説明

EE−1イベントを含むトランスジェニックナス(SOLANUMMELONGENA)

本発明は、特定されたイベントEE−1を備える耐虫性のトランスジェニックナス植物体、植物細胞、種子、およびそれらの子孫に関する。さらに本発明は、ナス植物EE−1イベントの挿入部位に隣接する領域のDNA配列を提供する。また、特定されたナス植物EE−1イベントが存在するか否かの検出処理にも関する。本発明はまた、トランスジェニックナス植物において前記特定されたナス植物EE−1エリートイベントの区別のための診断方法を提供する。本発明は、さらに、EE−1エリートイベントを備えるトランスジェニック植物を同定するためのキットを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エリートイベント(elite event)EE−1を備える、耐虫性トランスジェニックナス植物に関する。
【背景技術】
【0002】
ナスは、地中海、中東の野菜としばしばみなされるが、過去4,000年間、当該国内で栽培されている。インドは、ナスの原産地と広くみなされている。ナス科の野菜の中で、ナス(Solanum melongena Linn.)は、インドの多くの地域で栽培されている、最も一般的で、よく知られた、主要な野菜作物である。ナスが栽培されている面積は、51万haで、全生産量が8,200,000Mtと概算されている(FAOデータ、2004年、http://faostat.fao.org/)。ナスは小規模農家によって栽培され、重要な収入源となっている。異なる農業気候地域に適応されて、インドで年間を通じて栽培することのできる、用途の広い作物である。多くの栽培品種が当該国内で栽培されており、栽培品種の産出量、果実の色、大きさおよび形は消費者の好みに依存している。非常に生産性の高い作物であり、果実は様々な方法による調理野菜として消費され、また、インドの地方部の人々は乾燥させたシュート(shoot)を燃料として使用している。好ましいミネラル源およびビタミン源であり、内部の水、可溶性の糖、遊離の還元糖、およびアミドプロテインに富んでいる。
【0003】
しかしながら、近年、インド亜大陸のナスの生産量は、害虫、特に果実やシュートに穴を開ける虫(the fruit and shoot borer, Leucinodes orbonalis (Guen.))の感染の継続的な増加により、深刻な影響を受けている。fruit and shoot borer の若い幼虫は葉柄や大きな葉の中央脈や柔かいシュートに穴を開け、それによってシュートの先端が枯れてしまう。その後それらは花芽や果実に穴を開ける。感染された果実はその市場価値が失われる上に、収穫が大きく減少する。インドにおいては、fruit and shoot borerは25.8%から92.5%の果実にダメージを与え、20.7%から60%の収穫高の減少を引き起こす。
【0004】
農家は、感染していない果実を得るために、大量の化学殺虫剤を単独で、あるいは組み合わせて使用しており、それらは市場で高価格で売られている。殺虫剤の無差別的な使用の習慣は、生産物中の残留農薬、天敵の排除、害虫の復活、環境汚染をもたらす。
【0005】
殺虫剤の悪影響から環境を守ることとともに、ナス作物の害虫に関連したダメージを減らすために、ナスにおいて高レベルで発現させる適当なプロモーターの制御のもとで鱗翅目に特異的なcry1Ac遺伝子を導入することが、fruit and shoot borerについての構築された制御をもたらすものと考えられる。ナスの栽培への化学的農薬の貢献がかなり大きいため、これによりナスの栽培コストを下げる結果がもたらされるであろう。
【0006】
多くのグループが、異なる方法を使用してナスの形質転換を実行した。最も成功した方法は、形質転換のためのアグロバクテリウムを媒介とした方法である(Kumar et. al.1998, Nicola et. al.1998, Fariet. al.1995, Rotino et. al.1990)。
【0007】
cry1Ac遺伝子のソース生物は、胞子形成中に殺虫性のクリスタリン(Cry)含有物を合成するグラム陽性菌である、Bacillus thuringensis (Bt)である。cry1Ac遺伝子は130KdaのCry1Acタンパク(d-エンドトキシン)をコードしており、Lepidpoteranの幼虫に高い特異性を示す。Cry1Acタンパクは、殺虫活性を発現するために、昆虫により摂取されなければならない。クリスタリンの形態のタンパクは中性または酸性のpHの水溶液には不溶であるが、幼虫の昆虫の腸のpHはクリスタルタンパクが可溶であるアルカリである。
続いて、可溶性になったタンパクは、昆虫の腸の中のプロテアーゼによって活性化される。これらのプロテアーゼは、タンパクのアミノ末端からのおよそ28のアミノ酸と同様に、タンパクの残部からカルボキシ末端ドメインを切断する。活性化されたタンパクはおよそ600のアミノ酸から成り、昆虫の囲食膜を介して中腸上皮へ拡散する。ここで、それらは標的昆虫の中腸上皮の表面において特定の高親和性レセプターと結合する。膜において、腸ルーメンへの細胞内成分(例えばK)の漏出、および上皮腸細胞への水の漏出を誘導する開孔が、膜内に形成される。幼虫の腸上皮細胞は浸透圧により膨張し溶解する。腸は腸内の電解質、およびpHの変化の結果として麻痺するようになり、幼虫の昆虫に摂食の中止と死を引き起こす。
【0008】
植物中の外来の遺伝子の発現は、植物のゲノム中のトランス遺伝子の位置により影響を受けることが知られている。トランス遺伝子発現のバリエーションは、より転写活性のある染色体領域(ユークロマチン)、あるいは活性が少ない染色体領域(ヘテロクロマチン)への挿入により生じる。これらの例は、遺伝子発現が抑えられるメチル化された領域、または遺伝子の発現をそれぞれ促進あるいは抑制する、エンハンサーおよびサプレッサーのような転写調節因子の近接部である。したがって、トランス遺伝子の発現のための多くの独立した形質転換のイベントをスクリーニングするとともに、異種起源の挿入された遺伝子の所望される発現を示すイベントを同定することが必要である。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、エリートイベントEE−1を備える耐虫性トランスジェニックナス植物に関する。本発明は、エリートイベントEE−1を備える耐虫性トランスジェニックナス植物に関する。トランスジェニック植物はナスゲノムの特定領域におけるCaMV35Sプロモーターによる制御下にあるcry1Ac遺伝子を有することにより特徴付けられる。さらに、本発明は、ナス植物においてエリートイベントEE−1を検出する方法について開示する。さらに本発明は、エリートイベントEE−1を備えるナス植物を同定するためのキットを提供する。
【0010】
本発明は、耐虫性を付与するcry1Ac遺伝子を伴う、ナス植物の形質転換に関する。本発明は、アグロバクテリウムを媒介とした方法によって植物発現ベクターpMON10518でナス植物を形質転換することに関する。さらにまた、cry1Ac遺伝子を備える50を越える独立した形質転換イベントの産生に関する。全ての独立したイベントは、Cry1Acタンパクの発現のためにスクリーニングされ、特徴付けられた。Cry1Acタンパクの発現レベルおよび昆虫バイオアッセイに基づいて、2つのイベントが更なる特徴付けのために選択された。本発明はまた、形質転換イベントの同定の処理に関する。EE-1と命名されたあるイベントは、エリートイベントであると同定され、詳細に特徴づけられた。
【0011】
異種起源の遺伝子の挿入の特定の位置は分子的方法によって分析された。これは、適切なベクターへのT-DNAの右側境界配列(right border)に隣接するゲノム領域のクローニングを含む。本発明は、シークエンスによる、当該隣接領域の特徴付けおよび分析に関する。本発明は、ナスのEE-1イベントのゲノムDNAのPCR増幅のための、DNA塩基配列の当該領域からのプライマー設計に関する。
【0012】
本発明は、さらに、EE-1のエリートイベントと、他のナス形質転換イベントおよび非遺伝子組み換えのナス植物とを区別する診断ツールを提供する。
【0013】
本発明のある態様は、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在を検出する方法を提供することであって、前記方法は、
(a)配列番号8の配列のヌクレオチド位置22からヌクレオチド位置71の少なくとも50の連続したヌクレオチドを備えるポリヌクレオチドプローブを試料と接触させることと、
(b)試料および前記ポリヌクレオチドプローブをストリンジェントハイブリダイゼーション条件下におくことと、
(c)前記試料中における核酸への前記ポリヌクレオチドプローブの結合を検出することとを備える。
【0014】
本発明の他の態様は、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在を検出する方法を提供することであって、前記方法は、
a)配列番号11の第1のヌクレオチド配列、および配列番号12、または配列番号13、または配列番号14からなる群から選択される第2のヌクレオチド配列と試料とを接触させることと、
b)核酸増幅反応を行い、それによって増幅されたフラグメントを生成することと、
c)前記増幅されたフラグメントを検出することと、を備え、
前記増幅されたフラグメントは約580ベースペア、または約1012ベースペア、または約1211ベースペアである。
【0015】
さらに、本発明の他の態様は、ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号8の配列またはその相補的配列を備えるポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
さらにまた、本発明の他の態様は、ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号9の配列またはその相補的配列を備えるポリヌクレオチドを提供する。
【0017】
さらにまた、本発明の他の態様は、ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号10の配列またはその相補的配列を備えるポリヌクレオチドを提供することである。
【0018】
さらにまた、本発明の他の態様は、ハイブリダイゼーション法を使用する、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出キットを提供することである。前記キットは、配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるポリヌクレオチド配列と、ハイブリダイゼーション用バッファとを含む。
【0019】
さらにまた、本発明の他の態様は、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出キットを提供することである。前記キットは、配列番号11の配列を有する第1のヌクレオチド、および配列番号12、または配列番号13、または配列番号14からなる群から選択される配列を有する第2のヌクレオチド配列を備える。
【0020】
本発明は、また、ナス植物EE−1エリートイベントの存在の検出のための合成オリゴヌクレオチドを提供する。前記オリゴヌクレオチドの配列は、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、および配列番号15からなる群から選択される。
【0021】
本発明はさらにナス植物EE−1エリートイベントを有するトランスジェニック植物体または種子を提供する。前記EE−1エリートイベントのゲノムは配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備える。
【0022】
本発明はさらにナス植物EE−1エリートイベントを有するトランスジェニック植物細胞を提供する。前記EE−1エリートイベントのゲノムは配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備える。
【0023】
本発明はさらにナス植物EE−1エリートイベントを有する子孫(progeny)を提供する。前記EE−1エリートイベントのゲノムは配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
“アンプリコン”、または“増幅されたDNA”“増幅されたフラグメント”とは、核酸テンプレートの一部である標的核酸配列の核酸増幅産物をいう。
【0025】
“異種起源の遺伝子/DNA”とは、植物ゲノムに挿入された外来起源のDNA配列をいう。
【0026】
“イベント”とは、オリジナルの形質転換体(transformant)、およびオリジナルの形質転換体または異種起源の遺伝子を有するその子孫(descendant)と、別のナス種との有性異系交配によって産生された任意の子孫(progeny)をいう。
【0027】
“プローブ”とは、ハイブリダイゼーション実験またはアッセイに使用可能であるDNA配列をいう。
【0028】
“ストリンジェントな条件”下でハイブリダイゼーションすることによる、とは、Sambrookら(1989)により示された有利なハイブリダイゼーション条件をいう(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbour Laboratory Press, NY)。
【0029】
ここで用いている“エリートイベント”とは、同一のDNA変換を伴う形質転換により、あるいはそのような形質転換により得られた植物の戻し交雑により得られた一群のイベントから、形質発現、トランス遺伝子の安定性、およびそれを備える植物の農業的特性についての否定的影響の欠如に基づいて選択されたイベントをいう(すなわち、選択された形質転換イベントをいう)。
【0030】
本発明は、エリートイベントEE−1を備える耐虫性トランスジェニックナス植物に関する。本発明は、エリートイベントEE−1を備える耐虫性トランスジェニックナス植物に関する。トランスジェニック植物はナスゲノムの特定領域におけるCaMV35Sプロモーターによる制御下にあるcry1Ac遺伝子を有することにより特徴付けられる。さらに、本発明は、ナス植物においてエリートイベントEE−1を検出する方法について開示する。さらに本発明は、エリートイベントEE−1を備えるナス植物を同定するためのキットを提供する。
【0031】
本発明のある実施形態は、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在を検出する方法を提供することであって、前記方法は、
(d)配列番号8の配列のヌクレオチド位置22からヌクレオチド位置71の少なくとも50の連続したヌクレオチドを備えるポリヌクレオチドプローブを試料と接触させることと、
(e)試料および前記ポリヌクレオチドプローブをストリンジェントハイブリダイゼーション条件下におくことと、
(f)前記試料中における核酸への前記ポリヌクレオチドプローブの結合を検出することと、を備える。
【0032】
本発明の他の実施形態は、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在を検出する方法を提供することであって、前記方法は、
a)配列番号11の第1のヌクレオチド配列、および配列番号12、または配列番号13、または配列番号14からなる群から選択される第2のヌクレオチド配列と試料とを接触させることと、
b)核酸増幅反応を行い、それによって増幅されたフラグメントを生成することと、
c)前記増幅されたフラグメントを検出することとを備える。
前記増幅されたフラグメントは約580ベースペア、または約1012ベースペア、または約1211ベースペアである。
【0033】
さらに、本発明の他の実施形態は、ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドを提供することであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号8の配列またはその相補的配列を備える。
【0034】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドを提供することであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号9の配列またはその相補的配列を備える。
【0035】
さらにまた、本発明の他の実施形態は、ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドを提供することであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号10の配列またはその相補的配列を備える。
【0036】
さらに、本発明の実施形態は、ハイブリダイゼーション法を使用する、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出キットを提供することである。前記キットは、配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるポリヌクレオチド配列と、ハイブリダイゼーション用バッファとを備える。
【0037】
さらに、本発明の実施形態は、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出キットを提供することである。前記キットは、配列番号11の配列を有する第1のヌクレオチド、および配列番号12、または配列番号13、または配列番号14からなる群から選択される第2のヌクレオチド配列を備える。
【0038】
また、本発明は、ナス植物EE−1エリートイベントの存在の検出のための合成オリゴヌクレオチドを提供する。前記オリゴヌクレオチドの配列は、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、および配列番号15からなる群から選択される。
【0039】
本発明はさらにナス植物EE−1エリートイベントを有するトランスジェニック植物体または種子に関する。前記EE−1エリートイベントのゲノムは配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備える。
【0040】
また、本発明はナス植物EE−1エリートイベントを有するトランスジェニック植物細胞に関する。前記EE−1エリートイベントのゲノムは配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備える。
【0041】
本発明はさらにナス植物EE−1エリートイベントを有する子孫(progeny)に関する。前記EE−1エリートイベントのゲノムは配列番号8、配列番号9、配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備える。
【0042】
本発明は、害虫に対する抵抗性を付与するためのアグロバクテリウムを媒介とした形質転換方法を使用する、ナス(Solanum melongena)の植物体、植物細胞および組織を形質転換する効率的な方法を提供する。
【0043】
本発明のある実施形態は、葉柄を有する子葉、胚軸、胚、未熟胚、葉身、子葉腋、茎頂、葯、根、およびカルス、または他の適した外植体からなる群から選択される形質転換のための外植体を提供する。
【0044】
本発明の他の実施形態は、PCR増幅あるいは当該技術分野で公知の方法によりナス植物エリートイベントEE-1のトランスジェニック挿入部位の周辺のフランキング配列の同定方法を提供することである。 核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、当該技術分野の中で既知の様々な核酸増幅方法のうちのどれによっても実行することができる。ナス植物エリートイベントEE-1の同定の方法は、プライマーウォーキング法によって実行された。これについても、当該技術分野においてよく知られた方法によって実行することができる。
【0045】
トランスジェニック挿入DNAおよび隣接するフランキングナスDNAはアガロースゲル電気泳動によって精製され、当該技術分野において既知の適当なベクターにクローニングされた。クローニングされたフラグメントは、当該技術分野で既知の方法によって配列が決定された。
【0046】
本発明の他の実施形態は、ナス植物EE−1エリートイベントの同定のための診断方法またはアッセイを提供することである。
【0047】
本発明の他の実施形態は、ナスの他のバックグラウンドまたは栽培品種におけるEE−1エリートイベントの導入方法を提供することである。
【0048】
本発明の他の実施形態は、EE−1エリートイベントを有するトランスジェニックナスを使用した、ナス交雑種の生産方法を提供することである。
【0049】
また、本発明の他の実施形態は、配列番号8から10のポリヌクレオチド配列、またはそれらと相補的な配列を有する新規DNA分子を提供する。
【0050】
さらに、本発明の実施形態は、配列番号8、配列番号9、および配列番号10からなる群から選択されたポリヌクレオチド配列を備えるトランスジェニックナス植物体、植物細胞、種子、および子孫(progeny)を提供する。
【0051】
本発明は、DNAコンストラクトpMON10518を用いてナス細胞を形質転換することを備える、害虫に耐性を有するトランスジェニックナス植物体を生産する方法をさらに提供する。前記ナス細胞から得られた稔性ナス植物体は、耐虫性のナス植物を生産するために、自家受精またはナス種と好適な交雑を行うことができる。
【0052】
Bacillus thruingiensis由来の殺虫性のcry1Ac遺伝子は、メヒコ社(MAHYCO)により育成されたナス系統60208に導入された。本発明は、耐虫性の付与についてのアグロバクテリウムを媒介とした形質転換方法を使用する、ナス((Solanummelongena)の植物体、植物細胞および組織の効果的な形質転換方法を提供する。
【0053】
ナス植物のアグロバクテリウムを媒介とする形質転換のための外植体は、葉柄を有する子葉、胚軸、胚、未熟胚、葉身、子葉腋、茎頂、葯、根、およびカルス、または他の適した外植体からなる群から選択される。
【0054】
CaMV e35SプロモーターおよびGm7Sターミネーターの制御下にあるcry1Ac遺伝子と、植物選択的マーカーとして、CaMV35Sプロモーターの制御下にあるnptII遺伝子とを含むベクターpMON10518(図1)がAgrobacterium tumefaciens中で変換された。A. tumefaciensは、アグロバクテリウムの培養のための適当な培地中にイノキュレートされた。アグロバクテリウム細胞は、フラスコ中の25mlの無菌2YT培地(pH 7)中でインキュベートされた。2YT培地は1%の酵母抽出物、1.6%のトリプトンおよび0.5%のNaClを含む。
適当な抗生物質が、プラスミドpMON10518を有するアグロバクテリウムの選択的培養のためのバクテリアのイノキュレート前に、当該培地に添加された。バクテリアはフラスコ中の2YT培地にイノキュレートされて、0.01〜2の範囲、好ましくは1.8の光学密度(600nm)を得るためにシェーカー上で維持された。
【0055】
外植体が組換えアグロバクテリウム懸濁液中にイノキュレートされ(好ましくは15分)、無菌濾紙上でブロット乾燥され、その後、共培養のために適した培養培地を含むペトリ皿に移された。
【0056】
共培養の後(共培養は2から5日、好ましくは2日)、これらの外植体は、アグロバクテリウムの生育を阻害するために、500mg/lのセホタキシムを含有する液体のMS0倍地中で洗浄され、選択培地に移された。
【0057】
選択培地上で再生(regenerate)された形質転換体は、発根培地に移され、発根した植物体は、温室でハードニングされ、定着された。
【0058】
pMON10518コンストラクトを用いたナス植物の形質転換の詳細な手順については、実施例1において記載する。
【0059】
本発明において、Bacillus thruingiensis由来のcry1Ac遺伝子は、以下の特徴を有する、メヒコ社により育成されたナス系統60208に導入された。
果実の色:紫色、白色の斑入り
果実の形状:長円形
草性:ブッシュ状
果実形成:塊状
がく:とげ状
【0060】
50以上の独立した形質転換イベントが、エリートナス植物EE−1イベントを同定するためにスクリーニングされた。すべてのイベントは、商業化のために最適であるイベントを決定するために、トランス遺伝子分割分析およびタンパク発現評価を受けた。詳細は実施例2において記載する。
【0061】
ナス植物EE−1エリートイベントの分子的特徴付けが行われた。詳細は実施例3に記載する。さらに、ナス植物EE−1エリートイベントの同定のための診断方法が行われ、詳細は実施例4に記載する。実施例5は、ナス植物EE−1エリートイベントについて行われた接合アッセイ(zygotic assay)について説明する。
【0062】
本発明は、さらに、Sambrookら(1989)によって示されたサザンハイブリダイゼーション法(Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring HarbourLaboratory Press, NY)を使用した、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出方法を提供する。当該方法は、1)フィルタ上でゲノムDNAフラグメントを固定することと、2)フィルタを、50%ホルムアミド、5XSSPE、2X Denhardt’s試薬、および0.1% SDS中で1時間から2時間、42℃で、または6X SSC、2X Denhardt’s試薬、および0.1% SDS中で1時間から2時間、68℃でプレハイブリダイズすることと、3)ラベル化されたハイブリダイゼーションプローブを添加することと、4)16時間から24時間インキュベートすることと、5)フィルタを室温で1X.SSC、0.1% SDS中で20分間洗浄することと、6)フィルタを68℃で0.2X.SSC、0.1% SDS中でそれぞれ20分間、3回洗浄することと、7))増感フィルムを用いて、フィルタを24時間から48時間、−70℃でX線フィルムにさらすこととを含む。ハイブリダイゼーションは当該技術分野における既知の方法によって実行されるようにしてもよい。
【0063】
ナス植物EE−1エリートイベントは多くの基準に基づいて選ばれた。3世代の分離分析は、当該系統においてcry1Ac遺伝子が挿入される単一の位置が存在することを示した。これはDNAブロット解析によって確認された。量的ELISAを使用するタンパク質量化研究は、多くのナス単一挿入のイベントにおいて行なわれた。これらの研究は、EE-1系統がCry1Acタンパクを最も強く発現する系統であること、および挿入された遺伝子の発現が複数の世代を通して、多くの異なる遺伝的バックグラウンドにおいて安定していたことを示した。EE-1のエリートイベントを有する系統の表現型の解析は、由来する親系統とは形態学的には判別不能であることを示し、そのため、さらなる戻し交雑繁殖に最もふさわしい。当該エリート植物は他のナス栽培品種にEE 1エリート・イベントを導入するために使用された。
【0064】
核酸増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を含む、当該技術分野において既知の様々な核酸増幅方法のうちのどれによっても実行することができる。当該技術分野において様々な増幅方法が知られており、PCR protocols: a guide to methods and applications (ed. Innisら, Academic Press, San Diego, 1990)において説明されている。トランスジェニック挿入および隣接するフランキングナスDNAはアガロースゲル電気泳動により分析され、クローニングされる。クローニングされたフラグメントは、当該分野において既知の方法により配列が決定される。
【0065】
本発明は以上のように広義に定義されるが、それらに限定されるものではなく、以下の記載が実施例を与える実施形態を含んでいることは、当業者により理解されるであろう。
【実施例】
【0066】
提示される実施例は、当該発明において請求される用途、プロセスおよび産物を単に例示するものである。また、当該発明自体の実施は記載される実施例に限定されるものではなく、また、当該実施例によって限定されるものでもない。
【0067】
(実施例1)
ナスの形質転換
【0068】
種子の滅菌とイノキュレーション
系統60208由来のナス種子は、1.5%NaOClを含有する50mlのプラスチック遠心チューブ中で激しく振とうしながら10分間、表面滅菌された(500種子につきNaOCl 20 ml)。5分後、上澄みである溶液が除去され、滅菌された蒸留水で5回洗浄された。種子は滅菌濾紙で1時間、ブロット乾燥され、10種子/ボトルの割合でボトル中のMS0倍地(表1)にイノキュレートされた。種子は、発芽のために、16時間光条件下、8時間暗黒条件下の光周期型で、12−15時間25℃で維持された。
【0069】
アグロバクテリウムの培養
共培養を実行する前日、形質転換ベクターpMON10518を含むアグロバクテリウム株が、抗生物質を含む25mlの液体LB培地中で、175rpmで振とうしながら、28℃で一晩培養された。当該オーバーナイトの培養は、同じ抗生物質を含んでいる、フレッシュストリークされた固形培地プレートから得られた1白金耳のバクテリア細胞で開始された。
【0070】
外植体の調製
共培養の当日、2−15日齢の実生から子葉を取り、中央脈を介して縦方向に半分に切断し、外植体として使用した。外植体は、乾燥するのを防ぐために、液体MS培地(表1)に浸したペトリ皿中の滅菌濾紙上に置かれた。
【0071】
共培養
共培養の朝に、一晩培養したバクテリア培養物を、1000rpmで10分間遠心分離した。上澄みを除去し、沈殿物を液体MS培地(25 ml)中で再懸濁し、十分に混合した(表1)。100mMのアセトシリンゴンをバクテリア培養物に25μl添加し、インキュベーター中に振とうしながらさらに2時間置いた。バクテリア培養物の吸光度(OD)は、600nmにおけるODが1.5から1.8に達するまで測定された。外植体は、ペトリ皿またはガラスビーカー中のバクテリア培養物中で、ゆっくり攪拌しながら10分間インキュベートされた。次に、外植体は余剰分のバクテリアを除去するために滅菌濾紙上にブロットされ、共培養のために、3日間共培養培地B1AsP(表の培地組成を参照)上に置かれた(15 外植体/プレート)。プレートは、25℃、16時間光条件下、8時間暗黒条件下の光周期型の光照射下で3日間インキュベートされた。
【0072】
ポジティブコントロールおよびネガティブコントロールは、それぞれの実験で維持された。ポジティブコントロールは、組織培養再生をチェックするために抗生物質のない培地上で再生された外植体である。一方、ネガティブコントロールは、抗生物質の生育に対する抑制を確認ために抗生物質を含んでいる培地上で維持された外植体である。
【0073】
選択(B1KC 培地)
3日後、外植体を、2週間の期間で、50mg/lのカナマイシンおよび250mg/lのセファトキシンを含む選択培地B1KC(表1)に移した。形質転換された外植体は、外植体の切除端部にカルスを形成する。一方、形質転換されていない外植体は白化する。形質転換したものと推定された外植体は、2週間、新たな選択培地B1KC上で再び維持された。これは、合計の期間が6週間に達するまで選択培地上で繰り返された。6週間経過後、緑色の分裂組織/カルスが発達する。
【0074】
再生(CF2KC 培地)
緑色の分裂組織は、2週間の期間、50mg/lのカナマイシン、250mg/lのセホタキシムを含有するCF2 KC(表1)に移された。当該カルスは新たな培地上で2週間ごとに3回継代培養され(3selections)、その結果カルスが小さな緑色のシュートの芽となった。
【0075】
伸長(B root KC培地)
シュートの芽は、2週間の期間、50mg/litのカナマイシン、250 mg/lのセホタキシムを含有するBrootKC 培地(表1)に移された。当該シュートの芽は新たな培地上で2週間ごとに2回継代培養された(2 selections)。4週間経過後、シュートの芽は伸長し、発根できる状態となった。伸長培地上で発根が開始されることもあった。伸長培地上で発根を開始した場合、小植物体(plantlet)は、根にダメージを与えないようにするためにそのまま維持された。
【0076】
発根(TMGRGKC 培地)
シュートは、2週間の期間、50mg/litのカナマイシン、250 mg/lのセホタキシムを含有する発根培地TMRGKC(表1)に移された。シュートは、根が生じるまで2週間ごとに継代培養された。
【0077】
ハードニング
発根した植物体はゲル化剤(寒天またはphytagel)を除くために十分に滅菌された蒸留水で洗浄された。植物体は、Promix(60%)と土(40%)のミクスチャを含むカップに移す少なくとも一時間前に、0.1%のバビスチンで処理された。植物体は7日間、ポリエチレン製の袋で覆われた。7日後、ポリエチレン製の袋は、ハードニング処理を開始するために端部が切除され、約2週間後に完了した。
【0078】
【表1】

【0079】
(実施例2)
ナス植物EE−1エリートイベントの同定
商用のトランスジェニックナス系統を作り出すためのトランス遺伝子を強く発現し、遺伝的に安定であるイベントの可能性を最大化するために、多量(>50)の独立形質転換イベントが作られた。形質転換実験により得られた全てのナス植物体は、PCRによりcry1Ac遺伝子の存在について分析され、ポジティブである植物体は、トランス遺伝子の発現度を決定するためにELISAに供された。最初の形質転換体(TO)は自家受精により次の世代に進み、T1子孫植物体はトランスジーンの分離(segregation)を決定するためにPCRによりチェックされた。単一のcry1Ac遺伝子が挿入された系統内のトランスジーンの予想されたT1分離比は、メンデル遺伝学に基づき、3:1であった。さらに、cry1Acがトランス遺伝子として導入されたときに優性遺伝子として機能するため、T1世代において遺伝子の発現がモニターされた。また、単一の挿入イベントについて、Cry1Ac発現植物体と非発現植物体との予想された比率は3:1である。昆虫のバイオアッセイは、どの系統が果実やシュートに穴を開ける害虫に対しより高い効果を有するか決定するために、選択された系統由来の組織について実行された。選択された形質転換イベントのサザンブロット分析は、トランスジーンがナスゲノムに組み込まれた位置の数(挿入コピー数)を確認するために行われた。
【0080】
上記の基準に基づいて、単一の位置挿入のイベントの分離特性を示し、fruit and shoot borerに対し有効な耐性を示した形質転換系統が選択された。一方、異常な分離比および/または害虫に対する低い効果しかないことが明らかとなった系統は選択されなかった。進展のために選択された系統は温室内で栽培され、量的ELISAにより、農作物の世代を通じて評価された。それにより、最もタンパクを発現する系統の決定が可能となる。分析された組織は葉、シュート、茎(stem)、花、および根であった。上記のパラメーターの詳細な解析の後、イベントEE-1は、Cry1Ac発現、および害虫に対する効果および3世代以上の植物体の世代の遺伝子安定性の点から、最良の利用可能なイベントであることが明らかとなった。 EE-1エリートイベントは、fruit and shoot borerに耐性を有するナスの開発のためのさらなる育種に用いられた。
【0081】
(実施例3)
EE−1エリートイベントの分子的特性
トランスジェニックEE−1エリートイベントナスは、cry1Ac遺伝子発現カセットのフランキングナスゲノムDNA配列を同定するために、Cottageらの方法(2001)を使用して分析された。植物体のゲノムDNAは、EE−1エリートイベントを有する植物体のフレッシュな幼葉から、当該技術分野において公知の方法により抽出された。
ゲノムDNA(2μg)は、標準バッファを使用し、反応体積20μl中でXmnI酵素により切断された。切断反応は37℃で一晩インキュベートされた。切断産物は酵素の不活性化のために65℃でインキュベートされ、3Mの酢酸ナトリウムおよびエタノールで沈殿された。DNAは空気乾燥され、12μlの滅菌された蒸留水に溶解された。
切断されたDNAは、メーカーによって供給されたリガーゼ・バッファ中でアニールアダプタにライゲーションされた。当該アダプタの配列は以下のとおりである。
ADAP 1: 5’-CTA ATACGACTCACTATAGGGCGGCCGCCCGGGCAGGT- 3’(配列番号1)
ADAP 2: 5’- P-ACC TGC CC-H2N -3’ (配列番号2)
【0082】
両方のアダプタはまず、互いにアニーリングされ、その後、EE−1エリートイベントの切断されたゲノムDNAにライゲーションされた。
【0083】
ライゲーションミクスチャは、切断されたDNAのアニールアダプタへのライゲーションのために、15−16℃で一晩インキュベーションされた。ライゲーションミクスチャはアダプタライブラリを得るために100μlに希釈され、以下のプライマー組み合わせを使用して第1回目の増幅が行われた。配列番号3のフォワードプライマーは挿入された異種DNAと相補性を有する。また、配列番号4のリバースプライマーはアダプタDNA配列と相補性を有する。
MHIP-10 - 5’- TTG GGT CTT TCA GAC TGA CAA G -3’ (配列番号3)
AP - 5’- GGA TCC TAA TAC GAC TCA CTA TAG GGC-3’ (配列番号4)
【0084】
制限酵素による切断(Restriction digestion):

ゲノムDNA 12.0 μl (2 μg)
10X 反応バッファ 2.0 μl (最終濃度 1x)
XmnIenzyme 1.0 μl (10units/ μl)
蒸留水 20.0 μlとなる量
【0085】
ライゲーション:

切断されたゲノムDNA (熱不活性化) 12.0 μl (2 μg)
アニールアダプタ 2.0 μl (100 ng/μl)
10X 反応バッファ 3.0 μl (最終濃度 1x)
T4-ligase enzyme 1.0 μl (5units/ μl)
蒸留水 30.0 μlとなる量

【0086】
第1回目のPCR:

試薬 Volume
Nuclease-free water 25 μlとなる量
10X 反応バッファ (MgCl2含有) 2.5 μl
10mM dNTPs 0.5 μl
プライマー MHIP-10(100ng/μl) 1.0 μl
プライマー AP (100 ng/μl) 1.0 μl
Taq DNA polymerase (5 units/μl) 0.5 μl
DNAテンプレート 3.0 μl
【0087】
サーマルサイクラープログラム:

Temperature Time Cycles
95℃ 5 分 1
94℃ 30秒
58℃ 30秒 40
68℃ 4分
68℃ 10分 1
4℃ Hold
【0088】
第2回目のPCRは、挿入された異種遺伝子に隣接する特定のフランキング領域を得るために必要であった。PCRはフォワードプライマー(配列番号5)とリバースプライマー(配列番号6)を用いて行われた。詳細を以下に示す。
MHIP-11- 5'- CTG ACA AGA TCG ATC TGA AGT C -3' (配列番号5)
NAP - 5'- TAT AGG GCT CGA GCG GC-3’ (配列番号6)
【0089】
2回目のPCR:

試薬 Volume
Nuclease-free water 25μlとなる量
10X 反応バッファ (MgCl2含有) 2.5 μl
10mM dNTPs 0.5 μl
プライマー MHIP-11(100ng/μl) 1.0 μl
プライマー NAP (100 ng/μl) 1.0 μl
Taq DNA polymerase (5 units/μl) 0.5 μl
DNA テンプレート 2.0 μl
【0090】
サーマルサイクラープログラム:

Temperature Time Cycles
95℃ 5分 1
94℃ 30秒
58℃ 30秒 40
68℃ 4分
68℃ 10分 1
4℃ Hold
【0091】
少量のPCR産物が1%のアガロースゲル上で分析され、増幅されたフラグメントが当該技術分野で公知の方法の使用によりゲルから溶出された。309 bpのDNAフラグメント(アンプリコン)が、2回目のPCR(配列番号5のMHIP-11および配列番号6のNAPプライマーを使用)の後に、T-DNAの右側末端領域から増幅された。増幅されたフラグメント(アンプリコン)は、組み換えベクターを得るために、pGEM-T Easy vectorにクローニングされた。当該技術分野で公知の方法を用いて、当該ベクターによりE.coli株が形質転換された。当該株は、DH5α、Top 10などとすることができる。配列を分析するために選択された組換えベクターを含むクローンは、EE−1−XmnI−4として設計された。クローンEE−1−XmnI−4由来のプラスミドDNAは、当該技術分野において公知の標準的な方法により単離された。クローンフラグメント(アンプリコン)は、T7プライマーを用いて配列が決定された。得られたポリヌクレオチド配列を配列番号7に示す。当該配列は、Gm7Sターミネータの一部および右側末端からなるT−DNAベクター配列と、アダプタ配列と、EE−1T−DNAフランキングナスゲノムDNA配列とを含む。
【0092】
配列番号7は、フランキングEE−1エリートイベント(148−278塩基対)に隣接する右側末端配列(97−142塩基対)が続く、プライマーMHIP−11(1−22塩基対)から開始するT−DNA配列の一部からなる。フランキングゲノム配列には、アダプタ配列が続く(279−309塩基対)。
【0093】
配列番号7

CTGACAAGATCGATCTGAAGTCTAAACAATTCTAAGAGGTATCATGTAGCAGTGTCCTGCCACAATATTGAATTGACCTGCAGGCATGCAAGCTGGGATCAGATAGTCGTTTCCCGCCTTCAGTTTAAACTATCAGTGTTTGTTACCAAAAGTGCTGTCAATAAACACTTAGAAAGGTGTTATCCAAATTTTAAAAAGAAAAAAATAAATGTAAGATTTAAATTTCTAACTTCAAGAGATGCATTCAATTATCACCGCATTATATGATATTCCAAGAATACCTGCCCGGGCGGCCGCTCGAGCCCTATA
【0094】
配列番号8は、EE−1エリートイベントのフランキングナスゲノムDNA配列(47−182)が続く右側末端配列(1−46)からなる。完全なポリヌクレオチド配列は、配列番号8において示される。
【0095】
配列番号8

GATCAGATAGTCGTTTCCCGCCTTCAGTTTAAACTATCAGTGTTTGTTACCAAAAGTGCTGTCAATAAACACTTAGAAAGGTGTTATCCAAATTTTAAAAAGAAAAAAATAAATGTAAGATTTAAATTTCTAACTTCAAGAGATGCATTCAATTATCACCGCATTATATGATATTCCAAGAA
【0096】
配列番号9は、EE−1エリートイベントのフランキングナスゲノムDNA配列(41−125)が続く右側末端配列(1−41)からなる。完全なポリヌクレオチド配列は、配列番号8において示される。
【0097】
配列番号9

GATCAGATAGTCGTTTCCCGCCTTCAGTTTAAACTATCAGTGTTTGTTACCAAAAGTGCTGTCAATAAACACTTAGAAAGGTGTTATCCAAATTTTAAAAAGAAAAAAATAAATGTAAGATTTAA
【0098】
配列番号10は、EE−1エリートイベントのフランキングナスゲノムDNA配列(16−75)が続く右側末端配列(1−15)からなる。完全なポリヌクレオチド配列は、配列番号10において示される。
【0099】
配列番号10

GTTTAAACTATCAGTGTTTGTTACCAAAAGTGCTGTCAATAAACACTTAGAAAGGTGTTATCCAAATTTTAAAAA
【0100】
(実施例4)
EE−1エリートイベント同定の診断方法
【0101】
PCR方法
ナスEE−1エリートイベントが存在するか否か決定するために、分子的診断方法が開発された。配列番号8に示すフラグメントの配列分析が行われ、診断ツールとして使用するために、トランスジェニック挿入部位を増幅するためのプライマーが設計された。設計された二つのプライマーは、EE−1ゲノムDNA由来のトランスジェニック挿入部位を増幅するためのフォワードプライマー MHTBJ−2(配列番号11)および第2のプライマーMHIP−2(配列番号12)である。

MHTBJ-2: 5’- TGC GGT GAT AAT TGA ATG CAT C -3’ (配列番号11)
MHIP-2: 5’- GGA GCT TCT CTT GAT GGA GG -3’ (配列番号12)
【0102】
これらのプライマー対は、限定されるものではないが、配列番号11と配列番号12を含む。3’領域の増幅のために、EE−1エリートイベントのDNAアンプリコン診断を生成するDNA増幅反応において使用される配列番号8由来の任意のプライマー対は、本発明の1つの態様である。ポリヌクレオチドは、Cry1Ac遺伝子から右側末端(配列番号16で提供される1から4091のヌクレオチド位置)の配列を決定する。GM7Sターミネ−タが隣接し、ナスゲノムDNAとアダプタ配列がさらに続く右側末端が続くcry1Ac遺伝子からなる、完全なポリヌクレオチド配列は、配列番号16において提供される。
【0103】
しかしながら、EE−1のアンプリコンDNA分子診断を生成するためのDNA分子またはその相補的な分子を使用するこれらの方法の修正は、当該分野の通常の技術の範囲内にある。例えば、プライマー1(配列番号13)と組み合わせて使用された場合の配列番号11のプライマーは、1012塩基対のアンプリコンを生成する。また、プライマー2(配列番号14)と組み合わせれば、EE−1エリートイベントから1211塩基対を増幅する。プライマー1およびプライマー2の配列は以下のとおりである。
Primer 1:- 5’- CGAGCTTAAGTTCTCCAACTGC-3’ (配列番号13)
Primer 2:- 5’- GGAATGTGAAAGGTCATGTGG- 3’ (配列番号14)
【0104】
分析については、ポジティブコントロールとネガティブコントロールを有することが重要である。PCR方法は、EE−1エリートイベントと、他のナストランスジェニックイベントおよび非トランスジェニック系統とを区別するために設計された。ナスEE−1エリートイベント由来のゲノムDNAは、当該技術分野において公知の方法により葉から単離された。ゲノムDNAはまた、PCR検出方法のためのコントロールとして、他のナストランスジェニックイベントおよび非トランスジェニックナス系統から単離された。反応ミクスチャ中にDNAを含んでいないコントロール反応もまた、含まれていた。
【0105】
異なる植物体由来のゲノムDNAが、配列番号11および配列番号12の2つのプライマーを使用する増幅に供された。詳細を以下に示す。
【0106】
試薬 添加量
Nuclease-free water 25 μlとなる量
10X 反応バッファ (MgCl2含有) 2.5 μl
10mM dNTPs 0.5 μl
プライマー MHIP-2 (100 ng/μl) 1.0 μl
プライマー MHTBJ-2 (100 ng/μl) 1.0 μl
Taq DNA polymerase (5 units/μl) 0.5 μl
DNA テンプレート 2.0 μl
【0107】
Temperature Time Cycles
95℃ 5分 1
94℃ 30秒
58℃ 30秒 35
72℃ 1分
72℃ 5分 1
4℃ Hold ---
【0108】
増幅産物は、アガロースゲル電気泳動で分析された。 得られた結果は、図2の中で示される。 レーン1はHind IIIマーカーで切断されたファージ・ラムダDNAを含んでいる。 レーン2のサンプルは、EE-1のエリートイベント由来のDNAを含んでいる。その一方でレーン3および4のサンプルは、EE-1のエリートイベントを含んでいない他のトランスジェニックナス由来のDNAを含んでいる。レーン5は非トランスジェニックナスであるコントロールを表し、また、レーン6はDNAを含んでいないコントロール試料である。 図から、他のトランスジェニックイベントおよび非トランスジェニックであるナスからではなく、ナスEE-1エリートイベントから580bpのフラングメントが増幅されることが明らかである。
【0109】
(実施例5)
ナスEE-1エリートイベントの接合アッセイ
挿入部分の周辺のゲノム領域が特定された。挿入部分の一方の端部はその配列が分析され、当該配列は配列番号8に記載される。T−DNAの他方のフランキング側部由来のナスゲノムDNA配列が分析され、配列番号15に示されるようなヌクレオチド配列を有するプライマーが設計された。配列番号11および配列番号12のヌクレオチド配列を有するプライマーと組み合わせて使用されたとき、当該プライマーにより、対立遺伝子特異的なトランス遺伝子の増幅により、EE−1エリートイベントを含むトランスジェニックナス植物体から580塩基対のフラグメントが得られた。また、配列番号11および配列番号15からの非トランスジェニック対立遺伝子バンドの増幅により、非トランスジェニックナス植物体から330塩基対のフラグメントが得られた。
MHTBJ-6: 5’-CCA TCT ACT AAC GGT GAT GGT -3’ (配列番号15)
【0110】
EE-1エリートイベントを含むホモ接合およびヘテロ接合のトランスジェニックナス植物体を同定するために、配列番号11、12、および15で示されるようなヌクレオチド配列を有する3つのプライマーを用いてポリメラーゼ連鎖反応が行われた。
【0111】
EE−1エリートイベントを含むトランスジェニックナス由来ゲノムDNA、および非トランスジェニックナス植物体由来ゲノムDNAは、当該技術分野で公知の方法を用いて単離された。当該DNAがDNA PCR分析テンプレートとして用いられた。EE−1エリートイベントの接合性PCRを行うためのPCR条件を以下に示す。
【0112】
試薬 添加量
Nuclease-free water 25 μlとなる量
10X 反応バッファ (MgCl2含有) 2.5 μl
10mM dNTPs 0.5 μl
プライマー MHTBJ-6 (100 ng/μl) 1.0 μl
プライマー MHIP-2 (100 ng/μl) 1.0 μl
プライマー MHTBJ-2 (100 ng/μl) 1.0 μl
Taq DNA polymerase (5 units/μl) 0.5 μl
DNA テンプレート 2.0 μl
【0113】
サーマルサイクラープログラム:
Temperature Time Cycles
95℃ 5分 1
94℃ 40秒
58℃ 40秒 35
72℃ 1:40分
72℃ 5分 1
4℃ Hold ---
【0114】
ポリメラーゼ連鎖反応は、EE-1エリートイベントを有するホモ接合型のナス植物体由来の580塩基対のフラグメントを増幅し、EE-1エリートイベントを有するヘテロ接合型のナス植物体から大きさが580塩基対と330塩基対である2つのフラグメントが得られた。また、非トランスジェニックナス植物体から大きさが330塩基対のフラグメントが得られた。
【0115】
配列番号16

ATGGACAACAACCCAAACATCAACGAATGCATTCCATACAACTGCTTGAGTAACCCAGAAGTTGAAGTACTTGGTGGAGAACGCATTGAAACCGGTTACACTCCCATCGACATCTCCTTGTCCTTGACACAGTTTCTGCTCAGCGAGTTCGTGCCAGGTGCTGGGTTCGTTCTCGGACTAGTTGACATCATCTGGGGTATCTTTGGTCCATCTCAATGGGATGCATTCCTGGTGCAAATTGAGCAGTTGATCAACCAGAGGATCGAAGAGTTCGCCAGGAACCAGGCCATCTCTAGGTTGGAAGGATTGAGCAATCTCTACCAAATCTATGCAGAGAGCTTCAGAGAGTGGGAAGCCGATCCTACTAACCCAGCTCTCCGCGAGGAAATGCGTATTCAATTCAACGACATGAACAGCGCCTTGACCACAGCTATCCCATTGTTCGCAGTCCAGAACTACCAAGTTCCTCTCTTGTCCGTGTACGTTCAAGCAGCTAATCTTCACCTCAGCGTGCTTCGAGACGTTAGCGTGTTTGGGCAAAGGTGGGGATTCGATGCTGCAACCATCAATAGCCGTTACAACGACCTTACTAGGCTGATTGGAAACTACACCGACCACGCTGTTCGTTGGTACAACACTGGCTTGGAGCGTGTCTGGGGTCCTGATTCTAGAGATTGGATTAGATACAACCAGTTCAGGAGAGAATTGACCCTCACAGTTTTGGACATTGTGTCTCTCTTCCCGAACTATGACTCCAGAACCTACCCTATCCGTACAGTGTCCCAACTTACCAGAGAAATCTATACTAACCCAGTTCTTGAGAACTTCGACGGTAGCTTCCGTGGTTCTGCCCAAGGTATCGAAGGCTCCATCAGGAGCCCACACTTGATGGACATCTTGAACAGCATAACTATCTACACCGATGCTCACAGAGGAGAGTATTACTGGTCTGGACACCAGATCATGGCCTCTCCAGTTGGATTCAGCGGGCCCGAGTTTACCTTTCCTCTCTATGGAACTATGGGAAACGCCGCTCCACAACAACGTATCGTTGCTCAACTAGGTCAGGGTGTCTACAGAACCTTGTCTTCCACCTTGTACAGAAGACCCTTCAATATCGGTATCAACAACCAGCAACTTTCCGTTCTTGACGGAACAGAGTTCGCCTATGGAACCTCTTCTAACTTGCCATCCGCTGTTTACAGAAAGAGCGGAACCGTTGATTCCTTGGACGAAATCCCACCACAGAACAACAATGTGCCACCCAGGCAAGGATTCTCCCACAGGTTGAGCCACGTGTCCATGTTCCGTTCCGGATTCAGCAACAGTTCCGTGAGCATCATCAGAGCTCCTATGTTCTCTTGGATACACCGTAGTGCTGAGTTCAACAACATCATCGCATCCGATAGTATTACTCAAATCCCTGCAGTGAAGGGAAACTTTCTCTTCAACGGTTCTGTCATTTCAGGACCAGGATTCACTGGTGGAGACCTCGTTAGACTCAACAGCAGTGGAAATAACATTCAGAATAGAGGGTATATTGAAGTTCCAATTCACTTCCCATCCACATCTACCAGATATAGAGTTCGTGTGAGGTATGCTTCTGTGACCCCTATTCACCTCAACGTTAATTGGGGTAATTCATCCATCTTCTCCAATACAGTTCCAGCTACAGCTACCTCCTTGGATAATCTCCAATCCAGCGATTTCGGTTACTTTGAAAGTGCCAATGCTTTTACATCTTCACTCGGTAACATCGTGGGTGTTAGAAACTTTAGTGGGACTGCAGGAGTGATTATCGACAGATTCGAGTTCATTCCAGTTACTGCAACACTCGAGGCTGAGTACAACCTTGAGAGAGCCCAGAAGGCTGTGAACGCCCTCTTTACCTCCACCAATCAGCTTGGCTTGAAAACTAACGTTACTGACTATCACATTGACCAAGTGTCCAACTTGGTCACCTACCTTAGCGATGAGTTCTGCCTCGACGAGAAGCGTGAACTCTCCGAGAAAGTTAAACACGCCAAGCGTCTCAGCGACGAGAGGAATCTCTTGCAAGACTCCAACTTCAAAGACATCAACAGGCAGCCAGAACGTGGTTGGGGTGGAAGCACCGGGATCACCATCCAAGGAGGCGACGATGTGTTCAAGGAGAACTACGTCACCCTCTCCGGAACTTTCGACGAGTGCTACCCTACCTACTTGTACCAGAAGATCGATGAGTCCAAACTCAAAGCCTTCACCAGGTATCAACTTAGAGGCTACATCGAAGACAGCCAAGACCTTGAAATCTACTCGATCAGGTACAATGCCAAGCACGAGACCGTGAATGTCCCAGGTACTGGTTCCCTCTGGCCACTTTCTGCCCAATCTCCCATTGGGAAGTGTGGAGAGCCTAACAGATGCGCTCCACACCTTGAGTGGAATCCTGACTTGGACTGCTCCTGCAGGGATGGCGAGAAGTGTGCCCACCATTCTCATCACTTCTCCTTGGACATCGATGTGGGATGTACTGACCTGAATGAGGACCTCGGAGTCTGGGTCATCTTCAAGATCAAGACCCAAGACGGACACGCAAGACTTGGCAACCTTGAGTTTCTCGAAGAGAAACCATTGGTCCGGTGAAGCTCTCGCTCGTGTGAAGAGAGCAGAGAAGAAGTGGAGGGACAAACGTGAGAAACTCGAATGGGAAACTAACATCGTTTACAAGGAGGCCAAAGAGTCCGTGGATGCTTTGTTCGTGAACTCCCAATATGATCAGTTGCAAGCCGACACCAACATCGCCATGATCCACGCCGCAGACAAACGTGTGCACAGCATTCGTGAGGCTTACTTGCCTGAGTTGTCCGTGATCCCTGGTGTGAACGCTGCCATCTTCGAGGAACTTGAGGGACGTATCTTTACCGCATTCTCCTTGTACGATGCCAGAAACGTCATCAAGAACGGTGACTTCAACAATGGCCTCAGCTGCTGGAATGTGAAAGGTCATGTGGACGTGGAGGAACAGAACAATCAGCGTTCCGTCCTGGTTGTGCCTGAGTGGGAAGCTGAAGTGTCCCAAGAGGTTAGAGTCTGTCCAGGTAGAGGCTACATTCTCCGTGTGACCGCTTACAAGGAGGGATACGGTGAGGGTTGCGTGACCATCCACGAGATCGAGAACAACACCGACGAGCTTAAGTTCTCCAACTGCGTCGAGGAAGAAATCTATCCCAACAACACCGTTACTTGCAACGACTACACTGTGAATCAGGAAGAGTACGGAGGTGCCTACACTAGCCGTAACAGAGGTTACAACGAAGCTCCTTCCGTTCCTGCTGACTATGCCTCCGTGTACGAGGAGAAATCCTACACAGATGGCAGACGTGAGAACCCTTGCGAGTTCAACAGAGGTTACAGGGACTACACACCACTTCCAGTTGGCTATGTTACCAAGGAGCTTGAGTACTTTCCTGAGACCGACAAAGTGTGGATCGAGATCGGTGAAACCGAGGGAACCTTCATCGTGGACAGCGTGGAGCTTCTCTTGATGGAGGAAagatctagaggcctgaattcgagctcggtacccggggatcccgtcctttgtcttcaattttgagggctttttactgaataagtatgtagtactaaaatgtatgctgtaatagctcatagtgagcgaggaaagtatcgggctatttaactatgacttgagctccatctatgaataaataaatcagcatatgatgcttttgttttgtgtacttcaactgtctgcttagctaatttgatatggttggcacttggcacgtataaatatgctgaagtaatttactctgaagctaaataactagattagatgagtgtattatatacaaaaggcattaaatcagatacatcttagacaaattgtcacggtctaccagaaaagaaattgcatttgtttttgggtctttcagactgacaagatcgatctgaagtctaaacaattctaagaggtatcatgtagcaatgtcctgccacaatATTGAATTGACCTGCAGGCATGCAAGCTGGGATCAGATAGTCGTTTCCCGCCTTCAGTTTAAACTATCAGTGTTTGTTACCAAAAGTGCTGTCAATAAACACTTAGAAAGGTGTTATCCAAATTTTAAAAAGAAAAAAATAAATGTAAGATTTAAATTTCTAACTTCAAGAGATGCATTCAATTATCACCGCATTATATGATATTCCAAGAATACCTGCCCGGGCGGCCGCTCGAGCCCTATA
【0116】
引用文献

1. Cottage, A., Yang, A., Maunders, H., de Lacy, R.C. and Ramsay, N.A. (2001) Identification of DNA sequences flanking T-DNA insertions by PCR-walking. Plant Molecular Biology Reporter 19:321-327.
2. Fari, M., Nagy, I., Csanyi, M., Mityko, J. and Andrasfalvy A. (1995) Agrobacteriummediated genetic transformation and plant regeneration via organogenesis and somatic embryogenesis from cotyledon leaves in eggplant (Solanum melongena L. cv. 'Kecskemeti lila’). Plant Cell Reports 15: 82-86.
3. Kumar, A. P., Mandaokar, A., Sreenivasu, K., Chakrabarti, S. K., Bisaria, S. and Sharma, R. P. (1998) Insect-resistant transgenic brinjal plants. Molecular Breeding 4:33-37.
4. Nicola, L.P., Valeria, B. and Leonardo, R. G. (1998) Regeneration of transgenic eggplants (Solanum melongena L.) for a cysteine proteinaseinhibitor. Capsicum and Eggplant Newsletter, 17:92-95.
5. Rotino, G. L. and Gleddie, S. (1990) Transformation of Eggplant (Solanum melongena L.) using a binary Agrobacterium tumefaciens vector. Plant Cell Reports, 9:26-29.
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】図1はコンストラクトpMON10518のマップを示す。
【図2】図2はイベント特有のプライマーを用いたナス植物体からの増幅産物のゲルの画像を示す。レーン1:lambda/HindIII markerフェーズ。レーン2:EE−1エリートイベントを含む植物体由来のDNAであって、580bpの増幅されたフラグメントを示す。レーン3および4:EE−1イベントを含まないトランスジェニックナス植物体由来のDNA。レーン5:非トランスジェニックナス植物体由来のDNAテンプレート。レーン6:DNAを含まない(水)−ネガティブコントロール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中のナス植物EE-1エリートイベント核酸配列の存在の検出方法であって、
(a)配列番号8の配列のヌクレオチド位置22からヌクレオチド位置71の少なくとも50の連続したヌクレオチドを備えるポリヌクレオチドプローブを試料と接触させることと、
(b)試料および前記ポリヌクレオチドプローブをストリンジェントハイブリダイゼーション条件下におくことと、
(c) 前記試料中における核酸への前記ポリヌクレオチドプローブの結合を検出することと、を備えることを特徴とする検出方法。
【請求項2】
試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出方法であって、
a)配列番号11の第1のヌクレオチド配列、および
配列番号12、または配列番号13、または配列番号14からなる群から選択される第2のヌクレオチド配列と試料とを接触させることと、
b)核酸増幅反応を行い、それによって増幅されたフラグメントを生成することと、
c)前記増幅されたフラグメントを検出することとを備え、
前記増幅されたフラグメントは約580ベースペア、または約1012ベースペア、または約1211ベースペアであることを特徴とする検出方法。
【請求項3】
ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号8の配列またはその相補的配列を備えることを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項4】
ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号9の配列またはその相補的配列を備えることを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項5】
ナス植物EE−1エリートイベントの検出に使用可能である単離されたポリヌクレオチドであって、前記ポリヌクレオチドが配列番号10の配列またはその相補的配列を備えることを特徴とするポリヌクレオチド。
【請求項6】
ハイブリダイゼーション法を使用する、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出キットであって、
前記キットは、
配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるポリヌクレオチド配列と、
バッファとを備えることを特徴とする検出キット。
【請求項7】
ハイブリダイゼーション法を使用する、試料中のナス植物EE−1エリートイベント核酸配列の存在の検出キットであって、
前記キットは、
配列番号11の配列を有する第1のヌクレオチドと、
配列番号12、または配列番号13、または配列番号14からなる群から選択される第2のヌクレオチド配列を備えることを特徴とする検出キット。
【請求項8】
ナス植物EE−1エリートイベントの存在の検出のための合成オリゴヌクレオチドであって、前記オリゴヌクレオチドの配列は、配列番号11、配列番号12、配列番号13、配列番号14、および配列番号15からなる群から選択されることを特徴とする合成オリゴヌクレオチド。
【請求項9】
ナス植物EE−1エリートイベントを有するトランスジェニック植物体または種子であって、
前記EE-1エリートイベントのゲノムが配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備えることを特徴とするトランスジェニック植物体または種子。
【請求項10】
ナス植物EE−1エリートイベントを有するトランスジェニック植物細胞であって、前記EE−1エリートイベントのゲノムが配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備えることを特徴とするトランスジェニック植物細胞。
【請求項11】
ナス植物EE−1エリートイベントを有する子孫(progeny)であって、前記EE−1エリートイベントのゲノムが配列番号8、または配列番号9、または配列番号10、またはそれらの相補的配列であるヌクレオチド配列を備えることを特徴とする子孫。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2009−525748(P2009−525748A)
【公表日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553890(P2008−553890)
【出願日】平成19年2月9日(2007.2.9)
【国際出願番号】PCT/IN2007/000050
【国際公開番号】WO2007/091277
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(508241255)マハラシュートラ ハイブリッド シーズ カンパニー リミテッド(MAHYCO) (1)
【Fターム(参考)】