説明

ICカードセパレータ及びICカードケース

【課題】磁性層の薄膜化・低透磁率化を実現しながら、非接触型ICカード間の干渉を防止する。
【解決手段】ICカードセパレータ10は、カードケース20の収納部22,26に収納された非接触型ICカード24,28の間に配置され、導電性の金属層12の両主面に、比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下の誘電体層14A,14Bを挟んで、磁性層16A,16Bが設けられた構造となっている。磁性層16A,16Bに比べてコストが低い誘電体層14A,14Bを設けることで、金属層12のシールド効果と磁性層16A,16Bによる遮蔽効果に、誘電体層14A,14Bによる遮蔽効果が加わる。このため、磁性層16A,16Bの薄膜化・低透磁率化を実現しコストの低減を図りながら、ICカード24,28間の干渉を防止して各ICカード24,28のみを読み書きできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードを重ねたときの干渉を防止するICカードセパレータ及びICカードケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
FeliCa(フェリカ)(登録商標)等の非接触型ICカードの普及に伴い、複数枚のICカードを所有する人が増えてきた。その結果、複数枚のICカードをカードケースに所持した場合、どのカードが読み出されるのかリーダライタにかざすまで分からなかったり、目的のカードではないカードからお金が引き落とされたりするという問題が生じている。このような事態を防止するためには、カードを使う都度、カードケースから取り出してリーダライタにかざすという手間が必要であった。
【0003】
また、ICカードの普及に伴い、スキミング防止を目的として、パンチングメタルなどの金属フィルムをパウチすることによって作られたICカードプロテクタが上市されており普及している。この金属フィルムを2枚のICカードの間に挟むことにより、金属フィルムより上にあるICカードはシールド効果で見えなくなることは既知である。しかしながら、金属フィルムの下(リーダライタ側)にあるICカードも金属による反射が原因で見えなくなってしまうため、複数のICカード間の干渉防止に有効な手段とはいえない。
【0004】
このような問題を解決するため、下記特許文献1に記載の非接触型ICカードホルダーでは、導電性の金属フィルムを磁性層で挟むことで、金属層のシールド効果に磁性層による金属遮蔽効果を加え、所望のICカードの読み出しや書き込みを可能にするとともに、その際に他のICカードへ影響を与えないという効果を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3630006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載の構造で再現性良く誤読み取りが起こらないようにするためには、効果係数を上げなければならないが、該効果係数は、磁性層の透磁率の平方根と磁性層の厚みの積に比例するため、透磁率の高い磁性体を厚く設けなければならず、磁性層の薄膜化・低透磁率化ができないという不都合がある。
【0007】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、磁性層の薄層化・低透磁率化を実現しながら、非接触型ICカード間の干渉を良好に防止することができるICカードセパレータと、それを利用したICカードケースを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、2枚の非接触型ICカードの間に配置され、これらICカード間の干渉を防止するためのICカードセパレータであって、導電性の金属層,該金属層の両主面に設けられた一対の誘電体層,該一対の誘電体層のICカード側の主面に設けられた一対の磁性層,を備えるとともに、前記誘電体層の比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とする。
【0009】
他の発明は、2枚の非接触型ICカードの間に配置され、これらICカード間の干渉を防止するためのICカードセパレータであって、導電性の金属層,該金属層の両主面に設けられた一対の磁性層,該一対の磁性層のICカード側の主面に設けられた一対の誘電体層,を備えるとともに、前記誘電体層の比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とする。
【0010】
更に他の発明は、2枚の非接触型ICカードの間に配置され、これらICカード間の干渉を防止するためのICカードセパレータであって、導電性の金属層,該金属層の両主面に設けられた一対の誘電体層,該一対の誘電体層のICカード側の主面に設けられた一対の磁性層,該一対の磁性層のICカード側の主面に設けられた一対の他の誘電体層,を備えるとともに、前記誘電体層の比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とする。
【0011】
主要な形態の一つは、前記誘電体層の比誘電率が、好ましくは2.5以上であることを特徴とする。他の形態は、前記磁性層は、誘電体中に磁性粉が分散されたものであることを特徴とする。
【0012】
本発明のICカードケースは、複数の非接触型ICカードの収納部を有するとともに、重なり合うICカード間に前記いずれかに記載のICカードセパレータを配置したことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、金属層の両主面に磁性層が設けられるICカードセパレータにおいて、前記金属層と磁性層の間,あるいは、前記磁性層の主面(磁性層とICカードの間),あるいはその両方に、比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下の誘電体層を設けることで、磁性層及び誘電体層による遮蔽効果が得られ、磁性層の薄膜化・低透磁率化を実現しながら、非接触型ICカード間の干渉を防止できるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は使用例を示す図,(B)は基本構造を示す断面図,(C)は他の使用例を示す図である。
【図2】前記実施例1の具体例を示す図であり、(A)は接着前の断面図,(B)は接着後の断面図である。
【図3】前記実施例1と比較例の有効感度領域の測定結果を示すグラフである。
【図4】前記実施例1の有効感度領域の測定結果を示すグラフである。
【図5】比較例の有効感度領域の測定結果を示すグラフである。
【図6】本発明の他の実施例を示す図であり、(A)は実施例2を示す断面図,(B)は実施例3を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0016】
最初に、図1〜図5を参照しながら本発明の実施例1を説明する。図1(A)は本実施例の使用例を示す図,図1(B)は本実施例の基本構造を示す断面図,図1(C)は他の使用例を示す図である。図2は、本実施例の具体例を示す図であり、(A)は接着前の断面図,(B)は接着後の断面図である。図3〜図5は、本実施例と比較例の有効感度領域の測定結果を示すグラフである。なお、図1(C)については後述する。図1(A)に示すように、本実施例のICカードセパレータ10は、カードケース20の収納部22,26に収納された非接触型ICカード24,28の間に使用されるもので、図示の例では、一方のICカード28の上に重ねて収納部26に収納される。むろん、他方のICカード24の上に重ねて収納部22に収納するようにしてもよく、更に、前記収納部22,26の間に図示しない他の収納部を設け、前記ICカードセパレータ10を収納するようにしてもよい。
【0017】
<基本構造>・・・まず、図1(B)を参照して、本実施例の基本構造を説明する。ICカードセパレータ10は、導電性の金属層12の両主面に、誘電体層14A,14Bが設けられ、更に、該誘電体層14A,14BのICカード24,28側の主面に、磁性層16A,16Bが設けられた構造となっている。なお、図1(B)では、カードケース20の収納部22及び26は省略されている。前記誘電体層14A,14Bは、比誘電率が2以上,好ましくは2.5以上であって、厚みが10μm以上100μm以下である。
【0018】
前記磁性層16A,16Bに比べてコストが低い誘電体層14A,14Bを設けることによって、金属層12のシールド効果及び磁性層16A,16Bによる遮蔽効果(比透磁率の平方根と厚みの積に比例)だけでなく、前記誘電体層14A,14Bによる遮蔽効果(比誘電率の平方根と厚みの積に比例)を加えることができる。このため、磁性層16A,16Bの薄膜化・低透磁率化を実現しコストの低減を図りながら、ICカードセパレータ10をICカード24,28の間に挟むことにより干渉を防止し、それぞれのICカード24,28のみが読み書きされるようになる。
【0019】
<具体例>・・・次に、図2を参照して、本実施例の具体例を説明する。図2(A)に示すように、ICカードセパレータ30は、Al32を蒸着したPET34の一方の主面に、両面テープ36,磁性フィルム38,保護フィルム40の積層体を貼り合わせ、他方の主面(Al32側)に、保護フィルム42,磁性フィルム44,両面テープ46の積層体を貼り合わせて形成されている。前記Al32の厚みは、0.02μm,PET34の厚みは25μmである。また、前記両面テープ36は、基材がPETで全厚10μmであり、両面テープ46は、基材(PET)の厚みが25μmで全厚が80μmである。また、前記磁性フィルム38,44は、誘電体(本例では塩素化ポリエチレン、周波数13.56MHzで、誘電率3.0)にセンダスト磁性粉を分散させたもので、周波数13.56MHzで、透磁率が115、誘電率が2.5である。保護フィルム40,42は、片面テープを利用した保護用のフィルムである。
【0020】
これらを図2(B)に示すように重ね合わせたICカードセパレータ30では、Al32が前記図1(B)の金属層12に相当し、PET34と両面テープ36の基材のPETを合わせたものが前記誘電体層14Aに相当し、両面テープ46の基材のPETと接着層が前記誘電体層14Bに相当し、磁性フィルム38,44が、それぞれ前記磁性層16A,16Bに相当している。また、本例では、前記図1(B)の基本構造に加え、最表層に保護フィルム40,42が設けられている。
【0021】
なお、前記図1(B)に示す基本構造では、磁性層16A,16Bによる遮蔽効果に、誘電体層14A,14Bによる遮蔽効果を加算した効果が得られるが、図2に示す例では、前記磁性フィルム38,44は、誘電体にセンダスト磁性粉を分散させた構造となっている。従って、前記磁性フィルム38,44の遮蔽効果は、磁性粉による遮蔽効果(比透磁率の平方根と厚みの積に比例)と誘電体による遮蔽効果(比誘電率の平方根と厚みの積に比例)の乗算となり、これに誘電体層(PET34,両面テープ36の基材のPET,両面テープ46の基材のPET及び接着層)による遮蔽効果を加算したもので、ICカードセパレータ30全体としての遮蔽効果となるため、非常に大きな効果を得ることができる。
【0022】
<実験例1>・・・次に、実験例1について説明する。実験は、フェリカリーダライタRC−S320(ソニー株式会社製)を使い、1490円と1500円が入金されている2枚のSuica(登録商標)の間に、本実施例のICカードセパレータを挟んだ場合と、比較例として、何も挟まない場合,金属フィルムを挟んだ場合,磁性フィルムを挟んだ場合について試験を行った。なお、何も挟まない場合とICカードセパレータを挟んだ場合については、2枚のICカードの上下を入れ替えた場合についても試験を行った。試験条件及び結果を下記の表1に示す。なお、表1中、1490円のカードを「カードA」,1500円のカードを「カードB」と表している。
【表1】

【0023】
表1の結果から、何も挟まない場合と磁性フィルムを挟んだ場合では、本来読み出されるべきではないカードが読み出され、金属フィルムが挟まれた場合では何も読み出せなくなったのに対し、本実施例のICカードセパレータを挟むことにより、リーダライタ側のICカードが読み出されることが確認された。
【0024】
<実験例2>・・・次に、図3〜図5を参照しながら実験例2について説明する。ここでは、本実施例のICカードセパレータと比較例について、内製フェリカ感度測定ジグを用いて、有効感度領域の測定を行った。図3には、2枚のフェリカカードの間に、本実施例のICカードセパレータ(図中「SFX7−200W」と表記)を挟んだ場合と、比較例として市販のカードセパレータを挟んだ場合(「SKIM SEPARATOR」と表記),セパレータなし(「No separator」と表記)の場合,金属層を含まず磁性層と誘電体層(磁性層0.1mm/誘電体層0.08mm)のみ(「SFX4−100」と表記)を挟んだ場合についての測定結果と、フェリカカード1枚の場合(図中、「One card only」と表記)の測定結果が示されている。図3(A)は、前記5種類の測定サンプルのX−Z面の感度領域の測定結果を示し、図3(B)は、Y−Z面の感度領域の測定結果を示す。これらの図において、横軸はX軸あるいはY軸上のポジション(mm)を表し、縦軸はZ軸上ポジションを表している。図上の各線は、誤読なく読めた領域(限界位置)を表している。
【0025】
なお、前記SFX7−200Wは、センダストを誘電体ポリマーに分散した磁性層0.2mm/誘電体層0.08mm/金属層(Al)0.001mm/誘電体層0.01mm/センダストを誘電体ポリマーに分散した磁性層0.2mmの積層構造となっており、全厚が0.491mmである。前記市販のカードセパレータは、フェライト系磁性シート0.3mm/金属フィルム0.1mm/フェライト系磁性シート0.3mmの積層構造となっており、全厚が0.7mmである。
【0026】
図3(A)及び(B)に示すように、基準となるフェリカカード1枚の場合と同様に、X−Z面及びY−Z面の双方において、本実施例のSFX7−200Wと市販のカードセパレータで読み出しOKの結果が得られ、セパレータなしと、磁性層0.1mm/誘電体層0.08mmの場合(SFX4−100)について誤読を生じるという結果が得られた。なお、読み取りOKは、リーダーに近い側のカードの情報が読めること,誤読はリーダーから遠い側のカードが読めてしまうことを示す。この結果から、本実施例のICカードセパレータでは、市販品に比べて厚みが薄くても良好な感度が得られることが確認された。
【0027】
図4(A)及び(B)は、本実施例の磁性層の厚み依存性を示すものであり、前記SFX7−200Wと、本実施例の他の測定サンプルSFX7−100W及びSFX7−85Wについて、X−Z面及びY−Z面の感度領域の測定結果が示されている。前記SFX7−100Wは、前記SFX7−200Wの積層構造(センダストを誘電体ポリマーに分散した磁性層0.2mm/誘電体層0.08mm/金属層(Al)0.001mm/誘電体層0.01mm/センダストを誘電体ポリマーに分散した磁性層0.2mm)中、磁性層を0.1mm、SFX7−85Wは、磁性層を0.085mmとしたものである。図4(A)及び(B)に示すように、3種類の全ての測定サンプルについて読み出しOKの結果が得られており、上述した磁性層の厚みの範囲内においては、良好な感度が得られることが確認された。
【0028】
一方、図5(A)及び(B)には、前記SFX4−100(磁性層0.1mm/誘電体層0.08mm)を1枚挟んだ場合と2枚挟んだ場合について、X−Z面及びY−Z面の感度領域の測定結果が示されている。前記図5(A)及び(B)に示すように、SFX4−100を1枚挟んだ場合は全て誤読になる。また、2枚挟んだ場合でも、読み出しOK領域までは読めても、その外側に誤読になってしまう領域(SFX4−100×2(誤読))が存在するため、現実的には目的のカードが読めたり、違うカードを誤読したりするという結果が得られた。このように、磁性層0.1mm/誘電体層0.08mmのみのシートを利用した場合では、本実施例のICカードセパレータと異なり、良好な読み出しができず、磁性体/誘電体/金属/誘電体/磁性体のような構造を作る必要があることが確認された。
【0029】
このように、実施例1によれば、金属層の両主面に磁性層が設けられるICカードセパレータにおいて、前記金属層と磁性層の間に、比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下の誘電体層を設けることとした。このため、金属層によるシールド効果と磁性層による遮蔽効果に、誘電体層による遮蔽効果を加えることで、磁性層の薄膜化・低透磁率化を実現し、コストの低減を図りながら、非接触型ICカード間の干渉を良好に防止できるという効果がある。
【実施例2】
【0030】
次に、図6(A)を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には、同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。上述した実施例1は、金属層の両主面に磁性層が設けられるICカードセパレータ10において、前記金属層12と磁性層16A,16Bの間に、誘電体層14A,14Bを設けることとした。これに対し、本実施例のICカードセパレータ50では、図6(A)の断面に示すように、磁性層16A,16BのICカード側の主面に、前記誘電体層14A,14Bを設けた構造となっている。すなわち、前記磁性層16A,16Bと、ICカード24,28の間に、誘電体層14A,14Bが配置された構造となっている。なお、誘電体層14A,14Bの比誘電率及び厚みについては、前記実施例1と同様である。本実施例の基本的作用・効果は、上述した実施例1と同様である。むろん、前記実施例1の具体例と同様に、最表層に図示しない保護フィルムを設けるようにしてもよい。
【実施例3】
【0031】
次に、図6(B)を参照しながら本発明の実施例3を説明する。本実施例は、金属層12の両主面に磁性層16A,16Bが設けられるICカードセパレータ60において、前記金属層12と磁性層16A,16Bの間にそれぞれ誘電体層14A,14Bを設け、更に、前記磁性層16A,16BのICカード24,28側の主面に、それぞれ他の誘電体層14C,14Dを設けた構造となっている。すなわち、前記実施例1に示すICカードセパレータ10の最表層に、誘電体層14C,14Dを設けた構造ということもできる。なお、前記誘電体層14A〜14Dの比誘電率及び厚みについては、前記実施例1で示した通りであり、作用・効果についても実施例1と同様である。
【0032】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例で示した形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。誘電体層14A〜14Dの厚さについても同様に、上述した範囲内であれは必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例で示した材料についても一例であり、同様の効果を奏するものであれば、公知の各種の材料を用いてよい。
【0033】
(3)実施例1の使用例で示したカードケース20も一例であり、本発明のICカードセパレータをICカード間に挟める構造であれば、必要に応じて適宜設計変更してよい。例えば、図1(C)に示すカードケース70のように、ケース本体の収納部72,74を、前記ICカードセパレータ10で仕切る構造としてもよい。
(4)前記実施例1の具体例で示した磁性フィルム38,44も一例であり、同様の効果を奏するように適宜変更してよい。
(5)前記実施例では、非接触型ICカードの一例として、Suica(登録商標)を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、本発明は、他の公知の各種の非接触型ICカード全般の干渉防止に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、前記金属層と磁性層の間,あるいは、前記磁性層の主面(磁性層とICカードの間),あるいはその両方に、比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下の誘電体層を設けることで、磁性層の薄膜化・低透磁率化を実現しながら、非接触型ICカード間の干渉を防止することとしたので、非接触型ICカードを複数枚所有する場合のセパレータやケースの用途に適用できる。
【符号の説明】
【0035】
10:ICカードセパレータ
12:金属層
14A〜14D:誘電体層
16A,16B:磁性層
20:カードケース
22,26:収納部
24,28:ICカード
30:ICカードセパレータ
32:Al
34:PET
36,46:両面テープ
38,44:磁性フィルム
40,42:保護フィルム
50,60:ICカードセパレータ
70:カードケース
72,74:収納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の非接触型ICカードの間に配置され、これらICカード間の干渉を防止するためのICカードセパレータであって、
導電性の金属層,
該金属層の両主面に設けられた一対の誘電体層,
該一対の誘電体層のICカード側の主面に設けられた一対の磁性層,
を備えるとともに、
前記誘電体層の比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とするICカードセパレータ。
【請求項2】
2枚の非接触型ICカードの間に配置され、これらICカード間の干渉を防止するためのICカードセパレータであって、
導電性の金属層,
該金属層の両主面に設けられた一対の磁性層,
該一対の磁性層のICカード側の主面に設けられた一対の誘電体層,
を備えるとともに、
前記誘電体層の比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とするICカードセパレータ。
【請求項3】
2枚の非接触型ICカードの間に配置され、これらICカード間の干渉を防止するためのICカードセパレータであって、
導電性の金属層,
該金属層の両主面に設けられた一対の誘電体層,
該一対の誘電体層のICカード側の主面に設けられた一対の磁性層,
該一対の磁性層のICカード側の主面に設けられた一対の他の誘電体層,
を備えるとともに、
前記誘電体層の比誘電率が2以上であって、厚みが10μm以上100μm以下であることを特徴とするICカードセパレータ。
【請求項4】
前記誘電体層の比誘電率が、好ましくは2.5以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のICカードセパレータ。
【請求項5】
前記磁性層は、誘電体中に磁性粉が分散されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のICカードセパレータ。
【請求項6】
複数の非接触型ICカードの収納部を有するとともに、重なり合うICカード間に請求項1〜5のいずれかに記載のICカードセパレータを配置したことを特徴とするICカードケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−13883(P2011−13883A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156780(P2009−156780)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】