、用紙に印刷する印刷装置と、前記用紙の圧着面にUVニスを塗工するUVニス塗工装置と、UVニスを乾燥するUVニス乾燥装置と、前記用紙の所定の箇所に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、前記用紙を、紙送り方向に垂直に複数回紙折りする紙折り装置と、前記用紙を、紙送り方向に沿って1回紙折りする紙折り装置と、前記用紙を綴じ側から送り込み加圧して、紙面間の空気を追い出すローラ装置と、紙折りされた前記用紙を所定のサイズに断裁して小冊子にする断裁装置と、前記小冊子のUVニスを加熱する請求項1〜5のいずれか一項に記載のUVニス加熱装置と、加熱された前記小冊子を圧着する圧着装置とを備えている。
【0021】
更に、本発明に係る紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMを作成する方法は、用紙に印刷する工程と、前記用紙の圧着面にUVニスを塗工する工程と、UVニスを乾燥する工程と、前記用紙の所定の箇所に接着剤を塗布する工程と、前記用紙を、紙送り方向に垂直に複数回紙折りする工程と、前記用紙を、紙送り方向に沿って1回紙折りする工程と、前記用紙を綴じ側から送り込み加圧して、紙面間の空気を追い出す工程と、紙折りされた前記用紙を所定のサイズに断裁して小冊子にする工程と、前記小冊子に対し、上記いずれかに記載のUVニス加熱装置を利用して加熱する工程と、加熱された前記小冊子を圧着する工程とを含む。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、新規なDM用UVニス加熱装置及びこれを組み込んだDM作成システムを提供することができる。
【0023】
更に、本発明によれば、新規なDM用UVニス圧着加工方法及びこれを利用したDM作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1A】図1Aは、従来の4紙面タイプの圧着ハガキの例を説明する図である。
【図1B】図1Bは、従来の6紙面タイプの圧着ハガキの例を説明する図である。
【図1C】図1Cは、従来の往復タイプの圧着ハガキの例を説明する図である。
【図2】図2は、本出願人が現在開発中のDMの一例を説明する図である。
【図3】図3は、DM用UVニス加熱装置を利用したDM作成工程を説明するフローである。
【図4A】図4Aは、図2のDMの表面側の折り線及び接着剤塗布の箇所を説明する図である。
【図4B】図4Bは、図2のDMの裏面側の折り線及び接着剤塗布の箇所を説明する図である。
【図4C】図4Cは、図2のDMの紙折り後の状態を示す図である。
【図5】図5は、DM用UVニス加熱装置を説明する図である。
【図6】図6は、図2のDMの加湿方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るDM用UVニス加熱装置及びこれを組み込んだDM作成システムの実施形態に関して、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図面中、同じ要素に対しては同じ参照符号を付して、重複した説明を省略する。
【0026】
[従来の圧着ハガキの例]
図1A〜図1Cは、従来の圧着ハガキの例を説明する図である。現在、一般に広く使用されている圧着ハガキは、図1Aに示す4紙面タイプ、図1Bに示す6紙面タイプ、図1Cに示す往復タイプ等がある。
【0027】
図1Aに示す4紙面タイプは、2つ折りの圧着ハガキであり、通常ハガキの2〜3倍の情報量が掲載できる。裏面に情報が透けて見えないように地紋(ベタや絵柄)を入れて、機密性を確保している場合が多い。
【0028】
図1Bに示す6紙面タイプは、3つ折りの圧着ハガキであり、各種通知書等に使用されている。通常ハガキの4〜5倍の情報量が掲載できる。同様に、裏面に地紋を入れている場合が多い。
【0029】
図1Cに示す往復タイプは、往復ハガキ付きの2つ折りタイプの圧着ハガキである。往復ハガキの2倍の情報量が掲載できる。片側を切り取って、返信用ハガキとして利用する。
【0030】
[現在開発中のDMの概要]
更に、情報量を多くするためには、(i)紙面数を増加する、(ii)紙面サイズを大きくする、(iii)紙面数を増加すると共に紙面サイズを大きくする、のいずれかが必要になってくる。
【0031】
(i)紙面数を増加するアイデアに関しては、例えば、図1Bに示す6紙面タイプの紙面数を更に増加して、8紙面、10紙面、…として、蛇腹形式にすることが考えられる。蛇腹形式のDMでは、紙折り前の印刷用紙の長手方向の辺が非常に長くなり、一般に使用されているサイズの印刷用紙を使用することが出来ない。特殊サイズの印刷用紙は、コスト高となり、一般の利用には適さない。
【0032】
(ii)紙面サイズを大きくするアイデアは、簡易に採用可能な良いアイデアである。即ち、ハガキサイズDMより大きなA4サイズDMは、その面積比から、紙面単位で、圧着ハガキの情報量の4倍の情報量を掲載できる。このため、A4サイズDMには、ハガキサイズDMには掲載が困難な比較的複雑な図面、写真等が掲載できる利点がある。
【0033】
しかし、DMのサイズに関しては、郵送に必要な料金体系等の他の制約から、特定のサイズ(即ち、ハガキサイズ等)にする必要がある場合がある。
【0034】
上記(i)で説明したように、蛇腹形式では一般に使用されているサイズの印刷用紙を使用出来なくなるので、本出願人は、「中綴じ」形式でDMを作成することを目指している。更に、紙資源の再利用、金属針使用の危険性の観点より、金属針(ステイプラー(ホチキス)の針)を使用せずに、綴じ側の紙面端部を接着剤で綴じる方法を採用している。
【0035】
サイズに関しては、利用者のニーズに応じて、種々のサイズのDMを用意している。代表的には、ハガキサイズとA4サイズの2種類である。夫々のサイズにおいて、紙面枚数は8紙面、10紙面、12紙面、14紙面と増加し、現在は16紙面のDM作成に関する生産技術を開発中である。
【0036】
図2は、本出願人が現在開発中のDMの一例であって、16紙面から成る小冊子形式のDM1の斜視図である。表紙を紙面番号(1)とし、裏表紙を(16)とする。表紙(1)と同じ表向きの紙面を、順次、紙面番号(3)、(5)、(7)、(9)、(11)、(13)、(15)とする。これに対して、裏表紙である紙面番号(16)と同じ裏向きの紙面を、順次、紙面番号(2)、(4)、(6)、(8)、(10)、(12)、(14)とする。即ち、表紙である紙面番号(1)の裏面は紙面番号(2)であり、(3)の裏面は(4)であり、…(15)の裏面は裏表紙である紙面番号(16)である。
【0037】
従来の図1A〜1Cに示したような圧着ハガキでは、紫外線発生器からの紫外線を紙折り前の状態(展開した状態)の圧着ハガキに照射し、その直後に紙折りし、過熱された状態のまま圧着されている。UVニス乾燥機の紫外線発生器の代表例は、水銀ランプである。
【0038】
しかし、図2に示すような紙面枚数が多い場合、従来の図1A〜図1Cに示したような圧着ハガキで利用している印刷済み用紙に紫外線硬化型(UV)ニスを塗布し、小冊子状態に製本した後、圧着ハガキ専用のUVニス乾燥機を使用して乾燥して圧着しても、内部のシート間では十分な接着力が得られず、容易に剥離してしまうことが判明した。この現象は、UVニス塗工後、数時間〜数日間の時間を経て圧着した場合に顕著であった。
【0039】
図2の小冊子では、UV乾燥工程の後に製本工程がある。更に、「UVニス塗工工程及びUVニス乾燥工程」と、「紙折り工程、断裁工程及び圧着工程」とを別の場所で行う場合もある。
【0040】
製本工程後の複数枚のシートが重なった状態の小冊子形式のDM1に対して、通常のヒータを用いて加熱を行っても、DM1の内部に位置する紙面間(DMの厚さ方向の中間部にあるシート間)のUVニスは十分に加熱されない。UV乾燥工程で使用したUVニス乾燥機を再度使用して加熱しても同じである。通常のヒータからの熱線又はUVニス乾燥機の紫外線発生器からの紫外線は、紙面(6)と(7)に塗工されたUVニス及び紙面(10)と(11)に塗工されたUVニスに対して、外側から3枚のシートを介して作用する。同様に、紙面(8)と(9)に塗工されたUVニスに対して、外側から4枚のシートを介して作用する。このため、熱線や紫外線はシートを透過する毎に減衰するものと思われる。
【0041】
圧着DMでは、DMを受け取った者が剥離する時は容易に剥離することができ、郵送途中では安易に剥離しないような接着力が要求される。
【0042】
接着力の維持する1つの解決策として、圧着前に、複数台のヒータを用意して比較的長い時間加熱する方法がある。しかし、この方法では、加熱工程が長くなり、加熱時間も長くなる。シート枚数が更に多くなった場合には、この方法では根本的な解決策とならない。
【0043】
[DM作成工程]
図3は、小冊子形式のDM作成工程を説明するフローである。
【0044】
先ず、従来の図1A〜1Cに示したような圧着ハガキのDM作成工程を説明する。
【0045】
ステップS01で、用紙に情報が印刷される。ステップS02で、UVニスが塗工される。ステップS03で、UVニスがUVニス乾燥機の紫外線で乾燥される。ステップS05で紙折りされ、ステップS10で圧着される。紙折り前の展開した状態のDMをUVニス乾燥工程(ステップS03)で加熱し、直後に圧着(ステップS10)するので、圧着直前に更に加熱工程を設ける必要がない。
【0046】
これに対して、本実施形態の小冊子形式のDM1は、次の通りである。
【0047】
ステップS01で、用紙に印刷がされる。図4Aに示す小冊子1の表面側及び図4Bに示す裏面側の全ての紙面(1)〜(16)が印刷可能な情報面である。
【0048】
ステップS02で、UVニスが塗工される。図4Cに示すように表紙(1)及び裏表紙(16)を除いた、圧着される紙面(2)〜(15)の印刷面にUVニスが塗工される。なお、表紙(1)及び裏表紙(16)に対してもUVニスを塗工してもよい。
【0049】
ステップS03で、塗工されたUVニスは、通常の紫外線を利用したUVニス乾燥装置を利用して、乾燥処理される。紫外線発生器の代表例は、水銀ランプである。
【0050】
ステップS04で、接着箇所に接着剤が塗布される。図4Aに示す表面側では、接着剤塗布箇所4及び6に対して接着剤が塗布される。図4Bに示す裏面側では、接着剤塗布箇所8に対して接着剤が塗布される。
【0051】
ステップS05では、縦方向に複数回紙折りがされる。図4Aに示す第1谷折り線、第2山折り線、第3谷折り線で、紙送り方向に垂直に紙折りがされる。なお、図4Bでは、同じ紙折り線が、「谷折り」は「山折り」として、「山折り」は「谷折り」として示されている。
【0052】
ステップS06で、横方向に1回紙折りがされる。図4A及び4Bに示す第4折り線で、紙送り方向に沿った方向で紙折りがされる。図4Cは、紙折り後のDM1の状態を示している。
【0053】
ステップS07で、小冊子形式DMの紙面間の空気の追出しが行われる。具体的には、小冊子形式DMを、相互に押し付けられた回転する2本のローラ間に通して、UVニスを塗工したシート間を加圧する。図2に示す矢印の方向(小冊子DMの綴じ側を先頭)にローラ間に送ることで、加圧して圧着面から空気を追出し、シート間のエアボイドの発生を抑制する。同時に、ステップS05〜S06の紙折り部分を加圧し、ステップS04の接着剤塗布部の接着を完全なものとしている。
【0054】
ステップS08で、所定のサイズに断裁加工される。例えば、ハガキサイズやA4サイズに断裁加工される。
【0055】
ステップS09で、マグネトロンを利用したUVニスの加熱処理が行われる。UVニスの加熱処理には、次の4種類の方法がある。
【0056】
(1) マグネトロンを利用したマイクロ波加熱
マイクロ波加熱に関しては、この後の[マイクロ波加熱装置]の欄でまとめて詳細に説明する。このとき、ヒータを利用した加熱処理を併用してもよい。
【0057】
(2)DM1を加湿し、その後、上記(1)のマイクロ波加熱を行う。
【0058】
図6を参照されたい。マイクロ波加熱は、加熱対象物に含まれる水分の温度を上昇させる。そのため、図6(A)に示すように、搬送装置16で運ばれる小冊子型DM1のページをエアー20で捲りながら展開して霧吹き22で加湿する。或いは、図6(B)に示すように、搬送ワイヤ16aに吊り下げられた小冊子型DM1のページをエアー20で捲りながら展開し霧吹き22で加湿する。或いは、小冊子型DM1のページを開いた状態で、多湿空間(例えば、飽和水蒸気空間)に暫時放置して加湿してもよい。
【0059】
(3)小冊子型DM1をセラミックス敷き板に設置した状態で、上記(1)のマイクロ波加熱を行う。
【0060】
図5に示すように、上記(1)のマイクロ波加熱を行う際に、小冊子型DM1をセラミックス敷き板15の上に設置して行う。セラミックス敷き板15は、マイクロ波により高温に加熱されるので、小冊子型DM1は上方からはマイクロ波照射で加熱され、下方からは高温セラミックス15により加熱される。
【0061】
(4)小冊子型DM1を加湿し、その後、セラミックス敷き板に設置した状態で、上記(1)のマイクロ波加熱を行う。上記(2)と(3)の併用である。
【0062】
いずれの方法を採用するかは、小冊子型DM1の用紙の厚さ、紙質、頁数等に依って相違するので、何回かの試行を繰り返して決定される。
【0063】
ステップS10で、紙面間の圧着を行う。具体的には、小冊子形式DMを、相互に押し付けられた回転する2本のローラ間に通してUVニスを塗工したシート間を圧着する。このとき、ローラを加熱して、加熱圧着としてもよい。また、ステップS07で説明したように、小冊子DMの綴じ側を先頭にローラ間に送ることで、圧着面から空気を追出しを一層確実なものとしてもよい。
【0064】
このように、本実施形態によれば、マグネトロンを利用したUVニス加熱工程を設けることで、頁数の多い小冊子形式DMの圧着が可能となる。
【0065】
[マイクロ波加熱装置]
本発明者等は、圧着前のDM用UVニスを加熱処理するため、種々の実験を繰り返した。その結果、電子レンジを利用して加熱処理すると、極めて良い結果が得られることが分かった。
【0066】
電子レンジの原理は、マイクロ波加熱である。300MHz〜300GHzの電磁波の発生源として、マグネトロンが使われている。電子レンジは、電磁波の持つエネルギーで、食品などを加熱調理する調理器具である。電子レンジでは食品内部の分子にエネルギーを与え、主として分子運動とイオン運動によって加熱する。このため電磁波が透過するガラスや陶器は直接的には加熱されない。そのため、図2に示すような小冊子形式のDM1では、印刷済み用紙は加熱されず、DM用UVニスのみが選択的に均一に加熱されるものと思われる。
【0067】
図5は、圧着前のDM用UVニス加熱装置を説明する図である。DM用UVニス加熱装置10は、マイクロ波発生源であるマグネトロン12と、マグネトロンから発生するマイクロ波を攪拌させるスターラファン14と、圧着面にDM用UVニスが塗工された小冊子型DM1を設置するセラミックス製の敷き板15と、この敷き板を搬送する搬送手段(コンベア)16とを備えている。更に、必要に応じて、熱風を発生する通常のヒータ18を備えて、加熱してもよい。
【0068】
DM用UVニス加熱装置10は、装置単体のバッチ式でもよく、一連でDMを作成し得るDM作成システムに組み込んだシステムの一部であってもよい。
【0069】
マグネトロン12からは、300MHz〜300GHzの電磁波(マイクロ波)を発生する。マイクロ波出力は、0.1〜5kW程度である。
【0070】
同時に、熱線を併用してもよい。この場合、赤外線ランプで小冊子型DM1を照射する。或いは、熱風を併用してもよい。例えば、熱風としてヒータ18を使用する場合、ヒータ電力は5kW未満であり、最高温度は100〜140度Cに加熱される。
【0071】
[代替例その他]
以上、本発明に係るDM用UVニス加熱装置及びこれを組み込んだDM作成システムの実施形態に関して説明したが、本発明はこれに限定されない。本実施形態に関して、当業者が容易になしえる追加・削除・変更・改良は、本発明に含まれる。
【0072】
本発明の技術的範囲は、添付の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0073】
1:小冊子形式のDM,小冊子型DM、 12:マグネトロン、 14:スターラファン、 16:搬送装置、 15:セラミックス敷き板,高温セラミックス、 16a:搬送ワイヤ、 18:ヒータ、 20:エアー、 22:霧吹き、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMを圧着前に加熱するUVニス加熱装置において、
前記UVニス加熱装置は、マグネトロンを有するマイクロ波加熱装置であって、前記小冊子を構成する複数の紙面に夫々塗工されたUVニスを選択的に均一に加熱する、UVニス加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載のUVニス加熱装置は、更に、
熱風を発生するヒータを備えてマイクロ波加熱とヒータ加熱を併用する、UVニス加熱装置。
【請求項3】
請求項1に記載のUVニス加熱装置は、更に、
加湿手段を備え、マイクロ波加熱の前に前記UVニスを塗工した前記小冊子形式のDMの圧着面を加湿する、UVニス加熱装置。
【請求項4】
請求項1に記載のUVニス加熱装置は、更に、
セラミックス製の敷き板を備え、前記小冊子形式のDMを該敷き板の上に設置した状態でマイクロ波加熱を行う、UVニス加熱装置。
【請求項5】
請求項1に記載のUVニス加熱装置は、更に、
前記UVニスを塗工した圧着面を加湿する加湿手段と、
セラミックス製の敷き板とを備え、
マイクロ波加熱の前に、前記小冊子形式のDMの前記UVニスを塗工した圧着面を加湿し、
前記小冊子形式のDMを前記敷き板の上に設置した状態でマイクロ波加熱を行う、UVニス加熱装置。
【請求項6】
紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMの圧着前にUVニスを加熱する方法において、
マグネトロンを有するマイクロ波加熱装置を使用して、前記小冊子形式のDMを構成する複数の紙面に夫々塗工されたUVニスを選択的に均一に加熱する、UVニス加熱方法。
【請求項7】
請求項6に記載のUVニスを加熱する方法において、
更に、熱風を発生するヒータを併用して、前記小冊子を周囲からも加熱する、UVニス加熱方法。
【請求項8】
紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMを作成するシステムに於いて、
用紙に印刷する印刷装置と、
前記用紙の圧着面にUVニスを塗工するUVニス塗工装置と、
UVニスを乾燥するUVニス乾燥装置と、
前記用紙の所定の箇所に接着剤を塗布する接着剤塗布装置と、
前記用紙を、紙送り方向に垂直に複数回紙折りする紙折り装置と、
前記用紙を、紙送り方向に沿って1回紙折りする紙折り装置と、
前記用紙を綴じ側から送り込み加圧して、紙面間の空気を追い出すローラ装置と、
紙折りされた前記用紙を所定のサイズに断裁して小冊子にする断裁装置と、
前記小冊子のUVニスを加熱する請求項1〜5のいずれか一項に記載のUVニス加熱装置と、
加熱された前記小冊子を圧着する圧着装置とを備えた、DM作成システム。
【請求項9】
紫外線硬化型(UV)ニスを使用した圧着型の小冊子形式のDMを作成する方法に於いて、
用紙に印刷する工程と、
前記用紙の圧着面にUVニスを塗工する工程と、
UVニスを乾燥する工程と、
前記用紙の所定の箇所に接着剤を塗布する工程と、
前記用紙を、紙送り方向に垂直に複数回紙折りする工程と、
前記用紙を、紙送り方向に沿って1回紙折りする工程と、
前記用紙を綴じ側から送り込み加圧して、紙面間の空気を追い出す工程と、
紙折りされた前記用紙を所定のサイズに断裁して小冊子にする工程と、
前記小冊子に対し、請求項1〜5のいずれか一項に記載のUVニス加熱装置を利用して加熱する工程と、
加熱された前記小冊子を圧着する工程とを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−14277(P2011−14277A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−155106(P2009−155106)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(506308286)山陽アーチ株式会社 (3)
【Fターム(参考)】