説明

ICタグ読取書込装置、電子装置、及びICタグ読取書込方法

【課題】ICタグと通信を行わないアンテナにおいて励起された信号がノイズ源となり、ICタグと通信を行うアンテナと回路に影響を与えることを抑制する。
【解決手段】ICタグ読取書込装置は、第1のICタグと通信を行うとき、第1のICタグの周波数に対応している通信部200においてはスイッチング部260を用いてアンテナ210を第1マッチング回路230に接続させる。また他の通信部200においてはスイッチング部260を用いてアンテナ210を第2マッチング回路240に接続させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグの読み書きを行うICタグ読取書込装置、電子装置、及びICタグ読取書込方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ICタグの一つにRFID(Radio Frequency Identification)がある。RFIDは安価であるという特徴があるが、複数の規格がある。そしてこれらの複数の規格の間では、通信を行う周波数帯が統一されていない。そして周波数帯が異なる複数種類のRFIDに対して読み書きを行うためには、それぞれの周波数帯やプロトコルに準じた複数の読取書込装置を準備する必要がある。
【0003】
これに対して近年は、通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のRFIDの読み書きを、一つの読取書込装置を用いて行われるようになってきている。例えば特許文献1には、読取書込装置に複数のアンテナを共振回路と共に設けることが記載されている。これらの共振回路は、共振回路の一部をショートさせることにより共振周波数を変えられるようになっている。そして、RFIDと通信を行うアンテナについては、そのRFIDと通信を行うときの周波数が共振周波数となるように共振回路が設定され、他のアンテナについては、他の周波数が共振周波数となるように共振回路が設定される。
【0004】
なお特許文献2には、携帯電話などの無線通信装置のアンテナのインピーダンスが使用環境によって変化することを抑制するために、送信回路とアンテナの間に可変整合回路を設けることが記載されている。
【0005】
また特許文献3には、無線通信機器に接続される周波数変換装置が開示されている。この周波数変換装置は、無線通信機器の送受信周波数を検出し、検出した送受信周波数を規定の周波数に変換する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−339507号公報
【特許文献2】再特WO2006−080304号公報
【特許文献3】特開2008−109371号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグ、例えばRFIDの読み書きを一つの読取書込装置を用いて行う場合、読取書込装置に複数のアンテナを設けることが多い。この場合、通信対象となっているICタグと通信を行わないアンテナにおいても、ICタグからの応答波によって信号が励起される。複数のアンテナを小型に構成して個々のアンテナ間の距離が縮まると、ICタグと通信を行わないアンテナにおいて励起された信号がノイズ源となり、ICタグと通信を行うアンテナと回路に影響を与えることがある。
【0008】
本発明の目的は、ICタグと通信を行わないアンテナにおいて励起された信号がノイズ源となってICタグと通信を行うアンテナと回路に影響を与えることを抑制できるICタグ読取書込装置、電子装置、及びICタグ読取書込方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグと通信するICタグ読取書込装置であって、
前記複数の周波数別に設けられた複数の通信手段と、
前記複数の通信手段を介して複数種類のICタグと通信する信号処理手段と、
を備え、
前記複数の通信手段は、それぞれ、
アンテナと、
送受信回路と、
前記送受信回路に接続しており、前記アンテナと前記送受信回路を整合させる第1マッチング回路と、
負荷回路に接続しており、前記アンテナと前記負荷回路を整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
を備え、
さらに、前記複数の通信手段それぞれの前記スイッチング手段を制御するスイッチング制御手段と、
を備えるICタグ読取書込装置が提供される。
【0010】
本発明によれば、通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグと通信するICタグ読取書込装置に用いられる電子装置であって、
前記複数の周波数別に設けられた複数の通信手段を備え、
前記複数の通信手段は、それぞれ、
アンテナと、
送受信回路と、
前記送受信回路に接続しており、前記アンテナと前記送受信回路を整合させる第1マッチング回路と、
負荷回路に接続しており、前記アンテナと前記負荷回路を整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
を備える電子装置が提供される。
【0011】
本発明によれば、通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグと通信するICタグ読取書込装置に用いられる電子装置であって、
前記複数の周波数別に設けられた複数のアンテナそれぞれに対応して設けられた複数の送受信回路と、
前記複数のアンテナそれぞれに設けられ、当該アンテナに対応する前記送受信回路と当該アンテナを整合させる第1マッチング回路と、
前記複数のアンテナそれぞれに設けられ、当該アンテナと負荷回路とを整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
前記複数のアンテナ及び前記送受信回路を介して前記複数種類のICタグと通信する信号処理手段と、
を備える電子装置が提供される。
【0012】
本発明によれば、一台のICタグ読取書込装置を用いて、通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグの読み書きを行うICタグ読取書込方法であって、
前記ICタグ読取書込装置は、
前記複数の周波数別に設けられた複数の通信手段と、
前記複数の通信手段を介して複数種類のICタグと通信する信号処理手段と、
を備え、
前記複数の通信手段は、それぞれ、
アンテナと、
送受信回路と、
前記送受信回路に接続しており、前記アンテナと前記送受信回路を整合させる第1マッチング回路と、
グラウンドに接続しており、前記アンテナと前記グラウンドを整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
を備え、
前記ICタグ読取書込装置は、第1の前記ICタグと通信を行うとき、
前記第1のICタグの周波数に対応している前記通信手段においては前記スイッチング手段を用いて前記アンテナを前記第1マッチング回路に接続させ、
他の前記信手段においては前記スイッチング手段を用いて前記アンテナを前記第2マッチング回路に接続させる、ICタグ読取書込方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ICタグと通信を行わないアンテナにおいて励起された信号がノイズ源となってICタグと通信を行うアンテナと回路に影響を与えることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ICタグ読取書込装置が想定している周波数帯の例を示す図である。
【図3】図1に示したICタグ読取書込装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第3の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。
【図6】第4の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である
【図7】第5の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
図1は、第1の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。このICタグ読取書込装置は、通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグと通信する装置であり、複数の周波数別に設けられた複数の通信部200と、複数の通信部200を介して複数種類のICタグと通信する信号処理部100とを備える。複数の通信部200は、それぞれ、アンテナ210、送受信回路220、第1マッチング回路230、第2マッチング回路240、及びスイッチング部260を備える。第1マッチング回路230は送受信回路220に接続しており、アンテナ210と送受信回路220をインピーダンス整合させる。第2マッチング回路240は、負荷回路250に接続しており、アンテナ210と負荷回路250をインピーダンス整合させる。スイッチング部260は、アンテナ210を第1マッチング回路230及び第2マッチング回路240のいずれかに選択的に接続させる。そして信号処理部100は、複数の通信部200それぞれのスイッチング部260を制御するスイッチング制御部としても機能する。
【0017】
詳細には、複数のアンテナ210は、例えば同一の誘電体基板上に形成されている。そしてアンテナ210以外の通信部200、及び信号処理部100は、一つの半導体装置、例えば一つの半導体チップとして形成されている。なお信号処理部100は、例えばソフトウェアとハードウェア(例えばCPU及びメモリ)の共動により実現される。また送受信回路220は、例えばアナログ回路として構成されている。
【0018】
第1マッチング回路230は、対応している送受信回路220がオンしている状態でのインピーダンスと、アンテナ210のインピーダンスを整合させる。送受信回路220のインピーダンスは、受信回路内のフロントエンド回路内に含まれる出力インピーダンスが支配的となっている。このため、送受信回路220のインピーダンスは、送受信回路220がオンしている状態とオフの状態とでは大きく異なる。そして第1マッチング回路230は、ICタグ読取書込装置が動作している状態において送受信回路220とアンテナ210の間の伝送効率が最大となるように設計されている。
【0019】
第2マッチング回路240は、負荷回路250のインピーダンスとアンテナ210のインピーダンスを整合させる。負荷回路250は、アンテナ210に生じたノイズを消費するための負荷を有しており、例えば抵抗又はLC回路によって構成されている。そして第2マッチング回路240は、アンテナ210から負荷回路250への伝送効率が最大となるように設計されている。
【0020】
スイッチング部260は、例えばSPDT(Single Pole, Dual Throw)機能を有するスイッチであり、例えばスイッチ機能を有する半導体素子、例えばPINダイオードやMESFETで構成される。スイッチング部260は、信号処理部100によって制御されている。
【0021】
信号処理部100は、複数の通信部200に共通の処理部として設けられている。信号処理部100は、上記した機能のほかに、何れの通信部200が動作するかを制御している。
【0022】
本図に示す例において、ICタグ読取書込装置が想定している周波数帯は3つである。これらの周波数は、図2に示すように、短波帯(13.56MHz)、UHF帯(952〜955MHz)、及びマイクロ波帯(2400〜2483.5MHz)である。そして図1に示すように通信部200は3つ設けられている。なお、各周波数には、一つ又は複数の通信プロトコルが対応している。
【0023】
ただし図2に示した周波数帯は、日本における例である。そしてこれらの周波数帯及びその数は、ICタグが使用される国に応じて変更される。
【0024】
図3は、図1に示したICタグ読取書込装置の動作を示すフローチャートである。本図に示す処理は、ICタグ読取書込装置がICタグ、例えばRFIDと通信するときの動作を示している。なお本図に示す例において、動作していない通信部200の送受信回路220は、節電のためにオフ状態となっている。
【0025】
まず信号処理部100は、最初の周波数帯を選択する。そして信号処理部100は、選択した周波数帯に対応している通信部200を選択し、選択した通信部200の送受信回路220をオン状態にして、残りの送受信回路220をオフ状態にする。このようにして、信号処理部100は周波数の切り替えを行う(ステップS10)。
【0026】
そして信号処理部100は、ステップS10において選択した通信部200のスイッチング部260を制御し、選択した通信部200においてアンテナ210を第1マッチング回路230に接続する。また信号処理部100は、ステップS10において選択しなかった通信部200においてアンテナ210を第2マッチング回路240に接続する。このようにして、信号処理部100はスイッチング部260におけるスイッチの切り替えを行う(ステップS20)。
【0027】
そして信号処理部100は、ステップS10において選択した周波数帯に対応するプロトコルのうち、最初のプロトコルを選択する(ステップS30)。そして信号処理部100は、送受信回路220を用いて、ステップS30において選択したプロトコルに従った質問波を生成し、生成した質問波を第1マッチング回路230を介してアンテナ210に伝達し、アンテナ210から空中に放射する(ステップS40)。
【0028】
ICタグ読取書込装置が通信しようとしているICタグが、ステップS30において選択したプロトコルに対応しているとき、ICタグは、このプロトコルに対応している応答波を生成して空中に放射する。
【0029】
応答波が空中に放射された場合、信号処理部100及びステップS10において選択されている送受信回路220は、アンテナ210を介してこの応答波を受信し(ステップS50:Yes)、応答波に含まれているデータを処理する(ステップS70)。ここで処理されるデータには、ICタグに書き込まれているユニークID及びその他の情報が含まれている。
【0030】
なおICタグが放出した応答波は、ステップS10において選択されていないアンテナ210にも受信される。このため、ステップS10において選択されていないアンテナ210において不要な信号が励起される。この不要な信号は、スイッチング部260及び第2マッチング回路240を介して、負荷回路250で消費される。このため、ステップS10において選択されていないアンテナ210で励起された不要な信号によって、ステップS10において選択された通信部200にノイズが生成されることが抑制される。
【0031】
ICタグ読取書込装置が通信しようとしているICタグが、ステップS30において選択したプロトコルに対応していないとき、ICタグは、このプロトコルに対応している応答波を生成しない。このため、ステップS10において選択された通信部200は、質問波を放射してから所定時間を経過しても、応答波を受信しない(ステップS50:No)。この場合、信号処理部100は、ステップS30において選択されているプロトコルが、ステップS10において選択されている周波数における最後のプロトコルでない場合(ステップS60:No)、ステップS30に戻ってプロトコルの切り替えを行い、ステップS40〜ステップS70に示した処理を繰り返す。また信号処理部100は、ステップS30において選択されているプロトコルが、ステップS10において選択されている周波数における最後のプロトコルである場合(ステップS60:Yes)、ステップS10に戻って周波数の切り替えを行い、ステップS20〜ステップS70に示した処理を繰り返す。
【0032】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。ICタグが応答波を放出した場合、この応答波はステップS10において選択されていないアンテナ210にも受信される。このため、複数のアンテナを小型に構成して個々のアンテナ間の距離が縮まっている場合には、ステップS10において選択されていないアンテナ210において不要な信号が励起され、この励起された信号がノイズ源となってICタグと通信を行うアンテナ310と送受信回路220に影響を与えることがあり得る。しかし本実施形態では、スイッチング部260、第2マッチング回路240、及び負荷回路250が設けられている。そして上記した不要な信号は、スイッチング部260及び第2マッチング回路240を介して、負荷回路250で消費される。このため、ステップS10において選択されていないアンテナ210で励起された不要な信号がノイズ源となってICタグと通信を行うアンテナ310と送受信回路220に影響を与えることが抑制される。
【0033】
図4は、第2の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。このICタグ読取書込装置は、第2マッチング回路240が可変容量242を有しており、信号処理部100が可変容量242の容量値を制御する点を除いて、第1の実施形態に係るICタグ読取書込装置と同様の構成である。
【0034】
すなわち信号処理部100は、ある周波数でICタグとの通信を試みるとき、この周波数に対応している通信部200においてはスイッチング部260を用いてアンテナ210を第1マッチング回路230に接続させる。また信号処理部100は、その他の通信部200においては、スイッチング部260を用いてアンテナ210を第2マッチング回路240に接続させ、さらに、通信を試みている周波数に応じて、上記したその他の通信部200における可変容量242の値を制御し、負荷回路250とアンテナ210のインピーダンスを整合させる。
【0035】
上記した信号処理部100の動作は、図3のステップS10において行われる。
【0036】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、周波数に応じて第2マッチング回路240のインピーダンスを調節することができる。このため、ステップS10において選択されていないアンテナ210で励起された不要な信号は、さらに負荷回路250で消費されやすくなる。
【0037】
図5は、第3の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。この読取書込装置は、以下の点を除いて第1の実施形態に示したICタグ読取書込装置と同様の構成である。
【0038】
まず通信部200は、それぞれその通信部200が対応していない周波数別に、第2マッチング回路244を有している。例えばICタグ読取書込装置が3つの通信部200を有している場合、一つの通信部200は2つの第2マッチング回路244を有している。第2マッチング回路244の構成は、第1の実施形態における第2マッチング回路240と同様の構成である。
【0039】
例えばICタグ読取書込装置が日本で用いられる場合について説明する。13.56MHzの周波数帯に対応している通信部200において、一方の第2マッチング回路244は、952〜955MHzの周波数帯において負荷回路250とアンテナ210のインピーダンス整合が取れるように、アンテナ210の952〜955MHzにおけるインピーダンスの共役複素数となるように設計されている。また他方の第2マッチング回路244は、2400〜2483.5MHzの周波数帯において負荷回路250とアンテナ210のインピーダンス整合が取れるように、アンテナ210の2400〜2483.5MHzにおけるインピーダンスの共役複素数となるように設計されている。
【0040】
また952〜955MHzの周波数帯に対応している通信部200において、一方の第2マッチング回路244は、13.56MHzの周波数帯において負荷回路250とアンテナ210のインピーダンス整合が取れるように、アンテナ210の13.56MHzにおけるインピーダンスの共役複素数となるように設計されている。また他方の第2マッチング回路244は、2400〜2483.5MHzの周波数帯において負荷回路250とアンテナ210のインピーダンス整合が取れるように、アンテナ210の2400〜2483.5MHzにおけるインピーダンスの共役複素数となるように設計されている。
【0041】
また2400〜2483.5MHzの周波数帯に対応している通信部200において、一方の第2マッチング回路244は、13.56MHzの周波数帯において負荷回路250とアンテナ210のインピーダンス整合が取れるように、アンテナ210の13.56MHzにおけるインピーダンスの共役複素数となるように設計されている。また他方の第2マッチング回路244は、952〜955MHzの周波数帯において負荷回路250とアンテナ210のインピーダンス整合が取れるように、アンテナ210の952〜955MHzにおけるインピーダンスの共役複素数となるように設計されている。
【0042】
そして信号処理部100は、第1の周波数で通信を試みるとき、第1の周波数に対応している通信部200においてはスイッチング部260を用いてアンテナ210を第1マッチング回路230に接続させる。また信号処理部100は、他の通信部200においては、スイッチング部260を用いて、アンテナ210を、第1の周波数に対応している第2マッチング回路244に接続させる。
【0043】
上記した信号処理部100の動作は、図3におけるステップS10において行われる。
【0044】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、通信を試みている周波数に応じて、その周波数に適した第2マッチング回路244を選択することができる。このため、ステップS10において選択されていないアンテナ210で励起された不要な信号は、さらに負荷回路250で消費されやすくなる。
【0045】
図6は、第4の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。この読取書込装置は、アンテナ310以外の構成要素が電子装置10に形成されており、この電子装置10にアンテナ310を外付けで取り付けられるようになっている点を除いて、第2の実施形態に係るICタグ読取書込装置と同様の構成である。
【0046】
すなわち電子装置10は、複数の通信部200及び信号処理部100を備える。通信部200は、送受信回路220、第1マッチング回路230、第2マッチング回路240、負荷回路250、及びスイッチング部260を備えている。電子装置10は、例えば一つの半導体チップとして形成される。そして アンテナ310は、この半導体チップにマザーボード等を介して接続される。第2マッチング回路240は、可変容量242を備えている。
【0047】
本実施形態によっても、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、外付けするアンテナ310のインピーダンスに応じて第2マッチング回路240のインピーダンスを調節する必要があるが、この調整を、可変容量242の容量値を調節することにより行える。
【0048】
図7は、第5の実施形態に係るICタグ読取書込装置の構成を示すブロック図である。この読取書込装置は、複数の通信部200からなる電子装置12に、信号処理部100を外付けすることにより形成されている点を除いて、第1〜第3の実施形態のいずれかに係るICタグ読取書込装置と同様の構成である。なお図7においては、第3の実施形態に係るICタグ読取書込装置と同様の構成である場合を示している。電子装置12は、例えば一つの半導体チップとして形成される。
【0049】
本実施形態によっても、第1〜第3の実施形態のいずれかと同様の効果を得ることができる。
【0050】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0051】
10 電子装置
12 電子装置
100 信号処理部
200 通信部
210 アンテナ
220 送受信回路
230 第1マッチング回路
240 第2マッチング回路
242 可変容量
244 第2マッチング回路
250 負荷回路
260 スイッチング部
310 アンテナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグと通信するICタグ読取書込装置であって、
前記複数の周波数別に設けられた複数の通信手段と、
前記複数の通信手段を介して複数種類のICタグと通信する信号処理手段と、
を備え、
前記複数の通信手段は、それぞれ、
アンテナと、
送受信回路と、
前記送受信回路に接続しており、前記アンテナと前記送受信回路を整合させる第1マッチング回路と、
負荷回路に接続しており、前記アンテナと前記負荷回路を整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
を備え、
さらに、前記複数の通信手段それぞれの前記スイッチング手段を制御するスイッチング制御手段と、
を備えるICタグ読取書込装置。
【請求項2】
請求項1に記載のICタグ読取書込装置において、
3つ以上の前記通信手段を有しており、
前記複数の通信手段は、それぞれ当該通信手段が対応していない周波数別に、前記第2マッチング回路を有しており、
前記スイッチング制御手段は、第1の前記周波数で通信を行うとき、
前記第1の周波数に対応している前記通信手段においては前記スイッチング手段を用いて前記アンテナを前記第1マッチング回路に接続させ、
他の前記通信手段においては、前記スイッチング手段を用いて、前記アンテナを、前記第1の周波数に対応している前記第2マッチング回路に接続させるICタグ読取書込装置。
【請求項3】
請求項2に記載のICタグ読取書込装置において、
前記複数の通信手段それぞれにおいて、前記周波数別に設けられた前記第2マッチング回路のインピーダンスは、対応している周波数における当該通信手段の前記アンテナのインピーダンスの共役複素数となっているICタグ読取書込装置。
【請求項4】
請求項1に記載のICタグ読取書込装置において、
前記第2マッチング回路は、可変容量を有しているICタグ読取書込装置。
【請求項5】
請求項4に記載のICタグ読取書込装置において、
3つ以上の前記通信手段を有しており、
前記スイッチング制御手段は、第1の前記周波数で通信を行うとき、
前記第1の周波数に対応している前記通信手段においては前記スイッチング手段を用いて前記アンテナを前記第1マッチング回路に接続させ、
他の前記通信手段においては、前記スイッチング手段を用いて前記アンテナを前記第2マッチング回路に接続させ、
さらに、前記第1の周波数に応じて前記他の通信手段における前記可変容量の値を制御して前記負荷回路と前記アンテナとを整合させる可変容量制御手段を備えるICタグ読取書込装置。
【請求項6】
通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグと通信するICタグ読取書込装置に用いられる電子装置であって、
前記複数の周波数別に設けられた複数の通信手段を備え、
前記複数の通信手段は、それぞれ、
アンテナと、
送受信回路と、
前記送受信回路に接続しており、前記アンテナと前記送受信回路を整合させる第1マッチング回路と、
負荷回路に接続しており、前記アンテナと前記負荷回路を整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
を備える電子装置。
【請求項7】
通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグと通信するICタグ読取書込装置に用いられる電子装置であって、
前記複数の周波数別に設けられた複数のアンテナそれぞれに対応して設けられた複数の送受信回路と、
前記複数のアンテナそれぞれに設けられ、当該アンテナに対応する前記送受信回路と当該アンテナを整合させる第1マッチング回路と、
前記複数のアンテナそれぞれに設けられ、当該アンテナと負荷回路とを整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
前記複数のアンテナ及び前記送受信回路を介して前記複数種類のICタグと通信する信号処理手段と、
を備える電子装置。
【請求項8】
一台のICタグ読取書込装置を用いて、通信を行う周波数が複数にまたがっている複数種類のICタグの読み書きを行うICタグ読取書込方法であって、
前記ICタグ読取書込装置は、
前記複数の周波数別に設けられた複数の通信手段と、
前記複数の通信手段を介して複数種類のICタグと通信する信号処理手段と、
を備え、
前記複数の通信手段は、それぞれ、
アンテナと、
送受信回路と、
前記送受信回路に接続しており、前記アンテナと前記送受信回路を整合させる第1マッチング回路と、
グラウンドに接続しており、前記アンテナと前記グラウンドを整合させる第2マッチング回路と、
前記アンテナを前記第1マッチング回路及び前記第2マッチング回路のいずれかに選択的に接続させるスイッチング手段と、
を備え、
前記ICタグ読取書込装置は、第1の前記ICタグと通信を行うとき、
前記第1のICタグの周波数に対応している前記通信手段においては前記スイッチング手段を用いて前記アンテナを前記第1マッチング回路に接続させ、
他の前記信手段においては前記スイッチング手段を用いて前記アンテナを前記第2マッチング回路に接続させる、ICタグ読取書込方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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