説明

ICカードシステム

【課題】 利用者に不利益が生じないようにする。
【解決手段】 ICカード(6)と、ICカード(6)が利用される利用機器(7)とを有する。ICカード(1)は、価値情報の記憶領域、価値情報の変更回数を示す価値情報変更カウンタの記憶領域、利用機器(7)のIDを記憶する記憶領域、および利用機器(7)が記録する利用履歴通番の記録領域を備え、利用機器(7)は、ICカード(6)の価値情報を変更する手段、ICカード(6)の利用履歴を記録する手段、および利用履歴を管理サーバに送信する手段を備える。管理サーバは、利用機器(7)から収集される利用履歴を管理し、ICカード(6)の価値情報の流通を管理するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ICカードに価値情報を記録して、その価値情報を利用するICカードシステムに関し、特に、各種ICカードにおける価値情報の履歴を管理する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICカードに価値情報を記録し、その価値情報を変更(価値情報の加算・減算処理)することによってサービスを提供するようなシステムにおいては、各カードの価値情報の流通を管理サーバで一元管理し、価値情報の変更処理のエラーに対するリカバリー処理を行う機能が必要となる。
そこで、サービスを提供するための処理時間のスピードが利用機器において求められる場合、あるいは、該利用機器が常時接続には向かないネットワークに接続されている場合には、各カードの利用履歴を記録し、それをバッチ処理で管理サーバが収集して価値情報の流通量を管理するといったことが考えられる。
【0003】
従来、ICカードにおける価値情報の変更処理完了が確認されなかった場合に、利用機器側で処理完了の未確認を示す利用履歴を記録することによって利用履歴の欠落を防ぐ、という第1の方法が利用履歴の管理手段として提案されている。(例えば、特許文献1参照)
また、各利用機器で記録される利用履歴を管理サーバで時系列に管理する場合に、各利用機器が管理する日時情報のばらつきに対処すべく、ICカード内に利用回数カウンタを設けて、利用履歴内にこのカウンタの情報を含ませ、管理サーバにおいて、各利用機器から収集された利用履歴をICカード毎の利用回数カウンタ順に並べて管理を行うという第2の方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】特開2003−162740号公報
【特許文献2】特開2000−149071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記第1の方法には以下のような欠点がある。すなわち、カードと利用機器との間でサービス提供のための価値情報を取引する際には、例えば、図7に示すような通信エラー、つまり、「利用機器から価値情報の変更コマンドが送信されたとき、ICカードが通信エリアから離れているためにその変更コマンドを受信できない」というエラーや、「利用機器からの価値情報の変更コマンドをICカードが受信して、そのレスポンスを返そうとした時に、ICカードが通信エリアから離れているためにそのレスポンスを送信できない」というエラーを発生すことがある。
上記のような通信エラーが発生すると、特にカードが非接触ICカードなどの媒体の場合には、価値情報の変更処理が対象媒体に対して正しく実行されたかどうかを利用機器側で確認できない場面が発生する。
【0006】
通常、電子マネーシステムは、ICカードの電子マネー情報の書き換え結果が利用機器によって確認されない場合に、サービス又は商品を提供しないものとして運用されている。したがって、上記通信エラー等によって価値情報の変更処理を確認できない場合には、利用者にサービスが提供されないにもかかわらず、対象カード媒体に記憶される価値情報が変更されるという不利益を利用者が被ることがある。
【0007】
一方、前記第2の方法は、図8に示すような問題点を有する。すなわち、利用機器において、価値情報の変更処理が確認されていない種別の利用履歴(カードの利用回数情報を含む)を作成し、管理サーバにおいて、それらの利用履歴から価値情報の増加減をトレースしようとすると、連続して価値情報の変更処理の確認ができなかった場合に、どの取引で価値情報の変更処理が確認できなかったかを判断できない。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カードに格納される価値情報の流通を管理サーバで一元管理することによって、利用者に不利益が生じないようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するため、ICカードと、該ICカードが利用される利用機器とを有し、前記ICカードは、価値情報の記憶領域、該価値情報の変更回数を示す価値情報変更カウンタの記憶領域、前記利用機器のIDを記憶する記憶領域、および前記利用機器が記録する利用履歴通番の記録領域を備え、前記利用機器は、前記ICカードの価値情報を変更する手段、該ICカードの利用履歴を記録する手段、および前記利用履歴を管理サーバに送信する手段を備え、前記管理サーバは、前記利用機器から収集される利用履歴を管理し、前記ICカードの価値情報の流通を管理するように構成されている。
【0010】
また、本発明は、ICカードと、該ICカードが利用される利用機器とを有し、前記ICカードは、価値情報の記憶領域、該価値情報の変更回数を示す価値情報変更カウンタの記憶領域、前記利用機器のIDを記憶する記憶領域、および前記利用機器が記録する利用履歴通番の記録領域を備え、前記利用機器は、前記ICカードの価値情報を変更する手段、該ICカードの利用履歴を記録する手段、および前記利用履歴を管理サーバに送信する手段を備え、さらに、前記利用機器が前記ICカードの価値情報を変更する際に、前記ICカードの前記価値情報変更カウンタをインクリメントし、かつ、前記ICカードに前記利用機器のIDと利用履歴通番を書込む手段と、前記ICカード固有のID、該ICカードの前記価値情報変更カウンタの値、前記利用機器を介して利用した価値情報、利用前の前記ICカードに格納されている価値情報、利用前の前記ICカードに格納されている前記利用機器のID、利用前の前記ICカードに格納されている前記利用履歴通番、および前記ICカードの価値情報変更処理の結果確認を示す種別情報を含む利用履歴を記録する手段と、を設け、前記管理サーバは、前記利用機器から収集される利用履歴を管理し、前記ICカードの価値情報の流通を管理するように構成されている。
【0011】
前記管理サーバは、前記利用機器から収集された利用履歴を個別の前記ICカード毎に前記価値情報変更カウンタ順に整列させ、前記価値情報変更カウンタの値の前後する第1および第2の利用履歴にそれぞれ記録された利用前価値情報および利用価値情報に基づいて、前記ICカードの価値情報の増減を精査する手段を備えることができる。
【0012】
前記管理サーバは、前記精査の結果に基づき、前記収集された利用履歴の中から、サービスを提供せずに前記ICカードから価値情報を減算した利用履歴を抽出する手段をさらに備えることができる。
この場合、前記管理サーバは、前記減算した利用履歴を抽出した際に、前記ICカードの利用者にそれを通知し、かつ、前記ICカードに価値情報を戻すように構成される。
【0013】
前記管理サーバは、前記精査の結果に基づき、前記収集された利用履歴の中から、価値情報を加算する対価を受け取って前記ICカードに価値情報を加算できなかった利用履歴を抽出する手段をさらに備えることができる。
この場合、前記管理サーバは、前記価値情報を加算できなかった利用履歴を抽出した際に、前記ICカードの利用者にそれを通知し、かつ、前記利用者に前記加算できなかった価値情報を返却するように構成される。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るICカードシステムによれば、価値情報の処理結果が不明であった場合でも、カードに格納される価値情報の流通を管理サーバで一元管理できる。そのため、価値情報の対価を与えることなく価値情報の減算をしてしまった場合や、対価を受けた価値情報を加算できなかった場合において、利用者に不利益が生じないようにリカバリー処理を行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明に係るICカードシステムの構成例を示すブロック図である。
同図において、利用者5が所持するICカード1は、価値情報、価値情報変更カウンタ、利用機器IDおよび利用履歴通番を記憶する領域を持つ。
利用者5は、このICカード1を介して利用機器2と価値情報のやり取りをすることにより、サービスを受けること、もしくは物品を得ることができる。なお、以後においては、利用履歴を明細と称し、また、ICカード1を介しての利用機器2との価値情報のやり取りを決済と称する。
【0016】
利用機器2は、価値情報を一元的に管理する管理サーバ4とネットワーク3で接続され、決済の履歴を管理サーバ4に転送する。
管理サーバ4は、利用機器2から収集される決済の履歴を精査し、サービスもしくは物品を提供することなくICカード1から価値情報を引き去ってしまった場合の履歴、又は、価値情報の対価を受け取ったにもかかわらずICカード1に価値情報を加算できなかった場合の履歴を抽出する。そして、抽出された履歴のICカード1の所有者である利用者5にその旨を通知し、それらのリカバリー処理を行うよう促す。
ここで、利用者5は、予め管理サーバ4にICカード1の固有IDと自分の連絡先を登録してあるものとする。
【0017】
次に、価値情報を電子マネーとして利用する場合の一実施例について説明する。
図2は、ある店舗でICカード6を使って¥500の買い物をしたときの決済処理の正常ケースを示す。
利用機器7は、店員の指示(入力)により、ICカード6から¥500を減算するために、まずICカード6に対する所定の認証処理を行う。次にICカード6に格納される管理価値情報8を読み取る。価値情報が¥5,000(¥500以上)あるので、¥500を減算する決済履歴(利用履歴)9について処理を未完という形態で記録する。
【0018】
ここで、決済履歴9は、電子マネーの減算決済の結果を示す「処理」、利用機器7が管理する決済履歴の通番を示す「明細通番」、決済対象のICカードの固有IDを示す「カードID」、電子マネーに対する減算・加算処理の種別を示す「種別」、決済処理を行う前にICカード6が持っていた電子マネーの金額を示す「価値情報」、決済額を示す「利用」、ICカード6の電子マネー情報が書き換わった回数を示す「カウンタ」、ICカード6に記録されていた前回決済を行った利用機器IDを示す「C機器ID」、およびICカード6に記録されていた前回決済を行った利用機器の明細通番を示す「C明細通番」の情報からなる。
【0019】
利用機器7は、ICカード6の価値情報を¥4,500に書き換えるためのWRITEコマンドをICカード6へ送信する。そこで、ICカード6は、そのWRITEコマンドの指示に従い、管理価値情報8を符号10で示すように書き換え、その処理結果を利用機器7へ返す。
ここで、管理価値情報8,10は、電子マネーを示す「価値情報」、電子マネー情報が書き換わった回数を示す「カウンタ」、前回決済を行った利用機器IDを示す「機器ID」、および前回決済を行った利用機器が記録した明細通番を示す「明細通番」の各情報からなる。 ICカードからWRITEコマンドのレスポンスを正常処理の結果として受け取った利用機器7は、決済履歴9を符号11で示すように「処理」を完として記録する。
【0020】
図3および図4は、ともに¥200の買い物をした場合における決済処理(WRITEコマンド処理)の失敗ケースを示す。
まず、図3について説明する。ここでは、WRITEコマンド自体がICカード6に届かなかったケースを示している。
利用機器12は、ICカード6の管理価値情報13を読み取って、決済履歴14を記録し、ついで、WRITEコマンドを送信する。しかし、このWRITEコマンドはICカード6に届かず、このため、ICカード6の管理価値情報13の書き換えが実行されない(符号13’参照)。そこで、利用機器12は、規定のリトライ処理がタイムアウトで終了すると、決済処理を終了する。
【0021】
次に、図4について説明する。ここでは、WRITEコマンド自体はICカード6に届いているが、そのレスポンスが利用機器15に届かなかったケースを示している。
利用機器15は、ICカード6の管理価値情報16を読み取って、決済履歴17を記録し、ついで、WRITEコマンドを送信する。
ICカード6は、WRITEコマンドの指示に従って管理価値情報16を参照番号18に示すように変更し、ついで、WRITEコマンドに対するレスポンスを返送する。しかし、このレスポンスは利用機器15に届かない。
ICカード6からWRITEコマンドに対するレスポンスを得られなかった利用機器15は、規定のリトライ処理がタイムアウトで終了すると決済処理を終了する。
この図4に示すケースでは、利用者が電子マネーだけ減算されて、品物を受け取れないという不利益を被ることになる。
【0022】
図5は、図2を参照して先に説明した正常ケースに対応するケースを示している。
利用機器19は、ICカード6の管理価値情報20を読み取って、決済履歴21を記録し、ついで、WRITEコマンドを送信する。
ICカード6は、WRITEコマンドの指示に従って管理価値情報20を参照番号22に示すように変更し、ついで、WRITEコマンドに対するレスポンスを返す。
利用機器19は、ICカード6からのWRITEコマンドのレスポンスを取得すると、参照番号23に示す決済履歴を記録して決済処理を終了する。
以上、図2〜図5を参照して、ICカード6の利用形態の一例を時系列で説明した。
【0023】
図2〜図5に示す利用機器7,12,15,19からは、記録された決済履歴が前記管理サーバ4(図1参照)に転送される。ここで、図4のケースで記録された決済履歴を抽出する管理サーバ4の処理について説明する。
決済履歴は、「価値情報」の書き換え回数を示す「カウンタ」を含んでいる。管理サーバ4は、各利用機器から収集した決済履歴から、ICカード毎に「カウンタ」を用いて整列させる。下記表1は、カードID(C0010)についての決済履歴を「カウンタ」順に整列した例を示している。
【0024】
【表1】

【0025】
管理サーバ4は、図6に示す処理フローに従って電子マネー情報の流通を精査する。表1の集計データがこの処理フローで精査される場合には、「カウンタ」00101の決済履歴、すなわち、「精査」が空白の決済履歴の中でカウンタが最小値の決済履歴が最初の精査対象となる。
この処理フローにおいて、ステップ101では、対象履歴の「処理」が完了しているか否かを判断する。上記カウンタ値00101の決済履歴は、上記「処理」が完了している。そこで、ステップ107に進み、ここで、「精査」を済にする処理を実行した後、ステップ108に移行する。
【0026】
ステップ108では、同一「カウンタ」内で「精査」が空白の決済履歴が存在するか否かを判断する。空白の決済履歴はないので、ステップ110に進み、ここで、精査対象の「カウンタ」をインクリメントする。
次のステップ111では、インクリメントしたカウンタ00102が管理サーバ4に収集されたカードID(C0010)の決済履歴中におけるMAX値(00103)よりも大きいか否かを判断する。この判断の結果はNOであるのでステップ108に進む。
【0027】
「カウンタ」00102の決済履歴では、「精査」が空白であるので、ステップ109に進む。そして、このステップ109で、「精査」が空白の決済履歴を精査処理の対象とした後、ステップ101に戻る。
ステップ109において精査対象とされる決済履歴は、「カウンタ」00102、「機器ID」S−04、「明細通番」M00150の決済履歴である。この精査対象の決済履歴は「処理」未であるので、ステップ102に進む。
ステップ102では、同一カウンタ内における「処理」完の決済履歴の有無を判断する。同一「カウンタ」00102内には、「処理」完の決済履歴がないので、ステップ103に進む。
【0028】
ステップ103では、次カウンタの有無を判断する。次「カウンタ」00103の決済履歴が存在するので、この判断結果はYESである。そこで、ステップ104に進む。
ステップ104では、次「カウンタ」の決済履歴の「価値情報」、「C機器ID」、および「C明細通番」を、精査対象の決済履歴「価値情報」、「機器ID」、および「明細通番」と比較して、次「カウンタ」の決済履歴が精査対象の決済履歴の「価値情報」を変更した履歴であるか否かを判断する。
【0029】
次「カウンタ」00103に係る決済履歴の「価値情報(¥4300)」は、精査対象の決済履歴(「カウンタ」00102に係る決済履歴)の決済結果(¥4500−¥200)と一致する。しかし、次「カウンタ」00103に係る決済履歴において、前回の処理に使用された「C機器ID」S−08、「C明細通番」M00180は、精査対象「カウンタ」00102の決済履歴(「機器ID」S−04、「明細通番」M00150)と一致しない。これは、次「カウンタ」の決済履歴が精査対象の決済履歴の「価値情報」を変更した履歴でないこと、換言すれば、精査対象の決済処理がカードID(C0010)に対して実行されなかったことを意味している。そこで、手順をステップ106に進める。
ステップ106では、精査対象の決済履歴の「精査」を済みにして、その決済履歴を抽出する。抽出された決済履歴の一例を下記表2に示す。
【0030】
【表2】

【0031】
ステップ106の処理の後、手順がステップ108に移行される。表1から明らかなように、上記精査対象の決済履歴(「カウンタ」00102の決済履歴)の「精査」が終了した段階においても、「精査」が空白の決済履歴が存在する。そこで、ステップ109に手順を進めて、「機器ID」S−08、「明細通番」M00180の決済履歴を精査対象とする。
その後、手順をステップ101,102,103,104という順序で進める。ステップ104では、次「カウンタ」00103の決済履歴の「価値情報」、「C機器ID」および「C明細通番」に基づいて、この次「カウンタ」00103の決済履歴が精査対象の決済履歴の「価値情報」を変更した履歴であるか否かを判断する。
【0032】
次「カウンタ」00103に係る決済履歴の「価値情報(¥4300)」は、精査対象の決済履歴(「カウンタ」00102に係る決済履歴)の決済結果(¥4500−¥200)と一致する。また、次「カウンタ」00103に係る決済履歴において、前回の処理に使用された「C機器ID」S−08、「C明細通番」M00180は、精査対象「カウンタ」00102の決済履歴(「機器ID」S−08、「明細通番」M00180)と一致する。これは、次「カウンタ」00103の決済履歴が精査対象の決済履歴の「価値情報」を変更した履歴であること、つまり、精査対象の決済処理がカードID(C0010)に対して実行されたことを意味している。
そこで、ステップ105に進み、精査対象の決済履歴における「処理」を完に、「精査」を済にしてその決済履歴を抽出する。抽出された決済履歴の一例を下記表3に示す。
【0033】
【表3】

【0034】
ステップ106の処理の終了後、ステップ108に進む。このとき、同一「カウンタ」内に「精査」が空白の決済履歴はない。そこで、ステップ110で「カウンタ」をインクリメントした後、ステップ111に進む。
インクリメントされた「カウンタ」00103は、管理サーバ4に収集されたカードID(C0010)の決済履歴中におけるMAX値(00103)と等しいので、ステップ108に進む。
【0035】
表1から明らかなように、「カウンタ」00103の決済履歴で「精査」が空白の決済履歴が存在する。そこで、ステップ109に進み、そこで「機器ID」S−02で「明細通番」M00120の決済履歴を精査対象とした後、ステップ101に進む。
ステップ101では、対象履歴の「処理」完が判断されるので、ステップ107で「精査」を済にした後、ステップ108に進む。このとき、同一「カウンタ」で「精査」が空白の決済履歴がないので、ステップ110で精査対象の「カウンタ」をインクリメントし、ステップ111に進む。
インクリメントした「カウンタ」00104が、管理サーバ4に収集されたカードID(C0010)の決済履歴中でMAX値(00103)より大きいので精査処理を終了する。
精査処理が終了した時のカードID(C0010)の集計データは、下記表 4のようになる。
【0036】
【表4】

【0037】
管理サーバ4は、この精査処理を、登録されたICカードの枚数分、繰り返す。また、管理サーバ4は、表2、表3に抽出されたカードIDの所有者である利用者に対して、決済処理結果が不明であった履歴の精査結果を通知する。この通知には、管理サーバ4に予め登録された連絡先(例えばEメールアドレス)が利用される。その際、表3に抽出されたICカードの所有者である利用者には、リカバリー処理が必要であるため、リカバリー処理を受けるよう通知する。
【0038】
上記通知を受け取った利用者は、管理サーバ4に接続可能な図1に示すリカバリー専用機器34、もしくはICカードリーダ・ライタを装備するパソコン25からWebブラウザ経由で管理サーバ4にアクセスし、履歴の精査結果を確認する。
そして、リカバリー処理が必要な利用者は、減算された電子マネーを加算するリカバリー処理を受ける。
なお、表3に抽出されたICカードの所有者である利用者から予め銀行口座の登録がなされている場合には、上記リカバリー処理に代えて、銀行口座に現金を戻す処理を行っても良い。
【0039】
以上、減算の決済処理について説明したが、加算の決済処理についても同様の処理を行う。その場合、電子マネーの対価である現金を既に受け取っているケースでは、決済処理がなされなかった決済履歴を表2へ、決済処理がなされていた決済履歴を表3に抽出する。
そして、表3に抽出されたICカードの所有者である利用者に対しては、加算できなかった電子マネーを加算するリカバリー処理を行う。予め銀行口座の登録がなされている場合には、上記リカバリー処理に代えて、銀行口座に現金を戻す処理を行っても良い。
【0040】
なお、管理サーバ4に収集されたカードIDの決済履歴には、以上の説明に用いた表1の決済履歴のようにカウンタに抜けのない状態ものの他に、下記表5に示すように、例えば、「カウンタ」00101が抜けた状態(ネットワーク3の決済履歴もあり得る。しかし、図8に示す処理フローによれば、後者のような決済履歴であっても、「カウンタ」が抜けた履歴を飛ばして精査処理が可能である。
【0041】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係るICカードシステムの構成を概念的に示すブロック図である。
【図2】本発明に係るシステムにおける決済処理の第1例を示す概念図である。
【図3】本発明に係るシステムにおける決済処理の第2例を示す概念図である。
【図4】本発明に係るシステムにおける決済処理の第3例を示す概念図である。
【図5】本発明に係るシステムにおける決済処理の第4例を示す概念図である。
【図6】本発明に係るシステムで実行される処理手順を例示したフローチャートである。
【図7】従来例を示す概念図である。
【図8】他の従来例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0043】
1 ICカード
2 利用機器
3 ネットワーク
4 管理サーバ
5 利用者
24 リカバリー専用機器
25 パソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードと、該ICカードが利用される利用機器とを有し、
前記ICカードは、価値情報の記憶領域、該価値情報の変更回数を示す価値情報変更カウンタの記憶領域、前記利用機器のIDを記憶する記憶領域、および前記利用機器が記録する利用履歴通番の記録領域を備え、
前記利用機器は、前記ICカードの価値情報を変更する手段、該ICカードの利用履歴を記録する手段、および前記利用履歴を管理サーバに送信する手段を備え、
前記管理サーバは、前記利用機器から収集される利用履歴を管理し、前記ICカードの価値情報の流通を管理するように構成されていることを特徴とするICカードシステム。
【請求項2】
ICカードと、該ICカードが利用される利用機器とを有し、
前記ICカードは、価値情報の記憶領域、該価値情報の変更回数を示す価値情報変更カウンタの記憶領域、前記利用機器のIDを記憶する記憶領域、および前記利用機器が記録する利用履歴通番の記録領域を備え、
前記利用機器は、前記ICカードの価値情報を変更する手段、該ICカードの利用履歴を記録する手段、および前記利用履歴を管理サーバに送信する手段を備え、さらに、
前記利用機器が前記ICカードの価値情報を変更する際に、前記ICカードの前記価値情報変更カウンタをインクリメントし、かつ、前記ICカードに前記利用機器のIDと利用履歴通番を書込む手段と、
前記ICカード固有のID、該ICカードの前記価値情報変更カウンタの値、前記利用機器を介して利用した価値情報、利用前の前記ICカードに格納されている価値情報、利用前の前記ICカードに格納されている前記利用機器のID、利用前の前記ICカードに格納されている前記利用履歴通番、および前記ICカードの価値情報変更処理の結果確認を示す種別情報を含む利用履歴を記録する手段と、を設け、
前記管理サーバは、前記利用機器から収集される利用履歴を管理し、前記ICカードの価値情報の流通を管理するように構成されていることを特徴とするICカードシステム。
【請求項3】
前記管理サーバは、前記利用機器から収集された利用履歴を個別の前記ICカード毎に前記価値情報変更カウンタ順に整列させ、前記価値情報変更カウンタの値の前後する第1および第2の利用履歴にそれぞれ記録された利用前価値情報および利用価値情報に基づいて、前記ICカードの価値情報の増減を精査する手段を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のICカードシステム。
【請求項4】
前記管理サーバは、前記精査の結果に基づき、前記収集された利用履歴の中から、サービスを提供せずに前記ICカードから価値情報を減算した利用履歴を抽出する手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のICカードシステム。
【請求項5】
前記管理サーバは、前記減算した利用履歴を抽出した際に、前記ICカードの利用者にそれを通知し、かつ、前記ICカードに価値情報を戻すように構成されていることを特徴とする請求項4に記載のICカードシステム。
【請求項6】
前記管理サーバは、前記精査の結果に基づき、前記収集された利用履歴の中から、価値情報を加算する対価を受け取って前記ICカードに価値情報を加算できなかった利用履歴を抽出する手段をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載のICカードシステム。
【請求項7】
前記管理サーバは、前記価値情報を加算できなかった利用履歴を抽出した際に、前記ICカードの利用者にそれを通知し、かつ、前記利用者に前記加算できなかった価値情報を返却するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載のICカードシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−249367(P2007−249367A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69186(P2006−69186)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】