説明

DMC触媒、その製造方法と利用

本発明は、溶媒または懸濁媒体としてのイオン性液体中でシアノメタラート化合物と金属塩とを反応させることを特徴とするDMC触媒の製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDMC触媒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
しばしばDMC触媒と呼ばれる多金属シアン化物化合物が、古くより知られており、文献中に、例えば米国特許3,278,457や米国特許5,783,513に記載されている。
【0003】
好ましくは、このような化合物は、官能性の出発物質にアルキレンオキシドを付加してポリエーテルアルコールを製造する触媒に利用される。これらのプロセスも公知である。 これらのDMC触媒は、多くの場合少なくとも一種の有機配位子の存在下で、金属塩の水溶液とシアノメタラートの水溶液とを反応させて製造される。このようにして得られた多金属シアン化物化合物は、分離、洗浄、乾燥させられる。
【0004】
水は触媒毒であり、上述のようにして製造されたDMC触媒では、複雑な乾燥工程で、できる限り完全に水を除去する必要がある。完全に脱水が必要なことが、製造工程を複雑としコストを上げることとなる。
【0005】
この欠点を克服するために、DMC触媒の製造を非水性媒体中で行うこともできる。
【0006】
このため、日本特許2003−103177は、無水の有機溶媒中で、例えばアルコール、エーテル、アミド、ニトリル、ケトン、アルデヒドまたはスルフイド中で行う、ハロゲン化金属(ZnX2)とシアノメタラートとからのDMC触媒の製造について述べている。その目的は、特に、従来の製造方法では避けられない残留水分量の変動がない、高活性の無水DMC触媒を製造することにある。このようにして製造されたDMC触媒は、少なくとも3個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを、H官能性出発物質に付加させるのに用いられる。
【0007】
米国特許6,429,166には、低沸点有機溶媒中での遷移金属塩とヘキサシアノ金属酸からのDMC触媒の製造が述べられている。有機溶媒でDMCを沈殿させた後、得られた懸濁液を、初めのアルコールと混合し、この有機溶媒を、好ましくは蒸留により除去する。このプロセスの欠点は、特に、蒸留がエネルギー多消費型であり、また爆発や引火の危険のため、非常に高い注意が必要であることである。また、このDMC触媒は単離されることがなく、常に比較的希薄な懸濁液として存在する。希薄触媒懸濁液の輸送はコスト増につながり、また安全上の注意がより必要多なるため、触媒を、使用現場で調整することが必要となる。また、触媒懸濁液を貯蔵すると容易に触媒が沈降する。したがって、触媒懸濁液を使用前に攪拌する必要があるが、堆積物が完全に均一に分散するとは限らず、攪拌さえできない場合もある。
【0008】
米国特許6,869,905B1には、非水溶液中での、複合シアノメタラートではない二種の遷移金属塩類とアルカリ金属シアン化物とからのDMC触媒の製造が記載されている。アルコールやカルボン酸などの高極性プロトン性溶媒、またはケトンやニトリル、ホルムアミド、スルホキシドなどの高極性非プロトン性溶媒が用いられている。アルカリ金属シアン化物を用いると、同様に高度に安全に注意が必要となる。
【0009】
WO2006/117364には、シアノ金属酸を金属塩MRWまたはMRWV(式中、Rは、非常に弱い酸(pKa≧20)のアニオンであり、wはほぼ1である)と反応させるDMC触媒の製造が記載されている。したがって、塩化亜鉛や酸化亜鉛またはカルボン酸亜鉛などの、通常用いられる亜鉛塩はすべて、出発原料から排除される。用いる金属塩は、通常ジエチル亜鉛などの亜鉛塩である。このようにして製造されたDMC触媒は、好ましくはH官能性開始剤の、特に単官能性アルコールのアルキレンオキシドとの反応に用いられる。
【0010】
DMC触媒を用いてポリエーテルアルコールを製造する際のもう一つの問題は、純粋なエチレンオキシドの付加反応が非常に難しく、通常使用不可能な製品を与えることである。純粋なエチレンオキシドの末端ブロックを有するポリエーテルアルコールは、ポリウレタン製造においていろいろな用途で必要であり、このような製品をDMC触媒で製造したいというニーズがある。
【0011】
WO2004/105944には、エマルジョンから沈殿させてDMC触媒を製造するプロセスが開示されている。この沈澱エマルジョンは、水不溶性溶媒、例えば炭化水素または高級アルコール中に、金属塩の水溶液(好ましくは塩化亜鉛)とヘキサシアノコバルト酸の水溶液とを含んでいる。これらの触媒は、高分子鎖末端にエチレンオキシドを付加させるのに使用されるという。
【0012】
このDMC触媒の製造方法の欠点は、後処理を除いても反応時間が約20時間と長いことである。もう一つの欠点は、マイクロエマルジョンからの析出には、大きな反応容量が必要であることである。従来のDMC合成法と比べ、このマイクロエマルジョンの製造は、一つ過剰の加工工程となる。また、エマルジョンからの析出には、エマルジョンの製造、分解の両方で、有機溶媒の使用が必要となり、また、より大きな安全上の注意や廃棄物処理が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、水を使う必要がなく、実施が容易で、新たな加工工程の追加が必要でないDMC触媒の製造方法であって、高触媒活性のDMC触媒が得られるものを提供することである。また、これらの触媒を用いたポリエーテルアルコールの製造の際に、エチレンオキシドの付加反応が可能でなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本目的は、驚くべきことに、DMC触媒の製造においてイオン性液体を溶媒または懸濁媒体として用いることで達成可能であった。
【0015】
クラベルらの「室温イオン性液体を用いるシアノ架橋の磁性ナノ粒子の合成」、Chem. Eur. J. 2006, 12, 3798−3803には、コロイド状懸濁液中に存在する磁性ナノ材料の製造方法が述べられている。ここでは、テトラフルオロホウ酸をアニオンとして含むイオン性液体中で金属塩とシアノメタラート(metalate)とが反応させられる。しかしながらテトラフルオロホウ酸含有化合物は、アルキレンオキシドの付加反応用の触媒として用いられる多金属シアン化物化合物には、好適とはいえない。イオン性液体から、この方法で得られた粒子を分離使用としても不可能である。このような多金属シアン化物化合物のイオン性液体中のコロイド状懸濁液は、したがってアルキレンオキシドの付加反応用の触媒としての多金属シアン化物化合物の用途には不適当である。また、テトラフルオロホウ酸アニオンは、適当な求核剤、例えば微量の水の存在下ではあるいは高温では不安定であり、高温ではフルオライドとBF3に分解してアルコキシル化反応に悪影響を及ぼすことがある。フルオライドは、毒性が高いため不純物として望ましくなく、BF3は、アルコキシル化触媒として作用し、望ましくない副反応を触媒する。
【0016】
したがって、本発明は、溶媒または懸濁媒体としてのイオン性液体中でシアノメタラート化合物と金属塩とを反応させることを特徴とするDMC触媒の製造方法を提供する。
【0017】
本発明はまた、本発明の方法で製造したDMC触媒を提供する。
【0018】
本発明はまた、本発明の方法により製造したDMC触媒の、H官能性出発物質にアルキレンオキシドを付加させてポリエーテルアルコールを製造する際の触媒としての利用を提供する。
【0019】
本発明はまた、本発明のDMC触媒を触媒に用いて、H官能性出発物質に触媒的にアルキレンオキシドを付加させてポリエーテルアルコールを製造する製造方法を提供する。
【0020】
本発明はまた、本発明のDMC触媒を触媒に用いて、また添加反応の少なくとも一部において、純粋なエチレンオキシドをアルキレンオキシドとして用いて、H官能性出発物質に触媒的にアルキレンオキシドを付加させてポリエーテルアルコールを製造する製造方法を提供する。
【0021】
本発明の目的において、イオン性液体とは、少なくとも一個のカチオン性中心と少なくとも一個のアニオン性中心を持つ、特に少なくとも一種のカチオンと少なくとも一種のアニオンを持つ化合物で、そのイオンの一つが、特にカチオンが有機イオンであるものである。
【0022】
本発明の目的において、イオン性液体は、一般式(I)で表される(A)塩である。
【0023】
【化1】

【0024】
式中、nは、1、2、3または4であり、[A]+は、四級アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、またはホスホニウムカチオンであり、[Y]n-は、一価、二価、三価または四価のアニオンある;あるいは
一般式(II)で表される混合塩(B):
【0025】
【化2】

【0026】
式中、[A1+と[A2+と[A3+と[A4+は、独立して、[A]+に対して述べた基から選ばれ、[Y]n-は、(A)の場合と同様に定義される;または
一般式(III)で表される混合塩(C):
【0027】
【化3】

【0028】
式中、[A1+と[A2+と[A3+は、独立して、[A]+に対して述べた基から選ばれ、[Y]n-は、(A)の場合と同様に定義され;[M1+と[M2+と[M3+は、一価の金属カチオンであり、[M42+は、二価の金属カチオンであり、[M53+は、三価の金属カチオンである。
【0029】
これらのイオン性液体は、好ましくは180℃未満の融点を持つ。さらに好ましくは、この融点が、−50℃から150℃の範囲であり、より好ましくは−20℃〜120℃の範囲、さらに好ましくは−20℃〜<100℃の範囲である。イオン性液体のカチオン[A]の形成に好適な化合物が、例えばDE10202838A1により知られている。このような化合物は、酸素、リン、硫黄、または特に窒素原子を含んでいてもよく、例えば少なくとも一個の窒素原子を、好ましくは1〜10個の窒素原子、特に好ましくは1〜5個、極めて好ましくは1〜3個、特に1個または2個の窒素原子を含んでいてもよい。好適なら、酸素、硫黄または燐原子などの他のヘテロ原子が含まれていてもよい。窒素原子は、イオン性液体のカチオンの正電荷の好適な担体であり、電気的に中性の分子を作るために、ここからプロトンまたはアルキル基がアニオンに転移される。
【0030】
窒素原子がイオン性液体のカチオンの正電荷の担体である場合、イオン性液体の合成の際に、窒素原子の、例えばアミンまたは窒素複素環の四級化により、このカチオンをまず合成することができる。この四級化は、窒素原子のアルキル化で行うことができる。用いるアルキル化試薬によっては、異なるアニオンを持つ塩が得られる。所望のアニオンを四級化で直接形成することができない場合は、これを異なる合成工程で行ってもよい。例えば、アンモニウムハライドから出発し、ハライドをルイス酸と反応させ、このハライドとルイス酸とから錯アニオンを形成させることもできる。もう一つの方法は、ハライドイオンを所望のアニオンで置換することである。これは、イオン交換体による金属塩の添加とそれに伴って生成するハロゲン化金属の析出、あるいはハライドイオンの強酸による(ハロ酸の遊離を伴う)置換により行われる。好適なプロセスが、例えば、Angew.CHem. 2000, 112、pp. 3926−3945、およびそこに引用される参考文献に記載されている。
【0031】
アミンまたは窒素複素環中の窒素原子が四級化に用いられる適当なアルキル基は、C1−C18−アルキル、好ましくはC1−C10−アルキル、特に好ましくはC1−C6−アルキル、極めて好ましくはメチルである。このアルキル基は、無置換であっても、一種以上の同じまたは異なる置換基を有していてもよい。
【0032】
カチオンとしては、少なくとも一個の窒素原子を、適当なら酸素または硫黄原子を有する少なくとも一種の五員または六員の複素環、特に五員複素環を含む化合物が好ましい。
特に好ましいのは、一個、二個または三個の窒素原子と、一個の硫黄または酸素原子を持つ少なくとも一種の5員または6員の複素環を含む化合物であり、極めて好ましいのは、二個の窒素原子を持つものである。ピリジニウムやピリダジニウム、ピリミジニウム、ピラジニウム、イミダゾリウム、ピラゾリウム、ピラゾリニウム、イミダゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、ピロリジニウム、イミダゾリジニウムなどの芳香族複素環が好ましい。
【0033】
これらの化合物のなかで、分子量が1000g/mol未満のカチオンが好ましく、
500g/mol未満が極めて好ましく、特に250g/mol未満が好ましい。
【0034】
また、式(IVa)〜式(IVw)の化合物の中から選ばれるカチオン、
【0035】
【化4】

【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

および、これらの構造を有するオリゴマーが好ましい。
【0038】
他の好適なカチオンは、一般式(IVx)〜(IVy)の化合物、
【0039】
【化7】

およびこれらの構造のオリゴマーである。
【0040】
上記の式(IVa)〜式(IVy)において、
−R基は、水素、または無置換であっても1〜5個のヘテロ原子または官能基で中断または置換されていてもよい、1〜20個の炭素原子を有する炭素を含有する有機の飽和又は不飽和の非環式または環状の脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基であり、
−R1基〜R9基は、それぞれ相互に独立して、水素、スルホ基または無置換であっても1〜5個のヘテロ原子または官能基で中断または置換されていてもよい、合計で1〜20個の炭素原子を有する有機の飽和又は不飽和の非環式または環状の脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基であり、なお、炭素原子(ヘテロ原子でない)に結合している上述の式(IV)で表されR1基〜R9基は、ハロゲンまたは官能基であってもよい;または隣接する二つのR1基〜R9基は、共になって、1〜30個の炭素原子を有し、無置換であっても1〜5個のヘテロ原子または官能基で中断または置換されていてもよい、二価の炭素を含有する有機の飽和又は不飽和の非環式または環状の脂肪族、芳香族または芳香脂肪族基を形成してもよい。
【0041】
RとR1〜R9の基の定義において、可能なヘテロ原子は、原理的には、−CH2−、−CH=、−C≡または=C=基を形式的に置換可能なあらゆるヘテロ原子である。上記の炭素含有基がヘテロ原子を含む場合、酸素、窒素、硫黄、リン、およびケイ素が好ましい。好ましい基として述べることのできるのは、特に、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−NR’−、−N=、−PR’−、−PR’2、及びSiR’2−である。なお、式中のR’基は、いずれの場合も炭素含有基の残りの部分である。上述の式(IV)中のR1基〜R9基が炭素原子(ヘテロ原子でない)に結合している場合、これらはヘテロ原子にも直接結合していてもよい。
【0042】
可能な官能基は、原理的には、炭素原子またはヘテロ原子に結合可能なすべての官能基である。好適な基の例としては、−OH(ヒドロキシ)、=O(特に、カルボニル基として)、−NH2(アミノ)、=NH(イミノ)、−COOH(カルボキシ)、−CONH2(カルボキサミド)、−SO3H(スルホ)、及びCN(シアノ)である。官能基とヘテロ原子が直接隣接して、複数の隣接原子の結合が、例えば−O−(エーテル)、−S−(チオエーテル)、−COO−(エステル)、−CONH−(第二級アミド)または−CONR’−(第三級アミド)が含まれていてもよく、その例としては、ジ−(C1−C4−アルキル)アミノ、C1−C4−アルキルオキシカルボニル、またはC1−C4−アルキルオキシがあげられる。
【0043】
好ましいハロゲンは、フッ素と、塩素、臭素、ヨウ素である。
【0044】
R基は、好ましくは
−非置換であっても、一種以上のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、C1−C6−アルコキシカルボニル及び/又はスルホン酸基で置換されていてもよく、合計で1〜20個の炭素原子を有する、非分岐状または分岐状のC1−C18−アルキル基であり、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル、ウンデシルフルオロイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、およびプロピルスルホン酸であり;
−グリコール類、ブチレングリコール類および単位数が1〜100で、水素またはC1−C8−アルキル基を末端基として有するこれらのオリゴマーに由来する基であり、
例えば、RAO−(CHRB−CH2−O)n−CHRB−CH2−またはRAO−(CH2CH2CH2CH2O)n−CH2CH2CH2CH2O−、(なお式中、RAとRBは、好ましくはそれぞれ、水素、メチルまたはエチルであり、nは好ましくは0〜3である)、特に3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル、および3,6,9,12−テトラオキサテトラデシルであり;
−ビニルであり;また
N,N−ジ−C1−C6−アルキルアミノ、例えばN,N−ジメチルアミノやN,N−ジエチルアミノである。
【0045】
R基は、特に好ましくは、非分岐で無置換のC1−C18−アルキル基であり、例えばメチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−デシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシルであり、特にメチル、エチル、1−ブチル、および1−オクチル、または、CH3O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−基とCH3CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−基(式中、nはO〜3である)である。
【0046】
1基〜R9基のそれぞれが、相互に独立して、以下の基であることが好ましい:
−水素;
−ハロゲン;
−官能基、特に上述の官能基;
【0047】
−必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよく、及び/又は一個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の置換又は非置換のイミノ基で中断されていてもよいC1−C18−アルキル基;
【0048】
−必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよく、及び/又は一個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の置換又は非置換のイミノ基で中断されていてもよいC2−C18−アルケニル基;
【0049】
−必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC6−C12−アリール基;
【0050】
−必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC5−C12−シクロアルキル基;
【0051】
−必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC5−C12−シクロアルケニル基;または
【0052】
−必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよい、酸素、窒素及び/又は硫黄を含有する五員または六員複素環基;または
二個の隣接する基が、
【0053】
−必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよく、必要に応じて一個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の置換又は非置換のイミノ基で中断されていてもよい不飽和環、飽和環または芳香族環基を形成してもよい。
【0054】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC1−C18−アルキルは、好ましくは、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−トリデシル、1−テトラデシル、1−ペンタデシル、1−ヘキサデシル、1−ヘプタデシル、1−オクタデシル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、ベンジル(フェニルメチル)、ジフェニルメチル(ベンズヒドリル)、トリフェニルメチル、1−フェニルエチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、α,α−ジメチルベンジル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)エチル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサン−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、3−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチル、6−エトキシヘキシル、アセチル、Cn2(n-a)+(1-b)2a+b(式中、nは1〜30、0≦a≦n、bは0または1であり、例えば、CF3、C25、CH2CH2−C(n-2)2(n-2)+1、C613、C817、C1021、C1225)、クロロメチル、2−クロロエチル、トリクロロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、メトキシメチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、2−メトキシイソプロピル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−ジオキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニル、または14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
【0055】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよく、及び/又は一個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の置換又は非置換のイミノ基で中断されていてもよいC2−C18−アルケニル基は、好ましくは、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、シス−2−ブテニル、トランス2−ブテニル、またはCn2(n-a)(i-b)2a-b(式中、n≦30、0≦a≦n、またb=0または1)である。
【0056】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC6−C12−アリール基は、好ましくは、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシロキシ、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−ニトロフェニル、4−ニトロフェニル、2,4−ジニトロフェニル、2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニル、エトキシメチルフェニル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニル、またはtert−ブチルチオフェニル、またはC6(5-a)a(式中、0≦a≦5)である。
【0057】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC5−C12−シクロアルキル基は、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、シクロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、Cn2(n-a)-(1-b)2a-b(式中、n≦30、0≦a≦n、またb=0または1)、または飽和又は不飽和のビシクロ系、例えばノルボルニルまたはノルボルネニルである。
【0058】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC5−C12−シクロアルケニル基は、好ましくは、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、またはCn2(n-a)-3(1-b)2a-3b(式中、n≦30、0≦a≦n、またb=0または1)である。
【0059】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよい酸素、窒素及び/又は硫黄を含有する五員または六員複素環は、好ましくは、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンズオキサゾリル、ジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、またはジフルオロピリジルである。
【0060】
二個の隣接する基が、必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよく、必要に応じて一個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の置換又は非置換のイミノ基で中断されていてもよい不飽和環、飽和環または芳香族環基を形成する場合、この基は、好ましくは1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロペニレン、3−オキサ−1,5−ペンチレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、または2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンである。
【0061】
上述の基が、酸素及び/又は硫黄原子及び/又は置換又は非置換のイミノ基を含む場合、その酸素及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数には特に制限がない。一般に、この基の数は、5より大きくなく、好ましくは4より、極めて好ましくは3より大きくない。
【0062】
上述の基が複数のヘテロ原子を含む場合、それぞれ二個のヘテロ原子間には、一般に少なくとも一個の炭素原子、好ましくは少なくとも二個の炭素原子が介在している。
【0063】
1基〜R9基はそれぞれ独立して、次の基であることが特に好ましい。
【0064】
−水素;
−非置換であっても、一種以上のヒドロキシ、ハロゲン、フェニル、シアノ、C1−C6−アルコキシカルボニル及び/又はスルホン酸基で置換されていてもよく、合計で1〜20個の炭素原子を有する、非分岐状または分岐状のC1−C18−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、1−ヘプチル、1−オクチル、1−ノニル、1−デシル、1−ウンデシル、1−ドデシル、1−テトラデシル、1−ヘキサデシル、1−オクタデシル、2−ヒドロキシエチル、ベンジル、3−フェニルプロピル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、ノナフルオロブチル、ノナフルオロイソブチル、ウンデシルフルオロペンチル、ウンデシルフルオロイソペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、及びプロピルスルホン酸;
【0065】
−グリコール類、ブチレングリコール類および単位数が1〜100で、水素またはC1−C8−アルキル基を末端基として有するこれらのオリゴマーに由来する基、
【0066】
例えば、RAO−(CHRB−CH2−O)n−CHRB−CH2−またはRAO−(CH2CH2CH2CH2O)n−CH2CH2CH2CH2O−(なお式中、RAとRBは、好ましくはそれぞれ、水素、メチルまたはエチルであり、nは好ましくは0〜3である)、特に3−オキサブチル、3−オキサペンチル、3,6−ジオキサヘプチル、3,6−ジオキサオクチル、3,6,9−トリオキサデシル、3,6,9−トリオキサウンデシル、3,6,9,12−テトラオキサトリデシル、および3,6,9,12−テトラオキサテトラデシル;
−ビニル;および
−N,N−ジ−C1−C6−アルキルアミノ、例えばN,N−ジメチルアミノおよびN,N−ジエチルアミノ。
【0067】
極めて好ましくは、R1基〜R9基は、それぞれ独立して、水素またはC1−C18−アルキル基(例えばメチル、エチル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−ヘプチル、1−オクチル)、フェニル、2−ヒドロキシエチル、2−シアノエチル、2−(メトキシカルボニル)−エチル、2−(エトキシカルボニル)エチル、2−(n−ブトキシカルボニル)エチル、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、塩素。またはCH3O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−またはCH3CH2O−(CH2CH2O)n−CH2CH2−(式中、nは0〜3である)である。
【0068】
極めて好ましいピリジニウムイオン(IVa)は、その中で
−R1基〜R5基の一つが、メチル、エチル、または塩素であり、
1基〜R5基の他の基がそれぞれ水素であるもの;
−R3がジメチルアミノで、他の基R1とR2、R4、R5がそれぞれ水素であるもの;
−すべての基R1〜R5が水素であるもの;
−R2がカルボキシまたはカルボキサミドで、残る基R1とR2、R4、R5がそれぞれ水素であるもの;または
−R1とR2またはR2とR3が、一緒になって1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであり、残る基R1とR2、R4、R5がそれぞれ水素であるもの;であり、
特に
−R1基〜R5基がそれぞれ水素であるもの;または
−R1基〜R5基の一つがメチルまたはエチルであり、残る基R1〜R5がそれぞれ水素であるものである。
【0069】
極めて好ましいピリジニウムイオン(IVa)としては、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、および1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウムがあげられる。
【0070】
極めて好ましいピリダジニウムイオン(IVb)は、その中で
−R1基〜R4基がそれぞれ水素であるもの;または
−R1基〜R4基の一つがメチルまたはエチルであり、残る基R1〜R4がそれぞれ水素であるものである。
【0071】
極めて好ましいピリミジニウムイオン(IVc)は、その中で、
−R1基が水素、メチルまたはエチルであり、R2〜R4がそれぞれ、相互に独立して水素またはメチルであるもの;または
−R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2とR4がそれぞれメチルであり、R3が水素であるものである。
【0072】
極めて好ましいピラジニウムイオン(IVd)は、その中で
−R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2〜R4がそれぞれ、相互に独立して水素またはメチルであるもの;
−R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2〜R4がそれぞれメチルであり、R3が水素であるもの;
−R1〜R4がそれぞれメチルであるもの;または
−R1〜R4がそれぞれメチルまたは水素であるものである。
【0073】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)は、その中で
−R1が水素、メチル、エチル、1−プロピル、1−ブチル、1−ペンチル、1−ヘキシル、1−オクチル、2−ヒドロキシエチルまたは2−シアノエチルであり、R2〜R4がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチルまたはエチルであるものである。
【0074】
極めて好ましいイミダゾリウムイオン(IVe)としては、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−エチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−ブチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−オクチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、および1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムがあげられる。
【0075】
極めて好ましいピラゾリウムイオン(IVf)、(IVg)、(IVg’)は、その中で
−R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2〜R4がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0076】
極めて好ましいピラゾリウムイオン(IVh)は、その中で、
−R1〜R4がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0077】
極めて好ましい1−ピラゾリニウムイオン(IVi)は、その中で
−R1〜R6がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0078】
極めて好ましい2−ピラゾリニウムイオン(IVj)と(IVj’)は、その中で、
−R1が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2〜R6がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0079】
極めて好ましい3−ピラゾリニウムイオン(IVk)と(IVk’)は、その中で、
−R1とR2がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R3〜R6がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0080】
極めて好ましいイミダゾリニウムイオン(IVI)は、その中で、
−R1とR2がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチル、エチル、1−ブチルまたはフェニルであり、R3とR4がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチルまたはエチルであり、R5とR6がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0081】
極めて好ましいイミダゾリニウムイオン(IVm)と(IVm’)は、その中で、
−R1とR2がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチルまたはエチルであり、R3〜R6がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0082】
極めて好ましいイミダゾリニウムイオン(IVn)と(IVn’)は、その中で、
−R1〜R3がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチルまたはエチルであり、R4〜R6がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0083】
極めて好ましいチアゾリウムイオン(IVo)と(IVo’)及びオキサゾリウムイオン(IVp)は、その中で、
−R1が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2とR3がそれぞれ、相互に独立して水素またはメチルであるものである。
【0084】
極めて好ましい1,2,4−トリアゾリウムイオン(IVq)、(IVq’)、(IVq”)は、その中で、
−R1とR2がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R3が水素、メチルまたはフェニルであるものである。
【0085】
極めて好ましい1,2,3−トリアゾリウムイオン(IVr)、(IVr’)、(IVr”)は、その中で、
−R1が水素、メチルまたはエチルであり、R2とR3がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるか、R2とR3とが一緒になって1,4−ブタ−1,3−ジエニレンであるものである。
【0086】
極めて好ましいピロリジニウムイオン(IVs)は、その中で、
−R1が水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2〜9がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0087】
極めて好ましいイミダゾリジニウムイオン(IVt)は、その中で、
−R1とR4がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチル、エチルまたはフェニルであり、R2とR3、またR5〜R8がそれぞれ、相互に独立して、水素またはメチルであるものである。
【0088】
極めて好ましいアンモニウムイオン(IVu)は、その中で、
−R1〜R3がそれぞれ、相互に独立して、C1−C18−アルキルであるもの;またはR1とR2が一緒になって1,5−ペンチレンまたは3−オキサ−1,5−ペンチレンであり、R3がC1−C18−アルキル、2−ヒドロキシエチルまたは2−シアノエチルであるものである。
【0089】
極めて好ましいアンモニウムイオン(IVu)としては、メチルトリ(1−ブチル)アンモニウムやN,N−ジメチルピペリジウム、N,N−ジメチルモルホリニウムがあげられる。
【0090】
上述の基Rによる四級化により一般式(IVu)の4級アンモニウムイオンを得ることのできる第三級アミンの例としては、ジエチル−n−ブチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジエチル−n−ペンチルアミン、ジエチルヘキシルアミン、ジエチルオクチルアミン、ジエチル(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−プロピルブチルアミン、ジ−n−プロピル−nペンチルアミン、ジ−n−プロピルヘキシルアミン、ジ−n−プロピルオクチルアミン、ジ−n−プロピル(2−エチルヘキシル)アミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソプロピル−n−プロピルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジイソプロピルペンチルアミン、ジイソプロピルヘキシルアミン、ジイソプロピルオクチルアミン、ジイソプロピル−(2−エチルヘキシル)アミン、ジ−n−ブチルエチルアミン、ジ−n−ブチル−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、ジ−n−ブチルヘキシルアミン、ジ−nブチルオクチルアミン、ジ−n−ブチル(2−エチルヘキシル)アミン、N−n−ブチルピロリジン、N−sec−ブチルピロリジン、N−tert−ブチルピロリジン、N−n−ペンチルピロリジン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン、N−n−プロピルピペリジン、N−イソプロピルピペリジン、N−n−ブチルピペリジン、N−sec−ブチルピペリジン、N−tert−ブチルピペリジン、N−n−ペンチルピペリジン、N−n−ブチルモルホリン、N−sec−ブチルモルホリン、N−tert−ブチルモルホリン、N−n−ペンチルモルホリン、N−ベンジル−n−エチルアニリン、N−ベンジル−N−n−プロピルアニリン、N−ベンジル−N−イソプロピルアニリン、N−ベンジル−N−n−ブチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N.N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ−n−ブチル−p−トルイジン、ジエチルベンジルアミン、ジ−n−プロピルベンジルアミン、ジ−n−ブチルベンジルアミン、ジエチルフェニルアミン、ジ−n−プロピルフェニルアミン、およびジ−n−ブチルフェニルアミンがあげられる。
【0091】
好ましい第三級アミン(IVu)は、ジイソプロピルエチルアミン、ジエチル−tert−ブチルアミン、ジイソプロピルブチルアミン、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミン、N,N−ジ−n−ブチルシクロヘキシルアミン、およびペンチル異性体由来の第三級アミンである。
【0092】
特に好ましい第三級アミンは、ジ−n−ブチル−n−ペンチルアミンとペンチル異性体由来の第三級アミンである。さらに好ましい三個の同一の基を持つ第三級アミンは、トリアリルアミンである。
【0093】
極めて好ましいグアニジニウムイオン(IVv)は、その中で、
−R1〜R5がそれぞれメチルであるものである。
【0094】
極めて好ましいグアニジニウムイオン(IVv)としては、N,N,N’,N’,N”,N”−ヘキサメチルグアニジニウムがあげられる。
【0095】
極めて好ましいコリニウムイオン(IVw)は、その中で、
−R1とR2がそれぞれ、相互に独立して、メチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルであり、R3が水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であるもの;
−R1がメチル、エチル、1−ブチルまたは1−オクチルであり、R2が、−CH2−CH2−OR4基であり、R3とR4がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であるもの;または
−R1が、−CH2−CH2−OR4基であり、R2が、−CH2−CH2−OR5基であり、R3〜R5がそれぞれ、相互に独立して、水素、メチル、エチル、アセチル、−SO2OHまたは−PO(OH)2であるものである。
【0096】
特に好ましいコリニウムイオン(IVw)は、その中で、
−R3が、水素、メチル、エチル、アセチル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニルまたは14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルから選ばれるものである。
【0097】
極めて好ましいホスホニウムイオン(IVx)は、その中で、
−R1〜R3がそれぞれ、相互に独立して、C1−C18−アルキル、特にブチル、イソブチル、1−ヘキシルまたは1−オクチルであるものである。
【0098】
上述の複素環式カチオンの中では、ピリジニウムイオンや、ピラゾリニウムイオン、ピラゾリウムイオン、イミダゾリニウムイオン、イミダゾリウムイオンが好ましい。アンモニウムイオンも好ましい。
【0099】
特に好ましいのは、1−メチルピリジニウム、1−エチルピリジニウム、1−(1−ブチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(1−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ヘキシル)ピリジニウム、1−(i−オクチル)ピリジニウム、1−(1−ドデシル)ピリジニウム、1−(1−テトラデシル)ピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)ピリジニウム、1,2−ジメチルピリジニウム、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチルピリジニウム、1−メチル−2−エチルピリジニウム、1,2−ジエチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−エチルピリジニウム、1,2−ジメチル−5−エチルピリジニウム、1,5−ジエチル−2−メチルピリジニウム、1−(1−ブチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−オクチル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ドデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−テトラデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−(1−ヘキサデシル)−2−メチル−3−エチルピリジニウム、1−メチルイミダゾリウム、1−エチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)イミダゾリウム、1−(1−オクチル)イミダゾリウム、1−(1−ドデシル)イミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)イミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)イミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ドデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−テトラデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキサデシル)−3−メチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ブチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−ヘキシル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−(1−オクチル)−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−エチルイミダゾリウム、3−ブチルイミダゾリウム、1,4−ジメチル−3−オクチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−エチルイミダゾリウム、1,4,5−トリメチル−3−ブチルイミダゾリウム、および1,4,5−トリメチル−3−オクチルイミダゾリウムである。
【0100】
式(IIIa)〜(IIIj)中に述べた金属カチオン[M1+、[M2+、[M3+、[M42+および[M53+は、一般的には周期律表の第1、2、6、7、8、9、10、11、12、13族の金属カチオンである。好適な金属カチオンとしては、例えば、Li+や、Na+、K+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Cr3+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Ag+、Zn2+、Al3+があげられる。
【0101】
アニオンとしては、原理的にはすべてのアニオンを使用することができる。
【0102】
イオン性液体のアニオン[Y]n-は、例えば、次のものから選ばれる。
【0103】
−次式で表されるハロゲン化物及びハロゲン含有化合物類:Cl-、Br-、I-、AlCl4-、Al2Cl7-、Al3Cl10-、AlBr4-、FeCl4-、BCl4-、ZnCl3-、SnCl3-、CuCl2-,−CF3SO3-、(CF3SO32-、CF3CO2-、CCl3CO2-、CN-、SCN-、OCN-
【0104】
−次の一般式で表される硫酸塩、亜硫酸塩、およびスルホン酸塩類:SO42-、HSO4-、SO32-、HSO3-、RaOSO3-、RaSO3-
【0105】
−次の一般式で表されるリン酸塩類:
PO43-、HPO42-、H2PO4-、RaPO42-、HRaPO4-、RabPO4-
【0106】
−次の一般式で表されるホスホン酸塩やホスフィン酸塩類:
aHPO3-、RabPO2-、RabPO3-
【0107】
−次の一般式で表される亜リン酸塩類:
PO33-、HPO32-、H2PO3-、RaPO32-、RaHPO3-、RabPO3-
【0108】
−次の一般式で表されるホスホナイト類およびホスフィナイト類:
abPO2-、RaHPO2-、RabPO-、RaHPO-
【0109】
−次の一般式で表されるカルボン酸類:
aCOO-
【0110】
−次の一般式で表されるホウ酸塩類:
BO33-、HBO32-、H2BO3-、RabBO3-、RaHBO3-、RaBO32-、B(ORa)(ORb)(ORc)(ORd-、B(HSO4-、B(RaSO4)、なお、テトラフルオロホウ酸は、アニオンから除かれる、
【0111】
−次の一般式で表されるボロネート類:
aBO22-、RabBO-
【0112】
−次の一般式で表されるカルボン酸塩及びカルボン酸エステル類:
HCO3-、CO32-、RaCO3-
【0113】
−次の一般式で表されるケイ酸塩及びケイ酸エステル類:
SiO44-、HSiO43-、H2SiO42-、HaSiO4-、RaSiO43-、RabSiO42-、RabcSiO4-、HRaSiO42-、H2RaSiO4-、HRabSiO4-
【0114】
−次の一般式で表されるアルキルシランまたはアリールシラン塩類:
aSiO33-、RabSiO22-、RabcSiO-、RabcSiO3-、RabcSiO2-、RabSiO32-
【0115】
−次の一般式で表されるカルボイミド、ビス(スルホニル)イミド、およびスルホニルイミド類:
【0116】
【化8】

【0117】
次の一般式で表されるメチド類:
【0118】
【化9】

【0119】
−次の一般式で表されるアルコキシドとアリールオキシド類:
a-
【0120】
−次の一般式で表されるハロ金属酸塩類:
[MqHalrs-
【0121】
式中、Mは金属であり、Halは塩素、臭素またはヨウ素であり、qとrは正の整数で、複合体の化学量論を示し、sは正の整数で、複合体上の電荷を示す;
【0122】
−次の一般式で表されるスルフィド、ハイドロゲンスルフィド、ポリスルフィド、ハイドロゲンポリスルフィド、チオラート類:
2-、HS-、[Sv2-、[HSv-、[RaS]-
【0123】
式中、Vは、2〜10の正の整数である;
【0124】
−Fe(CN)63-、Fe(CN)64-、MnO4−、Fe(CO)4-などの複合金属イオン類。
【0125】
これらの式において、RaとRbとRcとRdがそれぞれ、相互に独立して、水素、C1−C30−アルキル、C2−C18−アルキル、必要に応じて一個以上の非隣接の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の置換又は非置換のイミノ基で中断されていてもよい、C6−C14−アリール、C5−C12−シクロアルキルまたは酸素、窒素及び/又は硫黄を含有する五員または六員複素環であり、うち二つの基が一緒になって、必要に応じて一個以上の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の非置換又は置換のイミノ基で中断されていてもよい不飽和環、飽和環または芳香族環を形成してもよく、また、上記の基は、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよい。
【0126】
なお、必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC1−C18−アルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,4,4−トリメチルペンチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、1,1−ジメチルプロピル、1,1−ジメチルブチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、ベンジル、1−フェニルエチル、α,α−ジメチルベンジル、ベンズヒドリル、p−トリルメチル、1−(p−ブチルフェニル)エチル、p−クロロベンジル、2,4−ジクロロベンジル、p−メトキシベンジル、m−エトキシベンジル、2−シアノエチル、2−シアノプロピル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、2−ブトキシカルボニルプロピル、1,2−ジ−(メトキシカルボニル)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、2−ブトキシエチル、ジエトキシメチル、ジエトキシエチル、1,3−ジオキソラン−2−イル、1,3−ジオキサn−2−イル、2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル、2−イソプロポキシエチル、2−ブトキシプロピル、2−オクチルオキシエチル、クロロメチル、トリクロロメチル、トリフルオロメチル、1,1−ジメチル−2−クロロエチル、2−メトキシイソプロピル、2−エトキシエチル、ブチルチオメチル、2−ドデシルチオエチル、2−フェニルチオエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2−ヒドロキシエチル、2−ヒドロキシプロピル、3−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、6−ヒドロキシヘキシル、2−アミノエチル、2−アミノプロピル、4−アミノブチル、6−アミノヘキシル、2−メチルアミノエチル、2−メチルアミノプロピル、3−メチルアミノプロピル、4−メチルアミノブチル、6−メチルアミノヘキシル、2−ジメチルアミノエチル、2−ジメチルアミノプロピル、3−ジメチルアミノプロピル、4−ジメチルアミノブチル、6−ジメチルアミノヘキシル、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルエチル、2−フェノキシエチル、2−フェノキシプロピル、3−フェノキシプロピル、4−フェノキシブチル、6−フェノキシヘキシル、2−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、3−メトキシプロピル、4−メトキシブチル、6−メトキシヘキシル、2−エトキシエチル、2−エトキシプロピル、3−エトキシプロピル、4−エトキシブチルまたは6−エトキシヘキシルである。
【0127】
必要に応じて一個以上の非隣接の酸素及び/又は硫黄原子及び/又は一種以上の置換又は非置換のイミノ基で中断されていてもよいC2−C18−アルキル基は、例えば、5−ヒドロキシ−3−オキサペンチル、8−ヒドロキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−ヒドロキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−ヒドロキシ−4−オキサヘプチル、11−ヒドロキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−ヒドロキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−ヒドロキシ−5−オキサノニル、14−ヒドロキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−メトキシ−3−オキサペンチル、8−メトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−メトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−メトキシ−4−オキサヘプチル、11−メトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−メトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−メトキシ−5−オキサノニル、14−メトキシ−5,10−オキサテトラデシル、5−エトキシ−3−オキサペンチル、8−エトキシ−3,6−ジオキサオクチル、11−エトキシ−3,6,9−トリオキサウンデシル、7−エトキシ−4−オキサヘプチル、11−エトキシ−4,8−ジオキサウンデシル、15−エトキシ−4,8,12−トリオキサペンタデシル、9−エトキシ−5−オキサノニルまたは14−エトキシ−5,10−オキサテトラデシルである。
【0128】
二つの基が環を形成する場合、これらの基は共に、例えば縮合構成単位として、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、2−オキサ−1,3−プロピレン、1−オキサ−1,3−プロピレン、2−オキサ−1,3−プロペニレン、1−アザ−1,3−プロペニレン、1−C1−C4−アルキル−1−アザ−1,3−プロペニレン、1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、1−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレン、または2−アザ−1,4−ブタ−1,3−ジエニレンとなる。
【0129】
非隣接の酸素及び/又は硫黄原子及び/又はイミノ基の数は、原理的には、制限を受けないが、その基や環状構成単位の大きさにより自動的に制限を受ける。一般に、それぞれの基において5より大きくなく、好ましくは4より、極めて好ましくは3より大きくない。また、各々二個のヘテロ原子間には少なくとも一個の炭素原子が、好ましくは少なくとも二個の炭素原子が存在する。
【0130】
置換および無置換のイミノ基としては、例えば、イミノ、メチルイミノ、イソプロピルイミノ、n−ブチルイミノまたはtert−ブチルイミノがあげられる。
【0131】
「官能基」とは、例えば次のものを意味する:カルボキシ、カルボキサミド、ヒドロキシ、ジ−(C1−C4−アルキル)アミノ、C1−C4−アルキルオキシカルボニル、シアノ、またはC1−C4−アルコキシ。なお、C1−C4−アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチルである。
【0132】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC6−C14−アリール基は、例えば、フェニル、トリル、キシリル、α−ナフチル、β−ナフチル、4−ジフェニリル、クロロフェニル、ジクロロフェニル、トリクロロフェニル、ジフルオロフェニル、メチルフェニル、ジメチルフェニル、トリメチルフェニル、エチルフェニル、ジエチルフェニル、イソプロピルフェニル、tert−ブチルフェニル、ドデシルフェニル、メトキシフェニル、ジメトキシフェニル、エトキシフェニル、ヘキシロキシ、メチルナフチル、イソプロピルナフチル、クロロナフチル、エトキシナフチル、2,6−ジメチルフェニル、2,4,6−トリメチルフェニル、2,6−ジメトキシフェニル、2,6−ジクロロフェニル、4−ブロモフェニル、2−または4−ニトロフェニル、2,4−または2,6−ジニトロフェニル、4−ジメチルアミノフェニル、4−アセチルフェニル、メトキシエチルフェニルまたはエトキシメチルフェニルである。
【0133】
必要に応じて、官能基、アリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ハロゲン、ヘテロ原子及び/又は複素環で置換されていてもよいC5−C12−シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、ジエチルシクロヘキシル、ブチルシクロヘキシル、メトキシシクロヘキシル、ジメトキシシクロヘキシル、ジエトキシシクロヘキシル、ブチルチオシクロヘキシル、クロロシクロヘキシル、ジクロロシクロヘキシル、ジクロロシクロペンチル、またはノルボルニルまたはノルボルネニルなどの飽和又は不飽和のビシクロ系である。
【0134】
酸素、窒素及び/又は硫黄を含有する五員または六員複素環は、例えば、フリル、チオフェニル、ピリル、ピリジル、インドリル、ベンズオキサゾリルジオキソリル、ジオキシル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ジメチルピリジル、メチルキノリル、ジメチルピリル、メトキシフリル、ジメトキシピリジル、ジフルオロピリジル、メチルチオフェニル、イソプロピルチオフェニルまたはtert−ブチルチオフェニルである。
【0135】
本発明の目的において、ソフトなカチオン及び/又はソフトなアニオンを有する物質が、イオン性液体として好ましく用いられる。これは、カチオン及び/又はアニオンが、例えば誘起効果及び/又はメソメリー効果により、よく安定化していることを意味する。カチオンは、好ましくは電子供与性置換基を有する。カチオンは、好ましくは電子供与性置換基のみを有している。アニオンは、好ましくは電子吸引性の置換基を有する。カチオンの電荷、アニオンの電荷、またはカチオンとアニオンの電荷がメソメリー効果により局在化しているイオン性液体の使用が特に好ましい。したがって、好ましいカチオンは、イミダゾリウム、グアニジニウムまたはピラゾリウム誘導体である。本発明で用いるイオン性液体は、特に好ましくは、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,3,4,5−テトラメチルイミダゾリウム、1,3,4−ジメチルイミダゾリウム、1,3,4−トリメチルイミダゾリウム、1,3−ジブチル−2−メチルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−エチル−5−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3,4,5−トリメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキサデシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、1−ペンチル−3−メチルイミダゾリウム、1−フェニルプロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−テトラデシル−3−メチルイミダゾリウム、2,3−ジメチルイミダゾリウム、2−エチル−3,4−ジメチルイミダゾリウム、3,4−ジメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルピリジニウム、グアニジニウム、ヘキサメチルグアニジニウム、N,N,N’,N’−テトラメチル−N”−エチルグアニジニウム、N−ペンタメチル−N−イソプロピルグアニジニウム、N−ペンタメチル−n−プロピルグアニジニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム、トリヘキシル(テトラデシル)ホスホニウム、およびトリイソブチル(メチル)ホスホニウムからなる群から選ばれるカチオンを有している。より好ましいカチオンは、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−4−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1−ベンジル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−エチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−メチル−2−エチルイミダゾリウム、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウム、1−メチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1−ドデシル−3−メチルイミダゾリウム、グアニジニウム、N,N,N’,N’−テトラメチル−N”−エチルグアニジニウム、ベンジルトリフェニルホスホニウム、およびテトラブチルホスホニウムからなる群から選ばれる。
【0136】
特に、このカチオンは、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチルイミダゾリウム、および1−メチルイミダゾリウムからなる群から選ばれる。
【0137】
本発明の方法においては、アニオンは、好ましくは、酢酸イオン、ビス(2,4,4−トリメチルペンチル)ホスフィン酸イオン、ビス(マロナト)ホウ酸イオン、ビス(オキサラト)ホウ酸イオン、ビス(フタラト)ホウ酸イオン、ビス(サリシラト)ホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタン−スルホニル)イミデート、ビス(トリフルオロメチル)イミデート、ホウ酸イオン、臭化物イオン、ブロモアルミン酸イオン、炭酸イオン、クロロアルミン酸イオン、デシルベンゼンスルホン酸イオン、ジクロロクプラート、ジシアナミド、ジデシルベンゼンスルホン酸イオン、ジドデシルベンゼンスルホン酸イオン、ジエチルリン酸イオン、リン酸二水素イオン、ドデシルベンゼンスルホン酸イオン、エチル硫酸イオン、エチルスルホン酸イオン、炭酸水素イオン、リン酸水素イオン、硫酸水素イオン、亜硫酸水素イオン、ヨウ素イオン、硫酸メチルイオン、スルホン酸メチルイオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、リン酸イオン、亜硫酸イオン、テトラシアノホウ酸イオン、テトラキス(硫酸水素)ホウ酸イオン、テトラキス(硫酸メチル)ホウ酸イオン、チオシアネート、トシレート、トリクロロ亜鉛酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、トリフルオロメチルスルホン酸イオンからなる群から選ばれる。
【0138】
DMC触媒を製造するには、金属塩とシア金属酸塩化合物をイオン性液体に溶解または懸濁し、これらの溶液または懸濁液を相互に反応させる。
【0139】
金属塩としては、一般式(VI)で表される化合物の使用が好ましい:
【0140】
【化10】

【0141】
式中、
1は、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Al3+、Sr2+、Cr3+、Cd2+、Cu2+、La3+、Ce3+、Ce4+、Eu3+、Mg2+、Ti4+、Ag+、Rh2+、Ru2+、Ru3+、およびPd2+からなる群から選ばれる金属イオンである。
Xは、ハロゲンイオン、ヒドロキシド、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、シアニドイオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、シアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン(NO2-)、または上述のアニオンの二種以上の混合物、または上述のアニオンの一種以上と、COとH2OとNOとから選ばれる非電荷種との混合物からなる群から選ばれるアニオンである。
gとnは、化合物が電気的に中性となるように選ばれる。
【0142】
シアノメタラート化合物としては、、一般式(V)で表される化合物が好ましい:
【0143】
【化11】

【0144】
式中、
2は、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、Ni2+、Cr2+、Cr3+、Rh3+、Ru2+、Ir3+からなる群から選ばれる金属イオンであり、M1とM2は同じであるか異なっている。
【0145】
3は、水素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニウム[NR4+(式中、は水素、アルキルまたはアリールである)である。
【0146】
bとdは、化合物が電気的に中性となるように選ばれる。
【0147】
溶液と懸濁液のどちらを使用するかは、イオン性液体中の本成分の溶解度に依存する。本発明の目的において、これらの二つの手法は、同程度に有用であると考えることができる。
【0148】
本発明の方法を実施するに当たり、イオン性液体中の化合物(V)の溶液または懸濁液を、イオン性液体中の金属塩(VI)の溶液または懸濁液に混合する。ここで、化学量論以上の金属塩が用いられる。この反応は、好ましくは、金属イオンとシアノメタラート成分とのモル比が1.1〜7.0で、好ましくは1.2〜5.0で、特に好ましくは1.3〜3.0で実施される。この金属塩溶液を反応容器に入れシアノメタラート化合物を添加することが有利であるが、逆の方法を用いることもできる。出発溶液の混合中あるいは混合後に、例えば攪拌により十分混合することが必要である。
【0149】
溶液の質量に対する溶液中の化合物(V)の含量は、0.1〜30重量%であり、好ましくは0.1〜20重量%、特に0.2〜10重量%である。金属塩溶液の質量に対する金属塩溶液中の金属塩成分の含量は、0.1〜50重量%であり、好ましくは0.2〜40重量%、特に0.5〜30重量%である。
【0150】
出発原料のうち少なくとも一つの溶液は、Lで示される配位子を持ち一般式(VI)で表されるヘテロ原子を含んでいる。このヘテロ原子含有配位子を、二つの出発溶液を混合してできた懸濁液に添加してもよく、その場合は、十分な混合が確実となるようにする必要がある。
【0151】
沈殿後に形成される懸濁液中のヘテロ原子含有配位子の含量は、1〜60重量%である必要あり、好ましくは5〜40重量%で、特に10〜30重量%である。
【0152】
多金属シアン化物化合物の形状をコントロールするのに、表面活性物質の存在下でこれらの化合物の調整を行うことが有用であることが明らかとなった。この表面活性物質は、通常二つの溶液のうちの少なくとも一方に最初から存在している。沈殿のために、これらの表面活性物質を、一旦反応容器に入れられた溶液に添加することが好ましい。沈澱後の懸濁液中の表面活性物質の含量は、沈澱懸濁液の総量に対して、好ましくは0.01〜40重量%であり、特に0.05〜30重量%である。もう一つの実施様態では、これらの表面活性物質が、二つの出発溶液中に分割して投与される。
【0153】
沈澱後に、このようにして生成する多金属シアン化物化合物を、沈澱懸濁液から、例えば濾過または遠心分離により分離することができる。この分離の後に、多金属シアン化物化合を一回以上洗浄してもよい。洗浄は、イオン性液体を用いて、あるいは「従来から使用されている」有機溶媒、例えばアルコールやアルカン、ハロアルカン、ニトリル、エーテル、エステル等を用いて行うことができる。洗浄は、分離装置(例えば、濾過装置)自体で行うこともできるが、分離装置にて、例えば多金属シアン化物化合物を洗浄液体に再懸濁し、もう一度液体から分離して行うこともできる。この洗浄は、温度が10℃〜180℃で、好ましくは15℃〜60℃で行われる。
【0154】
このようにして得られる多金属シアン化物化合物は、例えば濾過または遠心分離により分離され、適当なら、例えば「従来から使用されている」有機溶媒を用いて洗浄する間に分離され、さらに乾燥させられる。乾燥は、本目的に適した当業界の熟練者には公知の装置内で、大気圧下または減圧下で、温度が大気温度〜120℃で行われる。
【0155】
本発明の方法で製造されるDMC触媒は、好ましくは、一般式(VII)で表される構造を有する:
【0156】
【化12】

【0157】
式中、ILはイオン性液体であり、Lは、洗浄に用いた溶媒であり、他の記号は、上述の意味を持つ。xとyとzは、化合物が電気的に中性となるように選ばれ、xとzは、ゼロより大きく、yも、ゼロより大きくてよく、hとkは、それぞれ0.01〜10であってよい。
【0158】
本発明の方法で製造されるDMC触媒は、結晶性であっても、部分的に結晶性であっても、非晶質であってもよい。
【0159】
本発明のDMC触媒は、ポリエーテルアルコールの製造用の触媒として用いられる。なお、このDMC触媒は、粉末として、あるいは懸濁液の形で、特にアルコール中の懸濁液の形で使用することができる。触媒懸濁用のアルコールとしては、特に多価アルコールやポリエーテルアルコールがあげられる。ポリエーテルアルコールの製造に出発物質として用いられるアルコールを使用することが特に好ましい。
【0160】
特に、官能基数が1〜8、好ましくは1〜6で、分子量Mwが500〜50000、好ましくは800〜15000であるポリエーテルアルコールが、本発明のDMC触媒の存在下で、H型の官能基を有する出発物質にアルキレンオキシドを添加して製造される。用いる触媒の濃度は、ポリエーテルオールの総質量に対して、1重量%未満であり、好ましくは0.5重量%未満、特に好ましくは1000ppm未満、特に500ppm未満、極めて好ましくは100ppm未満である。ポリエーテルオールの製造は、連続的に行っても回分式に行ってもよい。製造に用いる温度は、50℃〜200℃の範囲でありが、90℃〜150℃の温度範囲が好ましい。
【0161】
本発明の触媒を用いてポリエーテルアルコールの製造を行うに当たり、少なくとも一個のエポキシ基を有する化合物、例えばエチレンオキシド、1,2−エポキシプロパン(プロピレンオキシド)、1,2−メチル−2−メチルプロパン、1,2−エポキシブタン(ブチレンオキシド)、2,3−エポキシブタン、1,2−メチル−3−メチルブタン、1,2−エポキシペンタン、1,2−メチル−3−メチルペンタン、1,2−エポキシヘキサン、1,2−エポキシヘプタン、1,2−エポキシオクタン、1,2−エポキシノナン、1,2−エポキシデカン、1,2−エポキシウンデカン、1,2−エポキシドデカン、スチレンオキシド、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、(2,3−エポキシプロピル)ベンゼン、ビニルオキシラン、3−フェノキシ−1,2−エポキシプロパン、2,3−エポキシメチルエーテル、2,3−エポキシエチルエーテル、2,3−エポキシイソプロピルエーテル、2,3−エポキシ−1−プロパノール、3,4−エポキシブチルステアレート、4,5−エポキシペンチルアセテート、2,3−エポキシプロピルメタクリレート、2,3−エポキシプロピルアクリレート、グリシジルブチレート、メチルグリシデート、エチル2,3−エポキシブタノエート、4−(トリメチルシリル)ブタン1,2−エポキシド、4−(triエチルシリル)ブタン1,2−エポキシド、3−(ペルフルオロメチル)プロペンオキシド、3−(ペルフルオロエチル)プロペンオキシド、3−(ペルフルオロブチル)プロペンオキシド、4−(2,3−エポキシプロピル)モルホリン、1−(オキシラン−2−イルメチル)ピロリジン−2−オン、およびこれら相互の混合物を使用することができる。
【0162】
エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、ビニルオキシラン及びこれら相互の混合物が好ましく、特にエチレンオキシド、プロピレンオキシド、およびエチレンオキシドとプロピレンオキシドの混合物が好ましい。
【0163】
本発明により製造されるポリエーテルアルコールの官能基数は、通常2〜8であり、好ましくは2〜4、特に2〜3であり、その当量は500g/molを超える。用いる出発物質は、多官能性出発物質、特にソルビトールやヘキシトールやショ糖などの糖アルコールであるが、通常は、二官能性及び/又は三官能性のアルコールまたは水であり、その場合、個々の物質であっても、上記二種の出発物質の混合物であってもよい。二官能性出発物質の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、および1,5−ペンタンジオールがあげられる。三官能性出発物質の例としては、リメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、および特にグリセロールがあげられる。出発物質は、アルコキシレートの、特に分子量Mwが62〜15000g/molの範囲のアルコキシレートの形で使用することもできる。これらのアルコキシレートは、別の加工工程でも製造可能であり、多金属シアン化物化合物以外の触媒、例えばアルカリ金属水酸化物をその製造に用いることもできる。アルカリ金属の水酸化物をアルコキシレートの製造に用いる場合、アルカリ金属水酸化物は、多金属シアン化物触媒の活性を低下させることがあるため、この触媒を実質的に完全に除去する必要がある。アルコキシレートを出発物質として用いる利点としては、反応開始が早まることがあげられるが、欠点として、加工工程の追加が必要なことと、上述のようにアルコキシレートの生成が複雑となることである。
【0164】
ポリエーテルアルコールの製造のある好ましい実施様態においては、これらが、特に好ましくは鎖の末端に、純粋にエチレンオキシド単位からなるブロックを有している。
【0165】
本発明の方法で製造した触媒は、驚くべきことに、純粋なエチレンオキシド単位をポリエーテル鎖中に、特に鎖末端に導入させる。
【0166】
本発明のDMC触媒によるエチレンオキシド単位からなる末端ブロックの直接導入は、触媒添加のための工程の追加が不要となるため、運転様式がより単純となる。したがって、さらにエチレンオキシドと反応させる前に、例えば水酸化カリウム水溶液の添加とそれに続く水の除去が不要となる。
【0167】
エチレンオキシド単位からなる末端ブロックを有するポリエーテルアルコールは、成型発泡体用途に特に重要である。エチレンオキシド単位からなる末端ブロックの結果、第一級OH基の数が増加し、ポリオールの反応性が増加し、続くイソシアネート成分との反応がかなり速く進行することとなる。軟質発泡ポリウレタン成型体を製造するには、ポリエーテルオールとイソシアネートの二成分を、複合な構造を持つ適当に予熱された金型中に注入する。したがって、成型時間を大きく短縮するためには、これらの成分が速やかに反応する必要がある。
【0168】
本発明を以下、実施例を参照しながら説明する:
【0169】
実施例
実施例においては、用いるすべての溶媒をモレキュラーシーブ(3A)上で乾燥させた。
【0170】
a)触媒の調製
実施例1
5.5gのヘキサシアノコバルト酸を、50gのブチルメチルイミダゾリウムアセテート(BMIMOAc)中に90℃で溶解させた。9.0gのZnSO4−H2Oを、50gのBMIMOAc中に110℃で溶解し、加熱した滴下ロート(110℃)を経由して、ガラスビーカー中に入ったヘキサシアノコバルト酸溶液中に10分間かけて滴下した。反応混合物を90℃で90分間攪拌した。冷却及び1200gのメタノールの添加後に得られた懸濁液を5℃で一夜保存し、次いで遠心分離した。次いで、生成物を370gのメタノールに再懸濁し、もう一度遠心分離し、40℃大気下で48時間乾燥させた。元素分析によると、このようにして得られたDMC触媒は、9.6%のCo、20.7%のZn、および34.4%のCを含んでいた。
【0171】
実施例2
6.5gのヘキサシアノコバルト酸を、50gのメチルイミダゾリウムクロライド(HMIMCl)に90℃で溶解した。37.9gのステアリン酸亜鉛を120gのHMIMClに溶解し、ガラスビーカーに入れたヘキサシアノコバルト酸溶液中に、少しずつ10分間かけて添加した。反応混合物は、90℃で90分間攪拌した。冷却および1300gのメタノールの添加後、得られた懸濁液を5℃で一夜保存し、次いで濾過した。この生成物の、400mlのメタノール中への再懸濁と濾過を六回繰返し、次いで、60℃減圧下で16時間乾燥させた。元素分析によると、このようにして得られたDMC触媒は、6.5%のCoと、13.9%のZnと48.1%のCを含んでいた。
【0172】
B)ポリエーテルアルコールの調整
【0173】
実施例3
DMC法によりOH数が約142mg−KOH/gとなるまでプロポキシ化されたトリオール/ジオール混合物中に5.8%濃度で触媒を懸濁させた懸濁液で、そこからその触媒をザイツ深層フィルターで完全に除いたたものを、実施例1のDMC触媒の所要量を上記トリオール/ジオール混合物に添加して調整した。得られた懸濁液を、タラックス(型式:ウルトラタラックスT25、製造業者:IKA)を用いて、最も穏和な条件(11000rpm)で、10〜15分間均一に分散させた。得られた懸濁液から、80〜100℃、減圧下で、ロータリーエバポレーターで6〜12時間脱水した。
【0174】
0.32gの懸濁液をオートクレーブに入れ、70.0gのトリオール/ジオール混合物と混合した。反応器を密閉脱気し、窒素で圧力を400〜800mBaraとした。攪拌器は、500rpmの速度で運転した。混合物を130℃に加熱し、窒素を注入して圧力を3〜4Baraとした。15分間の圧力試験の後、オートクレーブを放圧して混合物を採取し、脱気して10〜50mBaraとした。この反応混合物を、次いで161.4ml(134.2g)のプロピレンオキシドと反応させた。この目的で、反応の開始を確実にするため25mlのプロピレンオキシドの全量をまず2.5ml/minの速度で添加した。反応開始温度は、2.35Baraの圧力で約150℃であった。温度を130℃にまで戻した後に、第二段階でプロピレンオキシドの流量を徐々に増加させ、残る136.4mlのプロピレンオキシドを投入した。プロピレンオキシドの全量の添加の終了後、反応混合物をさらに、一定の最終圧力の1.55Baraとなるまで後反応(約2時間)させた。得られた最終生成物のOH数は、51.2mg−KOH/gであった。粘度は567mPa・sであり、DMC含量は106ppmであった。
【0175】
実施例4
実施例3に記載のようにして、実施例2の触媒がトリオール/ジオール混合物中に入った5.18%濃度の触媒懸濁液を得た。この2.00gをオートクレーブに入れ、70.0gのトリオール/ジオール混合物と混合した。実施例3に記載のように、反応開始を確実にするため、反応混合物を、まず総量25mlのプロピレンオキシドで、流量が2.5mi/min、130℃で処理した。反応開始温度は約150℃であり、圧力は3.15Baraであった。第二段階では、安全上の理由のため、まず窒素で、130℃で圧力を3.7Barに調整した。次いで、132.0ml(117.05g)のエチレンオキシドを、流量が0.8ml/min〜1.5ml/minの範囲で添加した。すべてのエチレンオキシドの添加終了後、反応混合物を、さらに一定の最終圧力の4.46Baraとなるまで後反応(約11.5時間)させた。得られた最終生成物のOH数は、52.1mg−KOH/gであった。粘度は1783mPa・sであり、DMC含量は565ppmであった。1H−NMR分析の結果、生成物中の合計比率が、約46%のプロピレンオキシドと約54%のエチレンオキシドであり、第一級OH基の含量が88%であることがわかった(トリクロロアセチルイソシアネートとの反応、および1H−NMR)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶媒または懸濁媒体としてのイオン性液体中でシアノメタラート化合物と金属塩とを反応させることを特徴とするDMC触媒の製造方法。
【請求項2】
上記イオン性液体の融点が100℃未満である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記イオン性液体の融点が80℃未満である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
上記イオン性液体の融点が50℃未満である請求項1に記載の方法。
【請求項5】
上記イオン性液体が少なくとも一種のカチオンと少なくとも一種のアニオンを有し、これらのイオンの一方が有機イオンである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
上記カチオンが有機カチオンである請求項2に記載の方法。
【請求項7】
上記アニオンが有機アニオンである請求項2に記載の方法。
【請求項8】
上記イオン性液体が、以下の一般式(I)を有している請求項1に記載の方法:
【化1】

式中、nは、1、2、3または4であり、[A]+は、4級アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、またはホスホニウムカチオンであり、[Y]n-は、一価、二価、三価または四価のアニオンである。
【請求項9】
上記イオン性液体が、以下の一般式(II)の一つを有している請求項1に記載の方法:
【化2】

式中、[A1+、[A2+、[A3+及び[A4+は、それぞれ独立して[A]+に対して記載された基の中から選ばれ、[Y]n-は、(A)の場合と同様に定義される。
【請求項10】
上記イオン性液体が、以下の一般式(III)の一つを有している請求項1に記載の方法:
【化3】

式中、[A1+、[A2+及び[A3+は、独立して、[A]+に対して記載した基から選ばれ、[Y]n-は、(A)の場合と同様に定義され;[M1+、[M2+と[M3+は、一価の金属カチオンであり、[M42+は、二価の金属カチオンであり、[M53+は、三価の金属カチオンである。
【請求項11】
用いる金属塩が一般式(VI)の塩である、請求項1に記載の方法:
【化4】

式中、
1は、Zn2+、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Ni2+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Al3+、Sr2+、Cr3+、Cd2+、Cu2+、La3+、Ce3+、Ce4+、Eu3+、Mg2+、Ti4+、Ag+、Rh2+、Ru2+、Ru3+、Pd2+からなる群から選ばれる金属イオンであり、
Xは、ハライドイオン、ヒドロキシド、硫酸イオン、硫酸水素イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、シアニドイオン、チオシアン酸イオン、イソシアン酸イオン、シアン酸イオン、カルボン酸イオン、シュウ酸イオン、硝酸イオン及び亜硝酸イオン(NO2-)からなる群から選ばれるアニオンであるか、2種以上の上述のアニオンの混合物、または一種以上の上述のアニオンとCO、H2O及びNOから選ばれる一種の非電荷種との混合物とから選ばれるアニオンであり、
gとnは、この化合物が電気的に中性となるように選ばれる。
【請求項12】
用いるシアノメタラート化合物が一般式(V)の化合物である請求項1に記載の方法:
【化5】

式中、
2は、Fe2+、Fe3+、Co2+、Co3+、Mn2+、Mn3+、Ni2+、Cr2+、Cr3+、Rh3+、Ru2+、Ir3+からなる群から選ばれる金属イオンであり、M1とM2は同じであっても異なっていてもよく、
3は、水素またはアルカリ金属またはアルカリ土類金属またはアンモニウム[NR4+(式中、Rは、水素、アルキルまたはアリールである)であり、
bとdは、この化合物が電気的に中性となるように選ばれる。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項により製造される一般式(VII)のDMC触媒:
【化6】

式中、ILは、イオン性液体であり、Lは、洗浄に用いる溶媒であり、他の記号は、上述の意味を有し、xとyとzは、この化合物が電気的に中性になるように選ばれ、xとzは、0より大きく、yも、0より大きくてもよく、hとkは、それぞれ0.01〜10であってよい。
【請求項14】
請求項13に記載のDMC触媒が触媒に使用されることを特徴とするH官能性出発物質にアルキレンオキシドを触媒作用下に付加させるポリエーテルアルコールの製造方法。
【請求項15】
付加反応の少なくとも一部の期間に純粋なエチレンオキシドが付加される請求項14に記載の方法。
【請求項16】
鎖の末端に純粋なエチレンオキシドが付加される請求項15に記載の方法。

【公表番号】特表2010−517742(P2010−517742A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547691(P2009−547691)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2008/051190
【国際公開番号】WO2008/095853
【国際公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】