説明

ICコイン処理装置および遊技台用台間機

【課題】寸法およびコストの増加を招くことなく、ICコイン出口からICコインが内部に押し戻されることを阻止可能な構成を備えたICコイン処理装置を提案すること。
【解決手段】遊技台用台間機1に組み込まれているICコイン処理装置10では、出口センサ40によって発行あるいは返却されるICコインが検出されると、ICコイン搬送ローター25を回転させ、そのローター外周端面25aにおけるポケット開口部25bが形成されていない部分25cをICコイン出口通路30に対峙させ、当該部分25cによって、ICコインが押し戻されることを阻止している。ローター外周端面25aの部分25cを利用しているので、ICコインが押し戻されることを阻止するために新たな部品を取り付ける必要がなく、ICコイン出口通路を長くする必要もない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体の貸し出し処理をICコインを用いたプリペイド方式により行う場合等に用いられるICコイン処理装置および当該ICコイン処理装置を備えた遊技台用台間機に関する。更に詳しくは、ICコイン搬送ローターに形成したポケットを円弧状の軌跡に沿って移動して、ICコインに対するデータの読み書き、ICコインの発行あるいは返却、およびICコインの回収動作を行うように構成されたICコイン処理装置において、発行あるいは返却のためにコイン出口に排出されたICコインがICコイン搬送ローターの側に押し戻されることを阻止できるようにした改良技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICメモリチップが内蔵された非接触型のICコインを用いたプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行うことのできる遊技台用台間機が知られている。かかる遊技台用台間機には、ICコインの発行、返却、回収、およびデータの読み書き処理を行うICコイン処理装置が組み込まれている。遊技者が紙幣などの金銭を投入すると、投入金額に対応する価値データが書き込まれたICコインが発行される。ICコインを使用して遊技媒体の貸し出しを受けると、記憶されている価値データが、貸し出し金額分だけ減算処理された値に更新され、遊技終了時には、残高が残っているICコインが遊技者に返却される。残高が零になったICコインは、返却されずにICコイン処理装置に回収されるようになっている。
【0003】
特許文献1、2にはこのようなコイン型記憶媒体(ICコイン)の処理機が開示されている。これらに開示されているコイン型記憶媒体の処理機は、周縁にコイン型記憶媒体を収納可能な凹部が形成されたローターを回転させることにより、コイン型記憶媒体を投入路から受け取り、リーダーライターによってその記憶情報を読み取る動作、コイン型記憶媒体を排出路から返却する動作、または、ストッカに収納する動作を行うように構成されている。また、ローターを逆回転させることにより、ストッカに収納されているコイン型記憶媒体を取り出して、リーダーライターによって金銭情報を書き込み、排出口から発行する動作を行うように構成されている。
【特許文献1】特開2003−135829号公報
【特許文献2】特開2005−34279号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなICコイン処置装置においては次のような解決すべき課題がある。ICコインが発行あるいは返却のためにICコイン出口に排出されたにも拘わらず、遊技者が受け取るのを忘れて、そこに残ったままとなる場合がある。ICコインがICコイン出口に残ったまま、次のICコインが発行あるいは返却されると、ICコイン出口に縦列状態で2個のICコインが貯まることになる。ICコイン出口近傍にはICコインが排出されたことを検出するための出口センサと、出口センサの出力に基づき、ICコイン出口に繋がるICコイン出口通路を開状態から閉じ状態に切り替えるための出口シャッターが配置されている。
【0005】
ICコインは出口センサによる検出位置を通過した後にICコイン出口に到る。したがって、出口センサの検出位置をICコインが通過した後に、当該検出位置よりも上流側に配置されている出口シャッターが閉じるようになっている。
【0006】
ICコイン出口に2個のICコインが貯まると、後側のICコインが出口センサの検出位置に掛かった位置に留まり、出口シャッターが開いたままの状態になる。出口シャッターが開いたままの状態においては、ICコイン出口がICコイン出口通路を介してローターのポケットに連通している。このため、コイン出口に残っているICコインが押し込まれると、後側のICコインがローターのポケットの側に逆戻りする危険性がある。ICコインが押し戻されて出口センサの検出位置から上流側に移動すると、当該出口センサの出力に基づきICコインが検出位置を通過したものと判断されて、出口シャッターが閉まり、発行あるいは返却されるべきICコインがポケットに戻ってしまい、それを取り除く回復処理が必要になってしまう。
【0007】
また、押し戻されたICコインが再びポケットから転がり出ると、閉じようとしている出口シャッターにICコインが挟まれ、動作不能状態に陥る危険性がある。さらには、回転を始めたローターと内部通路の間に当該ICコインが挟まれ、動作不能状態に陥る危険性がある。
【0008】
ICコイン出口通路を長くして、ICコインがローターの側に押し戻されることの無いようにすることが考えられる。しかし、この方法では装置寸法が増加してしまい、特に、遊技台の間の狭い空間に設置される遊技台用台間機に組み込まれるICコイン処理装置には採用することができない。また、出口センサを例えば2組設けて、ICコインの移動方向も検出できるようにすることも考えられる。この場合においては2組のセンサが必要になり、また、その設置スペースを確保する必要があるので、コスト高、寸法増加を招くことになり、実用的な解決方法ではない。
【0009】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、寸法およびコストの増加を招くことなく、ICコイン出口からICコインが内部に押し戻されることを阻止可能な構成を備えたICコイン処理装置、および当該ICコイン処理装置を備えた遊技台用台間機を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明のICコイン処理装置は、
ICコインに対してデータの読み書きを行うICコインリーダーライターと、
このICコインリーダーライターによるICコインのデータ読み書き位置およびICコインを発行あるいは返却するためのICコイン排出位置を経由する円弧状軌跡に沿ってICコインを一枚ずつ搬送可能なポケットを備え、当該ポケットの開口部がローター外周端面に形成されているICコイン搬送ローターと、
前記ICコイン排出位置において前記ポケットから転がり出たICコインをICコイン出口に導くためのICコイン出口通路と、
前記ICコイン排出位置において前記ポケットからICコインが転がり出ない状態で前記ICコイン出口通路を封鎖可能な出口シャッターと、
前記ICコイン出口通路の前記出口シャッターよりも下流側の位置においてICコインを検出する出口センサと、
前記ICコイン搬送ローターおよび前記出口シャッターを駆動制御する制御手段とを有し、
当該制御手段は、前記出口センサによりICコインが検出されると、前記ICコイン搬送ローターを、前記ポケットの開口部が形成されていないローター外周端面部分によって、ICコインがICコイン搬送ローターの側に押し戻されることを阻止可能なICコイン押し戻し阻止位置に回転させることを特徴としている。
【0011】
本発明のICコイン処理装置では、出口センサによって発行あるいは返却されるICコインが検出されると、ICコイン搬送ローターをICコイン押し戻し阻止位置まで回転させ、そのローター外周端面部分によってICコインが押し戻されることを防止している。ローター外周端面部分を利用しているので、ICコインが押し戻されることを阻止するために新たな部品を取り付ける必要がなく、また、ICコイン出口通路を長くする必要もない。
【0012】
本発明において、前記出口センサによるICコインの検出位置は、検出されたICコインを前記ICコイン搬送ローターの前記外周端面部分によって前記ICコイン出口の側に押し出し可能な位置に設定しておけばよい。このようにすれば、ICコインの押し戻しを阻止するために回転させたICコイン搬送ローターのローター外周端面部分と、ICコイン出口通路を規定している部材との間にICコインが挟まって動作不能状態に陥ることを回避できる。
【0013】
また、本発明において、前記制御手段は、前記出口センサによってICコインが検知されなくなると、前記出口シャッターを閉じるようにすればよい。
【0014】
さらに、本発明のICコイン処理装置は、上記構成に加えて、ICコインが投入されるICコイン投入口と、前記ICコイン投入口から投入されたICコインを前記データ読み書き位置に案内するICコイン入口通路と、ICコインを下端開口部から受け入れて1枚ずつ直径方向に積み上げた状態に収納可能なICコイン収納通路とを有し、前記ポケットは、前記データ読み書き位置、前記ICコイン排出位置、および、前記ICコイン収納通路の前記下端開口部にICコインを押し込み可能なICコイン収納位置を経由する円弧状軌跡に沿って移動可能となっていることを特徴としている。
【0015】
この場合、前記ICコイン搬送ローターは、前記ポケットとして、120度間隔で形成された3つのポケットを備え、前記データ読み書き位置を前記ポケットの開口部が上を向いた位置とし、前記ICコイン排出口を前記データ読み書き位置から60度回転した位置とし、前記ICコイン収納位置を、前記データ読み書き位置から同一方向に240度回転した位置とすることができる。また、この場合には、前記ICコイン搬送ローターの前記ICコイン押し戻し阻止位置を、前記ポケットの一つが前記データ読み書き位置に位置する回転位置とすればよい。
【0016】
次に、本発明は隣接配置されている遊技台でのプレイで使用する遊技媒体の貸し出しを行う遊技台用台間機において、上記構成のICコイン処理装置を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明のICコイン処理装置では、出口センサによって発行あるいは返却されるICコインが検出されると、ICコイン搬送ローターが回転し、そのローター外周端面部分によってICコインが押し戻されることを阻止可能としている。ローター外周端面部分を利用しているので、ICコインが押し戻されることを阻止するために新たな部品を取り付ける必要がなく、また、ICコイン出口通路を長くする必要もない。よって、コストおよび寸法の増加を招くことなく、ICコインがICコイン出口から押し戻されることを阻止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したICコイン処理装置が内蔵されている遊技台用台間機の一例を説明する。
【0019】
[全体構成]
図1は遊技台用台間機の分解斜視図であり、図2は遊技台用台間機の側面図である。本例の遊技台用台間機1は、会員遊技者用のICカードと一般遊技者(ビジター)用のICコインを用いたプリペイド方式により遊技媒体の貸し出し処理を行うことができるものである。
【0020】
遊技台用台間機1は、遊技店の遊技島に配列されている遊技台(図示せず)の間の縦長の狭い隙間に、前向きの垂直姿勢で遊技島枠(図示せず)に取り付けられる台間機ホルダ2と、この台間機ホルダ2に対して前方から着脱可能な状態で装着される台間機本体3とから構成されている。
【0021】
台間機本体3は、全体として縦長の扁平な直方体形状のシャーシ4を備えており、このシャーシ4には、その上側から紙幣識別機5、制御ボックス6および電源ボックス7がこの順序に取り付けられている。シャーシ4の前面には前面パネル8が取り付けられており、当該前面パネル8には上側から、多機能ランプ8a、紙幣挿入口8b、ICカードやICコインの残高などを表示するための表示部8c、会員が再プレイする際に暗証番号などを入力するために用いるテンキー8d、ICコインを投入するICコイン投入口8e、ICコインを発行あるいは返却のために排出するICコイン出口8fがこの順序で配置されており、ICコイン出口8fの隣接位置にはICカード挿入口8gが配置されている。
【0022】
制御ボックス6の側面にはICコイン処理装置10が組み込まれている。ICコイン処理装置10は、ICコインの発行(貸し出し)、返却、回収およびデータの読み書きを行うためのものである。ICコイン処理装置10の側面には水平に延びる矩形の凹部10aが形成されており、ここには、ICカードの読み書きを行うカード処理装置100が装着されている。
【0023】
一方、台間機ホルダ2は、縦枠2aと、その上下の端から直角に折れ曲がって前方に延びている上下のガイド板2b、2cとを備えている。縦枠2aには外部通信用の中継基板16が取り付けられている。中継基板16には上下一対のガイドピン17a、17bが前方に突出しており、これらの間には通信用のホルダ側コネクタ18が前向きに取り付けられている。
【0024】
台間機ホルダ2の上下のガイド板2b、2cの間に台間機本体3を位置決めして、これらのガイド板2b、2cに沿って台間機本体3を押し込むと、先細り形状のガイドピン17a、17bの先端部がガイド穴14a、14bに差し込まれ、この後は、台間機本体3の差込動作によって、本体側コネクタ15がホルダ側コネクタ18に自動的に位置決めされる。台間機本体3を台間機ホルダ2に差し込むと、本体側コネクタ15がホルダ側コネクタ18に差し込まれて接続された状態が自動的に形成される。
【0025】
[ICコイン処理装置]
図3はICコイン処理装置10の内部構造を示す説明図である。ICコイン処理装置10は、扁平なユニットケース21を備えており、その前面21aには、遊技台用台間機1の前面パネル8のICコイン投入口8eおよびICコイン出口8fにそれぞれ連通するICコイン投入口22およびICコイン出口23が形成されている。
【0026】
ユニットケース21の内部には、ICコイン投入口22から投入されたICコインを案内するためのICコイン入口通路24が形成されている。ICコイン入口通路24の通路幅および通路高さは1枚のICコインが立った状態で通過可能な寸法であり、ICコイン投入口22から装置後方に向かって僅かに下方に傾斜している部分と、この先から下方に湾曲して垂直に伸びる部分とを備え、ICコインが自重によってその通路底面24aに沿って滑落可能となっている。
【0027】
ICコイン入口通路24の下端開口部24bは下方に向いており、この真下には、ICコイン搬送ローター25が装置幅方向(通路幅方向)に延びる支軸26を中心として回転自在の状態で配置されている。ICコイン搬送ローター25は120度間隔で形成した3つのポケット25(1)〜25(3)を備えている。ポケット25(1)〜25(3)はローター外周端面25aに向けて広がった形状をしたICコインの厚さ分の深さ寸法の凹部あるいは溝であり、ローター外周端面25aに位置しているポケット開口部25bからICコインを受け入れ可能である。
【0028】
ICコイン入口通路24の通路底面24aの側の下方には、支軸26を中心とする円弧状のコインガイド用内周端面27が形成されている。このコインガイド用内周端面27の厚さはICコインとほぼ同一であり、ポケット25(1)〜25(3)に受け入れられたICコインは、ICコイン搬送ローター25が回転すると、ポケット25(1)〜25(3)に入った状態で当該コインガイド用内周端面27に沿う円弧状軌跡に沿って搬送される。
【0029】
ここで、ICコイン入口通路24の下端開口部24bの真下の位置が、ICコインに対するデータ読み書き位置Aとされている。このデータ読み書き位置Aの近傍に配置されているICコインリーダーライター(図示せず)のアンテナ28によってICコインに対するデータの読み書きが行われる。本例では、ICコイン入口通路24の下端開口部24bの真下において上向き姿勢となるポケット25(1)〜25(3)に保持されたICコインの位置が当該データ読み書き位置Aとされている。
【0030】
ICコイン出口23にはICコイン出口通路30が連通している。このICコイン出口通路30はICコイン出口23に向けて下方に傾斜した通路であり、ICコインが自重によって滑落してICコイン出口23から排出可能となっている。このICコイン出口通路30とICコイン搬送ローター25の間を仕切っているコインガイド用内周端面27の部分は、出口シャッター31の端面31aによって規定されている。出口シャッター31を開くと、ICコイン出口通路30の上端側開口部30aが開き、ICコイン搬送ローター25の側に連通する。本例では、データ読み書き位置Aに位置しているポケット25(1)〜25(3)が時計回りに60度回転すると、上端側開口部30aに連通可能なICコイン排出位置Bに位置決めされるようになっている。
【0031】
ICコイン出口通路30の上端側開口部30aの下端近傍におけるICコイン搬送ローター25との間には、ポケット25(1)〜25(3)からICコイン出口通路30にICコインを導くためのコイン出口補助通路片32が配置されている。このコイン出口補助通路片32は、コイン出口シャッター31がICコイン出口通路30内に突出して当該通路を遮断すると、ICコイン出口通路30から退避し、コイン出口シャッター31がICコイン出口通路30を開放すると、ICコイン出口通路30内に突出してICコインをICコイン出口通路30の側に案内する。
【0032】
ICコイン出口通路30における上端側開口部30aの近傍位置には出口センサ40が配置されている。出口センサ40によってICコインが通過したことが検出されると、コイン出口シャッター31が閉じ、コイン出口補助通路片32が突出位置から退避する。コイン出口シャッター31およびコイン出口補助通路片32は、共通のソレノイドなどの駆動機構(図示せず)によって駆動される。
【0033】
ICコイン搬送ローター25の後側にはICコイン収納通路33が配置されている。ICコイン収納通路33は、ICコイン1枚分を通すことのできる通路から形成されており、ICコインを立てた状態で下端開口部33aから送り込むようになっている。この下端開口部33aの下側の端面33bには、コインガイド用内周端面27の下端側の部分が直線状に延びて滑らかに連続している。本例では、データ読み書き位置Aに位置しているポケット25(1)〜25(3)が時計回りに240度回転すると、下端開口部33aにICコインを押し込み可能なICコイン収納位置Cに位置決めされるようになっている。
【0034】
この下端開口部33aの上側には、ICコイン搬送ローター25のローター外周端面25aに僅かの隙間で対峙しているコインガイド用内周端面34が形成されている。このコインガイド用内周端面34はICコイン入口通路24の下端開口部24bまで延びている。ポケット25(1)〜25(3)に収納されているICコインは、ICコイン搬送ローター25の回転に伴って、当該コインガイド用内周端面34の角部によってポケットから押し出されながら、各ポケットの端面によってICコイン収納通路33の下端開口部33aに押し込まれるようになっている。
【0035】
次に、ICコイン投入口22に連通しているICコイン入口通路24の部位には入口シャッター35が配置されている。入口シャッター35はICコインが投入されていない状態ではICコイン入口通路24から退避している。入口シャッター35の下流側の部位には入口センサ36が配置されており、ここを通過するICコインを検出する。入口センサ36によって投入されたICコインが検出されると、入口シャッター35が閉じてICコイン投入口22が封鎖され、当該ICコイン投入口22からICコインが投入できないようになる。
【0036】
ICコインのデータ読み書き位置Aには当該位置にICコインが保持されているか否かを検出するためのセンサ37が配置されている。また、ICコイン収納通路33には、その下端開口部33aの近傍位置にICコインエンプティセンサ38が配置され、その上端近傍位置にはICコインフルセンサ39が配置されている。これらの出力に基づき、ICコイン収納通路33が空になったのか、満杯になったのかを知ることができる。
【0037】
なお、ICコイン搬送ローター25を回転駆動するための駆動機構は、例えば、そこに同心状に取り付けたメインギヤ、このメインギヤに噛み合っているウォームホイール、このウォームホイールに噛み合っているウォームおよび当該ウォームが出力軸に固着されている駆動モータを備えた構成とすることができる。また、ICコイン搬送ローター25の回転位置を検出するためのセンサ(図示せず)が配置されており、これらの出力に基づき、ICコイン搬送ローター25の各ポケット25(1)〜25(3)の回転位置が制御される。
【0038】
[ICコイン処理装置の動作説明]
図4はICコイン処理装置10の処理動作を示す状態遷移図である。まず、図4の状態S1はICコイン処理装置10の典型的な待機状態を示してある。図示の待機状態S1では、ICコイン収納通路33に複数枚のICコインC1〜C5が収納されており、一つの空のポケット25(1)がデータ読み書き位置Aに位置している。ICコイン収納位置Cに位置しているポケット25(3)とICコイン収納通路33の下端開口部33aの間にはICコインC6が収納されており、データ読み書き位置Aから時計回りに120度回転した位置にあるポケット25(2)にはICコインC7が収納されている。
【0039】
この待機状態S1において、紙幣が投入され、紙幣識別機5によって入金額が検出されると、ICコインの発行動作が行われる。発行動作においては、まず、待機状態S1から、ICコイン搬送ローター25を120度だけ反時計回りに回転させて、ポケット25(2)がデータ読み書き位置Aに位置決めされた状態S2とする。この状態S2において、ポケット25(2)に入っているICコインC7に入金額に対応する価値データなどの書き込み処理を行う。
【0040】
次に、ICコイン搬送ローター25を時計回りに60度回転して、ポケット25(2)をICコイン排出位置Bに位置決めする。この時点では、コイン出口シャッター31が開き、コイン出口補助通路片32がICコイン出口通路30に突出した状態とされる。この結果、状態S3に示すように、ポケット25(2)からICコインC7が自重により転がり出て、ICコイン出口補助通路片32に案内されて、ICコイン出口通路30を通って、ICコイン出口23から発行される。
【0041】
発行されるICコインC7は出口センサ40によって検出される。出口センサ40によってICコインC7が検出されると、直ちに、ICコイン搬送ローター25が反時計回りに60度回転して、空のポケット25(2)がデータ読み書き位置Aに位置決めされた待機状態S4に移行する。出口センサ40の検出位置をICコインC7が通過し終えると、出口シャッター31が閉じ、コイン出口補助通路片32が退避する。
【0042】
待機状態S4において、ICコイン投入口22から既に発行されているICコインCaが投入されると、状態S5に示すように、投入されたICコインCaはICコイン入口通路24を自重によって滑落して、ICコイン搬送ローター25のポケット25(2)に受け入れられる。ICコインCaの投入が入口センサ36によって検出されると、入口シャッター35が閉じる。ポケット25(2)に入ったICコインCaはアンテナ28によってそのコインデータが読み出される。プリペイド残高がある場合には遊技媒体の貸し出しが可能であり、貸し出し指令を受けると遊技台用台間機1によって遊技媒体の貸し出し処理が行われる。遊技媒体の貸し出し処理を行った後はプリペイド残高から貸し出し料を減算し、減算後の残高をICコインCaに書き込む。
【0043】
遊技終了後などにICコインCaの返却指令が入力されると、プリペイド残高を確認し、残高が零の場合には、ICコインCaを返却することなく、内部に回収する。すなわち、ICコイン搬送ローター25を時計回りに120度回転させ、空のポケット25(1)をデータ読み書き位置Aに位置決めした待機状態S6とする。
【0044】
ICコインCaの残高が零でない場合には、返却指令が入力されると、状態S7に示すように、ICコインCaをICコイン出口23から返却する返却動作が行われる。この返却動作では、出口シャッター31を開き、コイン出口補助通路片32を突出させた後に、ICコイン搬送ローター25を時計回りに60度回転させ、ポケット25(2)をICコイン出口通路30に連通した位置とする。この結果、ポケット25(2)からICコインCaが自重により転がり出て、コイン出口補助通路片32に案内されて、ICコイン出口通路30を通って、ICコイン出口23から返却される。
【0045】
返却されるICコインCaは出口センサ40によって検出される。出口センサ40によってICコインCaが検出されると、直ちに、ICコイン搬送ローター25が反時計回りに60度回転して、空のポケット25(2)がデータ読み書き位置Aに位置決めされた待機状態S4に移行する。出口センサ40の検出位置をICコインC7が通過し終えると、出口シャッター31が閉じ、コイン出口補助通路片32が退避する。
【0046】
このように、本例のICコイン処理装置10では、ICコインの発行および返却時には、出口センサ40によってICコインが検出されると、直ちに、ICコイン搬送ローター25が反時計回りに60度回転して、空のポケット25(2)がデータ読み書き位置Aに位置決めされた待機状態に移行する。そして、ICコインが出口センサ40の検出位置を通過し終えると、出口シャッター31を閉じて、コイン出口補助通路片32を退避させるようにしている。ICコイン搬送ローター25が待機状態に戻ると、ポケット開口部25bが形成されていないローター外周端面25aの部分がICコイン出口通路30の上端側開口部30aに対峙した状態になる。
【0047】
このため、図3に想像線で示すように、ICコイン出口23の側から、ICコイン出口通路30内にあるICコインCaを押し込むと、当該ローター外周端面25aの部分25cにICコインCbが当る。よって、ICコインCaが内部に押し戻されることが確実に阻止される。
【0048】
例えば、ICコインの返却時には、遊技者が返却されたICコインをICコイン出口23から取り出すことを忘れて、ICコインがそのままICコイン出口23に残ることがある。ICコインが残ったまま、次のICコインの発行あるいは返却が行われると、ICコイン出口23には縦列状態で2枚のICコインが貯まる。
【0049】
図5には2枚のICコインCaおよびCbが残っている状態を示してある。本例では、後続のICコインCbの外周端面がICコイン搬送ローター25のローター外周端面25aから僅かに外れた位置となるようにICコイン出口通路30の長さが設定されている。また、出口センサ40の検出位置は、ICコイン出口23に排出されたICコインCaが完全に通過し終える位置とされている。したがって、後側のICコインCbが当該検出位置に掛かった状態になる。
【0050】
このように2枚のICコインCa、CbがICコイン出口23に貯まると、出口センサ40はICコインを検出し続けた状態になる。この状態では、出口シャッター31が開いたままとされる。図5に示すように、ICコインCbが排出された後の空のポケット25(2)がICコイン出口通路30に連通したICコイン排出位置Bに位置したままであると、ICコインCa、Cbを押し込むと、ICコインCbが想像線Cb’で示すように、ポケット25(2)に押し戻される危険性がある。
【0051】
しかしながら、本例では、ICコインの発行、返却時において、ICコイン排出位置BにあるポケットからICコインが排出されて出口センサ40によって検出されると、直ちにICコイン搬送ローター25を待機状態に戻している。本例では、ICコイン搬送ローター25を待機状態に戻すと、ポケットが位置していないローター外周端面25aの部分25cがICコイン出口通路30に対峙する。よって、ICコイン出口通路30に貯まっているICコインCbが内部に押し戻されてしまうことが確実に阻止される。
【0052】
また、本例では、押し戻されたICコインCbが検出位置から外れた直後の状態(図5の想像線Cb”で示す位置)でICコイン搬送ローター25を回転しても、ICコイン搬送ローター25のローター外周端面25aによってICコインCbをICコイン出口通路30の側に押し出すことができるように、出口センサ40の検出位置を設定してある。このため、ICコインCbがICコイン搬送ローター25と内部の通路壁部分41の間に挟まり、動作不能状態に陥るなどの弊害を回避できる。
【0053】
なお、押し戻されるICコインを阻止するために、本例では反時計回りに60度だけICコイン搬送ローター25を回転させているが、回転角度は60度でなくてもよく、ポケット開口部25bが位置していないローター外周端面25aの部分25cがICコイン出口通路30に対峙するようにできればよい。また、本例では、3つのポケットが形成されたICコイン搬送ローター25を用いているが、1つ、2つあるいは4つ以上のポケットを備えたICコイン搬送ローターを用いた場合にも本発明を適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明を適用した遊技台用台間機の分解斜視図である。
【図2】図1の遊技台用台間機の側面図である。
【図3】図1の遊技台用台間機に組み込まれているICコイン処理装置の内部構造を示す説明図である。
【図4】図3のICコイン処理装置の状態遷移図である。
【図5】図3のICコイン処理装置の作用効果を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 遊技台用台間機
2 台間機ホルダ
3 台間機本体
4 シャーシ
5 紙幣識別機
6 制御ボックス
7 電源ボックス
8 前面パネル
8a 多機能ランプ
8b 紙幣挿入口
8c 表示部
8d テンキー
8e ICコイン投入口
8f ICコイン出口
8g ICカード挿入口
10 ICコイン処理装置
14a、14b ガイド穴
15 本体側コネクタ
16 中継基板
17a、17b ガイドピン
18 ホルダ側コネクタ
21 ユニットケース
21a 前面
22 ICコイン投入口
23 ICコイン出口
24 ICコイン入口通路
24a 通路底面
24b 下端開口部
25 ICコイン搬送ローター
25(1)〜25(3) ポケット
25a ローター外周端面
25b ポケット開口部
25c 部分
26 支軸
27 コインガイド用内周端面
28 アンテナ
30 ICコイン出口通路
30a 上端側開口部
31 出口シャッター
31a 端面
32 コイン出口補助通路片
33 ICコイン収納通路
33a 下端開口部
33b 端面
34 コインガイド用内周端面
35 入口シャッター
36 入口センサ
37 センサ
38 ICコインエンプティセンサ
39 ICコインフルセンサ
40 出口センサ
41 通路壁部分
C1〜C7、Ca、Cb ICコイン
A データ読み書き位置
B ICコイン排出位置
C ICコイン収納位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICコインに対してデータの読み書きを行うICコインリーダーライターと、
このICコインリーダーライターによるICコインのデータ読み書き位置およびICコインを発行あるいは返却するためのICコイン排出位置を経由する円弧状軌跡に沿ってICコインを一枚ずつ搬送可能なポケットを備え、当該ポケットの開口部がローター外周端面に形成されているICコイン搬送ローターと、
前記ICコイン排出位置において前記ポケットから転がり出たICコインをICコイン出口に導くためのICコイン出口通路と、
前記ICコイン排出位置において前記ポケットからICコインが転がり出ない状態で前記ICコイン出口通路を封鎖可能な出口シャッターと、
前記ICコイン出口通路の前記出口シャッターよりもICコイン排出側の位置においてICコインを検出する出口センサと、
前記ICコイン搬送ローターおよび前記出口シャッターを駆動制御する制御手段とを有し、
当該制御手段は、前記出口センサによりICコインが検出されると、前記ICコイン搬送ローターを、前記ポケットの開口部が形成されていないローター外周端面部分によって、ICコインがICコイン搬送ローターの側に押し戻されることを阻止可能なICコイン押し戻し阻止位置に回転させることを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記出口センサによるICコインの検出位置は、検出されたICコインを前記ICコイン搬送ローターの前記外周端面部分によって前記ICコイン出口の側に押し出し可能な位置に設定されていることを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記制御手段は、前記出口センサによってICコインが検知されなくなると、前記出口シャッターを閉じることを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項4】
請求項3において、
ICコインが投入されるICコイン投入口と、
前記ICコイン投入口から投入されたICコインを前記データ読み書き位置に案内するICコイン入口通路と、
ICコインを下端開口部から受け入れて1枚ずつ直径方向に積み上げた状態に収納可能なICコイン収納通路とを有し、
前記ポケットは、前記データ読み書き位置、前記ICコイン排出位置、および、前記ICコイン収納通路の前記下端開口部にICコインを押し込み可能なICコイン収納位置を経由する円弧状軌跡に沿って移動可能となっていることを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記ICコイン搬送ローターは、前記ポケットとして、120度間隔で形成された3つのポケットを備えており、
前記データ読み書き位置は前記ポケットの開口部が上を向いた位置であり、前記ICコイン排出口は前記データ読み書き位置から60度回転した位置であり、前記ICコイン収納位置は、前記データ読み書き位置から同一方向に240度回転した位置であり、
前記ICコイン搬送ローターの前記ICコイン押し戻し阻止位置は、前記ポケットの一つが前記データ読み書き位置に位置する回転位置であることを特徴とするICコイン処理装置。
【請求項6】
隣接配置されている遊技台でのプレイで使用する遊技媒体の貸し出しを行う遊技台用台間機において、
請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載のICコイン処理装置を備えていることを特徴とする遊技台用台間機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−83812(P2008−83812A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−260876(P2006−260876)
【出願日】平成18年9月26日(2006.9.26)
【出願人】(000128946)マミヤ・オーピー株式会社 (122)
【Fターム(参考)】