説明

DSRCシステム

【課題】DSRCシステムを用いて人物管理をもあわせて実現できる技術を提供する。
【解決手段】車両検出センサ24が車両を検知すると、入口用DSRC無線機21aと車載器70は通信を開始する。そして、管理サーバ40は、車載器70からWCNの取得、人物の情報である管理情報を取得する。つづいて、認証部43は、WCNの認証により車両認証を行い、管理情報の認証により人物認証を行う。さらに通過履歴管理部45は、車両(WCN)、入場時刻、及び管理情報を関連づけて記憶し、画像記録部48は、車両を撮影する。さらに、車両通過通知部47は、設定されている通知先へ、登録されている車両が入場した旨を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DSRCを用いて入場や退場を管理するDSRCシステムに係り、例えば、車両に搭載された車載器と路側等に設置されたDSRC無線機との通信によって、所定の場所に入場又は退場した車両及び人物等に関する情報を管理するDSRCシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
狭域通信(DSRC:Dedicated Short Range Communication)システムは、道路等に設置された無線機と、車両に搭載された車載器との間で、比較的狭い範囲で双方向通信を行う。このDSRCシステムは、高度道路交通システム(ITS:Intelligent Transport Systems)の中核的なシステムを担っており、ETC(Electronic Toll Collection)システムの他に、駐車場DSRCシステム、ガソリンスタンドDSRCシステム等、様々なシステムに導入されている。
【0003】
また、上記以外に、DSRCシステムを適用したシステムとして、車両の位置監視システムがある(特許文献1参照)。特許文献1に開示の技術では、車両の位置を監視して、運転支援を行う技術を提案している。具体的には、このシステムは、高速道路上における車両の位置を監視して、合流地点における車両接近情報を報知している。
【特許文献1】特開2004−102655号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ETC車載器は、間接的に車両を管理することは可能であった。しかし、運転者等の情報は、ETC車載器に挿入されるICカードに利用者番号として記録されているため、運転者等の情報の把握には、利用者番号の取得が必要であった。特に、利用者番号等を含めた利用者の情報は、クレジット番号等の個人情報が含まれてしまうので、漏洩防止の観点から、原則として非常に厳しい管理下のみの利用であり、運転者等の情報管理、つまり人物管理への利用は実質的に制限されていた。したがって、クレジット番号等などの情報を必要としない、比較的簡易的なシステムであっても、なかなか導入が難しいという現実があった。しかしながら、DSRCシステムは、比較的に狭いエリアで双方向通信を行う非常に優れた技術であり、DSRCシステムの開発により得られた技術を活用しつつ、上記のような課題を解決する新たな取り組みが求められていた。
【0005】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたもので、上記の課題を解決して、DSRCシステムを用いて、人物管理をもあわせて実現できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るシステムは、DSRC通信を用いて、車載器と無線機間で通信を行い、所定の領域における入退場の管理を行うDSRCシステムであって、所定の位置を通過する車両を検知する検知手段と、前記車両の検知を受けて、前記車両に搭載された車載器から、当該車載器に固有の車載器コードを取得する車載器コード取得手段と、前記車載器を経由して、前記車両に乗車している人物の個人認証情報を取得する個人認証コード取得手段と、取得した前記車載器コードと前記個人認証情報とを関連づけて記録する認証情報記録部と、前記車載器コードと前記個人認証情報とをもとに、前記所定の領域の入退場を認証する認証手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
以上、本発明によると、DSRCシステムを用いて、車両管理とともに人物管理をもあわせて実現できる技術を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、本発明を実施するための最良の形態(以下、単に「実施形態」という)を、図面を参照して具体的に説明する。以下に説明する実施形態では、事業所や工場の構内や駐車場等の特定の領域に入退場する車両及びその車両に乗車している人物の管理を行う。そこで、まず第1の実施形態として、ある事業所の構内に入場する人物の管理のために、車載器に挿入されているICカードの情報を利用する。第2の実施形態では、乗車している人物が複数の場合を想定して、ICカードを挿入するカードスロットを複数設ける。さらに、第3の実施形態では、同乗者の情報取得のために、カードスロットの代わりに、所定のデータ読み取り装置を利用する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る入出場管理システム10の概略を示す機能ブロック図である。この入出場管理システム10は、主要な構成装置として、路車間通信装置20、管理装置30、表示装置50及び映像撮影装置55から構成されている。また、適宜、端末装置61が接続されている。路車間通信装置20は車両に搭載された車載器70と通信して車両及び人物の情報取得を行い、管理装置30は、路車間通信装置20が取得した情報をもとに以下に説明する入出場の管理を行う。表示装置50は、構内に入場した車両を所定の場所に誘導したり情報の提供等の出力を行う。さらに、映像撮影装置55は、構内に入場した車両を映像として記録する。
【0010】
路車間通信装置20は、構内の入口付近に設置される入口用DSRC無線機21a及び入口用DSRCアンテナ22aと、構内の出口付近に設置される出口用DSRC無線機21b及び出口用DSRCアンテナ22bとを備える。入口用DSRC無線機21aや出口用DSRC無線機21bは、一般的なDSRC無線機の構成及び機能で実現できる。以下、入口用DSRC無線機21a及び出口用DSRC無線機21bを区別しないときは、「DSRC無線機21」という。そして、後述する認証データの送受信は、ARIB規格に準拠した通信データの所定の領域に認証データが含まれてなされる。所定の領域とは、例えば、MDS(Message Data Slot)のMDC(Message Data Channel)の部分である。
【0011】
さらに、路車間通信装置20は、出入り口付近に設置され車両を検知する車両検出センサ24と、車両検出センサ24のセンシングを制御するとともに車両検知の情報を車両検出センサ24から取得するセンサ制御部23を備える。車両検出センサ24として、設置される場所に応じて、例えば、路面に埋められるループコイルや、光センサや、赤外線センサなど種々のセンサが用いられる。ここでは、出入り口付近に設置される車両検出センサ24は、ループコイルとして説明する。そして、入口用DSRC無線機21a、出口用DSRC無線機21b及びセンサ制御部23は、ネットワークハブ25により接続されて管理装置30と通信する。さらに、車両検出センサ24が車両の存在を検知すると、DSRC無線機21は通信出力を通信可能な所定のレベルに制御する。車両が検知されない場合、また、通信が終了すると、スリープモードとして通信出力をオフ又は低レベルに制御する。
【0012】
管理装置30は、ネットワークハブ32を介して接続される、管理サーバ40と、端末装置31とを備える。そしてこの管理装置30は、ネットワークハブ32を介して路車間通信装置20と接続され通信を行うとともに、構内LAN(Local Area Network)60により、所定の端末装置61と接続している。端末装置31、61は、管理サーバ40にアクセスして、管理サーバ40の各種機能の設定及び登録、データ出力等を行う。
【0013】
図2は、管理サーバ40の機能ブロック図を示している。管理サーバ40は、管理サーバ40の各機能を統括的に制御するサーバ主制御部41と、次に説明する各種のアプリケーションを実行するモジュールを含むアプリケーション機能部42と、ネットワークハブ32とLANプロトコルで接続して通信するネットワーク通信部49と、を備える。
【0014】
アプリケーション機能部42は、認証部43と、認証情報登録部44と、通過履歴管理部45と、案内表示部46と、車両通過通知部47と、画像記録部48とを備える。
【0015】
認証部43は、車載器70及び車載器70に挿入されるICカード90から、認証用のデータを取得して認証を行う。認証用のデータとして、車載器70のWCN(Wireless Call Number)と、ICカード90に記録されている利用者データである。この利用者データは、この入出場管理システム10の管理者が独自に設定するものであり、例えば、高速道路のETC等の公共インフラを利用するために管理されている利用者のデータとは異なるものである。また、駐車場におけるDSRCシステムを用いた入退場管理システムは、ETC車載器に固有に割り振られているWCNを読み取り、駐車場管理端末での管理の効率化や駐車料金の決済などを行っている。本実施形態では、このWCNを活用することで、入出場管理システム10の効率的な運用及び管理を実現する。
【0016】
認証情報登録部44は、認証部43における認証処理に使用する認証用のデータを端末装置31の操作により登録したり、車載器70との通信により取得し記憶する。例えば、入出場管理システム10が設置されている構内への入場を許可する対象を、WCNや利用者データにより予め登録しておく。
【0017】
通過履歴管理部45は、DSRC無線機21と車載器70との通信結果をWCNや利用者データと関連づけて記録する。DSRC無線機21が複数設置されている場合は、どのDSRC無線機21が車載器70と通信したかを取得し記録することにより、車載器70が搭載された車両がどのタイミングでどの場所(DSRC無線機21)を通過したかを把握することができる。
【0018】
案内表示部46は、通過履歴管理部45が把握した車両(車載器70)の位置に応じて、その車両を適切な場所へ誘導するために、構内に設置された表示装置50の表示板52に案内表示したり音声出力する。表示板52への出力は、案内表示部46の指示を受けた表示制御部51が行う。
【0019】
車両通過通知部47は、予め登録したWCNや利用者データが所定のDSRC無線機21により検知されたとき、所定の端末装置31、61に通知する。通知の方法は、端末装置31、61にメッセージがポップアップ表示されるようにしたり、電子メールであってもよい。電子メールであれば、上記の端末装置31、61だけでなく、外部の人間に対しても通知することができる。この機能によって、所定のDSRC無線機21の前を予め登録した車両又は人物が通過したときに、別の場所の者が、車両又は人物が通過した旨を的確に把握できるため、通知を受けた者は、例えば、上記の車両又は人物の受け入れ準備を行うことができる。
【0020】
画像記録部48は、車両検出センサ24が車両を検知すると、映像撮影装置55に指示し、車両を撮影する。例えば、車両検出センサ24の周辺に設置されている映像撮影装置55のカメラ56により撮影する。また、その撮影は、画像記録部48の指示を受けた撮影制御部57が制御する。なお、映像撮影装置55による撮影は、常時なされており、車両の検知とともに、撮影の解像度等をあげて詳細に撮影するようにしてもよい。映像撮影装置55が撮影した映像は、LAN60を介して画像記録部48に記録される。また、画像記録部48による撮影のトリガとして、車両検出センサ24による車両の検知の他に、所定のDSRC無線機21との通信開始であってもよい。
【0021】
図3は、車両に搭載される車載器70、ICカード90及び簡易認証カード95の機能ブロック図である。車載器70は、各構成を統括的に制御するとともに各種アプリケーション機能を実行する車載器制御部71と、DSRC無線機21と通信するために変調処理や送受信処理を行う無線通信部72と、ICカード90が挿入されるカードスロット73と、操作パネルや表示パネル等のHMI74と、記憶部75と、ナビゲーションシステムなどの外部機器と接続するインタフェイスである外部機器接続部76とを備えている。
【0022】
車載器制御部71は、ETCカードを利用して高速道路などの公共のETCサービスを利用するためのアプリケーションを実行するETC処理部81と、上記のような公共サービス以外のアプリケーションを実行する他用途処理部82と、を備える。本実施形態では、主にこの他用途処理部82を用いて構内の入退場管理を行う。なお、入出場管理システム10のみで利用可能な専用の車載器70であれば、ETC処理部81は不要であり、他用途処理部82のみの構成となる。
【0023】
記憶部75には、上述したWCNが記録されたり、カードスロット73に挿入されたICカード90のデータを一時的に記録する。また、ICカード90は、公共ETCサービス等のインフラにおいて利用されることを前提とした規格によるデータ領域である一般認証データ部91と、比較的利用形態が限定されておらず汎用的に利用可能なデータ領域である特定認証データ部92とを備える。なお、便宜的に、一般認証データ部91を備えたICカード90をETCカードともいい、単に特定認証データ部92のみであり公共ETCサービス等のインフラで利用できないカードを簡易認証カード95という。そして、本実施形態では、原則として、特定認証データ部92を利用することで、入出場管理システム10の利用の自由度を高めている。
【0024】
特定認証データ部92は、ICカード90(又は簡易認証カード95)の所有者等の所持責任者に関する情報(以下、「個人管理情報」という)と、追加データとして、所有者と同伴する人物の情報(以下、「同伴者管理情報」という)が記録可能になっている。なお、個人管理情報と同伴者管理情報を区別しないときには、単に「管理情報」という。管理情報とは、人物の名前、所属部署や所属会社、ID番号、セキュリティレベル、本人の写真等があり、適宜必要に応じて選択されて記録される。特定認証データ部92への管理情報の登録は、例えば、カードスロット73にICカード90(又は簡易認証カード95)を挿入した状態で、HMI74を操作することで行ってもよいし、入出場管理システム10の管理サーバ40が備える認証情報登録部44によりなされてもよい。また、ICカード90は、一般には承認確認等の手続が煩雑であり必ずしも発行されるとは限らなかったり時間がかかったりするので、一般認証データ部91を有さない特定認証データ部92のみでありこの入出場管理システム10のみで利用可能な簡易認証カード95がICカード90の代わりに利用されてもよい。
【0025】
以上の構成の入出場管理システム10による、車両の構内への入退場のときの処理について説明する。図4は、車両の入場のときの入出場管理システム10及び車載器70の処理を示すフローチャートである。
【0026】
車両が、構内の入口まで進み、ループコイルである車両検出センサ24の上に位置すると、車両検出センサ24はその旨を検知して、センサ制御部23を介して管理サーバ40のサーバ主制御部41に通知される(S10)。すると、サーバ主制御部41は、入口用DSRC無線機21aに対して通信を開始するように指示する。その指示を受けた入口用DSRC無線機21aは通信出力を所定レベルに制御し、車載器70との通信を開始する(S12)。
【0027】
入口用DSRC無線機21aと車載器70間の通信の初期接続処理が終了すると、まず、認証部43は、車載器70に対してWCNを要求する。その要求を受けた車載器70の他用途処理部82は、記憶部75に記録されているWCNを無線通信部72から入口用DSRC無線機21aを介して管理サーバ40に通知する(S14)。WCNの通知を受けた管理サーバ40では、認証情報登録部44がWCNを一時的に所定の記憶領域に記録する。
【0028】
次に、認証部43は、車載器70の他用途処理部82に対してICカード90の特定認証データ部92に記録されている管理情報を要求する。その要求を受けた車載器70の他用途処理部82は、特定認証データ部92に記録されている管理情報を無線通信部72から入口用DSRC無線機21aを介して認証部43に通知する(S16)。管理情報の通知を受けた管理サーバ40では、認証情報登録部44が管理情報を一時的に所定の記憶領域に記録する。
【0029】
つづいて、認証部43は、認証情報登録部44の登録内容を参照して車載器70から取得したWCNの認証を行うことで車両の認証を行い(S18)、さらに、管理情報の認証を行うことで人物の認証を行う(S20)。
【0030】
さらに、通過履歴管理部45は、構内に入場した車両(WCN)、入場時刻、及び管理情報を関連づけて入場記録として記憶する(S22)。なお、ICカード90の一般認証データ部91に記憶されているデータを取得できる場合には、そのデータを記憶してもよい。この入場記録には、構内から退場するまで構内に設置されているDSRC無線機21と通信したときに通信位置と時刻が関連づけられて記憶される。さらにまた、画像記録部48は、映像撮影装置55を用いて、入場してきた車両の画像を撮影して記録する(S24)。
【0031】
次に、管理サーバ40の認証部43は、車載器70に対して認証がされ入場許可された旨を通知し、構内の入口の入場バーの開閉制御を行う(S26)。認証部43は、WCN及び管理情報の認証ができない場合は、車載器70に対して認証されなかった旨を通知する。
【0032】
そして、認証されたWCNや管理情報が、管理サーバ40において予め所定の管理者等への通知設定がなされているものである場合、車両通過通知部47は、設定されている通知先へ、登録されている車両が入場する旨を通知する(S28)。通知を受けた者は、その車両の行き先に出向いたり、受け入れ準備に着手することができる。また、通知の際に、管理情報に対応した人物の写真画像等が一緒に添付することにより、通知を受けた者は、入場した人物と初対面であっても確認が容易となる。そのため、ICカード90の特定認証データ部92に、写真のデータを登録可能にし、車載器70から管理サーバ40へ写真のデータが通知されるようになってもよい。
【0033】
そして、案内表示部46は、認証の可否に応じた内容を表示装置50の表示板52へ出力して、その車両に対する誘導案内を行う(S30)。例えば、認証された場合であれば、表示板52には、登録されている場所へ向かうように行き先が表示される。認証されなかった場合には、表示板52には、守衛所や所定の駐車場に向かうように表示される。これにより、構内の入口における、入口用DSRC無線機21aと車載器70との通信が終了する(S32)。
【0034】
以上、本実施形態によれば、DSRCシステムを用いて車両の管理と人物の管理を同時にできる。WCNは、道路交通法によって車両と一対一に関連づけられているので、安心である。さらに個人情報とし、クレジット番号などの秘匿が求められる情報(一般認証データ部91)にはアクセスせず、別途登録した情報を使用するため、取り扱いが、相対的に易しく、また、自由度の高いシステムを構築できる。また、一枚のICカード90に、他の人物の情報を記録可能とすることで、多数のICカード90を発行してしまうことを防止できる。例えば、クライアントの会社単位で発行することで、クライアントの会社毎の管理が容易になる。
【0035】
<第2の実施形態>
第1の実施形態の車載器70は、ICカード90を一枚だけ挿入可能であったが、本実施形態の車載器170は、ICカード90を複数挿入可能に構成されている。車載器170以外の構成については、第1の実施形態と同一の構成で実現できるので、図示及び説明は省略する。
【0036】
図5は、本実施形態の車載器170の機能ブロック図である。第1の実施形態と同一機能の構成については、同一符号を付しており、説明は省略する。図示のように、車載器170は、ICカード90を挿入するためのメインスロット173と、同様に、ICカード90を挿入可能な第1〜第3のサブスロット178a〜178cを備えている。メインスロット173は、特定の事業所等で利用されるとき、あるいは高速道路のETC等の公共インフラを利用するときにICカード90が挿入されるスロットである。つまり、ICカード90の一般認証データ部91及び特定認証データ部92の両方のデータが利用可能なスロットである。一方、第1〜第3のサブスロット178a〜178cは、挿入されたICカード90の特定認証データ部92のみ利用可能である。つまり、特定の事業所等でのみ利用可能であり、これらのスロットに挿入されたICカード90は、高速道路のETC等の公共インフラの利用には使用されない。また、第1〜第3のサブスロット178a〜178cには、特定認証データ部92のみで一般認証データ部91が含まれていない簡易認証カード95を利用可能としてもよい。また、車載器170は、ナビゲーション連携処理部を備え、外部機器接続部76を介して接続されるナビゲーション(図示せず)をHMIとして機能させてもよい。さらに、そのナビゲーションに第1〜第3のサブスロット178a〜178cと同様の機能を実行させてもよい。
【0037】
そして、管理サーバ40の認証部43から管理情報の要求があると、車載器70の他用途処理部82は、メインスロット173及び第1〜第3のサブスロット178a〜178cに挿入されているICカード90の特定認証データ部92から管理情報を取得して、管理サーバ40に通知する。管理サーバ40が取得した管理情報の扱いは、第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0038】
以上、本実施形態によれば、車載器170がICカード90を読み取るためのスロットを複数備えるため、一枚のICカード90を使用する場合に、他の人の情報をひとつのICカード90に記録する手間が省くことができ、利便性を向上させることができる。また、簡易認証カード95のように、特定の事業所等のみで利用可能な記録媒体を使用することで、簡易認証カード95の発行が容易となる。例えば、ICカード90を保有しないクライアント等が商談で構内に入構する場合、入出場管理システム10の管理者や利用者は、入口時点で認証データの登録の有無が判別できるので、前記のクライアントが入口から先に進んで商談場所に到着した時点で、簡易認証カード95をクライアントに渡すことが可能である。さらに、商談終了時に必要に応じて簡易認証カード95を即座に発行することができる。また、例えば入口付近の守衛所などに簡易認証カード95を発光可能な端末装置61が備わっていれば、予め管理サーバ40に発行指示が登録されていれば、入口で発行することもできる。
【0039】
<第3の実施形態>
本実施形態は、第2の実施形態の変形例であって、車載器270の構造を第1及び第2の実施形態に対して一部変更したものである。図6は、そのような車載器270の概略構成を示す機能ブロック図である。図示のように本実施形態では、第1の実施形態同様に、車載器270はひとつのカードスロット73を備えICカード90を1枚だけ挿入する構成とした。また、第1及び第2の実施形態において、ICカード90の特定認証データ部92に記録されていた同乗者等の他の人物の管理情報は、ICカード90とは別に、メモリカード96に記録されている。そして、車載器70は、そのメモリカードリーダである追加カードデータ取得部276を備えて、メモリカード96に記録されている管理情報(主に同伴者管理情報)を読み取る。読み取った管理情報は、記憶部75に記録される。そして、認証部43による認証要求に応じて、他用途処理部82は、無線通信部72を介して認証部43に通知する。また、追加カードデータ取得部276は、外付け追加カードデータ取得部277として車載器270と別体に構成されてもよい。その場合、他用途処理部82は、外部機器接続部76に接続された外付け追加カードデータ取得部277から管理情報を取得する。
【0040】
本実施形態のように、入手が容易な汎用的な記録媒体を利用することで、管理情報の登録に専用の装置が不要となる。また、入出場管理システム10側の責任者等でなく、メモリカード96に登録される側であるカード利用者が、自己の管理情報を登録することもできる。その場合、例えば、カード利用者が登録した管理情報は、仮情報として扱い、入出場管理システム10の管理者等により承認された情報を正式な情報として扱うとすることもできる。さらに、入出場管理システム10の管理者等が、予め認証用のコードを電子メール等で送付し、その認証用のコードをメモリカード96に記録して使用することもできる。
【0041】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。例えば、ICカード90や簡易認証カード95に記録される管理情報に有効期限等を設定して時限管理を行ってもよい。一般には管理サーバ40側で記録することで時限管理を行うが、ICカード90や簡易認証カード95の管理情報自体に有効期限を設定することで、データベース等が共有されていない別の管理サーバでの利用や、バックアップ等により最新のデータが利用できない状態のときに、適切な認証を行うことができる。また、上記の実施形態は、事業所等の構内への入退場以外にも、例えば、建設現場への作業用車両及び作業者の入退場や、駐車場への入退場等の様々な場面に適用可能である。また、本発明は、DSRCにて説明したが、これに限らず双方向通信の無線システムであれば実現できる。
【0042】
本発明の実施形態をまとめると、以下の通りである。本実施の形態は、DSRC通信を用いて、車載器と無線機間で通信を行い、所定の領域における入退場の管理を行うDSRCシステムである。そして、このDSRCシステムは、所定の位置を通過する車両を検知する検知手段と、前記車両の検知を受けて、前記車両に搭載された車載器から、当該車載器に固有の車載器コードを取得する車載器コード取得手段と、前記車載器を経由して、前記車両に乗車している人物の個人認証情報を取得する個人認証コード取得手段と、取得した前記車載器コードと前記個人認証情報とを関連づけて記録する認証情報記録部と、前記車載器コードと前記個人認証情報とをもとに、前記所定の領域の入退場を認証する認証手段と、を備える。
また、前記車載器は、前記個人認証情報として複数人数分を取得可能であり、前記個人認証コード取得手段は、ひとつの前記車載器から複数人数分の前記個人認証情報を実質的に同時に取得可能であってもよい。
さらに、前記認証情報記録手段は、ひとつの前記車載器コードに対して複数の前記個人認証コードを関連づけて記録してもよい。
さらにまた、前記複数の個人認証情報は、ひとつの認証用記録媒体に記録されており、前記認証用記録媒体は、前記車載器と接続された状態で前記車載器を介して前記個人認証コード取得手段に通知されてもよい。認証用記録媒体とは、例えば、ICカードであり、車載器のスロットなどの所定の情報アクセス手段に搭載される。
さらにまた、前記複数の個人認証情報は、それぞれ異なる認証用記録媒体に記録されており、前記車載器は、前記異なる認証用記録媒体から前記個人認証情報を読み取り可能な読取手段を備えてもよい。読取手段は、複数のICカードを同時に挿入できる複数のスロットルを備えてもよいし、RFIDの読取手段のように非接触のセンサであってもよい。
さらにまた、前記認証手段による認証の結果を、予め登録されている連絡先へ通知する通知手段を備えてもよい。連絡先とは、電子メールのアドレスであったり、DSRCシステムに接続されている端末装置などがある。
さらにまた、前記車両を撮影し、前記車載器コード又は前記個人認証情報と関連づけて記録する車両映像記録手段を備えてもよい。
さらにまた、前記個人認証情報は、公共施設で利用される情報とは別に管理される情報であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】第1の実施形態に係る、入出場管理システムを示す機能ブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る、管理装置の管理サーバの機能ブロック図を示している。
【図3】第1の実施形態に係る、車両に搭載される車載器、ICカード及び簡易認証カードの機能ブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る、車両の入場のときの入出場管理システム及び車載器の処理を示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態に係る、車両に搭載される車載器の機能ブロック図である。
【図6】第3の実施形態に係る、車両に搭載される車載器の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0044】
10 入出場管理システム
20 路車間通信装置
21 DSRC無線機
21a 入口用DSRC無線機
21b 出口用DSRC無線機
22a 入口用DSRCアンテナ
22b 出口用DSRCアンテナ
24 車両検出センサ
30 管理装置
40 管理サーバ
41 サーバ主制御部
42 アプリケーション機能部
43 認証部
44 認証情報登録部
45 通過履歴管理部
46 案内表示部
47 車両通過通知部
48 画像記録部
50 表示装置
51 表示制御部
52 表示板
55 映像撮影装置
70、170、270 車載器
71 車載器制御部
73 カードスロット
74 HMI
75 記憶部
76 外部機器接続部
81 ETC処理部
82 他用途処理部
83 ナビゲーション連携処理部
90 ICカード
91 一般認証データ部
92 特定認証データ部
95 簡易認証カード
96 メモリカード
173 メインスロット
178a 第1のサブスロット
178b 第2のサブスロット
178c 第3のサブスロット
276 追加カードデータ取得部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
DSRC通信を用いて、車載器と無線機間で通信を行い、所定の領域における入退場の管理を行うDSRCシステムであって、
所定の位置を通過する車両を検知する検知手段と、
前記車両の検知を受けて、前記車両に搭載された車載器から、当該車載器に固有の車載器コードを取得する車載器コード取得手段と、
前記車載器を経由して、前記車両に乗車している人物の個人認証情報を取得する個人認証コード取得手段と、
取得した前記車載器コードと前記個人認証情報とを関連づけて記録する認証情報記録部と、
前記車載器コードと前記個人認証情報とをもとに、前記所定の領域の入退場を認証する認証手段と、
を備えることを特徴とするDSRCシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−251653(P2009−251653A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−95089(P2008−95089)
【出願日】平成20年4月1日(2008.4.1)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】