説明

Fe、Ni含有原料の製造方法、及び該Fe、Ni含有原料を用いたフェロニッケル塊状体及びその製造方法

【課題】本発明は、Fe、Ni含有廃酸のリサイクル方法に関し、その目的は、Fe、Ni、SOが含有された廃液から、Sの含量が低いFe、Ni含有原料、及び該Fe、Ni含有原料を用いたフェロニッケル塊状体及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】本発明は、Fe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させた後、NaOHを添加して鉄とニッケルを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、水で洗浄した後、洗浄されたNi、Fe含有スラッジを濾過乾燥してNi、Fe含有原料を製造する方法、及び該Fe、Ni含有原料を用いたフェロニッケル塊状体及びその製造方法をその要旨とする。
本発明は、硫酸廃水から、ステンレス原料であるFe、Ni含有ペレットと高純度の石膏とを同時に得ることができ、廃酸資源化分野において適切に適用されることができるという効果がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Fe、Ni含有廃酸のリサイクル方法に関し、より詳しくは、Fe、Ni、SOが含有された廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法、該Fe、Ni含有原料を用いたフェロニッケル塊状体及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
Fe、Ni、SOが含有された廃酸は、ダイヤモンド製造工程等において、金属成分(ニッケル、鉄)を硫酸で処理する工程等で発生する。
【0003】
上記ダイヤモンド製造工程等で発生する廃液内には、通常、Niが1〜2%、Feが3〜6%、SOが30〜40%存在する。
【0004】
Feとニッケルが溶液状に存在する場合にニッケルをリサイクルする方法としては、鉄とニッケルをFeOOHとNiOに分離して回収する方法が提案されている(特許文献1)。
【0005】
以下に、上記したFe,Niスラッジリサイクル方法について説明する。
【0006】
即ち、Fe、Ni含有スラッジを、塩酸にpH3〜4になるように溶解させて鉄塩化物及びニッケル塩化物含有水溶液を製造し、上記塩化物含有水溶液に空気または過酸化水素水を吹き込んで酸化させることで、FeClをFeClに酸化させる。
【0007】
次に、上記のように生成したFeClを、pH3〜5で水と反応させてオレンジ色の水酸化鉄(FeOOH)核を形成した後、酸化雰囲気下で溶液中のFeモル数の最大2倍のモル数に、また、pH3〜5に維持されるようにアルカリを添加しながら水酸化鉄スラッジを形成する。
【0008】
次に、上記のように形成された水酸化鉄スラッジを濾過して水酸化鉄スラッジとニッケル塩化物含有濾液を分離し、水酸化鉄スラッジを水洗して水酸化鉄を得る。
【0009】
そして、濾過時に分離された濾液には、pH10以上になるようにアルカリを添加して水酸化ニッケルの沈殿物を形成し、濾過及び水洗して水酸化ニッケルを得る。
【0010】
しかし、上記のように鉄水酸化物と水酸化ニッケルに分離・回収してリサイクルする方法は、塩化物である場合のみ可能である。
【0011】
即ち、Fe、Ni塩化物水溶液状では、鉄とニッケルが比較的に容易に分離されるが、SOが多量に含有された溶液では、投入されるアルカリとして消石灰を使用する場合、Feの除去工程中にNi消失が発生し、水酸化ニッケル製造時にNiの回収率が非常に不良であるという問題点があった。
【0012】
一方、上記のように、廃液から得られたFe、Ni含有原料をステンレス製鋼用原料等として使用するためには、Fe、Ni含有スラッジを乾燥焼成する過程を経るようになり、この過程で分化が発生する。
【0013】
このため、ステンレス製鋼用原料等として使用するためには、Fe、Ni含有原料をペレット等に塊状化することが必要である。
【0014】
上記方法から得られたFe、Ni含有原料の粉末で、一般的な固化方式によるステンレス製鋼用合金塊の要求強度を具現するためには、粉末を製造した後にセメント等の粘結用添加剤を投与して混合成形しないと粉末を塊状化することができない。
【0015】
しかし、製造されるFe、Ni含有スラッジによってペレットの初期含水率及び初期養生強度が大きく変化する。
【0016】
特に、水溶液で発生するFe、Niスラッジが湿式反応により生成したものである場合、塊状化(ペレタイジング)過程で短期養生含水率が高くなり、特に、短期養生強度が低くなるという問題点があった。
【0017】
従って、このようなNi含有湿式スラッジを原料としてステンレス原料用塊状体、例えば、ペレット等を製造する場合、養生時間が長くなるという問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】大韓民国特許出願1998−56697(特許登録番号第0406367号)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の目的は、Fe、Ni、SOが含有された廃液から、Sの含量が低いFe、Ni含有原料を高回収率で製造することができる方法及び該Fe、Ni含有原料を用いたフェロニッケル塊状体及びその製造方法を提供することにある。
【0020】
本発明の他の目的は、Fe及びNiスラッジを使用して製造されるフェロニッケル塊状体であって、高い短期養生強度、低い含水率及び高いNi含量を有するフェロニッケル塊状体及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
以下、本発明について説明する。
【0022】
本発明は、Fe、Ni、SO含有廃液を用意するステップと、上記廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させるステップと、上記のようにSOを除去させた液に、NaOHを添加して鉄とニッケルを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させるステップと、上記沈殿物を水で洗浄するステップと、上記のように洗浄されたNi、Fe含有スラッジを濾過乾燥してNi、Fe含有原料を製造するステップと、を含むFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法に関するものである。
【0023】
また、本発明は、[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下であるFe、Ni、SO含有廃液を用意するステップと、上記廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを除去させるステップと、上記のようにSOを除去させた液に、NaOHを添加して鉄とニッケルを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させるステップと、上記沈殿物を水で洗浄するステップと、上記のように洗浄されたNi、Fe含有スラッジを濾過乾燥してNi、Fe含有原料を製造するステップと、を含むFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法に関するものである。
【0024】
また、本発明は、Fe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダーを含むフェロニッケル塊状体に関するものである。
【0025】
上記フェロニッケル塊状体には、還元剤をさらに含むことが好ましい。
【0026】
上記バインダーがセメントである場合は、スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールを塊状体に含むことが好ましい。
【0027】
上記フェロニッケル塊状体は、4重量%以上のNiを含むことが好ましく、Ni含量が8重量%以上であることがより好ましい。
【0028】
また、本発明は、湿式反応から得られたFe、Ni含有スラッジを使用してフェロニッケル塊状体を製造する方法であって、Fe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダーを配合して配合原料を製造するステップと、上記配合原料に水を添加しながら配合原料を塊状化してフェロニッケル塊状体を製造するステップと、を含むフェロニッケル塊状体の製造方法に関するものである。
【0029】
上記配合原料には、還元剤をさらに含むことが好ましい。
【0030】
上記バインダーがセメントである場合は、スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールを配合原料に含むことが好ましい。
【0031】
上記のように製造されたフェロニッケル塊状体は、4重量%以上のNiを含むことが好ましく、Ni含量が8重量%以上であることがより好ましい。
【0032】
また、本発明は、[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下であるFe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び、該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダーを含むフェロニッケル塊状体に関するものである。
【0033】
上記フェロニッケル塊状体には、還元剤をさらに含むことが好ましい。
【0034】
上記バインダーがセメントである場合は、スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールを塊状体に含むことが好ましい。
【0035】
上記フェロニッケル塊状体は、4重量%以上のNiを含むことが好ましく、Ni含量が8重量%以上であることがより好ましい。
【0036】
また、本発明は、湿式反応から得られたFe、Ni含有スラッジを使用してフェロニッケル塊状体を製造する方法であって、[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下であるFe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、この沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダーを配合して配合原料を製造するステップと、上記配合原料に水を添加しながら配合原料を塊状化してフェロニッケル塊状体を製造するステップと、を含むフェロニッケル塊状体の製造方法に関するものである。
【0037】
上記フェロニッケル塊状体には、還元剤をさらに含むことが好ましい。
【0038】
上記バインダーがセメントである場合は、スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールを配合原料に含むことが好ましい。
【0039】
上記のように製造されたフェロニッケル塊状体は、4重量%以上のNiを含むことが好ましく、Ni含量が8重量%以上であることがより好ましい。
【発明の効果】
【0040】
上述したように、本発明によると、硫酸廃水から、ステンレス原料であるFe、Ni含有ペレットと高純度の石膏とを同時に得ることができ、廃酸資源化分野において適切に適用されるという効果が得られる。
【0041】
また、本発明によると、Fe及びNiスラッジを活用してフェロニッケル塊状体を得る成形過程において目標とした短期養生強度(5日以内の養生強度)、含水率(5日以内の養生後のペレット含水率)のみならず、製品のNi濃度等の目標の純度を全て満たすFeNi塊状体を効果的に製造することができ、高生産性でフェロニッケル塊状体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0043】
本発明によると、Fe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造するためには、Fe、Ni、SO含有廃液を用意することが必要である。
【0044】
次に、上記廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させる。
【0045】
また、本発明では、廃液の[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下である場合は、廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを除去させる。
【0046】
上記廃液の[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1を超過する場合は、還元剤を投入してその値が1以下になるようにすることができる。
【0047】
上記SO中和剤としては、消石灰[Ca(OH)]、NaOH及びKOH等を使用することができる。
【0048】
以下に、上記SO中和剤として消石灰を使用する場合について詳細に説明する。
【0049】
廃酸内のSOは、通常、HSO、FeSO、Fe(SO、NiSO等として存在する。
【0050】
SO含有溶液に、SO中和剤として消石灰を添加すると、SOは石膏形態のCaSOで沈殿されるため、これを濾過することでSOを除去することができる。
【0051】
しかし、消石灰をSO中和剤として添加してSOを除去する場合は、Fe,Niが水酸化物の形態で沈殿されるため、これらの成分を沈殿した石膏と分離することが殆ど不可能である。
【0052】
ここで、本発明者は、溶液内のpHまたはpH及び酸化度、即ち、[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の比を適切に調節することで廃酸内のSO成分とFe,Ni成分を効果的に分離することができるということを長期間の研究及び実験から明らかにし、これに基づき本発明を完成するに至った。
【0053】
先ず、pH効果について説明する。
【0054】
硫酸と鉄、ニッケル含有溶液(pH<0)に消石灰を加えると、SO沈殿が発生する。
【0055】
pHが0.5以上になると硫酸として存在するSOは、殆ど石膏として沈殿する。
【0056】
しかし、pHを高めすぎると、金属(鉄、ニッケル)イオンと石膏の同時沈殿が行われるため、好ましくない。
【0057】
従って、本発明では、廃液のpHを0.5〜2.5と制限することが好ましい。
【0058】
即ち、溶液のpHが2.5以下になるまで消石灰を投与すると、石膏のみが沈殿し、Fe(+2)イオンとNiイオンのみならず、Fe(+3)イオンも沈殿されずイオン状に存在する。
【0059】
一方、廃液の[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下である場合は、廃液のpHは0.5〜4.5と制限することが好ましい。
【0060】
廃酸内に過酸化水素水、硝酸等の酸化剤が存在すると、酸化度が高いためFe(+3)含量が増えるが、Fe(+3)含量が増えると、pH=2.5〜4.5の付近では3価鉄イオンがFeOOH,Fe(OH)の鉄スラッジとして殆ど沈殿する。
【0061】
該鉄スラッジは、非常に微細で含水率が高いため、イオンとしてNiが存在しても共沈または吸蔵になってニッケルイオンの沈殿が行われ、濾過過程でNiの損失が発生する。
【0062】
従って、ニッケルイオンの回収率を高めるためには、イオン吸蔵力の強い鉄水酸化物スラッジが生成されないようにすることである。
【0063】
即ち、本発明では、廃液の[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下である場合は、Fe(+3)含量を減らして3価鉄イオンがFeOOH、Fe(OH)の鉄スラッジとして沈殿されないようにしなければならない。
【0064】
この場合、pH=2.5〜4.5である場合も、NiイオンとFe(+2)イオンの沈殿を減らすことができる。
【0065】
従って、廃酸内では過酸化水素等の酸化剤の使用をできるだけ抑制しなければならない。
【0066】
上記のように、SO中和剤として消石灰を使用する場合は、SOが石膏として沈殿されるため、この沈殿物を濾過することでSOを除去することができ、また、石膏を得ることができる。
【0067】
好ましくは、沈殿された石膏は、濾過器で濾過する時に水がまったく無い水準まで濾過脱水されれば問題ないが、スラッジ内への水の混入が当然発生し、且つ、この水溶液内にはニッケルと鉄イオンが存在するため、このスラッジを濾過した後、水に溶かして再び濾過する水洗工程を経ると、鉄イオンとニッケルイオンをほぼ完全に回収することができる。
【0068】
この水洗水は、後続の中和工程に再投入すると、石膏の回収率を極端的に高めることができる。
【0069】
特に、水洗工程を経ると、鉄とニッケルイオンが完全に除去され、回収される石膏の品質を向上させることができる。
【0070】
次に、上記のようにSOを除去させた液にNaOHを添加して鉄とニッケルを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させる。
【0071】
即ち、SOが分離された鉄ニッケルイオン含有溶液に硫酸可溶性中和剤であるNaOHを投入すると、下記反応式(1)のような反応により硫酸は水溶性芒硝になり、鉄とニッケルイオンは水酸化物になる。
【0072】
[反応式1]
(Fe,Ni)SO+NaOH=(FeNi)(OH)+NaSO(水溶性)
【0073】
一方、上記SO中和剤としてNaOHやKOH等を使用する場合は、これらの成分がSOイオンと反応してNaSOを形成して溶液に溶解されており、鉄及びニッケルイオンは水酸化物として沈殿される。
【0074】
次に、上記沈殿物を水で洗浄する。
【0075】
好ましくは、上記沈殿物の洗浄前に沈殿物に空気または酸素を吹き込んで反応させることで、ニッケル鉄フェライトを生成させるものである。
【0076】
即ち、沈殿物に空気または酸素を吹き込んで反応させると、下記反応式(2)のようにニッケル鉄フェライトになり、黒色の沈殿物が生成する。
【0077】
[反応式2]
(FeNi)(OH)+O=(FeNi)O・Fe(フェライト)
【0078】
上記のようにニッケル鉄フェライトを生成させることが好ましい理由は、ニッケル鉄フェライトが鉄ニッケル水酸化物より濾過性に優れているためである。
【0079】
しかし、空気または酸素を吹き込んで水酸化ニッケルをフェライト化させることが良いが、完全なフェライト化には反応時間が多くかかり、酸化させる反応は省略しても構わない。
【0080】
上記のように洗浄されたNi、Fe含有スラッジを濾過乾燥することでNi、Fe含有原料、即ち、鉄ニッケル水酸化物またはニッケル鉄フェライトが製造される。
【0081】
本発明によると、上記Ni、Fe含有原料の回収率は70%以上が達成されても良く、また、上記Ni、Fe含有原料は2.0重量%以下のSを含有する。
【0082】
本発明によって製造されたNi、Fe含有原料は、2.0重量%以下のSを含有するため、特に、ステンレス溶解原料に適切に使用されても良い。
【0083】
この際、用途によって、Ni、Fe含有原料は粉砕されて粉末化されても良いことは言うまでもない。
【0084】
また、本発明では、上記のように製造されたNi、Fe含有原料[(FeNi)(OH)または(FeNi)O・Fe]を用いてステンレス溶解原料用フェロニッケル塊状体を製造するが、これについて説明すると次のようである。
【0085】
ステンレス溶解原料に使用するためには、溶解原料を炉内に投入する場合、粉塵で排出されるので、塊状化することが必要となる。
【0086】
上記のように湿式中和反応を通じて合成されたFe、Ni含有水酸化物は原料によって異なるが、Ni含量は10%以上、主に10〜20%であり、ニッケル水溶液を中和処理した水酸化ニッケルのNi含量は35〜45%程度である。
【0087】
本発明では、上記のように製造されたNi、Fe含有スラッジに、このスラッジの乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダーを配合して配合原料を製造した後、この配合原料に水分を添加しながら配合原料を塊状化してフェロニッケル塊状体を製造する。
【0088】
上記Ni、Fe含有スラッジは、Fe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させた液にNaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジまたは[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下である Fe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を廃液に投入してSOを中和させて除去させた液にNaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジである。
【0089】
上記塊状化バインダーとしては、セメントバインダーだけでなく、PVA(ポリビニールアルコール)、糖蜜及びでんぷん等を使用することができ、その配合量はスラッジの乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部が好ましいが、この理由は、バインダーの配合量が10重量部未満である場合は強度の具現が難しく、20重量部を超過する場合は、Ni濃度の低下が生じるためである。
【0090】
上記塊状化バインダーのうち、経済的にはセメントバインダーが好ましく、このセメントバインダーは3CaOSiO、2CaOSiO、3CaOAl及び4CaOAlからなるグループから選択された1種または2種以上を含む。
【0091】
上記塊状化バインダーとしてセメントバインダーを使用する場合は、セメントバインダーと共にスラッジの乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールを配合原料に包含させることが好ましい。
【0092】
湿式反応によって生成した中和スラッジは、完全に焼成乾燥して水酸化物から酸化物を作り、フェロニッケル塊状体を製造しても短期養生強度が低く、初期含水率が高い。
【0093】
このような理由は、湿式反応によって生成した中和スラッジは微細で、特に、後続の焼成過程でOH基が水に変換され、スラッジから抜け出しながらスラッジ内部に気孔を作り、比表面積が非常に高いからである。
【0094】
比表面積が高い試料を塊状化すると、水分投与量が増加して塊状化後の含水率が多くなり、短期養生強度が低下するという事実を本発明者は多くの実験から発見した。
【0095】
従って、湿式反応によって合成されたNi含有スラッジの強度を向上させるためには、粒子が比較的に大きく、セメント化反応性に優れた添加剤が求められる。
【0096】
本発明者は、このような短期強度の向上のための配合剤としてオーステナイト系ステンレス製品(所謂300系ステンレス鋼)加工工程で発生するNi含有スケールが非常に効果的であることが分かった。
【0097】
上記オーステナイト系ステンレススケールは、ステンレス熱延製品をショットブラスト処理したり、高圧水によるディスケーリング過程から得られるNi含有ステンレススケールが最も好ましい。
【0098】
上記オーステナイト系ステンレススケールの代表的なものとしては、発生工程によって異なるが、好ましくは、Ni:2〜6重量%、Cr:6〜15重量%、Fe:30〜60重量%、残りの酸素及びその他の不純物を含むオーステナイト系ステンレススケールである。
【0099】
上記オーステナイト系ステンレススケールは、2〜6重量%のNiを含有しているため、フェロニッケル塊状体のNi含量を大きく低下させずに配合量を増加させることができることから、短期間に高い養生強度の確保が可能である。
【0100】
ここで、短期養生強度とは、5日以内の養生強度を意味する。
【0101】
特に、ステンレススケールは、セメント養生反応に役に立つFe及びCr成分を有しており、微細な湿式スラッジと混合後の養生時にセメント化反応を促進することだけでなく、粒子が大きいため、塊状化途中に添加された水を排出する通路の確保が可能で、短期強度向上の配合剤として非常に効果的である。
【0102】
湿式反応によって生成したスラッジに対するステンレススケール配合比は、スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部が好ましい。
【0103】
上記ステンレススケール配合比が10重量部未満である場合は、養生短期強度の向上が十分得られず、また、100重量部以上ではステンレススケール添加による塊状体の短期養生強度の向上がそれ以上行われず、添加によるNi含量の低下をもたらし、最終の塊状体のNi含量が低くなる。
【0104】
一方、上記配合原料には還元剤をさらに包含させることが好ましく、その含量はスラッジ乾燥重量100重量部に対して20重量部以下が好ましい。
【0105】
上記還元剤は、ステンレス溶解炉内でFeNi酸化物を還元して金属FeNiに製造する役割をし、例えば、カーボン、金属アルミニウム、及びフェロシリコン等が挙げられる。
【0106】
フェロニッケル塊状体に還元剤を配合しない場合は、水素等の還元性ガスによって還元して金属FeNiに製造することができる。
【0107】
上記還元剤がスラッジ乾燥重量100重量部に対して20重量部を超過して配合される場合は、それ以上の還元率の増加が難しく、還元剤費用のみかかるため、上記還元剤の配合量はスラッジ乾燥重量100重量部に対して20重量部以下に制限することが好ましい。
【0108】
上記還元剤がフェロニッケル塊状体に配合される場合、FeNi酸化物を還元して金属FeNiに製造する還元反応は次のようである。
【0109】
[反応式3]
(FeNi)O+C=FeNi+CO
【0110】
[反応式4]
(FeNi)O+Al=FeNi+Al
【0111】
[反応式5]
(FeNi)O+FeSi=2FeNi+SiO
【0112】
本発明に従ってフェロニッケル塊状体を製造するためには、上記のように製造された配合原料に水分を添加しながら配合原料を塊状化する。
【0113】
上記塊状化方法としては、ペレタイジング法、ブリケッティング法及び押出機による塊状化方法等が挙げられる。
【0114】
上記塊状化方法が、ペレタイジング法である場合は、水分添加量を配合原料に対して10〜30重量%と、ブリケッティング法である場合は、水分添加量を配合原料に対して10〜20重量%と選定することが好ましい。
【0115】
上記のように塊状化されたフェロニッケル塊状体のうち、Ni含量は4重量%以上になるようにすることが好ましく、より好ましくは、8重量%以上になるようにすることである。
【0116】
即ち、需要者が要求する側面では、塊状体中のニッケル含量は4重量%以上が好ましく、製品的価値の側面まで考慮すると、8重量%以上が好ましい。
【0117】
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。
【実施例1】
【0118】
ダイヤモンド製造工程で発生するNi=1.5%、Fe=4.5%、SO=35%を含有した廃酸1kg(Ni=15g含有)に酸化剤として過酸化水素と還元剤としてチオ硫酸ナトリウムを夫々加え、[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]が0.1〜3になるように溶液内の酸化度を夫々調節した水溶液を製造した。
【0119】
この水溶液に5%の消石灰濃度を有するアルカリ溶液を滴加して溶液のpH=0.3〜5.0になるまでpHを変化させながらSOを中和沈殿させて石膏スラッジを生成させた。
【0120】
石膏スラッジが生成されると、これを固液分離器により濾過し、石膏スラッジが分離された濾過液に2モル濃度の水酸化ナトリウム溶液を加え、pH=10.0で鉄とニッケルを水酸化物の形態で沈殿させて鉄ニッケル水酸化物スラッジを生成させた。
【0121】
この鉄ニッケル水酸化物スラッジに10分間空気を吹き込んで鉄ニッケルフェライトが合成されるように誘導した。
【0122】
次に、鉄ニッケルフェライトが合成されたスラッジに水3リットル(但し、発明材6は水洗水6リットル)を加えて溶解されたナトリウム等の金属イオンを洗浄した後、フェライト粉末を濾過乾燥して坪量し、坪量した試料のNi,Fe,S含量をEDX(Energy Dispersive Spectroscopy)で調査した。
【0123】
上記調査結果からNi回収量を求め、反応の原料であるNi、Fe、SOが含有された廃酸内のNi量(15g)と比較して回収率を求めた。
【0124】
回収されたFe、Ni含有フェライト粉末の反応条件と、これによる成分及び回収率を要約して下記表1に示した。
【0125】
【表1】

【0126】
上記表1に示したように、比較材5のように、中和剤として消石灰のみを使用するとSOと鉄、ニッケル金属イオンの同時沈殿が生じ、回収率は99%であるが、多量の硫黄成分が混入され、Feとニッケル濃度が相対的に少なくなり、リサイクルの価値が非常に低くなる。
【0127】
一方、発明材6のように、中和剤としてNaOHを使用すると、水溶性芒硝(NaSO)が生じ、回収率、金属成分のいずれも良好であることが分かる。
【0128】
しかし、NaOHは高価で、水溶性芒硝(NaSO)が多量生成されるため、水洗水が多量に必要となる。
【0129】
従って、本発明では、SO沈殿は消石灰を、金属沈殿はNaOHを使用することがより好ましいことが分かる。
【0130】
一方、比較材1及び2のように、[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]が1より大きいと、酸化度が高いためFe(+3)含量が増えるが、廃酸中のFe(+3)含量が増えると、pH=2.5〜4.5付近で3価鉄イオンがFeOOH、Fe(OH)の鉄スラッジで殆ど沈殿する。この鉄スラッジは、非常に微細で含水率が高く、イオンとしてNiが存在しても共沈または吸蔵になり、ニッケルイオンの共沈(同時沈殿)が行われるため、濾過過程でNiの損失が発生する。
【0131】
また、比較材3のように、pHが4.5以上である場合は、ニッケルの直接沈殿が発生して、ニッケル回収率は非常に不良となる。
【0132】
また、比較材4のように、硫酸沈殿pHが低すぎると、硫酸の十分な沈殿除去が困難で、高価なNaOHの消耗量が多くなり、必要となる後続製品に硫酸含量が多少増加し、その他のマグネシウム等の不純物が鉄、ニッケル酸化物内へ多少混入するため、多量の水で水洗が必要となる。
【0133】
これに対し、発明材(1〜6)のように、[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]が1を超える場合、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を投入して[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]が1以下になるように維持し、pHを0.5〜4.5に維持するか、または溶液のpHを2.5以下に維持して鉄イオンの沈殿が起きないようにすることが重要である。
【0134】
一方、上記実施例1の表1の条件で製造された発明材(1〜6)のFe、Ni含有スラッジ及び比較材(5)の条件で製造したスラッジを乾燥した後、乾燥スラッジを粉砕し、還元剤としてコークスを添加し、セメント粘結材を使用してペレタイザーで水分を加えながら球形ペレットを製造した。
【0135】
製造されたペレットを養生した後、ステンレス電気炉シミュレータで還元処理した結果、フェロニッケル金属を得ることができ、発明材(1〜6)の場合は、ステンレス溶解原料として良好な特性を示した。
【0136】
しかし、比較材(5)の場合は、Fe、Ni含有スラッジ内の高い硫黄(S)成分によりフェロニッケルに硫黄成分が多量に含有され、別途の脱硫工程を経なければならず、また、表1から分かるように、Fe+Ni濃度自体が低いため、金属回収率が低く、スラグの発生量も高いことからステンレス原料への適用に問題があった。
【実施例2】
【0137】
発明材7と発明材8を、実施例1の発明材2と発明材4の条件でそれぞれ製造した。すなわち、消石灰を投入して沈殿された石膏を別途に濾過した後、石膏重量の4倍の水を加えて残留NiとFeイオンを洗浄した後に再び濾過した。この場合、洗浄液は発明材2及び4と同一の条件で新しく作られた石膏を濾過した濾過液と混合し、その溶液にNaOHを加えて鉄とニッケルを水酸化物、即ち、(Ni,Fe)(OH)の形態で沈殿させた。(発明材2→発明材7,発明材4→発明材8)
【0138】
この試料を濾過乾燥して坪量し、坪量した試料の成分含量をEDX(Energy Dispersive Spectroscopy)で調査してNi回収量を求め、反応の原料であるNi、Fe、SOが含有された廃酸内のNi量(15g)と比較して回収率を求め、その結果を下記表2に示した。
【0139】
【表2】

【0140】
上記表2に示したように、実施例1に比べてNiの回収率が向上したことが分かり、別途に回収された石膏もFe,Niイオンが除去されてリサイクルが可能な程度である白色の石膏固有の色を確保することができた。
【実施例3】
【0141】
上記実施例1の発明材2の条件で製造されたFeNi含有スラッジを中和、乾燥して湿式工程スラッジを用意した。
【0142】
上記のように用意されたスラッジ100gに対してステンレスショットブラスト工程及びディスケール工程から得られたNi含量0%(400系フェライト系ステンレススケール)、3.2%(300系オーステナイト系ステンレススケール;ディスケール工程から得られる)、4.5%(300系オーステナイト系ステンレススケール;ショットブラスト工程から得られる)スケールを10〜120重量部になるように混合した。
【0143】
また、上記スラッジ100gに対してセメントバインダーを10〜25重量部、還元剤としてカーボン0〜25重量部になるように配合した。
【0144】
上記のように配合された配合原料をミキサーで混合した後、ペレタイザー回転板に投入して水を加えながらペレタイジングした。
【0145】
上記のように製造されたフェロニッケルペレットを1日、3日、5日間隔で養生をし、養生期間による強度及び含水率を測定し、且つ、養生後に完全に乾燥してペレットのNi含量を分析し、その結果を下記表3に示した。
【0146】
【表3】

【0147】
上記表3に示したように、ステンレススケールが混合されない場合(試片No.1)は、短期養生強度(1〜5日以内の)が低く、フェロニッケルペレットを電気炉に投与する時に要求される最小基準(40kg/cm)に満たないことが分かり、要求の最小基準になるためには15日〜30日までの養生を必要とする。
【0148】
一方、オーステナイト系ステンレススケールを適切に配合させた場合(試片No.2〜5、7,8,10)は、短期強度に優れていることが分かる。
【0149】
しかし、Niの無いステンレス鋼、即ち、フェライト系(400系)スケールを配合する場合(試片No.4)は、添加による強度の向上はある程度発生するが、Ni含量の低下が発生することが分かる。
【0150】
ステンレススケール配合比がスラッジ100重量部に対して10重量部未満である場合(試片No.6)は、養生短期強度の向上が十分でなく、その配合比が100重量部を超える場合(試片No.7)は、ステンレススケール添加によるペレットの短期養生強度の向上がそれ以上行われず、添加によるNi含量の低下をもたらし、最終ペレットのNi含量が低いことが分かる。
【0151】
バインダーの配合量が10重量部未満である場合(試片No.9)は、強度の具現自体が難しく、配合量が20重量部を超える場合(試片No.10)は、Ni含量が低下することが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Fe、Ni、SO含有廃液を用意するステップと、
前記廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を前記廃液に投入してSOを中和させて除去させるステップと、
前記のようにSOを除去させた液に、NaOHを添加して鉄とニッケルを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させるステップと、
前記沈殿物を水で洗浄するステップと、
前記のように洗浄されたNi、Fe含有スラッジを濾過乾燥してNi、Fe含有原料を製造するステップと、を含むFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項2】
前記SO中和剤が、消石灰[Ca(OH)]、NaOH及びKOHからなるグループから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項3】
前記廃液中のSOの除去ステップが、前記SO中和剤として消石灰[Ca(OH)]を廃液に添加して石膏として沈澱させた後、濾過して除去するようになされたことを特徴とする請求項1に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項4】
前記沈殿された石膏を濾過した後、濾過された石膏を水に溶いて再び濾過して石膏を回収することを特徴とする請求項3に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項5】
前記のように石膏を再び濾過した後の濾液は、鉄ニッケル水酸化物沈殿ステップで再投入することを特徴とする請求項4に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項6】
前記沈殿物を洗浄する前に、前記沈殿物に空気または酸素を吹き込んでニッケル鉄フェライトを生成させることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項7】
Ni、Fe含有原料の回収率が70%以上であり、Ni、Fe含有原料のSの含量が2.0重量%以下であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項8】
Ni、Fe含有原料の回収率が70%以上であり、Ni、Fe含有原料のSの含量が2.0重量%以下であることを特徴とする請求項6に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項9】
[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下であるFe、Ni、SO含有廃液を用意するステップと、
前記廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を前記廃液に投入してSOを除去させるステップと、
前記のようにSOを除去させた液に、NaOHを添加して鉄とニッケルを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させるステップと、
前記沈殿物を水で洗浄するステップと、
前記のように洗浄されたNi、Fe含有スラッジを濾過乾燥してNi、Fe含有原料を製造するステップと、を含むFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項10】
前記SO中和剤が、消石灰[Ca(OH)]、NaOH及びKOHからなるグループから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項9に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項11】
前記廃液中のSOの中和除去ステップが、前記SO中和剤として消石灰[Ca(OH)]を前記廃液に添加してSOを石膏として沈澱させた後、濾過して除去するようになされたことを特徴とする請求項9に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項12】
前記沈殿された石膏を濾過した後、濾過された石膏を水に溶いて再び濾過することを特徴とする請求項10に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項13】
前記のように石膏を再び濾過した後の濾液は、鉄ニッケル水酸化物沈殿ステップで再投入することを特徴とする請求項12に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項14】
前記沈殿物を洗浄する前に、前記沈殿物に空気または酸素を吹き込んでニッケル鉄フェライトを生成させることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか1項に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項15】
Ni、Fe含有原料の回収率が70%以上であり、Ni、Fe含有原料のSの含量が2.0重量%以下であることを特徴とする請求項9から請求項13のいずれか1項に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項16】
Ni、Fe含有原料の回収率が70%以上であり、Ni、Fe含有原料のSの含量が2.0重量%以下であることを特徴とする請求項14に記載のFe、Ni含有廃液からFe、Ni含有原料を製造する方法。
【請求項17】
Fe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を前記廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダー及び20重量部以下の還元剤を含むことを特徴とするフェロニッケル塊状体。
【請求項18】
前記バインダーが、セメント、PVA(ポリビニルアルコール)、糖蜜及びでんぷんからなるグループから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項17に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項19】
前記バインダーがセメントであり、前記スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールをさらに含むことを特徴とする請求項18に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項20】
前記還元剤が、カーボン、金属アルミニウム及びフェロシリコンからなるグループから選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項17に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項21】
前記オーステナイト系ステンレススケールは、Ni:2〜6重量%、Cr:6〜15重量%、Fe:30〜60重量%、残りの酸素及びその他の不純物を含むことを特徴とする請求項19に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項22】
塊状体のNi含量が8重量%以上であることを特徴とする請求項17から請求項21のいずれか1項に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項23】
湿式反応から得られたFe、Ni含有スラッジを使用してフェロニッケル塊状体を製造する方法であって、
Fe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜2.5になるよう、SO中和剤を前記廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダー及び20重量部以下の還元剤を配合して配合原料を製造するステップと、
前記配合原料に水を添加しながら配合原料を塊状化してフェロニッケル塊状体を製造するステップと、を含むフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項24】
前記バインダーが、セメント、PVA(ポリビニルアルコール)、糖蜜及びでんぷんからなるグループから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項23に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項25】
前記バインダーがセメントであり、前記スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールをさらに含むことを特徴とする請求項24に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項26】
前記還元剤が、カーボン、金属アルミニウム及びフェロシリコンからなるグループから選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項23に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項27】
前記オーステナイト系ステンレススケールは、Ni:2〜6重量%、Cr:6〜15重量%、Fe:30〜60重量%、残りの酸素及びその他の不純物を含むことを特徴とする請求項25に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項28】
前記オーステナイト系ステンレススケールが、ショットブラストまたはディスケーリング工程で発生するものであることを特徴とする請求項27に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項29】
前記配合原料の塊状化が、ペレタイジング法、ブリケッティング法、押出機による塊状化方法のうちいずれかの方法で行われることを特徴とする請求項23から請求項28のいずれか1項に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項30】
前記フェロニッケル塊状体のNi含量が8重量%以上であることを特徴とする請求項23から請求項28のいずれか1項に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項31】
[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下であるFe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を前記廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダー及び20重量部以下の還元剤を含むことを特徴とするフェロニッケル塊状体。
【請求項32】
前記バインダーが、セメント、PVA(ポリビニルアルコール)、糖蜜及びでんぷんからなるグループから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項31に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項33】
前記バインダーがセメントであり、前記スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールをさらに含むことを特徴とする請求項32に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項34】
前記還元剤が、カーボン、金属アルミニウム及びフェロシリコンからなるグループから選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項31に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項35】
前記オーステナイト系ステンレススケールは、Ni:2〜6重量%、Cr:6〜15重量%、Fe:30〜60重量%、残りの酸素及びその他の不純物を含むことを特徴とする請求項33に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項36】
塊状体のNi含量が8重量%以上であることを特徴とする請求項31から請求項35のいずれか1項に記載のフェロニッケル塊状体。
【請求項37】
湿式反応から得られたFe、Ni含有スラッジを使用してフェロニッケル塊状体を製造する方法であって、
[Fe(+3)イオン濃度]/[Niイオン濃度+Fe(+2)イオン濃度]の値が1以下であるFe、Ni、SO含有廃液のpHが0.5〜4.5になるよう、SO中和剤を前記廃液に投入してSOを中和させて除去させた液に、NaOHを添加してFeとNiを水酸化物[(Ni,Fe)(OH)]の形態で沈殿させ、該沈殿物を水で洗浄及び乾燥して製造されたNi、Fe含有スラッジ、及び該スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜20重量部のバインダー及び20重量部以下の還元剤を配合して配合原料を製造するステップと、
前記配合原料に水を添加しながら配合原料を塊状化してフェロニッケル塊状体を製造するステップと、を含むフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項38】
前記バインダーが、セメント、PVA(ポリビニルアルコール)、糖蜜及びでんぷんからなるグループから選択された少なくとも1種であることを特徴とする請求項37に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項39】
前記バインダーがセメントであり、前記スラッジ乾燥重量100重量部に対して10〜100重量部のオーステナイト系ステンレススケールをさらに含むことを特徴とする請求項38に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項40】
前記還元剤が、カーボン、金属アルミニウム及びフェロシリコンからなるグループから選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項37に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項41】
前記オーステナイト系ステンレススケールは、Ni:2〜6重量%、Cr:6〜15重量%、Fe:30〜60重量%、残りの酸素及びその他の不純物を含むことを特徴とする請求項39に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項42】
前記オーステナイト系ステンレススケールが、ショットブラストまたはディスケーリング工程で発生するものであることを特徴とする請求項41に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項43】
前記配合原料の塊状化が、ペレタイジング法、ブリケッティング法、押出機による塊状化方法のうちいずれかの方法で行われることを特徴とする請求項37から請求項42のいずれか1項に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。
【請求項44】
前記フェロニッケル塊状体のNi含量が8重量%以上であることを特徴とする請求項37から請求項42のいずれか1項に記載のフェロニッケル塊状体の製造方法。

【公表番号】特表2010−526940(P2010−526940A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508302(P2010−508302)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際出願番号】PCT/KR2008/002701
【国際公開番号】WO2008/140265
【国際公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(592000705)リサーチ インスティチュート オブ インダストリアル サイエンス アンド テクノロジー (12)
【Fターム(参考)】