説明

GLYT−1阻害剤の合成

式Iの化合物[式中、Hetは、1、2又は3個の窒素原子を含む6員環ヘテロアリール基であり;Rは、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、NR又はハロゲンにより置換された(C−C)−アルキルであり;Rは、ヒドロキシ、ハロゲン、NO、CN、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、ハロゲンにより置換された(C−C)−アルキル、ヒドロキシにより置換された(C−C)−アルキル、(CH−(C−C)−アルコキシ、ハロゲンにより置換された(C−C)−アルコキシ、NR、C(O)R又はSOであり;Rは、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、又はハロゲンにより置換された(C−C)−アルキルであり;R及びRは各々独立して水素又は(C−C)−アルキルであり;Rは、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ又はNRであり;Rは、(C−C)−アルキル、ハロゲンにより場合によって置換された(C−C)−アルキル、(CH−(C−C)−シクロアルキル、(CH−(C−C)−アルコキシ又はNRであり;nは、0、1、2又は3であり;oは、0、1又は2である]及びその薬学的に許容される酸付加塩の製造方法であって、a)式21の化合物を式ROHの化合物と反応させて、式11の化合物を得る工程
及びb)カップリング剤の存在下、式11の化合物、又はその対応する酸ハロゲン化物と、式15の化合物とをカップリングさせて、式Iの化合物を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式I
【化1】


[式中、
Hetは、1、2又は3個の窒素原子を含む6員環ヘテロアリール基であり;
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、NR又はハロゲンにより置換された(C−C)−アルキルであり;
は、ヒドロキシ、ハロゲン、NO、CN、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、ハロゲンにより置換された(C−C)−アルキル、ヒドロキシにより置換された(C−C)−アルキル、(CH−(C−C)−アルコキシ、ハロゲンにより置換された(C−C)−アルコキシ、NR、C(O)R又はSOであり;
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、又はハロゲンにより置換された(C−C)−アルキルであり;
及びRは、各々独立して水素又は(C−C)−アルキルであり;
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ又はNRであり;
は、(C−C)−アルキル、場合によりハロゲンにより置換された(C−C)−アルキル、(CH−(C−C)−シクロアルキル、(CH−(C−C)−アルコキシ又はNRであり;
nは、0、1、2又は3であり;
oは、0、1又は2である]
の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩の拡張可能な新規合成法に関する。
【0002】
拡張可能な新規合成方法により製造される最も好適な化合物は、式(S)−I−1の化合物である。
【化2】

【0003】
式Iで定義したように、用語「ハロゲン」は、塩素、ヨウ素、フッ素、及び臭素を示す。
【0004】
用語「アルキル」は、1〜6の炭素原子を含む、分枝又は直鎖の炭素鎖を示す。
【0005】
用語「アルコキシ」は、アルキル残基が上記のとおりであって、酸素原子を介して結合する基を示す。
【0006】
用語「1、2又は3個の窒素原子を含む6員環ヘテロアリール基」は、一価の芳香族基、例えばピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、又は1,3,5−トリアジニルを示す。
【0007】
用語「ハロゲンにより置換されたアルコキシ」は、少なくとも一つの水素原子がハロゲンにより置換された上記のアルコキシ残基である。
【0008】
用語「ハロゲンにより置換されたアルキル」は、少なくとも一つの水素原子がハロゲンにより置換された上記のアルキル残基であり、例えば、CF、CHF、CHF、CHCF、CHCHF、CHCHF、CHCHCF、CHCHCHCF、CHCFCF、CHCFCHF、CFCHFCF、C(CHCF、CH(CH)CF、又はCH(CHF)CHFである。
【0009】
用語「ヒドロキシで置換されたアルキル」は、少なくとも一つの水素原子がヒドロキシ基により置換された上記のアルキル残基であり、例えば、CH(OH)CH、CHCH(OH)CH、CHCH(CH)CHOH、(CHOH、(CHOH、又はCHC[(CH)]−CHOHである。
【0010】
用語「薬学的に許容される酸付加塩」は、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタン−スルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のような、無機酸及び有機酸との塩を包含する。
【0011】
本発明は、グリシン輸送体1(GlyT−1)の優れた阻害剤であり、そしてグリシン輸送体2(GlyT−2)選択的阻害剤である、一般式Iの化合物の新規かつ充分に拡張可能な5工程の合成に関する。
【0012】
グリシン輸送体阻害剤は、神経学的及び神経精神医学的障害の治療に適切である。関係する病状の大部分は、精神病、統合失調症(Armer RE and Miller DJ, Exp. Opin. Ther. Patents, 11 (4): 563-572, 2001)、急性躁病又は鬱病のような精神障害に関連し、双極性障害や気分障害に関連し、統合失調症に関連する、重症大鬱病障害、気分障害のような精神性気分障害、(Pralong ET et al., Prog. Neurobiol., 67: 173-202, 2002)、自閉症性障害(Carlsson ML, J. Neural Trans,. 105: 525-535, 1998)、加齢性認知障害及びアルツハイマー型老年認知症を含む認知症のような認知障害、ヒトを含む哺乳類の記憶障害、注意欠陥障害及び疼痛(Armer RE and Miller DJ, Exp. Opin. Ther. Patents, 11 (4): 563-572, 2001)である。
【0013】
最も好適な式Iの化合物の適応症は、統合失調症である。
【0014】
統合失調症は、進行性及び荒廃的な神経学的疾患であり、妄想、幻覚、思考障害及び精神病のようなエピソード陽性症状、並びに感情鈍麻、注意障害、引きこもりのような持続的陰性障害、ならびに認知障害を特徴とする(Lewis DA and Lieberman JA, Neuron, , 28:325-33, 2000)。数十年間の「ドーパミン作動性機能亢進」に着目する研究は、ドーパミン作動性系の遮断を含む治療処置法に導いた(Vandenberg RJ and Aubrey KR., Exp. Opin. Ther. Targets, 5(4): 507-518, 2001; Nakazato A and Okuyama S, et al., Exp. Opin. Ther. Patents, 10(1): 75-98, 2000)。この薬理学的アプローチは、作動性の結果を予測するのには最善である陰性及び認知症についてはほとんど取り組んでいない。
【0015】
式Iの化合物は既知であり、WO2005/014563に記載されている。
【0016】
明細書中に記載される化合物は、例えば、以下の一般スキーム1に従って、調製された。
【0017】
スキーム1
一般式Iの化合物は、TBTU(2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)のような活性化試薬の存在下、式15のピペラジン誘導体と式11の対応する酸とを反応させることにより調製される。式15のピペラジン誘導体は、塩基存在下、対応するN−保護ピペラジン13とHetX12とを加熱し、続く保護基の除去により調製される。保護基は、典型的に、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である。
【0018】
より具体的には、式Iの化合物は、スキーム1に記載の12工程の合成によって、調製される。
【0019】
【化3】

【0020】
ピペラジンビルディングブロック15の合成は、式12の化合物から開始して、例えば、2,3−ジクロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン又は高価な2−Cl,3−F,5−トリフルオロメチル−ピリジンから、14へのハロゲン交換を経る。
【0021】
高価なBoc−ピペラジン13を用いる求核置換反応、そしてBocの脱保護により、収率23−30%でピペラジン誘導体15を得た。
【0022】
拡張性において、上に示す合成の主な欠点は、
a)4の調製に、クロロ硫酸を扱うこと、
b)4が不安定であること、
c)7への総収率が低いこと、
d)10をキラルHPLCで分離すること、
e)14の合成が高価であり、収率が低いこと、
f)14の精製が非常に困難であること、
g)Boc−ピペラジン13が高価であること、そして
h)ビルディングブロック15をクロマトマトグラフィーで精製すること
である。
【0023】
ここで、本発明の目的は、新規で、短工程で、そして効率的に拡張可能な式IのGlyt−1阻害剤の合成であり、特に、特定の化合物[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(S)−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−メタノンの、安価な原料、そして安価で実践的な出発原料を用いた合成である。
【0024】
この問題は、スキーム2及び3に記載の合成法を用いて、解決された:
【0025】
式Iのラセミ化合物は、スキーム2に従って、調製することができる:
【0026】
スキーム2
【化4】

【0027】
[ここで、Xは、ハロゲン(F、Cl、Br、I、メシラート、トリフラート又はトシラート)のような脱離基であり、R、R、het及びnは、上記の通りであり、そしてRは、(C−C)−アルキル又はハロゲンにより置換された(C−C)−アルキルである。]
【0028】
スキーム3
その対応するS−光学異性体は、スキーム3に従って、調製することができる。
【0029】
【化5】

【0030】
式IのGlyt−1阻害剤への、新規で、短工程で、そして効率的に拡張可能な5(2+2+1)工程の合成は、拡張不可能な既知の合成方法と置換することにより、確立された。合成は、フルオロ−メタンスルホニル−安息香酸21又は21−1より、HOR8又はトリフルオロイソプロパノール(S)−8−1を用いて、安息香酸誘導体11、rac−11又は(S)−11−1への変換から始まる。(S)−8−1は、パン酵母を用いたトリフルオロアセトン(16)の不斉還元を経て、蒸留後、収率83%で得られるか、又はRu触媒を用いた不斉還元を経て得られる。ピペラジンビルディングブロック15又は15−1は、式12又は12−1の化合物(例えば、ジクロロ−トリフルオロメチル−ピリジン(12−1))より、2工程で合成される。NMP中、12−1とCsF及びKCOの反応により、その対応するジフルオロ−トリフルオロメチルピリジン(12−2)を得て、ピペラジンとの反応の後、15又は15−1を得る。15又は15−1と、11、rac−11又は(S)−11−1に対応する酸塩化物とのカップリング反応によって、再結晶後、最終化合物I、rac−I又は(S)−I−1を総収率約74%で、得る。
【0031】
この新規な工程を、以下、詳細に記載する:
1.トリフルオロアセトン(16)の不斉還元
a)パン酵母を用いて
(S)−8−1は、酵素的ラセミ体分割により調製されるが、パン酵母を用いた16の不斉還元の開発は、製造費用を減少するため続けられた。酵母触媒による生物変換の最適化によって、(S)−8−1の光学純度を増加させることも、目的であった。Klipfel AGより購入したパン酵母を、費用と選択性の理由により、生物触媒として選択した(約60種の酵母を試験して)。約50℃で、2時間の酵母の熱前処理によって、eeを96から>99%まで、増加させた。パラメーター最適化により、基質濃度3%(w/v)及び5から6日後の生物変換収率が約83〜96%である10L規模の工程となった。酵母の熱処理間、続く上記の生物変換により生じた主な副生成物は、エタノールであった。生成物の単離工程は、蒸留及び再結晶のみに基づき、開発された。高精製(S)−トリフルオロイソプロパノール(S)−8−1(<0.1%エタノール)を、5%の水との共沸騰混合物として得た。800L規模まで工程を拡張した後、21.8kg(83%単離収率)の(S)−トリフルオロイソプロパノール(S)−8−1、(er=99.7:0.3)を得た。
【0032】
微生物還元に加えて、単離アルコール脱水素酵素(ADH)の技術的可能性についても検討した。S−及びR−鏡像異性体の両方のg量を、高光学過剰率で得ることは容易であった。必要な(S)−8−1を、er>99.5:0.5で再現的に得た。しかし、Sacharomyces cerivisiae由来の最も良いADHは、診断用酵素(Roche Penzberg)として販売されているだけで、その酵素は、高価過ぎた。
【0033】
b)触媒を用いて
化学的及び光学的に純粋な(S)−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール(S)−8−1を、塩基及び添加剤なしで、ルテニウムホスフィン錯体を用いた、1,1,1−トリフルオロアセトンの不斉水素添加によって、調製することもできる。
【0034】
2.出発物質21又は21−1の合成
【化6】

【0035】
2−フルオロ安息香酸(17)から21への連続する4工程の徹底した問題解決により、総収率を17から50%へ、改善することに成功した。主な増進は、亜硫酸ナトリウムを用いた19への反応条件、それに続くRhal(hal=I、Cl、Br)を用いたアルキル化反応、鹸化及び結晶化後、21を得ることを最適化することによって達成された。非最適化反応において、20から21−1へのワンポット法は、WO02/07238と同様にして、NaOH32%中の亜硫酸ナトリウムを用い、続いてClCHCOHで処理して21−1を61%で得ることにより示された。
【0036】
3.(S)−11−1の改良合成
【化7】

【0037】
従来の非技術的条件を改善するため、様々な条件を検討し、21−1から(S)−11−1の変換において、DMA中のKCO(3当量)及び(S)−トリフルオロ−イソプロパノール(5当量)を用いて、150℃で2時間、マイクロ波を照射し、約35%〜71%で得た。(S)−フルオロ−イソプロパノールの揮発性のため、密封管中で反応を行った。KCO(3当量、40%原料残量)をCsCO(3当量)に換えると、反応は照射なしで、150℃、3時間で完了した。より低い反応温度及びより少量のCsCOでは、より長い反応時間となった(20時間まで)。我々の焦点は、高価な(S)−トリフルオロ−イソプロパノールの量を減らすことであり、5当量から1.25当量へ(S)−8−1を減らした。DMA中、CsCO(1.9当量)及び(S)−トリフルオロ−イソプロパノール(1.4当量)、120℃(1.5bar)、72時間の反応条件により、後処理後、(S)−11−1の白色結晶を84−90%の収率で得た。150℃及び5barでの、反応時間の延長(9時間)によって、脱カルボキシル化された副生成物(S)−22(30%まで)を生じたが、基本的な抽出によって、望む(S)−11−1中間体から分離された。
【0038】
詳細には、反応は、1〜5当量のNaCO、KCO、LiCO又はCsCOのような塩基、好ましくは2〜3当量のCsCOを用いて、NMP又はDMAのような高沸点溶媒中、好ましくはDMA中で用いて、例えば60℃〜溶媒の沸点の間の温度、好ましくは100℃〜150℃の間で、1〜90時間、好ましくは24〜48時間、又は1〜5当量のNaOtBu、LiOtBu、KOtBuのような塩基、好ましくは1〜1.5当量のKOtBuを用いて、DMF又はTHFのような溶媒中、好ましくはTHF中、例えば0℃〜溶媒の沸点の間の温度、好ましくは20℃〜50℃で、1〜30時間、好ましくは3〜8時間行った。
【0039】
4.ジフルオロトリフルオロメチルピリジン(12−2)への最適化された方法
【化8】

【0040】
12−2の合成は、その対応するジクロロ化合物12−1又は非常に高価なクロロ−フルオロ化合物12−3より出発して、念入りに検討した。12−1の2位の塩素原子の反応性は、3位の塩素原子と比較して非常に高い。120℃のような高温において、KCOのような塩基との組み合わせによるDMSOの既知の安全性に関する問題に基づき、DMSOはN−メチルピロリジノン(NMP)に変更した。非均一反応は、水感受性が非常に高い。痕跡量の水は、より長い反応時間、及び/又は不完全な変換を引き起こす。より長い反応時間(120℃で17時間以上)又はより高い温度は、目的物12−2の不安定性により、いくつかの未知の副生成物を生じさせ、反応容器中に黒色タールを生じさせた。よって、非含水溶媒を用いることが必要である。この反応には、かなりの量のCsFを用いる必要があった。CsFは非常に吸湿性が高く、反応混合物を水で汚染する。よって、反応混合物から完全に水を取り除くために、NMP中のKCO及びCsFの懸濁液へジクロロ化合物12−1を加える前に、規定量のNMPを留去した。
【0041】
スケールアップの間、反応を制御し、純度の高い、溶媒非含有12−2を反応混合物より得ることは、12−3と12−2の沸点の差が小さいため、困難であった。最適化された蒸留条件下、DMSOを含有し、12−3:12−2の比率が、約0.3:99.7である物質を得ることが可能であった。
【0042】
5.ピペラジンビルディングブロック15の短工程の合成
【化9】

【0043】
[ここで、Xは、F、Cl、Br、I、メシラート、トリフラート又はトシラートのような脱離基である。]
【0044】
通常の方法では、ピペリジンビルディングブロック15は、12、KCOのような塩基(1〜3当量、好ましくは1.5当量)及び高価なBoc−ピペラジン(1〜3当量、好ましくは1.1当量)を、例えばTHF、トルエン、アセトニトリルのような溶媒中、好ましくはアセトニトリル中、例えば0℃〜溶媒の沸点の間の温度で、好ましくは40℃〜70℃で、1〜16時間、好ましくは3時間、適用することによって合成することができる。引き続き、CHCl中のトリフルオロ酢酸、室温で3時間の条件下での、Bocの脱保護、そして塩基性後処理によって、15を2工程、約88%の収率で得た。
【0045】
さらに、室温で、3時間、MeOH中のHClを用いるBoc脱保護方法を改良して、総収率93%で15・HCl結晶を得て、これを最終カップリング工程においてHCl塩として、直接使用した。高価であるため、Boc−ピペラジンを、安価なアセチルピペラジンに換えて、結晶化後、24を収率91%で得た。N−アセチル脱保護を、MeOH中のNaOH水溶液を用いて、還流下で18時間行い、99%の収率で15を得た。
【0046】
例えばTHF、トルエン、アセトニトリルのような溶媒中、好ましくはTHF中、0℃〜溶媒の沸点の範囲の温度で、好ましくは室温で、1〜16時間、好ましくは1時間、安価なピペラジンを用いる一工程の方法を、最終的に開発し、水性後処理後、定量的収率で粗生成物15を得た。
【0047】
粗生成物15を、最終工程で、直接、11、rac−11又は(S)−11−1とカップリングさせて、APII、rac−I又は(S)−Iとした。TBTU、HBTU、CDI及びEDCI(DMF、THF又はCHCl中)のような、いくつかのカップリング試薬をこのタイプのカップリングに対して試験し、すべての場合において、クロマトグラフィー精製が、式I、rac−I又は(S)−Iの最終化合物を35〜78%の収率で得るために必要であった。CHCl中のクロロギ酸エチルを用いた、混合無水物を経るカップリングにより、結晶化後、純粋なI、rac−1又は(S)−Iを75〜80%の収率で得た。
【0048】
上記の新規方法に従うと、既知の方法に対して、下記の利点が得られる:
−合成は、12工程から5工程に短縮された。
−総収率は、約7%から74%へ増加した。
−出発原料21、15及び(S)−8−1の、安価な原料及び安価で実用的な合成を確認した。
−高価な保護ピペラジン13の使用を避けた。
−化合物15を合成するために、効率的な方法を開発した。
−すべてのクロマトグラフィー精製を必要としなかった。
【0049】
下記の略語は、発明の詳細な説明及び特許請求の範囲において用いられる:
TBTU (2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート)
NMP N−メチルピロリジノン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
TFA トリフルオロ酢酸
DMA ジメチルアミン
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
CDI 1,1’−カルボニルジイミダゾール
EDCI 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド
【実施例】
【0050】
実施例1
5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−安息香酸((S)−11−1)
【化10】

【0051】
装置:12Lオートクレーブ
N,N−ジメチル−アセトアミド7.7L中の2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸700.0g(21−1、3.2mol)の無色の溶液を、炭酸セシウム1965.0g(6.0mol)及び(S)−トリフルオロ−イソプロパノール(S)−8−1 522.8g(4.5mol)で処理した。白色の反応懸濁液を120℃まで温め、アルゴン雰囲気下、72時間(1.5bar)撹拌した。
【0052】
20℃まで冷却した後、白色の懸濁液をろ過して、ろ過ケーキをN,N−ジメチル−アセトアミド500mlで洗浄し、そしてろ液を留去した。残渣に水9Lを加え、7L、合計21Lの酢酸エチルを用いて、三回抽出した。ロータリーエバポレーター中、水相を加熱して、水相より完全に残留酢酸エチルを除いた。37%HCl、600mlを加えて、水相のpHを1.5に調整して、生成物を析出させた。懸濁液を室温で1時間撹拌し、ろ過して、結晶を水5Lで洗浄し、高真空下、50℃で24時間、乾燥させて、白色結晶として、(S)−11−1を840.0g(84.0%)得た。
HPLC分析 (S)−11−1の99.6面積%
er=99.2:0.8%(HPLC)
【0053】
又は:
【0054】
装置:温度プローブ装着500mlの二股反応管、撹拌機、冷却機、及び不活性ガス供給
THF300ml中の2−フルオロ‐5−メタンスルホニル‐安息香酸65.5g(21−1、300mmol)の無色の溶液を(S)−トリフルオロ‐イソプロパノール(S)−8−1 38.0g(330mmol)で、室温で処理した。反応混合物をTHF300ml中のKOtBu71.4g(630mmmol)の溶液で、1時間以内に処理した(発熱反応)。明黄色の懸濁液を1時間以内に50℃まで温め、そしてアルゴン雰囲気下2時間、撹拌した。
【0055】
反応混合物に、50℃、15分以内で、ギ酸48gを加えた。混合物の溶媒を留去した(50℃、300−150mbar)。残渣に40mlのEtOHを加え、40℃で5分間撹拌し、46〜48℃で5分間以内に、150mlの水で処理して、5分間撹拌し、46〜48℃で20分間以内に、さらに350mlの水を加えた。溶液を1時間以内に、20℃へ冷却し、2時間撹拌した。生じた懸濁液をろ過し、結晶を、50mlの水で2回洗浄し、45℃で18時間、高真空下で乾燥して、白色結晶として、(S)−11−1を91.6g(91.5%)得た。
【0056】
実施例1b
【化11】

【0057】
装置:温度プローブ装着100mlの四つ首丸底フラスコ、撹拌機、及び不活性ガス供給
2−プロパノール 8−2 30ml中の2−フルオロ−5−メタンスルホニル‐安息香酸1.0g(21−1、4.6mmol)の白色懸濁液に、炭酸セシウム4.5g(13.6mmol)を加えた。白色反応懸濁液を80℃に昇温し、アルゴン雰囲気下、67時間、撹拌した。反応混合物の溶媒を留去し、残渣を20mlのCHCl及び10mlの水で処理した。2NHCl約14mlを加えて、水相のpHを1.5に調整した。抽出後、相を分離して、水相をCHCl10mlで2回抽出した。合わせた有機相を留去して、定量的に粗生成物を得た。酢酸エチル/ヘキサンより結晶化して、白色結晶として11−2を1.02g(87%)得た。(HPLC分析 >98面積%)
【0058】
実施例1c
【化12】

【0059】
装置:温度プローブ装着500ml四つ首丸底フラスコ、撹拌機、冷却機、及び不活性ガス供給
エタノール8−3 302ml中の、2−フルオロ−5−メタンスルホニル−安息香酸15.1g(21−1、69.2mmol)の白色の懸濁液に、炭酸セシウム68.3g(207.6mol)を加えた。白色反応懸濁液を80℃に昇温し、そしてアルゴン雰囲気下、18時間撹拌した。反応混合物の溶媒を留去し、そして残渣をEtOAc150ml及び水150mlで処理した。25%HCl約75mlを加えて、水相のpHを1.5に調整した。抽出後、相を分離し、水相をEtOAc150mlで抽出した。合わせた有機相を150mlの体積まで留去し、そしてヘプタン150mlで処理した。生じた懸濁液をろ過し、結晶をEtOAc/ヘプタン(1:1)150mlで洗浄し、そして乾燥させ、11−3(14.4g)を収率85%で白色結晶として得た。
(HPLC分析:99.7面積−%)
【0060】
実施例2
(S)−トリフルオロ−イソプロパノール((S)−1)
【化13】

【0061】
装置:
反応管底にプローブを装着した800L反応管、反応混合物に浸漬した温度プローブ、撹拌機、及び不活性ガス供給
リン酸緩衝液pH7.5 240L及びパン酵母240kg(Klipfel AG(Rheinfelden)、Sackhefe1040020、4℃保存)の褐色懸濁液を、室温で1時間撹拌し、85分以内に50℃まで加熱し、そして50.3℃(±0.5℃)で1.5時間維持した。pH調節装置を使用し、KOH(50%)を加えることによって、懸濁液のpHを7.5に維持した。懸濁液を120分以内に10℃に冷却し、リン酸緩衝液pH7.5 320Lで希釈して、10℃で24時間撹拌した。混合液に、100分以内で、トリフルオロアセトン24.7kg(16、220.4mmol、10℃以下に前冷却)を加えた。反応混合液を20℃に昇温し、室温で159時間撹拌した(pH調節装置を使用し、KOH(50%)を加えることによって、懸濁液のpHを7.5に維持した)。
【0062】
混合液に消泡剤BC86/013 0.5kg(Basildon Chemical Company(England)、消泡剤BC86/013、シリコーン/非シリコーンベース消泡化合物)を加え、60℃に加熱し、そして生成物を140mbarで蒸留して、(S)−トリフルオロ−イソプロパノール(S)−8、水及びエタノールの混合物101kgを得た。(S)−トリフルオロ−イソプロパノール(S)−8、水及びエタノールの混合物101kgを、50Lのロータリーエバポレーターで、3回に分けて、90℃、1013mbar〜500mbarで蒸留した。合わせたフラクションは、(S)−トリフルオロ−イソプロパノール(S)−8−1、水及びエタノールの混合物28.5kgであった。(S)−トリフルオロ−イソプロパノール(S)−8−1 28.5kgを、Sulzer−column(5x150cm Sulzer packing BX)上で、二回に分けて、115℃、1013mbarで、蒸留して、(S)−トリフルオロ−イソプロパノール((S)−8−1)21.8kg(82.9%)を得た(再蒸留した副フラクションを含む)。
GC分析:(S)−8−1の95.1m/m−%
er=99.7:0.3
【0063】
実施例3
2,3−ジフルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン(12−2)
【化14】

【0064】
装置:
温度計装着2.5L四つ首丸底フラスコ、撹拌機、滴下ろうと、及び不活性ガス供給
N−メチル−2−ピロリジノン2L、炭酸カルシウム28g(202.6mmol)及びフッ化セシウム615.0g(4.0mol)の懸濁液から、N−メチル−2−ピロリジノン150mlを110℃、25−30mbarで留去した。反応混合物を、2,3−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリジン170.3g(12−1、779.2mmol)で処理し、そして120℃で4時間、撹拌した。
【0065】
生成物12−2を反応懸濁液より95−110℃、40−50mbarで直接蒸留し、12−2 190gを混合物として得た。この混合物190gをペンタン200ml及び水400mlで抽出した。相の分離後、水相をペンタン2Lで抽出した。合わせたペンタン相を、40〜100℃、Sulzer−column上で蒸留し、12−2 60.0g(40.4%)を得た。
GC分析:12−2の99.9面積−%
【0066】
実施例3b
【化15】

【0067】
装置:
温度計装着250ml四つ首丸底フラスコ、撹拌機、滴下ろうと、及び不活性ガス供給
DMSO150ml、炭酸カルシウム2.5g(17.9mmol)及びフッ化セシウム25.0g(162.9mmol)の懸濁液から、DMSO25mlを120℃、25−30mbarで留去した。反応混合物を、2,3−ジクロロ−5−トリフルオロメチルピリジン25.0g(12−1、112.3mmol)で処理し、そして120℃で4時間、撹拌した。懸濁液をろ過し、そして生成物12−3を直接蒸留し、95−115℃、40−60mbarの留出物より、12−3を定量的収率で得た。
GC分析:12−3の96.9面積−%
【0068】
実施例4
1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)ピペラジン(15−1)の合成
【化16】

【0069】
装置:
THF15.0L中のピペラジン1.0kgの懸濁液を、0℃、30分以内で、THF2.0L中の2,3−ジフルオロ−5−トリフルオロメチルピリジン12−2 732.0g(4.0mol)で処理した。反応混合物を0℃で30分間撹拌し、そして30分以内に室温まで加熱した。
【0070】
白色反応混合物を水15L及びトルエン15Lで抽出した。相の分離後、水相をトルエン10lで抽出した。合わせた有機相を10Lで2回、計20Lの水で洗浄した。有機相の溶媒を、45℃、50mbarで留去して、15−1 984.0g(99.3%)を白色固体として得た。
GC分析:15−1の98.9面積−%
【0071】
実施例5
[4−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン−1−イル]−[5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−メタノン((S)−I−1)の合成
【化17】

【0072】
装置:
トルエン15L中の5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−安息香酸1.2kg((S)−11−1、4.0mol)及びDMF50mlの懸濁液を、室温で1時間以内に、トルエン650ml中の塩化オキサリル485.2g(3.7mol)の溶液で処理した。懸濁液を、室温で1時間撹拌し、そして室温で30−45分以内に、トルエン12L中の1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン1.0kg(15−1、4.0mol)及びトリエチルアミン1.1L(7.9mol)の溶液に滴下した。反応混合物を室温で、30分、撹拌した。
【0073】
懸濁液をろ過して、そして残渣をトルエン5Lで、数回洗浄した。ろ液を水15Lで抽出した。相の分離後、有機相を5%重炭酸ナトリウム15L及び5%NaCl溶液7Lで洗浄した。有機相の溶媒を留去し(50℃、400mbar)、そしてエタノール20Lで処理した。溶液を熱時ろ過し、そして溶媒を50℃で約10Lの体積まで留去した。溶液を60℃に加熱し、30分以内にヘプタン25Lで処理し、そして4時間以内に20℃に冷却した。白色懸濁液を、この温度で終夜撹拌し、0℃に冷却し、そして0℃で1時間撹拌した。ろ過後、結晶を、EtOH3L及びヘプタン7Lの冷混合液で、数回洗浄して、(S)−I−1 1795g(88.2%)を白色結晶として得た。
HPLC分析:(S)−I−1の99.8面積−%
er=99.4:0.6%
【0074】
実施例5b
【化18】

【0075】
装置:温度計装着100ml三つ首丸底フラスコ、撹拌機、及び不活性ガス供給
CHCl20ml中の5−メタンスルホニル−2−(2,2,2−トリフルオロ−1−メチル−エトキシ)−安息香酸200mg((S)−11−1、0.63mmol)の溶液を、室温で、ジイソプロピルエチルアミン166mgで処理した。混合液に、0℃でクロロギ酸エチル70mg(0.63mmol)を加えて、そして60分撹拌した。反応混合物を、1−(3−クロロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン166.8mg(15−2、0.63mmol)で処理し、そして約2時間撹拌した。混合物を室温に昇温し、そしてCHCl15ml及び水5mlで処理した。抽出後、相を分離し、そして水相をCHCl15mlで抽出した。合わせた有機相を減圧下で留去し、粗生成物を油状物として得た。クロマトグラフィー精製後、(S)−I−2 120mg得た(ヘキサンからの結晶化も有効である)。
HPLC分析:(S)−I−2の96.6面積−%
【0076】
実施例5c
【化19】

【0077】
装置:
温度計装着100ml四つ首丸底フラスコ、撹拌機、及び不活性ガス供給
CHCl20ml中の2−イソプロポキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸200mg(11−2、0.77ml)の溶液を、室温で、ジイソプロピルエチルアミン214.4mg(1.63mmol)で処理した。反応混合物を−5℃に冷却し、クロロギ酸エチル85.7mg(0.77mmol)で処理し、そしてこの温度で60分間撹拌した。CHCl10ml中の1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン221.1mg(15−1、0.77mmol)及びジイソプロピルエチルアミン102.1mg(0.77mmol)の溶液を、−5℃で加えた。反応混合物を4時間撹拌し、室温に昇温し、そして水15mlで処理した。抽出後、相を分離し、そして水相をCHCl5mlで2回抽出した。合わせた有機相を減圧下で留去し、粗生成物を油状物として得た。クロマトグラフィー精製後、I−3 40mgを得た。
HPLC分析:(S)−I−3の96.6面積−%
【0078】
実施例5d
【化20】

【0079】
装置:
温度計装着250ml四つ首丸底フラスコ、撹拌機、及び不活性ガス供給
CHCl150ml中の2−イソプロポキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸5.0g(11−2、19.4mmol)の溶液を、ジイソプロピルエチルアミン2.8g(21.3mmol)で処理した。反応混合物を0℃に冷却し、CHCl50ml中のクロロギ酸エチル2.1g(19.4mmol)の溶液で処理し、そしてこの温度で2時間撹拌した。CHCl50ml中の1−(4−メタンスルホニル−2−フルオロ−フェニル)−ピペラジン5.1g(15−3、19.36mmol)の溶液を、0℃で15分以内に加えた。反応混合物を2時間撹拌し、室温に昇温し、そして水15mlで処理した。抽出後、相を分離し、そして水相をCHCl10mlで二回抽出した。合わせた有機相を減圧下で留去して、粗生成物を油状物として得た。EtOAcから結晶化し、I−4 6.25gを白色粉体として得た。
HPLC分析:I−4の96.6面積−%
【0080】
実施例5e
【化21】

【0081】
装置:
温度計装着350mL四つ首丸底フラスコ、撹拌機、及び不活性ガス供給
トルエン110ml中の2−エトキシ−5−メタンスルホニル−安息香酸11.0g(11−3、19.4mmol)の懸濁液を、DMFで、室温で処理した。反応混合物をトルエン10ml中の塩化オキサリル3.7ml(42.7mmol)の溶液で処理した。懸濁液を、室温で1時間撹拌し、トルエン140ml中の1−(3−フルオロ−5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン11.3g(15−1、44.8mmol)及びトリエチルアミン12.0ml(85.8mmol)の溶液に滴下した。懸濁液を室温で30分撹拌し、ろ過し、そして残渣をトルエン100mlで濯いだ。ろ液を水400mlで三回洗浄した。有機相の溶媒を留去し、そして残渣をEtOH250mlで処理した。EtOH約150mlを60℃で留去し、そしてヘプタン300mlを30分以内で加えた。混合物を4時間以内に室温に冷却して、生成した懸濁液を0℃に冷却し、そして1時間撹拌した。結晶をろ過し、EtOH/ヘプタン(1:2)120mlで洗浄し、そして50℃で24時間乾燥して、生成物I−5 16.5g(81.3%)を白色結晶として得た。
HPLC分析:I−5の99.8面積−%

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化22】


[式中、
Hetは、1、2又は3個の窒素原子を含む6員環ヘテロアリール基であり;
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、NR又はハロゲンにより置換された(C−C)−アルキルであり;
は、ヒドロキシ、ハロゲン、NO、CN、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、ハロゲンにより置換された(C−C)−アルキル、ヒドロキシにより置換された(C−C)−アルキル、(CH−(C−C)−アルコキシ、ハロゲンにより置換された(C−C)−アルコキシ、NR、C(O)R又はSOであり;
は、(C−C)−アルキル、(C−C)−シクロアルキル、又はハロゲンにより置換された(C−C)−アルキルであり;
及びRは、各々独立して水素又は(C−C)−アルキルであり;
は、水素、(C−C)−アルキル、(C−C)−アルコキシ又はNRであり;
は、(C−C)−アルキル、ハロゲンにより場合によって置換された(C−C)−アルキル、(CH−(C−C)−シクロアルキル、(CH−(C−C)−アルコキシ又はNRであり;
nは、0、1、2又は3であり;
oは、0、1又は2である]
の化合物及びその薬学的に許容される酸付加塩の製造方法であって、
a)式21
【化23】


の化合物を式ROHの化合物と反応させて、式11
【化24】


の化合物を得る工程
及び
b)カップリング剤の存在下、式11の化合物、又はその対応する酸ハロゲン化物と、式15
【化25】


の化合物とをカップリングさせて、式I
【化26】


の化合物を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項2】
請求項1の工程a)記載の式11の化合物の製造方法であって、
N,N−ジメチルアセトアミド及び炭酸セシウムの存在下、オートクレーブ中100−150℃の温度、1.5barで16−80時間、又はTHF中、KOtBuを用いて、室温でその工程を行う製造方法。
【請求項3】
請求項1の工程b)記載の式(S)−I−1の化合物の製造方法であって、
トルエン、DMF、THF、又はCHCl中、塩化オキサリル、塩化チオニル、クロロギ酸エチル、TBTU、HBTU、CDI、又はEDCIの存在下、室温で1時間以内で、その工程を行う製造方法。
【請求項4】
請求項1記載の式(S)−I−1
【化27】


の化合物の製造方法であって、
a)式21−1
【化28】


の化合物を式(S)−8−1
【化29】


の化合物と反応させ、式(S)−11−1
【化30】


の化合物を得る工程
及び
b)カップリング剤の存在下、式(S)−11−1の化合物、又はその対応する酸ハロゲン化物と、式15−1
【化31】


の化合物とをカップリングさせて、式
【化32】


の化合物を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項4の工程a)記載の式(S)−11−1の化合物の製造方法であって、
N,N−ジメチルアセトアミド及び炭酸セシウムの存在下、オートクレーブ中100−150℃の温度、1.5barで16−80時間、又はTHF中、KOtBuを用いて、室温でその工程を行う製造方法。
【請求項6】
請求項4の工程b)記載の式(S)−I−1の化合物の製造方法であって、
トルエン、DMF、THF、又はCHCl中、塩化オキサリル、塩化チオニル、クロロギ酸エチル、TBTU、HBTU、CDI、又はEDCIの存在下、室温で1時間以内、その工程を行う製造方法。
【請求項7】
請求項1の工程b)記載の式15の化合物の製造方法であって、
式12
【化33】


の化合物とピペラジンとを、THF又はトルエン中で反応させて、式15
【化34】


の化合物を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項4の工程b)記載の式15−1の化合物の製造方法であって、
a)式12−1
【化35】


の化合物を、CsF、及びKCO又は他のいずれかの塩基と、NMP、DMSO又は高沸点を有する他の溶媒中、反応させ、式12−2
【化36】


の化合物を得て、
そして、
b)THF又はトルエン中、ピペラジンと反応させて、対応する式15−1
【化37】


の化合物を得る工程を含むことを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項4の工程a)記載の方法であって、パン酵母又はRu触媒を用いて、式CHC(O)CFの化合物より式(S)−8−1の(S)−トリフルオロイソプロパノールを周知の方法に基づき、調製することを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1の工程a)記載の方法であって、
式21
【化38】


の化合物が、式17
【化39】


の化合物を、クロロ硫酸、亜硫酸ナトリウム、及びRhal(halはI、Br又はClであり、Rはメチル以外である)と、周知の方法により反応させることによって、調製される方法。
【請求項11】
請求項4の工程a)記載の方法であって、
式21−1
【化40】


の化合物が、式17
【化41】


の化合物を、クロロ硫酸、亜硫酸ナトリウム、ClCHCOHと、周知の方法により反応させることによって、調製される方法。

【公表番号】特表2010−520251(P2010−520251A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−552166(P2009−552166)
【出願日】平成20年2月25日(2008.2.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052244
【国際公開番号】WO2008/107334
【国際公開日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】