説明

ICタグを用いた製品管理方法

【課題】在庫により製品が使用期限切れとなることがないように、製品の在庫や出荷を管理できる製品管理方法を提供すること。また、製品の使用期限が過ぎる前にユーザーが使用できるように、製品の在庫や出荷を管理でき、且つ製品使用後にユーザーがどの製品を使用したのかその履歴を追うことのできる製品管理方法を提供すること。
【手段】ICタグを製品と一体化させ、ICタグを特定する識別データと、製品データ及び保管場所データを、記憶装置に記憶させ、これらのデータを用いて当該製品の出荷管理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品管理方法に関する。詳しくは、ICタグを用い製品在庫や製品の出荷を管理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セメントやプレミックスモルタル(所定の割合でセメント、混和材料及び細骨材を工場で予め配合し混合した粉粒体)などの製品は、工場内の製造設備で製造された後、保管場所で保管した後に、ユーザーに譲渡され使用されることが多い。また、袋や缶等の容器に製品を詰めた場合は、製品の入った容器を積み上げ、保管及び輸送を行うことが多い。セメントやプレミックスモルタル等は、製造から一定期間経つと品質が劣化し所定の品質が得られない虞がある。このため、一定期間経過したセメントやプレミックスモルタル等の劣化し易い製品は、品質試験を行い品質に問題がないことを確認するか、工場に輸送し製品の原材料として再利用するか、最悪の場合は産業廃棄物として有価で処分しないといけない等、手間や経費が掛かってしまうという問題がある。そこで、使用可能な期間(使用期限)が過ぎる前に、ユーザーが使用できるように製品の在庫や出荷を管理する必要がある。
【0003】
製品又は製品が入った容器には、製造ロットナンバーや製造日が印字されており、これをもとに保管場所内にある製品のうち、できるだけ古いものから出荷するようにすることが考えられる。しかし、上述したように、製品又は製品が入った容器が積み上げられ保管されている場合、製造ロットナンバーや製造日を印字している部分が目視や機械で読み取れないことが多い。この場合は、印字されている製造ロットナンバーや製造日をもとに出荷する製品を決めることはできない。
【0004】
また、コンクリート部材情報(製品情報)をICタグに記憶させ、対応するコンクリート部材にこのICタグを埋設し管理することにより、コンクリート部材の所在および状況を的確且つ効率的に把握し、正しい位置に仮置場又は架設されているか確認すること(仮置管理及び架設場管理)及び原材料の生コン(未硬化のコンクリート)量管理等を行うことが提案されている(例えば特許文献1)。しかし、コンクリート部材は、使用期限というものが通常無い。このため、使用期限が過ぎる前に、ユーザーが使用できるようにコンクリート部材の在庫や出荷を管理する必要はない。
【0005】
ところで、ユーザーが製品を使用した場合に、何らかの不具合が生じることがある。この場合、製品に不具合があったのか否かを判断するために、製造ロットを特定する必要がある。セメントやプレミックスモルタル等のように、製品には製造ロットナンバーや製造日を印字することができない製品の場合は、製品が入った容器に製造ロットナンバーや製造日を印字することになる。しかし、製品使用後に容器は廃棄物として処分されるため、不具合が生じた時に、用いられた製品の製造ロットを特定することが困難なことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−162726号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は前記問題の解決、即ち、本発明は、在庫により製品が使用期限切れとなることがないように、製品の在庫や出荷を管理できる製品管理方法を提供することを目的とする。また、本発明は、在庫により製品が使用期限切れとなることがないように、製品の在庫や出荷を管理でき、且つ製品使用後にユーザーが使用した製品の履歴を追うことのできる製品管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、前記課題解決のため鋭意検討した結果、ICタグを製品と一体化させ、ICタグを特定する識別データと、当該製品の製造日データ及び保管場所データを、記憶装置に記憶させ、これらのデータを用いて当該製品の出荷管理を行うことにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明は、即ち、本発明は、以下の(1)〜(5)で表す製品管理方法である。
(1)識別データを内蔵メモリに記憶させたICタグを、製品と一体化させ、該識別データと、当該製品に関する製造日データ及び保管場所データを、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする製品管理方法。
(2)更に、使用期限データを、上記識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ、保管場所データ及び使用期限データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする上記(1)の製品管理方法。
(3)更に、製品量データを、上記識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ、保管場所データ及び製品量データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする上記(1)又は(2)の製品管理方法。
(4)ICタグと一体化させた複数の製品を、一組の製品として、これらの識別データを上記記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする上記(1)〜(3)何れかの製品管理方法。
(5)上記(1)〜(4)何れかの製品管理方法により特定した製品の、出荷先データ及び出荷日データを、当該製品と一体化させたICタグの識別データととともに、上記記憶装置に記憶させることを特徴とする製品管理方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、在庫により製品が使用期限切れとなることがないように、製品の在庫や出荷を管理できる製品管理方法が得られる。また、本発明によれば、製品の在庫管理及び出荷管理を確実に行うことが容易となる。また、本発明によれば、在庫により製品が使用期限切れとなることがないように製品を出荷できるので、保管場所から抜き取った製品の品質確認のための試験を行うこと、工場に輸送し製品の原材料として再利用すること、又は産業廃棄物として有価で処分すること等が起こらないことから、手間や経費が余計に掛かることがない。また、本発明によれば、製品の在庫や出荷を管理でき且つ製品使用後にユーザーが使用した製品の履歴を追うことのできる製品管理方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】無定形の製品(プレミックスモルタル)とともにICタグを袋詰めにすることでICタグと製品を一体化した状態の模式的な断面図である。
【図2】図1に示したICタグとともに袋詰めにした無定形の製品(プレミックスモルタル)を複数パレットに積層した状態の模式的な正面図である。
【図3】図1に示したICタグとともに袋詰めにした無定形の製品(プレミックスモルタル)を複数パレットに積層した状態の模式的な右側面図である。
【図4】製品の製造から保管までの過程を表した模式的な図である。
【図5】製品の出荷の過程を表した模式的な図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に用いるICタグは、内蔵メモリとアンテナ部とコントロール部を少なくとも備えるもので、好ましくは、アンテナ部で受信した外部からのエネルギーを電源として利用するパッシブ型のICタグが、内臓電池を電源として用いるアクティブ型よりも小型であり且つ電池切れの心配が無いことから好ましい。ICタグの内蔵メモリは、RAM(ランダムアクセスメモリ)及び/又はROM(リードオンリーメモリ)からなる。コストを抑え且つ小さいものとするためには、識別データのみが記録されたROMのみでメモリ部を構成することが好ましい。
【0012】
本発明に用いるICタグは、リーダー(データ読み込み器)及び/又はライター(データ書き込み器)とデータの授受を無線通信により非接触で行うことができる。無線通信の方式は特に限定されない。例えば、135KHz未満の周波数を用いた電磁誘導方式、13.56MHzの周波数電磁誘導方式、UHF帯の周波数を用いた電波方式、2.45GHzのを用いたの周波数を用いた電波方式等が例示できる。通信距離、指向性、水分の影響の受けやすさ等が異なることから、使用する製品の特性、流通システム、経済性、大きさ等を考慮して、適宜選択すればよい。リーダーとライターの機能を備えたリーダー/ライターにより、これとICタグがデータの授受を行うようにしていてもよい。
【0013】
本発明において、ICタグを製品と一体化させる方法としては、例えば、製品内部に内在させる方法、製品に取り付ける方法、製品容器(袋、箱、缶など、以下単に「容器」ということがある)に取り付ける方法等が挙げられる。製品がセメントやプレミックスモルタル等の不定形の製品の場合は、ICタグを無定形の製品とともに容器内に入れる方法、ICタグを取り付けた容器に無定形の製品を入れる方法、無定形の製品を入れた容器にICタグを取り付ける方法、容器製造時にICタグを容器内に内在させる方法等が、ICタグを製品と一体化させる方法として挙げられる。図1にその一例を示す。図1は、プレミックスモルタルとともに製品容器である袋1つ当たり1個のパッシブ型のICタグを入れ封をすることで、不定形の製品であるプレミックスモルタルとICタグを一体化したものである。
【0014】
ICタグと一体化させた複数の同一製品を一組の製品として、これらの識別データを記憶装置に記憶させておくと、一つの識別データをリーダーで確認しただけで、その一組の製品の各識別データが抽出できることから、作業効率が高まり、リーダーで識別データを読み込むことのできない位置に保管されている製品についても直ちに認識できることから好ましい。ICタグと一体化させた複数の同一製品を一組の製品として、これらの識別データを記憶装置に記憶させておくことが好ましく、このために、当該の一組であることが特定できる組データと関係する識別データとを記憶装置に関連付けて記憶させておくことがより好ましい。この一組とした製品が同一製造ロットのものであると品質が安定していることからより好ましい。図2及び図3にその一例を示す。図2及び図3に示した例は、パレット4上に図1に示したプレミックスモルタルとICタグの入った袋5を1段当たり5袋を6段積層したもので、図2は正面図、図3は右側面図である。これらの30袋に含まれるICタグの識別データを、一組のものとして、データサーバに記憶させてあるものである。
【0015】
本発明における製品としては、製造から一定期間経つと品質が劣化し所定の品質が得られない虞がある製品が好ましく、水蒸気や炭酸ガス等の大気中に含まれる気体により劣化し易いセメント、プレミックスモルタル、静的破砕剤、セメント急結剤やコンクリート用膨張材等の混和材料、不定形耐火被覆材等、並びに紫外線により劣化し易い有機系接着剤に代表される有機化合物からなる製品が挙げられる。
【0016】
本発明において、識別データは、当該ICタグを特定することができるように、ICタグ内のメモリ部に記憶させている。この識別データは、当該ICタグを特定することができればよく、ICタグの内蔵メモリのROMに記憶されたデータでも、ICタグの内蔵メモリのRAMに記憶されたデータでもよく、製造日データ及び他の製品データをICタグの内蔵メモリのRAMに合わせて記憶させ、この合わせて記憶させたデータを識別データとしてもよい。
【0017】
本発明の製品管理方法は、識別データを内蔵メモリに記憶させたICタグを、製品と一体化させ、該識別データと、当該製品に関する製造日データ及び保管場所データを、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする。識別データを内蔵メモリに記憶させたICタグを、製品と一体化させ、識別データと、当該製品に関する製造日データ及び保管場所データを関連付けた上で、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定することが好ましい。ここで、製造日データとは、当該製品の製造日が記録されたデータで、この製造日データから当該製品の製造日が特定できる。
【0018】
本発明において、保管場所データは、当該製品が現在保管されている位置が特定できるデータである。好ましくは、この保管場所データに、現在保管されている位置のほか、当該製品の保管履歴が特定できるデータが記憶されていることが好ましい。
【0019】
製造日データ及び保管場所データ以外の製品データを合わせて、識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製品データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定することが好ましい。製造日データ以外の製品データとしては、例えば以下のようなデータが挙げられ、識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させて、出荷する製品の特定に利用することが好ましい。このような製品データとしては、例えば、製品名データ(製品名が特定できるデータ)、製品コードデータ(製品の種類が特定できるデータ)、製造時間データ(製造した時間が特定できるデータ)、製造設備データ(例えば使用ミキサ番号、充填装置番号、使用粉砕設備番号等が特定できるデータ)、可使期間データ(製造から使用可能な期間が特定できるデータ)、使用期限データ(使用期限が特定できるデータ)、製品量データ(製品1つの質量又は体積(無定形の製品の場合は1容器毎のもの)が特定できるデータ)、原材料データ(原材料が特定できるデータ)、製造条件データ(例えば、焼成温度、焼成時間、混合時間、反応時間、圧力、酸素濃度等が特定できるデータ)等が挙げられる。特に、製品量データを、識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させて、出荷する製品の特定に利用すると、出荷量に合わせて出荷する製品を特定することができることから好ましい。また、製造日データ及び可使期間データから、使用期限データを作成し、識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させておくことが、都度使用期限データを算出する必要が無いことから好ましい。これらの使用期限データや製品量データ等の製品データ(製造日データ及び保管場所データ以外のもの)、識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、当該識別データと関連付けて記憶装置に記憶させておくことが、識別データからこれらの製品データを取り出しやすいことからより好ましい。
【0020】
本発明で用いる記憶装置は、識別テータ、製造日データ、保管場所データ及びその他の製品データを記憶でき、出荷する製品を特定するときにこれらのデータを容易に呼び出すことのできるものであれば、その記憶方式は特に限定されない。磁気式、光学式、磁気光学式、電子式等何れの記憶装置でもよい。記憶装置としては、1台のコンピュータとそのメモリでもよいが、工場、倉庫及び営業部門で効率よく出荷する製品を特定するためには、データサーバを記憶装置とすることが好ましい。
【0021】
識別データと、製造日データ、及び保管場所データ、或いは更に他の製品データとを関連付け記憶装置に記憶させる方法としては、例えば以下のような方法が例示できる。
[識別データと製品データを関連付け記憶装置に記憶させる方法(その1)]
ICタグ内の識別データをリーダーで読み取り、この識別データと製造日データ及び他の製品データをまとめて一つのデータとして、データサーバに送信し、データサーバのメモリに記憶させる。次に、保管場所において、ICタグ内の識別データをリーダーで読み取り、データサーバに識別データと保管場所データを送信し、データサーバのコントロール部により、データサーバのメモリ内に記憶さている当該ICタグの識別データに対応するデータを、データサーバのメモリ内から呼び出した後に、呼び出したデータに保管場所データを加えて新たなデータとして、データサーバのメモリに記憶させる方法。
【0022】
[識別データと製品データを関連付け記憶装置に記憶させる方法(その2)]
ICタグ内の識別データをリーダーで読み取り、この識別データと製造日データ及び他の製品データを一連のデータとして、データサーバに送信し、データサーバのメモリに記憶させる。このとき、識別データと、関連した各データの格納先のアドレスを特定することができるアドレスデータを作成し、データサーバのメモリに記憶させる。次に、保管場所において、ICタグ内の識別データをリーダーで読み取り、データサーバに識別データと保管場所データを送信し、保管場所データをデータサーバのメモリに記憶させ、その格納先アドレスを特定できるデータを、データサーバのコントロール部により、データサーバのメモリ内に記憶さている当該ICタグの識別データに対応するアドレスデータと結合させて新たなアドレスデータとして、データサーバのメモリに記憶させる。尚、識別データから各製品データを得るには、識別データから、データサーバのコントロール部が、データサーバのメモリに記憶されている当該識別データに関連するアドレスデータを呼び出し、このアドレスデータから各データが格納されているアドレスを特定し、そこに記憶されている各データを、データサーバのコントロール部に呼び出すことによる。
【0023】
識別データ、製造日データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定する方法としては、これらのデータからコンピュータを用いて出荷する製品を特定する方法であれば何れの方法でもよく、例えば以下のような方法が例示できる。ここで用いるコンピュータとしては、1個でも複数個でもよく、データサーバのコントロール部でも良い。
[出荷する製品を特定する方法(その1)]
営業部門からの製品出荷要請により、使用推定日(データ確認日にユーザーが使用するまでに掛かる日数を加えた日にち)が、製造日データから得られる製造日に、可使期間を加えた日にち(即ち、使用期限)よりも前である製品の識別データをデータサーバから抽出し、更に対応する保管場所データを抽出する。保管場所において、保管場所データから当該製品を特定し、その製品のICタグ内の識別データをリーダーで読み取り当該製品であることを確認する。その後、当該製品を出荷し、データサーバに識別データを送信し、データサーバのメモリー内に当該識別データに対応する製品が出荷したことを記憶させる。
【0024】
[出荷する製品を特定する方法(その2)]
営業部門の出荷指示用コンピュータに、使用製品データ、出荷量データ、出荷先データを入力し、出荷指示用コンピュータからデータ検索用コンピュータに使用製品データ及び出荷量データを送信し、データ検索用コンピュータにより同一の倉庫に同一製造ロットの当該製品が当該出荷量以上保管されている製品のデータサーバ内に記憶されている識別データを抽出する。データ検索用コンピュータは、データサーバのコントロール部でもよい。当該識別データと関連付けられている製造日データ、保管場所データ及び製品量データをデータサーバより出荷指示用コンピュータに送信し、出荷指示用コンピュータ内で同一の倉庫に保管されている同一製造ロットの製品の保管量を受信した製品量データから算出する。算出した当該保管量、製造日データから求めた製造日及び使用期限、保管場所データから求めた保管場所を、出荷指示用コンピュータに接続している表示装置に表示する。営業部門の担当者が、これらの表示を確認し、出荷指示操作を行う。該当する識別データのうち出荷量に見合うものを任意に、出荷指示用コンピュータが抽出し、抽出した識別データを倉庫の保管管理用コンピュータに送信する。データを受信した保管管理用コンピュータは、データサーバに当該識別データを送信し、データサーバより当該識別データに関連付けられた保管場所データを受信する。保管場所において、保管場所データから当該製品を特定し、その製品のICタグ内の識別データを保管管理用コンピュータと接続されたリーダーで読み取り当該製品であることを確認する。その後、当該製品を出荷し、データサーバに識別データを送信し、データサーバのメモリー内に当該識別データに対応する製品が出荷したことを、出荷日データ及び出荷先データとともに記憶させる。
【0025】
また、一定期間毎に、製造日データから算出された使用期限データを利用して、使用期限が所定の期間以内になった識別データをデータ検索用コンピュータにより自動で検索させ、抽出された識別データから、関連付けられた保管場所データ、製品名称、使用期限、製品量データを抽出し、これらのデータを営業部門の担当者にメールで知らせる等の注意喚起する手段を講じておくと、営業担当者が使用期限が近づいた当該製品があることを認識した上で、日常の営業活動を行えることから、より使用期限を過ぎる製品を少なくすることができることから好ましい。使用期限データは、製造日データから得た製造日に、可使期間データ(製造から使用可能な期間)を足して算出することができる。
【実施例】
【0026】
[実施例1]
以下に製品としてプレミックスモルタルを用いた一例を示す。
図4に製品の製造から保管までの過程を表した模式的な図を、図5に製品の出荷の過程を表した模式的な図を示した。製造用コンピュータ9の指示に従い、計量器6でプレミックスモルタルの材料となるセメント、細骨材、各種混和材料を計量し、混合機(ミキサ)7に所定量を投入する。次に、製造用コンピュータ9の指示に従い、所定時間混合することでプレミックスモルタルを製造する。製造したプレミックスモルタルを充填装置に送り、ここで、製造用コンピュータ9の指示に従い、袋(製品容器)3に所定量のプレミックスモルタル1とパッシブ型のICタグ2を1個入れ封をすることで、無定形の製品であるプレミックスモルタル1とICタグ2を一体化する。この容器内にICタグ2をプレミックスモルタル1とともに入れ内在させ一体化させたもの5、即ち袋入りプレミックスモルタルを、荷積みロボット11に送る。荷積みロボット11に送る途中に、リーダー10を設置しておき、送られてきた袋入りプレミックスモルタル5に電波を送りそのエネルギーを電源として利用し、ICタグのメモリ部に記憶されている当該ICタグの識別データ15をICタグ2のアンテナ部より送信し、リーダー10で受信する。リーダー10で受信した識別データ15を、リーダー10から製造管理用コンピュータ9に送り、製造管理用コンピュータ9で受信する。製造管理用コンピュータ9で、当該製品の可使期間データと製造日データから、使用期限データを作成する。袋入りプレミックスモルタル5を、荷積みロボット11により、1個のパレット4上に1段5個ずつ6段積み、30個の袋入りプレミックスモルタル5を一組の製品として関連付けるために、当該の一組が特定できるデータ(組データ)を製造管理用コンピュータ9で作成する。製造管理用コンピュータ9により、識別データと、関連する製造日データ、使用期限データ、製品量データ及び製品コードデータ等製品データ、並びに組データを合わせて新たなデータ17を、この新たなデータ17から元のデータが作成できるように、作成する。作成した新たなデータ17を製造管理用コンピュータ9からデータサーバ12に送信し、データサーバ12のメモリ14に記憶させる。
【0027】
30個の袋入りプレミックスモルタル5を積んだパレット4を倉庫に移送し、倉庫内のハンディタイプのリーダー22で、パレット4上の袋入りプレミックスモルタル5のうちの任意の1個に内在しているICタグ2と通信し、当該ICタグ2の識別データ15を受信する。受信した識別データ15を倉庫管理用コンピュータ19に送信し、倉庫管理用コンピュータ19により識別データ15と保管場所データを合わせた新たなデータ16を作成する。ここで用いる保管場所データは、倉庫管理用コンピュータ19に接続しているキーボードにより入力しても良いし、ハンディタイプのリーダ22の位置データを何らかの方法(例えばGPSを用いた方法)により得てこれにより作成されるようにしておいてもよく、また、ハンディタイプのリーダ22に付属するボタンを押すことで保管場所データが作成されるようにしておいてもよい。次に、識別データ15と保管場所データを合わせた新たなデータ16を、倉庫管理用コンピュータ19からからデータサーバ12に送信する。データサーバ12のコントロール部13で、受信したデータ16から、識別データ15を作成し、この識別データに関連する、先に記憶させておいた識別データ、製品データ及び組データを合わせたデータ17を呼び出し、このデータ17に保管場所データを合わせて、識別データ、製品データ、組データ及び保管場所データを合わせた新たなデータ21を作成し、データサーバ12のメモリ14に記憶させる。次に、このデータ21から組データを作成し、同じ組データの残りの29の識別番号に関連付けられたデータについても、同様に、先に記憶させていた識別データ、製品データ及び組データを合わせたデータ17を呼び出し、このデータ17に保管場所データを合わせて、識別データ、製品データ、組データ及び保管場所データを合わせた新たなデータ21を作成し、データサーバ12のメモリ14に記憶させる。
【0028】
営業部門の出荷指示用コンピュータ18に、担当者が製品コードデータ、出荷量データ及び出荷先データを入力する。出荷指示用コンピュータ18で、製品コードデータ及び出荷量データを合わせたデータ20を作成し、データサーバ12に送信する。データサーバ12のコントロール部13で、受信したデータ20から製品コードデータ及び出荷量データを作成する。これらのデータを基に、出荷量を超える量が同一倉庫に保管されているものの識別データを、データサーバ12のコントロール部13で抽出する。抽出した識別データから関連付け記憶されている、識別データ、製品データ、組データ及び保管場所データを合わせたデータ21を、データサーバ12のメモリ14から呼び出し、出荷指示用コンピュータ18に送信する。受信したデータ21から、出荷指示用コンピュータ18により、同一倉庫内の同一製造日又は同一製造ロットの総量を算出し、少なくとも製品コード、製品名、倉庫番号(又は倉庫名)、同一倉庫内にある同一製造日(又は同一製造ロット)の総量、製造日、使用期限を、出荷指示用コンピュータ18の表示部に表示する。合わせて、倉庫から出荷先までの輸送コストが表示されると、経費をより削減できるようにできることから好ましい。営業部門の担当者が、これらの表示されたデータから、出荷する製品の製造日(又は製造ロット)を特定する。製品量データから得られる製品総量と、出荷量データから得られる出荷量が一致するように、該当する製品の識別データを抽出し、この識別データに対応する識別データ、製品データ、組データ及び保管場所データを合わせたデータ21から、保管場所データを作成し、この保管場所データ、識別データ、組データ及び出荷先データを合わせて新たなデータ23を、出荷指示用コンピュータ18で作成し、倉庫管理用コンピュータ19に送信する。
【0029】
倉庫管理用コンピュータ19は、受信した識別データ、保管場所データ、組データ及び出荷先データを合わせたデータ23から、保管場所を特定し、倉庫管理用コンピュータ19の表示部に表示する。倉庫担当者が、この表示された保管場所をもとに、出荷する袋入りプレミックスモルタル5を特定する。特定した袋入りプレミックスモルタル5に内在するICタグ2の識別データ15を、倉庫内のハンディタイプのリーダ22で読み取り、出荷予定の袋入りプレミックスモルタル5に対応した識別データ15であることを確認し、出荷する。出荷後に、倉庫管理用コンピュータ19により、出荷日データ(出荷した日が特定できるデータ)を作成し、この出荷日データと、識別データ及び出荷先データを合わせたデータ24を作成し、データサーバ12に送信する。受信したデータサーバ12のコントロール部13で、受信したデータ24から、識別データ15を作成し、この識別データに関連する、先に記憶させていた識別データ、製品データ、組データ及び保管場所データを合わせたデータ21に、更に、出荷日データ及び出荷先データを合わせて新たなデータ25を作成し、データサーバ12のメモリ14に記憶させる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の製品管理方法は、セメントやプレミックスモルタル等の使用期限がある製品について、使用期限が過ぎる前にユーザーが使用できるように管理することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 不定形の製品(プレミックスモルタル)
2 ICタグ
3 製品容器(袋)
4 パレット
5 容器内にICタグを無定形の製品とともに内在させ一体化させたもの(袋入りプレミックスモルタル)
6 計量器
7 混合機(ミキサ)
8 充填装置
9 製造管理用コンピュータ
10 リーダー
11 荷積みロボット
12 データサーバ
13 データサーバのコントロール部
14 データサーバのメモリ
15 識別データ
16 識別データ及び保管場所データを合わせたデータ
17 識別データ、製品データ(製造日データ、製品量データ、使用期限データ、製品コードデータ等)及び組データを合わせたデータ
18 出荷指示用コンピュータ
19 倉庫管理用コンピュータ
20 製品コードデータ及び出荷量データを合わせたデータ
21 識別データ、製品データ、組データ及び保管場所データを合わせたデータ
22 リーダー
23 保管場所データ、識別データ、組データ及び出荷先データを合わせたデータ
24 出荷日データ、識別データ及び出荷先データを合わせたデータ
25 識別データ、製品データ、組データ、保管場所データ、出荷日データ及び出荷先データを合わせたデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別データを内蔵メモリに記憶させたICタグを、製品と一体化させ、該識別データと、当該製品に関する製造日データ及び保管場所データを、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする製品管理方法。
【請求項2】
更に、使用期限データを、上記識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ、保管場所データ及び使用期限データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする請求項1記載の製品管理方法。
【請求項3】
更に、製品量データを、上記識別データ、製造日データ及び保管場所データとともに、記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ、保管場所データ及び製品量データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の製品管理方法。
【請求項4】
ICタグと一体化させた複数の製品を、一組の製品として、これらの識別データを上記記憶装置に記憶させ、これらの識別データ、製造日データ及び保管場所データを用いて出荷する製品を特定することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の製品管理方法。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れかの製品管理方法により特定した製品の、出荷先データ及び出荷日データを、当該製品と一体化させたICタグの識別データととともに、上記記憶装置に記憶させることを特徴とする製品管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−198394(P2010−198394A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43282(P2009−43282)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(501173461)太平洋マテリアル株式会社 (307)
【Fターム(参考)】