説明

DNAチップに基づく遺伝子型決定

本発明は、一般的に、核酸分析の分野に関する。詳細には、本発明は、特に核酸ハイブリダイゼーションにおける使用に適切な支持体を備えるチップを用いて、標的遺伝子を型決定する方法を提供する。この支持体上には、上記標的のヌクレオチド配列と相補的なオリゴヌクレオチドプローブ、および以下のオリゴヌクレオチドコントロールプローブ:ポジティブコントロールプローブ、ネガジティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブ、の少なくとも1つが固定されている。HLA標的遺伝子を型決定するためのオリゴヌクレオチドプローブアレイもまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に核酸分析の分野に関連する。特に本発明は、とりわけ、核酸ハイブリダイゼーションにおける使用に適した支持体を含むチップを用いる標的遺伝子の型決定方法を提供する。ここで、この支持体は、上記標的ヌクレオチド配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドプローブを有し、そして、少なくとも以下のオリゴヌクレオチドコントロールプローブ(ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブ)のうち1つを有する。ヒト白血球抗原(HLA)標的遺伝子の型決定のためのオリゴヌクレオチドプローブまたはプローブアレイもまた、提供される。
【背景技術】
【0002】
ヒト白血球抗原(HLA)は、ヒトの第6染色体の短鎖上に位置するHLA遺伝子複合体によりコードされる。上記ヒトHLA遺伝子は、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)(組織抗原および免疫応答に関連する遺伝子クラスター)の一部である。個体間の臓器移植の成功は、容認度(すなわち、ドナーとレシピエントとの組み合わせの間の組織適合性)に依存する。移植した臓器に対する拒絶を生じる抗原は、移植抗原または組織適合性抗原である。人体における拒絶反応と関連する20以上の抗原系がある。それらの中の強くかつ急性拒絶反応を生じ得る抗原は、主要組織適合性抗原と称される。その遺伝子は、堅く結合した遺伝子クラスターであり、主要組織適合性複合体(MHC)と称される。免疫応答および機能調節をコントロールする免疫応答遺伝子(IR遺伝子)がMHC中に位置することが、現在証明されている。従って、MHCは、移植拒絶に関連するだけでなく、免疫応答および免疫調節の誘導および調節においても広く関係する。HLA遺伝子は、ヒトの第6染色体上に位置する約4000kbの領域(全ヒトゲノムの約3,000分の1に生じる領域)内に位置する。同定されたHLA座が224個ある。HLAタンパク質は、それらの構造、発現パターン、組織分布、および機能に基づき、3つのクラス(HLA−I,HLA−IIおよびHLA−III)に分類される。各遺伝子座内に、対立遺伝子が数百ある。
【0003】
HLA遺伝子によりコードされるタンパク質は、組織移植の間の移植片拒絶における重要な役割を担う。成功した組織移植は、ドナーとレシピエントとの間で、ある一定のHLAマッチングの程度が得られるかに依存する。従って、HLA型決定は、最適にマッチしたドナーを選択するために必要である。現在のところ、HLA型決定は、多数の医学的処置(例えば、臓器移植、特に、骨髄移植)と組み合わせて慣用的に行われている。ヒト集団のHLA遺伝子における広範囲にわたる多型、免疫応答の調節におけるHLA遺伝子によりコードされるタンパク質の役割、ならびに、父性遺伝子および母性遺伝子両方による相互優性発現に基づき、HLA型決定はまた、疾患に対する感受性予測、法医学的同定、父性決定、および遺伝子研究において、用いられる。従って、正確なHLA型決定方法が必要とされている。
【0004】
HLA型決定のための異なる方法が用いられている。現在のところ、HLA遺伝子は、血清学的方法、混合リンパ球型培養(MLC)、およびDNA配列に基づく型決定方法を用いて、型決定される。
【0005】
血清学的方法は、白血球の表面上のHLAタンパク質を有する血清の反応に基づいている。血清学的型決定の原理に基づいた方法(例えば、ID−IEFおよびモノクローナル抗体型決定法)は、特異性を高めるため、そして検査時間を短縮するために開発された。血清学的HLA型決定の主な欠点は、血清の複雑性、検査を行うのに必要な標準血清の広範囲にわたる利用性の欠如、および、すでに知られたHLA型のみが検出され、新しい多型は検出されないことである。
【0006】
混合リンパ球培養試験においては、1個体に由来するリンパ球「レスポンダー(responder)」を、別の個体に由来する「刺激性」リンパ球とともに培養する。刺激性細胞が無関係な人物または家族(この家族のMHCは、レスポンダーのMHCとは異なる)に由来する細胞である場合、未処理のリンパ球が増殖する。この増殖は、個体からの適合しない抗原のインジケーターである。MLC方法は、細胞の型決定の利用性の欠如、および検査手順の複雑性のために広くは用いられない。
【0007】
DNA配列に基づくHLA型決定方法は、血清学的方法または混合リンパ球培養方法の欠点を克服するために開発された。このような方法の1つは、HLA型決定の基礎であるDNA制限酵素断片長多型(RFLP)の使用を含む。米国特許第4,582,788号を参照のこと。ヒト集団のHLA遺伝子における多型により生じた制限エンドヌクレアーゼ消化物の長さの多型は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術と組み合わせて、HLA型決定のために用いられる。しかしながら、RFLP法は、集団中に存在することが知られた特定のアレイ(例えば、HLA−DR4のサブタイプ)との間で区別することができず、そして従って、対立遺伝子特定の組合せを区別するために用いることができない。
【0008】
さらに最近では、研究者は、HLA−II型決定を行うための配列特異的オリゴヌクオチド(SSO)プローブハイブリダイゼーション法を確立した。この方法は、HLA座の多型領域をPCRを用いて増幅する工程、増幅したDNAと配列特異的オリゴヌクレオチドプローブとをハイブリダイズする工程、および、増幅したDNAと配列特異的オリゴヌクレオチドプローブとの間で形成したハイブリッドを検出する工程を包含する。この方法は、HLA対立遺伝子の間で1つまたは2つのヌクレオチドの相違を同定し得る。この方法の欠点は、調査において、ハイブリダイゼーションのための複数の等価な膜を形成する複雑性および困難性、または、多数の対立遺伝子が原因で現在自動化されてない、ハイブリダイゼーション後の同じ膜の再使用の複雑性および困難性である。逆線ストリップ型決定法(reverse line strip typing method)は、検出するシグナルを発生するために酵素法を用いてSSO法を改善するために開発されたが、この方法の操作は、所望の結果を得るためには複雑かつ困難である。
【0009】
HLA型決定のための配列特異的プライマー増幅(PCR−SSP)法は、HLA型のPCR増幅のためにPCRプライマーの配列特異的部位を利用し、そして、電気泳動によって増幅産物を分析する。この方法を用いる検査に必要な時間は、2〜3時間のみである(Mytilineosら、Hum.Immunol.,59:512−7(1998))。しかしながら、未知のサンプルについては、この方法は、特定のプライマーの各々を検査するために多くの研究を必要とする。加えて、HLAサブタイプの高い識別能での型決定を達成することは困難である。
【0010】
他のDNA配列に基づくHLA型決定法としては、PCR1本鎖コンフォメーション多型(PCR−SSCP)およびPCRフィンガープリントが挙げられる。DNA配列に基づくHLA型決定法は、HLA型決定をより正確にし、そしてまた、より多くのHLA対立遺伝子を同定するのを補助する。
【0011】
DNAチップ技術は、多数の異なるDNA配列またはDNA断片を同時に1つのDNAチップ上で分析するために広く用いられた。この技術は、DNA断片のハイスループットで同時に迅速な分析を実現させる。この技術は、非常に少ない量の標的DNA断片しか必要としない。HLA遺伝子の複雑性のため、DNAチップは、HLA型決定の用途のための理想のツールであり得る。いくつかのキットおよび方法が、記載されている。Kahiwase,Rinsho Byori Suppl.110:99−106(1999);Caoら、Rev.Immunogenet,1:177−208(1999);および、Guoら、Rev.Immunogenet.1:220−30(1999)を参照のこと。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
1つの局面において、本発明は、標的遺伝子の型決定方法に関する。上記方法は、以下:
a)適切なサンプルから標的遺伝子を含む標的細胞を単離し、そして上記単離された標的細胞由来の上記標的遺伝子の少なくとも一部である標的ヌクレオチド配列と、必要に応じて上記標的遺伝子に無関係の別のヌクレオチド配列とを含む調製物を得る工程;
b)核酸ハイブリダイゼーションにおいて使用するために適切な支持体を含むチップを提供する工程であって、上記支持体上には、上記標的ヌクレオチド配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドプローブと、以下のオリゴヌクレオチドコントロールプローブ:ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブのうちの少なくとも1つとが固定されている、工程;ならびに、
c)工程a)において得られた上記調製物を工程b)において提供された上記チップに対してハイブリダイズさせ、上記標的ヌクレオチド配列および/または上記別のヌクレオチド配列と、上記チップ上に含まれる上記コントロールプローブとの間のハイブリダイゼーションを評価して、上記標的遺伝子の型を決定する工程、
を包含する。
【0013】
別の局面において、本発明はHLA標的遺伝子の型決定のためのオリゴヌクレオチドプローブに関する。上記オリゴヌクレオチドプローブが、以下のヌクレオチド配列:
a)高ストリンジェンシーの条件下で、表1に示される標的HLAヌクレオチド配列もしくはその相補鎖とハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;または、
b)表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を含む標的HLAヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、ヌクレオチド配列、
を包含する。
【0014】
さらなる別の局面において、本発明は、HLA標的遺伝子を型決定するために支持体上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイに関する。上記アレイは、核酸ハイブリダイゼーションにおいて使用するために適切な支持体を含み、上記支持体上には、複数のオリゴヌクレオチドプローブが固定されており、上記プローブの少なくとも1つは、以下のヌクレオチド配列:
a)高ストリンジェンシー条件下で、表1に示される標的HLAヌクレオチド配列もしくはその相補鎖とハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;または、
b)表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を含む標的HLAヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、ヌクレオチド配列、
を包含する。
【0015】
(発明を実施する形態)
開示を明確にするため、そして限定しない目的で、本発明の詳細な説明を以下の小節に分ける。
【0016】
(A.定義)
定義されていなければ、本明細書中において用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する当該分野における当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で引用されたすべての特許、特許出願、公開された特許出願、および他の出版物は、本明細書中にそれらの全体が参考として援用される。本節に記載された定義が、本明細書中で引用された特許、特許出願、公開された特許出願、および他の出版物に記載された定義と逆である場合、またはそうでなければ一致しない場合、本節に記載された定義を、参考として本明細書中において援用される定義よりも優先する。
【0017】
本明細書中において用いられる場合、「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味する。
【0018】
本明細書中において用いられる場合、「プライマー」は、標的配列にハイブリダイズする(一般的には、増幅工程において核酸にプライミングする)オリゴヌクレオチドをいう。
【0019】
本明細書中において用いられる場合、「プローブ」は、標的配列にハイブリダイズする(一般的には、その検出を促進する)オリゴヌクレオチドをいう。用語「標的配列」は、プローブが特異的に結合する核酸配列をいう。増幅工程において上記標的核酸をプライミングするのに用いられるプライマーとは違って、プローブは、ポリメラーゼ酵素を用いて標的配列を増幅するために伸長する必要がない。しかしながら、多くの場合においてプローブおよびプライマーが構造的に類似しているかまたは同一であることは当業者にとって明らかである。
【0020】
本明細書中において用いられる場合、「ポジティブコントロールプローブ」は、標的配列群(もしくはファミリー)の保存された配列またはコンセンサス配列とハイブリダイズするプローブをいう。本明細書中において用いられる場合「ネガティブコントロールプローブ」が、上記ポジティブコントロールプローブと比較した場合、単一または複数の塩基対の変化を含むプローブをいう。好ましくは、ネガティブコントロールプローブは、ポジティブコントロールプローブと比較した場合、単一の塩基対の変化を含む。別の例示的なネガティブコントロールプローブは、標的配列が由来する起点とは異なる起点からの相同配列である。1つの特定の例において、2つのポジティブコントロールプローブ(すなわち、強いプローブおよび弱いプローブ、ならびに一緒に用いられ得る単一のネガティブコントロール)である。上記強いポジティブコントロールプローブおよびネガティブコントロールは、全ハイブリダイゼーション効率を評価されるのに用いられる。上記弱いポジティブコントロールプローブは、検査用プローブ(すなわち、ハイブリダイゼーションが評価される非コントロールプローブ)のハイブリダイゼーションシグナルを評価するのに用いられる。例えば、上記検査用プローブのハイブリダイゼーションシグナルと上記弱いポジティブコントロールプローブのハイブリダイゼーションシグナルとの間の比は、検査用プローブのハイブリダイゼーション強度を評価する範囲を得るために用いられ得る。
【0021】
本明細書中に用いられる場合、「ハイブリダイゼーションコントロールプローブ」とは、検査用プローブと標的配列との間のハイブリダイゼーションに依存しない全ハイブリダイゼーション効率を評価するのに用いられるプローブをいう。例えば、標的配列がHLA配列である場合、ハイブリダイゼーションコントロールプローブは、どのHLA配列に対しても無関係である配列であり得、好ましくは、標的HLA標的配列が由来する起源とは異なる起源に由来する。ハイブリダイゼーションコントロールプローブは、NH基で修飾され得、そして、検査用プローブを含む他のプローブが適用されるのと同じかもしくは類似する濃度および/または手順でチップ表面に適用(または固定)され得る。ハイブリダイゼーションコントロールプローブに相補的な、別の標識プローブ(例えば、ヘキサクロロフルオロセイン(HEX))は、他のプローブの濃度または比に匹敵する濃度または比で、全ハイブリダイゼーション溶液中に添加され得る。他のフルオロセインもまた、本明細書中で用いられ得る。このように、全ハイブリダイゼーション工程がモニタリングされ得る。ハイブリダイゼーションコントロールプローブはまた、チップ表面上のプローブの位置を導く工程または決定する工程において用いられ得る。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「固定コントロールプローブ」とは、固定プロセスを評価するために使用されるプローブをいう。固定コントロールプローブは、いずれのハイブリダイゼーション反応にも関与しない。一例では、この固定コントロールプローブの一端は(例えば、チップ表面への固定を促進するため、NH基によって)改変され、そしてこの固定コントロールプローブ他の端は、検出可能な標識(例えば、HEX)によって標識される。
【0023】
本明細書中に用いられる場合「HEX」は、フルオロセインの1つであるヘキサクロロフルオロセインを意味する。
【0024】
本明細書中に用いられる場合、「相補的」とは、2つの核酸配列が少なくとも50%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、この2つの核酸配列は、少なくとも60%の配列同一性、70%の配列同一性、80%の配列同一性、90%の配列同一性、95%の配列同一性、96%の配列同一性、97%の配列同一性、98%の配列同一性、99%の配列同一性、または100%の配列同一性を有する。「相補的」はまた、上記2つの核酸配列が、低ストレンジェンシー条件下、中ストレンジェンシー条件下、および/または、高ストレンジェンシー条件下でハイブリダイズし得ることを意味する。
【0025】
本明細書中に用いられる場合、「実質的に相補的」とは、2つの核酸配列が、少なくとも90%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、この2つの核酸配列は、少なくとも95%の配列同一性、少なくとも96%の配列同一性、少なくとも97%の配列同一性、少なくとも98%の配列同一性、少なくとも99%の配列同一性、または100%の配列同一性を有する。あるいは、「実質的に相補的」とは、2つの核酸配列が高ストレンジェンシー条件下でハイブリダイズし得ることを意味する。
【0026】
本明細書中に用いられる場合、「完全にマッチする2つのヌクレオチド配列」は、核酸二重鎖をいい、ここで上記2つのヌクレオチド鎖は、ワトソン−クリック塩基対形成原理(すなわち、DNA:DNA二重鎖においてはA−T対およびC−G対、DNA:RNA二重鎖またはRNA:RNA二重鎖においてはA−U対およびC−G対)に従ってマッチし、そして、二重鎖中の配列の何れにも欠損または付加がない。
【0027】
本明細書中において用いられる場合、ミスマッチ率決定における「ハイブリダイゼーションのストレンジェンシー」とは、以下である:
1)高ストレンジェンシー:0.1×SSPE、0.1%SDS、65℃;
2)中ストレンジェンシー:0.2×SSPE、0.1%SDS、50℃(中程度なストレンジェンシーとしても称される);および
3)低ストレンジェンシー:1.0×SSPE、0.1%SDS、50℃。
【0028】
同等のストレンジェンシーを代替的な緩衝液、塩、および温度を用いて達成され得ることが理解されている(一般的には、Ausubel(編)Current Protocols in Molecular Biology,2.9A.Southern Blotting,2.9B.Dot and Slot Blotting of DNA、および2.10.Hybridization Analysis of DNA Blots,John Wiley&Sons,Inc.(2000)を参照のこと)。
【0029】
本明細書中において用いられる場合、「融解温度」(「Tm」)とは、核酸二重鎖(すなわち、DNA:DNA、DNA:RNA、RNA:RNA)が変性する温度範囲の中間点をいう。プローブのTm値は、ハイブリダイズしたプローブのTm値を意味する。
【0030】
本明細書中において用いられる場合、「評価する」は、プローブと標的ヌクレオチド配列との間で形成したハイブリッドの量的決定および/または質的決定をいう(例えば、ハイブリッドの量または濃度についての絶対値、そしてまた、係数、比、百分率、視覚、またはハイブリダイゼーションレベルの指標となる他の値を得ることである。評価は、直接的または間接的あり得、そして、実際に検出された化学種は、ハイブリッドそのものである必要はなく、例えば、その誘導体、プローブおよび/もしくは標的ヌクレオチド配列、またはいくつかのさらなる物質の減少または消失であり得る。
【0031】
本明細書中において用いられる場合、「磁性物質」は、磁石の特性(磁気によって生成する、生じるまたは作用する、磁石または磁気に関連する特性)を有する任意の物質をいう。
【0032】
本明細書中において用いられる場合、「磁化可能な物質」は、磁場と相互作用する特性、およびそれゆえに、磁場内で懸架されるかまたは自由に配置される場合に、磁気を誘導し磁気モーメントを生成する特性を有する任意の物質をいう。磁化可能な物質の例としては、限定はされないが、常磁性物質、強磁性物質、およびフェリ磁性物質が挙げられる。
【0033】
本明細書中において用いられる場合、「常磁性物質」は、個々の原子、イオン、または分子が、永久磁気双極子モーメントを有する物質を称する。外部磁場が存在しない場合、原子双極子点は、無作為な方向へ向けられ、そして全体としてどの方向にも物質は磁化しない。この無作為な方向付けは、物質内の熱運動の結果である。外部磁場が適用された場合、原子双極子は、それ自身をその磁場と平行になるように向ける傾向がある。なぜなら、これは、逆平行な位置よりも低いエネルギー状態であるからである。これは、上記磁場と平行する正味磁性を与え、そして、磁化率にプラスに貢献する。「常磁性物質」または「常磁性」についてのさらなる詳細は、種々の文献において見出され得る(例えば、B.I BleaneyおよびB.Bleaney,Oxford,1975「Electricity and Magnetism」中の第6章、169頁〜171頁)。
【0034】
本明細書中において用いられる場合、「強磁性物質」は、磁化率の非常に大きな(正の)値により区別される物質を称し、そしてこれは、適用された磁場の強さに依存する。加えて、強磁性物質は、適用された磁場が存在しなくとも磁気モーメントを有し得、そして、ゼロ磁場における磁性の保持は、「残留磁気」として公知である。「強磁性物質」または「強磁性化」についてのさらなる詳細は、種々の文献において見出され得る(例えば、B.I BleaneyおよびB.Bleaney,Oxford,1975「Electricity and Magnetism」中の第6章、171頁〜174頁)。
【0035】
本明細書中に用いられる場合、「フェリ磁性物質」は、自発磁化、残留磁気、および通常のフェリ磁性材料と類似する他の特性を示す物質を称する。しかし、この自発モーメントは、物質中の(磁気)双極子の全平行整列に対する期待値とは一致しない。「フェリ磁性物質」または「フェリ磁性化」についてのさらなる詳細は、種々の文献において見出され得る(例えば、B.I BleaneyおよびB.Bleaney,Oxford,1975「Electricity and Magnetism」中の第16章、519頁〜524頁)。
【0036】
本明細書中において用いられる場合、「金属酸化物粒子」は、粒子形態における金属の任意の酸化物を称する。特定の金属酸化物粒子は、常磁性特性または超常時性特性を有する。「常磁性粒子」は、外部磁場の適用に感受性であるが、しかし、永久磁区を維持し得ない粒子として定義される。言い換えると、「常磁性粒子」はまた、「常磁性物質」から作製されるか、または「常磁性物質」からなる粒子として定義される。常磁性粒子の非限定的な例としては、特定の金属酸化物粒子、例えば、Fe粒子、金属合金粒子(例えば、CoTaZr粒子)が挙げられる。
【0037】
本明細書中において用いられる場合、「サンプル(例えば、全血)は新鮮である」とは、約12時間以内にサンプルの供給源から得られたかまたは単離されたサンプルを意味する。好ましくは、上記サンプルは、約10時間以内、5時間以内、4時間以内、3時間以内、2時間以内、1時間以内、30分以内、20分以内、10分以内、5分以内、2分以内、または1分以内にサンプルの供給源から得られたかまたは単離されている。
【0038】
本明細書中において用いられる場合、「サンプル(例えば、全血)は、低温保存される」は、約0℃かまたはそれ以下の温度で保存されているサンプルを意味する。
【0039】
(B.標的遺伝子の型決定方法)
1つの局面において、本発明は標的遺伝子の型決定方法を対象とする。上記方法は、以下:
a)適切なサンプルから標的遺伝子を含む標的細胞を単離し、そして上記単離された標的細胞由来の上記標的遺伝子の少なくとも一部である標的ヌクレオチド配列と、必要に応じて上記標的遺伝子に無関係の別のヌクレオチド配列とを含む調製物を得る工程;
b)核酸ハイブリダイゼーションにおいて使用するために適切な支持体を含むチップを提供する工程であって、上記支持体上には、上記標的ヌクレオチド配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドプローブと、以下のオリゴヌクレオチドコントロールプローブ:ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブのうちの少なくとも1つとが固定されている、工程;ならびに、
c)工程a)において得られた上記調製物を工程b)において提供された上記チップに対してハイブリダイズさせ、上記標的ヌクレオチド配列および/または上記別のヌクレオチド配列と、上記チップ上に含まれる上記コントロールプローブとの間のハイブリダイゼーションを評価して、上記標的遺伝子の型を決定する工程、
を包含する。
【0040】
本方法は、任意の標的細胞(例えば、白血球)由来の標的遺伝子の型決定に用いられ得る。他の例示的な標的細胞としては、動物細胞、植物細胞、真菌細胞、細菌細胞、組換え細胞、および培養細胞が挙げられる。
【0041】
本方法は、任意の標的遺伝子(例えば、ヒト白血球抗原(HLA))の型決定に用いられ得る。
【0042】
任意の適切なサンプル(例えば、血液、唾液、毛髪、ヒト核酸を含むヒト組織)は、本方法において用いられ得る。1つの例として、上記血液サンプルは、血清、血漿、または全血である。別の例として、上記血液サンプルは、新鮮全血または低温保存全血である。
【0043】
標的細胞は、任意の適切な方法を用いて適切なサンプルから単離され得る。例えば、この標的細胞は、磁性マイクロビーズを用いて適切なサンプルから単離され得る。好ましくは、この磁性マイクロビーズは、約5μmから約200μmの範囲に及ぶ直径を有する。
【0044】
上記磁性マイクロビーズは、任意の適切な方法によって調製され得る。例えば、CN 01/109870.8またはWO02/075309において開示された方法が用いられ得る。任意の磁化可能な物質は、本発明において有用な磁性マイクロビーズを調製するために用いられ得る。磁化可能な物質の非限定的な例としては、フェリ磁性物質、強磁性物質、常磁性物質、または、超常磁性物質が挙げられる。特定の実施形態において、磁性マイクロビーズは、常磁性物質(例えば、常磁性金属酸化物組成物)を含む。好ましくは、上記常磁性金属酸化物組成物は、遷移金属酸化物またはそれらの合金である。任意の適切な遷移金属(例えば、鉄、ニッケル、銅、コバルト、マンガン、タンタル(Ta)、亜鉛、およびジルコニウム(Zr))が用いられ得る。好ましい実施形態において、上記金属酸化物組成物は、FeまたはFeである。別の例として、磁性マイクロビーズに用いられる磁化可能な物質は、金属組成物を含む。好ましくは、上記金属組成物は、遷移金属組成物またはそれらの合金である(例えば、鉄、ニッケル、銅、コバルト、マンガン、タンタル、ジルコニウム、およびコバルト−タンタル−ジルコニウム(CoTaZr)合金)。
【0045】
磁性マイクロビーズは、利用可能な一次ビーズから調製され得るか、原材料から、または単量体(これは、米国特許第5,834,121号において開示されるように、架橋する場合、硬いポリマーコーティングを形成する)によってカプセル化された金属酸化物から調製され得る。本明細書中において用いられる場合、「硬い」は、コーティング中の金属酸化物粒子を安定させる程度に架橋され(すなわち、このコーティングは基本的に膨張または分解しない)、それによってこの粒子が中に包まれた状態にある、重合体コーティングを称する。本明細書中において用いられる場合、「微小孔」は、極性有機溶媒中で、膨張または拡張する樹脂重合体マトリックスを称する。本明細書中において用いられる場合、「負荷」は、機能化または誘導体化に有用な連結部位に関するビーズの受容能を意味するために用いられる。
【0046】
磁化可能材料として組込まれ得る適切な支持体としては、例えば、マグネタイトのような鉄酸化物、マンガン、コバルトおよびニッケルのフェライト、ヘマタイト、ならびに種々の合金が挙げられる。マグネタイトが最も好ましい鉄酸化物である。しばしば、金属塩は、金属酸化物に変化し、次いで、重合体でコーティングされるか、または、還元基をその上に有する熱可塑性重合体樹脂を含むビーズに吸着されるかのいずれかであることが教示される。疎水性一次ビーズを得るために金属酸化物粒子を用いて開始する場合、ビニル単量体由来の熱可塑性重合体(好ましくは、微小孔性マトリクスに結合し得るかまたは微小孔性マトリクスによって結合され得る架橋ポリスチレン)の硬いコーティングを提供することが必要である。磁性粒子は、当該分野において公知の方法(例えば、Vandenbergeら、J.of Magnetism and Magnetic Materials,15〜18:1117〜18(1980);Matijevic,Acc.Chem.Res.,14:22〜29(1981);ならびに米国特許第5,091,206号、同第4,774,265号、同第4,554,088号および同第4,421,660号において示される手順)によって形成され得る。本発明において用いられ得る一次ビーズの例は、米国特許第5,395,688号、同第5,318,797号、同第5,283,079号、同第5,232,7892号、同第5,091,206号、同第4,965,007号、同第4,774,265号、同第4,654,267号、同第4,490,436号、同第4,336,173号および同第4,421,660号において示される。あるいは、一次ビーズは、市販の疎水性ビーズまたは親水性ビーズから得られ得る。これらのビーズは、サイズ、常磁性粒子を保持する溶媒中で膨張するための重合体コーティングの十分な安定性、および、メッシュ化したマトリックス網を形成するために使用されるビニル単量体を吸収するという、開始時の要求を満たす。好ましくは、一次ビーズは、疎水性ビーズ、ポリスチレンでカプセル化されたビーズ、常磁性ビーズである。このようなポリスチレン常磁性ビーズは、Dynal,Inc(Lake Success,N.Y.)、Rhone Poulonc(France)、およびSINTEF(Trondheim,Norway)より利用可能である。トナー粒子の使用、または、外部の硬い重合体コーティングを生成するためにさらにカプセル化された不安定な重合体の第一コーティングを有する磁性粒子の使用もまた、考慮される。
【0047】
標的ヌクレオチド配列の調製は、核酸増幅工程を包含し得る。標的ヌクレオチド配列は、単離された標的細胞からの直接的核酸増幅を経て得られ得る。あるいは、標的ヌクレオチド配列は、単離された標的細胞から単離された核酸テンプレートを用いた核酸増幅を経て得られ得る。任意の適切な核酸増幅工程は、例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)および転写媒介性増幅(TMA)で用いられ得る。好ましくは、TMAは、T7プロモーターによって進められる。
【0048】
また好ましくは、PCRは、非対称PCRである。非対称PCRに使用される2つのプライマーは、任意の適切な比(例えば、約1:5〜約1:200の範囲に及ぶ比)を有し得る。非対称PCRに使用される2つのプライマーは、同じTm値または異なるTm値を有し得る。例えば、非対称PCRに使用される2つのプライマーのTm値の間の差は、約1℃〜約20℃の範囲に及ぶ。別の例として、非対称PCRに3つのプライマーが使用され、このプライマーのうちの2つは、同じかもしくは類似のTm値を有し、そしてこの2つのプライマーのTm値と第3のプライマーのTm値との間の差は、約1℃〜約20℃の範囲に及ぶ。上記プライマーは、直鎖プライマーであるか、またはヘアピン構造を含み得る。単一または複数のアニーリング温度が、PCRおいて使用される。例えば、アニーリング温度の間の差は、約1℃〜約20℃の範囲に及ぶ。
【0049】
本方法の工程a)において得られた標的ヌクレオチド配列は、1本鎖、2本鎖、または3本鎖であり得る。好ましくは、工程a)において得られた標的ヌクレオチド配列は、1本鎖DNAまたは1本鎖RNAである。本方法の工程a)において得られた標的ヌクレオチド配列は、プラス鎖またはマイナス鎖であり得る。好ましくは、上記1本鎖DNAまたは1本鎖RNAは、プラス鎖またはマイナス鎖である。標識された標的ヌクレオチド配列は、工程a)において得られ得る。好ましくは、この標識された標的ヌクレオチド配列は、蛍光標識を含むか、またはビオチン標識を含む。また好ましくは、別のヌクレオチド配列が、チップ上に含まれるポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブまたはハイブリダイゼーションコントロールプローブに相補的であり得る。
【0050】
チップ上に含まれるプローブは、プラス鎖プローブであるかまたはマイナス鎖プローブであり得る。チップ上に含まれるプローブは、修飾され得る。例示的なプローブ修飾としては、5’−NH修飾、5’−SH修飾、5’−ポリT(またはA、CもしくはG)修飾、5’−ビオチン修飾、3’−NH修飾、3’−SH修飾、3’−ポリT(またはA、CもしくはG)修飾、および3’−ビオチン修飾が挙げられる。
【0051】
本方法において用いられるチップは、任意の適切な型のプローブまたは多数のプローブを含み得る。例えば、チップは、1〜500種の異なる型のプローブを含み得る。別の例として、チップは、プローブの複数のアレイを含み得、そして、各アレイは、1〜400種の異なる型のプローブを含み得る。
【0052】
プローブは、任意の適切な温度(例えば、約40℃〜約100℃の範囲に及ぶ温度)でチップ上に固定され得る。上記チップは、修飾され得る。例示的なチップ修飾としては、CHO修飾、NH修飾、ポリリジン修飾、SH修飾、BSA修飾、ストレプトアビジン修飾、アガロースゲル修飾およびポリアクリルアミドゲル修飾が挙げられる。
【0053】
プローブの配列、純度または末端修飾は、評価され得る。好ましくは、プローブの配列、純度または末端修飾は、DHPLCによって評価される。
【0054】
任意の適切なコピーのプローブまたは多数のプローブは、チップ上に固定され得る。例えば、プローブの複数のコピー(例えば、プローブの1〜10個のコピー)は、チップ上に固定され得る。
【0055】
複数のコピーのプローブまたは多数のプローブは、任意の適切なパターンに従ってチップ上に固定され得る。例えば、複数のコピーのプローブまたは多数のプローブは、チップ上に隣接して固定され得るか、または離れて固定され得る。好ましくは、ポジティブコントロールプローブの複数のコピーがチップ上に固定されており、そしてこの固定されたポジティブコントロールプローブの長さおよび配列の変化により、工程a)において提供された調製物中の標的ヌクレオチド配列もしくは別のヌクレオチド配列とハイブリダイズする場合、強−弱もしくは弱−強の順序でそろえられた大きさを有するハイブリダイゼーションシグナルの群が作製される。
【0056】
任意の適切なポジティブコントロールプローブは、本方法において用いられ得る。好ましくは、このポジティブコントロールプローブは、以下:標的ヌクレオチド配列、標的ヌクレオチド配列と同時に増幅されるヌクレオチド配列または合成ヌクレオチド配列、の一部と相補的である。
【0057】
任意の適切なネガティブコントロールプローブは、本方法において用いられ得る。好ましくは、このネガティブコントロールプローブは、上記ポジティブコントロールプローブと比較した場合、約1〜3塩基対ミスマッチを有する。
【0058】
任意の適切なハイブリダイゼーションコントロールプローブは、本方法において用いられ得る。好ましくは、このハイブリダイゼーションコントロールプローブは、上記標的遺伝子と無関係な合成ヌクレオチド配列と相補的である。より好ましくは、上記ハイブリダイゼーションコントロールプローブは、合成標識ヌクレオチド配列と相補的であるか、または合成標識ヌクレオチド配列と比較した場合、約1〜2塩基対ミスマッチを有する。
【0059】
任意の適切な固定コントロールプローブは、本方法において用いられ得る。好ましくは、この固定コントロールプローブは、あらゆるハイブリダイゼーションシグナルを発生しない。一般的には、上記固定コントロールプローブは、化学修飾スライド、スポット工程、固定手順などの品質管理のための内部コントロールプローブである。この内部コントロールプローブは、標的核酸とはハイブリダイズしない。1つの特定の実施形態において、固定コントロールプローブの一方の末端は、化学的に修飾されており、この固定コントロールプローブの他方の末端は、検出可能な標識を有する。
【0060】
本方法において使用されるチップは、ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブのうちのいずれか、いくつかまたは全てを含み得る。1つの特定の実施形態において、このチップは、ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブを含む。ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブおよび/または固定コントロールプローブは、任意の適切なパターンで、このチップ上に固定され得る。例えば、ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブおよび固定コントロールプローブは、このチップの四隅に固定され得るか、このチップの中央部に固定され得るか、または任意の適切な規則的もしくは無作為な固定パターンを有し得る。
【0061】
工程c)におけるハイブリダイゼーション反応は、任意の適切なハイブリダイゼーション溶液(例えば、塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)および界面活性剤を含有するハイブリダイゼーション溶液)において、実施され得る。このハイブリダイゼーション溶液は、任意の適切な濃度(例えば、約3倍〜約10倍のSSC)のSSCを含有し得る。任意の適切な界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、Triton X100およびラウリル硫酸ナトリウム(SLS))が、使用され得る。このハイブリダイゼーション溶液は、任意の適切な濃度(例えば、約0.05%(w/w)〜約5%)w/w)の範囲の濃度)の界面活性剤を含有し得る。
【0062】
工程c)におけるハイブリダイゼーション反応は、任意の適切な温度(例えば、約42℃〜約70℃の範囲の温度)で実施され得る。
【0063】
本方法は、ハイブリダイゼーション反応の後に、洗浄工程をさらに包含し得る。任意の適切な洗浄溶液が、使用され得る。例えば、この洗浄工程は、約0%(w/w)〜約2%(w/w)の範囲の濃度を有する界面活性剤を含有する洗浄溶液中で、実施され得る。この洗浄工程は、任意の適切な時間(例えば、約5分間〜約30分間の範囲の時間)にわたって、実施され得る。
【0064】
種々のプローブの固定効率は、任意の有用な(usitable)方法によって、評価され得る。例えば、固定効率は、固定コントロールプローブからのシグナルを分析することによって、評価され得る。この固定コントロールプローブは、検出可能な標識(例えば、蛍光性分子)を保有し得る。
【0065】
全体的な固定効率(標的ヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブおよび種々のコントロールプローブを含むハイブリダイゼーションを含む)は、任意の適切な方法によって、評価され得る。例えば、全体的なハイブリダイゼーション効率は、ハイブリダイゼーションコントロールプローブと、標的遺伝子に関連しない標識された合成ヌクレオチド配列との間のハイブリダイゼーションを分析することによって、評価され得る。
【0066】
全体的なハイブリダイゼーション効率(標的ヌクレオチド配列に相補的なオリゴヌクレオチドプローブおよび種々のコントロールプローブを含むハイブリダイゼーションを含む)は、任意の適切な方法によって評価され得る。例えば、ハイブリダイゼーション効率は、ポジティブコントロールプローブを含むハイブリダイゼーションシグナルと、ネガティブコントロールプローブを含むハイブリダイゼーションシグナルとの間の比、およびポジティブハイブリダイゼーションコントロールプローブを含むハイブリダイゼーションシグナルと、ネガティブハイブリダイゼーションコントロールプローブを含むハイブリダイゼーションシグナルとの間の比を分析することによって、評価され得、そして増加した比は、ハイブリダイゼーション効率が増加したことを示す。
【0067】
ポジティブシグナルは、任意の適切な基準に基づいて、決定され得る。例えば、密接に関連するプローブの群を含むハイブリダイゼーションにおいて、ポジティブシグナルは、以下の基準に基づいて、決定され得る:a)バックグラウンドノイズに対するハイブリダイゼーションシグナルの比が、3より大きい;b)関連するポジティブコントロールプローブハイブリダイゼーションシグナルに対するハイブリダイゼーションシグナルの比が、所定の範囲内にある;c)工程a)およびb)に基づくポジティブシグナルを与える全てのプローブのハイブリダイゼーションシグナル、または1つのみのプローブが工程a)およびb)に基づくポジティブシグナルを与える場合には、2つの最も強いハイブリダイゼーションシグナルを与える2つのプローブのハイブリダイゼーションシグナルを比較して、そのシグナルが正であるか負であるかを決定すること;ならびにd)密接に関連するプローブの群を含む2つ以下のポジティブシグナルが存在する。
【0068】
密接に関連するプローブの群は、任意の適切な基準に基づき得る。例えば、特定の遺伝子座において改変を評価するために設計されたプローブの群が、密接に関連したプローブの郡として使用され得る。評価されるべき改変は、単一かまたは複数の塩基対変化であり得る。通常、塩基対の変化は、プローブの長さの内部(たとえば、20bp以下)に位置する。
【0069】
上記b)に記載されるような所定の範囲は、異なるプローブについて、異なり得る。この範囲は、実験的研究を介して得られ得る。例えば、この範囲は、複数(例えば、数百)のハイブリダイゼーション実験を、既知の標準的な標的および/またはプローブを使用して実施することによって、得られ得る。
【0070】
本方法は、任意の標的遺伝子の型を決定するために使用され得る。例えば、本方法は、HLA遺伝子に相補的なオリゴヌクレオチドプローブを使用して、HLA遺伝子の方を決定するために使用され得る。好ましくは、このオリゴヌクレオチドプローブは、a)高いストリンジェンシーの下で、標的LHA分子配列またはその相補鎖(これは、表1に記載される)にハイブリダイズするヌクレオチド配列;あるいはb)ヌクレオチド配列を含む標的HLAヌクレオチド配列またはその相補鎖(これは、表1に記載される)に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。また好ましくは、このオリゴヌクレオチドプローブは、表1に記載されるヌクレオチド配列、またはその相補鎖を含む。このチップは、表1に記載されるヌクレオチド配列のいくつかまたは全て、あるいはその相補鎖を含み得る。
【0071】
(C.HLA標的遺伝子の型を決定するための、オリゴヌクレオチドプローブおよびプローブアレイ)
別の局面において、本発明は、HLA標的遺伝子の型を決定するためのオリゴヌクレオチドプローブに関し、このHLA標的遺伝子は、a)高ストリンジェンシー下で、標的LHA分子配列またはその相補鎖(これは、表1に記載される)にハイブリダイズするヌクレオチド配列;あるいはb)ヌクレオチド配列を含む標的HLAヌクレオチド配列またはその相補鎖(これは、表1に記載される)に対して少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。このオリゴヌクレオチドプローブは、DNA、RNA、PNA、またはその誘導体を含み得る。好ましくは、このプローブは、表1に記載されるヌクレオチド配列、またはその相補鎖を含む。このプローブは、標識され得る。例示的な標識としては、化学標識、酵素標識、免疫原性標識、放射能標識、蛍光標識、発光標識、およびFRET標識が挙げられる。
【0072】
オリゴヌクレオチドプローブは、任意の適切な方法によって、産生され得る。例えば、これらのプローブは、化学的に合成され得るか(一般的に、Ausubel(編)、Current Protocols in Molecular Biology,2.11.Synthesis and prification of oligonucleotides,John Wiley & Sons,Inc.(2000)を参照のこと)、天然の供給源から単離され得るか、組換え方法によって産生され得るか、またはこれらの組み合わせであり得る。合成オリゴヌクレオチドはまた、Matteucciら、J.Am.Chem.Soc.,3:3185−3191(1981)のトリエステル法を使用することによって、調製され得る。あるいは、例えば、シアノエチルホスホロアミダイト化学を使用する、Applied Biosynthesis DNA合成機での自動合成が好ましくあり得る。好ましくは、これらのプローブは、化学的に合成される。
【0073】
本発明のオリゴヌクレオチドプローブを調製するために適切な塩基は、天然に存在するヌクレオチド塩基(例えば、アデニン、シトシン、グアニン、ウラシル、およびチミン)から選択され得る。この塩基はまた、天然には存在しないヌクレオチド塩基、すなわち「合成」ヌクレオチド塩基(例えば、8−オキソ−グアニン、6−メルカプトグアニン、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシエチル)ウリジン、2’−O−メチルシチジン、5−カルボキシメチルアミノ−メチル−2−チオリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2’−O−メチルプソイドウリジン、β−D−ガラクトシルキューオシン、2’−Oメチルグアノシン、イノシン、N−イソペンテニルアデノシン、1−メチルアデノシン、1−メチルプソイドウリジン、1−メチルグアノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、2−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、β−D−マンノシルキューオシン、5−メトキシカルボニルメチルウリジン、5−メトキシウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン、N−((9−β−D−リボフラノシル−2−メチルチオプリン−6−イル)カルバモイル)スレオニン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)N−メチルカルボニル)スレオニン、ウリジン−5−オキシ酢酸メチルエステル、ウリジン−5−オキシ酢酸、ワイブトキソシン、プソイドウリジン、キューオシン、2−チオシチジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、2−チオウリジン、5−メチルウリジン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)カルバモイル)スレオニン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルウリジン、ワイブトシン、および3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン)から選択され得る。
【0074】
同様に、オリゴヌクレオチドの化学的アナログ(例えば、ホスホジエステル結合が、例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、またはホスホロアミデートに修飾されたオリゴヌクレオチド)もまた、使用され得る。分解からの保護は、「3’末端」ストラテジーの使用によって、達成され得る。このストラテジーによって、ヌクレアーゼ耐性結合が、オリゴヌクレオチドの3’末端におけるホスホジエステル結合の代わりに置き換えられる(Shawら、Nucleic Acids Res.,19:747(1991))。ホスホロアミデート結合、ホスホロチオエート結合、およびメチルホスホネート結合は、全て、この様式で十分に機能する。ホスホジエステル骨格のより広範な修飾は、安定性を付与し、そしてオリゴヌクレオチドの増強した親和性および増加した細胞浸透性を可能にし得ることが示された(Milliganら、J.Med.Chem.,36:1923(1993))。多くの異なる化学的ストラテジーが、ホスホジエステル骨格全体を新規結合で置き換えるために、使用されている。骨格のアナログとしては、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、メチルホスホネート結合、ホスホロアミデート結合、ボラノホスフェート結合、ホスホトリエステル結合、ホルムアセタール結合、3’−チオホルムアセタール結合、5’−チオホルムアセタール結合、5’−チオエーテル結合、カーボネート結合、5’−N−カルバメート結合、スルフェート結合、スルホネート結合、スルファメート結合、スルホンアミド結合、スルホン結合、スルファイト結合、スルホキシド結合、スルフィド結合、ヒドロキシルアミン結合、メチレン(メチルイミノ)(MMI)結合またはメチレンオキシ(メチルイミノ)(MOMI)結合が挙げられる。ホスホロチオエートで修飾されたオリゴヌクレオチドおよびメチルホスホネートで修飾されたオリゴヌクレオチドは、それらが自動オリゴヌクレオチド合成によって入手可能であることに起因して、特に好ましい。オリゴヌクレオチドは、(Milliganら、J.Med.Chem.,36:1923(1993))によって記載されるような、「ペプチド核酸」であり得る。唯一の要件は、このオリゴヌクレオチドプローブが、少なくとも一部分が標的DNA分子の配列の一部分に結合し得る配列を保有することである。
【0075】
ハイブリダイゼーションプローブは、任意の適切な長さのものであり得る。このプローブの長さに対しては、このプローブがHLA標的核酸にハイブリダイズし、そしてプローブとして効果的に機能する(例えば、検出を容易にする)限り、上限も下限もない。本発明のプローブは、50ヌクレオチド、40ヌクレオチド、30ヌクレオチド、20ヌクレオチド、15ヌクレオチド、または10ヌクレオチド、またはより短くあり得る。同様に、このプローブは、20ヌクレオチド、40ヌクレオチド、50ヌクレオチド、60ヌクレオチド、75ヌクレオチド、100ヌクレオチド、または200ヌクレオチド程度の長さであり得るか、またはそれより長くあり得る(例えば、HLA標的配列の全長まで)。一般に、これらのプローブは、相補的な標的核酸鎖のイオずれかの、少なくとも14個のヌクレオチド、好ましくは、少なくとも18個のヌクレオチド、そしてより好ましくは、少なくとも20〜30個のヌクレオチドを有し、そしていかなるヘアピン型二次構造も含まない。特定の実施形態において、このプローブは、少なくとも30ヌクレオチド、または少なくとも50ヌクレオチドの長さを有し得る。完全に相補的であるべきである場合、すなわち、その鎖が、プローブの配列と同一の配列を含む場合、その二重鎖は、かなりストリンジェントな条件下で、比較的安定であり、そしてこれらのプローブは、短くあり得る(すなわち、約10〜30塩基対の範囲)。ある程度のミスマッチが、プローブにおいて予測される場合、すなわち、そのプローブが、改変領域または特定の属における全ての種のような配列の群にハイブリダイズすることが疑われる場合、そのプローブは、そのミスマッチの影響と釣り合いをとるために、より長いものであり得る(すなわち、15〜40塩基)。
【0076】
プローブは、HLA標的遺伝子全体に及ぶ必要はない。HLA標的または対立遺伝子を特異的に識別する可能性を有する標的領域の任意のサブセットが、使用され得る。その結果として、核酸プローブは、標的領域のわずか8ヌクレオチドにハイブリダイズし得る。さらに、プローブのフラグメントは、それらがタイピングされるべきHLA標的遺伝子の特性を十分に示す限り、使用され得る。
【0077】
プローブは、長さが少なくとも8ヌクレオチドであるHLA標的ヌクレオチド配列と、低ストリンジェンシー下でハイブリダイズし得るべきである。好ましくは、プローブは、HLA標的ヌクレオチド配列と、中程度または高いストリンジェンシー下でハイブリダイズする。
【0078】
さらに別の局面において、本発明は、HLA標的遺伝子をタイピングするために支持体に固定化されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイに関し、このアレイは、核酸ハイブリダイゼーションにおける使用に適切な支持体を含み、この支持体は、それに固定化された複数のオリゴヌクレオチドプローブを有し、上記プローブの少なくとも1つは以下のヌクレオチド配列を含む:a)高ストリンジェンシー下で、表1に示される標的HLAヌクレオチド配列、またはその相補鎖とハイブリダイズするヌクレオチド配列;あるいはb)表1に示されるヌクレオチド配列、またはその相補鎖を含む標的HLAヌクレオチド配列と少なくとも90%の同一性を有するヌクレオチド配列。
【0079】
複数のプローブは、DNA,RNA,PNAまたはそれらの誘導体を含み得る。プローブのうちの少なくとも1つまたはいくつかは、表1に示されるヌクレオチド配列、またはその相補鎖を含み得る。好ましくは、プローブアレイは、表1に示されるヌクレオチド配列のすべて、またはその相補鎖を含む。プローブのうちの少なくとも1つ、いくつか、またはすべてが、標識され得る。例示的な標識としては、化学標識、酵素標識、免疫原標識、放射活性標識、蛍光標識、発光標識およびFRET標識が挙げられる。任意の適切な支持体(例えば、シリコン、プラスチック、ガラス、セラミック、ゴム、およびポリマー表面)が、使用され得る。
【0080】
(D.アッセイ形式)
(プローブの固定化)
本発明の方法、プローブおよびプローブアレイが溶液中で使用され得る。好ましくは、チップ形式(例えば、固体支持体に固定化されたプローブを使用することによって)で行われる。
【0081】
プローブは、任意の適切な表面(好ましくは、シリコン、プラスチック、ガラス、セラミック、ゴム、またはポリマー表面のような固体支持体)に固定化され得る。プローブはまた、3次元の多孔性ゲル基質(例えば、Packard HydroGelチップ(Broudeら、Nucleic Acids Res.,29(19):E92(2001)))に固定化され得る。
【0082】
アレイベースのアッセイのために、プローブは、好ましくは、「バイオチップ」のような固体支持体に固定化される。固体支持体は、粒子、鎖、沈殿物、ゲル、シート、管、球体、容器、キャピラリー、パッド、薄片、フィルム、プレート、スライドなどとして存在する、生物学的支持体、非生物学的支持体、有機的支持体、無機的支持体、またはこれらのいずれかの組み合わせであり得る。
【0083】
プローブのライブラリーを含むマイクロアレイバイオチップは、多数の周知のアプローチによって調製され得、このアプローチとしては、例えば、光依存法(light−directed method)(例えば、米国特許第5,143,854号、同第5,384,261号または同第5,561,071号に記載されるVLSIPSTM);米国特許第5,541,061号に記載されるようなビーズベースの方法;および米国特許第5,288,514号に詳述されるようなピンベースの方法が挙げられる。VLSIPSTMを使用してマイクロアレイとしての様々な二重鎖プローブライブラリーの調製を詳述する米国特許第5,556,752号もまた、マイクロアレイにおけるヘアピンプローブライブラリーの調製に適切である。
【0084】
米国特許第5,677,195号および同第5,384,261号に記載されるようなフローチャネル法が、多種多様なプローブを有するマイクロアレイバイオチップを調製するために使用され得る。この事例では、プローブがフローチャネルから支持体に送達されるときに、基質の特定の活性化領域が他の領域から機械的に分離される。フローチャネル法の詳細な記載は、米国特許第5,556,752号(指定された流路を通る液体の有向チャネリングを高めるための、保護塗装した湿式ファシリテータ(wetting facilitator)の使用を含む)に見出され得る。
【0085】
スポット法もまた、多様なプローブが固定化されたマイクロアレイバイオチップを調製するために使用され得る。この事例では、反応物質は、支持体の選択された領域に比較的少量を直接蒸着させることによって送達される。いくつかの工程では、当然のことながら、全支持体表面が、特定の溶液でスプレーされるか、他の場合にはコーティングされる。特定の形式において、ディスペンサは、領域から領域まで、それぞれの停止において必要なだけのプローブまたは他の試薬を蒸着して移動する。代表的なディスペンサは、溶液または他の流体を含むプローブを支持体に送達するためのマイクロピペット、ナノピペット、インクジェト型カートリッジおよびピン、ならびに必要に応じて、支持体に関してこれらの送達デバイスの位置を制御するためのロボットシステムを含む。他の形式では、ディスペンサは、一連のチューブまたは複数のウェルトレイ、マニホールド、および送達デバイスのアレイを含み、その結果、種々の試薬が同時に反応領域に送達され得る。スポット法は、当該分野で周知であり、例えば、米国特許第5,288,514号、同第5,312,233号および同第6,024,138号に記載されるスポット法が挙げられる。いくつかの事例では、支持体の好ましい領域において、フローチャネルと「スポット」との組み合わせもまた、固体化プローブを有するマイクロアレイバイオチップを調製するために使用され得る。
【0086】
プローブを固定化するための固体支持体は、好ましくは平坦であるが、代替的な表面形状を呈し得る。例えば、固体支持体は、盛り上がった領域または落ち込んだ領域を含み得、そこでプローブ合成が行われるかまたはプローブが結合される。いくつかの実施形態において、固体支持体は、適切な光吸収特性を提供するように選択され得る。例えば、支持体は、重合したLangmuir Blodgettフィルム、ガラスまたは機能化ガラス、Si、Ge、GaAs、GaP、SiO、SiN、改変したシリコン、あるいは種々のゲルまたはポリマー(例えば、(ポリ)テトラフルオロエチレン、(ポリ)ビニリデン二フッ化物、ポリスチレン、ポリカーボネート、またはそれらの組み合わせ)のうちのいずれか1つであり得る。他の適切な固体支持体材料は、当業者に容易に明らかである。
【0087】
固体支持体の表面は、オリゴヌクレオチドまたは核酸に関連する反応基と結合するのに適切な反応基(カルボキシル、アミノ、ヒドロキシル、チオールなどが挙げられる)を含み得る。好ましくは、その表面は、光学的に透明であり、シリカ表面で見出されるような表面Si−−OH官能性を有する。
【0088】
プローブは、化学的手段または物理的手段(例えば、イオン力、共有力または当該分野で周知の他の力)によって支持体に結合され得る。核酸およびオリゴヌクレオチドの固定化は、当該分野で周知の任意の手段によって達成され得る(例えば、Dattaguptaら、Analytical Biochemistry,177:85−89(1989);Saikiら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA.86:6230−6234(1989);およびGravittら、J.Clin.Micro.,36:3020−3027(1998)を参照のこと)。
【0089】
プローブは、ハイブリダイゼーションアッセイに役立ち得るようにプローブの二重鎖部分の間に空間を提供するために、(例えば、Lockhartらに対する米国特許第5,556,752号に記載されるように)スペーサー分子を用いて支持体に結合され得る。スペーサー分子は、代表的には、長さが6〜50の原子を含み、そして支持体に結合する表面結合部分を含む。支持体への結合は、例えば、(ポリ)トリフルオロクロロエチレン表面を有する支持体を使用する炭素−炭素結合、またはシロキサン結合(例えば、固体支持体としてガラスまたは酸化シリコンを使用する)によって達成され得る。シリコン結合は、支持体をスペーサーのトリクロロシリル基またはトリアルコキシシリル基と反応させることによって形成され得る。アミノアルキルシランおよびヒドロキシアルキルシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランまたはヒドロキシプロピルトリエトキシシランが、表面結合基として有用である。
【0090】
スペーサーはまた、プローブの表面結合部分に結合される延長部分またはより長い鎖部分を含み得る。例えば、アミン基、ヒドロキシル基、チオール基、およびカルボキシル基が、そのスペーサーの延長部分を表面結合部分に結合するのに適切である。スペーサーの延長部分は、ポリマー合成のためのその後の任意の条件に対して不活性である種々の分子のうちのいずれかであり得る。これらのより長い鎖部分は、代表的には、アリールアセチレン、2〜14のモノマー単位を含むエチレングリコールオリゴマー、ジアミン、二価酸、アミノ酸、ペプチド、またはそれらの混合物である。
【0091】
いくつかの実施形態において、スペーサーの延長部分がポリヌクレオチドであるか、またはスペーサー全体がポリヌクレオチドであり得る。スペーサーの延長部分はまた、ポリエチレングリコール、ポリヌクレオチド、アルキレン、ポリアルコール、ポリエステル、ポリアミン、ポリホスホジエステルおよびそれらの組み合わせで構成され得る。さらに、プローブの合成での使用のために、スペーサーは、そのスペーサーの遠位端または終端(固体支持体の反対側)の官能基(例えば、ヒドロキシル基、アミノ基またはカルボン酸)に結合される保護基を有し得る。脱保護およびカップリングの後、その遠位端はオリゴマーまたはプローブに共有結合され得る。
【0092】
本発明の方法は、一度に単一のプローブを含む単一のサンプルを分析するために使用され得る。好ましくは、その方法は、ハイスループット形式で行われる。例えば、複数のサンプルが、単一のプローブを用いて同時に分析され得るか、または単一のサンプルが、複数のプローブを使用して同時に分析され得る。より好ましくは、複数のサンプルが、複数のプローブを使用して同時に分析され得る。
【0093】
(ハイブリダイゼーション条件)
ハイブリダイゼーションは、当該分野で公知の任意の適切な技術のもとで行われ得る。ハイブリダイゼーション条件が、ハイブリダイゼーションの程度、および非特異的な結合のバックグラウンドレベルを増加または減少させるために変更され得る(すなわち、洗浄する塩濃度または温度でハイブリダイゼーションを変更することによって)ことが、当業者に明らかである。プローブと標的ヌクレオチド配列との間のハイブリダイゼーションは、任意の適切なストリンジェンシー(高ストリンジェンシー、中程度のストリンジェンシーまたは低ストリンジェンシーを含む)のもとで行われ得る。代表的には、ハイブリダイゼーションは、高ストリンジェンシーの条件下で行われる。
【0094】
プローブと標的核酸との間のハイブリダイゼーションは、均質(例えば、分子ビーコン(Tyagi S.ら、Nature Biotechnology,14:303−308(1996);および米国特許第6,150,097号)および保護アッセイ(Gen−Probe,Inc)(米国特許第6,004,745号)で使用される代表的な条件)であり得るか、または異質(種々の型のニトロセルロースベースのハイブリダイゼーションで使用される代表的な条件、および磁性ビーズベースのハイブリダイゼーションで使用される代表的な条件)であり得る。
【0095】
標的ポリヌクレオチド配列は、高ストリンジェンシーから低いストリンジェンシーなハイブリダイゼーション条件および洗浄条件下で標的配列と安定なハイブリッドを形成するオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーションによって検出され得る。ハイブリダイゼーションによる検出の利点は、使用されるプローブに依存して、さらなる特異性が見込めることである。プローブが標的配列に対して完全に相補的(すなわち、約99%またはそれ以上)であることが予期される場合、高ストリンジェンシー条件が使用される。いくらかのミスマッチが予期される場合、例えば、プローブが完全に相補的でない結果として改変体株が予期される場合、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、低くされ得る。しかし、条件は、非特異的なハイブリダイゼーションを最小限にするかまたは排除するように選択される。
【0096】
ハイブリダイゼーションに影響を及ぼし、非特異的ハイブリダイゼーションを選択する条件は、当該分野で公知である(Molecular Cloning A Laboratory Manual、第二版、J.Sambrook.E.Fritsch,T.Maniatis,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989)。一般的に、より低い塩濃度およびより高い温度は、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを高める。例えば、概して、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、約0.1×SSC、0.1% SDS含む溶液中で、約65℃のインキュベーション/洗浄温度でのインキュベーションを含む。中程度のストリンジェント条件は、約1〜2×SSC、0.1% SDSを含む溶液中で、約50℃〜65℃のインキュベーション/洗浄温度でのインキュベーションである。低ストリンジェンシー条件は、2×SSCで約30℃〜50℃の温度である。
【0097】
ハイブリダイゼーションおよび洗浄の代替的な方法は、最初に低ストリンジェンシーのハイブリダイゼーション(5×SSPE、0.5% SDS)を行い、その後、3Mの塩化テトラメチルアンモニウム(TMAC)の存在下で高ストリンジェンシーの洗浄を行なう。TMACの効果は、A−T塩基対およびG−C塩基対の相対的な結合を等しくし、所定の温度でのハイブリダイゼーションの効率を、ポリヌクレオチドの長さに近接して対応させることである。TMACを用いて、所望のストリンジェンシーのレベルを達成するために洗浄の温度を変動させることが可能である(Woodら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、82:1585〜1588(1985))。
【0098】
ハイブリダイゼーション溶液は、25%のホルムアミド、5×SSC、5×デンハート溶液、100μg/mlの単鎖DNA、5%の硫酸デキストラン、またはプローブハイブリダイゼーションに有用であることが公知の他の試薬を含有し得る。
【0099】
(ハイブリッドの検出)
プローブと標的HLA核酸との間のハイブリダイゼーションの検出は、当該分野で公知の任意の方法(例えば、プローブの標識化、二次プローブ、標的核酸またはそれらのいくつかの組合せ)により実施され得、本発明の目的に適している。あるいは、ハイブリッドは、検出可能な標識の非存在下で質量分析により検出され得る(例えば、米国特許第6,300,076号)。
【0100】
検出可能な標識は、ハイブリダイゼーションの後に、直接的に、または間接的に検出され得る部分である。言い換えれば、検出可能な標識は、測定可能な物理学的な特性(例えば、蛍光または吸光度)を有するか、または酵素反応に関与する。直接的な標識を使用して、標的ヌクレオチド配列またはプローブは、標識され、そしてハイブリッドの形成は、ハイブリッドにおける標識の検出によって評価される。間接的な標識を使用して、二次プローブが標識され、ハイブリッドの形成が、二次プローブと元のハイブリッドとの間に形成された二次ハイブリッドの検出によって評価される。
【0101】
プローブまたは核酸を標識する方法は、当該分野で周知である。適切な標識としては、フルオロフォア、発色団、発光団、放射性同位体、電子密度試薬、FRET(蛍光共鳴エネルギー移動)、特定の結合相手を有する酵素およびリガンドが挙げられる。特に有用な標識は、酵素的に活性な群(例えば、酵素(Wisdom,Clin.Chem.,22:1243(1976));酵素基質(英国特許第1,548,741号);補酵素(米国特許第4,230,797号および同第4,238,565号)および酵素インヒビター(米国特許第4,134,792号));蛍光剤(SoiniおよびHemmila、Clin.Chem.,25:353(1979));フィコビリンタンパク質を含む発色団、発光剤(例えば、化学発光剤および生物発光剤(GorusおよびSchram、Clin.Chem.,25:512(1979)および同書、1531));特に結合可能なリガンド(すなわち、タンパク質結合リガンド);抗原;ならびに放射性同位体(例えば、3H、35S、32P、125Iおよび14C)を含む残基である。このような標識は、それら自体の物理的な特性(例えば、蛍光剤、発色団、および放射性同位体)またはそれらの反応性の特性もしくは結合特性(例えば、抗体、酵素、基質、補酵素、およびインヒビター)に基づいて検出される。リガンド標識はまた、オリゴヌクレオチドプローブの固相捕捉(すなわち、捕捉プローブ)に有用である。例示的な標識としては、ビオチン(標識されたアビジンまたはストレプトアビジンに対する結合により検出可能である)および酵素(例えば、ホースラディッシュペルオキシダーゼまたはアルカリホスファターゼ)(着色した反応産物を生成するための酵素基質の添加により検出可能である)が挙げられる。
【0102】
例えば、放射性同位体標識したプローブまたは標的核酸は、オートラジオグラフィーにより検出され得る。あるいは、蛍光部分で標識されたプローブまたは標的核酸は、当該分野で公知の蛍光定量法により検出され得る。ハプテンまたはリガンド(例えば、ビオチン)標識された核酸は、抗体または抗体色素を、ハプテンまたは標識したリガンド(例えば、アビジン)に結合するタンパク質に添加することにより検出され得る。
【0103】
さらなる代替として、プローブまたは核酸は、ハイブリダイゼーションを検出するためのさらなる試薬を必要とする部分で標識され得る。この標識が酵素である場合、その標識された核酸(例えば、DNA)は、最終的に、触媒作用の程度を決定するために、適切な培地に配置される。例えば、補助因子標識した核酸は、その標識が補助因子であって、その酵素に対する基質である酵素を添加することにより検出され得る。従って、酵素がホスファターゼである場合、培地は、リン酸ニトロフェニルを含有し得、色を観察することにより、生成されたニトロフェノールの量をモニタリングし得る。酵素がβガラクトシダーゼである場合、培地は、o−ニトロ−フェニル−D−ガラクト−ピラノシドを含有し得、これはまた、ニトロフェノールを遊離する。後者の例示的な例としては、β−ガラクトシダーゼ、アルカリホスファターゼ、パパインおよびペルオキシダーゼが挙げられるが、これらに限定されない。インサイチュハイブリダイゼーション研究については、基質の最終生成物は、水溶性であることが好ましい。他の標識(例えば、色素)は、当業者に明らかである。
【0104】
標識(例えば、アクリジン色素、フェナントリジン、フェナジン、フロクマリン、フェノチアジンおよびキノリン)は、直接的化学結合(例えば、共有結合が挙げられる)により、または間接結合(例えば、標識のミクロカプセルまたはリポソームへの組込み、これは、次に結合リガンドに結合される)によりDNA結合リガンドに直接連結され得る。標識がDNA結合リガンド(例えば、インターカレート化合物)に結合される方法は、当該分野で周知であって、任意の従来の方法が使用され得る。代表的なインターカレート剤としては、モノ−またはビス−アジドアミノアルキルメチジウムまたはエチジウム化合物、エチジウムモノアジド、エチジウムジアジド、エチジウム二量体アジド(Mitchellら、J.Am.Chem.Soc.,104:4265(1982))、4−アジド−7−クロロキノリン、2−アジドフルオレン、4’−アミノメチル−4,5’−ジメチルアンジェリシン、4’−アミノメチル−トリオキサレン(4’アミノメチル−4,5’,8−トリメチル−ソラレン)、3−カルボキシ−5−ソラレン、−8−アミノ−ソラレン、または−ヒドロキシ−ソラレン(3−carboxy−5− or−8−amino− or −hydroxy−psoralen)が挙げられる。特定の核酸が結合したアジド化合物が、Forsterら、Nucleic Acid Res.,13:745(1985)により記載されている。他の有用な光反応性インターカレート剤は、ピリミジン残基と(2+2)環付加物を形成するフロクマリンである。アルキル化剤はまた、DNA結合リガンド(例えば、ビス−クロロエチルアミンおよびエポキシドまたはアジリジン(例えば、アフラトキシン、多環式炭化水素エポキシド、ミトマイシンおよびノルフィリンが挙げられる)が挙げられる)として使用され得る。インターカレート剤の特に有用な光反応性形態は、アジドインターカレート剤である。これらの反応性のニトレンは、長波長の紫外線または可視光で容易に生成され、アリールアジドのニトレンは、それらの再構成産物に対する挿入反応が好ましい(Whiteら、Meth.Enzymol.,46:644(1977))。
【0105】
上記プローブはまた、特定の形態(例えば、逆ドットブロットのための10〜100のT残基の添加、またはウシ血清アルブミンへの結合または磁気ビーズ上への固定化)での使用のために改変され得る。
【0106】
間接的な検出方法によりハイブリダイゼーションを検出する場合、検出可能に標識された二次プローブは、プローブと標的との間の最初のハイブリダイゼーションの後、またはプローブと標的とのハイブリダイゼーションの間に添加され得る。必要に応じて、ハイブリダイゼーション条件は、二次プローブの添加の後に、改変され得る。ハイブリダイゼーション後、ハイブリダイズしなかった二次プローブは、例えば、一次プローブが、固体支持体上に固定化されている場合、洗浄により一次プローブから分離され得る。固体支持体の場合、支持体上の位置に結合した標識の検出は、サンプル中の標的核酸配列のプローブへのハイブリダイゼーションを示す。
【0107】
検出可能に標識された二次プローブは、特異的プローブであり得る。あるいは、検出可能に標識されたプローブは、縮重プローブ(例えば、本質的に米国特許第5,348,855号に記載される全ゲノムDNAなどの配列の混合物)であり得る。後者の場合、標識は、二次プローブが二本鎖DNAを含む場合、インターカレート色素を用いて達成され得る。好ましいDNA結合リガンドは、例えば、上記のインターカレート化合物である。
【0108】
二次プローブはまたランダムヌクレオチドプローブ配列のライブラリーであり得る。二次プローブの長さは、二次プローブにより検出されるべき、固体支持体上の一次プローブまたは標的核酸配列の長さおよび成分の観点から決定されるべきである。このようなプローブライブラリーは、好ましくは、光活性化試薬で標識された3’または5’末端および検出試薬(例えば、フルオロフォア、酵素、色素、発光団または他の公知の検出可能部分)で負荷された他の末端で提供される。
【0109】
標識された核酸に印をつけるのに使用される特定の配列は、変更され得る。従って例えば、アミノ置換されたソラレンは、最初に核酸、それが標識に結合され得るペンダントアミノ基を有する生成物と光化学的に結合され得る(すなわち、標識化は、DNA結合リガンドを試験サンプル中で核酸と光化学的に反応させることにより実施される)。あるいは、ソラレンは、最初に標識(例えば、酵素)に結合され、次いで、核酸に結合され得る。
【0110】
有利には、DNA結合リガンドは、最初に化学的に標識と結合され、その後核酸プローブと結合される。例えば、ビオチンは、カルボキシル基を保有するので、フロクマリンの光化学反応性またはビオチンの生物学的活性を妨害することなく、アミド形成またはエステル形成によってフロクマリンと結合され得る。アミノメチルアンジェリシン、ソラレンおよびフェナントリジウム誘導体は、フェナントリジウムハロゲン化物およびその誘導体(例えば、アミノプロピルメチジウムクロライド)と同様に標識に結合され得る(Hertzbergら、J.Amer.Chem.Soc.,104:313(1982))。あるいは、DNA結合リガンドを標識に結合させるために、二官能性試薬(例えば、ジチオビススクシンイミジルプロピオネートまたは1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル)が直接的に使用され得、ここで、その反応剤は、アルキルアミノ基を有し、溶媒、割合および反応条件に関しては、公知の様式である。特定の二官能性試薬、おそらくグルタルアルデヒドは、適していない。なぜならそれらは結合している間、核酸を改変し得、従ってアッセイを干渉し得るからである。このような問題を防止するために、従来の予防策がとられ得る。
【0111】
また有利には、DNA結合リガンドは、スペーサーによって標識に結合され得、このスペーサーは、約40原子まで、好ましくは約2〜20原子の鎖を含み、その原子としては、炭素、酸素、窒素および硫黄が挙げられるが、これらに限定されない。このようなスペーサーは、メンバーの多官能性ラジカルであり得、ペプチド、炭化水素、多価アルコール、ポリエーテル、ポリアミン、ポリイミンおよび炭水化物(例えば、−グリシル−グリシル−グリシル−または他のオリゴペプチド、カルボニルジペプチドおよびω−アミノ−アルカン−カルボニルラジカルなど)が挙げられるが、これらに限定されない。糖、酸化ポリエチレンラジカル、グリセリル、ペンタエリスリトールなどのラジカルもまた、スペーサーとして作用し得る。スペーサーは、核酸結合リガンドおよび/または標識に直接的に結合され得るか、または結合は、結合剤(例えば、ジチオビススクシンイミジルプロピオネート、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジイソシアネート、カルボジイミド、グリオキサール、グルタルアルデヒドなど)の二価ラジカルを含み得る。
【0112】
ハイブリダイゼーションの間接的な検出のための二次プローブはまた、例えば、TyagiおよびKramer、Nature Biotech、14:303〜309(1996)またはLizardiらの米国特許第5,119,801号および同第5,312,728号に記載される「ビーコンプローブ」法におけるエネルギー移動により検出され得る。当該分野で公知の任意のFRET検出系が、本発明の方法に使用され得る。例えば、AlphaScreenTM系が使用され得る。AlphaScreen技術は、「増幅された発光近接性均質アッセイ(Amplified Luminescent Proximity Homogeneous Assay)」法である。680nmでのレーザー光での照射の際に、供与体ビーズの感光剤が、周囲の酸素を一重項状態の酸素に変換する。励起した一重項状態の酸素分子は、急激に崩壊する前に約250nm(1つのビーズの直径)を拡散する。受容体ビーズが、供与体ビーズに近接して存在する場合、生物学的相互作用によって、一重項状態の酸素分子は、受容体ビーズの化学発光基と反応し、ただちに、エネルギーを同じビーズの蛍光受容体に移動する。蛍光受容体は、放射波長を520〜620nmにシフトする。この全反応は、0.3秒間の崩壊の半減期を有するので、測定は、時間分解様式で開始し得る。他の例示的なFRET供与体/受容体対としては、55Åの有効距離を有するフルオレセイン(供与体)およびテトラメチルローダミン(受容体);46Åの有効距離を有するIAEDANS(供与体)およびフルオレセイン(受容体);ならびに61Åの有効距離を有するフルオレセイン(供与体)およびQSY−7色素(受容体)(Molecular Probes)が挙げられる。
【0113】
核酸検出のための定量アッセイもまた、本発明に従って実施され得る。マイクロアレイスポットに結合した二次プローブの量が、測定され得る。その量は、上記サンプル中にある核酸標的の量に関連し得る。そのサンプルの希釈物が、既知量の上記標的核酸を含むコントロールとともに使用され得る。これらの工程を実施するための正確な条件は、当業者にとって明らかである。マイクロアレイ分析において、検出可能なレベルが、可視化され得るか、またはそのプローブアレイをX線フィルムまたはホスホイメージャーに近接して配置してそのプローブが結合した部位を同定することによって評価され得る。蛍光が、電荷結合素子(CCD)またはレーザー走査によって検出され得る。
【0114】
(試験サンプル)
任意の適切なサンプル(ヒト起源サンプル、動物起源サンプル、または環境(土壌もしくは水)起源サンプルが挙げられる)が、本方法を使用して分析され得る。試験サンプルとしては、体液(例えば、尿、血液、精液、脳脊髄液、膿、羊水、涙液)、または半固体分泌物もしくは固体分泌物(例えば、痰、唾液、肺吸引物、膣分泌物もしくは尿道分泌物)、糞便または固体組織サンプル(例えば、生検もしくは絨毛膜絨毛標本)が、挙げられる。試験サンプルとしてはまた、皮膚からの塗抹標本、生殖器からの塗抹標本、または咽喉からの塗抹標本も、挙げられる。
【0115】
試験サンプルは、当該分野で周知の種々の手段によって、核酸を単離するために処理され得る(一般的には、Ausubel編、Current Protocols in Molecular Biology,2.Preparation and Analysis of DNA and 4.Preparation and Analysis of RNA,John Wiley & Sons,Inc.(2000)を参照のこと)。標的核酸は、RNAまたはDNAであり得、これは、直接サンプルの形態であっても、または精製核酸もしくはアンプリコンの形態であってもよいことが、当業者にとって明らかである。
【0116】
精製核酸は、上記サンプルから抽出され得、そして純度について分光光度的にかまたは他の器具によって測定され得る。核酸増幅の当業者にとって、アンプリコンは、種々の増幅方法によって最終産物として得られ、その方法は、例えば、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、同第4,800,159号、および同第4,965,188号)、NASBA(核酸配列ベースの増幅、米国特許第5,130,238号)、TMA(転写媒介性増幅)(Kwohら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:1173〜1177(1989))、SDA(鎖置換増幅、Walkerら、米国特許第5,270,184号に記載される)、tSDA(高温鎖置換増幅(thermophilic Strand Displacement Amplification)(米国特許第5,648,211号および欧州特許番号EP 0 684315)、SSSR(3SR(Self−Sustained Sequence Replication))(米国特許第6,156,508号)である。
【0117】
具体的な実施形態において、ヒト起源のサンプルが、アッセイされる。なお別の具体的な実施形態において、痰サンプル、尿サンプル、血液サンプル、組織切片サンプル、食物サンプル、土壌サンプルまたは水サンプルが、アッセイされる。
【0118】
(キット)
本プローブは、キット形式にて、好ましくは、標的遺伝子を検出するためにそのプローブを使用する指示書とともに、包装され得る。そのキットの構成要素は、一般的容器中に一緒に包装され、代表的には、本明細書中に開示される方法の選択された具体的実施形態を実施するための指示書を含む。本明細書中に記載される検出方法のための構成成分が、必要に応じて上記キット中に含まれ得、それは、例えば、二次プローブおよび/または試薬、ならびに標識検出を実施するための手段(例えば、放射性標識、酵素基質、抗体など)である。
【0119】
(E.例示的実施形態)
本明細書中に記載される例示的実施形態は、標的遺伝子を型決定するための(例えば、DNAチップを使用してHLA型決定するための)方法を提供する。そのような型決定は、ヒト骨髄幹細胞ドナーライブラリーおよびヒト臍帯血幹細胞ライブラリーの構築、器官移植試験、骨髄移植試験、自己免疫疾患研究、ウイルス感染研究、および癌研究、疾患に対する感受性を予測する研究、法医学的同定、父系決定、ならびにヒト遺伝研究などにおいて、使用され得る。
【0120】
一局面において、上記の例示的実施形態は、標的遺伝子を型決定するための方法を提供する。この方法は、a)適切なサンプルから標的遺伝子を含む標的細胞を単離し、そしてその単離された標的細胞由来の標的遺伝子の少なくとも一部である標的ヌクレオチド配列と、必要に応じてその標的遺伝子に無関係の別のヌクレオチド配列とを含む調製物を得る工程;b)核酸ハイブリダイゼーションにおいて使用するために適切な支持体を含むチップを提供する工程であって、その支持体上には、上記標的ヌクレオチド配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドプローブと、ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブというオリゴヌクレオチドコントロールプローブのうちの少なくとも1つとが固定されている、工程;ならびにc)工程a)において得られた調製物を工程b)において提供されたチップに対してハイブリダイズさせ、上記標的ヌクレオチド配列および/または上記別のヌクレオチド配列と、上記チップ上に含まれるコントロールプローブとの間のハイブリダイゼーションを評価して、その標的遺伝子の型を決定する工程、を包含する。いくつかの実施形態において、上記標的遺伝子は、HLA遺伝子(例えば、HLAクラスI遺伝子またはHLAクラスII遺伝子)である。
【0121】
一実施形態において、上記標的ヌクレオチド配列の調製物は、磁性ビーズを使用して全血から白血球を単離する工程;その白血球から核酸を単離するかまたはその白血球を直接標的遺伝子増幅のために使用して、その標的ヌクレオチド配列の調製物を得る工程によって得られる。上記標的ヌクレオチド配列は、蛍光標識もしくはビオチン標識を含む、1本鎖DNAまたは1本鎖RNAである。
【0122】
本実施形態は、上記標的ヌクレオチド配列の調製のための改良方法を提供する。上記標的ヌクレオチド配列の調製のための先行技術の方法は、PCRによる上記標的ヌクレオチド配列の増幅の前に全血からDNAを精製する工程、および後のハイブリダイゼーションのためにそのPCR産物を精製および変性する工程を必要とする。米国特許第5,702,885号を参照のこと。上記標的ヌクレオチド配列の調製のための本方法は、全血から単離した白血球をPCRテンプレートとして直接磁性ビーズととともに使用すること、またはその白血球から単離した核酸を核酸増幅のために使用して、蛍光標識もしくはビオチン標識を含む1本鎖DNAもしくは1本鎖RNAを得ることを、可能にする。上記標識DNAまたは標識RNAは、さらに精製することなくハイブリダイゼーションのために使用され得る。
【0123】
この実施形態において、上記1本鎖DNAまたは1本鎖RNAは、非対称PCRを使用して取得され得る。上記PCR増幅プロセスは、不均等量のプライマーを使用する従来の非対称PCRであり得る。上記プライマーは、直鎖プライマーであり得るか、またはヘアピン構造を有し得る。上記非対称PCRにおいて使用されるプライマーは、同じTm値を有しても、異なるTm値を有してもよい。上記非対称PCRにおいて使用される2つ以上のプライマーのTm値間の差異は、約1℃〜約20℃の範囲であり得る。上記プライマーのうちの一方は、2本鎖産物の増幅を可能にするために、より低いTm値を有し得る。もう一方のプライマーは、特定量の2本鎖DNAを取得した後に1本鎖DNAの増幅を可能にするために、より高いTm値を有し得る。このPCR増幅プロセスによって生成される1本鎖標的ヌクレオチド配列は、さらに精製することなくハイブリダイゼーションのために直接使用され得る。実施例1は、この方法により得られる1本鎖HLA標的ヌクレオチド配列が、さらに精製することなくDNAチップハイブリダイゼーションのために使用され得たことを実証した。
【0124】
あるいは、1本鎖RNAが、転写媒介性増幅(TMA)法によって取得され得る。T7プロモーターを含むプライマーが、増幅のために含められ得る。1本鎖RNAが、T7 RNAポリメラーゼによって合成され得る。ハイブリダイゼーションのために1本鎖DNAまたは1本鎖RNAを使用すると、上記PCR増幅産物を精製および変性する工程と、ハイブリダイゼーションのために2本鎖DNAを使用する間の弱いシグナルまたはシグナル喪失という問題とが、回避される。
【0125】
この実施形態において、上記磁性マイクロビーズは、中国特許第01134861.5号において開示される方法によって調製される。
【0126】
標的ヌクレオチド配列の調製のための本明細書中に開示される方法は、迅速な核酸サンプル調製のため、および微小全分析系(またはラボオンチップ(lab−on−a−chip))を構築するためのバイオチップ操作を達成するために、使用され得る。
【0127】
上記PCR系およびPCRプロセスは、実施例1にさらに詳述される。そのPCR増幅産物は、図1および図2において示される。
【0128】
別の実施形態において、本発明のチップは、公開されたHLA対立遺伝子配列に従ってオリゴヌクレオチドプローブを設計し、そしてそのチップの化学修飾した表面上に上記チップを固定することによって、構築される。
【0129】
この実施形態において、上記プローブは、中レベル分解能のHLA型決定のために公開されたHLA対立遺伝子配列に従って設計され、そして上記チップの化学修飾支持体上に固定される。上記プローブは、プラス鎖プローブであっても、マイナス鎖プローブであってもよい。上記プローブは、約10ヌクレオチド〜約30ヌクレオチドを有し得る。上記HLA対立遺伝子配列は、まず、一ヌクレオチド多型(SNP)部位を同定するための配列分析ソフトウェアによって分析され得、そのSNP部位を変換するプローブ配列が、必要なTm値に基づいて設計される。本発明のために使用されるプローブの例が、表1において示される。
【0130】
この実施形態において、上記プローブは、固定効率を増加するために室温よりも高い温度にて、上記チップの支持体上に固定され得る。より高い固定効率によって、使用されるべきプローブの量が節約され、そしてチップ構築費用が低減される。プローブを固定するための先行技術の方法は、室温または室温付近の温度を使用する。本実施形態は、その一端にNH改変を有するプローブを固定するために、より高温を使用する。なぜなら、−NH−CO−結合を形成するNH基とCHO基との間の反応は、より高温で効率が良いからである。
【0131】
別の実施形態において、上記プローブの品質(例えば、純度および末端改変)を、DHPLCを介して評価するための方法が、提供される。末端改変効率は、上記プローブの品質にとって重要な指標である。DHPLCは、末端改変プローブと非改変プローブとを分離し得、従って、上記プローブの品質制御のために使用され得る。プローブの末端NH改変を評価するためにDHPLCを使用する例が、表2において示される。DHPLCはまた、上記プローブにおけるヌクレオチドの変異または欠失を評価するために使用され得る。
【0132】
別の実施形態において、方法は、上記標的ヌクレオチド配列を含む調製物を、上記チップに対してハイブリダイズする工程;そのチップを溶液で洗浄する工程;そのチップをハイブリダイゼーション後にシグナルについて走査する工程;および上記標的ヌクレオチド配列と上記チップ上に固定されたプローブとの間のハイブリダイゼーションを評価して上記標的遺伝子の型を決定する工程;を包含する。
【0133】
この実施形態において、強いシグナルを与え、偽ポジティブシグナルの可能性を最小にするハイブリダイゼーション条件および洗浄条件が選択される。本発明に使用されるプローブは、Twelfth International Conference of Histocampatibility(ftp.ebi.ac.uk)から提供されるヒトHLA対立遺伝子配列およびクローン化標準HLA対立遺伝子から選択される。クローン化標準HLA対立遺伝子は、配列決定され、多くの配列が、Twelfth International Conference of Histocampatibilityによって提供される配列と一致しなかった。HLA対立遺伝子ライブラリーは、本発明のプローブを設計するために構築された。
【0134】
別の実施形態において、表3に示される一連のコントロールプローブおよびプローブ配列のパターンは、チップの品質およびハイブリダイゼーションプロセスからの結果の信頼性を評価するために提供される。表3に示されるプローブの配列は、標的遺伝子のタイピング(HLAタイピングが挙げられるがこれらに限定されない)のために使用され得る。プローブの複数のコピー(例えば、1〜10コピー)が、チップ上に固定され得る。プローブの複数のコピーは、チップ上に隣接してまたは別々に固定され得る。ポジティブコントロールプローブの1〜10個のコピーを、チップ上に固定し得、そして固定されたポジティブコントロールプローブの長さおよび配列のバリエーションは、標的ヌクレオチド配列にハイブリダイズした場合、強〜弱または弱〜強の順序正しい大きさを有する一群のハイブリダイゼーションシグナルを作り出す。ネガティブコントロールプローブは、ポジティブコントロールプローブと比較した場合、約1〜3塩基対のミスマッチを有する。ポジティブコントロールプローブまたはネガティブコントロールプローブは、標的ヌクレオチド配列の一部、標的ヌクレオチド配列と同時に増幅されるヌクレオチド配列、または合成ヌクレオチド配列に対して相補的であり得る。ハイブリダイゼーションコントロールプローブは、標的遺伝子に関連しない合成ヌクレオチド配列に対して相補的であり得る。ハイブリダイゼーションコントロールプローブは、合成標識ヌクレオチド配列に対して相補的であり得るか、または、合成標識ヌクレオチド配列と比較した場合、約1〜2個の塩基対ミスマッチを有する。固定コントロールプローブは、一端において化学的に改変されており(例えば、NH改変されている)、そして他端に検出可能標識(例えば、蛍光標識)を有するプローブである。固定コントロールプローブは、標的遺伝子に関連しない合成ヌクレオチド配列に対して相補的である。ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブは、チップの4つの角、またはチップの中心に固定され得るか、あるいは任意の適切な順序またはランダムな固定パターンを有し得る。コントロールプローブについてのこのパターンの配列が、HLAタイピングのために使用され得るが、これらに限定されない。
【0135】
別の実施形態において、任意の標的遺伝子をタイピングするため(HLA遺伝子をタイピングするためを含むがこれらに限定されない)に使用され得るハイブリダイゼーションシグナルを評価するためのデータ分析のための方法が提供される。この方法は、固定効率、全体的なハイブリダイゼーション効率、ハイブリダイゼーション特異性、ならびにポジティブシグナルおよびネガティブシグナルの評価を含む。全体的なハイブリダイゼーション効率は、固定コントロールプローブからのシグナルの分析、ハイブリダイゼーションコントロールプローブと標的遺伝子に関連しない標識合成ヌクレオチド配列との間のハイブリダイゼーションの分析、ならびにポジティブコントロールプローブおよびネガティブコントロールプローブに関係するハイブリダイゼーションシグナルの分析によって評価され得る。ハイブリダイゼーション特異性は、ポジティブコントロールプローブに関係するハイブリダイゼーションシグナルとネガティブコントロールプローブに関係するハイブリダイゼーションシグナルとの間の比、ならびにポジティブハイブリダイゼーションコントロールプローブに関係するハイブリダイゼーションシグナルとネガティブハイブリダイゼーションコントロールプローブに関係するハイブリダイゼーションシグナルとに間の比を分析することによって評価され得、そして増加したハイブリダイゼーション特異性を示す比を増加し得る。一群の密接に関連するプローブに関係するハイブリダイゼーションにおいて、ポジティブシグナルは、以下の基準に基づいて決定され得る:a)バックグラウンドノイズに対するハイブリダイゼーションシグナルの比は、3より大きい;b)関連ポジティブコントロールプローブハイブリダイゼーションシグナルに対するハイブリダイゼーションシグナルの比は、所定の範囲内である;c)a)およびb)の工程に基づいてポジティブシグナルを与える全てのプローブのハイブリダイゼーションシグナル、または1つのプローブのみがa)およびb)の工程に基づいてポジティブシグナルを与える場合、2つの最も強いハイブリダイゼーションシグナルを与える2つのプローブのハイブリダイゼーションシグナルを比較して、このシグナルがポジティブであるかまたはネガティブであるかを決定する;ならびにd)その群の密接に関連するプローブに関係する2つまたは2つ未満のポジティブシグナルが存在する。
【0136】
ハイブリダイゼーションの後に、チップが走査され得、そしてデータが分析され得る。標的遺伝子型(例えば、HLA遺伝子)が、データ分析ソフトウェアを使用して決定され得る。
【実施例】
【0137】
(F.実施例)
(実施例1)
標的HLA遺伝子をタイピングするための標的細胞を単離するために、ACD(23mMクエン酸、80mMグルコース、および45mMクエン酸ナトリウム)中の抗凝集剤を含む5μlの全血を、回転シェーカー上の1.5ml Eppendorf管中の20μl磁性ビーズ(15mg/mlのTE緩衝液(pH6.0)中にある)とともに10秒間穏やかに混合し、3分間静置させた。次いで、磁性ビーズを磁気スタンドによって固定し、上清を廃棄した。磁性ビーズをPBSで2回洗浄した。洗浄後、磁性ビーズを100μl TE緩衝液中に再懸濁させ、5μlの再懸濁磁性ビーズを、PCT増幅のためにテンプレートとして使用した。PCRを25μlのPCT反応溶液中で行った。この反応溶液を、2.5μlの10×緩衝液、0.5μlの10mM dNTP、0.5μlの1mM Cy5標識dCTP、0.5μlの100ng/μlテンプレートDNA、0.5μlの1μM上流プライマー、2.5μlの10μM下流プライマー、0.5μlの5U/μl Taqポリメラーゼ、および最終反応容量を25μlにするための滅菌再蒸留水を混合させることによって作製した。PCT増幅プロセスは、以下を含んだ:96℃で3分;96で25秒、71℃で45秒、および72℃で30秒の26サイクル;96℃で25秒、68℃で60秒、および72℃で120秒の9サイクル;続いて、72℃で8分。
【0138】
PCT増幅の後に、反応産物を、1.2%アガロースゲル電気泳動によって分析し得る。反応産物を、分析することなく、以下のハイブリダイゼーション反応に直接使用し得る。
【0139】
ハイブリダイゼーションを行うために、3μlのハイブリダイゼーション溶液と混合した後に、5μlのPCT反応産物を、98℃で5分間インキュベートした。次いで、ハイブリダイゼーション反応を、65℃で1時間行い、PCT反応産物とDNAチップ上に固定されたプローブとのハイブリダイゼーションを行わせた。ハイブリダイゼーション後、チップ上の未反応PCT反応産物を、脱イオン水を使用して洗浄した。チップをさらに10分間、45℃で洗浄緩衝液において洗浄し、そして脱イオン水でリンスした。次いで、チップを乾燥させた。
【0140】
ハイブリダイゼーションチップを特別なスキャナーで走査し、そしてハイブリダイゼーションパターンを得た(図3)。ハイブリダイゼーションパターンを、特別なソフトウェアを使用して分析し、データベースを作製した。データベースを分析し、標的遺伝子の遺伝子タイピングを得た。
【0141】
(実施例2)
プローブの品質を決定するために、HO中10μMの、一端にNH2改変を有する2つのオリゴヌクレオチドプローブ(PBH_0303019およびPBH_0301119)を、WAVE(登録商標)Nucleic Acid Fragment Analysis System(Transgenomic,USA)に適用した。カラム温度を80℃に設定し、プローブを勾配アセトニトリル緩衝液中で洗浄した。溶出液を紫外光検出器を使用して260nMで検出した。時間にわたって溶出されたピークの数および形状は、プローブの品質を示した。図5に示されるように、5Aおよび5Bの有用な内容は、それぞれ、93.35%および64.8%である。
【0142】
(実施例3)
表1のプローブを、HLA_A、HLA_B、HLA_DRB1遺伝子型決定プローブとして使用した。PBH_0301xxxは、HLA−Aプローブを表し、PBH_0202xxxは、HLA−Bプローブを表し、そしてPBH_0303xxxは、HLA−DRB1プローブを表す。
【0143】
(実施例4)
HLA標準対立遺伝子のクローニング。その手順は、以下の通りである:
【0144】
【化1】

HLA標準遺伝子バンクを、HLA_A、HLA_B、HLA_DRB1遺伝子型決定プローブの検出およびHLAチップのQCのために構築した。43のHLA−A対立遺伝子が存在し、これは、19の対立遺伝子群に分布し、メジウムタイプの95.0%をカバーしてクローニングされている;HLA_Bについて、47の対立遺伝子が、クローニングされ、これは、29の対立遺伝子群に分布し、メジウムタイプの80%をカバーする;HLA_DRについて、22の対立遺伝子がクローニングされ、これは、14の対立遺伝子群に分布し、メジウムタイプの87.5%をカバーする。12th IHWG(www.ihwg.org)の対立遺伝子配列に基づく表1のプローブが設計された。次いで、プローブを化学改変側鎖上に固定してHLAチップを作製した。
【0145】
ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件は、強力なポジティブシグナルおよび比較的弱い偽ポジティブシグナルを維持するべきである。ハイブリダイゼーションの温度および洗浄の温度は、それぞれ、65℃および45℃であり、イオン強度は、0.2%SDS、0.1×SSCであった。
【0146】
標的遺伝子を含むサンプルを、HLAチップとハイブリダイズし、次いで、洗浄および走査によって、データを得、遺伝子型を検出した。例えば、5μl PCR産物および5μlハイブリダイゼーション緩衝液を混合し、次いで、1時間、65℃でハイブリダイズし、次いで、0.2%SDSおよび0.1×SSCを含む溶液を使用して、10分間、45℃でチップを洗浄し、5分間再び、1×SSCを使用して洗浄し、1分間水でリンスした。次いで、チップを遠心分離して乾燥し、スキャナーで走査した。写真をとり、データをHLA特異的ソフトウェアを使用して分析し、遺伝子型の結果を作製した。
【0147】
HLA−A、HLA−B、HLA−DRB1遺伝子型決定のためのプローブを表1に示した。
【0148】
【表1−1】

【0149】
【表1−2】

【0150】
【表1−3】

【0151】
【表1−4】

【0152】
【表1−5】

【0153】
【表1−6】

【0154】
【表1−7】

【0155】
【表1−8】

(実施例5)
HLAタイピングのアレイでは、64個の検出プローブ、2個のポジティブプローブ、1個のネガティブプローブ、1個のハイブリダイゼーションコントロールネガティブプローブ、1個のハイブリダイゼーションコントロールポジティブプローブが存在する。表2に示されるように、イタリック文字は、コントロールプローブを表し、他の文字は、検出プローブである。表3は、HLAチップのプローブの配置の一例を示している。
【0156】
【表2−1】

【0157】
【表2−2】

【0158】
【表3】

上記実施例は、例示の目的のみで含まれ、本発明の範囲を制限することを意図しない。上記に対する多くのバリエーションが可能である。上記の実施例に対する改変およびバリエーションが当業者に明らかであるので、本発明が添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、磁性マイクロビーズによって白血球が捕獲された結果を例証する。
【図2】図2は、異なる3つのタイプの磁性マイクロビーズを用いて単離した白血球からのPCR結果を例証する。
【図3】図3は、同じ磁性マイクロビーズを用いて単離した白血球からのPCR結果を例証する。
【図4】図4は、144個のプローブを含むチップ上のハイブリダイゼーションシグナルを例証する。
【図5】図5は、2つのプローブ(PBH_0303019およびPBH_0301119)のDHPLC分析を例証する。
【図6−1】図6は、4つのタイプのプローブ(6a.非常に純度が高いプローブ;6b.少量の不純物を含むプローブ;6c.高い不純率のプローブ;6d.非常に高い不純率の非常に純度が低いプローブ)のDHPLC分析を例証する。
【図6−2】図6は、4つのタイプのプローブ(6a.非常に純度が高いプローブ;6b.少量の不純物を含むプローブ;6c.高い不純率のプローブ;6d.非常に高い不純率の非常に純度が低いプローブ)のDHPLC分析を例証する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的遺伝子の型を決定するための方法であって、該方法は、以下:
a)適切なサンプルから標的遺伝子を含む標的細胞を単離し、そして該単離された標的細胞由来の該標的遺伝子の少なくとも一部である標的ヌクレオチド配列と、必要に応じて該標的遺伝子に無関係の別のヌクレオチド配列とを含む調製物を得る工程;
b)核酸ハイブリダイゼーションにおいて使用するために適切な支持体を含むチップを提供する工程であって、該支持体上には、該標的ヌクレオチド配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドプローブと、以下のオリゴヌクレオチドコントロールプローブ:ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブのうちの少なくとも1つとが固定されている、工程;ならびに、
c)工程a)において得られた該調製物を工程b)において提供された該チップに対してハイブリダイズさせ、該標的ヌクレオチド配列および/または該別のヌクレオチド配列と、該チップ上に含まれる該コントロールプローブとの間のハイブリダイゼーションを評価して、該標的遺伝子の型を決定する工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、前記標的細胞が、白血球であり、しかし白血球に限定されない、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、前記標的遺伝子が、ヒト白血球抗原(HLA)であって、本方法がまた、他の遺伝子の遺伝型決定のために使用され得る、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、前記適切なサンプルが、血液、唾液、毛髪、ヒト核酸を含むヒト組織、および有核細胞を含有する任意の他のヒト組織からなる群より選択される、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法であって、前記血液サンプルが、血清、血漿、および全血からなる群より選択される、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、前記血液サンプルが、新鮮全血または低温保存全血である、方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法であって、前記標的細胞が、磁性マイクロビーズを用いて適切なサンプルから単離される、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法であって、前記磁性マイクロビーズが、約5μmから約200μmの範囲に及ぶ直径を有する、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、前記標的ヌクレオチド配列の調製が、核酸増幅工程を包含する、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記標的ヌクレオチド配列が、前記単離された標的細胞からの直接的核酸増幅を経て得られる、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記標的ヌクレオチド配列が、前記単離された標的細胞から単離された核酸テンプレートを用いた核酸増幅を経て得られる、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記核酸増幅工程が、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、リガーゼ連鎖反応(LCR)、核酸配列ベースの増幅(NASBA)、鎖置換増幅(SDA)および転写媒介性増幅(TMA)からなる群より選択される、方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記TMAが、T7プロモーターによって進められる、方法。
【請求項14】
請求項12に記載の方法であって、前記PCRが、非対称PCRである、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、前記非対称PCRに使用される2つのプライマーが、約1:5〜約1:200の範囲に及ぶ比を有する、方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法であって、前記非対称PCRに使用される2つのプライマーが、同じTm値または異なるTm値を有する、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、前記非対称PCRに使用される2つのプライマーの前記Tm値の間の差が、約1℃〜約20℃の範囲に及ぶ、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、前記非対称PCRに3つのプライマーが使用され、該プライマーのうちの2つは、同じかもしくは類似のTm値を有し、そして該2つのプライマーのTm値と該第3のプライマーのTm値との間の差が、約1℃〜約20℃の範囲に及ぶ、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、前記プライマーが、直鎖プライマーであるか、またはヘアピン構造を含む、方法。
【請求項20】
請求項12に記載の方法であって、前記単一または複数のアニーリング温度が、前記PCRに使用される、方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法であって、前記アニーリング温度の間の差が、約1℃〜約20℃の範囲に及ぶ、方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法であって、前記工程a)において得られた標的ヌクレオチド配列が、1本鎖DNAまたは1本鎖RNAである、方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法であって、前記1本鎖DNAまたは1本鎖RNAが、プラス鎖プローブであるかまたはマイナス鎖プローブである、方法。
【請求項24】
請求項1に記載の方法であって、工程a)において標識された標的ヌクレオチド配列が得られる、方法。
【請求項25】
請求項24に記載の方法であって、前記標識された標的ヌクレオチド配列が、蛍光標識を含むか、またはビオチン標識を含む、方法。
【請求項26】
請求項1に記載の方法であって、前記別のヌクレオチド配列が、前記チップ上に含まれる前記ポジティブコントロールプローブ、前記ネガティブコントロールプローブまたは前記ハイブリダイゼーションコントロールプローブに相補的である、方法。
【請求項27】
請求項1に記載の方法であって、前記チップ上に含まれる前記プローブが、プラス鎖プローブであるかまたはマイナス鎖プローブである、方法。
【請求項28】
請求項1に記載の方法であって、前記チップ上に含まれる前記プローブが修飾されている、方法。
【請求項29】
請求項28に記載の方法であって、前記プローブ修飾が、5’−NH修飾、5’−SH修飾、5’−ポリT(またはA、CもしくはG)修飾、5’−ビオチン修飾、3’−NH修飾、3’−SH修飾、3’−ポリT(またはA、CもしくはG)修飾、および3’−ビオチン修飾からなる群より選択される、方法。
【請求項30】
請求項1に記載の方法であって、前記チップが1〜400種の異なる型のプローブを含む、方法。
【請求項31】
請求項1に記載の方法であって、前記チップがプローブのアレイを含み、各アレイが1〜400種の異なる型のプローブを含む、方法。
【請求項32】
請求項1に記載の方法であって、前記プローブが、約37℃〜約100℃の範囲に及ぶ温度で前記チップ上に固定される、方法。
【請求項33】
請求項1に記載の方法であって、前記チップが修飾されている、方法。
【請求項34】
請求項33に記載の方法であって、前記チップ修飾が、CHO修飾、NH修飾、ポリリジン修飾、SH修飾、BSA修飾、ストレプトアビジン修飾、アガロースゲル修飾およびポリアクリルアミドゲル修飾からなる群より選択される、方法。
【請求項35】
請求項1に記載の方法であって、前記プローブの配列、純度、もしくは末端修飾が評価される、方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記プローブの配列、純度、もしくは末端修飾が、DHPLCによって評価される、方法。
【請求項37】
請求項1に記載の方法であって、前記チップ上に、1プローブの複数のコピーが固定されている、方法。
【請求項38】
請求項1に記載の方法であって、1プローブの1〜10個のコピーが固定されている、方法。
【請求項39】
請求項1に記載の方法であって、前記チップ上に、前記1プローブの複数のコピーが隣接して固定されているか、または離れて固定されている、方法。
【請求項40】
請求項39に記載の方法であって、ポジティブコントロールプローブの前記複数のコピーが前記チップ上に固定されており、そして該固定されたポジティブコントロールプローブの長さおよび配列の変化により、工程a)において提供された前記調製物中の前記標的ヌクレオチド配列もしくは前記別のヌクレオチド配列とハイブリダイズする場合、強−弱もしくは弱−強の順序でそろえられた大きさを有するハイブリダイゼーションシグナルの群が作製される、方法。
【請求項41】
請求項1に記載の方法であって、前記ポジティブコントロールプローブが、前記標的ヌクレオチド配列、該標的ヌクレオチド配列と同時に増幅されるヌクレオチド配列、または合成ヌクレオチド配列の一部と相補的である、方法。
【請求項42】
請求項41に記載の方法であって、前記ネガティブコントロールプローブが、前記ポジティブコントロールプローブと比較した場合、約1〜3塩基対ミスマッチを有する、方法。
【請求項43】
請求項1に記載の方法であって、前記ハイブリダイゼーションコントロールプローブが、前記標的遺伝子と無関係な合成ヌクレオチド配列と相補的である、方法。
【請求項44】
請求項43に記載の方法であって、前記ハイブリダイゼーションコントロールプローブが、合成標識ヌクレオチド配列と相補的であるか、または該合成標識ヌクレオチド配列と比較した場合、約1〜2塩基対ミスマッチを有する、方法。
【請求項45】
請求項1に記載の方法であって、前記固定コントロールプローブが、あらゆるハイブリダイゼーションシグナルを発生しない、方法。
【請求項46】
請求項1に記載の方法であって、前記固定コントロールプローブの一方の末端が、化学的に修飾されており、該固定コントロールプローブの他方の末端が、検出可能な標識を有する、方法。
【請求項47】
請求項1に記載の方法であって、前記チップが、ポジティブコントロールプローブ、ネガティブコントロールプローブ、ハイブリダイゼーションコントロールプローブ、および固定コントロールプローブを含む、方法。
【請求項48】
請求項1に記載の方法であって、前記ポジティブコントロールプローブ、前記ネガティブコントロールプローブ、前記ハイブリダイゼーションコントロールプローブおよび前記固定コントロールプローブが、前記チップの四隅に固定されているか、前記チップの中央に固定されているか、または任意の適切な秩序ある固定パターンもしくはランダムな固定パターンを有する、方法。
【請求項49】
請求項1に記載の方法であって、前記工程c)におけるハイブリダイゼーション反応が、塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)および界面活性剤を含有するハイブリダイゼーション溶液中で行われる、方法。
【請求項50】
請求項49に記載の方法であって、前記ハイブリダイゼーション溶液が、約3×SSC〜約10×SSCを含有する、方法。
【請求項51】
請求項49に記載の方法であって、前記界面活性剤が、約0.05%(w/w)〜約5%(w/w)の範囲に及ぶ濃度を有する、方法。
【請求項52】
請求項49に記載の方法であって、前記界面活性剤が、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、Triton 100およびラウリル硫酸ナトリウム(SLS)からなる群より選択される、方法。
【請求項53】
請求項1に記載の方法であって、前記工程c)におけるハイブリダイゼーション反応が、約42℃〜約70℃の範囲に及ぶ温度で行われる、方法。
【請求項54】
請求項1に記載の方法であって、ハイブリダイゼーション反応後に洗浄工程をさらに包含する、方法。
【請求項55】
請求項54に記載の方法であって、前記洗浄工程が、約0.%(w/w)〜約2%(w/w)の範囲に及ぶ濃度を有する界面活性剤を含有する洗浄溶液中で行われる、方法。
【請求項56】
請求項54に記載の方法であって、前記洗浄工程が、約5分〜約30分の範囲に及ぶ時間の間行われる、方法。
【請求項57】
請求項1に記載の方法であって、前記固定の効率が、前記固定コントロールプローブからのシグナルを分析することによって評価される、方法。
【請求項58】
請求項1に記載の方法であって、前記全ハイブリダイゼーション効率が、前記ハイブリダイゼーションコントロールプローブと、前記標的遺伝子と無関係な標識された合成ヌクレオチド配列との間のハイブリダイゼーションを分析することによって評価される、方法。
【請求項59】
請求項1に記載の方法であって、前記ハイブリダイゼーション特異性が、前記ポジティブコントロールプローブに関する前記ハイブリダイゼーションシグナルと前記ネガティブコントロールプローブに関する前記ハイブリダイゼーションシグナルとの間の比、および前記ポジティブハイブリダイゼーションコントロールプローブに関する前記ハイブリダイゼーショシグナルと前記ネガティブハイブリダイゼーションコントロールプローブに関する前記ハイブリダイゼーションシグナルとの間の比、およびハイブリダイゼーション特異性の増加を示す比の増加を分析することによって評価される、方法。
【請求項60】
請求項1に記載の方法であって、密接な関係があるプローブの群に関するハイブリダイゼーションにおいて、ポジティブシグナルが、以下の基準:
a)バックグラウンドノイズに対する前記ハイブリダイゼーションシグナルの比が、3より大きい;
b)関連するポジティブコントロールプローブハイブリダイゼーションシグナルに対する前記ハイブリダイゼーションシグナルの比が、所定の範囲内である;
c)該工程a)およびb)に基づいてポジティブシグナルを与える、全プローブのハイブリダイゼーションシグナルを比較するか、または、該工程a)およびb)に基づいてただ1つのプローブがポジティブシグナルを与える場合、2つの最大のハイブリダイゼーションシグナルを与える2つのプローブのハイブリダイゼーションシグナルを比較して、該シグナルがポジティブであるかまたはネガティブであるかを決定する工程;そして、
d)該密接な関係があるプローブの群に関して2つ以下のポジティブシグナルが存在する、
に基づいて決定される、方法。
【請求項61】
請求項1に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドプローブが、標的HLA遺伝子と相補的である、方法。
【請求項62】
請求項61に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドプローブが、以下のヌクレオチド配列:
a)高ストリンジェント条件下で、表1に示される標的HLAヌクレオチド配列もしくはその相補鎖とハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;または、
b)表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を含む標的HLAヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、ヌクレオチド配列、
を包含する、方法。
【請求項63】
請求項61に記載の方法であって、前記オリゴヌクレオチドプローブが、表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を包含する、方法。
【請求項64】
請求項61に記載の方法であって、前記チップが、表1に示されるヌクレオチド配列の全てもしくはその相補鎖の全てを含む、方法。
【請求項65】
HLA標的遺伝子を型決定するためのオリゴヌクレオチドプローブであって、以下のヌクレオチド配列:
a)高ストリンジェント条件下で、表1に示される標的HLAヌクレオチド配列もしくはその相補鎖とハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;または、
b)表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を含む標的HLAヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、ヌクレオチド配列、
を包含する、方法。
【請求項66】
請求項65に記載のプローブであって、DNA、RNA、PNAまたはそれらの誘導体を包含する、プローブ。
【請求項67】
請求項65に記載のプローブであって、表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を包含する、プローブ。
【請求項68】
請求項65に記載のプローブであって、標識されている、プローブ。
【請求項69】
請求項68に記載のプローブであって、前記標識が、化学標識、酵素標識、免疫原性標識、放射性標識、蛍光標識、発光標識およびFRET標識からなる群より選択される、プローブ。
【請求項70】
HLA標的遺伝子を型決定するための支持体上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブのアレイであって、該アレイは、核酸ハイブリダイゼーションにおいて使用するために適切な支持体を含み、該支持体上には、複数のオリゴヌクレオチドプローブが固定されており、該プローブの少なくとも1つは、以下のヌクレオチド配列:
a)高ストリンジェント条件下で、表1に示される標的HLAヌクレオチド配列もしくはその相補鎖とハイブリダイズする、ヌクレオチド配列;または、
b)表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を含む標的HLAヌクレオチド配列に対して、少なくとも90%の同一性を有する、ヌクレオチド配列、
を包含する、アレイ。
【請求項71】
請求項70に記載のアレイであって、前記複数のプローブが、DNA、RNA、PNAまたはそれらの誘導体を含む、アレイ。
【請求項72】
請求項70に記載のアレイであって、前記プローブの少なくとも1つが、表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を包含する、アレイ。
【請求項73】
請求項70に記載のアレイであって、表1に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補鎖を包含する前記プローブの全てを含む、アレイ。
【請求項74】
請求項73に記載のアレイであって、前記プローブの少なくとも1つが、標識されている、アレイ。
【請求項75】
請求項74に記載のアレイであって、前記標識が、化学標識、酵素標識、免疫原性標識、放射性標識、蛍光標識、発光標識およびFRET標識からなる群より選択される、アレイ。
【請求項76】
請求項70に記載のアレイであって、前記支持体が、シリコン表面、プラスチック表面、ガラス表面、セラミック表面、ゴム表面、およびポリマー表面からなる群より選択される表面を含む、アレイ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−506402(P2007−506402A)
【公表日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−503176(P2005−503176)
【出願日】平成15年7月18日(2003.7.18)
【国際出願番号】PCT/CN2003/000580
【国際公開番号】WO2005/001123
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(503012203)ツィンフア ユニバーシティ (10)
【出願人】(504278260)キャピタルバイオ コーポレーション (10)
【Fターム(参考)】