DR対応策提案装置およびその方法
【課題】消費電力削減要求に対し需要家の好みに合わせた機器制御を実現する。
【解決手段】本発明の一態様としてのDR対応策提案装置における通信部は、DRサーバから消費電力削減要求を受信する。ルールデータベースは、需要家宅内の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納する。ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶する。表示部は、前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示する。ルール順位変更部は、需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更する。ルール順位履歴更新部は、前記変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新する。DR実行部は、前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、実行して、前記機器の動作を制御する。
【解決手段】本発明の一態様としてのDR対応策提案装置における通信部は、DRサーバから消費電力削減要求を受信する。ルールデータベースは、需要家宅内の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納する。ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶する。表示部は、前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示する。ルール順位変更部は、需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更する。ルール順位履歴更新部は、前記変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新する。DR実行部は、前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、実行して、前記機器の動作を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、たとえば需要家に対して消費電力削減を要求するデマンドレスポンス(DR)システムにおいて、宅内機器の制御方法を提案するDR対応策提案装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力逼迫時に需要家に対して消費電力削減要求を行うデマンドレスポンス(DR)の自動化が、OASIS (OpenADR)、ZigBeeなどの標準化団体で進んできている。また、大規模需要家向けであったデマンドレスポンスが、一般需要家向けに対象範囲を拡大してきている。
【0003】
従来はDR実施前に、DR実施時の最低削減電力と、その際の機器制御ルールを、手動で登録する必要があった。この作業を自動化する方法が従来、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-290967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の自動化方法では、需要家の機器利用状況を蓄積し、通常の使用状況から外れている場合(通常より電力消費が多い場合)は、通常の使用状況に戻すように提案している。しかしながら、通常の使用状況以上に電力削減する方法は、提示されていない。
【0006】
本発明の実施形態は、上記事情に着目してなされたもので、消費電力削減要求に対し需要家の好みに合わせた機器制御を実現するDR対応策提案装置およびその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様としてのDR対応策提案装置は、通信部と、ルールデータベースと、ルール順位履歴データベースと、表示部と、ルール順位変更部と、ルール順位履歴更新部と、DR実行部とを備える。
【0008】
前記通信部は、DR(Demand Response)サーバから、削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を受信する。
【0009】
前記ルールデータベースは、需要家宅内の複数の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納する。
【0010】
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶する。
【0011】
前記表示部は、前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示する。
【0012】
前記ルール順位変更部は、需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更する。
【0013】
前記ルール順位履歴更新部は、前記ルール順位変更部により変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新する。
【0014】
前記DR実行部は、前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記機器制御ルールに対応する機器の動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデマンドレスポンス(DR)対応策提案装置を示す。
【図2】DR対応策提案装置における各要素が相互に連携して動作する際の通信手順の一例を示す。
【図3】図1のルールフィルタ部の処理手順の一例を示す。
【図4】ルールDBの例、および関連ルールの例を示す。
【図5】図1のルール順位計算部の処理手順の一例を示す。
【図6】ルール順位履歴DBの例、確率推移行列の例、順位付き関連ルールの例を示す。
【図7】図1の順序付きルール表示部の処理手順の一例を示す。
【図8】DR対応範囲DBの例を示す。
【図9A】画面において需要家がTVとエアコの機器制御ルールを入れ替える例を示す。
【図9B】図9Aに続く、入替後の画面例を示す。
【図10A】画面において、需要家がエアコンの機器制御ルールを実施範囲に含める例を示す。
【図10B】図10Aに続く、変更後の画面の例を示す。
【図11】DR実行部の処理手順の一例を示す。
【図12】ルール順位履歴部の処理手順の一例を示す。
【図13】1対比較の例を示す。
【図14】1対比較の他の例を示す。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【図16】DR対応策提案装置のハードウェア構成例を示す。
【図17】本発明の第3の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る画面例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1に、本発明の第1実施形態に係るデマンドレスポンス(DR)対応策提案装置を示す。
【0018】
DR対応策提案装置102は、需要家宅に設置され、DRサーバ101におけるDR通知部110と通信可能である。
【0019】
DR対応対策案装置102は、ルールデータベース(DB)111、機器・センサ112、ルールフィルタ部113、ルール順位履歴DB114、ルール順位計算部115、順位付き関連ルール116、順位付きルール表示部117、ルール順位変更部118、DR対応範囲DB119、DR対応範囲変更部120、DR実行部121、ルール順位更新重み122、およびルール順位履歴更新部123を備える。
【0020】
DR通知部110は、DR実施要求時に、DB対応策提案装置102にDR信号を送信する。送信されたDR信号は、DB対応策提案装置102の通信部によって受信され、ルーフフィルタ部113に渡される。
【0021】
DR信号には様々な種類があり、例えば実施の有無、実施レベル、削減量、価格情報がある。本実施形態では、需要家が事前に設定した電力の目標削減量の1つが、需給状態に合わせてDR信号として、送信される。削減量の代わりに、目標とする消費電力をDR信号に含めても良い。この場合、需要家宅で計測される消費電力から、目標とする消費電力を減算することで、削減量が得られる。このように削減量を計算する機能、および宅内機器の消費電力を計測する機能を、DR対応策提案装置102に備えさせてもよい。
【0022】
ルールDB111は、消費電力削減に有効な機器制御ルール群を蓄積している。機器制御ルール群は、ルールフィルタ部113で使用される。図4に、ルールDB111の例401を示す。機器制御ルールは、対象となる関連機器と関連づけられて記憶されている。また機器制御ルールには、そのルールの実行により削減される消費電力が関連づけられている。その消費電力の値は、ルールDB111に記憶されていてもよいし、別のデータベースに記憶されていてもよい。後述する図8の例では、ルール「EV充電停止」により300W削減できることが記載されている。
【0023】
機器・センサ112は、家電機器、住設機器、センサ(人感、温湿度など)などの宅内機器である。機器・センサ112の稼働状態は、ルールフィルタ部113で使用される。また、機器・センサ112は、DR実行部121が出力する機器制御の指令を受け付けて、指令通りに自らを制御する。
【0024】
ルールフィルタ部113は、DR通知部110からのDR通知をトリガとして動作する。ルールフィルタ部113は、ルールDB111に蓄積されている機器制御ルールから、稼働中の機器・センサに関連する機器制御ルール(関連ルール)を抽出する。抽出した関連ルールは、ルール順位計算部115で使用される。図4に、ルールDBの例401から抽出された関連ルールの例402を示す。
【0025】
ルール順位履歴DB114は、機器制御ルール対ごとに、どちらのルールが需要家に選択されやすいかを示す確率(順位確率)を、蓄積している。順位確率は、ルール順位計算部115で使用される。図6にルール順位履歴DB114の例601を示す。この例では、ルール1(縦行)の方が、ルール2(横行)よりも順位が高い確率が80%である。
【0026】
ルール順位計算部115は、ルールフィルタ部113で出力された関連ルールに関する順位確率のみをルール順位履歴DB114から抽出して、確率推移行列を構成する。確率推移行列は、2つの関連ルール間の順位を表現したものである。図6に、確率推移行列の例603を示す。
【0027】
ルール順位計算部115は、確率推移行列の最大固有ベクトルを計算する。図6に、最大固有ベクトルの例604を示す。最大固有ベクトルの要素の値の大きさに応じて、関連ルールの順位を計算する。値が大きいほど、順位が高くなる。
【0028】
ルール順位計算部115は、計算した順位を、関連ルールに関連づけて、順位付き関連ルール116とする。順位付き関連ルール116は、順位付きルール表示部117、およびルール順位変更部118で使用される。図6に、順位付き関連ルール116の例605を示す。
【0029】
DR対応範囲DB119は、DR通知に対して実施する機器制御ルールの範囲を格納している。具体的に、DR通知の内容に応じた範囲が格納されている。順位付きルール表示部117、DR対応範囲変更部120およびDR実行部121で使用される。図8に、DR対応範囲DB119の例802を示す。削減目標が200Wのときは、ID4とID2の制御機器ルールが、実施範囲として指定されている。
【0030】
順位付きルール表示部117は、順位付き関連ルール116および、DR通知の内容に応じたDR対応範囲を端末画面に表示する。順位が高いほど、画面の上側に表示され、これにより、多数のルールが存在する場合に、需要家に、実施優先度の高いルールを、探す手間をかけることなく、認識させることができる。
【0031】
順位付きルール表示部117は、需要家による入力を受け付ける、タッチパネルなどによる入力部117aを含む。当該入力部117aは、需要家による機器制御ルール順位の変更、および、DR通知に対して実施する機器制御ルールの範囲の変更、の入力を受け付ける。
【0032】
需要家によりルールの順位の変更入力がなされた場合は、ルール順位変更部118による変更処理が実行される。需要家により、実施するルールの範囲の変更入力がなされた場合は、DR対応範囲変更部120による変更処理が実行される。
【0033】
ルール順位変更部118は、順位付きルール表示部117で需要家が機器制御ルールの順序の変更指示を行った場合に、需要家の指定した順序に従って、順位付き関連ルール116を修正する。
【0034】
DR対応範囲変更部120は、順位付きルール表示部117に対し、需要家が機器制御ルールの範囲の変更を指示した場合に、需要家の指定したDR対応範囲に応じた、DR対応範囲DB119を修正する。
【0035】
需要家が、順位付きルール表示部117に表示された、ルール順位とDR範囲に納得し、DR実行を選択した場合は、DR実行部121による処理が行われる。具体的に、DR範囲(変更した場合は変更後の範囲、変更していない場合は元のDR範囲)に含まれる機器制御ルールに応じて、対象となる機器に、制御指令が送られる。逆に、需要家が、今回はDRを実施しないとしてDR拒否を選択した場合は、何もせずに処理を終了し、新たなDR通知を待機する。
【0036】
DR実行部121は、DR信号の目標削減量に対応する機器制御ルール群を、DR対応範囲DB119に基づき特定し、特定した機器制御ルールに従って、機器・センサ112を制御する。このとき、機器制御ルールの順位が高い機器から順番に、制御を行っても良い。
【0037】
ルール順位履歴更新部123は、ルール順位更新重み122に従って、順位付き関連ルール116に基づき、ルール順位履歴DB114を更新する。
【0038】
ルール順位更新重み122は、順位付きルール表示部117において新たに需要家が選択した順位付き関連ルール116を、どの程度重要視するかを表す重みである。ルール順位更新重み122は、需要家により、事前に設定されている。ルール順位更新重み122は、ルール対ごとに、異なる値を設定してもよいし、すべてのルール対で共通の値を設定してもよい。重みを用いた処理の詳細は、後述する。
【0039】
図16は、DR対応策提案装置のハードウェア構成例を示している。
【0040】
DR対応策提案装置1501は、内蔵したコンピュータ装置を基本ハードウェアとして使用することで実現することができる。内蔵コンピュータ装置は、図16に示されるように、CPU1503、入力部1504、表示部1505、通信部1506、主記憶部1507、外部記憶部1508により構成され、これらはバス1502により相互に通信可能に接続される。
【0041】
入力部1504は、キーボード、マウス等の入力デバイスを備え、入力デバイスの操作による操作信号を、CPU1503に出力する。
【0042】
表示部1505は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示ディスプレイからなる。
【0043】
通信部1506は、Ethernet(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の通信手段を有し、機器・センサ1509、DRサーバ1510との間で通信を行う。
【0044】
外部記憶部1508は、例えば、ハードディスク、若しくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−R等の記憶媒体等から構成され、前述のルールフィルタ部113、ルール順位計算部115、順位付きルール表示部117、ルール順位変更部118、DR対応範囲変更部120、DR実行部121、ルール順位履歴更新部123による処理をCPU203に実行させるための制御プログラムを記憶している。
【0045】
また、外部記憶部1508には、ルールDB111、ルール順位履歴DB114、順位付き関連ルール116、DR対応範囲DB119、ルール順位更新重み122などが、データとして格納されている。
【0046】
主記憶部1507は、メモリ等により構成され、CPU1503による制御の下で、外部記憶部1508に記憶された制御プログラムを展開し、当該プログラムの実行時に必要なデータ、当該プログラムの実行により生じたデータ等を記憶する。上記制御プログラムはコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROM等の記憶媒体に記憶して、或いはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。
【0047】
図2は、DR対応策提案装置において、DR通知部201、ルールフィルタ部202、ルール順位計算部203、順位付きルール表示部204、ルール順位変更部205、DR対応範囲変更部206、DR実行部207、ルール順位履歴更新部208が相互に連携して動作する際の通信手順の一例を示している。
【0048】
ステップS201では、需給が逼迫するとDR対応策提案処理が開始され、DRサーバ101のDR通知部110は、DR対応策提案装置のルールフィルタ部113にDR信号を送信する。
【0049】
ステップS202では、ルールフィルタ部113が、機器・センサ112の稼働状態に基づいて、関連ルールをルールDB111から抽出し、ルール順位計算部115に送信する。
【0050】
ステップS203では、ルール順位計算部115が、ルール順位履歴DB114に基づき、関連ルールに順位を付け、順位付き関連ルールを、順位付きルール表示部117に送信する。
【0051】
ステップS204では、順位付きルール表示部117が、順位付き関連ルールと、DR対応範囲DB119に記憶された、該当するDR対応範囲を、画面に表示する。順位付きルール表示部117は、入力待ち状態になる。
【0052】
この時、ルール順位やDR対応範囲を需要家が変更すると、それぞれルール順位変更部118とDR対応範囲変更部120に、順位付き関連ルールとDR対応範囲が送信され、ステップS205、ステップS206が実行される。ステップS205やステップS206は必要に応じて繰り返される。
【0053】
需要家が、画面においてDR実行を選択した場合は、DR実行部121に順位付き関連ルールとDR対応範囲が送信されるとともに、ルール順位履歴更新部123に順位付き関連ルールが送信される(ステップS207及びS208)。需要家がDR拒否を選択した場合は、DR対応策提案処理が終了する。
【0054】
なお、ステップS205及びステップS206では、需要家が変更したルール順位及びDR対応範囲が、順位付きルール表示部117に表示される。
【0055】
ステップS207でDR実行部121による機器制御が行われ、ステップS208でルール順位履歴更新部123による履歴更新が終了すると、DR対応策提案処理が終了する。
【0056】
上記手順により、DR対応策提案装置のDR対応策提案処理が完了する。
【0057】
図3は、図1のルールフィルタ部113の処理手順の一例を示している。
【0058】
図2のステップS202が実行されると、図3のステップS301が実行される。ステップS301では、図1の機器・センサ112から稼働状態を取得する。ステップS302では、図1のルールDB111から、稼働中の機器に関連する機器制御ルールを抽出する。図4の例では、ルールDB111内のルール群401から、稼働中のエアコン、TV、EVに関するルールのみを抽出して、関連ルール402を得ている。
【0059】
図5は、図1のルール順位計算部115の処理手順の一例を示している。
【0060】
図2のステップS203が実行されると、図5のステップS501が実行される。ステップS501では、図1のルールフィルタ部113で出力された関連ルールに関する順位確率を、図1のルール順位履歴DB114から抽出して、2つのルール間の順位を表現する確率推移行列を構成する。図6の例601では、関連ルール602に含まれる機器制御ルール1,2,4,…に対応する順位確率のみから、確率推移行列603を構成している。
【0061】
ステップS502では、確率推移行列の最大固有ベクトルを計算する(図6の604を参照)。最大固有ベクトルはLR法、QR法などにより計算できる。
【0062】
ステップS503では、最大固有ベクトルの要素が大きい順に高い順位となるように、各関連ルールを順位付けし、図1の順位付き関連ルール116を得る(図6の605を参照)。
【0063】
図7は、図1の順序付きルール表示部117の処理手順の一例を示している。
【0064】
図2のステップS204が実行されると、図7のステップS701が実行される。ステップS701では、図1の順位付き関連ルール116と、DR対応範囲DB119の内容を、端末画面上に表示する。
【0065】
図8に表示例803を示す。この例は、図8の順位付き関連ルールの例801(EV充電停止、TVoff、エアコン1℃緩和、…)と、DR対応範囲DBの例802(目標200WではEV充電停止とTVoffまでのルール、目標500Wではエアコン1℃緩和以降のルールも含む)の場合を表現している。また、DR通知された「削減目標200W」が強調されて、太文字で表示されている。
【0066】
ステップS702では、需要家が機器制御ルールをドラッグして入れ替えることで順序変更を指示した場合に、ステップS703に分岐し、そうでない場合はステップS704に分岐する。
【0067】
ステップS703では、図1のルール順位変更部118の処理が実行される。図9Aの画面903で、需要家がTVoffとエアコン1℃緩和の機器制御ルールを入れ替えたとき、入替後の画面は、図9Bの906に示される。図9Aの901、901は、入れ替え前の順位付き関連ルールおよびDR対応範囲の例であり、入れ替え後は、図9Bの904,905に示すように、順位付き関連ルールの順位及びDR対応範囲DBの機器制御IDが、入れ替わっている。
【0068】
ステップS704では、需要家がDR対応範囲を表す削減目標の文字をドラッグしてずらすことで実施範囲の変更を指示した場合に、ステップS705に分岐し、そうでない場合はステップS706に分岐する。ステップS705では、図1のDR対応範囲変更部120の処理が実行される。
【0069】
図10Aの画面1003では、需要家がエアコン1℃緩和を削減目標200Wの実施範囲に含めるよう、範囲を変更する例が示されている。変更後の画面は、図10Bの1006に示される。図10Aの1001、1002は、入れ替え前の順位付き関連ルールおよびDR対応範囲の例であり、変更後は、図10Bの1004、1005に示すように、DR対応範囲DBの機器制御IDが変更されている(ID1が追加されている)。順位付き関連ルール1005は、図10Aの変更前と同じである。
【0070】
ステップS706では、需要家が画面に表示された機器制御ルールの順位とDR対応範囲で納得し、DRを実行する場合にステップS707及びステップS708に分岐し、そうでない場合はステップS701に分岐する。この時、需要家の指示を待たず、一定時間経過後にステップS707及びステップS708に分岐するようにしても良い。また、DR拒否を画面で押した場合は、DR対応策提案処理が終了し、新しいDR通知を待機する状態に移行する。
【0071】
ステップS707では、図1のDR実行部121の処理が実行される。図11に処理の一例が示されている。DRにより通知された削減目標200Wに対応する機器制御ルール4及び2が、DR対応範囲DB1101において特定され、これらのルールに関連する機器(EV充電停止及びTV off)の制御が実行される。なお、DR実施期間終了後に、機器を制御前の状態に戻すか否かについて、需要家に確認しても良い。需要家が肯定すれば、制御前の状態に機器を戻し、否定すれば、DR実施期間終了時の状態に機器を維持する。
【0072】
ステップS708では、図1のルール順位履歴部123の処理が実行される。
【0073】
図12は、図1のルール順位履歴部123の処理手順の一例を示している。
【0074】
図2のステップS208が実行されると、図12のステップS1201が実行される。
【0075】
ステップS1201では、順位付き関連ルール全体の順位に基づき、ルール間での1対比較を行う。(A)機器制御ルールの全組合せ、(B)DRを実施する機器制御ルールの全組合せ、(C)DR実施ルールとDR非実施ルールの2集合間の全組合せなどが考えられる。
【0076】
図13の例では、順位付き関連ルール1301から順位1302に従ってルールを並べ、1対比較の集合1303に分解している。この例は、上記(A)の場合の例である。図14に、順位付き関連ルールの例1501の場合に、上記(B)および(C)の場合の一対比較の例を示す。(B)の場合、1502、1503に示すように、DR実施しないルール(ID3等)を除いて、比較が行われている。(C)の場合、1504、1505に示すように、DR実施するルール(ID4、ID1、ID2)と、DR実施しないルール(ID5)との間で、一対比較が行われている。
【0077】
ステップS1202では、1対比較の集合から、一時ルール順位履歴を構成する。図13に示す一時ルール順位履歴の例1304では、ID4のルールの方が、ID1のルールよりも順位が高いため、要素(3,1)を1、要素(1,3)を0としている。すなわち、順位が高い方の値を1、低い方の値を0としている。一時ルール順位歴は、需要家が新しく選択した順序を反映したものであるといえる。
【0078】
ステップS1203では、一時ルール順位履歴を、ルール順位更新重み122で重み付けして、図1のルール順位履歴DB114を更新する。図13の例では、一時ルール順位履歴1304に含まれるルール対の各々の値と、変更前のルール順位履歴における各々の値を、更新重み0.5で加重平均することにより、更新後のルール順位履歴DB1306を計算している。たとえば要素(1,2)について見ると、一時ルール順位履歴の値は1、変更前の値は0.8であるから、変更後の値は、(1+0.8)×0.5=0.9となる。同様に、要素(2,1)については、一時ルール順位履歴の値は0、変更前の値は、0.2であるから、変更後の値は、(0+0.2)×0.5=0.1となる。
【0079】
以上のように、本実施形態によれば、需要家が許容可能な機器制御ルールを自動的に学習することで、受容性の高いDRを容易に実現できる。また消費電力削減要求を満たしつつ、ユーザの好みを反映した機器制御を行って、消費電力を低減することができる。
【0080】
図15に、本発明の第2の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【0081】
第2の実施形態では、これまで述べたDR対応策提案処理の大部分をDRサーバ1401内で実行し、機器・センサ1412、ユーザインタフェースである順位付きルール表示部1419、ルール順位変更部1422、およびDR対応範囲変更部1421を需要家1402内に残す構成にしている。DRサーバ1401は、複数の需要家宅のDR対応策提案装置1402と接続されている。
【0082】
需要家宅毎のDR対応策提案装置1402は、機器・センサ1412、順位付きルール表示部1419、ルール順位変更部1422およびDR対応範囲変更部1421を備える。
【0083】
DRサーバ1401は、DR通知部1410、ルールデータベース(DB)1411、ルールフィルタ部1413、ルール順位履歴DB1414、ルール順位計算部1417、順位付き関連ルール1418、DR対応範囲DB1420、DR実行部1423、ルール順位更新重み1424、ルール順位履歴更新部1425、関連順位履歴抽出部1415、関連ルール順位履歴1416を備える。以下、第1の実施形態との差分を説明し、それ以外の説明は省略する。
【0084】
DRサーバ1401内には、多数の需要家のルール順位履歴DB1414が蓄積される。
【0085】
DRサーバ1401は、ルールフィルタ部1413で抽出した機器制御ルールを、ルール順位計算部で計算された順位とともに需要家の端末に送信し、DR通知部1410で発行された消費電力削減要求に対応するDR対応範囲情報を、DR対応範囲DB1420から読み出して需要家の端末に送信する。なお、消費電力削減要求は需要家ごとに発行されても、需要家全体で共通に発行されてもよい。
【0086】
DRサーバ1401は、需要家の端末からの要求に応じて、機器制御ルールの順位を変更する。またDRサーバ1401は、需要家の端末からの要求に応じて、DR対応範囲情報を変更する。
【0087】
ルール順位履歴抽出部1415は、各需要家のルール順位履歴に加えて、ルール順位履歴が近い需要家の情報を考慮して、関連ルール順位履歴1416を求める。具体的に、ルール順位履歴抽出部1415は、各需要家のルール順位履歴の類似度を計算し、一定以上類似するルール順位履歴を融合することにより、関連ルール順位履歴1416を求める。
【0088】
類似度の計算方法としては、例えばルール順位履歴(行列)の全要素をベクトルと見なして相関係数を計算する方法(協調フィルタリングにおける相関係数法)などがある。相関係数が大きいほど類似すると判断できる。また、ルール順位履歴の融合方法としては、類似するルール順位履歴を単純平均する方法や、類似度(相関係数)で加重平均する方法などがある。
【0089】
ルール順位計算部1417は、該当する需要家に対応する関連ルール順位履歴を用いて、ルール順位を、第1の実施形態と同様にして計算する。
【0090】
DRサーバ1401のその他の要素の動作は、第1の実施形態の同一名称の要素と同様であるため、詳細な説明を省略する。同様に、DR対応策提案装置内の各要素の動作も、第1の実施形態の同一名称の要素と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、需要家がある程度許容可能な機器制御ルールを選択するだけで、他の類似する需要家の情報を利用して受容性の高いDRが実現できる。
【0092】
図17に、本発明の第3の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【0093】
第3の実施形態では、第1の実施形態で述べたDR対応策提案処理のうち、DR対応範囲DB及びDR対応範囲変更部の処理を省いている。順位付きルール表示部1617は、宅内機器に関連する機器制御ルールを順位の高い順に表示する。また、順位付きルール表示部1617は、順位の最も高いものから順番に機器制御ルールを選択し、どこまでの機器制御ルールを実行すれば、削減目標を達成できるかを判断する。削減目標を達成するために必要な機器制御ルールを、実行対象ルールとする。実行対象ルールと、それ以外(それより順位が下位の)機器制御ルールを区別して表示する(たとえば色分けや、境界線を引くなど)。なお、実行対象ルールを特定する機能は、DR実行部1621が実行してもよいし、別の要素が実行してもよい。
【0094】
DR実行部1621は、上記実行対象ルールを実行する。実行対象ルールが複数のときは、最上位のものから順番に実行してもよいし、すべてを同時に実行してもよいし、ランダムな順番で実行してもよい。
【0095】
以上の動作により、ユーザはDR対応範囲を入力する必要が無くなる。
【0096】
図18にDR対応範囲の入力が無い場合の画面例を示す。この場合の削減目標は200Wである。削減電力300WのEV充電停止だけで目標を満たすため、それ以上の機器制御ルールは実行対象ルールとはならない。それ以外の各要素の動作は第1及び第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
なお、第2の実施形態(図15)に対しても同様に、DR対応範囲DBおよびDR対応範囲変更部の処理を省略することも可能である。この場合の動作として、DRサーバは、機器制御ルールと、その順位の情報とを需要家の端末に送信する。DRサーバは、需要家の端末からの要求に応じて、機器制御ルールの順位をルール順位履歴データベースにおいて変更する。DRサーバは、需要家毎に、消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、需要家宅内の機器の動作を制御する。
【0098】
以上のように、本実施形態によれば、DR対応範囲をユーザが入力すること無くDRを実行することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、たとえば需要家に対して消費電力削減を要求するデマンドレスポンス(DR)システムにおいて、宅内機器の制御方法を提案するDR対応策提案装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力逼迫時に需要家に対して消費電力削減要求を行うデマンドレスポンス(DR)の自動化が、OASIS (OpenADR)、ZigBeeなどの標準化団体で進んできている。また、大規模需要家向けであったデマンドレスポンスが、一般需要家向けに対象範囲を拡大してきている。
【0003】
従来はDR実施前に、DR実施時の最低削減電力と、その際の機器制御ルールを、手動で登録する必要があった。この作業を自動化する方法が従来、提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-290967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の自動化方法では、需要家の機器利用状況を蓄積し、通常の使用状況から外れている場合(通常より電力消費が多い場合)は、通常の使用状況に戻すように提案している。しかしながら、通常の使用状況以上に電力削減する方法は、提示されていない。
【0006】
本発明の実施形態は、上記事情に着目してなされたもので、消費電力削減要求に対し需要家の好みに合わせた機器制御を実現するDR対応策提案装置およびその方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様としてのDR対応策提案装置は、通信部と、ルールデータベースと、ルール順位履歴データベースと、表示部と、ルール順位変更部と、ルール順位履歴更新部と、DR実行部とを備える。
【0008】
前記通信部は、DR(Demand Response)サーバから、削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を受信する。
【0009】
前記ルールデータベースは、需要家宅内の複数の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納する。
【0010】
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶する。
【0011】
前記表示部は、前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示する。
【0012】
前記ルール順位変更部は、需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更する。
【0013】
前記ルール順位履歴更新部は、前記ルール順位変更部により変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新する。
【0014】
前記DR実行部は、前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記機器制御ルールに対応する機器の動作を制御する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係るデマンドレスポンス(DR)対応策提案装置を示す。
【図2】DR対応策提案装置における各要素が相互に連携して動作する際の通信手順の一例を示す。
【図3】図1のルールフィルタ部の処理手順の一例を示す。
【図4】ルールDBの例、および関連ルールの例を示す。
【図5】図1のルール順位計算部の処理手順の一例を示す。
【図6】ルール順位履歴DBの例、確率推移行列の例、順位付き関連ルールの例を示す。
【図7】図1の順序付きルール表示部の処理手順の一例を示す。
【図8】DR対応範囲DBの例を示す。
【図9A】画面において需要家がTVとエアコの機器制御ルールを入れ替える例を示す。
【図9B】図9Aに続く、入替後の画面例を示す。
【図10A】画面において、需要家がエアコンの機器制御ルールを実施範囲に含める例を示す。
【図10B】図10Aに続く、変更後の画面の例を示す。
【図11】DR実行部の処理手順の一例を示す。
【図12】ルール順位履歴部の処理手順の一例を示す。
【図13】1対比較の例を示す。
【図14】1対比較の他の例を示す。
【図15】本発明の第2の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【図16】DR対応策提案装置のハードウェア構成例を示す。
【図17】本発明の第3の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【図18】本発明の第3の実施形態に係る画面例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1に、本発明の第1実施形態に係るデマンドレスポンス(DR)対応策提案装置を示す。
【0018】
DR対応策提案装置102は、需要家宅に設置され、DRサーバ101におけるDR通知部110と通信可能である。
【0019】
DR対応対策案装置102は、ルールデータベース(DB)111、機器・センサ112、ルールフィルタ部113、ルール順位履歴DB114、ルール順位計算部115、順位付き関連ルール116、順位付きルール表示部117、ルール順位変更部118、DR対応範囲DB119、DR対応範囲変更部120、DR実行部121、ルール順位更新重み122、およびルール順位履歴更新部123を備える。
【0020】
DR通知部110は、DR実施要求時に、DB対応策提案装置102にDR信号を送信する。送信されたDR信号は、DB対応策提案装置102の通信部によって受信され、ルーフフィルタ部113に渡される。
【0021】
DR信号には様々な種類があり、例えば実施の有無、実施レベル、削減量、価格情報がある。本実施形態では、需要家が事前に設定した電力の目標削減量の1つが、需給状態に合わせてDR信号として、送信される。削減量の代わりに、目標とする消費電力をDR信号に含めても良い。この場合、需要家宅で計測される消費電力から、目標とする消費電力を減算することで、削減量が得られる。このように削減量を計算する機能、および宅内機器の消費電力を計測する機能を、DR対応策提案装置102に備えさせてもよい。
【0022】
ルールDB111は、消費電力削減に有効な機器制御ルール群を蓄積している。機器制御ルール群は、ルールフィルタ部113で使用される。図4に、ルールDB111の例401を示す。機器制御ルールは、対象となる関連機器と関連づけられて記憶されている。また機器制御ルールには、そのルールの実行により削減される消費電力が関連づけられている。その消費電力の値は、ルールDB111に記憶されていてもよいし、別のデータベースに記憶されていてもよい。後述する図8の例では、ルール「EV充電停止」により300W削減できることが記載されている。
【0023】
機器・センサ112は、家電機器、住設機器、センサ(人感、温湿度など)などの宅内機器である。機器・センサ112の稼働状態は、ルールフィルタ部113で使用される。また、機器・センサ112は、DR実行部121が出力する機器制御の指令を受け付けて、指令通りに自らを制御する。
【0024】
ルールフィルタ部113は、DR通知部110からのDR通知をトリガとして動作する。ルールフィルタ部113は、ルールDB111に蓄積されている機器制御ルールから、稼働中の機器・センサに関連する機器制御ルール(関連ルール)を抽出する。抽出した関連ルールは、ルール順位計算部115で使用される。図4に、ルールDBの例401から抽出された関連ルールの例402を示す。
【0025】
ルール順位履歴DB114は、機器制御ルール対ごとに、どちらのルールが需要家に選択されやすいかを示す確率(順位確率)を、蓄積している。順位確率は、ルール順位計算部115で使用される。図6にルール順位履歴DB114の例601を示す。この例では、ルール1(縦行)の方が、ルール2(横行)よりも順位が高い確率が80%である。
【0026】
ルール順位計算部115は、ルールフィルタ部113で出力された関連ルールに関する順位確率のみをルール順位履歴DB114から抽出して、確率推移行列を構成する。確率推移行列は、2つの関連ルール間の順位を表現したものである。図6に、確率推移行列の例603を示す。
【0027】
ルール順位計算部115は、確率推移行列の最大固有ベクトルを計算する。図6に、最大固有ベクトルの例604を示す。最大固有ベクトルの要素の値の大きさに応じて、関連ルールの順位を計算する。値が大きいほど、順位が高くなる。
【0028】
ルール順位計算部115は、計算した順位を、関連ルールに関連づけて、順位付き関連ルール116とする。順位付き関連ルール116は、順位付きルール表示部117、およびルール順位変更部118で使用される。図6に、順位付き関連ルール116の例605を示す。
【0029】
DR対応範囲DB119は、DR通知に対して実施する機器制御ルールの範囲を格納している。具体的に、DR通知の内容に応じた範囲が格納されている。順位付きルール表示部117、DR対応範囲変更部120およびDR実行部121で使用される。図8に、DR対応範囲DB119の例802を示す。削減目標が200Wのときは、ID4とID2の制御機器ルールが、実施範囲として指定されている。
【0030】
順位付きルール表示部117は、順位付き関連ルール116および、DR通知の内容に応じたDR対応範囲を端末画面に表示する。順位が高いほど、画面の上側に表示され、これにより、多数のルールが存在する場合に、需要家に、実施優先度の高いルールを、探す手間をかけることなく、認識させることができる。
【0031】
順位付きルール表示部117は、需要家による入力を受け付ける、タッチパネルなどによる入力部117aを含む。当該入力部117aは、需要家による機器制御ルール順位の変更、および、DR通知に対して実施する機器制御ルールの範囲の変更、の入力を受け付ける。
【0032】
需要家によりルールの順位の変更入力がなされた場合は、ルール順位変更部118による変更処理が実行される。需要家により、実施するルールの範囲の変更入力がなされた場合は、DR対応範囲変更部120による変更処理が実行される。
【0033】
ルール順位変更部118は、順位付きルール表示部117で需要家が機器制御ルールの順序の変更指示を行った場合に、需要家の指定した順序に従って、順位付き関連ルール116を修正する。
【0034】
DR対応範囲変更部120は、順位付きルール表示部117に対し、需要家が機器制御ルールの範囲の変更を指示した場合に、需要家の指定したDR対応範囲に応じた、DR対応範囲DB119を修正する。
【0035】
需要家が、順位付きルール表示部117に表示された、ルール順位とDR範囲に納得し、DR実行を選択した場合は、DR実行部121による処理が行われる。具体的に、DR範囲(変更した場合は変更後の範囲、変更していない場合は元のDR範囲)に含まれる機器制御ルールに応じて、対象となる機器に、制御指令が送られる。逆に、需要家が、今回はDRを実施しないとしてDR拒否を選択した場合は、何もせずに処理を終了し、新たなDR通知を待機する。
【0036】
DR実行部121は、DR信号の目標削減量に対応する機器制御ルール群を、DR対応範囲DB119に基づき特定し、特定した機器制御ルールに従って、機器・センサ112を制御する。このとき、機器制御ルールの順位が高い機器から順番に、制御を行っても良い。
【0037】
ルール順位履歴更新部123は、ルール順位更新重み122に従って、順位付き関連ルール116に基づき、ルール順位履歴DB114を更新する。
【0038】
ルール順位更新重み122は、順位付きルール表示部117において新たに需要家が選択した順位付き関連ルール116を、どの程度重要視するかを表す重みである。ルール順位更新重み122は、需要家により、事前に設定されている。ルール順位更新重み122は、ルール対ごとに、異なる値を設定してもよいし、すべてのルール対で共通の値を設定してもよい。重みを用いた処理の詳細は、後述する。
【0039】
図16は、DR対応策提案装置のハードウェア構成例を示している。
【0040】
DR対応策提案装置1501は、内蔵したコンピュータ装置を基本ハードウェアとして使用することで実現することができる。内蔵コンピュータ装置は、図16に示されるように、CPU1503、入力部1504、表示部1505、通信部1506、主記憶部1507、外部記憶部1508により構成され、これらはバス1502により相互に通信可能に接続される。
【0041】
入力部1504は、キーボード、マウス等の入力デバイスを備え、入力デバイスの操作による操作信号を、CPU1503に出力する。
【0042】
表示部1505は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)等の表示ディスプレイからなる。
【0043】
通信部1506は、Ethernet(登録商標)、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等の通信手段を有し、機器・センサ1509、DRサーバ1510との間で通信を行う。
【0044】
外部記憶部1508は、例えば、ハードディスク、若しくはCD−R、CD−RW、DVD−RAM、DVD−R等の記憶媒体等から構成され、前述のルールフィルタ部113、ルール順位計算部115、順位付きルール表示部117、ルール順位変更部118、DR対応範囲変更部120、DR実行部121、ルール順位履歴更新部123による処理をCPU203に実行させるための制御プログラムを記憶している。
【0045】
また、外部記憶部1508には、ルールDB111、ルール順位履歴DB114、順位付き関連ルール116、DR対応範囲DB119、ルール順位更新重み122などが、データとして格納されている。
【0046】
主記憶部1507は、メモリ等により構成され、CPU1503による制御の下で、外部記憶部1508に記憶された制御プログラムを展開し、当該プログラムの実行時に必要なデータ、当該プログラムの実行により生じたデータ等を記憶する。上記制御プログラムはコンピュータ装置にあらかじめインストールすることで実現してもよいし、CD−ROM等の記憶媒体に記憶して、或いはネットワークを介して上記のプログラムを配布して、このプログラムをコンピュータ装置に適宜インストールすることで実現してもよい。
【0047】
図2は、DR対応策提案装置において、DR通知部201、ルールフィルタ部202、ルール順位計算部203、順位付きルール表示部204、ルール順位変更部205、DR対応範囲変更部206、DR実行部207、ルール順位履歴更新部208が相互に連携して動作する際の通信手順の一例を示している。
【0048】
ステップS201では、需給が逼迫するとDR対応策提案処理が開始され、DRサーバ101のDR通知部110は、DR対応策提案装置のルールフィルタ部113にDR信号を送信する。
【0049】
ステップS202では、ルールフィルタ部113が、機器・センサ112の稼働状態に基づいて、関連ルールをルールDB111から抽出し、ルール順位計算部115に送信する。
【0050】
ステップS203では、ルール順位計算部115が、ルール順位履歴DB114に基づき、関連ルールに順位を付け、順位付き関連ルールを、順位付きルール表示部117に送信する。
【0051】
ステップS204では、順位付きルール表示部117が、順位付き関連ルールと、DR対応範囲DB119に記憶された、該当するDR対応範囲を、画面に表示する。順位付きルール表示部117は、入力待ち状態になる。
【0052】
この時、ルール順位やDR対応範囲を需要家が変更すると、それぞれルール順位変更部118とDR対応範囲変更部120に、順位付き関連ルールとDR対応範囲が送信され、ステップS205、ステップS206が実行される。ステップS205やステップS206は必要に応じて繰り返される。
【0053】
需要家が、画面においてDR実行を選択した場合は、DR実行部121に順位付き関連ルールとDR対応範囲が送信されるとともに、ルール順位履歴更新部123に順位付き関連ルールが送信される(ステップS207及びS208)。需要家がDR拒否を選択した場合は、DR対応策提案処理が終了する。
【0054】
なお、ステップS205及びステップS206では、需要家が変更したルール順位及びDR対応範囲が、順位付きルール表示部117に表示される。
【0055】
ステップS207でDR実行部121による機器制御が行われ、ステップS208でルール順位履歴更新部123による履歴更新が終了すると、DR対応策提案処理が終了する。
【0056】
上記手順により、DR対応策提案装置のDR対応策提案処理が完了する。
【0057】
図3は、図1のルールフィルタ部113の処理手順の一例を示している。
【0058】
図2のステップS202が実行されると、図3のステップS301が実行される。ステップS301では、図1の機器・センサ112から稼働状態を取得する。ステップS302では、図1のルールDB111から、稼働中の機器に関連する機器制御ルールを抽出する。図4の例では、ルールDB111内のルール群401から、稼働中のエアコン、TV、EVに関するルールのみを抽出して、関連ルール402を得ている。
【0059】
図5は、図1のルール順位計算部115の処理手順の一例を示している。
【0060】
図2のステップS203が実行されると、図5のステップS501が実行される。ステップS501では、図1のルールフィルタ部113で出力された関連ルールに関する順位確率を、図1のルール順位履歴DB114から抽出して、2つのルール間の順位を表現する確率推移行列を構成する。図6の例601では、関連ルール602に含まれる機器制御ルール1,2,4,…に対応する順位確率のみから、確率推移行列603を構成している。
【0061】
ステップS502では、確率推移行列の最大固有ベクトルを計算する(図6の604を参照)。最大固有ベクトルはLR法、QR法などにより計算できる。
【0062】
ステップS503では、最大固有ベクトルの要素が大きい順に高い順位となるように、各関連ルールを順位付けし、図1の順位付き関連ルール116を得る(図6の605を参照)。
【0063】
図7は、図1の順序付きルール表示部117の処理手順の一例を示している。
【0064】
図2のステップS204が実行されると、図7のステップS701が実行される。ステップS701では、図1の順位付き関連ルール116と、DR対応範囲DB119の内容を、端末画面上に表示する。
【0065】
図8に表示例803を示す。この例は、図8の順位付き関連ルールの例801(EV充電停止、TVoff、エアコン1℃緩和、…)と、DR対応範囲DBの例802(目標200WではEV充電停止とTVoffまでのルール、目標500Wではエアコン1℃緩和以降のルールも含む)の場合を表現している。また、DR通知された「削減目標200W」が強調されて、太文字で表示されている。
【0066】
ステップS702では、需要家が機器制御ルールをドラッグして入れ替えることで順序変更を指示した場合に、ステップS703に分岐し、そうでない場合はステップS704に分岐する。
【0067】
ステップS703では、図1のルール順位変更部118の処理が実行される。図9Aの画面903で、需要家がTVoffとエアコン1℃緩和の機器制御ルールを入れ替えたとき、入替後の画面は、図9Bの906に示される。図9Aの901、901は、入れ替え前の順位付き関連ルールおよびDR対応範囲の例であり、入れ替え後は、図9Bの904,905に示すように、順位付き関連ルールの順位及びDR対応範囲DBの機器制御IDが、入れ替わっている。
【0068】
ステップS704では、需要家がDR対応範囲を表す削減目標の文字をドラッグしてずらすことで実施範囲の変更を指示した場合に、ステップS705に分岐し、そうでない場合はステップS706に分岐する。ステップS705では、図1のDR対応範囲変更部120の処理が実行される。
【0069】
図10Aの画面1003では、需要家がエアコン1℃緩和を削減目標200Wの実施範囲に含めるよう、範囲を変更する例が示されている。変更後の画面は、図10Bの1006に示される。図10Aの1001、1002は、入れ替え前の順位付き関連ルールおよびDR対応範囲の例であり、変更後は、図10Bの1004、1005に示すように、DR対応範囲DBの機器制御IDが変更されている(ID1が追加されている)。順位付き関連ルール1005は、図10Aの変更前と同じである。
【0070】
ステップS706では、需要家が画面に表示された機器制御ルールの順位とDR対応範囲で納得し、DRを実行する場合にステップS707及びステップS708に分岐し、そうでない場合はステップS701に分岐する。この時、需要家の指示を待たず、一定時間経過後にステップS707及びステップS708に分岐するようにしても良い。また、DR拒否を画面で押した場合は、DR対応策提案処理が終了し、新しいDR通知を待機する状態に移行する。
【0071】
ステップS707では、図1のDR実行部121の処理が実行される。図11に処理の一例が示されている。DRにより通知された削減目標200Wに対応する機器制御ルール4及び2が、DR対応範囲DB1101において特定され、これらのルールに関連する機器(EV充電停止及びTV off)の制御が実行される。なお、DR実施期間終了後に、機器を制御前の状態に戻すか否かについて、需要家に確認しても良い。需要家が肯定すれば、制御前の状態に機器を戻し、否定すれば、DR実施期間終了時の状態に機器を維持する。
【0072】
ステップS708では、図1のルール順位履歴部123の処理が実行される。
【0073】
図12は、図1のルール順位履歴部123の処理手順の一例を示している。
【0074】
図2のステップS208が実行されると、図12のステップS1201が実行される。
【0075】
ステップS1201では、順位付き関連ルール全体の順位に基づき、ルール間での1対比較を行う。(A)機器制御ルールの全組合せ、(B)DRを実施する機器制御ルールの全組合せ、(C)DR実施ルールとDR非実施ルールの2集合間の全組合せなどが考えられる。
【0076】
図13の例では、順位付き関連ルール1301から順位1302に従ってルールを並べ、1対比較の集合1303に分解している。この例は、上記(A)の場合の例である。図14に、順位付き関連ルールの例1501の場合に、上記(B)および(C)の場合の一対比較の例を示す。(B)の場合、1502、1503に示すように、DR実施しないルール(ID3等)を除いて、比較が行われている。(C)の場合、1504、1505に示すように、DR実施するルール(ID4、ID1、ID2)と、DR実施しないルール(ID5)との間で、一対比較が行われている。
【0077】
ステップS1202では、1対比較の集合から、一時ルール順位履歴を構成する。図13に示す一時ルール順位履歴の例1304では、ID4のルールの方が、ID1のルールよりも順位が高いため、要素(3,1)を1、要素(1,3)を0としている。すなわち、順位が高い方の値を1、低い方の値を0としている。一時ルール順位歴は、需要家が新しく選択した順序を反映したものであるといえる。
【0078】
ステップS1203では、一時ルール順位履歴を、ルール順位更新重み122で重み付けして、図1のルール順位履歴DB114を更新する。図13の例では、一時ルール順位履歴1304に含まれるルール対の各々の値と、変更前のルール順位履歴における各々の値を、更新重み0.5で加重平均することにより、更新後のルール順位履歴DB1306を計算している。たとえば要素(1,2)について見ると、一時ルール順位履歴の値は1、変更前の値は0.8であるから、変更後の値は、(1+0.8)×0.5=0.9となる。同様に、要素(2,1)については、一時ルール順位履歴の値は0、変更前の値は、0.2であるから、変更後の値は、(0+0.2)×0.5=0.1となる。
【0079】
以上のように、本実施形態によれば、需要家が許容可能な機器制御ルールを自動的に学習することで、受容性の高いDRを容易に実現できる。また消費電力削減要求を満たしつつ、ユーザの好みを反映した機器制御を行って、消費電力を低減することができる。
【0080】
図15に、本発明の第2の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【0081】
第2の実施形態では、これまで述べたDR対応策提案処理の大部分をDRサーバ1401内で実行し、機器・センサ1412、ユーザインタフェースである順位付きルール表示部1419、ルール順位変更部1422、およびDR対応範囲変更部1421を需要家1402内に残す構成にしている。DRサーバ1401は、複数の需要家宅のDR対応策提案装置1402と接続されている。
【0082】
需要家宅毎のDR対応策提案装置1402は、機器・センサ1412、順位付きルール表示部1419、ルール順位変更部1422およびDR対応範囲変更部1421を備える。
【0083】
DRサーバ1401は、DR通知部1410、ルールデータベース(DB)1411、ルールフィルタ部1413、ルール順位履歴DB1414、ルール順位計算部1417、順位付き関連ルール1418、DR対応範囲DB1420、DR実行部1423、ルール順位更新重み1424、ルール順位履歴更新部1425、関連順位履歴抽出部1415、関連ルール順位履歴1416を備える。以下、第1の実施形態との差分を説明し、それ以外の説明は省略する。
【0084】
DRサーバ1401内には、多数の需要家のルール順位履歴DB1414が蓄積される。
【0085】
DRサーバ1401は、ルールフィルタ部1413で抽出した機器制御ルールを、ルール順位計算部で計算された順位とともに需要家の端末に送信し、DR通知部1410で発行された消費電力削減要求に対応するDR対応範囲情報を、DR対応範囲DB1420から読み出して需要家の端末に送信する。なお、消費電力削減要求は需要家ごとに発行されても、需要家全体で共通に発行されてもよい。
【0086】
DRサーバ1401は、需要家の端末からの要求に応じて、機器制御ルールの順位を変更する。またDRサーバ1401は、需要家の端末からの要求に応じて、DR対応範囲情報を変更する。
【0087】
ルール順位履歴抽出部1415は、各需要家のルール順位履歴に加えて、ルール順位履歴が近い需要家の情報を考慮して、関連ルール順位履歴1416を求める。具体的に、ルール順位履歴抽出部1415は、各需要家のルール順位履歴の類似度を計算し、一定以上類似するルール順位履歴を融合することにより、関連ルール順位履歴1416を求める。
【0088】
類似度の計算方法としては、例えばルール順位履歴(行列)の全要素をベクトルと見なして相関係数を計算する方法(協調フィルタリングにおける相関係数法)などがある。相関係数が大きいほど類似すると判断できる。また、ルール順位履歴の融合方法としては、類似するルール順位履歴を単純平均する方法や、類似度(相関係数)で加重平均する方法などがある。
【0089】
ルール順位計算部1417は、該当する需要家に対応する関連ルール順位履歴を用いて、ルール順位を、第1の実施形態と同様にして計算する。
【0090】
DRサーバ1401のその他の要素の動作は、第1の実施形態の同一名称の要素と同様であるため、詳細な説明を省略する。同様に、DR対応策提案装置内の各要素の動作も、第1の実施形態の同一名称の要素と同様であるため、説明を省略する。
【0091】
以上のように、本実施形態によれば、需要家がある程度許容可能な機器制御ルールを選択するだけで、他の類似する需要家の情報を利用して受容性の高いDRが実現できる。
【0092】
図17に、本発明の第3の実施形態に係るDR対応策提案装置を示す。
【0093】
第3の実施形態では、第1の実施形態で述べたDR対応策提案処理のうち、DR対応範囲DB及びDR対応範囲変更部の処理を省いている。順位付きルール表示部1617は、宅内機器に関連する機器制御ルールを順位の高い順に表示する。また、順位付きルール表示部1617は、順位の最も高いものから順番に機器制御ルールを選択し、どこまでの機器制御ルールを実行すれば、削減目標を達成できるかを判断する。削減目標を達成するために必要な機器制御ルールを、実行対象ルールとする。実行対象ルールと、それ以外(それより順位が下位の)機器制御ルールを区別して表示する(たとえば色分けや、境界線を引くなど)。なお、実行対象ルールを特定する機能は、DR実行部1621が実行してもよいし、別の要素が実行してもよい。
【0094】
DR実行部1621は、上記実行対象ルールを実行する。実行対象ルールが複数のときは、最上位のものから順番に実行してもよいし、すべてを同時に実行してもよいし、ランダムな順番で実行してもよい。
【0095】
以上の動作により、ユーザはDR対応範囲を入力する必要が無くなる。
【0096】
図18にDR対応範囲の入力が無い場合の画面例を示す。この場合の削減目標は200Wである。削減電力300WのEV充電停止だけで目標を満たすため、それ以上の機器制御ルールは実行対象ルールとはならない。それ以外の各要素の動作は第1及び第2の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
なお、第2の実施形態(図15)に対しても同様に、DR対応範囲DBおよびDR対応範囲変更部の処理を省略することも可能である。この場合の動作として、DRサーバは、機器制御ルールと、その順位の情報とを需要家の端末に送信する。DRサーバは、需要家の端末からの要求に応じて、機器制御ルールの順位をルール順位履歴データベースにおいて変更する。DRサーバは、需要家毎に、消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、需要家宅内の機器の動作を制御する。
【0098】
以上のように、本実施形態によれば、DR対応範囲をユーザが入力すること無くDRを実行することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DR(Demand Response)サーバから、削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を受信する通信部と、
需要家宅内の複数の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納するルールデータベースと、
前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶するルール順位履歴データベースと、
前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示する表示部と、
需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更するルール順位変更部と、
前記ルール順位変更部により変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新するルール順位履歴更新部と、
前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記機器制御ルールに対応する機器の動作を制御するDR実行部と、
を備えたDR対応策提案装置。
【請求項2】
前記削減すべき消費電力、または前記目標とすべき消費電力の値に応じて、実行すべき機器制御ルールを指定したDR対応範囲情報を記憶するDR対応範囲データベースと、
DR対応範囲変更部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記消費電力削減要求に応じたDR対応範囲情報を表示し、
前記DR対応範囲変更部は、需要家からの指示入力に応じて、前記DR対応範囲情報を変更し、
前記DR実行部は、前記DR対応範囲情報に指定される機器制御ルールを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のDR対応策提案装置。
【請求項3】
ルール順位計算部をさらに備え、
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報として、機器制御ルール対ごとに、一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を記述したルール順位確率を格納し、
前記ルール順位計算部は、前記機器制御ルール対ごとの前記ルール順位確率を含む行列に基づき、最大固有ベクトルを計算し、前記最大固有ベクトルの要素の値に基づいて、前記機器制御ルールの順位を計算する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のDR対応策提案装置。
【請求項4】
前記ルール順位履歴更新部は、前記ルール順位変更部による変更後の順位に基づき、機器制御ルール対において一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を示した一時ルール順位履歴を作成し、前記一時ルール順位履歴に基づいて、前記ルール順位履歴データベースを更新する、
ことを特徴とする請求項3に記載のDR対応策提案装置。
【請求項5】
前記ルール順位履歴更新部は、前記機器制御ルール対に対し、前記一時ルール順位履歴における前記確率と、前記ルール順位確率の加重平均を計算することにより、前記ルール順位確率を更新する
ことを特徴とする請求項4に記載のDR対応策提案装置。
【請求項6】
前記ルール順位確率の更新対象となる前記機器制御ルール対は、前記需要家宅内の機器の機器制御ルールの2つの全組合せである
ことを特徴とする請求項5に記載のDR対応策提案装置。
【請求項7】
ルール順位計算部をさらに備え、
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報として、機器制御ルール対ごとに、一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を記述したルール順位確率を格納し、
前記ルール順位計算部は、前記機器制御ルール対ごとのルール順位確率を含む行列に基づき、最大固有ベクトルを計算し、前記最大固有ベクトルの要素の値に基づいて、前記機器制御ルールの順位を計算し
前記ルール順位履歴更新部は、前記ルール順位変更部による変更後の順位に基づき、機器制御ルール対において一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を示した一時ルール順位履歴を作成し、前記機器制御ルール対に対し、前記一時ルール順位履歴における前記確率と、前記ルール順位確率の加重平均を計算することにより、前記ルール順位確率を更新し、
前記ルール順位確率の更新対象となる前記機器制御ルール対は、
前記DR対応範囲情報に指定される機器制御ルールと、前記DR対応範囲情報に指定されない機器制御ルール間での2つの機器制御ルールの全組み合わせ、または
前記DR対応範囲情報に指定される機器制御ルールの2つの全組合せである
ことを特徴とする請求項2に記載のDR対応策提案装置。
【請求項8】
前記需要家宅内の機器のうち、稼働状態にある機器を特定し、特定した機器に関連する機器制御ルールのみを抽出するルールフィルタ部をさらに備え、
前記表示部および前記DR実行部は、前記ルールフィルタ部により抽出された機器制御ルールを処理の対象とする
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のDR対応策提案装置。
【請求項9】
前記表示部は、順位の高い機器制御ルールほど、画面の上側に表示する
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のDR対応策提案装置。
【請求項10】
削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を発行するDR通知部と、
需要家毎に、宅内に存在する複数の機器に関連する機器制御ルールを格納するルールデータベースと、
前記需要家毎に、前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶するルール順位履歴データベースと、を備え、
前記需要家毎に、前記機器制御ルールと、その順位の情報とを前記需要家の端末に送信し、
前記需要家の端末からの要求に応じて、前記機器制御ルールの順位を前記ルール順位履歴データベースにおいて変更し、
前記需要家毎に、前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記需要家宅内の機器の動作を制御する
ことを特徴とするDRサーバ。
【請求項11】
ルール順位計算部と、
関連順位履歴抽出部と、をさらに備え、
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報として、機器制御ルール対ごとに、一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を記述したルール順位確率を格納し、
前記ルール順位計算部は、前記機器制御ルール対ごとのルール順位確率を含む行列に基づき、最大固有ベクトルを計算し、前記最大固有ベクトルの要素の値に基づいて、前記機器制御ルールの順位を計算し、
前記関連順位履歴抽出部は、前記ルール順位履歴データベース間の相関係数を計算し、前記相関係数に基づいて、類似するルール順位履歴データベースを融合して、関連ルール順位履歴を求め、
前記ルール順位計算部は、前記ルール順位履歴データベースが融合された需要家について、前記関連ルール順位履歴を利用して、前記機器制御ルールの前記順位を計算する
ことを特徴とする請求項10に記載のDRサーバ。
【請求項12】
前記関連順位履歴抽出部は、前記類似するルール順位履歴データベースを、単純平均、または前記相関係数に応じて加重平均することにより、前記類似するルール順位履歴データベースを融合する
ことを特徴とする請求項11に記載のDRサーバ。
【請求項13】
DR(Demand Response)サーバから、削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を受信する通信ステップと、
需要家宅内の複数の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納するルールデータベースにアクセスするステップと、
前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶するルール順位履歴データベースにアクセスするステップと、
前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示部に表示する表示ステップと、
需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更するルール順位変更ステップと、
前記ルール順位変更ステップにより変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新するルール順位履歴更新ステップと、
前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記機器制御ルールに対応する機器の動作を制御するDR実行ステップと、
をコンピュータが実行するDR対応策提案方法。
【請求項1】
DR(Demand Response)サーバから、削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を受信する通信部と、
需要家宅内の複数の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納するルールデータベースと、
前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶するルール順位履歴データベースと、
前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示する表示部と、
需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更するルール順位変更部と、
前記ルール順位変更部により変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新するルール順位履歴更新部と、
前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記機器制御ルールに対応する機器の動作を制御するDR実行部と、
を備えたDR対応策提案装置。
【請求項2】
前記削減すべき消費電力、または前記目標とすべき消費電力の値に応じて、実行すべき機器制御ルールを指定したDR対応範囲情報を記憶するDR対応範囲データベースと、
DR対応範囲変更部と、をさらに備え、
前記表示部は、前記消費電力削減要求に応じたDR対応範囲情報を表示し、
前記DR対応範囲変更部は、需要家からの指示入力に応じて、前記DR対応範囲情報を変更し、
前記DR実行部は、前記DR対応範囲情報に指定される機器制御ルールを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載のDR対応策提案装置。
【請求項3】
ルール順位計算部をさらに備え、
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報として、機器制御ルール対ごとに、一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を記述したルール順位確率を格納し、
前記ルール順位計算部は、前記機器制御ルール対ごとの前記ルール順位確率を含む行列に基づき、最大固有ベクトルを計算し、前記最大固有ベクトルの要素の値に基づいて、前記機器制御ルールの順位を計算する
ことを特徴とする請求項1または2に記載のDR対応策提案装置。
【請求項4】
前記ルール順位履歴更新部は、前記ルール順位変更部による変更後の順位に基づき、機器制御ルール対において一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を示した一時ルール順位履歴を作成し、前記一時ルール順位履歴に基づいて、前記ルール順位履歴データベースを更新する、
ことを特徴とする請求項3に記載のDR対応策提案装置。
【請求項5】
前記ルール順位履歴更新部は、前記機器制御ルール対に対し、前記一時ルール順位履歴における前記確率と、前記ルール順位確率の加重平均を計算することにより、前記ルール順位確率を更新する
ことを特徴とする請求項4に記載のDR対応策提案装置。
【請求項6】
前記ルール順位確率の更新対象となる前記機器制御ルール対は、前記需要家宅内の機器の機器制御ルールの2つの全組合せである
ことを特徴とする請求項5に記載のDR対応策提案装置。
【請求項7】
ルール順位計算部をさらに備え、
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報として、機器制御ルール対ごとに、一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を記述したルール順位確率を格納し、
前記ルール順位計算部は、前記機器制御ルール対ごとのルール順位確率を含む行列に基づき、最大固有ベクトルを計算し、前記最大固有ベクトルの要素の値に基づいて、前記機器制御ルールの順位を計算し
前記ルール順位履歴更新部は、前記ルール順位変更部による変更後の順位に基づき、機器制御ルール対において一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を示した一時ルール順位履歴を作成し、前記機器制御ルール対に対し、前記一時ルール順位履歴における前記確率と、前記ルール順位確率の加重平均を計算することにより、前記ルール順位確率を更新し、
前記ルール順位確率の更新対象となる前記機器制御ルール対は、
前記DR対応範囲情報に指定される機器制御ルールと、前記DR対応範囲情報に指定されない機器制御ルール間での2つの機器制御ルールの全組み合わせ、または
前記DR対応範囲情報に指定される機器制御ルールの2つの全組合せである
ことを特徴とする請求項2に記載のDR対応策提案装置。
【請求項8】
前記需要家宅内の機器のうち、稼働状態にある機器を特定し、特定した機器に関連する機器制御ルールのみを抽出するルールフィルタ部をさらに備え、
前記表示部および前記DR実行部は、前記ルールフィルタ部により抽出された機器制御ルールを処理の対象とする
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一項に記載のDR対応策提案装置。
【請求項9】
前記表示部は、順位の高い機器制御ルールほど、画面の上側に表示する
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか一項に記載のDR対応策提案装置。
【請求項10】
削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を発行するDR通知部と、
需要家毎に、宅内に存在する複数の機器に関連する機器制御ルールを格納するルールデータベースと、
前記需要家毎に、前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶するルール順位履歴データベースと、を備え、
前記需要家毎に、前記機器制御ルールと、その順位の情報とを前記需要家の端末に送信し、
前記需要家の端末からの要求に応じて、前記機器制御ルールの順位を前記ルール順位履歴データベースにおいて変更し、
前記需要家毎に、前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記需要家宅内の機器の動作を制御する
ことを特徴とするDRサーバ。
【請求項11】
ルール順位計算部と、
関連順位履歴抽出部と、をさらに備え、
前記ルール順位履歴データベースは、前記機器制御ルールの順位に関する情報として、機器制御ルール対ごとに、一方の機器制御ルールが他方の機器制御ルールよりも順位が高い確率を記述したルール順位確率を格納し、
前記ルール順位計算部は、前記機器制御ルール対ごとのルール順位確率を含む行列に基づき、最大固有ベクトルを計算し、前記最大固有ベクトルの要素の値に基づいて、前記機器制御ルールの順位を計算し、
前記関連順位履歴抽出部は、前記ルール順位履歴データベース間の相関係数を計算し、前記相関係数に基づいて、類似するルール順位履歴データベースを融合して、関連ルール順位履歴を求め、
前記ルール順位計算部は、前記ルール順位履歴データベースが融合された需要家について、前記関連ルール順位履歴を利用して、前記機器制御ルールの前記順位を計算する
ことを特徴とする請求項10に記載のDRサーバ。
【請求項12】
前記関連順位履歴抽出部は、前記類似するルール順位履歴データベースを、単純平均、または前記相関係数に応じて加重平均することにより、前記類似するルール順位履歴データベースを融合する
ことを特徴とする請求項11に記載のDRサーバ。
【請求項13】
DR(Demand Response)サーバから、削減すべき消費電力、または目標とすべき消費電力、を示した消費電力削減要求を受信する通信ステップと、
需要家宅内の複数の機器に関連する複数の機器制御ルールを格納するルールデータベースにアクセスするステップと、
前記機器制御ルールの順位に関する情報を記憶するルール順位履歴データベースにアクセスするステップと、
前記ルールデータベース内の前記機器制御ルールをその順位にしたがって表示部に表示する表示ステップと、
需要家からの指示入力に応じて、前記表示部に表示された前記機器制御ルールの順位を変更するルール順位変更ステップと、
前記ルール順位変更ステップにより変更された順位に基づき、前記ルール順位履歴データベースを更新するルール順位履歴更新ステップと、
前記消費電力削減要求を満たすように、順位の高い機器制御ルールから優先的に機器制御ルールを選択し、選択した機器制御ルールを実行して、前記機器制御ルールに対応する機器の動作を制御するDR実行ステップと、
をコンピュータが実行するDR対応策提案方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図10A】
【図10B】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−31355(P2013−31355A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35410(P2012−35410)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【特許番号】特許第5117625号(P5117625)
【特許公報発行日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【特許番号】特許第5117625号(P5117625)
【特許公報発行日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]