説明

GPS受信装置及びそれを用いた携帯端末

【課題】GPS信号受信装置において、TCXOの高精度化以外の方法によって温度変化による測位成功率の低下を抑制すると共に、弱電界環境における特性を改善する。
【解決手段】ホスト12は、TCXO6に内蔵された温度センサにより検出された周囲雰囲気温度を示す温度データを入力として受け、CPU122がROM121に予め記録されているLNA10の温度補正情報のうち、入力温度データに対応する温度補正情報を読み出し、その読み出した温度補正情報に基づいたゲインコントロール信号を生成して、LNA10に供給してその利得を可変制御する。これにより、温度センサにより検出されたTCXO6の周囲雰囲気温度が変化しても、可変利得型LNA10から出力される増幅後GPS信号の変動が最小限に抑圧される。この結果、温度変化による測位成功率の低下を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はGPS受信装置及びそれを用いた携帯端末に係り、特にGPS衛星から送信されたGPS電波の受信信号と温度補償水晶発振器から出力される局部発振周波信号とから生成した中間周波信号に基づいて、自装置の位置情報(緯度、経度等)を取得するGPS受信装置及びそれを用いた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
高付加価値化によって、携帯電話等の携帯端末へのGPS受信装置の搭載が一般的になるにつれ、そのGPS受信装置自体の高性能化の要求が出始めている。GPS受信装置は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を構成する複数のGPS衛星からのGPS電波を受信し、その受信信号に基づいて、自装置の位置情報(緯度、経度等)を取得する構成である。ここで、GPSの測位成功率及び測位時間の短縮には、GPS電波の受信信号を周波数変換して中間周波信号に変換するための局部発振周波信号を出力する基準信号源となる温度補償水晶発振器(以下、TCXOという)の周波数変動を抑制する方法が一般的に知られている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0003】
特許文献1には、温度センサとして温度補償型発振器(TCO)を有し、GPSの基準周波数によりドリフト値が測定されているGPS受信部を備えた携帯端末が開示されている。また、特許文献2には、シンセサイザ等の基準周波数の発振源としてTCXOを有し、TCXOの発振出力の中心周波数と、基準温度における発振周波数のオフセット量とを、1℃/secで温度を変化させたときのTCXOの最大周波数変化率とをメモリに記憶させ、GPS受信装置の電源投入時にシンセサイザにTCXOの中心周波数と基準温度におけるオフセットの量を設定して、シンセサイザの出力周波数が受信中間周波数の中心周波数になるように制御することで、GPS衛星からの受信信号を短時間で捕捉するGPS受信装置が開示されている。
【0004】
更に、特許文献3には、図5のブロック図に示すようなGPS受信装置が開示されている。図5に示すGPS受信装置は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信するアンテナ1と、アンテナ1からの受信信号のうち所定の周波数帯域のGPS受信信号を選択する帯域フィルタ(BPF)2と、BPF2からのGPS信号を増幅する低雑音増幅器(以下、LNAという)3と、段間用の帯域フィルタ(BPF)4と、GPS用LSI(Large Scale Integrated circuit:大規模集積回路)5と、TCXO6と、ホストコンピュータ(以下、ホストと略す)7と、温度調節器8とからなる。
【0005】
GPS用LSI5は、BPF4から出力されたGPS信号を、TCXO6から出力された所定周波数の局部発振周波信号と混合して所定周波数の中間周波信号に変換した後、ディジタル信号に変換してホスト7に供給して復調させる。TCXO6は、その周囲雰囲気温度を検出する温度センサを内蔵している。ホスト7はリード・オンリ・メモリ(ROM)71と、中央処理装置(CPU)72とを少なくとも内蔵している。
【0006】
ホスト7は、GPS用LSI5から出力されたディジタル信号を復調する一方、TCXO6内の温度センサで検出された温度情報を示す温度データに基づいて、ROM71に予め記憶されている情報を参照して、その参照情報をCPU72による演算により、温度センサで検出する温度が一定となるような温度制御信号を生成して、温度調節器8に供給する。温度調節器8は、TCXO6の周囲を加熱するヒータ及びTCXO6の周囲を冷却するファンとからなり、温度制御信号に基づいて、いずれか一方が駆動される。
【0007】
図6は、携帯端末内部に配置された上記のGPS受信装置において、弱電界環境下で外部温度を変化させた場合のGPS測位成功率の推移を示す。同図において、横軸は温度、縦軸は測位成功率を示す。また、図6において、実線で記された特性Iは、携帯端末内部のTCXO6を信号源として用いた場合、破線で記した特性IIは、携帯端末からTCXO6を取り外し、外部のシグナルジェネレータ(以下SG)から信号を入力した場合の特性を示す。SGから入力された信号は温度変動が無く、安定したものである(TCXO6とSGから入力する信号振幅は同一)。この図6の特性I、IIから分かるように、周波数精度によらず、外部温度が上昇するにつれて、測位成功率が低下していることが分かる。
【0008】
【特許文献1】再公表特許2004/084403号公報(第7頁23〜46行目、第8頁21〜31行目、第19頁43行目〜第20頁4行目)
【特許文献2】特開2000−170673号公報(第14、第19、第24、第26段落)
【特許文献3】特開2000−214245号公報(第7、第12、第14段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、小型・薄型化、及び低消費電力化が求められる携帯端末において、TCXO周辺に温度調整用のヒータ等を配置することは難しく、TCXO自体の高精度化も製造歩留り、コストアップを招くため、実現は難しい。
【0010】
また、携帯端末においては、カーナビゲーション等で使用されるGPSと比較した場合、無線通信システムの多ハンドル化、各種アプリケーションシステムの搭載、及びヒンジ部分の構造部品の影響があるため、アンテナ面積、及びアンテナの最適な配置場所を確保するのが難しく、アンテナ特性の確保も容易ではない。
【0011】
更に、携帯端末は使用環境が室内外を問わず多岐にわたるため、弱電界環境下における受信感度特性の維持、向上が求められる。図6に示したように、図5の携帯端末では、外部温度が上昇するにつれて、測位成功率が低下しているが、これは、あるレベル以下の電界環境下においては、基準信号源の周波数精度よりも、受信信号の増幅値変化(LNA3のゲインの温度変化)への依存度が大きいためである。
【0012】
このように、特許文献1乃至3のGPS受信装置では、TCXOは高精度な製品であり、これ以上の精度向上化は製造歩留りの悪化、コストアップを招くため実現困難であり、また、精度を向上しても弱電界環境における特性改善は見込めない。
【0013】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、TCXOの高精度化以外の方法によって温度変化による測位成功率の低下を抑制し得るGPS受信装置及びそれを用いた携帯端末を提供することを目的とする。
【0014】
また、本発明の他の目的は、弱電界環境における特性を改善したGPS受信装置及びそれを用いた携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の目的を達成するため、本発明のGPS受信装置は、GPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて、現在位置の位置情報を取得するGPS受信装置において、
GPS信号を増幅する可変利得型の増幅手段と、局部発振周波信号を発振出力する発振手段と、周囲温度を検出して温度データを出力する温度検出手段と、増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、発振手段から出力された局部発振周波信号と混合して得た所定周波数の中間周波信号に基づいて、位置情報を生成する周波数変換及び位置情報生成手段と、温度検出手段から出力された温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段とを有することを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明の携帯端末は、無線部により最寄りの基地局と無線通信すると共に、GPS受信部によりGPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて自己の現在位置の位置情報を取得する携帯端末において、上記GPS受信部は、
GPS信号を増幅する可変利得型の増幅手段と、局部発振周波信号を発振出力する発振手段と、周囲温度を検出して温度データを出力する温度検出手段と、増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、発振手段から出力された局部発振周波信号と混合して得た所定周波数の中間周波信号に基づいて、位置情報を生成する周波数変換及び位置情報生成手段と、温度検出手段から出力された温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、温度補償水晶発振器よりも高精度な信号源を使用することなく、温度変化による測位成功率の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の実施形態について図面と共に詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
図1は、本発明になるGPS受信装置の第1の実施形態のブロック図を示す。同図中、図5と同一構成部分には同一符号を付してある。図1に示す第1の実施形態のGPS受信装置は、GPS衛星から送信されたGPS電波を受信するアンテナ1と、アンテナ1からの受信信号のうち所定の周波数帯域のGPS信号を選択するBPF2と、BPF2からのGPS信号を増幅する可変利得型低雑音増幅器(LNA)10と、段間用のBPF4と、GPS用LSI5と、TCXO6と、ホストコンピュータ(ホスト)12とからなる。
【0020】
TCXO6は、自身の発振部の周囲雰囲気温度を検出する温度センサを内蔵している。可変利得型LNA10は、外部からの利得制御信号(ゲインコントロール信号)により利得が可変制御される増幅器である。ホスト12はリード・オンリ・メモリ(ROM)121と、中央処理装置(CPU)122とを少なくとも内蔵している。ROM121には、温度対利得特性を示す温度補正情報が予め記憶されている。この温度補正情報は、予め一定振幅の試験信号を可変利得型LNA10に供給して増幅させると共に、TCXO6の周囲雰囲気温度をある温度間隔で可変して、その各温度毎にLNA10の出力信号を略一定とするようなLNA10の利得(ゲイン)を求め、得られた温度対利得特性である。
【0021】
ホスト12は、GPS用LSI5から出力された復調データに基づいて位置情報を計算する一方、TCXO6内の温度センサで検出された温度情報を示す温度データに基づいて、ROM121に予め記憶されている温度補正情報を参照してゲインコントロール信号を生成する。
【0022】
次に、本実施形態の動作について説明する。GPS衛星(図示せず)から送信されたGPS電波はアンテナ1で受信されてスペクトラム拡散信号であるGPS信号となり、BPF2で所定周波数帯域の信号成分が周波数選択された後、可変利得型LNA10に供給されて増幅され、更に段間用のBPF4で不要周波数成分が除去された後、GPS用LSI5に供給される。
【0023】
GPS用LSI5は、BPF4から出力された増幅後のGPS信号を、TCXO6から出力される所定周波数の局部発振周波信号と混合して、所定周波数の中間周波信号に変換した後、ディジタル信号に変換してから復調処理を行う公知のGPS用信号処理を行う。ホスト12は、GPS用LSI5から出力された各GPS衛星からのGPS信号の復調データを入力として受け、CPU122により、それらの復調データから各GPS衛星とこのGPS受信装置との距離データと位置データとを演算し、更にその演算出力からこのGPS受信装置の位置情報(緯度、経度など)を算出する。
【0024】
また、ホスト12は、TCXO6に内蔵された温度センサにより検出された周囲雰囲気温度を示す温度データを入力として受け、CPU122がROM121に予め記録されている可変利得型LNA10の温度補正情報のうち、入力温度データに対応する温度補正情報を読み出し、その読み出した温度補正情報に基づいたゲインコントロール信号を生成して、可変利得型LNA10に供給してその利得(ゲイン)を可変制御する。これにより、温度センサにより検出されたTCXO6の周囲雰囲気温度が変化しても、可変利得型LNA10から出力される増幅後GPS信号の変動が最小限に抑圧される。なお、上記の利得は、例えば温度が高くなると低くなるように制御される。
【0025】
図2は、本実施形態における温度対測位成功率特性を示す。同図に示すように、本実施形態では、TCXO6に内蔵された温度センサにより検出された周囲雰囲気温度が上昇するにつれて、測位成功率が若干低下しているが、その低下は僅かである。従って、本実施形態によれば、温度変化によるLNA10の出力信号の変動を最小限に抑えることで、弱電界環境における測位成功率の劣化を防ぐことができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、TCXO6の高精度化以外の可変利得型LNA10の利得を制御する方法によってGPS受信装置の高性能化を実現することができる。
【0027】
(第2の実施形態)
図3は、本発明になるGPS受信装置の第2の実施形態のブロック図を示す。同図中、図1と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図3に示すGPS受信装置は、可変利得型LNA10の近傍位置に個別の温度センサ11を設置し、その温度センサ11により可変利得型LNA10の周囲温度を測定し、その測定結果である温度データに基づいて可変利得型LNA10のゲインコントロールを行う点に特徴がある。
【0028】
ROM121には、一定振幅の試験信号を可変利得型LNA10に供給して増幅させると共に、LNA10の周囲雰囲気温度をある温度間隔で可変し、その各温度毎にLNA10の出力信号を略一定とするようなLNA10の利得(ゲイン)を求め、得られた温度対利得特性を示す温度補正情報が予め記憶されている。ホスト12は、GPS用LSI5から出力された復調データに基づいて位置情報を計算する一方、温度センサ11で検出された温度情報を示す温度データに基づいて、ROM121に予め記憶されている温度補正情報を参照してゲインコントロール信号を生成する。
【0029】
すなわち、本実施形態では、ホスト12は、個別の温度センサ11により検出された周囲雰囲気温度を示す温度データを入力として受け、CPU122がROM121に予め記録されている可変利得型LNA10の温度補正情報のうち、入力温度データに対応する温度補正情報を読み出し、その読み出した温度補正情報に基づいたゲインコントロール信号を生成して、可変利得型LNA10に供給してその利得(ゲイン)を可変制御する。これにより、これにより、温度センサ11により検出された可変利得型LNA10の周囲雰囲気温度が変化しても、可変利得型LNA10から出力される増幅後GPS信号の変動が最小限に抑圧される。
【0030】
本実施形態は、個別の温度センサ11を使用することによって、LNA10の近傍の温度変化をより正確に計測可能となり、第1の実施形態に比べて測位成功率の向上が可能となる。
【0031】
次に、本発明のGPS受信装置を用いた携帯端末の実施形態について説明する。図4は、本発明になるGPS受信装置を用いた携帯端末の一実施形態のブロック図を示す。図4に示す携帯端末の一例としての携帯電話は、通常の音声、メール等の送受信機能のほか、アンテナ1に接続されたGPS受信部15を備えた点に特徴がある。このGPS受信部15は、図1又は図3に示したブロック図中のホスト12以外の構成のGPS受信部である。
【0032】
携帯電話は、GPS受信部15に加えて、制御部20、携帯電話用アンテナ21、無線部22、送信信号と受信信号の信号処理を行う信号処理部23、プログラムや電話帳データなどが記憶されている記憶部24、各種の情報を入力するための入力部25、各種の情報を表示するための表示部26、音声信号を処理する音声処理部27、受話音声などを発音するスピーカ28、送話音声を収音するマイクロフォン29を有している。
【0033】
制御部20は、図1又は図3に示したホスト12と同様の機能に加えて、この携帯電話の通常の音声、メール等の送受信機能を有する演算回路部である。なお、GPS受信部15内にホスト12を設け、制御部20はホスト12とは別の構成としてもよいことは勿論である。無線部22は、携帯電話網内の図示しない最寄りの基地局との間で携帯電話用アンテナ21を介して無線通信する。
【0034】
この携帯電話は、通話時には、入力部25から入力されたダイヤル番号、又は所定の着信応答操作信号が制御部20に入力される。これにより、制御部20から信号処理部23、無線部22、アンテナ21を介して最寄りの基地局(図示せず)へ送信信号が無線出力され、更に基地局から公衆網などを介して相手端末との間で所定のシーケンスに従って通話路が確立される。
【0035】
その後、相手端末からの通話信号は、公衆網及び基地局を介してアンテナ21で受信され、無線部22で受信処理された後、信号処理部23で受話音声信号に変換され、更に音声処理部27を介してスピーカ28に供給され、ここで電気−音響変換されて受話音声として発音される。一方、送話音声は、マイクロフォン29により音響−電気変換されて送話音声信号となり、音声処理部27及び信号処理部23を経由して無線部22に供給され、ここで所定周波数帯の送信信号とされた後、アンテナ21を介して基地局へ無線送信され、更に基地局から公衆網などを介して相手端末へ送信される。以上の音声通信の動作は公知である。
【0036】
このような音声通信を行う携帯電話に設けられたGPS受信部15は、前述したように、GPS衛星からの電波を受信してGPS信号を生成し、このGPS信号に基づいて図1又は図3のGPS用LSI5により演算して得られた位置情報(又は復調データ)を図4の制御部20に供給する一方、温度センサからの温度データを制御部20に供給し、この温度データに基づいて制御部20で生成されたゲインコントロール信号に基づいて内部のLNAの利得が、温度変化によるLNAの出力信号の変動を最小限に抑えるように可変制御される。
【0037】
制御部20は、上記のGPS受信部15からの位置情報に基づいて、この携帯電話の現在位置を認識し、記憶部24に記憶されている基地局情報から、その現在位置に対応する基地局のゾーンを特定し、そのゾーンを受け持ち、かつ、所定の電波強度が認識される基地局に対してチャネル切り替え指示を要求するなどの、移動通信において公知の処理を行い、移動通信を可能とする(なお、位置情報を用いた移動通信の詳細な説明は、本発明の要旨ではないので省略する。)。
【0038】
ここで、弱電界環境下で、かつ、外部温度が上昇するにつれて、一般にはGPS信号による測位成功率が低下する。しかし、本実施形態では、GPS受信部15の内部のLNAの利得を可変制御して、温度変化によるLNAの出力GPS信号の変動を最小限に抑えるようにしているので、弱電界環境における測位成功率特性を改善することができ、これにより弱電界環境下においても移動通信を維持できる。
【0039】
この効果はアンテナ特性やアンテナの最適な配置場所などの確保が容易ではなく、また、使用環境が室内外を問わず多岐にわたるため、弱電界環境下における受信感度特性の維持、向上が求められる携帯端末において特に有効である。
【0040】
なお、本発明は以上の実施の形態に限定されるものではなく、例えば、本発明は携帯電話以外の携帯端末にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明のGPS受信装置の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】図1の装置の温度対測位成功率特性の一例を示す図である。
【図3】本発明のGPS受信装置の第2の実施形態のブロック図である。
【図4】本発明のGPS受信装置を用いた携帯端末の一実施形態のブロック図である。
【図5】特許文献3記載のGPS受信装置の一例のブロック図である。
【図6】図5の装置においてTCXOを用いた場合と、TCXOの替りにシグナルジェネレータを用いた場合の温度対測位成功率特性の一例を対比して示す図である。
【符号の説明】
【0042】
1 GPS電波受信用アンテナ
2、4 帯域フィルタ(BPF)
3 可変利得型低雑音増幅器(LNA)
5 GPS用LSI
6 温度補償水晶発振器(TCXO)
11 温度センサ
12 ホストコンピュータ(ホスト)
15 GPS受信部
20 制御部
21 携帯電話用アンテナ
22 無線部
23 信号処理部
24 記憶部
121 リード・オンリ・メモリ(ROM)
122 中央処理装置(CPU)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて、現在位置の位置情報を取得するGPS受信装置において、
前記GPS信号を増幅する可変利得型の増幅手段と、
局部発振周波信号を発振出力する発振手段と、
周囲温度を検出して温度データを出力する温度検出手段と、
前記増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、前記発振手段から出力された前記局部発振周波信号と混合して得た所定周波数の中間周波信号に基づいて、前記位置情報を生成する周波数変換及び位置情報生成手段と、
前記温度検出手段から出力された前記温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による前記増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段と
を有することを特徴とするGPS受信装置。
【請求項2】
GPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて、現在位置の位置情報を取得するGPS受信装置において、
前記GPS信号を低雑音増幅する可変利得型の低雑音増幅手段と、
発振部から局部発振周波信号を発振出力すると共に、内蔵する温度センサにより該発振部の周囲温度を検出して温度データを出力する温度補償発振手段と、
前記低雑音増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、前記温度補償発振手段から出力された前記局部発振周波信号と混合して、所定周波数の中間周波信号に変換する混合手段と、
前記混合手段から出力された前記中間周波信号に基づいて、前記位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記温度補償発振手段の前記温度センサから出力された前記温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記低雑音増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による前記低雑音増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段と
を有することを特徴とするGPS受信装置。
【請求項3】
GPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて、現在位置の位置情報を取得するGPS受信装置において、
前記GPS信号を低雑音増幅する可変利得型の低雑音増幅手段と、
前記低雑音増幅手段の近傍の温度を検出して温度データを出力する温度検出手段と、
局部発振周波信号を発振出力する温度補償発振手段と、
前記低雑音増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、前記温度補償発振手段から出力された前記局部発振周波信号と混合して、所定周波数の中間周波信号に変換する混合手段と、
前記混合手段から出力された前記中間周波信号に基づいて、前記位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記温度検出手段から出力された前記温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記低雑音増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による前記低雑音増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段と
を有することを特徴とするGPS受信装置。
【請求項4】
前記利得制御手段は、
一定振幅の信号を前記低雑音増幅手段に供給して増幅させると共に、前記温度補償発振手段の周囲雰囲気温度をある温度間隔で可変し、その各温度毎に前記低雑音増幅手段の出力信号を一定とするような該低雑音増幅手段の利得を求めて得た温度対利得特性を示す温度補正情報が予め記憶されている記憶部と、
前記温度データに基づいて前記記憶部を参照して該温度データに対応する利得に制御するための前記制御信号を生成する制御信号生成手段と
を有することを特徴とする請求項2記載のGPS受信装置。
【請求項5】
前記利得制御手段は、
一定振幅の信号を前記低雑音増幅手段に供給して増幅させると共に、前記低雑音増幅手段の周囲雰囲気温度をある温度間隔で可変し、その各温度毎に前記低雑音増幅手段の出力信号を一定とするような該低雑音増幅手段の利得を求めて得た温度対利得特性を示す温度補正情報が予め記憶されている記憶部と、
前記温度データに基づいて前記記憶部を参照して該温度データに対応する利得に制御するための前記制御信号を生成する制御信号生成手段と
を有することを特徴とする請求項3記載のGPS受信装置。
【請求項6】
無線部により最寄りの基地局と無線通信すると共に、GPS受信部によりGPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて自己の現在位置の位置情報を取得する携帯端末において、
前記GPS受信部は、
前記GPS信号を増幅する可変利得型の増幅手段と、
局部発振周波信号を発振出力する発振手段と、
周囲温度を検出して温度データを出力する温度検出手段と、
前記増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、前記発振手段から出力された前記局部発振周波信号と混合して得た所定周波数の中間周波信号に基づいて、前記位置情報を生成する周波数変換及び位置情報生成手段と、
前記温度検出手段から出力された前記温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による前記増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段と
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項7】
無線部により最寄りの基地局と無線通信すると共に、GPS受信部によりGPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて自己の現在位置の位置情報を取得する携帯端末において、
前記GPS受信部は、
前記GPS信号を低雑音増幅する可変利得型の低雑音増幅手段と、
発振部から局部発振周波信号を発振出力すると共に、内蔵する温度センサにより該発振部の周囲温度を検出して温度データを出力する温度補償発振手段と、
前記低雑音増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、前記温度補償発振手段から出力された前記局部発振周波信号と混合して、所定周波数の中間周波信号に変換する混合手段と、
前記混合手段から出力された前記中間周波信号に基づいて、前記位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記温度補償発振手段の前記温度センサから出力された前記温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記低雑音増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による前記低雑音増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段と
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項8】
無線部により最寄りの基地局と無線通信すると共に、GPS受信部によりGPS衛星から送信された電波を受信して得たGPS信号に基づいて自己の現在位置の位置情報を取得する携帯端末において、
前記GPS受信部は、
前記GPS信号を低雑音増幅する可変利得型の低雑音増幅手段と、
前記低雑音増幅手段の近傍の温度を検出して温度データを出力する温度検出手段と、
局部発振周波信号を発振出力する温度補償発振手段と、
前記低雑音増幅手段から出力された増幅後のGPS信号を、前記温度補償発振手段から出力された前記局部発振周波信号と混合して、所定周波数の中間周波信号に変換する混合手段と、
前記混合手段から出力された前記中間周波信号に基づいて、前記位置情報を生成する位置情報生成手段と、
前記温度検出手段から出力された前記温度データに基づいて制御信号を生成し、その制御信号により前記低雑音増幅手段の利得を可変制御して、温度変化による前記低雑音増幅手段の出力信号の変動を最小限に抑える利得制御手段と
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項9】
前記利得制御手段は、
一定振幅の信号を前記低雑音増幅手段に供給して増幅させると共に、前記温度補償発振手段の周囲雰囲気温度をある温度間隔で可変し、その各温度毎に前記低雑音増幅手段の出力信号を一定とするような該低雑音増幅手段の利得を求めて得た温度対利得特性を示す温度補正情報が予め記憶されている記憶部と、
前記温度データに基づいて前記記憶部を参照して該温度データに対応する利得に制御するための前記制御信号を生成する制御信号生成手段と
を有することを特徴とする請求項7記載の携帯端末。
【請求項10】
前記利得制御手段は、
一定振幅の信号を前記低雑音増幅手段に供給して増幅させると共に、前記低雑音増幅手段の周囲雰囲気温度をある温度間隔で可変し、その各温度毎に前記低雑音増幅手段の出力信号を一定とするような該低雑音増幅手段の利得を求めて得た温度対利得特性を示す温度補正情報が予め記憶されている記憶部と、
前記温度データに基づいて前記記憶部を参照して該温度データに対応する利得に制御するための前記制御信号を生成する制御信号生成手段と
を有することを特徴とする請求項8記載の携帯端末。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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