説明

HCVのポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bを含む組成物、対応するヌクレオチド配列を含む発現ベクター、並びに治療のためのそれらの使用

本発明は、C型肝炎のポリタンパク質NS3/NS4及びC型肝炎のポリペプチドNS5bを含むペプチド化合物に関する。本発明はまた、ヌクレオチド配列がポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードするアデノウイルス及びポックスウイルスといった発現ベクターにも関する。本発明の化合物は、治療の適用に用いることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)に対抗する予防的及び治療的ワクチン接種の分野に関する。特に、2つの共直線性タンパク質NS3及びNS4(以下、ポリタンパク質NS3/NS4と記載する)に対応するポリタンパク質、及びNS5bにより構成されるポリペプチド含む新規組成物、この組成物を発現することができる、アデノウイルス又はポックスウイルスといったベクター、並びにそれらのワクチンとしての使用に関する。
【0002】
C型肝炎は、輸血による後天性肝炎の主要な原因である。C型肝炎は、他の経皮ルートにより、例えば、静脈内ルートによる医薬の注射により伝染することもある。その上、健康についての専門家のこの汚染のリスクは無視できない。性的伝染については、すでに記載されている。
【0003】
C型肝炎は、A型、B型又はD型の肝炎といったウイルスに関連する肝臓疾患の他の型とは異なる。C型肝炎ウイルス(HCV又はHCV)による感染は、多くの場合(5〜20%)で、そして先進国では肝臓移植の30%を示して、大抵は慢性的に肝臓の疾患、例えば、肝炎、肝硬変及び癌に至る。
【0004】
輸血によるウイルスの伝染リスクは1990年代のスクリーニングテストの導入により減少したとはいえ、新たなHCV感染の頻度は依然高い。例えば、近年の研究において、フランス国では今日、年間でなおも10,000〜15,000の新たな感染例があると報告されている(S.Deufficら、Hepatology 1999; 29: 1596-1601)。現在、約17,000万人の人々が世界中で、慢性的にHCVに感染している(C型肝炎:Global prevalence(最新版)、2000年、Weekly Epidemiological Record、Vol 75(3))。このハイリスク人口は、主に病院関係者や注射薬の使用者であるが、これらのハイリスクグループに属さず、そして抗HCV抗体の循環が見いだされた無症状の血液ドナーもいる。後者については、感染ルートは未だ特定されていない。従って、HCV感染は存在し(5〜10%の間であると見積もられる)、孤発性の感染として知られ、その病因は未知であり、そして制御することができない。
【0005】
HCVは、分子生物学技術の手法により単離された第1の肝臓向性ウイルスであった。そのウイルスゲノム配列は、ウイルス粒子が可視化される前に、クローン化された。
【0006】
HCVは、Flaviviridaeファミリー、hepacivirusesの新しい属である。9.5kbの、ポジティブの一本鎖RNAウイルスであり、それは相補的RNAコピーにより置換され、そしてその翻訳産物は約3,000個のアミノ酸のポリタンパク質の前駆物質である。HCVゲノムの5’末端は、構造タンパク質、ヌクレオカプシドのコアタンパク質、2つのエンベロープ糖タンパク質、E1及びE2、並びにp7と称する小さいタンパク質をコードする遺伝子に隣接する非翻訳領域に対応する。5’非翻訳領域及び遺伝子コアは、異なる遺伝子型においても比較的よく保存されている。エンベロープタンパク質E1及びE2は、ある単離と別のものとではより可変である領域によりコードされている。タンパク質p7は、極めて疎水性のタンパク質であり、イオンチャンネルを構成するかもしれない。HCVゲノムの3’末端は、非構造タンパク質(NS2、NS3、NS4、NS5)及びよく保存されたドメインを保有する3’非コード配列領域をコードする遺伝子を含む(Major ME、Feinstone SM、Hepatology、1997年6月、25(6): 1527-1538)。
【0007】
現在、C型肝炎の治療に最も有効な治療では、ペグ化したインターフェロン及びリバビリン(ribavin)を組み合わせる(Manns MPら、The Lancet、第22、2001年9月、Vol.358、958-965)。この治療は特に遺伝子型2及び3に属するウイルス株により感染された患者の場合には有効であるが、遺伝子型1a、1b及び4についての効果は限定される(MannsMPら、前記)。処置した患者の50%未満が、「長期的応答者」となっている。さらに、この治療は高額な診療であり(患者一人当たり年間10,000〜15,000ユーロ)、そして毒作用と関連する。実際、患者の5〜10%が、やむを得ず完了前に治療を断念する。
【0008】
従って、全ての遺伝子型をターゲットとするワクチン組成物の開発が必要である。
【0009】
現在、いくつかの研究が、自然で(自発性の解決)又は処置後(治療的解決)HCVにより引き起こされる感染の制御は、T−CD4及びT−CD8リンパ球が関与する細胞媒介性の免疫応答の誘導又は相乗作用と関連すると、示している(例えば、LECHNER. F.ら、Eur. J. Immunol.、30: 2479-2487(2000)及びThimme R.ら、2001年、J. Exp. Med.、194(10): 1395-1406に記載されている)。
【0010】
主要な組織適合性複合体の分子(MHC、ヒトではHLAとしても知られる)には、クラスI及びクラスIIがある。クラスI分子は、事実上全ての有核細胞に発現しており、そしてCD8細胞障害性Tリンパ球(CTL)へのエピトープ又はペプチドを提示することができる。クラスII分子は、CD4T細胞へエピトープを提示することができるが、その発現は抗原提示細胞に限定される。
【0011】
C型肝炎ウイルスに対するワクチンは現在、アジュバンド組換えタンパク質、ペプチド、発現ベクターの使用に基づいて提起されており、それらのうちでは、ウイルス性若しくは細菌性由来であるか、又は裸のDNAのベクターを挙げることができる。この場合、1つ以上のウイルス性タンパク質又は1つ以上のこれらのウイルス性タンパク質をコードする遺伝子を用いる。
【0012】
いくつかのウイルス性タンパク質又はこれらのウイルス性タンパク質をコードする1つ以上の遺伝子を選択する場合、後者はしばしばいくつかの又は全部の構造タンパク質によってか(Makimuraら、1996年、Vaccine、14: 28-34; Fournilier A.ら、1999年、J. Virology、73: 7497-7504)、又は個別の非構造タンパク質によってか、又は少なくとも2つの隣接するタンパク質を含んでか(Brinsterら、2001年、Hepatology、34: 1206-1217)、又は構造及び非構造タンパク質の混合物によってかで(Pancholiら、2003年、J. Virology、77: 382-390)、構成される。
【0013】
特許出願WO99/38880には、別々に3つのタンパク質NS3、NS4及びNS5(a及びb)をコードする3つの遺伝子の、これらの3つのタンパク質をそれぞれ別々に発現する3つのDNAワクチンを含むワクチン組成物における使用が記載されている。この筆者は、マウスの3つの抗原に特異的なTリンパ球の誘導を示す。NS5a及びbを発現するワクチンだけが、保護試験においてin vivoで試験されている。
【0014】
特許出願WO01/30812には、非構造タンパク質NS3、NS4及びNS5aにより構成される融合タンパク質であって、必要な場合には非構造タンパク質NS5bとの組み合わせにおける使用が記載されている。この筆者は、この組み合わせによりHCV特異的T細胞を活性化させることができると、示している。この特許出願は、単に特異的Tリンパ球により媒介される特異的免疫応答を誘導するために、融合タンパク質NS3、NS4、NS5a、又はタンパク質NS5aを発現するワクチン製剤(裸のDNA、組換えアデノウイルス又は組換えワクシニアウイルス型)の能力を記載しているにすぎない。
【0015】
出願人はここに、全予想に反し、非構造タンパク質NS3、NS4及びNS5bの特別な組み合わせ、共直線性に発現されるNS3及びNS4が、これらの非構造タンパク質とは違って、タンパク質NS5a及び/又は他のHCVの構造タンパク質、例えば、コア、E1又はE2も含むワクチンと共に得られるものよりも優れた免疫原性の力と保護力を有し、そして特異的免疫応答を誘導するウイルス株により感染された患者に由来する細胞の能力に影響を及ぼすことを実証した。
【0016】
このように、本発明の目的は、C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4だけでなく、C型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bも含むペプチド組成物である。
【0017】
本発明の目的はまた、このペプチド組成物をコードするヌクレオチド配列を含むベクター、例えば、アデノウイルス及びポックスウイルス、並びにこれらのベクターにより形質転換した微生物又は宿主細胞である。
【0018】
最後に本発明の目的は、本発明のペプチド組成物に対する抗体、並びにC型肝炎ウイルスにより引き起こされる感染の阻害又は制御を意図した医薬製造のための、ワクチン組成物における、ペプチド組成物、ベクター及び抗体の使用である。
【0019】
従って、本発明はHCVのポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bにより構成される新規なペプチド組成物を提案するが、該組成物はHCVに特異的な細胞媒介性の免疫応答を刺激する能力を有し、そのためC型肝炎に対する予防的及び治療的ワクチン接種の分野において有用である。
【0020】
本発明のペプチド組成物のポリタンパク質NS3/NS4は、タンパク質NS3並びにタンパク質NS4a及びbにより構成されるが、天然のポリタンパク質におけるのと同じように、ペプチド配列内に中断はない。実際、前記したように、HCVゲノムはポリタンパク質へ転写される単一のオープンリーディングフレームを含む。このHCVポリタンパク質は開裂して、少なくとも10個の明確な部分、NH−コア−E1−E2−p7−NS2−NS3−NS4a−NS4b−NS5a−NS5b−COOHを産生することができる。
【0021】
タンパク質NS3は、ポリタンパク質のおよそアミノ酸1027からアミノ酸1657にあらわれる、630個のアミノ酸のタンパク質である。タンパク質NS4は、314個のアミノ酸のタンパク質であり、およそアミノ酸1658からアミノ酸1972にあらわれる(番号付けはHCV−1に関する)(Chooら、1991年、Proc. Natl. Acad. Sci.、vol88: 2451-2455)。従って、ポリタンパク質NS3/NS4は、アミノ酸1027からアミノ酸1972にあらわれる。
【0022】
ポリペプチドNS5bについても、本発明の組成物に含まれ、これは590個のアミノ酸により構成され、そしてポリタンパク質のおよそアミノ酸2421からアミノ酸3011にあらわれる(Chooら、1991年、前記)。
【0023】
タンパク質NS3は、2つの異なる構造ドメイン、すなわちウイルス性ポリタンパク質の成熟に関与する有効なセリンプロテアーゼ活性を与えるN末端ドメイン、及びウイルスゲノムの複製に一役担うNTPアーゼと関連するヘリカーゼ活性を含むC末端ドメインを含む。
【0024】
「ポリタンパク質NS3/NS4」及び「ポリペプチドNS5b」については、もちろん全てのHCV株由来の天然アミノ酸配列を有するポリタンパク質及びポリペプチドだけでなく、その類似体、突然変異体及び相同体をも意味する。
【0025】
ポリタンパク質及びポリペプチドの「類似体」又は「突然変異タンパク質」については、所望とする活性を有するような、すなわち前記細胞媒介性の免疫応答を刺激することができる関連分子の生物学的に活性な誘導体を意味する。
【0026】
一般的に、用語「類似体」とは、天然のポリペプチド配列並びに1つ以上の付加、置換(一般的に天然では保存されている)及び/又はアミノ酸の欠失がある構造を有する化合物に、天然分子に比較して、改変が免疫原性の活性を破壊しない程度までで言及する。用語「突然変異タンパク質」については、特許出願PCT WO91/04282に記載されるような、ペプチドを疑似する1つ以上のエレメントを有するペプチド(ペプトイド)を意味する。好ましくは、類似体又は突然変異体は、少なくとも天然分子と同じ免疫活性を有する。ポリペプチド類似体及び突然変異体を作成する方法は、当該技術分野の技術者には既知であり、以下に記載する。
【0027】
特に好ましい類似体には、天然で保存されている置換、すなわちアミノ酸のファミリーで行なわれる置換が挙げられる。特異的に、アミノ酸は4つのファミリー、すなわち(1)アスパラギン酸やグルタミン酸といった酸性アミノ酸、(2)リジン、アルギニンやヒスチジンといった塩基性アミノ酸、(3)アラニン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニンやトリプトファンといった非極性アミノ酸、及び(4)グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、スレオニンやチロシンといった極性荷電アミノ酸に、一般的には分けられる。フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンは、時には芳香族アミノ酸として分類される。例えば、ロイシンがイソロイシン又はバリンに、アスパラギン酸がグルタミン酸に、スレオニンがセリンにといった隔離された置換、又は1個のアミノ酸が構造的に関係のある別のアミノ酸にという類似する保存的置換は、生物学的活性に主要な効果を有することはないものと、合理的に予見することができる。当該技術分野の技術者であれば、当該技術分野で周知であるHopp/ WoodsやKyte-Doolittle plotsを参照することにより、変更を許容することができる目的ペプチド分子の領域を容易に決定することができるであろう。
【0028】
「相同性」とは、ポリタンパク質やポリペプチドといった、2つのペプチド分子間の同一性の百分率を意味する。2個のアミノ酸配列は、その配列が少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80〜85%でもあり、より好ましくは少なくとも90%でもあり、そしてなおもより好ましくは少なくとも95〜98%又はそれ以上のペプチド分子の明確にした長さにわたる配列同一性を有する場合に、互いに「より高く又はより低く相同性」である。
【0029】
一般的に、用語「同一性」とは、2つのペプチド配列のアミノ酸とアミノ酸との正確な一致に言及する。同一性の百分率は、配列を整列し、2つの整列した配列間のミスマッチの正確な数を計数し、より短い配列の長さで割り、そしてその結果を100で掛けることによる2つの分子間の配列情報の直接比較によって、決定することができる。同一性の百分率は、Atlas of Protein Sequence and Structure M. O. Dayhoffed.におけるDayhoff, M. O.、1981年、補足5、3: 482-489、ALIGNといったコンピュータプログラムを用いて決定することもできる。
【0030】
HCV株及び分離株、並びに特にタンパク質NS3、タンパク質NS4及びポリペプチドNS5bのかなりの数の核酸及びアミノ酸配列は、すでに決定されている。
【0031】
例えば、分離株HCV−J1が、Okamoto H.ら、1992年、Nucleic Acids Res.、20: 6410-6410に記載されている。2つの独立したHCV分離株、すなわち分離株HCV−J及び−BKの完全なコード配列は、Katoら、1990年、Proc. Natl. Acad.、Sci.、87: 9524-9528及びTakamizawaら、1991年、J. Virol.、65: 1105-1113にそれぞれ記載されている。分離株HCV−1に関しては、Chooら、1990年、Brit. Med. Bull.、46: 423-441及びChooら、1991年、前記に記載されている。分離株HCV−Hは、Inchauspe G.ら、1991年、Proc. Natl. Acad. Sci.、88: 10292-10296に記載されている。分離株HCV−G9は、Okamoto H.ら、1994年、J. Gen. Virol.、45: 629-635に記載されている。分離株HCV−J6及び−J8は、Okamoto H.ら、1991年、J. Gen. Virol.、72: 2697-2704及びOkamoto H.ら、1992年、Virology、188: 331-341にそれぞれ記載されている。分離株HVC−BEBE1は、Nako H.ら、1996年、J. Gen. Virol.、141: 701-704に記載されており、そして分離株HCV−NZL1は、Sakamoto M.ら、1994年、J. Gen. Virol.、75: 1761-1768に記載されている。分離株HCV−Trに関しては、Chayama K.ら、1994年、J. Gen. Virol.、75: 3623-3628に記載されている。分離株HCV−ED43及び−EUH1480は、Chamberlain R. W.ら、1997年、J. Gen. Virol.、78: 1341-1347及びChamberlain R. W.ら、1997年、Biochem. Biophys. Res. Commun.、236: 44-49にそれぞれ記載されている。分離株HCV−EUHK2は、Adams A.ら、1997年、Biochem. Biophys. Res. Commun.、234: 393-396に記載されている。分離株HCV−VN235、−VN405及び−VN004は、Tokita H.ら、1998年、J. Gen. Virol.、79: 1847に記載されている。最後に、分離株HCV−JK049及び−JK046に関しては、Tokita H.ら、1996年、J. Gen. Virol.、77: 293-301に記載されている。
【0032】
HCV株及び分離株は、前記したように、異なる遺伝子型、すなわち遺伝子型1a(分離株HCV−1、−J1及び−H)、1b(分離株HCV−J及びBK)、1c(分離株HCV−G9)、2a(分離株HCV−J6)、2b(分離株HCV−J8)、2c(分離株HCV−BEBE1)、3a(分離株HCV−NZL1)、3b(分離株HCV−Tr)、4a(分離株HCV−ED43)、5a(分離株HCV−EUH1480)、6a(分離株HCV−EUHK2)、7b(分離株HCV−VN235)、8b(分離株HCV−VN405)、9a(分離株HCV−VN004)、10a(分離株HCV−JK049)及び11a(分離株HCV−JK046)を有していてもよい。
【0033】
本発明の一実施態様に従えば、NS3及び/又はNS4及び/又はNS5bは、異なる遺伝子型のウイルスに由来する。
【0034】
別の実施態様に従えば、NS3及び/又はNS4及び/又はNS5bは、同じ遺伝子型、好ましくは遺伝子型1bのウイルスに由来する。
【0035】
本発明のペプチド組成物に含まれるポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bは、天然由来であっても、組換え体由来であってもよい。
【0036】
天然由来のポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bは、HCV株又は分離株から、天然ウイルスの配列を増幅するように働く合成オリゴヌクレオチドプライマーを使用して、標的とするウイルスの遺伝子型に感染した患者の血清からか、又は例えば、患者の血液又は肝臓に、若しくは予め発現ベクターにおいて遊離又はクローン化された相補的DNAに、また若しくは生物学的試料若しくはin vitro増殖系から精製したウイルス粒子に由来するすでに精製したウイルスRNAからの遺伝子型から得られる。
【0037】
組換え体由来の本発明のポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bも、遺伝子工学技術により得られるが、これは以下の工程:
−前記ポリタンパク質NS3/NS4又は前記ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を用いて形質転換した微生物又は真核生物細胞の培養、及び
−前記微生物又は前記真核生物細胞により産生されるペプチドの回収
を含む。
【0038】
この技術は、当該技術分野の技術者には周知である。これに関してより詳しくは、以下の研究:Recombinant DNA Technology I、Editors Ales Prokop、Raskesh K Bajpai; Annals of the New-York Academy of Sciences、Volume 646、1991年を参照するとよい。
【0039】
ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列は、遺伝子工学的アプローチと併せた化学合成によってか、遺伝子工学単独によって、当該技術分野の技術者に周知であり、そして例えば、Sambrook J.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、1989年に記載された技術を用いて調製することができる。
【0040】
ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列は、本発明のペプチド組成物を得るために、適切な発現系で発現ベクターに挿入することができる。
【0041】
もちろん、ヌクレオチド配列は、単一の発現ベクターへも、又は2つの異なる発現ベクターへも挿入することができる。後者の場合は、ポリタンパク質NS3/NS4をコードする配列を2つのベクターのうちの一方に挿入し、そしてポリペプチドNS5bをコードする配列を他方のベクターに挿入するが、これらの2つのベクターは性質について同一であっても異なっていてもよい。
【0042】
このように、本発明の別の目的は、ポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列及びポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列、並びにそれらの発現に必要な手段を含む発現ベクターである。
【0043】
ペプチドの発現に必要な手段については、タンパク質、ポリタンパク質、ポリペプチド等といった全てのペプチド分子に用いられる用語、ペプチド、特にプロモーター、転写終結因子、複製起点、及び好ましくは選択マーカーを得ることを可能とする全ての手段を意味する。
【0044】
ペプチドの発現に必要な手段は、目的ペプチドをコードする核酸配列に、作動的に連結される。「作動的に連結する」とは、発現に必要な前記エレメントの、そして目的ペプチドをコードする遺伝子の並列を意味し、それらは予想される方法でそれらが機能できるような関係にある。例えば、付加塩基は、それらの機能的関係が保存される程度に、プロモーターと目的遺伝子の間に存在することができる。
【0045】
ペプチドの発現に必要な手段は相同な手段であってもよく、すなわち用いるベクターのゲノムに含まれるか、又は非相同であってもよい。後者の場合は、前記手段を、発現させる目的ペプチドと共にクローン化する。
【0046】
異種性のプロモーターの例としては、(i)ウイルス性プロモーター、例えばSV40プロモーター(サルウイルス40)、単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼ遺伝子のプロモーター(TK−HSV−1)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)のLTR、サイトメガロウイルス(CMV)の即時第1プロモーター及びアデノウイルス主要最終プロモーター(MLP)、並びに(ii)上記真核生物におけるペプチドをコードする遺伝子の転写を制御する全ての細胞プロモーター、例えばジホスホグリセリン酸キナーゼ遺伝子(PGK)の構成プロモーター(Adraら、1987年、Gene、60: 65-74)、平滑筋細胞に特異的な、肝臓特異的アルファ−1抗トリプシン及びFIX遺伝子及びSM22プロモーター(Moesslerら、1996年、Development、122: 2415-2425)が挙げられる。
【0047】
本発明の一実施態様に従えば、前記ポリタンパク質NS3/NS4及び前記ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列は、異なる遺伝子型に由来する。
【0048】
別の実施態様に従えば、前記ポリタンパク質及び前記ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列は、同じ遺伝子型、好ましくは遺伝子型1bのウイルスに由来する。
【0049】
ここでまた、「ヌクレオチド配列」については、前記したように、天然ポリタンパク質NS3/NS4及び天然ポリペプチドNS5bだけでなく、それらの類似体、突然変異タンパク質及び相同体をコードする配列全てを意味する。
【0050】
発現ベクターに含まれる前記配列は、直接的に単一のプロモーター及び/又は単一の発現調節エレメントの制御下に連結されてもよいし、又はそれぞれ独立して同一の又は異なる発現プロモーター及び/又はレギュレーターに依存して、分離していてもよい。
【0051】
本発明の目的にとって適切な発現ベクターとしては、例えば、プラスミド、アデノウイルス型ウイルスベクター、ポックスウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス、サルモネラ型細菌ベクター、BCGを挙げることができる。
【0052】
アデノウイルスは、多くの動物種で検出されているが、組み込みはせず、そして病原性はほんのわずかである。それらは種々の細胞型、分割中の細胞及び静止時の細胞に感染することができる。それらは、気管支上皮への天然指向性を有する。さらに、それらは長年にわたり腸内の生ワクチンとして、極めて安全な特性をもって使用されてきた。最後に、それらは容易に増殖させることも、大量に精製することもできる。これらの特徴は、アデノウイルスが特に発現ベクターとして、そして特に治療目的やワクチンのための遺伝子治療ベクターとしての使用に適切であることを意味する。
【0053】
好ましい実施態様によれば、本発明のベクターは、アデノウイルスである。
【0054】
本発明に用いられるアデノウイルスの例は、ヒト又は動物起源のいかなる源に由来するものであってもよく、特にイヌ起源(例えば、CAV−1又はCAV−2;それぞれGenbank CAV1GENOM及びCAV77082を参照のこと)、トリ起源(Genbank AAVEDSDNAを参照のこと)、ウシ起源(例えば、BAV3、Seshidhar Reddyら、1998年、J. Virol.、72: 1394-1402)、ヒツジ、ネコ、ブタ起源、サル起源、又はそれらのハイブリッドのいずれかに由来するものであってもよい。いかなる血清型を用いてもよい。しかし、ヒト起源のアデノウイルス、特にアデノウイルス5(AdIV)が好ましい。
【0055】
一般的に、前記したウイルスは、ATCCコレクションズから入手可能であり、そしてその配列、その機構及びその生物学を記載するたくさんの刊行物の題材があり、それにより当該技術分野の技術者が容易にそれらを用いることが可能である。例えば、アデノウイルスの型5の配列は、Genbankデータベース(M73260及びM29978)に記載されており、そして参照により本明細書中に取り込まれている。
【0056】
アデノウイルスのゲノムは、ウイルスサイクルの終結に必要な約30遺伝子より多い約36kbを担持する2本鎖直鎖DNA分子により構成される。第1の遺伝子は、アデノウイルスのゲノムに分散している4つの領域に分割されている(E1〜E4)。E1、E2及びE4領域は、ウイルス複製に必要不可欠である。E3領域は、突然変異体ウイルスが自然に生じること、又はこのE3領域を失ったハイブリッドウイルスは培養細胞中で野生型ウイルスのように複製し続けるという観察に基づくと、必要不可欠な領域ではないと見なされる(Kelly及びLewis、1973年、J. Virol.、12: 643-652)。最後の遺伝子(L1〜L5)は、主にウイルスキャプシドを構成する構造遺伝子をコードする。それらは、少なくとも部分的に第1転写ユニットに重なり、そして単一のプロモーターから転写される(主要な後のプロモーターについては、MLP)。さらに、アデノウイルスゲノムは、DNA複製に必要不可欠なシスに働く領域の2つの末端で、5’及び3’の反転した末端反復(ITRs)並びにパッケージング配列をそれぞれ担持する。
【0057】
現在、遺伝子治療プロトコールで用いられているアデノウイルスは、E1領域の大部分をはぎとり、その複製のレベルでウイルスを不完全とし、そのため環境や宿主生物体においてその伝播が避けられている。さらに、ほとんどのアデノウイルスは、E3領域もはぎとり、そのクローニング能を増大させている。これらのベクターを用いた遺伝子移入の可能性は、種々の組織においてin vivoで実証されている(例えば、Yeiら、1994年、Hum. Gene Ther.、5: 731-744; Daiら、1995年、Proc. Natl. Acad Sci. USA、92: 1401-1405; US6,099,831; 及びUS6,013,638を参照のこと)。
【0058】
好ましくは、発現ベクターとしてアデノウイルスに用いられるプロモーターは、CMVやSV40プロモーターといった異種性のプロモーターである。
【0059】
また好ましくは、CMVプロモーターはポリタンパク質NS3/NS4のプロモーターであり、そして発現ベクターは該ポリタンパク質をコードするヌクレオチド配列として、発現カセットCMV−NS3−NS4を含む。
【0060】
「発現カセット」とは、ベクターに挿入される、目的ペプチドの発現のためのプロモーター及びオープンリーディングフレームを含むDNA配列を意味する。
【0061】
また好ましくは、SV40プロモーターはポリペプチドNS5bのプロモーターであり、そして発現ベクターは該ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列として、発現カセットSV40−NS5bを含む。
【0062】
本発明の一実施態様に従えば、アデノウイルスのゲノムは、E1領域が発現カセットCMV−NS3−NS4により置換され、そしてE3領域が発現カセットSV40−NS5bにより置換されるように改変されている。
【0063】
発現ベクターへのDNA配列の抑制及び/又は挿入の方法は、当該技術分野の技術者に周知であり、そして特に、酵素消化及び連結の工程からなる。
【0064】
本発明の目的に特に適切な別の発現ベクターはポックスウイルスであり、これは本発明の別の実施態様を構成する。
【0065】
ポックスウイルスは、外皮に包まれた複合体ウイルスのグループを構成し、その通常の形態、その大きいDNAゲノム及びその細胞質複製部位は主に異なっている。ポックスウイルス(poxviridae)の数個のエレメントのゲノムは、ワクシニアウイルス(VV)のコペンハーゲン株(Goebelら、1990年、Virol.、179: 247-266及び517-563)、及び改変されたワクシニアウイルスアンカラ(MVA)株(Antoineら、1998年、Virol.、244: 635-396)を含み、マッピングされ、そして配列決定されている。VV株は約200個のタンパク質をコードする約192kbの2本鎖DNAゲノムを保有しており、そのうち約100個はウイルスの組立に関与している。MVA株は、ワクシニアウイルス株を高度に弱毒化した株であり、トリ胚繊維芽細胞上での500継代を越える一連のワクシニアウイルスアンカラ株(CVA)によって産生された(Mayrら、1975年、Infection、3: 6-16)。MVAウイルスは、the Collection Nationale de Cultures de Microorganismes(CNCM)に番号1−721で、寄託されている。MVAゲノムの完全な配列の決定及びVVのものとの比較により、ウイルスゲノムにある変更の正確な同定、並びに断片化したオープンリーディングフレームに至る、7個の欠失(I〜VII)及び多数の突然変異の決定が可能となる(Antoineら、1998年、Virology、244: 365-396)。
【0066】
本発明の目的に適切なポックスウイルスの他の例としては、カモポックス、家禽ポックス、ウシポックス、昆虫ポックス、サルポックス、ブタポックス及びペンギンポックスが挙げられる。
【0067】
ポックスウイルスには、2つの形態学的に異なる型が見いだされており、細胞内成熟ウイルス(IMV)及び外皮に包まれた細胞外ウイルス(EEV)と称する。
【0068】
本発明の発現ベクターとして用いられるポックスウイルスは、以下の特徴:
(i)ポックスウイルスが、MVAウイルスであること、
(ii)ポックスウイルスが、IMV形態の型であること、及び
(iii)ポックスウイルスのゲノムが、発現カセットNS3/NS4が挿入され、そして発現カセットNS5bが挿入されるように改変されていること
のうちの少なくとも1つを、単独又は組み合わせで有する。
【0069】
ポックスウイルスのゲノムに目的の2つのカセットを挿入するように改変する際は、その発現に必要な手段は相同性となる。このように、MVAウイルスを用いる場合は、NS3/NS4の発現は、例えばプロモーターph5rの制御下に、対応する発現カセットがph5r−NS3−NS4となるようにすることができ、そしてNS5bの発現は、例えばプロモーターp7.5の制御下に、対応する発現カセットがp7.5−NS5bとなるようにすることができ、そして逆もまた同じである。
【0070】
特別な実施態様に従えば、ポックスウイルスのゲノムを2つの目的カセットを挿入するように改変する際は、2つの該発現カセットを同じ方向に志向させる。
【0071】
別の特別な実施態様に従えば、それらは反対の方向に志向させられる。
【0072】
ここでも、発現カセットは、ポックスウイルスのゲノム中へ当該技術分野の技術者に既知の方法で、前記したように挿入される。
【0073】
本発明のベクターは、特別な細胞区画に向けたペプチドを標的とするのに必要な配列を含むこともできる。標的とする例は、アデノウイルスのタンパク質E3に由来するリーダー配列型のアドレス配列を用いて得られる小胞体に向けての標的とすることである(Ciernik I.F.ら、The Journal of Immunology、1999年、162、3915-3925)。
【0074】
それらはまた、樹状細胞に向けた標的とするために、そして細胞の膜での標的とするために、必要な配列を含むこともできる。
【0075】
本発明の目的はまた、本発明の発現ベクターにより形質転換した微生物及び真核生物細胞でもある。
【0076】
本発明の目的に適した微生物の例としては、酵母を挙げることができるが、例えば以下のファミリー:Saccharomyces、Schizosaccharomyces、Kluveromyces、Pichia、Hanseluna、Yarrowia、Schwantomyces、Zygosaccharomyces、Saccharomyces cerevisiae、Saccharomyces carlsbergensis及びKluveromyces lactisのものが好ましく、そして細菌、例えばE.coli、そして以下のファミリー:Lactobacillus、Lactococcus、Salmonella、Streptococcus、Bacillus及びStreptomycesのものが挙げられる。
【0077】
真核生物細胞の例としては、ほ乳類、は虫類、昆虫及びそれに相当するものなどの動物に由来する細胞が挙げられる。好ましい真核生物細胞は、チャイニーズハムスター(CHO細胞)、サル(COS及びVero細胞)、ベビーハムスター腎臓(BHK細胞)、ブタ腎臓(PK15細胞)及びウサギ腎臓(RK13細胞)、ヒト骨肉腫細胞系(143B)、HeLaヒト細胞系及びヒト肝癌細胞系(Hep G2型細胞)、並びに昆虫細胞系(例えば、Spodoptera frugiperda)由来の細胞が挙げられる。
【0078】
宿主細胞は、懸濁で又はフラスコ内での培養で、組織培養、器官培養やそれに等しいものとして、提供される。宿主細胞は、トランスジェニック動物であってもよい。
【0079】
本発明はまた、前記本発明のペプチド組成物のいずれか、又は前記本発明の発現ベクターのいずれかに対する抗体にも関する。
【0080】
本発明に従った抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよい。
【0081】
前記ポリクローナル抗体は、動物を、「目的の抗原」として本発明のペプチド組成物で、又は本発明のベクターで免疫化し、その後該動物の血清をサンプリングすることにより、精製した形で狙った抗体の回収をし、そして抗体が特異的に認識する抗原、特には目的のウイルス抗原を固定したカラムでアフィニティークロマトグラフィーを特にすることにより、血清中の他の成分から該抗体を分離して、得ることができる。
【0082】
モノクローナル抗体は、ハイブリドーマ技術によって得ることができ、その一般的原理を以下に再度記載する。
【0083】
第1の工程では、動物、一般的にはマウスを、(又はin vitro免疫化の枠組みでの培養の細胞を)、「目的の抗原」として本発明のペプチド組成物で、又は本発明のベクターで免疫化し、それによりそのBリンパ球は該抗原に対する抗体を産生することができる。そして、これらの抗体産生リンパ球を「不死の」ミエローマ細胞(例えば、マウスの)と融合させ、ハイブリドーマを産生する。そして、このようにして得られた細胞の異種性混合物から、特別な抗体を産生し、不確定に増殖することができる細胞の選択がなされる。各ハイブリドーマをクローンの型で増殖させると、それぞれモノクローナル抗体を産生することとなり、目的の抗原に対する認識特性は、例えばELISA、1以上の次元でのイムノトランスファー、免疫蛍光により、又はバイオカプターを用いて、試験することができる。このようにして選択したモノクローナル抗体を、その次に特には前記アフィニティークロマトグラフィー技術に従って、精製する。
【0084】
ペプチド組成物、発現ベクター、前記ポリタンパク質NS3/NS4及び前記ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列、並びに本発明の抗体は、HCVウイルスを保因する患者の感染の阻害、予防及び制御に特に有効であり、医薬の調製のためのそれらの使用は、本発明の別の目的を構成する。
【0085】
本発明はまた、有効性分として本発明のペプチド組成物、又は本発明の発現ベクター、又はポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を、ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列若しくは該ポリタンパク質NS3/NS4及び該ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴って、含む発現ベクターを含有する薬学的組成物、特にワクチンにも関し、本発明の発現ベクターに含まれる配列に対応する前記ヌクレオチド配列は、本発明の前記ペプチド、又は少なくとも1つの抗体から構成され、及び/又は誘導されうる発現に必要なエレメントの制御下に置かれている。
【0086】
ペプチドの構成的な発現に必要なエレメントとは、真核生物細胞に遍在するか又は特異的なプロモーターを意味する。
【0087】
ペプチドから誘導されうる発現に必要なエレメントとしては、テトラサイクリン耐性のためのE.coliのオペロンの調節エレメントが挙げられる(Gossen M.ら、Proc Natl Acad Sci USA、89: 5547-5551(1992年))。
【0088】
本発明の特別な実施態様に従えば、薬学的組成物は薬学的に適切な媒体も含む。もちろん、当該技術分野の技術者であれば、容易に薬学的に適切な媒体の性質及び薬学的組成物の成分の作用として用いられるポリペプチドの量を決定することができるであろう。
【0089】
薬学的に適切な媒体の量及び性質は、当該技術分野の技術者によれば容易に決定することができる。それらは、所望とする剤形及び投与方法に従って、選択される。
【0090】
本発明の薬学的組成物は、経口、舌下、皮膚下、筋肉内、静脈内、局所的、局所性、気管内、鼻腔内、経皮、直腸、眼内、耳介内投与に適しており、前記有効成分は投与の単位剤形で投与することができる。
【0091】
投与の単位剤形は、例えば錠剤、ゼラチンカプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤若しくは注射可能な経口懸濁剤、経皮パッチ剤、舌下、頬側、気管内、眼内、鼻腔内、耳介内の、又は吸入投与の形、局所的、経皮、皮膚下、筋肉内若しくは静脈内投与の形、直腸投与の形又は植込錠であってもよい。局所投与については、クリーム剤、ゲル剤、軟膏、ローション剤又は洗眼液が予想される。
【0092】
これらの生薬の形は、当該技術分野で慣用の方法に従って、調製される。
【0093】
前記単位剤形は、製剤形態に従って、体重1kg当たり0.001〜10mgの有効成分が一日に投与されるように、服用される。
【0094】
より高い又はより弱い服用が適する特別な場合もあり、本発明の範囲はこのような用量を超えない。通常の治療によれば、各患者に適した用量は、投与方法、患者の体重や応答に従って、医師により決定される。
【0095】
本発明の別の実施態様に従えば、本発明はまた、C型肝炎と関連する症状の治療法にも関し、これは有効量の本発明の医薬を患者に投与することを含む。
【0096】
本発明の薬学的組成物は、予防的及び治療的ワクチン接種において有用となるように、好ましくは有効成分として、本発明のベクター、又はポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を、ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴って、含む発現ベクターのいずれかを含有する。
【0097】
予防的及び治療的ワクチン接種は、本発明の1以上の発現ベクターに基づくワクチンを、発現ベクター又はベクターが最終的に有効成分としてポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードする程度に、注射することにより実行することができ、該注射は追加免疫しても、又はしなくてもよい。最初にアデノウイルスを、そしてポックスウイルスを、同時に又は別々に、そして逆もまた同様に、本発明の発現ベクターの2つの異なる型を注射して実行してもよい。
【0098】
これらのベクターを、薬学的キットに含ませてもよい。
【0099】
また、本発明の別の目的は、ポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現ベクター及びポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現ベクターを含む薬学的キット、特にワクチンのものである。
【0100】
本発明の別の目的は、前記アデノウイルス型の少なくとも1つの発現ベクター及び/又は前記ポックスウイルス型の少なくとも1つの発現ベクターを含む薬学的キット、特にワクチンのものである。
【0101】
予防的及び治療的ワクチン接種はまた、本発明の少なくとも1つの発現ベクター、又はポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を、ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴って、含む発現ベクター、そして本発明のペプチド組成物又は本発明の抗体により構成される本発明の少なくとも1つの薬学的組成物に基づいたワクチンの接種により実行することができる。本発明の少なくとも1つの発現ベクター、又はポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を、ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴って、含む発現ベクター、そしてポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列に基づいたワクチンの接種によっても実行することができる。
【0102】
また、本発明の別の目的は、本発明の少なくとも1つの発現ベクター、又はポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を、ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴って、含む発現ベクター、そして本発明の少なくとも1つの薬学的組成物又はポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む薬学的キット、特にワクチンのものである。
【0103】
本発明は以下の実施例を用いてより深く理解されるであろうが、それらは説明の手段としてのみ与えられるものであり、限定的なものではなく、また添付の図1〜7を用いており、ここで:
−図1A〜1Kは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている、
−図2A〜2Hは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている、
−図3は、エピトープGLLを用いて培養の脾細胞を刺激し、そしてCTLターゲットを負荷し、そしてその結果、エフェクター/ターゲット比率の関数として、特異的な溶解百分率を表すCTL試験(図3A)によるか、又はエピトープGLLに特異的なELISPOT試験(図3B)によって、結果をスポット/10細胞個の数で示し、アデノウイルスAdNS3NS4により誘導された細胞の応答を示している、
−図4は、エピトープALY及びKLPに特異的な試験ELISPOTによって、アデノウイルスAdNS5bにより誘導された細胞の応答を示している、
−図5は、エピトープDLMを用いて培養の脾細胞を刺激し、そしてCTLのターゲットを負荷し、そしてその結果、エフェクター/ターゲット比率の関数として、特異的な溶解百分率を表すCTL試験により、アデノウイルスAdCE1E2により誘導された細胞の応答を示している、
−図6は、異なるアデノウイルスの組合わせ:AdNS3NS4+AdNS5b(第1のグループ)、アデノウイルスAdNS3NS4+AdNS5b+AdNS5a(第2のグループ)、アデノウイルスAdNS3NS4+AdNS5b+AdCE1E2(第3のグループ)及びアデノウイルスAdβGal(第4のグループ)により免疫化した8匹のマウスの4つのグループについて、pfu/ml/mg卵巣での、トライアル試験による結果から、組換えワクシニアウイルスのタイターを示す、
−図7は、以下の異なるアデノウイルスの組合わせ:AdNS3NS4NS5b(第1のグループ)、AdNS3NS4+AdNS5b(第2のグループ)及びAdβGal(第3のグループ)により免疫化した8匹のマウスの3つのグループについて、pfu/ml/mg卵巣での、トライアル試験による結果から、組換えワクシニアウイルスのタイターを示す。
【0104】
実施例1:本発明に従った、タンパク質NS3/NS4及びNS5bを発現することができるアデノウイルスの調製
1.アデノウイルス
組換えアデノウイルスを、PacIによるゲノムの直線化後、相補性系293(Graham、Smileyら、1977年)のトランスフェクションにより産生する。組換えウイルスを増殖させ、この同じ系について増幅させ、そして感染した細胞からそれらの精製を行う。細胞を遠心分離(1500rpm、10分)して回収し、3回の凍結/解凍サイクルにより溶解させる。細胞ライセートを2回遠心分離(2000rpm、10分;8000rpm、15分)して清澄にし、次に2回連続して超遠心分離して精製する。最初に、塩化セシウム勾配(密度1.4及び1.25)を、30,000rpmで1時間実施した。第2に、塩化セシウムクッション(密度1.34)を、35,000rpmで18時間実施した。ビリオンを含有する相を除去し、そして60%ショ糖緩衝液で半分に希釈する。次に、ウイルス懸濁液をフォーミュレーション緩衝液(10リットルについて、3423gのショ糖;12.11gのTris;2.033gのMgCl;87.7gのNaCl)に対して透析し、そしてアリコートとする。それらの滴定は、異なるウイルス希釈で感染した293個の細胞についての間接免疫蛍光により実施し、アデノウイルスのDNA結合タンパク質(α72K B6−8)に特異的な抗体によりマークする(Reich、Sarnowら、1983年)。
【0105】
2.アデノウイルスAdNS3NS4の調製
このアデノウイルスは、CMVプロモーターの制御下で、ポリタンパク質NS3/NS4(配列番号1及び2)をコードする遺伝子を発現することができる。
【0106】
2.1ポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列のPCR増幅
これをするために、以下のオリゴヌクレオチド:
【0107】
【表1】

【0108】
、及び以下の試薬:
Taq DNAポリメラーゼ、PCR緩衝液、MgCl 1.5mM及びdNTP 10mM(Invitrogen)を用いた。
【0109】
PCR条件は、以下のように:
94℃で5分、次に
シリーズ:94℃で45秒、62℃で45秒及び72℃で1分、を30サイクル、そして
72℃で10分
とした。
【0110】
2.2転移プラスミドpTG13387へのPCR断片NS3/NS4の挿入
以下の工程:
−プラスミドpTG13387(図1A、Transgene)を、NheI/MluI(NheI、Invitrogen、反応4緩衝液中、そしてMluI、Invitrogen、反応3緩衝液中)により酵素消化、
−断片NS3/NS4を、NheI/MluIにより酵素消化、
−反応緩衝液(Invitrogen)中でライゲーション(T4 DNAリガーゼ(Invitrogen))、
−細菌の形質転換(株5K、(Transgene))、
−細菌クローンの、LB培地(Difco)+アンピシリン(100μg/ml、Duchefa)での選択、
−制限分析後の陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen、製造者のプロトコールに従う)、
−制限分析:SmaI(Invitrogen、反応4緩衝液中)による消化、及び断片:5450、2164、909、214及び180bpの獲得、
−そのE1領域から欠失し、CMVプロモーターの制御下で配列NS3/NS4を含むプラスミドpIV315の取得(図1B)
を実施した。
【0111】
2.3プラスミドpTG6624に含まれるそのE3領域から欠失した完全なアデノウイルスのゲノムとの相同性の組換え
以下の工程:
−前記獲得したプラスミドpIV315を、PacI/PvuI(PacIはNEB1緩衝液中、Biolabs及びPvuIは反応7緩衝液中、Invitrogen)により酵素消化;カセットpCMV−NS3−NS4を含む断片のアガロースゲルでの単離、
−プラスミドpTG6624(図1C)を、ClaI(反応1緩衝液中、Invitrogen)により酵素消化、
−細菌の形質転換(株BJ、(Transgene)、2つのプラスミド断片間での相同性の組換えを実施するため)、
−細菌クローンの、LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析後の陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−制限分析:SmaIによる消化、及び断片:2263、621、3814、214、2164、909、180、2463、6480、1398、4456、1455、3540、3386、230及び3685bpの獲得、
−そのE3及びE1領域から欠失し、後者を発現カセットpCMV−NS3−NS4で置換した完全なアデノウイルスのゲノム、アデノウイルスAdNS3NS4の獲得(pIV317、図1D)
を実施した。
【0112】
3.アデノウイルスAdNS3NS4NS5bの調製
このアデノウイルスは、CMVプロモーターの制御下で、ポリタンパク質NS3/NS4をコードする遺伝子の発現を、そしてSV40プロモーターの制御下でポリペプチドNS5bをコードする遺伝子の発現をすることができる。
【0113】
3.1アデノウイルスのE3領域で、コード配列のクローニングをすることができる転移プラスミドの、CMVプロモーターの制御下での構築
以下の工程:
−プラスミドpTG4664(図1E、Transgene)を、BglII(反応3緩衝液中、Invitrogen)により酵素消化、
−プラスミドpTG3074(図1F、Transgene)を、BamHI/BglII(反応3緩衝液中、Invitrogen)により酵素消化、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(株5K)、
−細菌クローンの、LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析後の陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−制限分析:SmaIによる消化、及び断片:4940、1305及び230bpの獲得、
−プラスミドpIV267の獲得(図1G)、
−このようにして得たプラスミドpIV267の、ClaI/MunI(反応1緩衝液中、Invitrogen)による消化、
−DNAポリメラーゼI、大きい(クレノウ)断片(反応2緩衝液中、Invitrogen)による処理、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、
−細菌の形質転換(株5K)、
−細菌クローンの、LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−プラスミドの最大調製(Qiagen)、
−制限分析:SmaIによる消化、及び断片:4692、1305及び230bpの獲得、
−プラスミドpIV270、アデノウイルスのE3領域で、コード配列を、CMVプロモーターの制御下にクローニングをすることができる転移プラスミドの獲得(図1H)、
を実施した。
【0114】
3.2pIV270における、CMVプロモーターのSV40プロモーターによる置換
以下の工程:
−SV40プロモーターに対応するヌクレオチド断片を、市販のプラスミドpcDNAHygro(Clontech)から、以下のオリゴヌクレオチド:
【0115】
【表2】

【0116】
を用いて、温度を62℃の代わりに58℃とした以外は、前記ポイント2.1に記載の手順に従って、PCR増幅、
pIV270を、BglII/SalI(反応10緩衝液中、Invitrogen)により酵素消化、
−PCR断片を、BglII/SalIにより酵素消化、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(株5K)、
−細菌クローンの、LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析後の陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−制限分析:SmaIによる消化、及び断片:4692、719、80及び230bpの獲得、
−プラスミドpIV330、アデノウイルスのE3領域で、コード配列を、SV40プロモーターの制御下にクローニングすることができる転移プラスミドの獲得(図1I)、
を実施した。
【0117】
3.3PCR断片NS5bの、転移プラスミドpIV330への挿入
以下の工程:
−タンパク質NS5bをコードするヌクレオチド配列(配列番号3及び4)を、以下のヌクレオチド:
【0118】
【表3】

【0119】
を用いて、温度を62℃の代わりに60℃とした以外は、前記ポイント2.1に記載の手順に従って、PCR増幅、
−前記で得たプラスミドpIV330を、XbaI(反応2緩衝液中、Invitrogen)により酵素消化、
−PCR断片を、XbaIにより酵素消化、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(株5K)、
−細菌クローンの、LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析後の陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−制限分析:SmaIによる消化、及び断片:4692、1505、760、719及び230bpの獲得、
−プラスミドpIV336、E3欠失に配列NS5bを含み、SV40プロモーターの制御下にある転移プラスミドの獲得(図1J)、
を実施した。
【0120】
3.4組換えアデノウイルスのゲノムpIV317を用いた相同性組換えによる、表題アデノウイルスの獲得
以下の工程:
−前記ポイント2.3で獲得したプラスミドpIV317を、SrfI(ユニバーサル緩衝液中、Stratagene)により消化、
−ポイント3.3で獲得したプラスミドpIV336を、NheI/SacII(緩衝液T中、Amersham Pharmacia Biotech)により消化、及びアガロースゲルでのカセットpSV−NS5bを含む断片の単離、
−2つのプラスミド間の相同性組換えを実施するための、細菌の形質転換(株BJ)、
−細菌クローンの、LB培地+アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析後の陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−制限分析:SmaIによる消化、及び断片:6480、4456、3814、3540、3386、2739、2463、2263、2164、1455、1398、1105、909、760、719、621、230、214及び180bpの獲得、
−E1領域から欠失して、後者を発現カセットpCMV−NS3−NS4で置換し、そしてE3領域から欠失して、後者を発現カセットpSV−NS5Bで置換した、所望とする完全なアデノウイルスのゲノムの獲得(プラスミドpIV342、図1K)、
を実施した。
【0121】
4.異なるアデノウイルスへ挿入した抗原の発現の確認
アデノウイルスAdNS3NS4、AdNS5b及びAdNS3NS4NS5bによりコードされるHCV抗原の発現を、Huh7細胞の感染後、ウェスタンブロットにより検証した。
【0122】
予想通り、全ての抗原が発現した。
【0123】
実施例2:本発明に従った、タンパク質NS3/NS4及びNS5bを発現することができるポックスウイルスの調製
1.MVAポックスウイルス
改変ウイルスアンカラMVATG N33の株を、TRANSGENE S. A.(フランス国ストラスブール)により提供した。
【0124】
2.ph5rプロモーターの制御下の、遺伝子NS3/NS4を発現することができる転移プラスミドの調製
2.1MVAの組換えアームBRG2及びBRD2、並びにプロモーターph5r(MVA)制御下の選択遺伝子GPT、その後に続く目的遺伝子を発現させるための第2のプロモーターph5rを含むpIV250ベクターの構築
この目的では、断片ph5r−GPT−BRG3−ph5r(プラスミドpTG9997に由来する、Transgene)を、組換えアームBRG2及びBRD2を含むプラスミドpTG6018(Transgene)へ挿入することが、所望とされる。
【0125】
これをするために、以下の工程:
−BamHI/SacI(反応2緩衝液中、Invitrogen)により、ベクターpTG6018を酵素消化(図2A)、
−プラスミドpTG9997を、BamHIにより酵素消化、次にSacIにより部分的に消化(図2B)、
−ph5r−GPT−BRG3−ph5rをコードする配列を含む1047bpの制限断片を、QIAGENのプロトコルに従って精製、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(株TG1、Stratagene)、
−細菌クローンの、アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析(EcoRV+HidIII(反応2緩衝液中、Invitrogen):246、439、476、826及び2789bpの断片;SacI:915及び3861bpの断片)後の陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−狙ったプラスミドの獲得(pIV250、図2C)、
を実行した。
【0126】
2.2タンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列のPCR増幅
以下のオリゴヌクレオチド:
【0127】
【表4】

【0128】
を用いて、温度を62℃の代わりに52℃とした以外は、前記実施例1のポイント2.1の手順に従った。
【0129】
2.3プラスミドpIV250へのPCR NS3−NS4断片の挿入
これをするために、以下の工程:
−前記ポイント2.1で獲得したプラスミドpIV250の、PstI(反応2緩衝液中、Invitrogen)/XbaIによる酵素消化、
−PCR断片NS3/NS4の、PstI/XbaIによる酵素消化、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(株TG1)、
−細菌クローンの、アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析:(HindIII(反応2緩衝液中、Invitrogen):4763及び2789bpの断片;SphI(反応6緩衝液中、Invitrogen):1534及び5991bp;NcoI(反応3緩衝液中、Invitrogen):2764及び4761bp)後、陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−プロモーターph5rの制御下で、ポリタンパク質NS3/NS4をコードする配列を含む転移プラスミドの獲得(pIV327、図2D)
を実施した。
【0130】
3.p7.5プロモーターの制御下で、タンパク質NS5bを発現させるプラスミドpIV328の調製
3.1タンパク質NS5bをコードするヌクレオチド配列のPCR増幅
以下のヌクレオチド:
【0131】
【表5】

【0132】
を用いて、温度を62℃の代わりに52℃とした以外は、前記実施例1のポイント2.1の手順に従った。
【0133】
3.2プラスミドの獲得
以下の工程:
−NS5bをコードするPCR断片の、SalI/SphIによる酵素消化、
−pTG186(図2E、Transgene)の、SalI/SphIによる酵素消化、
−ベクターpTG186(ROCHEアルカリホスファターゼ)の脱リン酸、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(株TG1)、
−細菌クローンの、アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析:(HidIII:1984、2627及び4437bpの断片;BglII:321、557、1361、1451、2237及び3121bpの断片;KpnI(反応4緩衝液中、Invitrogen):2787及び6261bpの断片)後、陽性クローンのプラスミド最大調製(Qiagen)、
−p7.5プロモーターの制御下で、ポリペプチドNS5bをコードする配列を含む転移プラスミドの獲得(pIV328、図2F)、
を実施した。
【0134】
4.ph5rプロモーターの制御下でポリタンパク質NS3/NS4をコードする遺伝子を、そしてp7.5プロモーターの制御下でポリタンパク質NS3/NS4をコードする遺伝子を発現させる転移プラスミドpIV329及びpIV344の調製
これをするために、以下の工程:
−タンパク質NS5bをコードするヌクレオチド配列を、前記ポイント3.2で獲得したプラスミドpIV328から、以下のオリゴヌクレオチド:
【0135】
【表6】

【0136】
を用いて、温度を62℃の代わりに52℃とした以外は、前記実施例1のポイント2.1の手順に従ったPCR増幅、
−PCR断片を、XbaIにより酵素消化、
−前記ポイント2.3で獲得したプラスミドpIV327を、XbaIにより酵素消化、
−ライゲーション(T4 DNAリガーゼ)、細菌の形質転換(株TG1)、
−細菌クローンの、アンピシリン(100μg/ml)での選択、
−制限分析:(PstI:pIV329:3033及び6466bpの断片、pIV344:4641及び4858bpの断片;ApaI(反応4緩衝液中、Invitrogen):pIV329:454、960及び8085bpの断片、pIV344:454、1418及び7627bpの断片;NcoI:pIV329:4269、469及び4761bpの断片、pIV344:3053、1685及び4761bpの断片;SmaI:pIV329:214、2164、1444及び5677bpの断片、pIV344:214、2164、928及び6193bpの断片)後、2つの陽性クローンのプラスミドの最大調製(Qiagen)、
−ph5rプロモーターの制御下でポリタンパク質NS3/NS4を、そしてp7.5プロモーターの制御下でタンパク質NS5bを発現させる転移プラスミドであって、2つの発現カセットが同じ方向に置かれているものか(pIV329、図2G)、又はph5rプロモーターの制御下でポリタンパク質NS3/NS4を、そしてp7.5プロモーターの制御下でタンパク質NS5bを発現させる転移プラスミドであって、2つの発現カセットが反対の方向に置かれているもの(pIV344、図2H)の獲得、
を実施した。
【0137】
5.異なるポックスウイルスへ挿入した抗原の発現の確認
Huh7細胞を、ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードする配列を含むポックスウイルスpIV329及びpIV344に関するポックスウイルスで感染後、発現した前記HCV抗原を、ウェスタンブロットにより確認した。
【0138】
実施例3:NS3/NS4及びNS5bの組合せの免疫原性の実証
1.マウスの免疫化
HLA−A2.1トランスジェニックマウスを、一旦、以下のアデノウイルス:
−前記実施例1(ポイント2.3)で調製したAdNS3NS4、
−前記実施例1(ポイント3.3)で調製したAdNS5、
−以下のヌクレオチドプライマー:
【0139】
【表7】

【0140】
を用いて、ポリペプチドNS5aをコードするヌクレオチド配列(配列番号5及び6)を増幅し、PCR温度を56℃の代わりに62℃とし、pTG13387及び断片NS5aの酵素消化をKpnI/XbaIにより、180及び7251bpの断片を産生するpTG13387を、そして2263、621、5615、180、2463、6480、1398、4456、1455、3540、3386、230及び3685bpの断片を産生するpTG6624をSmaIにより消化する制限分析を実施した以外は、実施例1のポイント2の手順に従って調製したAdNS5a、
−以下のヌクレオチドプライマー:
【0141】
【表8】

【0142】
を用いて、コア−E1−E2ポリタンパク質(CE1CE2とも称する)をコードするヌクレオチド配列(配列番号7及び8)を増幅し、PCR温度を56℃の代わりに62℃とし、pTG13387及び断片CE1CE2の酵素消化をNheI/XbaIにより、163、435、2270、180及び5254bpの断片を産生するpTG13387を、そして2263、621、3618、163、435、2270、180、2463、6480、1398、4456、1455、3540、3386、230及び3685bpの断片を産生するpTG6624をSmaIにより消化する制限分析を実施した以外は、実施例1のポイント2の手順に従って調製したAdCE1CE2、
−前記実施例1(ポイント3)で調製したAdNS3NS4NS5b、及び
−AdβGal(Transgene)
から選択される少なくとも1つのアデノウイルスを筋肉注射して、そして以下のプロトコル:
−AdNS3NS4を10pfu、又は
−AdNS5bを10pfu、又は
−AdCE1E2を10pfu、又は
−AdNS3NS4を10pfu及びAdNS5bを10pfu、又は
−AdNS3NS4を10pfu、AdNS5bを10pfu及びAdNS5aを10pfu、
−AdNS3NS4を10pfu、AdNS5bを10pfu及びAdCE1E2を10pfu、
−AdNS3NS4 NS5bを10pfu、又は
−コントロールとして、Adβ−Galを10pfu
に従って、免疫化した。
【0143】
免疫化の前に、免疫化に用いた異なるアデノウイルスによるHCV及びβ−Gal抗原の発現を、ウェスタンブロットにより検証した。
【0144】
2.CTL及びELISPOT試験
感染後15日で、マウスの脾臓細胞(脾細胞)を単離して、細胞応答を分析し、そしてCTL試験及びELISPOT試験を以下のように実施した:
【0145】
CTL試験では、これらの脾細胞を24ウェルプレート上で:
−AdNS3NS4を受けたマウスに由来する脾細胞の場合は、エピトープGLL(GLLGCIITSL、配列番号24)を5μM、AdNS5bを受けたマウスに由来する脾細胞の場合は、エピトープALY(ALYDVVSTL、配列番号25)を5μM若しくはエピトープKLQ(KLQDCTMLV、配列番号26)を5μM、又はAdCE1E2を受けたマウスに由来する脾細胞の場合は、エピトープDLM(DLMGYIPLV、配列番号27)を5μMであるが、前記エピトープは(Eurogentex)からの合成ペプチドであり、そして
−5日間で、アルファ最小必須培地(αMEM)中、ml当たり10Uのマウス組換えインターロイキン2(Brinsterら、Hepatology 2001年)
の存在下、培養した。5日目に、再刺激のステージを実施したが、これは2日間、前記エピトープの存在下にある培養中の脾細胞へ、未処置のマウス脾細胞を添加することからなるものであった。7日目に、CTL試験を実施したが、これは培養7日後の免疫化したマウスの脾細胞(エフェクター細胞)と、10μMの前記エピトープを負荷し、Cr51で標識したEL4 S3−Rob HDD細胞(標的細胞)を、接触させることからなるものであった。エフェクター細胞の特異的な細胞障害性活性は、標的細胞とのインキューベーションの4時間後に、標的細胞を溶解して遊離したCr51を、γ−Cobra II計測機器(Packard、フランス国ランギス)を用いて測定し、決定した。培地単独で、又は溶解緩衝液(HCl IN)のいずれかを含むウェルからの最大の自然遊離を測定した。細胞毒性の特異的な百分率は、式:
(試験での遊離−自然な遊離)/(最大の遊離−自然な遊離)×100
により計算した。エピトープ特異的な溶解は、前記エピトープの存在下で、又は欠損下で得た特異的な溶解の百分率間の差異により決定した。
【0146】
ELISPOT試験は、抗インターフェロンガンマ抗体(IFNγ)(10μg/ml最終)で予め被覆したマルチスクリーン96ウェルプレート(Millipore)で、脾細胞を48時間培養することにより実施した。前記したように、脾細胞をαMEM中でml当たり、10μMの適切なエピトープ及び10Uのマウス組換えインターロイキン2の存在下、培養した。ポジティブコントロールとして、脾細胞をコンカナバリンA(5μg/ml)の存在下で培養した。ネガティブコントロールとしては、脾細胞を、配列DLMGYIPLV(無関係のペプチドともいう)の、HCVのキャプシドタンパク質に属する非特異的ペプチドの存在下、又はエピトープ欠損の培地単独中で、培養した。ウェルを0.05%PBS−Tweenで、次にPBSでそれぞれ3回洗浄したが、操作後、ビオチン化マウスの抗IFNy抗体と共に2時間インキュベーションした。洗浄後、ウェルをストレプトアビジン−西洋わさびペルオキシダーゼ複合体と共に1時間インキュベーションし、そして酵素活性をAEC(アミノエチルカルバゾール)基質の分解により発生させた。得られたスポットを、Zeiss ELISpotリーダー(KS-ELISpotソフトウェアを伴ったZeiss顕微鏡)を用いて計数した。
【0147】
結果を図3〜5に示すが、図中Mはマウスに、そしてNeg.マウスはコントロールのマウスに対応する。
【0148】
これらの結果は、
−図3A及び3Bに図示したように、NS3に含まれるエピトープGLLに特異的なTリンパ球の検出により、AdNS3NS4は、明らかに発現した抗原に特異的な細胞媒介性の応答を誘導すること、
−図4に図示したように、NS5bに含まれるエピトープALY及びKLQに特異的なTリンパ球の検出により、AdNS5bは、明らかに発現した抗原に特異的な細胞媒介性の応答を誘導すること、
−図5に図示したように、コアタンパク質に含まれるエピトープDLMに特異的なTリンパ球の検出により、AdCE1E2は、明らかに発現した抗原に特異的な細胞媒介性の応答を誘導すること
を実証する。
【0149】
3.組換えワクシニアウイルスを用いたin vivoトライアル試験
異なるアデノウイルスに誘導される特異的な免疫応答が、感染の疾患トライアルに対する保護(「in vivo保護」)を誘導することができるか否かを評価するために、このようなトライアルに対するマウスをワクチン接種した。
【0150】
HCVにより直接感染されないマウスを、感染に対する特異的な免疫応答及び耐性の誘導と関連するように、HCVの非構造タンパク質(NS2〜NS5b)をコードする組換えワクシニアウイルス(株WR)を用いて、このトライアルを実施した。この組換えワクシニアウイルスを、10pfuをマウスに腹膜内注射後、動物内で複製させる。このウイルスの複製は、ワクシニア抗原及びHCV抗原の両者に特異的な免疫応答を誘導し、またHCVのNSタンパク質を発現する。マウスはHCV抗原を発現するワクチンをすでに受けたので、このHCV抗原に特異的な応答は全て、より有効で、活発となる。言い換えれば、より有効なワクチン接種(この場合は、組換えアデノウイルスで実施した)がなされると(すなわち、マウスの免疫系がワクチンにより有効に「抗原刺激された」)、組換えワクチンウイルスによるトライアル後は、より強い抗HCV応答がなされ、結果的にマウスがこのトライアルに対してより「保護」される。実際、マウスで計数される残留ワクシニアウイルスがより低いと、ワクチン接種に起因する保護又は中和はより有効となった。
【0151】
ワクシニアウイルスの中和は、HCVタンパク質により誘導される細胞応答と、ワクシニアタンパク質により誘導される細胞応答との両方を反映する。中和は、以下のようにして、動物の卵巣から残留のワクシニアウイルスを滴定することにより評価する:卵巣をトライアル後4日に除去し、超音波処理し、次に遠心分離後3回凍結解凍し、上清の連続希釈をHutk細胞で溶解プラーク技術(Murataら、PNAS、vol.100、p.6753-6758)に従って、滴定する。ウイルスタイターは、卵巣のpfu/ml/mgで決定する。
【0152】
4.ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bを組合わせたワクチン接種の優れた保護の実証
ワクチンの組換えウイルスタイターを、以下のアデノウイルスの組合せ:AdNS3NS4+AdNS5b(第1グループ)、AdNS3NS4+AdNS5b+AdNS5a(第2グループ)、AdNS3NS4+AdNS5b+AdCE1E2(第3グループ)及びAdβGal(第4グループ)により、免疫化した8匹のマウスの4つのグループについて決定した。
【0153】
結果を図6に示すが、これは平均の比較に基づき、2つの独立したサンプルx及びyの値の比較させるWilcoxon Mann-Whitney non-parametric試験(Methodes Statistiques a l'usage des medecins et des biologistes、Collection Statistique en Biologie et en Medecine、Flammarion Medecine Sciences、(D.Schwarz)、1977年)に基づいて統計学的に処理している。
【0154】
この試験は、以下のように実施している:比較する2つのグループx及びyの全ての値を、増大する様式で分類する。次に、各値に対して順位を割り当て、そしてその順位の合計を計算する。そして、Wx及びWyを得る。次に、(Wx)tと称する参考値(WxはWyと異ならないとするヌル仮説での理論値)を計算し、比率:n(N+1)/2により、n=グループxの試験したマウスの数、及びN=グループx及びyの試験したマウスの数と連関させる。
【0155】
Wxが(Wx)tより低ければ(マウスのワクシニアウイルスの低い残留レベル)、ワクチン接種の結果である中和が有意に有効であるという結論となる。
【0156】
yを印したグループAdβGalと比較して、xを印したグループAdNS3NS4NS5bの例を挙げれば、以下の値を得ることができる。:
Wx=1+2+4+6+8+11+13+14=59(試験した8匹のマウス)
Wy=3+5+7+9+10+12+15+16=77(試験した8匹のマウス)
【0157】
帰無仮説では、WxはWyとは異ならず、予想される値は:(Wx)t=(1/2)*8*17=68となる。
【0158】
Wx<(Wx)は、グループAdNS3NS4NS5bで得られた値がグループAdβGalで得られた値より小さいこと、そしてワクチン接種の結果である中和が有意に有効であることの表れである。
【0159】
マウスの他のグループについての統計値を、以下の表1に示す。:
【0160】
【表9】

【0161】
前記表1の値は、アデノウイルスNS3NS4及びアデノウイルスNS5bの組合せによるマウスのワクチン接種のみが、AdβGalによりワクチン接種したコントールのマウスのグループに対して、トライアルで用いたワクシニアウイルスの複製の有意な中和を誘導することができることを示す。(AdNS3NS4+AdNS5b+AdNS5a)又は(AdNS3NS4+AdNS5b+AdCE1E2)を含む組合せを用いて実施したワクチン接種は、AdβGalによりワクチン接種したコントロールのマウスのグループと比較して、有意差の結果とはなっていない。
【0162】
従って、これらの結果は、予期せぬことに、ポリタンパク質NS3NS4及びポリペプチドNS5bを組合わせたワクチン接種の優れた保護を実証することができることとなる。
【0163】
5.同じベクターにより一緒に発現するポリタンパク質NS3NS4及びポリペプチドNS5bを組合わせたワクチン接種の保護の確認
組換えワクシニアウイルスのタイターを、以下のアデノウイルスの組合せ:AdNS3NS4AdNS5b(第1グループ)、AdNS3NS4+AdNS5b(第2グループ)及びAdβGal(第3グループ)により、免疫化した8匹のマウスの3つのグループについて決定した。
【0164】
結果を図7に示すが、これは前記実験に示したように、Wilcoxon Mann-Whitney non-parametric試験に基づいて統計学的に処理している。
【0165】
コントロールのグループAdβGalに比較した、グループ1及び2についての統計値を以下の表2に示す。:
【0166】
【表10】

【0167】
前記表2の値は、3つの抗原NS3、NS4及びNS5bをすべてコードするアデノウイルスによるマウスのワクチン接種は、アデノウイルスNS3NS4及びアデノウイルスNS5bの組合せのように、アデノβGalによりワクチン接種したコントロールのマウスのグループに対して、トライアルで用いたワクシニアウイルスの複製の優位な中和を誘導することができることを示す。この結果は、同じベクターにより一緒に発現するポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bを組合わせたワクチン接種の保護を確認する。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1A】図1Aは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1B】図1Bは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1C】図1Cは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1D】図1Dは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1E】図1Eは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1F】図1Fは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1G】図1Gは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1H】図1Hは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1I】図1Iは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1J】図1Jは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図1K】図1Kは、本発明に従ったアデノウイルスAdNS3NS4NS5bを得るために用いられる異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4を、そしてNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2A】図2Aは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2B】図2Bは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2C】図2Cは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2D】図2Dは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2E】図2Eは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2F】図2Fは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2G】図2Gは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図2H】図2Hは、本発明に従ったポックスウイルスMAV NS3NS4NS5bを得るために用いられた異なるプラスミドの地図を表しており、そこには異なる制限酵素、及びNS3/NS4及びNS5bをコードする配列断片の位置が示されている。
【図3A】図3Aは、エピトープGLLを用いて培養の脾細胞を刺激し、そしてCTLターゲットを負荷し、そしてその結果、エフェクター/ターゲット比率の関数として、特異的な溶解百分率を表すCTL試験によって、結果をスポット/10細胞個の数で示し、アデノウイルスAdNS3NS4により誘導された細胞の応答を示している。
【図3B】図3Bは、エピトープGLLを用いて培養の脾細胞を刺激し、そしてCTLターゲットを負荷し、そしてその結果、エフェクター/ターゲット比率の関数として、エピトープGLLに特異的なELISPOT試験によって、結果をスポット/10細胞個の数で示し、アデノウイルスAdNS3NS4により誘導された細胞の応答を示している。
【図4】図4は、エピトープALY及びKLPに特異的な試験ELISPOTによって、アデノウイルスAdNS5bにより誘導された細胞の応答を示している。
【図5】図5は、エピトープDLMを用いて培養の脾細胞を刺激し、そしてCTLのターゲットを負荷し、そしてその結果、エフェクター/ターゲット比率の関数として、特異的な溶解百分率を表すCTL試験により、アデノウイルスAdCE1E2により誘導された細胞の応答を示している。
【図6】図6は、異なるアデノウイルスの組合わせ:AdNS3NS4+AdNS5b(第1のグループ)、アデノウイルスAdNS3NS4+AdNS5b+AdNS5a(第2のグループ)、アデノウイルスAdNS3NS4+AdNS5b+AdCE1E2(第3のグループ)及びアデノウイルスAdβGal(第4のグループ)により免疫化した8匹のマウスの4つのグループについて、pfu/ml/mg卵巣での、トライアル試験による結果から、組換えワクシニアウイルスのタイターを示す。
【図7】図7は、以下の異なるアデノウイルスの組合わせ:AdNS3NS4NS5b(第1のグループ)、AdNS3NS4+AdNS5b(第2のグループ)及びAdβGal(第3のグループ)により免疫化した8匹のマウスの3つのグループについて、pfu/ml/mg卵巣での、トライアル試験による結果から、組換えワクシニアウイルスのタイターを示す。
【図1】






【図2】








【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
C型肝炎ウイルスのポリタンパク質NS3/NS4、及びC型肝炎ウイルスのポリペプチドNS5bを含むことを特徴とする、ペプチド組成物。
【請求項2】
NS3及び/又はNS4及び/又はNS5bが、異なる遺伝子型のウイルスに由来することを特徴とする、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項3】
NS3、NS4及びNS5bが、同じ遺伝子型、好ましくは遺伝子型1bのウイルスに由来することを特徴とする、請求項1記載のペプチド組成物。
【請求項4】
ポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列、及びポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列、並びにそれらの発現に必要な手段を含むことを特徴とする、発現ベクター。
【請求項5】
ヌクレオチド配列が、異なる遺伝子型のウイルスに由来するポリタンパク質及びポリペプチドをコードすることを特徴とする、請求項4記載の発現ベクター。
【請求項6】
ヌクレオチド配列が、同じ遺伝子型、好ましくは遺伝子型1bのウイルスに由来するポリタンパク質及びポリペプチドをコードすることを特徴とする、請求項4記載の発現ベクター。
【請求項7】
該ベクターが、アデノウイルスであることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項記載の発現ベクター。
【請求項8】
アデノウイルスのゲノムが、E1領域が発現カセットCMV−NS3−NS4により置換され、そしてE3領域が発現カセットSV40−NS5bにより置換されるように改変されていることを特徴とする、請求項7記載の発現ベクター。
【請求項9】
該ベクターが、ポックスウイルスであることを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項記載の発現ベクター
【請求項10】
ポックスウイルスのゲノムが、発現カセットph5r−NS3−NS4が挿入され、そして発現カセットp7.5−NS5bが挿入されるように改変されていることを特徴とする、請求項9記載の発現ベクター。
【請求項11】
請求項4〜10のいずれか1項記載の発現ベクターにより形質転換した微生物又は宿主細胞。
【請求項12】
動物、好ましくはヒトのC型肝炎ウイルスにより引き起こされる感染の阻害、予防又は制御を意図した医薬製造のための、請求項1〜3のいずれか1項記載のペプチド組成物のか、又は請求項4〜10のいずれか1項記載の発現ベクターのか、又はポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴うポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクター又は該ポリタンパク質NS3/NS4及び該ポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターの使用であって、該ヌクレオチド配列が請求項4〜10のいずれか1項記載の発現ベクターに含まれる配列に対応し、該ペプチドの構成的及び/又は誘導的発現に必要なエレメントの制御下に置かれている、使用。
【請求項13】
有効成分として、請求項1〜3記載のペプチド組成物、又は請求項4〜10のいずれか1項記載の発現ベクター、又はポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴ってポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを含む、医薬組成物、特にワクチン。
【請求項14】
薬学的に適切な媒体も含むことを特徴とする、請求項13記載の医薬用組成物。
【請求項15】
ポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現ベクター及びポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現ベクターを含むことを特徴とする、医薬用キット、特にワクチンのキット。
【請求項16】
請求項7又は8記載の少なくとも1つの発現ベクター及び請求項9又は10記載の少なくとも1つの発現ベクターを含むことを特徴とする、医薬用キット、特にワクチンのキット。
【請求項17】
請求項4〜10のいずれか1項記載の少なくとも1つの発現ベクター、又はポリペプチドNS5bをコードするヌクレオチド配列を含む発現ベクターを伴ってポリタンパク質NS3/NS4をコードするヌクレオチド配列を含む少なくとも1つの発現ベクター、及び
(i)請求項1〜3記載の少なくとも1つのペプチド組成物、又は
(ii)ポリタンパク質NS3/NS4及びポリペプチドNS5bをコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列
含む医薬用キット、特にワクチンのキット。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−527207(P2007−527207A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508364(P2006−508364)
【出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【国際出願番号】PCT/FR2004/050214
【国際公開番号】WO2004/111082
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(501204053)トランスジェン・ソシエテ・アノニム (3)
【氏名又は名称原語表記】TRANSGENE S.A.
【出願人】(502054738)インスティチュート・ナショナル・ドゥ・ラ・サンテ・エ・ドゥ・ラ・ルシェルシェ・メディカル (1)
【氏名又は名称原語表記】INSTITUT NATIONAL DE LA SANTE ET DE LA RECHERCHE MEDICALE(INSERM)
【Fターム(参考)】