説明

ICラベルと、ICラベルの製造装置

【課題】 必要以上に厚みが厚くなることがなく、しかも、製品などに添付した使用時に、その接着力が強く、簡単に剥がれてしまう心配の無いICラベルを提供することである。
【解決手段】 一対のシート1,2間にIC5を備えたインレット3を介在させて上記両シートを接着する一方、一方のシート1を、他方のシート2から剥離したとき、上記インレット3とともに接着剤8,9が一方のシート1側に移行する構成にしたICラベルL1において、上記一対のシート1,2のそれぞれに接着剤8,9を塗布し、これら接着剤間に上記インレット3を介在させてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ICチップを含んだインレットを内蔵したICラベルと、ICラベルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品の製造工程や、流通過程などにおいて、個々の製品を識別し、管理するために、ICラベルを利用することがあった。このICラベルとして、例えば、図10〜図12に示すようなICラベルL2があった。
このICラベルL2は、図10および図11のように、剥離紙2上に、接着剤7を介して上紙1を貼り合わせたもので、上紙1の裏面には上記接着剤7を設け、この接着剤7にインレット3を貼り付けている。そして、上紙1を、インレット3とともに、剥離紙2から剥がして、製品やパッケージなどに添付して使用している。つまり、上紙1を、上記接着剤7およびインレット3とともに剥離紙2から剥がし、接着剤7の接着面7aによって、このICラベルL2を目的の製品などに添付していた。
【0003】
このようなICラベルL2は、例えば、次のようにして製造されていた。
接着剤7を備えた上紙1を剥離紙2に貼り合わせた、ラベルを材料とし、その上紙1を剥がして、上記剥離紙2と上紙1との間に、上記インレット3を挟み込んでから、上紙1を貼り直していた。
なお、上記インレット3とは、通信機能を有するシートで、図12に示すように、樹脂のベース基材4上に、ICチップ5と、アンテナ6とを備えたものである。上記ICチップ5に、ラベルIDなどを記憶させ、それを外部から読み取ったり、反対に、ICチップに外部からデータを書き込んだりして利用していた。
具体的には、ポリエチレンテレフタレートや、ガラスエポキシ等のベース基材4として、その上に、蒸着やエッチング技術、印刷などによって、銅、アルミ、金などで、アンテナ6を形成する。さらに、ベース基材4のアンテナ上にICチップ5を実装していた。また、上記ICチップ5およびアンテナ6を保護するために、樹脂層を形成することもある。
【特許文献1】特開2002−342727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなICラベルL2は、ICラベルL2全体の大きさに対して接着面7aの面積が小さいため、製品に貼付しての接着力が弱くて、剥がれやすいという問題があった。
上記の問題を解決するためには、上紙1を剥がしたとき、インレット3の剥離紙2側の面3aにも接着剤を設けることが考えられる。そのため、上記した製造工程において、ラベルの上紙1を剥がしてインレット3を挟む際に、剥離紙2側に両面に接着層を備えた両面テープを挟み込むことが考えられる。しかし、この方法は、両面テープを挟み込む工程を人手に頼らなければならず、製造コストがかかってしまうという問題がある。
また、上記両面テープを挟み込んだ場合、両面テープのベースの分、ラベルの厚みが厚くなってしまう。そのため、上紙1に印字する際に、ラベルL2が、プリンタを通りにくいということがあった。そして、ラベルL2が、プリンタで引っかかってしまうと、内部のインレット3、ひいてはICチップ5を破損してしまうこともある。
さらに、別の解決策として、インレット3のベース基材4に開口を設けて、上紙1側に設けた接着剤が、上記開口を介して剥離紙2側へ露出するようにしたものもある(特許文献1参照)。しかし、この方法では、インレット3に設けたICチップ5やアンテナ6の位置や形状によって、開口の位置や大きさなどを変えなければならないため、製造工程が複雑になるという問題がある。
【0005】
この発明の目的は、必要以上に厚みが厚くなることがなく、しかも、製品などに添付した使用時に、その接着力が強く、簡単に剥がれてしまう心配の無いICラベルを提供することである。
また、上記のようなICラベルを、製造コストを抑えて製造できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、一対のシート間にICを備えたインレットを介在させて上記両シートを接着する一方、一方のシートを、他方のシートから剥離したとき、上記インレットとともに接着剤が一方のシート側に移行する構成にしたICラベルにおいて、上記一対のシートのそれぞれに接着剤を塗布し、これら接着剤間に上記インレットを介在させてなる点に特徴を有する。
【0007】
第2の発明の製造装置は、使用単位の大きさにしたインレットを、間隔をあけて連続的に搬送するインレット搬送手段と、一方のシートを構成する第1シート帯を供給する第1シート供給手段と、第1シート帯の供給過程で、第1シート帯の一方の面に接着剤を塗布する第1塗布手段と、他方のシートを構成する第2シート帯を供給する第2シート供給手段と、第2シート帯の供給過程で第2シート帯の一方の面に接着剤を塗布する第2塗布手段と、インレットの搬送過程でインレットの搬送位置を検出する搬送位置検出手段と、上記搬送位置検出手段からの検出信号に応じて上記第1、第2塗布手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、インレットの位置検出信号に応じて塗布開始位置を特定する機能と、特定した塗布開始位置から塗布長さを制御する機能とを備える一方、第1シート供給手段および第2シート供給手段から供給された第1シート帯と第2シート帯とを特定位置で合流させるとともに、その合流位置で、上記インレットを上記両シートの接着剤の塗布面間に位置させる構成にした点に特徴を有する。
【0008】
第3の発明は、第2の発明を前提とし、インレット搬送手段は、インレットを載せるとともに、搬送方向に所定の長さを有する固定支持部材と、この固定支持部材に沿って設けた移動部材と、この移動部材に固定された押し部材とを備え、上記移動部材とともに押し部材が移動したとき、この押し部材で固定支持部材上のインレットの搬送方向後端を押す構成にした点に特徴を有する。
【0009】
第4の発明は、第3の発明を前提とし、複数のインレットを連続させたインレット帯を供給するインレット帯供給手段と、インレット帯を使用単位に切断するインレット切断手段を備え、上記インレット帯供給手段は、上記インレット切断手段を設けた位置でインレット帯を一時停止させ、上記切断手段は、一時停止させたインレット帯を切断してその使用単位に切断されたインレットを上記押し部材の移動方向前方に落とす構成にした点に特徴を有する。
【0010】
第5の発明は、第3または第4の発明を前提とし、搬送位置検出手段は、押し部材の位置を検出し、上記制御手段は、検出した押し部材の位置をインレットの搬送位置とする点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によれば、ICラベルの接着面積を広くできたので、被貼着物から剥がれ落ちることを防止できる。
第2〜第5の発明によれば、接着面が大きくて接着力が大きなICラベルを自動的に製造することができる。しかも、複雑な工程がないため、製造コストを抑えることができる。
特に、第3〜第5の発明によれば、使用単位の大きさにしたインレットの搬送方向後端を押して搬送するようにしているので、様々な長さの使用単位に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1〜図9に、この発明の実施形態を示す。
この発明のICラベルL1は、図1に示すように、剥離紙2の上に上紙1を貼り合わせたもので、外見上は図10に示す従来例のICラベルL1と同じである。ただし、図2の断面図のように、インレット3の上下に第1接着剤8と第2接着剤9とを備えている。なお、上記インレット3は、図12に示す従来例のものと同じである。
そして、このICラベルL1は、第1接着剤8と上紙1との間の両者が接着する力を、第2接着剤9と剥離紙2との間の両者が接着する力よりも強くなるようにしている。また、第1接着剤8と第2接着剤9とが接着する力は他の接着面における接着力よりも強くし、第1接着剤8と第2接着剤9とが一体化するようにしている。
【0013】
上記第1接着剤8、上紙1、インレット3および第2接着剤9とは、一体となって剥離紙2から剥がれ、上記インレット3の剥離紙2面側は、第2接着剤9で覆われ、ラベルL1は接着面9aによって、被貼着物に貼付することができる。この接着面9aは、上紙1の面積と同等なので、図10に示す従来のICラベルL2と比べて、接着面積が大きい。従って、確実に接着でき、簡単に剥がれてしまうこともない。
なお、上記のように、異なる部材間の接着力の関係は、接着剤および接着面の材質や、接着面の表面性を調整することによって実現することができる。
【0014】
また、上記上紙1が、この発明の一方のシートにあたり、剥離紙2がこの発明の他方のシートである。また、上記一方のシートである上紙1を、剥離紙2から剥がしたときには、第1接着剤8および第2接着剤9が一体になって、完全に、剥離紙2から剥がれるようにしているが、すべての接着剤が、完全に上紙1側へ移行しなくても、インレット3とともに上紙1側へ移行する接着剤部分があればよい。例えば、第2接着剤9が、多少、剥離紙2に残ったとしてもかまわない。
【0015】
次に、上記ICラベルL1の製造方法を、図4〜図9を用いて説明する。
図4に、この発明の製造装置を、模式的に示している。
この装置では、上記ICラベルL1の上紙1を構成する第1シート帯1’と、剥離紙2を構成する第2シート帯2’と、インレット3を構成するインレット帯3’とを備えている。
上記第1シート帯1’および第2シート帯2’は、それぞれ、上紙1および剥離紙2を連続させた帯状のシートで、所定の長さに切断する事によって、図1に示す1つのICラベルL1の上紙1と剥離紙2となる。
【0016】
また、インレット帯3’は、図5に示すように、インレット3が連続した帯状シートである。ここでは、帯状のベース基材をベース帯4’としている。このベース帯4’には、エッチングなどで切断マークm1およびm2を設け、これらのマーク位置を読み取り、切断マーク間の一点鎖線の位置でカットすることによって、1つのインレット3を形成するようにしている。
つまり、図4〜図6において、個々のICラベルL1を構成する上紙1、剥離紙2、インレット3に対応する帯状部材には、「’」を付けた符号を用いている。
なお、上記切断マークm1およびマークm2を設けないで、アンテナ6や、ICチップ5の位置を読み取って、切断位置を決めるようにしてもよい。
また、隣り合うアンテナ6間を、1本の切断線で切断するのではなく、2本の切断線で切断し、不要部分を取り除くようにしてもかまわない。
【0017】
図4に示すように、上記第1シート帯1’を、矢印xのように合流点Pへ供給するため、第1シート供給手段としての、図示しないモーターと、そのモーターで駆動される駆動ローラー10とを設け、第1シート帯1’の供給過程には、上記第1シート帯1’上に所定の間隔を保持して第1接着剤8を塗布するための第1接着手段11を設けている。
また、剥離紙2を構成する第2シート帯2’を矢印y方向へ搬送して、上記合流点Pへ供給する第2シート供給手段として、モーターM1や、第2シート帯2’を支持するローラーなどを備え、その供給過程には、第2シート帯2’上に第2接着剤9を塗布するための第2塗布手段12と、紫外線ランプ13とを設けている。この紫外線ランプ13は、塗布した第2接着剤9の安定性を高める目的で紫外線を照射するためのものである。紫外線硬化型接着剤は、紫外線照射により架橋反応を起こして安定性を増す性質があるので、第2接着剤9が、紫外線硬化型接着剤の場合、紫外線ランプ13を設ける。従って、第2接着剤9が、紫外線硬化型接着剤でない場合には、この紫外線ランプ13は不要である。また、用いる接着剤の種類によっては、第1接着手段11側に紫外線ランプを設けることもある。
【0018】
さらに、上記インレット帯3’をロール状にしたインレットロール14と、このインレットロール14からインレット帯3’を繰り出して搬送するステッピングモーターM2と、搬送方向を矢印z方向とするとき、ステッピングモーターM2に対し、上記搬送方向上流側に設置し、上記マークm1,m2によりインレット帯3’の位置を検出するセンサS1と、インレット帯3’を個々のインレット3にカットする切断機15とを備えている。
【0019】
そして、上記切断機15のインレット搬送方向下流側には、個々に切断したインレット3を、間隔をあけて連続的に搬送するインレット搬送手段16を備えている。このインレット搬送手段16の構成の詳細については、後で説明するが、この搬送手段16が、インレット3を、上記合流点Pまで搬送する。そして、この搬送手段16上には、上記インレット搬送手段16の位置を検出するセンサS2と、搬送中のインレット3の位置を検出するための位置検出センサS3とが設置されている。これらのセンサは、どのような仕組みのセンサでもかまわないが、例えば、インレット搬送手段16に設けたマークや、インレット3のベース基材4に設けたマークm1、m2を検出する光センサなどである。
【0020】
なお、上記センサS2、S3およびS1は、図示しないコントローラに接続している。このコントローラは、上記センサS1〜S3からの出力信号に基づいて、上記第1塗布手段11、第2塗布手段12、切断機15、インレット搬送手段16、ステッピングモーターM2を制御する機能を備えている。
上記コントローラの制御により、上記合流点Pにおいて、第1シート帯1’上の第1接着剤8と、第2シート帯2’上の第2接着剤9との間に、インレット3が位置するようにしている。
【0021】
上記合流点Pにおいて、第1シート帯1’および第2シート帯2’の所定の位置にインレット3が挟まれた後の搬送方向下流側には、上紙1を所定の形状にするための型抜き機23を設け、その下流には、不要な部分を取り除く粕取りローラー24をラベルL1の搬送経路からはずした位置に設けている。
また、上記インレット搬送手段16は、使用単位の大きさにしたインレット3を、間隔をあけて連続的に搬送する手段であるが、例えば、図7、図8のような構成をしている。
すなわち、一対のローラー17a,17bと、こららに掛け渡したベルト18と、このベルト18に等間隔に設けた複数の位置きめピン19とからなる搬送体20を、この発明の固定支持部材である支持台21の両脇に設けている。支持台21は、上記切断機15から排出されるインレット3を支持するための台であって、上記一対の搬送体20,20とは非接触状態で、図示しない基台に固定している。
【0022】
上記切断機15から排出されたインレット3は、支持台21で受け止められ後、ベルト18によって移動する位置きめピン19,19に押されることよって矢印Z方向へ搬送される。このように、インレット3は、位置きめピン19,19によって、搬送されるので、ピン19とインレット3との相対位置を一定にして搬送することができる。つまり、ベルト18上の位置決めピン19の間隔を所定値に設定すれば、インレット3を所定の間隔で搬送することができる。従って、上記位置決めピン19が、この発明の押し部材を構成する。
【0023】
以下に、上記合流点Pで、第1シート帯1’および第2シート帯2’の所定の位置にインレット3が挟まれ、ICラベルL1が完成するまでの手順を説明する。
まず、インレットロール14からインレット帯3’が繰り出されると、位置センサS1がインレット帯3’中のマークm1を検出して、検出信号を上記コントローラへ出力する。
上記センサS1がマークm1を検出することによってインレット帯3’内のアンテナ6およびICチップ5の位置を確認したら、上記コントローラは、ステッピングモーターM2を停止させる。つまり、上記センサS1が、インレット帯3’、正確にはアンテナなどのインレット3の構成要素が所定の位置に来たことを検出し、そこで待機させる。
【0024】
このように、インレット帯3’が所定の位置で停止して待機している状態で、上記切断機15の搬送方向下流側のセンサS2が、インレット搬送手段16の位置決めピン19を検出する。センサS2が、上記位置決めピン19を検出したらその検出信号が上記コントローラへ入力される。コントローラは、センサS2からの検出信号を受けたら、上記ステッピングモーターM2に対し、インレット帯3’をインレット3の使用単位分だけ移動させるように制御する。と同時に、上記切断機15に対し、インレット3の使用単位分だけ移動したインレット帯3’を切断するように制御する。これにより、切断機15が、インレット帯3’を、この発明の使用単位の大きさである1枚のインレット3に切断して排出する。
【0025】
切断機15で切断されたインレット3は、1枚ずつインレット搬送手段16によって、上記合流点Pまで搬送されるが、上記センサS2は、切断されたインレット3をインレット搬送手段16の支持台21に載せるタイミングを決めるための信号を出力しているのである。このタイミングは、上記切断機15から排出された個々のインレット3を、支持台21上であって、2本の位置決めピン19,19間に1枚だけ位置させるためのタイミングである。これにより、個々のインレット3は、その搬送方向後端を上記位置決めピン19に押されて、所定の速度で合流点Pまで搬送される。
【0026】
上記インレット搬送手段16によってインレット3を搬送中、上記センサS2よりも下流側に設けたセンサS3は、インレット3のマークm1,m2などを読み取ることにより、インレット3がその位置に来たことを検出して、その検出信号を上記コントローラへ出力する。コントローラは、センサS3から入力された信号に基づいて第1塗布手段11および第2塗布手段12を制御する。上記第1、第2塗布手段11,12は、第1シート帯1’上に第1接着剤8を塗布し、第2シート帯2’上に第2接着剤9を、それぞれ、所定間隔で塗布する。そして、コントローラは、各塗布手段11,12の塗布タイミングを上記センサS3からの検出信号に基づいて決め、所定の間隔で連続的に搬送されるインレット3が合流点Pに達したときに、その上下に、第1接着剤8と、第2接着剤9の塗布面が一致するように、塗布開始位置と塗布長さとを制御する。
【0027】
上記コントローラが、この発明の塗布手段を制御する制御手段であり、センサS3が、この発明の搬送位置検出手段である。なお、上記センサS3が、マークm1,m2の代わりに、位置決めピン19や、アンテナ5などをインレット3の位置として検出するようにしても良い。
また、上記コントローラは、第1,第2接着剤8,9の塗布長さだけでなく、塗布パターンを制御することもできる。
【0028】
以上のように、第1接着剤8が所定間隔を保って連続的に塗布された第1シート帯1’と、第2接着剤9が所定間隔を保って連続的に塗布された第2シート帯2’と、使用単位の大きさのインレット3とが、それぞれ、上記合流点Pに向かって供給される。
厳密には、上記合流点Pで、すべてが同時に合流するのではない。まず、図4に示すインレット搬送手段16の搬送方向先端で、上記位置決めピン19が先頭のインレット3を前方へ押し出し、支持台21(図7参照)から落とす。このとき、下方には、第2接着剤9を塗布された第2シート帯2’が供給されているので、図6の(1)状態のようにインレット3が、第2シート帯2’の第2接着剤9の上に載る。
【0029】
この状態で、第2シート帯2’が移動すると、上記合流点Pの直前で、すでに第1接着剤8を塗布された第1シート帯1’が重なる。このとき、図6の(2)状態のように、第1接着剤8と第2接着剤9の軸方向位置が一致し、これらの間にインレット3が位置するようにしている。
このように、インレット3を位置決めピン19によって、第2シート帯2’上に落とすタイミングも、上記センサS3の検出信号に基づいて制御するようにする。すなわち、上記センサS3からの検出信号を受信したコントローラが、第2シート帯2’上の第2接着剤9の塗布面に一致する位置でインレット3を落とすように、インレット搬送手段16を制御するようにしている。また、第1シート帯1’の供給手段は、第2供給手段とタイミングを合わせて制御すれば、合流点Pで三者が一致する。
【0030】
このように、第2シート帯2’、インレット3、第1シート帯1’が重なった状態で、搬送され、押圧ローラー22を通過すると、図6(3)状態になり、第1接着剤8と第2接着剤9とが一体化して、インレット3を覆う。
このように一体化した帯体をさらに、図4の左方向へ搬送し、型抜き機23にかける。この型抜き機23では、図9に示すように、使用時のラベル形状にするために、輪郭aの型で抜く。このとき、輪郭aで抜かれるのは、図6の(3)に示すように、第1シート帯1’と第1および第2接着剤8,9の厚さである。
【0031】
上記のように、型抜きをしたら、上記輪郭aの外側の部分1aは、不要な部分となるので、上記粕取りローラー24で巻き取る。部分1aには、第1接着剤8をほとんど塗布していないし、第2接着剤9もほとんど付着していないうえ、第2シート帯2’は剥離紙なので、この第2シート帯2’から上記部分1aを簡単に剥がすことができる。
部分1aを取り除いたら、ICラベルL1が連続して貼付された状態の第2シート帯2’を折り畳んで収納している。ここでは、第2シート帯2’に予めミシン目を形成しておき、そのミシン目に従って折り畳むようにするが、ラベルL1が貼付された第2シート帯2’をローラーに巻き取るようにしてもよい。
【0032】
なお、上記実施例では、使用単位のインレット3を、帯状のインレット帯3’を切断することで形成したが、はじめから使用単位の大きさに形成されたものをこの発明のインレット搬送手段で搬送するようにしてもよい。
また、インレット帯3’と、切断後のインレット3とは、別々の搬送手段によって搬送されるようにしているので、インレット帯3’の搬送速度を、第1,第2シート帯1’,2’のか要求速度にあわせなくても良い。例えば、インレット帯をミリメートルピッチで搬送する搬送機構と、第1、第2シート帯1’,2’をインチピッチで搬送する搬送機構とを組み合わせて用いることもできる。
上記のように、この発明の製造装置を用いれば、目的物に貼付したときに、接着力の強いICラベルを自動的に製造することができる。従って、ICラベルが剥がれ落ちてしまうことがないだけでなく、その製造を人手に頼るなどコストをかけないで行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】この発明の実施例のICタグの平面図である。
【図2】図1のII-II線断面図である。
【図3】実施例のICラベルを剥離紙から剥がした状態を示した断面図である。
【図4】実施例の製造装置の模式図である。
【図5】実施例のインレット帯の平面図である。
【図6】実施例のICラベルの製造過程を示した断面図である。
【図7】実施例のインレット搬送手段の側面図である。
【図8】実施例のインレット搬送手段の背面図である。
【図9】実施例の粕取工程前の状態を示した平面図である。
【図10】従来例のICタグの平面図である。
【図11】図10のXI-XI線断面図である。
【図12】インレットの平面図である。
【符号の説明】
【0034】
1 上紙
1’ 第1シート帯
2 剥離紙
2’ 第2シート帯
3 インレット
5 ICチップ
6 アンテナ
8 第1接着剤
9 第2接着剤
11 第1塗布手段
12 第2塗布手段
16 インレット搬送手段
19 位置決めピン
20 搬送体
21 支持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のシート間にIC備えたインレットを介在させて上記両シートを接着する一方、一方のシートを、他方のシートから剥離したとき、上記インレットとともに接着剤が一方のシート側に移行する構成にしたICラベルにおいて、上記一対のシートのそれぞれに接着剤を塗布し、これら接着剤間に上記インレットを介在させてなるICラベル。
【請求項2】
使用単位の大きさにしたインレットを、間隔をあけて連続的に搬送するインレット搬送手段と、一方のシートを構成する第1シート帯を供給する第1シート供給手段と、第1シート帯の供給過程で、第1シート帯の一方の面に接着剤を塗布する第1塗布手段と、他方のシートを構成する第2シート帯を供給する第2シート供給手段と、第2シート帯の供給過程で第2シート帯の一方の面に接着剤を塗布する第2塗布手段と、インレットの搬送過程でインレットの搬送位置を検出する搬送位置検出手段と、上記搬送位置検出手段からの検出信号に応じて上記第1、第2塗布手段を制御する制御手段とを備え、上記制御手段は、インレットの位置検出信号に応じて塗布開始位置を特定する機能と、特定した塗布開始位置から塗布長さを制御する機能とを備える一方、第1シート供給手段および第2シート供給手段から供給された第1シート帯と第2シート帯とを特定位置で合流させるとともに、その合流位置で、上記インレットを上記両シートの接着剤の塗布面間に位置させる構成にしたICラベルの製造装置。
【請求項3】
インレット搬送手段は、インレットを載せるとともに、搬送方向に所定の長さを有する固定支持部材と、この固定支持部材に沿って設けた移動部材と、この移動部材に固定された押し部材とを備え、上記移動部材とともに押し部材が移動したとき、この押し部材で固定支持部材上のインレットの搬送方向後端を押す構成にした請求項2に記載のICラベルの製造装置。
【請求項4】
複数のインレットを連続させたインレット帯を供給するインレット帯供給手段と、インレット帯を使用単位に切断するインレット切断手段を備え、上記インレット帯供給手段は、上記インレット切断手段を設けた位置でインレット帯を一時停止させ、上記切断手段は、一時停止させたインレット帯を切断してその使用単位に切断されたインレットを上記押し部材の移動方向前方に落とす構成にした請求項3に記載のICラベルの製造装置。
【請求項5】
搬送位置検出手段は、押し部材の位置を検出し、上記制御手段は、検出した押し部材の位置をインレットの搬送位置とする請求項3または4に記載のICラベルの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−221389(P2006−221389A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−33886(P2005−33886)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(391022382)日本通信紙株式会社 (9)
【Fターム(参考)】