説明

IDドップラー移動検出器

無線周波識別(RFID)検出システムに用いられるRFIDリーダーのためのシステム及び方法。リーダーは、RF信号を生成するRF源を有する。アンテナがRF源に接続されている。このアンテナは、呼掛領域内の一つ以上のRFIDマーカーに呼掛RF信号を送信し、且つ呼掛領域内の一つ以上のアイテムから交信信号を受信する。その交信信号は、呼掛領域内のアイテムの移動を示すドップラー信号を含む。受信機は交信信号を受信し、運動検出回路系はドップラー信号を検出する。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は無線周波識別(RFID)デバイスに関し、特に、RFID監視システムに組み込まれたドップラー検出回路系の使用によりRFID呼掛領域内の物体の相対的な方向性移動及び速度を監視するシステム及び方法に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
無線周波識別(RFID)とは、電波を用いて物体又は人間を自動的に識別する技術を説明するために用いられる用語である。RFIDシステムは、例えば在庫管理、電子アクセス制御、保全システム、有料道路上の車両の自動識別、電子式物品監視(「EAS」)などの様々な用途のために使用し得る。これは幾つかの方式で実行でき、最も一般的なものは、物体又は個人を特定するシリアル番号及びおそらくは他の情報を、トランスポンダーと交信するマイクロチップ(一般にRFIDマーカー又はRFIDタグと称される)に記憶させることを必要としている。RFIDシステムは、RFIDマーカーが付けられる物品又はアイテムの位置及び/又は状態を追跡又は監視するのに用い得る。アンテナ(しばしばトランシーバー及びデコーダーと共に詰められている)はマーカーが識別情報をトランシーバーへ送信することを可能とし、そのトランシーバーはRFIDマーカーから反射して戻ってきた電波を受信して、処理のためにコンピュータへ送るることができるデジタル情報へ変換する能力を含む。送信アンテナ、トランシーバー及びデコーダーは、しばしばまとめてRFIDリーダーと称される。
【0003】
RFIDリーダー(これは携帯型又は固定型デバイスとすることができる)は、その出力と無線周波によって、1インチ(約2.54cm)から100フィート(約30.48m)以上の範囲における電波を発する。RFIDマーカーがアンテナの電磁領域内を通るとき、それはリーダーの起動信号を検出する。次いでリーダーはタグの集積回路にコード化されたデータを解読し、このデータは処理のためにコンピュータへ送られる。
【0004】
RFIDシステムは、RFIDマーカーが付けられるアイテムの迅速且つ正確な識別を与えるが、現在のRFIDシステムはアンテナの電磁領域内のアイテムの移動及び移動速度を追跡することができない。従って、RFIDリーダーは、調べられたマーカーからアイテム識別情報を受け取るとき、他の信号、例えば、アイテムの相対移動、移動の方向及びアイテムの速度を示すドップラー信号を無視する。これは、RFIDリーダーは移動を検出するために必要なハードウェアもロジックも含んでいないか、或いはドップラー信号を単純に除去又は無視しているという事実に起因している。個別のドップラー信号検出器は、しばしばRFIDシステムに組み込む必要性があり、原価、労力及び設計の増大をもたらしている。受動的な赤外線(「PIR」)検出器は、移動を検知するためにしばしば用いられる。しかしながら既存のRFIDシステムへのPIR検出器の組み込みは、付加的なハードウェア及び付加的な立ち上げ費用を必要とするので、多くの場合は非実用的なシステムに終わる。
【0005】
従って要請されることは、既存のRFIDハードウェアを利用して、RFID呼掛領域内のアイテムから到来するドップラー信号を検出し、そのアイテムの相対速度及び移動を決定する方法及びシステムである。
【発明の概要】
【0006】
本発明はRFIDリーダー及びRFIDシステムに関して当該技術における欠陥に対処する。RFIDリーダーは、一つ又は複数のRFIDマーカーと交信するRFIDリーダーを含む。各々のRFIDマーカーは、対象のアイテムへ付けることができる。各々のマーカーは、RFIDリーダーからスタートアップパワー信号の受信と同時に起動することができる。各々のマーカーは、RFIDリーダーへ情報を送ることができるアンテナを含み、その情報は一般に、調べているアイテムに関するものである。RFIDリーダーは呼掛領域内の任意のアイテムの相対的移動に関する信号を検出するために必要な回路系も含み、それらの移動信号はコンピュータへ送られ、ここで処理してRFIDリーダーに関して、移動におけるアイテムの相対移動、方向、及び速度を決定する。或いは、ドップラー検出器をRFIDリーダーと呼掛領域との間に挿入して、アイテムから復帰する信号を検出することができる。ドップラー信号はドップラー信号を抽出して、処理のためにコンピュータへ送ることができる。
【0007】
一つの局面によると、RFID検出システムに用いられる無線自動識別(「RFID」)リーダーが与えられる。このリーダーは、RF信号を生成するRF源と、このRF源へ接続されたアンテナとを含む。アンテナは呼掛領域内の少なくとも一つのRFIDマーカーに呼掛RF信号を送信し、呼掛領域内の少なくとも一つのアイテムからの交信信号を受信し、その交信信号は呼掛領域内のアイテムの移動を示すドップラー信号を含む。このリーダーは更に、交信信号を受信するための受信機と、ドップラー信号を検出するための移動検出回路系とを含む。
【0008】
他の一つの局面によると、本発明はRFID検出システムを与える。このシステムは、少なくとも一つのRFIDマーカーと、RFIDリーダーと、ドップラー信号を検出するための移動検出回路系とを含む。そのRFIDリーダーは、RF信号を生成するためのRF源と、このRF源に接続されたアンテナと、交信信号を受信するための受信機とを含む。アンテナは呼掛領域内の少なくとも一つのRFIDマーカーへ呼掛信号を送って、呼掛領域内のアイテムから交信信号を受信する。交信信号は、呼掛領域内のアイテムの移動を示するドップラー信号を含む。
【0009】
依然として他の局面によれば、本発明は呼掛信号が呼掛領域内のアイテムの移動を検出する第1のパワーレベルで送信されるRFIDマーカーの操作方法を与える。呼掛信号は、アイテムの移動が呼掛領域内で検出されたならば、マーカーの存在を検出する第1のパワーレベルよりも大きな第2のパワーレベルにて送信される。
【0010】
発明の更なる局面は部分的には以下の説明に記載されており、且つ部分的には説明から自明であるか、或いは本発明の実施により学べるであろう。本発明の局面は、添付の請求項に特に示された要素及びその組合せによって実現及び到達されるであろう。前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は共に例示及び説明の目的のみであって、請求される発明を制限するものではないことを理解されたい。
【0011】
添付の図面は本明細書に組み込まれてその一部を構成しており、説明と共に発明の実施例を例示して、発明の原理を説明するのに役立つ。ここに例示される実施例は目下ところ好適であると解されるが、本発明はここに示される正確な配置構成及び手段に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は本発明の原理により構成されたRFIDシステムの図である。
【図2】図2は本発明を採用するRFIDリーダーの図である。
【図3】図3は本発明を採用するRFIDリーダーの代替的な実施例の図である。
【図4】図4は本発明を採用するRFIDリーダーの更に他の実施例の図である。
【図5】図5は本発明を採用し、本発明の一つの応用を例示するRFIDシステムの図である。
【図6】図6は本発明の更に別の実施例を例示する図である。
【好ましい実施形態の詳細な説明】
【0013】
本発明は、RFIDシステムに既存の部品を利用して、所定の呼掛領域内のアイテムの移動の検出を可能とさせるシステム及び方法を与え、これはアイテムの移動に起因して発生したドップラー信号を検出し、このドップラー信号を処理することにより、呼掛領域内でアイテムが移動しているか否かを判別するのみならず、RFIDリーダーに関する移動の速度及び方向を決定する。ここで、同様な参照符号は同様な要素を示す添付図面を参照すると、図1には本発 明の原理によって構成されたシステムが示されており、これは全体的に符号10で示す。システム10はRFID呼掛システムであり、RFIDリーダー12と、少なくとも一つのRFIDマーカー14と、ホストコンピュータ16とを含む。
RFIDリーダー12(後に更に詳しく説明する)は、一般にトランシーバー、デコーダー及びアンテナを含んでおり、携帯型デバイスとしてもよく、固定型デバイスとしてもよい。リーダー12は、アンテナを介して無線を少なくとも一つのマーカー14へ送信することにより、各々のマーカー14と交信する。信号は、マーカー14から識別情報を得るために、そのマーカー14へ送信される(「ダウンリンク」)。アンテナは、マーカー14に対して及びこのマーカーから信号を送信するのに用いられる。アンテナはリーダー12の一部としてもよく、例えばドアフレーム又は柱の中に別個に取り付けてもよい。
【0014】
呼び掛けられるマーカー14は、RF信号をリーダー12のアンテナへ(「バックリンク」を介して)送信することにより、識別情報をリーダー12へ返す。次いで受信信号は、リーダー12内のデジタル信号プロセッサを介して、又はホストコンピュータ16を介して処理される。RFIDマーカー14は広範な種類の形状及び寸法で提供される。マーカー14は能動型でも受動型でもよい。能動型マーカーは内蔵バッテリにより駆動され、この種のマーカーで受信されるデータは修正又は上書きすることができる。能動型マーカーのメモリサイズは、アプリケーション条件によって異なる。受動型マーカーは外部電源を要することなく作動し、リーダーから送信された信号から、それらの作動力を得る。従って、一般に受動型マーカー14は能動型マーカーよりも非常に軽量且つ安価である。しかしながら、受動型マーカーは、能動型マーカーに比べて、一般に読み取り範囲が短く、それらを起動させるのに強力なリーダーを必要とする。
【0015】
図2は本発明に関連して用いられる代表的なRFIDリーダー12の図である。図2に図示されたリーダー12は、代表的なRFID呼掛システムに用いられる例示的なリーダー12であって、本明細書に開示された本発明はRFIDリーダーの特定の設計又は形式に限定されるものではないことに留意されたい。リーダー12はRF源18を含み、これが無線信号を供給する。サーキュレータ20は当該技術でよく知られた形式であり、RF信号をアンテナ22へ指向させ且つアンテナ22から指向させることを支援する。アンテナ22は無線信号を少なくとも一つのマーカー14へ送信する。アンテナ22は、関連するコントローラを有するトランシーバーアンテナとして構成してもよく、そのコントローラは所定の時間間隔で送信機能から受信機能へ切り替える制御及び切り替えを与える。当業者は個別の送信モジュール及び受信モジュールがアンテナ22内にあることを理解するであろう。
【0016】
アンテナ22は電磁場即ち呼掛領域上へ電磁信号を発する。アンテナ22により生成された電磁場は複数のマーカー14が存在する場合には恒常的に存在することができる。恒常的な呼掛が必要でないならば、電磁場は間欠的に起動させることができる。アンテナ22により確立された電磁場は、呼掛マーカー14からの応答を引き起こす。無線信号の形態のこの応答は受信モジュール24又はアンテナ22のトランシーバーモジュールにより受信される。
【0017】
呼掛マーカー14から受信された信号は一般に、呼び掛けられたマーカー14及びそれに伴うアイテムの識別に関する情報を包含する。到来信号はアンテナ22を介して、受信機24により受信されて、ここではデジタル信号プロセッサ(DSP)28は信号を処理するか、或いは信号を処理のためにホストコンピュータ16へ送信する。特定の例では、これは呼び掛けられたマーカー14の識別、及びこのマーカー14が付けられたアイテムの識別及び特性を確認するのみならず、呼掛領域内のアイテムがリーダー12に関して移動しているか否かも確認することが望ましい。
リーダー12からの無線信号の送信により形成された呼掛領域内の少なくとも一つのマーカー14は、リーダー12のアンテナ22により受信された無線信号によりリーダー12へ応答する。本発明は、付加的なハードウェアを必要とすることなく、RFIDシステムハードウェアの使用を介してRFIDリーダーの呼掛領域内のアイテムの移動を追尾する手段を更に与える。これは、マーカー14がアイテムへ付けられていているか否かには無関係であり、RFIDリーダー12の一部分としてドップラー信号検出回路系を含めることにより達成される。各々の呼び掛けられたマーカー14が呼掛信号に応答するとき、これは標識信号を送信し、これは代表的には、マーカー14が付けられるアイテムの識別を含む。
マーカー14の有無によらないアイテムが呼掛領域内を移動するとき、それもアンテナ22へ信号を返すことによって応答する。これらの信号はドップラー信号の形態であり、RFIDリーダー12に関して可動アイテムの相対移動を示す。従って、可動アイテムの応答信号の実際の周波数及び/又は波長は変化しないが、アイテムの移動は周波数及び/又は波長の明らかな変化を与え、それが検出されたならば、固定源、即ちリーダー12に関するアイテムの移動に関する情報を与えることができる。
【0018】
図2を再度参照すると、リーダー12には、到来ベースバンド信号からドップラー信号を検出すると共に、そのドップラー信号を処理のために分離させることを可能とする回路系が設けられている。具体的には、受信機24に到達する信号はミキサ26へ送られて、ここで必要に応じて、到来RF信号の周波数が異なる周波数へ変換されるようにしてもよい。アイテムの移動を示すドップラー信号は到来信号から濾波されて、ドップラー信号のみを包む派生信号がデジタル信号プロセッサ(DSP)28によって個別に処理される。到来信号の残りは、例えば、受信機24内のキャパシタ30を介してDSP28へ渡されて、ここで個別に処理される。
【0019】
変更されたドップラー信号は、ホストコンピュータ16により更に分析することができる。到来信号から濾波されたこれらの信号は、アイテムが移動している相対的な方向及び速度を決定するために更に分析してもよい。RFIDリーダー12におけるドップラー信号検出回路系の内包物以外には、RFID呼掛領域内のアイテムの移動を検出及び監視するために必要な付加的なハードウェアは無いことに留意されたい。この方式では、RFIDリーダー12は、その通常のマーカー呼掛機能に加えて、運動センサーの働きをなして、例えば、呼掛領域内の製品が初期の場所から他の場所、例えば保管区域へ移動したことを決定することができる。
【0020】
RFIDシステム10を利用している典型的な計画では、リーダー12は少なくとも一つのマーカー14へ起動信号を送る。上述したように、受動型マーカーが使用されるとき、これらのマーカーはリーダー12からの起動力を必要とする。リーダー12は、一つ以上のマーカー14を適切に起動させる目的で、それらのマーカー14へ増幅シフト入力(ASK)コマンドを送信する。各マーカー14は対象の特定のアイテムに関連している。RFIDシステム10は単にアイテム識別目的にのみ利用されるのではなく、システム10はRFIDシステム、即ち、リーダー、一つ以上のマーカー、信号を送受信するアンテナ、到来信号上を到達するデータを復号するデコーダー、関連するハードウェアを利用して、呼掛領域内の任意のアイテムの相対移動を検出する。
【0021】
図3は本発明のRFIDリーダー12の代替的設計を示す。この例では、到来信号が、ドップラー信号を濾波されることなくDSP28へ指向される。この想定では、ベースバンド信号からドップラー信号を抽出するハードウェアを含めるのではなく、DSP28は、ドップラー信号を検出、抽出及び処理する必要なロジックを含む。
【0022】
RFIDリーダー12の他の代替的設計を図4に示す。ここでは、更なるDSP29がリーダー12内に包含されている。DSP29はドップラー信号を個別に処理し、一方、DSP28はドップラー信号が濾波された後にベースバンド信号を処理する。本発明は、到来するベースバンド信号からドップラー信号を抽出及び処理する特定の方法に限定されるものではない。本発明は、アンテナ22に到達する信号からドップラー信号を検出するために、RFIDリーダー12内に必要なハードウェア及び/又はロジックを組み込み、そのドップラー信号はリーダーの呼掛領域内のアイテムの移動或いは移動が無いことを示す。
【0023】
本発明に採用されるRFIDシステム10の一つの応用例は、図5に示すように、製品を包含する箱が発送所で降ろされている状況である。この例では、検出領域内で例えば箱、フォークリフト等(まとめて「アイテム」と称する)の移動を、先ず初めに、アイテムがそれに付けられたマーカー14を有しているか否かに拘わらず、或いはフォークリフトが何れの箱を移動させているか否かにも拘わらず、容易に検出するので望ましいであろう。ひとたびアイテムが検出されたならば、リーダー12は、マーカー14が存在するか否か及びマークが付けられたアイテムに関するより詳細について確認することができる。
【0024】
この配置では、リーダー12は、先ず低電力モードで作動して、呼掛領域内で移動するアイテムが検出されないときは低電力モードに留まるようにプログラムすることができる。低電力モードでは、リーダー12には到来ドップラー信号を検出するのに充分な電力があるが、呼掛けのマーカー14を印加するための電力を増加する必要はない。フォークリフトがアイテムで満たされるか、単に動いているだけのとき、リーダー12の移動検出回路系は移動を検出して、その電力を増大させて起動し、呼掛信号の送信によってマーカー14が存在するか否かを検出する。
【0025】
移動検出回路系は、方向性カプラーのようなハードウェアを含んでもよく、呼掛領域内の移動しているであろうアイテムの存在を検出する。従ってRFIDリーダー12は、そのドップラー信号検出回路系を介して領域内のアイテムの移動を判定することにより、呼掛領域内に移動が検出されないときは、その電力を節約することができる。有益なことには、マーカー14が存在しないときには電力を減少させることによって、他のリーダー12に対する干渉が低減される。このことは特に、リーダーが高密度な環境で該当する。
【0026】
従ってリーダー12は、マーカー14からのアイテム識別情報を得るのみではなく、専らアイテムの移動を監視することに用いられるので、マーカー移動が無いときは、リーダー12はその作動電力を低く設定し、アイテムが呼掛領域へ入るときにその電力を高い作動電力へ増大するのみである。
【0027】
本発明の代替的実施形態においては、移動検出回路系は、リーダー12内に配置されるのではなく、リーダー12とアンテナ22との間に配置されている。図6は本発明の例示的な実施例を図示する。図6において、サンプラー12は、ドップラー信号の存在を判別するために送信信号とアンテナ22からの反射信号との両 方を分析する。サンプラー12は、呼掛領域内のアイテムからアンテナ22へ到達する到来RF信号を検出するための必要な回路系及び/又はロジックを包含し、到来信号には、少なくとも一つのアイテムが移動していることを示す信号が含まれているか否かを判定し、これらの信号を更なる処理のためにホストコンピュータ16又はDSP28へ送信する。この実施例では、リーダー12は何らの移動検出回路系も包含する必要はないが、これに代えてサンプラー12と交信し、このサンプラーはリーダーの外部で且つシステム10の内部で、移動検出を実行する。
【0028】
従って本発明は、RFID監視システムにおけるアイテムの移動を検出するシステム及び方法を有益に提供する。このシステムは、RFIDシステム内の既存の部品を用いることができ、RFIDリーダーそれ自体に又はシステム内の他の場所に移動検出回路系を更に与える。この移動検出回路系は移動(例えばドップラー)信号を検出及び濾波して、これらの信号をプロセッサへ送り、このプロセッサは、RFIDリーダーの呼掛領域内のアイテムが移動したか否か、それらのアイテムがどれくらいの早さでどの方向へ移動したかを判定するために該信号を処理する。
【0029】
本発明を組み込むRFIDシステムは主にマーカー14への呼掛けのために用いられる。しかしながら、RFリーダー12は、少なくとも一つのアイテムが呼掛領域内で移動するものとして検出されない限りは、その全容量へ電力を供給する必要はない。呼び掛け領域内にマーカー14が存在しないと判定されたときは、RFIDリーダー12は何れのマーカー14も励磁する必要はないので、移動検出器を作動させる充分な電力を保持しつつ、その全電力を節約して干渉を低減する。少なくとも一つのアイテムが呼掛領域へ入ると、RFIDリーダー12は直ちにマーカー14を励磁するように試みつつ、その移動検出能力を保持することができる。
【0030】
本発明は、ハードウェア、ソフトウェア、或いはハードウェアとソフトウェアとの組合せで実現することができる。本発明の方法及びシステムの実装は、1台のコンピュータシステムに集中化した形態で、或いは相互に連結した幾つかのコンピュータシステムに亘って様々な要素が分散された形態で実現することができる。任意の種類のコンピュータシステム又は本明細書に記載された方法を実行するように適合された他の装置は、本明細書に記載された機能を実行するために適している。
【0031】
重要なことには、本発明はその要旨又は基本的な特質から逸脱することなく他の特定の形態で実施することができるのであるから、発明の目的を表すものとしては、上述の明細よりはむしろ添付の特許請求の範囲を参照すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線周波識別(RFID)検出システムに用いられるRFIDリーダーであって、
RF信号を生成するRF源と、
前記RF源に連結されたアンテナであり、呼掛領域内の一つ以上のRFIDマーカーに呼掛RF信号を送信し、且つ前記呼掛領域内の一つ以上のアイテムから交信信号を受信し、その交信信号は、前記呼掛領域内のアイテムの移動を示すドップラー信号を含むアンテナと、
前記交信信号を受信する受信機と、
前記ドップラー信号を検出する運動検出回路系とを備えるリーダー。
【請求項2】
請求項1のリーダーにおいて、前記運動検出回路系は前記交信信号から前記ドップラー信号を抽出するリーダー。
【請求項3】
請求項1のリーダーにおいて、前記運動検出回路系が方向性カプラーからなるリーダー。
【請求項4】
請求項1のリーダーにおいて、信号プロセッサを更に備え、前記運動検出回路系
が前記ドップラー信号を前記信号プロセッサへ送るようにされているリーダー。
【請求項5】
請求項1のリーダーにおいて、前記信号プロセッサが、前記リーダーに対する前記アイテムの相対速度を決定するリーダー。
【請求項6】
請求項1のリーダーにおいて、前記アンテナは、前記呼掛領域内の移動を検出する第1の出力レベルで送信すると共に、移動が検出されたならば、第1の出力レベルよりも大きく、前記呼掛領域内のRFIDマーカーの存在を検出する第2の出力レベルで送信するリーダー。
【請求項7】
請求項4のリーダーにおいて、前記アイテムが移動していることを示すならば、前記信号プロセッサは、前記アンテナに対し、前記一つ以上のRFIDマーカーへ送信される出力を増加するように指示するリーダー。
【請求項8】
RFID検出システムであり、
一つ以上のRFIDマーカーと、
RFIDリーダーとを備え、このRFIDリーダーは、
RF信号を生成するRF源と、
前記RF源に連結されたアンテナであり、呼掛領域内の一つ以上のRFIDマーカーに呼掛RF信号を送信し、且つ前記呼掛領域内の一つ以上のアイテムから交信信号を受信し、その交信信号は、前記呼掛領域内のアイテムの移動を示すドップラー信号を含むアンテナと、
前記交信信号を受信する受信機と、
前記ドップラー信号を検出する運動検出回路系とを含むシステム。
【請求項9】
請求項8のRFID検出システムにおいて、信号プロセッサを更に備え、この信号プロセッサは前記運動検出回路系から前記ドップラー信号を受信して、前記リーダーに対する前記アイテムの移動を判別するRFID検出システム。
【請求項10】
請求項8のRFID検出システムにおいて、前記アンテナは、前記呼掛領域内の移動を検出する第1の出力レベルで送信すると共に、移動が検出されたならば、第1の出力レベルよりも大きく、前記呼掛領域内のRFIDマーカーの存在を検出する第2の出力レベルで送信するRFID検出システム。
【請求項11】
請求項9のRFID検出システムにおいて、前記アイテムが移動していることを示すならば、前記信号プロセッサは、前記アンテナに対し、前記一つ以上のRFIDマーカーへ送信される出力を増加するように指示するRFID検出システム。
【請求項12】
請求項8のRFID検出システムにおいて、前記運動検出回路系は前記RFIDリーダー内に存するRFID検出システム。
【請求項13】
請求項8のRFID検出システムにおいて、前記運動検出回路系は前記RFIDリーダーの外部に位置しているが、該RFIDリーダーと交信するように位置しているRFID検出システム。
【請求項14】
請求項8のRFID検出システムにおいて、前記運動検出回路系が方向性カプラーからなるRFID検出システム。
【請求項15】
RFIDマーカーリーダーを操作する方法であって、
呼掛領域内のアイテムの移動を検出するように第1の出力レベルで呼掛信号を送信し、
前記呼掛領域内のアイテムの移動が検出されたならば、第1の出力レベルよりも大きく、前記呼掛領域内のRFIDマーカーの存在を検出する第2の出力レベルで呼掛信号を送信する方法。
【請求項16】
請求項15の方法において、ドップラー信号を検出することを更に含み、このドップラー信号は前記呼掛領域内の移動の判定のために評価される方法。
【請求項17】
請求項16の方法において、移動が前記ドップラー信号の評価により決定され、前記ドップラー信号は、前記RFIDリーダーの一部として包含された運動検出回路系により評価される方法。
【請求項18】
請求項17の方法において、前記RFIDリーダー対する移動アイテムの相対速度を決定することを更に含む方法。
【請求項19】
請求項15の方法において、第2の出力レベルで送信された呼掛信号に応答して交信信号を受信することを更に含み、その交信信号は前記呼掛領域内のマーカーの存在を示す方法。
【請求項20】
請求項19の方法において、第2の出力レベルで送信された呼掛信号に応答して受信された交信信号は、前記呼掛領域内の前記アイテムの移動を示すドップラー信号を含み、このドップラー信号は、前記呼掛領域内のマーカーの存在を判定するために濾波される方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−502951(P2010−502951A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526676(P2009−526676)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2007/018880
【国際公開番号】WO2008/030357
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(592192642)センサーマティック・エレクトロニクス・コーポレーション (92)
【氏名又は名称原語表記】SENSORMATIC ELECTORONICS CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6600 Congress Avenue,Boca Raton,Florida 33487,United State of America
【Fターム(参考)】