説明

ICタグ付きラベル

【課題】工数を削減して製造時間の短縮化を図ることが可能なICタグ付きラベルを提供する。
【解決手段】ラベル10と剥離紙20の間に剥離性を有する紙片40が貼着されたICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせることにより、剥離紙20、ICタグインレット30、紙片40、ラベル10をこの順で積層一体化した後、ラベル10の表面側からのカット加工を施すだけで、剥離紙20の裏面側からのカット加工を廃止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物流管理に用いられるラベルとして好適なICタグ付きラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から物流業界において、メーカーの工場出荷時に、製品を梱包したケースにラベルを貼り付けてその製品の物流を管理するとともに、販売店ではケースに貼り付けられたラベルの一部を切り取って管理台帳に貼り付けることにより製品のリサイクル管理等を実施している。
【0003】
図11は従来の管理ラベルの構成例を示す外観図であり、図12は同ラベルの使用方法を示す説明図である。
【0004】
図11において、従来の管理ラベル50はラベル51と剥離紙52を剥離可能に貼り合わせて構成されている。ラベル51は中間に2点の連結部を有するハーフカット53による縦線とミシン目54による横線とからなる切取線を介してラベル本体部55とラベル切取部56に区画されており、ラベル本体部55とラベル切取部56にはそれぞれ共通する型番号や製品番号等の製品に関する管理情報がバーコードで印刷されている。また、剥離紙52にはラベル51の切取線に対応する位置に連続するハーフカット57が形成されている。
【0005】
図12(a)に示すように、工場出荷時には、管理ラベル50についてラベル51を剥離紙52から剥がし取り、その剥がし取ったラベル51を粘着面58にて製品のケースに貼り付ける。ここで、剥離紙52には連続したハーフカット57が形成されているので、ラベル切取部56に相当する部分は剥離紙片59となってラベル51と一緒に切り取られるようになっている。そして、ラベル51に印刷されているバーコードを用いて製品の出荷を管理する。
【0006】
図12(b)に示すように、販売店では製品を入荷すると、ケースに貼付された管理ラベル50についてラベル51にあるハーフカット53の連結部とミシン目54を切断し、これによりラベル本体部55とラベル切取部56を別々に切り離す。このとき、バーコードが印刷されているラベル本体部55はケースに残るので、販売時までこのバーコードを用いて製品管理を行うことができる。また、切り離したラベル切取部56を剥離紙片59から剥がし取り、その剥がし取ったラベル切取部56を粘着面58にて管理台帳に貼り付ける。そして、ラベル切取部56に印刷されているバーコードを用いて製品のリサイクル管理等を行うようにしている。
【0007】
以上が従来の管理ラベルの構成及び使用方法であるが、このような従来の管理ラベルについては以下のような問題があった。
【0008】
図11と図12に示した通り、従来の管理ラベル50を通常の方法で製造する場合、ラベル51には連結部を有するハーフカット53とミシン目54の加工が必要であり、剥離紙52には連続するハーフカット57の加工が必要である。そのために従来はまずラベル加工機にセットしてラベル51の表面側からカット加工を施し、このカット工程の後にラベル51を裏返して再度ラベル加工機にセットし、今度は剥離紙52の裏面側からカット加工を施すという二度のカット工程を経ていた。実際にはラベル加工機にセットする作業やラベル51を裏返す作業は現場作業員の手作業により行われており、ラベルの枚数が多いと製造時間が大幅に掛かり、最終的には製造コストの増大を招くという問題があった。
【0009】
なお、下記の特許文献1には、裏面にRFIDタグが貼着されたラベルを2つに折り畳んで商品に貼り付け、ラベルに形成された切り取りミシン目を切断することによりラベルからRFIDタグが貼着された部分を切り取って分離できるようにした技術が開示されている。
【0010】
【特許文献1】特開2005−196377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上述した従来の問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、剥離シートの裏面側からのカット加工を廃止してラベルの表面側からの一度のカット加工だけで済むようにし、工数を削減して製造時間の短縮化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するため、本発明に係るICタグ付きラベルは、ラベル本体部とラベル切取部が切り離し可能に連接されたラベルと、上記ラベルの粘着面に剥離可能に貼着された剥離シートと、上記ラベルと上記剥離シートの間に介在し、上記ラベル切取部の粘着面に貼着されたICタグインレットと、を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、同様の目的を達成するため、本発明に係るICタグ付きラベルは、ラベル本体部とラベル切取部が切り離し可能に連接されたラベルと、上記ラベルの粘着面に剥離可能に貼着された剥離シートと、上記ラベルと上記剥離シートの間に介在し、上記ラベル本体部の粘着面に部分的に貼着されたICタグ機能部と、ICタグ機能部が実装された基材を延長することによって上記ラベル切取部の粘着面に剥離可能に貼着された基材余白部と、が切り離し可能に連接されたICタグインレットと、を備えたことを特徴とする。
【0014】
ここで、本発明における「ICタグ」なる用語は、一般に同義で用いられている非接触ICタグ、無線タグ、RFIDタグ、RFIDデータキャリア等を含む概念であり、その通信方式については電磁結合方式、電磁誘導方式、あるいは電波方式のいずれであっても適用できる。
【0015】
本発明における「ICタグインレット」とは、基材の上にICチップとアンテナを実装し、外部のリーダライタ装置との間で無線によるデータ通信を行う機能を備えた回路モジュールを意味する。ICタグインレットの基材の素材は各種の紙や合成樹脂シート等を使用でき、特に限定されない。また、「ICタグ機能部」とは、ICタグインレットの構成のうちデータ通信機能を実現するために必須の構成、すなわちICチップとアンテナを指す。また、「基材余白部」というときには、ICタグインレットの構成のうち基材のみを指し、ICチップとアンテナを含まない。
【0016】
本発明における「剥離シート」とはラベルを剥離可能に貼り合わせるためのシートであり、その材料としては紙、合成樹脂、合成皮革などによるシート状の材料が挙げられる。
【0017】
本発明において、ICタグインレットまたは基材余白部をラベル切取部の粘着面に剥離可能に貼着する構成としては、ICタグインレットの基材に剥離剤を塗布して剥離面を形成する方法や、あるいは基材の素材として剥離性を有する素材を選択する方法によって実現される。
【0018】
また、本発明は上記構成からなるICタグ付きラベルにおいて、上記ICタグインレットに貼着された剥離用の紙片を備え、その紙片の剥離面が上記ラベル切取部の粘着面に貼着されている構成や、あるいは上記ICタグインレットの基材余白部に貼着された剥離用の紙片を備え、その紙片の剥離面が上記ラベル切取部の粘着面に剥離可能に貼着されている構成を採用することができる。
【0019】
また、本発明は上記構成からなるICタグ付きラベルにおいて、上記ICタグインレットの基材が剥離シートで構成されていてもよい。この場合、上記のようにICタグインレットに剥離用の紙片を貼着する必要がなくなる。
【0020】
また、本発明は上記構成からなるICタグ付きラベルにおいて、上記ICタグインレットは、上記基材余白部の表面に剥離剤を塗布した剥離面が形成されているとともに、上記基材余白部の裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されている構成を採用することもできる。
【0021】
また、本発明は上記構成からなるICタグ付きラベルにおいて、上記ICタグインレットの裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されているとともに、上記ICタグインレットの粘着面に剥離用の紙片が貼着されている構成を採用することもできる。
【0022】
なお、上記構成からなるICタグ付きラベルにおいて、上記ラベル切取部は、さらに切り離し可能な複数のラベル小片部に区画されているとともに、上記ICタグインレットの裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されていてもよく、また、上記ラベル切取部は、さらに切り離し可能な複数のラベル小片部に区画されているとともに、上記ICタグインレットの基材余白部の裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係るICタグ付きラベルによれば、ラベルと剥離シートの間にICタグインレットを挟み込んで貼り合わせるようにしたので、ラベルの表面側からのカット加工を施すだけで済み、このカット工程の後にラベルを裏返して剥離シートの裏面側から再度カット加工を施す必要がなくなる。したがって、従来に比べてラベル加工機における工数が減るので、製造時間を短縮することができ、その結果として製造コストを大幅に削減できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0025】
《第1実施形態》
図1は本発明に係るICタグ付きラベルの第1実施形態の構成を示す分解図であり、図2は同ラベルの使用方法を示す説明図である。
【0026】
図1において、本実施形態のICタグ付きラベル1−1は、物流過程における製品管理に好適な管理ラベルに適用したものであって、ラベル10、剥離紙20、ICタグインレット30及び紙片40を備えて構成されている。
【0027】
ラベル10は中間に2点の連結部を有するハーフカット11による縦線とミシン目12による横線とからなる切取線が形成されており、この切取線を介してラベル本体部13とラベル切取部14が切り離し可能に連接されている。ラベル本体部13とラベル切取部14にはそれぞれ共通する型番号や製品番号等の製品に関する管理情報がバーコードで印刷されている。なお、図示した例ではハーフカット11とミシン目12を組み合わせることによりコ字形の切取線が形成されているが、ラベル本体部13とラベル切取部14を切り離すことができるものであれば、切取線の種類や形状は問わない。
【0028】
剥離紙20は使用時までラベル10の粘着面を被覆して保護するためのものである。その表面全体は剥離剤を塗布した剥離面21になっており、この剥離面21がラベル10の粘着面に剥離可能に貼着されている。剥離紙20には従来のハーフカットはもちろん、その他のカット加工も一切施されていない。
【0029】
ICタグインレット30は薄くて柔軟性を有する基材31の裏面側にICチップ32とアンテナ33を実装したものであり、その大きさはラベル切取部14と同一サイズに設定されている。アンテナ33は基材31に付着させた銅箔をエッチング加工によりコイルパターンに形成したものであり、両端の給電部がICチップ32の電源端子に半田で接続されている。ICチップ32はCPUとメモリを有しており、CPUは外部のリーダライタ装置からの電磁波によりアンテナ33で発生した電力を受けて起動し、リーダライタ装置との間で通信したデータをメモリに書き換え可能に記憶する。
【0030】
紙片40はICタグインレット30に貼着されるものであり、ラベル切取部14と同一サイズに設定されている。紙片40はICタグインレット30をラベル切取部14の粘着面から剥離できるようにするため、その表面全体が剥離剤からなる剥離面41になっている。また、紙片40の裏面は粘着剤からなる粘着面42になっており、この粘着面42を介してICタグインレット30の基材31に貼着されている。
【0031】
本実施形態のICタグ付きラベル1−1を製造する場合には、ラベル10と剥離紙20の間に紙片40が貼着されたICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせるようにする。これにより、ラベル切取部14の粘着面に紙片40の剥離面41が貼着されるとともに、ラベル本体部13の粘着面に剥離紙20の剥離面21が貼着され、剥離紙20、ICタグインレット30、紙片40、ラベル10がこの順で積層一体化される。
【0032】
そして、ラベル10と剥離紙20を貼合した後、ラベル10には連結部を有するハーフカット11とミシン目12を形成するカット加工が必要であるが、剥離紙20には従来のようなカット加工は必要でない。すなわち、ラベル加工機でラベル10の表面側からのカット加工を施すだけで済み、このカット工程の後にラベル10を裏返して剥離紙20の裏面側から再度カット加工を施す必要がなくなる。したがって、従来に比べてラベル加工機における工数が減るので、製造時間を短縮することができる。
【0033】
本実施形態のICタグ付きラベルは以上のように構成されており、以下にその使用方法を説明する。
【0034】
図2(a)に示すように、メーカーの工場出荷時には、ICタグ付きラベル1−1についてラベル10を剥離紙20から剥がし取り、その剥がし取ったラベル10を粘着面15にて製品のケースに貼り付ける。ここで、ICタグインレット30は紙片40を介してラベル切取部14に貼着されているので、ICタグインレット30と紙片40がいわば剥離紙片として機能し、ラベル10と一緒に剥がし取られるようになっている。そして、ラベル10に印刷されているバーコードを用いて製品の出荷を管理する。
【0035】
また、本実施形態ではラベル10の裏面にICタグインレット30が貼着されているので、ラベル10に印刷されたバーコードのみならず、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを外部のリーダライタ装置で無線通信することによって製品の管理を行うこともできる。
【0036】
図2(b)に示すように、販売店では製品を入荷すると、ケースに貼り付けられたICタグ付きラベル1−1についてラベル10にあるハーフカット11の連結部11aとミシン目12を切断し、これによりラベル本体部13とラベル切取部14を別々に切り離す。このとき、バーコードが印刷されているラベル本体部13はケースに残るので、販売時までこのバーコードを用いて製品管理を行うことが可能である。
【0037】
次いで、紙片40が貼着されたICタグインレット30からラベル切取部14を剥がし取り、その剥がし取ったラベル切取部14を粘着面15にて管理台帳に貼り付ける。これにより、ラベル切取部14に印刷されているバーコードを用いて製品のリサイクル管理等を行うことができる。
【0038】
《第2実施形態》
図3は本発明に係るICタグ付きラベルの第2実施形態の構成を示す分解図であり、図4は同ラベルの使用方法を示す説明図である。なお、本実施形態において上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0039】
図3において、本実施形態のICタグ付きラベル1−2は、製品出荷時にケースに貼付されるラベル本体部13にICタグを残してデータ管理できるようにしたことが特徴である。また、このICタグ付きラベル1−2は、ラベル10と剥離紙20とICタグインレット30と紙片40を備えて構成されている点では第1実施形態と同様であるが、ICタグインレット30の構造が以下のように異なっている。
【0040】
ICタグインレット30は、基材31を縦方向に延長することによってそのサイズがラベル切取部14の2倍のサイズに設定されている。基材31の中央にはミシン目34による切取線が形成されており、ミシン目34よりも上側領域にあるICタグ機能部35と下側領域にある基材余白部36とが切り離し可能に連接されている。
【0041】
また、ICタグ機能部35においては基材31の裏面側にICチップ32とアンテナ33がエッチング加工により実装されており、基材余白部36においては基材31の表面側にラベル切取部14と同一サイズの紙片40が貼着されている。
【0042】
本実施形態のICタグ付きラベル1−2を製造する場合にも、ラベル10と剥離紙20の間に紙片40が貼着されたICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせるようにする。これにより、ラベル切取部14の粘着面に紙片40の剥離面41が貼着され、ラベル本体部13の粘着面の一部にはICタグ機能部35が貼着されるとともに、残りの粘着面には剥離紙20の剥離面21が貼着され、剥離紙20、ICタグインレット30、紙片40、ラベル10がこの順で積層一体化される。
【0043】
本実施形態においても、ラベル10と剥離紙20との間に紙片40が貼着されたICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせた後は、ラベル加工機によりラベル10の表面側からのカット加工を施すだけでよく、剥離紙20へのカット加工は不要である。したがって、従来に比べてラベル加工機における工数が減り、製造時間の短縮化を図ることができる。
【0044】
本実施形態のICタグ付きラベルは以上のように構成されており、以下にその使用方法を説明する。
【0045】
図4(a)に示すように、メーカーの工場出荷時には、ICタグ付きラベル1−2についてラベル10を剥離紙20から剥がし取り、その剥がし取ったラベル10を粘着面15にて製品のケースに貼り付ける。ここで、ICタグインレット30はラベル本体部13にICタグ機能部35が貼着され、ラベル切取部14に紙片40を介して基材余白部36が貼着されているので、ICタグインレット30と紙片40が一体となってラベル10と一緒に剥がし取られるようになっている。そして、ラベル10に印刷されているバーコードを用いて製品の出荷を管理する。
【0046】
また、本実施形態ではラベル10の裏面にICタグインレット30が貼着されているので、ラベル10に印刷されたバーコードのみならず、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを外部のリーダライタ装置で無線通信することによって製品の管理を行うこともできる。
【0047】
図4(b)に示すように、販売店では製品を入荷すると、ケースに貼り付けられたICタグ付きラベル1−2についてラベル10にあるハーフカット11の連結部11aとミシン目12とICタグインレット30にあるミシン目34を同時に切断し、これによりラベル本体部13とラベル切取部14を別々に切り離す。ここでもバーコードが印刷されているラベル本体部13はケースに残るので、販売時までこのバーコードを用いて製品管理を行うことが可能である。また、本実施形態ではラベル本体部13にICタグ機能部35が貼着されたまま残るので、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを活用できるという利点がある。
【0048】
次いで、紙片40が貼着された基材余白部36からラベル切取部14を剥がし取り、その剥がし取ったラベル切取部14を粘着面15にて管理台帳に貼り付ける。これにより、ラベル切取部14に印刷されているバーコードを用いて製品のリサイクル管理等を行うことができる。
【0049】
《第3実施形態》
図5は本発明に係るICタグ付きラベルの第3実施形態の構成を示す分解図であり、図6は同ラベルの使用方法を示す説明図である。なお、本実施形態において上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0050】
図5において、本実施形態のICタグ付きラベル1−3は、ICタグインレット30への紙片40の貼着構造を廃止したことが特徴である。すなわち、上述した第1及び第2実施形態ではラベル10と剥離紙20とICタグインレット30と紙片40からなる4層構造であったのに対し、本実施形態のICタグ付きラベル1−3はICタグインレット30の基材31それ自体を剥離紙とし、ラベル10と剥離紙20とICタグインレット30からなる3層構造にした点が異なっている。
【0051】
ICタグインレット30は、基材31がラベル切取部14の2倍のサイズに設定された単片状の剥離紙で構成されており、ラベル10の粘着面から剥離できるようにするため、その表面全体が剥離剤からなる剥離面37になっている。基材31の中央にはミシン目34による切取線が形成されており、ミシン目34よりも上側領域にあるICタグ機能部35と下側領域にある基材余白部36とが切り離し可能に連接されている。
【0052】
また、ICタグ機能部35においては基材31の裏面側にICチップ32とアンテナ33が実装されている。ここで、アンテナ33は紙の上に形成することになるので、あらかじめ銅箔をアンテナパターン形状にエッチング加工したものを紙に貼り付ける方法や、紙に導電性ペーストをスクリーン印刷でパターン化する方法や、あるいは粘着層を有するアルミニウム箔等をアンテナパターン形状の抜き型でプレス加工する方法を採用することによりアンテナ33を形成する。なお、本実施形態ではICタグ機能部35を支持する基材31そのものが剥離紙になっているので、上述した実施形態のように基材31に剥離用の紙片40を貼着する必要はない。
【0053】
本実施形態のICタグ付きラベル1−3を製造する場合にも、ラベル10と剥離紙20の間にICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせるようにする。これにより、ラベル切取部14の粘着面に基材余白部36の剥離面37が貼着され、ラベル本体部13の粘着面の一部にはICタグ機能部35が貼着されるとともに、残りの粘着面には剥離紙20の剥離面21が貼着され、剥離紙20、ICタグインレット30、ラベル10がこの順で積層一体化される。
【0054】
本実施形態においても、ラベル10と剥離紙20との間にICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせた後は、ラベル加工機によりラベル10の表面側からのカット加工を施すだけでよいため、従来に比べてラベル加工機における工数が減り、製造時間を短縮することが可能になる。
【0055】
本実施形態のICタグ付きラベルは以上のように構成されており、以下にその使用方法を説明する。
【0056】
図6(a)に示すように、メーカーの工場出荷時には、ICタグ付きラベル1−3についてラベル10を剥離紙20から剥がし取り、その剥がし取ったラベル10を粘着面15にて製品のケースに貼り付ける。ここで、ICタグインレット30はラベル本体部13にICタグ機能部35が貼着され、ラベル切取部14に基材余白部36が貼着されているので、ICタグインレット30がラベル10と一緒に剥がし取られるようになっている。そして、ラベル10に印刷されているバーコードを用いて製品の出荷を管理する。
【0057】
また、本実施形態ではラベル10の裏面に剥離紙に支持されたICタグ機能部35が貼着されているので、ラベル10に印刷されたバーコードのみならず、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを外部のリーダライタ装置で無線通信することによって製品の管理を行うこともできる。
【0058】
図6(b)に示すように、販売店では製品を入荷すると、ケースに貼り付けられたICタグ付きラベル1−3についてラベル10にあるハーフカット11の連結部11aとミシン目12とICタグインレット30にあるミシン目34を同時に切断し、これによりラベル本体部13とラベル切取部14を別々に切り離す。ここでもバーコードが印刷されているラベル本体部13はケースに残るので、販売時までこのバーコードを用いて製品管理を行うことができる。また、本実施形態でもラベル本体部13にICタグ機能部35が貼着されたまま残るので、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを活用できるという利点がある。
【0059】
次いで、ICタグインレット30の基材余白部36からラベル切取部14を剥がし取り、その剥がし取ったラベル切取部14を粘着面15にて管理台帳に貼り付ける。これにより、ラベル切取部14に印刷されているバーコードを用いて製品のリサイクル管理等を行うことができる。
【0060】
《第4実施形態》
図7は本発明に係るICタグ付きラベルの第4実施形態の構成を示す分解図であり、図8は同ラベルの使用方法を示す説明図である。なお、本実施形態において上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0061】
図7において、本実施形態のICタグ付きラベル1−4は、販売店において管理台帳に貼付されるラベル切取部14にICタグを残してデータ管理できるようにしたことが特徴である。また、このICタグ付きラベル1−4は、ラベル10と剥離紙20とICタグインレット30と紙片40を備えて構成されている点では第1実施形態と同様であるが、ICタグインレット30と紙片40の配置関係及び構造が以下のように異なっている。
【0062】
ICタグインレット30は、基材31の表面側にICタグ機能部35が実装されており、基材31の裏面側に粘着剤を塗布した粘着面38が形成されている。
【0063】
紙片40は、ICタグインレット30の裏面側に貼着されるものであり、ラベル切取部14と同一サイズに設定されている。紙片40はICタグインレット30の粘着面38から剥離できるようにするため、その表面全体が剥離剤からなる剥離面41になっている。
【0064】
本実施形態のICタグ付きラベル1−4を製造する場合には、ラベル10と剥離紙20の間に紙片40が貼着されたICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせるようにする。これにより、ラベル切取部14の粘着面にICタグインレット30が貼着され、ICタグインレット30の粘着面38には紙片40の剥離面41が貼着されるとともに、残りの粘着面には剥離紙20の剥離面21が貼着され、剥離紙20、紙片40、ICタグインレット30、ラベル10がこの順で積層一体化される。
【0065】
本実施形態においても、ラベル10と剥離紙20との間にICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせた後は、ラベル加工機によりラベル10の表面側からのカット加工を施すだけでよいため、従来に比べてラベル加工機における工数が減り、製造時間を短縮することが可能になる。
【0066】
本実施形態のICタグ付きラベルは以上のように構成されており、以下にその使用方法を説明する。
【0067】
図8(a)に示すように、メーカーの工場出荷時には、ICタグ付きラベル1−4についてラベル10を剥離紙20から剥がし取り、その剥がし取ったラベル10を粘着面15にて製品のケースに貼り付ける。ここで、ICタグインレット30と紙片40はラベル本切取部14に貼着されているので、ICタグインレット30と紙片40が一体となってラベル10と一緒に剥がし取られるようになっている。そして、ラベル10に印刷されているバーコードを用いて製品の出荷を管理する。
【0068】
また、本実施形態ではラベル10の裏面にICタグインレット30が貼着されているので、ラベル10に印刷されたバーコードのみならず、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを外部のリーダライタ装置で無線通信することによって製品の管理を行うこともできる。
【0069】
図8(b)に示すように、販売店では製品を入荷すると、ケースに貼り付けられたICタグ付きラベル1−4についてラベル10にあるハーフカット11の連結部11aとミシン目12を同時に切断し、これによりラベル本体部13とラベル切取部14を別々に切り離す。ここでもバーコードが印刷されているラベル本体部13はケースに残るので、販売時までこのバーコードを用いて製品管理を行うことができる。
【0070】
また、本実施形態では、ラベル本体部13とラベル切取部14を切り離す際に、ラベル切取部14の裏面に貼着されているICタグインレット30が紙片40の剥離面41から剥がされる。したがって、ラベル切取部14とICタグインレット30を一体化したまま粘着面38にて管理台帳に貼り付けることが可能である。これにより、ラベル切取部14に印刷されているバーコードのみならず、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを用いて製品のリサイクル管理等を行うことができる。
【0071】
《第5実施形態》
図9は本発明に係るICタグ付きラベルの第5実施形態の構成を示す分解図であり、図10は同ラベルの使用方法を示す説明図である。なお、本実施形態において上述した実施形態と同一の構成については同一の符号を付与して詳細な説明を省略する。
【0072】
図9において、本実施形態のICタグ付きラベル1−5は、製品を出荷する工場と販売店だけでなく、物流経路における配送センターや配達店においても製品管理できるようにしたことが特徴である。また、上述した第1及び第2実施形態ではラベル10と剥離紙20とICタグインレット30と紙片40からなる4層構造であったのに対し、本実施形態のICタグ付きラベル1−5はラベル10と剥離紙20とICタグインレット30からなる3層構造にした点と、ラベル10とICタグインレット30の構造が異なっている。
【0073】
ラベル10には連続するハーフカット11による切取線が形成されており、この切取線を介してラベル本体部13とラベル切取部14が切り離し可能に連接されている。また、ラベル切取部14はさらに連続するハーフカット11による切取線を介して3枚のラベル小片部16,16,…に区画されている。ラベル本体部13とラベル小片部16,16,…にはそれぞれ共通する型番号や製品番号等の製品に関する管理情報がバーコードで印刷されている。
【0074】
ICタグインレット30は、基材31の幅がラベル10の幅と同一でかつラベル切取部14の2倍のサイズに設定されている。基材31の中央にはミシン目34による切取線が形成されており、ミシン目34よりも上側領域にあるICタグ機能部35と下側領域にある基材余白部36とが切り離し可能に連接されている。
【0075】
また、ICタグ機能部35においては基材31の裏面側にICチップ32とアンテナ33がエッチング加工により実装されており、基材余白部36においては基材31の表面側にシリコーン系等の剥離剤を塗布した剥離面37が形成され、基材31の裏面側に粘着剤を塗布した粘着面38が形成されている。
【0076】
本実施形態のICタグ付きラベル1−5を製造する場合にも、ラベル10と剥離紙20の間にICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせるようにする。これにより、ラベル切取部14の粘着面に基材余白部36の剥離面37が貼着され、ラベル本体部13の粘着面の一部にはICタグ機能部35が貼着されるとともに、残りの粘着面には剥離紙20の剥離面21が貼着される。また、基材余白部36の粘着面38と剥離紙20の剥離面21が貼着され、剥離紙20、ICタグインレット30、ラベル10がこの順で積層一体化される。
【0077】
本実施形態においても、ラベル10と剥離紙20との間にICタグインレット30を挟み込んで貼り合わせた後は、ラベル加工機によりラベル10の表面側からのカット加工を施すだけでよいため、従来に比べてラベル加工機における工数が減り、製造時間を短縮することが可能になる。
【0078】
本実施形態のICタグ付きラベルは以上のように構成されており、以下にその使用方法を説明する。
【0079】
図10(a)に示すように、メーカーの工場出荷時には、ICタグ付きラベル1−5についてラベル10を剥離紙20から剥がし取り、その剥がし取ったラベル10を粘着面15と粘着面38にて製品のケースに貼り付ける。ここで、ICタグインレット30はラベル本体部13にICタグ機能部35が貼着され、ラベル切取部14に基材余白部36が貼着されているので、ICタグインレット30が剥離紙20に残ることなくラベル10と一緒に剥がし取られるようになっている。そして、ラベル10に印刷されているバーコードを用いて製品の出荷を管理する。
【0080】
また、本実施形態ではラベル10の裏面にICタグインレット30のICタグ機能部35が貼着されているので、ラベル10に印刷されたバーコードのみならず、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを外部のリーダライタ装置で無線通信することによって製品の管理を行うこともできる。
【0081】
次に、図10(b)に示すように、工場から出荷された製品を販売店に配送する配送センターにおいては、ケースに貼り付けられたICタグ付きラベル1−5についてラベル10の最下段にあるハーフカット11を切り取ってラベル小片部16を剥がし取り、その剥がし取ったラベル小片部16を粘着面15にて管理台帳に貼り付ける。これにより、ラベル小片部16に印刷されているバーコードを用いて製品の管理を行うことができる。なお、基材余白部36の表面には剥離面37が形成されているので、ラベル小片部16は基材余白部36から無理なく剥がされる。しかも基材余白部36の裏面には粘着面38が形成されているので、ラベル小片部16を剥がす際にICタグインレット30を引き付けてしまうことがなく、ケース等の被着体に確実に固定しておくことができる。
【0082】
次いで、製品が配送センターから最寄りの配達店に配送されると、配達店では上記と同様にしてラベル10から次のラベル小片部16を剥がし取り、その剥がし取ったラベル小片部16を管理台帳に貼り付けて製品管理を行うようにする。
【0083】
最後に、図10(c)に示すように、販売店では製品を入荷すると、ケースに貼り付けられたICタグ付きラベル1−5について最後に残ったラベル小片部16を剥がし取り、その剥がし取ったラベル小片部16を管理台帳に貼り付けて製品のリサイクル管理等を行うことができる。また、本実施形態でもラベル本体部13にICタグ機能部35が貼着されたまま残るので、ICチップ32のメモリに記憶されているデータを活用できるという利点がある。
【0084】
このように、本実施形態のICタグ付きラベル1−5によれば、製品を出荷する工場と販売店のみならず、製品を配送する配送センターや配達店においても同じラベルを用いて製品管理できるという効果がある。
【0085】
以上説明した実施形態ではいずれもICタグインレット30に実装されるICタグ機能部35として電磁誘導方式によるICタグを適用したが、これに替えて、その他の通信方式、例えば電磁結合方式や電波方式によるICタグを適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明に係るICタグ付きラベルの第1実施形態の構成を示す分解図である。
【図2】図1のICタグ付きラベルの使用方法を示す説明図であり、(a)は同ラベルを剥離するときの状態、(b)はラベル切取部を切り取って剥離するときの状態を示す図である。
【図3】本発明に係るICタグ付きラベルの第2実施形態の構成を示す分解図である。
【図4】図3のICタグ付きラベルの使用方法を示す説明図であり、(a)は同ラベルを剥離するときの状態、(b)はラベル切取部を切り取って剥離するときの状態を示す図である。
【図5】本発明に係るICタグ付きラベルの第3実施形態の構成を示す分解図である。
【図6】図5のICタグ付きラベルの使用方法を示す説明図であり、(a)は同ラベルを剥離するときの状態、(b)はラベル切取部を切り取って剥離するときの状態を示す図である。
【図7】本発明に係るICタグ付きラベルの第4実施形態の構成を示す分解図である。
【図8】図7のICタグ付きラベルの使用方法を示す説明図であり、(a)は同ラベルを剥離するときの状態、(b)はラベル切取部を切り取って剥離するときの状態を示す図である。
【図9】本発明に係るICタグ付きラベルの第5実施形態の構成を示す分解図である。
【図10】図9のICタグ付きラベルの使用方法を示す説明図であり、(a)は同ラベルを剥離するときの状態、(b)と(c)はラベル小片部を切り取って剥離するときの状態を示す図である。
【図11】従来の管理ラベルの構成例を示す外観図であり、(a)は同ラベルを表側から見た図、(b)は同ラベルを裏側から見た図である。
【図12】従来の管理ラベルの使用方法を示す説明図であり、(a)はラベルを剥離するときの状態、(b)はラベル切取部を切り取って剥離するときの状態を示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1−1,1−2,1−3,1−4,1−5 ICタグ付きラベル
10 ラベル
11 ハーフカット
12 ミシン目
13 ラベル本体部
14 ラベル切取部
15 粘着面
16 ラベル小片部
20 剥離紙
21 剥離面
30 ICタグインレット
31 基材
32 ICチップ
33 アンテナ
34 ミシン目
35 ICタグ機能部
36 基材余白部
37 剥離面
38 粘着面
40 紙片
41 剥離面
42 粘着面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル本体部とラベル切取部が切り離し可能に連接されたラベルと、
上記ラベルの粘着面に剥離可能に貼着された剥離シートと、
上記ラベルと上記剥離シートの間に介在し、上記ラベル切取部の粘着面に貼着されたICタグインレットと、を備えた
ことを特徴とするICタグ付きラベル。
【請求項2】
ラベル本体部とラベル切取部が切り離し可能に連接されたラベルと、
上記ラベルの粘着面に剥離可能に貼着された剥離シートと、
上記ラベルと上記剥離シートの間に介在し、上記ラベル本体部の粘着面に部分的に貼着されたICタグ機能部と、ICタグ機能部が実装された基材を延長することによって上記ラベル切取部の粘着面に剥離可能に貼着された基材余白部と、が切り離し可能に連接されたICタグインレットと、を備えた
ことを特徴とするICタグ付きラベル。
【請求項3】
上記ICタグインレットに貼着された剥離用の紙片を備え、
上記紙片の剥離面が上記ラベル切取部の粘着面に貼着されている
ことを特徴とする請求項1に記載のICタグ付きラベル。
【請求項4】
上記ICタグインレットの基材余白部に貼着された剥離用の紙片を備え、
上記紙片の剥離面が上記ラベル切取部の粘着面に剥離可能に貼着されている
ことを特徴とする請求項2に記載のICタグ付きラベル。
【請求項5】
上記ICタグインレットの基材が剥離シートで構成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載のICタグ付きラベル。
【請求項6】
上記ICタグインレットは、
上記基材余白部の表面に剥離剤を塗布した剥離面が形成されているとともに、
上記基材余白部の裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のICタグ付きラベル。
【請求項7】
上記ICタグインレットの裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されているとともに、
上記ICタグインレットの粘着面に剥離用の紙片が貼着されている
ことを特徴とする請求項1に記載のICタグ付きラベル。
【請求項8】
上記ラベル切取部は、
さらに切り離し可能な複数のラベル小片部に区画されているとともに、
上記ICタグインレットの裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載のICタグ付きラベル。
【請求項9】
上記ラベル切取部は、
さらに切り離し可能な複数のラベル小片部に区画されているとともに、
上記ICタグインレットの基材余白部の裏面に粘着剤を塗布した粘着面が形成されている
ことを特徴とする請求項2に記載のICタグ付きラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−96504(P2008−96504A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−275116(P2006−275116)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】