説明

DUV光源装置及びレーザ加工装置

【課題】 7倍波の形状修正が不要で、8倍波形成の際の変換効率が高いはDUV光源装置を提供する。
【解決手段】 合成されたS偏光の基本波、P偏光の2倍波、P偏光の5倍波は、7倍波形成光学素子(CLBO結晶)11に入射し、7倍波形成光学素子11からは、これらの光と共に、S偏光の7倍波(波長219nm)が発生する。7倍波形成光学素子11では、NCPMモードにより波長変換が行われ、ウォークオフが発生しないようにされている。これらの光は、8倍波形成光学素子(CLBO結晶)12に入射し、ここでS偏光の基本波とS偏光の7倍波が合成されてP偏光の8倍波(波長192nm)が発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はDUV(Deep Ultra-Violet)光源装置、及びそれを用いたレーザ加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザ光は近年において種々の用途に用いられており、例えば、金属の切断や加工を行ったり、半導体製造装置におけるフォトリソグラフィー装置の光源として用いられたり、各種測定装置に用いられたり、外科、眼科、歯科等の手術および治療装置に用いられたりしている。
【0003】
このようなレーザ光源として固体レーザ(本明細書においては、半導体レーザ(ダイオードレーザを含む概念として使用する)を用いる場合、固体レーザから放出されるレーザ光の波長は、可視領域から赤外領域であり、例えば検査装置に使用するには、波長が長すぎて向いていない。そこで、このような固体レーザから放出される長波長の光を、非線形光学結晶を用いることにより短波長の紫外光(例えば8倍波)に変換して用いる方法が開発され、例えば特開2001−353176号公報(特許文献1)に記載されている。このような目的に用いられる非線形光学素子としては、BBO結晶、LBO結晶、CLBO結晶等が知られている。
【0004】
又、公知技術ではないが、本発明者らは、特許文献1に記載される波長変換光学系よりも簡単な構成で同じ目的を達成できる波長変換光学系を発明し、特願2005−2534号として特許出願している(「先願発明」という)。その第1の発明は、基本波より第1の2倍波を発生させ、この2倍波と前記基本波から3倍波を発生させ、この3倍波と前記2倍波より5倍波を発生させ、この5倍波と前記2倍波より7倍波を発生させ、この7倍波と前記基本波より8倍波を発生させるものであり、その第2の発明は、第1の基本波より2倍波を発生させ、この2倍波と前記基本波から3倍波を発生させ、この3倍波と前記2倍波より5倍波を発生させると共に、第2の基本波より第2の基本波を発生させ、前記5倍波と前記第2の基本波より7倍波を発生させ、この7倍波と前記第2の基本波より8倍波を発生させるものである。
【0005】
これらの波長変換回路は、半導体製造装置におけるフォトリソグラフィー装置用に開発されたものを基本としているので、8倍波の波長は193nm(すなわち基本波の波長は1547nm)とされている。
【0006】
【特許文献1】特開2001−353176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、8倍波の波長を193nmとする場合、2倍波の波長は774nm、5倍波の波長は309nmとなる。一般にこれらの2倍波と5倍波から7倍波を形成する波長変換素子としては、CLBO(CsLiB10)結晶が使用されるが、この波長変換素子による波長変換はCPM(Critical Phase Matching)モードで行われるため、ウォークオフが発生して出射ビームの形状が悪くなるので、次に行われる8倍波の形成において、変換効率が悪くなったり、形状修正のためのシリンドリカルレンズを設ける必要がある等の問題点があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、7倍波の形状修正が不要で、8倍波形成の際の変換効率が高いDUV光源装置、及びそれを用いたレーザ加工装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を達成するための第1の手段は、レーザ光源から発生する基本波より、波長変換素子を使用して2倍波と5倍波をそれぞれ発生させ、これら2倍波と5倍波をCLBO結晶を用いた波長変換素子に入射させて7倍波を発生させ、発生した7倍波と前記基本波を波長変換素子に入射させて8倍波を発生させるDUV光源装置であって、前記2倍波と5倍波の波長が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子において、NCPM(Non-critical Phase Matching)モードの波長変換を行う波長に選択されていることを特徴とするDUV光源装置である。
【0010】
露光装置の場合、確立された光学系を設計変更無く使用するために、DUV光源装置の出力波長は厳密に193nmである必要があるが、レーザ加工装置の場合には、この波長が多少ずれても、光学系を独自に設計することができ、特に問題はない。本手段においては、このことに着目し、2倍波と5倍波の波長を、CLBO結晶を用いた波長変換素子において、NCPMモードの波長変換を行う波長としている。NCPMモードの波長変換においいては、ウォークオフが発生しないので、ビームの変形が無く、よって、8倍波形成のための波長変換素子における変換効率を上げることができる。また、シリンドリカルレンズを用いた形状修正を行う必要もない。なお、CLBO結晶においてNCPMモードの波長変換を行わせるためのCLBO結晶の条件設定(結晶方位方向等)は、入射する光の波長が決まれば、当業者の常識の範囲で決定することができる。
【0011】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、前記8倍波を発生させるために使用される基本波が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子を通過したものであることを特徴とするものである。
【0012】
8倍波を形成するためには、8倍波形成用波長変換素子に、7倍波と、7倍波と別の光路を通った基本波を入射させて合成する方法があるが、7倍波形成用の2倍波や5倍波中に含まれている基本波をそのまま使用すると、光学的機器構成が簡単になる。従来においては、このような場合、7倍波のウォークオフによって、基本波と7倍波の光軸が平行にずれ、変換効率が低下していた。よって、7倍波形成用の2倍波や5倍波中に含まれている基本波をそのまま8倍波形成に使用する場合においては、前記第1の手段の効果が特に著しくなる。
【0013】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段又は第2の手段であって、前記基本波の波長が1532nmであることを特徴とするものである。
【0014】
波長が1532nmであるレーザ光は、半導体レーザ等を使用することによって容易に発生させることができ、このときの2倍波の波長は766nm、5倍波の波長は306nmであって、この波長においてはCLBO結晶を使用したとき、容易にNCPMモードによる波長変換を起こすことができる。最終的な出力である8倍波の波長は192nmであり、従来加工装置に使用されていた193nmのレーザ光とほとんど同じであって、加工に使用する場合、この差はほとんど問題にならない。
【0015】
前記課題を解決するための第4の手段は、第1のレーザ光源から発生する第1の基本波より、波長変換素子を使用して前記第1の基本波の2倍波を発生させ、第2のレーザ光源から発生する第2の基本波より、波長変換素子を使用して前記第2の基本波の5倍波を発生させ、これら2倍波と5倍波をCLBO結晶を用いた波長変換素子に入射させて、これらの2倍波の周波数と5倍波の周波数の和の周波数を有する第1の波長の光を発生させ、この第1の波長の光と、前記第1の基本波又は第2の基本波のいずれかを波長変換素子に入射させて、この波長変換素子に入射する光の周波数の和の周波数を有する第2の波長の光を発生させるDUV光源装置であって、前記2倍波と5倍波の波長が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子において、NCPM(Non-critical Phase Matching)モードの波長変換を行う波長に選択されていることを特徴とするDUV光源装置である。
【0016】
本手段においては、2つの基本波発生用のレーザ光源を用意し、第1のレーザ光源から発生する第1の基本波の2倍波と、第2のレーザ光源から発生する第2の基本波の5倍波とをCLBO結晶を用いた波長変換素子に入射させて、これらの2倍波の周波数と5倍波の周波数の和の周波数を有する第1の波長の光を発生させている。そして、第1の波長の光を形成する波長変換をNCPMモードで行わせるようにしている。その作用効果は、前記第1の手段と同じであるが、2つの異なる基本波発生用のレーザ光源を使用しているので、NCPMモードでの波長変換を行うことができる入射光の波長の選択に自由度が生まれ、光学的回路の設計が容易となる。
【0017】
前記課題を解決するための第5の手段は、前記第4の手段であって、前記第2の波長の光を発生させるために使用される基本波が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子を通過したものであることを特徴とするものである。
【0018】
本手段は、前記第2の手段と同様の作用効果を奏する。
【0019】
前記課題を解決するための第6の手段は、前記第1の手段から第5の手段のいずれかのDUV光源装置を光源として使用していることを特徴とするレーザ加工装置である。
【0020】
本手段においては、加工用の光源として前記第1の手段から第5の手段のいずれかのDUV光源装置を使用しているので、高出力の光源を有するものとすることができる。なお、「加工」とは、通常概念される機械加工の他、分子の連鎖を切断することによる切断、蒸散による切断、ショックによる破断等を含むものであり、特に、タンパク質や、高分子化合物、生体の加工に有効である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、7倍波の形状修正が不要で、8倍波形成の際の変換効率が高いDUV光源装置、及びそれを用いたレーザ加工装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態の例を、図を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態であるレーザ装置の光学系の概要を示す図である。図1、図2、図3においては、楕円形で示されるのはコリメータレンズや集光レンズであり、その説明を省略する。又、P偏光を矢印で、S偏光を○中に点のある印で示し、基本波をω、ω’、それぞれのn倍波をnω、nω’で示す。
【0023】
図1に示すように、EDFA増幅器1で増幅された波長1532nmのP偏光の基本波は、偏光ビームスプリッタ24でS偏光とP偏光に2分割される。そのうちP偏光の基本波は、第1の2倍波形成光学素子(PPLN結晶)3に入射し、第1の2倍波形成光学素子3からは、基本波と共にP偏光の2倍波が発生する。この基本波と2倍波を、3倍波形成光学素子(LBO結晶)4に入射させる。3倍波形成光学素子4からは、基本波と2倍波と共に、S偏光の3倍波が発生する。なお、2倍波形成光学素子3としては、PPLN結晶に限らず、BBO結晶、LBO結晶、CBO結晶、CLBO結晶、AANP結晶等を用いることもできる。
【0024】
これらの光を、2波長波長板5を通すことにより、2倍波だけをS偏光に変換する。そして、共にS偏光となった2倍波と3倍波を、5倍波形成光学素子(LBO結晶)6に入射させる。5倍波形成光学素子6からは、2倍波と3倍波と共にP偏光の5倍波(波長306nm)が発生する。なお、P偏光の基本波はそのまま5倍波形成光学素子6を透過する。
【0025】
5倍波形成光学素子6から発生する5倍波は、ウォークオフのため、断面が楕円形の形状をしており、そのままでは集光性が悪くて、次の波長変換には使用できない。よって、シリンドリカルレンズ7、8により、この楕円形の断面形状を整形する。なお、5倍波形成光学素子6としては、BBO結晶、CBO結晶を用いることもできる。
【0026】
一方、偏光ビームスプリッタ24で反射されたS偏光の基本波は、ミラーを介して第2の2倍波形成光学素子(LBO結晶)9に入射し、第2の2倍波形成光学素子9からは、基本波と共にP偏光の2倍波(波長766nm)が発生する。なお、LBO結晶の代わりにPPLN結晶を使用してもよい。この基本波と2倍波を、前述のP偏光の5倍波と、ダイクロイックミラー10により合成する。この例では、ダイクロイックミラー10は、基本波と2倍波を反射し、5倍波を透過できるようなものとなっている。この光の合成には、バルク型光学素子を用いることが可能であり、例えば、色分解・合成ミラー(ダイクロイックミラー)を用いることが可能である。
【0027】
合成されたS偏光の基本波、P偏光の2倍波、P偏光の5倍波は、7倍波形成光学素子(CLBO結晶)11に入射し、7倍波形成光学素子11からは、これらの光と共に、S偏光の7倍波(波長219nm)が発生する。7倍波形成光学素子11では、NCPMモードにより波長変換が行われ、ウォークオフが発生しないようにされている。これらの光は、8倍波形成光学素子(CLBO結晶)12に入射し、ここでS偏光の基本波とS偏光の7倍波が合成されてP偏光の8倍波(波長192nm)が発生する。もし、8倍波のみを8倍波形成光学素子12から放出される他の波長の光から分離したい場合は、ダイクロイックミラーや偏光ビームスプリッタ、プリズムを使用することにより、これらを分離すればよい。
【0028】
この例においては、7倍波形成光学素子11で、NCPMモードにより波長変換が行われ、ウォークオフが発生しないようにされているので、7倍波形成光学素子11から出力される7倍波の形状は円形に近く、かつ、やはり形状が円形に近い基本波との中心もほぼ一致している。よって、8倍波形成光学素子12に、ほぼ同一光軸、かつ円形に近い形状で入射するので、8倍波形成光学素子12における変換効率を高くすることができる。
【0029】
図2は、本発明の第2の実施の形態であるレーザ装置の光学系の概要を示す図である。
この光学系の構成は、3倍波形成光学素子4までは、基本波(波長1532nm)をP偏光とS偏光に分割していない点を除いて第1の実施の形態と同じである。
【0030】
3倍波形成光学素子4から射出された光は、3波長波長板25を通すことにより、基本波だけがS偏光に変換され、2倍波はP偏光のまま、3倍波はS偏光のままとなる。これらの光を5倍波形成光学素子6に入射させる。この場合は、5倍波形成光学素子としてCLBO結晶を用いている。
【0031】
5倍波形成光学素子6から射出される光のうち、基本波はS偏光、2倍波はP偏光、3倍波はS偏光、5倍波はP偏光となっている。これらの光はシリンドリカルレンズ7、8により、形状を円形に整形されて7倍波形成光学素子(CLBO結晶)11に入射し、2倍波と5倍波が合成されて、S偏光の7倍波が発生する。そして、この7倍波とS偏光の基本波が8倍波形成光学素子(CLBO結晶)12で合成されて8倍波が発生する。
【0032】
この例においても、7倍波形成光学素子11で、NCPMモードにより波長変換が行われ、ウォークオフが発生しないようにされているので、7倍波形成光学素子11から出力される7倍波の形状は円形に近く、かつ、やはり形状が円形に近い基本波との中心もほぼ一致している。よって、8倍波形成光学素子12に、ほぼ同一光軸、かつ円形に近い形状で入射するので、8倍波形成光学素子12における変換効率を高くすることができる。
【0033】
図3は、本発明の第3の実施の形態であるレーザ装置の光学系の概要を示す図である。
この光学系においては、周波数ωの第1の基本波は、第1のEDFA増幅器1で増幅された後、第1の2倍波形成光学素子(PPLN結晶)3に入射し、第1の実施の形態と同様な過程を経て、5倍波(周波数5ω)が形成されて、ダイクロイックミラー10に導かれる。
【0034】
一方、周波数ω’の第2の基本波は、第2のEDFA増幅器2で増幅され、ミラーMで反射された後、第2の2倍波形成光学素子(LBO結晶)9に入射し、第2の2倍波形成光学素子9からは、基本波(周波数ω’)と共にP偏光の2倍波(周波数2ω’)が発生する。なお、LBO結晶の代わりにPPLN結晶を使用してもよい。この基本波と2倍波を、前述のP偏光の5倍波(周波数5ω)と、ダイクロイックミラー10により合成する。この例では、ダイクロイックミラー10は、基本波(周波数ω’)と2倍波(周波数2ω’)を反射し、5倍波(周波数5ω)を透過できるようなものとなっている。この光の合成には、バルク型光学素子を用いることが可能であり、例えば、色分解・合成ミラー(ダイクロイックミラー)を用いることが可能である。
【0035】
合成されたS偏光の基本波(周波数ω’)、P偏光の2倍波(周波数2ω’)、P偏光の5倍波(周波数5ω)は、7倍波形成光学素子(CLBO結晶)11に入射し、7倍波形成光学素子11からは、これらの光と共に、S偏光の7倍波(周波数2ω’+5ω)が発生する。これらの光は、8倍波形成光学素子(CLBO結晶)12に入射し、ここでS偏光の基本波(周波数ω’)とS偏光の7倍波(周波数2ω’+5ω)が合成されてP偏光の8倍波(周波数3ω’+5ω)が発生する。
【0036】
なお、第3の実施の形態においては、7倍波形成光学素子11、8倍波形成光学素子12は、厳密に言えば7倍波形成光学素子、8倍波形成光学素子ではなく、入力光の周波数の和の周波数を持った光を形成する波長変換光学素子であるが、通常、ωとω’は、非常に近い周波数に選定されるので、便宜上、7倍波形成光学素子、8倍波形成光学素子と呼んでいる。
【0037】
なお、以上示した3つの実施の形態においては、いずれにおいても、8倍波を形成するための基本波は、7倍波形成光学素子を通過したものを使用している。このような構成の光学素子においては、本発明の方法を用いると、基本波と7倍波の光軸がずれないという効果を有するが、特許文献1に記載されるような、形成された7倍波と、別光路を通った基本波とを同一光路に合成して8倍波形成光学素子に入射させるような場合でも、7倍波の形状成型用のシリンドリカルレンズが不要となるので、本発明は効果を有する。
【0038】
また、以上の実施の形態においては、各倍波を形成する偏光の種類を特定したが、各、実施例において、全てのP偏光をS偏光に、S偏光をP偏光に変えても、同様の効果が得られることは言うまでもない。また、1/2波長板を使用することによりP偏光をS偏光に、S偏光をP偏光に変えることは周知の事実であるので、各倍波形成光学素子の前後に、適宜1/2波長板を設ければ、あらゆる偏光の組み合わせについて、これらの実施の形態と同等の光学系を実現することができる。
【0039】
図4は、本発明の実施の形態の1例であるレーザ加工装置(高分子結晶の加工装置)の概要図である。レーザ装置31から放出された紫外短パルスレーザ光は、集光光学系32を介して試料容器33中に入れられた高分子結晶35に集光照射される。試料容器33は、ステージ34に搭載され、光軸方向をz軸として、x−y−z直交座標系でx軸、y軸、z軸の3次元方向の移動が可能とされていると共に、z軸の周りに回転可能となっている。高分子結晶35の表面に集光照射されたレーザ光により、高分子結晶の加工が行われる。
【0040】
ところで、高分子結晶である被加工物を加工する場合、レーザ光が被加工物の何処に照射されているかを確認する必要がある。しかし、レーザ光は、通常可視光でないことが多く、目視することができないので、光学顕微鏡と組み合わせて使用することが好ましい。
【0041】
照明光源36からの可視光は、反射鏡37で反射され、試料容器33をケーラー照明する。高分子結晶35は、光学顕微鏡の対物レンズ38、接眼レンズ39を介して眼40により目視される。
【0042】
光学顕微鏡の光軸位置には、十字状のマークが形成されており、光軸位置が目視できるようになっている。そして、光学顕微鏡の焦点位置(合焦位置、すなわち目視したときピントが合う物面)は固定とされている。集光光学系32により集光されたレーザ光は、光学顕微鏡の光軸位置で、かつ光学顕微鏡の焦点位置に集光されるようになっている。よって、ステージ34上に被加工物を載置し、光学顕微鏡でその像を観察した場合、ピントが合っており、かつ十字マークの中心にある位置に、レーザ装置31からのレーザ光が集光されるようになっている。なお、レーザ装置31、集光光学系32、及び光学顕微鏡部の相対位置関係は固定されており、ステージ34のみがこれらの固定系に対して相対的に移動可能とされている。
【0043】
よって、加工を行いたい場所が光学顕微鏡の光軸位置でかつ合焦位置となるようにステージ34を移動させながら加工を行うことにより、所望の場所の加工、及ぴ所望の形状の加工を行うことができる。もし、自動的に加工を行わせたいのであれば、光学顕微鏡に自動焦点調整装置をつけてステージ34をその指令により駆動すると共に、ステージ34の予め定められた所定部分が光学顕微鏡の光軸になるように、ステージ34を駆動するようにすればよい。または、初めに基準となる位置を合わせた後、サーボ機構によりステージ34を2次元又は3次元に駆動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるレーザ装置の光学系の概要を示す図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態であるレーザ装置の光学系の概要を示す図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態であるレーザ装置の光学系の概要を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の1例であるレーザ加工装置(高分子結晶の加工装置)の概要図である。
【符号の説明】
【0045】
1…第1のEDFA増幅器、2…第2のEDFA増幅器、3…第1の2倍波発生光学素子、4…3倍波形成光学素子、5…2波長波長板、6…5倍波形成光学素子、7…シリンドリカルレンズ、8…シリンドリカルレンズ、9…第2の2倍波形成光学素子、10…ダイクロイックミラー、11…7倍波形成光学素子、12…8倍波形成光学素子、13…ダイクロイックミラー、14…ミラー、15…ダイクロイックミラー、16…シリンドリカルレンズ、17…シリンドリカルレンズ、18…ミラー、19…ダイクロイックミラー、20…レーザ装置、21…ダイクロイックプリズム、22…ダイクロイックミラー、23…分散補償用平行平板、24…偏光ビームスプリッタ、25…3波長波長板、31…レーザ装置、32…集光光学系、33…試料容器、34…ステージ、35…高分子結晶、36…照明光源、37…反射鏡、38…対物レンズ、39…接眼レンズ、40…眼

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光源から発生する基本波より、波長変換素子を使用して2倍波と5倍波をそれぞれ発生させ、これら2倍波と5倍波をCLBO結晶を用いた波長変換素子に入射させて7倍波を発生させ、発生した7倍波と前記基本波を波長変換素子に入射させて8倍波を発生させるDUV光源装置であって、前記2倍波と5倍波の波長が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子において、NCPM(Non-critical Phase Matching)モードの波長変換を行う波長に選択されていることを特徴とするDUV光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載のDUV光源装置であって、前記8倍波を発生させるために使用される基本波が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子を通過したものであることを特徴とするDUV光源装置。
【請求項3】
前記基本波の波長が1532nmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のDUV光源装置。
【請求項4】
第1のレーザ光源から発生する第1の基本波より、波長変換素子を使用して前記第1の基本波の2倍波を発生させ、第2のレーザ光源から発生する第2の基本波より、波長変換素子を使用して前記第2の基本波の5倍波を発生させ、これら2倍波と5倍波をCLBO結晶を用いた波長変換素子に入射させて、これらの2倍波の周波数と5倍波の周波数の和の周波数を有する第1の波長の光を発生させ、この第1の波長の光と、前記第1の基本波又は第2の基本波のいずれかを波長変換素子に入射させて、この波長変換素子に入射する光の周波数の和の周波数を有する第2の波長の光を発生させるDUV光源装置であって、前記2倍波と5倍波の波長が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子において、NCPM(Non-critical Phase Matching)モードの波長変換を行う波長に選択されていることを特徴とするDUV光源装置。
【請求項5】
請求項4に記載のDUV光源装置であって、前記第2の波長の光を発生させるために使用される基本波が、前記CLBO結晶を用いた波長変換素子を通過したものであることを特徴とするDUV光源装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載のDUV光源装置を光源として使用していることを特徴とするレーザ加工装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−308908(P2006−308908A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132155(P2005−132155)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】